JP2007159823A - 手術用鑷子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 1本の鑷子を使用してシート状手術用具を患部に貼ることができ、鑷子操作をしない手で、内視鏡や鑷子以外の鉗子などを操作することができる鑷子を提供する。
【解決手段】 上下に対向配置され、後端側10bで固着され、先端側10aが開閉自在である一対の柄本体10の先端側を左右に対称的に分岐させた分岐部12とする。分岐部12は柄本体10の長軸より先端方向に、先端間隔がシート状手術用具15の幅あるいは対角線間隔となるまで分岐させ、シート状手術用具15を両側辺あるいは隣接する二辺を把持する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鑷子(ピンセット)に関するものであり、さらに詳しく述べるならば、シート状手術用具を把持する手術用鑷子に関するものである。
手術用鑷子は、通常、特許文献1(特開2004−42147号公報)に示されているように、一対の柄本体と柄本体と一体になった挟み脚より構成され、また上下の長さは等しく定められている。通常の鑷子を使用して、止血に用いられるフィリブ、タココンブ、ネーベールなどシート状手術補助具もしくはあるいは人工皮膚などの人体組織(以下「シート状手術用具」と総称する)を把持する際には、図1に示されるように、一人の術者が2本の鑷子1を使用して、矩形又は正方形のシート状手術用具15を適当に展張し、かつ手術箇所に適用していた。
特許文献2(特開2005−124892号公報)には、一対の柄本体の先端側を分岐させた鑷子が提案されており、その骨子は滑らかで直角な神経の切断面を容易に形成することであり、分岐部の間の隙間は神経を切断する刃物を進退させる極めて薄いものとなっている。
鑷子は半導体ウェーハを把持するためにも多用されており、その一例は特許文献3(特開2001−168181号公報)に示されている。この鑷子は、上下一対の柄本体の先端側を円弧状に分岐させており、分岐した円弧部全体でウェーハを把持する構造となっている。すなわち、半導体ウェーハのように、ファセット部以外では円形であり、硬質かつ形状が不変の材料の場合は、円弧部を部分的に把持すれば、ウェーハを水平に保って、熱処理、拡散などの工程間で搬送が可能になる。
シリコンウェーハを取り扱うピンセットにおいて、少なくとも2つ以上の多頭形状をもつ部分で品物を確実に挟むことは特許文献4(実開昭63−47033号公報)で提案されている。このピンセットは多頭先端がウェーハ周縁からかなり内部の位置を把持している。
特許文献5(実開昭64−16272号公報)では、先端が二股に分かれたピンセットが提案されている。このピンセットでは二股先端部の幅が柄の幅とほぼ等しくなっている。
特許文献6(実公昭49−18457号公報)では、皮膚などを糸で縫合する際に使用されるピンセットとして、先端が二股に分かれ、かつ二股分岐部の内側で凸片の左右に切欠部を形成したものが提案されている。
特開2004−42147号公報 特開2005−124892号公報 特開2001−168181号公報 実開昭63−47033号公報 実開昭64−16272号公報 実公昭49−18457号公報
従来、シート状手術用具を患部など体腔内外の組織に貼る場合、術者は2本の鑷子を使用しなければならず、従って両腕が鑷子操作にかかりきりになっていたので、内視鏡や鑷子以外の鉗子などを操作することができなかった。
さらに、鑷子の上下の長さが等しいために、シートを貼った後鑷子の取扱によっては先端部の下の部分で組織を傷付けるおそれがあったり、目的部位に固定できず、ずれたりした。さらに、特許文献5で提案された鑷子はシート状手術用具の把持には適していない。
特許文献6のピンセットの左右分岐部によりシート状手術用具をつかむと、中央に形成された突片がシートの端縁に当たり、シートを不所望に変形させるおそれがある。
手術目的以外の鑷子を手術に適用した場合も考察すると、特許文献3で提案されたピンセットの把持方式では、シートが大きく垂れ下がり、形状が安定せずに、従来の2本鑷子よりも操作が面倒になる。
特許文献4で提案された多頭形、二股もしくは分岐ピンセットをシート状手術用具把持に適用すると、把持部がシートを当てうようする患部以外と接して好ましくない。
本発明者らは、上下に対向配置され、後端側で固着され、先端側が開閉自在である一対の柄本体の先端側を左右に対称的に分岐させた手術用鑷子において、前記分岐部を柄本体の長軸より先端方向に、先端間隔がシート状手術用具の幅あるいは対角線間隔となるまで分岐させ、分岐部により前記シート状手術用具を両側辺あるいは隣接する二辺を把持することを特徴とする手術用鑷子を用いると、従来両手を使用していた手技が片手でできることを確認して、本発明を完成した。
本発明において、上部とは術者に面している鑷子の表面、下部とは術者からは見えない鑷子の裏側、左右とはそれぞれ術者から見た方向、先端とは術者から離れた端部、後端とは術者に近い端部を意味する。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の鑷子においては、術者が掴む柄本体の先端を先端方向に分岐させ、先端間隔がシート状手術用具の幅あるいは対角線間隔となるまで、分岐部を延在させている。このために、分岐部はシート状手術用具(以下「シート」と略称する)の縁部を把持した状態で、シートの主面を手術処置部に接触させることができる。また、シートは柔軟であり、形状が安定しないために、シートの対向する両片あるいは、隣接する二辺を分岐部で把持することにより、極端に垂れ下がらない状態で、シートを手術処置部に接触させることができる。このために、1本の鑷子を使用してシートを患部に貼ることができるようになった。また、患部にシートを貼った後には鑷子のばね力により最先端部を開放し、鑷子を患部から引き離すとシートは患部に貼られた状態を保っている。
上記した分岐部の一つの実施態様としては、先端側の分岐部を基部と最先端側とにより構成することにより、分岐部を「コ」字状にしている。
ここで、分岐部の基部は柄本体の長軸に対してほぼ直交する方向に延在しているために、シートと干渉することがなく、手術の操作を妨害せず、長さが短い分岐部でシートの両側を確実に保持することができる。最先端部は基部から直角に曲がっており、柄の長軸とほぼ平行しているために、柄の操作がそのまま最先端部に伝わる。この結果、無駄のない鑷子操作が可能になる。分岐部は、術者が保持する柄本体中心部の幅より大きい間隔で分岐しており、このため、従来2本の鑷子を操作していたと同様の位置でシートを把持することができる。さらに、最先端部はシートの両側に沿ってシートを押さえ付けることができるので、鑷子移動中にシートが位置ずれを起こしたり、脱落するおそれがない。
分岐部の別の実施態様としては、柄本体からの分岐部を先端側と基部とに分けずに一体的にシートを把持するものであり、このためには、シートの隣接する二辺に沿うように先端を分岐させる。
以下、図面を引用して本発明の実施態様を説明する。 図2は本発明の一実施態様に係る鑷子の平面図である。なお、背面図も全く同じ構造であるが、ここでは平面図として説明する。
柄本体10は上下に一対対向配置されており、後端10bにおいて溶接され、先端10a側が開放されている。これら両端の中心部10cでは術者の手が滑らないように溝11が多数形成されている。また柄本体10は先端側10aに向って先細りとなっている。
12は柄本体10の先端側を左右に分岐させた分岐部である。分岐部12の基部13は柄本体10の長軸に対して90°±5°程度以内で分岐している。この範囲外であるとシートの把持が困難になるか、あるいは円滑な手術操作の障害となる。この基部13と連続する最先端側14を柄本体10の軸とほぼ同じ方向に延在させており、ここでシート15の両側を把持する。なお、シート15は図3に示されるように上下面で把持されるので、位置ずれなどが起こらない。
左右の最先端部14(図3)の間隔はシート15の両側を把持できる程度であり、柄本体中心部10cの最大幅より大きく、好ましくはその1.5倍以上、20〜80mm程度である。
さらに、本発明の好ましい実施態様によると、図5(a),(b)に示されるように分岐部12を柄本体10に対して上向きに傾斜配置させると、片手操作によりシートを極めて正確に患部に貼ることができる。即ち、図5(b)の(1)の方向に鑷子を移動してシートを患部に貼り、その後鑷子先端を開放して(2)の方向に鑷子を移動させることができる。傾斜角度(θ)は10〜30°の範囲であることが好ましい。
より好ましい実施態様によると、図6に示すように分岐部12の下部12bを上部12aよりも短くすると、鑷子を体内から抜いて来る時に最先端部14で患部組織などを引っ掻いたりするおそれがなくなる。
図7に示される鑷子では、図2と同じ部分は同じ参照符号を付している。また、最先端部14を柄本体10から対称的に約90°の角度で好ましくは30〜60mm分岐させており、シート15の隣接する二辺を把持している。把持されていない二辺は僅かに垂れ下がるが、垂れ下がる方向と柄10の方向を大体一致させた状態でシート15を患部に当てることにより的確に処理をすることができる。
以上説明したように、本発明の鑷子を使用すると、従来両手を使用していたシートの操作が片手でできるようになるために、フリーになった片手で内視鏡の操作や鑷子以外の器具の操作ができ、手術の精度が飛躍的に高められる。
従来の鑷子を使用する手術操作を説明する概念図である。 本発明の一実施態様に係る鑷子の平面図である。 図2の鑷子の分岐部がシートを把持している状況を示す図である。 図3の側面図である。 本発明の別の実施態様に係る鑷子の図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。 本発明の別の実施態様に係る鑷子の側面図である。 本発明のさらに別の実施態様に係る鑷子の平面図である。
符号の説明
1 鑷子
10 柄本体
12 分岐部
13 基部
14 最先端部
15 シート

Claims (3)

  1. 上下に対向配置され、後端側で固着され、先端側が開閉自在である一対の柄本体の先端側を左右に対称的に分岐させた手術用鑷子において、前記分岐部を柄本体の長軸より先端方向に、先端間隔がシート状手術用具の幅あるいは対角線間隔となるまで分岐させ、分岐部により前記シート状手術用具を両側辺あるいは隣接する二辺を把持することを特徴とする手術用鑷子。
  2. 前記シート状手術用具を把持する分岐部が前記柄本体に対して上方に傾斜していることを特徴とする請求項1記載の手術用鑷子。
  3. 前記シート状手術用具を把持する部分の上側に対して下側が短いことを特徴とする請求項1又は2記載の手術用鑷子。
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