JP2007195543A - 乾燥微生物菌体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 微生物菌体の品質を低下させることなく、しかも、微粉化の問題がない、安価な微生物菌体の加熱処理方法により、乾燥微生物菌体を製造する方法を開発する。
【解決課題】 上記課題は微生物菌体を、200〜450℃(品温)で1〜30秒間加熱することを特徴とする、乾燥微生物菌体の製造方法によって解決される。
【選択図】 なし
【解決課題】 上記課題は微生物菌体を、200〜450℃(品温)で1〜30秒間加熱することを特徴とする、乾燥微生物菌体の製造方法によって解決される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、各種発酵菌体、活性汚泥等の微生物菌体を品質を低下させることなく加熱処理することにより乾燥微生物菌体を製造する方法に関するものである。
発酵ブロス中の微生物菌体は膜ろ過や遠心分離機などによって濃縮し、得られた微生物菌体重液を流動乾燥機内にスプレーして乾燥する方法が一般的である。
例えば、特許文献1には、アミノ酸発酵菌の懸濁液を回転ディスク型蒸発器を用いて乾燥し、次いで、密閉型乾燥器を用いて更に乾燥する方法が開示されている。これは、従来微粉であった乾燥微生物菌体の取扱性を改善するためにフレーク状としたものであり、2段の乾燥にいずれも蒸気を用いて、高温で1時間以上加熱している。
例えば、特許文献1には、アミノ酸発酵菌の懸濁液を回転ディスク型蒸発器を用いて乾燥し、次いで、密閉型乾燥器を用いて更に乾燥する方法が開示されている。これは、従来微粉であった乾燥微生物菌体の取扱性を改善するためにフレーク状としたものであり、2段の乾燥にいずれも蒸気を用いて、高温で1時間以上加熱している。
このように、従来の微生物菌体乾燥では、高温で長時間加熱されるため、乾燥微生物菌体の品質の低下、例えば、乾燥微生物菌体はメイラード反応に伴う着色が起こりやすく、茶褐色に変色する。また、微生物菌体蛋白中のアミノ酸、特に、必須アミノ酸でありながら最も熱に弱いリジンが乾燥時の熱で壊れてしまう。さらに、スプレー乾燥では、微粉化して乾燥されるため微生物菌体は粉塵となり易く、取り扱いが困難でしかも粉塵爆発の危険性も考慮する必要が生ずる。また、生産性も低いため乾燥に必要なコストが高くなる。
その他、取得された微生物菌体重液、または更に微生物菌体重液をフィルタープレスなどで圧搾ろ過した微生物菌体ケーキをドラムドライヤーで乾燥する方法もあるが、設備生産性が低くコスト高である。
その他、取得された微生物菌体重液、または更に微生物菌体重液をフィルタープレスなどで圧搾ろ過した微生物菌体ケーキをドラムドライヤーで乾燥する方法もあるが、設備生産性が低くコスト高である。
本発明者らは、これらの課題を解決して、微生物菌体の品質を低下させず、しかも、微粉化の問題がない、安価な加熱処理方法により、乾燥微生物菌体を製造するべく鋭意検討した。
その結果、エクストルーダーを用いて原材料を迅速に搬送させながら混合、混練、加熱ができるスクリュウ上に原材料を連続的に投入し、スクリュウの中で原材料の品温が超高温(200〜450℃)下で瞬間(1〜30秒間)的な加熱状態で処理を行った。具体的には原材料を投入口から温度勾配をつけて加熱しながら、スクリュウ内で迅速に搬送させ、スクリュウの出口に到達した原材料は圧力をかけずに、そのまま大気(1気圧)中に放出させる方法で超高温瞬間加熱を行った。
ここで、本加熱処理において重要なポイントは、エクストルーダースクリュウ先端にあるダイ(開度調整弁)を取り付けずに開放系にして、出口先端で加熱原材料に圧力を掛けないようにすることにある。そのことによって、初めて、このような超高温(200〜450℃)での瞬間(1〜30秒間)的な加熱が実現できる。エクストルーダーを用いる一般的な方法はスクリュウ出口にはダイ(開度調整弁)が取り付けられ、加熱された原材料がスリットを通過することで、先端圧力や滞留時間が調製され殺菌処理を行うが、先端に圧力が掛かった状態では滞留時間が長くなり、超高温(200〜450℃)下で加熱すると微生物菌体蛋白は殆ど焦げ付いてしまい、蛋白としての機能を全く果せなくなる。
本発明は、これらの知見に基いてなされたものであり、微生物菌体を、エクストルーダーに送入し、その内部で品温を200〜450℃で1〜30秒間加熱処理することを特徴とする、乾燥微生物菌体の製造方法を提供するものである。
本発明のエクストルーダーによる超高温(200〜450℃)瞬間(1〜30秒間)加熱処理型の連続乾燥の方法では、乾燥に必要な滞留時間が極めて短いため、乾燥された微生物菌体の品質の品質低下が殆どないか、むしろ向上する。
例えば、乾燥された微生物菌体の褐変による変質が殆どなく、栄養価の減少もない。微生物菌体蛋白中のアミノ酸、特にリジンの減少がない。また、微生物菌体蛋白の消化性が向上するなどである。加熱後、微生物菌体はエクストルーダーのスクリュウ出口から排出されると同時に水分は気化熱を奪いながら瞬間的に気化することに伴い、微生物菌体の品温が劇的に低下しながら乾燥される。そのため、乾燥後直ちに微生物菌体を改めて冷却しなくても、品質の低下は殆ど起こらない。
例えば、乾燥された微生物菌体の褐変による変質が殆どなく、栄養価の減少もない。微生物菌体蛋白中のアミノ酸、特にリジンの減少がない。また、微生物菌体蛋白の消化性が向上するなどである。加熱後、微生物菌体はエクストルーダーのスクリュウ出口から排出されると同時に水分は気化熱を奪いながら瞬間的に気化することに伴い、微生物菌体の品温が劇的に低下しながら乾燥される。そのため、乾燥後直ちに微生物菌体を改めて冷却しなくても、品質の低下は殆ど起こらない。
また、乾燥微生物菌体は顆粒状で取得できるため、製品の取り扱い操作性は極めて良く、また、粉塵爆発などの危険性もない。
更に、加熱の滞留時間は極めて短いため、設備生産性が高く、乾燥に必要なコストを低減できる。
このように、本発明による加熱処理方法は、これまでの幾多の問題点が解消できるため、メリットのある極めて有効な乾燥方法と言える。
更に、加熱の滞留時間は極めて短いため、設備生産性が高く、乾燥に必要なコストを低減できる。
このように、本発明による加熱処理方法は、これまでの幾多の問題点が解消できるため、メリットのある極めて有効な乾燥方法と言える。
本発明の製造方法に用いられる装置は特に限定されない。所定の温度で加熱処理することができ、所定の被加熱時間が与えられる装置を用いることができる。好ましくは現実的な装置の一例としてエクストルーダーを挙げることができる。なお、エクストルーダーは、200〜450℃に加熱できるものであればよく、市販品をそのままあるいは改造して用いることができる。
本発明では、微生物菌体を200〜450℃程度で1〜30秒間程度加熱するが、200〜450℃の温度は厳密には品温である。
好ましい加熱温度は250〜400℃程度(品温)、より好ましくは250℃〜370℃、特に好ましくは280℃〜350℃である。また、好ましい加熱時間は1〜20秒間程度、より好ましくは5秒〜15秒間、特に好ましくは2〜10秒間程度である。加熱時間はエクストルーダーに装着されているヒーターを調整することにより、そして、加熱時間は、微生物菌体の投入速度とスクリューの回転速度を調整することによりコントロールできる。しかしながら、1〜30秒間で微生物菌体をエクストルーダーを通過させることは困難である。そこで、その対策としては、エクストルーダー吐出端のダイを取外し、あるいは吐出口径の大きなものと取替えるなどして、エクストルーダー内の移送速度をはやめる。そして、さらに、エクストルーダー内部全体を200〜450℃に加熱するのではなく、一部にとどめるのがよい。この加熱部位を上流あるいは中流にした場合、その下流側を200℃未満に冷却する必要があるので、下流側(吐出口側)とするのがよい。
好ましい加熱温度は250〜400℃程度(品温)、より好ましくは250℃〜370℃、特に好ましくは280℃〜350℃である。また、好ましい加熱時間は1〜20秒間程度、より好ましくは5秒〜15秒間、特に好ましくは2〜10秒間程度である。加熱時間はエクストルーダーに装着されているヒーターを調整することにより、そして、加熱時間は、微生物菌体の投入速度とスクリューの回転速度を調整することによりコントロールできる。しかしながら、1〜30秒間で微生物菌体をエクストルーダーを通過させることは困難である。そこで、その対策としては、エクストルーダー吐出端のダイを取外し、あるいは吐出口径の大きなものと取替えるなどして、エクストルーダー内の移送速度をはやめる。そして、さらに、エクストルーダー内部全体を200〜450℃に加熱するのではなく、一部にとどめるのがよい。この加熱部位を上流あるいは中流にした場合、その下流側を200℃未満に冷却する必要があるので、下流側(吐出口側)とするのがよい。
本発明で原料となる微生物菌体とはグルタミン酸、グルタミン、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、スレオニンなどの各種アミノ酸発酵(Brevibacterium flavam,Brevibacterium lactofermentum,Corynebacterium glutamicum,Escherichia coliなど)を行うために生育させた発酵菌体およびイノシン、グアノシンなどの各種核酸発酵(Bacillus subtilisなど)を行うために生育させた発酵菌体および活性汚泥菌体などである。但し、その他、一般の細菌、カビ、酵母などの微生物菌体でも加熱乾燥は可能であり、特に微生物を特定するものではない。
これらの発酵ブロス中で生育した発酵微生物菌体は、通常、発酵ブロスの膜ろ過や遠心分離、更には圧搾ろ過機などにより濃縮、脱水されたものを原料として用いことによって、より効率的に加熱乾燥が出来る。通常、原料となる加熱前の微生物菌体の水分含量は20〜90%(固形物含量で10〜80%)、好ましくは40〜60%(固形物含量で40〜60%)である。
本発明の加熱処理方法で得られる乾燥微生物菌体は、その水分含量によって形状を変化させることが可能である。すなわち、水分含量がおおよそ5%未満であれば粉末状であり、おおよそ5〜15%であれば顆粒状であり、おおよそ15%以上であれば塊状となる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。尚、実施例におけるin vitro評価項目は、次の方法に準じて行った。
<in vitroでの測定法>
<微生物菌体中の全窒素量の測定>
微生物菌体試料の約5gを乳鉢にて粉砕した後、その約20mgを正確に秤量する。これを(株)住化分析センター社製の高感度N,C−ANALYZER SUMIGRAPH NC−800 自動分析計(測定原理;試料を純酸素ガス中で完全燃焼(840℃)させ、生成した窒素ガスと二酸化炭素ガスをガスクロマトグラフィーにより分析)により全窒素分析を行い、全窒素量を求めた。分析された全窒素量N(%)から、これに蛋白換算係数の6.25(g/g)を乗じて、菌体中の全蛋白質含有率P0(%)を一般式(1)で求めた。
P0(%)=N(%)×6.25 (1)
<水溶性蛋白質(WSP)の測定>
50mlFALCON製コニカルチューブに全窒素分析に用いた微生物菌体を入れ、所定の加熱処理をし、得られた加熱処理試料4.00gを秤量し、これに約40mlの水を加え攪拌してpHが6.2〜6.8であることを予め確認(範囲外のときは希塩酸または希水酸化ナトリウム水溶液で調整)した後、更に水を加えて容量を50mlに調整して、コニカルチューブに蓋をした。このコニカルチューブを往復振とう機にて40℃、100rpm、90分間振とうを行い、その後直ちに遠心分離機にて3,000rpm,10分間遠心して上澄液と残渣とを分離した。回収した上澄液は更に0.45μmのミリポアフィルター(Cellulose Acetate Filter; Toyo RoshiKaisha,Ltd.製)でろ過を行い、得られたろ液を水溶性蛋白質(「WSP」と略すこともある)測定用試料とした。他方、該残渣の全量は消化酵素(ペプシン)による可溶化蛋白質の測定用試料とした。一方、微生物菌体中の全窒素量の測定により加熱処理試料中の全窒素量N1(%)から蛋白質含有率P1(%)を一般式(1)から求めた。
(2)<測定>
可溶性大豆蛋白質(蛋白質含量61.8%)の水溶液をスタンダードとして、比色分析法のBradford法(キットはBio−Rad社製を使用)にて行い、前処理操作で得た該ろ液中の水溶性蛋白質の濃度Cp(g/L)を求めた。これより一般式(2)でろ液中の水溶性蛋白質量WSP(g)を求めた。
WSP(g)=Cp(g/L)×50/1000(L) (2)
<不溶性蛋白質(ISP)量の計算方法>
不溶性蛋白質量(ISP)(g)を加熱処理試料4.00g中の蛋白質量P1(g)と水溶液中に溶解した水溶性蛋白質量WSP(g)との差から計算で求めた。
ISP(g)=P1(g)−WSP(g)
=4.00g×N1(%)/100×6.25(g/g)−WSP(g) (3)
<指標項目[A]の計算方法>
指標項目[A]はISPとWSPの比で表した。
指標項目[A](g/g)=ISP(g)/WSP(g) (4)
<微生物菌体中の全窒素量の測定>
微生物菌体試料の約5gを乳鉢にて粉砕した後、その約20mgを正確に秤量する。これを(株)住化分析センター社製の高感度N,C−ANALYZER SUMIGRAPH NC−800 自動分析計(測定原理;試料を純酸素ガス中で完全燃焼(840℃)させ、生成した窒素ガスと二酸化炭素ガスをガスクロマトグラフィーにより分析)により全窒素分析を行い、全窒素量を求めた。分析された全窒素量N(%)から、これに蛋白換算係数の6.25(g/g)を乗じて、菌体中の全蛋白質含有率P0(%)を一般式(1)で求めた。
P0(%)=N(%)×6.25 (1)
<水溶性蛋白質(WSP)の測定>
50mlFALCON製コニカルチューブに全窒素分析に用いた微生物菌体を入れ、所定の加熱処理をし、得られた加熱処理試料4.00gを秤量し、これに約40mlの水を加え攪拌してpHが6.2〜6.8であることを予め確認(範囲外のときは希塩酸または希水酸化ナトリウム水溶液で調整)した後、更に水を加えて容量を50mlに調整して、コニカルチューブに蓋をした。このコニカルチューブを往復振とう機にて40℃、100rpm、90分間振とうを行い、その後直ちに遠心分離機にて3,000rpm,10分間遠心して上澄液と残渣とを分離した。回収した上澄液は更に0.45μmのミリポアフィルター(Cellulose Acetate Filter; Toyo RoshiKaisha,Ltd.製)でろ過を行い、得られたろ液を水溶性蛋白質(「WSP」と略すこともある)測定用試料とした。他方、該残渣の全量は消化酵素(ペプシン)による可溶化蛋白質の測定用試料とした。一方、微生物菌体中の全窒素量の測定により加熱処理試料中の全窒素量N1(%)から蛋白質含有率P1(%)を一般式(1)から求めた。
(2)<測定>
可溶性大豆蛋白質(蛋白質含量61.8%)の水溶液をスタンダードとして、比色分析法のBradford法(キットはBio−Rad社製を使用)にて行い、前処理操作で得た該ろ液中の水溶性蛋白質の濃度Cp(g/L)を求めた。これより一般式(2)でろ液中の水溶性蛋白質量WSP(g)を求めた。
WSP(g)=Cp(g/L)×50/1000(L) (2)
<不溶性蛋白質(ISP)量の計算方法>
不溶性蛋白質量(ISP)(g)を加熱処理試料4.00g中の蛋白質量P1(g)と水溶液中に溶解した水溶性蛋白質量WSP(g)との差から計算で求めた。
ISP(g)=P1(g)−WSP(g)
=4.00g×N1(%)/100×6.25(g/g)−WSP(g) (3)
<指標項目[A]の計算方法>
指標項目[A]はISPとWSPの比で表した。
指標項目[A](g/g)=ISP(g)/WSP(g) (4)
<不溶性蛋白質(ISP)の消化酵素による可溶化蛋白質(PSP)量の測定>
(1)水溶性蛋白質(WSP)の測定の前処理操作で得た残渣(不溶性蛋白質(ISP))に水を約20ml加え、混合してスラリー液とし、6N−塩酸を加えてpHを2.0に調整した後、更に水を加えて液量を40mlに調製した。
コニカルチューブは蓋をし、往復振とう機にて37℃、100rpmの振とうをスラリー液の液温が37℃になるまで約10分間行った。
(2)温度、pHが一定となったところで、予め秤量しておいた0.50gの消化酵素粉末(ペプシン:和光純薬工業(株)製ブタ胃粘膜由来 Pepsin 1:10,000, from Porcine Stomach Mucosa)を一度に添加し、手で手短に(約15秒間)激しく混合して消化酵素を溶解させた(以後、酵素分解用スラリー液という)直後にこの液の約0.3mlをサンプリングして、0.45μmのミリポアフィルターにてろ過を実質的に酵素分解が始まらない1分以内に行い、ISP残渣を除いたろ液−1を得た。
(3)残りの酵素分解用スラリー液はそのまま、37℃、100rpmで振とうし、ペプシンによる不溶性蛋白質(ISP)の可溶化反応を60分間行った。反応後は直ちに反応液の一部約0.3mlをサンプリングし、(2)と同様に、0.45μmのミリポアフィルターにてろ過を行い、ろ液−2(ISPの可溶化蛋白質測定液)を得た。
(4)(2)および(3)で得られたろ液−1及びろ液−2について、各々を約20mg正確に秤量し、(株)住化分析センター社製の高感度NC−ANALYZER SUMIGRAPH NC−800自動分析計にて全窒素の分析を行い、それぞれの分析値Nb(%)及びN60(%)を得た。
(5)このようにして得られた反応前後での全窒素の分析値Nb(%)及び
N60(%)より、不溶性蛋白質(ISP)が60分後に可溶化した蛋白質
の量(ISPの可溶化蛋白質(PSP)量(g)を一般式(5)により求め
た。
PSP(g)=[N60(%)/100−Nb(%)/100]
×6.25(g/g)×40ml× 密度1.00(g/ml) (5)
(6)PSP(g)と(ISP)(g)との比を次式により求め、指標項目[B]とした。
指標項目[B](g/g)=PSP(g)/ISP(g) (6)
(1)水溶性蛋白質(WSP)の測定の前処理操作で得た残渣(不溶性蛋白質(ISP))に水を約20ml加え、混合してスラリー液とし、6N−塩酸を加えてpHを2.0に調整した後、更に水を加えて液量を40mlに調製した。
コニカルチューブは蓋をし、往復振とう機にて37℃、100rpmの振とうをスラリー液の液温が37℃になるまで約10分間行った。
(2)温度、pHが一定となったところで、予め秤量しておいた0.50gの消化酵素粉末(ペプシン:和光純薬工業(株)製ブタ胃粘膜由来 Pepsin 1:10,000, from Porcine Stomach Mucosa)を一度に添加し、手で手短に(約15秒間)激しく混合して消化酵素を溶解させた(以後、酵素分解用スラリー液という)直後にこの液の約0.3mlをサンプリングして、0.45μmのミリポアフィルターにてろ過を実質的に酵素分解が始まらない1分以内に行い、ISP残渣を除いたろ液−1を得た。
(3)残りの酵素分解用スラリー液はそのまま、37℃、100rpmで振とうし、ペプシンによる不溶性蛋白質(ISP)の可溶化反応を60分間行った。反応後は直ちに反応液の一部約0.3mlをサンプリングし、(2)と同様に、0.45μmのミリポアフィルターにてろ過を行い、ろ液−2(ISPの可溶化蛋白質測定液)を得た。
(4)(2)および(3)で得られたろ液−1及びろ液−2について、各々を約20mg正確に秤量し、(株)住化分析センター社製の高感度NC−ANALYZER SUMIGRAPH NC−800自動分析計にて全窒素の分析を行い、それぞれの分析値Nb(%)及びN60(%)を得た。
(5)このようにして得られた反応前後での全窒素の分析値Nb(%)及び
N60(%)より、不溶性蛋白質(ISP)が60分後に可溶化した蛋白質
の量(ISPの可溶化蛋白質(PSP)量(g)を一般式(5)により求め
た。
PSP(g)=[N60(%)/100−Nb(%)/100]
×6.25(g/g)×40ml× 密度1.00(g/ml) (5)
(6)PSP(g)と(ISP)(g)との比を次式により求め、指標項目[B]とした。
指標項目[B](g/g)=PSP(g)/ISP(g) (6)
リジン生産菌であるEscherichia coli WC196株(Escherichia coli AJ13069株と命名され、平成6年12月6日付で工業技術院生命工学工業技術研究所(現 独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に受託番号FERM P−14690として寄託され、平成7年9月29日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP−5252が付与されている)を培養して得られた発酵ブロス中の発酵微生物を加熱殺菌(120℃、3分間)した後、通常の膜ろ過および遠心分離によってリジン生産菌を濃縮し、水分80%のリジン菌体重液(固形物含量20%)を取得した。更に、取得した水分80%のリジン菌体重液からは圧搾ろ過機によって脱水を行い、水分60%の微生物菌体ケーキを得た。なお、水分80%の微生物菌体重液については、流動乾燥機(VOMM(株)製ターボドライヤー)を用いた乾燥(乾燥条件:送風温度185℃、微生物菌体の品温107℃、滞留時間25分間)を行い、水分5.2%の乾燥微生物菌体を取得した(試験区1)。次に、このようにして得られた水分80%の微生物菌体重液、および水分60%の微生物菌体ケーキについては、それぞれエクストルーダーによる加熱乾燥処理を行った。なお、エクストルーダーには、スクリュウの出口に装着してあるダイを取り外した(株)日本製鋼所製ラボ用2軸エクストルーダー「マークII」(スクリュウサイズ:長さ450mm、口径30mm)を用い、運転でのスクリュウ回転数は400rpmで行った。水分80%の微生物菌体重液の場合は乾燥微生物菌体を取得することは出来たが、生産性は極めて低かった(試験区2)。水分80%の微生物菌体重液から更に圧搾ろ過して得た水分60%の微生物菌体ケーキの加熱乾燥については、品温300℃で加熱時間を15秒間(試験区3)、10秒間(試験区4)、5秒間(試験区5)、品温400℃で加熱時間を7秒(試験区6)、品温250℃で加熱時間を20秒(試験区7)および品温200℃で加熱時間を25秒(試験区8)として行った結果、極めて効率的に乾燥が行われた。試験区1、試験区3、試験区4、試験区5、試験区6、試験区7および試験区8で得られた各々のリジン発酵乾燥微生物菌体の品質評価の結果を以下に示す。
加熱乾燥後の着色度のランク付け:
1;乾燥前、2;やや着色あり、3;着色あり、4;強い着色あり、5;焦げた状態
乾燥微生物菌体蛋白中のリジンの回収率の分析:
リジン菌体5.0gを6N−塩酸中で103℃、24時間加熱処理した後、遊離したリジンをアミノ酸アナライザーにて分析して求めた。
1;乾燥前、2;やや着色あり、3;着色あり、4;強い着色あり、5;焦げた状態
乾燥微生物菌体蛋白中のリジンの回収率の分析:
リジン菌体5.0gを6N−塩酸中で103℃、24時間加熱処理した後、遊離したリジンをアミノ酸アナライザーにて分析して求めた。
表に示すように、本発明による加熱乾燥方法によって得られた乾燥微生物菌体は、着色および微生物菌体蛋白中のリジンの減少も殆どないことが判る。また、得られる乾燥微生物菌体は顆粒状であり微粉により作業環境を悪くするといったことがないため、現場での取り扱いも容易である。更に、加熱の滞留時間は15秒程度と短く、流動乾燥法の100分の1の時間である。従って、加熱乾燥の生産性が極めて高いため安価なコストで製品を得ることが出来る。
上記の試験区1、3、4、5で得られた乾燥微生物菌体、水分80%の微生物菌体重液から更に圧搾ろ過して得た水分60%の微生物菌体ケーキを品温200℃で加熱時間を15秒(試験区9)、品温200℃で加熱時間を5秒(試験区10)、品温250℃で加熱時間を15秒(試験区11)、品温250℃で加熱時間を5秒(試験区12)、品温350℃で加熱時間を15秒(試験区13)、品温350℃で加熱時間を5秒(試験区14)、品温400℃で加熱時間を15秒(試験区15)、品温400℃で加熱時間を5秒(試験区16)として行った結果得られた乾燥微生物菌体および加熱乾燥前のリジン発酵菌体ケーキについては、in vitro試験により、反芻動物に於けるバイパス性(パラメーター[A]に相当)、消化性(パラメーター[B]に相当)および反芻動物に於ける小腸での有効蛋白性(パラメーター[A]・[B]に相当)を評価した。
上記の結果から明らかなように、本発明による加熱処理法で得られた乾燥微生物菌体蛋白の消化性を示すパラメーターである[B]値は、従来の乾燥方法で得られた乾燥微生物菌体蛋白の場合よりほとんどの試験区において向上していた。よって、微生物菌体の乾燥と同時に微生物菌体蛋白の品質が向上しており、本発明による加熱処理法で得られた乾燥微生物菌体蛋白は飼料添加物として有効であることが確認された。また、反芻動物における小腸での有効蛋白性を示すパラメーターである[A]・[B]値もほとんどの試験区において向上しているので、反芻動物用飼料としても有効であることが確認された。
本発明で得られる乾燥微生物菌体は、蛋白質の変質が少なく、飼料添加物等として利用できる。
Claims (5)
- 微生物菌体を、200〜450℃(品温)で1〜30秒間加熱処理することを特徴とする、乾燥微生物菌体の製造方法
- 加熱処理装置がエクストルーダーであることを特徴とする請求項1に記載の乾燥微生物菌体の製造方法
- 品温を250〜370℃で1〜20秒間加熱処理することを特徴とする請求項1または2に記載の乾燥微生物菌体の製造方法
- 加熱処理後、乾燥微生物菌体に含まれる水分含量が5〜15%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の乾燥微生物菌体の製造方法
- 乾燥微生物菌体が飼料用乾燥微生物菌体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法
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JP2006349190A Pending JP2007195543A (ja) | 2005-12-28 | 2006-12-26 | 乾燥微生物菌体の製造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2007195543A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2022537968A (ja) * | 2019-06-14 | 2022-08-31 | シージェイ チェルジェダン コーポレイション | コリネバクテリウム属菌株およびその培養物を含む胃腸疾患予防、治療または改善用組成物 |
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2006
- 2006-12-26 JP JP2006349190A patent/JP2007195543A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2022537968A (ja) * | 2019-06-14 | 2022-08-31 | シージェイ チェルジェダン コーポレイション | コリネバクテリウム属菌株およびその培養物を含む胃腸疾患予防、治療または改善用組成物 |
JP7293406B2 (ja) | 2019-06-14 | 2023-06-19 | シージェイ チェルジェダン コーポレイション | コリネバクテリウム属菌株およびその培養物を含む胃腸疾患予防、治療または改善用組成物 |
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