JP2007178912A - 液晶表示装置およびその製造方法 - Google Patents

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励 長谷川
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Abstract

【課題】明るく、表示ムラのない反射型液晶表示装置と、その簡便な製造方法を提供する。
【解決手段】液晶表示装置が具備する液晶表示パネル10は、主面を対面させて配置されたアレイ基板20と対向基板30との間に、液晶性側鎖301bを有し、アレイ基板20の主面に垂直な方向において第1媒質層301と第2媒質層302とが周期構造を形成したブロックコポリマーからなるポリマー層40が挟持された構造を有する。第1媒質層301のアレイ基板20の主面に垂直な方向の屈折率nと、第2媒質層302のアレイ基板20の主面に垂直な方向の屈折率nとを、電圧無印加時には異なり、電圧印加時には等しくなる構成とし、ポリマー層40に電圧を印加することにより液晶表示パネル10の光反射率を制御する。
【選択図】図3

Description

本発明は液晶表示装置およびその製造方法に関し、より詳しくは基板間に周期構造を有するポリマー層を挟持した反射型の液晶表示装置およびその製造方法に関する。
反射型液晶表示装置は、超低消費電力で動作する表示装置として、時計、電卓、小型携帯機器などに広く利用されている。このような反射型液晶表示装置に使用される表示モードには、ツイスティッド・ネマティック(TN)型、スーパー・ツイスティッド・ネマティック(STN)型、電界制御複屈折(ECB)型があり、これらは偏光板を必要とする。しかし、偏光板を用いると、液晶セルへの入射光の50%以上がこの偏光板によって吸収されるため、明るい反射型表示装置を実現することは困難であった。
明るい反射型表示装置を実現するための技術として、複屈折性材料(液晶)と複屈折性を示さない非複屈折性材料(高分子材料)とが層状に配置された層構造を有し、これら複屈折性材料と非複屈折性材料の周期を複数とした光学素子(表示装置)が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。この表示装置では、光硬化性樹脂と液晶との混合物にレーザ光の干渉パターンを照射し、この干渉パターンに沿って液晶と高分子材料とが分離することで、複屈折性材料と非複屈折材料の周期構造が形成される。この高分子/液晶複合体に電界を印加することによる液晶層の屈折率変化を利用して、特定の波長の光の透過と反射を制御している。
また、上述した偏光板を不要とする技術として、フィルム上に液晶をコーティングしたものを多数重ね合わせ、この複合多層膜に電圧を印加することで前記液晶の屈折率を変化させ、光の透過/反射を制御する液晶セル(表示装置)およびその製造方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。この表示装置では、電圧印加の有無により液晶層の屈折率が変化するので、電圧印加時に液晶とフィルムの屈折率が一致するように構成すると入射光は透過し、電圧無印加時に液晶の屈折率と厚みおよびフィルムの屈折率と厚みが特定の関係を満たすように構成すると干渉反射が生じる。
したがって、これらの表示装置では偏光板を使用せずに反射型表示を行うことができる。
しかしながら、特許文献1,2に開示された表示装置では、レーザ光の干渉パターンを一度に広い領域に照射することはできない。このため、レーザ光の干渉パターンを走査して照射する必要があり、生産効率を高めることが困難である。
また、特許文献3に開示された表示装置では、薄いフィルムを用いるとハンドリング性が悪いために製造が容易ではなく、しかも均一に積層することが困難なために表示ムラが生じやすいという問題がある。これに対して、フィルムのハンドリング性を高めるために厚いフィルムを用いると、画面が暗くなり、また、駆動電圧が高くなるという問題が生じる。また、特許文献3には、厚いフィルムと液晶の積層体を延伸させることで薄膜化する技術が開示されているが、流動性を有する液晶が挟まれたフィルムを各層の厚さを均一に調整しながら延伸させることは困難である。
特開平6−308542号公報 特開平7−92483号公報 特開平10−228015号公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、明るく表示ムラのない反射型液晶表示装置と、その簡便で生産性が高い製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点によれば、主面を対面させて配置される一対の基板と、前記一対の基板の間に挟持されるポリマー層と、を有する液晶表示装置であって、前記ポリマー層は、液晶性側鎖を有し前記基板の主面に垂直な方向において周期構造を有するブロックコポリマーを備え、前記ポリマー層の光反射率が前記周期構造を有するブロックコポリマーに電圧を印加することにより制御されることを特徴とする液晶表示装置、が提供される。
この液晶表示装置において、前記周期構造を有するブロックコポリマーは、前記基板の主面に垂直な方向で交互に存在する第1媒質層と第2媒質層とを有し、前記第1媒質層の前記基板の主面に垂直な方向の屈折率nと、前記第2媒質層の前記基板の主面に垂直な方向の屈折率nとが、電圧無印加時には異なり、電圧印加時には等しい構成とすることが好ましい。逆に、前記第1媒質層の前記基板の主面に垂直な方向の屈折率nと、前記第2媒質層の前記基板の主面に垂直な方向の屈折率nとが、電圧無印加時には等しく、電圧印加時には異なる構成としてもよい。
前記液晶性側鎖は、前記第1媒質層または第2媒質層のいずれか一方にのみ含まれ、前記周期構造のピッチは5nm〜200nm、繰り返し回数は10〜1000であることが好ましい。
前記第1媒質層は前記液晶性側鎖を有するポリメタクリル酸エステルまたはその誘導体からなり、前記第2媒質層はジメチルシロキサンまたはその誘導体からなることが好ましい。
本発明の第2の観点によれば、第1の基板上に液晶性側鎖を有するブロックコポリマーを含有する溶液を塗布する工程と、
前記溶液に含まれる溶媒を揮発させて前記第1の基板上に前記ブロックコポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、
前記ポリマー層にアニール処理を施して前記ブロックコポリマーを相分離させる工程と、
第2の基板と前記相分離されたポリマー層が形成された第1の基板とを貼り合わせる工程とを有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法、が提供される。
本発明によれば、明るく表示ムラのない反射型の液晶表示装置を、簡便な工程で作製することができる。そのため、生産性がよい。また、本発明の液晶表示装置は、液晶を含むポリマー層を薄く形成することができるので、駆動電圧を低くすることができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1に本発明に係る液晶表示装置の概略構造を表した平面図を示し、図2に図1の液晶表示装置の概略構造を部分的に表した断面図を示す。
この液晶表示装置は、反射型表示方式のアクティブマトリクス型液晶表示装置であり、液晶表示パネル10と、液晶表示パネル10に接続された走査線ドライバ11と、信号線ドライバ12とを具備している。
液晶表示パネル10は、アレイ基板20と、対向基板30とを有しており、アレイ基板20と対向基板30との間には枠状のシール層(図示せず)が介在している。そして、アレイ基板20と対向基板30と図示しないシール層とに囲まれた空間は、液晶性側鎖を有するブロックコポリマーで満たされ、ポリマー層40が形成されている。また、アレイ基板20には光吸収性フィルム50が貼り付けられており、使用者は対向基板30の外面側から液晶表示パネル10を見る。
アレイ基板20は、例えば、ガラス基板やプラスティック基板等の透明基板100と、透明基板100の一面上に設けられた走査線101,補助容量線(図示せず)を有している。走査線101と補助容量線は、各々、X方向に延びており、X方向と直交するY方向に所定間隔で交互に配列している。
走査線101と補助容量線は、同一の工程で形成することができる。また、これらの材料としては、例えば、金属または合金を使用することができる。走査線101と補助容量線は絶縁膜102で被覆されており、この絶縁膜102としては、例えば、シリコン酸化膜を使用することができる。
絶縁膜102上には、半導体層103が走査線101のゲート電極に対応して配設されている。半導体層103は、例えばアモルファスシリコンからなり、ゲート電極と交差している。半導体層103上には、図示しないチャネル保護層と、オーミック層とが形成されている。
ゲート電極と、半導体層103と、ゲート絶縁膜(すなわち、絶縁膜102のうちゲート電極と半導体層103との間に位置した部分)とは、薄膜トランジスタを形成しており、薄膜トランジスタは画素スイッチ104として利用される。本例では、画素スイッチ104はnチャネル薄膜トランジスタであり、より具体的には、アモルファスシリコン薄膜トランジスタである。しかしながら、画素スイッチ104はこれに限定されるものではなく、ポリシリコン薄膜トランジスタを使用してもよいし、このような薄膜トランジスタを使用する代わりに、薄膜ダイオードなどの他のスイッチング素子を使用してもよい。
絶縁膜102上には、さらに信号線105aとソース電極105bとが配設されている。信号線105aは、各々、Y方向に延びており、画素スイッチ104が形成する列に対応してX方向に配列している。信号線105aは、画素スイッチ104が含む半導体層103のドレインを被覆している。すなわち、信号線105aの一部は、画素スイッチ104のドレイン電極として機能する。ソース電極105bは、画素スイッチ104に対応して配設されており、画素スイッチ104のソース電極として機能するとともに、補助容量線と向き合っている。ソース電極105bと補助容量線とそれらの間に介在した絶縁膜102とがキャパシタ106を形成している。
絶縁膜102上には、さらにカラーフィルタ107が配設されている。カラーフィルタ107は、例えば、青(B),緑(G),赤色(R)の着色層を含んでいる。また、カラーフィルタ107上には画素電極108が設けられており、画素電極108は、カラーフィルタ107に形成された貫通孔を介してソース電極105bに接続されている。画素電極108の材料としては、例えばITO(indium tin oxide)を使用することができる。なお、画素スイッチ104とソース電極105dと画素電極108とキャパシタ106とは、画素回路を形成している。
画素電極108は配向膜109で被覆されている。後述するように、ポリマー層40はミクロ相分離して周期構造を形成するが、この際、配向膜109はAポリマー鎖(第1媒質層)301とBポリマー鎖(第2媒質層)302とがアレイ基板20等の主面に垂直な方向で交互に並んだ周期構造を形成するために機能している。配向膜109にポリイミド、ナイロン、ポリアミド、ベンゾシクロブテンポリマー、ポリアクリルニトリル等の比較的親水的な膜を使用した場合、Aポリマー鎖とBポリマー鎖の内より親水的なポリマー鎖の方が配向膜と接触するように配列する。ここで、Aポリマー鎖の方がより親水的と仮定すると、配向膜109上にAポリマー鎖が配列し、その上にBポリマー鎖が、またその上にAポリマー鎖という具合に周期構造が形成される。逆に、配向膜109にシランカップリング剤のような疎水的な膜を用いると、Aポリマー鎖とBポリマー鎖の内より疎水的なポリマー鎖の方が配向膜と接触するように配列する。これらの中で、ポリイミドは成膜の容易さや化学的安定性の点で優れている。なお、画素電極108や対向電極208にオイルミスト等の吸着がなく、親水的な表面が一様に形成されていれば、配向膜109,配向膜209は本発明に必須ではなく、省略することもできる。
絶縁膜102上には、走査信号入力端子群(図示せず)と、映像信号入力端子群(図示せず)がさらに配置されている。これら走査信号入力端子と映像信号入力端子はそれぞれ、走査線101と信号線105aとに接続されている。これら端子の材料としては、例えば金属または合金を使用することができる。なお、絶縁膜102,半導体層103,カラーフィルタ107,配向膜109は、アレイ基板20の構成要素である。
対向基板30は、例えば、ガラス基板やプラスティック基板などの透明基板200と、透明基板200の一面に設けられた対向電極208と、対向電極208を被覆する配向膜209と有している。この対向電極208は画素電極108と向き合った共通電極である。対向電極208の材料としては、例えばITOを使用することができる。配向膜209としては配向膜109と同じ膜を使用することができる。
アレイ基板20と対向基板30とは、これら配向膜109,209を向き合わせて配置されている。図示しない走査信号入力端子と映像信号入力端子は、アレイ基板20と対向基板30との間に設けられ、アレイ基板20と対向基板30とを互いに貼り合わせている枠状のシール層の外側に設けられている。この枠状のシール層の材料としては、エポキシ系やアクリル系の接着剤を使用することができる。
アレイ基板20と対向基板30との間であって枠状のシール層が形成する枠の枠外側には、図示しないトランスファ電極が配置されている。このトランスファ電極は、対向電極208をアレイ基板20に接続している。
アレイ基板20と対向基板30との間には粒状スペーサが介在しているか、または、アレイ基板20と対向基板30の一方または両方が柱状スペーサを備えている。これらのスペーサは、アレイ基板20と対向基板30との間であって画素電極108に対応した位置に、厚さがほぼ一定の隙間を形成している。
アレイ基板20と対向基板30と枠状のシール層とに囲まれた空間は、液晶性側鎖を有するブロックコポリマーで満たされており、ポリマー層40を形成している。画素電極108,対向電極208,配向膜109,配向膜209,ポリマー層40が、液晶素子300を形成する。液晶表示パネル10の各画素は、画素スイッチ104と液晶素子300とキャパシタ106とを含んでいる。また、アレイ基板20と対向基板30とそれらの間に介在したポリマー層40および枠状のシール層とが、液晶セルを形成している。
光吸収性フィルム50は、例えば、黒色のプラスティックフィルムである。
走査線ドライバ11および信号線ドライバ12はそれぞれ、上述した走査信号入力端子および映像信号入力端子に接続されている。走査線ドライバ11および信号線ドライバ12は、図1に示すようにCOG(chip on glass)実装してもよいし、TCP(tape carrier package)実装してもよい。
次に、ポリマー層40の構造について詳細に説明する。ポリマー層40を構成するブロックコポリマーとは、複数のホモポリマー鎖がブロックとして結合した直鎖コポリマーを指す。ブロックコポリマーとしては、繰り返し単位Aを有するAポリマー鎖(第1媒質層)301と繰り返し単位Bを有するBポリマー鎖(第2媒質層)302とが末端どうしで結合した、−(AA・・AA)−(BB・・BB)−という構造のA−B型ジブロックコポリマーが挙げられる。
このようなブロックコポリマーは、種々の重合法で合成可能であるが、最も好ましい合成方法はリビング重合法である。リビング重合法の中で、リビングアニオン重合法またはリビングカチオン重合法では、1種のモノマーをアニオンまたはカチオンを生成する重合開始剤により重合を開始させ、他のモノマーを逐次的に添加することによりブロックコポリマーを合成することができる。また、リビングラジカル重合法でもブロックコポリマーを合成することもできる。これら各種リビング重合法では、分子量やコポリマー比を精密に制御することができ、分子量分布の狭いブロックコポリマーを得ることができる。リビング重合法を用いる際には、溶媒を金属ナトリウムなどの乾燥剤で十分乾燥し、凍結乾燥や不活性ガスなどのバブリングなどの方法により、酸素の混入を防止することが好ましい。重合反応は、不活性ガス気流下において、好ましくは2気圧以上の加圧条件下で行うことが好ましい。加圧条件下での重合は、反応容器外からの水分や酸素などの混入を効果的に防止することができ、しかも比較的低コストで反応プロセスを実施できるという利点がある。ポリマー鎖どうしの化学的な結合は、結合強度の面から共有結合となることが好ましく、特に炭素−炭素結合または炭素−ケイ素結合であることがより好ましい。
このようなブロックコポリマーを加熱(アニール)処理することにより、Aポリマー鎖からなる層とBポリマー鎖からなる層とが交互にならぶミクロ相分離を生じさせることができる。そこで、ポリマー層40にこのミクロ相分離を利用して、Aポリマー鎖とBポリマー鎖とがアレイ基板20等の主面に垂直な方向で交互に並んだ周期構造を形成させる。このような周期構造は、Aポリマー鎖とBポリマー鎖の組成比が50:50のときに最も起こりやすく、実用的には40:60〜60:40の範囲にあることが好ましい。また、Aポリマー鎖とBポリマー鎖の極性差が大きい、すなわち一方のポリマー鎖が親水性が強く、もう一方のポリマー鎖が疎水性が強い場合に、このような周期構造をとりやすい。ポリマー鎖の極性は溶解度パラメーターを指標にすることができ、Aポリマー鎖材料とBポリマー鎖材料の溶解度パラメーターの差が5(MPa)1/2以上であることが好ましい。なお、Aポリマー鎖材料とBポリマー鎖材料の溶解度パラメーターの差が5(MPa)1/2未満の場合は、周期構造が形成されにくい。
ブロックコポリマーのミクロ相分離による周期構造は、例えば、ブロックコポリマーを適当な溶媒に溶解して塗布溶液を調製し、この塗布溶液を基板上に塗布し乾燥して膜を形成し、この膜をブロックコポリマーのガラス転移温度以上の温度でアニールすることによって、形成することができる。また、ミクロ相分離構造を形成したブロックコポリマーに架橋剤の添加や架橋性基の導入を行うことにより、ブロックコポリマーを構成しているポリマーを三次元的に相互に架橋させてもよい。このような架橋処理によって、ミクロ相分離構造の耐熱性や機械的強度を向上させて安定化することができる。
ブロックコポリマーを溶解する溶媒は、ブロックコポリマーを構成する2種のポリマー鎖材料に対して良溶媒であることが望ましい。ポリマー鎖どうしの斥力は、2種のポリマー鎖材料の溶解度パラメーターの差の2乗に比例する。そこで、2種のポリマー鎖材料に対する良溶媒を用いれば、2種のポリマー鎖材料の溶解度パラメーターの差が小さくなり、系の自由エネルギーが小さくなって相分離に有利になる。
液晶表示パネル10に用いられるブロックコポリマーの基本骨格として、例えば、ポリスチレン、ポリメタクリル酸エステル、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリジメチルシロキサンおよびこれらの誘導体の中から2種類のポリマーを組み合わせたものが使用できる。これらの材料は、容易にA−B型ジブロックコポリマーを形成することができるため好ましい。中でも、ポリメタクリル酸エステルは、エステル部分に液晶性側鎖を結合することが容易であるため好適である。この材料は比較的屈折率が高いため、ポリジメチルシロキサンのような屈折率の低い材料と組み合わせることで、高い反射率を得ることができる。
なお、前述したこれらの誘導体とは、例えば、ポリα−メチルスチレン、ポリt−ブチルスチレン、ポリメタクリル酸トリフルオロエチル、ポリメチルフェニルシロキサンなどが挙げられる。
また、このようなブロックコポリマーの薄膜を作製する場合に、ブロックコポリマーを溶解する溶剤としては、均一溶液を調製することができるように150℃以上の沸点を有する溶剤、例えば、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルラクテート等を用いることが好ましい。
次に、本発明の液晶表示パネル10の動作原理について説明するために、ポリマー層40がミクロ相分離構造を有するA−B型ジブロックコポリマーからなるものとして、図3にA−B型ジブロックコポリマーからなるポリマー層の電圧無印加時における構造を模式的に示す断面図を示し、図4に同ポリマー層の電圧印加時における構造を模式的に示す断面図を示す。A−B型ジブロックコポリマーのミクロ相分離構造は、基板(つまり、アレイ基板20,対向基板30)の主面(基板面)に垂直な方向に、Aポリマー鎖301aと、Aポリマー鎖301aに結合されている液晶性側鎖301bからなる第1媒質層(以下、「Aポリマー層」という)301と、Bポリマー鎖302aからなる第2媒質層(以下、「Bポリマー層」という)302とが交互に並んだ周期構造である。
Aポリマー層301の、電圧無印加時における屈折率をn、電圧印加時における屈折率をn´とし、Bポリマー層302の屈折率をnとする。nとnが異なれば、Aポリマー層301とBポリマー層302の界面で反射が生じる。その反射率はスネルの法則によりnとnの差に依存し、例えば、この屈折率差が0.2程度の場合には、Aポリマー層301とBポリマー層302とがそれぞれ10層以上あれば、実用上、十分な反射率を得ることができる。
電圧印加時には、Aポリマー層301の液晶性側鎖301bが電場と平行に配向することで、Aポリマー層301の屈折率がnからn´に変化する。このn´がnとほぼ等しくなるようにBポリマー層302の材料を選択しておけば、Aポリマー層301とBポリマー層302の界面での反射がなくなり、光はポリマー層40を透過する。この透過した光を光吸収性フィルムで吸収することで、黒表示とすることができる。また、本発明の液晶表示パネル10の動作原理は、この動作原理に限定されるものではなく、例えば、この逆の動作を行っても良い。すなわち、電圧無印加時におけるAポリマー層301の屈折率nと、Bポリマー層302の屈折率nとをほぼ等しくなるようにBポリマー層302の材料を選択することで、Aポリマー層301とBポリマー層302の界面での反射がなくなり、光はポリマー層40を透過する。この透過した光を光吸収性フィルムで吸収することで、黒表示とすることができる。さらに、電圧印加時には、Aポリマー層301の屈折率nは、n´に変化する。このn´とnが異なれば、Aポリマー層301とBポリマー層302の界面で反射が生じる。その反射率はスネルの法則によりnとnの差に依存し、例えば、この屈折率差が0.2程度の場合には、Aポリマー層301とBポリマー層302とがそれぞれ10層以上あれば、実用上、十分な反射率を得ることができる。
なお、所定の波長λに対して、n・d=λ/4(但し、dはAポリマー層301の厚さ)と、n・d=λ/4(但し、dはBポリマー層の厚さ)の条件が同時に満たされれば、この波長λの光は干渉反射される。この特性を利用すれば、カラーフィルタを使用せずに、特定の色の反射表示を行うことができる。
ポリマー層40は、良好な反射性と透過性とを得る観点から、周期構造のピッチ(つまり、Aポリマー層301とBポリマー層302の合計厚さ)が5nm〜200nm、繰り返し回数が10〜1000とすることが好ましい。
次に、上記液晶表示装置の製造方法について説明する。対向基板30上に対向電極208と配向膜209を形成したものを準備し、この配向膜209上に液晶性側鎖を有するブロックコポリマーを含有する溶液を塗布する。次いで、これを加熱して溶液中に含まれる溶媒を揮発させ、ポリマー層40を形成する。このポリマー層40を窒素雰囲気中で一定時間加熱し、ブロックコポリマーを相分離させる。こうして、対向基板30の基板面と垂直な方向に、ブロックコポリマーを構成する2種のポリマー鎖からそれぞれ形成される2種のポリマー層が交互にならんだ周期構造が形成される。続いて、画素スイッチ104やカラーフィルタ107を作り込んだアレイ基板20を準備する。このアレイ基板20の外周部分にシール層を形成し、ポリマー層40を形成した対向基板30と貼り合わせる。この状態で加圧し、シール層を硬化させることにより、液晶セルが得られる。その後、液晶セルに光吸収性フィルム50を貼り付ける。さらに、これに走査線ドライバ2と信号線ドライバ3を搭載し、液晶表示パネル1を筐体等に取り付けることで、液晶表示装置が完成する。
次に、本発明の別の実施形態について説明する。図5に本発明に係る別の液晶表示装置の概略構造を部分的に表した断面図を示す。この図5の液晶表示装置では、先に図1および図2に示した液晶表示装置を構成するアレイ基板20からカラーフィルタ107を省略し、その代わりに、信号線105aと配向膜109との間にブラックマトリクス112を配置した構成を有するアレイ基板20´を用いている。それ以外は図1および図2の液晶表示装置とほぼ同様の構造を有している。すなわち、図1および図2に示した液晶表示装置はカラーフィルタ・オン・アレイ構造のカラー表示用のディスプレイであり、一方、図5に示した液晶表示装置はブラックマトリクス・オン・アレイ構造のモノクロ表示用のディスプレイであり、どちらを採用してもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
実施例として、先に示した図1の液晶表示装置を、以下の方法により作製した。アレイ基板20を作製するために、まず、透明基板100としてのガラス基板上に、走査線101と図示しない補助容量線を形成した。これら配線の材料としてはクロムを使用した。次いで、これらの配線をクロム酸化膜と酸化シリコン膜との積層構造を有する絶縁膜102で被覆した。続いて、この絶縁膜102上にアモルファスシリコンからなる半導体層103を形成し、この半導体層103をパターニングした。その後、半導体層103上に窒化シリコンからなる図示しないチャネル保護層を形成し、半導体層103およびチャネル保護層上に図示しないオーミック層を形成した。
次に、絶縁膜102上に、信号線105aとソース電極105bと走査信号入力端子(図示せず)と映像信号入力端子(図示せず)を形成した。その後さらに、絶縁膜102上に、
フォトリソグラフによりコンタクトホールを有するカラーフィルタ107を形成したのち、画素電極108を形成した。
画素電極108を洗浄した後に、その上に、オフセット印刷によってポリイミド溶液(日産化学製SE−5291)を塗布し、この塗布膜を、ホットプレートを用いて90℃で1分間加熱し、さらに200℃で30分間加熱することで、配向膜109を形成した。
一方、対向基板30を作製するために、透明基板200としてのガラス基板上にITOをスパッタリングすることにより対向電極208を形成し、対向電極208を洗浄した後、上述した配向膜109の形成方法と同じ方法で、配向膜209を形成した。
次に、ポリメタクリル酸に液晶性側鎖をエステル結合させたもの(PLC)とジメチルシロキサン(DS)とのブロックコポリマー(poly(dimethylsiloxane-b-6-(4’-cyanobiphenyl-4-yloxy)hexylmethacrylate)を、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)に溶解して、ポリマー溶液を調製した。このブロックコポリマーにおけるPLCの分子量は8000であり、DSの分子量は8500、Mw/Mnは1.15である。このポリマー溶液を、スピンコート法により回転数2500rpmで、対向基板30の配向膜209上に塗布して塗布膜を得た。これを、110℃で90秒加熱して(プリベーク処理)溶剤を揮発させた後、窒素雰囲気中、210℃で4時間のアニールを行い、ブロックコポリマーにおけるPLCとDSをミクロ相分離させ、膜厚5μmのポリマー層40を形成した。
その後、配向膜209を取り囲むように対向基板30の外周部にエポキシ接着剤をディスペンサを用いて塗布し、次いで、配向膜109,209が対面するようにアレイ基板20と対向基板30を配置し、位置合わせして貼り合わせ、加圧状態でエポキシ接着剤を硬化させ、枠状のシール層を形成した。
次に、アレイ基板20の外面に黒色の光吸収性フィルム50を貼り付けた。さらに、アレイ基板20に走査線ドライバ11および信号線ドライバ12などを接続し、液晶表示装置を完成させた。
この液晶表示装置は、明るく表示ムラのない画像を表示することができた。さらに、この液晶表示装置は、0℃、25℃、50℃の何れの温度で3000時間の連続点灯試験を行った後でも表示ムラを生じることはなかった。
(実施例2)
実施例として、先に示した図5の液晶表示装置を、以下の方法により作製した。アレイ基板20´を作製するために、まず、透明基板100としてのガラス基板上に、走査線101と図示しない補助容量線を形成した。これら配線の材料としてはクロムを使用した。次いで、これらの配線をクロム酸化膜と酸化シリコン膜との積層構造を有する絶縁膜102で被覆した。続いて、この絶縁膜102上にアモルファスシリコンからなる半導体層103を形成し、この半導体層103をパターニングした。その後、半導体層103上に窒化シリコンからなる図示しないチャネル保護層を形成し、半導体層103およびチャネル保護層上に図示しないオーミック層を形成した。
次に、絶縁膜102上に、信号線105aとソース電極105dと走査信号入力端子(図示せず)と映像信号入力端子(図示せず)を形成した。その後さらに、絶縁膜102上に、画素電極108を形成した。画素電極108を洗浄した後に、その上に、オフセット印刷によってポリイミド溶液(日産化学製SE−5291)を塗布し、この塗布膜を、ホットプレートを用いて90℃で1分間加熱し、さらに200℃で30分間加熱することで、配向膜109を形成した。
一方、対向基板30を作製するために、透明基板200としてのガラス基板上にITOをスパッタリングすることにより対向電極208を形成し、さらに、対向電極208上に、フォトリソグラフィ法を利用して、高さが5μm、底面が5μm×10μmの柱状スペーサを、アレイ基板20と対向基板30とを貼り合わせたときに信号線105a上に位置するように、形成した。対向電極208を洗浄した後、上述した配向膜109の形成方法と同じ方法で、配向膜209を形成した。
次に、ポリメタクリル酸に液晶性側鎖をエステル結合させたもの(PLC)とジメチルシロキサン(DS)とのブロックコポリマー(poly(dimethylsiloxane-b-6-(4’-cyanobiphenyl-4-yloxy)hexylmethacrylate)を、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)に溶解して、ポリマー溶液を調製した。このブロックコポリマーにおけるPLCの分子量は8000であり、DSの分子量は8500、Mw/Mnは1.15である。このポリマー溶液を、スピンコート法により回転数2500rpmで、対向基板30の配向膜209上に塗布して塗布膜を得た。これを、110℃で90秒加熱して(プリベーク処理)溶剤を揮発させた後、窒素雰囲気中、210℃で4時間のアニールを行い、ブロックコポリマーにおけるPLCとDSをミクロ相分離させ、膜厚5μmのポリマー層40を形成した。
その後、配向膜209を取り囲むように対向基板30の外周部にエポキシ接着剤をディスペンサを用いて塗布し、次いで、配向膜109,209が対面するようにアレイ基板20と対向基板30を配置し、位置合わせして貼り合わせ、加圧状態でエポキシ接着剤を硬化させ、枠状のシール層を形成した。
次に、アレイ基板20の外面に黒色の光吸収性フィルム50を貼り付けた。さらに、アレイ基板20に走査線ドライバ11および信号線ドライバ12などを接続し、液晶表示装置を完成した。
この液晶表示装置は、明るく表示ムラのない画像を表示することができた。さらに、この液晶表示装置は、0℃、25℃、50℃の何れの温度で3000時間の連続点灯試験を行った後でも表示ムラを生じることはなかった。
以上、本発明の実施の形態および実施例について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々変形して実施可能である。
本発明に係る液晶表示装置の概略構造を示す平面図。 図1の液晶表示装置の概略構造を部分的に示す断面図。 電圧無印加時におけるポリマー層の構造を模式的に示す断面図。 電圧印加時におけるポリマー層の構造を模式的に示す断面図。 本発明に係る別の液晶表示装置の概略構造を示す断面図。
符号の説明
10…液晶表示パネル、11…走査線ドライバ、12…信号線ドライバ、20・20´…アレイ基板、30…対向基板、40…ポリマー層、50…光吸収性フィルム、100…透明基板、101…走査線、102…絶縁膜、103…半導体層、104…画素スイッチ、105a…信号線、105b…ソース電極、106…キャパシタ、107…カラーフィルタ、108…画素電極、109…配向膜、112…ブラックマトリクス、200…透明基板、208…対向電極、209…配向膜、300…液晶素子、301…Aポリマー層(第1媒質層)、301a…Aポリマー鎖、301b…液晶性側鎖、302…Bポリマー層(第2媒質層)、302a…Bポリマー鎖。

Claims (7)

  1. 主面を対面させて配置される一対の基板と、
    前記一対の基板の間に挟持されるポリマー層と、を有する液晶表示装置であって、
    前記ポリマー層は、液晶性側鎖を有し前記基板の主面に垂直な方向において周期構造を有するブロックコポリマーを備え、
    前記ポリマー層の光反射率が前記周期構造を有するブロックコポリマーに電圧を印加することにより制御されることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記周期構造を有するブロックコポリマーは、前記基板の主面に垂直な方向で交互に存在する第1媒質層と第2媒質層と有し、
    前記第1媒質層の前記基板の主面に垂直な方向の屈折率nと、前記第2媒質層の前記基板の主面に垂直な方向の屈折率nとが、電圧無印加時には異なり、電圧印加時には等しいことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記周期構造を有するブロックコポリマーは、前記基板の主面に垂直な方向で交互に存在する第1媒質層と第2媒質層とを有し、
    前記第1媒質層の前記基板の主面に垂直な方向の屈折率nと、前記第2媒質層の前記基板の主面に垂直な方向の屈折率nとが、電圧無印加時には等しく、電圧印加時には異なることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  4. 前記周期構造のピッチが5nm〜200nm、繰り返し回数が10〜1000であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  5. 前記第1媒質層は前記液晶性側鎖を有するポリメタクリル酸エステルまたはその誘導体からなり、前記第2媒質層はジメチルシロキサンまたはその誘導体からなることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  6. 第1の基板上に液晶性側鎖を有するブロックコポリマーを含有する溶液を塗布する工程と、
    前記溶液に含まれる溶媒を揮発させて前記第1の基板上に前記ブロックコポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、
    前記ポリマー層にアニール処理を施して前記ブロックコポリマーを相分離させる工程と、
    第2の基板と前記相分離されたポリマー層が形成された第1の基板とを貼り合わせる工程とを有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  7. 前記ブロックコポリマーとして、前記液晶性側鎖を有するポリメタクリル酸エステルまたはその誘導体と、ジメチルシロキサンまたはその誘導体と、をリビング重合してなるものを用いることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置の製造方法。
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