JP2007199096A - 光偏向装置および光偏向装置アレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】LSIメモリ回路の動作電圧並である数Vで板状部材の傾斜方向を制御する。
【解決手段】基板101上に絶縁膜102を介し電極103a〜103dを設ける。電極を兼ねた支点部材106の上には板状部材107aが載っている。各電極a〜dは同じ面積で、かつ板状部材107aの周辺に対向する部分の面積が広い形状、例えば等脚台形の形状である。これにより、各電極の静電力が同じになり、板状部材107aを4つの傾斜方向に変位できる。
【選択図】図1
【解決手段】基板101上に絶縁膜102を介し電極103a〜103dを設ける。電極を兼ねた支点部材106の上には板状部材107aが載っている。各電極a〜dは同じ面積で、かつ板状部材107aの周辺に対向する部分の面積が広い形状、例えば等脚台形の形状である。これにより、各電極の静電力が同じになり、板状部材107aを4つの傾斜方向に変位できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、入射光に対する出射光の方向を変える光偏向装置とその駆動方法に関し、例えば電子写真方式のプリンタや複写機等の画像形成装置、投影プロジェクターやデジタルシアターシステム等の投影型画像映像表示装置に好適な技術に関する。
ねじり梁ヒンジのデジタルマイクロミラーデバイスがL.J.Hornbeckによって提案され(非特許文献1を参照)、また、その技術を発展させたマイクロミラー群を有する空間光変調装置がDMD(Digital Micromirror Device)と呼ばれ画像投影装置に用いられている(非特許文献2を参照)。
これらデバイスは、一般的にミラーがヒンジと呼ばれる捩り梁により支持されている。ヒンジを用いることで、反射領域が減少するが、上記したDMDではヒンジ部分とは別に表面に反射部材を設け二階構造にしている。また、ヒンジを用いるため、実際の駆動する電圧は数十Vになるが、傾斜方向を切り換えるデータとして5Vないし7.5V程度で制御できるように、複数画素に一斉に加える数十Vのバイアス電圧と特別なバネ部材の復元力を組み合わせて傾斜の切り換えを行っている。
また、次のような光偏向装置もある。すなわち、光反射領域を有する部材に与えられる電位に応じた静電引力により変位することにより、該光反射領域に入射する光束が反射方向を変えて偏向される光偏向装置において、基板と、複数の規制部材と、支点部材と、板状部材とを有し、前記複数の規制部材はそれぞれ上部にストッパを有し、前記基板の複数の端部にそれぞれ設けられ、前記支点部材は導電性を有する部材で構成される頂部を有し、前記基板の上面に設けられ、前記板状部材は固定端を持たず、上面に前記光反射領域を有し、少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有し、裏面の少なくとも前記頂部と接する接触点が導電性を有する部材からなり、前記基板と前記支点部材と前記ストッパの間の空間内で可動的に配置され、前記板状部材の電位を前記支点部材との接触により付与し、前記複数の電極に最大電位差が所定値以上になるようにそれぞれ任意の電位を与え、前記頂部に与える電位を、前記複数の電極に与える電位の最大値と最小値のいずれか一方の値と等しくする光偏向装置がある(特許文献1を参照)。
Proc.SPIE Vol.1150,pp.86-102(1989)
Proc.of THE IEEE,vol.86,No.8,pp1687-1704(1998)
特開2004−078136号公報
上記したヒンジを用いた空間光変調器や光偏向装置は剛性による復元力があり、駆動電圧が数十Vと高くなる。一方で、ハイビジョンや高解像度テレビ等で高精細化が求められている。画素数を増加させる場合には、チップサイズが拡大することから、工程が特殊になり、また材料コストが増加する。そこで、画素を構成するミラー寸法を小さくすることが要求される。このため、ミラーを吊るヒンジの剛性がより高まり、駆動電圧を増加させることになる。さらに小型化する場合、ヒンジを細くする微細加工精度の制限により剛性を低くするのは容易でない。また、小型化しない用途でも剛性を弱め駆動電圧を低くしようとするとヒンジが撓み、ミラーの中心位置が維持できない。また、ヒンジを用いるとヒンジが表面に形成され、光を反射する領域の面積が減少する。そこで、反射面をヒンジにつられた駆動電極上に形成し、二重構造にすることで、反射領域を増加させる複雑な構造を採らざるを得ない。このことから、ヒンジを用いる構造では、小型化すると素子構造が複雑で、製造コストが高くなる問題がある。
本発明は上記した問題点に鑑みてなされたもので、
本発明の目的は、板状部材を回転し、傾斜方向を切り換えるには数十Vを必要とするが、LSIメモリ回路の動作電圧並である数Vで板状部材の傾斜方向を制御できる光偏向装置および光偏向装置アレイを提供することにある。
本発明の目的は、板状部材を回転し、傾斜方向を切り換えるには数十Vを必要とするが、LSIメモリ回路の動作電圧並である数Vで板状部材の傾斜方向を制御できる光偏向装置および光偏向装置アレイを提供することにある。
本発明の原理は以下の通りである。反射領域を持つ板状部材が支点部材に対し傾斜している。板状部材に対向して複数の電極群を支点部材に対し二群に分割する。板状部材の傾斜している側の電極群に一般的なLSI半導体記憶装置の出力の例えば低電位を加える。板状部材の導体層にはLSIの高電位を加える。板状部材と間隔が広い側の電極群には板状部材を回転運動するに充分である範囲の高い電位を与える。しかし、板状部材と電極の距離が遠いので、静電力は弱くなる。このため、傾斜した側の電極と板状部材の間の静電力は、電位差が低いが距離が近いので静電力は強く、板状部材と間隔の広い方の電極側へ回転しない範囲の間隔の広い電極に設定できる。そして、板状部材の導体層の電位がLSIの低電位の場合には、板状部材の傾斜側の電極と板状部材の導体層の電位差が0Vになり、静電力が働かなくなる。そのときは板状部材と間隔の広い側の電極間の静電力の方が大きいので、板状部材はその方向に傾斜することができる。このようにして、LSI記憶装置の動作電位のような低い電圧でも板状部材の傾斜を高い電圧で駆動し制御できる。板状部材と電極間の電位差が大きいほど傾斜変位の応答時間は短くなるので、高速駆動が可能である。また、板状部材の制御電圧を3.3V以下などのさらに低い電圧にすることができ、光偏向装置と組み合わせるLSIなど半導体記憶装置の小型化が可能であり、板状部材の形状をさらに小型化でき、光偏向装置アレイの高密度化にも活用できる。
本発明は二軸光偏向に有利な電極構造を特徴としている。さらに、ヒンジなど固定部を持たない板状部材は二軸に傾斜変位でき、2方向からの光を一方向に切り換えて出力することができる。本発明の光偏向装置および駆動方法では、電極構造を支点部材に対し点対称にすることや等脚台形などの周辺の面積が広い形状にすることにより、二軸の切り換えが非常に容易になる。また、導電性支点部材を除く3電極で構成する場合は、複数の光偏向装置素子を3本の線で接続でき、配線の引き回しのスペースが確保しやすい。
これにより、2色の光を切り換えて出力可能な光偏向装置が形成できる。本発明の光偏向装置アレイの駆動方法では、二軸においても、一般的なLSIなど半導体記憶装置によるデータ出力の5V程度の低い電圧で板状部材の傾斜方向を制御でき、複数画素で一斉に表示が切り換えることが可能になる。本発明をプロジェクターに活用すれば、単板式光偏向装置で問題になるカラーブレーキングの課題を複数画素ごとの色切り換えにより解決することができる。
本発明(請求項1)は、板状部材に対向する複数電極の面積が等しいので、板状部材の二軸の切り換わりがどの傾斜方向からも容易になり、また、板状部材の周辺に対向する電極部分の面積が広いので、板状部材をより低い電圧で保持できる。
本発明(請求項2)は、板状部材に対向する複数の電極が支点部材を中心にした点対称形であるので、板状部材の二軸動作での軸切り換えが容易になる
本発明(請求項3)は、板状部材が二軸に傾斜変位する二軸動作で4傾斜方向に対し電極を形成するのが効率的であり、4電極の面積が同じでかつ周辺の面積が広い場合は等脚台形がもっとも適する形状であり、板状部材の二軸動作が容易になる。
本発明(請求項3)は、板状部材が二軸に傾斜変位する二軸動作で4傾斜方向に対し電極を形成するのが効率的であり、4電極の面積が同じでかつ周辺の面積が広い場合は等脚台形がもっとも適する形状であり、板状部材の二軸動作が容易になる。
本発明(請求項4)は、板状部材に対向する電極が板状部材の傾斜角に近く傾斜しているので、板状部材と電極の距離を接近させることができ、同じ印加電圧に対し静電力が強くなる。傾斜角が同じで同じ面積でかつ周辺部の面積が広い形状にする場合、ピラミッド型の斜面に電極を形成することが効率的である。
本発明(請求項5)は、光をOFFにする傾斜方向を1方向にしているので、板状部材の対向する電極数を最小3つで構成できる。また、光偏向装置素子の各電極同士を接続する配線数も3本で良く、配線が減ることで、配線の引き回しが容易になる
本発明(請求項6)は、傾斜方向と垂直な電極の電位と板状部材に電気的に接する支点部材の電位との差が一般的な半導体記憶装置の動作電圧程度であるので、二軸動作用に製作した光偏向装置を一軸動作用として使用でき、製造の種類が削減され、製造コストを低減できる。
本発明(請求項6)は、傾斜方向と垂直な電極の電位と板状部材に電気的に接する支点部材の電位との差が一般的な半導体記憶装置の動作電圧程度であるので、二軸動作用に製作した光偏向装置を一軸動作用として使用でき、製造の種類が削減され、製造コストを低減できる。
本発明(請求項7)は、傾斜方向と垂直な電極の電位と板状部材に電気的に接する支点部材の電位とがおおむね同じであるので、二軸動作用に製作した光偏向装置を一軸動作用として使用でき、製造の種類が削減され、製造コストを低減できる。
本発明(請求項8)は、板状部材に対向する導電性支点部材を除く電極の内、1電極だけ電位を他の電極電位と異なるようにしているので、板状部材をその電極に容易に引くことができる。
本発明(請求項9)は、光偏向装置アレイにおいて、構成する光偏向装置素子内の同位置の電極をそれぞれ複数の光偏向装置素子で接続するので、電源数が少なくなり、支点部材の電位変化でアレイを制御することができる。
以下、発明の実施の形態について図面により詳細に説明する。
図1は、本発明の光偏向装置の第1の構成を示す。図1(a)、(b)、(c)において、基板101上に絶縁膜102を介し電極103a,103b,103c,103dがあり、その電極面が図示しない絶縁膜で覆われている。また、板状部材107aとその導体層107bが支点部材106の上に載っている。この支点部材106は電極を兼ねていて、電極の頂部は導体が露出しており、板状部材107aの導体層107bと電気的に接触し、電位を与えることができる。板状部材107aは規制部材108により移動範囲が規制され、板状部材107aが飛び出さないようになっている。
図1は、本発明の光偏向装置の第1の構成を示す。図1(a)、(b)、(c)において、基板101上に絶縁膜102を介し電極103a,103b,103c,103dがあり、その電極面が図示しない絶縁膜で覆われている。また、板状部材107aとその導体層107bが支点部材106の上に載っている。この支点部材106は電極を兼ねていて、電極の頂部は導体が露出しており、板状部材107aの導体層107bと電気的に接触し、電位を与えることができる。板状部材107aは規制部材108により移動範囲が規制され、板状部材107aが飛び出さないようになっている。
板状部材107aはその上面に光反射領域を有し、さらに導電体層107bを有している。板状部材と対向して複数の電極a(103a),電極b(103b),電極c(103c),電極d(103d)がある。また、電極106は、板状部材の導電体層に電気的に接するかあるいは電位を確立している。板状部材107aの傾斜角は、板状部材の長さの1/2と支点部材106の板状部材と接する高さの逆三角関数の正弦arcsinで求められる角となる。板状部材107aは、その導体層107bと電極a及び電極bによる静電力と、その導体層107bと電極c(103c)及び電極d(103d)による静電力との比較により、回転し傾斜変位する。
板状部材107aが電極aまたは電極c側に傾斜変位する場合を第一軸傾斜変位と呼び(図1(b))、板状部材107aが電極bまたは電極d側に傾斜変位する場合を第二軸傾斜変位と呼ぶ(図1(c))。なお、上記したように、電極数が4極であるが、本発明は4電極でなくても構成できる。
本発明の光偏向装置では、電極群(a〜d)が同じ面積で、かつ板状部材107aの周辺に対向する部分の面積が広いことを特徴としている。また、等しい長さの辺のなす角がおおむね90°であることが好ましい。たとえば等脚台形(図1(a))がこの形状になる。
電極a〜dは、支点部材106を中心にした基板に平行な面内の点対称の形状であることが好ましい。このような形状では各電極の静電力が同じになり、どの傾斜方向からも傾斜変位を容易に行うことができる。たとえば、板状部材107aが4つの傾斜方向に変位することができる。つまり、傾斜方向を二軸に切り換える静電力を発生する電極は、支点部材106を中心とした点対称の形状である場合に、各電極の同じ電圧に対する静電力が同じになり、切り換わりやすい。また、傾斜した板状部材の周辺の方が電極と板状部材の距離が短く静電力が強いため、電極の板状部材の外周に対向する部分の面積が広い方が、全体の静電力がより強い。
図2は、本発明の光偏向装置の第2の構成を示す。図2では、電極a〜dが基板101に対して傾斜している。基板101上にピラミッド型の4斜面がありそれら斜面にそれぞれ電極a〜dが形成される。4つの等脚台形を傾斜させるとピラミッド形状になる。これにより、静電力を強めることができ、従って駆動電圧を低減できる。
なお、電極群の傾斜角は、板状部材の長さと支点部材の高さにより決まる傾斜角に近いことが好ましい。これにより、傾斜している板状部材と傾斜した電極の平均距離がより近づき静電力が強まり、板状部材をより安定して保持でき、またより低い電圧で制御できる。
図3は、本発明の電極構造の利点を説明する図である。(a)に示す本発明の光偏向装置の電極構造では、二軸動作における軸の切り換わり動作(電極aから電極bへの切り換わり)がより容易にできる。これは、不要な静電力が発生しないめである。
一方、電極が正方形の形状(b)では、軸の切り換わり動作(電極a、b側から電極b、d側への切り換わり)において、電極bの高い電圧Eが板状部材を元の位置に引く静電力が発生するため、軸切り換え動作がしにくい。
図4は、本発明の光偏向動作を説明する図である。板状部材の反射面が支点部材により傾斜するが、入射光を傾斜角分傾けて入射させることで、板状部材が傾斜したときに光が基板に垂直に反射される((b)、(c))。板状部材が反対側に傾斜した場合は光は基板に垂直に反射されない((a)、(d))。この角度の差を利用し、光が基板に垂直に反射された場合を光がONとし(第一軸ON、第二軸ON)、光が基板に対し斜めに反射された場合をOFFとする(第一軸OFF、第二軸OFF)。また、二軸動作の場合、4方向の傾斜角は同じであることが多い。板状部材に傾斜した入射光を2方向から基板平面内で90°ずらして照射することで、2種類の光を傾斜方向で切り換えることができる。
色の異なる2方向からの光を切り換えを高速で行えることで、投影装置に応用する場合、カラーホイールなどの色切り換え方式を使用する必要がなく、カラーブレーキングの問題が生じない利点がある。二軸動作の光偏向装置と一軸動作の光偏向装置を用いれば3色の高速な光切り換えができ、カラー画像を容易に形成できる。
本発明の光偏向装置の製造方法は、前掲した特許文献1に開示されているように、半導体製造工程やマイクロマシン工程を元にして製作できる。また、同一基板の下層に駆動用能動素子群を配置し、上層に複数電極群や板状部材を積層して配置することが好ましい。あるいは駆動用能動素子群の基板と複数電極群や板状部材を形成した基板を貼り合わせることも可能である。例として、板状部材が導体で構成される場合には、板状部材の導体層の電位を板状部材の電位としている。しかし、板状部材が絶縁体層と導体層からなる構成の場合もあり、この場合でも板状部材の導体層の電位を板状部材の電位とした。
本発明の光偏向装置アレイの駆動方法の動作原理を説明する。板状部材は捩り梁などで固定されておらず、剛性による復元力を持たない。あるいは剛性が弱い捩り梁で板状部材が吊られている。板状部材は支点部材により傾斜している。板状部材が傾斜した側の電極と板状部材の距離は反傾斜側の電極と板状部材の距離よりはるかに短い。このため、傾斜した板状部材では、電極群内に板状部材と遠い電極群と近い電極群がある。静電力は距離の二乗に反比例するため、距離の短い板状部材の傾斜側電極と板状部材との間に所定の低い電圧を加えた場合でも、板状部材を静電力で引くことが出来る。この静電力に抗して、傾斜側電極と支点部材を挟む反対側の電極と板状部材間に働く静電力は電極間距離が遠いので大きくないように設定できる。つまり、板状部材と平均距離が最短である電極と板状部材との静電力は電位差が小さくても、板状部材と遠い電極との静電力より大きくできる。傾斜角が例えば10°の場合、板状部材と近い電極と遠い電極に同じ電位差を与えたときに、働く静電力は近い電極の方が数十倍から数百倍程度大きい。
特に、本発明の構成では、図1のような形状の電極であり、電極の板状部材が接近している部分が広く、板状部材との静電力がより大きくできる。傾斜方向の電極と垂直に位置する2つの電極と板状部材の距離は比較的遠い。板状部材が傾斜している側の電極と前記2電極の電位が同じ場合でも、板状部材が傾斜する側の電極と板状部材の距離がより近いため、板状部材とこの電極間の静電力がはるかに大きい。また、傾斜方向に位置する電極と垂直方向の2電極のいずれかに、傾斜方向の電極電位よりも数十倍の電位を与えても、前記原理により板状部材の傾斜方向を維持できる。電極の板状部材の周辺に対向する部分の面積が広いので、板状部材が傾斜した場合に、電極との対向する面積を大きくすることができ、静電力をより強くすることができる。
また、集積回路(半導体記憶装置)の上層に、本発明の光偏向装置を形成し、板状部材に電気的に接する導電性支点部材に、半導体記憶装置たとえばSRAMの出力端子を接続することにより、光偏向装置アレイとして制御できる。支点部材の電圧は5V、3.3Vなどの一般的な集積回路の動作電圧範囲である。以下の説明では、集積回路の動作電圧の高い値をVHとし、低い値を0Vとした。
実施例における板状部材は、厚さ0.1μm、10μm角、傾斜角12°であり、4μm角の4つの電極を用いた。電極a,電極b,電極c,電極dは対称で同じ面積である。例えば板状部材が電極aに傾斜している場合、板状部材が傾斜した方向の電極aと板状部材による静電力と、板状部材と離れている側の電極cと板状部材との静電力の比は100程度であった。力は電圧の二乗に比例するため、電圧比はその平方根となり、10倍である。VHが5Vであるので、電極aに0V、板状部材に5Vを与えたとき、電極cには50V程度まで印加しても板状部材は電極c側に傾斜変位しない。また、後述する電圧Eは50Vまで利用可能である。
図5は、本発明の光偏向装置における板状部材の傾斜変位の原理を説明する図である。
(a)板状部材は電極a側に傾斜している。板状部材の電位はVHであり、電極a,電極b,電極dの電位は0Vであり、電極cの電位はE(V)である。板状部材と電極aは近く、電位差がVHであるので、板状部材は電極a側に傾斜している。
(b)板状部材の電位を0Vにした場合、電極aの電位と同じになり、板状部材と電極aには静電力が働かない。電極b,電極dの電位は0Vであり、板状部材と同電位で静電力は働かない。電極cは電位がE(V)であるので静電力が大きく、板状部材は電極c側に傾斜する。
(c)板状部材の電位を0Vにした場合、電極aの電位と同じになり、板状部材と電極aには静電力が働かない。電極bの電位をE(V)にし、電極cと電極dの電位を0Vにした場合は、板状部材と電極bの電位差はE(V)になり、静電力が大きく電極b側に傾く。傾きはじめるときに妨げる力は一切発生せず、容易に向きを切り換えることができる。
(d)板状部材の電位を0Vにした場合、電極aの電位と同じになり、板状部材と電極aには静電力が働かない。電極dの電位をE(V)にし、電極bと電極cの電位を0Vにした場合は、板状部材と電極dの電位差はE(V)になり、静電力が大きく電極d側に傾く。傾きはじめるときに妨げる力は一切発生せず、容易に向きを切り換えることができる。
図5は、本発明の光偏向装置における板状部材の傾斜変位の原理を説明する図である。
(a)板状部材は電極a側に傾斜している。板状部材の電位はVHであり、電極a,電極b,電極dの電位は0Vであり、電極cの電位はE(V)である。板状部材と電極aは近く、電位差がVHであるので、板状部材は電極a側に傾斜している。
(b)板状部材の電位を0Vにした場合、電極aの電位と同じになり、板状部材と電極aには静電力が働かない。電極b,電極dの電位は0Vであり、板状部材と同電位で静電力は働かない。電極cは電位がE(V)であるので静電力が大きく、板状部材は電極c側に傾斜する。
(c)板状部材の電位を0Vにした場合、電極aの電位と同じになり、板状部材と電極aには静電力が働かない。電極bの電位をE(V)にし、電極cと電極dの電位を0Vにした場合は、板状部材と電極bの電位差はE(V)になり、静電力が大きく電極b側に傾く。傾きはじめるときに妨げる力は一切発生せず、容易に向きを切り換えることができる。
(d)板状部材の電位を0Vにした場合、電極aの電位と同じになり、板状部材と電極aには静電力が働かない。電極dの電位をE(V)にし、電極bと電極cの電位を0Vにした場合は、板状部材と電極dの電位差はE(V)になり、静電力が大きく電極d側に傾く。傾きはじめるときに妨げる力は一切発生せず、容易に向きを切り換えることができる。
以上、支点部材を除く複数電極の内、1つの電極に異なる電位を与え、残りの複数の電極の電位をおおむね同じにすることで、板状部材を容易に二軸に傾斜方向を切り換えることができる。
図6は、一軸動作のみが可能な電源の接続例を示す。(a)の例のように、傾斜方向と垂直な二電極の電位を板状部材と同電位にする場合、または(b)のように、板状部材との電位差がVH程度の場合は、電極aと電極cからなる一軸動作のみが可能である。板状部材の傾斜方向に垂直な二電極の電位を0Vに固定しても、板状部材との電位差は最大LSIの駆動電圧程度であり、板状部材を変位する電界にほとんど影響しない。すなわち、同一構造により、電源の接続の変更のみで、一軸動作と二軸動作が可能な光偏向装置が得られる。同一工程で製造された装置を用途により一軸用、二軸用として使用でき、製造コストを低減できる。
図7は、二軸での状態1(表示とデータ書き込み)、状態2(板状部材の傾斜方向変化)、状態3(板状部材の復帰)の動作を説明する図である。E>VHでかつ、板状部材が傾斜している側の電極と板状部材の電位差がVH以上なら、板状部材と遠い電極の電位がEでも板状部材は変位しないようなVH,Eの値とする。
図1、図2に示すように、電極a側と電極c側の傾斜変位を第一軸、電極d側と電極b側の傾斜変位を第二軸とする。したがって、電極a側を第一軸第一傾斜方向、電極c側を第一軸第二傾斜方向、電極d側を第二軸第一傾斜方向、電極b側を第二軸第二傾斜方向とする。
状態1(電極a,電極b,電極c,電極dの電位はE):
(1−a)板状部材が電極a側に傾斜している時、板状部材に近い電極aの電位はEであり静電力は大きく、板状部材の電位がVHでも0Vでも傾斜方向は維持される。
(1−a)板状部材が電極a側に傾斜している時、板状部材に近い電極aの電位はEであり静電力は大きく、板状部材の電位がVHでも0Vでも傾斜方向は維持される。
(1−b)板状部材が電極c側に傾斜している時、板状部材に近い電極cの電位はEであり静電力は大きく、板状部材の電位がVHでも0Vでも傾斜方向は維持される。
(1−c)板状部材が電極b側に傾斜している時、板状部材に近い電極bの電位はEであり静電力は大きく、板状部材の電位がVHでも0Vでも傾斜方向は維持される。
(1−d)板状部材が電極d側に傾斜している時、板状部材に近い電極dの電位はEであり静電力は大きく、板状部材の電位がVHでも0Vでも傾斜方向は維持される。
状態2(電極a;V3=E,電極b;V3=VH,電極c;V4=VH,電極d;V4=VH、板状部材電位;V1(条件3)):
板状部材が電極a側に傾斜している場合、第一軸第一傾斜方向とする。
板状部材が電極a側に傾斜している場合、第一軸第一傾斜方向とする。
(2−a)(2−b)(2−c)(2−d)では、V1=0Vであり、傾斜している側の電極と板状部材の間にVH以上の電位差があり、静電力が働き、傾斜方向は維持される。
板状部材が電極c側に傾斜する場合を第一軸第二傾斜方向、電極d側に傾斜する場合を第二軸第二傾斜方向とする。
(2−a)板状部材は第一軸第一傾斜方向に傾斜している。電極aの電位V3=Eであり、F1は大きい。電極b,電極c,電極dの電位V4=V2=VHと板状部材電位V1の電位差はVHで、板状部材と電極b,電極c,電極dの距離は遠く、F2は小さい。F1>F2であり、板状部材は第一軸第一傾斜方向に傾斜を続ける。
(2−b)電極aの電位V3=Eと板状部材の電位V1の電位差はEであるが、電極a,電極b,電極dの距離が遠くF1は小さい。電極b,電極c,電極dの電位V4=V2=VHと板状部材電位V1の電位差VHによる静電力F2が働く。F1<F2であり、板状部材は第一軸第二傾斜方向に傾斜を続ける。
(2−c)電極aの電位V3=Eであるが、電極aと板状部材の距離は遠くF1は小さい。電極bの電位V4=V2=VHと板状部材電位V1の電位差はVHであり、静電力F2が働く。F1<F2であり、板状部材は第二軸第二傾斜方向に傾斜を続ける。
(2−d)電極aの電位V3=Eであるが、電極aと板状部材の距離は遠くF1は小さい。電極dの電位V4=V2=VHと板状部材電位V1の電位差はVHであり、静電力F2が働く。F1<F2であり、板状部材は第二軸第一傾斜方向に傾斜を続ける。
板状部材電位をV2(条件4)とする。
(2−e)板状部材が電極a側に傾斜し、第一軸第一傾斜方向に傾斜している。電極aの電位V3=Eで板状部材電位がV2=VHであり、板状部材と電極a間の電位差はE−VHであり静電力F3が働く。電極b,電極c,電極dの電位V4=V2=VHと板状部材の電位V2=VHの電位差は0Vで、F4=0である。F3>F4であり、板状部材は第一軸第一傾斜方向に傾斜を続ける。
(2−f)板状部材が電極c側に傾斜しているとき、第一軸第二傾斜方向とする。電極cの電位はV4とする。板状部材の電位がV2=VHなので板状部材と電極c間の電位差は0Vであり、静電力F4=0である。電極aの電位はV3であり、電極aと板状部材間の電位差はE−VHで、静電力F3により板状部材は電極a側である第一軸第一傾斜方向に傾斜する。F3>F4である。
(2−g)板状部材が電極b側に傾斜しているとき第二軸第二傾斜方向とする。板状部材の電位がV2=VHなので板状部材と電極b間の電位差はE−VHであり、電極b側に引く静電力は大きい。電極bの電位をV4とする。板状部材と電極b間の電位差は0Vで、静電力F4=0であり、板状部材は電極bに引かれない。電極aの電位をV3とする。電極aでは板状部材との電位差がE−VHであり、静電力F3が働き、よって、板状部材は電極a側である第一軸第一傾斜方向に傾斜する。F3>F4である。
(2−h)板状部材が電極d側に傾斜しているときを第二軸第二傾斜方向とする。電極dの電位をV4とする。板状部材と電極d間の電位差は0Vで、静電力F4=0であり、板状部材は電極dに引かれない。電極aの電位をV3とする。電極aでは板状部材との電位差がE−VHであり、静電力F3が働き、よって、板状部材は電極a側である第一軸第一傾斜方向に傾斜する。F3>F4である。
状態3(第一軸、第二軸の選択は電極a,電極b,電極c,電極dの組み合わせで行うことができる)。
第一軸、第二軸についてそれぞれの場合について説明する。
第一軸(電極a;0V,電極b;0V,電極c;E,電極d;0V)
電極c側に板状部材が傾斜する場合を第一軸第二傾斜方向とする。
板状部材が電極a側に傾斜しているとき、電極b側に傾斜しているときを第一傾斜方向とする。
条件2;V1=V5
条件3
(3−1−a)板状部材が電極a側に傾斜しているとき、第一軸第一傾斜方向とする。板状部材の電位がV1=0Vなので、板状部材の電位V1と電極aの電位V5間の電位差は0Vで静電力F5=0である。板状部材電位V1=0Vで、V6=Eである電極c側静電力F6が働き、板状部材は電極c側に傾斜する。F5<F6である。
第一軸、第二軸についてそれぞれの場合について説明する。
第一軸(電極a;0V,電極b;0V,電極c;E,電極d;0V)
電極c側に板状部材が傾斜する場合を第一軸第二傾斜方向とする。
板状部材が電極a側に傾斜しているとき、電極b側に傾斜しているときを第一傾斜方向とする。
条件2;V1=V5
条件3
(3−1−a)板状部材が電極a側に傾斜しているとき、第一軸第一傾斜方向とする。板状部材の電位がV1=0Vなので、板状部材の電位V1と電極aの電位V5間の電位差は0Vで静電力F5=0である。板状部材電位V1=0Vで、V6=Eである電極c側静電力F6が働き、板状部材は電極c側に傾斜する。F5<F6である。
(3−1−b)板状部材が電極c側に傾斜し第一軸第二傾斜方向に傾斜している。電極aの電位V5と板状部材電位V1の電位差が0Vで静電力F5=0である。板状部材の電位がV1=0Vなので、板状部材と電極cの電位V6の電位差はEであり、大きい静電力により板状部材は電極c側に止まる。板状部材が第一軸第二傾斜方向に傾斜するとき、F5<F6である。
(3−1−c)板状部材が電極b側に傾斜しているとき、第二軸第一傾斜方向とする。板状部材の電位がV1=0Vなので、電極bの電位V6と板状部材の電位V1の電位差はEであり、電極b側に引く静電力は大きい。電極bの電位V5と板状部材電位V1の電位差は0VでF5は0で板状部材は電極bを離れる。電極cの電位V4と板状部材電位V1との電位差がEであり、静電力F6が働き、板状部材は電極c側に傾斜する。よって、板状部材は電極cである第一軸第二傾斜方向に傾斜する。F5<F6である。
(3−1−d)板状部材が電極d側に傾斜しているとき、第二軸第一傾斜方向とする。板状部材の電位V1が0Vなので、電極cの電位V5と板状部材電位V1の電位差はEであり、電極c側に引く静電力は大きい。電極aの電位V5と板状部材電位V1の電位差は0VでF5=0で、板状部材は電極dを離れる。電極cの電位V6と板状部材電位V1との電位差がEであり、静電力F6が働き、よって、板状部材は電極c側である第一軸第二傾斜方向に傾斜する。F5<F6である。
条件4
(3−1−e),(3−1−f),(3−1−g),(3−1−h)では、板状部材の電位がV2=VHであり、傾斜している側の電極と板状部材との電位差はVH以上あり、静電力が働き傾斜方向は維持される。
(3−1−e),(3−1−f),(3−1−g),(3−1−h)では、板状部材の電位がV2=VHであり、傾斜している側の電極と板状部材との電位差はVH以上あり、静電力が働き傾斜方向は維持される。
板状部材が電極a傾斜する場合、第一軸第一傾斜方向、電極c側に傾斜する場合、第一軸第二傾斜方向とする。電極d側に傾斜する場合、第二軸第一傾斜方向,電極b側に傾斜する場合を第二軸第二傾斜方向とする。
(3−1−e)電極aの電位V5は0Vで、板状部材電位V2との電位差はVHであり、静電力F7が働く。電極b,電極c,電極dの電位V6=Eで板状部材電位V2との電位差はVHでありF8が働く。板状部材と電極b,電極c,電極dは遠くF8は小さい。F7>F8であり、板状部材は第一軸第一傾斜方向に傾斜を続ける。
(3−1−f)板状部材は電極c側の第一軸第二傾斜方向に傾斜している。電極aの電位V5とV2の電位差はVHであり、電極a,電極b,電極dと板状部材間の距離が遠く静電力F7は小さい。電極cの電位V6=Eで、板状部材に距離が近く静電力F8は大きい。板状部材は電極cの第一軸第二傾斜方向に傾斜を続ける。板状部材が第一軸第二傾斜方向に傾斜している場合にF7<F8である。
(3−1−g)電極bの電位V5は0Vで、板状部材の電位V2との電位差はVHであり、静電力F7が働く。電極cの電位V6=Eで板状部材電位V2との電位差はVHでありF8が働く。板状部材と電極cは遠くF8は小さい。F7>F8で板状部材は第二軸第二傾斜方向に傾斜を続ける。
(3−1−h)電極aの電位V5は0Vで、板状部材の電位V2との電位差はVHであり、静電力F7が働く。電極cの電位V6=Eで板状部材の電位V2との電位差はVHでありF8が働く。板状部材と電極dは遠くF8は小さい。F7>F8で板状部材は第二軸第一傾斜方向に傾斜を続ける。
状態3;第二軸(電極a;0V,電極b;E,電極c;0V,電極d;0V)
条件3
板状部材が電極d側に傾斜する場合を第二軸第一傾斜方向、電極b側に傾斜する場合を第一軸第二傾斜方向とする。
条件3
板状部材が電極d側に傾斜する場合を第二軸第一傾斜方向、電極b側に傾斜する場合を第一軸第二傾斜方向とする。
(3−2−a)板状部材が電極a側に傾斜し第一軸第一傾斜方向とする。板状部材の電位V1=0Vで、電極bと板状部材の電位差はEであり、電極b側に引く静電力は大きい。電極dの電位V5と板状部材の電位V1の電位差は0VでF5=0で板状部材は電極dを離れる。電極bの電位V6と板状部材電位V1との電位差がEであり、静電力F6が働き、よって、板状部材は電極b側である第二軸第二傾斜方向に傾斜する。F5<F6である。
(3−2−b)板状部材が電極c側である第一軸第二傾斜方向に傾斜し、第二傾斜方向とする。板状部材電位がV1=0Vなので、電極bと板状部材の電位差はEであり、電極b側に引く静電力は大きい。電極c電位V5と板状部材電位V1の電位差は0V静電力F5=0で板状部材は電極cを離れる。電極bの電位V6と板状部材電位V1との電位差がEであり、静電力F6が働き、よって、板状部材は電極b側である第二軸第二傾斜方向に傾斜する。F5<F6である。
(3−2−c)板状部材が電極d側に傾斜し第二軸第一傾斜方向とする。板状部材電位がV1=0Vと電極dの電位V6の電位差は0Vであり静電力F5=0である。電極bの電位V6=Eと板状部材電位V1の電位差はEであり、静電力F6により板状部材は電極b側である第二軸第二傾斜方向に傾斜する。F5<F6である。
(3−2−d)板状部材が電極b側に傾斜し第二軸第二傾斜方向とする。板状部材電位がV1=0Vで電極dの電位V5=0Vと板状部材電位V1の電位差は0Vであり、静電力F5=0である。電極bの電位V4=Eと板状部材電位V1の電位差はEであるので、静電力F6により板状部材は電極b側である第二軸第二傾斜方向に傾斜方向を維持する。F5<F6である
条件4
(3−2−e),(3−2−f),(3−2−g),(3−2−h)では、板状部材の電位がV2=VHであり、傾斜している側の電極と板状部材との電位差はVH以上あり、静電力が働き傾斜方向は維持される。
板状部材が電極a側に傾斜する場合を第一軸第一傾斜方向、電極d側に傾斜する場合を第二軸第一傾斜方向とする。電極cに傾斜する場合を第一軸第二傾斜方向、電極b側に傾斜している場合を第二軸第二傾斜方向とする。
(3−2−e),(3−2−f),(3−2−g),(3−2−h)では、板状部材の電位がV2=VHであり、傾斜している側の電極と板状部材との電位差はVH以上あり、静電力が働き傾斜方向は維持される。
板状部材が電極a側に傾斜する場合を第一軸第一傾斜方向、電極d側に傾斜する場合を第二軸第一傾斜方向とする。電極cに傾斜する場合を第一軸第二傾斜方向、電極b側に傾斜している場合を第二軸第二傾斜方向とする。
(3−2−e)電極aの電位V5は0Vで、板状部材の電位V2との電位差はVHであり、静電力F7が働く。電極dの電位V6=Eと板状部材電位V2の電位差はE−VHでありF8が働く。板状部材と電極bは遠くF8は小さい。F7>F8で板状部材は第一軸第一傾斜方向に傾斜を続ける。
(3−2−f)電極cの電位V5は0Vで、板状部材の電位V2との電位差はVHであり、静電力F7が働く。電極bの電位V6=Eと板状部材電位V2の電位差はE−VHでありF8が働く。板状部材と電極dは遠くF8は小さい。F7>F8で板状部材は第一軸第二傾斜方向に傾斜を続ける。
(3−2−g)板状部材は電極b側の第二軸第二傾斜方向に傾斜している。電極a,電極c,電極dの電位V5とV2の電位差はVHであり、電極a,電極c,電極dと板状部材間の距離が遠く静電力F7は小さい。電極bの電位V6=Eで、板状部材に距離が近く静電力F8は大きい。板状部材は電極bの第二軸第二傾斜方向に傾斜を続ける。板状部材が第二軸第二傾斜方向に傾斜している場合にF7<F8である。
(3−2−h)電極a,電極c,電極dの電位V5は0Vで、板状部材電位V2との電位差はVHであり、静電力F7が働く。電極dの電位V6=Eで板状部材電位V2との電位差はVHでありF8が働く。板状部材と電極bは遠くF8は小さい。F7>F8で板状部材は第二軸第一傾斜方向に傾斜を続ける。
このように、状態1では板状部材の電位が0V,VHによらず、板状部材の傾斜方向は維持される。このため、この状態でデータを書き込んでも傾斜方向は変わらない。状態2では板状部材の電位がVHであり、板状部材の傾斜方向は電極a側に変化し復帰される。状態3では板状部材の電位が0Vであり、第一軸用電位により電極c側あるいは第二軸用電位では電極b,電極d側に板状部材の傾斜方向が変化する。
(なお、上記したF1〜F8、V1〜V6は先願である特願2004−320821号を引用した。すなわち、
(1)光偏向装置アレイの駆動方法において、第二段階の状態における傾斜方向の切り換えを、以下の条件を全て満たす電位の印加により行なう。
(1)光偏向装置アレイの駆動方法において、第二段階の状態における傾斜方向の切り換えを、以下の条件を全て満たす電位の印加により行なう。
条件1は、板状部材に構成された導電体層に接触してまたは固定して電位を付与する電極に電位V1、または電位V2を付与し、V1とV2は前記傾斜方向を指定するデータに基づき各光偏向装置ごとに選択する条件であり、
条件2は、板状部材に対向して設置された複数の電極群のうち、回転軸または支点を中心として第一傾斜方向側に設置された少なくとも一個以上の電極に電位V3を付与し、回転軸または支点を中心として第二傾斜方向側に設置された少なくとも一個以上の電極に電位V2と略同電位のV4を付与し、該V3及びV4は複数の光偏向装置で同時にそれぞれ同電位で付与する条件であり、
条件3は、第一傾斜方向側に設置された電極の電位V3と板状部材に構成された導電体層に作用する一方の電位V1との電位差により生じる静電引力F1と、第二傾斜方向側に設置された電極の電位V4と板状部材に構成された導電体層に作用する一方の電位V1との電位差により生じる静電引力F2が以下の大小関係を有する条件であり、
板状部材が状態の初期に第一傾斜方向に傾斜している場合に、F1>F2
板状部材が状態の初期に第二傾斜方向に傾斜している場合に、F1<F2
条件4は、第一傾斜方向側に設置された電極の電位V3と板状部材に構成された導電体層に作用するもう一方の電位V2との電位差により生じる静電引力F3と、第二傾斜方向側に設置された電極の電位V4と板状部材に構成された導電体層に作用するもう一方の電位V2との電位差により生じる静電引力F4が以下の大小関係を有する条件である
板状部材が状態の初期に第一傾斜方向に傾斜している場合に、F3>F4
板状部材が状態の初期に第二傾斜方向に傾斜している場合に、F3>F4
(2)光偏向装置アレイの駆動方法において、第三段階の状態における傾斜方向の切り換えを、以下の条件を全て満たす電位の印加により行なう。
条件2は、板状部材に対向して設置された複数の電極群のうち、回転軸または支点を中心として第一傾斜方向側に設置された少なくとも一個以上の電極に電位V3を付与し、回転軸または支点を中心として第二傾斜方向側に設置された少なくとも一個以上の電極に電位V2と略同電位のV4を付与し、該V3及びV4は複数の光偏向装置で同時にそれぞれ同電位で付与する条件であり、
条件3は、第一傾斜方向側に設置された電極の電位V3と板状部材に構成された導電体層に作用する一方の電位V1との電位差により生じる静電引力F1と、第二傾斜方向側に設置された電極の電位V4と板状部材に構成された導電体層に作用する一方の電位V1との電位差により生じる静電引力F2が以下の大小関係を有する条件であり、
板状部材が状態の初期に第一傾斜方向に傾斜している場合に、F1>F2
板状部材が状態の初期に第二傾斜方向に傾斜している場合に、F1<F2
条件4は、第一傾斜方向側に設置された電極の電位V3と板状部材に構成された導電体層に作用するもう一方の電位V2との電位差により生じる静電引力F3と、第二傾斜方向側に設置された電極の電位V4と板状部材に構成された導電体層に作用するもう一方の電位V2との電位差により生じる静電引力F4が以下の大小関係を有する条件である
板状部材が状態の初期に第一傾斜方向に傾斜している場合に、F3>F4
板状部材が状態の初期に第二傾斜方向に傾斜している場合に、F3>F4
(2)光偏向装置アレイの駆動方法において、第三段階の状態における傾斜方向の切り換えを、以下の条件を全て満たす電位の印加により行なう。
条件1は、板状部材に構成された導体層に接触してまたは固定して電位を付与する電極に電位V1、または電位V2を付与し、V1とV2は前記傾斜方向を指定するデータに基づき各光偏向装置ごとに選択する条件であり、
条件2は、板状部材に対向して設置された複数の電極群のうち、回転軸または支点を中心として第一傾斜方向側に設置された少なくとも一個以上の電極に電位V1と略同電位の電位V5を付与し、回転軸または支点を中心として第二傾斜方向側に設置された少なくとも一個以上の電極に電位V6を付与し、該V5及びV6は複数の光偏向装置で同時にそれぞれ同電位で付与する条件であり、
条件3は、第一傾斜方向側に設置された電極の電位V5と板状部材に構成された導電体層に作用する一方の電位V1との電位差により生じる静電引力F5と、第二傾斜方向側に設置された電極の電位V6と板状部材に構成された導電体層に作用する一方の電位V1との電位差により生じる静電引力F6が以下の大小関係を有する条件であり、
板状部材が状態の初期に第一傾斜方向に傾斜している場合に、F5<F6
板状部材が状態の初期に第二傾斜方向に傾斜している場合に、F5<F6
条件4は、第一傾斜方向側に設置された電極の電位V5と板状部材に構成された導体層に作用するもう一方の電位V2との電位差により生じる静電引力F7と、第二傾斜方向側に設置された電極の電位V6と板状部材に構成された導体層に作用するもう一方の電位V2との電位差により生じる静電引力F8が以下の大小関係を有する条件である
板状部材が状態の初期に第一傾斜方向に傾斜している場合に、F7>F8
板状部材が状態の初期に第二傾斜方向に傾斜している場合に、F7<F8)。
条件2は、板状部材に対向して設置された複数の電極群のうち、回転軸または支点を中心として第一傾斜方向側に設置された少なくとも一個以上の電極に電位V1と略同電位の電位V5を付与し、回転軸または支点を中心として第二傾斜方向側に設置された少なくとも一個以上の電極に電位V6を付与し、該V5及びV6は複数の光偏向装置で同時にそれぞれ同電位で付与する条件であり、
条件3は、第一傾斜方向側に設置された電極の電位V5と板状部材に構成された導電体層に作用する一方の電位V1との電位差により生じる静電引力F5と、第二傾斜方向側に設置された電極の電位V6と板状部材に構成された導電体層に作用する一方の電位V1との電位差により生じる静電引力F6が以下の大小関係を有する条件であり、
板状部材が状態の初期に第一傾斜方向に傾斜している場合に、F5<F6
板状部材が状態の初期に第二傾斜方向に傾斜している場合に、F5<F6
条件4は、第一傾斜方向側に設置された電極の電位V5と板状部材に構成された導体層に作用するもう一方の電位V2との電位差により生じる静電引力F7と、第二傾斜方向側に設置された電極の電位V6と板状部材に構成された導体層に作用するもう一方の電位V2との電位差により生じる静電引力F8が以下の大小関係を有する条件である
板状部材が状態の初期に第一傾斜方向に傾斜している場合に、F7>F8
板状部材が状態の初期に第二傾斜方向に傾斜している場合に、F7<F8)。
二軸動作において、第一軸のOFFのみを使用し第二軸のOFFを使用しないことが可能である。この場合、支点部材を除く板状部材に対向する電極は3つで構成できる。すなわち、各セルへの電極群への配線も3本に低減できる。LSI上の配線数を低減でき、製造がより容易になりコストの低減に有効である。
図8のように、使用しない電極の領域に導電性支点部材と下層のSRAMなどのメモリセルの出力と配線するビアホール109を配置することができ、電極形成が容易になる。
本発明の光偏向装置はアレイ状に配置され、各光偏向装置素子内の同位置の電極同士を配線し、同時に駆動する。一例として、図9(a)は4電極による構成を示し、同位置の電極を配線で接続する。(b)に示すように、3つの電極で構成された光偏向装置(図8)の場合は、3本の配線で接続できる。
101 基板
102 絶縁膜
103a〜103d 電極
106 支点部材
107a 板状部材
107b 導体層
108 規制部材
102 絶縁膜
103a〜103d 電極
106 支点部材
107a 板状部材
107b 導体層
108 規制部材
Claims (9)
- 基板と、複数の規制部材と、支点部材と、板状部材と、複数の電極とを有し、前記複数の規制部材はそれぞれ上部にストッパを有し、前記基板の複数の端部にそれぞれ設けられ、前記支点部材は頂部を有し、前記基板の上面に設けられ、前記板状部材は固定端を持たず、上面に光反射領域を有し、少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有し、前記基板と前記支点部材と前記ストッパの間の空間内で可動的に配置され、前記複数の電極は前記板状部材の導電体層とほぼ対向して基板上にそれぞれ設けられ、かつ前記板状部材の導電体層に電気的に接するかあるいは電位を確立する電極を有し、前記板状部材が前記支点部材を中心として静電引力により傾斜変位することにより、前記光反射領域に入射する光束が反射方向を変えて光偏向を行う光偏向装置において、前記複数の電極の面積が等しく、かつ電極の板状部材外周に対向する部分の面積が広いことを特徴とする光偏向装置。
- 請求項1記載の光偏向装置において、前記複数の電極は、前記支点部材を中心とした点対称の形状であることを特徴とする光偏向装置。
- 請求項2記載の光偏向装置において、前記形状は等脚台形であることを特徴とする光偏向装置。
- 請求項1記載の光偏向装置において、前記複数の電極はピラミッド型の4斜面にそれぞれに形成されていることを特徴とする光偏向装置。
- 請求項1記載の光偏向装置において、前記複数の電極は3電極であることを特徴とする光偏向装置。
- 請求項1記載の光偏向装置において、板状部材が傾斜変位する方向と垂直な電極の電位と、板状部材に電気的に接する導電性支点部材の電位との差は、半導体記憶装置の動作電圧程度であることを特徴とする光偏向装置。
- 請求項6記載の光偏向装置において、板状部材が傾斜変位する方向と垂直な電極の電位と、板状部材に電気的に接する導電性支点部材の電位はおおむね等しいことを特徴とする光偏向装置。
- 請求項1または5記載の光偏向装置において、板状部材と接触する導電性支点部材と1電極を除く他の複数の電極の電位がおおむね等しいことを特徴とする光偏向装置。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光偏向装置を複数配置した光偏向装置アレイにおいて、各光偏向装置の複数の電極について、同じ位置にある電極同士を接続することを特徴とする光偏向装置アレイ。
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---|---|---|---|
JP2006013896A Pending JP2007199096A (ja) | 2006-01-23 | 2006-01-23 | 光偏向装置および光偏向装置アレイ |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2007199096A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010054590A (ja) * | 2008-08-26 | 2010-03-11 | Ricoh Co Ltd | 光走査装置及び画像形成装置 |
US10114212B2 (en) | 2012-05-29 | 2018-10-30 | Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho | Deflector |
JP2019082573A (ja) * | 2017-10-30 | 2019-05-30 | 株式会社リコー | 表示装置、及び表示方法 |
CN113741027A (zh) * | 2020-05-27 | 2021-12-03 | 成都理想境界科技有限公司 | 一种格栅式扫描致动器及光纤扫描器 |
-
2006
- 2006-01-23 JP JP2006013896A patent/JP2007199096A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010054590A (ja) * | 2008-08-26 | 2010-03-11 | Ricoh Co Ltd | 光走査装置及び画像形成装置 |
US10114212B2 (en) | 2012-05-29 | 2018-10-30 | Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho | Deflector |
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CN113741027A (zh) * | 2020-05-27 | 2021-12-03 | 成都理想境界科技有限公司 | 一种格栅式扫描致动器及光纤扫描器 |
CN113741027B (zh) * | 2020-05-27 | 2024-03-08 | 成都理想境界科技有限公司 | 一种格栅式扫描致动器及光纤扫描器 |
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