JP2007171068A - 水溶性ビタミン分析試料の調整方法及びそれに使用する混合酵素液 - Google Patents

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Katsumi Shibata
克己 柴田
Haruo Kuno
春夫 久野
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康子 鳥居
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Abstract

【課題】 水溶性ビタミンを安価かつ精度の高い方式で測定可能な試料に調製する方法及びそれに使用する薬液を提供する。
【解決手段】 水溶性ビタミンを含有している分析対象物質と、分解酵素液とをホモジナイズする。このホモジナイズした混合液状試料を定容し、この取出した定容試料を所定温度で所定時間インキュベーションして分解酵素を働かせる。インキュベーション後の試料を容器に所定量だけ取出し、この試料を収容した容器に混合酵素液を試料と同量注入して攪拌したのち、再び所定温度で所定時間インキュベーションする。インキュベーション後の溶液を2つの試料に分け、一方の試料を所定時間加熱後に冷却したのち、他方の試料は被加熱のままで、それぞれ遠心分離する。遠心分離後のそれぞれの上清を分析試料とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は水溶性ビタミンの分析試料の調製方法及びそれに使用する酵素液に関し、特に食品中に含まれている水溶性ビタミン分析試料の調製方法及びそれに使用する酵素液に関する。
周知のようにビタミンは、人体にとって重要な栄養素であるが、体内で合成できないか合成できてもその量が不十分であることから、体外から摂取しなければならない。そして、その摂取量を知ることは重要なことであるが、直接的に摂取量を知ることはできないことから、従来では、摂取した食品を食品成分表を用いて計算したり、摂取した食品を分析したりしている。
ところが、食品成分表を用いて計算する方式は、安価に実施できるという利点はあるが、食品成分表の数値自体が平均値であり、産地や時期による含有量の変動を反映していないことから、算出した値が不精確で信頼性に欠けるという問題がある。
一方、食品を分析するものは、その検出値が正確であるという利点は有しているが、ビタミンごとに測定までの調製方法が異なり、試料を多く必要とするうえ、専門的技術と時間がかかり、分析に要する費用が高くなるという問題があった。
すなわち、食品中あるいは生体中のビタミンを生物学的・化学的定量操作に導くまでの操作がビタミンごとに異なるため、同時に複数のビタミンを一つの調製方法で測定可能な試料に調製することはできなかった。また、ビタミンは、不安定であるため、処理を始めると迅速に処理を行う必要があり、人手と時間とを必要とした。それ故に分析コストが高騰していた。
本発明は、上述のような問題に着目し、水溶性ビタミンを安価かつ精度の高い方式で測定可能な試料に調製する方法及びそれに使用する薬液を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明は、水溶性ビタミンを含有している分析対象物質と、分解酵素液とをホモジナイズし、このホモジナイズした混合液状試料を定容し、この取出した定容試料を所定温度で所定時間インキュベーションして分解酵素を働かせ、インキュベーション後の試料を容器に所定量だけ取出し、この試料を収容した容器に混合酵素液を試料と同量注入して攪拌したのち、再び所定温度で所定時間インキュベーションし、インキュベーション後の溶液を2つの試料に分け、一方の試料を所定温度で所定時間加熱後に冷却し、他方の試料は被加熱のままで、それぞれ遠心分離し、それぞれの上清を分析試料に調製することを特徴としている。
本発明では、複数の水溶性ビタミンを包含した状態の分析対象物質を分解酵素とともにホモジナイズしたのち、一定量抽出し、この抽出した一定量の試料を一次インキュベーションして分解酵素を働かせ、この一次インキュベーションした試料を所定量取出し、試料と同量の混合酵素液を加えて二次インキュベーションし、この二次インキュベーションした試料を2分して、一方の試料を所定温度で所定時間加熱後に冷却し、他方の試料を非加熱のままで、それぞれ遠心分離させ、その上清を分析試料としていることから、複数の水溶性ビタミンが混在している分析対象物質であっても1つの調製方法で分析試料にすることができることから、分析コストを低減させることが可能となった。また、直接ビタミン含有量を分析測定することができ、精度の高い分析結果を得ることができる。
図は本発明方法の一実施手順例を示す流れ図である。
この実施例は、食品試料中の水溶性ビタミンを分析する場合を示しており、1食分の食品の重量を量り、分解酵素液(タカヂアスターゼB(商品名)溶液)と一緒にミキサーに投入し(ステップS1)、ホモジナイズする(ステップS2)。このとき、分解酵素液は、その水素イオン濃度(pH)を7に安定させるために50mMりん酸緩衝液で調製しておく。
ホモジナイズされた試料液を試験管等の容器に一定容量取出し(ステップS3)、分解酵素を働かせるために37℃で2時間インキュベーションする(ステップS4)。このインキュベーション後の試料液0.9mlを蓋付きのチューブに取り出し(ステップS5)、この蓋付きのチューブに酵素混合液0.9ml添加して(ステップS6)、再び37℃で20時間インキュベーションを行う(ステップS7)。
この操作で添加する酵素混合液は、タカヂアスターゼB(商品名)溶液、アミダーゼ溶液、コンジュガーゼ溶液、ラット血清、プロテアーゼ溶液の5種類を2:2:2:2:1の割合で混合させたものである。
第2回目のインキュベーションが終わると、インキュベーション後の試料を2つに分割する(ステップS8)。分割した一方の試料を100℃で5分間加熱し(ステップS9)、加熱の終わった試料を冷却する(ステップS10)。
加熱・冷却処理の終わった試料と、分割した他方の試料(非加熱)とを、10,000×gで10分間遠心分離し(ステップS11)、それぞれの上清を取出して各々を測定試料Aと測定試料Bとする。この場合、加熱した試料から得た測定試料AをビタミンB、パントテン酸、葉酸、ビオチン用の試料溶液、非加熱試料から得た測定試料BをビタミンB用の試料とする。
このようにして得られた試料から、ビタミンB、ビタミンBについては、周知のHPLC法で、また、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンについては、周知のバイオアッセイ法でそれぞれ測定する。
上述の実施形態では、酵素混合液を構成する試薬として、タカヂアスターゼB(商品名)溶液、アミダーゼ溶液、コンジュガーゼ溶液、ラット血清、プロテアーゼ溶液を使用しているが、従来ビタミンごとの操作で補酵素とビタミンとの結合を切るのに使用される酵素類を使用するようにしてもよい。
食品に対して標準品を既知量添加したものに上述の処理を施した測定試料を用いた水溶性ビタミンの添加回収率は以下のとおりであった。対照物としては、既知量の標準品を水に添加したものを使用した。
Figure 2007171068
この結果からビタミンB及び葉酸以外の水溶性ビタミンは高い回収率で回収されていることがわかる。また、ビタミンB及び葉酸については、安定的に低い回収率となっていることから、これらのビタミンについては、所定の換算率で換算することで使用可能となることがわかる。
本発明は、食品中のみならず、血液中に含まれているビタミンやミネラルの分析に使用することが可能である。
本発明方法の一実施手順例を示す流れ図である。

Claims (5)

  1. 水溶性ビタミンを含有している分析対象物質と、分解酵素液とをホモジナイズし、このホモジナイズした混合液状試料を定容し、この取出した定容試料を所定温度で所定時間インキュベーションして分解酵素を働かせ、インキュベーション後の試料を容器に所定量だけ取出し、この試料を収容した容器に混合酵素液を試料と同量注入して攪拌したのち、再び所定温度で所定時間インキュベーションし、インキュベーション後の溶液を2つの試料に分け、一方の試料を所定時間加熱後に冷却し、他方の試料は被加熱のままで、それぞれ遠心分離し、それぞれの上清を分析試料とすることを特徴とする水溶性ビタミン分析試料の調製方法。
  2. 水溶性ビタミンが、ビタミンB、ビタミンB、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンである請求項1に記載した水溶性ビタミン分析試料の調製方法。
  3. 混合酵素液がタカヂアスターゼB、アミダーぜ、コンジュガーゼ、血清、プロテアーゼの混合液である請求項1または2に記載した水溶性ビタミン分析試料の調製方法。
  4. 加熱試料がビタミンB、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン用の試料であり、非加熱試料がビタミンB用の試料である請求項1〜3のいずれか1項に記載した水溶性ビタミン分析試料の調製方法。
  5. 混合ビタミンを同時に分析する方法に使用する混合酵素液であって、タカヂアスターゼB、アミダーゼ、コンジュガーゼ、血清、プロテアーゼを混合したものであることを特徴とする水溶性ビタミン分析試料調整用混合酵素液。
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