JP2007182852A - 電動送風機及びそれを搭載した電気掃除機 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動機によって回転される羽根車の外周側に、空気流れを減速して圧力を回復させるためのディフューザ21を備えてなる電動送風機及び掃除機において、電動機の効率、信頼性、寿命の低下や騒音増加といった副作用が無く、幅広い風量範囲でディフューザ性能を改善し、電動送風機及び掃除機の出力を向上させる。
【解決手段】ディフューザ21のハブ面36とリターンガイド25側とを連通する通気孔40を設け、送風機の作動風量によって適応的に変化する量の漏れ流れ41を利用して、ディフューザ21の内部での空気流れが一様化するように流れを制御し、ディフューザ性能を向上させる。
【選択図】図5
【解決手段】ディフューザ21のハブ面36とリターンガイド25側とを連通する通気孔40を設け、送風機の作動風量によって適応的に変化する量の漏れ流れ41を利用して、ディフューザ21の内部での空気流れが一様化するように流れを制御し、ディフューザ性能を向上させる。
【選択図】図5
Description
本発明は、電動送風機及びそれを搭載した電気掃除機に関わり、特に空力的な出力を向上させるための送風機の静止流路部構造に関するものである。
電気掃除機に対する消費者ニーズとして吸い込み仕事力の向上がある。吸い込み仕事力は、掃除機の吸い込み風量と吸い込み圧力の積に比例するので、規定された風量点において吸い込み仕事力を向上するには、吸い込み圧力を増さなければならない。そして吸い込み圧力は、電動送風機の昇圧量を増すか、掃除機本体の圧力損失を低減させることで増加させることができる。
一方で、電気掃除機の集塵方式の主流は、紙パック方式からサイクロン方式に移行してきているが、サイクロン方式の方が集塵部の圧力損失が大きいために、掃除機としての作動風量点が紙パック方式よりも小さくなる。また掃除機の実使用時には塵埃の蓄積に伴って、さらに圧力損失が増すので、さらに低風量域で運転されることになる。このようなことから、電動送風機は従来の作動風量点に加え、より低い風量においても高い出力を維持することが求められてきている。
近年、送風機部の昇圧量を増すために、継続的にディフューザの性能改善が試みられてきた。ディフューザは流れを減速して圧力を回復する装置であり、流れを剥離させない範囲で減速を大きくとれば、性能が改善される。しかし、特定の風量点にあわせて減速度合いを最適に(即ち、最大に)調整しても、前述のように別の風量点で運転されると、流れがディフューザ壁面から剥離してしまい性能が悪化することが明らかになった。そこで幅広い風量範囲にわたって高性能を維持できる送風機の開発が望まれていた。
送風機の高出力化に関する取り組みとして、例えば下記の特許文献1では、ディフューザ後方の曲がり流路に面するファンケーシング部分に穴を開け、排気口として用いることで性能を改善している。従来、ディフューザから出た流れは曲がり流路を通過した後、電動機側に供給され、冷却風として用いられていたが、この冷却過程で生ずる圧力損失を低減し、送風機出力を改善するために上流側で排気する方法をとったものである。本手法によれば、前述のようなディフューザの減速に関する限界設計をしなくても、送風機出力を向上できるので、風量変化に対して比較的安定した送風機出力を提供することができる。
しかし、電動機への冷却風量が減少したため、電動機が高温となり、電動機側の効率が悪化したり、電動機部品の信頼性が低下したり、整流子の磨耗が進んで寿命が短くなったりする場合があった。また、冷却流路はそもそも送風機で発生した空力騒音を減衰させる役目も担っていたが、直接排気方式としたことで、騒音が直接的に外部に放射されるようになり、空力騒音レベルは従来よりも増大した。
このような空力性能改善とは別の目的で、空力騒音を低減するための方法として、下記の特許文献2及び3に示すようなディフューザ翼面上に通気孔を設ける方法や、特許文献4及び5に示すように、ディフューザ子午面と、別途設けられた密閉空間に通気孔を開ける方法などが提案されている。
特開2004―293460号公報
特許第3510107号
特許第3646337号
特開2000−120599号公報
実公昭59−28154号公報
電気掃除機においては、前述のように、設計風量点とそれより低い風量点の広い流量範囲において、吸い込み仕事力が高いことが望まれている。しかも、それは電動機側の効率低下、信頼性低下、寿命の低下、騒音増大といった副作用のないことが望ましい。しかしながら、これらの現象は強いトレードオフの関係にあって、技術的に克服し難いものであった。
この課題を解決するためには、冷却風や騒音減衰に関わる流路構造は従来どおりの構成のままにして、ディフューザ内流れの減速が、風量が変わったとしても常に限界に近い状態に維持されるような方法であればよい。
本発明の目的は、このような信頼性や騒音に関する悪い副作用を生じないように、広い風量範囲にわたって限界性能を引き出すためのディフューザ構造を有する電動送風機を提供することにある。
前記課題は、電動送風機に備えられるディフューザの子午面の内、電動機側に位置するハブ面の一部分と、それよりは下流側に位置する別の流路面の一部分とを少なくとも一つの通気孔で繋ぐことによって解決される。
また上記課題は、電動送風機に備えられるディフューザの子午面の内、電動機側とは反対側に位置するシュラウド面の一部分と、それよりも上流側に位置する別の流路面の一部分とを少なくとも一つの通気孔で繋ぐことによって解決される。
またこのような通気孔を持つディフューザを搭載した電動送風機を用いることで、集塵方式や塵埃量に左右されない高い吸い込み力を持つ電気掃除機の提供が可能となる。
また上記課題は、電動送風機に備えられるディフューザの子午面の内、電動機側とは反対側に位置するシュラウド面の一部分と、それよりも上流側に位置する別の流路面の一部分とを少なくとも一つの通気孔で繋ぐことによって解決される。
またこのような通気孔を持つディフューザを搭載した電動送風機を用いることで、集塵方式や塵埃量に左右されない高い吸い込み力を持つ電気掃除機の提供が可能となる。
ここでディフューザの子午面とは、送風機の回転軸を半径中心として、ディフューザの翼が存在する最内径と最外径の範囲にあるディフューザ翼間流路部分であって、かつディフューザの羽根面以外の壁面部分のことを言う。
また通気孔が繋がる先の流路面とは、送風機を通過していく空気流れが接する流路壁面のことを指す。したがって、密閉された閉空間内の壁面や流路とは隔離されたような開空間の壁面部分を除くものとする。
また通気孔が繋がる先の流路面とは、送風機を通過していく空気流れが接する流路壁面のことを指す。したがって、密閉された閉空間内の壁面や流路とは隔離されたような開空間の壁面部分を除くものとする。
前記のような本発明の構成によれば、通気孔の両端で流体の圧力が異なるので、その差圧の大きさに比例した漏れ流れが通気孔に生じる。この漏れ流れによってディフューザ内の主流や境界層を制御し、ディフューザ内部で流れが剥離するのを抑制することができる。しかも通気孔における差圧は、掃除機即ち送風機の作動風量点によって変化し、低風量になるほど差圧が大きくなるので、自動的に漏れ流量が大きくなり、より強い流れ制御が可能となる。この適応的なメカニズムによって、特定の風量点で限界設計したディフューザの性能を、別の風量になっても保つことができる。
例えば、通気孔を下流側の流路部分と繋いだ場合には、下流側の方が圧力が高いので、通気孔を通過する流れはディフューザに流入する方向の流れとなる。ディフューザ内の流れは一般的に非一様な分布流れとなっているが、通気孔を介して局所的に噴流を噴出すことによって主流を偏向させたり、境界層にエネルギーを与えたりして、流れをより一様化し、ディフューザとしてより大きな流れの減速が実現できるように操作できる。
また、通気孔を上流側の流路部分と繋いだ場合には、上流側の方が圧力が低いので、通気孔を通る流れの方向は、ディフューザから流出する方向となる。この場合は、境界層や低エネルギー流体部分を外部に吸い出すことになり、やはり同様にディフューザ内部流れを一様化し、ディフューザ全体の減速度合いを強めることができる。
このように本発明の構成によれば、冷却や騒音に関する悪い副作用を生じずに、広い風量域において送風機出力を向上させることができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について詳細に説明する。
先ず、図1に模式的に示した電気掃除機本体の横断面図において、この電気掃除機本体1内の空気流れについて説明をする。ここでホース継ぎ手2から流入した空気は、集塵室3に入る。図1ではこの集塵室3内にセットされる集塵手段として紙パック4が示されているが、パックの素材は問わない。また、サイクロン方式の場合は、サイクロン室が紙パック4の代わりに収まる。この紙パック4で大部分の塵埃を取り除かれた空気は、さらにフィルター部5を通過するが、ここで細かな塵埃も取り除かれる。その後、空気流れはモータ室6に流入する。電動送風機7は、モータ室6に防振ゴム8を介して懸架されており、送風機入口9から流入した空気は昇圧された後、送風機出口10から排気される。
先ず、図1に模式的に示した電気掃除機本体の横断面図において、この電気掃除機本体1内の空気流れについて説明をする。ここでホース継ぎ手2から流入した空気は、集塵室3に入る。図1ではこの集塵室3内にセットされる集塵手段として紙パック4が示されているが、パックの素材は問わない。また、サイクロン方式の場合は、サイクロン室が紙パック4の代わりに収まる。この紙パック4で大部分の塵埃を取り除かれた空気は、さらにフィルター部5を通過するが、ここで細かな塵埃も取り除かれる。その後、空気流れはモータ室6に流入する。電動送風機7は、モータ室6に防振ゴム8を介して懸架されており、送風機入口9から流入した空気は昇圧された後、送風機出口10から排気される。
次に図2を用いて、電動送風機7について説明する。電動送風機7は、送風機11と電動機12から構成されている。
電動機12は、ハウジング13及びエンドブラケット14からなる電動機外殻に、回転軸15が回転可能に支持され、この回転軸15にロータ16が取り付けられると共に、このロータ16の外周側にステータ17が固定配置された構成となっている。ロータ16への電気の供給は、ブラシ18とそれに接触するコンミテータ19により伝えられる。
電動機12は、ハウジング13及びエンドブラケット14からなる電動機外殻に、回転軸15が回転可能に支持され、この回転軸15にロータ16が取り付けられると共に、このロータ16の外周側にステータ17が固定配置された構成となっている。ロータ16への電気の供給は、ブラシ18とそれに接触するコンミテータ19により伝えられる。
送風機11は、前記回転軸15に直結された羽根車20と、この羽根車20の外周側に固定設置されるディフューザ21と、このディフューザ21に対して仕切り板23を挟んで対面に配置されるリターンガイド25と、がファンケーシング26内に収められた構成となっている。
この構成において、送風機入口9から流入した空気は、ひとまず羽根車20で昇圧及び増速される。その後、ディフューザ21を通過した流れは曲がり流路24を経て略180°転向し、リターンガイド25へと流入するが、この過程において流れは減速されて、その分だけ圧力が上昇する。リターンガイド25を通過した流れは、電動機のハウジング13内に流入し、ロータ16、ステータ17、ブラシ18、コンミテータ19などを冷却してから排気される。
図3に示す如くディフューザ21は、斜め放射状に配置された複数のディフューザ翼22を羽根車の外周側に有し、このディフューザ翼22と22の間を内側の羽根車からの空気流れが通過するようになっている。ここでディフューザ翼22は、外側に向かって凸となるような円弧形を有し、流れの入口側から出口側にかけてその間隔が広がるように形成されており、このディフューザ翼22と22の間を外周の出口側に向かって空気が通過することでその流れが減速されて圧力が回復するものである。
図4は、このディフューザにおける流れ解析結果の一例で、ディフューザ22を回転軸15の軸方向から見て、ディフューザ翼22の高さ方向の中央付近を通るような断面において流速ベクトルを示したものである。
ここでわかるように、ディフューザ翼22と22の間で流速の大きい流れは、ディフューザ翼22の凹面側(内面側)22aに寄っている。これを主流領域30と呼ぶ。一方で、ディフューザ翼22の凸面側(外面側)22bには流速の遅い流れが存在する。これを澱み領域32と呼ぶ。このようにディフューザ翼間の流れは非一様な分布をしている。今、仮に主流領域30の流れをもっと減速させて圧力回復量を増大させるために、ディフューザ翼22と22の間の流路をさらに拡大することを考えると、前記澱み領域31の部位から流れが剥離し、ディフューザ性能はかえって悪化してしまう。このように非一様な流れ場では局所的に流れの剥離が発生しやすい箇所が存在するので、あまり拡大を大きくできない。ディフューザにおける理想的な流れとしては、できるだけディフューザ翼間の流れが一様でかつディフューザ翼間の拡大が大きいような場合である。
図5は、本発明に係る第1の実施例であり、電動送風機におけるディフューザ周辺部の拡大断面図である。ここでディフューザ21におけるディフューザ翼22の入口側の径34からディフューザ翼22の出口側の径35に至る範囲のディフューザ翼22と22の間の流路壁面の内、電動機側の面をハブ面36と呼ぶこととする。ディフューザ21から出た流れは曲がり流路24を経てリターンガイド25に至る。ここでディフューザ21とリターンガイド25を分ける仕切り板23において、ハブ面36とリターンガイド25側の流路壁面とを連通するように繋ぐ通気孔(通気流路)40を設けてある。ディフューザ21内からリターンガイド25へ至る流れの過程で圧力回復が進んでいるから、通気孔40には差圧が生じ、リターンガイド25側からディフューザ21側へと漏れ流れ41が生じる。ディフューザ翼22と22の間の流路から見れば、これは噴き出し流れとなる。
図6及び図7は、図5で示した実施例のディフューザ21を回転軸15の軸方向から見た正面図であり、通気孔を開ける位置の事例を示している。図6では、ディフューザ翼22の凹面側22a寄りに通気孔40を開けているのに対し、図7では、ディフューザ翼22の凸面側22b寄りに通気孔40を開けているのが特徴である。
図4で見たように、ディフューザ21を流れる主流はディフューザ翼22の凹面側22aに偏っており、凸面側22bは澱んでいる。そこで図6のように凹面側22a寄りに通気孔40を設けると、この通気孔40からの噴き出し流れ41によって、主流31が若干、ディフューザ翼22の凸面側22bに偏向される。この作用によってディフューザ翼22と22の間での流れがより一様化される。一方で、図7のように凹面側22b寄りに通気孔40を設けた場合は、この通気孔40からの噴き出し流れ41が澱み領域32に向かって噴き出して流れのエネルギーが与えられるので、こちらもディフューザ翼22と22の間での流れが一様化されることになる。
このような通気孔40を介した流れ制御により、ディフューザ21内での流れの一様化が促進されるので、局所的な剥離が発生しにくくなる。その分ディフューザ21の流路拡大率をあらかじめ大きく取っておくことができ、圧力回復量を増加させることができる。
また図4に示したようなディフューザ内での流れの非一様性は、一般に低風量域になるほど大きくなるが、低風量になるほど送風機の圧力上昇が増し、同じ通気孔の配置において漏れ流れを誘引する差圧量も増大する。即ち、低風量になるほど、通気孔からの噴き出し流量が増加し、程度の大きい非一様な翼間流れをより強く制御するようになる。このような適応的な調整機構により、送風機の作動風量に鈍感な流れの一様化効果を確保できる。したがって、広い風量範囲にわたって、高い圧力回復量を維持することができるわけである。
なお、この構成では、ディフューザ21におけるディフューザ翼22の入口側の径34をDとする時、通気孔40の出入口端面の中心位置は、最寄のディフューザ翼22の面(図6の場合は凹面側22a、図7の場合は凸面側22b)まで0.05D以内の距離にあることが望ましい。その理由は、通気孔40の中心位置を最寄のディフューザ翼22から0.05D以内の距離に設定した場合には、前述したようなディフューザ内での流れの一様化効果が顕著に確認でき、通気孔40の中心位置が最寄のディフューザ翼22から0.05Dを越えて離れている場合には、ディフューザ内での流れの一様化効果が大幅に低下してしまうことが実験によって判明したからである。
図8は本実施例の送風機出力への効果を実験的に測定したものである。本発明の対策を施さない基準品に対して、図7のようにディフューザ翼22の凸面側22b寄りに通気孔40を設けた実施例の場合は、大風量域から中風量域にかけてはほぼ同等の出力で、低風量域で出力は大きく改善した。また図6のようにディフューザ翼22の凹面側22a寄りに通気孔40を設けた実施例の場合は、低風量域の出力はそのままで、中風量域から大風量域にかけて出力が向上した。
また本実施例では、送風機を通過した流れは従来どおり電動機の冷却に使われるので、電動機側の温度上昇による効率低下、信頼性低下、ブラシ寿命の低下などは発生しない。
さらに騒音については、通気孔を介して、ディフューザ翼間内の大きい圧力変動が、相対的に圧力変動の小さいリターンガイド側と繋がっていることで緩和され、空力音源強度を弱めることができる。また発生した空力音が電動送風機の外に出るまでの経路は従来と変わらないため、前記空力音の減衰の程度は同等となり、音源が弱くなった分だけ騒音を低減できると考えられる。
図9は、本実施例の内、通気孔40をディフューザ翼22の凹面側22a寄りの位置に開けた場合の騒音低減効果の検証例を示したもので、騒音スペクトルの比較から、本発明の対策を施さない基準品に対し実施例では確かに騒音低減効果があることが分かる。
なお、本実施例の説明にあたっては、図5などでリターンガイド25の存在を仮定して説明したが、作用としてはリターンガイドの存在は必要ではないので、リターンガイドがあるかどうかは限定しない。
また、図5では送風機の回転軸に並行で直線的な通気孔40を示したが、このような通気孔ならば、ディフューザを樹脂で型成形するような場合に、簡単で安価に製造できる。もちろん通気孔の形態は前述のものに限ることなく、ディフューザ内での主流の流れに沿うような噴流を生成するために、斜めに傾けて通気孔を設けてもよいし、その他にも通気孔の断面形状や数は問わない。
次に、図10を用いて、本発明に係る第2の実施例について説明する。ここでディフューザ21におけるディフューザ翼22の入口側の径34からディフューザ翼22の出口側の径35に至る範囲のディフューザ翼22と22の間の流路壁面の内、電動機とは反対側の面をシュラウド面37と呼ぶこととする。この構成ではディフューザ21とファンケーシング26との間にディフューザリング27が設置されている。ここでディフューザリング27とファンケーシング26において、シュラウド面37と送風機外部とを連通するように繋ぐ通気孔(通気流路)42を開けてある。ファンケーシング26の通気孔部分の大きさは、ディフューザリング27の通気孔部分の大きさと異なっていてもよい。図10では、ディフューザリング27がディフューザ21とは別部材として設置された場合を示しているが、同様の部材がディフューザ21と一体的に成型されてもよいし、ディフューザリング27を取り去って、ファンケーシング26とディフューザ21とを直接固定するようにしてもよい。
この構成において、ディフューザ21に流入する流れは、ファンケーシング26の外側に接する空間から送風機入口9を介して吸い込まれ、羽根車によって昇圧された流れであり、ファンケーシング26の外側は、ディフューザ21の内部よりも低圧である。したがって、その差圧によってディフューザ21の内部から通気孔42を通ってファンケーシング26の外部へと漏れ流れ43が生じる。この漏れ流れ43は、ディフューザ21の流路側から見れば吸い出し流れとなる。シュラウド面37には流れの境界層が存在するが、前記吸い出し流れ43によって境界層が吸い出されるため、ディフューザ21内での流れが一様化される。したがってディフューザ21での減速の度合いを大きく取る事ができ、圧力回復量を増加させることができる。
図11は、図10に示した実施例の構成からディフューザ21とディフューザリング27だけを取り出して、これを回転軸15の軸方向から見た正面図であり、通気孔42を開ける位置を示している。ディフューザリング27が無い構成の場合は、ファンケーシング26と置き換えて考えればよい。ディフューザ21からの吸い出し流れを利用する本実施例の場合は、図4における澱み領域32を吸い出す必要があるため、通気孔42を開ける位置は、ディフューザ翼22の凸面側22b寄りの部位である。この場合、前述した第1の実施例と同様、ディフューザ21におけるディフューザ翼22の入口側の径34をDとする時、通気孔42の出入口端面の中心位置は、最寄のディフューザ翼22の凸面側22bまで0.05D以内の距離にあることが望ましい。
図12は、本実施例の効果を流れ解析によって検討した結果で、通気孔を介しての漏れ流量に対する送風機効率の変化量を予測したものである。前述した境界層の吸い出し効果によってディフューザ要素における圧力回復率は改善されるが、漏れ流量自身はそのまま漏れ損失となるため、両者の差し引きが送風機全体としての正味の効率増減量となり、その結果から特定の漏れ流量範囲において、送風機効率を向上できることが分かる。
また本実施例では、漏れ流れは非常に僅かな量であるから、送風機を通過した流れは従来どおり電動機の冷却に使われ、実施例1の場合と同様に電動機の効率や信頼性や寿命が低下することはない。
さらに騒音についても、通気孔の大きさが微小であるため、ここから空力音が外部に放射される量は十分に小さく、騒音が増加することはない。
さらに騒音についても、通気孔の大きさが微小であるため、ここから空力音が外部に放射される量は十分に小さく、騒音が増加することはない。
なお、図10では送風機の回転軸に略並行で直線的な通気孔42を示したが、このような通気孔は、製作の容易さや製作コストを考慮した場合の形態である。もちろん通気孔の形態は前述のものに限らず、より境界層を吸い出しやすくするために、ディフューザ内での流れに沿うように斜めに傾けて通気孔を設けてもよいし、その他にも通気孔の断面形状や数は問わない。
図5〜図7で説明した第1の実施例では、ディフューザのハブ面とリターンガイド側を通気孔で繋ぎ、ハブ面近傍での噴き出し流れを利用してディフューザ内での流れを制御する例を示した。図13はその変形例としての第3の実施例を示しており、ディフューザ21のシュラウド面37とリターンガイド25側を通気孔で繋ぎ、噴き出し流れをシュラウド面37の近傍において利用するようにした例である。即ち、この構成ではディフューザ翼22に中空状の通気孔45を別途設けてリターンガイド25側の流路と繋ぎ、この中空の通気孔45を介して漏れ流れ47をシュラウド面37側に運搬し、シュラウド面37側に設けた通気孔46から噴き出し流れとして噴出させるようにしてある。この通気孔46は、図14に示す如くディフューザ翼22の凹面22a側に設けてもよいし、図15のようにディフューザ翼22の凸面22b側に設けてもよい。
この第3の実施例においても、前述した第1の実施例と同様の効果が得られる。
この第3の実施例においても、前述した第1の実施例と同様の効果が得られる。
図10及び図11で説明した第2の実施例では、ディフューザのシュラウド面とファンケーシングの外側を通気孔で繋ぎ、シュラウド面近傍での吸い出し流れを利用してディフューザ内での流れを制御する例を示した。図16はその変形例としての第4の実施例を示しており、ディフューザ21のハブ面36とファンケーシング26の外側を通気孔で繋ぎ、吸い出し流れをハブ面36の近傍において利用するようにした例である。即ち、この構成ではディフューザ翼22に中空状の通気孔48を別途設けてファンケーシング26の外側と繋ぎ、この中空の通気孔48とハブ面36側に設けられた通気孔49を介して吸い出し流れ50を通すようにしてある。
この第4の実施例においても、前述した第2の実施例と同様の効果が得られるものである。
この第4の実施例においても、前述した第2の実施例と同様の効果が得られるものである。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限ることなく、他にも種々の実施形態を採り得るものであることは言うまでもない。
1…電気掃除機本体、3…集塵室、7…電動送風機、11…送風機、12…電動機、15…回転軸、20…羽根車、21…ディフューザ、22…ディフューザ翼、25…リターンガイド、34…ディフューザ翼の入口側の径、35…ディフューザ翼の出口側の径、36…ハブ面、37…シュラウド面、40,42,45,46,48,49…通気孔(通気流路)、41,47…吹き出し流れ、43,50…吸い出し流れ
Claims (5)
- 電動機と、該電動機の回転軸に直結された気流発生用の羽根車と、該羽根車の外周側に設置され、発生した前記気流を減速して圧力回復をする翼付きディフューザとを備え、該ディフューザから流出した気流の少なくとも一部を前記電動機の冷却に用いる電動送風機において、
前記ディフューザを構成する流路壁面の内、前記ディフューザの翼面を除いた何れかの壁面部分と、前記ディフューザよりも下流側にあって、かつ前記気流が接する流路の何れかの壁面部分とを、少なくとも一つ以上の通気流路によって連通させたことを特徴とする電動送風機。 - 請求項1に記載の電動送風機であって、
前記ディフューザにおける翼の入口側の径をDとする時、前記ディフューザの流路壁面上に存在する前記通気流路の出入口端面の中心位置は、前記ディフューザの最寄の翼面まで0.05D以内の距離にあることを特徴とする電動送風機。 - 電動機と、該電動機の回転軸に直結された気流発生用の羽根車と、該羽根車の外周側に設置され、発生した前記気流を減速して圧力回復をする翼付きディフューザとを備え、該ディフューザから流出した気流の少なくとも一部を前記電動機の冷却に用いる電動送風機において、
前記ディフューザを構成する流路壁面の内、前記ディフューザの翼面を除いた何れかの壁面部分と、前記ディフューザよりも上流側にあって、かつ前記気流が接する流路の何れかの壁面部分とを、少なくとも一つ以上の通気流路によって連通させたことを特徴とする電動送風機。 - 請求項3に記載の電動送風機であって、
前記ディフューザにおける翼の入口側の径をDとする時、前記ディフューザの流路壁面上に存在する前記通気流路の出入口端面の中心位置は、前記ディフューザの最寄の翼面まで0.05D以内の距離にあることを特徴とする電動送風機。 - 塵埃を吸い込む集塵室と、該集塵室の後方に配置され、前記集塵室から前記塵埃を吸込むための気流を形成する電動送風機と、を有する電気掃除機において、
前記電動送風機が、請求項1〜4の何れか1項に示される特徴を備えた電気掃除機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006002798A JP2007182852A (ja) | 2006-01-10 | 2006-01-10 | 電動送風機及びそれを搭載した電気掃除機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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2006
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