以下、本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を、図面に基づいて詳細に説明する。
パチンコ機の全体構成を図1に基づき説明する。図1はパチンコ機の外枠の一側に本体枠が開かれその本体枠の一側に前面枠が開かれた状態を示す斜視図である。なお、図1においては遊技領域における装飾部材が省略された図を示している。
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4、及び遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
本体枠の構成を図2及び図4に基づき説明する。図2はパチンコ機1の前側全体を示す正面図であり、図4はパチンコ機1の本体枠3と遊技盤5とを分離して斜め右上前方から示す斜視図である。
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12及び機構装着体13を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図1参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。そして、前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対してヒンジピン及びヒンジ孔によって開閉回動可能に装着されている。すなわち、外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピン及びヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されている。
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域にはスピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着板17が装着されている。そして、スピーカ装着板17にはスピーカ18が装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内において、その上半部分には発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
前面枠の構成を図1及び図2に基づき説明する。前枠体11の前面の片側には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4がヒンジ機構36によって前方に開閉可能に装着されている。また、前面枠4の略中央部には、遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。また、前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39にはガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。また、前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、該開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58、及びリフレクタ体(図示しない)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。また、上皿51の左側には、遊技者が操作可能なボタン60が設けられている。
施錠装置の構成を図1及び図4に基づき説明する。前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。すなわち、この実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱可能に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱可能に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵が挿入されて解錠操作可能に、前枠体11及び下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75と、を備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に回動操作されることで、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠されるようになっている。
遊技盤装着枠及び遊技盤の構成を図1、図3、図4、及び図5に基づき説明する。図3は遊技領域37の構成を示す拡大正面図であり、図5はパチンコ機1の後側全体を示す背面図である。
図1及び図4に示すように、本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられかつ遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。遊技盤5は、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に形成されている(図10参照)。遊技盤5の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の隙間が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、その遊技球は、その隙間から排出され下皿31に案内されるように構成されている。また、遊技盤5の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着されている。
図3に示すように、遊技領域37内には多数の障害釘(図示しない)が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、その途中の適宜位置に風車90が設けられている。遊技領域37のほぼ中央位置には、役物91(可変入賞装置)が配設されており、この役物91のデザインによってパチンコ機1の機種やゲームコンセプト等が特徴付けられている。
役物91は全体として額縁状の装飾体から構成されており、その上縁部または左右側縁部には、ワープ入口とともにワープ通路が形成されており、遊技盤面に沿って流下する遊技球がワープ入口に入り込むと、後述のワープ通路を通じて役物91の裏側に取り込まれた後に、役物91の途中または下縁部から再び遊技盤面に放出されるようになっている。
この役物91は、その上縁部近傍に、その内部に遊技球を取り込むことの可能な役物用入賞口92が開閉可能に備えられている。そして、この役物91の内部には、役物用入賞口92から取り込まれた遊技球が入賞可能な大当り受入口93(特定受入領域)と、ハズレ受入口94(普通受入領域)とが備えられており、これら大当り受入口93およびハズレ受入口94と、役物用入賞口92との間には、役物用入賞口92から取り込まれた遊技球を、所定の通路上を転動させながらその動きを様々に変化させて遊技者に注目させた後に、大当り受入口93またはハズレ受入口94の何れかに放出する第一転動演出装置95が更に備えられている。
この役物91は、第一転動演出装置95の一方の放出側(図3中左側)には遊技球を押打可能な第二転動演出装置100が、また、第一転動演出装置95の他方の放出側(図3中右側)には回転することで遊技球を大当り受入口93又はハズレ受入口94の何れかに導く第三転動演出装置101(受入切替手段)が更に備えられている。また、第一転動演出装置95の下側に配置され第二転動演出装置100により押打された遊技球を第三転動演出装置101に案内する第四転動演出装置102が更に備えられている。
また、遊技領域37には、役物91の下方位置に、左右に夫々配置された一対の始動入賞口96が設けられており、これら始動入賞口96,96に遊技球が入球すると、所定の抽選が行われその抽選結果に応じて役物91の役物用入賞口92が開閉するようになっている。
その他、遊技領域37には一般入賞口98が配設されている。また、役物91の内側には演出表示装置115が配設されており、この演出表示装置115では、例えば動画や映像等の画像、或いは可動部材の動作等による演出表示が行われる。なお、演出表示装置115としては、液晶表示装置、EL表示装置、プラズマ表示装置、及びCRT等の表示装置を例示することができる。演出表示装置115の表示面は役物91の後側においてその開口窓に臨んで装着されており、役物91は、遊技盤5の中央部に貫設された組付孔に嵌込まれ、役物91の後部及び演出表示装置115の表示装置制御基板116を有する表示装置制御基板ボックス117は遊技盤5の後側に突出して配設されている。
また、図3に示すように、役物91内において、演出表示装置115の上側には、特別図柄によって抽選結果を表示するための特別図柄表示器121(図柄表示手段)が備えられている。また、遊技領域37の図中右上で外周に沿った位置には、抽選結果の留保記憶を表示する留保表示器122が備えられている。なお、演出表示装置115では、特別図柄表示器121での特別図柄の表示(変動表示の開始から表示結果の停止表示までの一連の表示)に合わせた演出表示として識別情報の変動表示(例えば、キャラクタC1の動画表示(図57参照))を行うようになっている。また、抽選結果の留保記憶は、留保表示器122の表示と同様に、演出表示装置115にも表示される。但し、演出表示装置115の留保記憶は、後で詳述するように通常表示態様(所定の表示態様)及び特別表示態様(淡期待表示態様)の2種類の表示態様での表示を可能にしている。通常表示態様とは、当該留保記憶に基づく可動片456の開放タイミングで遊技球が役物用入賞口92に入賞しても、その遊技球が大当り受入口93に入賞する可能性がない旨を遊技者に告知する表示態様である。一方、特別表示態様とは、当該留保記憶に基づく可動片456の開放タイミングで遊技球が役物用入賞口92に入賞すると、その遊技球が大当り受入口93に入賞する可能性がある旨を遊技者に告知する表示態様である。但し、このような通常表示態様及び特別表示態様の2種類の表示態様での留保記憶の表示制御は、大当り遊技の終了時点で記憶されている留保記憶に対してのみ行い、通常の遊技状態では、遊技球が大当り受入口93に入賞する可能性の有無に関わらず通常表示態様で表示される。
一方、図5に示すように、遊技盤5の後側下部には、その中央部から下部にわたる部分において、各種入賞装置に流入した遊技球を受けかつその遊技球を所定位置まで導く集合樋としての機能とボックス装着部としての機能を兼ね備えたボックス装着台118が設けられている。このボックス装着台118には、音声制御基板、ランプ制御基板等の副制御基板119が収納された副制御基板ボックス130が装着され、その副制御基板ボックス130の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板131が収納された主制御基板ボックス132が装着されている。さらに、遊技盤5の後側に対しボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から遊技盤5を嵌込んで装着できるように、遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなくボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132が配置されている。
本体枠の機構装着体、球タンク及びタンクレールの構成を図8及び図9に基づき説明する。図8はパチンコ機1の本体枠3に各種部材が組み付けられた状態を斜め右上後方から示す斜視図であり、図9は本体枠3単体を斜め右上後方から示す斜視図である。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部133、レール装着部134、及び払出装置装着部135等がそれぞれ形成され、タンク装着部133には球タンク136が装着されている。球タンク136は、透明な合成樹脂材よりなり、島設備から供給される多数の遊技球が貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。そして、球タンク136の遊技球の貯留状態が球タンク136の後側壁を透して視認可能となっている。また、球タンク136の底板部137の後側隅部には遊技球を放出する放出口138が形成されるとともに、底板部137は放出口138に向けて下傾する傾斜面に形成されている。
本体枠3の機構装着体13には、そのタンク装着部133に下方に接近してレール装着部134が一体に形成され、そのレール装着部134にレール構成部材139が装着されることでタンクレール150が構成されるようになっている。すなわち、この実施形態において、レール装着部134は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール150の前壁部151とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図9に向かって左端)から他端(図9に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚155が形成されている。そして、レール棚155の横方向に延びる上向き面をレール受け部158としている。
レール装着部134に装着されてタンクレール150を構成するレール構成部材139は、レール装着部134の前壁部151との間にレール通路を構成する後壁部152と、傾斜状をなす下板部と、その下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設されレール通路を前後複数列(この実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(いずれも図示しない)とを一体に備えて形成されている。このレール構成部材139は、レール装着部134に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール150が構成されている。そして、球タンク136の放出口138から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール150の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。また、この実施形態において、レール構成部材139は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材139の後壁部152を透して視認可能となっている。
タンクレール150(レール装着部134)の前壁部151は、遊技盤5の後側に突出する装備品(例えば役物91)における後部の上端部との干渉を避けるため第1空間部を隔てた状態で設けられている。また、この実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚155の後端と、タンクレール150の後壁部は、球タンク136の後側壁と略同一面をなしている。言い換えると、球タンク136の後壁部に対しタンクレール150の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール150が遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、遊技盤5の後側とタンクレール150の前壁部151との間に役物91の後部との干渉を避けるための第1空間部が設けられるようになっている。
また、タンクレール150の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体156がその上部において軸157を中心として揺動可能に装着されている。この整流体156には、その中央部から下部において錘が設けられている。
払出装置装着部及び球払出装置の構成を図8及び図9に基づき説明する。本体枠3の機構装着体13の片側寄りの上下方向には、次に述べる球払出装置170に対応する縦長の払出装置装着部135が形成されている。払出装置装着部135は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。また、払出装置装着部135の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置170の払出用モータ172(図4参照)が突出可能な開口部173が形成されている。
払出装置装着部135の凹部に球払出装置170が装着された状態において、遊技盤5との間には、第1空間部と前後方向に略同一レベルとなる第2空間部が設けられている。これによって、レール通路と球通路とが前後方向に略同一レベルで配置されている。また、本体枠3の後端、すなわち払出装置装着部135の周壁部後端、レール棚155の後端、球タンク136、タンクレール150及び球払出装置170のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
球払出装置170(球払出手段)は、払出装置装着部135の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関する各種部品が装着されることでユニット化されている。なお、球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部の後方開口部から嵌込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
また、図示しないが、球払出装置170は、タンクレール150におけるレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されて前後複数列の賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路とがそれぞれ形成されている。そして賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
本体枠の後側下部の装備を図4及び図5に基づき説明する。本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図5に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを作動する発射モータ192等が取付基板193に組み付けられてユニット化された発射装置ユニット194が装着されている。また、前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板195を収容する電源基板ボックス196が装着され、その電源基板ボックス196の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板197を収容する払出制御基板ボックス198が装着されている。払出制御基板197は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板131から送信される払出用信号に従って遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に伝達して払出用モータ172を作動制御するようになっている。
後カバー体の構成を図5及び図6に基づき説明する。図6はパチンコ機1の後側全体を右上後方から示す斜視図である。
遊技盤5後面に配置された表示装置制御基板ボックス117(図10参照)及び主制御基板ボックス132の後端部は機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。そして、機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他側壁を構成する払出装置装着部135の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体210がカバーヒンジ機構211によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
後カバー体210は、略四角形状の後壁部212と、その後壁部212の外周縁から前方に向けて突出された周壁部213とから一体に構成されている。後カバー体210の周壁部213のうち、一側の壁部213aには、機構装着体13の側壁部の上下及び中間の計3箇所に形成されたヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ着脱可能に嵌込まれるヒンジピン215を下向きに有するヒンジ体216が一体に形成されている。また、後カバー体210の周壁部213のうち、他側の壁部213bには、払出装置装着部135の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有する弾性閉止体217が一体に形成されている。
すなわち、後カバー体210は、その上下及び中間のヒンジ体216の各ヒンジピン215が機構装着体13の側壁部のヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌込まれる。この状態で、ヒンジピン215を中心として後カバー体210が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体217を払出装置装着部135の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体210が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体210によって、遊技盤5後面の表示装置制御基板ボックス117(図10参照)全体及び主制御基板ボックス132の略中間部から上端にわたる部分が後カバー体210によって覆われるようになっている。これによって、主制御基板ボックス132の上部に露出された主制御基板131の基板コネクタ(主として表示装置制御基板116と接続するための基板コネクタ)が後方から視認不能に隠蔽されている。
また、主制御基板ボックス132の略中間部から下端にわたる部分は後カバー体210によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス132の下部には、その主制御基板131上に配置された検査用コネクタ218が露出されており、後カバー体210が閉じられた状態で主制御基板131上の検査用コネクタ218に基板検査装置(図示しない)を接続して検査可能となっている。
後カバー体210には、多数の放熱孔230、231、232、233が貫設されており、これら多数の放熱孔230、231、232、233から内部の熱が放出されるようになっている。この実施形態において、後カバー体210には、その周壁部213から後壁部212に延びる多数のスリット状の放熱孔230が貫設され、後壁部212の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔231が貫設され、後壁部212の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔232と所定数の横長四角形状の放熱孔233が貫設されている。
また、横長四角形状の放熱孔233は、主制御基板ボックス132の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部235の列の大きさ及び配設位置に対応する大きさ及び位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の複数の並列状の封印部235が放熱孔233の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の封印部235の封印状態を容易に視認することができる。また、不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体210を安価に製作することができる。
後カバー体210の周壁部213のうち、上側壁部213cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体237が上方のタンクレール150の後壁面(レール構成部材139の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体237の先端部には、同コード保持体237を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
電源コードは、その一端が分電基板238の基板コネクタ239に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体210にコード保持体237を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機を運搬、保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成を図2及び図7に基づき説明する。図7は、図6に示すパチンコ機1の斜視図から後ろカバー210及び各種制御基板等を取り外した状態を示す斜視図である。
本体枠3の後下部領域の他側寄り部分(ヒンジ寄り部分)には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体253が装着されている。この下皿用球誘導体253は、球払出装置170の賞球及び貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
なお、この実施形態において、下皿用球誘導体253の後壁外面には、インタフェース基板252を収納している基板ボックス254が装着されている。なお、インタフェース基板252は、パチンコ機1に隣接して設置される球貸機と払出制御基板197との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板197との間で送受信可能に電気的に接続するようになっている。
本実施形態のパチンコ機1では、遊技者に利益が付与される態様(利益付与状態)として複数種類の態様の「大当り遊技」が用意されている。ここで、「大当り遊技」は、例えば役物用入賞口92を一定パターンで開閉させるラウンド動作を最大で16回、繰り返すものであり、このようなラウンド動作の繰り返しは「大当り遊技」と称されている。遊技者は、大当り遊技の間に遊技球を役物用入賞口92に入球させることで、多くの賞球を獲得することができる。なお、ラウンド動作ついては、始動入賞口96への遊技球の入球に応じて行われる役物用入賞口92の開閉動作を初回の1ランウド目のラウンド動作とし、2ラウンド目以降のラウンド動作では、役物用入賞口92を所定間隔で18回開閉させるか、10個の入賞球がカウントされるかのいずれかの条件を満たすと終了する。
また、大当り遊技にて繰り返し行われるラウンド動作の回数については、始動入賞口96への遊技球の入球タイミング(より具体的には、始動口センサ318による遊技球の検出タイミング)、役物用入賞口92への遊技球の入球タイミング(より具体的には、カウントセンサ319(入賞検出手段)による遊技球の検出タイミング)、大当り受入口93への入球タイミング(より具体的には、大当り受入センサ330による遊技球の検出タイミング)等の適宜タイミングや、役物91内での遊技球の振り分け先等によって行われた抽選の結果に応じて決定される。ここで、上記抽選は、大当りの態様を決定するための抽選であり、この抽選を行う手段を、「大当り態様抽選手段」として捉えることができる。
なお、以上の具体的な数値は、本発明の実施において最良のものである。その上で、これら数値については各種の変更が可能であり、最良の数値によって限定されることはない。
主基板及び周辺基板の機能的構成を図11に基づき説明する。図11は制御構成を概略的に示すブロック図である。
パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板310のグループと周辺基板311のグループとで分担されており、このうち主基板310のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板311のグループが演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示等)を制御している。
主基板310は、主制御基板131と払出制御基板197とから構成されている。主制御基板131は、中央演算装置としてのCPU314、読み出し専用メモリとしてのROM315、読み書き可能メモリとしてのRAM316を備えている。CPU314は、ROM315に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板311や払出制御基板197に出力するコマンド信号を作成したりする。RAM316には、主制御基板131で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。主制御基板131には、ゲートセンサ317、始動口センサ318、カウントセンサ319、大当り受入センサ330(特定検出手段)、ハズレ受入センサ329(普通検出手段)、回動検出センサ494、回転位置検出センサ321等からの検出信号が入力される。一方、主制御基板131(開閉制御手段)は、特別図柄表示器121、留保表示器122、ソレノイド331,461、モータ332、押打用ソレノイド325、回転体用モータ326等へ駆動信号を出力する。また、払出制御基板197は、中央演算装置としてのCPU333、読み出し専用メモリとしてのROM334、読み書き可能メモリとしてのRAM335を備えている。そして、払出制御基板197は、主制御基板131から入力したコマンド信号を処理し、球払出装置170に駆動信号を出力する。これにより、球払出装置170は、駆動信号に従って遊技球を払い出す。
主制御基板131と払出制御基板197との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、例えば主制御基板131が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板197から主制御基板131にACK信号が返される。
一方、周辺基板311には、サブ統合基板336のほかに例えば複数の電飾制御基板337,338や波形制御基板339等が含まれる。上記の主制御基板131とサブ統合基板336との間では、それぞれの入出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われており、主制御基板131からサブ統合基板336へのコマンドの送信はあっても、その逆は行われない。
サブ統合基板336もまた、CPU350をはじめROM351やRAM352等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。サブ統合基板336とその他の電飾制御基板337,338や波形制御基板339との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。1つ目の電飾制御基板337には主にサイド装飾装置52等を含む装飾ランプ353とが接続されており、サブ統合基板336から電飾制御基板337に対して装飾ランプ353の点灯信号が送信されると、これを受けて電飾制御基板337が装飾ランプ353を点灯させる処理を行う。2つ目の電飾制御基板338には演出表示装置115とともに演出ランプ354が接続されている。例えばサブ統合基板336から演出表示装置115に対する表示コマンドが電飾制御基板338に送信されると、これを受けて電飾制御基板338は実際に演出表示装置115を作動させる処理を行う。また、サブ統合基板336には、遊技球センサ361からの検出信号が入力される一方、役物用ソレノイド362へ駆動信号を出力する。
波形制御基板339は、音響出力としての可聴音波のほか、不可聴である超音波等の波形信号を生成、送受信する処理を実行している。例えば、サブ統合基板336から音響出力コマンドが波形制御基板339に送信されると、これを受けて波形制御基板339は上記のスピーカ18,57を駆動する処理を行う。このほかにも、波形制御基板339には超音波送受信装置356が接続されており、この超音波送受信装置356は、複数の台間で超音波による通信を可能とする。通常、ホールの島設備には複数台のパチンコ機1が並べて設置されるが、超音波送受信装置356を装備しているパチンコ機1同士の間では、相互に超音波通信が可能となる。この通信機能を用いて、複数のパチンコ機1で演出動作をシンクロナイズさせたり、特定の台間で遊技情報の交換を行ったりすることができる。
なお、電飾制御基板337,338、及び波形制御基板339にも、それぞれ中央演算装置としてのCPU357,358,359、読み出し専用メモリとしてのROM370,371,372、及び読み書き可能メモリとしてのRAM373,374,375を備えている。
次に、主制御基板131と払出制御基板197との間の通信処理について、詳細に説明する。なお、信号名の先頭に「♯」が付されているものは、負理論であることを意味している。「ハイレベル」は2値信号の2つのレベルのうち「1」レベルを意味し、「ローレベル」は「0」レベルを意味している。
主制御基板と払出制御基板との通信について説明する。主制御基板131と払出制御基板197との間では、種々のコマンドがシリアル転送によって送信される。コマンドを正常に受信した基板は、コマンドを送信した基板に対して、正常にコマンドを受け取ったことを伝えるACK(Acknowledge)信号を送信する。主制御基板131から払出制御基板197に対する主なコマンドとしては、遊技球の払い出しに関するコマンドや、払出制御基板197に動作状態の報告を指示するコマンドがある。遊技球の払い出しに関するコマンドとしては、例えば、遊技球の払い出し個数を指定するコマンドの他、遊技球の払い出しの開始を指示するコマンドや、遊技球の払い出しの停止を指示するコマンドなどが考えられる。払出制御基板197から主制御基板131に対する主なコマンドとしては、払出制御基板197の動作状態を伝えるコマンドがある。
図12は、主制御基板131および払出制御基板197の電気的な構成の詳細を示すブロック図である。主制御基板131は、主制御基板131における種々の演算処理を行うCPUとして、外部とのシリアル通信機能およびパラレル通信機能を有するCPU314(主CPU)を備える。CPU314には、演算処理を行う演算処理部390と、外部とのシリアル通信を行うシリアル通信ユニットとしてのシリアルIF部391と、外部とのパラレル通信を行うパラレルIF部392とが回路構成されている。払出制御基板197とのコマンドのやり取りは、シリアルIF部391を介して行われ、払出制御基板197とのACK信号のやり取りは、パラレルIF部392を介して行われる。
シリアルIF部391は、演算処理部390からパラレルデータTDaを受け取り、該データを記憶する送信バッファレジスタ393と、送信バッファレジスタ393に記憶されたデータを受け取り、該データをシリアルデータDabに変換して払出制御基板197にシリアル転送する送信シフトレジスタ394と、払出制御基板197からシリアルデータDbaを受け取り、該データを記憶する受信シフトレジスタ395と、受信シフトレジスタ395に記憶されたデータを受け取り、該データを演算処理部390によってパラレルデータRDaとして読み出し可能に記憶する受信バッファレジスタ396と、シリアルIF部391における各部の動作状態を管理するシリアル管理部397とを備え、これらを1チップに集積して構成されている。送信バッファレジスタ393および送信シフトレジスタ394,受信シフトレジスタ395,受信バッファレジスタ396は、それぞれ1バイトの記憶容量を有するレジスタである。
シリアル管理部397は、送信シフトレジスタ394および送信バッファレジスタ393に関して、送信シフトレジスタ394がシリアル転送中でない場合に、送信バッファレジスタ393から送信シフトレジスタ394へのデータの受け渡しを許可し、該受け渡し後に、該データを送信バッファレジスタ393から消去するように回路構成されている。
シリアル管理部397は、受信シフトレジスタ395および受信バッファレジスタ396に関して、受信バッファレジスタ396にデータが記憶されていない場合に、受信シフトレジスタ395から受信バッファレジスタ396へのデータの受け渡しを許可し、演算処理部390が受信バッファレジスタ396からパラレルデータRDaを読み出した後に、受信バッファレジスタ396からデータを消去するように回路構成されている。
なお、シリアルIF部391によるシリアル転送の転送レートは、CPU314を動作させるためのクロック信号を分周した信号に基づいて決定される。この転送レートを決定するクロック信号の分周比は、シリアルIF部391が有するレジスタ(図示しない)の値によって設定することができる。
演算処理部390は、送信バッファレジスタ393に対して書き込み信号♯WRaを立ち上げることによって、送信バッファレジスタ393へりパラレルデータTDaの書き込みを行い、受信バッファレジスタ396に対して読み出し信号♯REaを立ち上げることによって、受信バッファレジスタ396からのパラレルデータRDaの読み出しを行う。
演算処理部390は、シリアルIF部391における種々の状態を示す信号を、シリアル管理部397から受ける。演算処理部390がシリアル管理部397から受ける信号としては、送信バッファレジスタ393がクリアされている際にハイレベルとされる送信バッファ空き信号TEaと、送信シフトレジスタ394がシリアル転送中である際にハイレベルとされるシリアル転送中信号TCaと、受信バッファレジスタ396にデータが記憶されている際にハイレベルとされる受信データあり信号DFaとがある。
図12に示すように、払出制御基板197は、払出制御基板197における種々の演算処理を行うCPU333(払出CPU)と、外部とのシリアル通信を行う回路が形成されたシリアルIFチップ398と、外部とのパラレル通信を行う回路が形成されたパラレルIFチップ399とを備える。主制御基板131とのコマンドのやり取りは、シリアルIFチップ398を介して行われ、主制御基板131とのACK信号のやり取りは、パラレルIFチップ399を介して行われる。
シリアルIFチップ398は、CPU333からパラレルデータTDbを受け取り、該データを記憶する送信バッファレジスタ400と、送信バッファレジスタ400に記憶されたデータを受け取り、該データをシリアルデータDbaに変換して主制御基板131にシリアル転送する送信シフトレジスタ401と、主制御基板131からシリアルデータDabを受け取り、該データを記憶する受信シフトレジスタ402と、受信シフトレジスタ402に記憶されたデータを受け取り、該データをCPU333によってパラレルデータRDbとして読み出し可能に記憶する受信バッファレジスタ403と、シリアルIFチップ398における各部の動作状態を管理するシリアル管理部404とを備え、これらを1チップに集積して構成されている。送信バッファレジスタ400および送信シフトレジスタ401,受信シフトレジスタ402,受信バッファレジスタ403は、それぞれ1バイトの記憶容量を有するレジスタである。
シリアル管理部404は、送信シフトレジスタ401および送信バッファレジスタ400に関して、送信シフトレジスタ401がシリアル転送中でない場合に、送信バッファレジスタ400から送信シフトレジスタ401へのデータの受け渡しを許可し、該受け渡し後に、該データを送信バッファレジスタ400から消去するように回路構成されている。
シリアル管理部404は、受信シフトレジスタ402および受信バッファレジスタ403に関して、受信バッファレジスタ403にデータが記憶されていない場合に、受信シフトレジスタ402から受信バッファレジスタ403へのデータの受け渡しを許可し、CPU333が受信バッファレジスタ403からパラレルデータRDbを読み出した後に、受信バッファレジスタ403からデータを消去するように回路構成されている。
なお、シリアルIFチップ398がシリアル転送されたコマンドをサンプリングするタイミングは、主制御基板131のCPU314を動作させるためのクロック信号を分周したサンプリングクロックに基づいて決定される。このサンプリングクロックを決定刈るクロック信号の分周比は、シリアルIFチップ398が有するレジスタ(図示しない)の値によって設定することができる。
CPU333は、送信バッファレジスタ400に対して書き込み信号♯WRbを立ち上げることによって、送信バッファレジスタ400へのパラレルデータTDbの書き込みを行い、受信バッファレジスタ403に対して読み出し信号♯RDbを立ち上げることによって、受信バッファレジスタ403からのパラレルデータRDbの読み出しを行う。
CPU333は、シリアルIFチップ398における種々の状態を示す信号を、シリアル管理部404から受ける。CPU333がシリアル管理部404から受ける信号としては、送信バッファレジスタ400がクリアされている際にハイレベルとされる送信バッファ空き信号TEbと、送信シフトレジスタ401がシリアル転送中である際にハイレベルとされるシリアル転送中信号TCbと、受信バッファレジスタ403にデータが記憶されている際にハイレベルとされる受信データ有り信号DFbとがある。
次に、主制御基板131と払出制御基板197との間におけるコマンド転送の際の動作について説明する。本実施形態のパチンコ機1は、主制御基板131から払出制御基板197へのコマンド転送と、払出制御基板197から主制御基板131へのコマンド転送を行うことが可能である。
払出制御基板197に対してコマンドを送信する主制御基板131の動作について説明する。図13は、主制御基板131の演算処理部390が実行するコマンド送信処理を示すフローチャートである。主制御基板131の演算処理部390は、遊技の進行を制御する処理を実現するために所定の間隔(本実施形態では、4ミリセカンド(以下、msと表記))で定時割り込み処理を繰り返し実行し、この繰り返し実行される定時割り込み処理の一環として、払出制御基板197に対してコマンドを送信する場合に、図13に示したコマンド送信処理を実行する。
演算処理部390は、図13に示したコマンド送信処理を開始すると、払出制御基板197に対するコマンドを生成する(ステップS1001)。本実施形態では、払出制御基板197に対するコマンドは、シリアルIF部391の各レジスタの記憶容量である1バイトよりも大きな2バイトのコマンドである。
コマンドを生成した後(ステップS1001)、「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」であるか否か、すなわち、「送信バッファレジスタ393にデータが記憶されていない場合」かつ「送信シフトレジスタ394がシリアル転送中でない場合」であるか否かを判断する(ステップS1002)。
「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」である場合(ステップS1002)には、生成したコマンドの2バイトのうち上位1バイトである1バイト目を、送信バッファレジスタ393に書き込む(ステップS1003)。その後、予め設定された書込待機期間Lwaの待機を行った後(ステップS1004)、生成したコマンドの残りの下位1バイトである2バイト目を、送信バッファレジスタ393に書き込み(ステップS1005)、コマンド送信処理を終了する。
ここで、書込待機期間Lwaは、送信バッファレジスタ393へのコマンドの1バイト目の書き込みから、この1バイト目が送信シフトレジスタ394へと受け渡しされるまでの期間である送信レジスタ引渡期間Lbsよりも長い期間であり、その定時割り込み処理の終了までに2バイト目の書き込み処理(図13のステップS1005)を実行可能な時間を残す期間であり、次の定時割り込み処理の開始まで長引くような期間ではない。また、書込待機期間Lwaは、コマンドの1バイト目のシリアル転送が完了するまでの期間であるシリアル転送期間Lscよりも短い期間であり、定時割り込み処理の間隔である4msよりも短い期間である。本実施形態では、書込待機期間Lwaは、2.5マイクロセカンド(以下、μsと表記)に設定されている。なお、本実施形態のシリアルIF部391のハードウエア仕様による送信レジスタ引渡期間Lbsは、約1.25μsである。また、2バイト目の書き込み処理(図13のステップS1005)に要する演算処理部390の演算処理時間が、シリアルIF部391の送信レジスタ引渡期間Lbs異常である場合には、図13に示したコマンド待機処理のソフトウエアによる待機処理(ステップS1004)は不要である。
図14は、コマンド送信処理が実行される際の主制御基板131における各信号の様子を示すタイムチャートである。上述したコマンド送信処理にて、「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」てあると判断されると(図13中のステップS1002)、パラレルデータTDaにコマンドの1バイト目の出力が開始される(タイミングta1)。その後、書き込み信号♯WRaの立ち上がりによって、送信バッファレジスタ393にコマンドの1バイト目が書き込まれる(タイミングta2,図13中のステップS1002)。
送信バッファレジスタ393は、書き込まれたコマンドの1バイト目を送信シフトレジスタ394に引き渡し、この引き渡しが完了するとシリアル管理部397によってクリアされる。送信シフトレジスタ394は、送信バッファレジスタ393から受け取ったコマンドの1バイト目をシリアルデータDabに出力する。シリアル転送中のシリアルデータDabには、スタートビットSTに続いて、コマンドの1ビット目D0から8ビット目D7までの各ビットが続き、最後にストップビットSPが出力される。このように、コマンドの1バイト目のシリアル転送が開始されると、シリアル転送中信号TCaはハイレベルとなる(タイミングta3)。
コマンドの1バイト目の書き込み(タイミングta2,図13中のステップS1002)から、書込待機期間Lwaの待機を経た後(図13中のステップS1004)、コマンドの1バイト目と同様に、送信バッファレジスタ393にコマンドの2バイト目が書き込まれる(タイミングta4,図13中のステップS1005)。
この際の送信シフトレジスタ394は、コマンドの1バイト目をシリアル転送中であり、コマンドの2バイト目を送信バッファレジスタ393から受け取ることができないため、送信バッファレジスタ393は、書き込まれたコマンドの2バイト目を記憶して保持し、送信バッファ空き信号TEaはローレベルとなる(タイミングta4)。
その後、送信シフトレジスタ394によるコマンドの1バイト目のシリアル転送が終了すると、送信バッファレジスタ393は、記憶するコマンドの2バイト目を送信シフトレジスタ394に引き渡し、この引き渡しが完了するとシリアル管理部397によってクリアされ、送信バッファ空き信号TEaはハイレベルとなる(タイミングta5)。
その後、送信シフトレジスタ394は、コマンドの1バイト目と同様に、送信バッファレジスタ393から受け取ったコマンドの2バイト目をシリアルデータDabに出力する(タイミングta6〜ta7)。
以上説明した主制御基板131の動作によって、払出制御基板197に対して2バイトのコマンドが送信される。本実施形態の主制御基板131は、払出制御基板197に対してコマンドを送信してから所定の期間の間に、払出制御基板197からACK信号の返答がない場合には、コマンドを再送する。
なお、逆に、主制御基板131に対してコマンドを送信する払出制御基板197の動作は、演算処理部390に代えてCPU333、送信バッファレジスタ393に代えて送信バッファレジスタ400、送信シフトレジスタ394に代えて送信シフトレジスタ401が、それぞれ上述した主制御基板131の場合と同様の動作を行うことによって実現される。
なお、本実施形態では、CPU314は、4ミリセカンドの感覚で定時割り込み処理を繰り返し実行するのに対し、シリアルIF部391は、1200bps(Bit Per Second)の転送レートでシリアル転送を実行する。したがって、本実施形態では、シリアルIF部391が2バイトのコマンドをシリアル転送する時間は約16.7msとなり、CPU314は、その間に定時割り込み処理を約4回繰り返し実行することとなる。このように、CPU314は、送信バッファレジスタ393にコマンドを書き込んでしまえば、そのコマンドの払出制御基板197へのシリアル転送をシリアルIF部391に任せることができる。なお、シリアル転送における1200bpsの転送レートは、電気的ノイズに対するコマンド転送の信頼性を確保可能な転送レートであり、また、比較的安価なフォトカプラを用いたアイソレーションによってシリアル転送することが可能な転送レートである。
なお、主制御基板131は、シリアル転送中(送信バッファレジスタ393にコマンドが有る状態)に、制御処理を中断することなく、入賞があれば入賞情報を記憶するなど他の制御処理を実行する。パチンコ機の場合、遊技板13へと打ち出される遊技球は、1分間に最大100個までと規制されているため、遊技球の打ち出し間隔は約600msである。したがって、遊技球が入賞口61に連続して入賞したとしても、主制御基板131は、遊技球の検出情報を滞りなく処理し、賞球コマンドを払出制御基板197にシリアル転送することができる。
主制御基板131からのコマンドを受信する払出制御基板197の動作について説明する。図15は、払出制御基板197のCPU333が実行するコマンド受信処理を示すフローチャートである。払出制御基板197のCPU333は、遊技球の払い出しを制御する一環として主制御基板131からのコマンドを受信する場合に、図15に示したコマンド受信処理を実行する。
CPU333は、コマンド受信処理を開始すると、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であるか否か、すなわち、「受信バッファレジスタ403にデータが記憶されている場合」であるか否かを判断する(ステップS1101)。
ここで、コマンド受信処理において「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断される場合(ステップS1101)には、主制御基板131から払出制御基板197に対して送信された2バイトのコマンドのうち、コマンドの1バイト目が受信バッファレジスタ403に記憶された状態である。
「受信データ有り信号DFbがハイレベル」である場合(ステップS1101)には、受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの1バイト目を読み出す(ステップS1102)。その後、受信シフトレジスタ402を介して受信バッファレジスタ403に記憶されたコマンドの2バイト目を読み出し(ステップS1103)、コマンド受信処理を終了する。
図16は、コマンド受信処理が実行される際の払出制御基板197における各信号の様子を示すタイムチャートである。前述した主制御基板131におけるコマンド送信処理によって、シリアルデータDabにコマンドの1バイト目が出力されると(タイミングtb1〜tb2)、受信シフトレジスタ402にコマンドの1バイト目が記憶された後、受信バッファレジスタ403にコマンドの1バイト目が受け渡され、受信データ有り信号DFbはハイレベルとなる。
コマンドの1バイト目に続いた、シリアルデータDabにコマンドの2バイト目が出力されると(タイミングtb1〜tb2)、受信シフトレジスタ402にコマンドの2バイト目が記憶される。この際には、受信バッファレジスタ403からコマンドの1バイト目が読み出されておらず、受信バッファレジスタ403はシリアル管理部404によってクリアされていないため、受信シフトレジスタ402はコマンドの2バイト目の記憶を保持する。
その後、図15に示したコマンド受信処理にて、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断されると(図15中のステップS1101)、読み出し信号♯REbの立ち下がりによって、受信バッファレジスタ403からパラレルデータRDbにコマンドの1バイト目が出力され、コマンドの1バイト目が、CPU333によって受信バッファレジスタ403から読み出される(タイミングtb5〜tb6,図15中のステップS1102)。
コマンドの1バイト目の読み出しが完了すると、受信バッファレジスタ403はシリアル管理部404によってクリアされ、受信データ有り信号DFbはローレベルとなる(タイミングtb6)。その後、受信シフトレジスタ402から受信バッファレジスタへとコマンドの2バイト目が受け渡されると、受信出た有り信号DFbはハイレベルとなる(タイミングtb7)。その後、コマンドの1バイト目と同様にして、受信バッファレジスタ403からコマンドの2バイト目が読み出される(タイミングtb8〜tb9,図15中のステップS1103)。なお、説明の便宜上、図16では、コマンドの1バイト目と2バイト目とのシリアル転送時間のスケールは、CPU333の演算処理時間のスケールと比べ縮小されているが、実際には、コマンドの1バイト目と2バイト目とのシリアル転送時間は、CPU333の演算処理時間に比べて相当の時間を要する。したがって、図15に示したコマンド受信処理は、CPU333が所定の間隔で繰り返し実行する定時割り込み処理の一環として、複数回の定時割り込み処理に分けて実行される処理である。
以上説明した払出制御基板197の動作によって、主制御基板131から送信された2バイトのコマンドが受信される。本実施形態の払出制御基板197は、主制御基板131からコマンドを受信してから所定の期間の間に、主制御基板131に対してACK信号を送信する。
なお、本実施形態では、シリアルIFチップ398のサンプリングタイミングは、転送レート(1200bps)の16倍である19.2キロヘルツ(kHz)に設定されている。本実施形態では、シリアルIFチップ398は、スタートビット,コマンドの各データビット,ストップビットのビット毎に、それぞれ3回のサンプリングを行い、この3回のサンプリングで検出された値を多数決判定することによって、コマンド受信の信頼性の向上を図っている。
なお、逆に、払出制御基板197からのコマンドを受信する主制御基板131の動作は、CPU333に代えて演算処理部390、受信シフトレジスタ402に代えて受信シフトレジスタ395、受信バッファレジスタ403に代えて受信バッファレジスタ396が、それぞれ上述した払出制御基板197の場合と同様の動作を行うことによって実現される。
上記の構成により、主制御基板131のCPU314が1回の定時割り込み処理内を行う間に、シリアルIF部391がシリアル転送可能なコマンドを2バイト分、シリアルIF部391の送信バッファレジスタ393,送信シフトレジスタ394に格納することができ、主制御基板131のCPU314がコマンドのシリアル転送に関わる期間を短縮することができる。その結果、主制御基板131における他の制御処理の進行の阻害や、主制御基板131で実行される制御プログラムの複雑化を抑制することができる。したがって、コマンドを分割してシリアル転送する場合における円滑な遊技制御を実現することができる。
ところで、上記の払出制御基板197では、CPU333,シリアルIFチップ398及びパラレルIFチップ399を備えたものを示したが、以下に示すような構成としても良い。具体的には、図17に示すような、払出制御基板197に、払出制御基板197における種々の演算処理を行うCPU333(払出CPU)と、外部とのシリアル通信およびパラレル通信を行う回路が形成されたシリパラIFチップ405とを備えるものとすることができる。このシリパラIFチップ405には、主制御基板131のパラレルIF部392とパラレル通信をするパラレルIF部406が備えられている。なお、図17は、図12に示すものとは異なる主制御基板131および払出制御基板197の電気的な構成の詳細を示すブロック図である。また、上記以外の構成については、図12に示したものと同様の構成であり、同一の符号を付してある。
図17に示す払出制御基板197のシリアル管理部407は、図12に示すシリアル管理部404とは異なるものとされている。このシリアル管理部407は、シリアル管理部407は、受信バッファレジスタ403のデータがCPU333からの読み出しによって消去される図13に示すシリアル管理部404とは異なり、CPU333からのバッファクリア信号#CBbに基づいて、受信バッファレジスタ403からデータを消去する。
払出制御基板197に対してコマンドを送信する主制御基板131の動作について説明する。図18は、主制御基板131の演算処理部390が実行するコマンド送信処理を示すフローチャートである。主制御基板131の演算処理部390は、遊技の進行を制御する処理の一環として、図18に示したコマンド送信処理を所定のタイミングで繰り返し実行する。
演算処理部390は、図18に示したコマンド送信処理を開始すると、ジョブフラグFjの値を判断する(ステップS1201)。ジョブフラグFjは、コマンド送信処理における状態を示すフラグであり、演算処理部390の起動時には「0」に設定されている。
「ジョブフラグFj=0」の場合には、払出制御基板197に対するコマンドの出力するためのコマンド出力処理を実行し(ステップS1202)、「ジョブフラグFj=1」の場合には、払出制御基板197からのACK信号を確認するためのACK待ち処理を実行する(ステップS1203)。コマンド出力処理(ステップS1202)、または、ACK待ち処理(ステップS1203)を終了した後、コマンド送信処理を終了する。なお、コマンド出力処理(ステップS1202),ACK待ち処理(ステップS1203)の詳細については後述する。
図18に示したコマンド送信処理におけるコマンド出力処理(図18中のステップS1202)の詳細について説明する。図19は、コマンド出力処理(図18中のステップS1202)を示すフローチャートである。演算処理部390は。図19に示すコマンド出力処理を開始すると、「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」であるか否か、すなわち、「送信バッファレジスタ393にデータが記憶されていない場合」かつ「送信シフトレジスタ394がシリアル転送中でない場合」であるか否かを判断する(ステップS1301)。「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」である場合(ステップS1301)には、「チェックフラグFc=1」であるか否かを判断する(ステップS1302)。チェックフラグFcは、払出制御基板197からのACK信号が確認できない場合に、払出制御基板197に対して動作状態の報告を指示するためのフラグであり、演算処理部390の起動時には「0」に設定されている。
「チェックフラグFc=1」でない場合であって(ステップS1302)、遊技球の入賞口への入賞がある場合には(ステップS1303)、払出制御基板197に所定の個数の賞品球の払い出しを指示する入賞コマンドの1バイト目を生成する(ステップS1304)。
一方、「チェックフラグFc=1」である場合には(ステップS1302)、チェックフラグFcを「0」に設定し(ステップS1305)、払出制御基板197に対して動作状態の報告を指示するチェックコマンドの1バイト目を生成する(ステップS1306)。なお、主制御基板131は、払出制御基板197からの動作状態の報告を、払出制御基板197から主制御基板131に対するコマンドの形態で受け取る。
入賞コマンドまたはチェックコマンドの1バイト目を生成した後(ステップS1304,S1306)、生成した1バイト目の各ビットを反転して、すなわち、1バイト目のビットのうち、「0」であるビットを「1」とし、「1」であるビットを「0」として、コマンドの2バイト目を生成する(ステップS1307)。本実施形態では、コマンドの1バイト目は、コマンドとしての実質的な意味を持つデータであり、コマンドの2バイト目は、払出制御基板197側でコマンドの正誤を判断するためのデータである。
コマンドの2バイト目を生成した後(ステップS1307)、生成したコマンドを送信する(ステップS1308〜S1310)。この処理(ステップS1308〜S1310)は、図13に示したコマンド送信処理における処理(ステップS1003〜S1005)と同様である。コマンドを送信した後(ステップS1308〜S1310)、ジョブフラグFjを「1」に設定し(ステップS1311)、コマンド出力処理を終了する。
コマンド出力処理においてコマンドの送信が実行される際(ステップS1308〜S1310)の主制御基板131における各信号の様子は、図14に示した主制御基板131における各信号の様子と同様である。
図18に示したコマンド送信処理におけるACK待ち処理(図18中のステップS1203)の詳細について説明する。図20は、ACK待ち処理(図17中のステップS1203)を示すフローチャートである。演算処理部390は、図20に示すACK待ち処理を開始すると、払出制御基板197からACK信号を検出したか否かを判断する(ステップS1401)。ACK信号を検出した場合には(ステップS1401)、ジョブフラグFjを「0」に設定し(ステップS1402)、ACK待ち処理を終了する。
一方、ACK信号を検出しない場合には(ステップS1401)、コマンドの送信(図19中のステップS1308〜S1310)を終えてから所定の時間が経過したか否かを判断する(ステップS1403)。この所定の時間は、払出制御基板197からのACK信号の返答を待つ時間であり、本実施形態では、100msに設定されている。所定の時間が経過していない場合には(ステップS1403)、そのままACK待ち処理を終了し、所定の時間が経過した場合には(ステップS1403)、チェックフラグFcを「1」に設定し(ステップS1404)、ジョブフラグFjを「0」に設定した後(ステップS1402)、ACK待ち処理を終了する。
以上説明した主制御基板131の動作によって、払出制御基板197に対して2バイトのコマンドが送信される。なお、逆に、主制御基板131に対してコマンドを送信する払出制御基板197の動作は、演算処理部390に代えてCPU333、送信バッファレジスタ393に代えて送信バッファレジスタ400、送信シフトレジスタ394に代えて送信シフトレジスタ401が、それぞれ上述した主制御基板131の場合と同様の動作を行うことによって実現される。
主制御基板131からのコマンドを受信する払出制御基板197の動作について説明する。図21は、払出制御基板197のCPU333が実行するコマンド受信処理を示すフローチャートである。払出制御基板197のCPU333は、遊技球の払い出しを制御する一環として主制御基板131からのコマンドを受信する場合に、図21に示したコマンド受信処理を実行する。なお、図21に示したコマンド受信処理は、図15に示したコマンド受信処理と同様に、CPU333が所定の間隔で繰り返し実行する定時割り込み処理の一環として、複数回の定時割り込み処理に分けて実行される処理である。
CPU333は、コマンド受信処理を開始すると、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であるか否か、すなわち、「受信バッファレジスタ403にデータが記憶されている場合」であるか否かを判断する(ステップS1501)。
ここで、コマンド受信処理において「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断される場合(ステップS1501)には、主制御基板131から払出制御基板197に対して送信された2バイトのコマンドのうち、コマンドの1バイト目が受信バッファレジスタ403に記憶された状態である。
「受信データ有り信号DFbがハイレベル」である場合(ステップS1501)には、受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの1バイト目を読み出した後(ステップS1502)、再び受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの1バイト目を読み出す(ステップS1503)。その後、1回目に読み出したコマンドの1バイト目と、2回目に読み出したコマンドの1バイト目とを照合して(ステップS1504)、両者が一致するか否かを判断する(ステップS1505)。
読み出したコマンドの1バイト目が1回目と2回目とで一致する場合には(ステップS1505)、バッファクリア信号♯CBbを立ち下げることによって受信バッファレジスタ403に記憶されたコマンドの1バイト目をクリアする(ステップS1506)。これによって、受信シフトレジスタ402に記憶されていたコマンドの2バイト目が、受信バッファレジスタ403に受け渡される。
受信バッファレジスタ403をクリアした後(ステップS1506)、受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの2バイト目を、コマンドの1バイト目と同様に、2回の読み出しの後に照合を行い(ステップS1507,S1508,S1509)、1回目と2回目とが一致する場合には(ステップS1510)、受信バッファレジスタ403に記憶されたコマンドの2バイト目をクリアする(ステップS1511)。
その後、読み出したコマンドの1バイト目と、読み出したコマンドの2バイト日とを照合して(ステップS1512)、両者が整合するか否かを判断する(ステップS1513)。なお、前述したように、コマンドの2バイト目は、主制御基板131がコマンドの1バイト目の各ビットを反転して生成したデータである。
読み出したコマンドの1バイト目と2バイト目とが整合する場合には(ステップS1513)、主制御基板131に対してACK信号を送信して(ステップS1514)、コマンド送信処理を終了する。
一方、読み出したコマンドの1バイト目が1回目と2回目とで一致しない場合や(ステップS1505)、読み出したコマンドの1バイト目と2バイト目とが整合しない場合には(ステップS1513)、次回のコマンド受信に備えるために、受信シフトレジスタ402および受信バッファレジスタ403をクリアして(ステップS1515)、コマンド送信処理を終了する。
図22は、コマンド受信処理が実行される際の払出制御基板197における各信号の様子を示すタイムチャートである。なお、説明の便宜上、図22では、コマンドの1バイト目と2バイト目とのシリアル転送時間のスケールは、CPU333の演算処理時間のスケールと比べ縮小されている。
図21に示したコマンド受信処理にて、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断されると(図21中のステップS1501)、読み出し信号#REbの立ち下がりによって、受信バッファレジスタ403からパラレルデータRDbにコマンドの1バイト目が出力され、コマンドの1バイト目が、CPU333によって受信バッファレジスタ403から読み出される(タイミングtb11〜tb12,図21中のステップS1502)。その後、さらにコマンドの1バイト目が、1回目と同様にして読み出される(タイミングtb13〜tb14,図21中のステップS1503)。
コマンドの1バイト目の2回の読み出しが完了した後、バッファクリア信号#CBbの立ち下がりによって受信バッファレジスタ403がクリアされ、受信データ有り信号DFbはローレベルとなる(タイミングtb15,図21中のステップS1506)。その後、受信シフトレジスタ402から受信バッファレジスタヘとコマンドの2バイト目が受け渡されると、受信データ有り信号DFbはハイレベルとなる(タイミングtb16)。
その後、コマンドの2バイト目が、コマンドの1バイト目と同様にして受信バッファレジスタ403から読み出される(タイミングtb21〜tb24,図21中のステップS1507,S1508)。コマンドの2バイト目の読み出しが完了した後、バッファクリア信号#CBbの立ち下がりによって受信バッファレジスタ403がクリアされ、受信データ有り信号DFbはローレベルとなる(タイミングtb25,図21中のステップS1511)。
以上説明した払出制御基板197の動作によって、主制御基板131から送信された2バイトのコマンドが受信される。なお、逆に、払出制御基板197からのコマンドを受信する主制御基板131の動作は、第一の実施例と同様である。
以上、図17から図22に示した構成によれば、主制御基板131における他の制御処理の進行の阻害や、主制御基板131で実行される制御プログラムの複雑化を抑制することができる。更に、払出制御基板197のCPU333側の都合に応じて受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの消去を行うことができるため、2バイト単位で1バイト毎にシリアル転送されるコマンドに対して、CPU333による2バイト単位での取り扱いの容易化を図ることができる。
また、払出制御基板197は、コマンドを重複して読み取り、重複して読み取ったコマンドを照合するため(図21中のステップS1502〜S1505)、受信バッファレジスタ403からCPU333へのコマンドの受け渡しの際に、ノイズなどの影響によって書き換えられてしまった異常なコマンドに基づいて処理が行われてしまうことを防止することができる。
また、主制御基板131は、コマンドの1バイト目を反転して2バイト目を生成し(図19中のステップS1307)、払出制御基板197は、コマンドの1バイト目と2バイト目とを照合するため(図21中のステップS1512〜S1513)、主制御基板131から払出制御基板197へのコマンド転送の際に、ノイズなどの影響によって書き換えられてしまった異常なコマンドに基づいて処理が行われてしまうことを防止することができる。
また、コマンドを受け取った払出制御基板197は、主制御基板131に対してACK信号を送信するため、主制御基板131は、コマンドが正常に転送されたか否かを確認することができる。さらに、主制御基板131は、払出制御基板197からのACK信号の返答がない場合に、払出制御基板197に対してチェックコマンドを送信するため、コマンドが正常に転送されなかった理由が払出制御基板197における異常動作に基づくものであるか否かを判断することができる。
なお、上記図12から図22に示した構成は、サブ統合基板336や電飾制御基板337,338および波形制御基板339などの基板に適用可能であり、或いは、主制御基板131とサブ統合基板336との間のコマンド転送に適用しても良い。主制御基板131からサブ統合基板336に対するコマンドとしては、演出表示装置115における表示画像の演出内容を指示する演出コマンドがある。
また、送信側CPUが生成する2バイト以上のコマンドは、偶数バイトであることとしても良い。これによって、送信側CPUからシリアル通信ユニットに対する1回の定時割込処理あたり2バイト分のコマンドの格納を効率良く実行することができる。例えば、主制御基板131は、演出指示を規定した3バイトの指示コマンドと、この指示コマンドのチェックサムを算出した1バイトのチェックコマンドとから成る計4バイトのコマンドを一群のコマンドとして生成し、4バイトの一群のコマンドを2回分に分けて、2回の定時割り込み処理にて2バイト毎にシリアル転送することとしても良い。
また、主制御基板131は、3バイトの指示コマンドと、1バイトのチェックコマンドとの各ビットを反転させた4バイトの反転コマンドも併せて、計8バイトのコマンドを一群のコマンドとして生成し、8バイトの一群のコマンドを4回に分けて、4回の定時割り込み処理にて2バイト毎にシリアル転送することとしても良い。
次に、主制御基板131(特にCPU314)で実行される制御処理の例について説明する。
遊技処理を図23〜図30に基づき説明する。図23は遊技処理のルーチンを示すフローチャートである。図24は変動開始処理のルーチンを示すフローチャートである。図25は大当り判定処理のルーチンを示すフローチャートである。図26は変動表示パターン設定処理のルーチンを示すフローチャートである。図27は変動処理のルーチンを示すフローチャートである。図28は役物用入賞口開閉処理のルーチンを示すフローチャートである。図29は大当り遊技開始処理のルーチンを示すフローチャートである。図30大当り遊技中処理のルーチンを示すフローチャートである。
図23は、遊技処理の一例を示すフローチャートであり、主基板310のCPU314は、まず、ステップS1601において始動入賞口96に遊技球が入賞したか否かを判別する。具体的には、始動口センサ318(始動検出手段)がONとなって検出信号が出力されたか否かを判別し、始動口センサから検出信号が出力された場合には始動入賞口96に遊技球が入賞したと判別しステップS1602へと進む。なお、ステップS1601において始動口センサ318がONとなったと判断されると、各種乱数(大当り判定乱数、継続回数判定乱数、変動表示パターン乱数、等)を取得する。
そして、ステップS1601において、始動入賞口96に遊技球が入球して所定の乱数を取得すると、続くステップS1602では、RAM316に設けられている留保球数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かを判断する。そして、留保球数カウンタの値が4未満であれば、ステップS1603へと進み、ステップS1601で取得した所定の乱数を記憶手段としてのRAM316に記憶格納させるための始動記憶格納処理が行われる。なお、ステップS1601において始動口センサ318がONでない場合、及びステップS1602において留保球数カウンタの値が4以上である場合、には始動記憶格納処理を実行しないようになっている。
ステップS1603における始動記憶格納処理では、留保球数カウンタに「1」を加算する処理と、留保球数カウンタの加算に伴って留保数表示制御手段による留保表示器122に表示される留保球数の数を変更する処理(例えば、4つのランプからなる留保表示器122とした場合は、留保球数をランプの点灯数で示す処理)と、取得した乱数値(例えば、大当り判定乱数、継続回数判定乱数、等)をRAM316に設けられた始動記憶の保存領域に留保球数カウンタのカウント値に対応させて記憶する処理と、を行う。このように、留保球数カウンタは、始動記憶の保存領域に記憶される乱数値の数を示すカウンタである。また、ステップS1602において留保球数カウンタの値が上限値である場合にはステップS1601で取得した乱数値を破棄する。なお、ステップS1601で始動入賞口96に遊技球が入球したと判断したときには、ステップS1601〜ステップS1603の間で各種乱数を取得すればよく、例えば、ステップS1601で各種乱数を取得せずに、ステップS1602で留保球数カウンタが上限値未満であることを判別した後に、各種乱数を取得してもよいし、始動記憶格納処理(ステップS1603)で取得するようにしてもよい。
その後、遊技処理では、CPU314が遊技の進行状態を示す処理選択フラグの値を参照し、処理選択フラグが[0]であればステップS1604の変動開始処理を、処理選択フラグが[1]であればステップS1605の変動表示パターン設定処理を、処理選択フラグが[2]であればステップS1606の変動中処理を、処理選択フラグが[3]であれば役物用入賞口開閉処理を、処理選択フラグが[4]であれば大当り遊技開始処理を、処理選択フラグが[5]であれば大当り遊技中処理を、行うようになっている。
なお、本例では、大当り判定乱数による抽選結果として、「ハズレ」、「第一普通当り」、「第二普通当り」、及び「特別当り」、の四種類が用意されている。具体的には、抽選結果の「ハズレ」は役物用入賞口92を開閉しないものでありる。また、「第一普通当り」は役物用入賞口92を第一開放時間(0.3sec〜0.6secの間、望ましくは約0.4秒)開閉させるものであり、「第二普通当り」は役物用入賞口92を第二開放時間(1.5秒〜2.0secの間、望ましくは約1.8秒)開閉させるものであり、これら「第一普通当り」または「第二普通当り」が抽選されることで役物用入賞口92が開き、そのタイミングで役物用入賞口92から役物91内へ遊技球を進入させ、役物91内の大当り受入口93に遊技球が受入れられると有利遊技状態として「大当り遊技」を発生させることができるものである。更に、「特別当り」は役物用入賞口92を開かせて役物91内に遊技球を進入させ、その内部の大当り受入口93に遊技球を受入れさせなくても、「大当り遊技」発生させる、つまり、始動入賞口96への遊技球の入賞だけで直接「大当り遊技」を発生させるものであり、これが抽選されることで、遊技者の興趣を大きく高めることができるものである。
処理選択フラグが[0]のときに実行される変動開始処理(ステップS1604)では、始動記憶数を確認し、始動記憶数が0でなければ、特別図柄の変動表示を開始するための設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、ステップS1601において取得した大当り判定乱数に応じた抽選結果としての「特別当り」、「第一普通当り」、「第二普通当り」、及び「ハズレ」の何れであるかの判定を行い、処理選択フラグを[1]に更新する。処理選択フラグが[1]のときに実行される変動表示パターン設定処理(ステップS1605)では、特別図柄および図柄の変動表示に関わる設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、特別図柄の変動表示パターンを決定し、当該変動表示パターンに対応して設定される変動時間(特別図柄表示器121にて特別図柄の変動表示を開始してから停止表示するまでの時間)をタイマにセットし、処理選択フラグを[2]に更新する。処理選択フラグが[2]のときに実行される変動中処理(ステップS1606)では、変動表示パターン設定処理(ステップS1605)で変動時間が設定されたタイマを監視し、タイマがタイムアウトしたことにもとづいて特別図柄表示器121における特別図柄の変動表示を停止させる処理を行う。このとき、変動開始処理(ステップS1604)にて抽選結果が「特別当り」であれば処理選択フラグを[4]に更新し、「第一普通当り」又は「第二普通当り」であれば処理選択フラグを[3]に更新し、それ以外、つまり「ハズレ」であれば処理選択フラグを[0]に更新する。
また、処理選択フラグが[3]のときに実行される役物用入賞口開閉処理(ステップS1607)では、抽選結果が「第一普通当り」又は「第二普通当り」の場合に、その抽選結果に応じた役物用入賞口92の開閉を実行させる。詳しくは後述するが具体的には、役物用入賞口92を開閉させ、役物91内へ進入した遊技球が大当り受入口に入球すれば処理選択フラグを[4]に更新し、大当り受入口に入球しなければ処理選択フラグを[0]に更新する。
更に、処理選択フラグが[4]のときに実行される大当り遊技開始処理(ステップS1608:利益付与状態制御手段)では、大当り遊技状態を開始するための設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、役物用入賞口92の開放回数等の設定を行う。処理選択フラグが[5]のときに実行される大当り遊技中処理(ステップS1609:利益付与状態制御手段)では、カウントセンサ319によって検出された遊技球の個数を判別し、所定個数の遊技球が役物用入賞口92に入賞したとき、または、所定期間が経過したとき役物用入賞口92を閉塞状態にするための処理を行う。また、大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数に達していなければ、再び、役物用入賞口92を開放状態にするための処理を行い、大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数に達したときには、処理選択フラグを[0]に更新する。
図24は、上述の変動開始処理(ステップS1604)の一例を示すフローチャートである。この変動開始処理では、まず、ステップS1621において、主基板310のCPU314にでは、留保球数カウンタの値が0であるか否か判断する。上述したように、留保球数カウンタの値は、始動記憶の保存領域に格納される乱数値の数を示すものであるため、ステップS1621で留保球数カウンタの値が0であれば、始動記憶がないと判別されて処理を終了する。
一方、ステップS1621で留保球数カウンタの値が0でなければ、ステップS1622に進み、始動記憶移行処理を実行する。ステップS1622の始動記憶移行処理では、留保球数カウンタを1減算する処理と、RAM316に設けられた始動記憶の保存領域に記憶される各種乱数をシフトした後、始動記憶の保存領域のうち留保球数カウンタの0に対応する保存領域に保存される各種乱数(大当り判定乱数等)を読み出す処理と、を行う。具体的には、始動記憶の保存領域にて留保球数カウンタのn(n=1、2、3、4)に対応する保存領域に記憶されている各種乱数を始動記憶の保存領域における留保球数カウンタのn−1(n=0、1、2、3)に対応する保存領域に記憶させる。
次いで、ステップS1623では、留保記憶の保存領域のうち留保球数カウンタの0に対応する保存領域から読み出した大当り判定乱数を用いて大当り判定処理を行い、大当り判定乱数による抽選結果が、「特別当り」、「第一普通当り」、及び「第二普通当り」の何れであるかの判定を行い、続くステップS1624において、処理選択フラグを[1]に更新する。処理選択フラグを[1]に更新することにより、次にタイマ割込処理が発生し、遊技処理(図23参照)が実行されたときに変動表示パターン設定処理(ステップS1605)が実行可能となる。
図25は、大当り判定処理(ステップS1623)の一例を示すフローチャートである。大当り判定処理が開始されると、まず、ステップS1641において、ROM315に記憶された大当り判定テーブルが選択され、続くステップS1642では、大当り判定テーブルを用いて大当り判定乱数が「特別当り」であるか否かが判定され、「特別当り」であればステップS1643へと進み、特別当りフラグをON状態として、大当り判定処理を終了する。一方ステップS1642において、大当り判定乱数が「特別当り」でない場合は、ステップS1644へと進む。
このステップS1644では、大当り判定テーブルを用いて大当り判定乱数が「第一普通当り」であるか否かが判定され、「第一普通当り」であれば、ステップS1645へと進み、第一普通当りフラグをON状態として、大当り判定処理を終了する。一方、ステップS1644において、大当り判定乱数が「第一普通当り」でない場合は、ステップS1646へと進む。このステップS1646では、大当り判定テーブルを用いて大当り判定乱数が「第二普通当り」であるか否かが判定され、「第二普通当り」であれば、ステップS1647へと進み、第二普通当りフラグをON状態として、大当り判定処理を終了する。一方、ステップS1646において、大当り判定乱数が「第二普通当り」でない場合は、何れの当りフラグをON状態とすることなく、大当り判定処理を終了する。
ところで、大当り判定乱数により、各抽選結果が抽選される確率を、例えば、「ハズレ」を1/200、「第一普通当り」を188/200、「第二普通当り」を10/200、「特別当り」を1/200、となるように設定することができる。しかしながら、上記の確率に限定するものではなく、適宜それらの確率を変更して設定することができるが、何れの設定においても、「特別当り」の確率が最も低くなるようにする必要がある。また、「ハズレ」は無くても良い。
図26は、上述の変動表示パターン設定処理(ステップS1605)の一例を示すフローチャートである。この変動表示パターン設定処理では、ステップS1661において、大当り判定乱数が「特別当り」であるか否かが判断される。具体的には、特別当りフラッグがON状態であるか否かが判断され、特別当りフラッグがON状態、つまり「特別当り」であれば、ステップS1662へと進み、ROM315に記憶されている特別当り時変動表示パターンテーブルを選択する。一方、ステップS1661において、「特別当り」でないと判断されると、ステップS1663へと進み、大当り判定乱数が「第一普通当り」又は「第二普通当り」の何れかであるか否かが判断される。つまり、第一普通当りフラグ又は第二普通当りフラグの何れかがON状態であると、「第一普通当り」又は「第二普通当り」であると判定し、ステップS1664へと進み、ROM315から普通当り時変動表示パターンテーブルを選択する。
一方、ステップS1663において、「第一普通当り」又は「第二普通当り」でないと判定される、つまり、何れの当りフラグがON状態でない場合、ステップS1665へと進み、ROM315に記憶されているハズレ時変動表示パターンテーブルが選択される。なお、ROM315に「第一普通当り」及び「第二普通当り」に対応した第一普通当り時変動表示パターンテーブル及び第二普通当り時変動表示パターンテーブルを記憶させておき、「第一普通当り」又は「第二普通当り」に応じて、第一普通当り時変動表示パターンテーブル又は第二普通当り時変動表示パターンテーブルを選択するようにしても良い。
そして、変動表示パターンテーブルが選択されると、ステップS1666において、変動表示パターン乱数を用いて先に選択された変動表示パターンテーブルから対応する変動表示パターンを決定し、続くステップS1667において、決定した変動表示パターンの変動表示パターンコマンドをセットしてステップS1668へと進む。
ステップS1668では、ステップS1668において決定された変動表示パターンに応じた変動時間をタイマにセットする。具体的には、本例では、例えば、普通当り時変動表示パターンテーブルから決定された変動表示パターンの場合、つまり、「第一普通当り」又は「第二普通当り」の場合、変動時間として、例えば1sec〜2secの間の第一実行時間がセットされる。一方、特別当り時変動表示パターンテーブル又は外れ時変動表示パターンテーブルの何れかから決定された変動表示パターンの場合、つまり、「特別当り」又は「ハズレ」の場合、変動時間として、第一実行時間よりも長い第二実行時間がセットされる。これにより、「特別当り」又は「ハズレ」の時は、特別図柄の変動時間が長く設定されており、変動時間が普通当りよりも長いと、「特別当り」又は「ハズレ」の何れかであることを認識させることができ、遊技者をワクワク、ドキドキさせて興趣を高められるようになっている。
ステップS1668において、変動時間がセットされると、続くステップS1669において、処理選択フラグを[2]に更新してステップS1670へと進み、これまでに決定、或いはセットされた、大当り判定乱数、変動表示パターン乱数、変動表示パターンコマンド、変動時間、等を周辺基板311へ送信するためのコマンドとしてセットして、本ルーチンがリターンされ、決定された変動表示パターンに基づいて、特別図柄表示器121の特別図柄の変動表示が開始される。
図27は、上述の変動中処理(ステップS1606)の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS1681では、特別図柄表示器121において変動表示されている特別図柄の変動時間がタイムアップしたか否かが判断され、タイムアップしていなければ本ルーチンをリターンする。一方、タイムアップしたと判断されるとステップS1682へと進み、実行中の抽選結果が「特別当り」であるか否かが判断され、「特別当り」であると判断されると、ステップS1683へと進み、処理選択フラグを[4]に更新して本ルーチンをリターンする。その際に、特別図柄表示器121では、「特別当り」を示唆する特別図柄が停止表示される。
一方、ステップS1682において、「特別当り」でないと判断されると、ステップS1684へと進み、抽選結果が「第一普通当り」又は「第二普通当り」であるか否かが判断され、「第一普通当り」又は「第二普通当り」であると判断されると、ステップS1685に進み、処理選択フラグを[3]に更新し、本ルーチンをリターンする。その際に、特別図柄表示器121では、抽選結果に応じた「第一普通当り」又は「第二普通当り」を示唆する特別図柄が停止表示される。
なお、ステップS1684において、抽選結果が「第一普通当り」又は「第二普通当り」でないと判断される、つまり、「ハズレ」であると判断されると、ステップS1686へと進み、処理選択フラグを[0]に更新し、本ルーチンをリターンする。その際に、特別図柄表示器121では、「ハズレ」を示唆する特別図柄が停止表示される。
図28は、上述の役物用入賞口開閉処理(ステップS1607:開放継続制御手段)の一例を示すフローチャートである。ここでは、まず、ステップS1701において、抽選結果が「第一普通当り」であるか否かが判断され、「第一普通当り」であればステップS1702へと進み、第一開放時間がセットされる。一方、ステップS1701において、「第一普通当り」でないと判断されると、換言すると、「第二普通当り」であると判断されると、ステップS1703へと進み、第二開放時間がセットされる。
そして、ステップS1702又はステップS1703において、開放時間がセットされると、ステップS1704へと進み、セットされた開放時間に応じて役物用入賞口92の開閉動作が行われる。具体的には、開放時間が第一開放時間の場合は、例えば、0.3sec〜0.6secの間、役物用入賞口92を開放又は開閉させるもので、更には、約0.4秒の間、開放させることが望ましい。また、開放時間が第二開放時間の場合は、第一開放時間よりも長い時間で、例えば、1.5秒〜2.0secの間、役物用入賞口92を開放又は開閉させるもので、更には、約1.8秒の間、開放させることが望ましい。
ステップS1704において、役物用入賞口92の開閉が終了すると、ステップS1705へと進み、大当り受入センサ330がONとなったか否かを判断する。つまり、ステップS1704において、役物用入賞口92が開いて役物91内に遊技球が進入し、役物91内の大当り受入口93に遊技球が受入れられたか否かを判断する。そして、大当り受入口93に遊技球が受入れられると大当り受入センサ330がONとなりステップS1706へと進み、処理選択フラグを[4]に更新し、続くステップS1707において、例えば、大当り遊技中に、演出表示装置115に表示し周辺基板311により制御される演出表示パターンを含む所定のコマンドをセットして、本ルーチンをリターンする。
一方、ステップS1705において、大当り受入センサ330がONとならなかった場合、つまり、遊技球が役物用入賞口92から役物91内に進入しなかった場合、或いは、役物用入賞口92から役物91内に遊技球が進入したものの大当り受入口93に受入れられなかった場合、ステップS1708へと進み、処理選択フラグを[0]に更新して、本ルーチンをリターンする。
図29は、上述の大当り遊技開始処理(ステップS1608)の一例を示すフローチャートである。この大当り遊技開始処理は、始動入賞口96への遊技球の入賞により発生する大当り判定乱数に基づく抽選結果が「特別当り」の場合、又は、役物用入賞口92の開閉により役物91内に進入した遊技球が大当り受入口93に受入れられた場合、に開始される処理である。まず、ステップS1721では、継続回数判定乱数により、大当り遊技のラウンド数である設定最大継続回数が設定される。本実施形態では、ラウンド数が、2回、8回、16回の何れかから継続回数判定乱数によって設定される。具体的には、2回、8回、16回の夫々のラウンド数が選択される割合が、例えば、2回が「1/4」、8回が「1/4」、16回が「1/2」となるように割り振られた適宜の選択テーブルを用いて、継続回数判定乱数に応じたラウンド数が設定される。この継続回数判定乱数は、始動入賞口96への入賞時に、大当り判定乱数等と共に発生させるようにしても良いし、大当り処理を開始する際に発生させるようにしても良い。
ステップS1721において設定最大継続回数が設定されると、続くステップS1722では、継続回数判定表示処理が行われる。具体的には、継続回数判定乱数に基づいて、ROM315に記憶された継続回数判定表示パターンテーブルから、対応する継続回数判定表示パターンを決定し、決定した継続回数判定表示パターンの表示パターンコマンドをセットする。そして、セットされた表示パターンコマンドを周辺基板311に送信するようにセットする。
この継続回数判定表示パターンとしては、種々の表示パターンが用意されており、継続回数判定乱数により設定される設定最大継続回数、つまり、最大ラウンド数を示唆する表示パターンや、最大ラウンド数よりも少ないラウンド数を示唆する表示パターン、等がある。具体的には、例えば、実際のラウンド数が16であった場合、表示パターンにより表示されるラウンド数を8として表示させ、初めは遊技者にラウンド数が8であると認識させておき、大当り遊技中にラウンド数が変更されるような演出表示(例えば、再抽選表示)を行ってあたかもラウンド数が16に増えたかのような表示としても良い。これにより、遊技者に当所表示されたラウンド数よりも更に有利なラウンド数が表示されることで、幸運を得たような感覚にさせることが可能となり、興趣を高めることができるようにすることができるものである。
そして、ステップS1722において、継続回数判定表示処理が終了すると、ステップS1723へと進み、処理選択フラグを[5]に更新して、本ルーチンをリターンする。
図30は、上述の大当り遊技中処理(ステップS1609)の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS1741において、所定のラウンドカウンタが初期化(例えばラウンドカウンタの数値=2)される。このラウンドカウンタは例えばRAM316内に確保されており、この初期化に伴ってラウンドカウンタの値はリセットされる。なお、ラウンドカウンタは大当り遊技中のラウンド数をカウントするためのものであり、その値が設定最大回数に達すると大当り処理が終了となる。
ステップS1741においてラウンドカウンタが初期化された後、続くステップS1742では、所定の入賞球数カウンタに「0」がセットされ、続いて役物用入賞口92が所定時間間隔で開閉動作が開始される(ステップS1743)。そして、次のステップS1744では役物用入賞口92の開閉回数が設定最大回数(例えば18回)以内であるか否かが判断される。開閉回数が設定最大回数内であれば(YES)、次に入賞球カウンタの値が10未満であるか否かが判断される(ステップS1745)。このとき入賞球カウンタの値が10に満たなければ(YES)、大入賞口に対応するカウントセンサ319の検出信号がONになったか否かが判断される(ステップS1746)。役物用入賞口92への入賞によりカウントセンサ319がONになると(YES)、次のステップS1747で入賞球数カウンタに「1」が加算され、再度ステップS1644の判断が行われる。あるいは、ステップS1746で大入賞口への入賞がなく、カウントセンサ319がONになっていなければ(NO)、入賞球数カウンタが加算されることなくステップS1744の判断が行われる。
1回のラウンド動作中において、役物用入賞口92の開閉が設定最大回数である18回に達するか、あるいは入賞球が10カウントに達するかのいずれかの条件が満たされると1ラウンドが終了となる。これら2つの条件のいずれかが満たされると、ステップS1744またはステップS1745の判断が否定(NO)されるので、ラウンド終了のために役物用入賞口92の開閉動作が停止(ステップS1748)される。そして、次のステップS1749でラウンドカウンタの値が、2ラウンド、8ラウンドまたは16ラウンドの中から選択されて設定された設定最大継続回数に達したか否かが判断される。
ラウンドカウンタの値が設定最大継続回数に達していなければ(ステップS1749においてNO)、次にラウンドカウンタの値に「1」が加算(ステップS1750)されて入賞球数カウンタが「0」にリセットされる(ステップS1742)。
なお、本例では、始動入賞口96への遊技球の入球に応じて行われる役物用入賞口92の開閉動作を第1ラウンドとしてラウンド回数を算定しているため、上記の処理は、第2ラウンド以降の1回のラウンド動作の処理に相当する内容である。そして、第2ラウンド以降においては、ラウンド動作が繰り返されてラウンドカウンタの値が設定最大継続回数に達したと判断されると(ステップS1749においてYES)、後述する留保記憶表示処理を行った後に(ステップS1751)、ステップS1752に進み、処理選択フラグを[0]に更新して、大当り処理を終了する。
このように、本例の遊技処理によると、特別図柄の変動表示中や、大当り処理中等の状況以外では、始動入賞口96に入賞すると比較的短時間で役物用入賞口92が開閉動作するので、従来の第二種のパチンコ機と類似した遊技となり、従来の第二種のパチンコ機に慣れた遊技者にも違和感無く遊技させることができ、興趣が低下するのを抑制することができる。また、役物用入賞口92が開閉動作する前に、変動した特別図柄が停止表示されて開閉動作のパターン(抽選結果)を認識することができ、停止表示した特別図柄の示唆が、「第一普通当り」とよりも「第二普通当り」であれば、より有利となるので、特別図柄の停止表示により遊技者の興趣を高めることができるようになっている。
また、特別図柄の変動時間が長いと、抽選結果が「ハズレ」又は「特別当り」の何れかであることを認識させることができ、特別図柄が停止表示されて抽選結果が認識可能となるまでの間、遊技者をハラハラ、ドキドキさせることが可能となり、抑揚に富んだものとすることができるようになっている。また、始動入賞口96への入賞により、大当りとなる「特別当り」を備えているので、従来の第一種の遊技と更に類似した遊技となり、遊技者の違和感を更に抑制することができ、興趣が低下するのを防止することができるようになっている。
なお、図示しないが、主制御基板131(特にCPU314)で実行される制御処理としては、電源投入時処理がある。パチンコ機1へ電力の供給が開始されると、CPU314は、電源投入時処理を実行する。この電源投入時処理では、RAM316に記憶されているバックアップデータが正常であるか(停電発生時の設定値となっているか)否か判別し、正常であればRAM316に記憶されているバックアップデータに従って停電発生時の状態に戻す処理(復電時処理)を実行し、バックアップデータが異常であればRAM316をクリアしてCPU周辺のデバイス設定(通常の初期設定:割込タイミングの設定等)を行う。なお、遊技途中でパチンコ機1への電力供給が停止すると、RAM316に現在の遊技状態がバックアップデータとして記憶される。また、電源投入時処理にてRAM316に記憶されているバックアップデータのクリアを指示するRAM消去スイッチがオンであれば、RAM316をクリアし、通常の初期設定を行う。また、電源投入時処理にて主制御基板131に搭載されるRAM316にバックアップデータが保存されていない場合には、RAM316をクリアし、通常の初期設定を行う。また、電源投入時処理では、通常の初期設定を実行したときにサブ統合基板336に主制御基板131が起動したことを示す電源投入コマンドを送信可能な状態にセットする処理も実行される。電源投入コマンドは、主制御基板131が起動したことをサブ統合基板336に通知するものである。なお、遊技店の閉店時等にパチンコ機1への電力供給を停止した場合(電源を落とした場合)にもRAM316にバックアップデータが記憶され、再びパチンコ機1への電力供給を開始したときには電源投入時処理が実行される。
また、上記したような電源投入時処理において、RAM316がクリアされると、これに伴ってパチンコ機1に設けられる各種ランプ・LEDを点灯することで、ランプ・LEDの点検が容易に行えるようになっている。さらに、本実施形態のパチンコ機1では、RAM316のクリア時、フルカラーLEDにおいては該フルカラーLEDを構成する赤色、青色、緑色の3つのLEDを交互に点灯するようになっている。このため、フルカラーLEDを構成する3色のLEDのうちいずれかのLEDに異常が生じた場合でも、その異常が簡単に確認できるようになっている。
また、異常が発生した場合には、後で詳述する役物91内の異常報知ランプ463(図31参照)の点灯によってその旨を報知するようになっている。この異常報知ランプ463は、図31に示すように、キャラクタ体533の外周に設けられた装飾部材内に埋設されている。具体的には、「シェー!」の装飾文字のうち「!」を構成する下側の「・」部分に異常報知ランプ463が埋設され、異常発生時には、その「・」部分(異常報知ランプ463)が異常発生を報知する態様で点灯制御される。このため、異常報知ランプ463が点灯した場合でも、遊技者は、装飾部材の一部分が点灯態様を替えた程度にしか感じることがなく、結果として遊技に影響を与えることなく、ホール側の店員に異常発生を報知することができる。
次に本実施形態における役物91の具体的な構成について図31乃至図33を基に詳細に説明する。図31は本実施形態における役物の一例を示す正面図であり、図32は図31に示す役物を右上前方から示す斜視図である。また、図33(A)は役物用入賞口を拡大して示す正面図であり、(B)は役物用入賞口の可動片をその動きと共に示す説明図である。
本実施形態の役物91は、その内部に遊技球が進入可能な役物用入賞口92と、役物用入賞口92に入球した遊技球を、所定の通路上を転動演出させた後に二方のうちの何れか一方に放出することの可能な第一転動演出装置95と、第一転動演出装置95の一方の放出側(図31中左側)に配置され遊技球を押打可能な第二転動演出装置100と、第一転動演出装置95の他方の放出側(図31中右側)に配置され回転することで遊技球を大当り受入口93又はハズレ受入口94の何れかに導く第三転動演出装置101と、第一転動演出装置95の下側に配置され第二転動演出装置100により押打された遊技球を第三転動演出装置101に案内する第四転動演出装置102と、第一転動演出装置95の左右に配置され放出された遊技球の流れを夫々整流する第一整流手段500a及び第二整流手段500bと、役物91の上方から流下する遊技球を第一転動演出装置95及び第四転動演出装置102と当接しないように役物91の下流に導くワープ通路510とを備えている。
この役物91は、図3にも示すように、遊技領域の比較的広い範囲内を占めるような大きさとされており、一目で認識できるものとなっている。これにより、本例のパチンコ機1を容易に識別することができると共に、遊技者の関心を引き付け易いようになっている。
(役物用入賞口について)
役物用入賞口92(球受入口)は、役物91(入賞装置)の中央かつ上縁部近傍に配置され大きく口を開けたキャラクタ体455の口とされており、これにより、遊技球がキャラクタ体455に飲み込まれるような雰囲気を醸し出すことが可能となり、遊技の面白味を高める効果が期待できるようになっている。
この役物用入賞口92は、キャラクタ体455の口の左右両側に配置された左右一対の可動片456(第1の開閉部材)と、一対の可動片456の間に配置され遊技球を役物内部へと導くための球入口457と、球入口457を通過した遊技球を検出する遊技球検出センサとしてのカウントセンサ319と、カウントセンサ319を通過した遊技球を第一転動演出装置95に受け渡す受渡口458とを備えている。
一対の可動片456は、役物91の裏面に配置されたソレノイド331(第1の電気的駆動源、第1の駆動源)が駆動されることで、そのプランジャ(図示しない)が直線運動し、その直線運動がリンク機構470を介して駆動軸471を回動運動させることで可動片456が回動するようになっている(図32参照)。この一対の可動片456は、その先端を互いに離反する方向に回動させることで、キャラクタ体455の口の中に遊技球が入球可能となり、また、その先端を互いに接近する方向に回動させることで、キャラクタ体455の口の中に遊技球が入球不能となるようになっている(図33(A)参照)。つまり、一対の可動片456を回動させることで、役物用入賞口92が開閉可能とされている。なお、本例では、一対の可動片456は、夫々別々のソレノイド331により駆動されるようになっている。
この可動片456について図33を基に更に詳しく説明する。図33(A)は本実施形態の役物用入賞口を示す正面図であり、(B)は可動片の動作を示す説明図である。同図(B)に示すように、この可動片456は、ソレノイド331の駆動により回動駆動される駆動軸471(回動軸部)を有し駆動軸471を回転中心として回動する主可動片472(開閉片部)と、主可動片472の駆動軸471とは異なる位置に副回動軸部としての回動軸473を有すると共に主可動片472の回動に伴って回動軸473を回転中心として回動する副開閉片部としての副可動片474とを備えている。つまり、この可動片456は、主可動片472が駆動軸471を、副可動片474が回動軸473を夫々中心として回動可能とされている。
主可動片472は、駆動軸471と共に回動し所定方向に延出する回動延出部475と、回動延出部475の先端に備えられ遊技球を誘導する誘導部476と、回動延出部475の所定位置に設けられ副可動片474のガイド部477に係合する被ガイド部478とを備えている。
一方、副可動片474は、回動軸473の他に、主可動片472の被ガイド部478と係合すると共に被ガイド部478を回動軸473の半径方向にガイド可能なガイド部477と、ガイド部477のガイド方向と略平行とされ遊技球を誘導するための誘導面479とを更に備えている。
なお、この可動片456では、回動軸473、ガイド部477および被ガイド部478が夫々駆動軸471よりも上方に配置されると共に、駆動軸471を中心とした主可動片472の回転半径が、回動軸を中心とした副可動片474の回転半径よりも大とされている。
続いて、可動片456の動作について詳細に説明する。この可動片456は、同図(B)において鎖線(一点および二点鎖線)で示すように、役物用入賞口92を閉鎖する位置(第一姿勢)にある場合、主可動片472の被ガイド部478は副可動片474のガイド部477の回動軸473に接近する端部に位置している。この状態では、図示するように、主可動片472の誘導部476が副可動片474の誘導面479上に大きく重なるように位置している。また、図示は省略するが、この状態では、ソレノイド331のプランジャが没入端に位置した状態となっている。
この状態から可動片456を、ソレノイド331の駆動によって駆動軸471を回動(図中反時計回り)させ、図中実線で示すように、役物用入賞口92を開放する位置(第二姿勢)に回動させた場合、駆動軸471の回動により主可動片475が回動すると、被ガイド部478がガイド部477を介して副可動片474を回転方向に押し、これによって副可動片474が主可動片472と同じ方向に回動する。
その際に、主可動片472の被ガイド部478は、副可動片474のガイド部477内を回動軸473から遠ざかる方向に移動する。そして、これら主可動片472及び副可動片477が共に同図において実線で示す位置まで回動すると、ソレノイド331のプランジャの伸長端に達し、回動駆動が停止され、可動片456の回動動作が停止する。この状態では、図示するように、主可動片472の誘導部476が副可動片474の誘導面479上に重なる部分が少なくなり、誘導部476が誘導面479よりも外側に飛出した位置となる。
このように、この可動片456は、開閉動作させることで、主可動片472の誘導部476が副可動片474のガイド部477に沿って相対移動し、可動片456を開くと、誘導部476が副可動片474の誘導面479の先端よりも外側に突出した位置に移動するので、可動片456自体が長くなったように見える。しかしながら、可動片456の回転中心である駆動軸471を中心として最も外側端部までの長さ、換言すれば、主可動片472自体の長さは、変化しないので、現実には可動片456の長さは変化していない。つまり、回動させることで誘導部476と誘導面479との位置が変化するようにすることで、あたかも可動片456の長さが変化したような錯覚を遊技者に与えることができるようになっている。
これにより、可動片456が開動作した時に、可動片456が長くなったように錯覚させることができるので、遊技球が役物用入賞口92に入賞し易いものと思わせることが可能となり、数ある遊技機の中から取り分け本実施形態のパチンコ機1で遊技したいと思わせることができると共に、入賞への期待感が高められ興趣を高めることができる。なお、実際には、開放された一対の可動片456の開口幅は変化しないので、見た目よりは入賞する割合は増加せず必要以上に興趣が高くなるのを抑制すると共に、ホール側の負担が増加するのを抑制することができるようになっている。
なお、上記の可動片456では、ソレノイド331におけるプランジャの没入端と伸長端とによって、駆動軸471の回動端つまり可動片456の回動端が規制されたものを示したが、被ガイド部478は、ガイド部477の両端部に当接することで可動片456の回動端が規制されるものとしても良いし、プランジャ及びガイド部477の両方により回動端が規制されるものであっても良い。
また、役物91には、前述した左右一対の可動片456以外にも、役物用入賞口92(球受入口)を開閉する左右一対のスライド部材460(第2の開閉部材)が設けられている。一対のスライド部材460は、キャラクタ体455の左右両端、即ち閉鎖位置にある可動片456の上方に配置されてキャラクタ体455の顔の一部分(具体的には、頬の部分)を形成している。そして、スライド部材460は、役物91の裏面に配置されたソレノイド461(図11に符号のみ記載、第2の電気的駆動源、第2の駆動源)が駆動されることで、そのプランジャ(図示しない)が直線運動し、その直線運動がリンク機構(図示しない)を介して当該スライド部材460に伝達されることで、左右方向に進退移動するようになっている。この一対のスライド部材460は、その先端となるスライド仕切部460aを退行方向に移動させること、即ち、スライド部材460の収納を可能にしたキャラクタ体455の本体顔部462(開閉収納部材)内にスライド部材460を収納することで(図34(B)参照)、キャラクタ体455の口の中に遊技球が入球可能となり、また、スライド仕切部460aを進出方向に移動させること、即ち、キャラクタ体455の本体顔部462からスライド部材460を突出することで(図34(A)参照)、キャラクタ体455の口の中に遊技球が入球不能となるようになっている。つまり、一対のスライド部材460を進退移動させることで、役物用入賞口92が開閉可能とされている。なお、本例では、一対のスライド部材460可動片456は、夫々別々のソレノイド461により駆動されるようになっている。
ここで、可動片456及びスライド部材460の開閉動作に伴う役物用入賞口92の開閉状態について図34(A)(B)を参照して説明する。先ず、図34(A)に示す役物用入賞口92の閉鎖状態では、一対の可動片456は、駆動軸471を回転中心としてその先端を互いに接近する方向に回動させて閉鎖位置に配される。また、一対のスライド部材460は、スライド仕切部460aを進出方向(キャラクタ体455の本体顔部462からスライド部材460を突出させる方向)に移動させて閉鎖位置に配される。これにより、役物用入賞口92は、個々に閉鎖位置となる一対の可動片456及び一対のスライド部材460によって閉鎖された状態となり、キャラクタ体455の口の中に遊技球が入球不能となる。
一方、図34(B)に示す役物用入賞口92の開放状態では、一対の可動片456は、駆動軸471を回転中心としてその先端を互いに離反する方向に回動させて開放位置に配され、役物用入賞口92を構成する第1の球受入領域92aを開放する。また、一対のスライド部材460は、スライド仕切部460aを退行方向(キャラクタ体455の本体顔部462内にスライド部材460を収納する方向)に移動させて開放位置に配され、役物用入賞口92における第1の球受入領域92a以外の球受入領域となる第2の球受入領域92bを開放する。これにより、役物用入賞口92は、個々に開放位置となる一対の可動片456及び一対のスライド部材460によって開放された状態となり、キャラクタ体455の口の中に遊技球が入球可能となる。なお、一対の可動片456及び一対のスライド部材460は、前述したように個々に別々のソレノイド331,461の駆動に基づいて開閉動作を行うものであるが、ソレノイド331,461を構成する各プランジャの進退移動は、対応する開閉部材(可動片456又はスライド部材460)以外にも伝達されるようになっており、確実に一対の可動片456及び一対のスライド部材460が連動して開閉動作を行うようになっている。
ところで、上記したような可動片456及びスライド部材460による役物用入賞口92の開閉構成において、スライド部材460のスライド仕切部460aは、役物用入賞口92の閉鎖状態で可動片456を構成する主可動片472の開放端部分と隣接する位置に配され、役物用入賞口92の開放時に主可動片472の開放端部分から離反する方向に移動する。これにより、駆動軸471を中心として45度程度の回動範囲となる動きに制限される可動片456に加えて、取り分け移動範囲に制限がないスライド部材460によって役物用入賞口92を開閉することができるので、役物用入賞口92の開放領域を広げることができる。従って、役物91(役物用入賞口92)内に遊技球が入賞し易い印象を遊技者に与えることができ、ひいては遊技の興趣の低下を抑制することができる。
また、単にスライド式の開閉部材によってのみ役物用入賞口92を開閉する構成では、役物用入賞口92を閉鎖する際に開閉部材と仕切壁との間に遊技球が挟み込まれて、開閉部材の開閉動作がスムーズに行われない不具合が生じる可能性があるが、上記した構成によれば、役物用入賞口92の閉鎖時、スライド式の開閉部材(スライド部材460)の開放端部分と、回動式の開閉部材(可動片456)の開放端部分とが徐々に接近して役物用入賞口92を閉鎖する構成となるため、閉鎖時における遊技球の挟み込みを回避することができる。
また、可動片456及びスライド部材460による役物用入賞口92の開閉構成では、2つの開閉部材(可動片456及びスライド部材460)の動きによって役物用入賞口92の開閉を行う構成にできるので、開閉部材による役物用入賞口92の開閉動作に対する視覚的な興趣の低下を抑制することができる。
また、スライド部材460は、可動片456の上方に配置されると共に、役物用入賞口92の閉鎖時には、スライド仕切部460aを進出方向に移動させて閉鎖位置に配される一方、役物用入賞口92の開放時には、スライド仕切部460aを退行方向に移動させて開放位置に配される。即ち、役物用入賞口92の閉鎖時には、スライド式の開閉部材(スライド部材460)が遊技球を役物用入賞口92から外部に押し出す方向に移動するので、閉鎖時における遊技球の挟み込みをより確実に回避することができる。
また、スライド部材460が開放位置に配された状態で当該スライド部材460を内部に収納する本体顔部462を備える。即ち、スライド部材460が退行方向に移動して開放位置に配されたときには、本体顔部462内に収納され、役物用入賞口92の閉鎖時には、スライド部材460が本体顔部462内から進出方向に移動して(外部に突出して)閉鎖位置に配される。このため、スライド部材460の開閉状態がひと目で確認でき、然も、スライド部材460の開閉構成において美観を損ねることがない。
また、スライド部材460は、閉鎖位置に配された状態で本体顔部462との間で一体的な意匠を構成する。具体的には、スライド部材460がキャラクタ体455の頬の部分をなして、閉鎖位置に配された状態で本体顔部462との間でキャラクタの顔を構成する。このため、通常の遊技状態となる役物用入賞口92の閉鎖状態では、スライド部材460と該スライド部材460を収納する本体顔部462との間で一体的な意匠を構成するので、装飾性を高めることができ、ひいては視覚的な興趣の低減を抑制することができる。
なお、実施形態中の構成によれば、球受入口(役物用入賞口92)を開閉する開閉部材として、回動式の開閉部材(可動片456)とスライド式の開閉部材(スライド部材460)との2種類の開閉部材から構成しているが、このような構成に限定するものではない。例えば、2つの回動式の開閉部材によって単一の球受入口を開閉する構成としてもよいし、2つのスライド式の開閉部材によって単一の球受入口を開閉する構成としてもよい。
次に、第一転動演出装置95について、図35乃至図40に基づいて詳細に説明する。図35は、第一転動演出装置を概略構成で示す正面図である。図36は、第一転動演出装置の構成を示す斜視図である。図37は、第一転動演出装置における回動駆動手段の分解斜視図である。図38は、第一転動演出装置の動作を示す説明図である。図39は、第一転動演出装置における遊技球の動きを示す説明図である。図40は、第一転動演出装置におけるモータの動作を示すタイムチャートである。
この第一転動演出装置95は、図31、図32及び図35乃至図37に示すように、左右方向に延び上面に遊技球が転動可能な転動面490を有した長尺状のガイド部材491と、ガイド部材491を回動可能に支持する回動支持軸492と、ガイド部材491を回動駆動させる回動駆動手段493と、ガイド部材491の回動状況を検出する回動検出センサ494とを備えている。
ガイド部材491は、転動面490から遊技球が前側(遊技機に対して遊技者側)に落下するのを防止する堰部495が転動面490の略全長に亘って設けられている。また、転動面490はその前側が低くなるように前後方向において傾斜しており、これにより、転動面490上に投入された遊技球Bが堰部495に沿って転動すると共に、ガイド部材491の後側に配置された受渡口458などに遊技球Bが当接するのを防止するようになっている。
回動駆動手段493は、モータ332と、モータ332の回転駆動を往復駆動に変換してガイド部材491に伝達する伝達機構480とから構成されている。この伝達機構480は、モータ332の回転軸に固定された第一ギア481と、第一ギア481と噛合して回転する第二ギア482と、第二ギア482と一体に形成され第二ギア482の回転軸芯に対して偏芯した位置に配置されたクランクピン483と、クランクピン483を略水平方向で直線状に滑動可能に保持しクランクピン483の公転により略垂直方向で直線状に往復移動可能とされた往復部材484と、往復部材484を略垂直方向で直線状に滑動可能に支持する滑動支持部材485と、これらモータ332、第一ギア481、第二ギア482、往復部材484、滑動支持部材485等を所定位置に保持するためのケーシング486とから構成されている。
往復部材485は、クランクピン483を略水平方向に滑動可能に保持し長穴状に形成されたクランクピン保持溝487と、滑動支持部材485と滑動可能に連結される滑動連結部488と、外方に突設されガイド部材491へ往復駆動を伝達するための伝達部489とを備えている。
滑動支持部材485は、金属(例えば、鉄、真鍮、アルミ等)製の円柱棒状の部材とされており、その表面には摩擦低減層496が形成されている(図36参照)。この摩擦低減層496は、本例では、フッ素系樹脂としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE,(例えば、テフロン(登録商標)))が所定の厚さでコーティングされており、往復部材485の滑動連結部488との滑動による摩擦が低減され、長期に亘って良好な滑動が得られるようになっている。
ガイド部材491の両端後面側には、後方に突出するピン497が夫々設けられており、回動駆動手段498は、その往復部材485の伝達部489が、ガイド部材491の図中左側のピン497を下側から受けるように当接する位置に配置されている。このガイド部材491における伝達部489と当接するピン497は、バネ(コイルバネ)498により下方に付勢されている(図36参照)。つまり、伝達部489とピン497とが互いに接近する方向にバネ498により付勢されている。
バネ498の付勢力は、ガイド部材491のピン497、伝達部489を介して往復部材485へと伝達され、往復部材485の滑動連結部488から滑動支持部材485を変形させるような力として作用するが、滑動支持部材485が金属製とされているので、十分な強度剛性を有しており、滑動支持部材485が変形して往復部材485の滑動を妨げることを防止するようになっている。
本例では、モータ332を所定方向に回転させることで、ガイド部材491は、伝達機構480を介して、回動支持軸492周りをシーソーのように回動して往復動作するようになっている。なお、本例では、モータ332を一回転させると、ガイド部材491が、二往復シーソーのように回動するようになっている。また、モータ332の軸芯方向がガイド部材491の延びる方向(左右方向)と略同じ方向とされており、これにより、ガイド部材491の後方、つまり、パチンコ機1の裏面での突出量が抑制されている。
一方、ガイド部材491における回動駆動手段493が配置された側とは反対側(図中右側)の端部に設けられたピン497は、回動検出センサ494により検出可能な回動検出部499を支持している(図36参照)。この回動検出センサ494は、図35に示すように、ガイド部材491が略水平位置となると回動検出部499を検出するような位置に配置されており、本例では、回動検出部499は、回動検出センサ494が水平よりも上側にあると検出状態となり、水平よりも下側にあると非検出状態となるようになっている。
続いて、第一転動演出装置95における、遊技球Bの動作について図39を基に詳細に説明する。なお、便宜上、反時計回りの回転を正とし、時計回りの回転を負として説明する。ガイド部材491は、モータ332の回転により、所定周期でシーソーのように回動を繰り返しており、その状態で、ガイド部材491の転動面上に遊技球Bが供給される。この時、例えばガイド部材491が同図(ア)に示すように、図中右側が低くなるように傾斜している場合、ガイド部材491上に供給された遊技球Bは、重力によりガイド部材491の右側端部の方向に転動する。その後、ガイド部材491が正の方向に回動してその右側端部が回動支持軸492よりも高くなると、遊技球Bはその転動する方向を折り返して、回動支持軸492の方向に転動する(同図(イ)参照)。なお、遊技球Bには、その転動する方向に慣性力が働くので、ガイド部材491の傾斜方向が変わっても、その遊技球Bの転動方向はすぐには変わらない。
そして、遊技球Bが回動支持軸492に到達する前に、ガイド部材491が負の方向に回動して右側端部が回動支持軸492よりも低くなると、遊技球Bは再び転動する方向を折り返して、ガイド部材491の右側端部の方向へ転動する(同図(ウ)参照)。その後、ガイド部材491が正の方向に回動してその右側端部が回動支持軸492よりも高くなると、再度転動する方向を折り返して、遊技球Bが再び回動支持軸492の方向へ転動する(同図(エ)参照)。この時、遊技球Bの転動の折り返し位置は、前回の折り返し位置よりも、ガイド部材491の右側端部に近い位置となる。これは、遊技球Bがガイド部材491の回動と共に回動支持軸492を中心として回動するので、遊技球Bには、回動支持軸492から遠ざかる方向に遠心力が作用しており、これによって、遊技球Bが回動支持軸492の方向へ移動する距離よりも、ガイド部材491の端部の方向へ移動する距離の方が長くなるためである。
上記のように、ガイド部材491がシーソーのように回動することで、ガイド部材491上の遊技球Bが揺動すると共に、徐々にガイド部材491の端部へと移動し、やがてガイド部材491の端部から放出される(同図(キ)参照)。なお、遊技球Bが放出される過程において、同図(オ)及び(カ)に示すように、ガイド部材491の右側端部の近傍まで転動した遊技球Bが、回動支持軸492の方向へ折り返すような場合もあり、この遊技球Bが放出されそうでされないような動きにより、遊技者に、ハラハラ、ドキドキさせて抑揚に富んだ演出が可能となっている。なお、上記では、ガイド部材491の回動支持軸492よりも右側における遊技球Bの動きを示したが、回動支持軸492よりも左側においても遊技球Bは同様の動きをするものである。
ところで、本例では、モータ332の回転が、図40に示すように、所定の周期で停止するようになっている。具体的には、回動検出センサ494により回動検出部499を所定回数(ここでは4回)検出する毎に、その検出から所定時間後に、モータ332を所定時間停止させることで、ガイド部材491が、右側端部が高くなった位置で所定時間停止するようになっている(図38(A)参照)。これにより、図39(カ)に示すように、回動支持軸492の右側で揺動する遊技球Bを、回動支持軸492の左側へ移動させ、その左側において遊技球Bを揺動させて、ガイド部材491の左側端部から遊技球Bを放出させることができる。
なお、この第一転動演出装置95では、ガイド部材491の長さ、回動角度、回動速度は、ガイド部材491上に供給される遊技球Bの移動速度、移動方向、等が所定の条件を満たす時に、ガイド部材491上を遊技球Bが揺動するようにしており、その条件以外で遊技球Bが供給されると、ガイド部材491上を揺動することなく、何れかから放出される。
また、上記のモータ332の回転制御は、主基板310における主制御基板131のCPU314において、所定のプログラムを実行することで機能する転動演出制御手段によって制御されている。
ところで、ガイド部材491への遊技球Bの供給は、その上流に配置されたカウントセンサ319が、図31に示すように、役物91の左右方向の中心に対して左側に偏った位置に配置されている。つまり、ガイド部材491の回動支持軸492を通る垂直軸に対して図中左側に偏った位置に配置されている。これにより、受渡口458からガイド部材491上へ供給される遊技球Bは、ガイド部材491の回動支持軸492によりも図中左側、つまり押打部531側に偏って供給されることとなり、ガイド部材491上から放出される遊技球の放出割合が、図中左側端部からの放出が高く右側端部からの放出が低くなっている。
これにより、遊技球Bがガイド部材491の左側端部から流出する割合が高いので、左側端部の下方に配置された第二転動演出装置100側へ放出される機会を増やすことができ、第二転動演出装置100による遊技をより楽しませることができると共に、ガイド部材491の回動だけで有利遊技状態が決まってしまう遊技よりも、ガイド部材491と第二転動演出装置100とによる二段階に亘って有利遊技状態の発生が期待できる遊技とすることができ、より興趣の高められるものとすることができるようになっている。
なお、役物用入賞口92は、役物91の左右方向の略中央に配置されているので、役物用入賞口92に進入した遊技球Bが、一見するとガイド部材491の中心に供給されるように認識させ、ガイド部材491による左右への振り分けが均等に振り分けられているように認識させることができ、遊技者には役物用入賞口92への遊技球Bの進入に対して常に期待感を持たせるようにすることができ、興趣が低下するのを防止することができる。一方、パチンコ機1を設置するホール側等では、大当り受入口93の配置された右側端部から流出する割合が低いので、有利遊技状態が発生する機会が抑制され、ホール側等の負担が増加するのを防止することができるようになっている。
次に、第二転動演出装置100について、図41乃至図45に基づいて詳細に説明する。図41(A)は第二転動演出装置の構成を示す斜視図であり、(B)は、第二転動演出装置における押打部駆動手段の構成を示す背面図である。図42は、第二転動演出装置における可動演出の状況を示す正面図である。図43は、図41(A)に示す第二転動演出装置の分解斜視図である。図44は(A)は第二転動演出装置における押打部の動作を示す説明図であり、(B)は可動演出手段の演出動作を示す説明図である。図45(A)〜(C)は、第二転動演出装置における遊技球の動きのパターンを示す説明図である。
この第二転動演出装置100は、図示するように、役物91において、ガイド部材491の左側に配置されている。つまり、遊技球が打ち込まれる遊技領域において、その左右方向の中心に対して左側に配置されている。この第二転動演出装置100は、遊技球Bと当接することで遊技球Bを左右方向へ押打可能な押打部531と、押打部531が遊技球Bを押打するように押打部531を移動させる押打部駆動手段532とを備えている。また、第二転動演出装置100には、上記のキャラクタ体455とは異なる態様のキャラクタ体533を更に備えており、このキャラクタ体533の足534が押打部531とされている。また、第二転動演出装置100には、キャラクタ体533の腕541と顔542を可動させて所定の演出動作させる可動演出手段543を更に備えている。
押打部駆動手段532は、押打部531を回動可能に支持すると共に回動駆動させるための回動軸535と、回動軸535に固定された第一ギア536と、第一ギア536と噛合する扇状の第二ギア537と、第二ギア537の回転中心から所定距離離れた位置に配置されたクランクピン538と、クランクピン538を摺動可能に保持するクランクピンホルダ539と、クランクピンホルダ539をプランジャ540の出没(進退)により所定方向に移動させる押打用ソレノイド325とを備えている。
また、押打部駆動手段532は、回動軸535と第一ギア536との間に所定回転角度の遊嵌を有した回転伝達継手525を備えている。この回転伝達継手525は、回動軸535側に固定され第一ギア536側へ突出する二つの突起526を有した第一回転板527と、第一ギア536と一体回転し第一回転板の突起526と係合可能な溝528を有した第二回転板529とから構成されている。この第一回転板527の突起526と第二回転板529の溝528とを互いに係合させることで回転が伝達されるようになっている。また、突起526の幅に対して溝528の幅が所定量大きくされており、これにより、回転方向に対して所定の遊嵌を有した状態となっている(図41及び図43参照)。
更に、押打部駆動手段532は、回転伝達継手525における第一回転板527の外周に所定重量の錘530が取付けられており、この錘530に作用する重力によって、第一回転板527を所定方向に回転(回動)するように付勢している。具体的には、図44(A)に示すように、押打部531が図中実線で示す位置に位置するときは、反時計回りの方向にその付勢力が作用すると共に、押打部531が図中破線で示す位置に位置するときは、時計回りの方向に付勢力が作用するようになっている。なお、押打部531が回動軸535の軸心よりも偏芯した位置に位置しているので、錘530の重量を適宜設定することで、偏芯した押打部531により回動軸535にかかるモーメントを少なくなるようにしても良く、これにより、押打用ソレノイド325の駆動力を少なくすることができ、押打用ソレノイド325を小型化することができる。
この押打部駆動手段532は、押打用ソレノイド325によりプランジャ540を出没させることで、回動軸535を回動させて、キャラクタ体533の足534と共に押打部531を回動させて移動させるものである。なお、本例では、プランジャ540が押打用ソレノイド325に没入すると足534が上がり、プランジャ540を進出させると足534が下がるようになっている。
ところで、図42に示すように、役物91には、第二転動演出装置100の下側に、遊技球Bを転動可能で上方に開放された円弧状の受部105が設けられており、その受部105の底部にハズレ受入口94が開口している。この受部105の半径は、押打部531の回動中心と略同心上にその中心が配置されると共に、押打部531の回動により描かれるその先端の軌跡よりも若干大きい半径とされている。そして、受部105の図中右側端部は、押打部531が最も上昇した位置よりも所定距離低い位置とされ、後述の第四転動演出手段102の上側端部(左側端部)と接続されている。
本例では、押打部531の移動範囲として、受部105と第四転動演出装置102との境界部よりも下側を第一範囲と、受部105と第四転動演出装置102との境界部よりも上側を第二範囲とするものである。詳しくは、図44(A)に示すように、図中破線と二点鎖線とで示す押打部531の回動範囲が第一範囲とされ、二点鎖線と実線とで示す押打部531の回動範囲が第二範囲とされている。そして、この押打部531の回動移動は、第一範囲内においては、押打用ソレノイド325の駆動により回動移動し、第二範囲内においては、回転伝達継手525における錘530の付勢力により回動移動するようになっている。
可動演出手段543は、キャラクタ体533の腕(右腕)541がその肩を中心に回動可能とされていると共に、顔(上顎から上の部分)542が上下方向にスライド可能とされている。具体的には、腕541の裏側には、腕541がその一端(肩)を中心に回転可能に支持するための支持ピン520と、支持ピン520から腕541の先端(手)方向へ所定距離離れた位置に設けられたピン状の突起521とが夫々突設されており、腕541の支持ピン520がキャラクタ体533の肩部に回転可能に支持されている。また、顔542の裏側にも、後方に突出する支持ピン522が設けられている。
また、可動演出手段543は、キャラクタ体533の後側に配置され、プランジャ544を出没可能に駆動する役物用ソレノイド362と、役物用ソレノイド362のプランジャ544の出没量を増幅させるリンク機構545と、リンク機構545により上下方向に移動するスライド板部材とを備えている(図41(A)及び図43参照)。
このスライド部材546には、キャラクタ体533の顔542に突設された支持ピン522を回転可能に軸支するための支持部523と、腕541の突起521に下方から当接可能とされた突起当接部524とが形成されている。なお、スライド部材546の裏面(キャラクタ体533とは反対側の面)には、リンク機構545と連結する連結部547が設けられている。
この可動演出手段543は、役物用ソレノイド362によりスライド部材546が上昇することで、顔542が上昇すると共に、スライド部材546の突起当接部が腕541の突起と当接することで、腕541が図42中時計回りに回動するようになっている(図44(B)参照)。なお、顔542の支持ピン522がスライド部材546の支持部523に軸支されているので、顔542が上昇した際に、その勢いにより顔542が支持部523の軸を中心に揺動するようになっている。
続いて、第二転動演出装置100の動作について説明する。この第二転動演出装置100は、役物用入賞口92のカウントセンサ319により遊技球Bが検出されると、押打用ソレノイド325により、押打部531を、図31中二点鎖線で示す位置まで回動させて、遊技球Bを押打することが可能となる。具体的には、カウントセンサ319により遊技球Bが検出されてから所定時間後(例えば、0.5〜2.5秒後)に押打部531を回動させる。これにより、役物用入賞口92に進入した遊技球Bが、ガイド部材491上を揺動した上で第二転動演出手段100により押打可能な押打領域に到達する頃に、押打部531が回動するので、押打部531により遊技球Bを押打することができる。なお、実際には、遊技球Bが第二転動演出装置100に到達する到達時間が区々となるので、押打部531が作動するタイミングと、遊技球Bが到達するタイミングとが一致し難く、ガイド部材491上を揺動する遊技球の動きに、一層、ハラハラ、ドキドキさせて興趣を高めることができる。
この第二転動演出装置100における押打部531の動きを更に詳細に説明すると、第二転動演出装置100では、押打部531が回動移動するタイミングと、第一整流手段500aから遊技球Bが供給される(ガイド部材491から遊技球Bが放出される)タイミングとによって、遊技球Bに様々な動きを付与することができるものである。具体的には、押打部531が押打用ソレノイド325の駆動により、第一範囲の略上端部に到達したタイミングで遊技球Bが供給されると、遊技球Bが押打部531と当接して第四転動演出装置102へと押打される(図45(A)参照)。これにより、遊技球Bが押打されるので、インパクトのある動きを付与することができる。
一方、押打部531が、押打用ソレノイド325の駆動により第一範囲の上端に達した後に、更に、錘530の付勢力により第二範囲の上端付近に到達したタイミングで遊技球Bが供給されると、押打部531と当接した遊技球Bの力が錘530による付勢力に抗して、押打部531を下側(第二範囲の下端)へ回動移動させると共に、遊技球Bが押打部531と共に下降して第四転動演出装置102へと送られる(図45(B)参照)。これにより、流下する遊技球Bを、一旦押打部531に受けるように当接させた上で下降させて送ることができるので、遊技球Bの動きにアクセントを付けて楽しませることができる。
また、押打手段531が、押打用ソレノイド325の駆動により第一範囲の上端に達する前に遊技球Bが供給された場合、第一整流手段500aから放出された遊技球Bが、役物91の受部105と第四転動演出装置102との境界部を通過して、受部105に受けられると共に、受部105に沿ってハズレ受入口94の方向へ転動し、その転動途中において、押打用ソレノイド325の駆動により図中反時計周りの方向へ回動移動する押打部531と当接した上で、押打部531によって受部105に沿って上昇させられ、受部105の上端から第四転動演出装置102へと送られる(図45(C)参照)。これにより、遊技球Bが第四転動演出装置102との境界付近を通過すると、第四転動演出装置102側に送られないような錯覚を起こし興趣が低下するが、通過しても押打部531と当接することで境界付近まで上昇して第四転動演出装置102側に送られると興趣が高められ、遊技者を一喜一憂させることが可能な遊技球Bの動きとすることができる。
なお、この第二転動演出装置100は、押打部531により押打した遊技球Bを、第四転動演出装置102に送ると共に、押打されずに押打領域を通過した遊技球Bを、第二転動演出装置100の下側に配置されたハズレ受入口94から、遊技領域外へ排出するようになっている。
また、上記の押打用ソレノイド325の駆動制御は、主基板310における主制御基板131のCPU314において、所定のプログラムを実行することで機能する当接部制御手段によって制御されている。
ところで、第二転動演出装置100は、上述した遊技球Bの転動演出だけでなく、キャラクタ体533を可動させることで、所定の可動演出をすることもできるものである。なお、第二転動演出手段100の上流側に配置された第一整流手段500aには、その内部を通過した遊技球Bを検出する遊技球センサ361が設けられており、この遊技球センサ361は、周辺基板311(サブ統合基板336)に接続されている(図11参照)。この第二転動演出装置100は、役物用入賞口92に進入した遊技球Bを検出するカウントセンサ319と、ガイド部材491の動作状況(回動状況)を検出する回動検出センサ494と、第一整流手段に設けられた遊技球センサ361との検出結果に応じて、所定の可動演出をするようになっている。
具体的には、主基板310(主制御基板131)において、カウントセンサ319により遊技球Bを検出したときに、回動検出センサ494によりガイド部材491の傾きが、第二転動演出装置100側が低くなるような回動状況であると、遊技球が第二転動演出装置100側に放出される可能性が高いことを示唆する制御コマンドを周辺基板311に送信する。そして、周辺基板311では、上述の制御コマンドを受信した後に、所定時間内に遊技球センサ361により遊技球Bが検出されると、役物用ソレノイド362を駆動して、可動演出手段543におけるキャラクタ体533の腕541を回動させると共に顔542を上昇させる。この可動演出手段543を可動させる所定時間(タイミング)は、上述した、主基板310による押打部531の回動タイミングと略一致しており、これにより、キャラクタ体533は、図42(図44(B))に示すような手足を曲げ大きく口を開けて頭(顔542)を揺らした独特のポーズをすることとなる。つまり、遊技球Bが、押打部531により押打される可能性が極めて高いと、可動演出としてキャラクタ体533が独特のポーズをして、チャンスの到来を遊技者に示唆して興趣を高められるようになっている。なお、可動演出手段543の制御を周辺基板311によって行っているので、キャラクタ体533を可動演出させても主基板310の負荷を抑制することができるようになっている。なお、周辺基板311には、上記の可動演出を制御するための可動演出制御手段が備えられている。
なお、上記の役物用ソレノイド362の駆動制御は、周辺基板311におけるサブ統合基板336のCPU350において、所定のプログラムを実行することで機能する可動演出制御手段によって制御されている。
次に、第三転動演出装置101について、図46乃至図50に基づいて詳細に説明する。図46(A)は第三転動演出装置の断面図であり、(B)は第三転動演出装置の分解斜視図である。図47は、図46における第三転動演出装置の一部を示す分解斜視図である。図48は、役物における第三転動演出装置近傍を拡大して示す正面図である。図49は、第三転動演出装置の動作を示す説明図である。図50は、第三演出装置の図49とは異なる動作を示す説明図である。この第三転動演出装置101は、第一転動演出装置95又は第二転動演出装置100から送られた遊技球Bを、大当り受入口93又はハズレ受入口94の何れかに振り分けて導くものである。
この第三転動演出装置101は、遊技球Bを収容可能な複数の収容部550と、それら収容部550を周方向に複数配置した回転体552と、回転体552を回転させることで収容部550を移動させる移動手段551とを備えている。この移動手段551は、回転体552を回転駆動させるための回転軸553と、回転軸553に固定され回転体552の回転位置を検出するための回転検出部554と、回転軸553を回転駆動する回転体用モータ326とを備えている。なお、本例では、回転体用モータ326から回転軸553への回転伝達は、一組のギア555を介して伝達されるようになっている。また、本例では、収容部550が基本的に、その前方側と、回転体552の半径方向外側が開放された形態とされている。
この第三転動演出装置101には、回転体552の後方側(遊技者が位置する側とは反対側)に配置され、大当り受入口93を有し、大当り受入口93に入球した遊技球Bを大当り受入センサ330へ導く大当り誘導部556と、回転体552の外周を覆うと共にその周方向の所定位置にハズレ受入口94を有し、ハズレ受入口94に入球した遊技球Bをハズレ受入センサ329へ導くハズレ誘導部557とを更に備えている。なお、本例では、ハズレ誘導部557は、ハズレ受入口94を有し回転体552の外周を覆ってその半径方向外側が開放された収容部550から遊技球Bがその半径方向外側へ移動するのを阻止する筒状部558と、ハズレ受入センサ329へ遊技球Bを導く誘導部559とが、夫々別部材により構成されている(図49及び図50参照)。
この第三転動演出装置101には、図47にも示すように、大当り誘導部556の更に後方側に、回転体552側に種々の色の光を照射可能な図示しない発光手段(例えば、LED)が備えられた発光基板575を収納する発光収納部576と、発光収納部576の後方側に配置され、回転軸553に固定された回転検出部554、一組のギア555、及び、回転位置検出センサ321を収容すると共に、回転体用モータ326が取り付け可能な駆動ケーシング部577とを更に備えている。
なお、本例では、回転位置検出センサ321がフォトセンサとされており、回転検出部554により遮光されることで、ON、OFF信号を発信し、その信号の立ち上がり部又は、立ち下がり部を観ることで回転体552の回転位置(例えば、後述の特定収容部550cの位置)を検出するようになっている。
大当り誘導部556及び発光収納部576は、複数のレンズが形成された板状の隔壁部578a,578bが夫々形成されており、それら隔壁部578a,578bの間に遊技球Bが転動可能な転動通路579が形成されている。この転動通路579は、大当り受入口93と、大当り受入センサ330とを連絡するものである。なお、大当り受入センサ330は、図46(A)に示すように、大当り誘導部556と発光収納部576とにより挟持されている。また、本例では、少なくとも、回転体552、大当り誘導部556、及び発光収納部576が、透光性を有する素材により形成されている。
収容部550は、回転体552の外周からその中心部に向かって延びる長さの短い第一収容部550aと、第一収容部550aよりも、少なくとも遊技球Bの長さ分、回転体552の外周からその中心部に向かって延びる長さの長い第二収容部550bとからなっており、本例では、第一収容部550aと第二収容部550bとが、夫々四つずつ回転体552の周方向に交互に配置されている。
ところで、収容部550は、第二収容部550bの一つが、遊技球Bを大当り受入口93へと導く特定収容部550cとされており、この特定収容部550cは、回転体552の前後方向に開放されると共に、半径方向には開放されていない形態とされている。換言すれば、特定収容部550cは、回転体552の回転軸553の軸方向に遊技球を通過可能な開口が形成されている。
なお、特定収容部550c以外の収容部550(通常収容部)は、全て遊技球Bをハズレ受入口94へと導くものとされており、回転体552の回転軸553の半径方向に遊技球を通過可能な開口が形成されている。
回転体552は、第一収容部550aよりも中心側の位置において、前方側に所定量突出した突出部560が形成されており、この突出部560には、その半径方向の外側から、回転体552の第二収容部550bと連続するような凹部567が設けられている。つまり、回転体552の突出部560には、第二収容部550bが備えられている。なお、本例では、図46(B)に示すように、回転体552の突出部560は、特定収容部550cと共に、回転体552の本体とは別部材により構成されている。また、回転体552は、その軸の延出方向が、遊技盤5に対して略直角方向とされている。
この第三転動演出装置101には、全ての収容部550、つまり、第一収容部550a及び特定収容部550cを含む第二収容部550bで遊技球Bの収容が許容される第一収容領域と、特定収容部550cを含む第二収容部550bのみが遊技球Bの収容を許容される第二収容領域とを仕切る仕切り部561を更に備えている。この仕切り部561は、図48に示すように、回転体552の突出部560を挿通可能な挿通孔562と、挿通孔562の下側に配置され回転体552における第一収容部550aに望むように扇状に開口する開口部563とを有し、回転体552の前面に配置される板状の仕切り板564から構成されている。また、仕切り部561には、挿通孔562の略外周に沿うように前方に延びだし挿通孔562に挿通された回転体552の突出部560の外周を所定範囲覆う被覆部565が更に備えられている。この仕切り部561は、図48に示すように、挿通孔562の図中左側に、仕切り板564から前方に延び、ガイド部材491からの遊技球Bを挿通孔562へ導くL字形状の壁部566を更に備えている。なお、本例では、仕切り板564が略透明な素材により形成されており、仕切り板564を介して回転体552が見えるようになっている。
なお、本例では、開口部563の大きさが、遊技球Bの直径に対して、1.5〜3倍の大きさとされている。
この第三転動演出装置101は、仕切り部561により挿通孔562に回転体552の突出部560を挿通させることで第一収容領域が形成される共に、その下側の開口部563により第二収容領域が形成されるようになっている。つまり、ガイド部材491からの遊技球Bが回転体552の突出部560に備えられた四つの第二収容部550bの何れかに収容されるようになっていると共に、押打部531により押打された遊技球Bが回転体552の八つの収容部550(第一収容部550a及び特定収容部550cを含む第二収容部550b)の何れかに収容されるようになっている。
なお、本例では、第二収容部550bの一つが大当り受入口93へ遊技球Bを導く特定収容部550cとされているので、その特定収容部550cに遊技球Bが収容(以下、これをV入賞ともいう)される確率は、ガイド部材491から流出したものが1/4、押打部531により押打されたものが1/8の確率となっている。
続いて、第三転動演出装置101の動作について説明する。この第三転動演出装置101は、遊技球Bの収容部550を有した回転体552が、回転体用モータ326により、時計回りに所定速度で回転させられている。そして、回転体552を回転させた状態で、遊技球Bが供給されると、何れかの収容部550に収容される。例えば、ガイド部材491の右側端部から流出した遊技球Bの場合は、仕切り部561により回転体552の突出部560に配置された四つの第二収容部550bの何れかに収容された後に、回転体552の回転に伴って遊技球Bが移動し、その第二収容部550bが回転体552の中心よりも下側に位置すると、遊技球Bは、第二収容部550bにおいて回転体552の半径方向外側の位置に移動する。一方、押打部531により押打された遊技球Bの場合は、第四転動演出装置102及び仕切り部561の開口部563を介して、回転体552における全ての収容部550の何れかに収容された後に、回転体552の回転と共に、回転体552の半径方向外側の位置に保ったまま移動する。
そして、遊技球Bが特定収容部550cに収容された場合は、図49に示すように、回転体552の回転に伴って時計回りに移動し、大当り受入口93が開口する位置に達すると、特定収容部550cはその後方側が開放されているので、そこから遊技球Bが大当り受入口93に入球し、大当り誘導部556の転動通路579を通って大当り受入センサ330に検出された後に遊技領域外へ排出される。なお、特定収容部550cは、半径方向外側には開放されていないので、ハズレ受入口94に到達しても入球することはない。
一方、遊技球Bが特定収容部550c以外の収容部550に収容された場合は、図50に示すように、回転体552の回転に伴って時計回りに移動し、ハズレ誘導部557の筒状部558に開口するハズレ受入口94に達すると、これらの収容部550は、半径方向に開放されているので、そこから遊技球Bがハズレ受入口94へと入球し、ハズレ誘導部557を通ってハズレ受入センサ329に検出された後に遊技領域外へと排出される。なお、特定収容部550c以外の収容部550は、その後方側が開放されていないので、その収容部550が大当り受入口93に到達しても入球することはない。
このように、第三転動演出装置101は、回転体552に複数の収容部550を備えて、供給された遊技球Bを特定収容部550c又はそれ以外の収容部550の何れかに収容させることで、遊技球を大当り受入口93又はハズレ受入口94に誘導して振り分けることができる。これにより、特定収容部550cに収容されることで大当りが得られるので、供給された遊技球Bが、特定収容部550cに収容される否かに重大な関心を寄せ、遊技球Bの動きと回転体552の回転により遊技球が収容されるまでの間、ハラハラ、ドキドキさせて、興趣を高められるものとなっている。
また、少なくとも、仕切り板564、回転体552、大当り誘導部556、及び発光収納部576が、透光性を有する素材により形成されているので、これにより、大当り誘導部556と発光収納部576との間に形成された転動通路579を転動する遊技球Bを見ることができ、転動通路579を転動する遊技球Bの動きを楽しませることができる。また、発光基板575に備えられた発光手段により回転体552側へ光を照射するようにしているので、回転体552や大当り誘導部556等の形状により転動通路579の遊技球Bが見辛くても、発光手段からの光の照射により、遊技球Bがシルエットとして浮かび出させることができ、遊技球Bの動きを確実に認識させることができる。更に、仕切り板564の前面を転動する遊技球B、回転体552の収容部550に収容された遊技球B、及び転動通路579を転動する遊技球Bを、同時に認識することが可能となっているので、遊技球Bが立体的に配置された状態となり、遊技球Bが入り乱れるようなこれまでにない遊技球Bの動きを楽しませることができる。
次に、第四転動演出装置102について詳細に説明する。この第四転動演出装置102は、図31及び図32に示すように、第二転動演出装置100における押打部531により押打された遊技球を、第三転動演出装置101へと案内するものである。
この第四転動演出装置102は、図示するように、ガイド部材491の下方に配置され、第二転動演出装置100側から第三転動演出装置101側へ緩く傾斜するように延びる案内面571を有している。この案内面571は、ガイド部材491と略同じ長さとされていると共に、その下流側先端には、第三転動演出装置101の開口部563の下縁形状と一部が略一致するような円弧状の揺動面572が設けられている。
この第四転動演出装置102では、第二転動演出装置100からの遊技球を、所定長さの案内面571上を転動させることで、遊技球の動きを認識できるようにしており、これにより、遊技球が第三転動演出装置101に到達するタイミングが、第三転動演出装置101における回転体552の回転による特定収容部550cに収容されるタイミングとなるか否かを楽しませるようになっている。また、案内面571の先端に揺動面572が設けられているので、遊技球はその揺動面を揺動した後に回転体552に備えられた収容部550に収容されるので、その遊技球の揺動具合によって、収容部550に収容されるタイミングが区々となるので、遊技者をハラハラ、ドキドキさせて楽しませることができるようになっている。
なお、本例では、案内面571を滑らかな面としたものを示したが、案内面571に複数の凹凸を設けて、案内される遊技球の動きに変化を付けて、その動きを楽しませるようにしても良い。
次に、整流手段について詳細に説明する。本例の整流手段は、図31及び図32に示すように、ガイド部材491の左側端部の左斜め下には、ガイド部材491の左側端部から放出された遊技球を受けて、その動きを整流させる第一整流手段500aが備えられている。この第一整流手段500aは、その左側に上下方向に延びる仕切り部501と、仕切り部501の下端に遊技球を受けると共に役物91の奥へと導く受部502と、受部502の下側に配置され受部502により受けられた遊技球を遊技領域へと流出させる流出口503とを備えている。この第一整流手段500aにより受けられた遊技球は、仕切り部501及び受部502により整流され、流出口503からその下方に配置された第二転動演出装置100に送られるようになっている。
また、第一整流手段500aには、その途中に遊技球センサ361が配置されており、第一整流手段500aを流通する遊技球Bを検出するようになっている。
また、ガイド部材491の右側端部の右斜め下には、ガイド部材491の右側端部から放出された遊技球を受けて、その動きを整流させる第二整流手段500bが備えられている。この第二整流手段500bは、上部が開放されたカップ形状とされており、この第二整流手段500bに受けられた遊技球は、渦巻状に回転しながら整流され、第三転動演出装置101に送られるようになっている。なお、第二整流手段500bは、図示するように、第三転動演出装置101の上方に配置されたキャラクタ体504のどんぶりとされており、そのどんぶり内で遊技球を旋回させることで、面白味を増させている。
これら第一整流手段500a及び第二整流手段500bにより、ガイド部材491により振り分けられた遊技球が整流されて、スムーズに下流の第二転動演出装置100や第三転動演出装置101へ受け渡しできるようになっている。
なお、本例の第二整流手段500bは、第三転動演出装置101の仕切り部561の一部が備えられており、第二収容領域へ遊技球を確実に誘導できるようになっている。
次に、ワープ通路について詳細に説明する。本例のワープ通路は、図51に示すように、ワープ通路510は、役物用入賞口92の左右に配置され、遊技盤5を流下する遊技球を受ける受取口511と、受取口511により受けられた遊技球をガイド部材491と当接することなく、ガイド部材491の下方に導く誘導路512と、誘導路512により導かれた遊技球を第四転動演出装置102と当接することなく遊技盤5に流出させる流出口513とを備えている。この受取口511は、役物用入賞口92の可動片456が開いた状態では、その上方が略覆われるような位置及び大きさとされている。
このワープ通路510は、ガイド部材491の上方において、役物用入賞口92に入賞しなかった遊技球を受取口511により受けられるようになっており、受渡口458以外からガイド部材491に遊技球が供給されないようになっている。これにより、ガイド部材491及び第四転動演出装置102上を揺動及び転動する遊技球に、無用に他の遊技球が当接して、遊技球の揺動や転動を阻害しないようになっている。
ところで、ワープ通路510内を移動する遊技球B及びワープ通路510を通過した遊技球Bの夫々は、役物91の移動先変化領域を移動する遊技球Bと、相互に往来不能で、しかも、互いに影響を及ぼすことなく正面視にて交差可能である。次に、これを説明する。
まず、ワープ通路510の受取口511から役物91に導入された遊技球B(図51の矢印a参照)は、第一転動演出装置95の後側に配設された誘導路512を通じて上下方向に移動する。一方、第一転動演出装置95にて移動する遊技球Bは、ワープ通路510の誘導路512の前側にて左右方向に移動する。そして、第一転動演出装置95にて移動する遊技球Bと、誘導路512を移動する遊技球Bとは、移動先変化領域の一部である第一転動演出装置95が組み込まれた領域を前側領域711とし、誘導路512の内部空間により構成された領域を後側領域712として、夫々、相互に交差可能に個別に移動する。ここで、前側領域711と後側領域712との間には、相互を区画する区画部713が設けられており、前側領域711を移動する遊技球Bと後側領域712を移動する遊技球Bとは、相互に往来不能で、しかも、相互に影響を及ぼすことなく、移動する。特に、本例では、区画部713が隔壁から構成されており、前側領域711と後側領域712とが確実に隔絶されている。
また、本例では、前側領域711と役物91前方の領域とを区画する区画部(より具体的には隔絶する隔壁)を構成する部材が透明となっている。加えて、区画部713は、ワープ通路510の誘導路512を略矩形の筒状に形成する前側の部材により構成されており、この区画部713を構成する部材は、透明、或いは、表面に縦方向の凹凸や梨子地模様程度の微小な凹凸が形成された半透明となっている。これにより、前側領域711にて移動する遊技球B、すなわち、是非とも注目させたい第一転動演出装置95にて移動する遊技球Bの挙動を遊技者に確認させることができ、しかも、ワープ通路510の誘導路512を移動する遊技球Bも確認させることができる構成となっている。
このように、役物91の上部において、役物91の内部に設けられた前側領域711及び後側領域712の夫々を移動する遊技球Bは、相互に交差可能に移動するため、本例のパチンコ機1では、この前側領域711と後側領域712とを有する構成でもって、遊技球が交差可能な領域である交差可能領域が構成されている。なお、本例のパチンコ機1では、後述のように別の交差可能領域をも有しており、各交差可能領域を明確に区別するため、上述した役物91の上部の交差可能領域を第一交差可能領域710と称し、後述する役物91の下部の交差可能領域を第二交差可能領域720と称する。
誘導路512を通過した遊技球Bは、ワープ通路510の流出口513から放出される(図51の矢印c参照)。ここで、流出口513は、役物91全体の縦方向において、役物91の下端部分ではなく、役物91の中間部分に設けられており、遊技球Bは、役物91全体の前方に形成された役物前方領域における下部の領域に放出される。具体的に、流出口513は、役物91内の移動先変化領域の一部を構成する第四転動演出装置102が組み込まれた領域の上方に配設されており、流出口513から放出された遊技球Bは、役物91の下部前方の遊技領域を前側領域721として、この前側領域721にて上下方向に移動する。より具体的には、前側領域721にて自由落下する。
なお、ワープ通路510の略矩形の筒状に形成された誘導路512の内壁面には、その前側の内壁及び後側の内壁に、通過する遊技球Bの通過速度を遅くさせる緩衝部512aが設けられている。流出口513から放出される遊技球Bは、緩衝部512aによってその勢いが弱められ、前側領域721に放出される。ここで、緩衝部512aは、具体的に、前側の内壁と後側の内壁とで千鳥状に突出するように、誘導路512の巾方向に延設された突条によって構成されており、遊技球Bは、誘導路512内にて各突条に衝突しながら落下することで、その勢いが弱められる(図51の矢印b参照)。
一方、第一転動演出装置95及び第二転動演出装置100での振分けを経て、役物91内の移動先変化領域の一部を構成する第四転動演出装置102が組み込まれた領域に達した遊技球Bは、この第四転動演出装置102が組み込まれた領域を後側領域722として、この後側領域722を左右方向に移動する。
ここで、前側領域721と後側領域722との間には、相互を区画する区画部723が設けられており、前側領域721を移動する遊技球Bと後側領域722を移動する遊技球Bとは、相互に往来不能で、しかも、相互に影響を及ぼすことなく、交差可能な状態で移動する。特に、本例では、区画部723が隔壁から構成されており、前側領域721と後側領域722とが確実に隔絶されている。また、区画部722を構成する部材は、透明または半透明となっており、後側領域722を移動する遊技球Bを遊技者が確認することができるようになっている。
このように、役物91の下部において、役物91の前方下部の前側領域721、より具体的には、役物91の前面と透明板50の後面との間にて形成され、遊技球Bが流通可能となった前側領域721、及び、役物役物91の内部に設けられた後側領域722の夫々を移動する遊技球Bは、相互に交差可能に移動するため、本例のパチンコ機1では、この前側領域721と後側領域722とを有する構成でもって、遊技球が交差可能な領域である第二交差可能領域720が構成されている。
なお、本例では、第二交差可能領域720の後側領域722を移動する遊技球B、すなわち第四転動演出装置102を移動する遊技球Bは、第二転動演出装置100から第三転動演出装置101へと横方向に単に移動するだけであり、移動先が変化せず、第一転動演出装置95、第二転動演出装置100及び第三転動演出装置101での挙動に比して単調である。よって、この遊技球Bの挙動は、遊技者にさほど注目されない。このため、後側領域722の前方において、前側領域721を多数(後側領域722を移動する遊技球Bに比して多数)の遊技球Bが上下方向に移動し、この上下方向に移動する遊技球Bによって、後側領域722の遊技球Bの挙動が確認し難くなったとしても、大きな支障とならず、前側領域721にて上下方向に移動する遊技球Bが目障りとはならない。
このように構成されたパチンコ機1は、遊技領域37の一部である役物91の上部の第一交差可能領域710及び役物91の下部の第二交差可能領域720の夫々の領域において、正面視にて、相互に干渉しない状態で互いに交差するといった今までにはない遊技球Bの挙動を実現させることができるので、遊技球Bの挙動に工夫を凝らして遊技の面白みを向上させることができる。
ところで、役物91を横方向に大型化すると、役物91の中央部分に打ち込まれた遊技球Bのうち、役物用入賞口92から役物91内に進入しなかった遊技球Bの流通経路を役物91外に形成することが困難となるため、従来のパチンコ機1では、役物91を大型化し難い。また、始動入賞口96への遊技球Bの進入に応じて開動作する役物用入賞口92が設けられた役物91を備えたパチンコ機1では、役物用入賞口92付近に集まるように遊技球Bが打ち込まれるのが通常である。よって、遊技中においては、役物用入賞口92の下方に、役物91内への進入を果たせなかった多量の遊技球Bが集まるため、この多量の遊技球Bの流通経路を十分に確保しなければならなず、遊技球Bの流通経路を役物91外に形成することが、より一層困難となる。ここで、この流通経路を役物91内に単に設けることも考えられるが、単に設けただけでは、この流通経路を移動する遊技球Bが、役物91内への進入を果たして移動先変化領域にて多様な挙動を示す遊技球Bに影響を与える虞があり、遊技者が不快感を感じる可能性がある。
これに対して、本例のパチンコ機1では、役物用入賞口92の下方に集まる多量の遊技球Bを、第一交差可能領域710にて、第一転動演出装置95にて移動する遊技球Bに影響を与えることなく交差させて役物91内を通過させるため、役物91を横方向に大型化しても、大きな問題を生じない。よって、役物91を横方向に積極的に大型化することができ、これにより、役物91内において遊技球Bを多様に挙動させて面白みを深めることができる。また、第一転動演出装置95での遊技球Bの挙動は、遊技者に是非とも注目させたい挙動であるが、本例では、第一転動演出装置95側の領域を前側領域711とし、ワープ通路510の誘導路512側の領域を後側領域712としているため、前側領域711にて移動する遊技球Bの挙動が確認し難くなることがなく、好適である。
また、遊技球Bが遊技領域37にて、極力、隠蔽されず、視認できるようにするのが好ましい。何故ならば、遊技領域37内の一部にて遊技球Bが隠蔽されて視認できなくなると、パチンコ機1の内部にて遊技球Bに対して何らかの処理がなされているのではないか、といった疑義を遊技者が抱く可能性があるからである。これに対して、本例のパチンコ機1では、第一交差可能領域710における前側領域711及び後側領域712の夫々を移動する遊技球Bが視認可能であり、また、第二交差可能領域720における前側領域721及び後側領域722の夫々を移動する遊技球Bについても、視認可能である。よって、遊技者に無用な疑義が抱かれることがない。
更に、第二交差可能領域720においては、前側領域720を移動する遊技球Bによって、移動先変化領域の一部である後側領域722を移動する遊技球Bを確認し難くなるが、この後側領域722を移動する遊技球Bは、第二転動演出装置100から第三転動演出装置101へと単に移動するものであるため、多少、確認し難くても大きな問題を生じない。一方、遊技者に是非とも注目して欲しい第一転動演出装置95にて移動する遊技球Bの挙動については、この遊技球Bが移動する領域が第一交差可能領域710の前側領域711となっていることから、確実に確認させることができる。
また、役物91の左右両側部に設けられた第二転動演出装置100や第三転動演出装置101等、役物91の側部に設けられ、遊技球Bの移動先を一定とせずに変化させる等、遊技球Bの挙動に様々な変化を与える転動演出装置での遊技球Bの挙動も、遊技者に是非とも注目して欲しいものである。本例のパチンコ機1では、第一転動演出装置95及び第四転動演出装置102を除いた第二転動演出装置100や第三転動演出装置101等の他の転動演出装置部分には交差可能領域が設けられておらず、他の転動演出装置にて移動する遊技球Bの挙動については、何ら問題なく確実に確認することができる。
ところで、役物91には、その上方の遊技領域37に打ち込まれた遊技球Bを、ワープ通路510の受取口511に導く誘導部515を備えている(図31、図52参照)。この誘導部515は、受取口511に向かって下方に傾斜する傾斜面とされており、この誘導部515に遊技球Bが当接すると、その傾斜面によって遊技球Bが受取口511に導かれるようになっている。
この誘導部515により、ワープ通路510の受取口511に受入れられる遊技球Bの流下範囲を、広くすることができる。つまり、誘導部515の備えられたところに流下するように遊技球Bを打ち込むだけで、ワープ通路510を介して役物91下方の遊技領域37に流下させることが可能となり、ワープ通路510を狙った遊技をより容易なものとすることができ、遊技球Bの打ち込み操作を更に簡単なものとすることができる。
なお、ワープ通路510の受取口511は、可動片456が開状態となった時に、その上方が可動片456によって略覆われるような位置に配置されている。これにより、ワープ通路510の受取口511を狙って遊技球Bを流下させる遊技をすることで、可動片456が開くと受取口511を狙った遊技球Bが、可動片456から役物用入賞口92へと入賞する確率を高くすることができ、始動口96を狙う打ち込み操作と、役物用入賞口92を狙う打ち込み操作とを略同じ操作とすることができ、遊技球Bの打ち込み操作が煩雑となって興趣が低下するのを抑制できるものとなっている。
次に、役物におけるその他の部位として、役物91を遊技盤5に取付けるための取付構造体について図52及び図53を基に説明する。図52は、役物の分解斜視図である。図53(A)は役物を遊技盤に取付けた状態を示す概略側面断面図であり、(B)は取付構造体の拡大断面図である。図53に示すように、役物91には、上述の役物用入賞口92、第一転動演出装置95、第二転動演出装置100、第三転動演出装置101、第四転動演出装置102、整流手段500、ワープ通路510、及び演出表示装置115等を遊技盤5に取付けるための取付構造体590を備えている。
この取付構造体590は、第一転動演出装置95における回転駆動手段493、第二転動演出装置100における押打部駆動手段532、第三転動演出装置101における移動手段551、及び演出表示装置115等を固定する役物ベース591と、役物ベース591の前面を覆うと共に、その前面にガイド部材491、キャラクタ体504、キャラクタ体533、等が配置され、役物91内部での遊技球Bの通路を形成するための通路形成板592と、通路形成板592の前面に配置され、通路形成板592と協働して遊技球Bが流通可能な流通空間を形成し、役物91を遊技盤5に取付けるための台板593とを備えている。
役物ベース591は、その裏面に回転駆動手段493、押打部駆動手段532、移動手段551等を固定するためのボス部や取付溝等が複数設けられている。また、通路形成板592は、透明な樹脂素材により形成されており、その前面には、第一整流手段500aの受部502、第二整流手段500bの壁部566、回転体552の突出部560を覆う被覆部565、等が形成されている。この通路形成板592は、第三転動演出装置101の部位では、仕切り板564とされている。
台板593は、役物ベース591及び通路形成板592を介して第一転動演出装置95、第二転動演出装置100、第三転動演出装置102、及び演出表示装置115を支持可能な支持部594と、支持部594を遊技盤5に形成された開口部598に挿通させた状態で遊技盤5に取付け、遊技盤5の前面と当接する枠状の枠状取付部595と、枠状取付部595により形成される開口を閉鎖するように形成され、枠状取付部595の表面と略同一表面とされた前面被覆部596と、枠状取付部595及び前面被覆部596の前面側の表面に一体化された補強フィルム597とを備えている(図53参照)。
この台板593は、図53(A)に示すように、枠状取付部595及び前面被覆部596が一枚の板状部材とされており、その板状部材に対して略直角に支持部594が後方に延在するように配置されており、枠状取付部595及び前面被覆部596と支持部594とで断面が略T字状に形成され、構造上強度剛性が高くなるような構成となっている。そして、この支持部594は、遊技盤5の開口部598に略沿うような連続した壁状に形成されており、台板593全体の強度剛性が更に増加するようになっている。なお、図中下側に位置する支持部594の一部が、第四転動演出装置102の案内面571とされている。
この台板593は、透明な樹脂素材(例えば、ポリカーボネイト、ポリプロピレン等)により形成されており、台板593よりも後方に配置されたものが前方から視認可能とされている。台板593の補強フィルム597には、その裏面の一部に装飾層599が備えられている(図53(B)参照)。つまり、台板593の内部に装飾層599が埋設された状態となっている。
ここで、台板593の成形方法について説明する。まず、透明な樹脂フィルム(例えば、ポリカーボネイト等)の裏面に、スクリーン印刷等公知の印刷方法を用いて、所定の加飾層599を印刷する。このとき、装飾面が樹脂フィルム側となるように印刷する。その後、加飾層599を有した樹脂フィルムを所定の成形型を用いて、所定の形状に加圧成形し、補強フィルム597を得る。補強フィルム597を成形する際に、同時に所定のトリミングやパンチングを行っても良いし、所定形状に形成した後にトリミング等を行っても良い。次に、台板593を成形するための成形型(射出成形型)に、補強フィルム597をセットした上で、所定の溶融樹脂(例えば、ポリカーボネイト等)をキャビティに射出し、台板593を成形すると同時に補強フィルム597を一体化させる。つまり、インサート成形により補強フィルム597が一体化された台板593を成形する。
このようにして成形された台板593は、補強フィルム597と一体化された枠状取付部595及び前面被腹部596の板厚が、通常の射出成形により良好な状態で得られる板厚よりも、補強フィルム597の分だけ厚い板厚とすることができ、より強度剛性の優れたものとなっている。なお、台板593をインサート成形する前に、補強フィルム597の裏面に接着剤層を設けても良い。或いは、射出成形時に装飾層599が融解して流動するのを防止するために、装飾層599の裏に更に保護層を備えても良い。
本例の取付構造体590は、図示するように、台板593の支持部594の後方を閉鎖するように通路形成板592が取付けられている。つまり、通路形成板592、支持部594、及び前面被覆部596によって、取付構造体590を箱状に形成しており、更に強度剛性が高くなるような構成となっている。なお、上記の例では、台板593の表面に装飾層599を有した補強フィルム597を一体化したものを示したが、その他の部材に補強フィルム597により補強したり、所定の装飾を施すようにしても良い。
このように、本例の取付構造体590は、前面被覆部596と補強フィルム597とにより補強されているので、充分な強度剛性を得ることができ、より大型の演出表示装置115や複数の第一〜第四転動演出装置95,100,101,102を良好に支持することが可能となり、より興趣の高められる役物91、更には、パチンコ機1とすることができる。また、補強フィルム597と一体となった台板593の内部に装飾層599を備えているので、取付構造体590に遊技球Bが接触しても、遊技球Bが直接装飾層599と接触するのを防止することができ、遊技球Bとの接触により装飾層599が剥げ落ちるのを防止して長期に亘って装飾を良好な状態に維持することができる。更に、補強フィルム597に装飾層599を設けることで取付構造体590を容易に装飾することができ、従来のように色彩等が異なる毎に別部品として組み立てる必要がなく、取付構造体590を簡単な構成のものとすることができると共に、装飾層599を印刷により備えるようにしているので、種々の装飾を容易に施すことが可能となり、より装飾性の優れた取付構造体590つまり役物91とすることができる。また、取付構造体590が補強フィルム597により補強されているので、支持する演出表示装置115や転動演出装置等がぐらついたりすることがなく、それらが見辛くなったり、遊技球の動きが意図しない動きとなったりするのを防止することが可能となり、興趣が低下するのを防止することができる。
なお、図中符号600は、台板593の前面に取付けられる役物91の前面装飾部である。
次に本実施形態における演出表示装置115に表示される演出表示の制御処理について、図54〜図66に基づき説明する。図54は演出表示制御における主基板の機能的な構成を示すブロック図である。図55は演出表示制御における周辺基板の機能的な構成を示すブロック図である。図56は演出表示制御手段(表示制御手段、識別情報表示制御手段)による演出表示処理を示すフローチャートである。図57は具体的な演出例を示す図である。図58は第二演出態様表示処理を示すフローチャートである。図59は具体的な演出例を示す図である。図60は第三演出態様表示処理を示すフローチャートである。図61は特別第三演出態様におけるハズレ演出態様の表示を示すフローチャートの一部を示す説明図である。図62は具体的な演出例を示す図である。図63は第三演出態様表示処理における特定演出態様及び特別特定演出態様の表示処理を示すフローチャートである。図64は第二転動演出装置の動作と特定演出態様の表示とを拡大して示す正面図である。図65は特定演出態様の具体的な演出例を示す図である。図66は第二転動演出装置の可動演出と特別特定演出態様の表示とを示す正面図である。
本例のパチンコ機1では、役物91の略中央に演出表示装置115が配置されており、この演出表示装置115に、キャラクタや背景等を表示させると共に、遊技状態に応じて、それらキャラクタ等の表示態様を変化させることで、遊技者に所定の演出表示を楽しめるようにしたり、遊技状態を認識できるようにしたりするものである。
キャラクタや背景等の演出表示制御における機能的な構成、すなわち、演出プログラムとして実現される機能的な構成と、それらの構成を用いた具体的な演出表示の例を説明する。図54に示すように、主基板310には、遊技球Bが始動入賞口96に入賞して始動口センサ318により検出されると乱数発生手段611により所定の大当り判定乱数を発生させ、その乱数に基づいて主制御基板131のROM315に記憶された大当り判定テーブルから対応する抽選結果を抽出することで所定の抽選結果を抽選する抽選手段620と、抽選手段620により抽選された抽選結果の表示を遊技状態に応じて実行又は留保する留保手段621と、留保手段621による抽選結果の表示の実行開始から特別図柄による抽選結果の表示までの時間を、実行される抽選結果が「第一普通当り」又は「第二普通当り」の時は第一実行時間に、実行される抽選結果が「ハズレ」又は「特別当り」の時は第二実行時間を選択する実行時間選択手段622と、留保手段621によって抽選結果の表示の実行が開始されると、特別図柄表示器121に複数の特別図柄を変動表示させると共に、実行する抽選結果に応じて実行時間選択手段622により選択された実行時間が経過すると抽選結果を示唆する特別図柄で停止表示させる特別図柄表示制御手段623と、留保手段621によって実行される抽選結果が「特別当り」又は第三転動演出装置101の大当り受入口93に遊技球Bが入球して大当り受入センサに検出されると、大当りとして遊技者に有利な有利遊技状態(図30に示す大当り遊技中処理)を発生させる有利遊技状態発生手段612と、有利遊技状態発生手段612又は留保手段621によって実行される抽選結果が「第一普通当り」、「第二普通当り」の何れかであるとソレノイド311により可動片456を駆動することで役物用入賞口92の開閉を制御する開閉制御手段614と、留保手段621により実行を留保される抽選結果としての大当り判定乱数等を主基板310のRAM316に記憶する記憶手段624と、記憶手段624に記憶された抽選結果の数(留保球数)を留保数として留保表示器122に表示させる留保数表示手段625と、乱数発生手段611によって発生した乱数、すなわち抽選結果を制御コマンドとして周辺基板311(具体的にはサブ統合基板336)へ送信するコマンド送信手段613とが備えられている。なお、有利遊技状態発生手段612は、役物用入賞口92に入賞した遊技球をカウントするためのカウントセンサ319からの検出信号に応じて、有利遊技状態の発生を制御している。
この主基板310における留保手段621は、遊技状態として、開閉制御手段614による可動変456の開閉制御状態、特別図柄表示制御手段623による特別図柄の表示状態、等に応じて、抽選結果を留保したり、抽選された直後の抽選結果或いは記憶手段624に記憶(留保)された抽選結果を抽出して実行したりするものである。なお、詳細な処理内容については、上述の遊技処理に示した通りである(図23〜図30参照)。
また、主基板310には、第一転動演出手段95におけるガイド部材491の回動状況を検出する回動検出センサ494からの検出結果により、ガイド部材491を回動駆動させるモータ332を制御してガイド部材491上で遊技球が揺動するように制御する転動演出制御手段615とを更に備えている。なお、始動口センサ318、回動検出センサ494、カウントセンサ319、及び回転位置検出センサ321からの検出信号は、コマンド送信手段613を介して周辺基板311へ送信されるようになっている。
一方、周辺基板311には、図55に示すように、主基板310から送信される制御コマンドを受信するコマンド受信手段631と、コマンド受信手段631によって受信された制御コマンドに基づいて、演出表示装置115に所定の演出表示を表示させる演出表示制御手段632と、コマンド受信手段631により受信された制御コマンドのうち始動口センサ318、カウントセンサ319、回動検出センサ494、及び回転位置検出センサ321に関する制御コマンドによってガイド部材491の第三転動演出装置101の方向に放出される遊技球の放出度合を判定して演出表示制御手段632に判定された放出度合を出力する放出度合判定手段633とを備えている。なお、演出表示制御手段632には、遊技球センサ361からの検出信号が送られるようになっている。
演出表示制御手段632は、キャラクタを動的に表示させるキャラクタ制御手段634と、背景を動的に表示させる背景制御手段635と、図柄を動的に表示させる図柄制御手段636とを備え、主基板310からの制御コマンドに応じて、キャラクタ制御手段634、背景制御手段635、及び図柄制御手段636によって、記憶手段(例えば、サブ統合基板336や電飾制御基板338のROM351やROM371)に予め記憶されているキャラクタや背景等の静止画や動画等の画像から所定の画像を呼出して、所定の演出態様を演出表示装置115に表示させるものである。つまり、遊技状態に応じた所定の演出態様を表示するようになっている。
演出表示制御手段632は、遊技状態に応じて演出表示装置115に表示させる演出表示の演出態様を変更する演出態様変更手段637を更に備えている。この演出態様変更手段637には、演出態様を変更させるものとして、キャラクタや背景等の移動速度を変更させる速度変更手段638、放出度合判定手段633により判定された放出度合に基づいてキャラクタや背景等を所定の演出表示する放出度合表示制御手段639とを有している。この放出度合表示制御手段639は、例えば、放出度合に応じて、キャラクタの色、表情、ポーズ等を変更することで遊技者に放出度合が認識できるようにするものである。
また、演出表示制御手段632は、大当り処理を実行する前に、主基板310からの制御コマンドのうち抽選結果となる乱数を基に演出表示装置115に大当りのラウンド数を有利度合いの度合示唆図柄として変動表示させた上で抽選結果のラウンド数を示唆する度合示唆図柄で停止表示させる度合示唆図柄制御手段640を備えている。この度合示唆図柄制御手段640により表示されるラウンド数を示唆する演出表示は、図示は省略するが周辺基板311のROM351又はROM371に予め記憶されたラウンド抽選テーブルから抽出されるラウンド抽選演出態様を表示するもので、その演出態様には、予め確定されているラウンド数を初めから表示させる演出態様や、例えば、予め確定されているラウンド数が16ラウンドであった場合、当初はラウンド数を8ラウンドとして表示させ、初めは遊技者にラウンド数が8であると認識させておき、ラウンドの進行に伴って途中でラウンド数が変更されるような演出態様(例えば、再抽選演出態様)を行ってあたかもラウンド数が途中で増えたかのような演出態様を表示することもできる。これにより、遊技者に当所表示された有利度合よりも更に有利な有利度合が表示されることで、幸運を得たような感覚にさせることが可能となり、興趣を高めることができるようになっている。
次に、上述の構成による演出表示処理について図56及び図57に基づいて具体的に説明する。本例のパチンコ機1では、演出表示処理として、図56に示すように、先ずステップS1801において、第一演出態様表示処理が行われる。このステップS1801において演出表示装置115に表示される第一演出態様は、図57(a)に示すように、画面の略中央に所定のキャラクタC1が表示されると共に、キャラクタC1の後に背景H(塀や道)が表示され、このキャラクタC1は、その向きを所定方向(ここでは、第二転動演出装置100のある図中左方向)に向けられると共に、歩いているように手足を動かす表示がなされる。一方、背景Hは、キャラクタC1の手足の動きに合った速度(第一速度)でキャラクタC1の向く方向とは逆方向(例えば図中右方向)へ移動表示され、これにより、キャラクタC1があたかもその進行方向(左方向)へ向かって歩いているような演出態様となっている。
また、ステップS1801における第一演出態様表示処理では、単にキャラクタC1が歩いている演出表示だけでは遊技者に飽きられ易くなるため、周辺基板311に備えられた図示しない乱数発生手段により取得された乱数に応じて、画面上に、犬C2、蛙C3、鳥C4、小物(缶)C5、等が適宜表示されるようになっており、演出表示を飽き難くして、面白味のあるものとしている。
演出表示装置115に第一演出態様が表示されると、続くステップS1802において、始動口センサ318において、遊技球が検出されたか否かを判断し、遊技球が検出されるまで、ループするようになっている。つまり、遊技球が始動入賞口96に入球されるまで、演出表示装置115には、第一演出態様が表示され続けるようになっている。
そして、ステップS1802では、始動口センサ318において遊技球が検出されると、ステップS1803へと進み、第一演出態様表示処理に代えて、第二演出態様表示処理が行われる。この第二演出態様表示処理は、演出表示制御手段632における演出態様変更手段637によって第二演出態様に変更されるもので、具体的には、図57(b)に示すように、キャラクタC1の向きはそのままで、キャラクタC1が走っているような表示がなされると共に、背景Hが速度変更手段638により第一速度よりも速い第二速度で図中右側へ移動表示される。これにより、キャラクタC1があたかも走っているような演出表示がなされる。
なお、第二演出態様では、図示は省略するが、遊技球が入球した始動入賞口96の位置や、抽選結果の種類によって異なる背景等が表示されるようにしても良い。また、図示は省略するが、この第二演出態様においても、第一演出態様と同様に、キャラクタC1以外のキャラクタ等を、取得した乱数等により適宜表示するようにしても良い。
ステップS1803において、第二演出態様が表示されると、続くステップS1804において、カウントセンサ319によって遊技球が検出されたか否かを判断し、遊技球が検出されなければ、続くステップS1805において、始動口センサ318により遊技球が検出されてから所定時間経過したか否かを判断し、所定時間経過していなければ、ステップS1804に戻って再び、カウントセンサ319による遊技球の検出を判断する。つまり、所定時間が経過するまでカウントセンサ319、すなわち役物用入賞口92に遊技球が入球したか否かが判断されると共に、第二演出態様が表示され続ける。なお、ステップS1805における所定時間は、主基板310において抽選結果に応じて実行時間選択手段622によって選択される実行時間とされている。
そして、所定時間が経過してもカウントセンサ319による遊技球の検出がなれければ、ステップS1805からステップS1806へと進み、演出態様変更手段637によって第二演出態様から第一演出態様に変更され、当初の表示状態に戻される。
一方、ステップS1804において、所定時間内にカウントセンサ319により遊技球が検出されると、ステップS1807へと進み、第二演出態様表示処理に代えて、第三演出態様表示処理が行われる。この第三演出態様表示処理は、具体的な表示内容としては、まず、図57(c)に示すように、カウントセンサ319により遊技球が検出されると、キャラクタC1の頭上にタライC6が落下してキャラクタC1に当たると共に、第二演出態様において移動表示されている背景Hが停止表示される。その後、図57(d)に示すように、キャラクタC1が上を見上げながら顔を左右に振る演出表示がなされる。
この第三演出態様は、詳述すると、演出表示装置115がガイド部材491の左右方向略中央の直下に配置されており、役物用入賞口92に入球し球入口457を通ってその下方の受渡口458からガイド部材491上へと受け渡される遊技球の動きと連動するように、タライC6がキャラクタC1の頭上に落下するような演出表示がなされるので、この演出表示により、遊技者に遊技球がタライC6に変化してキャラクタC1に当たったように錯覚させることができ、面白味のある演出表示となっている。更に、その後、キャラクタC1が上を見ながらキョロキョロし、演出表示のストーリーとしてはタライC6が何処から落ちてきたのかを不思議がるものであるが、ガイド部材491上を左右方向に揺動する遊技球と、キャラクタC1のキョロキョロ表示とが重なって、あたかもキャラクタC1が揺動する遊技球を見ているような演出表示となって、遊技者を楽しませるような演出表示となるようになっている。
そして、ステップS1807において、第三演出態様が表示されると、続くステップS1808において、大当り受入センサ330によって遊技球が検出されたか否かを判断し、遊技球が検出されなければ、続くステップS1809において、始動口センサ318或いはカウントセンサ319により遊技球が検出されてから所定時間経過したか否かを判断し、所定時間経過していなければ、ステップS1808に戻って再び、大当り受入センサ330による遊技球の検出を判断する。つまり、所定時間が経過するまで大当り受入センサ330、すなわち大当り受入口93に遊技球が入球したか否かが判断されると共に、第三演出態様が表示され続ける。なお、このステップS1809における所定時間は、上述のステップS1805と同様の時間としても良いし、カウントセンサ319による遊技球の検出からの時間としても良い。
そして、所定時間が経過しても大当り受入センサ330による遊技球の検出がなれければ、ステップS1809からステップS1806へと進み、演出態様変更手段637によって第三演出態様から第一演出態様に変更され、当初の表示状態に戻される。
一方、ステップS1808において、所定時間内に大当り受入センサ330により遊技球が検出されると、ステップS1810において、第三演出態様表示処理に代えて、大当り演出態様表示処理が行われる。この大当り演出態様表示処理は、詳細は省略するが、例えば、図62(b)に示すような、大当りであることを示唆する表示をした後に、乱数発生手段611により発生された乱数(抽選結果)に応じた、有利遊技状態におけるラウンド演出表示や、カウントセンサ319によるカウント演出表示等の所定の演出表示がなされ、有利遊技状態が終了すると、ステップS1806へと進み、演出態様変更手段637によって第一演出態様に変更され、当初の表示状態に戻される。
ところで、本例のパチンコ機1では、始動口センサ318、カウントセンサ319、回動検出センサ494、及び回転位置検出センサ321からの検出信号に基づいて、放出度合判定手段633によって、ガイド部材491上の遊技球が第三転動演出装置101の方向へ放出される放出度合が判定され、演出表示制御手段632において、その放出度合に応じて(放出度合が高い(例えば、75〜100%))、第二演出態様及び第三演出態様を、夫々特別演出態様として特別第二演出態様及び特別第三演出態様に変更して、演出表示による面白味を付加して興趣を高められるようになっている。
次に、第二演出態様表示処理について、図58及び図59に基づいて詳細に説明する。図56に示すフローチャートのステップS1803において、第二演出態様表示処理が実行されると、まず、ステップS1901において、ガイド部材491の回動状況(動作状況)を取得する。具体的には、ガイド部材491は、図40に示すように、所定周期でモータ332により回動させられており、モータ332の回転位置検出センサ321と回動検出センサ494による検出とによって、始動口センサ318に遊技球が検出された時点の、ガイド部材491の回動角度や回動方向、及び回動位置等が取得される。
ステップS1901において、ガイド部材491の回動状況が取得されると、続くステップS1902において、その取得した回動状況を基に、ガイド部材491から遊技球が第三転動演出装置101の方向へ放出される確率を取得する。具体的には、ガイド部材491の回動角度や方向を所定の演算式に代入することで計算により放出度合を取得する。或いは、ガイド部材491の回動角度や方向と放出度合との関係をテーブルとして予め記憶手段(ROM351又はROM371)に記憶させておき、取得した回動状況に基づいて記憶手段から抽出することで放出度合を取得する。
そして、続くステップS1903では、ステップS1902で取得した放出度合が所定以上(例えば、75%以上)であるか否かを判断し、放出度合が所定未満であれば、ステップS1904へ進み、図57(b)に示すような第二演出態様を表示させる。一方、ステップS1903において、放出度合が所定以上であると判断された場合、ステップS1905へと進み、特別第二演出態様を表示させる。
この特別第二演出態様は、図59(a)に示すように、演出態様変更手段637によって、第一演出態様に対して、キャラクタC1を第三転動演出装置101の方向(大当り受入口93の配置された方向)に向けられると共に、速度変更手段638により背景を、上述の第二演出態様における第二速度よりも速い第三速度でキャラクタC1の向く方向とは反対方向に移動表示させるものである。これにより、キャラクタC1が大当り受入口93のある方向に向かって急いで走っているような演出表示をさせることができ、この演出表示により、遊技者に遊技球が大当り受入口93側へ放出されることを示唆することができるものである。
また、特別第二演出態様では、放出度合表示制御手段639により、図59(b)に示すように、放出度合の値に応じて、キャラクタC1の顔を変化(例えば驚いたような表情に変化)させると共に、その色も変更(例えば肌色から赤色に変更)し、キャラクタC1が、より大急ぎで大当り受入口93側へ走るような演出表示をさせることで、遊技者にその方向に放出される可能性(確率)が高いことを示唆するようになっている。
次に、第三演出態様表示処理について、図60〜図62に基づいて詳細に説明する。図56に示すフローチャートのステップS1807において、第三演出態様表示処理が実行されると、まず、ステップS2001において、第二演出態様表示処理において、特別第二演出態様が表示されたか否かが判断され、特別第二演出態様が表示されていない場合は、ステップS2002へと進み、図57(c)及び(d)に示すような第三演出態様が表示される。
一方、ステップS2001において、特別第二演出態様が表示されたと判断した場合、続くステップS2003において、ガイド部材491の回動状況(動作状況)を取得する。具体的には、ガイド部材491は、図40に示すように、所定周期でモータ332により回動させられており、モータ332の回転位置検出センサ321と回動検出センサ494による検出とによって、始動口センサ318に遊技球が検出された時点の、ガイド部材491の回動角度や回動方向、及び回動位置等が取得される。
ステップS2003において、ガイド部材491の回動状況が取得されると、続くステップS2004において、その取得した回動状況を基に、ガイド部材491から遊技球が第三転動演出装置101の方向へ放出される確率を取得する。具体的には、ガイド部材491の回動角度や方向を所定の演算式に代入することで計算により放出度合を取得する。或いは、ガイド部材491の回動角度や方向と放出度合との関係をテーブルとして予め記憶手段(ROM351又はROM371)に記憶させておき、取得した回動状況に基づいて記憶手段から抽出することで放出度合を取得する。
そして、続くステップS2005では、ステップS2004で取得した放出度合が所定以上(例えば、75%以上)であるか否かを判断し、放出度合が所定未満であれば、ステップS2002へ進み、図57(c)及び(d)に示すような第三演出態様を表示させる。一方、ステップS2005において、放出度合が所定以上であると判断された場合、ステップS2006へと進み、特別第三演出態様を表示させる。
この特別第三演出態様は、図62(a)に示すように、演出態様変更手段637によって、キャラクタC1が拡大表示されると共に、キャラクタC1の前後に炎を示す背景Hが表示されると共に、キャラクタC1の表情が炎に炙られて熱がっているような表情に変更表示される。これにより、キャラクタC1が炎に包まれて大変な状態になっている演出表示がなされ、遊技者に熱い状態であることを認識させることで遊技球が第三転動演出装置101の方向、つまり、大当り受入口93の方向へ放出される可能性が高いことを示唆し、チャンスの到来を認識させて、演出表示と同様に遊技者を熱くさせて興趣を高める効果が期待できるようになっている。
そして、図56のフローチャートに示すようにステップS1808及びステップS1809において、所定時間内に大当り受入口93に遊技球が入球して大当り受入センサ330に検出されると、図62(b)に示すような大当りを示唆する表示がなされた後に、所定の有利遊技状態の発生と共に、所定の大当り演出態様(大当りラウンド演出態様)表示処理が行われる。
ところで、本例では、図56に示すフローチャートにおいて、ステップS1809とステップS1806との間に、図61に示すような、追加フローを備えている。詳述すると、図56におけるステップS1809において所定時間が経過すると、ステップS2101へと進み、特別第三演出態様が表示されたか否かが判断される。そして、ステップS2101で特別第三演出態様が表示されていないと判断されると、ステップS1806へと進み、第一演出態様に変更される。
一方、ステップS2101において、特別第三演出態様が表示されたと判断された場合は、ステップS2102へと進み、図62(c)に示すようなハズレ演出態様を表示する。つまり、特別第三演出態様が表示された後に大当りとならずに、ハズレとなるとハズレ演出態様が表示されるようになっている。このハズレ演出態様は、図示するように、キャラクタC1が真っ黒に黒焦げになった状態で横たわるような表示とされており、先の特別第三演出態様において炎に包まれたキャラクタC1が、ハズレとなったことで、真っ黒に燃え尽きたような演出表示となる。これにより、大当りとなる可能性の高い特別第三演出態様が表示された後に、ハズレとなるとハズレとなったことを積極的に示唆するハズレ演出態様を表示するので、期待感が高揚したところで、一気に減退させることができ、それが逆に面白味となって抑揚に富んだものとする効果が期待できるものとなっている。
なお、上述した種々の演出態様において、キャラクタC1以外に、犬C2や蛙C3等の他のキャラクタを適宜出現させたり、背景Hを適宜異なるものと変更したりしても良い。
ところで、本例では、第二転動演出装置100において遊技球が第三転動演出装置101側へ押打される可能性が高い場合、演出表示装置115に特定演出態様(特別特定演出態様を含む)が表示されるようになっている。この特定演出態様表示処理について、図63乃至図66に基づいて詳細に説明する。図63は、特定演出態様表示処理を示すフローチャートであり、このフローチャートは、図60に示すフローチャートにおけるステップS2002に続くものである。
図63に示すように、第三演出態様表示処理のステップS2002において第三演出態様の表示が開始された後に、ステップS2201において、カウントセンサ319により遊技球が検出されてからK1時間経過したか否かが判断され、K1時間が経過するまでステップS2201をループするようになっている。そして、K1時間が経過すると、続くステップS2202へと進み、このステップS2202では、遊技球センサ361により遊技球が検出されたか否かが判断され、検出されなければ、続くステップS2203において、カウントセンサ319により遊技球が検出されてからK2時間経過したか否かが判断され、K2時間が経過していなければ、ステップS2202へ戻り、遊技球センサ361による検出の有無を判断するようになっている。
このステップS2202〜ステップS2203は、カウントセンサ319が遊技球を検出した後、K1時間経過してからK2時間経過するまでの間に、遊技球センサ361により遊技球が検出されたか否かが判断される。つまり、カウントセンサ319による検出に基づいて第二転動演出装置100の押打部531が駆動されて、遊技球が押打可能となるタイミングがK1〜K2時間の範囲内とされ、その時間内に整流手段500aを遊技球が通過するか否かを判断するようになっている。なお、K1とK2との関係は、K1<K2を満たす関係とされており、例えば、0.5≦K1<K2≦2.5を満たす関係とされている。
そして、ステップS2203においてK2時間経過すると、特定演出態様等には変更されず、第三演出態様を表示した状態で特定演出態様表示処理が終了する。一方、ステップS2202において、遊技球センサ361により遊技球が検出されると、ステップS2204へと進み、第三転動演出装置101における回転体552の回転状況が所定の回転状況であるか否かが判断される。具体的には、回転体552の回転軸553に設けられた回転検出部554を回転位置検出センサ321(回転位置検出手段)により検出することで回転体552の回転位置を検出すると共に、検出された回転位置が、第二転動演出装置100からの遊技球が特定収容部550cに収容される可能性の高い位置であると、所定の回転状況である判断される。
このステップS2204において、回転体552が所定の回転状況でないと判断された場合、ステップS2205へと進み、特定演出態様を表示する。この時、役物91では、図64に示すように、特定演出態様の表示と共に、第二転動演出装置100における押打部531が押打部駆動手段532により図中反時計回りの方向へ回動(移動)された状態となり、整流手段500aからの遊技球Bを、第三転動演出装置101つまり第四転動演出装置102の方向へ押打するようになっている。
この特定演出態様は、図64に示すように、第二転動演出装置100としてのキャラクタ体533と同じキャラクタC7が略同じポーズで、遊技球Bが押打される方向(図中右方向)とは反対側の演出表示装置115における表示領域の外側から、表示領域の略中央に向かって、その後方に残像を表示しながら移動表示され、一端、略中央で停止した後に(図65(a)参照)、その後方(図中左側)から遊技球Bを模した図柄TBに押されるように図柄TBと共にキャラクタC7が、遊技球Bが押打される方向の表示領域外へと移動表示され、遊技球Bが第二転動演出装置100により押打される可能性が極めて高いことを示唆する演出表示となっている。
一方、ステップS2204において、回転体552が所定の回転状況であると判断された場合、つまり、第二転動演出装置100において遊技球Bが押打されると、第三転動演出装置101における回転体552の特定収容部550cに、遊技球Bが収容される可能性が高いと判断されるとステップS2206へ進み、図64及び図65に示す特定演出態様とは異なる特別特定演出態様を表示すると共に、役物用ソレノイド362が駆動される。これにより、役物91は、図66に示すように、第二転動演出装置100の押打部531と、可動演出手段543とが駆動されることで、キャラクタ体533が所定のポーズをとる可動演出をすると共に、演出表示装置115に、キャラクタ体533と略同じポーズのキャラクタC7が拡大表示される。
特別特定演出態様は、図66に示すように、キャラクタC7の顔を正面に向けると共に、漸次拡大表示させるものであり、これにより、キャラクタC7が遊技者に迫ってくるような表示とされ、遊技者を驚かせると共に、押打された遊技球Bが、第三転動演出装置101における回転体552の特定収容部550cに収容される可能性が高いことを示唆することができ、より興趣を高められる演出表示となっている。
なお、上述の特定演出態様及び特別特定演出態様の表示は、演出表示制御手段632における演出態様変更手段637によって、第三演出態様から変更されるものである。
ところで、上述のカウントセンサ319による遊技球Bの検出からの経過時間の求める方法としては、例えば、カウントセンサ319の検出によりスタートする計測手段を備えることで経過時間を求める方法、パチンコ機1に時計手段を備えておき、カウントセンサ319により検出された時点の時間を記憶し、その記憶した時間を基に経過時間を算出して求める方法、等がある。
なお、上述の特定演出態様表示処理の他に、例えば、カウントセンサ319により遊技球Bが検出された時間を記憶手段に記憶し、遊技球センサ361により遊技球Bが検出されると、その遊技球センサ361により検出された時間と、記憶手段に記憶されたカウントセンサ319による検出時間とで、経過時間を算出し、算出した経過時間が、所定時間範囲内(例えば、K1〜K2時間内)であれば、特定演出態様や特別特定演出態様を表示するようにしても良い。これにより、カウントセンサ319により計測が開始されるような手段を備える必要がないので、構成を簡略化することができる。
また、上述の特定演出態様表示処理の他に、例えば、カウントセンサ319による遊技球Bの検出から所定時間範囲内のみ、遊技球センサ361による検出を行うようにし、その時間内に遊技球Bが検出されると、特定演出態様や特別特定演出態様を表示するようにしても良く、これにより、常時遊技球センサ361による検出処理をし続ける必要が無くなり、制御処理にかかる負荷を低減させることができる。
次に、本実施形態における大当り遊技の終了時点での留保記憶の表示制御(大当り遊技中処理のステップS1751)について、図67〜図69に基づいて詳細に説明する。図67は、大当り遊技の終了時点で記憶されている留保記憶の表示態様を途中変更しないときの表示制御を示すタイムチャートである。図68は、大当り遊技の終了時点で記憶されている留保記憶の表示態様を途中変更するときの表示制御を示すタイムチャートである。図69は、留保記憶の表示の具体例を示す説明図である。
先ず、表示態様を途中変更しないときの表示制御について図67を参照して説明する。図67に示すように、大当り遊技の終了時点で4個の留保記憶がある場合、それぞれの留保記憶に対して、当該留保記憶の抽選結果に基づく可動片456の開放動作によって、役物用入賞口92に入賞した遊技球が回転体552の特定収容部550cに収容される(V入賞する)可能性があるか否かを判定し(受入判定手段)、可能性がないと判定したときは、留保記憶を通常表示態様で表示制御する一方、可能性があると判定したときは、留保記憶を特別表示態様で表示制御する(態様表示制御手段)。
1個目の留保記憶においては、当該留保記憶に基づく特別図柄表示器121での特別図柄の変動表示が所定の変動時間(1.3秒)行われ、変動表示の終了(抽選結果の表示)と同時に(厳密には、変動表示が終了してから微少時間(例えば、0.1秒)が経過した後)可動片456が0.3秒間開放される。そして、0.2秒のインターバル期間を置いた後に2個目の留保記憶に基づく図柄変動が開始されるが、そのインターバル期間の終了時点から特定時間(1.0秒)後のタイミング(同図中で一点鎖線で示すタイミング)が特定収容部550cへの遊技球の収容タイミングと合致するか否かを判定する。即ち、留保記憶に基づく図柄変動の開始時点から2.8秒後のタイミング(以下、これを判定タイミングともいう)が、特定収容部550cでの遊技球の受入れタイミング(収容タイミング)と合致するか否かを判定することで、遊技球が回転体552の特定収容部550cに収容される(V入賞する)可能性があるか否かを判定する。そして、1個目の留保記憶は、当該留保記憶に基づく図柄変動の開始時点から2.8秒後の判定タイミングが特定収容部550cの受入れタイミングと合致しないため、遊技球がV入賞する可能性がないと判定されて通常表示態様(同図中には、「通常留保」と記載)で表示される。
なお、上記した判定タイミングは、留保記憶における抽選結果の表示に基づいて可動片456が開く開放タイミングを検出し(開放タイミング検出手段)、この開放タイミングに、カウントセンサ319によって検出された遊技球が転動演出装置95,100,102により転動させられた後に収容部550のうちいずれかの収容部550a,550b,550cに収容されるまでの転動時間(1.5秒)を加算したタイミングとなる。この転動時間は、V入賞判定用のデータとしてサブ統合基板336のROM351に記憶されている(転動時間記憶手段)。
また、回転体552は、2.0秒の周期で回転を行うものであり、外周部分に均等に8個の収容部を設け、そのうちの1つがV入賞を可能にする特定収容部550cとして設定されている。このため、特定収容部550c内への遊技球の収容を可能とする収容可能期間は、0.25秒(=2.0/8)となり、この0.25秒間に判定タイミングが入るか否かで判定が行われる。また、特定収容部550cの受入れタイミング(特定収容部550cが遊技球の収容可能な位置に切り替えられる切替タイミング)は、前記回転位置検出センサ321による回転体552(特定収容部550c)の回転位置の検出に基づいて判定される(切替タイミング検出手段)。
また、上記したインターバル期間(0.2秒)は、可動片456の開放に伴って遊技球が役物用入賞口92に入賞したか否か(カウントセンサ319による遊技球の検出の有無)を判定するための検出猶予期間である。また、インターバル期間終了後に設定される特定時間(1.0秒)は、役物用入賞口92に入った遊技球が役物91内を転動して特定収容部550cに収容される(V入賞する)までに要する役物内転動時間である。但し、本実施形態では、役物用入賞口92に入った遊技球がガイド部材491から流出されて特定収容部550cに収容されるまでの時間と、押打部531により押打されて特定収容部550cに収容されるまでの時間と、を便宜的に同一時間(1.0秒)として設定している。
また、2個目〜4個目の留保記憶においては、1個目の留保記憶に対する表示態様の制御と同様に、当該留保記憶に基づく図柄変動の開始時点から2.8秒後の判定タイミングが、特定収容部550cでの遊技球の受入れタイミングと合致するか否かを判定することで、遊技球が回転体552の特定収容部550cに収容される(V入賞する)可能性があるか否かを判定する。但し、2個目の留保記憶に基づく図柄変動の開始タイミングは、前述したように1個目の留保記憶における可動片456の開放終了(閉鎖)からインターバル期間(0.2秒)を置いたタイミングとなる。同様にして、3個目の留保記憶に基づく図柄変動の開始タイミングは、2個目の留保記憶における可動片456の開放終了(閉鎖)からインターバル期間(0.2秒)を置いたタイミングとなり、4個目の留保記憶に基づく図柄変動の開始タイミングは、3個目の留保記憶における可動片456の開放終了(閉鎖)からインターバル期間(0.2秒)を置いたタイミングとなる。
そして、2個目及び3個目の留保記憶は、それぞれ当該留保記憶に基づく図柄変動の開始時点から2.8秒後の判定タイミングが特定収容部550cの受入れタイミングと合致しないため、遊技球がV入賞する可能性がないと判定されて通常表示態様(同図中には、「通常留保」と記載)で表示される。これに対して、4個目の留保記憶は、当該留保記憶に基づく図柄変動の開始時点から2.8秒後の判定タイミングが特定収容部550cの受入れタイミングと合致するため、遊技球がV入賞する可能性があると判定されて特別表示態様(同図中には、「特別留保」と記載)で表示される。なお、図67に示す表示制御では、1個目〜3個目の留保記憶に基づく可動片456の各開放期間中に、遊技球が役物用入賞口92に入賞する(カウントセンサ319により遊技球が検出される)ことがないため、2個目〜4個目の留保記憶に基づく図柄変動の開始タイミングは、大当り遊技の終了以降で変更されることがなく、結果として、大当り遊技の終了時点で表示制御された留保記憶の表示態様、即ち、1個目〜3個目の留保記憶における通常表示態様、及び4個目の留保記憶における特別表示態様は、途中変更されることなく継続的に表示制御される。
次に、表示態様を途中変更するときの表示制御について図68を参照して説明する。但し、図68に示す表示制御においても、前記図67に示した表示制御と同様に大当り遊技の終了時点で4個の留保記憶が記憶され、大当り遊技の終了時点における回転体552の回転タイミング、言い換えれば特定収容部550cの受入れタイミングが図67に示したタイミングと同一として説明を行う。
図68に示すように、大当り遊技の終了時点では、前記図67と同様に、1個目〜3個目の留保記憶は、それぞれ当該留保記憶に基づく図柄変動の開始時点から2.8秒後の判定タイミングが特定収容部550cの受入れタイミングと合致しないため、遊技球がV入賞する可能性がないと判定されて通常表示態様(同図中には、「通常留保」と記載)で表示される。これに対して、4個目の留保記憶は、当該留保記憶に基づく図柄変動の開始時点から2.8秒後の判定タイミングが特定収容部550cの受入れタイミングと合致するため、遊技球がV入賞する可能性があると判定されて特別表示態様(同図中には、「特別留保」と記載)で表示される。
その後、1個目の留保記憶に基づく可動片456の開放期間中に、遊技球が役物用入賞口92に入賞すると(同図中に※で示すように、カウントセンサ319により遊技球が検出されると)、当該遊技球は、特定収容部550c以外となる第一収容部550a又は第二収容部550bに収容され、その後、ハズレ受入センサ329で検出される(ハズレ受入センサ329がONする)。そして、このハズレ受入センサ329による遊技球の検出と同時に(厳密には、ハズレ受入センサ329がONしてから微少時間(例えば、0.1秒)が経過した後)、2個目の留保記憶に基づく図柄の変動が開始される。即ち、2個目の留保記憶に基づく図柄変動の開始タイミングは、1個目の留保記憶に基づく図柄変動の開始時点から1.8秒が経過したタイミング(カウントセンサ319による遊技球の検出猶予期間(0.2秒)の終了時点)から、ハズレ受入センサ329がONするタイミングに変更される。なお、同図中では、カウントセンサ319による遊技球の検出猶予期間が終了してから1.6秒後にハズレ受入センサ329がONする構成としている。
また、上記した2個目の留保記憶に基づく図柄変動の開始タイミングの変更に伴い、3個目及び4個目の留保記憶に基づく図柄変動の開始タイミングも変更される。これにより、カウントセンサ319により遊技球が検出された時点(同図中に※で示す時点)で、2個目以降の留保記憶の表示態様は、全て通常表示態様に変更される。具体的に、大当り遊技の終了時点で4個目の留保記憶は、特別表示態様で表示制御されていたが、カウントセンサ319によって遊技球が検出されたことにより、4個目の留保記憶に基づく図柄変動の開始時点から2.8秒後の判定タイミングが特定収容部550cの受入れタイミングと合致しなくなり、表示態様が特別表示態様から通常表示態様に変更される。即ち、留保記憶に基づく可動片456の開放期間中に遊技球が役物用入賞口92に入賞すると、役物用入賞口92への入賞後に行われる留保記憶に基づく図柄変動の開始タイミングは、大当り遊技の終了以降で変更される。このため、大当り遊技の終了時点で表示制御された留保記憶の表示態様は、全て通常表示態様に変更される。
なお、実施形態中では、役物用入賞口92に入賞すると、残りの留保記憶の表示態様を無条件に全て通常表示態様に変更する構成としているが、大当り遊技の終了以降で留保記憶に基づく図柄変動の開始タイミングが変更された場合、変更された開始タイミングによって再度、特定収容部550cの受入れタイミングと合致するか否か、言い換えれば、遊技球がV入賞する可能性があるか否かを判定して、その判定に基づいて各留保記憶の表示態様を表示制御するようにしてもよい。
次に、大当り遊技の終了後における演出表示装置115での留保記憶の具体的な表示態様について図69を参照して説明する。演出表示装置115は、前述したように、留保表示器122の表示と同様に抽選結果の留保記憶を表示する。具体的には、図69(A)に示すように、演出表示装置115の表示画面の下側部分に各留保記憶と対応するキャラクタを演出画像に対して付加的に表示する。図69(A)中では、キャラクタC1の演出表示に対して付加的に4つの「おでん」(留保記憶と対応するキャラクタ)を1個目〜4個目の留保記憶115a〜115dとして表示することにより、4個の留保記憶があることを遊技者に認識させるようになっている。また、同図中に示す「おでん」は、留保記憶の通常表示態様となる。なお、以下の説明では、大当り遊技の終了時点で4個の留保記憶があり、1個目〜3個目の留保記憶が通常表示態様となる一方、4個目の留保記憶が特別表示態様となる場合を例示する。
先ず、表示態様を途中変更しないときの表示例について説明すると、大当り遊技の終了時点では、図69(B)に示すように、1個目〜3個目の留保記憶115a〜115cがそれぞれ通常表示態様となる「おでん」で表示され、4個目の留保記憶115dが特別表示態様となる「サボテン」で表示される。これにより、遊技者は、1個目〜3個目の留保記憶に基づく図柄変動によって可動片456が開放しても、遊技球の打ち止め等を行って役物用入賞口92に遊技球を入賞させず、4個目の留保記憶に基づく図柄変動によって可動片456が開放し、その開放に合わせて遊技球を役物用入賞口92に入賞させれば、V入賞する可能性があることを認識できる。
その後、1個目の留保記憶に基づく図柄変動が開始されると、図69(C)に示すように、図69(B)に示す1個目の留保記憶115aの表示が消えると共に、図69(B)に示す2個目〜4個目の留保記憶115b〜115dがそのままスライド表示されて、通常表示態様(「おでん」)となる1個目及び2個目の留保記憶115a,115bと、特別表示態様(「サボテン」)となる3個目の留保記憶115cとが表示される。その後は、同様にして、図69(C)に示す1個目の留保記憶115a(大当り遊技の終了時点で2個目となる「おでん」の留保記憶)に基づく図柄変動が開始されると、図69(D)に示すように、図69(C)に示す1個目の留保記憶115aの表示が消えると共に、図69(C)に示す2個目及び3個目の留保記憶115b,115cがそのままスライド表示されて、通常表示態様(「おでん」)となる1個目の留保記憶115aと、特別表示態様(「サボテン」)となる2個目の留保記憶115cとが表示され、次いで、図69(D)に示す1個目の留保記憶115a(大当り遊技の終了時点で3個目となる「おでん」の留保記憶)に基づく図柄変動が開始されると、図69(E)に示すように、図69(D)に示す1個目の留保記憶115aの表示が消えると共に、図69(D)に示す2個目の留保記憶115bがそのままスライド表示されて、特別表示態様(「サボテン」)となる1個目の留保記憶115aが表示される。
次に、表示態様を途中変更するときの表示例について説明する。但し、大当り遊技の終了時点(図69(B)に示す状態)から図69(B)に示す3個目の留保記憶115cに基づく図柄変動の開始時点(図69(D)に示す状態)までの経過は、前述した表示態様を途中変更しないときと同様とすることで、便宜的に説明を省略する。そして、図69(C)に示す1個目の留保記憶115a(大当り遊技の終了時点で2個目となる「おでん」の留保記憶)に基づく図柄の変動表示によって可動片456が開放し、この開放時に遊技球が役物用入賞口92に入賞すると、カウントセンサ319による当該遊技球の検出時点で、図69(F)(G)に示すように、図69(D)に示す2個目の留保記憶115b(特別表示態様となる「サボテン」の留保記憶)を通常表示態様(「おでん」)に変更する。その後は、図69(G)に示す1個目の留保記憶115a(大当り遊技の終了時点で3個目となる「おでん」の留保記憶)に基づく図柄変動が開始されると、図69(H)に示すように、図69(G)に示す1個目の留保記憶115aの表示が消えると共に、図69(G)に示す2個目の留保記憶115bがそのままスライド表示されて、通常表示態様(「おでん」)となる1個目の留保記憶115aが表示される。
ところで、上記した実施形態では、留保記憶における抽選結果の表示に基づいて可動片456が開くことで役物用入賞口92から進入した遊技球が大当り受入口93に受入れられる(V入賞する)可能性があるか否かを判定し、V入賞する可能性がないと判定した留保記憶に対しては、通常表示態様で表示する一方、V入賞する可能性があると判定した留保記憶に対しては、特別表示態様で表示する構成としているが、留保記憶における抽選結果の表示に基づいて可動片456が開くことで役物用入賞口92から進入した遊技球が大当り受入口93に受入れられる受入度合を判定し、その受入度合に応じて留保記憶の表示態様を異ならせて表示するようにしてもよい。以下、このような受入度合に応じた留保記憶の表示制御について図70を参照して説明する。
先ず、図70(A)に示すように、特定収容 部550cの位置を基準として回転体552外周の収容部を考えた場合、特定収容部550c(同図中には、「V」と記載)、特定収容部550cと隣接する左右の第一収容部550a(同図中には、「1」と記載)、特定収容部550cから1つの収容部(「1」)を隔てた左右の第二収容部550b(同図中には、「2」と記載)、特定収容部550cから2つの収容部(「1」と「2」)を隔てた左右の第一収容部550a(同図中には、「3」と記載)、特定収容部550cから3つの収容部(「1」と「2」と「3」)を隔てた第二収容部550b(同図中には、「4」と記載)、の5種類に分類できる。
最初に、前述した留保記憶に基づく図柄変動の開始時点から2.8秒後のタイミング(判定タイミング)が、回転体552のいずれの収容部(「V」「1」「2」「3」「4」のいずれの収容部)での遊技球の受入れタイミングと合致するかを判定する。具体的に、前記図67に示した4個の留保記憶における受入れタイミングを例にあげて説明すると、図70(B)に示すように、1個目の留保記憶における遊技球の受入れタイミングは、「V」収容部550cから2つの収容部(「1」と「2」)を隔てた「3」収容部550aでの受入れタイミングとなる。2個目の留保記憶における遊技球の受入れタイミングは、「V」収容部550cから1つの収容部(「1」)を隔てた「2」収容部550bでの受入れタイミングとなる。3個目の留保記憶における遊技球の受入れタイミングは、「V」収容部550cと隣接した「1」収容部550aでの受入れタイミングとなる。4個目の留保記憶における遊技球の受入れタイミングは、「V」収容部550cでの受入れタイミングとなる。
そして、上記した受入れタイミングに基づいて受入度合、言い換えれば特定収容部550cに遊技球が収容されて当該遊技球が大当り受入口93に受入れられる期待度(以下、これをV期待度ともいう)が決定される。「V」収容部550cでの受入れタイミングとなる場合は、ほぼ100%のV期待度となる。「V」収容部550cと隣接した「1」収容部550aでの受入れタイミングとなる場合は、50%のV期待度となる。「V」収容部550cから1つの収容部を隔てた「2」収容部550bでの受入れタイミングとなる場合は、30%のV期待度となる。「V」収容部550cから2つの収容部を隔てた「3」収容部550aでの受入れタイミングとなる場合は、10%のV期待度となる。特定収容部550cから3つの収容部を隔てた「4」収容部550bでの受入れタイミングとなる場合は、ほぼ0%のV期待度となる。これにより、前記図70(B)に示した4つの留保記憶に対して、図70(C)に示すように、1個目の留保記憶は、V期待度が10%である旨を遊技者に認識させる緑色の丸形状が表示され、2個目の留保記憶は、V期待度が30%である旨を遊技者に認識させる青色の丸形状が表示され、3個目の留保記憶は、V期待度が50%である旨を遊技者に認識させる赤色の丸形状が表示され、4個目の留保記憶は、V期待度がほぼ100%である旨を遊技者に認識させるレインボー色の丸形状が表示される。なお、図示しないが、特定収容部550cから3つの収容部を隔てた「4」収容部550bでの受入れタイミングとなる場合、即ちV期待度がほぼ0%となる場合の留保記憶は、V期待度がほぼ0%である旨を遊技者に認識させる黒色の丸形状が表示される。
以上のように、留保記憶における抽選結果の表示に基づいて可動片456が開くことで役物用入賞口92から進入した遊技球が大当り受入口93に受入れられる受入度合を判定し(受入度合判定手段)、その受入度合に応じて留保記憶の表示態様を異ならせて表示することで、留保記憶毎で受入度合に応じた表示態様を表示することができ、予告の信頼度を異ならせることができ、ひいては予告演出の多様化を招来して興趣の低下を回避できる。
また、前述した実施形態では、特定収容部550c内への遊技球の収容を可能とする収容可能期間(0.25秒間)に判定タイミングが入るか否かで判定を行い、収容可能期間内に判定タイミングが入らないときは、通常表示態様で留保記憶を表示制御する一方、収容可能期間内に判定タイミングが入るときは、特別表示態様で留保記憶を表示制御する構成としている。即ち、遊技球の収容を可能とする一定の収容可能期間(0.25秒間)を判定範囲として設定しているが、必ずしも、このような判定範囲を常に一定とする構成に限定しない。
例えば、図71に示すように、留保記憶毎に判定範囲を異ならせて設定するようにしてもよい。具体的に、1個目の留保記憶においては、図71(A)に示すように、特定収容部550c内への遊技球の収容を可能とする収容可能期間(0.25秒間)の前後でそれぞれ0.3秒の判定有効期間を設けることで、トータルで0.85秒間を判定範囲に設定し、当該0.85秒間の判定範囲内に判定タイミングが入るときは、特別表示態様で留保記憶を表示制御する。2個目の留保記憶においては、図71(B)に示すように、特定収容部550c内への遊技球の収容を可能とする収容可能期間(0.25秒間)の前後でそれぞれ0.1秒の判定有効期間を設けることで、トータルで0.45秒間を判定範囲に設定し、当該0.45秒間の判定範囲内に判定タイミングが入るときは、特別表示態様で留保記憶を表示制御する。3個目の留保記憶においては、図71(C)に示すように、特定収容部550c内への遊技球の収容を可能とする収容可能期間(0.25秒間)をそのまま判定範囲に設定し、当該0.25秒間の判定範囲内に判定タイミングが入るときは、特別表示態様で留保記憶を表示制御する。4個目の留保記憶においては、図71(D)に示すように、特定収容部550c内への遊技球の収容を可能とする収容可能期間(0.25秒間)内の前後でそれぞれ0.5秒の判定無効期間を設けることで、トータルで0.15秒間を判定範囲に設定し、当該0.15秒間の判定範囲内に判定タイミングが入るときは、特別表示態様で留保記憶を表示制御する。
以上のように、留保される留保記憶の順番毎で遊技球が大当り受入口93に受入れられる可能性があると判定する判定基準(実施形態中では、判定範囲)を異なって設定することで、留保される順番によって特別表示態様で表示制御される割合を異ならせることができ、ひいては予告演出の多様化を招来して興趣の低下を回避できる。
次に、本実施形態における役物と遊技領域との関係について、図72に基いて詳細に説明する。図72は、遊技領域における役物等の配置構成を正面から概略で示す説明図である。図示するように、役物91は、遊技領域37の略中央に配置され、その左右方向の幅W1が、遊技領域37の幅W2に対して、80%〜95%の大きさとされており、役物91が遊技領域37に占める割合が、従来のパチンコ機と比較して、大きいものとなっている。これにより、遊技者の視線に大きく役物91が入り、インパクトのあるパチンコ機1となっていると共に、他のパチンコ機との識別性を高めることができ、遊技者に注目させて遊技させ易くすることのできるものとなっている。
なお、役物91の左右両端と、遊技領域37の外周縁との間の隙間Sの大きさは、夫々遊技球Bの直径に対して1.5〜6倍の大きさとされており、さらには、1.5〜4倍の大きさとすることが望ましい。また、隙間Sは、必ずしも左右が同じ大きさである必要は無く、異なっていても良い。
また、図示するように、遊技領域37における役物91の下方には、始動入賞口96、及び一般入賞口98が配置されている。そして、始動入賞口96は、ワープ通路510の流出口513の直下に配置されている。換言すると、ワープ通路510の流出口513が、始動入賞口96を通る垂直線上に配置されている。これにより、ワープ通路510の流出口513から流出した遊技球Bが、始動入賞口96に入る可能性が高くなるようになっている。また、吐出口513の直下に始動入賞口96が配置されているので、吐出口513から流下する遊技球Bが始動入賞口96に進入する可能性が極めて高いことを遊技者に一見して認識させることが可能となり、遊技球Bを吐出口513から流下するような遊技、つまり、ワープ通路510によって遊技球Bが誘導されるように遊技させることができる。
また、図示するように、始動入賞口96の左右には一般入賞口98が夫々配置されている。これにより、ワープ通路510の吐出口513から流出した遊技球Bが、始動入賞口96、及び一般入賞口98の何れかに入賞する可能性を高くすることができ、何れの入賞口に入賞するかで、遊技者の興趣を高められることが期待できるようになっている。
なお、図示は省略するが、遊技領域37には、障害釘や風車90等の役物を適宜配置しても良く、例えば、ワープ通路510の吐出口513と始動入賞口96との間に、それらを適宜配置することで、吐出口513から流出した遊技球Bが始動入賞口96等に入賞する確率を適宜変更することが可能となり、遊技に難易度を持たせることで、遊技者の興趣を高められる効果が期待できると共に、パチンコ機1を設置するホール側の負担を軽減させることができるようになっている。
また、役物91では、ワープ通路510の受取口511の左右外側に夫々誘導部515が配置され、可動片456が閉状態の時に、誘導部515の左右外側端部を結ぶ範囲内(図中、W3の範囲内)に、遊技球Bが流下すると、ワープ通路510に遊技球Bが導かれるようになっており、その範囲W3は、遊技領域37の幅W2の50%〜70%とされ、役物91の上方に打ち込まれた遊技球Bが、ワープ通路510を介して役物91の下方へ流出し易いようになっている。
なお、本発明の誘導部は、本例における誘導部515のみではなく、可動片456、キャラクタ体455の側面も含むものである。
このように、本実施形態のパチンコ機1によれば、少なくとも役物91内の大当り受入口93に遊技球Bを受入れさせると有利遊技状態が発生するので、まず、役物91内部への入り口となる役物用入賞口92を閉鎖する可動片456を開かせるために、始動入賞口96に遊技球Bを進入させるような遊技球Bの打ち込み操作をさせてる。そして、始動入賞口96に遊技Bが進入すると、所定の抽選が行われて特別図柄表示器121に抽選結果が表示され、抽選結果に応じた可動片456の開閉動作がなされる。その際に、抽選が行われると特別図柄表示器121において特別図柄が変動表示された後に抽選結果を示唆する特別図柄が停止表示されるので、何れの特別図柄で停止表示されるかで遊技者をドキドキ、ワクワクさせることが可能となり興趣を高めることができる。この抽選結果は、「第一普通当り」、「第二普通当り」、「特別当り」の順に抽選され易いようになっており、可動片456が開閉動作する「第一普通当り」と「第二普通当り」の何れかが抽選される確率が高いので、「第一普通当り」又は「第二普通当り」が抽選されることで可動片456が所定の開閉動作をすると共に、「第二普通当り」が抽選されると「第一普通当り」よりも可動片456の開閉時間が長くなっており、「第一普通当り」が抽選されるよりもさらに遊技者の興趣を高められるようになっている。そして、可動片456が所定の開閉動作をすることで、開状態の時に遊技球を役物用入賞口92から役物91内へ進入させて、役物91内の大当り受入口93へ受入れさせるような遊技をすることができる。この上述の遊技は、従来における第二種の遊技と類似した遊技となり、これまでの第二種の遊技機に慣れた遊技者にも違和感無く遊技させることができ、遊技の違和感による興趣の低下を抑制することができる。一方、「特別当り」が抽選されると役物91の可動片456が所定ラウンド開閉動作をする有利遊技状態が発生するので、一気に興趣を高めることができると共に、従来の第一種の遊技と類似した遊技もすることができ、第一種の遊技機に慣れた遊技者でも違和感無く遊技することができ、興趣が低下するのを抑制することができる。ところで、「ハズレ」が抽選されることもあり、「特別当り」又は「ハズレ」が抽選されると、特別図柄表示器121における特別図柄の変動時間が「第一普通当り」や「第二普通当り」よりも長い時間変動表示されるので、特別図柄の変動時間が「第一普通当り」や「第二普通当り」の第一実行時間を超えると、抽選結果が「特別当り」か「ハズレ」の何れかであることを認識させることができ、遊技者をハラハラ、ドキドキさせることができ、「ハズレ」が抽選されると興趣を低下させてしまうこととなるが、「ハズレ」の対称にあるのが「特別当り」なので遊技者によっては惜しかったと言う思いを抱かせることが可能となり、大きく興趣が低下するのを抑制することができると共に、抑揚に富んだものとすることができる。なお、始動入賞口96への遊技球Bの進入により抽選された抽選結果の表示の実行を留保する留保手段621を備えており、特別図柄の変動中や有利遊技状態の発生中等に、遊技球Bが始動入賞口96に進入して所定の抽選結果が抽選されると、その実行を留保すると共に、留保されたことを留保数として留保表示器122に表示させるので、留保されたことを確実に認識させることができ、留保されないことで遊技者が不利となって興趣を低下させてしまうのを防止することができると共に、留保数が多ければ多いほど有利遊技状態が終了した後等の留保が解除されて実行されると、チャンスが多いことを認識させることができ、興趣を高められる効果が期待できる。また、有利遊技状態が終了して留保された抽選結果の表示が実行される際に、例えば抽選結果が「第一普通当り」や「第二普通当り」であって有利遊技状態と連続して可動片456が開閉動作しても、その前に抽選結果が特別図柄表示器121に表示されるので、留保された抽選結果の表示が実行されているのを明確に認識させることができると共に、留保されている抽選結果が「「特別当り」かも知れない」と言う期待感も持たせることが可能となり、単に第二種の遊技機に留保を備えたものと比較して、より興趣の高められるものとすることができる。また、役物91内には、第一〜第四の複数の転動演出装置を備えており、可動片456が開状態となった時に役物用入賞口92から進入した遊技球Bが、役物91内において種々の動きをして遊技者を楽しませて興趣を高められるようになっている。具体的には、役物91の役物用入賞口92を閉鎖する可動片456が開状態となった時に、役物用入賞口92から役物91内に進入してカウントセンサ319によって検出された遊技球Bが、まず第一転動演出装置95のガイド部材491上に送られて左右方向に揺動し、このガイド部材491上での遊技球Bの揺動によって、大当り受入口93のある第三転動演出装置101の側へ遊技球Bが放出されるか否かで、遊技者をドキドキさせることが期待できる。ところで、ガイド部材491をシーソーのように交互に所定の周期で回動動作させると、ガイド部材491上の遊技球Bが、行ったり来たりして揺動しながら、徐々にその端部に近づき、やがて端部から放出される。これは、遊技球をガイド部材の回動中心上を跨がないように揺動させると、ガイド部材491の回動に伴って遊技球Bには常に遠心力が作用すると共に、その遠心力は回動中心から遠ざかるほど強く作用するので、遊技球Bが中心に近づく方向へ移動する距離よりも、中心から遠ざかる方向へ移動する距離のほうが長くなり、そのため揺動する遊技球Bが、徐々に中心から遠い方の端部へ移動するものと思われる。これにより、遊技球Bに、ガイド部材491上を揺動しながら徐々に端部に移動するような動きを与えることができ、これまでにない、遊技球Bの動きを実現することが可能となり、遊技者に対して、いつガイド部材491から遊技球Bが放出されるかを予想させることで、より一層ハラハラ、ドキドキさせて、面白味のあるものとすることができる。そして、揺動の末、下流に第二転動演出装置100が配置された側のガイド部材491の端部から遊技球Bが放出されると、その下流に有利遊技状態が発生しないハズレ受入口94へと遊技球Bが向かうので遊技者の興趣が低下する恐れがあるが、第二転動演出装置100の押打部531が移動して遊技球Bを押打すると、第四転動演出装置102によって第三転動演出装置101へと案内される。この際に、ガイド部材491の端部から放出された遊技球Bが押打部531によって押打されるか否かで遊技者の期待感を高めることができ、更に、遊技球Bが押打部531により押打されることで遊技球Bにインパクトのある動きをさせることができ抑揚に富んだ面白味のあるものとすることができる。そして、押打された遊技球Bが第四転動演出装置102によって第三転動演出装置101へ向かうに従って興趣を高めることができる。その後、第三転動演出装置101では、有利遊技状態が発生する大当り受入口93に対応した特定収容部550cに遊技球Bが収容されるか否かによってハラハラ、ドキドキさせて興趣を高めることができ、その特定収容部550cに収容されて大当り受入口93に導かれることで有利遊技状態が発生すると更に興趣を高めることができる。なお、遊技球Bが第二転動演出装置100の押打部531によって押打されずに下流に配置されたハズレ受入口94に受入れられても、ここに至るまで充分に楽しませることができると共に、次の遊技球Bに期待させることができ、興趣が低下するのを抑制することができる。また、上記のように、役物91内で遊技球Bを左右方向に大きく移動させることで、遊技者を遊技球Bの動きに注目させると共に、遊技球Bの動きによる興趣が低下するのを防止することができる。ところで、有利遊技状態の発生に先立って演出表示装置115には、発生する有利遊技状態の有利度合としてのラウンド数を示唆する度合示唆図柄が変動表示され、停止表示された度合示唆図柄に応じた有利遊技状態が発生するので、遊技者はより多くのラウンド数を示唆する度合示唆図柄が停止表示されることを望み、所望の度合示唆図柄が停止表示されるか否かで、遊技者をハラハラ、ドキドキさせることが可能となり、より興趣を高められるものとすることができる。したがって、上述のように、複数種類の遊技を可能としつつ、遊技に対する遊技者の関心が分散するのを防止して、興趣が低下するのを抑制することのできるパチンコ機1とすることができる。
以上のように、本実施形態の構成によれば、始動入賞口96への遊技球の入賞によって可動片456を開放して役物91内部への遊技球の進入を可能にした構成において、始動入賞口96への遊技球の入賞に基づく抽選結果の表示の実行を留保すると共に、その留保数を表示するようにしているので、役物91内部に遊技球が進入しても、遊技者は、当該遊技球が役物91内部から排出されるまで遊技球の打ち込み操作を停止する必要がなくなる。このため、遊技者に断片的な遊技を強いることなく継続的な遊技球の打ち込みを可能とすることができる。
また、留保記憶における抽選結果の表示に基づいて可動片456が開くことで役物用入賞口92から進入した遊技球が大当り受入口93に受入れられる可能性があるか否かを判定し、遊技球が大当り受入口93に受入れられる可能性がないと判定されたときに、当該留保記憶を通常表示態様で表示する一方、遊技球が大当り受入口93に受入れられる可能性があると判定されたときに、当該留保記憶を通常表示態様とは異なる特別表示態様で表示する。これにより、留保記憶が特別表示態様で表示された場合、当該留保記憶における判定結果の表示に基づく可動片456の開放に伴い役物用入賞口92から進入する遊技球は大当り受入口93に受入れられる可能性があることを事前に遊技者に予告することができる。即ち、留保記憶の判定結果を先読みすることなく、留保記憶の表示態様による予告演出が可能になり、ひいては遊技の興趣が低減することを回避することができる。また、遊技球が大当り受入口93に受入れられる可能性があると判定された場合、淡い期待度となる淡期待表示態様(特別表示態様)で留保記憶を表示することで、遊技者に対して過剰に期待感を持たせることがないので、遊技球が大当り受入口93に受入れられなかったときでも、極度に遊技者を落胆させることが回避できる。
また、転動演出装置95,100,102により転動させられた遊技球を収容可能な収容部が周方向に複数配置された回転体552と、該回転体552を回転駆動する回転体552用モータと、を備え、前記複数の収容部は、収容した遊技球を大当り受入口93に導く特定収容部550cと、収容した遊技球をハズレ受入口94に導く特定収容部550c以外の収容部550a,550b(通常収容部)と、から構成される。これにより、特定収容部550cと通常収容部(550a,550b)とを周方向に配置した回転体552の回転動作によって、大当り受入口93及びハズレ受入口94における遊技球の受入れを所定の周期をもって切り替える構成を具現化することができる。
また、留保記憶における抽選結果の表示に基づいて可動片456が開く開放タイミングを検出すると共に、特定収容部550cが遊技球の収容可能な位置に切り替えられる切替タイミングを検出し、開放タイミングから、カウントセンサ319によって検出された遊技球が転動演出装置95,100,102により転動させられた後に複数の収容部550a,550b,550cのうちいずれかの収容部に収容されるまでの転動時間が経過した時点が切替タイミングと合致するか否かを判定することで、遊技球が大当り受入口93に受入れられる可能性があるか否かを判定する。これにより、抽選結果の表示に基づいて可動片456が開く開放タイミングから転動時間が経過した時点が、特定収容部550cが遊技球の収容可能な位置に切り替えられる切替タイミングと合致するか否かによって遊技球が大当り受入口93に受入れられる可能性があるか否かを判定することができ、留保記憶の判定結果を先読みすることなく、留保記憶の表示態様による予告演出を具現化することができる。
また、回転体552は、回転体552用モータの駆動に基づいて一定の回転速度で回転されると共に、複数の収容部550a,550b,550cは、それぞれ1個の遊技球を収容可能に形成され、特定収容部550cは、それ以外の収容部550a,550bに比べて配置数が少なく設定されている。これにより、役物用入賞口92から進入した遊技球が転動演出装置95,100,102により転動させられた後に大当り受入口93に受入れられる確率、即ち有利遊技状態が発生する確率を、ハズレ受入口94に受入れられる確率、即ち有利遊技状態が発生しない確率に比べて低く設定することができる。このため、役物用入賞口92から進入した遊技球が大当り受入口93に受入れられて有利遊技状態が発生することの遊技価値を高めることができる。
また、有利遊技状態の終了時点で留保手段に留保される留保記憶に対して判定を行い、有利遊技状態の終了時点での留保記憶に対して、当該判定結果に基づいて通常表示態様又は特別表示態様での表示を行う。これにより、有利遊技状態の終了時には、判定結果に基づいて留保記憶が通常表示態様又は特別表示態様のいずれかで表示され、留保記憶が特別表示態様で表示された場合には、当該留保記憶における判定結果の表示に基づく可動片456の開放に伴い役物用入賞口92から進入する遊技球は大当り受入口93に受入れられる可能性があることを事前に遊技者に予告することができる。即ち、留保記憶の表示態様による予告演出を有利遊技状態の終了時の演出として実行することができる。また、遊技者は、有利遊技状態の終了を契機として遊技を終了してしまう傾向が強かった。しかしながら、留保記憶の表示態様による予告演出を有利遊技状態の終了時の演出として実行することで、有利遊技状態の終了以降も遊技を継続的に行わせることができ、ひいては遊技機の稼働率を高めることができる。
また、表示態様が表示制御された留保記憶において、抽選結果の表示に基づく可動片456の開放によって役物用入賞口92から進入した遊技球がカウントセンサ319により検出されると、その検出時点で留保されている留保記憶の表示態様を判定結果に関わらず通常表示態様に表示制御する。これにより、役物91内に遊技球が進入することで、次の留保記憶に基づく抽選結果の表示が開始されるタイミングが変更されるため、特別表示態様で表示制御された留保記憶があった場合でも、役物91内に遊技球が進入した時点で判定結果が無効になってしまうが、これに合わせて留保記憶の表示態様を全て通常表示態様に変更表示するので、これによって留保記憶の表示態様による予告演出が終了した旨を遊技者に認識させることができる。
また、抽選手段の抽選結果に基づいて演出表示装置115にて識別情報の変動表示を行って所定時間経過後に抽選結果に応じた識別情報の表示結果を停止表示する。これにより、抽選結果が表示されるまでの間、識別情報が変動しているので、遊技者に何れの表示結果が停止表示されるのか、つまり、抽選結果が何れであるのかをワクワクさせることができ、興趣を高められる効果を期待することができる。
また、遊技状態として、少なくとも、識別情報が変動表示中、可動片456を開閉制御中、又は有利遊技状態の発生期間中に、遊技球が始動入賞口96へ進入して始動口センサ318に検出され所定の抽選結果が抽選されると、該抽選結果の表示の実行を留保する。これにより、上記の遊技状態において、遊技球が始動入賞口96に進入すると、始動入賞口96への進入による抽選結果の表示の実行を一旦留保し、上記の遊技状態が解消された後に留保した抽選結果の表示を実行させることができ、遊技者に対して不利な状態となるのを防止して、興趣が低下するのを抑制することができる。
また、抽選結果の普通当りは、第一開放時間の間、可動片456を開状態とする第一普通当りと、該第一普通当りの第一開放時間よりも長い第二開放時間の間、可動片456を開状態とする第二普通当りとからなる。ここで、第一開放時間としては、0.3sec〜0.6secの間が望ましく、特に約0.4secが望ましい。また、第二開放時間としては、1.5sec〜2.0secの間が望ましく、特に約1.8secが望ましい。また、「開状態」とは、単に可動片456が開きっぱなしの状態だけでなく、所定の開閉時間間隔でその開放時間の間に開閉を繰り返すものも含まれるものである。これにより、可動片456が開閉動作する普通当りを細分化すると共に、普通当りにおいても遊技者により有利な第二普通当りを設定し、普通当りによる興趣の向上をはかることができる。なお、抽選手段によって第一普通当りが抽選される確率は、第二普通当りが抽選される確率よりも高い確率とすることが望ましく、更に、第二普通当りが抽選される確率は、特別当りが抽選される確率よりも高い確率とすることが望ましい。
また、抽選結果には、可動片456を開閉動作させないハズレを含む。これにより、始動入賞口96に遊技球が進入しても必ず可動片456が開閉動作するとは限らず、抽選結果が当りかハズレかでハラハラ、ドキドキさせて興趣を高めることができる。
また、抽選結果の表示を所定数まで留保可能とされ、留保された順番で抽選手段の表示を実行する。即ち、留保可能な抽選結果の留保数を所定数までとし、留保された順番で順次実行するものである。これにより、抽選結果の留保数に上限を設けることで、実行しきれないほど留保されるのを防止すると共に、留保するための記憶手段の記憶容量を所定の容量のものとすることができ、記憶手段が大型化するのを防止することができる。また、留保された順番で実行することで、留保の実行にかかる制御を容易なものとすることができ、制御にかかる負荷が増加するのを抑制することができる。なお、所定数としては、2〜6の範囲内が望ましく、従来の第一種の遊技機と略同じ留保数とすることで、第一種の遊技感覚と類似した感覚とすることができ、違和感を緩和させて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、抽選結果の表示が特別当りの場合、有利遊技状態発生手段によって有利遊技状態の発生が開始されるまで、開閉制御手段による可動片456の開閉動作が行われない。即ち、有利遊技状態を発生させる特別当りが抽選されると、始動口への進入による可動片456の開閉動作を行わないようにしたものである。これにより、特別当りが抽選されると有利遊技状態が発生するので、可動片456の開閉動作を行わなくても、遊技者は特に不利な状態となったと認識することがなく、可動片456を開閉させることでホール側の負担が増加するのを効果的に抑制することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記の実施形態では、遊技機としてパチンコ遊技機1を示したが、パチンコ機以外の遊技機、例えば、スロットマシーンや、パチンコ機とスロットマシーンとを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。
また、上記の実施形態では、役物91における第三転動演出装置101の回転体552に突出部560を備え、その突出部560に形成された凹部567を介して特定収容部550cを含む第二収容部550bに収容されるものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、突出部560を廃止すると共に、突出部560の外周の一部を覆っていた被覆部565を壁部566と連結して下方に開放された部位を無くした形態とし、ガイド部材491の右側端部から流出した遊技球Bを第二整流手段500bを介して、又は直接被覆部565の内周面で受けて、その内周面上を転動させた後に、第二収容部550bに収容させるようにしても良い。これにより、遊技球Bが被覆部565の内周面上から何れかの第二収容部550bに収容される際に、一旦、被覆部565の内周面上を揺動するように転動した後に、何れかの第二収容部550bに収容されるので、何れの第二収容部550bに収容されるのかでハラハラ、ドキドキさせることができ、興趣を高められるものとすることができる。また、突出部560を備えていないので、回転体552の構成を簡略化することができ、コストを低減させることができる。なお、挿通孔562の大きさは、適宜の大きさとすることができ、例えば、遊技球Bが一つ通過可能な大きさとした場合は、挿通孔562を通過し難くなるので、被覆部565における遊技球Bの転動時間を長くすることができる。一方、挿通孔562を大きくすると、遊技球Bが挿通孔562を通過し易くなり、被覆部565における遊技球Bの転動時間を短くすることができる。