本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を、図面に基づいて以下の項目に分けて説明する。
A.遊技機の構成:
A1.全体構成:
A2.遊技領域:
A3.可変入賞装置と遊技領域との関係:
A4.本体枠3:
A5.背面構造:
B.可変入賞装置91:
B1.全体構成:
B2.可動片456:
B3.第1転動演出装置:
B4.第2転動演出装置:
B5.第3転動演出装置:
B6.ワープ通路:
B7.可変入賞装置91の組み付け:
C.主基板及び周辺基板の機能的構成:
C1.全体構成:
C2.通信回路構成:
C3.主制御基板のコマンド送信:
C4.払出制御基板のコマンド受信:
C5.通信回路構成の変形例:
D.遊技処理:
D1.遊技内容:
D2.ゼネラルフロー:
D3.遊技処理:
D4.変動開始処理:
D5.変動表示パターン設定処理:
D6.変動中処理:
D7.役物用入賞口開閉処理:
D8.大当り遊技開始処理:
D9.大当り遊技中処理:
E.演出表示:
E1.主基板の機能ブロック:
E2.周辺基板の機能ブロック:
E3.演出表示画面例:
E4.特定演出態様:
E5.演出表示処理:
E6.第2演出態様表示処理:
E7.第3演出態様表示処理:
E8.特定演出態様表示処理:
E9.特別特定演出態様の演出例:
F.留保記憶の表示制御:
F1.表示制御例:
F2.留保記憶の表示態様例:
F3.留保記憶の表示制御の変形例(1):
F4.留保記憶の表示制御の変形例(2):
G.役物用入賞口92の開閉制御:
G1.大入賞口制御処理:
G2.大入賞口の駆動回路:
A.遊技機の構成:
A1.全体構成:
図1は実施例としてのパチンコ機1の全体構成を示す斜視図である。外枠2、本体枠3、前面枠4を開いた状態を示した。図の煩雑化を回避するため、遊技領域の装飾部材は図示を省略した。これらの枠は、ヒンジ機構7によって、開閉可能に連結されている。
外枠2は、縦長四角形の木製枠である。外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6が設けられている。
本体枠3は、下受板6の上側にはまる形状となっている。本体枠3の外形を規定する前枠体11は、合成樹脂材製の矩形枠である。前枠体11の前下部左側にはスピーカ装着板17およびスピーカ18が装着されている。下部には、遊技球の発射レール19が傾斜して装着されている。前枠体11の下には下部前面板30が装着されている。下部前面板30の略中央部には、遊技球を貯留する下皿31が設けられ、右側には操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
本体枠3には、遊技盤5が取り付けられている。遊技盤5は、本体枠3に前方から着脱可能に嵌込める四角板状をなしている。遊技盤5の前面(以下、「盤面」と呼ぶこともある)には、遊技球をガイドする外レール76、内レール77を備えた案内レール78が設けられている。案内レールの内側が遊技領域37となる。発射レール19と案内レール78との間には、発射時の勢いが不十分で案内レール78を逆戻りしてきた遊技球を下皿31に排出するための隙間が設けられている。
前面枠4はヒンジ機構36によって開閉可能に装着されている。前面枠4には、遊技盤5の遊技領域37に合わせて略円形の開口窓38が形成されている。前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形の窓枠39が設けられ、ガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。
前枠体11の自由端側には、外枠2、本体枠3、前面枠4を閉状態で施錠するための施錠装置70が装着されている。施錠装置70の本体枠施錠フック72は、外枠2の閉止具71に係合することで、外枠2と本体枠3とを施錠する。扉施錠フック74は、前面枠4の閉止具73と係合して、前面枠4と本体枠3とを施錠する。これらの施錠および解錠は、シリンダー錠75の鍵操作で可能である。
図2はパチンコ機1の正面図である。前面枠4、本体枠3、外枠2を閉じた状態を示した。本体枠3と外枠2は、図中左側の上下に示した外枠側ヒンジ具14および本体枠側ヒンジ具15を有するヒンジ機構7によって連結されている。
前面枠4の下部には上皿51が設けられ、その左側には、遊技者が操作するためのボタン60が設けられている。開口窓38の周囲には、左右両側部にサイド装飾装置52が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され、合成樹脂材で形成されたサイド装飾体54で覆った構成となっている。サイド装飾体54には、横長のスリットが複数配列されており、各スリットには、レンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58等で構成されたユニットである。
下部に設けられた下部前面板30には、先に説明した通り、球排出レバー34を備えた下皿31および灰皿33、操作ハンドル32が設けられている。その上方には、シリンダー錠75が設けられている。
A2.遊技領域:
図3は遊技領域37の構成を示す拡大正面図である。遊技領域37内には適宜位置に風車90が設けられている。多数の障害釘もゲージ配列されているが、図示を省略した。遊技領域37のほぼ中央には、貫設された組付孔が設けられており、ここに可変入賞装置91が嵌込まれている。この可変入賞装置91は、図3にも示すように、遊技領域の比較的広い範囲内を占めるような大きさとされており、一目で認識できるものとなっている。これにより、本例のパチンコ機1を容易に識別することができると共に、遊技者の関心を引き付け易いようになっている。
可変入賞装置91は額縁状の装飾体を有し、その上縁部または左右側縁部には、遊技盤5に沿って流下する遊技球を可変入賞装置91の裏側に取り込んだ後に、可変入賞装置91の途中または下縁部から再び遊技盤面に放出するための通路(以下、「ワープ通路」と称する)が設けられている。
可変入賞装置91の上方には、可変入賞装置内に遊技球を取り込むための役物用入賞口92が開閉可能に備えられている。可変入賞装置91の内部中央には、揺動可能な第1転動演出装置95が備えられている。役物用入賞口92から取り込まれた遊技球は、第1転動演出装置95の揺動に応じて図中左右いずれかの方向に転動し、右端または左端から放出される。
第1転動演出装置95の右端には、大当り入賞口93又はハズレ入賞口94、および回転しながら遊技球をこれらの入賞口93、94の何れかに導く第3転動演出装置101が備えられている。第1転動演出装置95の左端には、遊技球を図中右方向に向かって押打する第2転動演出装置100が設けられ、第1転動演出装置95の下側には、押打された遊技球を第3転動演出装置101に案内するための第4転動演出装置102が備えられている。
可変入賞装置91の内側にはその背面に演出表示装置115が配設されている。演出表示装置115は、表示面が可変入賞装置91の開口窓に臨むよう装着されている。演出表示装置115には、動画等の画像、或いは可動部材の動作等による演出表示が行われる。演出表示装置115としては、液晶表示装置、EL表示装置、プラズマ表示装置、及びCRT等を用いることができる。
可変入賞装置91の下方には、一対の始動入賞口96が左右に並べて配置されている。始動入賞口96に遊技球が入球すると賞球の払出が行われるとともに、所定の抽選が行われその抽選結果に応じて可変入賞装置91の役物用入賞口92が開閉するようになっている。遊技領域37には一般入賞口98が3カ所配置されている。一般入賞口98に遊技球が入球すると賞球の払出が行われる。このとき、可変入賞装置91は動作しない。
可変入賞装置91内において、演出表示装置115の上側には、抽選結果を表示するための特別図柄表示器121が備えられている。抽選時に特別図柄表示器121が行う一連の表示、即ち変動表示の開始から表示結果の停止表示までの一連の表示を「特別図柄の表示」、または「特別図柄」と呼ぶ。特別図柄表示器121での特別図柄の表示に合わせた演出表示として、演出表示装置115では、例えば、キャラクタの動画表示などの識別情報の変動表示が行われる。
遊技領域37の図中右上には、抽選結果の留保記憶を表示する留保表示器122が外周に沿って備えられている。抽選結果の留保記憶は、通常表示態様及び特別表示態様の2種類の表示態様で、演出表示装置115にも表示される。通常の遊技状態においては、遊技球が大当り受入口93に入賞する可能性の有無に関わらず通常表示態様が用いられる。大当り遊技の終了時点で記憶されている留保記憶がある場合には、役物用入賞口92に入賞した遊技球が大当り受入口93に入賞する可能性の有無に応じて、通常表示態様と特別表示態様を使い分けた表示が行われる。通常表示態様は、大当り受入口93への入賞の可能性がない場合に用いられ、特別表示態様は可能性がある場合に用いられる。
A3.役物と遊技領域との関係:
図4は遊技領域における役物等の配置構成を示す正面図である。図示するように、可変入賞装置91の左右方向の幅W1は、遊技領域37の最大幅W2に対して、80%〜95%となっており、可変入賞装置91が遊技領域37に占める割合が、従来のパチンコ機と比較して、大きいものとなっている。これにより、遊技者の視線に大きく可変入賞装置91が入り、インパクトのあるパチンコ機1となっていると共に、他のパチンコ機との識別性を高めることができ、遊技者に注目させて遊技させ易くすることのできるものとなっている。可変入賞装置91の左右両端と、遊技領域37の外周縁との間の最小隙間Sは、遊技球Bの直径に対して1.5〜6倍の大きさとすることが好ましく、1.5〜4倍の大きさとすることがより望ましい。隙間Sは左右不均等でも良い。
可変入賞装置91の下方には、始動入賞口96、及び一般入賞口98が配置されている。始動入賞口96は、ワープ通路510の流出口513の直下に配置されている。これにより、ワープ通路510の流出口513から流出した遊技球Bが、始動入賞口96に入る可能性が高くなるようになっており、遊技者にワープ通路510の有用性を示唆することができる。
始動入賞口96の斜め左上および右上には、一般入賞口98が夫々配置されている。これにより、ワープ通路510の吐出口513から流出した遊技球Bが、始動入賞口96、及び一般入賞口98の何れかに入賞する可能性を高くすることができ、何れの入賞口に入賞するかで、遊技者の興趣を高められることが期待できるようになっている。
図示は省略するが、遊技領域37には、障害釘や風車90等の役物を適宜配置しても良く、例えば、ワープ通路510の吐出口513と始動入賞口96との間に、それらを適宜配置することで、吐出口513から流出した遊技球Bが始動入賞口96等に入賞する確率を適宜変更することが可能となり、遊技に難易度を持たせることで、遊技者の興趣を高められる効果が期待できると共に、パチンコ機1を設置するホール側の負担を軽減させることができるようになっている。
また、可変入賞装置91では、ワープ通路510の受取口511の左右外側に夫々誘導部515が配置され、可動片456が閉状態の時に、遊技球Bをワープ通路510に導くことができる範囲W3は、遊技領域37の幅W2の50%〜70%となっており、可変入賞装置91の上方に打ち込まれた遊技球Bが、ワープ通路510を介して可変入賞装置91の下方へ流出し易くなっている。
A4.本体枠3:
図5はパチンコ機1の本体枠3と遊技盤5の分解斜視図である。本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12及び機構装着体13を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。前枠体11は、外枠2(図1参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠である。前枠体11の片側の上下部には、外枠2に対して本体枠を回動可能に取り付けるための本体枠側ヒンジ具15が固定されている。
前枠体11の前側には、遊技盤装着枠12よりも下方(図中の左下側)にはスピーカボックス部16が一体に形成されている。スピーカボックス部16の前側開口部には、背面にスピーカ18が装着されたスピーカ装着板17が装着されている。前枠体11前面の下部には、図1で説明した通り、発射レール19が傾斜して装着されている。
本体枠3には、球払出装置170を装着するための払出装置装着部135が形成されている。払出装置装着部135には、払出用モータ172を突出した状態で球払出装置170を配置可能とするための開口部173が形成されている。
図6は本体枠3の本体を斜め右上後方から示す斜視図である。本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部133、レール装着部134、及び払出装置装着部135等が形成されている。レール装着部134はタンクから貯留された遊技球を供給するためのタンクレールを構成する各部材を装着するための部材であり、タンク装着部133に下方に接近して一体に形成された所定深さの凹部である。凹部の奥側壁がタンクレールの前壁部151となる。凹部の下面は図6中の左端から右端下傾する傾斜状のレール棚155となる。レール棚155の横方向に延びる上向き面をレール受け部158と呼ぶ。
機構装着体13には、本体枠3の一側辺に上下方向に沿って、縦長の払出装置装着部135が形成されている。払出装置装着部135は、後述する球払出装置(球払出ユニット)を装着するための凹部である。払出装置装着部135の奥は、段差状をなしており、球払出装置170の払出用モータ172(図5参照)が突出可能な開口部173が形成されている。
図7は本体枠3の背面斜視図である。図6で説明した本体枠3に遊技球を貯留、供給するための機構を装着した状態を示した。タンク装着部133(図6)の背面には球タンク136が装着される。球タンク136は、上方に開口し、島設備から供給される多数の遊技球を貯留可能な形状の箱である。球タンク136は、透明な合成樹脂で形成されており、遊技球の貯留状態が視認可能である。球タンク136の底板部137の遊技球を放出する放出口138が形成されており、底板部137は放出口138に向けて傾斜している。
レール装着部134(図6)には、タンクレール150を構成する部材が装着される。レール構成部材139は、タンクレール150の壁となる後壁部152と、傾斜した下板部とを一体に備えている。レール棚155(図6)の端、タンクレール150の後壁部、および球タンク136の後側壁は、略同一面をなすよう配置されている。レール構成部材139は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材139の後壁部152を透して視認可能となっている。
図7では図示していないが、下板部の上面には、中央に技球が流れる方向に沿って仕切り壁が下板部と一体に突設されている。仕切り壁は、流路を複数列(この実施形態では2列)に区切る機能を奏する。球タンク136の放出口138から自重で流れ出た遊技球は、タンクレール150に受けられた後、仕切り壁で区切られたそれぞれの流路を自重で流れる。
タンクレール150の上方には、レール通路を流れる遊技球が上下に重なることを抑制するための整流体156が設けられている。整流体156は、上部の軸157を中心として揺動可能に装着されており、その中央部から下部において錘が設けられている。
払出装置装着部135には、球払出装置170が装着される。球払出装置170は、払出装置装着部135に後方から嵌込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着される。球払出装置170の背面は、払出装置装着部135の後縁、球タンク136、タンクレール150と略同一面をなしている。
球払出装置170内部には、タンクレール150のレール通路に連通する球通路が複数列(例えば前後2列)形成されている。球払出装置170の前後方向の位置は、レール通路からの遊技球が球払出装置170の球通路に流れ込むよう調整されている。これらの球通路は下流部でそれぞれ賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路とに二股に分岐されている。この分岐には、正逆回転可能な回転体によって遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための払出部材(図示しない)が配設されている。
本体枠3の後下部領域のヒンジ寄り部分には、スピーカボックス部16の後ろ側に下皿用球誘導体253が装着されている。下皿用球誘導体253は、上皿51が遊技球で満杯のときに、球払出装置170から上皿に払い出される遊技球を下皿31に導くための部材である。下皿用球誘導体253の後壁外面には、インタフェース基板252を収納する基板ボックス254が装着されている。インタフェース基板252は、パチンコ機1に隣接して設置される球貸機と払出制御基板197との間で、球貸に関する信号を送受信するための基板である。
機構装着体13の側壁部の上下及び中間の計3箇所には、ヒンジ体214が形成されている。ヒンジ体214は、後述する通り、本体枠3の背面の一部を覆うカバーを開閉可能に取り付けるヒンジ機構を構成する部材である。
図8は遊技盤5の背面斜視図である。遊技盤5の背面には表示装置制御基板ボックス117及び主制御基板ボックス132が取り付けられる。表示装置制御基板ボックス117の内部には、演出表示装置115の表示を制御するための表示装置制御基板116が装着されている。
図9は本体枠3を外枠2に取り付けた状態の背面斜視図である。演出表示装置115は中央やや上よりに設置される。
A5.背面構造:
図10はパチンコ機1の後側全体を示す背面図である。遊技盤5の後側下部には、ボックス装着台118が設けられている。ボックス装着台118は、遊技盤5の各入賞装置に流入した遊技球を受け所定位置まで導く集合樋としての機能を有している。ボックス装着台118は、副制御基板ボックス130、主制御基板ボックス132を取り付けるボックス装着部としての機能も有している。副制御基板ボックス130は、音声制御基板、ランプ制御基板等の副制御基板119を収納するボックスである。主制御基板ボックス132は、主制御基板131を収納するボックスである。主制御基板ボックス132は副制御基板ボックス130の後側に重ね合わされた状態で装着される。ボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132は、遊技盤5の外郭より外側にはみ出さないよう配置されている。このように配置することにより、遊技盤5にボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132を装着した状態で、本体枠3の前方から遊技盤5を嵌込んで装着することが可能となる。
本体枠3の後下部領域の片側(図10に向かって左側)には、発射装置ユニット194が装着されている。発射装置ユニット194は、発射レール19(図5)から遊技球を発射するための発射ハンマーを駆動する発射モータ192等を取付基板193に組み付けて構成されている。後下部領域の略中央部には、電源基板195を収容する電源基板ボックス196が装着されている。電源基板ボックス196の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板197を収容する払出制御基板ボックス198が装着されている。払出制御基板197は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板131から送信される払出用信号に従って遊技球を払い出す制御信号を出力して払出用モータ172を制御する。
後カバー体210は、可変入賞装置91、演出表示装置115を背面から覆う部材である。後カバー体210は、透明な合成樹脂材で形成されており、カバーヒンジ機構211によって開閉、着脱可能に装着されている。後ろカバー体210の一方の側部には、ヒンジ体216が一体的に形成されている。ヒンジ体216には下向きにヒンジピン215が形成されており、ヒンジピン215がヒンジ体214(図7)のヒンジ孔に、上方から嵌込まれることでカバーヒンジ機構211が構成される。
図11はパチンコ機1の後側全体を示す斜視図である。後カバー体210には、後壁部212と、その後壁部212の外周縁に直立する周壁部213とが一体的に形成されている。図10で説明したヒンジ体216は、周壁部213の一方の壁部213aに一体に形成されている。壁部213aに対向する壁部213bには、弾性閉止体217が一体に形成されている。弾性閉止体217は、払出装置装着部135の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合する係止爪であり、後カバー体210を閉じた状態で保持するための部材である。
後カバー体210の上側壁部213cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体237が上方のタンクレール150の後壁面(レール構成部材139の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体237の先端部には、同コード保持体237を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。電源コードは、その一端が分電基板238の基板コネクタ239に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。後カバー体210のコード保持体237は、電源コードを保持することで、パチンコ機を運搬、保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
B.可変入賞装置91の構成:
B1.全体構成:
図12は本実施形態における可変入賞装置の一例を示す正面図である。可変入賞装置91の上部には、遊技球が進入可能な役物用入賞口92が設けられている。役物用入賞口92は、可変入賞装置91の中央上部に配置され、可変入賞装置91内に遊技球が進入する際の通路となる開口部である。本実施例では、役物用入賞口92は、大きく口を開けたキャラクタ体455の口とされており、遊技球がキャラクタ体455に飲み込まれる雰囲気を醸し出すことで遊技の面白味を高める効果を奏する。
役物用入賞口92には、キャラクタ体455の口の左右両側に左右一対の可動片456(羽根部材)が配置されている。可動片456の間には、遊技球を可変入賞装置内部へと導くための球入口457が設けられている。球入口457には、通過した遊技球を検出する遊技球検出センサとしてのカウントセンサ319が設けられている。
役物用入賞口92に入球した遊技球は、カウントセンサ319を通過した後、受渡口458から第1転動演出装置95上に放出される。第1転動演出装置95は、揺動することで、遊技球を転動させ、二方のうちの何れか一方に放出する。図12の右側には、第1転動演出装置95の他方の放出側(図12中右側)には第3転動演出装置101が配置されている。第3転動演出装置101付近には、放出された遊技球の流れを整流するための第1整流手段500bが設けられている。第3転動演出装置101は回転しており、第1転動演出装置95から放出された遊技球は、放出のタイミングに応じて大当り受入口93又はハズレ受入口94の何れかに入賞する。
本実施例では、カウントセンサ319が、可変入賞装置91の左側に偏って配置されている。従って、遊技球Bはガイド部材491の左側に偏って供給されることとなり、ガイド部材491の左側からの放出確率が右側からの放出確率に比べて高くなっている。この結果、第2転動演出装置100側へ放出される機会を増やすことができ、第2転動演出装置100による遊技をより楽しませることができると共に、ガイド部材491の回動だけで有利遊技状態が決まってしまう遊技よりも、ガイド部材491と第2転動演出装置100とによる二段階に亘って有利遊技状態の発生が期待できる遊技とすることができ、より興趣の高められるものとすることができるようになっている。
役物用入賞口92は、可変入賞装置91の左右方向の略中央に配置されているので、役物用入賞口92に進入した遊技球Bが、一見するとガイド部材491の中心に供給されるように認識させ、ガイド部材491による左右への振り分けが均等に振り分けられているように認識させることができ、遊技者には役物用入賞口92への遊技球Bの進入に対して常に期待感を持たせるようにすることができ、興趣が低下するのを防止することができる。一方、パチンコ機1を設置するホール側等では、大当り受入口93の配置された右側端部から流出する割合が低いので、有利遊技状態が発生する機会が抑制され、ホール側等の負担が増加するのを防止することができるようになっている。
第2転動演出装置100は、第1転動演出装置95の図中左側に配置されており、放出された遊技球をキャラクタ体533の足534で押打可能となっている。押打された遊技球は、第4転動演出装置102によって、第3転動演出装置101に案内される。第2転動演出装置100付近には、放出された遊技球の流れを整流するための第1整流手段500aが設けられている。第1整流手段500aは、その左側に上下方向に延びる仕切り部501と、仕切り部501の下端に遊技球を受けると共に可変入賞装置91の奥へと導く受部502と、受部502の下側に配置され受部502により受けられた遊技球を遊技領域へと流出させる流出口503とを備えている。第1整流手段500aにより受けられた遊技球は、仕切り部501及び受部502により整流され、流出口503からその下方に配置された第2転動演出装置100に送られるようになっている。第1整流手段500aには、通過する遊技球Bを検出するための遊技球センサ361が配置されている。
役物用入賞口92の外側にはワープ通路510が備えられている。ワープ通路510は、可変入賞装置91に入らなかった遊技球を、第1転動演出装置95及び第4転動演出装置102に当たらないよう迂回させて可変入賞装置91の下側に放出するための通路である。ワープ通路510の受取口511は、役物用入賞口92の可動片456が開いた時に上方が略覆われる位置及び大きさとされている。これにより、ワープ通路510の受取口511を狙って遊技球Bを打ち込めば、可動片456が開いた時に役物用入賞口92へと入賞させることができるため、始動口96を狙う打ち込み操作と、役物用入賞口92を狙う打ち込み操作とを略同じ操作とすることができ、遊技球Bの打ち込み操作が煩雑となって興趣が低下するのを抑制できる。
可変入賞装置91には、遊技球Bを、ワープ通路510の受取口511に導く誘導部515が備えられている。誘導部515は、受取口511に向かって下方に傾斜する傾斜面とされている。誘導部515の作用により、受取口511に受入れられる遊技球Bの流下範囲を、広くすることができる。
本実施例では、ワープ通路510を設けることによって、役物用入賞口92に入賞しなかった遊技球が、受渡口458以外の部位からガイド部材491に入り込むのを防ぐことができる。これにより、正規に可変入賞装置91内に入賞し、ガイド部材491及び第4転動演出装置102上にある遊技球の動きを、他の遊技球が阻害することを防止できる。
図13は可変入賞装置91の斜視図である。可変入賞装置91の裏面には、可動片456を駆動するためのソレノイド331が配置されている。ソレノイド331を駆動すると、その直線運動がリンク機構470を介して駆動軸471を回動運動させることで可動片456が回動する。
本実施例では、後述する通り、可変入賞装置91は当りの態様に応じて種々の動作モードで動作される。ソレノイド331を駆動するための回路および制御処理も、これらの複数の動作モードに対応可能な構成となっている。ただし、この構成については、一旦、パチンコ機1全体の構造およびパチンコ機1で実現される遊技内容全体の説明を完了した後、改めて説明する。
B2.可動片456:
図14は可動片456の動作を示す説明図である。図14(A)は本実施形態の役物用入賞口を示す正面図である。図14(A)に示すように、可動片456は役物用入賞口92を開閉するよう回動する。可動片456の先端が離反する方向に回動すると、可変入賞装置92内に遊技球が入球可能となる。逆に、可動片456の先端が接近する方向に回動すると、可変入賞装置92内への入球が不能となる。
図14(B)は可動片456の動作を示す拡大図である。主可動片472は、ソレノイド331の駆動により回動駆動される駆動軸471を中心として回動する。副可動片474は、主可動片472の回動に伴って、回動軸473を回転中心として回動する。回動軸473の位置は、主可動片472の駆動軸471からずれている。
図14(B)の実線における副可動片474の上面は、ほぼ平らに形成され、可動片474が開かれた時に、遊技球を誘導するための誘導面479を構成する。副可動片474には、ガイド部477、即ち誘導面479とほぼ平行に形成されたスリットが設けられている。
主可動片472の回動延出部475の先端には、遊技球を誘導するための誘導部476が形成されている。、回動延出部475には、副可動片474のガイド部477に係合するための突起である被ガイド部478も形成されている。
回動軸473、ガイド部477および被ガイド部478は夫々駆動軸471よりも上方に配置されており、駆動軸471を中心とした主可動片472の回転半径が、回動軸473を中心とした副可動片474の回転半径よりも大とされている。この状態で、主可動片472が回動すると、被ガイド部478がガイド部477をスライドすることにより、副可動片474を回動させる。
可動片456は、図14(B)において一点鎖線および二点鎖線で示すように、役物用入賞口92を閉鎖する位置(第1姿勢)にある場合、被ガイド部478はガイド部477の回動軸473に接近する端部に位置し、誘導部476が誘導面479上に大きく重なるように位置する。
この状態からソレノイド331の駆動によって駆動軸471を回動(図中反時計回り)させると、可動片456は、図中実線で示すように、役物用入賞口92を開放する位置(第2姿勢)に回動する。その際に、主可動片472の被ガイド部478は、副可動片474のガイド部477内を回動軸473から遠ざかる方向に移動する。この状態では、図示するように、主可動片472の誘導部476が副可動片474の誘導面479上に重なる部分が少なくなり、誘導部476が誘導面479よりも外側に飛出した位置となる。
このように、可動片456は開く時に、誘導部476が誘導面479の先端よりも外側に突出した位置に至るまで、誘導部476がガイド部477に沿って相対移動するので、可動片456が長くなったように見える。これにより、遊技者に遊技球が役物用入賞口92に入賞し易いものと思わせることが可能となり、数ある遊技機の中から取り分け本実施形態のパチンコ機1で遊技したいと思わせることができると共に、入賞への期待感が高められ興趣を高めることができる。実際には、開放された一対の可動片456の開口幅は変化しないので、見た目よりは入賞する割合は増加せず必要以上に興趣が高くなるのを抑制すると共に、ホール側の負担が増加するのを抑制することができるようになっている。
可動片456の可動範囲は、駆動軸471の回動範囲、ひいてはソレノイド331におけるプランジャの可動範囲によって規制される。この他、ガイド部477の寸法に応じて被ガイド部478の可動範囲を規制することで、可動片456の可動範囲を規制してもよい。
B3.第1転動演出装置:
図15は第1転動演出装置の概略構造を示す正面図である。ガイド部材491は、左右方向に延びた長尺状の部材であり、上面に遊技球が転動可能な転動面490が形成されている。ガイド部材491は回動支持軸492によって回動可能に支持されている。ガイド部材491は、回動駆動手段493によって揺動される。ガイド部材491の揺動状況は回動検出センサ494によって検出される。
ガイド部材491には、転動面490から遊技球が前側(遊技機に対して遊技者側)に落下するのを防止する堰部495が転動面490の略全長に亘って設けられている。転動面490はその前側が低くなるように前後方向において傾斜している。これにより、転動面490上に投入された遊技球Bは、ガイド部材491の後側に配置された受渡口458に当たることなく、堰部495に沿って転動する。
図16は第1転動演出装置の斜視図である。回動駆動手段493は、モータ332と、モータ332の回転駆動を往復駆動に変換してガイド部材491に伝達する伝達機構480とから構成されている。モータ332および伝達機構480は、ケーシング486に組み付けられている。モータ332の回転は、伝達機構480によって、往復部材485の往復運動に変換される。滑動支持部材485は、往復部材485をケーシング486に支持する金属(例えば、鉄、真鍮、アルミ等)製の円柱棒である。滑動支持部材485の表面には摩擦低減層496が形成されている。この摩擦低減層496は、例えば、フッ素系樹脂としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE,(例えば、テフロン(登録商標)))による所定の厚さのコーティング膜とすることができる。摩擦低減層496の作用によって、往復部材485の滑動連結部488との間の摩擦が低減され、往復部材485は長期に亘って良好に滑動可能である。
往復部材485の往復運動は、往復部材484に外方に突出するように形成された伝達部489を往復させる。ガイド部材491の両端後面側には、後方に突出するピン497が夫々設けられている。回動駆動手段498側のピン497は、伝達部489が下側から当接する位置に配置されている。伝達部489が上昇すると、ピン497を下側から押し上げるため、ガイド部491を揺動させる。このピン497は、バネ(コイルバネ)498により下方に付勢されている。伝達部489が下降すると、ピン497はバネ498の付勢力によって下方に移動する。バネ498の付勢力は、ガイド部材491のピン497、伝達部489を介して往復部材485へと伝達されるが、本実施例では、滑動支持部材485は金属製であり十分な剛性を確保できるため、往復部材485の滑動に支障が生じない程度に滑動支持部材485の変形を抑制することができる。
回動駆動手段493とは反対側(図中右側)の端部に設けられたピン497は回動検出部499を支持している。ガイド部材491が揺動すると、回動検出部499の端部が回動検出センサ494を通過する。回動検出センサ494は、回動検出部499の通過を検出することで、ガイド部材491の揺動状態を検出することができる。
図示すように、本実施例では、モータ332は、軸芯方向がガイド部材491の長手方向とほぼ平行に配置されている。一般にモータ332の寸法は径方向の方が軸方向よりも小さい。従って、上述の配置を採ることにより、回動駆動手段493の奥行きを抑えることができ、装置の小型化を図ることができる。
図17は第1回動駆動手段493の分解斜視図である。モータ332の回転軸には第1ギア481が固定されている。第2ギア482は第1ギア481と噛合して回転する部材である。第2第2ギア482には、第2回転軸芯に対して偏芯した位置にクランクピン483が一体的に形成されている。
クランクピン483は、往復部材485に形成された長穴状のクランクピン保持溝487に保持される。往復部材485には、滑動連結部488が形成され、ここに滑動支持部材485が貫通される。滑動支持部材485はケーシング486の上下に設けられた凹部にはめ込まれて固定される。モータ332が回転すると、クランクピン483が公転し、クランクピン保持溝487をスライドする。この運動に伴って、往復部材484は滑動支持部材485に沿って略垂直方向で直線状に往復運動する。この往復運動は、往復部材484に外方に突出するように形成された伝達部489を介してガイド部材491に伝達され、先に説明した通り、ガイド部材491を揺動させる。
図18は第1転動演出装置の動作を示す説明図である。モータ332を回転させると、伝達機構480の作用によって、ガイド部材491は、回動支持軸492周りに揺動する。本実施例では、モータ332を1回転させると、ガイド部材491が、2往復揺動する。
ガイド部材491の端部には回動検出部499が設けられている。回動検出センサ494は図18(A)に示すようにガイド部材491が略水平位置となった時に回動検出部499を検出できる位置に配置されている。本実施例では、回動検出センサ494は回動検出部499が水平よりも上側にある状態(図中でガイド部材491が右上がりとなる状態)で検出状態となり、水平よりも下側にある状態(図18(B)に示すようにガイド部材491が右下がりとなる状態)で非検出状態となる。
図19は第1第1転動演出装置95での遊技球Bの動作を示す説明図である。説明の便宜上、反時計回りの揺動を正とし、時計回りの揺動を負として説明する。ガイド部材491が所定周期で揺動している状態で、転動面490に遊技球Bが供給されたとする。この時、例えばガイド部材491が図中右側に傾くと(図19(ア))、遊技球Bはガイド部材491の右端方向に転動する。
その後、ガイド部材491が正方向に揺動し、左側に傾くと(図19(イ))、遊技球Bの転動方向は左方向に変わる。但し、右側方向に転動している際の慣性力の影響があるため、遊技球Bの転動方向が左側に反転するのは、ガイド部材491の傾斜方向が変わった後、しばらく経ってからである。
以下、同様にして、ガイド部材491の揺動に応じ、遊技球Bは左右方向に転動しながら(図19(ウ)〜図19(カ))、ガイド部材491のいずれか一端に接近し、やがてガイド部材491の端部から放出される(図19(キ))。ガイド部材491の揺動は、一定周期を保つ態様の他、周期を変動させたり、時々揺動を停止したりする態様を採っても良い。
遊技球Bが放出される過程において、図19(オ)及び(カ)に示すように、ガイド部材491の右側端部の近傍まで転動した遊技球Bが、逆方向へ折り返す場合もあり、第1転動演出装置95は、遊技球Bが放出されそうでされないような動きをさせることで、遊技者をハラハラ、ドキドキさせる抑揚に富んだ演出を行うことができる。
図20は第1転動演出装置におけるモータの動作を示すタイムチャートである。本実施例では、モータ332の回転が、図示するように、回動検出センサ494により回動検出部499を4回検出する毎に、その検出から所定時間後に、モータ332を所定時間停止させる。こうすることで、ガイド部材491を右上がりの状態で所定時間停止させ、遊技球Bをガイド部材491の左側端部から放出させることができる。上記のモータ332の回転制御は、主基板310における主制御基板131のCPU314において、所定のプログラムを実行することで機能する転動演出制御手段によって制御されている。
B4.第2転動演出装置:
図21は第2転動演出装置の構成を示す説明図である。第2転動演出装置100は、可変入賞装置91において、遊技盤5に向かってガイド部材491の左側に配置される。図21(A)に示すように、第2転動演出装置100は、遊技球Bを右方向へ押打する押打部531と、押打部531を駆動する押打部駆動手段532とを備えている。押打部531は、キャラクタ体533の足534として構成されている。第2転動演出装置100には、キャラクタ体533の腕541と顔542で所定の演出動作を行う可動演出手段543も備えられている。
図21(B)は、第2転動演出装置における押打部駆動手段532の構成を示す背面図である。図示する通り、押打部駆動手段532において、押打部531は回動軸535によって回動可能に支持される。回動軸535には第1ギア536が固定されている。第1ギア536には、扇状の第2ギア537が噛合する。第2ギア537には、回転中心から所定距離離れた位置にクランクピン538が配置されている。クランクピン538はクランクピンホルダ539によって摺動可能に保持される。押打用ソレノイド325は、プランジャ540の出没(進退)により、クランクピンホルダ539を上下方向に移動させる。この上下動によって、クランクピン538が上下に動かされるため、第2ギア537が軸周りに回動し、第1ギア536を回動させる。
押打部駆動手段532は、回動軸535と第1ギア536との間に所定回転角度の遊嵌を有した回転伝達継手525を備えている。回転伝達継手525は第1回転板527と第2回転板529とから構成される。第1回転板527は、回動軸535に固定されており、第1ギア536側へ突出する二つの突起526を有している。第2回転板529は、突起526と係合する溝528を有している。第1回転板527の突起526と第2回転板529の溝528とを係合させることで回転が伝達される。回転方向に対して所定の遊びを持たせるため、溝528の幅は突起526の幅よりも大きくなっている。第1回転板527の外周には、第1回転板527を所定方向に回転(回動)するように付勢するための所定重量の錘530が取付けられている。錘530の作用については後述する。
図22は、第2転動演出装置100の分解斜視図である。押打部駆動手段532は、押打用ソレノイド325によりプランジャ540を出没させることで、回動軸535を回動させて、押打部531を回動する機構である。本実施例では、プランジャ540が押打用ソレノイド325に没入すると足534が上がり、プランジャ540を進出させると足534が下がるようになっている。
可動演出手段543では、キャラクタ体533の腕(右腕)541がその肩を中心に回動可能とされていると共に、顔(上顎から上の部分)542が上下方向にスライド可能に構成されている。腕541は、肩に相当する部位に設けられた支持ピン520で回転可能に支持されている。支持ピン520から腕541の先端(手)方向へ所定距離離れた位置にはピン状の突起521が設けられている。顔542の裏側にも、後方に突出する支持ピン522が設けられている。顔542の支持ピン522は、スライド部材546の支持部523に回転可能に軸支される。腕541の突起521にはスライド部材546の突起当接部524が下方から当接している。
可動演出手段543は、プランジャ544を出没する役物用ソレノイド362によって駆動される。プランジャ544の出没はリンク機構545の先端が回動する。リンク機構545の先端は、スライド部材546の裏面(キャラクタ体533とは反対側の面)に形成された連結部547に連結されている。役物用ソレノイド362によりスライド部材546が上昇すると、顔542が上昇すると共に、スライド部材546の突起当接部524が腕541の突起521を下から押し上げ、腕541を回動させる。顔542の支持ピン522はスライド部材546に回動可能に軸支されているので、顔542が上昇した勢いで顔542は支持部523を中心に揺動する。
図23は第2転動演出装置100における可動演出を示す説明図である。先に説明した通り、顔542は図の矢印方向に上下動し、腕541は肩を中心に図の矢印で示すように回動する。第2転動演出装置100の下側には、遊技球Bを転動可能な円弧状の受部105が設けられている。受部105の底部には、ハズレ受入口94が開口している。ハズレ受入口94に入った遊技球は、遊技領域外へ排出される。受部105内面の中心は押打部531の回動中心と略同心であり、半径は押打部531の先端が描く円弧軌跡の半径よりも若干大きい。受部105の図中右側端部は、押打部531が最も上昇した位置よりも所定距離低い位置とされ、第4転動演出手段102の上側端部(左側端部)と接続されている。
図24は第2転動演出装置における押打部の動作を示す説明図である。先に説明した通り、押打部駆動手段532の第1回転板527の外周には錘530が取付けられている。第1押打部531が図24(A)の実線で示す位置、即ち頂部よりも右側にあるときは、錘530に作用する重力は反時計回りのモーメントを生じさせる。押打部531が図中破線で示す位置、即ち頂部よりも左側に位置するときは、錘530に作用する重力は時計回りのモーメントを生じさせる。
押打部531の可動範囲は、受部105と第4転動演出装置102との境界部よりも下側の第1範囲と、受部105と第4転動演出装置102との境界部よりも上側の第2範囲に分けられる。図24(A)の破線と二点鎖線とで示す押打部531の回動範囲は第1範囲に相当し、二点鎖線と実線とで示す押打部531の回動範囲は第2範囲に相当する。第1範囲では押打部531は押打用ソレノイド325によって駆動されるが、第2範囲では錘530の付勢力により回動できる。本実施例では、錘530の重量を適宜設定することにより、押打部531が回動軸535に生じさせるモーメントの少なくとも一部を打ち消すことができるため、押打用ソレノイド325の駆動力を小さくでき、押打用ソレノイド325を小型化することができる利点もある。
第2転動演出装置100の動作について説明する。第2転動演出装置100は、役物用入賞口92のカウントセンサ319により遊技球が検出されると、押打用ソレノイド325により遊技球を押打できる位置まで押打部531を回動させる。本実施例では、カウントセンサ319により遊技球Bが検出されてから所定時間後(例えば、0.5〜2.5秒後)に押打部531を回動させるものとした。これにより、役物用入賞口92に進入した遊技球が、ガイド部材491上を揺動した後、第2転動演出手段100の方に放出されるタイミングに合わせて、押打部531で遊技球を押打可能となる。実際には、遊技球Bが第2転動演出装置100に到達するまでの時間はまちまちであり、タイミングよく押打部531が遊技球を押打できるとは限らないため、ガイド部材491上を揺動する遊技球の動きに応じて、遊技者を一層、ハラハラ、ドキドキさせて興趣を高めることができる。
図24(B)は可動演出を示している。本実施例では、後述する通り、所定の条件下でガイド部材491を第2転動演出装置100側が低くなる状態で固定することがある。この状態では、多くの遊技球が第2転動演出装置100側に放出されるため、遊技球Bが、押打部531により押打される可能性が極めて高くなる。本実施例では、このように遊技球が押打される確率が非常に高い場合に、キャラクタ体533の腕541を回動させると共に顔542を上昇させるようにした。これにより、キャラクタ体533は、図24(B)に示すような手足を曲げ大きく口を開けて頭(顔542)を揺らした独特のポーズをすることとなる。こうすることでキャラクタ体533の独特のポーズにより、チャンスの到来を遊技者に示唆することができ興趣を高められる。
図25は第2転動演出装置100における遊技球の動きを例示する説明図である。第2第2第1図25(A)は、押打部531が押打用ソレノイド325の駆動により、第1範囲の略上端部に到達したタイミングで遊技球Bが供給された場合の遊技球の動きを示している。この場合は、遊技球Bが押打部531と当接して第4転動演出装置102へと押打される。
図25(B)は、押打部531が、押打用ソレノイド325の駆動により第1範囲の上端に達した後、錘530の作用により第2範囲の上端付近に到達したタイミングで遊技球が供給された場合を例示している。この場合は、押打部531と当接した遊技球Bの力が錘530による付勢力に抗して、押打部531を下側(第2範囲の下端)へ回動させると共に、遊技球Bが押打部531と共に下降して第4転動演出装置102へと送られる。これにより、流下する遊技球Bを、一旦押打部531に受けるように当接させた上で下降させて送ることができるので、遊技球Bの動きにアクセントを付けて楽しませることができる。
図25(C)は、受部105に沿ってハズレ受入口94の方向へ転動する途中で押打つ部531に当たった場合を例示している。押打手段531が、押打用ソレノイド325の駆動により第1範囲の上端に達する前に遊技球Bが供給された場合に相当する。第1受部105を転動する遊技球Bは、その転動途中において、押打部531によって受部105に沿って上昇させられ、受部105の上端から第4転動演出装置102へと送られる。これにより、一旦は、遊技球Bがハズレ受入口94に入ってしまうだろうと遊技者を落胆させた後、再び第4転動演出装置102側に送られるため、興趣が高められ、遊技者を一喜一憂させることが可能となる。
B5.第3転動演出装置:
図26は第3転動演出装置の構造を示す説明図である。第3転動演出装置101は、第1転動演出装置95又は第2転動演出装置100から送られた遊技球Bを、大当り受入口93又はハズレ受入口94の何れかに振り分ける機構である。図26(B)は第3転動演出装置101の斜視図である。図26(B)に示す通り、第3転動演出装置101には回転体552が設けられている。回転体552は、回転体用モータ326によって回転軸553周りに回転駆動される。
回転体の周囲には、遊技球を収容する複数の収容部550が複数配置されている。収容部550は、前方側と半径方向外側が開口したU字状の溝となっている。収容部550としては、回転体552の外周からその中心部に向かって延びる長さの短い第1収容部550aと、長い第2収容部550bおよび特定収容部の3種類が用意されている。第2収容部550bと第1収容部550aの長さの差は、遊技球の直径以上である。第1収容部550aは90°間隔で周方向に4つ配置されている。第2収容部550bは、第1収容部550aで挟まれた中間に3つ配置されている。
第1収容部550aで挟まれた残り1つの領域(図中の最下部の領域)が特定収容部である。この特定収容部には特定収容部材550cが取り付けられる。特定収容部材550cは、回転体552の前後方向ともに開口しているが、半径方向には塞がれている。このため、特定収容部材550cは回転体552の回転中を通じて遊技球を特定収容部材550c内に保持しておくことが可能であり、遊技球を大当り入賞口93へと導くよう作用する。第1収容部550a、第2収容部550bは、共に遊技球をハズレ入賞口94へと導くよう作用する。
回転体552には、軸方向前方側に突出した突出部560が取り付けられる。突出部560の外周は、第2収容部550bおよび特定収容部の形状に合わせてU字状に窪んでいる。本実施例では、回転体552、突出部560、および特定収容部材550cは別部材としたが、これらを一体成形してもよい。回転体552の背面側には、大当り入賞口93を有する大当り誘導部556が設けられている。大当り誘導部556には、大当り入賞口93に入球した遊技球を大当り入賞センサ330へ導くための通路が形成されている。
図26(A)は第3転動演出装置101の断面図である。回転体552は、回転軸553に取り付けられている。回転軸553は、一組のギア555を介して回転体用モータ326によって駆動される。回転体552の外周を覆う位置には、ハズレ誘導部557が設けられている。ハズレ誘導部557は、周方向の所定位置に形成されたハズレ受入口に入球した遊技球Bをハズレ受入センサ329へ導く通路を形成する部材である。
図27は第3転動演出装置101の駆動機構の分解斜視図である。第3転動演出装置101は回転体用モータ326によって駆動される。回転体用モータ326は、駆動ケーシング部577に取り付けられている。駆動ケーシング部577は、回転軸553、回転検出部554、一組のギア555、及び、回転位置検出センサ321を収容している。回転用モータ326の動力は、ギア555を介して回転軸553に伝達される。回転軸553には回転検出部554が固定されている。回転位置検出センサ321はフォトセンサであり、回転検出部554による遮光状態に応じて、ON、OFF信号を発信する。この信号の立ち上がり又は、立ち下がりによって、回転体552の回転位置(例えば、後述の特定収容部550cの位置)を検出することが可能である。
駆動ケーシング部577の前方には種々の色の発光手段(例えば、LED)が備えられた発光基板575が配置され、発光基板575を覆うように発光収納部576が配置される。発光収納部576の前方には大当り誘導部556が装着されている。大当り誘導部556には大当り受入口93が形成されている。大当り誘導部556及び発光収納部576には、複数のレンズが形成された板状の隔壁部578a,578bが夫々形成されている。隔壁部578a,578bの間には、遊技球が転動可能な転動通路579が形成されている。転動通路579は、大当り受入口93と、大当り受入センサ330とを連絡する通路である。大当り受入センサ330は、大当り誘導部556と発光収納部576とにより挟持されている。本実施例では、回転体552、大当り誘導部556、及び発光収納部576は、透光性を有する素材で形成されている。
図28は第3転動演出装置101の正面図である。図示する通り、第3転動演出装置101には仕切部561が設けられている。仕切部561は、遊技球が第1収容部550a、第2収容部550b、及び特定収容部のいずれにも入り得る第1収容領域と、第1収容部550aへの収容が妨げられる第2収容領域とを仕切る円環状の部材である。
仕切部561は、突出部560が嵌る挿通孔562が形成された円環状の仕切板564を有している。挿通孔562の周囲には、突出部560の外周の一部を覆う直立壁で構成された被覆部565が設けられている。仕切板564の下部には、第1収容部550aに相対する大きさで扇状の開口部563が設けられている。本実施例では、開口部563の大きさは、遊技球Bの直径に対して、1.5〜3倍の大きさとされている。
仕切板564は、回転体552、突出部560および特定収容部材550cを組み付けた状態で、取り付けられる。この時、仕切板564は、突出部560の外周部分で回転体552に前方から蓋をしたような状態となる。この結果、仕切板564よりも前面側において突出部560の近傍に供給された遊技球は、第2収容部550bまたは特定収容部のいずれかにのみ収容されることになる。先に説明した通り、特定収容部は遊技球を大当り入賞口93へと導くよう作用するから、この場合は4分の1の確率で大当りが出ることになる。一方、下部の開口部563に供給された遊技球は、第1収容部550a、第2収容部550b、または特定収容部のいずれかに収容されることになる。この場合は、8分の1の確率で大当りが出ることになる。
ガイド部材491の右側端部の右斜め下には、放出された遊技球を受けるとともに、その動きを整流する第2整流手段500bが備えられている。第2整流手段500bは、キャラクタ体504のどんぶりを模して形成されており、上部が開放されたカップ形状となっている。遊技球は、第2整流手段500b内で渦巻状の軌跡を描いて旋回落下しながら整流され、第3転動演出装置101に送られる。この整流作用によって、ガイド部材491から第3転動演出装置101への遊技球の円滑な受け渡しが実現可能である。
図28中に第4転動演出装置102の概略構成を併せて示した。第4転動演出装置102は、第2転動演出装置100で押打された遊技球を第3転動演出装置101に案内するための機構である。第4転動演出装置102は、第2転動演出装置100側(以下、「上流側」と呼ぶこともある)から第3転動演出装置101側(以下、「下流側」と呼ぶこともある)へ緩く傾斜した案内面571を有している。案内面571の長さは、ガイド部材491と略同じである。案内面571の下流側先端には、第3転動演出装置101の開口部563の下縁に沿うようにして円弧状の揺動面572が設けられている。本実施例では、案内面571を滑らかな面としたものを示したが、案内面571に複数の凹凸を設けても良い。
第4転動演出装置102で第2遊技球が転動する案内面571は遊技者が遊技球の動きを認識できる程度の長さ、傾斜となっている。これにより、遊技者は、遊技球が第3転動演出装置101の特定収容部550cに収容されるタイミングで到達するか否かを楽しむことができる。遊技球は、案内面571の先端の揺動面572で揺動した後に収容部550に収容されるため、収容部550に収容されるタイミングの予測がつきにくく、より一層、遊技者をハラハラ、ドキドキさせて楽しませることができる。
図28に基づいて、第3転動演出装置101の動作について説明する。まず、回転体552が、時計回りに所定速度で回転している状態で、ガイド部材491の右側端部から遊技球が放出されたとする。この遊技球は、第2整流手段500bを介して第3転動演出装置101に供給される。遊技球は、仕切部561によって第1収容部550aに入ることは妨げられるため、第2収容部550bまたは特定収容部のいずれかに収容される。遊技球は、当初は軸中心側に位置しているが、回転体552が90°以上回転すると、重力によって外周側に移動する。
第2転動演出装置100で押打された遊技球は、案内面571上を転動し、揺動面572上を左右に往復した後に、開口部563を経て、回転体552に備えられたいずれかの収容部550に収容される。
図29は特定収容部に収容された遊技球の動きを示す説明図である。図29(A)は遊技球が特定収容部に収容され、最下端に位置している状態を示している。図29(B)は、この状態から回転体552が回転し、特定収容部が大当り入賞口93の開口位置に達した状態を示している。先に説明した通り、特定収容部の後方側は塞がれてはいない。従って、図29(B)の状態では、遊技球は大当り入賞口93に入球し、図中の矢印で示す通り、大当り誘導部556を通って大当り入賞センサ330に検出される。特定収容部は半径方向外側には開放されていないので、遊技球はハズレ入賞口94には入球し得ない。
図30は特定収容部以外の収容部550に収容された遊技球の動きを示す説明図である。図30(A)は特定収容部以外の収容部550に遊技球が収容された状態を示している。図30(B)は、この状態から回転体552が回転し、収容部550が筒状部558に開口するハズレ入賞口94に達した状態を示している。特定収容部以外の収容部550は半径方向に開放されているため、筒状部558および誘導部559からなるハズレ誘導部557を通ってハズレ入賞センサ329に検出される。特定収容部以外の収容部550は、後方側が開放されていないので、遊技球は大当り入賞口93には入球し得ない。
このように、第3転動演出装置101は、複数の収容部550を備えた回転体552を用いて、遊技球Bを特定収容部550c又はそれ以外の収容部550の何れかに収容させることで、遊技球を大当り受入口93又はハズレ受入口94に誘導して振り分けることができる。特定収容部550cに収容されることで大当りが得られるので、供給された遊技球Bが、特定収容部550cに収容される否かに重大な関心を寄せ、遊技球Bの動きと回転体552の回転により遊技球が収容されるまでの間、ハラハラ、ドキドキさせて、興趣を高められるものとなっている。
B6.ワープ通路:
図31はワープ通路510の側断面図である。図中左側が遊技盤5の前面側となり、右側が背面側となっている。先に図12で示した通り、ワープ通路510は、役物用入賞口92の左右に配置されており、役物用入賞口92に入らなかった遊技球が通る通路である。図31に示す通り、遊技盤5を流下する遊技球は受取口511で受けられ、ワープ通路510内に流入する。遊技球はガイド部材491の背面に設けられた誘導路512を通って流出口513から排出される。流出口513は、第4転動演出装置102の上に設けられている。
可変入賞装置91内の第1転動演出装置95上部の第1前側領域711と、誘導路512が形成されている後側領域712との間には、相互を区画する区画部713が設けられているため、前側領域711と後側領域712との間で遊技球Bが相互に往来することはできない。
前側領域711と後側領域712は前後には区画部713で区画されているものの、遊技盤5を正面から見た平面的な位置関係では重なっている。従って、前側領域711及び後側領域712の夫々を移動する遊技球Bは、正面から見た状態では、相互に交差することもできる。
本実施例では、可変入賞装置91前方の隔壁、および区画部713は、ともに透明、或いは、表面に縦方向の凹凸や梨子地模様程度の微小な凹凸が形成された半透明な部材で構成されている。従って、遊技者は、前側領域711内の遊技球Bの挙動、および後側領域712内の遊技球Bのいずれも視認することが可能である。
誘導路512の内壁面には、遊技球Bの通過速度を遅くさせるための緩衝部512aが設けられている。緩衝部512aは、誘導路512の巾方向に延設された突条であり、前側壁と後側壁に千鳥状に配置されている。
誘導路512を通過した遊技球Bは、緩衝部512aで勢いを殺されながら誘導路512を落下し、ワープ通路510の流出口513から放出される(図31の矢印c参照)。流出口513は、可変入賞装置91内の第4転動演出装置102の上方に配設されている。流出口513から放出された遊技球Bは、第4転動演出装置102前方の前側領域721を落下する。前側領域721と、可変入賞装置91内の第4転動演出装置102が組み込まれた後側領域722との間には、相互を区画する区画部723が設けられている。区画部723で区画されることにより、前側領域721と後側領域722との間で遊技球Bは、相互に往来することはできない。ただし、正面から見た状態では、前側領域721と後側領域722は重なっているから、遊技球は交差可能な状態で移動する。区画部723は、透明または半透明の部材で構成されており、遊技者は、後側領域722を移動する遊技球Bを視認することができるようになっている。
本実施例では、第2後側領域722を移動する遊技球Bは、一方向第2第3に移動する単調な動きをするに過ぎない。従って、前側領域721を遊技球が通過したとしても、後側領域722の遊技球Bの挙動の確認に大きな支障とはならず、遊技に支障は生じない。
このように構成されたパチンコ機1は、遊技領域37の一部で第1第2正面視にて、相互に干渉しない状態で互いに交差するといった今までにはない遊技球Bの挙動を実現させることができ、その視覚的効果によって遊技の面白みを向上させることができる。
また、本実施例の構造によれば、遊技球Bが遊技領域37にて、常に視認可能であるため、遊技の公正性を確保することもできる。つまり、遊技領域37内の一部にて遊技球Bが隠蔽されて視認できなくなると、パチンコ機1の内部にて遊技球Bに対して何らかの処理がなされているのではないか、といった疑義を遊技者が抱く可能性を否定できないが、本実施例では、第1遊技球Bが視認可能であるため、第2遊技者にこうした無用な疑義が抱かれるおそれを抑制できる。
また、本実施例によれば、可変入賞装置91を大型化できるという利点もある。可変入賞装置91内に進入しなかった遊技球Bの流通経路を可変入賞装置91外に形成する場合には、遊技盤5内で可変入賞装置91周辺の余剰領域を十分に確保しておく必要があるが、本実施例のワープ通路510を用いれば、このような制約を回避することができるからである。特に、パチンコ機1では、役物用入賞口92付近に集まるように遊技球Bが打ち込まれるのが通常であり、役物用入賞口92の下方に、可変入賞装置91内への進入を果たせなかった多量の遊技球Bが集まる傾向があり、可変入賞装置91外に広い余剰領域が要求される傾向があるため、本実施例のワープ通路510の有用性はより一層高いと言える。
本実施例のパチンコ機1では、このように第1第1可変入賞装置91を横方向に積極的に大型化することができ、可変入賞装置91内に多様な機構を組み込むことが可能となるため、遊技球Bを多様に挙動させて面白みを深めることができる。
B7.可変入賞装置91の組み付け:
図32は可変入賞装置91の分解斜視図である。可変入賞装置91は、以下で説明する取付構造体590に上述の各機構が組み付けられている。取付構造体は、役物ベース591、通路形成板592、台板593を備えている。役物ベース591は、第1転動演出装置95の回転駆動手段493、第2転動演出装置100の押打部駆動手段532、第3転動演出装置101の移動手段551、及び演出表示装置115等を固定する部材である。通路形成板592は、役物ベース591の前面を覆うように配置され、前面にはガイド部材491、キャラクタ体504、キャラクタ体533、等が配置される。また、通路形成板592は、可変入賞装置91内部での遊技球Bの通路も形成する。台板593は、通路形成板592の前面に配置され、通路形成板592とともに遊技球Bの通路を形成する。台板593は、可変入賞装置91を遊技盤5に取付ける部材としても機能する。
役物ベース591には、その裏面に回転駆動手段493、押打部駆動手段532、移動手段551等を固定するためのボス部や取付溝等が複数設けられている。通路形成板592は、透明な樹脂素材により形成されており、その前面には、第1整流手段500aの受部502、回転体552の突出部560を覆う被覆部565、等が形成されている。
台板593は、中央が開口した枠状の枠状取付部595を有している。枠状取付部595の開口部分には、前面被覆部596がはめ込まれている。前面被覆部596は枠状取付部595の開口と同一形状であり、はめ込んだ状態では、枠状取付部595と前面被覆部596の表面はほぼ同一面となる。枠状取付部595及び前面被覆部596の双方の表面は補強フィルムで一体的に覆われている。枠状取付部595の背面には通路形成板592を支持する直立壁によって支持部594が形成されている。支持部594は、枠状取付部595の外周ではなく内側の部分に設けられている。こうすることで、枠状取付部595には支持部594の外周にはみ出したフランジ部分が残ることになり、後述する通り、このフランジ部分が遊技盤5の表面に当接することで可変入賞装置91を遊技盤5にしっかりと固定することが可能となる。台板593の前面には可変入賞装置91の前面装飾部600が取り付けられる。
図33は可変入賞装置91を遊技盤5に取付けた状態を示す側断面図である。可変入賞装置91は、遊技盤5に形成された開口部598に台板593の支持部594、および役物ベース591、通路形成板592が挿入される形で取り付けられる。可変入賞装置91の前後位置は、台板593を構成する枠状取付部595のフランジ部分が遊技盤5の表面に当たることで規制されている。図33(A)に示すように、枠状取付部595及び前面被覆部596は一枚の板状部材をなしており、支持部594は枠状部材595の背面に直立している。枠状取付部595及び前面被覆部596と支持部594とで断面が略T字状に形成されることで、枠状取付部595の剛性を確保することができる。支持部594は分断された直立壁ではなく、遊技盤5の開口部598に略沿う連続壁となっているため、更に剛性を向上させることができる。図中下側に位置する支持部594の一部は、第4転動演出装置102の案内面571を兼ねている。
台板593は、透明な樹脂素材(例えば、ポリカーボネイト、ポリプロピレン等)により形成されている。図33(B)は枠状取付部595の一部の拡大断面図である。台板593の表面には、装飾層599が設けられ、更にその表面は補強フィルム597で覆われている。
ここで、台板593の成形方法について説明する。まず、透明な樹脂フィルム(例えば、ポリカーボネイト等)の裏面に、スクリーン印刷等公知の印刷方法を用いて、所定の装飾層599を印刷する。このとき、装飾面が樹脂フィルム側となるように印刷する。その後、装飾層599を有した樹脂フィルムを成形型を用いて、加圧成形し、補強フィルム597を得る。補強フィルム597を成形する際に、同時に所定のトリミングやパンチングを行っても良いし、所定形状に形成した後にトリミング等を行っても良い。次に、台板593の成形型(射出成形型)に、補強フィルム597をセットした上で、所定の溶融樹脂(例えば、ポリカーボネイト等)をキャビティに射出し、台板593を成形すると同時に補強フィルム597を一体化させる。つまり、インサート成形により補強フィルム597が一体化された台板593を成形する。
このようにして成形された台板593は、補強フィルム597と一体化された枠状取付部595及び前面被腹部596の板厚を、通常の射出成形により良好な状態で得られる板厚よりも、補強フィルム597の分だけ厚くすることができ剛性を向上させることができる。台板593をインサート成形する前に、補強フィルム597の裏面に接着剤層を設けても良い。或いは、射出成形時に装飾層599が融解して流動するのを防止するために、装飾層599の裏に更に保護層を備えても良い。装飾層599や補強フィルム597は台板593以外の部材に設けても良い。
本実施例では、装飾層599は補強擬留無597で保護されるため、遊技球Bとの接触により装飾層599が剥げ落ちるのを防止できる。また、装飾層599を用いることで、色彩等が異なる別部品の組み付けで装飾する必要がなく、簡単な構造で種々の装飾を容易に施すことができる利点がある。
取付構造体590では、図示するように、台板593の支持部594の後方をふさぐように通路形成板592が取付けられる。こうすることで通路形成板592、支持部594、及び前面被覆部596によって、取付構造体590を箱状に形成でき、更に剛性を向上させることができる。この結果、より大型の演出表示装置115や可変入賞装置91を良好に支持することが可能となり、パチンコ機1の興趣を高めることができる。
C.主基板及び周辺基板の機能的構成:
C1.全体構成:
図34は制御構成を概略的に示すブロック図である。パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板310のグループと周辺基板311のグループとで分担されており、このうち主基板310のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板311のグループが演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示等)を制御している。
主基板310は、主制御基板131と払出制御基板197とから構成されている。主制御基板131は、CPU314、ROM315、RAM316を備えている。CPU314は、ROM315に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板311や払出制御基板197に出力するコマンド信号を作成したりする。RAM316には、主制御基板131で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。主制御基板131には、始動口センサ318、カウントセンサ319、大当り受入センサ330、ハズレ受入センサ329、回動検出センサ494、回転位置検出センサ321等からの検出信号が入力される。一方、主制御基板131は、特別図柄表示器121、留保表示器122、ソレノイド331、モータ332、押打用ソレノイド325、回転体用モータ326等へ駆動信号を出力する。また、払出制御基板197は、CPU333、ROM334、RAM335を備えている。払出制御基板197は、主制御基板131から入力したコマンド信号を処理し、球払出装置170に駆動信号を出力する。球払出装置170は、この駆動信号に従って遊技球を払い出す。
主制御基板131と払出制御基板197との間では、双方向通信が実施されており、例えば主制御基板131が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板197から主制御基板131にACK信号が返される。
周辺基板311には、サブ統合基板336のほかに例えば複数の電飾制御基板337,338や波形制御基板339等が含まれる。主制御基板131とサブ統合基板336との間では、主制御基板131からサブ統合基板336への単方向通信によってコマンドの送信はあっても、その逆は行われない。
サブ統合基板336はCPU350をはじめROM351やRAM352等を有しており、所定の演出制御プログラムを実行する。サブ統合基板336とその他の電飾制御基板337,338や波形制御基板339との間では双方向通信が行われる。電飾制御基板337,338、及び波形制御基板339も、それぞれCPU357,358,359、ROM370,371,372、及びRAM373,374,375を備えている。1つ目の電飾制御基板337には主にサイド装飾装置52等を含む装飾ランプ353が接続されている。サブ統合基板336から電飾制御基板337に対して装飾ランプ353の点灯信号が送信されると、これを受けて電飾制御基板337が装飾ランプ353を点灯させる。2つ目の電飾制御基板338には演出表示装置115とともに演出ランプ354が接続されている。例えばサブ統合基板336から演出表示装置115に対する表示コマンドが電飾制御基板338に送信されると、これを受けて電飾制御基板338は演出表示装置115を作動させる。サブ統合基板336には、遊技球センサ361からの検出信号が入力される一方、役物用ソレノイド362へ駆動信号を出力する。
波形制御基板339は、音響出力としての可聴音波のほか、不可聴である超音波等の波形信号を生成、送受信する処理を実行している。例えば、サブ統合基板336から音響出力コマンドが波形制御基板339に送信されると、これを受けて波形制御基板339は上記のスピーカ18,57を駆動する。波形制御基板339には複数の台間で超音波による通信するための超音波送受信装置356が接続されている。この通信機能を用いて、複数のパチンコ機1で演出動作をシンクロナイズさせたり、特定の台間で遊技情報の交換を行ったりすることができる。
次に、主制御基板131と払出制御基板197との間の通信処理について、詳細に説明する。、信号名の先頭に「♯」が付されているものは、負理論であることを意味している。「ハイレベル」は2値信号の2つのレベルのうち「1」レベルを意味し、「ローレベル」は「0」レベルを意味している。主制御基板131と払出制御基板197との間では、種々のコマンドがシリアル転送によって送信される。コマンドを正常に受信した基板は、コマンドを送信した基板に対して、正常にコマンドを受け取ったことを伝えるACK(Acknowledge)信号を送信する。主制御基板131から払出制御基板197に対する主なコマンドとしては、遊技球の払い出しに関するコマンドや、払出制御基板197に動作状態の報告を指示するコマンドがある。遊技球の払い出しに関するコマンドとしては、例えば、遊技球の払い出し個数を指定するコマンドの他、遊技球の払い出しの開始を指示するコマンドや、遊技球の払い出しの停止を指示するコマンドなどが考えられる。払出制御基板197から主制御基板131に対する主なコマンドとしては、払出制御基板197の動作状態を伝えるコマンドがある。
C2.通信回路構成:
図35は主制御基板131および払出制御基板197の電気的な構成の詳細を示すブロック図である。主制御基板131は、主制御基板131における種々の演算処理を行うCPUとして、外部とのシリアル通信機能およびパラレル通信機能を有するCPU314(主CPU)を備える。CPU314には、演算処理を行う演算処理部390と、外部とのシリアル通信を行うシリアル通信ユニットとしてのシリアルIF部391と、外部とのパラレル通信を行うパラレルIF部392とが回路構成されている。払出制御基板197とのコマンドのやり取りは、シリアルIF部391を介して行われ、払出制御基板197とのACK信号のやり取りは、パラレルIF部392を介して行われる。
シリアルIF部391は、演算処理部390からパラレルデータTDaを受け取り、該データを記憶する送信バッファレジスタ393と、送信バッファレジスタ393に記憶されたデータを受け取り、該データをシリアルデータDabに変換して払出制御基板197にシリアル転送する送信シフトレジスタ394と、払出制御基板197からシリアルデータDbaを受け取り、該データを記憶する受信シフトレジスタ395と、受信シフトレジスタ395に記憶されたデータを受け取り、該データを演算処理部390によってパラレルデータRDaとして読み出し可能に記憶する受信バッファレジスタ396と、シリアルIF部391における各部の動作状態を管理するシリアル管理部397とを備え、これらを1チップに集積して構成されている。送信バッファレジスタ393および送信シフトレジスタ394,受信シフトレジスタ395,受信バッファレジスタ396は、それぞれ1バイトの記憶容量を有するレジスタである。
シリアル管理部397は、送信シフトレジスタ394および送信バッファレジスタ393に関して、送信シフトレジスタ394がシリアル転送中でない場合に、送信バッファレジスタ393から送信シフトレジスタ394へのデータの受け渡しを許可し、該受け渡し後に、該データを送信バッファレジスタ393から消去するように回路構成されている。
シリアル管理部397は、受信シフトレジスタ395および受信バッファレジスタ396に関して、受信バッファレジスタ396にデータが記憶されていない場合に、受信シフトレジスタ395から受信バッファレジスタ396へのデータの受け渡しを許可し、演算処理部390が受信バッファレジスタ396からパラレルデータRDaを読み出した後に、受信バッファレジスタ396からデータを消去するように回路構成されている。
シリアルIF部391によるシリアル転送の転送レートは、CPU314を動作させるためのクロック信号を分周した信号に基づいて決定される。この転送レートを決定するクロック信号の分周比は、シリアルIF部391が有するレジスタ(図示しない)の値によって設定することができる。
演算処理部390は、送信バッファレジスタ393に対して書き込み信号♯WRaを立ち上げることによって、送信バッファレジスタ393へりパラレルデータTDaの書き込みを行い、受信バッファレジスタ396に対して読み出し信号♯REaを立ち上げることによって、受信バッファレジスタ396からのパラレルデータRDaの読み出しを行う。
演算処理部390は、シリアルIF部391における種々の状態を示す信号を、シリアル管理部397から受ける。演算処理部390がシリアル管理部397から受ける信号としては、送信バッファレジスタ393がクリアされている際にハイレベルとされる送信バッファ空き信号TEaと、送信シフトレジスタ394がシリアル転送中である際にハイレベルとされるシリアル転送中信号TCaと、受信バッファレジスタ396にデータが記憶されている際にハイレベルとされる受信データあり信号DFaとがある。
図35に示すように、払出制御基板197は、払出制御基板197における種々の演算処理を行うCPU333(払出CPU)と、外部とのシリアル通信を行う回路が形成されたシリアルIFチップ398と、外部とのパラレル通信を行う回路が形成されたパラレルIFチップ399とを備える。主制御基板131とのコマンドのやり取りは、シリアルIFチップ398を介して行われ、主制御基板131とのACK信号のやり取りは、パラレルIFチップ399を介して行われる。
シリアルIFチップ398は、CPU333からパラレルデータTDbを受け取り、該データを記憶する送信バッファレジスタ400と、送信バッファレジスタ400に記憶されたデータを受け取り、該データをシリアルデータDbaに変換して主制御基板131にシリアル転送する送信シフトレジスタ401と、主制御基板131からシリアルデータDabを受け取り、該データを記憶する受信シフトレジスタ402と、受信シフトレジスタ402に記憶されたデータを受け取り、該データをCPU333によってパラレルデータRDbとして読み出し可能に記憶する受信バッファレジスタ403と、シリアルIFチップ398における各部の動作状態を管理するシリアル管理部404とを備え、これらを1チップに集積して構成されている。送信バッファレジスタ400および送信シフトレジスタ401,受信シフトレジスタ402,受信バッファレジスタ403は、それぞれ1バイトの記憶容量を有するレジスタである。
シリアル管理部404は、送信シフトレジスタ401および送信バッファレジスタ400に関して、送信シフトレジスタ401がシリアル転送中でない場合に、送信バッファレジスタ400から送信シフトレジスタ401へのデータの受け渡しを許可し、該受け渡し後に、該データを送信バッファレジスタ400から消去するように回路構成されている。
シリアル管理部404は、受信シフトレジスタ402および受信バッファレジスタ403に関して、受信バッファレジスタ403にデータが記憶されていない場合に、受信シフトレジスタ402から受信バッファレジスタ403へのデータの受け渡しを許可し、CPU333が受信バッファレジスタ403からパラレルデータRDbを読み出した後に、受信バッファレジスタ403からデータを消去するように回路構成されている。
シリアルIFチップ398がシリアル転送されたコマンドをサンプリングするタイミングは、主制御基板131のCPU314を動作させるためのクロック信号を分周したサンプリングクロックに基づいて決定される。このサンプリングクロックを決定刈るクロック信号の分周比は、シリアルIFチップ398が有するレジスタ(図示しない)の値によって設定することができる。
CPU333は、送信バッファレジスタ400に対して書き込み信号♯WRbを立ち上げることによって、送信バッファレジスタ400へのパラレルデータTDbの書き込みを行い、受信バッファレジスタ403に対して読み出し信号♯RDbを立ち上げることによって、受信バッファレジスタ403からのパラレルデータRDbの読み出しを行う。
CPU333は、シリアルIFチップ398における種々の状態を示す信号を、シリアル管理部404から受ける。CPU333がシリアル管理部404から受ける信号としては、送信バッファレジスタ400がクリアされている際にハイレベルとされる送信バッファ空き信号TEbと、送信シフトレジスタ401がシリアル転送中である際にハイレベルとされるシリアル転送中信号TCbと、受信バッファレジスタ403にデータが記憶されている際にハイレベルとされる受信データ有り信号DFbとがある。
C3.主制御基板のコマンド送信:
次に、主制御基板131と払出制御基板197との間におけるコマンド転送の際の動作について説明する。本実施形態のパチンコ機1は、主制御基板131から払出制御基板197へのコマンド転送と、払出制御基板197から主制御基板131へのコマンド転送を行うことが可能である。
図36は主制御基板131の演算処理部390が実行するコマンド送信処理を示すフローチャートである。払出制御基板197に対してコマンドを送信する主制御基板131の動作を表している。主制御基板131の演算処理部390は、遊技の進行を制御する処理を実現するために所定の間隔(本実施形態では、4ミリセカンド(以下、msと表記))で定時割り込み処理を繰り返し実行し、この繰り返し実行される定時割り込み処理の一環として、払出制御基板197に対してコマンドを送信する場合に、図36に示したコマンド送信処理を実行する。
演算処理部390は、図36に示したコマンド送信処理を開始すると、払出制御基板197に対するコマンドを生成する(ステップS1001)。本実施形態では、払出制御基板197に対するコマンドは、シリアルIF部391の各レジスタの記憶容量である1バイトよりも大きな2バイトのコマンドである。
コマンドを生成した後(ステップS1001)、「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」であるか否か、すなわち、「送信バッファレジスタ393にデータが記憶されていない場合」かつ「送信シフトレジスタ394がシリアル転送中でない場合」であるか否かを判断する(ステップS1002)。
「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」である場合(ステップS1002)には、生成したコマンドの2バイトのうち上位1バイトである1バイト目を、送信バッファレジスタ393に書き込む(ステップS1003)。その後、予め設定された書込待機期間Lwaの待機を行った後(ステップS1004)、生成したコマンドの残りの下位1バイトである2バイト目を、送信バッファレジスタ393に書き込み(ステップS1005)、コマンド送信処理を終了する。
ここで、書込待機期間Lwaは、送信バッファレジスタ393へのコマンドの1バイト目の書き込みから、この1バイト目が送信シフトレジスタ394へと受け渡しされるまでの期間である送信レジスタ引渡期間Lbsよりも長い期間であり、その定時割り込み処理の終了までに2バイト目の書き込み処理(図36のステップS1005)を実行可能な時間を残す期間であり、次の定時割り込み処理の開始まで長引くような期間ではない。また、書込待機期間Lwaは、コマンドの1バイト目のシリアル転送が完了するまでの期間であるシリアル転送期間Lscよりも短い期間であり、定時割り込み処理の間隔である4msよりも短い期間である。本実施形態では、書込待機期間Lwaは、2.5マイクロセカンド(以下、μsと表記)に設定されている。、本実施形態のシリアルIF部391のハードウエア仕様による送信レジスタ引渡期間Lbsは、約1.25μsである。また、2バイト目の書き込み処理(図36のステップS1005)に要する演算処理部390の演算処理時間が、シリアルIF部391の送信レジスタ引渡期間Lbs異常である場合には、図36に示したコマンド待機処理のソフトウエアによる待機処理(ステップS1004)は不要である。
図37はコマンド送信処理が実行される際の主制御基板131における各信号の様子を示すタイムチャートである。上述したコマンド送信処理にて、「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」であると判断されると(図36中のステップS1002)、パラレルデータTDaにコマンドの1バイト目の出力が開始される(タイミングta1)。その後、書き込み信号♯WRaの立ち上がりによって、送信バッファレジスタ393にコマンドの1バイト目が書き込まれる(タイミングta2,図36中のステップS1002)。
送信バッファレジスタ393は、書き込まれたコマンドの1バイト目を送信シフトレジスタ394に引き渡し、この引き渡しが完了するとシリアル管理部397によってクリアされる。送信シフトレジスタ394は、送信バッファレジスタ393から受け取ったコマンドの1バイト目をシリアルデータDabに出力する。シリアル転送中のシリアルデータDabには、スタートビットSTに続いて、コマンドの1ビット目D0から8ビット目D7までの各ビットが続き、最後にストップビットSPが出力される。このように、コマンドの1バイト目のシリアル転送が開始されると、シリアル転送中信号TCaはハイレベルとなる(タイミングta3)。
コマンドの1バイト目の書き込み(タイミングta2,図36中のステップS1002)から、書込待機期間Lwaの待機を経た後(図36中のステップS1004)、コマンドの1バイト目と同様に、送信バッファレジスタ393にコマンドの2バイト目が書き込まれる(タイミングta4,図36中のステップS1005)。
この際の送信シフトレジスタ394は、コマンドの1バイト目をシリアル転送中であり、コマンドの2バイト目を送信バッファレジスタ393から受け取ることができないため、送信バッファレジスタ393は、書き込まれたコマンドの2バイト目を記憶して保持し、送信バッファ空き信号TEaはローレベルとなる(タイミングta4)。
その後、送信シフトレジスタ394によるコマンドの1バイト目のシリアル転送が終了すると、送信バッファレジスタ393は、記憶するコマンドの2バイト目を送信シフトレジスタ394に引き渡し、この引き渡しが完了するとシリアル管理部397によってクリアされ、送信バッファ空き信号TEaはハイレベルとなる(タイミングta5)。
その後、送信シフトレジスタ394は、コマンドの1バイト目と同様に、送信バッファレジスタ393から受け取ったコマンドの2バイト目をシリアルデータDabに出力する(タイミングta6〜ta7)。
以上説明した主制御基板131の動作によって、払出制御基板197に対して2バイトのコマンドが送信される。本実施形態の主制御基板131は、払出制御基板197に対してコマンドを送信してから所定の期間の間に、払出制御基板197からACK信号の返答がない場合には、コマンドを再送する。
逆に、主制御基板131に対してコマンドを送信する払出制御基板197の動作は、演算処理部390に代えてCPU333、送信バッファレジスタ393に代えて送信バッファレジスタ400、送信シフトレジスタ394に代えて送信シフトレジスタ401が、それぞれ上述した主制御基板131の場合と同様の動作を行うことによって実現される。
本実施形態では、CPU314は、4ミリセカンドの感覚で定時割り込み処理を繰り返し実行するのに対し、シリアルIF部391は、1200bps(Bit Per Second)の転送レートでシリアル転送を実行する。したがって、本実施形態では、シリアルIF部391が2バイトのコマンドをシリアル転送する時間は約16.7msとなり、CPU314は、その間に定時割り込み処理を約4回繰り返し実行することとなる。このように、CPU314は、送信バッファレジスタ393にコマンドを書き込んでしまえば、そのコマンドの払出制御基板197へのシリアル転送をシリアルIF部391に任せることができる。シリアル転送における1200bpsの転送レートは、電気的ノイズに対するコマンド転送の信頼性を確保可能な転送レートであり、また、比較的安価なフォトカプラを用いたアイソレーションによってシリアル転送することが可能な転送レートである。
主制御基板131は、シリアル転送中(送信バッファレジスタ393にコマンドが有る状態)に、制御処理を中断することなく、入賞があれば入賞情報を記憶するなど他の制御処理を実行する。パチンコ機の場合、遊技板13へと打ち出される遊技球は、1分間に最大100個までと規制されているため、遊技球の打ち出し間隔は約600msである。したがって、遊技球が入賞口61に連続して入賞したとしても、主制御基板131は、遊技球の検出情報を滞りなく処理し、賞球コマンドを払出制御基板197にシリアル転送することができる。
C4.払出制御基板のコマンド受信:
図38は払出制御基板197のCPU333が実行するコマンド受信処理を示すフローチャートである。主制御基板131からのコマンドを受信する払出制御基板197の動作を表している。払出制御基板197のCPU333は、遊技球の払い出しを制御する一環として主制御基板131からのコマンドを受信するため、所定のタイミングで繰り返し図38に示したコマンド受信処理を実行している。
CPU333は、コマンド受信処理を開始すると、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であるか否かを判断する(ステップS1101)。主制御基板131から払出制御基板197に対して送信された2バイトのコマンドのうち、コマンドの1バイト目が受信バッファレジスタ403に記憶されている時には、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」と判断され(ステップS1101)、受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの1バイト目を読み出す(ステップS1102)。その後、受信シフトレジスタ402を介して受信バッファレジスタ403に記憶されたコマンドの2バイト目を読み出し(ステップS1103)、コマンド受信処理を終了する。その他の場合には、ステップS1102、S1103の処理をスキップしてコマンド受信処理を終了する。
図39は、コマンド受信処理が実行される際の払出制御基板197における各信号の様子を示すタイムチャートである。前述した主制御基板131におけるコマンド送信処理によって、シリアルデータDabにコマンドの1バイト目が出力されると(タイミングtb1〜tb2)、受信シフトレジスタ402にコマンドの1バイト目が記憶された後、受信バッファレジスタ403にコマンドの1バイト目が受け渡され、受信データ有り信号DFbはハイレベルとなる。
コマンドの1バイト目に続いた、シリアルデータDabにコマンドの2バイト目が出力されると(タイミングtb1〜tb2)、受信シフトレジスタ402にコマンドの2バイト目が記憶される。この際には、受信バッファレジスタ403からコマンドの1バイト目が読み出されておらず、受信バッファレジスタ403はシリアル管理部404によってクリアされていないため、受信シフトレジスタ402はコマンドの2バイト目の記憶を保持する。
その後、図38に示したコマンド受信処理にて、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断されると(図38中のステップS1101)、読み出し信号♯REbの立ち下がりによって、受信バッファレジスタ403からパラレルデータRDbにコマンドの1バイト目が出力され、コマンドの1バイト目が、CPU333によって受信バッファレジスタ403から読み出される(タイミングtb5〜tb6,図38中のステップS1102)。
コマンドの1バイト目の読み出しが完了すると、受信バッファレジスタ403はシリアル管理部404によってクリアされ、受信データ有り信号DFbはローレベルとなる(タイミングtb6)。その後、受信シフトレジスタ402から受信バッファレジスタへとコマンドの2バイト目が受け渡されると、受信出た有り信号DFbはハイレベルとなる(タイミングtb7)。その後、コマンドの1バイト目と同様にして、受信バッファレジスタ403からコマンドの2バイト目が読み出される(タイミングtb8〜tb9,図38中のステップS1103)。説明の便宜上、図39では、コマンドの1バイト目と2バイト目とのシリアル転送時間のスケールは、CPU333の演算処理時間のスケールと比べ縮小されているが、実際には、コマンドの1バイト目と2バイト目とのシリアル転送時間は、CPU333の演算処理時間に比べて相当の時間を要する。したがって、図38に示したコマンド受信処理は、CPU333が所定の間隔で繰り返し実行する定時割り込み処理の一環として、複数回の定時割り込み処理に分けて実行される処理である。
以上説明した払出制御基板197の動作によって、主制御基板131から送信された2バイトのコマンドが受信される。本実施形態の払出制御基板197は、主制御基板131からコマンドを受信してから所定の期間の間に、主制御基板131に対してACK信号を送信する。
本実施形態では、シリアルIFチップ398のサンプリングタイミングは、転送レート(1200bps)の16倍である19.2キロヘルツ(kHz)に設定されている。本実施形態では、シリアルIFチップ398は、スタートビット,コマンドの各データビット,ストップビットのビット毎に、それぞれ3回のサンプリングを行い、この3回のサンプリングで検出された値を多数決判定することによって、コマンド受信の信頼性の向上を図っている。
逆に、払出制御基板197からのコマンドを受信する主制御基板131の動作は、CPU333に代えて演算処理部390、受信シフトレジスタ402に代えて受信シフトレジスタ395、受信バッファレジスタ403に代えて受信バッファレジスタ396が、それぞれ上述した払出制御基板197の場合と同様の動作を行うことによって実現される。
上記の構成により、主制御基板131のCPU314が1回の定時割り込み処理内を行う間に、シリアルIF部391がシリアル転送可能なコマンドを2バイト分、シリアルIF部391の送信バッファレジスタ393,送信シフトレジスタ394に格納することができ、主制御基板131のCPU314がコマンドのシリアル転送に関わる期間を短縮することができる。その結果、主制御基板131における他の制御処理の進行の阻害や、主制御基板131で実行される制御プログラムの複雑化を抑制することができる。したがって、コマンドを分割してシリアル転送する場合における円滑な遊技制御を実現することができる。
C5.通信回路構成の変形例:
図40は主制御基板131および払出制御基板197の電気的な構成の変形例を示すブロック図である。実施例では、CPU333,シリアルIFチップ398及びパラレルIFチップ399を備えた構成を示したが、変形例の払出制御基板197はCPU333(払出CPU)と、外部とのシリアル通信およびパラレル通信を行う回路が形成されたシリパラIFチップ405とを備える。シリパラIFチップ405には、主制御基板131のパラレルIF部392とパラレル通信をするパラレルIF部406が備えられている。変形例におけるシリアル管理部407は、CPU333からのバッファクリア信号#CBbに基づいて、受信バッファレジスタ403からデータを消去する。
図41は演算処理部390が実行するコマンド送信処理を示すフローチャートである。演算処理部390が遊技の進行を制御するために繰り返し実行する処理の一つである。
演算処理部390は、図41に示したコマンド送信処理を開始すると、ジョブフラグFjの値を判断する(ステップS1201)。ジョブフラグFjは、コマンド送信処理における状態を示すフラグであり、演算処理部390の起動時には「0」に設定されている。「ジョブフラグFj=0」の場合には、払出制御基板197に対するコマンドの出力するためのコマンド出力処理を実行し(ステップS1202)、「ジョブフラグFj=1」の場合には、払出制御基板197からのACK信号を確認するためのACK待ち処理を実行する(ステップS1203)。コマンド出力処理(ステップS1202)、または、ACK待ち処理(ステップS1203)を終了した後、コマンド送信処理を終了する。
図42は、コマンド出力処理(図41中のステップS1202)を示すフローチャートである。演算処理部390は、図42に示すコマンド出力処理を開始すると、「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」であると判断される場合、すなわち、「送信バッファレジスタ393にデータが記憶されていない場合」かつ「送信シフトレジスタ394がシリアル転送中でない場合」であると判断される(ステップS1301)場合には、「チェックフラグFc=1」であるか否かを判断する(ステップS1302)。チェックフラグFcは、払出制御基板197からのACK信号が確認できない場合に、払出制御基板197に対して動作状態の報告を指示するためのフラグであり、演算処理部390の起動時には「0」に設定されている。
演算処理部390は、「チェックフラグFc=1」でない場合であって(ステップS1302)、遊技球の入賞口への入賞がある場合には(ステップS1303)、払出制御基板197に所定の個数の賞品球の払い出しを指示する入賞コマンドの1バイト目を生成する(ステップS1304)。「チェックフラグFc=1」である場合には(ステップS1302)、チェックフラグFcを「0」に設定し(ステップS1305)、払出制御基板197に対して動作状態の報告を指示するチェックコマンドの1バイト目を生成する(ステップS1306)。主制御基板131は、払出制御基板197からの動作状態の報告を、払出制御基板197から主制御基板131に対するコマンドの形態で受け取る。
入賞コマンドまたはチェックコマンドの1バイト目を生成した後(ステップS1304,S1306)、演算処理部390は、生成した1バイト目の各ビットを反転して、すなわち、1バイト目のビットのうち、「0」であるビットを「1」とし、「1」であるビットを「0」として、コマンドの2バイト目を生成する(ステップS1307)。本実施形態では、コマンドの1バイト目は、コマンドとしての実質的な意味を持つデータであり、コマンドの2バイト目は、払出制御基板197側でコマンドの正誤を判断するためのデータである。
演算処理部390は、コマンドの2バイト目を生成した後(ステップS1307)、生成したコマンドを送信する(ステップS1308〜S1310)。この処理(ステップS1308〜S1310)は、図36に示したコマンド送信処理における処理(ステップS1003〜S1005)と同様である。コマンドを送信した後(ステップS1308〜S1310)、ジョブフラグFjを「1」に設定し(ステップS1311)、コマンド出力処理を終了する。
コマンド出力処理においてコマンドの送信が実行される際(ステップS1308〜S1310)の主制御基板131における各信号の様子は、図37に示した主制御基板131における各信号の様子と同様である。
図43はACK待ち処理のフローチャートである。図41中のステップS1203に相当する処理である。演算処理部390は、図43に示すACK待ち処理を開始すると、払出制御基板197からACK信号を検出した場合には(ステップS1401、ステップS1401)、ジョブフラグFjを「0」に設定し(ステップS1402)、ACK待ち処理を終了する。ACK信号を検出しない場合には(ステップS1401)、コマンドの送信(図42中のステップS1308〜S1310)を終えてから所定の時間が経過したか否かを判断する(ステップS1403)。この所定の時間は、払出制御基板197からのACK信号の返答を待つ時間であり、本実施形態では、100msに設定されている。所定の時間が経過していない場合には(ステップS1403)、そのままACK待ち処理を終了し、所定の時間が経過した場合には(ステップS1403)、チェックフラグFcを「1」に設定し(ステップS1404)、ジョブフラグFjを「0」に設定した後(ステップS1402)、ACK待ち処理を終了する。
以上説明した主制御基板131の動作によって、払出制御基板197に対して2バイトのコマンドが送信される。、逆に、主制御基板131に対してコマンドを送信する払出制御基板197の動作は、演算処理部390に代えてCPU333、送信バッファレジスタ393に代えて送信バッファレジスタ400、送信シフトレジスタ394に代えて送信シフトレジスタ401が、それぞれ上述した主制御基板131の場合と同様の動作を行うことによって実現される。
図44は払出制御基板197のCPU333が実行するコマンド受信処理を示すフローチャートである。払出制御基板197のCPU333は、遊技球の払い出しを制御する一環として主制御基板131からのコマンドを受信する場合に、図44に示したコマンド受信処理を実行する。図44に示したコマンド受信処理は、CPU333が所定の間隔で繰り返し実行する定時割り込み処理の一環として、複数回の定時割り込み処理に分けて実行される処理である。
CPU333は、コマンド受信処理を開始すると、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であるか否かを判断する(ステップS1501)。主制御基板131から払出制御基板197に対して送信された2バイトのコマンドのうち、コマンドの1バイト目が受信バッファレジスタ403に記憶された状態には、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」となっており(ステップS1501)、CPU333は、受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの1バイト目を読み出した後(ステップS1502)、再び受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの1バイト目を読み出す(ステップS1503)。CPU333は、1回目に読み出したコマンドの1バイト目と、2回目に読み出したコマンドの1バイト目とが一致する場合には(ステップS1504、S1505)、バッファクリア信号♯CBbを立ち下げてコマンドの1バイト目をクリアする(ステップS1506)。1バイト目のコマンドがクリアされると、受信シフトレジスタ402に記憶されていたコマンドの2バイト目が、受信バッファレジスタ403に受け渡される。
次に、CPU333は、受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの2バイト目を2回の読み出し、両者が一致する場合には、受信バッファレジスタ403をクリアする(ステップS1507〜S1511)。
CPU333は、コマンドの1バイト目と2バイト目とが整合するか否かを判断する(ステップS1512、S1513)。前述したように、コマンドの2バイト目は、1バイト目の各ビットを反転したデータであるから、両者が整合している場合には、例えば、両者の論理積をとれば値は0となる。CPU333は、コマンドの1バイト目と2バイト目とが整合する場合には(ステップS1513)、主制御基板131に対してACK信号を送信して(ステップS1514)、コマンド送信処理を終了する。ステップS1505、S1510、SステップS1513のチェックにおいて不一致と判断された場合には、CPU333は、次回のコマンド受信に備えるために、受信シフトレジスタ402および受信バッファレジスタ403をクリアして(ステップS1515)、コマンド送信処理を終了する。
図45は、コマンド受信処理が実行される際の払出制御基板197における各信号の様子を示すタイムチャートである。説明の便宜上、図45では、コマンドの1バイト目と2バイト目とのシリアル転送時間のスケールは、CPU333の演算処理時間のスケールと比べ縮小されている。
図44に示したコマンド受信処理にて、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断されると(図44中のステップS1501)、読み出し信号#REbの立ち下がりによって、受信バッファレジスタ403からパラレルデータRDbにコマンドの1バイト目が出力され、コマンドの1バイト目が、CPU333によって受信バッファレジスタ403から読み出される(タイミングtb11〜tb12,図44中のステップS1502)。その後、さらにコマンドの1バイト目が、1回目と同様にして読み出される(タイミングtb13〜tb14,図44中のステップS1503)。
コマンドの1バイト目の2回の読み出しが完了した後、バッファクリア信号#CBbの立ち下がりによって受信バッファレジスタ403がクリアされ、受信データ有り信号DFbはローレベルとなる(タイミングtb15,図44中のステップS1506)。その後、受信シフトレジスタ402から受信バッファレジスタヘとコマンドの2バイト目が受け渡されると、受信データ有り信号DFbはハイレベルとなる(タイミングtb16)。
その後、コマンドの2バイト目が、コマンドの1バイト目と同様にして受信バッファレジスタ403から読み出される(タイミングtb21〜tb24,図44中のステップS1507,S1508)。コマンドの2バイト目の読み出しが完了した後、バッファクリア信号#CBbの立ち下がりによって受信バッファレジスタ403がクリアされ、受信データ有り信号DFbはローレベルとなる(タイミングtb25,図44中のステップS1511)。
以上説明した払出制御基板197の動作によって、主制御基板131から送信された2バイトのコマンドが受信される。、逆に、払出制御基板197からのコマンドを受信する主制御基板131の動作は、第1の実施例と同様である。
以上、図40から図45に示した構成によれば、主制御基板131における他の制御処理の進行の阻害や、主制御基板131で実行される制御プログラムの複雑化を抑制することができる。更に、払出制御基板197のCPU333側の都合に応じて受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの消去を行うことができるため、2バイト単位で1バイト毎にシリアル転送されるコマンドに対して、CPU333による2バイト単位での取り扱いの容易化を図ることができる。
また、払出制御基板197は、コマンドを重複して読み取り、重複して読み取ったコマンドを照合するため(図44中のステップS1502〜S1505)、受信バッファレジスタ403からCPU333へのコマンドの受け渡しの際に、ノイズなどの影響によって書き換えられてしまった異常なコマンドに基づいて処理が行われてしまうことを防止することができる。
また、主制御基板131は、コマンドの1バイト目を反転して2バイト目を生成し(図42中のステップS1307)、払出制御基板197は、コマンドの1バイト目と2バイト目とを照合するため(図44中のステップS1512〜S1513)、主制御基板131から払出制御基板197へのコマンド転送の際に、ノイズなどの影響によって書き換えられてしまった異常なコマンドに基づいて処理が行われてしまうことを防止することができる。
また、コマンドを受け取った払出制御基板197は、主制御基板131に対してACK信号を送信するため、主制御基板131は、コマンドが正常に転送されたか否かを確認することができる。さらに、主制御基板131は、払出制御基板197からのACK信号の返答がない場合に、払出制御基板197に対してチェックコマンドを送信するため、コマンドが正常に転送されなかった理由が払出制御基板197における異常動作に基づくものであるか否かを判断することができる。
上記図35から図45に示した構成は、サブ統合基板336や電飾制御基板337,338および波形制御基板339などの基板に適用可能であり、或いは、主制御基板131とサブ統合基板336との間のコマンド転送に適用しても良い。主制御基板131からサブ統合基板336に対するコマンドとしては、演出表示装置115における表示画像の演出内容を指示する演出コマンドがある。
また、送信側CPUが生成する2バイト以上のコマンドは、偶数バイトであることとしても良い。これによって、送信側CPUからシリアル通信ユニットに対する1回の定時割込処理あたり2バイト分のコマンドの格納を効率良く実行することができる。例えば、主制御基板131は、演出指示を規定した3バイトの指示コマンドと、この指示コマンドのチェックサムを算出した1バイトのチェックコマンドとから成る計4バイトのコマンドを一群のコマンドとして生成し、4バイトの一群のコマンドを2回分に分けて、2回の定時割り込み処理にて2バイト毎にシリアル転送することとしても良い。
また、主制御基板131は、3バイトの指示コマンドと、1バイトのチェックコマンドとの各ビットを反転させた4バイトの反転コマンドも併せて、計8バイトのコマンドを一群のコマンドとして生成し、8バイトの一群のコマンドを4回に分けて、4回の定時割り込み処理にて2バイト毎にシリアル転送することとしても良い。
D.遊技処理:
D1.遊技内容:
パチンコ機1で行われる遊技内容およびそのための制御処理について以下、説明する。パチンコ機1は、遊技球を発射し、始動入賞口96、一般入賞口98、役物用入賞口92に遊技球を入賞させ、多くの賞球を得る遊技を行うものである。始動入賞口96への入賞(以下、「始動入賞」と呼ぶこともある)が生じると、複数段階の抽選によって当りハズレが決定される。
図46は当りハズレの判定フローを示す説明図である。始動入賞口96への入賞があると、第1段階の抽選として、大当り判定乱数と称する乱数を用いた抽選が行われる。本実施例では、大当り判定乱数による抽選結果として、「ハズレ」、「第1普通当り」、「第2普通当り」、及び「特別当り」、の四種類が用意されている。「第1普通当り」、「第2普通当り」をまとめて「小当り」と呼ぶこともある。
抽選結果の「ハズレ」では役物用入賞口92を開閉しない。「第1普通当り」では役物用入賞口92を第1開放時間(0.3sec〜0.6secの間、望ましくは約0.4秒)開閉させる。「第2普通当り」では役物用入賞口92を第2開放時間(1.5秒〜2.0secの間、望ましくは約1.8秒)開閉させる。「第1普通当り」または「第2普通当り」で役物用入賞口92から可変入賞装置91内へ進入した遊技球が大当り受入口93に遊技球が受入れられると(以下、「V入賞」と呼ぶこともある。)有利遊技状態として「大当り遊技」を発生させることができる。V入賞が生じた時は、「継続回数判定乱数」と称する乱数を用いるラウンド抽選が行われ、大当り遊技が継続されるラウンド数が2回、8回、16回のいずれかに決定される。「特別当り」では役物用入賞口92を開かせて可変入賞装置91内に遊技球を進入させ、大当り受入口93に遊技球を受入れさせなくても、「大当り遊技」を発生させる。つまり、始動入賞口96への遊技球の入賞だけで直接「大当り遊技」を発生させるものであり、これが抽選されることで、遊技者の興趣を大きく高めることができる。
ラウンド動作の回数は、始動入賞口96への遊技球の入球タイミング(より具体的には、始動口センサ318による遊技球の検出タイミング)、役物用入賞口92への遊技球の入球タイミング(より具体的には、カウントセンサ319による遊技球の検出タイミング)、大当り受入口93への入球タイミング(より具体的には、大当り受入センサ330による遊技球の検出タイミング)等の適宜タイミングや、可変入賞装置91内での遊技球の振り分け先等によって行われた抽選の結果に応じて決定される。
D2.ゼネラルフロー:
図47はパチンコ機1の電源投入後の処理を示すフローチャートである。主基板310のCPU314が実行する処理である。電源が投入されると、CPU314は、割込みコードを「2」に設定する(ステップS10)。このモードは、割り込みを許可する設定モードである。CPU314は、I/OマップドI/O選択処理において(ステップS11)、主基板310の各入出力ポートの設定を行う。
次に、CPU314は、ウォッチドッグタイマ(以下、「WDT」と略す)を有効化し(ステップS12)、WDTをクリアしながら、停電信号を監視する(ステップS13、S14)。WDTのクリアは、WDTクリアレジスタにA値、B値、C値の順で3値を書き込むことで行う。停電信号は、停電の発生時など電圧が正規の値から低下した場合に電源基板が出力する信号である。停電信号を監視することにより、電源電圧が安定したか否かを検出することができる。WDTは上述の処理が適性に行われている間は、適宜クリアされるが、処理過程でエラーが生じるとクリアされずに計時が進むタイマである。WDTの計時結果が所定値に達すると、処理に異常が発生したと判断され、パチンコ機1の動作がリセットされる。
CPU314は、停電信号がOFFの場合(ステップS14)、電源が安定したと判断し、主RAM消去信号の情報を取得する(ステップS15)。これは、主基板310に設けられているRAMクリアスイッチと呼ばれるスイッチの動作状態を取得する処理である。パチンコ機1は、電源を切断する際に、その時点でのRAMの値をバックアップ電源で保持する。電源投入時には保持したバックアップデータに基づいて、切断時の状況に復帰可能とする機能を有している。RAMクリアスイッチは、この復帰を行うか否かを指示するためのスイッチである。このスイッチが操作されている時は、復帰を行わないことを意味する。
その後、WDTを適宜クリアしながら、他の基板の起動完了を待つループ処理を行い(ステップS16)、他の基板の起動が完了したとみなすと、リードライトメモリ(RWM)の書き込み許可(ステップS17)、スタックポインタ(SP)の設定をして(ステップS18)、遊技処理のためのプログラムを実行可能な状態を整える。
図48はパチンコ機1の電源投入後の処理を示すフローチャート(2)である。CPU314は、ステップS15で取得した主RAM消去信号がONか否かに応じて次の処理をそれぞれ実行する。主RAM消去信号がONの場合には(ステップS19)、主RAMをクリアし(ステップS23)、作業領域の初期設定(ステップS24)、および電源投入コマンドの送信予約(ステップS25)の各処理を実行する。電源投入コマンドの送信予約は、RAMクリアが行われた場合には、RAMクリア報知コマンドを作成して設定し、RAMクリアを行っていない場合には、復帰コマンドを作成して設定する処理である。
主RAM消去信号がOFFの場合において(ステップS19)、RAMが異常の場合も(ステップS20)、上述の各処理(ステップS23〜S25)を実行する。RAMの異常は、チェックサムを用いて次の手順で判定することができる。まず、電源切断時にRAMの作業領域のデータを加算してチェックサムを算出し、RAM領域にこの値を記憶させておく。ただし、チェックサムの算出は、後述するバックアップフラグを除く領域のデータを用いる。電源が投入された時には、RAMの異常判定として、上述の方法で改めてチェックサムを算出し、電源切断時に算出された値と比較する。また、バックアップフラグの値が正しいか否かを判定し、両者が一致し、バックアップフラグの値が正しければ、RAMに異常はないと判断でき、不一致またはバックアップフラグの値が正しくなければ異常と判断することできる。
主RAM消去信号がOFFの場合において(ステップS19)、RAMが正常の場合(ステップS20)、CPU314はバックアップフラグをクリアして(ステップS21)、作業領域復電時設定を行う(ステップS22)。作業領域復電時設定とは、電源切断前の動作状態からパチンコ機1の動作を再開させるための処理である。
CPU314は、以上の処理を終えると、割込みの初期設定を行い(ステップS26)、メインループを開始する。メインループでは、種々の処理が4msの一定周期で割込みをかけながら実行される。メインループで実行される処理内容については後述する。CPU314は、これらの処理と併せて、図示する通り、適宜WDTクリアレジスタにA値を書き込みながら(ステップS28)、停電信号の監視(ステップS29)、および非当落乱数更新処理(ステップS30)を実行する。非当落乱数更新処理とは、大当り判定に用いられる乱数以外の遊技で用いられる種々の乱数を更新するための処理である。
図49は電源切断時処理のフローチャートである。メインループ(図48)のステップS29で停電信号がONであること、即ち電源電圧の異常が確認された場合の処理である。この処理では、CPU314は、割込を禁止することでRAM上の記憶内容が更新されない状態を確保した上で(ステップS31)、チェックサムを算出してチェックサム値の記憶領域に記憶する(ステップS32)。そして、バックアップフラグに固定値をセットし(ステップS33)、RAMへの書き込みを禁止する(ステップS34)。その後、WDTをクリアして(ステップS35)、無限ループ処理を実行する。
図50は割込処理のフローチャートである。主基板310のCPU314によって、メインループ(図48のステップS28〜S30)の処理と並行して実行される処理である。ここでは、フローチャートの形で示す便宜上、図中の各処理をシーケンシャルに実行するものとして説明するが、これらの各処理には、実行順序が入れ替え可能なものもある。本実施例では、割込処理は4ms周期で実行するものとしたが、実行周期はこれに限定されるものではない。
割込処理では、CPU314は、まずレジスタに格納されていた従前の処理に関する記憶内容をRAMの所定領域に退避させ(ステップS50)、WDTクリアレジスタにB値を書き込みしてから(ステップS51)、各種処理の実行を開始する。CPU314は、まずパチンコ機1の各種スイッチまたはセンサの状態を入力する(ステップS52)。処理対象となるスイッチ等としては、例えば、可変入賞装置91への入球を検出するカウントセンサ319や、第2転動演出装置100方向への遊技球の放出を検出する遊技球センサ361などが挙げられる。
また、CPU314は、タイマ減算処理(ステップS53)、乱数更新処理を行う(ステップS54)。タイマ減算処理は、可動片を駆動するソレノイドの開時間タイマの減算や、閉時間タイマの減算を行う処理である。乱数更新処理とは、大当りか否かの抽選等に用いられる乱数を、更新する処理である。
以下、順にCPU314が実行する各処理の概要を説明する。賞球制御処理(ステップS55)は、賞球制御処理とは、払出制御基板に対して賞球払出のコマンドを送信する処理である。賞球チェック処理(ステップS56)は、パチンコ機1の全入賞口について入賞の有無を判断する処理である。枠コマンド受信処理(ステップS57)は、払出制御基板から球切れなどの異常信号を受けた場合に、サブ統合基板に異常報知用の表示等を行うための異常コマンドを作成する処理である。
特別図柄・特別電動役物制御処理(ステップS57)は、図46で示した抽選や、可変入賞装置91の開閉制御を含む実質的な遊技処理である。この処理内容については、後で詳述する。
球振分部処理(ステップS59)は、可変入賞装置91内の第1転動演出装置95(図3)を駆動制御する処理である。回転体部処理(ステップS60)は、第3転送演出装置101(図3)を駆動制御する処理である。球経路変化部処理(ステップS61)は、第2転動演出装置100を駆動制御する処理である。大入賞口動作処理(ステップS62)は、可変入賞装置91の入賞口(役物用入賞口92)の開閉制御処理である。
出力データ設定処理(ステップS63)は、外部出力、試験信号出力を行ったり、主基板が直接点灯制御するLEDデータ出力、回転体等のモータの励磁データの出力、可動片を駆動するソレノイドの駆動データの出力を行ったりする処理である。周辺基板コマンド制御処理(ステップS64)は、サブ統合基板などの周辺基板に、演出用のコマンドその他のコマンドを送信する処理である。
CPU314は、以上の各処理を実行した後、WDTクリアレジスタにC値を書き込み(ステップS65)、レジスタの復帰(ステップS66)、割込許可をして(ステップS67)、割込処理を完了する。
D3.遊技処理:
図51は、遊技処理の一例を示すフローチャートである。主基板310のCPU314は、始動口センサ318がONの検出信号を出力している時は(ステップS1601)、始動入賞口96に遊技球が入賞したと判別し各種乱数(大当り判定乱数、継続回数判定乱数、変動表示パターン乱数等)を取得する。大当り判定乱数は、抽選の結果判定に用いられる乱数である。継続回数判定乱数は、大当り遊技のラウンド数である設定最大継続回数の設定に用いられる乱数である。変動表示パターン乱数は、変動表示パターンの決定に用いられる乱数である。
CPU314は次にRAM316に設けられている留保球数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かを判断する(ステップS1602)。留保球数カウンタの値が4未満であれば、CPU314は、ステップS1601で取得した所定の乱数を記憶手段としてのRAM316に記憶格納させるための始動記憶格納処理を行う(ステップS1603)。始動口センサ318がONでない場合(ステップS1601)、または留保球数カウンタの値が4以上である場合(ステップS1602)には始動記憶格納処理はスキップする。
始動記憶格納処理では、CPU314は、留保球数カウンタに「1」を加算し、この加算に伴って留保数表示制御手段を介して留保表示器122に表示される留保球数の数を変更する。本実施例では、留保表示器122は4つのランプで構成されているため、CPU314は、留保球数に応じてランプを点灯させる。CPU314は、また取得した乱数値(例えば、大当り判定乱数、継続回数判定乱数、等)をRAM316内の始動記憶の保存領域に、留保球数カウンタのカウント値に対応させてFIFO(First In First Out)方式で記憶する。このように、留保球数カウンタは、始動記憶の保存領域に記憶される乱数値の数を示すカウンタである。ステップS1602において留保球数カウンタの値が上限値以上である場合には、始動記憶格納処理はスキップされるため、ステップS1601で取得した乱数値は破棄される。始動記憶の保存領域に記憶すべき各種乱数の取得タイミングは種々の設定が可能であり、例えば、ステップS1602で留保球数カウンタが上限値未満であることを判別した後に取得したり、始動記憶格納処理(ステップS1603)で取得してもよい。
CPU314は次に遊技の進行状態を示す処理選択フラグの値に応じて、以下に示す各処理を実行する。
処理選択フラグが[0]の場合…変動開始処理(ステップS1604);
処理選択フラグが[1]の場合…変動表示パターン設定処理(ステップS1605);
処理選択フラグが[2]の場合…変動中処理(ステップS1606);
処理選択フラグが[3]の場合…役物用入賞口開閉処理(ステップS1607);
処理選択フラグが[4]の場合…大当り遊技開始処理(ステップS1608);
処理選択フラグが[5]の場合…大当り遊技中処理(ステップS1609)。
処理選択フラグが[0]のときに実行される変動開始処理(ステップS1604)は、大当り判定乱数に応じて「特別当り」、「第1普通当り」、「第2普通当り」、及び「ハズレ」の何れであるかの判定を行う処理である。処理選択フラグが[1]のときに実行される変動表示パターン設定処理(ステップS1605)では、特別図柄および図柄の変動表示に関わる設定を行う。処理選択フラグが[2]のときに実行される変動中処理(ステップS1606)では、変動表示パターン設定処理(ステップS1605)で変動時間が設定されたタイマを監視し、タイムアウトすると特別図柄の変動表示を停止させる処理を行う。
処理選択フラグが[3]のときに実行される役物用入賞口開閉処理(ステップS1607)では、抽選結果が「第1普通当り」又は「第2普通当り」の場合に、その抽選結果に応じた役物用入賞口92の開閉を実行させる。処理選択フラグが[4]のときに実行される大当り遊技開始処理(ステップS1608)では、大当り遊技状態を開始するための設定を行う。処理選択フラグが[5]のときに実行される大当り遊技中処理(ステップS1609)では、入球数および経過時間が所定の条件を満たすまで役物用入賞口92を開閉制御する。以下、それぞれの処理内容について詳しく説明する。
D4.変動開始処理:
図52は変動開始処理のフローチャートである。図51のステップS1604の処理に相当する。変動開始処理では、CPU314は、留保球数カウンタの値が0であるか否か判断する(ステップS1621)。留保球数カウンタの値は、始動記憶の保存領域に格納される乱数値の数を示すものであるため、留保球数カウンタの値が0であれば、CPU314は始動記憶がないと判別し変動開始処理を終了する。
留保球数カウンタの値が0でなければ(ステップS1621)、次に示す始動記憶移行処理を実行する(ステップS1622)。CPU314は、留保球数カウンタを1減算し、始動記憶の保存領域にて留保球数カウンタのn(n=1、2、3、4)に対応する保存領域に記憶されている各種乱数を始動記憶の保存領域における留保球数カウンタのn−1(n=0、1、2、3)に対応する保存領域にシフトさせる。CPU314は、始動記憶の保存領域にFIFOで記憶されたデータから、留保球数カウンタの0に対応する大当り判定乱数等の乱数を読み出す。
CPU314は、読み出した大当り判定乱数を用いて抽選結果が、「特別当り」、「第1普通当り」、及び「第2普通当り」の何れであるかを決める大当り判定処理を行い(ステップS1623)、処理選択フラグを[1]に更新する(ステップS1624)。この更新により、次に遊技処理(図51参照)が実行されたときには変動表示パターン設定処理(図51のステップS1605)が実行される。
図53は大当り判定処理のフローチャートである。変動開始処理(図52)のステップS1623に相当する処理である。この処理では、CPU314は、ROM315に記憶された大当り判定テーブルを選択する(ステップS1641)。大当り判定テーブルとは、「特別当り」、「第1普通当り」、「第2普通当り」、「ハズレ」となる大当り判定乱数を記録したテーブルである。本実施例では、乱数値は値0〜199をとるため、大当り判定テーブルには、0〜199のうち、「特別当り」、「第1普通当り」、「第2普通当り」に該当する乱数値が記録されている。大当り判定テーブルは、これらの当りの当選表ということもできる。大当り判定テーブルの内容に応じて、各抽選結果が得られる確率が決まる。本実施例では、「ハズレ」を1/200、「第1普通当り」を188/200、「第2普通当り」を10/200、「特別当り」を1/200、と設定したが、これらの確率は「特別当り」の確率が最も低くなるという条件下で任意に設定可能である。「ハズレ」は無くても良い。
CPU314は、大当り判定テーブルに基づいて大当り判定乱数が「特別当り」であると判定される場合には(ステップS1642)、特別当りフラグをON状態として(ステップS1644)、大当り判定処理を終了する。「特別当り」でない場合において(ステップS1642)、「第1普通当り」に該当すれば(ステップS1644)、CPU314は、第1普通当りフラグをON状態として(ステップS1645)、大当り判定処理を終了する。「第1普通当り」でない場合において(ステップS1644)、「第2普通当り」に該当すれば(ステップS1646)、CPU134は、第2普通当りフラグをON状態として(ステップS1647)、大当り判定処理を終了する。「第2普通当り」にも該当しない場合は(ステップS1646)、「ハズレ」に該当するからCPU314は全ての当りフラグはOFFのまま大当り判定処理を終了する。
D5.変動表示パターン設定処理:
図54は変動表示パターン設定処理のフローチャートである。遊技処理(図51)のステップS1605に相当する処理である。CPU314は、特別当りフラグがON状態の場合には(ステップS1661)、「特別当り」と判断し、ROM315に記憶されている特別当り時変動表示パターンテーブルを選択する(ステップS1662)。特別当りフラグがOFFの場合において(ステップS1661)、第1第2第1普通当りフラグ又は第2普通当りフラグの何れかがON状態であるときは(ステップS1663)、「第1普通当り」又は「第2普通当り」であると判定し、ROM315から普通当り時変動表示パターンテーブルを選択する(ステップS1664)。本実施例では、「第1普通当り」と「第2普通当り」で共通のテーブルを用いているが、第1普通当り時変動表示パターンテーブルおよび第2普通当り時変動表示パターンテーブルという2種類のテーブルを使い分けるようにしてもよい。「第1普通当り」および「第2普通当り」でもない場合には(ステップS1663)、「ハズレ」と判断しROM315に記憶されているハズレ時変動表示パターンテーブルを選択する(ステップS1665)。
変動表示パターンテーブルを選択すると、CPU314は、変動開始処理(図52)のステップS1622で読み込まれていた変動表示パターン乱数に応じて先に選択された変動表示パターンテーブルから対応する変動表示パターンを決定し(ステップS1666)、その結果に応じた変動表示パターンコマンドをセットする(ステップS1667)。
次に、CPU314は、変動表示パターンの決定結果に応じた変動時間をタイマにセットする(ステップS1668)。本実施例では、「第1普通当り」又は「第2普通当り」の場合には、1sec〜2secの変動時間(以下、「第1実行時間」という)がセットされる。「特別当り」又は「ハズレ」の場合、第1実行時間よりも長い変動時間(以下、「第2実行時間」という)がセットされる。「特別当り」又は「ハズレ」に対する変動時間が普通当りよりも長いため、遊技者は、遊技中に普通当りではないことを容易に認識でき、「特別当り」か「ハズレ」かの結果をワクワク、ドキドキしながら待つことになるため、興趣が高まる。
CPU314は、変動時間をセットした後、「変動中処理」に移行するため処理選択フラグを[2]に更新して(ステップS1669)、以上の処理で決定、或いはセットされた、大当り判定乱数、変動表示パターン乱数、変動表示パターンコマンド、変動時間等を周辺基板311へ送信するためのコマンドをセットする(ステップS1670)。終了この結果、決定された変動表示パターンに基づいて、特別図柄表示器121の特別図柄の変動表示が開始される。
D6.変動中処理:
図55は変動中処理のフローチャートである。遊技処理(図51)のステップS1606に相当する処理である。CPU314は、特別図柄表示器121において変動表示中の特別図柄の変動時間がタイムアップしていなければ(ステップS1681)何も処理を行うことなく本ルーチンを終了する。
タイムアップしている場合において(ステップS1681)、実行中の抽選結果が「特別当り」である場合には(ステップS1682)、CPU314は、「大当り遊技開始処理」に移行するため処理選択フラグを[4]に更新して(ステップS1683)、本ルーチンを終了する。その際に、特別図柄表示器121では、「特別当り」を示唆する特別図柄が停止表示される。
「特別当り」でない場合において(ステップS1682)、「第1普通当り」又は「第2普通当り」である場合には(ステップS1684)、CPU314は役物用入賞口開閉処理に移行するため処理選択フラグを[3]に更新し(ステップS1685)、本ルーチンを終了する。その際に、特別図柄表示器121では、抽選結果に応じた「第1普通当り」又は「第2普通当り」を示唆する特別図柄が停止表示される。
抽選結果が「第1普通当り」又は「第2普通当り」でない場合、つまり、「ハズレ」である場合には(ステップS1684)、CPU314は変動開始処理に移行するため処理選択フラグを[0]に更新し(ステップS1686)、本ルーチンを終了する。その際に、特別図柄表示器121では、「ハズレ」を示唆する特別図柄が停止表示される。
D7.役物用入賞口開閉処理:
図56は、役物用入賞口開閉処理のフローチャートである。遊技処理(図51)のステップS1607に相当する処理である。CPU314は、抽選結果が「第1普通当り」であれば(ステップS1701)、第1開放時間をセットする(ステップS1702)。「第1普通当り」でない場合、即ち「第2普通当り」の場合には(ステップS1701)、CPU314は第2開放時間をセットする(ステップS1703)。
CPU314は、セットした開放時間に応じて役物用入賞口92の開閉動作を行う(ステップS1704)。「第1普通当り」の時は、第1開放時間に相当する0.3sec〜0.6secの間、役物用入賞口92を開放又は開閉させ、更に約0.4秒の間、開放させる。「第2普通当り」の時は、第2開放時間に相当する1.5秒〜2.0secの間、役物用入賞口92を開放又は開閉させ、更に約1.8秒の間、開放させる。
CPU314は、次に、大当り受入センサ330がONとなったか否かを判断する(ステップS1705)。これは可変入賞装置91内の大当り受入口93に遊技球が受入れられ、「大当り」が生じたか否かの判断である。大当り受入センサ330がONの時は、CPU314は「大当り」になったと判断し、「大当り遊技開始処理」に移行するため処理選択フラグを[4]に更新し(ステップS1706)、大当り遊技中に演出表示装置115に演出表示パターンを表示するためのコマンドをセットして(ステップS1707)、本ルーチンを終了する。大当り受入センサ330がONでない場合には(ステップS1705)、CPU314は、変動開始処理に移行するよう処理選択フラグを[0]に更新して(ステップS1708)、本ルーチンを終了する。
D8.大当り遊技開始処理:
図57は大当り遊技開始処理のフローチャートである。遊技処理(図51)のステップS1608に相当する処理である。大当り遊技開始処理は、始動入賞口96への入賞に伴う抽選結果が「特別当り」の場合、又は、可変入賞装置91内で遊技球が大当り受入口93に入った場合に開始される処理である。CPU314は、変動開始処理(図52)のステップS1622で読み込まれていた継続回数判定乱数により、大当り遊技のラウンド数である設定最大継続回数を設定する(ステップS1721)。本実施形態では、2回、8回、16回の各ラウンド数が選択される割合が1/4、1/4、1/2となるように、乱数値とラウンド数とを対応づけた選択テーブルが予め用意されており、継続回数判定乱数に基づいてこの選択テーブルを参照することにより、ラウンド数が設定される。継続回数判定乱数は種々のタイミングで設定可能であり、始動入賞口96への入賞時に発生しても良いし、大当り処理を開始する際に発生しても良い。
CPU314は、次に継続回数判定表示処理(ステップS1722)として次の処理を行う。CPU314は、ROM315に記憶された継続回数判定表示パターンテーブルから、継続回数判定乱数に対応する継続回数判定表示パターンを決定し、その結果を表す表示パターンコマンドを周辺基板311に送信する。継続回数判定表示パターンとしては、設定最大継続回数を示唆する表示パターンや、最大ラウンド数よりも少ないラウンド数を示唆する表示パターン等、種々の表示パターンが用意されている。例えば、設定最大継続回数が16であった場合、当初はラウンド数を8として表示させ、大当り遊技中にラウンド数が変更されるような演出表示(例えば、再抽選表示)を行ってあたかもラウンド数が16に増えたかのような表示としても良い。当所表示されたラウンド数よりも有利なラウンド数が表示されるため、遊技者に幸運を得たような感覚にさせることが可能となり、興趣を高めることができる。
CPU314は、継続回数判定表示処理が終了すると、大当り遊技中処理に移行するために処理選択フラグを[5]に更新して、本ルーチンを終了する。
D9.大当り遊技中処理:
図58は大当り遊技中処理のフローチャートである。遊技処理(図51)のステップS1609に相当する処理である。CPU314は、ラウンドカウンタの初期値として値2をセットする。ラウンドカウンタは大当り遊技中のラウンド数をカウントするための変数であり、その値が設定最大回数に達すると大当り処理が終了となる。初期値を2としたのは、本実施例では、始動入賞口96への入賞時に行われる役物用入賞口92の開閉動作を「第1ラウンド」としており、大当り遊技中処理は、第2ラウンド以降のラウンド動作の処理に相当するからである。初期値はラウンド数の数え方に応じて種々の設定が可能である。
CPU314は、入賞球数カウンタに「0」をセットし(ステップS1742)、役物用入賞口92を所定時間間隔で開閉動作させる(ステップS1743)。役物用入賞口92の開閉回数が設定最大回数以下であるうちは(ステップS1744)、入賞球カウンタの値が10未満であるか否かを判断する(ステップS1745)。入賞球カウンタの値が10に満たない場合には(ステップS1745)、大入賞口に対応するカウントセンサ319の検出信号がONになったか否かを判断する(ステップS1746)。カウントセンサ319がONになった時は(ステップS1746)、可変入賞装置91に遊技球が入賞したことを表しているため、CPU314は、入賞球数カウンタに「1」を加算し、ステップS1744以降の判断を繰り返す。カウントセンサ319がOFFの時は、可変入賞装置91への入賞がなかったことになるため、入賞球数カウンタを加算せずにステップS1744以降の処理を繰り返す。
ステップS1744,S1745の判断の結果、1回のラウンド動作中において、役物用入賞口92の開閉が設定最大回数である18回に達するという条件、または入賞球が10カウントに達するという条件のいずれかが満たされると、CPU314は1回のラウンドを終了させ、役物用入賞口92の開閉動作を停止する(ステップS1748)。CPU314は、ラウンドカウンタの値が設定最大継続回数に達していなければ(ステップS1749)、ラウンドカウンタの値を「1」加算して(ステップS1750)、入賞球数カウンタを「0」にリセットして(ステップS1742)、次のラウンドの処理、即ちステップS1742以降の処理を再度実行する。以上の処理によって、ラウンド動作が繰り返されてラウンドカウンタの値が設定最大継続回数に達すると(ステップS1749)、CPU314は留保記憶表示処理を行い(ステップS1751)、変動開始処理に移行すべく処理選択フラグを[0]に更新して、大当り遊技中処理を終了する。
以上で説明した、本実施例の遊技処理によると、特別図柄の変動表示中や、大当り処理中等の状況以外では、始動入賞口96に入賞すると比較的短時間で役物用入賞口92が開閉動作するので、遊技者に従来の第2種のパチンコ機と類似した遊技を違和感無く楽しませることができる。役物用入賞口92が開閉動作する前に、特別図柄が停止表示されるため、遊技者は、開閉動作のパターン(抽選結果)を認識することができ、特別図柄の示唆によって遊技の有利さが変わるため、遊技者の興趣を高めることができる。
また、特別図柄の変動時間は普通当りよりも長いため、変動時間の差によって遊技者は、抽選結果が普通当りではなく、「ハズレ」又は「特別当り」の何れかであることを容易に認識することができ、抽選結果が表示されるまで、遊技者をハラハラ、ドキドキさせることができる。また、始動入賞口96への入賞により、大当りとなる「特別当り」を備えている点で、従来の第1種の遊技と類似しており、遊技者の違和感を抑制することができる。
本実施例では、上述の通り、「特別当り」、「第1普通当り」、「第2普通当り」のそれぞれで、役物用入賞口92の開閉動作が相違する。この開閉制御は、それぞれの当りの態様に応じて個別に制御モードを設けるようにしてもよいが、本実施例では、共通の制御処理によって実現されている。開閉制御の内容については、演出表示も含めてパチンコ機1で実行される遊技の内容全体を説明した後に、改めて説明する。
E.演出表示:
E1.主基板の機能ブロック:
図59は演出表示制御における主基板の機能ブロックを示す説明図である。本実施例のパチンコ機1は、可変入賞装置91の略中央に配置された演出表示装置115に、キャラクタや背景等を表示させることができる。主基板310は、図59に示した構成により、遊技状態に応じて演出表示装置115の表示態様を制御する。本実施例では、図59に示す各機能ブロックは、演出プログラムによってソフトウェア的に実現される。これらの機能ブロックの少なくとも一部はハードウェア的に構成してもよい。
抽選手段620は、始動口センサ318から始動入賞口96への入賞の検出結果を受け、乱数発生手段611により大当り判定乱数を発生させる。また、大当り判定乱数に基づいて予め用意された大当り判定テーブルを参照して抽選を行う。
実行保留手段621は、抽選手段620により抽選された抽選結果の表示を遊技状態に応じて実行又は留保する。実行時間選択手段622は、抽選結果に応じて、特別図柄による抽選結果の表示までの実行時間を設定する。本実施例では、先に説明した通り、抽選結果が「第1普通当り」又は「第2普通当り」の時は第1実行時間に設定し、抽選結果が「ハズレ」又は「特別当り」の時は第2実行時間に設定する。
特別図柄表示制御手段623は、実行保留手段621が抽選結果の表示を開始すると、特別図柄表示器121に複数の特別図柄を変動表示させる。また、抽選結果に応じた実行時間が経過すると抽選結果を表示する。
有利遊技状態発生手段612は、抽選結果が「特別当り」又は第3転動演出装置101の大当り受入口93への入賞の時は、大当りとして遊技者に有利な有利遊技状態(図58に示す大当り遊技中処理)で可変入賞装置91を駆動制御する。有利遊技状態発生手段612は、この制御に用いる情報として、役物用入賞口92への入賞数をカウントするためのカウントセンサ319からの検出信号を入力している。
開閉制御手段614は、抽選結果が「第1普通当り」、「第2普通当り」の何れかであるときには、ソレノイド311により可動片456を駆動することで役物用入賞口92の開閉を制御する。記憶手段624は、実行保留手段621により実行留保中の抽選に用いられる各種乱数をRAM316に記憶させる。留保数表示手段625は、記憶手段624に記憶された抽選の留保数(留保球数)を留保表示器122に表示させる。コマンド送信手段613は、抽選結果を制御コマンドとしてサブ統合基板336などの周辺基板311へ送信する。
実行保留手段621は、開閉制御手段614による可変入賞装置91の開閉制御、特別図柄表示制御手段623による特別図柄の表示状態等に応じて、抽選結果を留保したり、抽選された直後の抽選結果或いは記憶手段624に記憶(留保)された抽選結果を抽出して実行したりする。
転動演出制御手段615は、回動検出センサ494からの検出信号に基づいて、モータ332を制御して、ガイド部材491上で遊技球が揺動するように第1転動演出手段95の動作を制御する。始動口センサ318、回動検出センサ494、カウントセンサ319、及び回転位置検出センサ321からの検出信号は、コマンド送信手段613を介して周辺基板311にも送信される。
E2.周辺基板の機能ブロック:
図60は演出表示制御における周辺基板の機能ブロックを示す説明図である。本実施例では、これらの機能ブロックは、ソフトウェア的に構成されているが、その少なくとも一部はハードウェア的に構成してもよい。
コマンド受信手段631は、主基板310から送信される制御コマンドを受信する機能を奏する。演出表示制御手段632は、受信した制御コマンドに基づいて、演出表示装置115に所定の演出表示を表示させる。放出度合判定手段633は、始動口センサ318、カウントセンサ319、回動検出センサ494、及び回転位置検出センサ321に関する制御コマンドに基づいて、ガイド部材491から第3転動演出装置101の方向に遊技球が放出される確率(以下、「放出度合」ともいう)を判定し、その結果を演出表示制御手段632に出力する。演出表示制御手段632には、遊技球センサ361からの検出信号が送られるようになっている。
演出表示制御手段632は、図示する各機能ブロックを用いて、遊技状態に応じた所定の演出態様を演出表示装置115に表示させる。キャラクタ制御手段634は、キャラクタを静止画または動画表示する。背景制御手段635は背景を静止画または動画表示する。図柄制御手段636は図柄を静止画または動画表示する。キャラクタや背景等の静止画や動画等、これらの表示に必要となる画像データは、記憶手段(例えば、サブ統合基板336や電飾制御基板338のROM351やROM371)に予め記憶されている。
演出表示制御手段632は、速度変更手段638や放出度合表示制御手段639によって、遊技状態に応じて演出態様を変更する演出態様変更手段637を備えている。速度変更手段638は、キャラクタや背景等の移動速度を変更させる。放出度合表示制御手段639は、放出度合判定手段633による判定結果に基づいて、キャラクタの色、表情、ポーズ等を変更するなど遊技者に放出度合を示唆する演出表示を行う。
度合示唆図柄制御手段640は、大当り処理を実行する前に、抽選結果に応じて、演出表示装置115に大当りのラウンド数を示唆する度合示唆図柄を表示させる。この表示を行うため、周辺基板311には、複数種類の演出態様を実現するためのデータが予めラウンド抽選テーブルとして記憶されている。演出態様には、ラウンド数を初めから表示させる態様や、当初は本来のラウンド数よりも少ない値を表示しておき、途中で本来のラウンド数に変更する態様を含め得る。度合示唆図柄制御手段640は、これら複数種類の演出態様から、抽選結果に応じて選択された態様を用いて度合示唆図柄を表示させる。
E3.演出表示画面例:
図61は演出態様の表示例を示す説明図である。図61(a)〜図61(d)までの各演出態様の変更は、演出表示制御手段632における演出態様変更手段637によって制御される。
図61(a)は第1演出態様の画面例である。第1演出態様では、画面の略中央にキャラクタC1が図中左方向に向けて、歩いているように手足を動かす表示がなされる。キャラクタC1の後には、背景H(塀や道)が、キャラクタC1の手足の動きに合った速度で、キャラクタC1の向く方向とは逆の右方向へ移動表示される。これにより、キャラクタC1があたかも左方向へ向かって歩いているような表示がなされる。また、これと併せて周辺基板311で乱数を発生させ、その結果に応じて、画面上に、犬C2、蛙C3、鳥C4、小物(缶)C5等が適宜表示される。こうすることで第1演出態様の画面に変化を持たせ、飽き難く、面白味のある画面表示が実現される。
図61(b)は第2演出態様の画面例である。第2演出態様では、キャラクタC1は左向きに走っている動作で表示される。背景Hはこれに合わせた速度で図中右側へ移動表示される。第2演出態様での背景の移動速度は、第1演出態様での移動速度よりも速い。背景の移動速度は、速度変更手段638(図60)によって制御される。
図61(c)、図61(d)は第3演出態様の画面例である。これらの画面は続けて表示される。図61(c)の画面では、キャラクタC1の頭上にタライC6が落下してキャラクタC1に当たる表示がなされる。背景Hは停止される。その後、図61(d)の画面に移行し、キャラクタC1が上を見上げながら顔を左右に振り、タライC6が何処から落ちてきたのかを不思議がる表示がなされる。
図62は特別第2演出態様の画面例を示す説明図である。第2演出態様(図61(b))のバリエーションとして用いられる画面である。特別第二演出態様では、図62(a)に示すように、キャラクタC1を第3転動演出装置101が配置されている右向きに向けて急いで走っている動きで表示させる。この動きに合わせて背景は、キャラクタC1の向く方向とは反対の左方向に移動表示される。キャラクタC1および背景の動きは、第2演出態様よりも速い。これにより、キャラクタC1が大当り受入口93のある方向に向かって急いで走っているような演出表示をさせることができ、遊技球が大当り受入口93側へ放出されることを示唆できる。
また、特別第2演出態様は、放出度合表示制御手段639により、図62(b)に示すように、放出度合に応じて、キャラクタC1の表情を変化(例えば驚いたような表情に変化)させるたり、顔色を変更(例えば肌色から赤色に変更)したりして、キャラクタC1が大当り受入口93側へ走る切迫感を変える演出表示を行い、遊技者に放出度合を示唆する。
図63は特別第3演出態様等の画面例を示す説明図である。図63(a)は第3演出態様(図61(c)、図61(d))のバリエーションとして用いられる特別第3演出態様の画面例を示している。この画面では、キャラクタC1の前後に炎を示す背景Hが表示され、キャラクタC1が炎に炙られて熱がっているような表情で拡大表示される。キャラクタC1が炎に包まれて大変な状態になっている演出表示には、遊技者を昂ぶらせることで、遊技者に大当りが生じるチャンスの到来を認識させて、興趣を高める効果がある。
図63(b)は大当りが生じた時の画面例である。この画面では、「大当り」という文字を含む背景と、にこやかなキャラクタC1が表示される。この画面により、遊技者に大当りの発生を認識させることができるとともに、キャラクタC1のにこやかな様子で、遊技者を安心させ、興奮を鎮めることができる。
図63(c)はハズレ演出態様の画面例である。ハズレ演出態様では、図示するように、キャラクタC1が真っ黒に黒焦げになった状態で横たわる画面が表示される。特別第3演出態様(図63(a))において炎に包まれたキャラクタC1が、真っ黒に燃え尽きることで、ハズレとなったことを積極的に示唆するとともに、高揚した期待感を一気に減退させ、遊技を抑揚に富んだものとできる。
E4.特定演出態様:
図64は特定演出態様の表示時の可変入賞装置91の状態を示す説明図である。特定演出態様は、第2転動演出装置100により遊技球Bが図中右方向に押打された時に用いられる表示画面である。特定演出態様では、演出表示装置115には、キャラクタ体533と同じキャラクタC7が略同じポーズで表示される。キャラクタC7は、演出表示装置115の左側から右側に向かって、残像を残しながら移動表示される。
図65は特定演出態様の表示画面例である。上述の移動表示の後、キャラクタC7は、図65(a)に示すように、演出表示装置115の略中央で一旦、停止する。その後、図65(b)に示すように図中左側から遊技球Bを模した図柄TBに押されるように、演出表示装置115の右側にの表示領域外へと移動表示される。
上述した種々の演出態様においては、図61に示したように、犬C2や蛙C3等、キャラクタC1以外のキャラクタを適宜出現させたり、背景Hを適宜異なるものと変更したりしても良い。
E5.演出表示処理:
図66は演出表示処理のフローチャートである。主基板310のCPU314が実行する処理である。この処理では、CPU314は、第1演出態様表示処理を行い(ステップS1801)、演出表示装置115には図61(a)に示した画面を表示させる。この表示は、遊技球が始動入賞口96に入球し、始動口センサ318で遊技球が検出されるまで、表示され続ける(ステップS1802)。
CPU314は、始動入賞口96への入球を検出すると、第2演出態様表示処理(ステップS1803)が行われる。第2態様表示処理では、遊技の状況に応じて、第2演出態様表示(図61(b))と特別第2演出態様表示(図62)とを使い分けた画面表示が行われる。第2演出態様では、遊技球が入球した始動入賞口96の位置や、抽選結果の種類によって背景等を変えたり、第1演出態様と同様に、キャラクタC1以外のキャラクタ等を適宜表示したりしても良い。
CPU314は、カウントセンサ319によって役物用入賞口92への入賞が検出されたか否かを判断する(ステップS1804)。この判断は、始動入賞口96への入球から所定時間経過するまで繰り返される(ステップS1805)。所定時間としては、抽選結果に応じて選択される実行時間(図54参照)が用いられる。この間、演出表示装置115には、第2演出態様処理による画面が表示され続ける。所定時間が経過してもカウントセンサ319による遊技球の検出がない場合には、CPU314は、第2演出態様を終了し、第1演出態様の表示状態に戻す(ステップS1806)。
所定時間内にカウントセンサ319により遊技球が検出されると(ステップS1804)、CPU314は、第2演出態様表示処理に代えて、第3演出態様表示処理が行われる(ステップS1807)。第3演出態様表示処理では、遊技の状況に応じて、第3演出態様表示(図61(c)、図61(d))および特別第3演出態様表示(図63(a))を使い分けて画面表示が行われる。
第3演出態様では、役物用入賞口92に入球し球入口457(図12)を通ってその下方の受渡口458からガイド部材491上へと受け渡される遊技球の動きと連動するタイミングで、図61(c)に示したタライC6がキャラクタC1の頭上に落下する演出表示がなされる。本実施例では、演出表示装置115はガイド部材491の直下に配置されているため、このようにタイミングを合わせることにより、遊技球がタライC6に変化してキャラクタC1に当たったかのように遊技者に錯覚させる面白味のある演出表示が実現される。その後、ガイド部材491上を遊技球が左右方向に揺動するタイミングにほぼ合わせて、キャラクタC1が上を見ながらキョロキョロする図61(d)の画面が表示されるため、キャラクタC1が揺動する遊技球を見ているかのような遊技者を楽しませる演出表示が実現される。
CPU314は、大当り受入口93への遊技球の入球が大当り受入センサ330によって検出されたか否かを判断する(ステップS1810)。この判断は、始動入賞口96への入球から所定時間経過するまで繰り返される(ステップS1809)。この間、演出表示装置115には、第3演出態様表示処理による画面が表示され続ける。所定時間としては、抽選結果に応じて選択される実行時間(図54参照)を用いてもよいし、これとは異なる値としてもよい。また、所定時間の計測は、役物用入賞口92への入賞から開始してもよい。
所定時間内に大当り受入センサ330により遊技球が検出されると(ステップS1808)、CPU314は、第3演出態様表示処理に代えて、大当り演出態様表示処理を行う(ステップS1810)。大当り演出態様表示処理では、例えば、図63(b)に示した表示をした後に、乱数発生手段611により発生された乱数(抽選結果)に応じた、有利遊技状態におけるラウンド演出表示や、カウントセンサ319によるカウント演出表示等の所定の演出表示がなされる。CPU314は、有利遊技状態が終了すると、第1演出態様の表示状態に戻す(ステップS1806)。所定時間が経過しても大当り受入センサ330による遊技球の検出がない時(ステップS1809)の処理については図67に示す。
図67は「ハズレ」時の演出態様表示処理のフローチャートである。上述のステップS1809以後の処理に相当する。大当り受入センサ330による遊技球の検出がないまま所定時間経過すると(ステップS1809)、特別第3演出態様が表示されていない場合には、CPU314は、第3演出態様処理を終了し、第1演出態様での表示を行う(ステップS1806)。特別第3演出態様が表示されていた場合には(ステップS2101)、CPU314は、ハズレ演出態様(図63(c))を表示してから、第1演出態様での表示を行う(ステップS1806)。
E6.第2演出態様表示処理:
図68は第2演出態様表示処理のフローチャートである。演出表示処理(図66)のステップS1803に相当する処理である。この処理では、CPU314は、ガイド部材491を駆動するモータ332(図20)の回転位置検出センサ321と回動検出センサ494の出力に基づき、ガイド部材491の動作状況を取得する(ステップS1901)。この処理により、始動口センサ318に遊技球が検出された時点の、ガイド部材491の回動角度や回動方向、及び回動位置等が取得される。
CPU314は、ガイド部材491の回動角度や方向に基づき、所定の演算式によってガイド部材491から遊技球が第3転動演出装置101の方向へ放出される確率を求める。演算式に代えて、ガイド部材491の回動角度や方向と放出度合との関係を予め記憶したテーブルを参照する方法を採ってもよい。
CPU314は、求められた放出度合が所定値(例えば、75%以上)に満たない場合には(ステップS1903)、図61(b)に示した第2演出態様を表示させ(ステップS1904)、放出度合が所定以上の場合には、次に例示する特別第2演出態様を表示させる(ステップS1905)。
E7.第3演出態様表示処理:
図69は第3演出態様表示処理のフローチャートである。演出表示処理(図66)のステップS1807に相当する処理である。第3演出態様表示処理では、CPU314は、図62に示した特別第2演出態様が表示されていない場合には(ステップS2001)、先に図61(c)及び(d)で示した第3演出態様を表示する(ステップS2002)。この表示が行われた後の処理については後述する。
特別第2演出態様が表示された場合には(ステップS2001)、CPU314は、第2演出態様表示処理(図68)と同様、始動口センサ318に遊技球が検出された時点の、ガイド部材491の回動角度や回動方向、及び回動位置等を取得し(ステップS2003)、放出度合は、始動口センサ318での検出時点での回動角度等に代えて、カウントセンサ319での検出時点、即ち可変入賞装置91への入賞が検出された時点での値を用いて算出してもよい。放出度合を求める(ステップS2004)。そして、この放出度合が所定値(例えば、75%以上)に満たない場合には(ステップS2005)、図61(c)及び(d)に示す第3演出態様を表示させ(ステップS2002)、放出度合が所定以上の場合には、図63(a)示した特別第3演出態様を表示させる(ステップS2006)。
E8.特定演出態様表示処理:
図70は特定演出態様表示処理を示すフローチャートである。第3演出態様表示処理(図69)のステップS2002に続く処理であり、放出度合が所定値に満たない場合、つまりガイド部材91から第2転動演出装置100に放出される可能性が高い場合に実行される処理である。この処理では、遊技球が第2転動演出装置100から第3転動演出装置101側へ押打される可能性に応じて、演出表示装置115への表示態様が使い分けられる。
図70に示すようにCPU314は、カウントセンサ319により遊技球が検出されてからK1時間経過するまで第3演出態様での表示を繰り返す(ステップS2002、S2201)。K1時間が経過すると、CPU314は、ガイド部材91から第2転動演出装置100に遊技球が放出されたか否かを、遊技球センサ361(図12)の検出結果により判断する(ステップS2202)。この判断は、カウントセンサ319により遊技球が検出されてからK2時間経過するまで繰り返し実行する(ステップS2203)。上述の判断で用いられるK1時間、K2時間は、カウントセンサ319による検出後、第2転動演出装置100によって遊技球が押打可能となるまでのタイミングに基づいて設定することができる。K1時間<K2時間となる関係に設定でき、例えば、0.5≦K1<K2≦2.5と設定できる。カウントセンサ319による遊技球Bの検出からの経過時間は、例えば、カウントセンサ319の検出によりスタートする計測手段を用いる方法を採ることができる。また、カウントセンサ319により遊技球Bが検出された時刻と、遊技球センサ361により遊技球Bが検出された時刻と、から経過時間を算出してもよい。後者の態様では、上述の経過時間計測用の計測手段を備える必要がないので、構成を簡略化することができる。
第2転動演出装置100への遊技球の放出が検出されないままK2時間が経過すると(ステップS2203)、CPU314はそのまま第3演出態様を終了する。第2転動演出装置100への遊技球の放出が検出されると(ステップS2203)、CPU314は第3転動演出装置101の回転体552が所定の回転状況であるか否かを判断する(ステップS2204)。所定の回転状況とは、第2転動演出装置100からの遊技球が特定収容部550cに収容される可能性が高い状況である。本実施例では、回転体552の回転速度は一定であるから、カウントセンサ319による検出時での回転体552の回転位置を、回転軸553に設けられた回転検出部554を回転位置検出センサ321(回転位置検出手段)により検出すれば、特定収容部550cが遊技球を収容可能な下方位置に来るまでの所要時間を算出することができる。一方、カウントセンサ319を通過した遊技球が第4転動演出装置102を転がって第3転動演出装置101に至るまでの転動時間は、一定幅で推測することができる。転動時間に幅が生じるのは、遊技球の転動は、遊技球の落下タイミングと第2転動演出装置100の押打部531の動きのタイミングとの一致、不一致によって影響を受けるからである。CPU314は、上述の所要時間と転動時間との関係から、特定収容部550cに収容される確率を求めることができる。所要時間に応じて確率を与えるテーブルを予め実験的に作成しておき、これを参照して求めてもよいし、解析的に設定された演算式によって算出してもよい。
CPU314は、特定収容部550cに収容される確率が所定の基準値よりも低い場合には、回転体552が所定の回転状況でないと判断し(ステップS2204)、特定演出態様(図64、64)を表示する(ステップS2205)。可変入賞装置91では、第2転動演出装置100における押打部531が遊技球Bを押打する動作をする。特定演出態様では、キャラクタC7が、遊技球Bによって押し出される表示となっているため、特定収容部550cに収容される確率の低さを示唆している。
回転体552が所定の回転状況と判断された場合(ステップS2204)、つまり、特定収容部550cに遊技球Bが収容される可能性が高いと判断された場合には、CPU314は特別特定演出態様を表示し、役物用ソレノイド362を駆動する(ステップS2206)。
E9.特別特定演出態様の演出例:
図71は特別特定演出態様の演出例を示す説明図である。特別特定演出態様では、キャラクタC7の顔を正面に向けると共に、キャラクタC7が遊技者に迫ってくるかのように漸次拡大させる表示がなされる。また、役物用ソレノイド362の駆動により、図71に示すように、キャラクタ体533が所定のポーズをとる可動演出が実行される。これらの演出によって、遊技者を驚かせると共に、押打された遊技球Bが特定収容部550cに収容される可能性が高いことを示唆することができ、興趣を高められる。
また、上述の特定演出態様表示処理では、例えば、カウントセンサ319による遊技球Bの検出から所定時間範囲内のみ、遊技球センサ361による検出を行うようにしてもよい。これにより、遊技球センサ361による検出処理を常時し続ける必要が無くなり、制御処理にかかる負荷を低減させることができる。
F.留保記憶の表示制御:
次に、本実施形態における大当り遊技の終了時点での留保記憶の表示制御(大当り遊技中処理のステップS1751)について、説明する。留保記憶の表示制御では、演出表示装置115に留保記憶に対応して最大4個までのシンボルを表示させる。本実施例では、通常表示態様、特別表示態様という2種類のシンボルが用意されており、遊技球が回転体552の特定収容部550cに収容されV入賞が生じる可能性の有無によって使い分けられる。V入賞が生じる可能性は、遊技の状況に応じて変動するため、留保記憶の表示制御では、大当り遊技の終了時点で、4個までの各留保記憶に対してV入賞の可能性を判断してシンボルを決めて表示を行った後、遊技の状況に応じてこの判断を更新し、シンボルを切り替える(以下、この切り替えを表示態様の変更と呼ぶ)。
F1.表示制御例:
図72は留保記憶の表示制御例を示すタイムチャート(1)である。図72では、表示態様が途中で変更されない例を示した。留保記憶の表示制御では、遊技球が回転体552の特定収容部550cに収容されV入賞が生じる可能性の有無に応じて通常表示態様と特別表示態様とを使い分けて実行する。
CPU314は、留保記憶に基づく特別図柄表示器121での特別図柄の変動表示が所定の変動時間(1.3秒)行われ、変動表示の終了(抽選結果の表示)とほぼ同時に可動片456が0.3秒間開放される。そして、0.2秒のインターバル期間を置いた後に2個目の留保記憶に基づく図柄変動が開始されるが、そのインターバル期間の終了時点から特定時間(1.0秒)後の判定タイミング(同図中で一点鎖線で示すタイミングであり図柄変動の開始時点から2.8秒後のタイミング)と特定収容部550cへの遊技球の収容タイミングとが合致するか否かを判定することで、V入賞の可能性を判定する。図の例では、判定タイミングが特定収容部550cの受入れタイミングと合致しないため、V入賞する可能性がないと判定されて演出表示装置115には通常表示態様(同図中には、「通常留保」と記載)が表示される。
本実施例では、回転体552は2.0秒の周期で回転する。特定収容部550cは回転体552の外周部分に均等に設けられた8個の収容部の1つである。従って、特定収容部550c内への遊技球の収容を可能とする収容可能期間は、0.25秒(=2.0/8)となる。収容可能期間の開始タイミングは、回転位置検出センサ321による回転体552(特定収容部550c)の回転位置の検出に基づいて決まる。
インターバル期間(0.2秒)は、可動片456の開放に伴って遊技球が役物用入賞口92に入賞したか否か(カウントセンサ319による遊技球の検出の有無)を判定するための検出猶予期間である。特定時間(1.0秒)は、役物用入賞口92に入った遊技球が可変入賞装置91内を転動して特定収容部550cに収容されるまでに要する時間である。
2個目〜4個目の留保記憶に対しても、同様の方法でV入賞の可能性の有無が判定される。但し、2個目の留保記憶に基づく図柄変動の開始タイミングは、前述したように1個目の留保記憶における可動片456の開放終了(閉鎖)からインターバル期間(0.2秒)を置いたタイミングとなる。同様にして、3個目、4個目の留保記憶に基づく図柄変動の開始タイミングも前回の開放終了(閉鎖)からインターバル期間(0.2秒)を置いたタイミングとなる。図中の例では、2個目及び3個目の留保記憶に対してはV入賞の可能性がないと判定され、通常表示態様での表示が行われる。4個目の留保記憶に対しては、V入賞する可能性があると判定されて特別表示態様(同図中には、「特別留保」と記載)での表示が行われる。図72の例では、1個目〜3個目の留保記憶に基づく可動片456の各開放期間中に、遊技球が役物用入賞口92に入賞していないため、結果として、1個目〜3個目の留保記憶における通常表示態様、及び4個目の留保記憶における特別表示態様は、途中変更されることなく継続的に表示制御される。
図73は留保記憶の表示制御例を示すタイムチャート(2)である。図73では、表示態様が途中で変更される例を示した。但し、図73に示す表示制御においても、前記図72に示した表示制御と同様に大当り遊技の終了時点で4個の留保記憶が記憶され、大当り遊技の終了時点における回転体552の回転タイミング、言い換えれば特定収容部550cの受入れタイミングが図72に示したタイミングと同一として説明を行う。
図73に示すように、大当り遊技の終了時点では、図72と同様の判断結果となり、1個目〜3個目の留保記憶に対しては、V入賞する可能性がないと判定されて通常表示態様での表示が行われる。4個目の留保記憶に対しては、V入賞する可能性があると判定されて特別表示態様(同図中には、「特別留保」と記載)が表示される。
1個目の留保記憶に基づく可動片456の開放期間中に、遊技球が役物用入賞口92に入賞したとする(同図中に※で示すように、カウントセンサ319により遊技球が検出されると)。この遊技球は、特定収容部550c以外の第1収容部550a又は第2収容部550bに収容され、その後、ハズレ受入センサ329で検出される(ハズレ受入センサ329がONする)。2個目の留保記憶に基づく図柄の変動は、このハズレ受入センサ329による遊技球の検出から微少時間(例えば、0.1秒)が経過した後に開始される。図中では、カウントセンサ319による遊技球の検出猶予期間が終了してから1.6秒後にハズレ受入センサ329がONする例を示した。
2個目の留保記憶に基づく図柄変動の開始タイミングがずれることにより、連鎖的に3個目及び4個目の留保記憶に基づく図柄変動の開始タイミングもずれる。これに伴い、2個目以降の留保記憶の表示態様は、全て通常表示態様に変更される。図示する通り、4個目の留保記憶に対しても図柄変動の開始時点から2.8秒後の判定タイミングが特定収容部550cの受入れタイミングと合致しなくなり、V入賞の可能性無しと判断されることになるからである。実施形態中では、役物用入賞口92に入賞すると、残りの留保記憶の表示態様を無条件に全て通常表示態様に変更する構成としているが、再度、V入賞する可能性があるか否かを判定し、各留保記憶の表示態様を表示制御するようにしてもよい。
F2.留保記憶の表示態様例:
図74は留保記憶の表示態様例を示す説明図である。演出表示装置115には、留保表示器122の表示と同様に抽選結果の留保記憶を表示する。本実施例では、図74(A)に示すように、演出表示装置115の表示画面の下側部分に各留保記憶と対応する4つの「おでん」(留保記憶と対応するキャラクタ)を1個目〜4個目の留保記憶115a〜115dとして表示する。「おでん」は通常表示態様である。
図74(B)は4個目の留保記憶115dのみが特別表示態様「サボテン」で表示された状態を示している。先に図72で説明した状態に相当する。この表示により、遊技者は、1個目〜3個目の留保記憶に基づく図柄変動によって可動片456が開放しても、遊技球の打ち止め等を行って役物用入賞口92に遊技球を入賞させず、4個目の留保記憶に基づく図柄変動によって可動片456が開放し、その開放に合わせて遊技球を役物用入賞口92に入賞させれば、V入賞する可能性があることを認識できる。
その後、1個目の留保記憶に基づく図柄変動が開始されると、図74(C)に示すように、図74(B)に示す1個目の留保記憶115aの表示が消えると共に、図74(B)に示す2個目〜4個目の留保記憶115b〜115dがそのままスライドして表示されて、通常表示態様(「おでん」)が留保記憶115a,115bに表示され、特別表示態様(「サボテン」)が3個目の留保記憶115cに表示される。その後、図柄変動が開始される度に、図74(D)、図74(E)に示すように、1つずつ留保記憶115aの表示が消え、残りの留保記憶115b等がスライドして表示される。
次に、図74(C)の留保記憶115aに対応する開放時に遊技球が役物用入賞口92に入賞したとする。先に図73で説明した通り、この場合には、カウントセンサ319による当該遊技球の検出時点で、図74(F)(G)に示すように2個目の留保記憶115bの特別表示態様が通常表示態様(「おでん」)に変更される。その後は、図柄変動が開始される度に、図74(G)、図74(H)に示すように、留保記憶115aの表示が消えると共に、残りの留保記憶115bがスライドして表示される。
F3.留保記憶の表示制御の変形例(1):
図75は留保記憶の表示制御の変形例(1)を示す説明図である。実施形態ではV入賞の可能性の有無で表示態様を切り替える例を示したが、変形例では、受入度合、即ちV入賞が生じる確率に応じて留保記憶の表示態様を変化させる。
先ず、図75(A)に示すように、特定収容部550c(同図中には、「V」と記載)を基準とすると回転体552の各収容部は以下の4つに分類できる。
第1収容部(図中の「1」)…特定収容部550cと隣接する収容部550a;
第2収容部(図中の「2」)…特定収容部550cから1つ隔てた収容部550b;
第3収容部(図中の「3」)…特定収容部550cから2つ隔てた収容部550a;
第4収容部(図中の「4」)…特定収容部550cに対向する収容部550b;
これらの各分類は、V入賞発生に対する確率と相関がある。
図75(B)は特定収容部および第1〜第4収容部が遊技機を受入可能になる受入れタイミングの変遷を示している。変形例の留保記憶の表示制御でCPU314は、このタイミングに基づき、図柄変動の開始時点から2.8秒後の判定タイミングが、いずれの収容部の受入れタイミングと合致するかを判定する。図75(B)の例では、1個目〜4個目の留保記憶における遊技球の受入れタイミングは、それぞれ第3収容部、第2収容部、第1収容部、特定収容部の受入れタイミングと合致する。
先に説明した通り、収容部の区分はV入賞の確率と相関があるから、受入れタイミングが決まると、その結果に基づいて遊技球が大当り受入口93に受入れられる確率(以下、これをV期待度ともいう)が決まる。例えば、「V」収容部550cでの受入れタイミングとなる場合は、ほぼ100%のV期待度となる。第1収容部の場合は50%程度、第2主要部の場合は30%程度、第3収容部の場合は10%程度、第4収容部の場合はほぼ0%のV期待度となる。変形例の表示制御では、図75(C)に示すようにV期待度に応じて丸印の色を変更する。V期待度が10%の場合は緑色、30%の場合は青色、50%の場合は赤色、100%の場合はレインボー色を用いるものとした。図示しないが、V期待度がほぼ0%となる場合には、黒色を用いる。これらの色および留保記憶の形状は任意に設定可能である。以上のように、受入度合に応じて留保記憶の表示態様を変えることで、予告の信頼度を異ならせることができ、ひいては多様な予告演出を実現して興趣の低下を回避できる。
F4.留保記憶の表示制御の変形例(2):
図76は留保記憶の表示制御の変形例(2)を示す説明図である。実施形態では、遊技球の収容を可能とする一定の収容可能期間(0.25秒間)を判定範囲として設定しているが、留保記憶の表示制御は留保記憶毎に判定範囲を異ならせて設定するようにしてもよい。図76では、1個目〜4個目の留保記憶に対し判定範囲を順次狭める例を示した。1個目の留保記憶においては、図76(A)に示すように、特定収容部550c内への遊技球の収容を可能とする収容可能期間(0.25秒間)の前後でそれぞれ0.3秒の判定有効期間を設けた0.85秒間を判定範囲に設定する。2個目の留保記憶においては、図76(B)に示すように、収容可能期間(0.25秒間)の前後でそれぞれ0.1秒の判定有効期間を設けた0.45秒間を判定範囲に設定する。3個目の留保記憶においては、図76(C)に示すように、収容可能期間(0.25秒間)をそのまま判定範囲に設定する。4個目の留保記憶においては、図76(D)に示すように、収容可能期間(0.25秒間)を前後でそれぞれ0.5秒縮めた0.15秒間を判定範囲に設定する。以上のように、留保記憶ごとにV入賞の判定基準(実施形態中では、判定範囲)を変えることで、多様な予告演出の多様化を実現し興趣の低下を回避できる。
G.役物用入賞口92の開閉制御:
本実施例のパチンコ機1では、先に説明した通り、遊技の過程において種々のモードで可変入賞装置91の役物用入賞口92(以下、「大入賞口」と呼ぶこともある。)を開閉させる。以下では、この開閉を実現するための制御処理および回路について説明する。
G1.大入賞口制御処理:
図77は大入賞口制御処理で用いる制御パラメータを示す説明図である。図の中央にパラメータの定義を示し、上方に「特別当り」時の設定例、下方に「V入賞」時の設置例を示した。図中のハッチング部分は時間を横軸として、大入賞口が開放している区間(以下、「開区間」と呼ぶ)を示し、白抜き部分は閉鎖している区間(以下、「閉鎖区間」と呼ぶ)を示している。
本実施例では、図示する通り、一連の開閉動作を「ラウンド」と称する。パチンコ機1は、インターバルINTをはさんで、設定されたラウンド数の開閉動作を繰り返す。本実施例では、インターバルINTは2000msで一定値とした。図示を省略したがラウンド数の設定値も大入賞口制御処理で使用するパラメータに含まれる。
開放時間TOPは、大入賞口が開放している時間を規定する。閉鎖時間TCLは、一連の開閉制御において、開区間に挟まれる閉鎖区間の時間を規定する。開放回数NOPは、1ラウンド中に実行すべき開区間の回数である。TWTは大入賞口の開閉が完了した後、遊技球が可変入賞装置91から完全に排出されるのを待つ時間である(以下、「排出待ち時間」と呼ぶ)。本実施例では、排出待ち時間TWTは最大7000msに設定した。7000ms経過するまでの間に、遊技球が可変入賞装置91から完全に排出されたことが確認されれば、パチンコ機1は、排出待ちを中断し、インターバルINTを経て、次のラウンドに移行する。完全に排出されたか否かの確認は、大入賞口に設けられたカウントセンサで検出される可変入賞装置91への入球数と、V入賞およびハズレを含めて可変入賞装置91から排出される遊技球数との比較により判断することができる。
「特別当り」が発生した場合には、図の上方に示す通り、開放時間を15000ms、開放回数NOPを1回に設定した。この時、開区間に挟まれる閉鎖区間は存在しないため、閉鎖時間TCLの設定は不要である。この設定に基づいて実現される開閉状態を図中に併せて例示した。図示する通り、長時間の開区間の後、排出待ち時間TWT、インターバルINTを経てから次のラウンドに移行する。
「V入賞」が発生した場合には、図の下方に示す通り、開放時間を800ms、閉鎖時間を500ms、開放回数NOPを18回に設定した。この設定に基づいて実現される開閉状態を図中に併せて例示した。800msの開区間と500msの閉鎖区間が18回繰り返された後、排出待ち時間TWT、インターバルINTを経てから次のラウンドに移行する。
図78は大入賞口制御処理のフローチャートである。大入賞口の開閉処理については、既に図51および図56〜58で説明したが、図78では、これらの処理を通じて実現される大入賞口の開閉を一つのシーケンスとして示した。この処理は、図51および図56〜58の抜粋に相当し、主基板310のCPU314によって実行されるものである。
CPU314は変動表示が終了すると(ステップS100)、抽選結果に応じて、以下のそれぞれの処理を実行する。抽選結果が「ハズレ」の場合には(ステップS101)、大入賞口の開閉は不要であるため、そのまま大入賞口制御処理を終了する。
抽選結果が「特別当り」の場合には(ステップS101)、大入賞口の開閉に使用する制御パラメータを設定し(ステップS110)、大入賞口開放処理、即ちソレノイドを駆動して大入賞口を開閉させるための制御処理を実行する(ステップS125)。大入賞口開放処理の処理内容については後述する。制御パラメータの意味および設定例については、先に図77で説明した通りである。後述する通り、「特別当り」では閉鎖時間TCLを用いなくても開閉制御することができる。換言すれば、「特別当り」では閉鎖時間にどのような値が設定されていても構わないことを意味する。ステップS110において、閉鎖時間の設定値が示されていないのは、上述の理由に基づくものであり、ステップS110の処理では、閉鎖時間には新たな値を設定せず、従前に設定または保持されている値のまま放置しておくことを意味している。
抽選結果が「小当り」の場合には(ステップS101)、大入賞口の開閉制御に使用する制御パラメータに対して、小当り用の値を設定し(ステップS120)、小当り開放処理を実行する(ステップS121)。図中に第1普通当り、第2普通当りのそれぞれについて制御パラメータの設定例を示した。CPU314は、第1普通当りの場合には、ラウンド数を1回、開放時間を400ms、開放回数を1回に設定する。CPU314は、第2普通当りの場合には、ラウンド数を1回、開放時間を1800ms、開放回数を1回に設定する。
小当り開放処理(ステップS121)は、小当りが生じた時の大入賞口の開閉制御処理である。小当りが生じた時には、開閉制御と並行してV入賞が発生したか否かの監視を行う必要があるため、本実施例では、大入賞口開放処理(ステップS125)と別の処理とした。V入賞の有無の監視を行う点を除けば、大入賞口の開閉制御については大入賞口開放処理(ステップS125)と同様であるため、ここでは小当り開放処理の詳細な説明は省略する。
小当り開放処理(ステップS121)において、V入賞が発生しなかった時は(ステップS122)、大入賞口を開放する必要がなくなるため、CPU314は、そのまま大入賞口制御処理を終了する。
V入賞が生じた場合には(ステップS122)、ラウンド抽選を行って(ステップS123)、V入賞用の制御パラメータを設定し(ステップS124)、大入賞口開放処理を実行する(ステップS125)。ラウンド抽選とは、図57のステップS1721に相当する処理であり、抽選によってラウンド数を決定する処理である。ラウンド数の決定には、継続回数判定乱数と呼ばれる乱数が用いられる。開放時間、閉鎖時間、および開放回数の各パラメータの意味および設定例については、図77で説明した通りである。
図79は大入賞口開放処理のフローチャートである。上述した大入賞口制御処理(図78)のステップS125に相当する処理であり、制御パラメータに基づいて、大入賞口を開閉させる処理である。
この処理では、CPU314は、現時点での大入賞口が開放中か否かに基づいて処理を切り替える(ステップS200)。開放中か否かは、大入賞口の開閉のために出力したソレノイドをON/OFFするコマンド数をカウントしておくことにより容易に判断できる。大入賞口開放処理は、大入賞口が閉鎖している状態から開始されるのが前提となっているから、奇数回目のコマンドは大入賞口の開放、偶数回目のコマンドは閉鎖に対応する。従って、従前の処理で奇数回のコマンド出力がなされている時には現時点で大入賞口が開いていると判断でき、偶数回のコマンド出力がなされている時には閉じていると判断できる。もちろん、大入賞口の開閉状態を検知するセンサを用いるものとしてもよい。
まず、初回の開放動作として、大入賞口の開放設定を行う(ステップS199)。大入賞口が現時点で開放中の場合には(ステップS200:YES)、設定された開放時間が経過するか、所定の最大入賞数(本実施例では10個に設定した)の遊技球が入賞するという条件の少なくとも一方が満たされた時点で大入賞口を閉鎖する。これは、図58のステップS1745等で実現される制御に相当する。
上述の動作を実現するため、CPU314は、まず開放時間が経過したと判断される場合には(ステップS201)、大入賞口を閉鎖する(ステップS202)。この時点で、「開放回数」パラメータで設定された回数の開放動作が完了している場合には(ステップS203:YES)、次の処理に移行する。「開放回数」に満たない場合でも(ステップS203:NO)、大入賞口への入賞数が最大入賞数(10個)に達した場合には(ステップS220)、次の処理に移行する。
開放時間が経過していない場合(ステップS201:NO)において、入賞数が最大入賞数(10個)に満たない場合には、CPU314はステップS200以降の処理を繰り返す(ステップS220)。
大入賞口が閉鎖中の場合(ステップS200)、CPU314は閉鎖時間を経過した時点で(ステップS210)、大入賞口を開放させる(ステップS211)。大入賞口への入賞数が最大入賞数(10個)に満たない場合には、CPU314はステップS200以降の処理を繰り返す(ステップS220)。ステップS200の時点で、大入賞口が閉鎖している場合には、大入賞口の開放が、設定された開放回数に満たないことが前提となるため、開放回数に関するステップS203の判断はスキップされる。
本実施例では、「特別当り」の場合には、開放回数は1回に設定されている。従って、ステップS200〜S202の動作によって1回目の開放が完了した時点で、開放動作が規定の開放回数に至ることになるため(ステップS203)、ステップS210,S211の処理は実行されない。先に図77で説明した通り、特別当りの場合には、制御パラメータのうち、閉鎖時間は開放動作の制御には不要となる。換言すれば、閉鎖時間がどのような値に設定されていたとしても、特別当りの開放動作の制御は適性に行うことが可能である。
「特別当り」時の処理に着目すれば、1ラウンド間に1回の開閉を行うのみであるから、図79に示す処理よりも簡略化された処理で制御を実現することが可能である。しかし、本願では、開放回数(図78のステップS110参照)という、「特別当り」時の処理にとっては無用な制御パラメータを敢えて導入することにより、大入賞口開放処理を「特別当り」、「V入賞」で兼用することができ、全体としてプログラム容量を抑制している。また、「特別当り」の開放回数を1回とすることで、上述の通り、閉鎖時間は「V入賞」時にのみ意義のある値となるため、閉鎖時間をプログラム中に固定値として組み込むことも可能となり、処理の簡略化、処理に要する時間の短縮化を図ることもできる。さらに、「特別当り」時の処理にとって無用な制御パラメータを導入することで、「特別当り」を「V入賞」と同様な態様で動かすことができる。もっとも、「特別当り」で開放回数を2回以上に設定することも可能であり、この時には、閉鎖時間も有効なパラメータとして特別当り用の値を設定すればよい。
以上の処理で大入賞口を、制御パラメータに従って開放動作させた後、CPU314は、遊技球の排出待ち処理を実行する(ステップS221)。つまり、可変入賞装置91への入球数の検出結果と、可変入賞装置91から排出される遊技球数の検出結果が一致するまで待機するのである。ただし、ここでの待ち時間は、図77で示した通り最大7000msに制限される。フローチャートには示していないが、排出が確認されないまま最大待ち時間を経過した場合には、CPU314はエラー表示をする。センサの若干の不良や可変入賞装置91内での若干の球詰まりなど軽微な障害によって遊技球数の不一致が生じている場合もあるため、最大待ち時間を経過した場合でも、エラー表示を行うことなく遊技を続行させるようにしてもよい。
以上の処理が1ラウンドに相当する開閉制御である。CPU314は、制御パラメータで指定されたラウンド数に至るまで(ステップS222)、インターバル処理(ステップS223)を介して、上述の処理を繰り返し実行する。インターバル処理(ステップS222)とは、図77に示したように、大入賞口を閉鎖したまま次のラウンドの開放タイミングを開始するまでの所定の時間が経過するのを待つ処理である。この間に、球詰まりを解消するため、第1転動演出装置95を動作させてもよい。最終ラウンドの制御が完了すると(ステップS222)、CPU314は可変入賞装置91の作動を停止して(ステップS224)、大入賞口開放処理を終了する。
G2.大入賞口の駆動回路:
図80は大入賞口の駆動回路を示す説明図である。大入賞口を駆動するソレノイド331(図13)に電流を供給するための回路を示している。この図中では、ソレノイド331はソレノイドSOLとして図示されている。
本実施例では、「特別当り」、「V入賞」で大入賞口は異なる開閉パターンで動作する。「特別当り」の時は先に図77で示した通り、各ラウンド中で、長時間の開放が1回のみ行われる。「V入賞」時には、各ラウンド中で、短時間の開放が18回行われる。これらの動作は、ソレノイド331に電流を供給すれば実現される。ただし、長時間開放を継続する場合にはソレノイド331の焼き付きを防止する観点から低電流を供給することが好ましく、短時間で開閉を繰り返す場合には素早い動作を実現するために高電流を供給することが好ましい。本実施例の回路は、こうした相反する要求を容易に実現可能な回路である。
図80(a)に示す通り、本実施例では、トランジスタTR1、TR2を用いて、ソレノイドSOLへの電圧の印加をオン・オフする。トランジスタTR2にはソレノイドSOLに供給される電流を抑制するための抵抗R2が接続してある。従って、電源電圧を変えるまでなく、ソレノイドSOLには、トランジスタTR1をオンにすれば高電流が供給され、トランジスタTR2をオンにすれば低電流が供給されることになる。
本実施例では、トランジスタTR1のベースに、ワンショット回路HCを接続した。実施例では、「TC74HC221」(東芝社製品)と呼ばれるICを使用した。ワンショット回路HCは、端子Aにロウが入力されている時、端子Bにハイを入力すると、端子Qから一定時間だけハイが出力され、その後ロウに切り替わる機能を有している。端子Qの出力が切り替わるまでの時間は、端子CX、端子RX/CXに接続されるコンデンサC1および抵抗R1に応じて定まる。本実施例では、約1秒で出力が切り替わるように設定した。
CPU314からは、「特別当り」の時用の駆動信号SOL_ON1と、「V入賞」の時用の駆動信号SOL_ON2が出力される。駆動信号SOL_ON1は、分岐され、一方がワンショット回路HCの端子Bに入力され、他方がトランジスタTR2のベースに入力される。駆動信号SOL_ON2は、ワンショット回路HCの出力Qと共にオア・ゲートORGに接続される。オア・ゲートORGの出力はトランジスタTR1のベースに接続されている。
図80(b)にトランジスタTR1、TR2のオン・オフとソレノイドSOL両端のソレノイド電圧の様子を示した。CPU314から、大入賞口の開放時間TOPの間、駆動信号SOL_ON1としてハイが出力されたとする。この時、ワンショット回路HCの機能に基づき、1秒間は端子Qからハイが出力される。従って、1秒間はトランジスタTR1がオンとなる。一方、駆動信号SOL_ON1は分岐してトランジスタTR2にも入力されるから、トランジスタTR2は駆動信号SOL_ON1がオンとなっている時間TOPの間、オンとなる。上述の状態で、トランジスタTR1、TR2がそれぞれオンとなると、ソレノイドSOLには、トランジスタTR1がオンとなる最初の1秒間はソレノイド電圧が高電圧VHとなるため抵抗R2が負荷とならない状態で高電流が供給され、その後はソレノイド電圧が低電圧VLとなるため抵抗R2も負荷となる状態で低電流が供給されることになる。従って、CPU314は、ソレノイドを開放すべき時間に従って、駆動信号SOL_ON1に単にハイの信号を出力し続けるだけで、ソレノイドSOLに低電流を供給することが可能となる。
一方、V入賞時には、CPU314は、開放時間TOPの間、駆動信号SOL_ON2をハイとする。駆動信号SOL_ON2はオア・ゲートORGを介してトランジスタTR1にのみ接続されているから、駆動信号SOL_ON2がオンとなっている間、トランジスタTR1が継続的にオンとなる。従って、この間、ソレノイドSOLには高電流が供給されることとなる。
以上で説明した通り、本実施例の駆動回路によれば、CPU314は、「特別当り」の時は駆動信号SOL_ON1をオンとし、「V入賞」時には駆動信号SOL_ON2をオンとすることで、ソレノイドSOLへの供給電流を容易に切り替えることができる。従って、「特別当り」の時は低電流の供給によってソレノイドSOLの焼き付きを回避でき、「V入賞」時には高電流の供給によって素早い開閉動作を実現することができる。また、単一の電源から供給される電流量を抵抗によって切り替える構成であるため、複数の電源を容易する必要がなく回路構成を簡易なものにすることができる利点もある。
実施例の回路の変形例として、図80の回路から、オア・ゲートORG、および駆動信号SOL_ON2を省略した回路構成を採り、駆動信号SOL_ON1とSOL_ON2とを共通とした構成を採ってもよい。この時、端子Qの出力はオア・ゲートORGを介さず、所定の抵抗器を経てトランジスタTR1に接続される。この回路でも、CPU314が駆動信号SOL_ON1をオンにすれば、図80(b)に示したソレノイド電圧がソレノイドSOLに印加される。
実施例では、「V入賞」時のソレノイドの開放時間は1秒以下である(図77参照)。従って、図80(b)の電圧が印加される限り、「V入賞」時には、ソレノイドには、最初の1秒間の高電流が供給されることになる。この結果、変形例の回路によれば、駆動信号SOL_ON1への出力によって、「特別当り」、「V入賞」の双方で所望の電流をソレノイドSOLに供給可能となるため、更に、回路構成および制御処理の簡略化を図ることができる。
変形例で示した回路構成は、「V入賞」の開放時間が1秒以上の場合でも実現可能である。図80(b)において、トランジスタTR1がオンとなる時間が、「V入賞」の開放時間よりも長くなるよう、ワンショット回路HCに接続されるコンデンサC1、抵抗R1の値を設定すればよい。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。すなわち、上記の実施形態では、遊技機としてパチンコ遊技機1を示したが、パチンコ機以外の遊技機、例えば、スロットマシーンや、パチンコ機とスロットマシーンとを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。