JP2007168491A - 航空機用インテークダクト - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジン入口部での流れの乱れを増大させず且つ機体開発の自由度を維持したまま航空機のステルス性を向上させることができる航空機用インテークダクトを提供する。
【解決手段】本発明の航空機用インテークダクト10は、エアダクト12の空気取入れ口12aから下流側に向かってエンジン入口部30まで達する過程でエンジン入口部30に近づくように湾曲する湾曲部14を有する。エアダクト12は、湾曲部14の形状の影響によってエアダクト前方側からの視野においてエンジン入口部30が視覚的に遮蔽されないように形成されている。エアダクト12内には遮蔽手段16が設けられている。この遮蔽手段16は、エアダクト前方側からの視野においてエンジン入口部30が視覚的に完全に又はほぼ完全に遮蔽されるように且つ流路に沿う方向に設置された複数の遮蔽翼17からなる。また、遮蔽翼17の表面は電波吸収材からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、航空機のエンジンに空気を送り込むために機体に設けられた航空機用インテークダクトに関し、更に詳しくは、航空機のステルス性能を向上させることができる航空機用インテークダクトに関するものである。
航空機のなかには戦略上レーダーにその機影が映ることを嫌い、機体にステルス性を要求されるものがある。そのため、機体表面の形状の工夫や、電波吸収材の付加によりステルス性の改良が行われてきた。
機体への工夫が進む一方で、エンジン本体からのレーダー波(マイクロ波)の反射についても種々の工夫が行われている。航空機のエンジン側面は通常、ステルス性向上のための機体表面形状にカバーされているため、特に問題となるのは、機体に設けられたインテークダクトからエンジン内に侵入し反射されるレーダー波である。エンジン停止時には、インテークダクトから侵入したレーダー波はファン動翼の曲面部により乱反射され、減衰される場合が多い。ところが、エンジン起動後には、回転するファン動翼が反射平面となり、インテークダクトから侵入してきたレーダー波を直接反射してしまう。
上記のような問題を解決すために、下記特許文献1,2において種々の提案がなされている。
特許文献1に示された従来技術1は、図7に示すように、インテークダクト51の形状を曲げ、ファン動翼52を視覚的に遮へいすることにより、レーダー波をダクト51内曲面で斜めに反射させるものである。
また、下記特許文献2に示された従来技術2は、図8(ただし(B)は(A)のZ−Z線断面図である。)に示すように、ストラット58を、入口ダクト54からファン動翼52に侵入するレーダー波Rを遮蔽及び拡散する反射曲面形状に形成し、これにより、ファン動翼52によるレーダー波Rの反射を抑制するようにしたものである。
ところで、航空機の機体に設けられるインテークダクトの数と搭載するエンジンの数は、一般的には以下のパターン1〜3に分類される。
図9(A)は、パターン1を示す図であり、航空機を側面方向から見たときのインテークダクト形状を示す図である。このパターン1では、インテークダクト61の空気取入れ口62が1箇所、搭載エンジン63が1機であり、空気取入れ口62がエンジン入口部64よりも下方に配置されているため、図に示すように流路が湾曲している。
図9(B)は、パターン2を示す図であり、航空機を上から見たときのインテークダクト形状を示す図である。このパターン2では、インテークダクト61の空気取入れ口62が2箇所、搭載エンジン63が1機であり、空気取入れ口62がエンジン入口部64よりも機体の左右方向(この図で上下方向)に配置されているため、図に示すように左右の流路が湾曲して途中で合流する形状となっている。
図9(C)は、パターン3を示す図であり、航空機を上から見たときのインテークダクト形状を示す図である。このパターン3では、インテークダクト61の空気取入れ口62が2箇所、搭載エンジン63が2機であり、左右の空気取入れ口62が左右のエンジン入口部64よりもさらに機体の左右外側に配置されているため、図に示すように流路が湾曲している。
上記のパターン1,2は、インテーク形状を比較的曲げやすい。このため、上記の従来技術1は、パターン1,2のインテークダクト形状に適用しやすい。ただし、曲がりが緩やかにせざるを得ない場合は、適用困難である。上記のパターン3では、ダクトを曲げる余地が少ないため、基本的に従来技術1を適用することが困難である。
一方、従来技術2は、適用に際してインテークダクト形状の影響を受けないため、上記のパターン1〜3のいずれに対しても適用が容易である。
米国特許第4,989,807号明細書 特開2004−137950号公報
しかしながら、上記の従来技術1では、以下のような問題があった。
すなわち、従来技術1では、インテークダクトの形状を大きく曲げるものであるため、超音速飛行時に、ダクト内部での2次流れや剥離流が発生し、エンジン入口部での流れのディストーションが大きい。この流れの乱れは、エンジン作動安定性に影響を与えるため、航空機の運動性の範囲が制限されるという問題がある。一方、インテークダクトの曲げ方を緩めると、エンジンがダクトの空気取り入れ口から視覚的に遮蔽されず、すなわち見えてしまうため、ステルス性が低下するという問題がある。
また、従来技術2では、以下のような問題があった。
航空機の機体の開発時においては、搭載されるエンジンの推力等に合わせて開発が進められため、機体の開発時に搭載されるエンジンが準備されていることが必要である。一方、航空機用エンジンは、一般的に、安全性を確保するための多くの試験を経る必要がある。
このため、従来技術2を適用する場合、機体開発の際に、丁度よい推力をもつレーダー波反射曲面形状ストラット付きのエンジンを開発し、その後、上記の試験を実施した後でなければ、機体の開発を進められず、機体開発の自由度が制限されるという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、エンジン入口部での流れの乱れを増大させず且つ機体開発の自由度を維持したまま航空機のステルス性を向上させることができる航空機用インテークダクトを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の航空機用インテークダクトは、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる航空機用インテークダクトは、航空機の機体に設けられ、空気を前方から取り入れて該空気をその後方側に配置されたエンジンまで導くように内部に空気流路が形成されたエアダクトを備え、該エアダクトの前端に形成された空気取入れ口とエンジン入口部をそれぞれ機体前後方向へ投影したときの互いの投影部の位置がずれており、前記空気流路は、前記エアダクトの空気取入れ口から下流側に向かってエンジン入口部まで達する過程でエンジン入口部に近づくように湾曲する湾曲部を有する航空機用インテークダクトにおいて、前記エアダクトは、湾曲部の形状の影響によってエアダクト前方側からの視野においてエンジン入口部が視覚的に遮蔽されないように形成されており、前記エアダクト内に、該エアダクト前方側からの視野においてエンジン入口部が視覚的に完全に又はほぼ完全に遮蔽されるように且つ流路に沿う方向に設置された複数の遮蔽翼からなる遮蔽手段を備え、前記遮蔽翼の表面は電波吸収材からなる、ことを特徴とする。
このように、エアダクトは、湾曲部の形状の影響によってエアダクト前方側からの視野においてエンジン入口部が視覚的に遮蔽されないように形成されているので、湾曲部の曲がりを緩やかにすることができ、ダクト内部での2次流れや剥離流の発生を抑制し、エンジン入口部での流れの乱れを最小限に抑えることができる。このため、エンジン作動安定性に影響を与えず、航空機の運動性の範囲を制限することがない。
また、エアダクト内に、エアダクト前方側からの視野においてエンジン入口部が視覚的に完全に又はほぼ完全に遮蔽されるように複数の遮蔽翼が配置されているので、エアダクト内に侵入したレーダー波はエンジンのファン動翼に到達する前に遮蔽翼で完全に又はほぼ完全に反射させられる。そのため、レーダー波は直接的にエンジンのファン動翼に到達せず、あるいは到達しても僅かである。遮蔽翼で反射しファン動翼に到達してファン動翼で反射し戻ってくるレーダー波は、ファン動翼に到達する前後において遮蔽翼を通過する過程で少なくとも複数回、遮蔽翼で反射する。遮蔽翼の表面は電波吸収材で形成されているので、反射のたびにレーダー波の強度は減衰し、発信源に戻ったときにはその強度が微弱となる。このため、レーダー探知が不可能となり、ステルス性能を向上させることができる。
また、遮蔽翼は流路に沿う方向に設置されているので、空力的な圧力損失も最小限に抑えることができる。
また、本発明は、エンジンに改良を加えるものではないので、機体開発においては、安全性の確認試験が終了し準備されたエンジンをベースに開発を進めることができ、機体開発の自由度が制限されない。
また、本発明にかかる航空機用インテークダクトでは、前記複数の遮蔽翼は、前記空気流路の湾曲部において最も曲率の大きい部分に集中的に、該部分の流路を前記投影部の位置のずれ方向に複数に分割するように間隔を置いて配置されている、ことを特徴とする。
このように、複数の遮蔽翼を、空気流路の湾曲部において最も曲率の大きい部分に集中的に配置するので、遮蔽翼の枚数を抑えつつ効率的にエンジン入口部を視覚的に遮蔽することができる。
また、本発明にかかる航空機用インテークダクトでは、前記遮蔽手段は、前記湾曲部において最も曲率の大きい部分に配置された第1遮蔽部と、前記第1遮蔽部の前方又は後方の位置であって該第1遮蔽部と機体前後方向に重複しない位置に配置された第2遮蔽部と、とからなり、前記第1遮蔽部は、前記最も曲率の大きい部分の流路を前記投影部の位置のずれ方向に複数に分割するように間隔を置いて配置された複数の遮蔽翼からなり、前記第2遮蔽部は、その部分の空気流路を前記ずれ方向に複数に分割するように間隔をおいて配置された複数の遮蔽翼からなり、前記第1遮蔽部と前記第2遮蔽部により前記エアダクト前方側からの視野においてエンジン入口部が視覚的に完全に遮蔽されるように構成されている、ことを特徴とする。
このように、遮蔽手段が軸方向にずれた第1遮蔽部と第2遮蔽部とからなるので、各遮蔽部における遮蔽翼の枚数及び寸法の設定によって、エンジン入口部を視覚的に完全に遮蔽することができる。また、第2遮蔽部は空気流路の湾曲部において最も曲率の大きい部分に集中的に配置されるので、遮蔽翼の枚数を抑えつつ効率的にエンジン入口部を視覚的に遮蔽することができる。
また、本発明にかかる航空機用インテークダクトでは、前記遮蔽翼の前記エアダクト入口側の先端部に、前記エアダクト内に侵入する異物を切断するための切断刃が設けられている、ことを特徴とする。
ここで、上記「切断刃」には、遮蔽翼と構造的に別体のものに限られず、遮蔽翼自体の先端部を鳥などの異物を切断するのに適した鋭利さに形成したもの、すなわち、遮蔽翼と一体形成されたものも含まれる。
このように、遮蔽翼の前記エアダクト入口側の先端部に、エアダクト内に侵入する鳥などの異物を切断するための切断刃を設けたので、航空機の飛行中、エアダクトに鳥などの異物が侵入し高速で遮蔽翼に衝突した場合でも、その先端に設けられた切断刃により異物を切断することができる。このため、異物衝突時に遮蔽翼にかかる衝撃力を大幅に緩和することができ、これにより、その損傷を防止できる。
また、遮蔽翼にかかる衝撃力を緩和することができるので、強度を向上させるために肉厚を増大させる必要が無い。このため、遮蔽翼の軽量化を図ることができ、機体の軽量化に寄与することができる。
また、本発明にかかる航空機用インテークダクトでは、前記切断刃は、その刃部が前記遮蔽翼の前記先端部で僅かに外部に突出するように前記遮蔽翼内に設けられた刃状部材と、該刃状部材を前記遮蔽翼内で支持する支持部材と、を有する、ことを特徴とする。
このように、切断刃が、刃状部材とこれを支持する支持部材とにより構成され、これらが遮蔽翼に内蔵されているので、刃状部材の先端部に形成された刃部を遮蔽翼の先端部から僅かに突出させた状態で、切断刃を遮蔽翼に堅固に固定することができる。また、刃状部材の先端部のみが遮蔽翼から僅かに突出しているので、ステルス性能に与える悪影響を最小限に抑えることができる。
本発明によれば、エンジン入口部での流れの乱れを増大させず且つ機体開発の自由度を維持したまま航空機のステルス性を向上させることができる、という優れた効果が得られる。
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる航空機用インテークダクト10の構成を示す斜視図である。この図に示す航空機用インテークダクト10(以下、単に「インテークダクト」ということがある。)は、航空機の機体(図示せず。)に設けられ、前方側に開口する空気取入れ口12aから空気を取り入れてその後方側に配置されたエンジン入口部30まで導くものである。
図1において、X軸は機体の前後方向を示す。
Y軸は、機体の前後方向からの見たときの空気取入れ口12aとエンジン入口部30とのズレの方向を示すものであり、言い換えれば、エアダクト12の空気取入れ口12aとエンジン入口部30をそれぞれ機体前後方向へ投影したときの互いの投影部の位置ズレ方向を示すものである。このY軸方向は、基本的には、従来技術において説明したようなインテーク形状のパターンによって決まり、パターン1の場合は機体の上下方向がY軸方向となり、パターン2および3の場合は、機体の左右方向がY軸方向となる。ただし、Y軸方向は機体の上下左右方向に限られず、その中間の方向であってもよい。
Z軸は、X軸とY軸に直交する方向を示す。
図1に示すように、航空用インテークダクト10は、エアダクト12と、遮蔽手段16とを備えている。
エアダクト12は、空気を前方から取り入れて該空気をその後方側に配置されたエンジン入口部30まで導くように内部に空気流路13が形成されている。
エアダクト12の空気取入れ口12aを機体前後方向に投影したときの投影部S1と、エンジン入口部30を機体前後方向に投影したときの投影部S2とは、互いに位置がずれている。このため、空気流路13は、エアダクト12の空気取入れ口12aから下流側に向かってエンジン入口部30まで達する過程でエンジン入口部30に近づくように湾曲する湾曲部14を有する。この湾曲部14は、エアダクト12内部での2次流れや剥離流の発生を抑制でき、エンジン入口部30での流れの乱れを最小限に抑えられるような、空力的に許容できる範囲での緩やかな曲がり形状とする。
また、エアダクト12の内部壁面には、電波吸収材が貼り付けられている。
図2は、インテークダクト10のエアダクト12のみの断面形状を示す図である。
このような形状のエアダクト12において、ダクトの空気取入れ口12aから入射しエンジン入口部30に到達する光線を想定する。
図2(D)に示すように、光線とX軸とのなす角をθとした場合、正側で最大値をとるのは光線1であり、負側で最大値をとるのは光線2である。したがって、ダクトの空気取入れ口12aから入射し入口部に到達する光線は、θ1〜−θ2の角度で入射する光線である。
次に、この範囲にある光線のうち代表的に3つの角度の光線を図1のA,B,Cとし、これらを図2(A)〜(C)に示す。
図2(A)の光線Aは、θ=0の光線であり、エアダクト12の空気取入れ口12aの正面方向から入射する光線である。
図2(B)の光線Bは、θ=θb(ただし、0<θb<θ1)でエンジン入口部30に入射する光線であり、入射角としては比較的大きく、正側の最大入射角であるθ1に近い光線である。
図2(C)の光線Cは、θ=θc(ただし、0<θc<θb)でエンジン入口部30に入射する光線である。
このように、エアダクト12は、湾曲部14の形状の影響によってエアダクト12前方側からの視野においてエンジン入口部30が視覚的に遮蔽されないように形成されている。
図3は、遮蔽手段16を含むインテークダクト10の断面形状を示す図である。
この図に示すように、遮蔽手段16は、流路に沿う方向に配置された複数の遮蔽翼17からなる。この遮蔽翼17は、空気流路13の湾曲部14において最も曲率の大きい部分を通るように集中的に、その部分の流路をY軸方向(投影部の位置のずれ方向)に複数に分割するように間隔を置いて配置されている。
また、遮蔽翼17は、エアダクト12の空気取入れ口12aから入射されるいかなる方向からの光線もエンジン入口部30に到達しないように、且つ翼間ピッチが最大となるように翼長(流路方向長さ)と枚数が設定される。この図3では、代表的に示した上記の3つの光線A,B,Cが遮蔽されていることが分かる。
インテークダクト10はこのように構成されているため、エアダクト12前方側からの視野においてエンジン入口部30が視覚的に完全に遮蔽されるようになっている。
ただし、エアダクト12の形状によっては、湾曲部14の曲がりが緩やかであるためにエンジン入口部30を視覚的に完全に遮蔽することが困難である場合もある。そのような場合は、多少光線を透過させる隙間を許容する場合があってもよい。この場合であっても、エアダクト12前方側からの視野においてエンジン入口部30が視覚的にほぼ完全に遮蔽されるようになっている。
遮蔽翼17の表面は、カーボン複合材や磁性体などの電波吸収材からなる。遮蔽翼17は電波吸収材から製作したものでも、電波吸収材以外の材料から製作したものの表面に電波吸収材を貼付したものでもよい。
また、遮蔽翼17の前記エアダクト12入口側の先端部(前縁部)には、以下に説明するような、エアダクト12内に侵入する異物を切断するための切断刃を設けることが好ましい。
図4は、図1の遮蔽翼17のA−A線断面における、上記の切断刃の具体例を示す図である。
図4に示すように、遮蔽翼17のエアダクト12入口側の先端部(前縁部)には、航空機の飛行中にエアダクト12内に侵入する鳥などの異物を切断するための切断刃20が設けられている。この切断刃20は、各遮蔽翼17に、その前縁部の幅方向(Z軸方向)の全体に設けられている。
また、図4に示すように、遮蔽翼17は、中空構造であり、先端部分に切断刃20が取り付けられている。この切断刃20の先端部は、航空機の飛行中に鳥などの異物が侵入し高速でストラットに衝突した場合に、その異物を切断するのに十分な鋭利さをもつように形成されている。この切断刃20の材料は、焼結CBN、ダイヤモンド、超硬合金、セラミックス複合材等を適用することが好ましい。
なお、図4の具体例による切断刃20は、遮蔽翼17と構造的に別体のものであるが、本発明はこれに限られず、遮蔽翼17自体の先端部を異物の切断に適した鋭利さに形成したもの、すなわち、遮蔽翼17と構造的に一体形成したものであってもよい。
図5は、図1の遮蔽翼17のA−A線断面における、上記の切断刃20の別の具体例を示す図である。
図5に示すように、遮蔽翼17は中空構造であり、その内部に切断刃20が内蔵されている。この別の具体例における切断刃20は、刃状部材21と、これを支持する支持部材22とからなる。遮蔽翼17の前縁部には、図5で紙面に垂直な方向(図1のZ軸方向)に延びるスリット17aが形成されており、刃状部材21は、その先端部に形成された刃部21aが遮蔽翼17の先端部で僅かに外部に突出するように遮蔽翼17内に設置されている。
刃状部材21の刃部21aは、航空機の飛行中に鳥などの異物が侵入し高速で刃状部材21に衝突した場合に、その異物を切断するのに十分な鋭利さをもつように形成されている。この切断刃20の材料は、先に説明した具体例と同様に、焼結CBN、ダイヤモンド、超硬合金、セラミックス複合材等を適用することが好ましい。
支持部材22は、遮蔽翼17内に形成された支持部8bにより堅固に固定され、前縁部側の面に形成された保持部22aにより刃状部材21の後端部を保持している。
次に上記のように構成された第1実施形態にかかる航空機用インテークダクト10の作用・効果について説明する。
本発明にかかる航空機用インテークダクト10によれば、エアダクト12は、湾曲部14の形状の影響によってエアダクト12前方側からの視野においてエンジン入口部30が視覚的に遮蔽されないように形成されているので、湾曲部14の曲がりを緩やかにすることができ、エアダクト12内部での2次流れや剥離流の発生を抑制し、エンジン入口部30での流れの乱れを最小限に抑えることができる。このため、エンジン作動安定性に影響を与えず、航空機の運動性の範囲を制限することがない。
また、エアダクト12内に、エアダクト12前方側からの視野においてエンジン入口部30が視覚的に完全に又はほぼ完全に遮蔽されるように複数の遮蔽翼17が配置されているので、エアダクト12内に侵入したレーダー波はエンジンのファン動翼に到達する前に遮蔽翼17で完全に又はほぼ完全に反射させられる。そのため、レーダー波は直接的にエンジンのファン動翼に到達せず、あるいは到達しても僅かである。遮蔽翼17で反射しファン動翼に到達してファン動翼で反射し戻ってくるレーダー波は、ファン動翼に到達する前後において遮蔽翼17を通過する過程で少なくとも複数回、遮蔽翼17で反射する。遮蔽翼17の表面は電波吸収材で形成されているので、反射のたびにレーダー波の強度は減衰し、発信源に戻ったときにはその強度が微弱となる。このため、レーダー探知が不可能となり、ステルス性能を向上させることができる。
また、遮蔽翼17は流路に沿う方向に設置されているので、空力的な圧力損失も最小限に抑えることができる。
また、本発明は、エンジンに改良を加えるものではないので、機体開発においては、安全性の確認試験が終了し準備されたエンジンをベースに開発を進めることができ、機体開発の自由度が制限されない。
また、複数の遮蔽翼17を、空気流路13の湾曲部14において最も曲率の大きい部分に集中的に配置するので、遮蔽翼17の枚数を抑えつつ効率的にエンジン入口部30を視覚的に遮蔽することができる。
また、遮蔽翼17の前記エアダクト12入口側の先端部に、エアダクト12内に侵入する鳥などの異物を切断するための切断刃を設けたので、航空機の飛行中、エアダクト12に鳥などの異物が侵入し高速で遮蔽翼17に衝突した場合でも、その先端に設けられた切断刃により異物を切断することができる。このため、異物衝突時に遮蔽翼17にかかる衝撃力を大幅に緩和することができ、これにより、その損傷を防止できる。
また、遮蔽翼17にかかる衝撃力を緩和することができるので、強度を向上させるために肉厚を増大させる必要が無い。このため、遮蔽翼17の軽量化を図ることができ、機体の軽量化に寄与することができる。
また、切断刃を上記の他の具体例(図5参照。)のように構成すれば、さらに次のような効果が得られる。すなわち、切断刃20が、刃状部材21とこれを支持する支持部材22とにより構成され、これらが遮蔽翼17に内蔵されているので、刃状部材21の先端部に形成された刃部21aをストラット8の先端部から僅かに突出させた状態で、切断刃20を遮蔽翼17に堅固に固定することができる。また、刃状部材21の先端部のみが遮蔽翼17から僅かに突出しているので、ステルス性能に与える悪影響を最小限に抑えることができる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態にかかる航空機用インテークダクトの断面形状を示す図である。エアダクト12の構成は、第1実施形態と同様であるので詳細な説明は省略する。
第2実施形態にかかるインテークダクトでは、遮蔽手段16は、第1遮蔽部16Aと第2遮蔽部16Bとからなる。
第1遮蔽部16Aは、湾曲部14において最も曲率の大きい部分の流路をY軸方向に複数に分割するように間隔を置いて配置された複数の遮蔽翼17からなる。
第2遮蔽部16Bは、第1遮蔽部16Aの前方または後方の位置であって第1遮蔽部16Aと機体前後方向に重複しない位置に配置される。本実施形態では、湾曲部14と空気取入れ口12aとの間の前方ストレート部分に配置されているが、湾曲部14とエンジン入口部30との間の後方ストレート部分に配置されるようにしてもよい。
また、第2遮蔽部16Bは、その部分の空気流路13をY軸方向に複数に分割するように間隔をおいて配置された複数の遮蔽翼17からなる。
第1遮蔽部16Aと第2遮蔽部16Bの各遮蔽翼17は、流路に沿う方向に配置されており、その表面はカーボン複合材や磁性体などの電波吸収材からなる。遮蔽翼17は電波吸収材から製作したものでも、電波吸収材以外の材料から製作したものの表面に電波吸収材を貼付したものでもよい。
また、第1遮蔽部16Aと第2遮蔽部16Bの遮蔽翼17は、エアダクト12の空気取入れ口12aから入射されるいかなる方向からの光線もエンジン入口部30に到達しないように、且つ翼間ピッチが最大となるように翼長(流路方向長さ)と枚数が設定される。この図6では、代表的に示した上記の3つの光線A,B,C(図2参照。)が遮蔽されていることが分かる。
インテークダクトはこのように構成されているため、エアダクト12前方側からの視野においてエンジン入口部30が視覚的に完全に遮蔽されるようになっている。
また、第2実施形態においても、第1遮蔽部16Aと第2遮蔽部16Bの各遮蔽翼17のエアダクト12入口側の先端部に、第1実施形態と同様の切断刃20を設けることが好ましい。
上記のように構成された第2実施形態にかかる航空機用インテークダクト10によれば、第1実施形態による作用・効果に加え、以下の作用・効果が得られる。
すなわち、第2実施形態にかかる航空機用インテークダクト10によれば、遮蔽手段16が軸方向にずれた第1遮蔽部16Aと第2遮蔽部16Bとからなるので、各遮蔽部16A,16Bにおける遮蔽翼17の枚数及び寸法の設定によって、エンジン入口部30を視覚的に完全に遮蔽することができる。また、第2遮蔽部16Bは空気流路13の湾曲部14において最も曲率の大きい部分に集中的に配置されるので、遮蔽翼17の枚数を抑えつつ効率的にエンジン入口部30を視覚的に遮蔽することができる。
以上の各実施形態における説明から明らかなように、本発明によれば、エンジン入口部での流れの乱れを増大させず且つ機体開発の自由度を維持したまま航空機のステルス性を向上させることができる、という優れた効果が得られる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
本発明の第1実施形態にかかる航空機用インテークダクトの斜視図である。 本発明の第1実施形態にかかる航空機用インテークダクトのエアダクトのみの形状を示す図である。 本発明の第1実施形態にかかる航空機用インテークダクトの断面形状を示す図である。 遮蔽翼に設けた切断刃の具体例を示す図である。 遮蔽翼に設けた切断刃の別の具体例を示す図である。 本発明の第2実施形態にかかる航空機用インテークダクトの断面形状を示す図である。 特許文献1に示された従来技術の構成図である。 特許文献2に示された従来技術の構成図である。 航空機の機体に設けられるインテークダクトの形状パターンを説明する図である。
符号の説明
10 航空機用インテークダクト
12 エアダクト
12a 空気取入れ口
13 空気流路
14 湾曲部
16 遮蔽手段
17 遮蔽翼
17a スリット
17b 支持部
20 切断刃
21 刃状部材
21a 刃部
22 支持部材
22a 保持部
30 エンジン入口部

Claims (5)

  1. 航空機の機体に設けられ、空気を前方から取り入れて該空気をその後方側に配置されたエンジンまで導くように内部に空気流路が形成されたエアダクトを備え、該エアダクトの前端に形成された空気取入れ口とエンジン入口部をそれぞれ機体前後方向へ投影したときの互いの投影部の位置がずれており、前記空気流路は、前記エアダクトの空気取入れ口から下流側に向かってエンジン入口部まで達する過程でエンジン入口部に近づくように湾曲する湾曲部を有する航空機用インテークダクトにおいて、
    前記エアダクトは、湾曲部の形状の影響によってエアダクト前方側からの視野においてエンジン入口部が視覚的に遮蔽されないように形成されており、
    前記エアダクト内に、該エアダクト前方側からの視野においてエンジン入口部が視覚的に完全に又はほぼ完全に遮蔽されるように且つ流路に沿う方向に設置された複数の遮蔽翼からなる遮蔽手段を備え、前記遮蔽翼の表面は電波吸収材からなる、
    ことを特徴とする航空機用インテークダクト。
  2. 前記複数の遮蔽翼は、前記空気流路の湾曲部において最も曲率の大きい部分に集中的に、該部分の流路を前記投影部の位置のずれ方向に複数に分割するように間隔を置いて配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の航空機用インテークダクト。
  3. 前記遮蔽手段は、前記湾曲部において最も曲率の大きい部分に配置された第1遮蔽部と、前記第1遮蔽部の前方又は後方の位置であって該第1遮蔽部と機体前後方向に重複しない位置に配置された第2遮蔽部と、とからなり、
    前記第1遮蔽部は、前記最も曲率の大きい部分の流路を前記投影部の位置のずれ方向に複数に分割するように間隔を置いて配置された複数の遮蔽翼からなり、
    前記第2遮蔽部は、その部分の空気流路を前記ずれ方向に複数に分割するように間隔をおいて配置された複数の遮蔽翼からなり、
    前記第1遮蔽部と前記第2遮蔽部により前記エアダクト前方側からの視野においてエンジン入口部が視覚的に完全に遮蔽されるように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の航空機用インテークダクト。
  4. 前記遮蔽翼の前記エアダクト入口側の先端部に、前記エアダクト内に侵入する異物を切断するための切断刃が設けられている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の航空機用インテークダクト。
  5. 前記切断刃は、その刃部が前記遮蔽翼の前記先端部で僅かに外部に突出するように前記遮蔽翼内に設けられた刃状部材と、該刃状部材を前記遮蔽翼内で支持する支持部材と、を有する、ことを特徴とする請求項4に記載の航空機用インテークダクト。
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