JP2007226896A - 多値情報再生方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光スポットを微小化して高密度化を図ると、符号間干渉の量が更に多くなり、符号間干渉の量が多くなると、各レベルに対する再生信号の振幅分布の重なりが増え、そのままでは再生誤りが増加する。
【解決手段】セル中央値だけでなく隣接するセルのセル中央値との加算値に基づいて多値情報を判定する。即ち、光スポットの中心がセルの中央に来た時にサンプリングしたセル中央値と、そのセル中央値とそのセルに隣接するセルのセル中央値とを加算した加算値との両方に基づいて多値情報を判断することにより誤検出を低減する。
【選択図】図7
【解決手段】セル中央値だけでなく隣接するセルのセル中央値との加算値に基づいて多値情報を判定する。即ち、光スポットの中心がセルの中央に来た時にサンプリングしたセル中央値と、そのセル中央値とそのセルに隣接するセルのセル中央値とを加算した加算値との両方に基づいて多値情報を判断することにより誤検出を低減する。
【選択図】図7
Description
この発明は、光ディスク等の情報記録媒体の多値情報を再生する多値情報再生方法及び装置、特に、多値データ処理においてデータの誤り率を低減できる多値データ処理方法に関するものである。
従来、光ディスクにおいては渦巻状又は同心円状のトラック上に2値のデジタルデータが、エンボス加工等による凹凸のピット(ROMディスク)や無機・有機記録膜への穴形成(追記型ディスク)・結晶状態の違い(相変化ディスク)等によって記録されている。
これらの記録データを再生する際には、トラック上にレーザビームを照射して、その反射光の強度差や磁気カー効果による偏光方向の差等を検出し、再生RF信号を得ている。そして、得られた再生RF信号から2値のデータを検出している。
近年、これら光ディスクの記録容量の高密度化を図る研究開発が進められており、情報の記録再生に関わる光スポットを微小化する技術として、光源の波長は赤色(650nm)から、青紫色(405nm)になりつつある。
また、対物レンズの開口数も0.6や0.65から0.85へと高められようとしている。一方では、同じ光スポットの大きさを用いて、より効率のよい多値記録再生の技術も提案されている。
例えば、本願出願人は、多値記録再生技術として、特開平5−128530号公報において、次のような多値情報の記録再生方法を提案している(特許文献1)。
即ち、上記記録再生方法では、光学的情報記録媒体の情報トラック上に情報ピットのトラック方向の幅と、その情報ピットの再生用光スポットに対するトラック方向のシフト量の組み合せによって多値情報を記録する。また、多値記録した情報ピットを再生する際、予め学習しておいた検出信号と光スポットから得られた検出信号との相関より多値情報を再生する。
一方、光ディスク分野の研究における国際学会であるISOM2003(Write−once Disks for Multi-level Optical Recording:予稿集Fr−Po−04)において、次のような発表がなされている(非特許文献1)。
上記発表では、青紫色の光源(405nm)とNA0.65の光学系が用いられている。更に、光学系によってトラックピッチが0.46μmの光ディスクに対して、仮想的に設けた一つの情報ピットを記録する領域(以下、セルと記述する)のトラック方向の幅を0.26μmとし、8レベルの多値記録再生を行っている。
8レベルの情報ピットは、情報記録媒体に記録する時に、2値データから8レベルに変換された後に各セルに記録される。8値記録の場合、1つのセルが3ビットの2値データに対応していることになる。
例えば、3ビットの情報に対して、図13に示すように(0,0,0)は0レベルに対応させている。また(0,0,1)は1レベルに、(0,1,0)は2レベルに、(0,1,1)は3レベルに対応させている。
更に、(1,1,0)は4レベルに、(1,1,1)は5レベルに、(1,0,0)は6レベルに、(1,0,1)は7レベルに対応させている。
上記8レベルの情報ピットの選択は、例えば、図13に示すようにセルのトラック方向の幅を16等分し、レベル0を何も情報ピットを記録しない、レベル1を2/16セル分の幅とする。
また、レベル2を4/16セル分の幅、レベル3を6/16セル分の幅、レベル4を8/16セル分の幅、レベル5を10/16セル分の幅、レベル6を12/16セル分の幅、レベル7を14/16セル分の幅とする。
このように選択した情報ピットをランダムに記録し、その反射光量を光検出器で受光した場合、得られた多値情報ピットからの再生信号の振幅は図14のような分布となる。ここでサンプリングを行うタイミングは光スポットの中心が、セルのトラック方向の幅の中央に来た時である。
また、情報ピットが何も書かれていないレベル0が続く時の再生信号の振幅の大きさを『1』、レベル7の情報ピットが連続して記録されている時の再生信号の振幅の大きさを『0』として規格化している。
各レベルに対応する再生信号の値が幅を持つのは、注目している情報ピットの前後に書かれている情報ピットからの影響(符号間干渉)を受けるからである。図14のように隣のレベルと再生信号の振幅分布が重なっていると、固定した閾値では分離検出できないことが分かる。
ISOM2003の発表の例では、まず、注目している情報ピットの値と、その前後の情報ピットの値とが予め分かっているピット列からの再生信号を読み取って記憶する(学習)。次に、実際の情報ピットからの再生信号と記録しておいた値とを比べて(相関をみる)、分離検出する方式によって上記符号間干渉の問題を解決している。
特開平5−128530号公報
ISOM2003(Write−once Disks for Multi-level Optical Recording:予稿集Fr−Po−04)
光ディスクにおいては、各種光ディスク間の反射率の違いや、1つの光ディスクでも内周側と外周側で再生周波数特性の違い等、再生信号には種々の要因でレベル変動や振幅変動が発生する。そのため、上記のような分離検出方式を用いても、再生信号を誤った値で検出してしまうことがある。
特に、青紫色の光源(405nm)とNA0.85光学系を用い、光スポットを微小化して、およそ30Gbit/inch2程度の高密度化を図ると、符号間干渉の量が更に多くなる。符号間干渉の量が多くなると、図14に示すように各レベルに対する再生信号の振幅分布の重なりが増え、そのままでは再生誤りが増加するという欠点があった。
本発明の目的は、セル中央値だけでなく隣接するセルのセル中央値との加算値に基づいて多値情報を判定することにより、誤検出を低減でき、高密度記録再生が可能な多値情報再生方法及び装置を提供することにある。
本発明の多値情報再生方法は、上記目的を達成するため、光学的情報記録媒体のトラック上に、仮想的に一定間隔のセルを設け、前記セルにおけるトラック方向の情報ピットの幅又は情報ピットの面積を変えることによって記録された多値情報を再生する方法において、光スポットの中心がセルの中央に来た時に再生信号をサンプリングしたセル中央値と、前記セル中央値とそのセルに隣接するセルのセル中央値とを加算した加算値との両方に基づいて多値情報を判断することを特徴とする。
また、本発明の多値情報再生装置は、光学的情報記録媒体のトラック上に、仮想的に一定間隔のセルを設け、前記セルにおけるトラック方向の情報ピットの幅又は情報ピットの面積を変えることによって記録された多値情報を再生する装置において、光スポットの中心がセルの中央に来た時に再生信号をサンプリングしてセル中央値を検出する手段と、前記セル中央値とそのセルに隣接するセルのセル中央値とを加算する手段と、前記セル中央値と前記加算手段で加算された加算値との両方に基づいて多値情報を判断する手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、セル中央でサンプリングしたセル中央値だけから多値情報を判定するのではなく、光学的影響が及ぶ複数のセル中央値の加算値も同時に用いて多値情報を判定することにより、誤検出を低減でき、高密度多値記録再生が可能となる。
次に、発明を実施するための最良の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る多値情報記録再生装置の一実施形態を示す概略ブロック図である。
図1において、1は螺旋状または同心円状のトラックが形成された情報記録媒体であるところの光ディスク、2は光ディスク1を回転駆動するスピンドルモータである。この光ディスク1に図13で説明したようにトラック方向に仮想的に一定間隔のセルを設け、そのセルにおける情報ピットの幅(又は情報ピットの面積)を変えることによって多値情報を記録再生するものである。
3は光ディスク1に対して多値情報を記録或いは再生するための光ヘッドであり、光源の半導体レーザからのレーザ光を対物レンズで集光して光ディスク1上に光スポットを照射する。その光スポットの光ディスク1からの反射光は光ヘッド3内の光検出器で検出され、演算増幅回路4に送られる。
演算増幅回路4は光ヘッド3の光検出器の信号を処理することで光スポットを光ディスク1の所望のトラック上に沿って走査するように制御するためのフォーカスエラー信号/トラッキングエラー信号を検出する。
サーボ回路5はその信号に基づいて光ヘッド3内のフォーカスアクチュエータ/トラッキングアクチュエータを制御することでフォーカス制御及びトラッキング制御を行う。また、サーボ回路4はスピンドルモータ2を制御し、線速度一定或いは角速度一定等の光ディスク1の回転制御を行う。
光ディスク1に多値情報を記録する場合には、2値データ入力6を多値化回路7により多値データに変換し、変調回路8により多値データに応じた信号を出力する。レーザ駆動回路9はその信号に応じて光ヘッド3内の半導体レーザを駆動し、光ディスク1のトラック上に多値情報に従ったマークを記録する。
また、多値情報を再生する場合には、光ヘッド3から再生用の光スポットを光ディスク1上に照射し、光検出器でその反射光を受光する。その検出信号を演算増幅回路4によって信号処理し、得られた信号をAD変換回路10によりデジタル信号に変換する。これらの処理はPLL回路11によって作成されたクロックを用いて行う。
AD変換回路10によりデジタル信号に変換されたセル中央値はセル中央値用波形等化回路12により波形等化処理がなされる。波形等化処理されたセル中央値はセル中央値加算回路16に送られ、光学的影響が及ぶ複数のセル中央値の加算値が求められる。
具体的には、セル中央値加算回路16はセル中央値とそのセルに隣接するセルのセル中央値用波形等化回路12からのセル中央値との加算値を算出する。なお、光スポットがセル中央に来た時に再生信号をサンプリングしたセル中央値と、そのセルに隣接するセルのセル中央値を加算しているが、更にそのセルに隣接するセルのセル中央値を加算する等、それ以上のセルのセル中央値を加算しても良い。
そして、学習用メモリ15から学習テーブルデータの参照値を読み出し、後述するようにこの両者(セル中央値と加算値)の値に基づいて多値データ判定回路13は多値レベルを判定する。更に、多値−2値変換回路14により2値データに変換し、2値データ出力17として出力する。
次に、多値情報の再生方法について詳細に説明する。前述したようにセル中央値加算回路16ではサンプリングしたデジタル信号の加算値が求められる。ここで、セル中央値と加算値の違いとそれぞれの特徴を図2、図3を用いて説明する。
図2は8レベルの多値データを再生した場合において、波形等化後のセル中央値の再生信号レベルをヒストグラムで示すシミュレーション結果である。ここでは青紫色の光源(405nm)とNA0.85の光学系を用い、トラックピッチが0.32μmの光ディスクに対して、仮想的に設けた一つの情報ピットを記録するセルの大きさを0.20μmとしている。図2から分かるように再生信号は波形等化を行うことで、おおむね0〜7レベルに分離されている。
図3はセル中央値加算回路16によって演算されたシミュレーション結果を示す。セル中央値加算回路16は連続する2つのセル中央値の加算を行っている。図3から分かるように隣接するセルのセル中央値の加算値は0〜14レベルに分離されている。
このことを図4を用いて説明する。図4は隣接するセルの多値レベルの組合せを示す図である。セルの組合せは全部で8×8=64通りあるが、セル中央値の再生信号の加算値がとりうるレベルは15値となる。
このことから、前のセルの多値レベルが既知であるならば、セル中央値の加算値レベルを検出することで後ろのセルのレベルが一義的に決定できる。例えば、前のセルのレベルが『3』と分かっていたとし、加算値が『7値』と検出できたとすると、後ろのセルのレベルは7−3=4より『4』と判断できる。
一般的には、前のセルのレベルが『X』(0≦X≦7、Xは整数)、後ろのセルのレベルが『Y』(0≦Y≦7、Yは整数)、加算値を『Z』(0≦Z≦14、Zは整数)とすると、X+Y=Z(または、Z−X=Y)となる。
次に、多値データ判定回路13における多値データの判定方法について図5〜図12を参照して詳細に説明する。本実施形態では、0〜7の8値の多値データを再生するものとする。
図5は多値データ判定回路13における多値データの判定方法を説明する図である。多値データ判定回路13は、主にセル中央値判定部18、加算値判定部19、最終値判定部20に別れている。
最初に、セル中央値判定部18について説明する。セル中央値判定部18は3つの連続セル(先行セル、注目セル、後行セル)から、注目セルの候補値を判定するものである。多値データ判定回路13にセル中央値の再生信号が入力されると、ステップ1で操作を開始する。
次いで、ステップ2で、先行セルの値を決定する。ここでは、前の処理で求めた注目セルの値を用いることにする。例えば、前の処理で判定した注目セルの値が『7』だった場合には、先行セルの値は『7』として選択する(ここで言う「選択」とは最終的な判定ではなく、仮決めを意味する)。
或いは、先行セルの値を選択する方法として、セル中央値の再生信号(光スポットが先行セルの中央に位置する時のサンプリング値)を各レベルに応じた複数の閾値でレベルスライスして決定しても良い。
次に、ステップ3で、後行セルの値をセル中央値の再生信号(光スポットが後行セルの中央に位置する時のサンプリング値)をレベルスライスして選択する(レベルスライスで最も近い値を選択)。例えば、後行セルの値が『7』として選択されたとする。ここまでで、3つの連続セルのうち先行セルと後行セルの値が選択されたことになる。
次に、ステップ4で、先行セルと後行セルの値を用いてセル中央値学習テーブル(図6)からセル中央値の再生信号に最も近い注目セルの値を選択する。また、ステップ5で2番目に近い値を選択する。
更に、ステップ6で、ステップ4及びステップ5で選択した値をそれぞれ第1候補『a』、第2候補『b』として決定する。
このセル中央値判定部18におけるステップ4〜6について図6、図8を用いて更に詳細に説明する。
図6は多値データの判定に用いる学習テーブルのうちセル中央値学習テーブルを示す。先行セル、注目セル、後行セルがとりうるすべての組合せ、全512パターン(8×8×8)についての再生信号を学習により求め、テーブルが作成されている。
例えば、512パターンの情報は光ディスク1上のユーザデータ領域の先頭部分に記録されている。そして、ユーザデータ領域の情報を再生する前に各パターンの注目セルのセル中央値の再生信号を検出して、そのサンプリング値を学習用メモリ15に参照値として記憶させる。このサンプリング値は、光スポットがセルの中央に来た時の再生信号のサンプリング値である。
次に、図8を用いて図5のセル中央値判定部19におけるステップ4〜6のセル中央値学習テーブルを用いた注目セルの候補値を決定する方法を詳しく説明する。まず、ステップ11で操作を開始する。ステップ12で、サンプリングされたセル中央値の再生信号は順次セル中央値判定部19に入力されていく。
また、ステップ13で学習用メモリ15にアクセスし、ステップ14でセル中央値が入力される毎に図6のセル中央値学習テーブルで得られた参照値を学習用メモリ15から順次読み出す。
ここで、読み出すテーブルは先行セルと後行セルの値がそれぞれ『7』として選択されたので(図5の説明を参照)、全512パターンから8パターン、即ち(7,0,7)〜(7,7,7)の組合せに絞られる。次に、ステップ15で、セル中央値と8パターンの参照値との差分の絶対値を計算し、これをM値とする。
ステップ16では、8つのM値を比較して、注目セルの値が『a』の場合にそのM値(これをM(a)と表す)が最も小さくなるとして、『a』をセル中央値判定部19における第1候補値として決定する。
更に、注目セルの値が『b』の場合にそのM値(これをM(b)と表す)が2番目に小さくなるとして、『b』をセル中央値判定部19における第2候補値として決定する。その後、ステップ17に進み、操作を終了する。以上が図5におけるセル中央値判定部18の説明である。
続いて、図5に戻って加算値判定部19における注目セルの値を決定する方法について詳細に説明する。
まず、図5に示すように加算値判定部19は、ステップ7で、ステップ2で決定した先行セルの値を用いて加算値学習テーブル(図7)から加算値の再生信号に最も近い注目セルの値を選択する。更に、ステップ8で、ステップ7で選択した値を注目セルの候補値『x』として決定する。
次に、加算値判定部19におけるステップ7、8について図7、図9を用いて詳細に説明する。図7は加算値学習テーブルであり、隣接するセルのとりうるすべての組合せ、全64パターン(8×8)のテーブルが作成されている。ここで、隣接するセルとは、先行セル、注目セルに対応する。
64パターンの情報も同様に光ディスク1上のユーザデータ領域の先頭部分に記録されている。そして、ユーザデータ領域の情報を再生する前に隣接するセルの各パターンのそれぞれのセル中央値の再生信号を検出して、そのサンプリング値の加算値を学習用メモリ15に参照値として記憶させる。このサンプリング値も光スポットがセルの中央に来た時の再生信号のサンプリング値である。
次に、図9を用いて図5の加算値判定部19におけるステップ7、8の加算値学習テーブルを用いた注目セルの候補値を決定する方法を説明する。
まず、ステップ18で操作を開始する。次に、ステップ19で、サンプリングされた再生信号の加算値は順次加算値判定部19に入力されていく。また、ステップ20で、学習用メモリ15にアクセスして、ステップ21で、加算値が入力される毎に図7の加算値学習テーブルで得られた参照値を学習用メモリ15から順次読み出す。
ここで、読み出すテーブルは先行セルの値が『7』として選択されたので(図5の説明を参照)、全64パターンから8パターン、即ち、(7,0)〜(7,7)の組合せに絞られる。
次に、ステップ22で、加算値と8パターンの参照値との差分の絶対値を計算し、これをM値とする。ステップ23では、8つのM値を比較して、注目セルの値が『x』の場合にそのM値(これをM(x)と表す)が最も小さくなるとして、『x』を加算値判定部における候補値として決定する。その後、ステップ24に進み、操作を終了する。以上が加算値判定部19の説明である。
次に、再び、図5に戻ってセル中央値判定部18と加算値判定部19でそれぞれ得られた候補値を用いて最終的に判定を行う最終値判定部20のアルゴリズム(図5のステップ9、10)について図10、図11、図12を用いて詳細に説明する。
図10はその最終値判定部20における処理動作の流れを示す。まず、ステップ25で操作を開始する。次に、ステップ26で、多値レベルの候補である『a』、『b』、『x』と、それぞれに対応したM値であるM(a)、M(b)、M(x)を入力する。
また、ステップ27で、先行セルで選択された候補値である『a’』、『x’』をメモリから読み出す。『a’』、『x’』は後述するステップ30で前の処理の一連の最終値判定動作の終了前に『a』、『x』をメモリに記憶させたものである。このメモリは、図1には図示しないが、適当なメモリを用いる。
これらのパラメータを用いて、ステップ28で注目セルの多値レベルを最終的に判定し、その後、ステップ29で先行セルの多値レベルを訂正する。更に、ステップ30で『a』、『x』をメモリに記憶させた後、ステップ31に進み、操作を終了する。
次に、注目セルの多値レベルを最終的に判定するステップ28のアルゴリズムについて図11を用いて詳細に説明する。まず、ステップ32で操作を開始する。次いで、ステップ33に進み、a=xの場合を考える。
この場合には、正解率がかなり高いと考えられるので、ステップ35に進み、注目セルの値は『a』と判定して、ステップ42で操作を終了する。
次に、S33においてa=xでなかった場合には、ステップ34に進み、a≠x、且つ、b=xの場合を考える。この場合には、正解を『a』又は『x』とするかの判断が難しいので、他のパラメータを考慮して判断する必要がある。
本発明では、前の処理で先行セルにおいて行った多値レベル判定で選択された候補値である『a’』、『x’』と、学習テーブルの参照値との差分の絶対値であるM(a)、M(b)、M(x)をパラメータとして考える。
次に、ステップ36〜39における『a’』、『x’』を考慮して判断する方法について述べる。これは、先行セルにおける候補値と注目セルにおける候補値との関係を調べることで、より注目セルの判断の精度を上げることを目的とする。
即ち、先行セルにおける判定結果が実際の正しい値とは異なる場合、必然的に注目セルと先行セルの候補値がある規則が持つことを利用する。まず、誤ってx’を先行セルの最終値として判定してしまった場合を考える。
例えば、先行セルと注目セルの正しい値がともに『3』だとして、先行セルの候補値a’が『3』、x’が『2』の時に、誤ってx’の『2』を最終的な判定値として選択した場合、注目セルの候補値はaが『3』、xが『4』となる確率が高い。
何故なら、前述したように前のセルのレベルが『X』(0≦X≦7、Xは整数)、後ろのセルのレベルが『Y』(0≦Y≦7、Yは整数)、加算値を『Z』(0≦Z≦14、Zは整数)とすると、X+Y=Z(または、Z−X=Y)の関係が成り立っているからである。この場合、Z=6となる。
これを一般的な式で表すと、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)>0 …ステップ36、或いは、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)<0 …ステップ37、
となる。
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)>0 …ステップ36、或いは、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)<0 …ステップ37、
となる。
ステップ36、37を満たす場合、『x』は誤っている可能性が高いので、ステップ35で注目セルは『a』として最終的に判定して、ステップ42で操作を終了する。
逆に、誤ってa’を先行セルの最終値として判定してしまった場合を考える。同様に先行セルと注目セルの正しい値がともに『3』だとして、先行セルの候補値a’が『4』、x’が『3』の時に、誤ってa’の『4』を最終的な判定値として選択したとする。その場合、注目セルの候補値はaが『3』、xが『2』となる確率が高い。
これを一般的な式で表すと、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)>0 …ステップ38、或いは、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)<0 …ステップ39、
となる。
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)>0 …ステップ38、或いは、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)<0 …ステップ39、
となる。
ステップ38、39を満たす場合、『x』は誤っている可能性が高いので、ステップ35で注目セルは『a』として最終的に判定して、ステップ42で操作を終了する。以上が『a’』、『x’』を考慮して判断する方法である。
更に、ステップ36〜39のいずれの条件にも該当しなかった場合には、第2の方法として、M(a)、M(b)、M(x)を考慮して判断する。即ち、
|M(b)−M(a)|<e、且つ、M(a)>M(x) …ステップ40
の条件を満たす場合、ステップ41で注目セルは『x(=b)』として最終的に判定する。ここで、eはある定数であり、例えば、各多値レベル間でのセル中央値の再生信号レベル差の1/2〜1/4の値に設定するのが望ましい。
|M(b)−M(a)|<e、且つ、M(a)>M(x) …ステップ40
の条件を満たす場合、ステップ41で注目セルは『x(=b)』として最終的に判定する。ここで、eはある定数であり、例えば、各多値レベル間でのセル中央値の再生信号レベル差の1/2〜1/4の値に設定するのが望ましい。
つまり、|M(b)− M(a)|<eの条件を満たす場合、セル中央値の再生信号から『a』か『b』であるかを判断するのは極めて難しいことを示している。究極的に|M(b)−M(a)|=0の場合を考えると、注目セルが『a』か『b』であるかの確率はそれぞれ50%となる。
従って、M(a)> M(x)の条件を満たす場合、注目セルは『x(=b)』である確率が高いと判断して、ステップ42で操作を終了する。
最後に、ステップ33、34の条件を満たさない場合(a≠x、且つ、b≠xの場合)を考える。この場合には、『x』は誤っている可能性が高いので、ステップ35で注目セルの値を『a』と判定して、ステップ42で操作を終了する。
何故なら、多値記録の場合、再生時のエラーはおおむね±1レベル以内である事がシミュレーション結果から分かっており(『a』か『b』が正解となる)、『x』が正解である確率は極めて低いからである。
次に、図10に戻って、ステップ28で注目セルの多値レベルを最終的に判定した後、ステップ29で先行セルの多値レベルを訂正する。
図12はステップ29の先行セルの多値レベルを訂正するアルゴリズムを示す。まず、ステップ43で操作を開始する。次に、ステップ44〜47において図11で説明したように先行セルにおける候補値と注目セルにおける候補値との関係を調べることで、先行セルで最終的に判定された値を訂正する。
即ち、注目セルと先行セルの候補値がある規則が持つ場合に、先行セルにおける判定結果が実際の正しい値とは異なっていると判断するものである。例えば、先行セルと注目セルの正しい値がともに『3』だとして、先行セルの候補値a’が『3』、x’が『2』の時に、誤ってx’の『2』を最終的な判定値として選択した場合、注目セルの候補値はaが『3』、xが『4』となる確率が高い。
これを一般的な式で表すと、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)>0 …ステップ44、或いは、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)<0 …ステップ45、
となる。
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)>0 …ステップ44、或いは、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)<0 …ステップ45、
となる。
従って、ステップ44、45を満たす場合には、ステップ48に進んで先行セルを『a’』に訂正して、ステップ51で操作を終了する。この場合、先行セルをx’の『2』と判定したのは誤っていると考え、a’の『3』に訂正する。
逆に、誤ってa’を先行セルの最終値として判定してしまった場合を考える。先行セルと注目セルの正しい値が『3』だとして、先行セルの候補値a’が『4』、x’が『3』の時に、誤ってa’の『4』を最終的な判定値として選択したとする。その場合、注目セルの候補値はaが『3』、xが『2』となる確率が高い。
これを一般的な式で表すと、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)>0 …ステップ46、或いは、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)<0 …ステップ47、
となる。
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)>0 …ステップ46、或いは、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)<0 …ステップ47、
となる。
ステップ46、47を満たす場合、ステップ49に進んで先行セルを『x’』に訂正して、ステップ51で操作を終了する。この場合、先行セルをa’の『4』と判定したのは誤っていると考え、x’の『3』に訂正する。
以上が図10の最終値判定部の詳細であり、本発明の特徴とする多値データ判定回路13における多値データの判定方法である。
このように従来のセルの中央でサンプリングしたセル中央値だけから多値情報を判定するのではなく、光学的影響が及ぶ複数のセル中央値の加算値も同時に用いて多値情報を判定することにより、誤検出を低減でき、高密度多値記録再生が可能となる。
また、セル中央値及び光学的影響が及ぶ複数のセル中央値の加算値から求めた多値情報の候補値において、学習パターン情報との差分の絶対値を計算し、これを比較して注目セルの多値情報を判定することで、注目セルの多値情報の精度を向上できる。
更に、セル中央値及び光学的影響が及ぶ複数のセル中央値の加算値から求めた多値情報の候補値をセル系列で記憶しておき、その相互関係を常にモニタし、注目セルの多値情報を判定訂正することで、より注目セルの判断の精度を向上できる。
なお、補足として、本発明に係る光ディスク装置において、入力した2値データに対し誤り訂正を行うためのデータを付加する誤り訂正用データ付加回路、所定量のデータの区切りを示す同期信号を付加する同期信号付加回路等には言及していない。しかし、本発明の本質は何ら変わるところはない。以上が本発明における多値情報を記録或いは再生する多値情報記録再生方法及び装置の説明である。
1 光ディスク(情報記録媒体)
2 スピンドルモータ
3 光ヘッド
4 演算増幅回路
5 サーボ回路
6 2値データ入力
7 多値化回路
8 変調回路
9 レーザ駆動回路
10 AD変換回路
11 PLL回路
12 セル中央値用波形等化回路
13 多値データ判定回路
14 多値−2値変換回路
15 学習用メモリ
16 セル中央値加算回路
17 2値データ出力
18 セル中央値判定部
19 加算値判定部
20 最終値判定部
2 スピンドルモータ
3 光ヘッド
4 演算増幅回路
5 サーボ回路
6 2値データ入力
7 多値化回路
8 変調回路
9 レーザ駆動回路
10 AD変換回路
11 PLL回路
12 セル中央値用波形等化回路
13 多値データ判定回路
14 多値−2値変換回路
15 学習用メモリ
16 セル中央値加算回路
17 2値データ出力
18 セル中央値判定部
19 加算値判定部
20 最終値判定部
Claims (17)
- 光学的情報記録媒体のトラック上に、仮想的に一定間隔のセルを設け、前記セルにおけるトラック方向の情報ピットの幅又は情報ピットの面積を変えることによって記録された多値情報を再生する方法において、光スポットの中心がセルの中央に来た時に再生信号をサンプリングしたセル中央値と、前記セル中央値とそのセルに隣接するセルのセル中央値とを加算した加算値との両方に基づいて多値情報を判断することを特徴とする多値情報再生方法。
- 前記多値情報は、前記セル中央値または前記加算値を、各レベルに応じた複数の閾値によってレベルスライスして得られた候補値から決定した多値判定値から求められることを特徴とする請求項1に記載の多値情報再生方法。
- 前記閾値は、前後のセルの多値情報或いは前記加算値及びセル中央値に基づいて値が調整されることを特徴とする請求項2に記載の多値情報再生方法。
- 前記候補値は、対象となる注目セルに先行する先行セル、後行する後行セル又は先行セル及び後行セルの多値判定値を参照して判定することを特徴とする請求項2に記載の多値情報再生方法。
- 3つの連続する先行セル、注目セル、後行セルのマークを1つのグループとする全ての組合せパターンに応じた注目セルのセル中央値の再生信号を学習パターン情報として予め学習し、これを前記注目セルの多値判定に参照値として用いることを特徴とする請求項1又は4に記載の多値情報再生方法。
- 前記先行セルの多値判定値は、前記候補値を得るための各レベルに応じた複数の閾値によるレベルスライスによって決定されることを特徴とする請求項4に記載の多値情報再生方法。
- 前記先行セルの多値判定値は、前記加算値とセル中央値の両方を用いて最終的に判断された多値情報であることを特徴とする請求項4に記載の多値情報再生方法。
- 前記後行セルの多値判定値は、前記候補値を得るための各レベルに応じた複数の閾値によるレベルスライスによって決定されることを特徴とする請求項4に記載の多値情報再生方法。
- 前記加算値から得られる注目セルの候補値は、対象となる注目セルに先行する先行セルの多値判定値を参照して判定することを特徴とする請求項2に記載の多値情報再生方法。
- 前記先行セルの多値判定値は、前記加算値とセル中央値の両方を用いて最終的に判断された多値情報であることを特徴とする請求項9に記載の多値情報再生方法。
- 前記先行セルの多値判定値は、前記候補値を得るための各レベルに応じた複数の閾値によるレベルスライスによって決定された多値判定値、又は前記加算値とセル中央値の両方を用いて最終的に判断された多値判定値であることを特徴とする請求項6、7又は9に記載の多値情報再生方法。
- 前記隣接する先行セルと注目セルのマークを1つのグループとする全ての組合せパターンに応じた先行セルと注目セルの加算値の再生信号を学習パターン情報として予め学習し、これを前記注目セルの多値判定に参照値として用いることを特徴とする請求項1又は9に記載の多値情報再生方法。
- 前記セル中央値から求めた第1候補値を『a』、第2候補値を『b』、前記加算値から求めた候補値を『x』として、a=xである場合、注目セルの多値情報を『a』と判定することを特徴とする請求項1に記載の多値情報再生方法。
- 前記x=bである場合、セル中央値及び加算値と学習パターン情報との差分の絶対値であるM(a)、M(b)、M(x)が、
|M(b)− M(a)|<e、且つ、M(a)>M(x) e:定数
の条件を満たす場合、注目セルの多値情報を『x(=b)』と判定することを特徴とする請求項13に記載の多値情報再生方法。 - 前記注目セルに先行する先行セルにおいて、セル中央値から求めた第1候補値を『a’』、加算値から求めた候補値を『x’』として、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)>0、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)<0、
又は、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)>0、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)<0
の条件を満たす場合、注目セルの多値情報を『a』と判定することを特徴とする請求項13に記載の多値情報再生方法。 - 前記セルに先行する先行セルにおいて、セル中央値から求めた第1候補値を『a’』、加算値から求めた候補値を『x’』として、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)>0、又は、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)<0の条件を満たす場合、先行セルの多値情報を『a’』に訂正し、
(a−x)>0、且つ、(a’−x’)>0、又は、
(a−x)<0、且つ、(a’−x’)<0の条件を満たす場合、先行セルの多値情報を『x’』に訂正することを特徴とする請求項13に記載の多値情報再生方法。 - 光学的情報記録媒体のトラック上に、仮想的に一定間隔のセルを設け、前記セルにおけるトラック方向の情報ピットの幅又は情報ピットの面積を変えることによって記録された多値情報を再生する装置において、光スポットの中心がセルの中央に来た時に再生信号をサンプリングしてセル中央値を検出する手段と、前記セル中央値とそのセルに隣接するセルのセル中央値とを加算する手段と、前記セル中央値と前記加算手段で加算された加算値との両方に基づいて多値情報を判断する手段とを有することを特徴とする多値情報再生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006046838A JP2007226896A (ja) | 2006-02-23 | 2006-02-23 | 多値情報再生方法及び装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006046838A JP2007226896A (ja) | 2006-02-23 | 2006-02-23 | 多値情報再生方法及び装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007226896A true JP2007226896A (ja) | 2007-09-06 |
Family
ID=38548560
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006046838A Withdrawn JP2007226896A (ja) | 2006-02-23 | 2006-02-23 | 多値情報再生方法及び装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2007226896A (ja) |
-
2006
- 2006-02-23 JP JP2006046838A patent/JP2007226896A/ja not_active Withdrawn
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