JP2007223508A - ステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】操作部材と転舵機構との間で伝達される操舵トルクを検出し得る実用的なステアリング装置を得る。
【解決手段】ステアリング装置10にトルク検出用ギヤ配設ユニット24を設ける。ギヤ配設ユニット24は、3つの歯車60等によってステアリングシャフト30から転舵側シャフト52に操舵トルクを伝達する。そして、中間歯車62は、操舵トルクの大きさに応じて回動変位可能にされており、その中間歯車62の変位を回転規制機構90によって弾性的に規制する。また、回転規制機構90内には変位センサ92が配設されており、その変位センサ92によって中間歯車62の変位を検出することにより、操舵トルクが取得される。本ステアリング装置10によれば、操舵トルクを中間歯車62の変位力として検出でき、操舵トルクを比較的容易に取得することができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、操作部材と転舵機構との間で伝達される操舵力を検出し得るステアリング装置に関する。
ステアリング装置は、ステアリングホイール等の操作部材による操舵操作を可能とし、その操作部材に入力された操舵力を転舵機構に伝達して車輪を転舵するものである。下記特許文献1,2には、シャフトおよび歯車によって操舵力を伝達する機構を備えたステアリング装置が記載されている。ところで、一般的な車両には、操舵をアシストする装置、いわゆるパワーステアリング装置が設けられ、運転者が容易に操舵操作を行うことができるようにされている。そういった場合には、操舵力が検出されるとともに、検出された操舵力に応じたアシスト力がパワーステアリング装置によって出力される。そのアシスト力を決定する際の操舵力は、例えば、操作部材に連結された入力軸と転舵機構に連結された出力軸とを連結するトーションバーの捩れ量に基づいて検出されることが多い。また、例えば、下記特許文献3に記載された技術のように、同一軸線上に配設された入力軸と出力軸とが係合する部分に圧力検出素子を配設し、その圧力検出素子が受ける荷重に基づいて検出することができる。
特開昭63−301171号公報 特開平10−217983号公報 特開平09−240496号公報
しかしながら、上記特許文献1,2に記載の技術では、ステアリングのギヤ比を変更するため、あるいは、転舵機構のピニオンシャフトの回転方向を変えるために歯車の伝達機構が設けられており、操舵力の検出がなされていない。また、トーションバーを用いて操舵力を検出する技術では、比較的長いトーションバーを配設するスペースを確保しなければならないという問題がある。さらにまた、上記特許文献3に記載の技術、あるいは、トーションバーを用いる技術では、入力軸と出力軸とを同一軸線上に配設しなければならないという制限がある。そのような問題は、従来のステアリング装置の実用性を向上させる上で障害となり得る問題の一例であり、ステアリング装置には種々の観点からの改良の余地がある。すなわち、従来のステアリング装置に改良を施すことによって当該装置の配設に関して制限が少ない等、実用性を向上させることが可能である。本発明は、そういった実情を鑑みてなされたものであり、より実用的なステアリング装置を得ることを課題としてなされたものである。
上記課題を解決するために、本発明のステアリング装置は、操作部材になされた操舵操作に応じて回転させられる入力軸と、車輪を転舵する転舵機構に操舵力を伝達するための出力軸との間で、操舵力を伝達する2つの回転体を含んで構成された操舵力伝達機構を備え、その操舵力伝達機構によって操舵力が伝達される際に2つの回転体の相互作用に起因して生じる力であって、2つの回転体をそれらの回転軸線と交差する方向に互いに逆向きに変位させようとする力である変位力を検出することを特徴とする。
本発明のステアリング装置によれば、操舵力伝達時に、第1,第2回転体を変位させようとする変位力に基づいて比較的容易に操舵力を取得することが可能になる。また、本発明のステアリング装置は、入力軸と出力軸とを同一軸線上に配置する必要はなく、設計仕様や配設スペースに応じて入力軸と出力軸との相対位置を調節することができる。すなわち、本発明によれば、実用性の高いステアリング装置が得られるのである。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から一部の構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に、(7)項が請求項2に、(8)項が請求項3に、(10)項と(14)項とを合わせたものが請求項4に、(5)項が請求項5に、(17)項が請求項6に、それぞれ相当する。
(1)操舵操作がなされる操作部材と、
その操作部材と連結されて操舵操作に応じて回転させられる入力軸と、
車輪を転舵する転舵機構に操舵力を伝達するための出力軸と、
(a)前記入力軸によって回転させられる第1回転体と、(b)前記第1回転体から操舵力が伝達されてその第1回転体の回転軸線と異なる軸線回りに回転させられるとともに前記出力軸を回転させる第2回転体とを含んで構成され、前記入力軸と前記出力軸との間で操舵力を伝達する操舵力伝達機構と、
操舵力が伝達される際に前記第1回転体と前記第2回転体との相互作用に起因して生じる力であって、操舵力に応じて前記第1回転体と前記第2回転体とをそれらの回転軸線と交差する方向に互いに逆向きに変位させようとする力である変位力を検出する変位力検出器と
を備えたことを特徴とするステアリング装置。
本項に記載の態様は、操作部材に連結された入力軸と、転舵機構に連結された出力軸との間で第1,第2回転体(以後、単に「回転体」と記載する場合がある)を介して操舵力を伝達するとともに、操舵力を検出することを可能とするものである。回転体(例えば、歯車,ローラ等)を介して回転を伝達する際には、例えば、2つの回転体が互いに接触あるいは係合してトルクを伝達する部分において、それら2つの回転体のうちのトルクを伝達するものが伝達されるものを接線方向に押す作用と、伝達されるものが伝達するものを押し返す反作用とが生じる。その作用・反作用によって、つまり、相互作用によって、例えば、2つの回転体を回転軸線と交差する方向に相対的に変位させようとする力である「変位力」が生じるのである。
なお、本項において、2つの回転体に着目しているが、例えば、操舵力伝達機構を、第1,第2回転体以外に1以上の回転体を備えるものとすることができる。その場合には、例えば、3以上の回転体のうちの任意の回転体の変位力を検出することが可能である。また、例えば、それら3以上の回転体のうちの互いに隣接する任意の2つの回転体のうち、入力軸側のものを第1回転体とし、出力軸側のものを第2回転体とすることができる。なお、3以上の回転体のうちの2つの回転体に挟まれた1つの回転体は、それを挟む2つの回転体の各々と相互作用する。その2つの回転体のうちの一方との相互作用によって生じる力と、他方との相互作用によって生じる力とは、回転軸線と直角に交差する方向において、互いに同じ向きで同じ大きさになる。そのため、1つの回転体が2つの回転体の各々と相互作用する場合であっても変位力が生じ、その変位力を検出することによって操舵力を取得することができる。
上述の相互作用に起因する変位力は、操舵力に応じた大きさとなるため、例えば、荷重センサ,歪みセンサ,変位センサ等のセンサを用いて変位力を検出すれば、操舵力を取得することが可能となる。具体的には、例えば、本項の操舵力伝達機構が回転体を支持する支持軸を備える場合には、その支持軸のたわみ量をストレンゲージによって検出することができ、そのたわみ量に基づいて変位力を検出することができる。また、例えば、支持軸を変位可能に支持し、その支持軸の変位を規制するために必要な力の大きさを荷重センサ等によって検出することにより、変位力を検出することができる。さらにまた、支持軸の変位を弾性的に規制し、支持軸の変位量に基づいて変位力を検出することもできる。
本項のステアリング装置によれば、回転体に加わる回転軸線と交差する方向の変位力に基づいて比較的容易に操舵力を取得することが可能になる。また、本項のステアリング装置は、入力軸と出力軸とを同一軸線上に配置することが不可欠ではなく、さらに、入力軸と出力軸とを互いに交差(立体的交差も含む)するように配置することも可能であるため、設計仕様や配設スペースに応じて入力軸と出力軸との相対位置を調節することができる。さらにまた、本項のステアリング装置は、後述するように、例えば、ステアリングコラム、あるいは転舵機構を備えた転舵装置に設けることができ、配設場所に関しても制限が少ないものとされている。すなわち、本項に記載の態様によれば、実用性の高いステアリング装置が得られるのである。
第1,第2回転体は、例えば、歯車,ローラ等とすることができる。歯車の態様は、円筒形歯車,円板形歯車に限られず、例えば、カサ歯車,ハイポイドギヤ等のカサ状歯車等とすることができる。また、歯車の歯の態様は、例えば、平歯車、はすば歯車、やまば歯車等のものとすることができる。ローラは、例えば、樹脂製、ゴム製、金属製のものとすることができ、伝達される操舵力が比較的小さい場合に適している。また、ローラの形状は、例えば、円筒状、円錐状、球状等、種々の形状とすることができる。なお、2つの回転体の各々が、はすば歯車にされた場合には、「歯車を回転軸線と直角に交差する方向に変位させる力」と「歯車を回転軸線方向に変位させる力」との合力、すなわち、「歯車を回転軸線と交差する方向に変位させる力」が生じる。その場合には、例えば、回転軸線と直角に交差する方向に変位させる力と、歯車を回転軸線方向に変位させる力とのいずれかを検出することによっても操舵力を取得することが可能である。
変位力検出器は、例えば、圧電素子,ストレンゲージ等を用いた荷重センサや歪みセンサ、抵抗電極,リニアエンコーダ等を用いた変位センサ等を含んで構成することができる。なお、操舵方向によって回転体に生じる変位力の向きが変わる場合には、2つの変位力検出器を設けてもよい。
操舵力を取得することができれば、後述するように、例えば、車両が操舵操作を助勢する装置、いわゆるパワーステアリング装置を有している場合には、その助勢する力の強さを操舵力に基づいて決定することができる。すなわち、本項に記載のステアリング装置は、パワーステアリング装置を有する車両に好適である。
(2)前記第1回転体が前記入力軸に、前記第2回転体が前記出力軸に、それぞれ同軸的に固定された(1)項に記載のステアリング装置。
本項に記載の態様は、第1,第2回転体が、それぞれ入力軸,出力軸と一体的に回転させられる態様であり、構成を比較的シンプルにすることができる。本項に記載の態様では、例えば、入力軸または出力軸を変位させる力を検出することによって、操舵力を取得することができる。
(3)前記操舵力伝達機構が、前記出力軸に同軸的に固定された第3回転体を備え、
前記第1回転体が前記入力軸に同軸的に固定されるとともに、前記第1回転体と前記第3回転体との間に前記第2回転体が配設されて、前記第2回転体から前記第3回転体に操舵力が伝達されるように構成された(1)項に記載のステアリング装置。
(4)前記操舵力伝達機構が、前記入力軸に同軸的に固定される第3回転体を備え、
前記第2回転体が前記出力軸に同軸的に固定されるとともに、前記第2回転体と前記第3回転体との間に前記第1回転体が配設されて、前記第3回転体から前記第1回転体に操舵力が伝達されるように構成された(1)項に記載のステアリング装置。
上記2つの態様について説明する。上記2つの態様では、操舵力伝達機構が第1,第2回転体を含む3つの回転体を備えたものとされている。そして、3つの回転体が並べられ、入力軸に固定された回転体から、中間に挟まれた回転体、出力軸に固定された回転体へと順に操舵力が伝達される。3つの回転体のうち、任意の1つの回転体の変位力を検出することにより、操舵力を取得することが可能である。なお、中間に位置する回転体は、2つの回転体と相互作用することから、それに生じる変位力が大きくなると考えられ、変位力を検出することが比較的容易である。
(5)前記入力軸と前記出力軸とが、それらの各々の軸線が互いに平行になるように配設された(1)項ないし(4)項のいずれかに記載のステアリング装置。
(6)前記入力軸と前記出力軸とが、それらの各々の軸線が互いに交差するように配設された(1)項ないし(4)項のいずれかに記載のステアリング装置。
上記2つの態様について説明する。前述したように、入力軸と出力軸とを同一軸線上に配置することは不可欠ではない。そして、上記2つの態様のように、入力軸と出力軸とを同一軸線上に配置しない場合には、例えば、前方衝突時等に、転舵機構から出力軸に車両後方へ向かう衝撃が加わったとしても、その衝撃が入力軸に伝わりにくい構成にすることができ、衝撃が入力軸に伝わりにくくされている場合には車両の安全性が向上する。また、トーションバーを用いた操舵力の検出装置と比較して、軸線方向の長さを短くすることができる。その場合には、例えば、衝突時の衝撃吸収装置のストロークを伸ばす等により、安全性を向上させることができる場合が多い。さらにまた、入力軸と出力軸とを互いに交差(立体的交差を含む)させた場合には、例えば、操作部材と転舵機構との間のユニバーサルジョイントの数を減らすことが可能になる。そして、ジョイントの数を減らした場合には、例えば、操舵力の変動を抑制することができる。
(7)前記操舵力伝達機構が、
前記第1回転体と前記第2回転体との一方を、回転可能に支持するとともに、前記変位力によって設定方向に前記第1回転体と第2回転体との一方と一体的に変位可能にされた支持変位体と、
前記支持変位体が前記設定方向に変位することを規制する変位規制機構とを備えるとともに、
前記変位力検出器が、前記変位規制機構が前記支持変位体の変位を規制する力に基づいて前記変位力を検出するように構成された(1)項ないし(6)項のいずれかに記載のステアリング装置。
本項の操舵力伝達機構は、第1回転体と第2回転体との一方を支持する支持変位体が設定方向に変位することが許容されているため、容易に変位力を検出することができる。例えば、支持変位体の変位を荷重センサを介して規制することによって変位力を検出する際に、支持変位体の変位を許容することによって、変位を規制する荷重センサに比較的大きな力が加わるようにすることができる。そのため、例えば、変位力が小さい場合であっても、比較的容易に変位力を検出することができるのである。また、例えば、支持変位体の変位を弾性的に許容している場合も同様に、例えば、変位力が小さい場合であっても、比較的容易に変位力を検出することができる。なお、支持変位体の変位を弾性的に許容する場合には、操舵力伝達時の回転体の変位が小さい範囲内に止まるように弾性体のばね定数等が設定されることが望ましい。また、本項に記載の支持変位体を、例えば、第1回転体と第2回転体との一方を、回転可能に支持するとともに、変位力によって設定方向に第1回転体と第2回転体との一方と一体的に、第1回転体と第2回転体との他方に対して相対変位可能に構成することもできる。
また、回転体に生じる変位力を直接検出することは容易ではないが、本項に記載の態様によれば、回転体とともに変位可能にされた支持変位体が受ける力を検出することにより、比較的容易に変位力を検出することができる。さらにまた、支持変位体が、設定方向(例えば、回転軸線と直角に交差する方向等)に変位することが許容されており、変位力がどのような方向の力であっても、常に設定方向の成分を検出することによって変位力を検出するようにすることができる。なお、支持変位体は、例えば、直線変位が許容されていてもよいし、回動変位(回転移動による変位)が許容されていてもよい。すなわち、設定方向は、例えば、設定された直線軌道の方向、設定された円軌道の方向とすることができるのである。なお、変位力の方向と変位が許容される設定方向とのなす角度は、直角にならないようにされ、その角度は小さい方が望ましい。また、変位力と、それの設定方向の成分とが大きさが異なる場合があるが、変位力の設定方向の成分に基づいて変位力を取得することは容易であり、また、変位力の設定方向の成分に基づいて操舵力を取得することもできる。
支持変位体の設定方向の変位を変位規制機構によって規制するために必要な力(変位規制力)は、変位力の設定方向の成分に応じた大きさとなるため、その変位規制力に基づいて変位力を検出することができる。変位規制力は、例えば、後述するように、荷重センサを介して変位を規制することによって検出することができる。また、例えば、支持変位体の変位を弾性的に規制する場合には、その変位に基づいて変位規制力を検出することができる。また、例えば、変位規制機構の支持変位体の変位を規制する部材の変形の度合いを歪みセンサによって検出することによって、変位規制力を検出することができる。
すなわち、本項の態様では、回転体が設定方向に変位することを許容された状態で支持されており、その回転体を支持する支持変位体の変位を規制する力に基づいて、比較的容易に変位力を検出することができるのである。なお、本項の変位規制機構を、例えば、支持変位体の変位を比較的強固に規制することにより、その変位が極めて小さくなるようにするものとすることができる。また、支持変位体の変位を弾性的に規制することにより、ある程度の変位を許容するものとすることができる。なお、本項に記載の変位規制機構を、例えば、支持変位体の第1回転体と第2回転体との他方に対する相対変位を規制するように構成することもできる。
(8)前記支持変位体が、
前記入力軸と前記出力軸との一方に相対回転可能に支持されるとともに、前記入力軸と出力軸との一方から設定距離離間した部分において前記第1回転体と第2回転体との一方を支持することにより、前記入力軸と出力軸との一方を回転軸線とする前記第1回転体と第2回転体との一方の回動変位を前記設定方向への変位として許容するように構成された(7)項に記載のステアリング装置。
本項に記載の支持変位体は、第1回転体と第2回転体との一方を、入力軸と出力軸との一方を回転軸線として回動変位可能に支持する態様である。本項に記載の態様では、入力軸と出力軸との一方に支持変位体が相対回転可能に支持されるように構成されており、比較的容易に設定方向への変位を許容した状態で回転体を支持することができる。また、ステアリング装置を比較的シンプルにすることができる。なお、本項の態様が上記(2)項に記載の態様に掛かる場合において、支持変位体が入力軸に支持された場合には、第2回転体を「第1回転体と第2回転体との一方」とすることができ、第2回転体が入力軸を中心に回動変位可能にされる。また、支持変位体が出力軸に支持された場合には、第1回転体を「第1回転体と第2回転体との一方」とすることができ、第1回転体が出力軸を中心に回動変位可能にされる。
(9)前記変位規制機構が、
自身と前記支持変位体との間に前記変位力検出器を挟んだ状態で前記支持変位体の変位を規制する変位規制体を備えた(8)項に記載のステアリング装置。
本項の変位規制体と支持変位体との間に、変位力検出器、例えば、荷重センサを挟んだ状態で支持変位体の変位を規制することにより、比較的容易に変位力を検出することができる。
(10)前記変位規制機構が、
前記支持変位体の変位を弾性的に規制する弾性体を備えた(7)項ないし(9)項のいずれかに記載のステアリング装置。
本項に記載の態様は、弾性体を備えており、例えば、支持変位体と上記変位規制体との間に弾性体を狭持することにより、支持変位体の変位を弾性的に規制することができる。
(11)前記変位規制機構が、
前記変位規制体に設けられて、前記支持変位体が変位していない状態において、前記弾性体を予め変形させてその変形の減少を禁止するとともに、前記支持変位体の変位による前記弾性体の変形量の増加を許容する予荷重維持体とを備えた(10)項に記載のステアリング装置。
本項に記載の予荷重維持体は、支持変位体が変位していない状態で弾性体を変形させ、また、その弾性力が支持変位体に作用しないようにするものである。弾性体が予め変形させられているため、支持変位体が変位し始める初期の段階から比較的大きな弾性力によって支持変位体の変位を規制することができる。そのため、操舵力伝達時における支持変位体の変位を比較的小さくすることができる。また、操舵力が伝達される状態から伝達されない状態に移行する際に、比較的良好に支持変位体を中立位置に復帰させることができる。
(12)前記変位規制機構が、
前記変位規制体と前記支持変位体との少なくとも一方と、前記変位力検出器との間に前記弾性体を挟んだ状態で前記支持変位体の変位を規制するように構成された(10)項または(11)項に記載のステアリング装置。
例えば、路面の凹凸を通過した際のキックバック等により、変位力が急激に生じた場合に、その衝撃を弾性体によって緩和し、変位力検出器が受ける衝撃を和らげることができる。
(13)前記変位力検出器が、
前記支持変位体の変位量に基づいて前記変位力を検出するように構成された(10)項に記載のステアリング装置。
支持変位体の変位を弾性的に規制する場合には、弾性体が支持変位体の変位量に応じて変形し、その変形量に応じた弾性力を発生させる。そのため、支持変位体の変位量に基づいて弾性体の弾性力を取得することができ、その弾性力に基づいて変位力を取得することができる。すなわち、支持変位体の変位量に基づいて変位力を検出することができるのである。
(14)当該ステアリング装置が、前記支持変位体の変位を拡大する変位拡大機構を備え、
前記変位力検出器が、前記変位拡大機構によって拡大された前記支持変位体の変位に基づいて前記変位力を検出するように構成された(10)項に記載のステアリング装置。
(15)前記変位拡大機構が、
回動可能に設けられ、回動中心から径方向に設定距離離間した部分において前記支持変位体と係合させられて前記支持変位体の変位に応じて回動させられるとともに、回動中心から径方向への離間距離が前記設定距離よりも離間した部分の変位が前記変位力検出器によって検出される変位拡大部材を備えた(14)項に記載のステアリング装置。
上記2つの態様は、支持変位体の変位を拡大して検出する態様である。そのため、支持変位体の変位量が小さくとも、その変位を容易に検出することができる。すなわち、上記2つの態様によれば、変位力を検出する際に、操舵力伝達時の回転体の変位を比較的小さくすることができるのである。なお、上記2つの態様のうちの後者は、前者の態様の具体的構成を示す態様となる。
(16)前記変位規制機構が、
設定された範囲を超える前記支持変位体の変位を禁止する変位禁止体を備えた(10)項ないし(15)項のいずれかに記載のステアリング装置。
支持変位体の変位が弾性的に規制されている場合には、キックバック等によって大きな変位力が生じると、支持変位体の変位が過大になる虞がある。そこで、いわゆる「ストッパ」として、変位禁止体を設けることにより、大きな変位力が生じた場合でも、支持変位体の変位が過大になることを防止することができる。また、変位力検出器に過度な荷重が加わらないようにすることができる。また、例えば、2つの回転体の係合が不充分になり、操舵力の伝達が妨げられることを防止することができる。
(17)当該ステアリング装置が、前記変位力検出器によって検出された変位力に応じて車輪の転舵を助勢する力を発生させるモータを備え、
前記出力軸が、操舵力が伝達される被伝達部と、その被伝達部よりも前記転舵機構側に位置して前記モータによって回転駆動される被駆動部とを備えた(1)項ないし(16)項のいずれかに記載のステアリング装置。
本項に記載の態様は、車輪の転舵を助勢するパワーステアリング装置を備えている態様である。本項のモータは、例えば、電磁式モータとすることができる。また、本項の被駆動部は、例えば、ウォームホイール等の歯車とすることができる。
(18)当該ステアリング装置が、前記操作部材が取り付けられたステアリングコラムを備え、
前記操舵力伝達機構が、前記ステアリングコラムの前方部に配設されたものであり、
前記入力軸が、そのステアリングコラムのシャフトの一部を含んで構成された(1)項ないし(17)項のいずれかに記載のステアリング装置。
本項に記載の態様は、ステアリングコラムのシャフトが入力軸として機能することで、ステアリング装置を比較的シンプルにすることができる。また、転舵機構の周辺に充分な配設スペースが無い場合等に好適な態様である。
(19)当該ステアリング装置が、前記転舵機構を備える転舵装置を備え、
前記操舵力伝達機構が、前記転舵装置に配設されたものであり、
前記出力軸が、前記転舵機構に操舵力を入力する操舵力入力軸の一部を含んで構成された(1)項ないし(17)項のいずれかに記載のステアリング装置。
本項に記載の態様は、転舵機構の操舵力入力軸が出力軸として機能することで、ステアリング装置を比較的シンプルにすることができる。また、ステアリングコラムの周辺に充分な配設スペースが無い場合等に好適な態様である。
以下、請求可能発明のいくつかの実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、決して下記の実施例に限定されるものではなく、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
1. 第1実施例.<変位拡大機構>
1.1.ステアリング装置の概要.
図1に、請求可能発明の一実施例であるステアリング装置10の一部を概略的に示す。これらの図において、右側が車両後方側(運転席側)であり、左側が車両前方側である。なお、以下の説明において、車両前方側を「前方側」,車両後方側を「後方側」と呼び分けることとする。本ステアリング装置10は、後方側に操作部材たるステアリングホイール14が取り付けられたステアリングコラム20と、ステアリングコラム20を車体に支持させるコラム支持機構22と、ステアリングコラム20の前方側に設けられ、操舵トルクを検出するためのギヤが配設されて操舵トルク検出装置として機能するトルク検出用ギヤ配設ユニット24(以後、「ギヤ配設ユニット」と略記する場合がある)と、操舵操作を助勢するアシストモータ26(「駆動力源」の一種である)とを備えている。また、本ステアリング装置10は、車両前方側に配設されて前輪を転舵する転舵機構(図示省略)と連結されている。具体的には、転舵機構にギヤ配設ユニット24が、ユニバーサルジョイント、インターミディエイトシャフト(図示省略)を介して連結されている。
1.2. ステアリングコラム、コラム支持機構.
ステアリングコラム20は、ステアリングホイール14が取り付けられたステアリングシャフト30(以後、「シャフト」と略記する場合がある)と、そのシャフト30を回転可能に保持するコラムチューブ32とを備えている。シャフト30は、前方側の軸部材と後方側の筒部材とが相対回転不能かつ軸方向に相対移動可能に組み付けられて構成されている。また、コラムチューブ32は、後方側のアウタチューブ34と前方側のインナチューブ36とを含んで構成されている。それら2つのチューブ34,36は、シャフト30の軸部材と筒部材とともに、必要に応じて軸方向に相対移動することが可能にされている。
コラム支持機構22は、車体38(図3参照)に取り付けられる被支持部材40と、その被支持部材40に取り付けられてステアリングコラム20を保持するコラム保持部材42と、被支持部材40とコラム保持部材42との相対移動を禁止・許容するレバー44とを備えている。そのレバー44を図において上昇させることによって相対移動が許容された状態となり、ステアリングホイール14の前後位置や高さを調整することができる。すなわち、コラム支持機構22は、いわゆるチルト、テレスコ機能を有しているのである。
1.3. トルク検出用ギヤ配設ユニット.
図2〜図4にトルク検出用ギヤ配設ユニット24の内部を示す。なお、図2は図1と同様、平面図であり、図3は車両左側から眺めた側面図である。また、図4は、ギヤ配設ユニット24の内部の斜視図である(ハウジングの図示を省略)。ギヤ配設ユニット24は、ステアリングコラム20の前方端部に取り付けられたハウジング50を備えている。そのハウジング50の前方側端部において、転舵機構とインターミディエイトシャフトを介して連結される転舵側シャフト52が、回転可能かつ移動不能に保持されている。また、転舵側シャフト52は、シャフト30と平行にされている。本実施例において、トルク検出用ギヤ配設ユニット24は、シャフト30に入力された操舵トルク(操舵力の一種である)を転舵側シャフト52に伝達する操舵トルク伝達機構56を含んで構成されており、その操舵トルク伝達機構56が伝達する操舵トルクを検出するものとされている。
1.3.1 操舵トルク伝達機構.
操舵トルク伝達機構56には、操舵トルクを伝達する入力歯車60,中間歯車62,出力歯車64とが設けられている。それら3つの歯車60等は、本実施例において、はすば歯車とされており、比較的静かに操舵トルクを伝達することができるようにされている。入力歯車60は、シャフト30に同軸的に固定されており、操舵操作に応じてシャフト30と一体的に回転させられる。その入力歯車60によって中間歯車62が回転させられ、さらに、中間歯車62によって出力歯車64が回転させられる。なお、出力歯車64は、転舵側シャフト52に同軸的に固定されており、中間歯車62によって回転させられた際に、転舵側シャフト52を回転させる。すなわち、シャフト30から入力された操舵トルクが、入力歯車60,中間歯車62,出力歯車64の順に伝達され、転舵側シャフト52が回転させられるのである。本実施例において、転舵側シャフト52の出力歯車64が固定された部分を含んで、操舵力が伝達される部分である「被伝達部」が構成されている。
操舵トルク伝達機構56は、シャフト30に、それと相対回転可能に取り付けられた回動部材70を備えている(図4、図6参照)。その回動部材70は、平板状の部材であり、図においてシャフト30から下方に延びるように配設されている。また、回動部材70には、支持される部分である被支持部たる軸穴72が設けられており、その軸穴72とシャフト30との間に軸受74が配設されている。そのため、回動部材70はシャフト30の回転の影響を受けずに、シャフト30を回転軸として比較的スムーズに回転移動(以後、「回動」と記載する場合がある)できるようにされている。回動部材70の下方には、中間歯車62を回転可能に支持する支持軸76が設けられている。その支持軸76は、軸受78(図5参照)を介して中間歯車62を支持しており、中間歯車62が滑らかに回転できるようにされている。すなわち、回動部材70は、中間歯車62を支持軸76回りに回転可能、かつ、シャフト30を中心に回動可能に支持しているのである。なお、中間歯車62は、入力歯車60,出力歯車64等との噛み合いが確保される比較的小さな範囲内において向きを変えて回動するようにされており、その動きを揺動と表現することもできる。
本実施例では、操舵トルクが伝達されていない状態において、支持軸76の軸線が、シャフト30の軸線および転舵側シャフト52の軸線と平行、かつ、同一平面に位置させられている。すなわち、本実施例において、操舵トルクが伝達されていない状態において、3つの歯車60等の回転軸線が、互いに平行、かつ、一直線上に並ぶようにされているのである。
1.3.2 変位力について.
ここで、操舵トルクが伝達される際に、各歯車60等を変位させる力である変位力について説明する。図5に、3つの歯車60等を模式的に示す。なお、ステアリングホイール14に入力された操舵トルクによって車輪を転舵する際に、転舵機構が車輪を転舵することによって転舵反力が発生し、その転舵反力に抗して転舵側シャフト52を回転させる場合の操舵トルクの伝達について説明する。この図において、入力歯車60が右回転させられる場合には、中間歯車62が左回転、出力歯車64が右回転させられる。その際には、入力歯車60の下部が中間歯車62の上部を左向きに押す作用(図において、白抜き矢印で示す)によって、入力歯車60から中間歯車62に操舵トルクが伝達されると同時に、中間歯車62を左に変位させようとする変位力(図において、黒塗り矢印で示す)が生じる。一方、その作用に対し、中間歯車62の上部が入力歯車60の下部を右に押し返そうとする反作用(図において、白抜き矢印で示す)によって、入力歯車60を右に変位させようとする変位力が生じる。すなわち、操舵トルクが伝達される際には、入力歯車60と中間歯車62との間の相互作用に起因して、それらを回転軸線と直角に交差する方向において逆向きに変位させようとする変位力が生じるのである。また、中間歯車62と出力歯車64との間の相互作用に起因して、同様な変位力が生じる。なお、中間歯車62は、入力歯車60および出力歯車64の両者との間で相互作用するため、中間歯車62の変位力は入力歯車60等の変位力よりも大きくなる。
通常、操舵操作は、転舵反力に抗してなされ、操舵トルクが大きいほど、変位力が大きくなる。逆に、例えば、操舵操作がアシストされて、ほとんど抵抗無く操舵操作できる場合、つまり、操舵トルクが非常に小さい場合には変位力がほとんど発生しない。また、ステアリングホイール14が任意の操舵位置に保舵された状態であっても、例えば、キックバック等、路面の凹凸や轍の外的な影響によって車輪が転舵した場合には、運転者がステアリングホイール14を一定の操舵位置に保舵しようとする操舵トルクに応じた変位力が発生する。そのような場合、例えば、操舵トルクによって入力歯車60の右回転が制動されている状態で、転舵反力によって転舵側シャフト52が右回転させられる場合には、図5において、相互作用が逆向きになり、また、変位力の向きが逆になる。すなわち、変位力の大きさは、操舵トルクの大きさに応じて変化し、変位力の向きは、操舵トルクの向き(歯車の回転方向)、つまり、歯車間の相互作用の向きによって変化するのである。
なお、本実施例において、3つの歯車60等がはすば歯車にされており、操舵トルク伝達時には、入力歯車60と出力歯車64とを、回転軸線方向において互いに逆向きに変位させようとする変位力が生じる。したがって、入力歯車60と出力歯車64との少なくとも一方を、軸方向に変位可能に支持するとともに、軸方向に変位させる変位力が検出できるように構成されている場合には、変位力の軸方向成分に基づいて操舵トルクを取得することが可能である。なお、中間歯車62については、それの上部と下部とにおいて互いに逆向きの力が生じて相殺されるため、回転軸線方向において変位力は生じない。
以上に述べた変位力は、概ね操舵トルクに応じた大きさとなるため、変位力を検出することによって操舵トルクを取得することが可能になる。しかしながら、一般的な伝達機構は、歯車の変位力を検出できるように構成されておらず、変位力の検出は容易ではない。それに対して、本操舵トルク伝達機構56は、上述のように、回動部材70を回転可能に設けることにより、中間歯車62がシャフト30を中心として円滑に揺動可能にされている。そのため、操舵トルク伝達時の変位力を比較的容易に検出できるのである。
1.3.3 変位力検出装置.
次に、変位力を検出する変位力検出装置80について説明する。その変位力検出装置80は、回動部材70の後方側に配設され、その回動部材70を回動変位させようとする力を検出するように構成されている。具体的に説明する。変位力検出装置80は、図6に示すように、ハウジング50の後方端部から前方側へ延び出す固定軸82と、その固定軸82に回転可能に支持されたアーム部材84(「変位拡大部材」の一種である)と、アーム部材84の回転を弾性的に規制する回転規制機構90と、その回転規制機構90内に設けられてアーム部材84の変位量を検出する変位センサ92(「変位力検出器」の一種である)とを備えている。
固定軸82はハウジング50に固定され、シャフト30および支持軸76と平行に配設されている(図3参照)。アーム部材84は、上部に設けられた支持穴92において支持され、滑らかに回転可能にされるとともに、固定軸82の軸方向に移動不能にされている。アーム部材84には、支持穴92の下方に、支持軸76と係合するための係合穴94が設けられている。その係合穴94は、図において左右方向の寸法よりも、上下方向の寸法が若干大きくされている。そして、係合穴94と支持軸76とのクリアランスは、左右方向において小さくされており、支持軸76のわずかな変位によってもアーム部材84が固定軸82を中心に回転するようにされている。一方、上記クリアランスは、上下方向において比較的大きくされており、シャフト30を中心とする支持軸76の回動変位の軌道と、固定軸82を中心とする係合穴94の回動の軌道とのずれが吸収される。
アーム部材84の先端部86を左右方向から挟むように、2つの回転規制機構90(「変位規制機構」の一種である)が配設されている。それら回転規制機構90の各々は、ハウジング50の左右の側壁の各々に固定された概ね直方体形状をなす固定部材96に取り付けられている。それら回転規制機構90の各々は、円筒形状のケース100と、そのケース100の端部から先端部86に向かって延び出すロッド102と、そのロッド102を延び出す向きに付勢する圧縮コイルスプリング104(以後、「スプリング」と記載する)とを含んで構成されている。また、ケース100内には変位センサ92が配設されており、その変位センサ92は、ケース100の内周部に貼付されてロッド102の大径部106と接触することによりロッド102の延び出し量に応じた抵抗値を示す抵抗電極108を含んで構成されている。
本実施例において、「弾性体」の一種であるスプリング104によってアーム部材84の回動変位が弾性的に規制されている。逆にいえば、スプリング104の弾性力に抗してアーム部材84が回動変位することが許容されている。すなわち、スプリング104の弾性力が「変位規制力」として作用しているのである。そのため、変位力が大きい場合はアーム部材84の先端部86の回動変位が大きくなり、変位力が小さい場合は先端部86の回動変位が小さくなる。なお、アーム部材84が回動変位していない状態、つまり、中立位置に位置する状態において、スプリング104の変形量が0になるようにされている。アーム部材84の回動変位量は、スプリング104の変形量、つまり、ロッド102の延び出し量に応じた抵抗値を検出することによって取得される。また、スプリング104の変形量は、アーム部材84を回動変位させる力に応じた大きさとなることから、アーム部材84の回動変位量に基づいて支持軸76(中間回転体62)を変位させる変位力を検出することができる。すなわち、本変位力検出装置80は、アーム部材84の回動変位に基づいて変位力を検出するようにされているのである。
上記アーム部材84は、支持軸76の変位を拡大する機能を有している。アーム部材84は、上述のように固定軸82を中心に回転可能とされている。その固定軸82から支持軸76までの距離よりも、固定軸82から先端部86までの距離が大きくされている(例えば、数倍)。そのため、先端部86の変位量は、支持軸76の変位量に、「固定軸82と先端部86との間の距離」を「固定軸82と支持軸76との間の距離」で除した値を乗じた値となる。本実施例において、固定軸82と変位拡大部材たるアーム部材84とを含んで「変位拡大機構」が構成されている。
なお、固定部材96には、回動部材70の回動変位を設定範囲内に制限する役割、いわゆる「ストッパ」としての役割がある。回動部材70の下端部には、幅方向に突起122が形成されており、回動部材70の回動変位が設定範囲を超えると突起122が固定部材96に当接するようにされている。したがって、回動部材70の設定範囲を超える回動変位が固定部材96によって禁止され、中間歯車62の変位が過大になることが防止されるのである。本実施例において、固定部材96の突起122が当接する部分を含んで「変位禁止体」が構成されている。
1.3.4 アシストモータその他.
本ステアリング装置10は、操舵操作を助勢するためのアシストモータ26を備えている。そのアシストモータ26は、電磁式モータとされ、ハウジング50の側面に取り付けられている。そのアシストモータ26のモータ軸にはウォーム150が固定されており、そのウォーム150がハウジング50内に挿入されている。そのウォーム54は、転舵側シャフト52に固定されたウォームホイール152(「被駆動部」として機能する)と噛み合わされており、アシストモータ26の回転駆動力によって転舵側シャフト52が回転駆動される。すなわち、アシストモータ26の駆動力がウォームホイール152に付与されて、車輪の転舵が助勢されるのである。なお、アシストモータ26が発生させる駆動力の大きさは、後述するように、変位センサ92の検出値に基づいて決定される。
1.4. 電子制御ユニット.
本ステアリング装置10は、アシストモータ26(以後、「モータ」と略記する場合がある)を制御する電子制御ユニット200(以下、単に「ECU200」という場合がある)を備えている(図1)。そのECU200は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されている。そのECU200には、変位センサ92等の各種センサが接続されている。また、ECU200は、駆動回路210にも接続され、ECU200から駆動回路210に各種の制御指令が送信されると、駆動回路210から、それぞれアシストモータ26に駆動電力が供給される。なお、駆動回路210には、車両に搭載されたバッテリ(図示省略)から電力が供給される。
ECU200によるモータ26の制御について説明する。モータ26の制御は、アシストモータ26に供給する電力の目標値の情報を含む電力供給指令がECU200から駆動回路210に送信されることによって行われる。そして、指令に応じた電力が駆動回路210からモータ26に供給されると、モータ26が作動し、転舵側シャフト52が回転駆動される。アシストモータ26に供給される電力の目標値は、操舵トルクに応じた値にされるのであるが、操舵トルクは上述の変位センサ92の検出値に基づいて決定される。
具体的には、本実施例において、変位センサ92の検出値と、その検出値に応じた電力の目標値との関係が電力目標値マップとしてECU200に記憶されており、そのマップから変位センサ92の検出値に応じた電力の目標値が読み出されることによって、操舵トルクに応じた電力の目標値が決定される。その電力目標値マップは、以下の事項が考慮されて作成されている。変位センサ92は、直接的にはアーム部材84の回動変位量を取得するものであるが、アーム部材84の回動変位量は中間歯車62の変位力に応じた大きさになることから、変位センサ92の検出値に基づいて中間歯車62の変位力を取得することができる。さらに、中間歯車62の変位力は操舵トルクに応じた大きさになることから操舵トルクを取得することができ、操舵トルクに応じた供給電力値を決定することができる。
なお、アーム部材84の先端部86が図6において右側に回動変位した場合、つまり、2つの変位センサ92のうちの図において右側のものによって回動変位が検出された場合には、例えば、ステアリングホイール14に反時計方向(左回転)の操舵トルクが入力されており、転舵側シャフト52を左回転させるようにモータ26が回転させられる。逆に、アーム部材84が図において左側に回動変位して左側の変位センサ92によって回動変位が検出された場合には、転舵側シャフト52を右回転させるようにモータ26が作動させられる。なお、ステアリングホイール14が中立位置に保持されているような場合であっても、例えば、転舵反力によって転舵側シャフト52が右回転させられた場合には、中間歯車62を図5において右に変位させようとする変位力が生じ、右側の変位センサ92によって回動変位が検出されるため、転舵側シャフト52を左回転させるようにモータ26が回転させられる。このような制御によって操舵操作がアシストされ、運転者が容易に車輪を転舵することができるようにされているのである。
本実施例において、中間歯車62を含んで、「第1回転体と第2回転体との一方」が構成されている。具体的には、例えば、入力歯車60が「第1回転体」として機能し、中間歯車62が「第2回転体」として機能し、出力歯車64が「第3回転体」として機能していると捉えることができる。また、回動部材70と支持軸76とを含んで、「支持変位体」が構成されている。さらにまた、シャフト30の回動部材70を支持する部分と、軸受74と、回動部材70と、支持軸76と、軸受78とを含んで「支持機構」が構成されている。なお、本実施例において、「入力軸」が、シャフト30の一部(先端部分)を含んで構成されている。
本実施例において、固定部材96を含んで「変位規制体」が構成されている。さらにまた、回転規制機構90と固定部材96とを含んで「変位規制機構」が構成されている。なお、本実施例の変位規制機構は、弾性体たるスプリング104を有しており、支持変位体の変位を弾性的に規制する態様である。また、回転規制機構90により、アーム部材84を介して間接的に、支持変位体たる回動部材70の変位が規制されている。なお、支持変位体の変位が弾性的に規制されることにより、キックバック等の逆入力があった場合に、ステアリングホイール14に伝わる衝撃がいくらか緩和される。支持変位体の変位を弾性的に規制する場合にいくらかの衝撃が緩和される点については、後の実施例についても同様である。
なお、本実施例において、入力軸たるシャフト30の一部と出力軸たる転舵側シャフト52とが同一直線上に配設されていない。そのため、車両の前方衝突時等において、転舵側シャフト52にそれを後方側へ移動させる衝撃が加わった場合に、その衝撃がそのままシャフト30に伝わりにくくなっており、また、ハウジング50,回動部材70等が変形させられることによって衝撃が緩和されやすくされている。すなわち、本実施例のステアリング装置10は、より安全性に優れたものとされているのである。このような衝突時の安全性については、以下の2つの実施例についても同様なことが言える。
2. 第2実施例 <直接検出型>.
上記実施例において、トルク検出用ギヤ配設ユニット24には、中間歯車62の変位を拡大するアーム部材84が設けられていたが、そのような部材を設けない態様とすることができる。図7に、トルク検出用ギヤ配設ユニット300(以後、「ギヤ配設ユニット」と略記する場合がある)の斜視図を示す。なお、図7は、上記実施例の図4に相当する図面であり、ハウジングの図示が省略されている。また、ギヤ配設ユニット300を備えたステアリング装置の構成は、ギヤ配設ユニット300以外については上記実施例のものと同様であるため、ギヤ配設ユニット300を中心に説明する。また、上記実施例と同じ構成部品については同じ番号を付し、説明を省略する。
本ギヤ配設ユニット300は、操舵トルク伝達機構310を備えている。その操舵トルク伝達機構310は、上記実施例と同様の入力歯車60,中間歯車62,出力歯車64の3つの歯車を備えている。それらのうち、中間歯車62は、上記実施例では、シャフト30を中心に回動変位可能にされていたが、本実施例において、転舵側シャフト52を中心に回動変位可能にされている。本ギヤ配設ユニット300は、転舵側シャフト52に相対回転可能かつ移動不能に取り付けられた回動部材312を備えている。その回動部材312は、軸受313を介して転舵側シャフト52に取り付けられており、転舵側シャフト52の回転の影響を受けずに円滑に回動することができるようにされている。その回動部材312の、転舵側シャフト52から設定距離離間した部分には、中間歯車62を回転可能かつ移動不能に支持する支持軸314が設けられている。したがって、本実施例において、中間歯車62が、支持軸314回りに回転可能、かつ、出力軸たる転舵側シャフト52を回転軸線として回動変位可能に支持されているのである。なお、この図において、回動部材312の変位力を検出する変位力検出装置320(図8参照)の図示が省略されている。
図8に、回動部材312と2つの変位力検出装置320とを模式的に示す。本実施例において、2つの変位力検出装置320の各々は、回動部材312の回転を弾性的に規制する回転規制機構322と、荷重センサ324とを備えている。また、2つの変位力検出装置320は、ハウジング50の左右の側壁の各々に固定された概ね直方体形状をなす固定部材326に取り付けられるとともに、回動部材312を図において左右方向から挟むように配設されている。そして、回動部材312の回転を弾性的に規制するとともに、荷重センサ324によって回動部材312の回動を規制する力(「変位規制力」の一種である)が検出されるようにされている。なお、2つの変位力検出装置320は、互いに同じ構成とされているため、一方を代表的に説明する。
回転規制機構322は、概して円筒形状のケース330と、そのケース330の端部から回動部材312に向かって延び出すロッド332と、そのロッド332を延び出す向きに付勢する圧縮コイルスプリング334(以後、「スプリング」と略記する場合がある)とを含んで構成されている。また、荷重センサ324が、スプリング334と固定部材326との間に挟まれるように配設され、その荷重センサ324によってスプリング334が発生させる弾性力が検出されるようにされている。
なお、本実施例において、図に示す中間歯車62が変位していない状態では、スプリング334が設定量変形させられた状態で保持され、かつ、伸びることが禁止されている。つまり、本回転規制機構322では、スプリング334に予め設定された予荷重が加えられており、回動部材312がわずかでも変位した場合には、予荷重を超える弾性力によって回動部材312の回転を規制するようにされているのである。そのため、操舵トルクが大きい場合であっても、回動部材312の回転角度は小さく抑えられ、中間歯車62の変位が過大にならないようにされている。
また、スプリング334の伸びが禁止されていることから、回動部材312が自身と離間する向きに回転する際にはスプリング334の弾性力が回動部材312に作用しないようにされている。例えば、回動部材312が、図において反時計回りに回転した場合には、左側の回転規制機構322によって回転を規制し、右側の回転規制機構322は、中間歯車62が変位していない状態においてロッド332の先端が回動部材312と接触する位置に位置させられる。このように、回動部材312に、左右いずれか一方の回転規制機構322の弾性力が作用するようにされており、操舵トルクが伝達される状態から伝達されない状態になった際に回動部材312が中立位置(図において12時の向き)に復帰しやすくされている。
本実施例のステアリング装置は、上記実施例と同様のECU200を備えており、そのECU200により、荷重センサ324の検出結果に基づいて、アシストモータ26に供給する電力の目標値が決定される。そして、駆動回路210に指令が送信されると、駆動回路210からアシストモータ26に電力が供給され、転舵側シャフト52に操舵トルクに応じた駆動力が付与される。なお、本実施例では、電力の目標値の決定において、荷重センサ324の検出値と、その検出値に応じた電力の目標値との関係が電力目標値マップとしてECU200に記憶されており、そのマップから荷重センサ324の検出値に応じた電力の目標値が読み出されることによって、操舵トルクに応じた電力の目標値が決定される。
本実施例において、中間歯車62を含んで、「第1回転体と第2回転体との一方」が構成されている。具体的には、例えば、中間歯車62が「第1回転体」として機能し、出力歯車64が「第2回転体」として機能し、入力歯車60が「第3回転体」として機能していると捉えることができる。また、回動部材312と支持軸314とを含んで、「支持変位体」が構成されている。さらにまた、固定部材326を含んで「変位規制体」が構成されている。さらにまた、回転規制機構322と固定部材326とを含んで「変位規制機構」が構成されている。なお、本実施例の回転規制機構322は、弾性体たるスプリング334を有しており、変位体の変位を弾性的に規制する態様である。また、本実施例の回転規制機構322のケース330は、変位力が生じておらず、回動部材312が変位していない状態において、予めスプリング334を変形させた状態で保持するようにされている。すなわち、ケース330を含んで「予荷重維持体」が構成されている。
なお、本実施例において、弾性体たるスプリング334によって回動部材312の回転が弾性体によって弾性的に規制されていたが、回転規制機構を弾性体を備えないものとすることもできる。図9に示すように、回転規制機構350を、固定部材326に荷重センサ324を配設し、固定部材326が回動部材312の回転を規制する力を荷重センサ324によって検出するものとすることもできる。すなわち、本変形例は、変位規制体(固定部材326)と、支持変位体(回動部材312および支持軸314)との間に変位力検出器(荷重センサ324)を挟んだ状態で、支持変位体の変位を規制する態様である。この回転規制機構350によれば、操舵トルク伝達時に回動部材312がほとんど回転しないようにすることができ、中間歯車62がほとんど変位しないようにすることができる。
3. 第3実施例<カサ歯車・二軸型>.
上記実施例の操舵トルク伝達機構56,322には、円筒形状の歯車が用いられていたが、カサ状歯車を用いて操舵トルクを伝達することもできる。また、上記トルク検出用ギヤ配設ユニット24,300は、3つの歯車60等によって操舵トルクが伝達される際の変位力を検出するものとされていたが、2つの歯車によって操舵トルクが伝達される際の変位力を検出することもできる。図10に、2つのカサ歯車を備えたトルク検出用ギヤ配設ユニット400(以後、「ギヤ配設ユニット」と略記する場合がある)を示す。なお、本ギヤ配設ユニット400は、前輪を転舵する転舵機構410に取り付けられている。また、ギヤ配設ユニット400を備えたステアリング装置の構成は、上記実施例のものと同様なものが多いため、ギヤ配設ユニット400を中心に説明し、上記実施例と同じ構成部品については同じ番号を付し、説明を省略する。
まず、転舵機構410について説明する。転舵機構410は、車幅方向に伸びて配設された転舵ハウジング412と、その転舵ハウジング412を貫通して車幅方向に移動可能に設けられた転舵ロッド414と、その転舵ロッド414に形成されたラック部416に噛み合わされたピニオン418と、ピニオン418が同軸的に固定されるとともに転舵ハウジング412に回転可能に保持されたピニオン軸420とを含んで構成されている。また、転舵ロッド414は、車輪を回転可能に保持するステアリングナックルと、タイロッド等を介して連結させられており、車幅方向に移動させられることによって車輪を転舵する。その転舵ロッド414は、ピニオン418によって駆動される。具体的には、ピニオン軸420に操舵トルク(あるいは、操舵トルクとモータ26の駆動力)が入力されると、ピニオン418がピニオン軸420と一体的に回転させられて、転舵ロッド414が車幅方向に駆動される。
次に、ギヤ配設ユニット400について説明する。ギヤ配設ユニット400は、転舵ハウジング412上部に取り付けられたハウジング430を備えている。そのハウジング430には、上記実施例と同様のステアリングコラム20のステアリングシャフト30と、ユニバーサルジョイントおよびインタミディエイトシャフトを介して連結される操作側シャフト432が、図において右上から挿入されている。その操作側シャフト432は、ステアリングホイール14に入力された操舵操作に応じて回転させられる。また、ハウジング430には、ピニオン軸420の上端部に、それと同軸かつ相対回転不能に取り付けられて操舵トルクを転舵機構410に出力する出力シャフト434が軸受を介して回転可能に保持されている。
ハウジング430内には、操作側シャフト432に入力された操舵トルクを出力シャフト434に伝達する操舵トルク伝達機構440が配設されている。操舵トルク伝達機構440は、操舵トルクを伝達する回転体たる入力歯車442と出力歯車444とを備えている。それら2つの歯車は、カサ歯車とされ、それらが噛み合わされた状態において、操作側シャフト432と出力シャフト434とが設定された角度で交差するように配設されている。入力歯車442は、操作側シャフト432の先端部に固定され、操作側シャフト432と一体的に回転するようにされている。また、出力歯車444は、出力シャフト434に同軸的に固定され、出力シャフト434と一体的に回転するようにされている。
出力シャフト434の、出力歯車444の上方には、操作側シャフト432を回動可能に支持するための回動部材450が、出力シャフト434と相対回転可能かつ軸方向に移動不能に配設されている。その回動部材450は、軸受460(図11参照)を介して出力シャフト434に取り付けられており、出力シャフト434の回転の影響を受けずに回動することができるようにされている。また、回動部材450は、「く」の字形状をしており、車両前方側(図において左上)の端部において出力シャフト434に支持されるとともに、後方側の端部において、軸受462を介して操作側シャフト432を回転可能かつ軸方向に移動不能に保持している。すなわち、本実施例において、操作側シャフト432に取り付けられた入力歯車442は、出力シャフト434を回転軸線として回動可能に支持されているのである。
図11に、出力シャフト434の軸線方向において、上方から回動部材450を眺めた場合の図を示す。ギヤ配設ユニット400は、上記第2実施例と同様の変位力検出装置320を備えており、回転規制機構322によって回動部材450の回転が弾性的に規制されるとともに、荷重センサ324によって回動部材450の回転を規制する力が検出される。例えば、ステアリングホイール14が右に回転させられた場合には、操作側シャフト432および入力歯車442が、図11において時計回りに回転させられる。その際には、入力歯車442と出力歯車444との相互作用により、入力歯車442が出力シャフト434を回転軸線として、図11において時計回りに回動させられる。なお、回転規制機構322は、上記実施例と同様に、スプリング334に予荷重を付与するように構成されており、操舵トルク伝達時における操作側シャフト432の回動が小さくなるようにされている。また、その操作側シャフト432の回動は、ユニバーサルジョイントの折れ角の変化とインタミディエイトシャフトの伸縮とによって許容されている。
なお、本実施例のステアリング装置も上記2つの実施例と同様に、モータ26、ウォームホイール152等を備えており、操舵操作をアシストするようにされている。ウォームホイール152は、出力歯車444の下方に位置し、出力シャフト434に相対回転不能かつ移動不能に取り付けられている。また、モータ26は、ハウジング430の車両後方側に固定されており、ウォームホイール152外周部の車両右側に位置する部分と噛み合うようにされている。また、本実施例のステアリング装置も上記2つの実施例と同様のECU200等を備えており、荷重センサ324の検出値に基づいてモータ26に供給される電力の目標値が決定される。そして、ECU200の指令によって駆動回路210からモータ26に電力が供給されると、操舵トルクに応じた駆動力が出力シャフト434に付与され、操舵操作がアシストされる。
本実施例において、「第1回転体と第2回転体との一方」が、「第1回転体」として機能する入力歯車442を含んで構成されている。また、出力歯車444が「第2回転体」として機能している。さらにまた、回動部材450と操作側シャフト432の一部分とを含んで、「支持変位体」が構成されている。なお、操作側シャフト432の一部分には、回動部材450に回転可能に支持される部分と、入力歯車60が固定された部分とが含まれる。本実施例において、出力シャフト434は転舵機構410のピニオン軸420に直接的に接続されており、それら出力シャフト434およびピニオン軸420を含んで、転舵機構410に操舵力を入力する「操舵力入力軸」が構成されている。また、その出力シャフト434を含んで、車輪を転舵する転舵機構に操舵力を伝達するための「出力軸」が構成されている。すなわち、本ステアリング装置は、「出力軸」が、「操舵力入力軸の一部」を含んで構成された態様である。また、本実施例において、転舵機構410とギヤ配設ユニット400とを含んで、「転舵装置」が構成されている。すなわち、本実施例のステアリング装置は、操舵トルク伝達機構440が転舵装置に配設された態様である。
本実施例において、入力歯車442および出力歯車444がカサ歯車とされており、操作側シャフト432と出力シャフト434とが設定された角度で交差するようにされている。そのため、操作側シャフト432とステアリングシャフト30とを連結するユニバーサルジョイントの折れ角を小さくすることができる。また、本実施例の回動部材450には、それを入力歯車442側と出力歯車444側とに二分するV字溝470が設けられている。そのV字溝470により、車両の前方衝突時等において、出力シャフト434にそれを後上方側に移動させる衝撃が加わった場合に回動部材450が破断するようにされている。そのため衝撃が直接的に操作側シャフト432に伝わりにくく、また、ハウジング430等が変形させられることによって衝撃が緩和されやすくされている。すなわち、本実施例のステアリング装置は、より安全性に優れたものとされているのである。
なお、本実施例のギヤ配設ユニット400は、回動部材450の回転を弾性的に規制するようにされていたが、第2実施例の変形例(図9)と同様に、単に固定部材326に荷重センサ324を固定して回動部材450の回転を規制することもできる。その場合には、操舵トルク伝達時に回動部材450がほとんど回転しないようにすることができ、入力歯車442がほとんど変位しないようにすることができる。
請求可能発明の実施例であるステアリング装置の一部の概略を示す図である。 上記ステアリング装置の操舵トルク検出装置の内部を示す平面図である。 上記ステアリング装置の操舵トルク検出装置の内部を示す側面図である。 上記ステアリング装置の操舵トルク検出装置の内部を示す斜視図である。 上記操舵トルク検出装置において変位力の発生を模式的に示す図である。 上記操舵トルク検出装置の変位力検出装置を示す図である。 上記とは別のステアリング装置の操舵トルク検出装置の内部を示す斜視図である。 上記操舵トルク検出装置の変位力検出装置を示す図である。 上記とは別の変位力検出装置を示す図である。 上記とはさらに別のステアリング装置の操舵トルク検出装置の内部を示す側面図である。 上記操舵トルク検出装置の変位力検出装置を示す図である。
符号の説明
<第1実施例> 10:ステアリング装置(操作部材) 20:ステアリングコラム 24:トルク検出用ギヤ配設ユニット 26:アシストモータ 30:ステアリングシャフト(入力軸) 38:車体 50:ハウジング 52:転舵側シャフト(出力軸) 56:操舵トルク伝達機構(操舵力伝達機構) 60:入力歯車 62:中間歯車(第1回転体と第2回転体との一方) 64:出力歯車 70:回動部材(支持変位体) 76:支持軸 80:変位力検出装置 82:固定軸 84:アーム部材(変位拡大部材) 86:先端部 90:回転規制機構(変位規制機構) 92:変位センサ(変位力検出器) 92:支持穴 94:係合穴 96:固定部材(変位規制体) 100:ケース 102:ロッド 104:圧縮コイルスプリング(弾性体) 106:大径部 108:抵抗電極(変位力検出器) 150:ウォーム 152:ウォームホイール 200:電子制御ユニット[ECU] <第2実施例> 300:トルク検出用ギヤ配設ユニット 310:操舵トルク伝達機構(操舵力伝達機構) 312:回動部材(支持変位体) 314:支持軸 320:変位力検出装置 322:回転規制機構(変位規制機構) 324:荷重センサ(変位力検出器) 326:固定部材(変位規制体) 330:ケース 332:ロッド 334:圧縮コイルスプリング(弾性体) <第3実施例> 400:トルク検出用ギヤ配設ユニット 410:転舵機構 412:転舵ハウジング 414:転舵ロッド 416:ラック部 418:ピニオン 420:ピニオン軸 430:ハウジング 432:操作側シャフト(入力軸) 434:出力シャフト(出力軸、操舵力入力軸) 440:操舵トルク伝達機構(操舵力伝達機構) 442:入力歯車(第1回転体)(第1回転体と第2回転体との一方) 444:出力歯車 450:回動部材(支持変位体)

Claims (6)

  1. 操舵操作がなされる操作部材と、
    その操作部材と連結されて操舵操作に応じて回転させられる入力軸と、
    車輪を転舵する転舵機構に操舵力を伝達するための出力軸と、
    (a)前記入力軸によって回転させられる第1回転体と、(b)前記第1回転体から操舵力が伝達されてその第1回転体の回転軸線と異なる軸線回りに回転させられるとともに前記出力軸を回転させる第2回転体とを含んで構成され、前記入力軸と前記出力軸との間で操舵力を伝達する操舵力伝達機構と、
    操舵力が伝達される際に前記第1回転体と前記第2回転体との相互作用に起因して生じる力であって、操舵力に応じて前記第1回転体と前記第2回転体とをそれらの回転軸線と交差する方向に互いに逆向きに変位させようとする力である変位力を検出する変位力検出器と
    を備えたことを特徴とするステアリング装置。
  2. 前記操舵力伝達機構が、
    前記第1回転体と前記第2回転体との一方を、回転可能に支持するとともに、前記変位力によって設定方向に前記第1回転体と第2回転体との一方と一体的に変位可能にされた支持変位体と、
    前記支持変位体が前記設定方向に変位することを規制する変位規制機構とを備えるとともに、
    前記変位力検出器が、前記変位規制機構が前記支持変位体の変位を規制する力に基づいて前記変位力を検出するように構成された請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 前記支持変位体が、
    前記入力軸と前記出力軸との一方に相対回転可能に支持されるとともに、前記入力軸と出力軸との一方から設定距離離間した部分において前記第1回転体と第2回転体との一方を支持することにより、前記入力軸と出力軸との一方を回転軸線とする前記第1回転体と第2回転体との一方の回動変位を前記設定方向への変位として許容するように構成された請求項2に記載のステアリング装置。
  4. 前記変位規制機構が、前記支持変位体の変位を弾性的に規制する弾性体を備え、
    当該ステアリング装置が、前記支持変位体の変位を拡大する変位拡大機構を備え、
    前記変位力検出器が、前記変位拡大機構によって拡大された前記支持変位体の変位に基づいて前記変位力を検出するように構成された請求項2または3に記載のステアリング装置。
  5. 前記入力軸と前記出力軸とが、それらの各々の軸線が互いに平行になるように配設された請求項1ないし4のいずれかに記載のステアリング装置。
  6. 当該ステアリング装置が、前記変位力検出器によって検出された変位力に応じて車輪の転舵を助勢する力を発生させるモータを備え、
    前記出力軸が、操舵力が伝達される被伝達部と、その被伝達部よりも前記転舵機構側に位置して前記モータによって回転駆動される被駆動部とを備えた請求項1ないし5のいずれかに記載のステアリング装置。
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