JP2007224022A - 22−オキサ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD3を含有する水中油型乳剤性ローション剤 - Google Patents

22−オキサ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD3を含有する水中油型乳剤性ローション剤 Download PDF

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Abstract

【課題】マキサカルシトールの優れた経皮吸収性を有し、マキサカルシトールが化学的に安定に存在でき、しかも頭部に塗布しても液だれの問題が少ないローション剤の提供。
【解決手段】22−オキサ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD、中鎖脂肪酸トリグ
リセリド、非イオン性界面活性剤、および水溶性増粘剤を含んでなる塩基性の水中油型乳剤性ローション剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚外用剤として有用な22−オキサ−1α,25−ジヒドロキシビタミン
(以下、マキサカルシトールまたはOCTという)を含む水中油型乳剤性ローション剤に関する。より詳しくは、本発明は、マキサカルシトールの経皮吸収性に優れ、しかもマキサカルシトールの化学的安定性を向上させるためにその液性を塩基性にしても依然として皮膚刺激性が少ない水中油型乳剤性ローション剤に関する。
マキサカルシトールは、皮膚表皮細胞増殖抑制作用及び分化誘導作用等を有するので、乾癬治療剤などとして広く使用されており、我が国において医療現場から高い評価を受けている。
マキサカルシトールは化学的に不安定であり、特に水溶液においては速やかに分解することが知られていることから、油性基剤である軟膏剤が、マキサカルシトールの化学的安定性を確保でき、経皮吸収性に優れ、かつ体幹部に塗布しやすい剤形であるとされてきた。
しかし、乾癬は体幹部に限らず頭部等の有毛部にも発症しやすいため、マキサカルシトールを油性基剤の軟膏剤として使用したのでは軟膏が有毛部の毛髪に付着し易いことから、患部である皮膚に充分な量のマキサカルシトールを塗布しにくいという欠点がある。このため、マキサカルシトールを、有毛部の皮膚に到達し易い形態の製剤にすることが要請されている。そのような製剤としてローション剤が挙げられる。しかし、ローション剤では一般に軟膏剤よりも経皮吸収性が劣り、しかも、上記のように、マキサカルシトールは水中で化学的に不安定なので、精製水を配合する必要のあるローション剤を調製するには克服すべき問題が多い。また、一般的に、溶液性ローション剤は軟膏剤と比較して塗布しやすいが、頭部に塗布したときは垂れて目に入りやすい。
WO99/29325(特許文献1)は、マキサカルシトール及びエーテル型界面活性剤を含む溶液性のローション剤を提案している。このローション剤は、マキサカルシトールが化学的に安定に存在できるように成分の調整がなされているが、更なる経皮吸収性の向上への期待もある。
垂れて目に入りやすいという問題のないローション剤として、WO99/44617(特許文献2)は、マキサカルシトールと同じ活性型ビタミンD誘導体であるタカルシトール(1α,24−ジヒドロキシビタミンD)を有効成分とし、白色ワセリンと0.2〜1.0%の高級アルコールとからなる固形油分、スクワランからなる液状油分;イオン性多糖類からなる水相成分;並びにHLB値が10以上である非イオン性界面活性剤からなる水中油型乳剤性ローション剤を提案している。この水中油型乳剤性ローション剤では、タカルシトールが長期間安定であったので、タカルシトールの代わりにマキサカルシトールを有効成分として用いても同じように長期間化学的に安定であると期待された。しかし、マキサカルシトールを用いた実験では期待した化学的安定性が得られなかった。また、依然としてマキサカルシトールの経皮吸収性も悪かった。
マキサカルシトールの水性注射剤中での化学的安定性に関し、WO02/017932(特許文献3)は、液性をpH8.0付近の塩基性にすると中性より化学的に安定になることを記載している。しかし、外気に曝される機会の多いローション剤では、液性を塩基性にすることによるこの程度の安定化は不充分であり、また、塩基性にするとその製剤が皮膚に対して非常に刺激性になるという問題もある(特許文献1)。
従って、マキサカルシトールの経皮吸収性に優れ、マキサカルシトールが化学的に充分安定で、皮膚刺激性の問題も生じず、しかも頭部に塗布しても液だれの問題が少ないローション剤の開発が望まれる。
WO99/29325 WO99/44617 WO02/017932
本発明は、マキサカルシトールの優れた経皮吸収性を有し、マキサカルシトールが化学的に充分安定に存在でき、皮膚刺激性の問題も生じず、しかも頭部に塗布しても液だれの問題が少ないローション剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、マキサカルシトールを含有する水中油型乳剤性ローション剤の組成を鋭意研究した結果、中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合し、かつその液性を塩基性にすることにより、液だれが少ないという水中油型乳剤性ローション剤の利点を維持したまま、優れたマキサカルシトールの経皮吸収性を有し、マキサカルシトールが化学的に充分安定に存在でき、しかも塩基性であるにも関わらず皮膚刺激が少ないローション剤を得ることに成功した。
すなわち、本発明は、マキサカルシトール、中鎖脂肪酸トリグリセリド、非イオン性界面活性剤、および水溶性増粘剤を含んでなる塩基性の水中油型乳剤性ローション剤を提供する。
本発明の一態様では、本ローション剤は、さらに水溶性多価アルコールを含有する。
本発明では、ローション剤の液性を有機アミンにより塩基性にすることによりマキサカルシトールの化学的安定性を向上させた結果、皮膚刺激の原因となりやすいパラベン類などの保存剤を添加しないで済むので、安全性の向上も達成されている。
有効成分として含まれるマキサカルシトールは公知の化合物であるので、例えば、特開昭61−267550に記載の方法により合成することができる。本発明のローション剤中に含有されるマキサカルシトールの量は適用される皮膚疾患に治療上有効な量であればいずれでもよいが、通常、ローション剤全体の重量を基準として1〜200μg/g、好ましくは2〜100μg/g、より好ましくは5〜50μg/gである。
本発明のローション剤の油相部分は、マキサカルシトール、中鎖脂肪酸トリグリセリド、非イオン性界面活性剤、および油性基剤から構成される。
中鎖脂肪酸トリグリセリドは、マキサカルシトールの溶解剤として本発明のローション剤の油相部分に含有され、本発明のマキサカルシトールの経皮吸収性向上に大きく寄与する。本発明者らは、これは、中鎖脂肪酸トリグリセリドがマキサカルシトールをローション剤中で溶液状態で存在させるからであると考える。しかし、中鎖脂肪酸トリグリセリドの量を多くするとマキサカルシトールの経皮吸収性が低下する傾向があるので、経皮吸収性を高めるためにはその量を相対的に低下させることが望ましい。一方、中鎖脂肪酸トリグリセリドは、本発明のローション剤の油相部分を形成するという役割があるので、その量をあまりに少なくすると本発明のローション剤を乳剤性にできないという問題もある。こうしたことから、その配合量は、本発明のローション剤全体の重量を基準として、0.5〜25重量%、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%である。本発明でいう中鎖脂肪酸トリグリセリドは、主として、式CH3(CH3)nCOOH(n=4〜12)で表される飽和脂肪酸のトリグリセリドからなる。中鎖脂肪酸トリグリセリドの具体例として、ODO(登録商標)(日新オイリオ)、ココナード(登録商標)(花王)、サンファット(登録商標)MCT−6(太陽化学)、デリオス(登録商標)、ミリトール(登録商標)318(コグニスジャパン)、パナセート(登録商標)(日本油脂)、ミグリオール(登録商標)810、ミグリオール(登録商標)812(ミツバ貿易)、および薬添規パナセート(登録商標)(油化産業)を挙げることができる。
なお、マキサカルシトールが、これら溶解剤に溶解しにくいときは溶解補助剤に溶解させた後に、溶解剤に溶解させてもよい。溶解補助剤としては例えば、低級アルコールを用いることができ、好ましくは無水エタノールまたはイソプロパノールを、より好ましくは無水エタノールを用いることができる。溶解補助剤は、乳化安定性に悪影響を及ぼす因子であるので、配合量は、少量、すなわち、マキサカルシトールを溶解することができる最低限の量とすることが好ましい。その配合量は、本発明のローション剤全体の重量を基準として、0.001〜0.1重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%である。
非イオン性界面活性剤は、7〜15、好ましくは8〜11のHLB値を有するものが好ましい。非イオン性であればその構造は限定されないが、エステル型が好ましい。例えば、HLB値が8〜11のエステル型非イオン性界面活性剤としては、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(5)グリセリン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(15)グリセリン等のモノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(10)グリコール、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、モノミリスチン酸ヘキサグリセリン、モノラウリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(30)ソルビットが挙げられ、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(5)グリセリンが好ましい。これらを1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
非イオン性界面活性剤の配合量は、マキサカルシトールの経皮吸収性に影響し、配合量を低下させると経皮吸収性が高まる傾向がある。但し、低下させ過ぎた場合には乳化が不可能となる。よって、その配合量は、本発明のローション剤全体の重量を基準として0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜2.5重量%、より好ましくは0.05〜1重量%である。
油性基剤は、一般に皮膚外用剤または皮膚化粧料として用いられる基剤であれば特に限定されず、例えば、ワセリン、パラフィン、サラシミツロウ、ゲル化炭化水素、カルナバワックス、セレシンワックス、ステアリン酸、モノステアリン酸バチル、ベヘニン酸、ベヘニルアルコールが挙げられ、モノステアリン酸バチルが好ましい。その配合量は、本発明のローション剤全体の重量を基準として0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜2.5重量%、より好ましくは0.05〜0.5重量%である。
本発明のローション剤の水相部分は、水、水溶性増粘剤、およびpH調整剤から構成される。
本発明のローション剤は、乳剤性であることに加えて、水溶性増粘剤を用いることにより、液だれの問題が生じない適度な粘度に調節される。水溶性増粘剤としては、水溶性高分子が挙げられ、例えば、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられ、塗布時の使用感よりカルボキシビニルポリマーが好ましい。カルボキシビニルポリマーの具体例としては、AQUPEC(登録商標)(住友精化)、カーボポール(登録商標)980、カーボポール(登録商標)981(BF Goodrich, CBC, 日光ケミカルズ)、ジュンロン(登録商標)(日本純薬)、およびハイビスワコー(登録商標)(和光純薬工業)を挙げることができる。液だれを防止するためには水溶性増粘剤の配合量を高めることが有効であるが、べたつきによる使用感の低下、マキサカルシトールの経皮吸収性の低下等の問題が生じるため配合量には留意が必要である。水溶性増粘剤の配合量は、本発明のローション剤全体の重量を基準として0.05〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%、より好ましくは0.1〜0.3重量%になるような量である。
pH調整剤としては、有機アミンが挙げられ、好ましくはC1〜C6のモノ、ジまたはトリアルカノールアミンが挙げられ、例えば、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミンが挙げられ、ジイソプロパノールアミンが好ましい。
本発明のローション剤は、その液性を塩基性にすることにより有効成分であるマキサカルシトールが安定化される。その塩基性の程度は、pH=8〜11、好ましくはpH=8.5〜11、より好ましくはpH=9〜10.5である。上記の通り、WO02/017932(特許文献3)は、水溶液の液性を塩基性にするとマキサカルシトールが化学的に安定になることを記載している。しかし、その開示によれば、マキサカルシトールが塩基性で最も安定になるのはpH8.0付近であり、本発明のローション剤で、そうしたpHを大幅に越えても充分な化学安定性が得られたことは上記先行技術文献から意外なことであった。こうしたpH値に調節するには、上記のpH調整剤を用いることができる。なお、pHが11より大きくなると、通常皮膚刺激性が生じると考えられる。
本発明において、マキサカルシトールが“安定”であるとは、50℃で12週間保存した後のローション剤中のマキサカルシトールの残存率が90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上であることをいう。または、25℃、60%RHで24ヶ月保存した後のマキサカルシトールの残存率が95%以上、好ましくは99%以上であることをいう。
本発明のローション剤の水相部分は、さらに水溶性多価アルコールも含有することができる。水溶性多価アルコールは、分子内に水酸基を2個以上有するものであり、一般に皮膚外用剤または皮膚化粧料として用いられるものであれば特に限定されず、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール300〜1500、また、ソルビトール、キシリトール、マンニットが挙げられ、プロピレングリコールまたは1,3−ブチレングリコールが好ましく、1,3−ブチレングリコールがより好ましい。マキサカルシトールの経皮吸収性は、水溶性多価アルコールの配合量にも影響を受け、その配合量を増やすと経皮吸収性は向上するが、増やしすぎるとべたつきが生じ、使用感が低下する。よって、これらを1種または2種以上の組合せで用いることができるが、その配合量は、本発明のローション剤全体の重量を基準として5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%である。
好ましい態様では、本発明のローション剤は、ローション剤全体の重量を基準として2〜100μg/gのマキサカルシトール、1〜20重量%の中鎖脂肪酸トリグリセリド、0.01〜2.5重量%の8〜11のHLB値を有するエステル型非イオン性界面活性剤、0.1〜0.5重量%のカルボキシビニルポリマー、10〜30重量%のプロピレングリコールまたは1,3−ブチレングリコール、およびpH=8.5〜11となるような量のジイソプロパノールアミンを含んでなる。
より好ましい態様では、本発明のローション剤は、ローション剤の重量を基準として5〜50μg/gのマキサカルシトール、1〜10重量%の中鎖脂肪酸トリグリセリド、0.05〜1重量%のモノステアリン酸ポリオキシエチレン(5)グリセリン、0.1〜0.3重量%のカルボキシビニルポリマー、15〜25重量%の1,3−ブチレングリコール、およびpH=9〜10.5となるような量のジイソプロパノールアミンを含んでなる。
本発明の水中油型乳剤性ローション剤は、上記のように、保存剤を添加しなくても保存効力を有するが、必要に応じてパラベン類等の保存剤を添加してもよい。さらに、L-アルギニン、L−ヒスチジン、セチル硫酸ナトリウム、N−アシル−L−グルタミン酸ナトリウム等の界面活性剤の助剤、DL−α−トコフェロール、クエン酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン等の安定化剤も配合することができる。界面活性剤の助剤を配合するときは、その量は微量であることが好ましい。微量とは、本発明のローション剤全体の重量を基準として、0.0001〜0.1重量%、好ましくは0.001〜0.1重量%である。安定化剤を配合するときは、その量は、本発明のローション剤全体の重量を基準として、0.01〜0.5重量%、好ましくは0.05〜0.2重量%、より好ましくは0.1〜0.2重量%である。また必要に応じて、色素、香料、顔料、紫外線吸収剤等を適宜配合することができる。
本発明の水中油型乳剤性ローション剤は、第14改訂日本薬局方製剤総則に規定されたローション剤のことである。
本発明の水中油型乳剤性ローション剤の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、所定量のマキサカルシトールを、所定量のエタノールなどの溶解補助剤に溶解する。これとは別に、所定量の非イオン性界面活性剤を油性基剤成分である中鎖トリグリセリドに溶解する。つぎに、これらの溶液を混合した混合液に所定量の多価アルコール、水溶性増粘剤、pH調整剤などを精製水に添加混合して、最後に前記と同じ油性基剤成分で全量調製し、水中油型乳剤性ローション剤を得ることができる。
本発明の水中油型乳剤性ローション剤は、例えば、尋常性乾癬、魚鱗癬群、および掌蹠角化症などの皮膚疾患の治療に用いることができる。投与量は、疾患の程度などにより異なるが、例えば、マキサカルシトールを1〜200μg/g、好ましくは2〜100μg/g、さらに好ましくは5〜50μg/g含有する水中油型乳剤性ローション剤を、1週間に1回〜1日に10回、好ましくは2日に1回〜1日に4回の頻度で投与するのが好ましい。
本発明により、皮膚外用剤として有用なマキサカルシトールの化学安定性が高く、しかも経皮吸収性が優れ、さらには液だれの問題が少ないローション剤が提供される。
以下に実施例及び試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
[実施例1〜5]
9.5のHLBを有するモノステアリン酸(5)ポリオキシエチレングリセリン、モノステアリン酸バチル、ジブチルヒドロキシトルエン、及び中鎖脂肪酸トリグリセリド(ミグリオール810)を以下の表1に記載した割合で秤量し加温溶融させた後、その溶融物にマキサカルシトールの無水エタノール溶液を加えて油相を調製した。一方、表1に記載した割合の1,3−ブチレングリコール、L−アルギニン、及びジイソプロパノールアミンを適量の精製水に溶解させて水相1を調製した。これとは別にカルボキシビニルポリマー(カーボポール981)を適量の精製水に溶解させて水相2を製した。60℃に加温した水相1に80℃に加温した油相、60℃に加温した水相2を順次加え、さらに撹拌を行い、表1に示したpHを有する水中油型乳剤性ローション剤を得た。これらpH値は、堀場製作所製のpHメーターを用いてローション剤の液性を直接測定したものである。以下においても同様に測定した。
[実施例6〜11]
実施例5のモノステアリン酸ポリオキシエチレン(5)グリセリンを以下の表2に示したエステル型非イオン性界面活性剤に変更した以外は実施例5と同じようにして水中油型乳剤性ローション剤を調製した。
[比較例1]
WO99/44617に開示されている方法にしたがって以下の表4に示した処方でマキサカルシトール含有水中油型乳剤性ローション剤を得た。なお、マキサカルシトールはこれらの基剤のいずれにも溶解しなかったので、無水エタノールに溶解させて用いた。
[実施例12及び比較例2]
表1における実施例5の配合において、ジイソプロパノールアミンの量を以下の表4に示した通りに変更することにより、製剤のpHを中性付近から塩基性にした。
[実施例13〜18]
実施例4のローション剤のジイソプロパノールアミンの配合量を以下の表6に記載した通りに変更した以外は、実施例4と同じようにしてローション剤を調製した。
[比較例3〜6]
以下の市販のローション剤4製剤:
ボンアルファ(登録商標)ローション2μg/g;タカルシトール0.0002%含有ローション剤(帝人ファーマ社製)(比較例3);
リンデロン(登録商標)−VGローション;吉草酸ベタメタゾン1.2mg・硫酸ゲンタマイシン1mg含有ローション剤(塩野義製薬社製)(比較例4);
リドメックス(登録商標)コーワローション;吉草酸酢酸プレドニゾロン0.3%含有ローション剤(興和社製)(比較例5);及び
デルモベート(登録商標)スカルプ;プロピオン酸クロベタゾール0.05%含有ローション剤(グラクソ・スミスクライン社製)(比較例6)。
[試験例1] 皮膚透過性試験
実施例1〜5および比較例1の製剤について、皮膚透過性試験を行った。頚背部を剃毛したヘアレスマウスに麻酔下でプラスチック製の枠(4cm)を固定した。枠内に試料20mgを経皮投与した後、枠を粘着性包帯で固定した。1時間後及び4時間経過後に、麻酔下で70%エタノールを浸したカット綿により投与部の皮膚表面を拭き取った。マウスを放血死させた後、投与部の皮膚を採取した。採取した皮膚をメタノール中でホモジナイズした後、液相を採取した。液相を乾固後、エーテル及び水を添加した。エーテル層を分取して、乾固した後に、エタノールに再溶解させて、試料溶液とした。これを逆相高速液体クロマトグラフ法(カラム;Inertsil ODS-3(GL Science製)、検出波長;265nm、移動相;50mM酢酸アンモニウム水溶液:アセトニトリル=60:40)で測定し、投与量に対する皮膚中マキサカルシトール量の割合を算出した。
結果を表1および表4に示した。「皮膚中OCT濃度」で表される項目が皮膚透過性の試験結果である。この値が大きいほど経皮吸収性が高い。中鎖脂肪酸トリグリセリド(ミグリオール810)が配合された実施例1〜5は、高いマキサカルシトールの経皮吸収性を示している。
[試験例2] マキサカルシトール安定性試験1
実施例3〜12および比較例1〜2の製剤について、加速条件下でのマキサカルシトール安定性試験を行った。
試料を40℃・75%RHに設定した恒温恒湿器、および50℃恒温器に一定期間保管したときのマキサカルシトール含量を測定した。マキサカルシトール含量の測定方法は、各試料約1gに硝酸銀溶液、内標準溶液及びエタノールを加えて撹拌した。さらに、塩化ナトリウム溶液を加えた後、遠心分離して得られた上澄みの一部を試料溶液とした。これを逆相高速液体クロマトグラフ法(カラム;YMC-Pack A-303(YMC製)、検出波長;265nm、移動相;水:アセトニトリル:テトラヒドロフラン混液=7:4:1)により各試料中に含まれるマキサカルシトール量を測定し、初期値に対するマキサカルシトール残存率(%)を求めた。
[試験例3] マキサカルシトールの安定性試験2
実施例4の製剤について、長期安定性試験条件下におけるマキサカルシトールの安定性試験を行った。
試料を25℃・60%RHに設定した恒温恒湿器に一定期間保管したときのマキサカルシトール含量を測定した。マキサカルシトール含量の測定方法は、試験例2と同様にして行った。結果を表2に示した。
試験例2および3の結果を表1〜5にOCT残存率として示した。それら結果から、本発明の各製剤中のマキサカルシトールはいずれも、pH8.5を越えても安定であることがわかる。なお、表4の比較例1は、タカルシトールでは化学的安定性に優れている処方をマキサカルシトールに適用したものであるが、マキサカルシトールでは化学的安定性が悪いことがわかる。また、表5から、本発明の水中油型乳剤性ローション剤においては、中性付近ではマキサカルシトールの含量低下が認められたが、塩基性では安定であることがわかる。
[試験例4] 粘度および流動性試験
実施例4および比較例3〜6のローション剤について、以下の方法で、粘度試験および流動性試験を行った。
粘度試験:B型粘度計(B8H、ローター:HH−12、測定温度25℃)を用いて粘度を測定した。
流動性試験1:45°の角度に傾けたスライドグラスに各試料0.5mLを滴下し、50mm移動するのにかかる時間を測定した。
流動性試験2:垂直に立てた性状観察用のプラスチック板(長さ300mm)に各試料0.5mLを滴下し、30秒間に移動した距離を測定した。
結果を表6に示した。これら結果から、実施例4のローション剤は、比較例3〜6のローション剤に比べて,粘度が高く,たれにくい(流動性が小さい)ことが分かる。
[試験例5] 刺激性試験(ウサギ眼粘膜一次刺激性試験)
固定したウサギの片目に実施例4の製剤0.1mlを点眼し、点眼後、1,3,24,48及び72時間後に評価した(非洗眼)。また、製剤投与30秒後に1分間微温湯で洗顔した群についても同様にして評価した。評価はDraize(Draize,J.H., Appraisal of the safety of chemical in foods, drugs and cosmetics, Association of Food and Drug Officials of the United State, 49-51,1959)の判定基準に従って判定し、Kay-Calandra(Kay,J.H. and Valandra,J.C., Interpretation of eye irritation tests, J Soc. Cosm. Chem., 281-289, 1962)の分類に従って評価した。
結果を表7に示した。その結果、非洗眼では無刺激、洗眼ではほとんど無刺激との評価であった。
[試験例6] 保存効力試験
実施例4及び実施例13〜18のローション剤について、第14改訂日本薬局方の参考情報:保存効力試験の項(カテゴリーIB)に準拠して保存効力試験を行った。すなわち、S. aureus(細菌)及びA. niger(真菌)を局方記載の方法で培養し、接種菌液とした。各製剤に接種菌液を均等に混合した後、S. aureusについては30〜35℃,A. nigerについては20〜25℃の条件下に2週間保管した。接種菌液及び2週間後の製剤中の菌数はカンテン平板混釈法により測定して、製剤への接種菌数及び2週間後製剤中の菌数を算出した。S.aureusに関しては、2週間後の菌数が接種菌数に比べて1%以下に減少した場合を、A. nigerに関しては接種菌数と同レベル若しくはそれ以下であった場合を、当該製剤の保存効力があると判定した。
S. aureus及びA. nigerに対する保存効力試験結果を表8に示した。S. aureus及びA. nigerに対して試験したいずれのpHにおいても保存効力性が有ると判断された。ジイソプロパノールアミンの適量を配合して塩基性に調整した本発明の水中油型乳剤性ローション剤は、パラベン類などの刺激性の高い保存剤を配合しなくても、充分な保存効力のある製剤であることが分かる。
Figure 2007224022
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Claims (6)

  1. 22−オキサ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD、中鎖脂肪酸トリグリセリド、非イオン性界面活性剤、および水溶性増粘剤を含んでなる塩基性の水中油型乳剤性ローション剤。
  2. 中鎖脂肪酸トリグリセリドの割合が、該ローション剤全体の重量を基準として0.5〜25重量%である請求項1に記載のローション剤。
  3. 塩基性がpH8〜11である請求項1または2に記載のローション剤。
  4. 非イオン性界面活性剤が8〜11のHLB値を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のローション剤。
  5. 有機アミンの添加によって塩基性にされる請求項1〜4のいずれか1項に記載のローション剤。
  6. さらに水溶性多価アルコールを含んでなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のローション剤。
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