JP2007192179A - ポンプおよび燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 羽根車ケーシング内のポンプ室から、モータケーシング内のモータ室内への流体の浸入を防止する。
【解決手段】高圧燃料タンク3から燃料供給通路5を経て燃料電池1に水素を供給し、燃料電池1から排出される水素を、燃料循環通路13を通して燃料供給通路5に戻す。燃料循環通路13と燃料供給通路5との接続部に、燃料循環通路13から燃料供給通路5に燃料を送り込む昇圧ポンプ11を設置する。昇圧ポンプ11は、ポンプ部の回転軸とモータ部の回転軸を同一軸線上に設定し、高圧燃料タンク3からの高圧水素を、昇圧ポンプ11におけるモータ部の回転軸の軸端からその周囲を通してポンプ室に向けて送り込む。
【選択図】図1

Description

本発明は、モータの回転軸と、このモータにより回転して流体を移送する羽根車の回転軸とを、互いに同軸上に連続して配置してなるポンプおよび、このポンプを燃料循環手段として使用する燃料電池システムに関する。
モータの回転軸と、このモータにより回転して流体を移送する羽根車の回転軸とを互いに同軸上に連続して配置したうえで、モータをモータケーシング内に格納するとともに、羽根車を羽根車ケーシング内に格納するポンプとしては、例えば下記特許文献1に記載されているような、車両用エンジンの冷却水循環機構に用いたものが知られている。
特開2004−162551号公報
上記したようなポンプにおいては、羽根車ケーシング内のポンプ室から、モータケーシング内のモータ室内に、水などの導電性流体が入り込んだ場合には、モータの特に電気部品に悪影響を及ぼすという問題がある。
そこで、本発明は、羽根車ケーシング内のポンプ室から、モータケーシング内のモータ室内への流体の浸入を防止することを目的としている。
本発明は、モータの回転軸と、このモータにより回転して流体を移送する羽根車の回転軸とを、互いに同軸上に連続して配置しつつ、前記モータをモータケーシング内に格納するとともに、前記羽根車を羽根車ケーシング内に格納するポンプにおいて、前記モータケーシング内の圧力を前記羽根車ケーシング内の圧力より高くすることを最も主要な特徴とする。
本発明によれば、モータケーシング内の圧力を羽根車ケーシング内の圧力より高くしているので、羽根車ケーシング内のポンプ室から、モータケーシング内のモータ室内への流体の浸入を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態を示す燃料電池システムの全体構成図である。この燃料電池システムは、車両に搭載されるもので、燃料電池1の燃料入口と、燃料である水素ガスを高圧に貯蔵する高圧燃料タンク3とを、燃料供給通路5で接続し、燃料供給通路5には、高圧燃料タンク3側から減圧弁7,圧力調整弁9,本発明のポンプに相当する昇圧ポンプ11を順次設置している。減圧弁7および圧力調整弁9は、減圧手段を構成している。
燃料電池1の燃料出口には燃料循環通路13の一端を接続し、燃料循環通路13の他端は、前記した昇圧ポンプ11に接続する。
一方、燃料電池1の空気入口と空気コンプレッサ15とは、空気供給通路17で接続し、燃料電池1の空気出口には空気排出通路19を接続する。
また、燃料電池1と昇圧ポンプ11との間の燃料供給通路5には、燃料の圧力を検出する圧力検出手段としての圧力センサ21を設けてあり、圧力センサ21の検出信号は、コントロールユニット23に入力される。このコントロールユニット23には、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ25の検出信号も入力される。
また、コントロールユニット23は、上記した圧力センサ21やアクセル開度センサ25の検出信号の入力を受けて、前記した減圧弁7,圧力調整弁9,昇圧ポンプ11および空気コンプレッサ15を、駆動回路27を介して駆動制御する。
図2は、上記した昇圧ポンプ11の内部構造を示す断面図である。この昇圧ポンプ11は、羽根車であるインペラ29を、その回転軸となるインペラシャフト31の図2中で下部側の外周に固定した状態で、羽根車ケーシングとしてのポンプケーシング33内のポンプ室35に格納している。
ポンプケーシング33は、図2中で上下が開口したケーシング本体37と、ケーシング本体37の下部開口を覆うキャップ38とを有し、キャップ38とインペラシャフト31との間に下部ベアリング39を介装している。また、インペラ29の外周側の上面とケーシング本体37との間に、流体としての前記した水素が流れる流路41を形成している。この流路41の水素吸入側に燃料循環通路13を接続するとともに、同水素吐出側に燃料供給通路5を接続する。
さらに、上記したケーシング本体37に隣接してその上部には、モータケーシング43を設け、このモータケーシング43内に、前記したインペラシャフト31を延長してモータの回転軸31aとしている。
すなわち、この昇圧ポンプ11は、モータの回転軸31aと、このモータによって回転して流体を移送するインペラ35の回転軸(インペラシャフト31)とを、互いに同軸上に連続して配置している。
インペラシャフト31のモータケーシング43側の端部外周とモータケーシング43との間には、上部ベアリング45を介装している。また、この上部ベアリング45とインペラ29との間のインペラシャフト31の外周に永久磁石45を設けることで、モータロータを構成し、その外周側のモータケーシング43に形成した凹部43aには、モータステータとなるモータコイル47を設けている。また、モータケーシング43のモータコイル47より外周側には、冷却水通路49を設け、モータによる発熱を抑制している。
また、図2中で左側のポンプケーシング33とモータケーシング43との間に、ポンプ室35と燃料電池1側の燃料供給通路5とを連通する燃料出口51を形成する。さらに、ポンプ室35には、インペラシャフト31の外周側に形成してあるシャフト外周燃料通路53が連通している。
上記したシャフト外周燃料通路53は、インペラシャフト31のポンプケーシング332と反対側の端部周辺とモータケーシング43との間の軸端空間53aと、インペラシャフト31と上部ベアリング45との間のベアリング隙間53bと、インペラシャフト31とモータコイル47との間に形成してあるコイル隙間53cとを有している。このコイル隙間53cの下端に、インペラ29のボス部29aの上端を挿入し、この挿入部周辺の隙間を介して、ポンプ室35とシャフト外周燃料通路53とが互いに連通している。
そして、上記したシャフト外周燃料通路53の軸端空間53aに、前記した燃料供給通路5の高圧燃料タンク3側を接続する。すなわち、高圧燃料タンク3と軸端空間53aとの間の燃料供給通路5が燃料通路を構成している。
このような構造の昇圧ポンプ11を備えた燃料電池システムにおいて、高圧燃料タンク3内の燃料は、燃料供給通路5を流れる際に、減圧弁7で減圧された後、圧力調整弁4でさらに減圧および調圧され、昇圧ポンプ11を経て燃料電池1に供給される一方、空気コンプレッサ15で圧縮された空気が、空気供給通路17を通って燃料電池1に供給され、それぞれ供給された燃料と空気とで燃料電池1が発電する。
発電状態の燃料電池1は、余剰の燃料を燃料循環通路13に排出し、この排出燃料が昇圧ポンプ11の駆動により再度燃料電池1に供給される一方、排出する空気を空気排出通路19を経て外部に放出する。
ここで、高圧燃料タンク3から、減圧弁7および圧力調整弁9を経て昇圧ポンプ11に達する燃料であるドライな水素は、図2に示すように、インペラシャフト31とモータケーシング43との間に形成してあるシャフト外周燃料通路53を流れてから、ポンプ室35に流入し、燃料出口51を経て燃料電池1側の燃料供給通路5に流出する。この際、燃料循環通路13からポンプ室35に流入する循環燃料も、燃料電池1側の燃料供給通路5に流出する。
このような燃料電池システムの稼働時に、昇圧ポンプ11の燃料ガスが供給されるモータケーシング43内(シャフト外周燃料通路53)の圧力は、燃料循環通路13から循環燃料が入り込んでいるポンプ室35内の圧力よりも高くなっている。
このように、本燃料電池システムで使用する昇圧ポンプ11においては、高圧燃料タンク3内の燃料ガスであるドライ水素を、減圧弁7および圧力調整弁9を経てモータケーシング43内に導入することで、モータケーシング43内(シャフト外周燃料通路53)の圧力を、ポンプ室35内の圧力すなわちポンプケーシング33内の圧力よりも高くしている。
この際、ポンプ室35内には、燃料電池1から排出される水分を含む水素が、燃料循環通路13を経て入り込んでいるが、この水分を含む水素は、上記したモータケーシング43側の高圧のドライ水素によって、モータケーシング43側への浸入が阻止される上、シャフト外周燃料通路53に導入したドライ水素により、ポンプ室35内の水分を含む水素を乾燥させることができる。この結果、導電性流体である水分のモータ側への浸入を防止でき、モータコイル47などの電気部品の絶縁抵抗低下を防止することができる。
また、本実施形態によれば、ドライ水素は、減圧弁7および調圧弁9で減圧される際に冷却されるため、モータケーシング43内に導入された際に、モータコイル47などのモータの発熱部を、低温下したドライ水素によって直接冷却でき、モータの冷却効率を高めることができる。これにより、冷却水通路49の縮小もしくは廃止が可能となり、昇圧ポンプ11全体として大幅な小型軽量化が可能となる。
さらに、本実施形態によれば、高圧燃料タンク3から供給されるドライ水素内に混入する金属粉を、ドライ水素がシャフト外周燃料通路53を流れる際に、インペラシャフト31に取り付けた永久磁石45で吸着し捕捉することができる。このため、燃料供給通路5に金属粉を捕捉するフィルタを設ける必要がなくなり、燃料供給通路5における圧力損失の低下および、それに伴う昇圧ポンプ11の小型化が可能となる。
図3は、本発明の第2の実施形態を示す昇圧ポンプ11Aの内部構造を示す断面図である。この昇圧ポンプ11Aは、前記図2に示した第1の実施形態おける昇圧ポンプ11に対し、インペラシャフト31のモータ側端部をモータケーシング43の外部にまでさらに延長し、この延長部31bにタービン55を設けている。
タービン55はタービンケーシング57内に収容し、タービンケーシング57内のタービン室58は、前記したシャフト外周燃料通路53の軸端空間53aに連通している。その他の構成は、前記図2に示した昇圧ポンプ11と同様であり、同一の構成要素には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
第2の実施形態によれば、前記図1に示してある圧力調整弁9を通過したドライ水素は、タービンケーシング57内に流入し、タービン55を回転させることにより、インペラシャフト31に対して回転力をアシストする。このため、本昇圧ポンプ11Aの消費電力を、第1の実施形態の昇圧ポンプ11に比較して低減することができる。
また、本実施形態においても、タービンケーシング57を経てモータケーシング43内に導入されるドライ水素を、第1の実施形態と同様にして、インペラ−シャフト31外周のシャフト外周燃料通路53に沿ってポンプ室35に導入している。このため、モータケーシング43内(シャフト外周燃料通路53)の圧力が、ポンプ室35内の圧力よりも高くなり、ポンプ室35からモータケーシング43側への水分の浸入を防止することができるとともに、モータ内部の冷却および金属粉の捕捉などの効果を得ることができる。
本発明の第3の実施形態を、図4に示すフローチャートに基づき説明する。第3の実施形態は、前記図3に示したタービン55を備える昇圧ポンプ11Aを用い、低温起動時などでインペラ29が氷結しているときに、ドライ水素によりタービン55に瞬間的に大きなトルクを与え、氷結状態を解除するものである。
燃料電池システムにおいて、低温起動時などにインペラ29が付着水によって氷結し固着する場合には、駆動回路27の昇圧ポンプ11Aに対する起動信号(ステップ401)にも拘わらず、コントロールユニット23に昇圧ポンプ11Aから回転信号が返送されてこないため、コントロールユニット23は、インペラ29が起動せず固着していると判定する(ステップ403,405)。逆に、回転信号が返送された場合には、インペラ29が起動していると判定する(ステップ403,ステップ407)
インペラ29が固着していると判定した場合には、コントロールユニット23が、圧力調整弁9をステップ的に開弁してドライ水素をタービン55に突入させることにより(ステップ409)、タービン55に瞬間的に大トルクを発生させる。
その後、インペラ29の回転起動信号をコントロールユニット23が受信したら(ステップ411)、インペラ29は氷結が解除されて回転移行したものとし、起動判定となる(ステップ407)。
したがって、ここでは、コントロールユニット23が羽根車氷結判定手段を含み、圧力調整弁9が氷結解除用圧力調整手段を構成していることになる。
このように、第3の実施形態においては、低温起動時などインペラ29が氷結しているときに、ドライ水素によりタービン55を大トルクで回転させて氷結状態を解除するので、燃料電池システムの低温時での起動を容易にすることができる。
本発明の第4の実施形態を、図5に示す供給水素圧力の変動図に基づき説明する。第4の実施形態は、第3の実施形態と同様に、前記図3に示したタービン55を備える昇圧ポンプ11Aを用い、前記図1におけるアクセル開度センサ25が、アクセル開度の急激な開放を検出した場合で、かつ、燃料供給通路5に設けてある圧力センサ21が、上記急開放により増大する燃料供給量に対し、低い圧力p1を検出しているときに、コントロールユニット23が、前記図3に示した第3の実施形態と同様に、圧力調整弁9をステップ的に開弁させてドライ水素をタービン55に突入させる。
これにより、タービン55を時間t1にて急加速回転させ、燃料供給通路5内の圧力を、目標圧力p2以上のp3まで短時間に昇圧し、駆動回路27が昇圧ポンプ11Aに出力する回転信号以上に昇圧することで、昇圧時間を短縮することが可能となる。昇圧後は、圧力調整弁9のステップ的な開弁動作を停止することで、通常の目標圧力p2に低下し安定する。
したがって、ここでは、コントロールユニット23が燃料制御手段を含み、圧力調整弁9が燃料増加用圧力調整手段を構成していることになる。
このように、第4の実施形態においては、昇圧ポンプ11Aを低回転から高回転へ加速する場合に、駆動回路27の影響で加速度が制限される場合であっても、アクセル開度から加速と判定した場合に、高圧燃料タンク3からの供給水素をステップ的にタービン55に導入することにより、駆動回路27の出力信号の制限以上に昇圧ポンプ11Aを加速回転させることができ、加速応答性を高めることができる。
図6は、上記のように圧力調整弁9をステップ的に開弁してタービン55を回転させる場合、つまりモータ駆動に対してタービン55によるアシストを行った場合(実線)と、モータ駆動のみ(破線)とを比較しているが、前者のほうが昇圧ポンプ11Aの回転数が急激に上昇していることがわかる。
図7は、本発明の第5の実施形態を示す燃料電池システムの全体構成図である。なお、図7においては、前記図1に示した第1の実施形態と同一の構成要素には同一符号を付してある。この燃料電池システムは、車両に搭載されるもので、燃料電池1の燃料入口と、燃料である水素ガスを高圧に貯蔵する高圧燃料タンク3とを、燃料供給通路5で接続し、燃料供給通路5には圧力調整弁9を設置している。
燃料電池1の燃料出口には燃料循環通路13の一端を接続し、燃料循環通路13の他端は、前記した圧力調整弁9と燃料電池1との間の燃料供給通路5に接続する。燃料循環通路13には、燃料電池1側から水セパレータ59および昇圧ポンプ11Bを順次配置している。なお、ここでの昇圧ポンプ11Bは、燃料循環通路13における燃料供給通路5への接続部より上流側に配置している。
昇圧ポンプ11Bの詳細構造は、図8を用いて後述するが、この昇圧ポンプ11Bのモータケーシング61には、高圧のドライ水素を貯蔵する高圧燃料タンクとしての圧力源63を、燃料通路65を介して接続している。燃料通路65には開閉弁67を設置する。
水セパレータ59は、燃料電池1から排出される水素中に含まれる水分を分離するもので、分離後の水分を排出する水排出通路69を水セパレータ59に接続し、水排出通路69には水排出弁71を設置する。
また、水セパレータ59と昇圧ポンプ11Bとの間の燃料循環通路13には、パージ配管73を接続し、パージ配管73にはパージ弁75を設置する。パージ弁75は、燃料循環通路13を循環している水素中に、燃料電池1から窒素が混入するが、混入した窒素の割合が一定以上高くなった場合、もしくは燃料電池システムの負荷を急速に下げる場合に、開弁する。
一方、燃料電池1の空気入口と空気コンプレッサ15とは、空気供給通路17で接続し、燃料電池1の空気出口には、空気排出通路19を接続する。空気供給通路17および空気排出通路19には空気加湿器77を設置する。空気加湿器77は、空気コンプレッサ15から燃料電池1に供給する空気を、空気排出通路17を流れる水分を含む排出空気によって加湿する。
また、空気加湿器77より下流の空気排出通路17には、空気圧力調整弁79を設置する。空気圧力調整弁79は、空気コンプレッサ15より下流の燃料電池1を含む空気経路内の圧力を調整する。
また、コントロールユニット23は、前記した圧力調整弁9,昇圧ポンプ11Bおよび空気コンプレッサ15に加え、開閉弁67,水排出弁71,パージ弁75および空気圧力調整弁79を、駆動回路27を介して駆動制御する。
図8に示すように、昇圧ポンプ11Bは、羽根車であるインペラ81を、インペラシャフト83の図8中で下部側の端部外周に固定した状態で、羽根車ケーシングとしてのポンプケーシング85内のポンプ室87に格納している。ポンプケーシング85の図8中で左側の一側部には、燃料電池1の出口側の燃料循環通路13が接続される吸入ポート88を設け、同右側の一側部には、燃料電池1の入口側の燃料循環通路13が接続される流体吐出口としての吐出ポート89を設けている。
ポンプケーシング85は、その下壁85aのベアリング支持孔85bとインペラシャフト83との間に下部ベアリング91を介装している。また、ポンプケーシング85は、モータケーシング61との間の隔壁となる上壁85cのシール嵌入孔85dとインペラシャフト83との間にシール部材93を介装している。
モータケーシング61は、図8中で下部が開放している中空部材で構成し、前記したインペラシャフト83を上方に延長してモータの回転軸83aとしている。
すなわち、この昇圧ポンプ11Bは、モータの回転軸83aと、このモータによって回転して流体を移送するインペラ81の回転軸(インペラシャフト83)とを、互いに同軸上に連続して配置している。
インペラシャフト83のモータケーシング61側の端部外周とモータケーシング61のベアリング支持部61aとの間には、上部ベアリング95を介装している。また、モータケーシング61内におけるインペラシャフト83の外周には、永久磁石97を設けて、モータロータを構成し、その外周側のモータケーシング61の内周面には、モータステータとなるモータコイル99を設けている。
そして、前述したように、圧力源63に接続する燃料通路65を、モータケーシング61の内部に連通するよう接続することで、モータケーシング61内のモータ室101の圧力を、ポンプケーシング85内のポンプ室87の圧力より高くしている。
このような構造の昇圧ポンプ11Bを備えた燃料電池システムにおいて、高圧燃料タンク3内の燃料は、燃料供給通路5を流れる際に、圧力調整弁9で減圧および調圧されてから燃料電池1に供給される一方、空気コンプレッサ15で圧縮された空気が、空気供給通路17を通って燃料電池1に供給され、それぞれ供給された燃料と空気とで燃料電池1が発電する。
発電状態の燃料電池1は、余剰の燃料を燃料循環通路13に排出し、水セパレータ59および昇圧ポンプ11Bを経て再度燃料電池1に供給される一方、排出する空気を空気排出通路19を経て外部に放出する。この際、空気加湿器77により、空気排出通路19を流れる排出空気中の水分が、空気供給通路17を流れる空気を加湿し、加湿後の空気を燃料電池1に供給することになる。
ここで、昇圧ポンプ11Bにより燃料循環通路13を循環させている水素中には、燃料電池1から混入する窒素が存在するが、混入した窒素の割合が一定以上高くなった場合、もしくは燃料電池システムの負荷を急速に下げる場合に、パージ弁75を開いて燃料循環通路13内の圧力を下げる。
燃料循環通路13の圧力低下により、ポンプ室87とシール部材93によって僅かの隙間を介して連通するモータケーシング61内の圧力も低下する。燃料循環通路13の圧力が所定の圧力まで下がったら、再度パージ弁75を閉じることで、燃料循環通路13の圧力は上昇するが、その際、モータケーシング61内には圧力源63から高圧のドライ水素を導入しているので、モータケーシング61内の圧力は、ポンプケーシング85内の圧力より高い状態が確保される。
このため、燃料電池1から流出する水分を含む水素が燃料循環通路13を流れ、ポンプケーシング85内に流入しても、この水素中の水分のモータケーシング61内への浸入を防止でき、モータコイル99の絶縁抵抗低下を防止することができる。
また、本実施形態においても、モータケーシング61に導入するドライ水素によって、モータコイル47などのモータの発熱部を直接冷却でき、モータの冷却効率を高めることができる。
図9は、本発明の第6の実施形態を示す燃料電池システムの全体構成図、図10は昇圧ポンプ11Bを含むその周辺の構造を示す断面図である。第6の実施形態は、前記図7に示した第5の実施形態に対し、上記した昇圧ポンプ11B周辺の構造が異なっている。
すなわち、この実施形態では、図7における圧力源63,燃料通路65および開閉弁67を設ける代わりに、昇圧ポンプ11B下流の燃料循環通路13を、配管103によりモータケーシング61内に連通接続している。その際、昇圧ポンプ11B下流でかつ配管103より上流の燃料循環通路13には、水分離手段としての水セパレータ105を設置している。
水セパレータ105には、分離後の水分を排出する水排出通路107を接続し、水排出通路107には水排出弁109を設置する。その他の構成は、前記図7に示した第5の実施形態と同様であり、第5の実施形態と同一の構成要素には同一符号を付してある。
上記した第6の実施形態においては、昇圧ポンプ11Bの吐出ポート89から吐出して高圧となった水素を、水セパレータ105で水分を分離し除去した状態でモータケーシング61内に導入しているので、モータケーシング61内の圧力を、ポンプケーシング85内の圧力より高い状態とすることができる。
このため、燃料電池1から流出する水分を含む水素が燃料循環通路13を流れ、ポンプケーシング85内に流入しても、この水素中の水分のモータケーシング61内への浸入を防止でき、モータコイル99の絶縁抵抗低下を防止することができる。
なお、上記した第6の実施形態では、前記図7に示した第5の実施形態における圧力源63が不要であることから、第5の実施形態に比較して全体のシステム構成を簡素化することができる。
図11は、本発明の第7の実施形態を示す燃料電池システムの全体構成図、図12は昇圧ポンプ11Bを含むその周辺の構造を示す断面図である。第7の実施形態は、前記図7に示した第5の実施形態に対し、上記した昇圧ポンプ11B周辺の構造が異なっている。
すなわち、この実施形態では、図7における圧力源63,燃料通路65および開閉弁67を設ける代わりに、高圧燃料タンク3と圧力調整弁9との間の燃料供給通路5から、分岐通路111を分岐させ、この分岐通路111をモータケーシング61内に連通接続している。その際、分岐通路111には、開閉弁としてのシャット弁113を設置している。
上記した第7の実施形態においては、高圧燃料タンク3からの高圧でドライな水素を、シャット弁113を開弁した状態でモータケーシング61内に導入しているので、モータケーシング61内の圧力を、ポンプケーシング85内の圧力より高い状態とすることができる。
このため、燃料電池1から流出する水分を含む水素が燃料循環通路13を流れ、ポンプケーシング85内に流入しても、この水素中の水分のモータケーシング61内への浸入を防止でき、モータコイル99の絶縁抵抗低下を防止することができる。
また、第7の実施形態では、図13のフローチャートに示すように、パージ弁75が閉じているときにシャット弁113を開くことで(ステップ1305,1307,1309)、換言すれば、パージ弁75が開いたときにはシャット弁113を閉じることになり(ステップ1307,1301,1303)、パージ弁75の開弁によるポンプケーシング85内の圧力低下時に、必要以上の水素をモータケーシング61内に供給する必要がなくなる。これにより、水素の消費量やポンプ損失を抑えることができ、燃料システム全体としての効率が向上する。
なお、上記した第7の実施形態では、シャット弁113を省略してもよく、また前記図7に示した第5の実施形態における圧力源63が不要であることから、第5の実施形態に比較して全体のシステム構成を簡素化することができる。
また、第7の実施形態では、圧力調整弁9の下流の燃料供給通路5から、モータケーシング61に水素を導入しても、上記と同様の効果を得ることができる。
上記した第7の実施形態におけるシャット弁113とパージ弁75との関係は、前記図7に示した第5の実施形態における開閉弁67とパージ弁75との間でも同様であり、これら各弁67,75を、第7の実施形態と同様な開閉操作を行うことで、水素の消費量やポンプ損失を抑えることができる。
本発明の第1の実施形態を示す燃料電池システムの全体構成図である。 図1の燃料電池システムに使用する昇圧ポンプの内部構造を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態を示す昇圧ポンプの内部構造を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施形態を示す供給水素圧力の変動図である。 第4の実施形態でのタービンへ水素を供給した場合と、そうでない場合とのインペラの回転上昇速度を比較して示した説明図である。 本発明の第5の実施形態を示す燃料電池システムの全体構成図である。 第5の実施形態における昇圧ポンプを含むその周辺の構造を示す断面図である。 本発明の第6の実施形態を示す燃料電池システムの全体構成図である。 第6の実施形態における昇圧ポンプを含むその周辺の構造を示す断面図である。 本発明の第7の実施形態を示す燃料電池システムの全体構成図である。 第7の実施形態における昇圧ポンプを含むその周辺の構造を示す断面図である。 第7の実施形態に係わるフローチャートである。
符号の説明
1 燃料電池
3 高圧燃料タンク
5 高圧燃料タンクと昇圧ポンプとの間の燃料供給通路(燃料通路)
7 減圧弁(減圧手段)
9 圧力調整弁(減圧手段,氷結解除用圧力調整手段,燃料増加用圧力調整手段)
11,11A,11B 昇圧ポンプ(ポンプ)
13 燃料循環通路
21 圧力センサ(圧力検出手段)
23 コントロールユニット(羽根車氷結判定手段,燃料制御手段)
29,81 インペラ
33,85 ポンプケーシング(羽根車ケーシング)
43,61 モータケーシング
55 タービン
65 燃料通路
67 開閉弁
75 パージ弁
89 吐出ポート(流体吐出口)
103 配管
105 水セパレータ(水分離手段)
111 分岐通路
113 シャット弁(開閉弁)

Claims (11)

  1. モータの回転軸と、このモータにより回転して流体を移送する羽根車の回転軸とを、互いに同軸上に連続して配置しつつ、前記モータをモータケーシング内に格納するとともに、前記羽根車を羽根車ケーシング内に格納するポンプにおいて、前記モータケーシング内の圧力を前記羽根車ケーシング内の圧力より高くすることを特徴とするポンプ。
  2. 燃料電池から排出される排出燃料を、燃料循環通路を通して循環させて前記燃料電池に再度供給するポンプであって、前記羽根車ケーシングと反対側に位置する前記モータ回転軸の端部の周囲と、前記燃料電池に供給する燃料を高圧貯蔵する高圧燃料タンクとを燃料通路で接続し、前記高圧燃料タンク内の燃料を、前記モータ回転軸の端部の周囲から前記モータ内部を通して前記羽根車ケーシング内に導入することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
  3. 前記燃料通路に、前記高圧燃料タンク内の燃料を減圧する減圧手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載のポンプ。
  4. 請求項2または3に記載のポンプを備えた燃料電池システムにおいて、前記燃料通路に開閉弁を設けるとともに、前記燃料循環通路における前記燃料電池の燃料排出側に、排出燃料を外部に排出するパージ弁を設け、前記開閉弁は、前記パージ弁が開いたときに閉じることを特徴とする燃料電池システム。
  5. 前記ポンプを、前記燃料循環通路における前記燃料供給通路への接続部より上流側に配置するとともに、前記モータ回転軸の端部の周囲に接続する燃料通路を、前記高圧燃料タンクの下流側で分岐する分岐通路で構成し、この分岐通路に前記開閉弁を設けたことを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
  6. 前記モータ回転軸の端部にタービンを設け、このタービンは、前記高圧燃料タンク内から前記モータ回転軸の端部の周囲に向けて流れる燃料によって回転することを特徴とする請求項2または3に記載のポンプ。
  7. 請求項6に記載のポンプを備えた燃料電池システムにおいて、前記羽根車が氷結しているかどうかを判定する羽根車氷結判定手段と、この羽根車氷結判定手段が前記羽根車が氷結していると判定したときに、前記タービンの回転力を高めるよう前記高圧燃料タンクからの燃料の圧力を調整する氷結解除用圧力調整手段とを、それぞれ設けたことを特徴とする燃料電池システム。
  8. 請求項6に記載のポンプを備えた燃料電池システムにおいて、前記燃料電池に供給する燃料を制御する燃料制御手段を設け、この燃料制御手段による燃料増加制御量が所定値以上のときに、前記タービンの回転力を高めるよう前記高圧燃料タンクからの燃料の圧力を調整する燃料増加用圧力調整手段とを、それぞれ設けたことを特徴とする燃料電池システム。
  9. 前記燃料電池に供給する燃料の圧力を検出する圧力検出手段を設け、前記燃料制御手段による燃料増加制御量が所定値以上でかつ、前記圧力検出手段が検出する燃料圧力が所定圧以下のときに、燃料増加用圧力調整手段が、前記タービンの回転力を高めるよう前記高圧燃料タンクからの燃料の圧力を調整することを特徴とする請求項8に記載の燃料電池システム。
  10. 前記羽根車ケーシングの流体吐出口と前記モータケーシング内とを配管で接続したことを特徴とする請求項1記載のポンプ。
  11. 前記配管に、前記流体中の水を分離する水分離手段を設けたことを特徴とする請求項10記載のポンプ。
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