JP2007193778A - 量子計算基本素子及び量子計算方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 量子計算基本素子及び量子計算方法に関し、イオンの振動状態の揺らぎに影響されることなく高速に計算処理を行う。
【解決手段】 高周波電場を印加する4本のロッド電極からなる四重極電極1と静電場が印加されるとともに四重極電極1を囲み四重極電極の延在方向に対向配置されたリング状電極2とからなりイオンをトラップするリニアパウルトラップと、四重極電極1の延在方向の磁場を印加する磁場印加手段3と、前記イオンに冷却用のレーザ光を照射する機能、イオンの内部状態をユニタリ変換するためのレーザ光を照射する機能、イオン間の磁気モメントにより相互作用している2つのイオンの内部状態を変換するための機能、及び、計算結果を検出するためのレーザ光を照射する機能を備えたレーザ照射手段5とを少なくとも設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は量子計算基本素子及び量子計算方法に関するものであり、特に、イオントラップを利用した量子計算基本素子においてイオンの振動状態に依存せずに量子計算の基本素子を実現するための構成に特徴のある量子計算基本素子及び量子計算方法に関するものである。
近年、従来のコンピュータでは因数分解の原理に基づく暗号解読の現実的な時間内での不可能性を打破するものとして、量子コンピュータが注目を集めており各種の研究が盛んになされている。
量子計算は、従来のコンピュータが”0”か”1”の2つの状態をとるビットを量子計算要素にするのに対して、|0〉と|1〉の量子状態の重ね合わせ状態を取り得るようにした量子ビット(キュービット:qubit)を計算要素として用いるものである。
現在、このような量子計算を実現するために、NMR(核磁気共鳴)における核スピン、イオントラップ中のイオン、量子ドット、或いは、ジョセフソン接合を用いて各種の研究がなされている。
この内、イオンの内部状態を量子ビットとして用いるイオントラップを用いる手法は、・振動基底状態までの冷却とレーザ照射による状態の初期化が可能である点、
・デコヒーレンスが小さい点、
・レーザ照射により個々の量子ビットに対するゲート操作が可能である点、
・演算結果のための状態検出がシェルビング法を用いて100%に近い効率で行うことができる点、
等の各種の特長により注目を集めている(例えば、非特許文献1乃至非特許文献3参照)。
ここで、図13を参照して、従来のリニアパウルトラップを説明する。
図13参照
図13は、従来のリニアパウルトラップの概念的斜視図であり、4本のロッド電極62〜65からなる四重極電極61と、両端に設けた2個のリング状電極66,67とからなり、4本のロッド電極62〜65の内の対向する2本を接地するとともに、他方の一対の電極にVcosΩtのRF電圧を印加し、且つ、2個のリング状電極66,67に正の定電位Uを印加するものである。
この場合、リニアパウルトラップにトラップされるイオンをレーザ冷却して断熱近似が成立する状況をつくり出すことによって、複数個のイオンを4本のロッド電極62〜65に長軸方向に直線状に並べることができるとともに、運動を永年運動成分と周波数Ωで振動する微小なマイクロ運動成分に近似的に分けて記述することができる。
N個の量子ビットを用いた量子計算は2N 次元ヒルベルト空間のユニタリ変換で表されるが、全て、1量子ビットの回転と2量子ビットの制御ノットゲート(Controlled−Not)の組合せで構成ができるため、このようなリニアパウルトラップを利用した量子計算においては、冷却イオンを用いてこの2つのゲート操作を実現することができれば量子計算が可能になる。
図14参照
図14の上図に示すように、1量子ビットの回転は、一個のイオンにレーザ光を照射して起こる誘導ラマン遷移を利用した1入力−1出力のユニタリ変換ゲートとして実現することができる。
また、2量子ビットを用いた制御ノットは、下図に示す2入力−2出力の状態変換を行う論理ゲートであり、制御ビットが|0〉であれば、標的ビットの状態がそのまま出力され、制御ビットが|1〉であれば、標的ビットの状態が反転されて出力される。
S.Urabe,Journal of Plasma andFusion Research,Vol.81,No.10,pp.755−762,October 2005 J.I.Cirac and P.Zoller,Physical Review Letters,Vol.74,No.2 0,pp.4091−4094,15 May 1995) A.Sorensen and K.Molmer,Physical Review Letters,Vol.82,No. 9,pp.1971−1974,1 March 1999)
しかし、上述のリニアパウルトラップの場合には、2個のイオン、即ち、2量子ビット間のクーロン反発を利用して制御ノットゲートをはじめとした種々の2量子ビット操作を行っているため、イオンの振動状態の揺らぎに対する影響が大きいという問題がある。
また、制御ノットゲートを実現するために、π−パルスやπ/2−パルス等を複数回照射する必要があり、高速動作が困難であり、計算処理時間が長くなるため、「デコヒーレンス時間」の問題が発生する。
即ち、全体の計算処理時間がデコヒーレンス時間より長くなると正しい計算結果を得られなくなる。
したがって、本発明は、イオンの振動状態の揺らぎに影響されることなく高速に計算処理を行うことを目的とする。
図1は本発明の原理的構成図であり、ここで図1を参照して、本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
(1)上記課題を解決するために、本発明は、量子計算基本素子において、高周波電場を印加する4本のロッド電極からなる四重極電極1と静電場が印加されるとともに四重極電極1を囲み四重極電極の延在方向に対向配置されたリング状電極2とからなりイオンをトラップするリニアパウルトラップと、四重極電極1の延在方向の磁場を印加する磁場印加手段3と、イオンに冷却用のレーザ光を照射する機能、イオンの内部状態をユニタリ変換するためのレーザ光を照射する機能、イオン間の磁気モメントにより相互作用している2つのイオンの内部状態を変換するためのレーザ光を照射する機能、及び、計算結果を検出するためのレーザ光を照射する機能を備えたレーザ照射手段5とを少なくとも備えたことを特徴とする。
このように、リニアパウルトラップと磁場印加機構3とを組み合わせることによって、イオンの振動状態ではなく、磁場印加(例えば、z方向)にゼーマン分離した角運動量のz方向成分の量子状態を量子ビットとし、イオン間相互作用として磁気モメント相互作用を利用することにより、イオンの振動状態に影響されることなく、量子計算を行うことができる。
また、磁気モメント相互作用している2つのイオンに対してその内部状態を変換するためのレーザ光を照射を一回行うことによって制御ノットゲート或いはBell状態を実現することができ、計算処理時間の短縮化が可能になる。
この場合、イオンの最外殻軌道がS軌道以外であり、且つ、最外殻電子が一個のイオン、例えば、D軌道に最外殻電子を一個有するLa2+が望ましいが、P軌道に最外殻電子を有するSi+ ,Ge+ ,Sn+ を用いても良い。
この場合、レーザ照射手段5の有する機能の内、イオンに冷却用のレーザ光を照射する機能と計算結果を検出するためのレーザ光を照射する機能とは別のレーザ照射要素で構成しても良いが、同じレーザ照射要素6で構成することによって装置構成が簡素化される。
また、レーザ照射手段5の有する機能の内、イオンの内部状態をユニタリ変換するためのレーザ光を照射する機能とイオン間の磁気モメントにより相互作用している2つのイオンの内部状態を変換するためのレーザ光を照射する機能とは別のレーザ照射要素で構成しても良いが、同じレーザ照射要素7で構成することによって装置構成が簡素化される。
また、レーザ照射手段5は、イオンのうちの隣接する2つのイオンの量子状態を交換するレーザ光を照射する他のレーザ照射要素を備えることが望ましく、それによって、量子ビット数の増加を容易にできる。
なお、上述のレーザ照射要素6,7及び他のレーザ照射要素は、量子状態の変換或いは交換に誘導ラマン遷移を用いる場合には、各レーザ照射要素を波長が近接した2つのレーザで構成する必要がある。
また、磁場印加手段としては、単独の固定磁場印加手段、単独の勾配磁場印加手段、或いは、固定磁場印加手段と勾配磁場印加手段からなる複合磁場印加手段のいずれでも良く、単独の勾配磁場印加手段或いは固定磁場印加手段と勾配磁場印加手段からなる複合磁場印加手段を用いた場合には、勾配磁場成分により相互作用している2つのイオンのハミルトニアンを制御して、演算速度を制御することができる。
また、上述の量子計算基本素子を用いてユニタリ変換を行う場合には、トラップされているイオンにレーザ光を照射して、磁場によりゼーマン分離したエネルギー準位間における誘導ラマン遷移を利用すれば良い。
また、上述の量子計算基本素子を用いて制御ノットゲートを構成する場合には、トラップされて相互作用している2つのイオンに、π−パルスをレーザ照射すれば良い。
この場合、制御ノットゲートを他のイオンを介して離れた2つのイオン間で構成するためには、互いに隣接するイオンにπ−パルスをレーザ照射して互いの量子状態を交換するスワップゲートを実現すれば良い。
また、上述の量子計算基本素子を用いてベル状態を実現する場合には、トラップされて相互作用している2つのイオンに、π/2−パルスをレーザ照射すれば良い。
また、計算結果の量子状態を維持するイオンと隣接するイオンに対してスワップ動作を行うπ−パルスを照射し、この工程を所定の回数繰り返すことによって、計算結果の読出位置を任意の位置に移動することが可能になる。
また、四重極電極の延在方向の磁場を印加する磁場に勾配磁場成分を含ませても良く、それによって、相互作用している2つのイオンのハミルトニアンが制御され、磁場の勾配を大きくすることによって演算速度を速くすることができる。
本発明によれば、磁場によりゼーマン分離した角運動量のz方向成分を利用して量子ビットを構成し、2量子ビット間の相互作用として磁気モメント(磁気双極子)相互作用を利用しているので、イオンの振動状態に影響されることなく、且つ、高速に演算処理することが可能になる。
本発明は、リニアパウルトラップと四重極電極の延在方向の磁場を印加する磁場印加手段とによって量子計算基本素子を構成するとともに、トラップするイオン、好適には最外殻軌道がS軌道以外で最外殻電子が1個のLa2+等を用いるものであり、それによって、磁場印加(例えば、z方向)にゼーマン分離した角運動量のz方向成分の量子状態を量子ビットとするものである。
また、この量子計算基本素子を用いてユニタリ変換を行う場合には、トラップされているイオンにレーザ光を照射して、磁場によりゼーマン分離したエネルギー準位間における誘導ラマン遷移を利用するものである。
また、この量子計算基本素子を用いて制御ノットゲートを構成する場合には、トラップされて相互作用している2つのイオンに、π−パルスをレーザ照射し、ベル状態を実現する場合には、トラップされて相互作用している2つのイオンに、π/2−パルスをレーザ照射するものである。
さらに、スワップゲートを構成するためには、隣接するイオンの量子状態を交換するためにπ−パルスをレーザ照射して、離れた位置にあるイオン間で制御ノットゲートを構成したり、検出結果の読出位置を移動させて任意の位置での読み出しを行うものである。
ここで、図2乃至図7を参照して、本発明の実施例1の量子計算基本素子を説明する。
図2参照
図2は、本発明の実施例1の量子計算基本素子の概念的構成図であり、リニアパウルトラップ20、リニアパウルトラップ20の長軸方向、即ち、z方向に磁場を印加する電磁石31、リニアパウルトラップ20に供給するイオン源になる金属原子、例えば、Laを加熱蒸発により供給するオーブン32、加熱蒸発した金属原子をイオン化する電子銃33、トラップされたイオンをレーザ冷却するとともに演算結果を検出するための第1のレーザ要素35及びトラップされたイオンの量子状態をユニタリ変換するとともにトラップされイオン間の磁気モメント相互作用により相互作用している2つのイオンの量子状態を変換して制御ノットゲート等の2量子ビットゲートを構成する或いはBell状態を実現する第2のレーザ要素36とを備えたレーザ照射機構34からなる。
ここでは、例えば、トラップするイオンがLa2+の場合、第1のレーザ要素35は238nm(チタンサファイアレーザの第4次高調波)と352nm(チタンサファイアレーザの第2次高調波)とで構成し、第2のレーザ要素は1390mmと1788nm(共に、半導体レーザ)とで構成する。
また、これらのリニアパウルトラップ20、電磁石31、オーブン32及び電子銃33は、真空系により10-9Pa程度の超高真空にされた真空容器10内に収容され、レーザ照射機構34からのレーザ光は、真空容器10に設けられた観察ポート(図示は省略)からトラップされたイオンに照射される。
図3参照
図3は、本発明の実施例1の量子計算基本素子を構成するリニアパウルトラップの概念的斜視図であり、長さが、例えば、10cmの4本のロッド電極22〜25からなる四重極電極21と、両端に設けた2個のリング状電極26,27とからなる。
この4本のロッド電極22〜25の内の2本は例えば、20mmの間隔で対向しており、その内の一対のロッド電極23,25を接地するとともに、他方の一対のロッド電極22,24に例えば200Vで5MHzのRF電圧を印加する。
一方、2個のリング状電極26,27には、例えば、10Vの定電圧を印加する。
このリニアパウルトラップ20に対してオーブンから蒸発されてイオン化されたLaイオン(La2+)が供給されると、第1のレーザ要素35からのレーザ光をしばらく照射することによって、断熱近似が成立する極低温までレーザ冷却する。
このレーザ冷却は、ドップラ効果の原理を用いるものであり、イオンの有する準位間エネルギーより若干低エネルギーのレーザ光を照射することにより、レーザ光の照射方向に向かうイオンはレーザ光を吸収して減速し、一方、レーザ光の照射方向に同じ方向に進むイオンはレーザ光を吸収しないことになる。
レーザ光を吸収したイオンは自然放出により励起状態から基底状態へ遷移するが、この時の自然放出光は確率的に等方的に放出されるため、速度変化は起こらない。
したがって、このようなレーザ照射をしばらく行うことによってレーザ光の吸収による減速と自然放出光とが繰り返され、最後には、殆どのイオン28が運動エネルギーを失って極低温状態になり、四重極電極21の内部空間にz軸方向にそって直線状に配置することになる。
なお、ここまでは、従来のリニアパウルトラップと同様である。
ここで、電磁石31により、z方向に10mT(=100ガウス)の直流磁場Hを印加することによって、イオンの角運動量Jはゼーマン分離によりJの有する量子数に応じて分離することになる。
即ち、イオンの有する磁気モーメント vμは、gをg因子、hをプランク定数、μB をボーア磁子、 VJをイオン中の電子の角運動量ベクトルとすると、
vμ=g・μB ・(h/2π)・ V
で表され、 VJの大きさは、
VJ|2 =J(J+1) 但し、Jは整数又は半整数
となり、角運動量のz成分Jz は、
z =J,J−1,J−2,・・・,−J
にゼーマン分離することになる。
なお、ここでは、明細書作成の都合上、ベクトル記号を”V ”で表す。
図4参照
図4は、イオンのエネルギー準位の説明図であり、ここでは、全角運動量量子数が5/2と3/2の値を取るイオンの場合(例えば、La2+の基底状態)を説明する。
図に示すように、J1 =3/2の場合、ゼーマン分裂したz方向成分は、上述のように J1z=3/2,1/2,−1/2,−3/2
の4本に分離する。
なお、ここではイオン1 の角運動量を示しているがイオン2 の場合も同様に、
2z=3/2,1/2,−1/2,−3/2
となる。
一方、J1 =5/2の場合、ゼーマン分裂したz方向成分は、上述のように、
1z=5/2,3/2,1/2,−1/2,−3/2,−5/2
の6本に分離する。 なお、イオン2 の場合も同様に、
2z=5/2,3/2,1/2,−1/2,−3/2,−5/2
となる。
原理的にはどの角運動量のz方向成分を用いても良いが、ここでは、論理操作が簡単になるように、各角運動量のz方向成分の最大値を用いることになる。
即ち、イオンを常に、
1 =J1z=5/2or3/2, J2 =J2z=5/2or3/2
の準位に置く。
このように、イオンを常にJ1z=J1 ,J2z=J2 の準位に置くためには、例えば、冷却用レーザの偏光を特定の方向に向け、且つ、レーザの周波数を特定の遷移のみ起こるように設定して、レーザ光をイオンに暫く照射するオプティカルポンピングを用いれば良い。
そして、エネルギー準位|J1,2 =3/2〉=|0〉とエネルギー準位|J1,2 =5/2〉=|1〉とを量子ビットの準位を利用する。
そして、量子計算機を実現する場合には、2つのイオン1 とイオン2 との間の相互作用を使用し、基本的な操作を行う必要があるが、ここではイオン間相互作用として磁気モメント(磁気双極子)相互作用を用いるものである。
ここで、2つのイオン1 とイオン2 との間の磁気双極子相互作用のハミルトニアンHi は、μ0 を真空の透磁率、r0 をイオン間距離とすると、
i =(g2 μB 2 ・μ0 2 (h/2π)2 v1 v2 )/(4πr0 3
で表される。
再び、図4参照
この磁気双極子相互作用により、エネルギー準位は更に分裂し、量子ビットの準位として採用した角運動量のz方向成分の最大値について、2つのイオンを合わせた全角運動量量子数Jが取りうる数は、Jz =Jz1+Jz2であるので5,4,3の三種類となる。
図5参照
図5は、2つのイオンを合わせた全角運動量量子数Jが取りうる数の説明図であり、2つのイオン1 とイオン2 が磁気双極子相互作用している場合、
|J1 =5/2〉|J2 =5/2〉の場合、J=5となり、
|J1 =5/2〉|J2 =3/2〉の場合、J=41 となり、
|J1 =3/2〉|J2 =5/2〉の場合、J=42 となり、
|J1 =3/2〉|J2 =3/2〉の場合、J=3となる。
なお、ここでは、説明の便宜上、J=4をJ=41 とJ=42 とに区別する。
図6参照
図6は、図5の状態の入力及び制御ノットゲートの論理表であり、イオン1 を制御ビット、イオン2 を標準ビットにすると、制御ノットゲートの入力は、
|J1 =3/2〉|J2 =3/2〉の場合、即ち、|0〉|0〉の場合、J=3、即ち、|00〉となり、
|J1 =3/2〉|J2 =5/2〉の場合、即ち、|0〉|1〉の場合、J=42 、即ち、|01〉となり、
|J1 =5/2〉|J2 =3/2〉の場合、即ち、|1〉|0〉の場合、J=41 、即ち、|10〉となり、
|J1 =5/2〉|J2 =5/2〉の場合、即ち、|1〉|1〉の場合、J=5、即ち、|11〉となる。
この入力に対して制御ノットゲートの出力を得るためには、図に示すように、入力が、 |J1 =5/2〉|J2 =3/2〉の場合、即ち、|10〉の場合の出力をJ=5、即ち、|11〉とし、入力が、
|J1 =5/2〉|J2 =5/2〉の場合、即ち、|11〉の場合の出力をJ=41 、即ち、|10〉にし、他の状態(|00〉と|01〉)に対しては状態を不変にすれば良いことが分かる。
この操作を行うには、J=5とJ=41 とのエネルギー差に相当する波長のレーザ光を照射して、誘導ラマン遷移によるラビ振動を利用すれば良い。
このレーザは、J=3又はJ=42 にあるイオンに対しては何も行わない。
図7参照
図7は、ラビ振動の説明図であり、π−パルスのレーザ光を第2のレーザ要素36から照射することによって、J=5→J=41 J=5←J=41 の準位の入替えが行われ、制御ノットが実現されることになる。
次に、ユニタリ変換ゲートについて説明するが、基本的には図7に示した誘導ラマン遷移によるラビ振動を用いたものである。
例えば、イオンにおける準位J=3/2を|0〉とし、準位J=5/2を|1〉とすると、J=5/2とJ=3/2のエネルギー差に相当する波長のレーザ光を第2のレーザ要素35から照射すれば良く、例えば、準位J=3/2にいたイオンの量子状態|u〉は、 |u〉=a|0〉+b|1〉、但し、|a|2 +|b|2 =1
で記述される|0〉と|1〉の重ね合わせ状態となり、ユニタリ変換ゲートが実現される。
次に、Bell状態について説明するが、この場合には、上述の図4における純粋状態、例えば、|J1 =3/2〉|J2 =3/2〉から、Bell状態、即ち、
-1/2(|J1 =3/2〉|J2 =3/2〉+|J1 =5/2〉|J2 =5/2〉)
の状態を実現できれば量子計算が可能になる。
再び、図4参照
そこで、上述のBell状態を実現するには、J=3、即ち、|J1 =3/2〉|J2 =3/2〉の状態とJ=5、即ち、|J1 =5/2〉|J2 =5/2〉の状態の重ね合わせを実現すれば良い。
再び、図7参照
そのためには、J=5とJ=3のエネルギー差に相当する波長のπ/2−パルスのレーザ光を照射すれば良く、π/2−パルスのレーザ光の照射により、|00〉は、
|00〉→2-1/2|00〉+2-1/2|11〉
となり、上述のBell状態、即ち、
-1/2(|J1 =3/2〉|J2 =3/2〉+|J1 =5/2〉|J2 =5/2〉)
が実現される。
なお、このBell状態とは、上述の制御ノットゲートを別の観点から表現したものである。
そして、多量子ビットの量子計算機を実現するためには、必要な量子ビット数(即ち、イオン)をイオントラップ中に準備し、上述のユニタリ変換ゲート及び制御ノットゲートを適宜組合せ、最終演算結果を検出するためには、所定の位置にトラップされているイオンに第1のレーザ要素35からレーザ光を照射して、その状態が|0〉か|1〉を確認すれば良い。
なお、読出を実行するイオンの位置は、実行している計算のプログラミングにより異なる。
次に、図8を参照してスワップゲートを説明する。
図8参照
図8は、スワップゲートの論理表であり、入力と出力においてJ=42 とJ=41 とが交換された状態となる。
このような量子状態の交換を実現するためには、J=42 とJ=41 のエネルギー差に相当する波長のπ−パルスのレーザ光を照射し、誘導ラマン遷移によって状態の交換を行えば良い。
また、エネルギー差は、イオン1 とイオン2 に加える磁場の強さを僅かに変えることによってつくられる。
次に、図9を参照して、スワップゲートの典型的な利用方法を説明するが、ここでは、6個並んだイオン41〜46の内の左から2番目のイオン42の量子状態を右端のイオン46に移し代える場合を説明する。
図9参照
まず、互いに隣接する2つのイオン42と43とにπ−パルスのレーザ光を照射して誘導ラマン遷移を利用してその量子状態を交換する。
このスワップ動作を4回順次繰り返すことによって、2番目のイオン42の量子状態が右端のイオン46の量子状態として移し代えられることになる。
そして、2番目のイオン42の位置での計算結果の読み出しが困難な場合に、このスワップゲート動作を繰り返すことによって、読み出しの容易な任意の位置へ移動させたのちに第2のレーザ要素36からレーザ光を照射して読み出せば良い。
なお、このスワップゲート動作を行うためには、上述のようにJ=42 とJ=41 のエネルギー差に相当する波長を有する2つのレーザを備えた第3のレーザ要素を図2に示したレーザ照射機構34に加えれば良い。
次に、図10を参照してスワップゲート動作を利用した遠く離れた量子ビット間で制御ノットゲートを行う方法を説明する。
図10参照
例えば、4個並んだイオン51〜54のうち、互いに離れた両端の2つのイオン51,54を相互作用させて制御ノットゲートを構成するためには、互いに隣接する2つのイオン組51−52,53−54にスワップゲートを行うことにより、互いの量子状態が交換され、52,53の位置で制御ノットゲートを行えば良い。
このように、スワップゲートを用いることによって、任意の位置にトラップされたイオン間で制御ノットゲートを構成することができ、それによって、量子ビット数を増やすことを容易にする。
次に、図11及び図12を参照して、本発明の実施例2の量子計算基本素子を説明する。
図11参照
図11は、本発明の実施例2の量子計算基本素子の概念的構成図であり、上記の本発明の実施例1の量子計算基本素子に勾配磁場印加機構を付け加えたものである。
即ち、本発明の実施例2の量子計算基本素子は、リニアパウルトラップ20、リニアパウルトラップ20の長軸方向、即ち、z方向に固定磁場を印加する電磁石31、z方向に勾配磁場を印加するための一対の電磁石37,38、リニアパウルトラップ20に供給するイオン源になる金属原子、例えば、Laを加熱蒸発により供給するオーブン32、加熱蒸発した金属原子をイオン化する電子銃33、トラップされたイオンをレーザ冷却するとともに演算結果を検出するための第1のレーザ要素35及びトラップされたイオンの量子状態をユニタリ変換するとともにトラップされイオン間の磁気モメント相互作用により相互作用している2つのイオンの量子状態を変換して制御ノットゲート等の2量子ビットゲートを構成する或いはBell状態を実現する第2のレーザ要素36とを備えたレーザ照射機構34からなる。
ここでも、例えば、トラップするイオンがLa2+の場合、第1のレーザ要素35は238nm(チタンサファイアレーザの第4次高調波)と352nm(チタンサファイアレーザの第2次高調波)とで構成し、第2のレーザ要素は1390mmと1788nm(共に、半導体レーザ)とで構成する。
また、これらのリニアパウルトラップ20、電磁石31、オーブン32及び電子銃33は、真空系により10-9Pa程度の超高真空にされた真空容器10内に収容され、レーザ照射機構34からのレーザ光は、真空容器10に設けられた観察ポート(図示は省略)からトラップされたイオンに照射される。
また、勾配磁場を印加するための電磁石37と電磁石38とには、互いに逆方向に電流を流す。
図12参照
図12は、本発明の実施例2における磁場の印加状態の概念的説明図であり、電磁石37と電磁石38とからの互いに逆向きの勾配磁場が、電磁石31による固定磁場に重畳されて、全体としてz方向に沿って徐々に減衰する勾配磁場を形成される。
リニアパウルトラップ20にトラップされているイオンは印加されている電場によって基本的な配置が決定されるが、イオンのスピン方向は磁場の方向に揃うので、勾配磁場が印加された場合には、イオンのスピンの向きによって勾配磁場の印加方向にイオンの位置が若干移動してエネルギー、即ち、ハミルトニアンが変化することになる。
なお、イオンのスピンの向きは、レーザ光を照射することによって制御することができる。
この場合、2つのイオン1 とイオン2 との間の磁気双極子相互作用のハミルトニアンHd は、gをg因子、μB をボーア磁子、Jz をイオン中の電子の角運動量ベクトルのz成分、mをイオンの質量、ωz をリニアパウルトラップ20の電場によるポテンシャルの共振周波数、Bz を磁場のz方向成分とすると、
d =〔(g2 μB 2 1z・J2z)/(3mωz 2 )〕×(dBz /dz)2
で表される。
このハミルトニアンHd は、hをプランク定数とするとhνに依存し、2つのイオン1 とイオン2 の相互作用による演算速度はν-1に依存するので、νが大きいほど、即ち、ハミルトニアンHd が大きいほど演算速度が速くなる。
また、ハミルトニアンHd が大きいということは、相互作用のエネルギーが大きいことであり、したがって、ゼーマン効果により分離したJ1,2 =5/2とJ1,2 =3/2のエネルギー差を大きくすることができるので、エネルギー準位に差を付けやすくなり、2つのイオン1 とイオン2 の相互作用の制御が容易になるため、量子計算の実現が容易になる。
また、2つのイオン1 とイオン2 との間の磁気双極子相互作用のハミルトニアンHd を大きくするためには、上記のハミルトニアンHd の式から明らかなように、磁場勾配dBz /dzを大きくすれば良いこと、また、リニアパウルトラップ20の電場によるポテンシャルの共振周波数ωz を小さくすれば良いことが分かる。
この共振周波数ωz を小さくするためには、リニアパウルトラップ20に印加する電圧を小さくして拘束力を弱くすれば良い。
このように、リニアパウルトラップ20に印加する電圧を小さくすると、リニアパウルトラップ20の内部に拘束されるイオンの数が少なくなるが、隣接するイオン同士の間隔が広くなるので、イオンのスピンの向きを制御するためのレーザ照射等が容易になる。
また、この場合の演算速度を簡単にオーダーエスティメートすると、4.7kHz程度となり、実施例1の構成の場合の演算速度に比べて3桁乃至4桁の演算速度の向上が期待できる。
以上、本発明の各実施例を説明したが、本発明は各実施例に記載した構成及び条件に限られるものではなく、各種の変更が可能であり、例えば、上記の実施例においては、イオン主としてD軌道に1個の最外殻電子を有するLa2+を用いて説明しているが、La2+に限られるのではない。
また、上記の各実施例の説明においては、リニアパウルトラップとして、直径が20mm、長さが10cm程度のサイズの装置を使用しているが、半導体微細加工等を利用して直径が100μm、長さが1mm程度の小型のリニアパウルトラップも研究されており、この小型のリニアパウルトラップに磁場印加機構を設けることによって本発明の原理による量子計算基本素子を構成することが可能になる。
また、上記の各実施例においては、各レーザとしてチタンサファイアレーザの高調波及び半導体レーザを用いているが、使用するイオンのエネルギー準位差に相当する波長を有するレーザであれば何でも良く、例えば、色素レーザ、エキシマレーザ及びその高調波を用いても良いものであり、さらには、配列されてトラップされたイオンの間隔に対応した間隔を有する半導体レーザアレイ或いはその高調波を用いても良いものである。
また、上記の各実施例においては、真空容器中の真空度を10-9Paとしているが、10-7Pa程度でも良いものであるが、この場合には、トラップされたイオンと残留分子との間の衝突によりデコヒーレンス時間が短くなる。
また、上記の各実施例においては、装置構成を簡素化するために、必要とする波長が互いに近い冷却用レーザと計算結果を検出するためのレーザを同じレーザ要素で構成し、また、ユニタリ変換のためのレーザと相互作用している2つのイオンの内部状態を変換するためのレーザとを同じレーザ要素で構成しているが、それぞれを別のレーザ要素で構成して良いものである。
さらに、本発明の磁気モメント相互作用を利用した制御ノットゲートやスワップゲートの様な2量子ビットゲートは、リニアパウルトラップ中のイオンに限られるのではなく、ペニングトラップ中のイオンや、さらには、中性原子によって構成される量子計算機にも利用できる。
また、上記の実施例2においては、勾配磁場を形成するために、互いに逆方向に電流を流す一対の電磁石37,38を用いているが、全体を一つの電磁石にして、z方向に順次巻数が少なくなるように構成しても良い。
また、勾配磁場印加手段は、電磁石に限られるものではなく、一対の永久磁石をリニアパウルトラップの両端に設けた2個のリング状電極に夫々対向するように配置しても良いものである。
さらには、固定磁場を印加するための電磁石31を除いて、全体をz方向にコイルの巻数が順次少なくなるように構成した一つの電磁石にしても良く、それによって、勾配磁場の印加機構を簡素化することができる。
また、上記の各実施例においては、磁場印加手段である電磁石を真空容器内に配置しているが、真空容器外に配置しても良いものである。
本発明の活用例としては、現在の従来型コンピュータを超高速化した量子計算があるが、従来型コンピュータでは実現不可能な超高ビットの因数分解、及び、その原理に基づく暗号解読等への適用も期待される。
本発明の原理的構成の説明図である。 本発明の実施例1の量子計算基本素子の概念的構成図である。 本発明の実施例1の量子計算基本素子を構成するリニアパウルトラップの概念的斜視図である。 イオンのエネルギー準位の説明図である。 2つのイオンを合わせた全角運動量量子数Jが取りうる数の説明図である。 図5の状態の入力及び制御ノットゲートの論理表である。 ラビ振動の説明図である。 スワップゲートの論理表である。 スワップゲートの典型的な利用方法の説明図である。 スワップゲート動作を利用した遠く離れた量子ビット間に制御ノットゲートを行う方法の説明図である。 本発明の実施例2の量子計算基本素子の概念的構成図である。 本発明の実施例2における磁場の印加状態の概念的説明図である。 従来のリニアパウルトラップの概念的斜視図である。 ユニタリ変換ゲートと制御ノットゲートの説明図
符号の説明
1 四重極電極
2 リング状電極
3 磁場印加手段
4 イオン供給手段
5 レーザ照射手段
6 レーザ照射要素
7 レーザ照射要素
10 真空容器
20 リニアパウルトラップ
21 四重極電極
22〜25 ロッド電極
26,27 リング状電極
28 イオン
31 電磁石
32 オーブン
33 電子銃
34 レーザ照射機構
35 第1のレーザ要素
36 第2のレーザ要素
37 電磁石
38 電磁石
41〜46 イオン
51〜54 イオン
61 四重極電極
62〜65 ロッド電極
66,67 リング状電極

Claims (12)

  1. 高周波電場を印加する4本のロッド電極からなる四重極電極と静電場が印加されるとともに前記四重極電極を囲み四重極電極の延在方向に対向配置されたリング状電極とからなりイオンをトラップするリニアパウルトラップと、前記四重極電極の延在方向の磁場を印加する磁場印加手段と、前記イオンに冷却用のレーザ光を照射する機能、前記イオンの内部状態をユニタリ変換するためのレーザ光を照射する機能、イオン間の磁気モメントにより相互作用している2つのイオンの内部状態を変換するためのレーザ光を照射する機能、及び、計算結果を検出するためのレーザ光を照射する機能を備えたレーザ照射手段とを少なくとも備えたことを特徴とする量子計算基本素子。
  2. 上記イオンが、La2+,Si+ ,Ge+ ,Sn+ のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の量子計算基本素子。
  3. 上記レーザ照射手段の有する機能の内、上記イオンに冷却用のレーザ光を照射する機能と上記計算結果を検出するためのレーザ光を照射する機能とを同じレーザ照射要素で実現することを特徴とする請求項1または2に記載の量子計算基本素子。
  4. 上記レーザ照射手段の有する機能の内、上記イオンの内部状態をユニタリ変換するためのレーザ光を照射する機能と上記イオン間の磁気モメントにより相互作用している2つのイオンの内部状態を変換するためのレーザ光を照射する機能とを同じレーザ照射要素で実現することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の量子計算基本素子。
  5. 上記レーザ照射手段の有する機能が、上記イオンのうちの隣接する2つのイオンの量子状態を交換するレーザ光を照射するレーザ照射要素を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の量子計算基本素子。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の量子計算基本素子を用いた量子計算方法において、上記リニアパウルトラップにトラップされているイオンに、レーザ光を照射して磁場によりゼーマン分離したエネルギー準位間における誘導ラマン遷移によりユニタリ変換を行う工程を含むことを特徴とする量子計算基本素子。
  7. 上記磁場印加手段が、単独の固定磁場印加手段、単独の勾配磁場印加手段、或いは、固定磁場印加手段と勾配磁場印加手段からなる複合磁場印加手段のいずれかからなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の量子計算基本素子。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の量子計算基本素子を用いた量子計算方法において、上記リニアパウルトラップにトラップされてイオン間の磁気モメントにより相互作用している2つのイオンに、π−パルスをレーザ照射して制御ノットゲートを実現する工程を含むことを特徴とする量子計算方法。
  9. 上記イオン間の磁気モメントによる相互作用を利用して互いに隣接するイオンにπ−パルスをレーザ照射して互いの量子状態を交換するスワップゲートを実現する工程を含むことを特徴とする請求項8記載の量子計算方法。
  10. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の量子計算基本素子を用いた量子計算方法において、上記リニアパウルトラップにトラップされてイオン間の磁気モメントにより相互作用している2つのイオンに、π/2−パルスをレーザ照射してベル状態を実現する工程を含むことを特徴とする量子計算方法。
  11. 上記計算結果の量子状態を維持するイオンと隣接するイオンに対してスワップ動作を行うπ−パルスを照射し、この工程を所定の回数繰り返すことによって、計算結果の読出位置を任意の位置に移動する工程を有することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の量子計算方法。
  12. 上記四重極電極の延在方向の磁場を印加する磁場が勾配磁場成分を含んでおり、前記勾配磁場成分により相互作用している2つのイオンのハミルトニアンを制御して、演算速度を制御することを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の量子計算方法。
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