JP2007168750A - 車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄熱器内における蓄冷剤(蓄熱剤)の温度ムラや管の腐食が抑えられる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】 車両用空調装置は、蓄熱器1と、ナビゲーションシステム15と、制御部11とを備える。ナビゲーションシステム15は、車両の走行状態を検出及び/又は予測する。制御部11は、ナビゲーションシステム15の検出結果及び/又は予測結果に基づいて、蓄熱器1への蓄熱及び蓄熱器1からの熱の取り出しを制御する。蓄熱器1には、蓄熱剤2が充填されている。この蓄熱器1は、内部に複数の細管53,63を有しており、細管53,63の外面に接触する蓄熱剤2と細管53,63の内部を通る冷媒やブラインとの間で熱交換を行わせる。細管53,63は、樹脂製である。
【選択図】図1
【解決手段】 車両用空調装置は、蓄熱器1と、ナビゲーションシステム15と、制御部11とを備える。ナビゲーションシステム15は、車両の走行状態を検出及び/又は予測する。制御部11は、ナビゲーションシステム15の検出結果及び/又は予測結果に基づいて、蓄熱器1への蓄熱及び蓄熱器1からの熱の取り出しを制御する。蓄熱器1には、蓄熱剤2が充填されている。この蓄熱器1は、内部に複数の細管53,63を有しており、細管53,63の外面に接触する蓄熱剤2と細管53,63の内部を通る冷媒やブラインとの間で熱交換を行わせる。細管53,63は、樹脂製である。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両の車室内の空調を行う車両用空調装置に関する。
走行状態から見てエンジン負荷に余裕があるときにエンジン出力を利用して蓄熱器で冷熱を蓄熱しておき、走行状態から見てエンジン負荷が大きくなるときには蓄熱器に蓄熱されている冷熱を用いて車室内の冷房や冷房の補助を行う車両用空調装置が、特許文献1に開示されている。ここでは、ナビゲーションシステム等によって車両の走行状態を認識(予測)し、その走行状態に基づいて、相変化がない顕熱領域での蓄冷剤(蓄熱剤)の利用か相変化のある潜熱領域での蓄冷剤の利用かを切り替える制御を行っている。このように、車両の走行状態に基づいて蓄熱器の蓄熱作用や放熱作用を制御することによって、特許文献1の空調装置ではエネルギー効率の向上を図っている。
特開2004−74824号公報
上記のような車両の走行状態に基づいて蓄熱器の蓄熱/放熱を切り替える車両用空調装置においては、蓄熱器の性能が低いと、走行状態からエンジンの高負荷が予想されるときに放熱する冷熱の量が足りなくなってしまったり、そのような放熱時に備えて急速に蓄熱器へ冷熱を蓄熱したいときにも十分な蓄熱の速さが確保できなかったりする不具合が生じる。
ここで、車両用空調装置の蓄熱器として、一般に広く普及しているフィンアンドチューブタイプの熱交換器やプレートフィンタイプの熱交換器を使ったものを採用する場合を考える。このような熱交換器を蓄熱器の中に配置し、熱交換器の内部を流れる熱媒体と熱交換器の周りの蓄冷剤との間で熱交換させる構造にする場合、蓄熱器内のすみずみまで配管(チューブ)を分布させることは困難であり、熱交換器の各管から近い場所にある蓄冷剤の顕熱や潜熱は有効利用できるが、そこから遠い場所にある蓄冷剤の熱は有効に利用できないという問題が生じる。また、蓄熱用の配管と放熱用の配管とが別になっている構造の場合には、蓄熱用の配管の近傍に蓄えられた冷熱のうち一部分だけしか放熱用の配管による利用ができないという不具合も生じる。
このような不具合は、特に蓄冷剤として比較的熱伝導率の低いものを使用しているときに顕著になる。この場合には、熱交換器から遠い場所にある蓄冷剤に熱を伝えるのに時間がかかり、反対に熱交換器から遠い場所にある蓄冷剤の顕熱や潜熱を利用するのにも時間がかかる。
すなわち、広く普及している現在のフィンアンドチューブタイプの熱交換器やプレートフィンタイプの熱交換器を使用したのでは、蓄熱器内における蓄冷剤に温度ムラが出来やすく、蓄冷剤を効率よく使うことができなくなる。特に、車両用空調装置においては、蓄熱器のために確保されるスペース(容積)が制限されており、その制限の中で蓄熱器が所定の能力を満たす必要があるため、フィンアンドチューブタイプの熱交換器やプレートフィンタイプの熱交換器では、配管径などを変える工夫をしても厳しくなってきている要求仕様を満足させることは難しい。
すなわち、広く普及している現在のフィンアンドチューブタイプの熱交換器やプレートフィンタイプの熱交換器を使用したのでは、蓄熱器内における蓄冷剤に温度ムラが出来やすく、蓄冷剤を効率よく使うことができなくなる。特に、車両用空調装置においては、蓄熱器のために確保されるスペース(容積)が制限されており、その制限の中で蓄熱器が所定の能力を満たす必要があるため、フィンアンドチューブタイプの熱交換器やプレートフィンタイプの熱交換器では、配管径などを変える工夫をしても厳しくなってきている要求仕様を満足させることは難しい。
さらに、金属製のチューブ(配管)により構成されている上記のような熱交換器を用いたのでは、蓄冷剤との接触によって熱交換器の管が長期間の使用で腐食する恐れもある。
本発明の課題は、蓄熱器内における蓄冷剤(蓄熱剤)の温度ムラや管の腐食が抑えられ、且つ車両における限られたスペースに蓄熱器を収めることができる車両用空調装置を提供することにある。
本発明の課題は、蓄熱器内における蓄冷剤(蓄熱剤)の温度ムラや管の腐食が抑えられ、且つ車両における限られたスペースに蓄熱器を収めることができる車両用空調装置を提供することにある。
第1発明に係る車両用空調装置は、車両に搭載され、蓄熱した熱を利用して車室内の空調を行う車両用空調装置である。この車両用空調装置は、蓄熱器と、走行状態検出手段と、制御手段とを備えている。走行状態検出手段は、車両の走行状態を検出及び/又は予測する。制御手段は、走行状態検出手段の検出結果及び/又は予測結果に基づいて、蓄熱器への蓄熱及び蓄熱器からの熱の取り出しを制御する。蓄熱器には、蓄熱剤が充填されている。この蓄熱器は、内部に複数の細管を有しており、細管の外面に接触する蓄熱剤と細管の内部を通る熱媒体との間で熱交換を行わせる。蓄熱器の細管は、熱媒体を通すものであり、樹脂製である。
ここでは、まず、走行状態検出手段の検出結果や予測結果に基づいて蓄熱器の蓄熱動作や放熱(熱の取り出し)動作の制御が為されるので、空調のためにエンジンに負荷をかけたくない場合に蓄熱器に蓄熱した熱(冷熱又は温熱)を利用して空調を行ったり、エンジンの出力を利用して空調を行うことが望ましい場合に蓄熱器に蓄熱動作を行わせたりすることが適切にできるようになる。
また、ここでは蓄熱器において複数の細管の内部に冷媒等の熱媒体を通す構造を採用しているため、蓄熱器のすみずみにまで細管を配置して蓄熱剤との熱交換を行わせることができるとともに、比較的狭いピッチで細管を配備させることもできるので、蓄熱器内における蓄冷剤に温度ムラが生じることを抑制することが容易となる。そして、温度ムラが抑制されることによって蓄熱器の効率が向上するため、蓄熱器の小型化が図られ、車両における限られたスペースに蓄熱器を収めることができるようになる。
さらに、ここでは蓄熱器の細管として樹脂製のものを採用しているため、蓄熱剤との熱交換を行う細管が腐食することも抑えられる。
さらに、ここでは蓄熱器の細管として樹脂製のものを採用しているため、蓄熱剤との熱交換を行う細管が腐食することも抑えられる。
第2発明に係る車両用空調装置は、第1発明の車両用空調装置であって、蓄熱剤は、相変化が可能なものである。そして、制御手段は、走行状態検出手段の検出結果及び/又は予測結果に基づいて、蓄熱剤の潜熱領域を蓄熱に使用するかどうかを判断して制御を行う。
走行状態検出手段の検出結果や予測結果に基づいて蓄熱剤の潜熱領域を蓄熱に使用するかどうかを決めるため、ここでは、蓄熱に応答性が必要な場合に潜熱領域の利用を避けたり、潜熱領域の利用を積極的に行って空調のエネルギー効率を上げたりすることを、走行状態に応じて適切に行わせることができるようになる。
第1発明に係る車両用空調装置では、蓄熱器のすみずみにまで細管を配置したり比較的狭いピッチで細管を配備したりすることができ、蓄熱器内における蓄冷剤に温度ムラが生じることを抑制することが容易となる。これにより、蓄熱器の小型化が図られ、車両における限られたスペースに蓄熱器を収めることができるようになる。また、蓄熱器の細管として樹脂製のものを採用しているため、蓄熱剤と熱交換を行う細管が腐食することも抑えられる。
第2発明に係る車両用空調装置では、さらに、蓄熱に応答性が必要な場合に潜熱領域の利用を避けたり、潜熱領域の利用を積極的に行って空調のエネルギー効率を上げたりすることを、走行状態に応じて適切に行わせることができるようになる。
本発明の一実施形態に係る車両用空調装置は、図1に示すように、蓄冷器(蓄熱器)1、コンプレッサ7、コンデンサ8、レシーバ9、膨張弁10、ポンプ13、室内エバポレータ14、ブロワユニット19などから構成されている。蓄冷器1、コンプレッサ7、コンデンサ8、レシーバ9、および膨張弁10を結ぶ循環路4には冷媒3が充填されている。一方、ポンプ13および室内エバポレータ14を含む循環路6にはブライン5が充填されている。ブライン5は、蓄冷器1に蓄えられた冷熱を移動させるための媒体となる不凍液である。また、車両用空調装置は、制御部11と、その制御部11に接続されたナビゲーションシステム15を備えている。
まず、車両用空調装置の蓄冷器1以外の構成要素について説明する。
コンプレッサ7は、エンジン(図示せず)の出力によって駆動され、吸入したガス状の冷媒3を圧縮し、冷媒3を高温・高圧のガス状にする。コンプレッサ7へのエンジン出力の伝達(圧縮時)・非伝達は、クラッチの切替によって行われる。このクラッチの切替制御は、後述する制御部11によって行われる。
コンプレッサ7は、エンジン(図示せず)の出力によって駆動され、吸入したガス状の冷媒3を圧縮し、冷媒3を高温・高圧のガス状にする。コンプレッサ7へのエンジン出力の伝達(圧縮時)・非伝達は、クラッチの切替によって行われる。このクラッチの切替制御は、後述する制御部11によって行われる。
コンデンサ8は、コンプレッサ7で圧縮された高温・高圧のガス状の冷媒3を冷やして液化させる。コンデンサ8に付随して冷却ファン12が配備されており、冷却ファン12を駆動させることで、コンデンサ8に入ったガス状の冷媒3を冷却して液状の冷媒3に変化させる作用を促進させることができる。
レシーバ9は、コンデンサ8において液化された冷媒3を一時貯蔵する容器である。ここでは、コンプレッサ7をエンジンの出力によって駆動しているためコンプレッサ7がエンジン回転の影響を受け、また、車内は外気温度の影響を受けやすいため、循環路4を循環する冷媒3の必要量が大きく変動する。レシーバ9は、この冷媒3の必要量の変動を吸収する役割を果たす。
レシーバ9は、コンデンサ8において液化された冷媒3を一時貯蔵する容器である。ここでは、コンプレッサ7をエンジンの出力によって駆動しているためコンプレッサ7がエンジン回転の影響を受け、また、車内は外気温度の影響を受けやすいため、循環路4を循環する冷媒3の必要量が大きく変動する。レシーバ9は、この冷媒3の必要量の変動を吸収する役割を果たす。
膨張弁10は、液化している冷媒3の圧力を減じさせて膨張させる弁である。この膨張弁10を出た冷媒3は、低温・低圧の霧状の冷媒となって、蓄冷器1の冷媒入口側ヘッダ51を介して冷媒用細管53に入る。ここで、冷媒3は、冷媒用細管53の周囲の蓄冷剤2から熱を奪って気化する。蓄冷器1から排出された冷媒3は、再びコンプレッサ7に吸入されることになる。
ブライン5の循環路6上にあるポンプ13は、循環路6の内部のブライン5を循環させる。
室内エバポレータ14は、ブロワユニット19によって送風される空気に対してブライン5の持つ冷熱を放出させるための熱交換器である。ブロワユニット19から吹き出され室内エバポレータ14を通って冷却された空気は、車室内に冷気として導入され、車室内を冷房する。
室内エバポレータ14は、ブロワユニット19によって送風される空気に対してブライン5の持つ冷熱を放出させるための熱交換器である。ブロワユニット19から吹き出され室内エバポレータ14を通って冷却された空気は、車室内に冷気として導入され、車室内を冷房する。
次に、車両用空調装置の蓄冷器1について説明する。
蓄冷器1は、四辺形の底面および4つの側面から成る外観を有しており、その内部には、相変化可能な蓄冷剤(蓄熱剤)2が充填されている。蓄冷器1の容積は、車載のため限られたスペースに収まるように設計が為されている。具体的には、蓄冷器1の容積を十数リットル以下として要求仕様を満たしている。また、蓄冷器1の内部には、冷媒入口側ヘッダ51、冷媒出口側ヘッダ52、多数の冷媒用細管53、ブライン入口側ヘッダ61、ブライン出口側ヘッダ62、および多数のブライン用細管63が配置されている。冷媒入口側ヘッダ51は膨張弁10の下流側に、冷媒出口側ヘッダ52はコンプレッサ7の吸入側に、ブライン入口側ヘッダ61は室内エバポレータ14の下流側に、ブライン出口側ヘッダ62はポンプ13の吸込側に、それぞれつながっている。図1に示すように、冷媒用細管53とブライン用細管63とはクロスしている。
蓄冷器1は、四辺形の底面および4つの側面から成る外観を有しており、その内部には、相変化可能な蓄冷剤(蓄熱剤)2が充填されている。蓄冷器1の容積は、車載のため限られたスペースに収まるように設計が為されている。具体的には、蓄冷器1の容積を十数リットル以下として要求仕様を満たしている。また、蓄冷器1の内部には、冷媒入口側ヘッダ51、冷媒出口側ヘッダ52、多数の冷媒用細管53、ブライン入口側ヘッダ61、ブライン出口側ヘッダ62、および多数のブライン用細管63が配置されている。冷媒入口側ヘッダ51は膨張弁10の下流側に、冷媒出口側ヘッダ52はコンプレッサ7の吸入側に、ブライン入口側ヘッダ61は室内エバポレータ14の下流側に、ブライン出口側ヘッダ62はポンプ13の吸込側に、それぞれつながっている。図1に示すように、冷媒用細管53とブライン用細管63とはクロスしている。
多数の冷媒用細管53は、それぞれ、一端が冷媒入口側ヘッダ51に、他端が冷媒出口側ヘッダ52につながっている。冷媒入口側ヘッダ51に流れてきた冷媒3は、各冷媒用細管53を通って、冷媒出口側ヘッダ52からコンプレッサ7の吸入側に流れていく。各冷媒用細管53は、樹脂製であり、外径が0.3mm以下である。これらの冷媒用細管53を通る冷媒3は、冷媒入口側ヘッダ51から冷媒出口側ヘッダ52へと流れる間に、冷媒用細管53の周囲の蓄冷剤2から熱を奪って気化する。
一方、多数のブライン用細管63は、それぞれ、一端がブライン入口側ヘッダ61に、他端がブライン出口側ヘッダ62につながっている。ブライン入口側ヘッダ61に流れてきたブライン5は、各ブライン用細管63を通って、ブライン出口側ヘッダ62からポンプ13の吸込側に流れていく。各ブライン用細管63は、樹脂製であり、外径が0.3mm以下である。これらのブライン用細管63を通るブライン5は、ブライン入口側ヘッダ61からブライン出口側ヘッダ62へと流れる間に、ブライン用細管63の周囲の蓄冷剤2によって冷却される。室内エバポレータ14においてブロワユニット19から吹き出された空気を冷却して暖かくなったブライン5は、ポンプ13の働きにより循環路6を流れて蓄冷器1に入り、ブライン用細管63を流れるうちに蓄冷剤2によって冷却される。
このように、冷媒用細管53の外径を0.3mm以下とし、ブライン用細管63の外径を0.3mm以下とすることによって、蓄冷器1内における温度ムラが抑えられる。このため、ここでは、車載のための限られたスペースに収まるように蓄冷器1の容積を設計しつつ、蓄冷器1に要求仕様を満足する能力を与えることができている。具体的には、蓄冷能力が十数キロワット以上、放冷能力が数キロワット以上、という要求仕様を満足するように、蓄冷器1が設計されている。
なお、蓄冷器1の内部の蓄冷剤2の詳細については、制御と絡むため、後に詳述することにする。
なお、蓄冷器1の内部の蓄冷剤2の詳細については、制御と絡むため、後に詳述することにする。
次に、車両用空調装置の制御部11およびその制御について説明する。
コンプレッサ7の作動のオン・オフを切り替えるクラッチ、冷却ファン12、膨張弁10、ポンプ13、ブロワユニット19(のファンモータ)などは、制御部11に接続されており、制御部11によって駆動が制御されている。制御部11は、CPU、プログラムが内蔵されたROM、演算内容などの情報を一時記憶するためのRAMなどからなる電子制御ユニット(ECU)である。この制御部11は、ナビゲーションシステム15とも接続されており、ナビゲーションシステム15から、現在の車両走行状態及び予測される将来の車両走行状態を得ることができる。
コンプレッサ7の作動のオン・オフを切り替えるクラッチ、冷却ファン12、膨張弁10、ポンプ13、ブロワユニット19(のファンモータ)などは、制御部11に接続されており、制御部11によって駆動が制御されている。制御部11は、CPU、プログラムが内蔵されたROM、演算内容などの情報を一時記憶するためのRAMなどからなる電子制御ユニット(ECU)である。この制御部11は、ナビゲーションシステム15とも接続されており、ナビゲーションシステム15から、現在の車両走行状態及び予測される将来の車両走行状態を得ることができる。
ナビゲーションシステム15は、車両の走行状態を検出あるいは予測する走行状態検出手段として機能するものである。なお、ナビゲーションシステム15自体は、公知のものと同様であり、本明細書においては詳しい説明を省略する。
また、制御部11は、蓄冷器1への蓄冷と、蓄冷器1からの熱の取り出しとを制御する制御手段として機能する。これらの制御は、上述したコンプレッサ7、冷却ファン12、膨張弁10、ポンプ13、ブロワユニット19などを駆動することによって行われる。
また、制御部11は、蓄冷器1への蓄冷と、蓄冷器1からの熱の取り出しとを制御する制御手段として機能する。これらの制御は、上述したコンプレッサ7、冷却ファン12、膨張弁10、ポンプ13、ブロワユニット19などを駆動することによって行われる。
ここで、蓄冷器1の内部の蓄冷剤2について説明する。
上述したように、蓄冷剤2は、蓄冷・放冷に際して相変化可能なもので、液体と固体との間で相変化する。蓄冷剤2の温度と相状態との関係を模式的に示したグラフを、図2に示す。蓄冷剤2の温度が高いと蓄冷剤2は液体状態であり、蓄冷剤2の温度が低いと蓄冷剤2は固体状態となる。液体状態と固体状態の間には、相変化状態がある。この相変化状態においては、吸収する冷熱あるいは排出する冷熱が相変化に用いられ、蓄冷剤2自体の温度変化は殆どない。このときの熱は、固体から液体または液体から固体に相が変化する際に必要な熱であり、潜熱と言われる。一方、蓄冷剤2が液体状態又は固体状態であるとき、吸収する冷熱あるいは排出する冷熱は、蓄冷剤2自体の温度変化に用いられる。このときの熱は、蓄冷剤2の温度上昇/下降量と熱容量の積で求められる熱であり、顕熱と言われる。
上述したように、蓄冷剤2は、蓄冷・放冷に際して相変化可能なもので、液体と固体との間で相変化する。蓄冷剤2の温度と相状態との関係を模式的に示したグラフを、図2に示す。蓄冷剤2の温度が高いと蓄冷剤2は液体状態であり、蓄冷剤2の温度が低いと蓄冷剤2は固体状態となる。液体状態と固体状態の間には、相変化状態がある。この相変化状態においては、吸収する冷熱あるいは排出する冷熱が相変化に用いられ、蓄冷剤2自体の温度変化は殆どない。このときの熱は、固体から液体または液体から固体に相が変化する際に必要な熱であり、潜熱と言われる。一方、蓄冷剤2が液体状態又は固体状態であるとき、吸収する冷熱あるいは排出する冷熱は、蓄冷剤2自体の温度変化に用いられる。このときの熱は、蓄冷剤2の温度上昇/下降量と熱容量の積で求められる熱であり、顕熱と言われる。
今、図2に示すように、液体状態であって蓄冷剤2が顕熱によって温度変化をする領域を顕熱領域Aと呼ぶこととし、固体状態であって蓄冷剤2が顕熱によって温度変化をする領域を顕熱領域Bと呼ぶこととする。また、潜熱によって蓄冷剤2が液体状態と固定状態との間で相変化している領域を、潜熱領域と呼ぶこととする。図2から分かるように、潜熱領域では、ヒステリシスが生じ、このヒステリシスによって損失が生じる。即ち、この潜熱領域をまたいで冷熱を蓄えた場合、蓄えただけの冷熱を取り出すことはできず、損失が生じる。
しかし、潜熱領域で蓄えることのできるエネルギー量は、顕熱領域A,Bで蓄えられるエネルギー量の数十〜数百倍にもなる。従って、図2における温度領域Xで蓄冷と放冷とを短時間で繰り返すと、損失が大きく影響してエネルギー効率が低下するとともに、応答性も悪くなる。一方、図2における広範囲の温度領域Yで蓄冷と放冷とを長いサイクルタイムで行うと、潜熱領域のヒステリシスによる損失の影響を差し引いても、蓄えられるエネルギー量の大きい部分を利用できることになるため、トータルとしてエネルギー効率の良い空調を行うことが可能となる。
次に、上記のような特徴を持つ蓄冷器1をナビゲーションシステムのようなシステムと協働させる方法について説明する。
近年になって、ナビゲーションシステムや車両と外部との通信手段などの発達によって、長期間にわたって車両の走行状態を予測・検出することも可能となってきている。このようなシステムと組み合わせて長期間にわたって蓄冷・放冷を行う蓄冷器は、蓄冷できる容量(エネルギー量)を十分大きく確保するものの方が、エネルギー効率の向上に寄与することができる。ここで、上述した蓄冷器1のように、顕熱領域と潜熱領域とを効率よく使い分けつつ、ナビゲーションシステムのようなシステムと協働させることで、エネルギー効率の良い運用を行うことが可能となる。
近年になって、ナビゲーションシステムや車両と外部との通信手段などの発達によって、長期間にわたって車両の走行状態を予測・検出することも可能となってきている。このようなシステムと組み合わせて長期間にわたって蓄冷・放冷を行う蓄冷器は、蓄冷できる容量(エネルギー量)を十分大きく確保するものの方が、エネルギー効率の向上に寄与することができる。ここで、上述した蓄冷器1のように、顕熱領域と潜熱領域とを効率よく使い分けつつ、ナビゲーションシステムのようなシステムと協働させることで、エネルギー効率の良い運用を行うことが可能となる。
本実施形態に係る車両用空調装置では、上述したようなナビゲーションシステム(走行状態検出手段)15から得られる情報によって車両の走行状態を予測し、その予測結果に基づいて、図2の顕熱領域Aのみを用いて蓄冷を行うモード(顕熱制御モード)と、図2の顕熱領域A−潜熱領域−顕熱領域Bの全領域を用いて蓄冷を行うモード(潜熱制御モード)とを切り替えている。
蓄冷時には、通常の冷房時と同様に、コンプレッサ7をエンジンの出力で駆動する必要があるため、コンプレッサ7の駆動分だけエンジン負荷が高くなる。このため、エンジン負荷が高くなっても走行能力があまり影響を受けない減速時や軽負荷時に蓄冷を行い、コンプレッサ7の駆動によってエンジン負荷を高くしたくない加速(高負荷)時や信号停止時には蓄冷器1に蓄冷した冷熱を用いて冷房を行う。
ここで、ナビゲーションシステム15を利用しており、目的地が設定されているような場合には、蓄冷器1に蓄冷できる走行状態となるときと蓄冷器1に蓄冷した冷熱を利用して冷房すべきときとを的確に予測することができる。この予測に基づけば、蓄冷・放冷時間を長くして図2における広範囲の温度領域Yを利用する割合を多くすることができるようになり、エネルギー効率を向上させることができる。
また、市街地走行などでは、信号や渋滞が多く、頻繁に停止と発進を繰り返さなくてはならないことが予測され、蓄冷に適した走行状態になる頻度が概して少ないと言える。即ち、市街地走行中は、蓄冷器1への蓄冷と蓄冷器1に蓄えた冷熱よる冷房とが頻繁に繰り返されるような状況が多いと思われる。このような市街地走行中は、図2における顕熱領域Aのみを用いた(すなわち、潜熱領域を用いない)空調制御を行って蓄冷と放冷とを短時間で繰り返すことで、蓄冷及び放冷の応答性の良さが確保でき、且つ、蓄冷器1の使用頻度が高まりエネルギー効率が向上する。
上記の考察に基づいた車両用空調装置における顕熱制御モードと潜熱制御モードとの切替制御のフローチャートを、図3に示す。このフローチャートによって示される制御は、所定時間毎に繰り返し実行される。顕熱制御モードでは、図2における顕熱領域Aのみで蓄冷剤2を使用する。潜熱制御モードでは、図2における顕熱領域A−潜熱領域−顕熱領域Bの全領域にわたって蓄冷剤2が使用され得る。ただし、蓄冷器1における蓄冷の状況によっては、潜熱制御モードとなっていても図2の顕熱領域Aしか使用されないような場合もあり得る。すなわち、潜熱制御モードは、潜熱領域を利用した蓄熱制御が許可されるモードである。
図3のフローチャートに基づいて、顕熱制御モードと潜熱制御モードとの切替制御を説明する。まず、制御部11は、ステップS300において、車両走行状態の情報をナビゲーションシステム15から取得する。そして、ステップS310において、制御部11は、取得した情報に基づき、ナビゲーションシステム15において目的地の設定がされているか否かを判定する。目的地が設定されている場合は、上述したように長い区間にわたる蓄冷制御の予測をすることが可能なため、潜熱制御モードに設定される(ステップS350)。目的地が設定されていない場合は、ステップS320において、制御部11は、市街地走行であるか否かを判定する。市街地走行である場合は、上述したように蓄冷器1が蓄冷と放冷とを頻繁に繰り返すこととなることが予測される。そこで、市街地走行でない場合には、潜熱制御モードに設定される(ステップS350)。
一方、市街地走行である場合には、ステップS330において、現在の蓄冷量が所定の判定値未満であるか否かを判定する。ここでの判定値は、外気温・車内設定温度・日射量・インフラからの渋滞情報などに基づいて決められる値である。ステップS330において現在の蓄冷量が所定の判定値未満であると判断された場合には、顕熱制御モードに設定される(ステップS340)。一方、ステップS330において現在の蓄冷量が所定の判定値以上である場合には、たとえ市街地走行であったとしても、蓄冷器1に十分なエネルギーが蓄えられていて長時間の放冷が可能であることから、潜熱制御モードに設定される(ステップS350)。
なお、本発明に係る車両用空調装置は、上述した実施形態に係る車両用空調装置に限定されるものではない。走行状態検出手段としてナビゲーションシステムを用いる代わりに、車両に搭載された各種センサ(各部温度センサ、加速度センサなど)を用いた車両用空調装置であってもよいし、車両の外部との通信手段(VICS、インターネットを用いた情報取得、車車間通信など)を利用した車両用空調装置であってもよい。また、これらを複合させて使用する車両用空調装置であってもよい。走行状態検出手段で取得する具体的な情報としては、インフラ情報(信号、渋滞、気象状況)、三次元ナビゲーション情報(道路勾配)、車速情報、ブレーキ情報等が挙げられる。
本発明に係る車両用空調装置によれば、蓄熱器内における蓄冷剤(蓄熱剤)に温度ムラが生じることを抑制されてエネルギー効率の高い空調制御が可能になり、また蓄冷剤と熱交換を行う細管が腐食することも抑えられるため、車両の車室内の空調を行う装置として有用である。
1 蓄冷器(蓄熱器)
2 蓄冷剤(蓄熱剤)
3 冷媒(熱媒体)
5 ブライン(熱媒体)
11 制御部(制御手段)
15 ナビゲーションシステム(走行状態検出手段)
53 冷媒用細管
63 ブライン用細管
2 蓄冷剤(蓄熱剤)
3 冷媒(熱媒体)
5 ブライン(熱媒体)
11 制御部(制御手段)
15 ナビゲーションシステム(走行状態検出手段)
53 冷媒用細管
63 ブライン用細管
Claims (2)
- 車両に搭載され、蓄熱した熱を利用して車室内の空調を行う車両用空調装置であって、
相変化可能な蓄熱剤が充填された蓄熱器と、
車両の走行状態を検出及び/又は予測する走行状態検出手段と、
前記走行状態検出手段の検出結果及び/又は予測結果に基づいて、前記蓄熱器への蓄熱及び前記蓄熱器からの熱の取り出しを制御する制御手段と、
を備え、
前記蓄熱器は、内部に熱媒体を通す樹脂製の複数の細管を有しており、前記細管の外面に接触する前記蓄熱剤と前記細管の内部を通る前記熱媒体との間で熱交換を行わせる、
車両用空調装置。 - 前記制御手段は、前記走行状態検出手段の検出結果及び/又は予測結果に基づいて、前記蓄熱剤の潜熱領域を蓄熱に使用するかどうかを判断して制御を行う、
請求項1に記載の車両用空調装置。
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