JP2007216093A - アスベスト被覆の光学的無害化方法、光学熱源および光学的無害化装置 - Google Patents

アスベスト被覆の光学的無害化方法、光学熱源および光学的無害化装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 既設建造物に吹き付け施工されたアスベスト被覆を除去することなく、そのまま無害化する。
【解決手段】 既設建造物等に施工されたアスベスト被覆に対して、離れた位置に、例えば、キセノンランプのような熱線性光源X1を配置し、熱線性光源X1から放射される熱線を光学レンズ系Lを介して収斂性光束または平面状光束とすることによって、光学レンズ系Lの焦点位置近傍または平面状光束の任意位置においてアスベスト溶融温度を実現し、収斂性光束の焦点位置または平面状光束によってアスベスト被覆の表面を走査するように照射し、既設建造物等に施工されたアスベスト被覆の少なくとも表面の繊維状組織を空気浮遊塵化不能に融着させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、広義にはアスベストの加熱無害化技術に係り、中でも、熱源として熱線性光源と光学レンズ系を用いること、既設建造物に施工されている状態のアスベスト被覆をそのまま離れた位置から無害化処理できること等を特徴とするアスベスト被覆の光学的無害化方法、および光学的無害化装置とその光学熱源に関する。
なお、本発明においてアスベストの「無害化」とは、アスベストが空気浮遊塵化しないような状態に状態変化させることを言う。
蛇紋岩、緑紋岩、角閃石等に由来するアスベストの有害性に関する病理学的な推定は、今日、確定的な結論に到達したと言える。ここで、アスベスト使用の将来的方向付けとしては、今後、「アスベストの使用を一切禁止する」という対処で足りる。しかし、既に、使用されて生活環境内に残存するアスベストをどのように処理するか、あるいは無害化するかという問題が残る。
生活環境内におけるアスベストは、様々な形態で存在し、しかも、過去におけるアスベストの使用量からすれば、膨大な量が存在すると言うことができる。そして、このような膨大な量のアスベストを一時に処理することは、処理所要労力や処理所要エネルギ量等の観点からいかにも現実的ではない。したがって、アスベスト処理に関しては、処理の優先順位が考慮されなければならない。
すなわち、アスベストは、環境における存在形態によって人体に害を及ぼす度合いが大きく異なると考えられる。アスベストが有害である由縁は、アスベストを形成しているガラス質繊維が、その極端な微細さの故に人の痛覚を刺激することもなく皮膚を通過して体内に侵入し、または、呼気と共に肺に至ったものが、肺胞内に残存し、肺胞から体内に侵入し、長年月の間人体の特定部位に刺激を加えて癌発症の引き金として機能することにある。ここで、重要なことは、アスベストが人体に侵入する経路であり、アスベストは、空気を介して空気感染的に人体に至る場合が殆どであるということである。このことから、アスベスト処理の優先順位は、空気中に浮遊する可能性が大きい形態で、しかも環境内に大量に存在するものが最先であると言える。
過去におけるアスベストの約9割は、建築資材として使用されたものと見られている。そこで、建築資材としての使用態様をみるに、スレート波板、スレートパネル、スレート瓦のようにカルシウム系のバインダと共に圧縮成形されて使用される使用形態と、同じくカルシウム系のバインダと共に建造物の内壁面に吹き付け施工される使用形態とに大別される。アスベストの吹き付け施工の目的は、保温、断熱、吸音、結露防止等であり、この目的から、吹き付け後のアスベスト被覆の内部に多量の空気を含むように、いわば、「フワフワ」に施工することが良しとされていた。両使用形態におけるアスベストの空気浮遊塵化の危険性の大小は、自ずと明らかであり、アスベスト対策における最優先課題は、吹き付け施工されたアスベストを早急に処理することである。
なお、本発明には余り関与しないが、建築資材以外の用途に使用されたアスベストであって、特に空気浮遊塵化が懸念されるものとしては、車両制動装置におけるブレーキパッド、ブレーキシューがある。ブレーキパッド等の摩耗粉の一部は、ホイールを茶褐色に汚すブレーキダストとして知られており、わが国における国土面積に対する車両密度および人口密度の高さから、早急に部品交換が実施されることが望ましいものである。
現時点で考えられるアスベストの処理方法としては、埋め立て処理と焼却処理とがある。埋め立て処理は、不燃ごみの埋め立て場所の確保に苦心している現状をより困難な立場に追い込むものでり、焼却処理には、現状の可燃物処理施設では達成できない高温が要求される。なお、アスベストの無害化には、実験上および文献上1500℃以上、好ましくは、1800℃以上の高温が要求される。したがって、アスベストを加熱処理するには、新たに専用の電気炉を設置するか、あるいは、アスベストを低温で処理することができる新たな技術が開発されなければならない。
そこで、アスベストを比較的低温で無害化処理する技術が模索されている。例えば、次のような技術が提案されている。
特開2001−317713号公報 特開2005−168632号公報 特開2005−279589号公報
アスベストを低温処理するための技術的方策としては、アスベストを加熱処理する際に、アスベストより融点が低い第3成分を熱伝導媒体として添加する方法が考えられる。また、アスベストと化学反応上の親和性が高い第3成分を加えることが考えられる。特許文献2および特許文献3に示される技術はこのような技術指向に立脚するものと思われる。なお、特許文献1に示す技術では、第3成分を添加しないと主張しているが、珪石煉瓦の炉壁材自体を溶かし込む点から、実質的には第3成分を添加していると見ることができる。いずれの技術においても、アスベストを低温で無害化処理できることは、エネルギコスト削減およびアスベストの早期処理の観点から好ましいことである。
しかし、本発明は、これらの従来技術とは、異なる実質的な技術指向を有している。すなわち、既設建造物に施工されているアスベストが加熱処理設備に搬入されるに至るまでの間における危険性を問題にしているのである。これは、前述したようにアスベストの有害性の由縁は、空気浮遊塵化することにあるのであり、空気浮遊塵化の蓋然性が最も大きいと考えられるのは、既設建造物からアスベスト材を取り外す際であり、また、取り外したアスベスト材を搬送するために切断したり、破砕する際である。加熱炉内に投入されてしまえば、後は、危険性の問題ではなく、エネルギコストの問題に過ぎない。殊に、吹き付け施工されたアスベストを空気浮遊塵化させることなく除去することは至難の技であると言える。
本発明は、主に、既設建造物に吹き付け施工されたアスベスト被覆を危険性なくそのまま使用可能に無害化することが可能であり、または、除去作業の前処理として無害化することができるアスベスト被覆の光学的無害化方法、および、光学的無害化方法に用いる光学的無害化装置、さらに、この光学的無害化装置に使用する光学熱源を提供することを目的とする。
この目的を達成するための手段として、本発明は、次のような構成を採用する。
本発明の請求項1に記載のアスベスト被覆の光学的無害化方法は、既設建造物等に施工されたアスベスト被覆に対して、離れた位置に熱線性光源を配置し、熱線性光源から放射される熱線を光学レンズ系を介して収斂性光束または平面状光束とすることによって、光学レンズ系の焦点位置近傍または平面状光束の任意位置においてアスベスト溶融温度を実現し、収斂性光束の焦点位置または平面状光束によってアスベスト被覆の表面を走査するように照射し、既設建造物等に施工されたアスベスト被覆の少なくとも表面の繊維状組織を無風下において融着させることを特徴とする。
上記構成において、既設建造物に施工されているアスベスト被覆は、熱線性光源から照射される熱線によって空気浮遊塵化しないように融着処理され、既設建造物等は、アスベスト被覆の除去作業を要することなくそのまま安全に使用可能となる。融着処理に際しての光学熱源は、アスベスト被覆から離れた位置に配置され、光学レンズ系を介してアスベスト被覆に照射することができる。したがって、簡単に作業員の安全を確保することができる。熱線性光源の熱線は、光学レンズ系を介して収斂性光束または平面状光束の態様に集光されることによって、エネルギー密度が高められ、アスベスト被覆の表面を瞬時にその融点近い温度に昇温まですることができる。ただし、熱線性光源の容量は、そのような昇温能力は発揮できる容量に設定されていることが前提となる。収斂性光束または平面状光束とされた熱線は、アスベスト被覆の表面を走査する要領で照射されることによって、アスベスト被覆の表面に処理残し箇所が生じないようにすることができる。熱線の照射は、熱風等を伴なうことがないので、処理作業中におけるアスベスト被覆の飛散のおそれもない。アスベスト表面の繊維状組織は、完全に消失させる必要はなく分離浮遊不能に融着させることをもって空気浮遊塵化が阻止されるので、融着段階までとすることで、アスベスト被覆の下地である建造物自体に熱的損傷が及ばないものとすることができる。なお、この融着処理は、アスベスト被覆の除去作業の予備作業としても極めて有用である。
本発明の請求項2に記載のアスベスト被覆の光学的無害化装置の光学熱源は、熱線性光源と、熱線性光源の熱線を一方向に集光して平行光束として投光するリフレクタ筒と、リフレクタ筒の前方に配設されて熱線性光源からの平行光束を収斂性光束に変換する光学レンズ系からなり、この光学レンズ系による収斂性光束は、光学レンズ系の焦点位置において、照射対象物の表面を少なくとも1500℃に昇温することを特徴とする。
上記構成において、光学熱源が発する熱線は、リフレクタ筒によって特定方向に向けられた平行光束とされる。この平行光束は、リフレクタ筒の前方に配設される光学レンズ系を通過することによって収斂性光束に変換され、光学レンズ系の焦点位置近傍において熱線の密度が高められる。このとき、熱線性光源は、光学レンズ系の焦点位置近傍において、照射対象物を少なくとも1500℃に昇温することが可能であり、照射対象物がアスベストであるときには、これを溶融または融着状態とすることができる。
本発明の請求項3に記載のアスベスト被覆の光学的無害化装置の光学熱源は、熱線性光源と、熱線性光源の熱線を一方向に集光して平行光束として投光するリフレクタ筒と、リフレクタ筒の前方に配設されて熱線性光源からの平行光束を平面状光束に変換する光学レンズ系からなり、この際のリフレクタ筒は、断面角形に形成されて断面角形の平行光束を投光し、光学レンズ系は、断面角形の平行光束を平面状光束に変換するシリンドリカルレンズを含み、シリンドリカルレンズを経た平面状光束は、照射対象物の表面を少なくとも1500℃に加熱することを特徴とする。
上記構成においては、光学熱源から発せられる熱線は、先ず、断面角型のリフレクタ筒によって断面角形の平行光束として光学レンズ系に投光される。また、光学レンズ系には、シリンドリカルレンズが含まられている。断面角形の平行光束は、光学レンズ系を通過した際に、含まれるシリンドリカルレンズによって、漏れ光束を最少限に抑えて効率よく平面状光束に変換され、エネルギ密度が高められる。そして、熱線性光源は、平面状光束の任意の位置において照射対象物を少なくとも1500℃に昇温する容量を有する。平面状光束は、焦点を持たないので、煩雑な焦点位置調節作業を省略しての簡単な照射作業を実現することができるとともに、アスベスト被覆に対して面状の走査軌跡を描くように熱線を照射することができるので、作業効率および作業の確実性を向上させることができる。
本発明の請求項4に記載のアスベスト被覆の光学的無害化装置の光学熱源は、熱線性光源として、希ガス放電ランプを用いることを特徴とする。
上記構成は、熱線性光源の選択に関し、市販製品群から熱線性光源を入手する場合には、必要な容量および含まれる熱線の割合等の観点から、希ガス放電ランプが好適であるという趣旨である。中でも、キセノンガスを用いるキセノンバルブは、十分な赤外領域の熱線を含むとともに、極めて自然な発色を有することにより、アスベスト被覆に照射した際のアスベスト被覆表面の色調変化、すなわち、無害化された状態を明確に視認することができるので、照射作業を順調に進行することができる。また、暗所においても、作業用の投光器を兼ねるという利点を伴なう。
本発明の請求項5に記載のアスベスト被覆の光学的無害化装置は、台車に請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の光学熱源を首振り動作可能に搭載し、光学熱源用のエンジン発電機を伴なうことを特徴とする。
上記構成における台車は、光学熱源等を既設建造物のアスベスト被覆が施工されている箇所に簡易に移動させる手段として機能し、エンジン発電機は、光学熱源の移動電源である。光学熱源は、台車に首振り動作可能に搭載され、台車の移動と首振り動作とによってアスベスト被覆の表面を熱線でもれなく走査する作業内容を可能とする。なお、台車には、一般的な車両やフォークリフト等の特殊車両が含まれる。殊に、フォークリフトにおいては、リフタの上下動を利用することができる大きな利点がある。
本発明の既設建造物のアスベスト被覆の光学的無害化方法は、熱風等の空気の駆動を伴なわない熱線性光源を熱源として用い、この熱源のエネルギ密度を光学レンズ系を介して
アスベスト溶融温度程度に高めてアスベスト被覆に照射することによって、アスベスト被覆の少なくとも表面の繊維状組織を無風下において融着させ、空気浮遊塵化することを不能とすることができるので、既設建造物から悪性中皮腫等のアスベスト禍の危険性を除去することができるという効果を奏する。
本発明のアスベスト被覆の光学的無害化装置の光学熱源は、リフレクタ筒と光学レンズ系との組合わせによって熱線性光源の熱線を収斂性光束または平面状光束として集光し、そのエネルギ密度を効率よく高めることができるので、照射対象物の表面を少なくとも1500℃に昇温する能力を簡単に実現することができ、照射対象物がアスベスト被覆である場合には、これを無害化、すなわち、空気浮遊塵化しない状態に状態変化させることができる。
本発明のアスベスト被覆の光学的無害化装置は、上記発明に係る光学熱源首振り動作可能に台車に搭載し、しかも、エンジン発電機を伴なうことによって、熱線性光源に適合する適切な電源が得られない既設建造物においても、台車自体の動きと光学熱源の首振り動作とを利用して、アスベスト被覆の表面全体に熱線を照射して無害化することができる。
以下、図面を引用しながら本発明に係る既設建造物のアスベスト被覆の光学的無害化方法およびアスベスト被覆の光学的無害化装置の実施の形態を説明する。
アスベスト被覆の光学的無害化装置100は、台車10と、台車10に首振り動作可能に搭載する光学熱源20Aと、光学熱源20Aの熱線性光源X1に電力を供給するエンジン発電機30とを備えてなる(図1)。
台車10は、光学熱源20Aの機動性とアスベスト被覆の無害化作業性を高めるために使用される。この目的のための台車10は、H型鋼材を角枠形に組み上げ、天面および四周の側面に外装板を固定してなり、ベース台11の底側の四隅には、ロック機構付きの自在キャスタ12…を備える。台車10は、施工現場において手押し操作によって搭載した光学熱源20Aを簡単に移動させることができる。
台車10のベース台11上には、光学熱源20Aを首振り動作可能に支持するための一対の支持フレーム13,13が立設されている。一対の支持フレーム13,13は、所定間隔を保って配置され、一対の支持フレーム13,13の支脚部分は、水平方向の補強材14,14によって連結されている。各支持フレーム13には、光学熱源20Aを軸支するためのブラケット15が固定され、一対の支持フレーム13,13における一対のブラケット15,15は、対向姿勢となっている。そして、一方のブラケット15には、フランジタイプのサーボモータM1が取り付けられている。また、一方の支持フレーム13には、サーボモータM1を含む駆動系に指示を与えるための制御盤16が取り付けられている。
光学熱源20Aは、熱線性光源X1を収納するリフレクタ筒21とリフレクタ筒の前方に配置する光学レンズ系Lおよび光学レンズ系Lを駆動する駆動機構とからなる(図1,図2,図3)。
リフレクタ筒21は、大径の第1筒21Aと小径の第2筒21Bを直列連結してなり、第1筒21Aの端部開口には、ドーム形の反射蓋21Cによって塞がれている。第1筒21Aおよび反射蓋21Cは、ステンレス板から加工され、これらの内面は、境面に研磨されている。熱線性光源X1には、出力6KWのキセノンランプが用いられ、この熱線性光源X1は、反射蓋21Cの直前位置に配置されている。なお、反射蓋21Cと熱線性光源X1との間には、冷却ファン22介装される。また、第1筒21Aの外周面には、ねじ孔付きの一対のフランジ23,23が固定されている。
リフレクタ筒21を構成する第2筒21Bの内部は、耐熱性の赤色塗料によって塗装され、前端開口部寄りには、紫外線フィルタ24が嵌め込まれている。これらはいずれも熱線性光源X1からの紫外線成分が外部に漏出するのを最少限に抑える。第2筒21Bの外周部には、一対の軸ブラケット25,25が固定され、送りねじ26,26を介して光学レンズ系Lを支持している。各軸ブラケット25,25には、送りねじ26,26を回転駆動するサーボモータM2,M2は取り付けられ、光学レンズ系Lは、ねじブラケット27,27を介して送りねじ26,26に支持されている。したがって、一対のサーボモータM1,M2を同期駆動することによって、光学レンズ系Lは、平行移動する態様で移動することができる。なお、本実施の形態における光学レンズ系Lは、非球面の凸レンズL1のみからなる単一レンズ系である。
光学熱源20Aは、リフレクタ筒21の第1通21Aの固定されたフランジ23,23を台車10の支持フレーム13に取り付けられたサーボモータM1のフランジとを連結することによって、台車10に対してサーボモータM1を介して首振り動作可能に搭載されている。光学熱源20Aの首振り動作範囲は、左右に120度、合計240度に及んで確保され、アスベスト被覆の無害化作業時の首振り動作範囲は、制御盤16で任意の角度範囲に設定することができる。そして、光学熱源20Aは、設定された角度範囲で往復するように制御される。
なお、エンジン発電機30は、低圧大電流DC出力を主体とし、AC出力を補助とする
もので、DC30Vで150A〜200Aの容量を有するものが好ましい。キセノンランプは、一般に低圧DC点火されるからであり、施工現場でこの種の電源を入手することは期待できないことに対する対策である。市販品としては、電気溶接用途のエンジン発電機30から選択することができる。
光学熱源20Aにおける熱線性光源X1から放射された熱線は、第1筒21A内で反射され、第2筒21Bを通過して平行光束K1として一方向に向けて放射される(図3)。ここで、第1筒21Aに対して第2筒21Bを小径としているのは、放射される平行光束K1に乱反射成分ができるだけ混入しないようにするためである。しかし、一定限度の乱反射成分の混入は許容されるものとする。
リフレクタ筒21から放射された平行光束K1は、非球面の凸レンズL1を通過することのよって、焦点F位置に向かう収斂性光束K2となり、焦点F位置において、照射対象物を約3000度に昇温する能力を有する。アスベスト被覆の繊維状組織を融着する目的における所要温度は、約1500℃であり、光学熱源20は、焦点F位置を含む前後位置にこのような有効温度範囲D1を有する(図4)。なお、送りねじ26による凸レンズL1の駆動は、焦点F距離F1を変化させるものではなく、収斂性光束K2の有効温度範囲D1を照射対象物に一致させるためである。
収斂性光束K2の有効温度範囲D1を照射対象物の一致させながらの作業は、現実問題としては、かなり煩わしい。また、有効温度範囲D1内において昇温能力が大きく変化することも、作業成果の均一性の観点から好ましいことではない。そこで、光学熱源20Aにおける光学レンズ系Lは、凸レンズL1に凹レンズL2を組み合わせ、必要な昇温能力にまで収斂した後は、平行光束として放射するようにすることができる(図5,図6)。
光学熱源20Aの第2筒21Bには、送りねじ26,26に替えて単なるステー26b,26bが取り付けられ、ステー26b,26bの先端部には、予めレンズ間距離F2を決定して組み合わされた光学レンズ系Lが取り付けられている。熱線性光源X1からの熱線は、凸レンズL1と凹レンズL2とを経て、1500℃程度の昇温能力を有する断面円形の平行光束として放射される。したがって、最終的に放射される平行光束には、有効温度範囲D1といった使用制限要素がないので、極めて便利である。しかし、エネルギが減衰しないということはないのであり、光学レンズ系Lの近くの部分を使用することが望ましい。
光学熱源20Aは、平面状光束K3を放射するように構成することもできる(図7)。そして、この場合には、容易に熱線性光源X1を並設することも可能である。
リフレクタ筒21は、幅寸法を増大させた角筒形の第1筒21Aと第2筒21Bと反射蓋21Cとからなり、反射蓋21Cの前方には、3基の熱線性光源X1…が設置されている。第2筒の内部は、乱反射成分を抑えるためのセパレータ21S,21Sによって区画され、均一な平行光束K1投光することができる。リフレクタ筒21の左右の側面には、光学熱源20Aを支持するためのフランジ23,23が固定されている。
光学レンズ系Lは、リフレクタ筒21の左右から前方に向けて突設する一対のステー26b,26bに取り付けられている。光学レンズ系Lは、リフレクタ筒21からの平行光束K1を収斂性光束K2に変換するシリンドリカル凸レンズL3と、収斂性光束K2を平面状光束K3に変換するシリンドリカル凹レンズL4との組合わせからなり、最終的に放射される平面状光束K3は、いずれの部分においても、照射対象物を1500℃に昇温するエネルギ密度を有する。この光学熱源20Aは、首振り動作によって平面状光束K3の幅相当の帯状に照射対象物に均一な熱線を照射することができることが特徴となる。
台車10は、寸法的な設計変更のみによって、いずれの形態の熱線性光源20Aをも搭載することができ、アスベスト被覆ASの光学的無害化装置100は、搭載した熱線性光源20AをサーボモータM1を介して首振り動作させながら、既設建造物Hに施工されたアスベスト被覆ASを無害化処理することができる(図8)。
作業要領は、施工現場の既設建造物のアスベスト被覆された壁面H1や天井面H2に木質部がないことを確認する。木質部に対してアスベスト被覆ASが施工されることは、通常ないことであるが、念のためである。木質部が存在する場合には、熱線の照射には、厳重な目視が必要となる。現場に台車10を固定し、制御盤に光学熱源の首振り動作範囲を入力した上で作動させる。余り大きな首振り動作範囲を設定しないことが均一な作業進行上好ましい。
作業は、例えば、光学熱源20Aの首振り動作5回ごとに、台車10を移動させるように、現場の状況にしたがって規則性を持たせて行なう。これによって、壁面H1や天井面H2全体をもれなく熱線によって走査することができる。なお、熱線の照射漏れは、目視によっても確認することができる。熱線の照射によってアスベスト被覆ASの色調と質感が変化するからである。すなわち、熱線照射前のアスベスト被覆ASの表面には、起毛状態の無数の繊維状組織A1…が観察されるが(図9(A))、熱線照射後は、繊維状組織A1…が、互いに融着した状態となり(図9(B))、空気浮遊塵化する危険性、つまり、人体に害を及ぼす危険性が解消される。
なお、光学熱源20は、無炎、無臭、無風、無排気、高温のクリーンな熱源であることから、精度の高いデータ収集が必要とされる分析装置や熱分解実験装置等の熱源としての適合性を有し、この方面への活用も期待される。
アスベスト被覆の光学的無害化装置の実施の形態を示す斜視図である。 上記光学的無害化装置の要部の分解斜視図である。 上記光学的無害化装置の縦断面による動作説明図である。 上記光学的無害化装置の縦断面による動作説明図である。 アスベスト被覆の光学的無害化装置の他の実施の形態を示す斜視図である。 上記光学的無害化装置の縦断面による動作説明図である。 アスベスト被覆の光学的無害化装置の他の実施の形態を示す要部の分解斜視図である。 アスベスト被覆の光学的無害化装置の使用状態説明図である。 アスベスト被覆の状態変化を示す断面図である。
符号の説明
H 既設建造物
AS アスベスト被覆
A1 繊維状組織
X1 熱線性光源
L 光学レンズ系
L3 シリンドリカル凸レンズ
L4 シリンドリカル凹レンズ
F 焦点
K1 平行光束
K2 収斂性光束
K3 平面状光束
100 光学的無害化装置
10 台車
20A 光学熱源
21 リフレクタ筒
30 エンジン発電機


Claims (5)

  1. 既設建造物等に施工されたアスベスト被覆に対して、離れた位置に熱線性光源を配置し、熱線性光源から放射される熱線を光学レンズ系を介して収斂性光束または平面状光束とすることによって、光学レンズ系の焦点位置近傍または平面状光束の任意位置においてアスベスト溶融温度を実現し、収斂性光束の焦点位置または平面状光束によってアスベスト被覆の表面を走査するように照射し、既設建造物等に施工されたアスベスト被覆の少なくとも表面の繊維状組織を無風下において融着させることを特徴とするアスベスト被覆の光学的無害化方法。
  2. 熱線性光源と、該熱線性光源の熱線を一方向に集光して平行光束として投光するリフレクタ筒と、該リフレクタ筒の前方に配設されて該熱線性光源からの平行光束を収斂性光束に変換する光学レンズ系からなり、
    該光学レンズ系による収斂性光束は、光学レンズ系の焦点位置において、照射対象物の表面を少なくとも1500℃に昇温することを特徴とするアスベスト被覆の光学的無害化装置の光学熱源。
  3. 熱線性光源と、該熱線性光源の熱線を一方向に集光して平行光束として投光するリフレクタ筒と、該リフレクタ筒の前方に配設されて該熱線性光源からの平行光束を平面状光束に変換する光学レンズ系からなり、
    前記リフレクタ筒は、断面角形に形成されて断面角形の平行光束を投光し、前記光学レンズ系は、断面角形の平行光束を平面状光束に変換するシリンドリカルレンズを含み、該シリンドリカルレンズを経た平面状光束は、照射対象物の表面を少なくとも1500℃に昇温することを特徴とするアスベスト被覆の光学的無害化装置の光学熱源。
  4. 前記熱線性光源が希ガス放電ランプであることを特徴とする請求項2ないし請求項3のいずれか1項に記載のアスベスト被覆の光学的無害化装置の光学熱源。
  5. 台車に請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の光学熱源を首振り動作可能に搭載し、前記熱線性光源用のエンジン発電機を伴なってなるアスベスト被覆の光学的無害化装置。

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