JP2007154476A - 河川敷のブランケット構造及びこれを構築する河川敷のブランケット工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ブランケットが洪水で壊れにくい河川敷のブランケット構造を得る。
【解決手段】 ブランケット5を設ける河川敷3の区域に所定の深さで窪み区域7を設ける。窪み区域7の底部上に複数の粘土層ブロック9を1層構造で敷き詰める。各粘土層ブロック9のそれぞれの上に1以上の草本植物ブロック15を敷設する。草本植物ブロック15は、根19aが外部に延び出る構造を有する植設マット17に、草本植物19を植えて構成する。
【選択図】 図2
【解決手段】 ブランケット5を設ける河川敷3の区域に所定の深さで窪み区域7を設ける。窪み区域7の底部上に複数の粘土層ブロック9を1層構造で敷き詰める。各粘土層ブロック9のそれぞれの上に1以上の草本植物ブロック15を敷設する。草本植物ブロック15は、根19aが外部に延び出る構造を有する植設マット17に、草本植物19を植えて構成する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、堤防の表法に面した河川敷の表面の所定の区域にブランケットを設けて堤防を補強する河川敷のブランケット構造及びこれを構築する河川敷のブランケット工法に関するものである。
従来、堤防の表法に面した河川敷の表面の所定の区域にブランケットを設けて堤防を補強する河川敷のブランケット構造は、堤防の表法(おもてのり)に面した河川敷の表面の所定の区域を難透水性材料(主として土質材料)で被覆した構造になっている(例えば、非特許文献1参照。)。
ブランケットとして土質材料を用いた場合は、洗掘防止のため厚さは50cm以上とし、張芝で被覆している。このような構造のブランケット長は、堤防から30m以上あると効果が期待できるとされている。
このようにブランケットを設けると、堤防の表法に面した河川敷の表面の浸透路長が延伸されて基礎基盤の浸透圧が低減され、堤防の裏法(うらのり)尻での浸透に対する安全性を向上させることができる。
「中小河川における堤防点検・対策の手引き」、P69〜P70、財団法人国土技術研究センター、平成16年11月、JICE資料第104006号
「中小河川における堤防点検・対策の手引き」、P69〜P70、財団法人国土技術研究センター、平成16年11月、JICE資料第104006号
しかしながら、従来のブランケットの構造では、洪水になると河川に近い側のブランケットの部分の芝が流れ、その下の土質材料が流水で削られ、このような現象がだんだんと堤防側に拡大され、ついには堤防が破壊される問題点があった。
本発明の目的は、ブランケットが洪水で壊れにくい河川敷のブランケット構造を提供することにある。
本発明の他の目的は、洪水で壊れにくいブランケットを容易に製造できる河川敷のブランケット工法を提供することにある。
上記の目的を達成する本発明の構成を説明すると、次のとおりである。
本発明は、堤防の表法に面した河川敷の表面の所定の区域にブランケットを設けて堤防を補強する河川敷のブランケット構造である。
本発明に係る河川敷のブランケット構造では、ブランケットを設ける河川敷の所定の区域にブランケットの高さに相当する深さを有する窪み区域が設けられている。窪み区域の底部上に所定の大きさの複数の粘土層ブロックが、1層構造で敷き詰められている。複数の粘土層ブロックのそれぞれの上に1以上の草本植物ブロックが敷設されている。草本植物ブロックは、通水性を有し且つ根が外部に延び出る構造を有する植設マットに草本植物が植えられて構成されている。粘土層ブロックは、通水性を有する多孔性補強シートからなる包囲材によって粘土層が全体的に覆われた構造を有している。多孔性補強シートは、草本植物ブロックの植設マットから延び出た草本植物の根が、包囲材の内部に入り込むことを許容する構造を有している。
このような構造にすると、洪水時には草本植物ブロックが通水性を有し且つ根が外部に延び出る構造を有する植設マットに草本植物を植えた構造で壊れ難く、また草本植物ブロックの各根が粘土層ブロックの包囲材の内部に入り込んで絡まって流出し難く、一方、粘土層ブロックは粘土層の表面を多孔性補強シートからなる包囲材によって粘土層を全体的に覆っていて粘土層が流出し難く、このためブランケットを洪水で壊れ難くすることができる。また、ある粘土層ブロックが壊されて流出しても、その部分に新たな粘土層ブロックを設置し、その上に草本植物ブロックを設置すれば、修復を部分的に容易に行うことができ、工期の短縮を図ることができる。
粘土層ブロックの粘土層の厚み方向における所定の位置にベントナイト層を、粘土層を横切って設けると、通水性のない粘土層を容易に形成することができる。
多孔性補強シートが、合成繊維の織布、合成繊維の不織布または合成繊維によって構成された網状シートからなっていると、機械的強度があって草本植物の根が通る多孔性補強シートを容易に入手することができる。
次に本発明は、堤防の表法に面した河川敷の表面の所定の区域にブランケットを設けて堤防を補強する河川敷のブランケット工法である。
本発明に係る河川敷のブランケット工法では、ブランケットを設ける河川敷の所定の区域にブランケットの高さに相当する深さを有する窪み区域を設ける。該窪み区域の底部の所定の位置上に、多孔性補強シートから構成された有底の包囲材を開口状態で配置する。多孔性補強シートの中に粘土層を通水しないように詰め、粘土層の表面を包囲材の閉塞部分で覆って粘土層ブロックを構成する。このように構成した多数の粘土層ブロックで窪み区域を塞ぐ。各粘土層ブロックの上に、通水性を有し且つ根が外部に延び出る構造を有する植設マットに草本食物を植えて構成した1以上の草本植物ブロックを敷設する。草本植物ブロックの植設マットから延び出た草本植物の根を、多孔性補強シートを通過させて包囲材の内部に入り込ませる。このようにしてブランケットを設けると、洪水で壊れにくいブランケットを容易に製造することができる。
多孔性補強シートの中に粘土層を詰める際に、該粘土層の厚み方向における所定の位置にベントナイト層を、粘土層を横切って設けると、通水性のない粘土層を容易に形成することができる。
本発明に係る河川敷のブランケット構造では、洪水時には草本植物ブロックが通水性を有し且つ根が外部に延び出る構造を有する植設マットに草本植物を植えた構造で壊れ難く、また草本植物ブロックの各根が粘土層ブロックの包囲材の内部に入り込んで絡まって流出し難く、一方、粘土層ブロックは粘土層の表面を多孔性補強シートからなる包囲材によって粘土層を全体的に覆っていて粘土層が流出し難く、このためブランケットを洪水で壊れ難くすることができる。また、ある粘土層ブロックが壊されて流出しても、その部分に新たな粘土層ブロックを設置し、その上に草本植物ブロックを設置すれば、修復を部分的に容易に行うことができ、工期の短縮を図ることができる。
本発明に係る河川敷のブランケット工法では、ブランケットを設ける河川敷の所定の区域にブランケットの高さに相当する深さを有する窪み区域を設け、該窪み区域の底部の所定の位置上に、多孔性補強シートから構成した有底の包囲材を開口状態で配置し、多孔性補強シートの中に粘土層を通水しないように詰め、粘土層の表面を包囲材の閉塞部分で覆って粘土層ブロックを構成し、このように構成した多数の粘土層ブロックで窪み区域を塞ぎ、各粘土層ブロックの上に、通水性を有し且つ根が外部に延び出る構造を有する植設マットに草本食物を植えて構成した1以上の草本植物ブロックを敷設し、草本植物ブロックの植設マットから延び出た草本植物の根を、多孔性補強シートを通過させて包囲材の内部に入り込ませるので、洪水で壊れにくいブランケットを容易に製造することができる。
本発明に係る河川敷のブランケット構造とこれを構成する河川敷のブランケット工法を実施するための最良の形態の一例を、図1乃至図6を参照して詳細に説明する。ここで、図1は本例の河川敷のブランケット構造の断面図、図2は本例の河川敷のブランケット構造の斜視図、図3(A)(B)は本例で用いている粘土層ブロックで粘土層を開口した包囲材の中に入れて閉塞部分で蓋をする前と蓋をした後の斜視図、図4は本例で用いている粘土層ブロックを部分的に破断して示した斜視図、図5は本例で用いている草本植物ブロックの斜視図、図6は粘土層の他の例を示した縦断面図である。
本例の河川敷のブランケット構造では、図1及び図2に示すように、堤防1の表法1aに面した河川敷3の表面の所定の区域にブランケット5を設けて堤防1を補強する。
本例では、図1に示したように、ブランケット5を設ける河川敷3の区域にブランケット5の高さに相当する深さを有する窪み区域7が設けられている。本例の河川敷3は、表面側が、難透水層3aの上に、礫質層や砂質層からなる透水層3bが設けられた構造になっている。
窪み区域7の底部上に所定の大きさの複数の粘土層ブロック9が、図1及び図2に示すように、1層構造で敷き詰められている。本例の粘土層ブロック9は、図1及び図2に示すように、所定の大きさで底面と上面が正四角形をしている。底面と上面が正四角形の粘土層ブロック9は、その一辺が例えば5mとか10m程度の寸法である。複数の粘土層ブロック9のそれぞれの上に1以上の草本植物ブロック15が敷設されている。草本植物ブロック15は、図5に示すように、通水性を有し且つ根19aが外部に延び出る構造を有する植設マット17に、芝や芦等の茎が木のようになっていない草本植物19が植えられて構成されている。このような草本植物ブロック15は、1ブロックで粘土層ブロック9を覆う大きさであってもよく、複数ブロックで粘土層ブロック9を覆う大きさであってもよい。
粘土層ブロック9は、図2乃至図4に示すように、通水性を有する多孔性補強シートからなる包囲材11によって粘土層13が全体的に覆われた構造を有している。粘土層ブロック9は、図3(A)(B)及び図4に示すように、有底で底面と上面が正四角形をした多孔性補強シートからなる包囲材11の中に粘土層13が通水しないように緻密に詰められ、粘土層13の表面は、図3(A)(B)に示すように、有底で底面と上面が正四角形をした包囲材11の4片の閉塞部分11aで覆われている。多孔性補強シートは、例えば合成繊維の織布、合成繊維の不織布または合成繊維によって構成された網状シートからなっている。このような多孔性補強シートは、草本植物ブロック15の植設マット17から延び出た草本植物19の根19aが、包囲材11の内部に入り込むことを許容する構造を有している。
このような河川敷のブランケット構造では、洪水時には草本植物ブロック15が通水性を有し且つ根15aが外部に延び出る構造を有する植設マット17に草本植物19を植えた構造で壊れ難く、また草本植物ブロック15の各根15aが粘土層ブロック9の包囲材11の内部に入り込んで絡まって流出し難く、一方、粘土層ブロック9は粘土層13の表面を多孔性補強シートからなる包囲材11によって粘土層13を全体的に覆っていて粘土層13が流出し難く、このためブランケット5を洪水で壊れ難くすることができる。特に、底面と上面が正四角形の粘土層ブロック9を、その一辺が例えば5mとか10m程度の寸法にしておくと、内部に多量の粘土層13が詰められているので、1ブロックが非常に重くなり、洪水時でも流され難くなる。また、ある粘土層ブロック9が壊されて流出しても、その部分に新たな粘土層ブロック9を設置し、その上に草本植物ブロック15を設置すれば、修復を部分的に容易に行うことができ、工期の短縮を図ることができる。
包囲材11を構成する多孔性補強シートが、合成繊維の織布、合成繊維の不織布または合成繊維によって構成された網状シートからなっていると、機械的強度があって草本植物19の根19aが通る多孔性補強シートを容易に入手することができる。
この場合、図6に示すように、粘土層13の厚み方向における所定の位置にベントナイト層21を、粘土層13を横切って設けることが好ましい。このようにすると、粘土層13を緻密に構成しないでも、ベントナイト層21で透水しないようにすることができる。
次に、このような河川敷のブランケット構造を構成する河川敷のブランケット工法の一例について説明する。
この河川敷のブランケット工法では、図1に示すように、ブランケット5を設ける河川敷3の区域に、ブランケット5の高さに相当する深さを有する窪み区域7を設ける。
図1乃至図4に示すように、該窪み区域7の底部の所定の位置上に、多孔性補強シートで所定の大きさで有底で四角形に構成された有底の包囲材11を開口状態で配置する。この開口状態の包囲材11の中に粘土層13を通水しないように詰める。粘土層13の表面を、図3(A)(B)に示すように、包囲材11の上側の4片からなる閉塞部分11aで覆って粘土層ブロック9を構成する。
このように構成した多数の粘土層ブロック9を、図1及び図2に示すように、隣接して配置することにより窪み区域7を塞ぐ。各粘土層ブロック9の上に、図5に示すように、通水性を有し且つ根19aが外部に延び出る構造を有する植設マット17に草本食物19を植えて構成した1以上の草本植物ブロック15を、図1、図2及び図4に示すように敷設する。草本植物ブロック15の植設マット17から延び出た草本植物19の根19aを、多孔性補強シートを通過させて包囲材11の内部に入り込ませる。
このようにしてブランケット5を構成すると、洪水で壊れにくいブランケットを容易に製造することができる。
包囲材11の中に粘土層13を詰める際に、図6に示すように、該粘土層13の厚み方向における所定の位置にベントナイト層21を、粘土層13を横切って設けると、粘土層13を緻密に構成しないでも、ベントナイト層21で透水しないようにすることができ、施工が容易になる。
なお上記例では、底面と上面が正四角形をした包囲材11について説明したが、この包囲材11は底面と上面が長方形をした形状、或いは底面と上面が三角形をした形状等であってもよい。
1 堤防
1a 表法
3 河川敷
5 ブランケット
7 窪み区域
9 粘土層ブロック
11 包囲材
11a 閉塞部分
13 粘土層
15 草本植物ブロック
17 植設マット
19 草本植物
19a 根
1a 表法
3 河川敷
5 ブランケット
7 窪み区域
9 粘土層ブロック
11 包囲材
11a 閉塞部分
13 粘土層
15 草本植物ブロック
17 植設マット
19 草本植物
19a 根
Claims (5)
- 堤防の表法に面した河川敷の表面の所定の区域にブランケットを設けて前記堤防を補強する河川敷のブランケット構造であって、
前記ブランケットを設ける前記河川敷の前記所定の区域に前記ブランケットの高さに相当する深さを有する窪み区域が設けられ、
前記窪み区域の底部上に所定の大きさの複数の粘土層ブロックが、1層構造で敷き詰められ、
前記複数の粘土層ブロックのそれぞれの上に1以上の草本植物ブロックが敷設され、
前記草本植物ブロックは、通水性を有し且つ根が外部に延び出る構造を有する植設マットに草本植物が植えられて構成され、
前記粘土層ブロックは、通水性を有する多孔性補強シートからなる包囲材によって粘土層が全体的に覆われた構造を有し、
前記多孔性補強シートは、前記草本植物ブロックの前記植設マットから延び出た草本植物の根が、前記包囲材の内部に入り込むことを許容する構造を有していることを特徴とする河川敷のブランケット構造。 - 前記粘土層ブロックの前記粘土層の厚み方向における所定の位置には、ベントナイト層が前記粘土層を横切って設けられていることを特徴とする請求項1に記載の河川敷のブランケット構造。
- 前記多孔性補強シートは、合成繊維の織布、合成繊維の不織布または合成繊維によって構成された網状シートからなる請求項1に記載の河川敷のブランケット構造。
- 堤防の表法に面した河川敷の表面の所定の区域にブランケットを設けて前記堤防を補強する河川敷のブランケット工法であって、
前記ブランケットを設ける前記河川敷の前記所定の区域に前記ブランケットの高さに相当する深さを有する窪み区域を設け、該窪み区域の底部の所定の位置上に多孔性補強シートから構成された有底の包囲材を開口状態で配置し、前記多孔性補強シートの中に粘土層を通水しないように詰め、前記粘土層の表面を前記包囲材の閉塞部分で覆って粘土層ブロックを構成し、このように構成した多数の前記粘土層ブロックで前記窪み区域を塞ぎ、
前記各粘土層ブロックの上に、通水性を有し且つ根が外部に延び出る構造を有する植設マットに草本食物が植えられて構成された1以上の草本植物ブロックを敷設し、
前記草本植物ブロックの前記植設マットから延び出た前記草本植物の根を、前記多孔性補強シートを通過させて前記包囲材の内部に入り込ませることを特徴とする河川敷のブランケット工法。 - 前記多孔性補強シートの中に前記粘土層を詰める際に、該粘土層の厚み方向における所定の位置にベントナイト層を前記粘土層を横切って設けることを特徴とする請求項4に記載の河川敷のブランケット工法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005349187A JP2007154476A (ja) | 2005-12-02 | 2005-12-02 | 河川敷のブランケット構造及びこれを構築する河川敷のブランケット工法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113389164A (zh) * | 2021-06-28 | 2021-09-14 | 温瑞强 | 一种水利工程用下游河道防护装置 |
CN115196849A (zh) * | 2022-07-25 | 2022-10-18 | 生态环境部南京环境科学研究所 | 一种用于修复受污染河床底泥的修复装置 |
-
2005
- 2005-12-02 JP JP2005349187A patent/JP2007154476A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
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CN115196849A (zh) * | 2022-07-25 | 2022-10-18 | 生态环境部南京环境科学研究所 | 一种用于修复受污染河床底泥的修复装置 |
CN115196849B (zh) * | 2022-07-25 | 2023-05-05 | 生态环境部南京环境科学研究所 | 一种用于修复受污染河床底泥的修复装置 |
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