JP2007196767A - 車両制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】制御ユニットの故障を厳密に検知するために多くの診断信号をモニタしたくても、電動ブレーキシステムのようにネットワーク容量の多くを制御信号の通信に使用している場合、診断信号のやりとりに多くの時間を要する。このため、故障が発生した際に、故障が発生してから実際に故障を検知するまでに多くの時間が必要になる。本発明の目的は、自己診断信号の通信時間を短縮し、車両に搭載された制御装置の診断に要する時間を短縮することである。
【解決手段】制御システムを統括する統合制御装置が備える、走行状態判断手段によって導き出された判断結果に応じて制御信号のサンプリングレートを変化させ、制御信号が使用しているネットワーク容量を抑制させ、空いた容量を自己診断信号に割り振ることによって、自己診断信号の通信時間を短縮する。
【選択図】図1
【解決手段】制御システムを統括する統合制御装置が備える、走行状態判断手段によって導き出された判断結果に応じて制御信号のサンプリングレートを変化させ、制御信号が使用しているネットワーク容量を抑制させ、空いた容量を自己診断信号に割り振ることによって、自己診断信号の通信時間を短縮する。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車における制御システムに関わり、詳しくは統合制御装置とそれに従属する他の制御装置とのネットワークの負荷を制御して、自己診断の高速化を実現する制御システムに関わる。
近年、車両に搭載されている制御装置は、1本あるいは複数の通信ラインで他の複数の制御装置と相互に接続されたネットワークの1ノードとなることによって、一つの大きな制御システムの一部として機能している。この制御システムのなかの個々の制御装置間でやりとりされる信号のうち、車両制御に関わる信号は、ある所定のサンプリングレートをもって常時やりとりされる。通常、このサンプリングレートは車両を安定して制御するために必要と考えられるもっとも高速なサンプリングレートが用いられる。
このようなネットワークを用いた制御システムにおいては、たとえば、特開2003−19931号公報(特許文献1)が開示するような方法で、発生した故障が、どの制御装置に起因するのかを検出している。このような機能を実現するために、制御装置間でやりとりされる信号には、前述の制御信号のほかに、故障診断信号を含むことが多い。このような故障診断信号は、一般的に前述の制御信号に比べて遅いサンプリングレートでやりとりされる。
特開平2003−19931号公報
しかしながら、制御ユニットの故障を厳密に検知するために多くの診断信号をモニタしたくても、電動ブレーキシステムのようにネットワーク容量の多くを制御信号の通信に使用している場合、診断信号のやりとりに多くの時間を要する。このため、故障が発生した際に、故障が発生してから実際に故障を検知するまでに多くの時間が必要になる。
本発明は、この故障が発生してから故障を検出するまでの時間差を短縮することを目的としてなされたものであって、本発明の車両制御システムは、車両に搭載された多対多の通信が可能なシリアルバスで接続された複数の制御装置と、前記シリアルバスに接続され、かつ、車両の走行状態を判断する走行状態判断手段を備えた統合制御装置と、を有し、前記複数の制御装置と統合制御装置との間で複数の制御信号と複数の故障診断信号を通信する車両制御システムであって、前記統合制御装置は前記走行状態判断手段の判断結果に基づく容量配分切り替え信号を、前記シリアルバスを介して前記複数の制御装置に放送し、前記複数の制御装置は受信した前記容量配分切り替え信号に基づいて、前記複数の制御信号と前記複数の故障診断信号のそれぞれのネットワーク使用容量を変化させることを特徴としている。
また、本発明の車両制御システムは、統合制御装置が車速に基づいて前記容量配分切り替え信号を変化させるようにことを特徴としている。
さらに、本発明の車両制御システムは、制御信号と故障診断信号について、単位サンプルあたりの通信量を変化させることにより、または、通信周期を変化させることにより制御信号と前記複数の故障診断信号のそれぞれのネットワーク使用容量を変化させることを特徴としている。
上記構成を備える本発明の車両制御システムは、制御システムを統括する統合制御装置が備える、走行状態判断手段によって導き出された判断結果に応じて制御信号と故障診断信号のそれぞれのネットワーク使用容量を変化させ、制御信号が使用しているネットワーク容量を抑制させ、空いた容量を自己診断信号に割り振ることによって故障が発生してから故障を検出するまでの時間差を短縮することができる。
本発明は、制御システムおよび制御システムによって、走行状態判断手段による判断結果が安全であると判断された場合には、通信線を追加せずとも、より多くのネットワーク容量を故障診断信号のやりとりに振り分けられるようになるため、より短時間で故障の検出を行うことが可能になる。
図1に本発明の一実施例である電動ブレーキシステムを搭載した車両の概略図を示す。車両1において、統合制御装置2は、電動ブレーキアクチュエータ3、4、5、6のそれぞれに対して制動力を適切に指示するための制御装置である。統合制御装置2は、電線11を介して接続されたブレーキ操作子9に取り付けられたブレーキ操作量センサ10によって、運転者の操作量や操作力を電気信号として取得する。統合制御装置2は、それらの検出値に基づいて4輪分の目標押しつけ力を算出し、電気信号に変換し、通信路を介して電動ブレーキアクチュエータ3、4、5、6に伝達する。
この実施例における統合制御装置2は、負荷の分散と二重化のために、前輪に配置された電動ブレーキアクチュエータ3、4とは第一サブネットワーク2aと、後輪に配置された電動ブレーキアクチュエータ5、6とは第二サブネットワーク2bと、それぞれ独立した通信路で接続している。電動ブレーキアクチュエータ3、4、5、6と統合制御装置2とを結ぶ第一サブネットワーク2aと第二サブネットワーク2bは、複数の制御装置を接続し、多対多の通信が可能なバス型ネットワークである。
電動ブレーキアクチュエータ3、4、5、6は、図2のように従来の油圧式ディスクブレーキのごとく、ブレーキパッド101をピストン103によって押し出し、ブレーキロータ102に押しつけることによって制動力を発生させる構成で、図示しない制御回路と図示しない電動モータおよび図示しないピストン機構を内蔵した機電一体構造を採用している。さらに、前記電動ブレーキアクチュエータ3、4、5、6には、図示しないラッチ機構を制御することによってピストン103を機械的に保持することができる電動パーキングブレーキ機能が搭載されており、図示しない電動モータが作動しない状況においても制動力を維持することが可能な構成となっている。この電動パーキングブレーキ機能は、第二サブネットワーク2bを介して前記統合制御装置2から電気信号によって適用および解除が可能である。
電動ブレーキアクチュエータ3、4、5、6は統合制御装置2から電気信号によって与えられた目標押しつけ力を発生するべく前記ピストン103を制御することによって、前記ブレーキロータ102の回転を制動し、その力が同一軸に取り付けられた図示しないタイヤに伝わり、車両を減速させる。
一方、前記統合制御装置2は、車両内の他の機能と通信を行うための基幹ネットワーク1aとも接続しており、たとえば、エンジンコントロールユニット7やオートマチックトランスミッションコントロールユニット8と情報交換を行って高度な車両制御を提供することが可能な構成となっている。前記基幹ネットワーク1aも、第一サブネットワーク2aと第二サブネットワーク同様、複数の制御装置を接続し、多対多の通信が可能なバス型ネットワークである。
前記電動ブレーキアクチュエータ3、4、5、6は、前記統合制御装置2から送られる目標押しつけ力に基づいて制動力を発生させ、得られた実押しつけ力を前記統合制御装置2にフィードバックしている。この目標押しつけ力と、実押しつけ力は、車両がいかなる状態にあろうと所定の応答時間の範囲内で制御できるように、たとえば、1msの高速な周期でやりとりされる。他にも、ピストン103の位置を把握するための、ピストン位置情報などをやりとりすることも考えられる。
また、本実施例に関わる統合制御装置2および電動ブレーキアクチュエータ3、4、5、6は、前記目標押しつけ力やピストン位置情報のような制御に関わる信号だけでなく、故障を検知するための故障診断信号もやりとりしている。故障診断信号には、電動ブレーキアクチュエータ3、4、5、6が内部に備えている自己診断機能による診断結果と、前記統合制御装置2が電動ブレーキアクチュエータ3、4、5、6を相対的に診断する(以下、相対診断と呼ぶ)ための電動ブレーキアクチュエータ内部の状態信号とがある。
この故障診断信号のうち、前者はデータ量が少ないために所定のサンプリングレートをもって定期的に前記電動ブレーキアクチュエータ3、4、5、6から前記統合制御装置2に対して送られる。しかしながら、後者は、一つの電動ブレーキアクチュエータの正常度合いを他の電動ブレーキアクチュエータと相対的に比較して診断するための判断材料であり、データ量が多い。これは、診断をより正確なものとするためには、数多くの状態を採取しなければならないからである。したがって、診断をするにあたっては、情報の伝達に多くの時間を要することになる。
制御対象にもよるが、直ちに車両挙動に影響が出る場合を除いて、一般的に、故障診断信号は制御に関わる信号に比べて、サンプリングレートが相当遅く、相対診断が完了するまでにはさらに時間を要することになる。この相対診断に要する時間を短縮するためには、単位サンプルあたりの通信量を高めればよいが、電動ブレーキシステムのように高速な応答を求められる環境では、ネットワークの容量に余裕がないことが多く、簡単に故障診断信号の通信量を高めることができない。
そこで、本実施例に関わる電動ブレーキシステムでは、前記統合制御装置2によって車両の走行状態を判断し、制御信号のサンプリングレートを遅くして、代わりに故障診断信号の単位サンプルあたりの通信量を高める容量配分切り替え機能を有している。この、容量配分の切り替えの様子を模式的に示したのが図6である。図6において、太い水平のラインは時間軸である。aは制御信号の通信に費やしている期間であり、bが故障診断信号の通信に費やしている期間である。また、時刻t1とt2に現れるcとdは統合制御装置からの容量配分切り替え信号であり、cが安定時に放送される信号で、dが非安定時に放送される信号である。つまり、t1以前、すなわちt1より左側と、t2以降、すなわちt2より右側は車両が非安定の状態で、t1とt2で囲まれた期間が、車両が安定の状態にあることを表している。t1以前とt2以降に比べて、t1とt2で囲まれた期間は制御信号のサンプリングレートが遅くなっていること、すなわち通信周期が長くなっていることがわかる。さらに、t1とt2で囲まれた期間では、故障診断信号の通信に費やされる時間bがそれ以外の期間よりも長くなっており、単位サンプルあたりの通信量が増大していることがわかる。つまり、t1以前とt2以降では、複数の故障診断信号をbの期間に小分けに通信していたものが、t1とt2に囲まれた期間では、より大きな単位で送ることができるようになり、相対診断に必要な故障診断信号の通信が短時間で完了することになるのである。
図6では、故障診断信号の単位サンプルあたりの通信量を増大して故障診断信号の通信量を増やし、また、制御信号の通信周期が長くなって制御信号の通信量が減っているが、制御信号及び故障診断信号について、通信周期を変えるとともに単位サンプルあたりの通信量を変えることによって制御信号と故障診断信号のそれぞれのネットワーク使用容量を変化させてもよい。
次に、図3に統合制御装置2に備わっている走行状態判断手段の動作を説明する。なお、この走行状態判断手段で用いる車速信号は基幹ネットワーク1aを介してエンジンコントロールユニット7から取得し、ブレーキペダル操作量信号は電線11を介してブレーキ操作量センサ10から取得している。
ステップ201にて、走行状態の判断を開始すると、最初にステップ202にて車速情報を元に車両が停止しているかどうか、すなわち車速が0かどうか判断する。そして、車両が停止、すなわち、車速が0であれば、ステップ205に、そうでなければステップ203に移動する。ステップ203では、自車両が時速10km/h以下かどうかを調べて、時速10km/h以下であればステップ204に、時速10km/hより速度が出ていればステップ206に移動する。ステップ204では、ブレーキ操作量センサ10より取得したブレーキ操作量信号によって、ブレーキペダルが踏み込まれているかどうか、すなわち、ブレーキ操作量信号が0かどうかを検査する。ここで、ブレーキ操作量信号が0であれば、ステップ205に移動し、そうでなければ、ステップ206に移動する。ステップ205では、走行状態判断処理の結果である現在の走行状態を安定とし、ステップ207にて処理を終える。ステップ206では、走行状態判断処理の結果である現在の走行状態を非安定とし、ステップ207にて処理を終える。
この走行状態判断手段によって走行状態が安定していると判断された場合には、前記統合制御装置2は、容量配分切り替え信号をサブネットワーク2aおよびサブネットワーク2bを介して前記電動ブレーキアクチュエータ3、4、5、6に対して伝達する。容量配分切り替え信号を受信した前記電動ブレーキアクチュエータ3、4、5、6は、図4のテーブルのごとく制御信号と故障診断信号のネットワーク使用容量を切り替える。
容量配分切り替え処理は、走行状態に変化があると実行される処理で、図5のごとく実現される。
走行状態に変化があると、ステップ301に遷移する。続いて、ステップ302で走行状態が安定か非安定かを判別し、安定ならばステップ303に、非安定なら304に進む。ステップ303では、サブネットワーク2aおよび2bを介して電動ブレーキアクチュエータ3、4、5、6に配分bに切り替えるようにメッセージを送信し、ステップ305に進み処理を完了する。ステップ304では、サブネットワーク2aおよび2bを介して電動ブレーキアクチュエータ3、4、5、6に配分aに切り替えるようにメッセージを送信し、ステップ305に進み処理を完了する。
これによって制御に関わる信号の使用するネットワーク容量を減らして、代わりに故障診断信号の使用する容量を増やすことができ、結果として前記電動ブレーキアクチュエータ3、4、5、6の相対診断を早めることが可能になる。
1 車両、1a ネットワーク、2 前記統合制御装置、2 統合制御装置、2a サブネットワーク、2b サブネットワーク、3 ブレーキアクチュエータ、5 ブレーキアクチュエータ、7 エンジンコントロールユニット、8 オートマチックトランスミッションコントロールユニット、9 操作子、10 センサ、11 電線、t1 時刻、101 ブレーキパッド、102 ブレーキロータ、103 ピストン
Claims (5)
- 車両に搭載された多対多の通信が可能なシリアルバスで接続された複数の制御装置と、前記シリアルバスに接続され、かつ、車両の走行状態を判断する走行状態判断手段を備えた統合制御装置と、を有し、前記複数の制御装置と統合制御装置との間で複数の制御信号と複数の故障診断信号を通信する車両制御システムであって、
前記統合制御装置は前記走行状態判断手段の判断結果に基づく容量配分切り替え信号を、前記シリアルバスを介して前記複数の制御装置に放送し、前記複数の制御装置は受信した前記容量配分切り替え信号に基づいて、前記複数の制御信号と前記複数の故障診断信号のそれぞれのネットワーク使用容量を変化させることを特徴とする車両制御システム。 - 請求項1の車両制御システムにおいて、前記統合制御装置は、少なくとも車速に基づいて前記容量配分切り替え信号を変化させることを特徴とする車両制御システム。
- 請求項1又は2の車両制御システムにおいて、前記制御装置は、前記制御信号と前記故障診断信号について、単位サンプルあたりの通信量を変化させることを特徴とする車両制御システム。
- 請求項1ないし3のいずれか一項の車両制御システムにおいて、前記制御装置は、前記制御信号と前記故障診断信号の通信周期を変化させることを特徴とする車両制御システム。
- 請求項1ないし4のいずれか一項の車両制御システムにおいて、前記統合制御装置は、前記走行状態判断手段の判断結果に変化があったときだけ前記容量配分切り替え信号を放送することを特徴とする車両制御システム。
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JP2006015545A JP2007196767A (ja) | 2006-01-24 | 2006-01-24 | 車両制御システム |
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2006
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