JP2007155952A - 高圧放電灯による投射型システム - Google Patents
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Abstract
【課題】投射型システムにおける高圧放電灯のランプ電流にネガティブパルスを長時間印加しつつ寿命特性の劣化を最小限に抑える。
【解決手段】高圧放電灯1と前記高圧放電灯から照射された光束Φ1を複数の色に分離する複数のカラーセグメントに分割された回転式のカラーフィルタ3と、このカラーフィルタを通過した光束Φ2に階調付けと映像信号による変調とを行う反射型の光学素子4と、この光学素子によって反射された光束Φ3をスクリーン上に投影する投影レンズ系6と、前記カラーフィルタの回転速度及び前記光学素子と同期してカラーフィルタにより切り替えられる色に応じて高圧放電灯の電力レベルを変化させて駆動させる点灯手段5とを備えた投射型システムであって少なくともひとつのカラーセグメントに同期して前記高圧放電灯のランプ電流に従来よりも短パルスのネガティブパルスを重畳印加する。
【選択図】 図2
【解決手段】高圧放電灯1と前記高圧放電灯から照射された光束Φ1を複数の色に分離する複数のカラーセグメントに分割された回転式のカラーフィルタ3と、このカラーフィルタを通過した光束Φ2に階調付けと映像信号による変調とを行う反射型の光学素子4と、この光学素子によって反射された光束Φ3をスクリーン上に投影する投影レンズ系6と、前記カラーフィルタの回転速度及び前記光学素子と同期してカラーフィルタにより切り替えられる色に応じて高圧放電灯の電力レベルを変化させて駆動させる点灯手段5とを備えた投射型システムであって少なくともひとつのカラーセグメントに同期して前記高圧放電灯のランプ電流に従来よりも短パルスのネガティブパルスを重畳印加する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、光学素子とカラーフィルタを搭載した投射型システムに使用される高圧放電灯の点灯装置に関する。
投射型システムは高速で回転するカラーフィルタに光を照射して例えば三原色(即ちR(赤)・G(緑)・B(青 ))を時分割にとりだし、光バルブ(通称、デジタル・マイクロミラー・デバイス又はDMDと呼ばれる反射型の光学素子)を用いて画像パターンを作り、投影レンズ系を介してスクリーン上にカラー画像を投射するシステムであり、ホームシアターやRPTV(リヤプロジェクションテレビ)などに利用されている。
この種の技術分野では、光源となる高圧放電灯の駆動電流(以下、「ランプ電流」という。)の大きさを制御して光源の明るさレベルを適宜調整することにより、特定の色の階調数(ビット数)を補って画質を向上させたり、光利用効率を改善して画像をより明るく表示させたりすることが行われている(特許文献1参照)。
また、特許文献2によれば、ランプ電流を周期的に遮断または低減(定常点灯時の90%好ましくは50%以下に下げること)させることにより、「光が有効に活用されていないときは放電ランプへの供給電流を遮断あるいは低下させることで、放電ランプ全体の定格電力を同一としながらも、効果的にランプ出力を使うこと」を可能にするプロジェクター装置の光源装置が記載されている。
ランプ電流を時間的に変化させるため、ランプ電流に重畳して負のパルス(これを「ネガティブパルス」という。)を印加することで、ランプ電流の大きさを定常状態の電流値から減算し、等価的に一定期間だけ電流量を小さくする方法がしばしば用いられる。
しかし、ランプ電流に「ネガティブパルス」を繰り返し何度も印加すると、放電ランプの寿命特性がパルスを印加しない場合よりも劣化することが分かっている。
図6(a)は、直流方式の高圧放電灯の電極構造を示す図である。2つの電極(カソード101a、アノード101b)で構成され、その間にアーク放電A100が生じる。電流は図の矢印Rの方向に流れ、この時、輝点K100はカソード101aの近傍に現れる。直流方式の高圧放電灯の場合、ネガティブパルスによってアノードの電極先端部が変形しやすい。このため、アノード101bの電極質量はカソードの電極質量よりも大きく構成されている。なお、ネガティブパルスを印加しない従来のアノードの電極質量は典型値として1.0mg/W程度である。
アノードの電極先端部が変形する理由は、ネガティブパルスを印加するとその期間中水銀蒸気圧が低下するためにカソードから放出された電子が通常よりも高速でアノードの電極先端部に衝突するためと考えられる。アノードの電極先端部が変形により消耗してくると、アーク長が伸びるとともにアノード電極の先端が広がってくるために、凹面反射鏡と組み合わせた場合に、光の行路が分散されやすくなり、結果的にカラーフィルタを通過した光束が減衰して照度維持率が低下すると考えられる。この問題は、直流方式に限らず交流方式でも同様である。
図6(b)は、交流方式の高圧放電灯の電極構造を示す図である。交流方式場合も直流方式同様に2つの電極(201a、201b)で構成され、その間にアーク放電A200が生じる。交流点灯の場合、正の半サイクルと負の半サイクルとで電流の向きが入れ替わる。例えば正の半サイクルにおける電流の向きが矢印C1であったとすると、その間のカソードは201a、アノードは201bとなる。このときアークの輝点はカソード近傍に発生するのでK201の辺りに現れる。一方、負の半サイクルにおける電流の向きは矢印C2となり、今度はカソードが201b、アノードが201aとなり、アークの輝点はK202の辺りに現れる。交流方式の高圧放電灯の場合、両方の電極が変形する。このため、2つの電極は新品の状態では同形同大に構成されている。なお、ネガティブパルスを印加しない従来の電極質量は典型値として0.5mg/W程度である。
電極の変形が起こる理由は、直流方式の場合と同様(すなわち、カソードから放出された電子がネガティブパルス期間の水銀蒸気圧が低下してアノードに対してより高速で衝突することで、アノードの電極先端部が消耗するため)と考えられるが、交流方式の場合、両方の電極が周期的にアノードとなるため、均一な条件でネガティブパルスを印加して均一に電極が消耗するようにする。
本件発明者らは、高圧放電灯の寿命特性を改善するために、「ネガティブパルスの印加」と「ランプの寿命特性の劣化(照度維持率の低下)」の関係について検討したところ、定常状態で駆動するランプ電流にネガティブパルスを印加することにより高圧放電灯の電力レベルを時間的に変化させた場合でも、印加するネガティブパルスのパルス幅を一定範囲内に制限すれば、寿命特性の劣化を効果的に抑制できるという新しい知見を得た。
本発明は、上記の知見に基づきなされたものであり、高圧放電灯のランプ電流にネガティブパルスを長時間印加しつつ寿命特性の劣化を最小限に抑えることを主たる技術的課題とする。
本発明に係る高圧放電灯による投射型システムは、高圧放電灯1と前記高圧放電灯から照射された光束Φ1を複数の色に分離する複数のカラーセグメントに分割された回転式のカラーフィルタ3と、このカラーフィルタを通過した光束Φ2に階調付けと映像信号による変調とを行う反射型の光学素子4と、この光学素子によって反射された光束Φ3をスクリーン上に投影する投影レンズ系6と、前記カラーフィルタの回転速度及び前記光学素子と同期してカラーフィルタにより切り替えられる色に応じて高圧放電灯の電力レベルを変化させて駆動させる点灯手段5とを備えた投射型システムであって、
少なくともひとつのカラーセグメントに同期して前記高圧放電灯のランプ電流に(従来よりも)短パルスのネガティブパルスを重畳印加することを特徴とする。
少なくともひとつのカラーセグメントに同期して前記高圧放電灯のランプ電流に(従来よりも)短パルスのネガティブパルスを重畳印加することを特徴とする。
カラーセグメントに同期してネガティブパルスを印加することにより、等価的にDMDのビット数を増やすことができ、しかも、短パルスのネガティブパルスであれば繰り返し重畳印加しても高圧放電灯の寿命特性の劣化を抑えることができるためである。
本発明に係る投射型システムにおける高圧放電灯は水銀が封入された直流方式又は交流方式のいずれにも適用することができる。但し、後述するように、寿命特性の劣化を抑えるための電極(特にアノード)の質量は、交流方式と直流方式とで若干異なる。
本発明に係る投射型システムで印加するネガティブパルスのパルス幅は、0.15ms乃至0.4msの範囲にあることが好ましい。本件発明者らの実験によれば、パルス幅は短ければ短いほど寿命特性の劣化が小さくなる傾向が確認された。このパルス幅の上限値0.4msは実験で得られた値であり、パルス幅0.4msとしたとき、寿命特性の劣化はネガティブパルスを印加しない場合とほぼ同等のレベルを達成した。下限値の0.15msはネガティブパルスの立ち下がりに対する光の立ち下がりの応答速度の遅れ時間0.1msと、ビット処理に通常必要な時間50μsを加えて算出される数値であり、実現可能な最小値を規定したものである。
本発明によると、高圧放電灯にパルス電流を印加しながら長時間使用しても、寿命特性の劣化(照度維持率の低下)を最小限に抑えることができる。
−システム構成について−
はじめに、本発明で説明するネガティブパルスの印加方法を適用する投射型システムの一例について説明する。
図1は本発明に係る投射型システムのシステム構成を説明するブロック図の一例を示している。本システムは高圧放電灯1及びリフレクター2より構成される光源Eと、カラーフィルタ3と光学素子4と投影レンズ系6とから構成される。高圧放電灯1から照射された光束Φはリフレクター2に反射されてカラーフィルタ3に光束Φ1が照射され、光学素子4によって光変調された後、所定の画像パターンが投影レンズ系6を介してスクリーン7に投影される。
はじめに、本発明で説明するネガティブパルスの印加方法を適用する投射型システムの一例について説明する。
図1は本発明に係る投射型システムのシステム構成を説明するブロック図の一例を示している。本システムは高圧放電灯1及びリフレクター2より構成される光源Eと、カラーフィルタ3と光学素子4と投影レンズ系6とから構成される。高圧放電灯1から照射された光束Φはリフレクター2に反射されてカラーフィルタ3に光束Φ1が照射され、光学素子4によって光変調された後、所定の画像パターンが投影レンズ系6を介してスクリーン7に投影される。
カラーフィルタは可視光の波長を選択的に通過させる性質を持つダイクロイックフィルタよりなる複数のカラーセグメントである。図1におけるカラーフィルタ3は例えばR・G・B・Y・M・C(赤・緑・青・黄・マゼンタ・シアン)の6色よりなる(3a〜3f)。
光学素子4はDMDのような反射型の光変調素子よりなり、カラーセグメント3a〜3fを通過してそれぞれの色に分離された光束Φ2を反射し、光学素子駆動装置14より供給される映像信号(例えばビデオ信号など)により光変調を行う。
DMDとは光バルブの一種であり、カラーフィルタを通過した各セグメントの光に明度を与えて階調付けを行うと共に映像信号による変調を行うための光学素子(光変調素子)であり、例えば半導体メモリーセル上に多数のミラーエレメントが取り付けられたものである。その一つ一つのミラーエレメントの傾きは光学素子駆動装置により制御することができ、各ミラーの光の通過と遮断をスイッチングすることにより所定のパターンを作り出すことができる。
点灯手段5は電源回路と複数の電力レベルを同期信号に応じて選択的に出力させる制御回路を内蔵しており、高圧放電灯1を点灯させるためのランプ電流を供給する装置である。
投影レンズ系6は光学素子4の表面で反射された光束Φ3をスクリーン7上に投射するための光学レンズである。
カラーフィルタ駆動装置8はカラーフィルタ3を回転させるための駆動装置であり、カラーフィルタ3を一定速度で回転させる働きをする。例えば1フレームの周波数60Hz(1画面が毎秒60回で変化すること)のビデオ信号の場合で、カラーフィルタは上記1フレームの周波数の整数倍(例えば2倍、すなわち周波数120Hz)の速度で回転する。光源Eからの照射された光束Φ1は定速回転しているカラーフィルタ3の各セグメント3a〜3fを透過したときに時分割で色分解は行われ、それぞれの色に分解された光束Φ2はライトパイプ(図示を省略する)などを介して光学素子4に入射される。
カラーフィルタのタイミング検出はカラーフィルタに設けられた位置指標3gによってカラーフィルタの1回転のタイミングを検出する。タイミング基準信号Sは同期信号発生装置9に入力され、この信号を基準にして各カラーセグメント同期した複数の同期信号を点灯手段5に入力する。
(実施例1)−直流方式の場合−
図2(a)は、本発明の実施例を示すものであり、直流方式の高圧放電灯にネガティブパルスを印加した場合の電流強度波形の一例を示すものである。図2(b)は、直流方式の寿命特性とネガティブパルスの関係について調べた図である。
図2(a)は、本発明の実施例を示すものであり、直流方式の高圧放電灯にネガティブパルスを印加した場合の電流強度波形の一例を示すものである。図2(b)は、直流方式の寿命特性とネガティブパルスの関係について調べた図である。
カラーフィルタの回転が120Hz(8.3ms)でビデオフィールドを形成し、その中に1個のネガティブパルスが配置される場合を示している。この例では、パルス幅Tn=0.4ms、電流強度は定常値の10%のネガティブパルスが、G(緑)のカラーセグメントの後端に配置されている。
図2(b)は、直流方式の寿命特性とネガティブパルスの関係について調べた図である。ネガティブパルスなしの場合と、ネガティブパルスを印加(Tn=0.4)した場合とを比較して図示している。
ここではRPTV用に開発した150Wの直流点灯の高圧放電灯で検証を行った。主な実験条件は次の通りである。
発光管の外形・・・10mm
アノード質量・・・200mg
電極間距離1.1mm
発光管内容積・・・100mm3
水銀量・・・23mg(0.23mg/mm3)
安定点灯時の水銀蒸気圧は・・・約170気圧
ランプ電圧・・・75V
発光管の外形・・・10mm
アノード質量・・・200mg
電極間距離1.1mm
発光管内容積・・・100mm3
水銀量・・・23mg(0.23mg/mm3)
安定点灯時の水銀蒸気圧は・・・約170気圧
ランプ電圧・・・75V
凹面反射鏡として楕円鏡を使用し、焦点位置において約6mm径の窓(アパーチャー)を集光通過できる光束を測定、高圧放電灯の点灯サイクルは投射型システムで典型的な2時間オン、15分オフで実施した。
図2(b)の結果から明らかなように、パルス幅Tn=0.4msのネガティブパルスを緑セグメントの後端に印加した場合には、照度維持率50%となる寿命時間が約6000時間と、ネガティブパルス無しの場合の寿命特性に近似した特性を達成していることが分かる。
このように、同じネガティブパルスを印加する場合でも、少なくともひとつのカラーセグメントに同期して高圧放電灯のランプ電流に短パルスのネガティブパルスを重畳印加すると、高圧放電灯のアノードの消耗を低減することができる。なお、ネガティブパルスをどのカラーセグメントにどの程度のレベルで配置するかについては、さまざまな用途が考えられるが、典型的な応用例として例えば特定の色の階調数(ビット数)を補うことである。緑セグメントはしばしば階調不足になりやすく、これを補うために緑セグメントの後半乃至後端のタイミングで電流強度を前半(定常値)の約1/2(50%)に低減するネガティブパルスを重畳印加すれば、等価的にDMDのビット数を1ビット増やすことができる。約1/4(25%)に低減するネガティブパルスと約1/2(50%)に低減するネガティブパルスを組み合わせると、等価的にDMDのビット数を2ビット増やすことができる。
ネガティブパルスの電流強度の下限については10%以上とすることが望ましい。電流強度が定常値の10%よりも小さくなるようなネガティブパルスでは電力の低減が大きすぎ、アーク放電領域からグロー放電領域へ遷移してランプ電圧が上昇するためである。すなわち、電流強度を10%以下にしてもランプ電力は10%以下にならない。光出力はランプ電流ではなくランプ電力(ランプ電流とランプ電力の積)に依存しており、「ランプ電力」を10%以下とすることは実現困難である。換言すると、ランプ電流を10%以下に低減するネガティブパルスを重畳印加すると、アーク放電領域からグロー放電領域に遷移する結果、瞬間的にランプ電力が大きくなり、寿命特性の劣化が大きくなる。
ネガティブパルスの電流強度の上限について数値を確定することは困難であるが、例えば、多くとも60%以下とすることが望ましい。その理由は、第一に、特定の色の階調数(ビット数)を補うためのネガティブパルスである場合、定常値の約1/2(50%)あるいは約1/4(25%)で十分有効に目的を達成でき、第二に、ネガティブパルス印加後の電流値が定常値の60%以上のときは、そもそも高圧放電灯の寿命特性を劣化させる問題が殆ど生じないからである。
電流強度が定常値の60%以下となるネガティブパルスを繰り返し印加すると、パルス幅を短くしてもアノードの変形は少なからず一定程度で進行するため、照度維持率の減少を少しでも抑えるために、従来よりも電極質量が大きいアノードを用いることが好ましい。例えば、ネガティブパルスを印加しない従来のアノード電極質量の典型値としては1.0mg/W程度であるのに対し、本発明を適用して照度維持率の減少を抑える観点からは、アノードの電極質量は例えば2割増の1.2mg/W以上であることが好ましい。この場合、アーク安定性についてはカソードの電極先端の温度に依存しているため、アノードの電極質量を大きくしたことによる影響は小さく、電極質量は大きいほどよい(上限は放電灯製造上の制約などで決まる)。
−比較例1(直流方式)−
図4(a)は、直流方式の高圧放電灯にネガティブパルスを印加した場合の電流強度波形の一例を示すものである。この図は、カラーフィルタの回転が120Hz(8.3ms)でビデオフィールドを形成し、その中にパルス幅Tnの1個のネガティブパルスが配置される場合を示している。
図4(a)は、直流方式の高圧放電灯にネガティブパルスを印加した場合の電流強度波形の一例を示すものである。この図は、カラーフィルタの回転が120Hz(8.3ms)でビデオフィールドを形成し、その中にパルス幅Tnの1個のネガティブパルスが配置される場合を示している。
図4(b)は、直流方式の寿命特性とネガティブパルスの関係について調べた図である。ネガティブパルスなし、ネガティブパルスを印加(Tn=0.6ms,Tn=1.2ms)の3つの場合を比較して図示している。ここではネガティブパルス電流強度がかなり低い場合(定常値の10%)の寿命特性を示している
パルス幅Tn=1.2msは、カラーセグメント6個中1個分の長さに相当するが、その寿命特性は図4(b)に示すように、初期の段階から照度の低下が著しい。パルス幅Tn=0.6msとすると、やや改善傾向にはあるが、パルスなしの場合に比べると依然として照度維持率の低下が大きい。
寿命時間の経過とともにやや小康状態を示すのは、アーク長が延びることでランプ電圧が上昇するとともにランプ電流が減少するため、電極への影響が軽減されていくためである。
なお、特許文献2では、光の利用効率を高めることを目的として、回転フィルター(本発明におけるカラーフィルターに相当する)の境界でランプ電流を遮断又は低下させる旨記載されている。しかし、同文献の第25段落に記載されているように、「境界部分は色情報として使うことができない」ため、この構成では、本発明のようにビット数を高める効果を奏することはない。また、いずれの文献にも、「ネガティブパルスのパルス幅」と「高圧放電灯の寿命特性」の関係を指摘したものはない。
(実施例2)−交流方式の場合−
図3(a)は、本発明の実施例を示すものであり、交流方式の高圧放電灯にネガティブパルスを印加した場合の電流強度波形の一例を示すものである。図3(b)は、交流方式の寿命特性とネガティブパルスの関係について調べた図である。
図3(a)は、本発明の実施例を示すものであり、交流方式の高圧放電灯にネガティブパルスを印加した場合の電流強度波形の一例を示すものである。図3(b)は、交流方式の寿命特性とネガティブパルスの関係について調べた図である。
カラーフィルタの回転が120Hz(8.3ms)でビデオフィールドを形成し、その中に1個のネガティブパルスが配置される場合を示している。パルス幅Tn=0.4ms、電流強度は定常値の10%のネガティブパルスが、G(緑)のカラーセグメントの後端に配置されている。
交流方式の高圧放電灯の寿命特性を劣化させないためには、供給される平均電力が正の半サイクルと負の半サイクルとで等しくなるようにする必要があり、ネガティブパルスは図3(a)に示すように対称に配置される。
図3(b)は、交流方式の寿命特性とネガティブパルスの関係について調べた図である。ネガティブパルスなしの場合と、ネガティブパルスを印加(Tn=0.4)した場合とを比較して図示している。
ここでは実験用に試作した150Wの交流点灯の高圧放電灯で検証を行った。主な実験条件は次の通りである。
発光管の外形・・・10mm
アノード質量・・・150mg
電極間距離1.1mm
発光管内容積・・・100mm3
水銀量・・・23mg(0.23mg/mm3)
安定点灯時の水銀蒸気圧は・・・約170気圧
ランプ電圧・・・75V
発光管の外形・・・10mm
アノード質量・・・150mg
電極間距離1.1mm
発光管内容積・・・100mm3
水銀量・・・23mg(0.23mg/mm3)
安定点灯時の水銀蒸気圧は・・・約170気圧
ランプ電圧・・・75V
凹面反射鏡として楕円鏡を使用し、焦点位置において約6mm径の窓(アパーチャー)を集光通過できる光束を測定、高圧放電灯の点灯サイクルは投射型システムで典型的な2時間オン、15分オフで実施した。
図3(b)の結果から明らかなように、パルス幅Tn=0.4msのネガティブパルスを緑セグメントの後端に印加した場合には、照度維持率50%となる寿命時間が約5000時間と、ネガティブパルス無しの場合の寿命特性に近似した特性を達成していることが分かる。
このように、交流方式についても直流方式同様に、同じネガティブパルスを印加する場合でも、少なくともひとつのカラーセグメントに同期して高圧放電灯のランプ電流に短パルスのネガティブパルスを重畳印加すると、高圧放電灯のアノードの消耗を低減することができる。
なお、交流点灯の高圧放電灯の場合はアノードとカソードが周期的に入れ替わるため、電極質量を大きくしすぎるとカソードになっている電極近傍で電極先端の温度が低下するため、輝点移動(アークジャンプとも言う)によるフリッカが発生しやすくなる。従って交流方式の場合には、寿命特性とアークの安定性の両方を満たすための電極質量条件が存在する。実験では、0.75mg/W〜1.2mg/Wの範囲で良好な比較的結果が得られた。
−比較例2(交流方式)−
図5(a)は、交流方式の高圧放電灯にネガティブパルスを印加した場合の電流強度波形の一例を示すものである。この図は、カラーフィルタの回転が120Hz(8.3ms)でビデオフィールドを形成し、その中にパルス幅Tnの1個のネガティブパルスが配置される場合を示している。
図5(a)は、交流方式の高圧放電灯にネガティブパルスを印加した場合の電流強度波形の一例を示すものである。この図は、カラーフィルタの回転が120Hz(8.3ms)でビデオフィールドを形成し、その中にパルス幅Tnの1個のネガティブパルスが配置される場合を示している。
この図に示すように、ネガティブパルスを印加する場合は、正の半サイクルと負の半サイクルとで、ネガティブパルスが対称に配置される。こうすると、2つの電極が均等に消耗する。
図5(b)は、交流方式の寿命特性とネガティブパルスの関係について調べた図である。ネガティブパルスなし、ネガティブパルスを印加(Tn=0.6ms,Tn=1.2ms)の3つの場合を比較して図示している。ここではネガティブパルスの電流強度がかなり低い場合(定常値の10%)の寿命特性を示している。
パルス幅Tn=1.2msは、カラーセグメント6個中1個分の長さに相当するが、その寿命特性は図5(b)に示すように、初期の段階から照度の低下が著しい。パルス幅Tn=0.6msとすると、やや改善傾向にはあるが、パルスなしの場合に比べると依然として照度維持率の低下が大きい。
すなわち、比較例1及び比較例2によると、直流方式及び交流方式のいずれの場合にも、ネガティブパルスを単に印加すると電極が変形し、放電灯の寿命特性を劣化させるのに対し、実施例1及び実施例2のように、印加するパルス幅Tnが短いほど、寿命特性の劣化が小さくなることが分かり、実用的なレベルとしては、上述したように少なくとも0.4ms以下であればよいことが分かる。
本発明にかかる投射型システムは、ネガティブパルスを印加することで特定の色の階調数(ビット数)を補い、画質を向上させることができると同時に、電極の寿命特性の劣化を低減することができる点で、産業上の利用可能性は大きい。
IL 直流ランプ電流
E 光源
S 同期信号
Φ 光(光束)
1 高圧放電灯
2 リフレクター
3 カラーフィルタ
3a〜3f カラーセグメント
3g 位置指標
4 光学素子
5 直流点灯手段
6 投影レンズ系
7 スクリーン
8 カラーフィルタ駆動装置
9 同期信号発生装置
13 ビデオ入力部
14 光学素子駆動素子
E 光源
S 同期信号
Φ 光(光束)
1 高圧放電灯
2 リフレクター
3 カラーフィルタ
3a〜3f カラーセグメント
3g 位置指標
4 光学素子
5 直流点灯手段
6 投影レンズ系
7 スクリーン
8 カラーフィルタ駆動装置
9 同期信号発生装置
13 ビデオ入力部
14 光学素子駆動素子
Claims (3)
- 高圧放電灯(1)と前記高圧放電灯から照射された光束(Φ1)を複数の色に分離する複数のカラーセグメントに分割された回転式のカラーフィルタ(3)と、このカラーフィルタを通過した光束(Φ2)に階調付けと映像信号による変調とを行う反射型の光学素子(4)と、この光学素子によって反射された光束(Φ3)をスクリーン上に投影する投影レンズ系(6)と、前記カラーフィルタの回転速度及び前記光学素子と同期してカラーフィルタにより切り替えられる色に応じて高圧放電灯の電力レベルを変化させて駆動させる点灯手段(5)とを備えた投射型システムであって、
少なくともひとつのカラーセグメントに同期して前記高圧放電灯のランプ電流に短パルスのネガティブパルスを重畳印加することを特徴とする投射型システム。 - 前記高圧放電灯は水銀が封入された直流方式又は交流方式のいずれかであることを特徴とする投射型システム。
- 前記ネガティブパルスのパルス幅は、0.15ms乃至0.4msの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2記載の投射型システム。
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JP2005348749A JP2007155952A (ja) | 2005-12-02 | 2005-12-02 | 高圧放電灯による投射型システム |
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