JP2007153837A - C型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を抑制する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】HCV感染者からHCVを駆除する方法として、ウイルス粒子形成・細胞外放出の過程で必要な、Coreの合成、プロセシング、立体構造の成熟過程、安定性、RNAとの相互作用を阻害することでウイルス粒子の形成を阻害することである。
【解決手段】C型肝炎ウイルス感染細胞において、HSP90阻害剤であるRadicicol、Herbimycin AおよびGeldanamycinを処理することにより、C型肝炎ウイルスの粒子形成を阻害させ、C型肝炎ウイルスの細胞外放出量を減少させることができる。
【効果】安全性が示されているHSP90阻害剤を単独または既存のインターフェロンやリバビリンを用いた治療法と組合せることで、HCV複製阻害とウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害することで効率よく駆除することができる。
【選択図】図3
【解決手段】C型肝炎ウイルス感染細胞において、HSP90阻害剤であるRadicicol、Herbimycin AおよびGeldanamycinを処理することにより、C型肝炎ウイルスの粒子形成を阻害させ、C型肝炎ウイルスの細胞外放出量を減少させることができる。
【効果】安全性が示されているHSP90阻害剤を単独または既存のインターフェロンやリバビリンを用いた治療法と組合せることで、HCV複製阻害とウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害することで効率よく駆除することができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、熱ショック蛋白質90(以下HSP90という)を阻害する化合物を用いたC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を抑制する阻害方法に関する。
日本におけるC型肝炎ウイルス感染者(キャリア)は200万人、全世界で1億9000万人(WHO)といわれている。C型肝炎ウイルス感染患者(キャリア)は感染後数十年で高率に肝がんを発症する。現状では肝臓がんによる死亡者の70%以上がC型肝炎ウイルス感染に起因する肝細胞癌による症例である。このことは、効率のよい治療を行わない限り、今後数十年にわたりC型肝炎ウイルスキャリアが同様な臨床経過をたどることが想定される。C型肝炎ウイルスをキャリアから駆除する方法としてペグ・インターフェロンや核酸誘導体製剤であるリバビリンが有効であることが示されている(「ここがポイントC型・B型肝炎肝がんの診療」(南光堂)2004年)。しかしながら、インターフェロン抵抗性である長期の治療と副作用が伴い、その効果は全体で60%以上が著効になり、難治例のC型肝炎ウイルス1bタイプの症例で45%の著効率である(文献同出)。
C型肝炎ウイルス(HCV)は、非A非B型肝炎の感染の主な原因として発見され(非特許文献1,2)、その感染により、慢性肝炎、肝硬変、肝がんへと移行することが知られている。HCVのゲノムは、約3000アミノ酸のポリプロテインをコードし(非特許文献3−5)、細胞およびウイルスのプロテアーゼによって、Core蛋白質(以下、Coreと略す)をはじめとする、少なくとも10個の異なる構造蛋白質や非構造蛋白質に分解される(非特許文献6−8)。
Choo,Q.L.,Kuo,G.,Weiner,A.J.,Overby,L.R.,Bradley,D.W.,and Houghton,M.(1989)Science 244,359-362 Kuo,G.,Choo,Q.L.,Alter,H,J.,Gitnick,G.L.,Redeker,A.G.,Purcell,R.H.,Miyamura,T.,Dienstag,J.L.,Alter,M.J.,Stevens,C.E.,Tegtmeier,G.E.,Bonino,F.,Colombo,M.,Lee,W.S.,Kou,C.,Berger,K.,Shuster,J.R.,Overby,L.R.,Bradley,D.W.,and Houghton,M.(1989)Science 244,362-364 Kato,N.,Hijikata,M.,Ootsuyama,Y.,Nakagawa,M.,Ohkoshi,S.,Sugimura,T.,and Shimotohno,K.(1990)Proc,Natl.Acad.Sci.U.S.A.87,9524-9528 Choo,Q.L.,Richman,K.H.,Han,J.H.,Berger,K.Lee,C.,Dong,C.,Gallegos,C.,Coit,D.,Medina-Selby,A.,Barr,P.J.,Weiner,A.J.,Bradley,D.W.,Kuo,G.,and Houghton,M.(1991)Proc,Natl.Acad.Sci.U.S.A.88,2451-2455 Takamizawa,A.,Mori,C.,Fuke,I.,Manabe,S.,Murakami,S.,Fujita,J.,Onishi,E.,Andoh,T.,Yoshida,I.,and Okayama,H.(1991)J.Virol.65,1105-1113 Hijikata,M.,Kato,N.,Ootsuyama,Y.,Nakagawa,M.,and Shimotohno,K.(1991)Proc,Natl.Acad.Sci.U.S.A.88,5547-5551 Grakoui,A.,Wychowski,C.,Lin,C.,Feinstone,S,M,and Rice,C.M.(1993)J.Virol.67,1385-1395 Hijikata,M.,Mizushima,H.,Tanji,Y.,Komoda,Y.,Hinowatari,Y.,Akagi,T.,Kato,N.,Kimura,K.,and Shimotohno,K,(1993)Proc,Natl.Acad.Sci.U.S.A.90,10773-10777
Choo,Q.L.,Kuo,G.,Weiner,A.J.,Overby,L.R.,Bradley,D.W.,and Houghton,M.(1989)Science 244,359-362 Kuo,G.,Choo,Q.L.,Alter,H,J.,Gitnick,G.L.,Redeker,A.G.,Purcell,R.H.,Miyamura,T.,Dienstag,J.L.,Alter,M.J.,Stevens,C.E.,Tegtmeier,G.E.,Bonino,F.,Colombo,M.,Lee,W.S.,Kou,C.,Berger,K.,Shuster,J.R.,Overby,L.R.,Bradley,D.W.,and Houghton,M.(1989)Science 244,362-364 Kato,N.,Hijikata,M.,Ootsuyama,Y.,Nakagawa,M.,Ohkoshi,S.,Sugimura,T.,and Shimotohno,K.(1990)Proc,Natl.Acad.Sci.U.S.A.87,9524-9528 Choo,Q.L.,Richman,K.H.,Han,J.H.,Berger,K.Lee,C.,Dong,C.,Gallegos,C.,Coit,D.,Medina-Selby,A.,Barr,P.J.,Weiner,A.J.,Bradley,D.W.,Kuo,G.,and Houghton,M.(1991)Proc,Natl.Acad.Sci.U.S.A.88,2451-2455 Takamizawa,A.,Mori,C.,Fuke,I.,Manabe,S.,Murakami,S.,Fujita,J.,Onishi,E.,Andoh,T.,Yoshida,I.,and Okayama,H.(1991)J.Virol.65,1105-1113 Hijikata,M.,Kato,N.,Ootsuyama,Y.,Nakagawa,M.,and Shimotohno,K.(1991)Proc,Natl.Acad.Sci.U.S.A.88,5547-5551 Grakoui,A.,Wychowski,C.,Lin,C.,Feinstone,S,M,and Rice,C.M.(1993)J.Virol.67,1385-1395 Hijikata,M.,Mizushima,H.,Tanji,Y.,Komoda,Y.,Hinowatari,Y.,Akagi,T.,Kato,N.,Kimura,K.,and Shimotohno,K,(1993)Proc,Natl.Acad.Sci.U.S.A.90,10773-10777
Coreは、HCVのウイルス粒子の主要な構成成分であり、ウイルスのポリプロテインがシグナルペプチダーゼによるプロセシングによってつくられる191アミノ酸の蛋白質である(非特許文献9、10)。CoreのN末端は親水性で、塩基性アミノ酸残基に富む3つのNLS(核移行シグナル)様配列が存在する。一方、C末端は疎水性であり、CoreのC末端は異なる3種類の分解産物にプロセスされる(非特許文献10−12)。全長のp23と分解産物p21は、細胞質と核の両方に局在し(非特許文献11、13、14)、マイナーな分解産物p19は、核に局在している(非特許文献11、12)。
Santolini,E.,Migliaccio,G.,and La Monica,N.(1994)J.Virol.68,3631-3641 Hussy,P.,Langen,H.,Mous,J.,and Jacobsen,H.(1996)Virology 224,93-104 Lo,S.Y.,Masiarz,F.,Hwang,S.B.,Lai,M.M.,and Ou,J.H.(1995)Virology,213,455-461 Suzuki,R.,Matsuura,Y.,Suzuki,T.,Ando,A.,Chiba,J.,Harada,S.,Saito,I.,and Miyamura,T.(1995)J.Gen.Virol.76,53-61 Liu,Q.,Tackney,C.,Bhat,R.A.,Prince,A.M.,and Zhang,P.(1977)J.Virol.71,657-662 Yasui,K.,Wakita,T.,Tsukiyama-Kohara,K.,Funabashi,S.I.,Ichikawa,M,Kajita,T.,Moradpour,D.,Wands,J.R.,and Kohara,M.(1998)J.Virol.72,6048-6055
Santolini,E.,Migliaccio,G.,and La Monica,N.(1994)J.Virol.68,3631-3641 Hussy,P.,Langen,H.,Mous,J.,and Jacobsen,H.(1996)Virology 224,93-104 Lo,S.Y.,Masiarz,F.,Hwang,S.B.,Lai,M.M.,and Ou,J.H.(1995)Virology,213,455-461 Suzuki,R.,Matsuura,Y.,Suzuki,T.,Ando,A.,Chiba,J.,Harada,S.,Saito,I.,and Miyamura,T.(1995)J.Gen.Virol.76,53-61 Liu,Q.,Tackney,C.,Bhat,R.A.,Prince,A.M.,and Zhang,P.(1977)J.Virol.71,657-662 Yasui,K.,Wakita,T.,Tsukiyama-Kohara,K.,Funabashi,S.I.,Ichikawa,M,Kajita,T.,Moradpour,D.,Wands,J.R.,and Kohara,M.(1998)J.Virol.72,6048-6055
Coreは、ウイルスRNAの包膜(encapsidation )に関わる(非特許文献15)。したがって、ウイルス粒子形成・細胞外放出の過程で必要な、Coreの合成、プロセシング、立体構造の成熟過程、安定性、RNAとの相互作用を阻害すればウイルス粒子の形成・細胞外放出を阻害することが可能である。
Simooike,T.,Mimori,S.,Tani,H.,Matsuura,Y.,and Miyamura,T.(1999)J.Virol.73,9718-9725
Simooike,T.,Mimori,S.,Tani,H.,Matsuura,Y.,and Miyamura,T.(1999)J.Virol.73,9718-9725
本発明者らは、酵母を用いた実験からCoreが蛋白質の細胞質−核間の輸送を阻害することを明らかにした(非特許文献16)。この方法を用いて抗生物質ライブラリーをスクリーニングしたところ、複数のHSP90阻害剤が、Coreによる酵母増殖阻害を解除する物質として取得した。
Isoyama,T.,Kuge,S.,and Nomoto,A.(2002)J.Biol.Chem.277,39634-39641
Isoyama,T.,Kuge,S.,and Nomoto,A.(2002)J.Biol.Chem.277,39634-39641
17−アリルアミノ−ゲルダナマイシン(以下17−AGGと略す、特許文献1)は、合成ゲルダナマイシン類似体(以下GDMと略す)である。両分子はアンサマイシンとして知られる抗生物質分子の広いクラスに属する。微生物のStreptomyces hygroscopicusから最初に単離されたGDMは、最初はある種のキナーゼの強力な阻害剤として同定され、後にキナーゼの分解を促進することにより、具体的には、「分子シャペロン」、例えば熱ショックタンパク質90(HSP90)を標的とすることにより作用することが示された。次いで、種々の他のアンサマイシンが多かれ少なかれそのような活性を示し、最も有望なものに17−AAGがあり、現在National Cancer Institute (NCI) により集中的に臨床試験が行われている(例えばFederal Register, 66(129): 35443-35444; Erlichman ら、Proc.AACR (2001), 42, 要約4474参照)。
特公表2005−520795号公報
HSP90は、シグナル伝達、細胞周期制御、および転写調節に関与するキータンパク質を含む広範囲のタンパク質のホールディング、活性化、および構築に関与する遍在性シャペロンタンパク質である。HSP90シャペロンタンパク質は、例えば、Raf−1、EGFR、v−Sγcファミリーキナーゼ、Cdk4、およびEγbB−2を含むステロイドホルモンレセプターおよびタンパク質キナーゼのような重要なシグナリングタンパク質と関連すると研究者が報告している(Buchner J.,1999 、TIBS、24:136-141;Stepanova、L.ら 1996 、Genes Dev.10:1491-502;Dai,K.ら1996、J.Biol,Chem.271:22030-4)。研究はさらに、ある種のコシャペロン(co-chaperone): 例えば、Hsp70、p60/Hop/Stil、Hip、Bagl、Hsp40/Hdj2/Hsj1、イムノフィリン、p23、およびp50がその機能においてHSP90を補助するかも知れないことを示唆している(例えば、Caplan、A.、1999、Trends in Cell Biol.,9:262-68 参照) 。
アンサマイシン抗生物質、例えばハービマイシンA(以下HAという)、ゲルダナマイシン(以下GMという)、および17−AAGは、HSP90のN末端ポケットと堅く結合することによりその抗がん効果を発揮すると考えらる(Stebbins、C.ら、1997、Cell、89:239-250) 。このポケットは高度に保存されており、DNAギラーゼのATP結合部位と弱い相同性を有する(Stebbins,C.ら、上記Grenert, J.P. ら、1997、J.Biol.Chem.、272:23843-50) 。さらに、ATPおよびADPは共に、このポケットと低親和性に結合し、弱いATPアーゼ活性を有することが示されている(Proromou, C.ら、1997、Cell、90:65-75;Panaretou, B.ら、1998、ENBO J.,17:4829-36) 。
in vitroおよびin vivo試験は、このN末端ポケットをアンサマイシンおよび他のHSP90阻害剤(インヒビター)が占有するとHSP90機能が変化し、タンパク質のホールデイングを阻害することを示した。より高度でアンサマイシンおよび他のHSP90阻害剤は、タンパク質基質のHSP90への結合を妨げることが示された(Scheibel,T.H. ら、1999、Proc,Natl.Acad.Sci.,U.S.A.96:1297-302;Schulte,T.W.ら、1995、J.Biol.Chem.270:24585-8;Whitesell, L. ら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.91:8324-8328) 。アンサマイシンが、シャペロン関連タンパク質基質のATP依存性放出を阻害することも立証されている(Schneider, C.,L.ら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A. 93:14536-41;Sepp-Lorenzino L,ら、1995、J.Biol.Chem.270:16530-16587)。いずれにおいても、該基質はプロテオソーム中でユビキチン依存性プロセスにより分解する(Schneider,C.,L.、上記;Sepp-Lorenzino L,ら、1995、J.Biol.Chem.270:16580-16587;Whitesell,L.ら、1994、Proc.Natl.Acad.Scl.U.S.A. 91:8324-8328) 。
上述したとおりHCV感染者からHCVを駆除する方法として、本発明者らは、ウイルス粒子形成・細胞外放出の過程で必要な、Coreの合成、プロセシング、立体構造の成熟過程、安定性、RNAとの相互作用を阻害することでウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害すると考えた。
上記目的を達成するために、出芽酵母を用いてHCV Core蛋白質の毒性を評価する実験系を開発しハイスルーブットスクリーニング系を開発した(特許文献2)。本発明者らはこのスクリーニング系を用いてスクリーニングを行ったところHSP90阻害剤であるラディシコール(Radicicol)、ゲルダナマイシン(Geldanamycin)およびハービマイシンA(Herbimycin A)を見出した。これはCore蛋白質が示す酵母細胞毒性にはHSP90ファミリーの蛋白質が寄与していることを示すものである。
特開2005−151847公報
次に、ヒト肝がんHuh7にHCVウイルスを感染産生させる試験系(Wakita et al. Nature Med.online 12.June 2005) を用いて、HSP90阻害剤が培養上清に出現するウイルスの産生量を抑制することが明らかになった。また、ウイルス持続産生細胞にHSP90阻害剤を処理すると細胞外のCore量(ウイルス量)が高い効率で低下したが、細胞内のCore量はほとんど変化しないことから、HSP90阻害剤はウイルスの粒子形成や細胞外放出の段階でコア蛋白質の機能を抑制していることを示している。
これらのHCVウイルス複製の阻害効果は、現在米国で臨床試験が行われている17−AAGでも起こる。これらの事実は、HSP90阻害剤がインターフェロン、リバビリンなどの既存のHCV治療薬と異なった作用点をもつHCV粒子形成阻害剤として使用することが可能であることを示している。さらに、既に安全性が評価されたHSP90阻害剤17−AAGなどがHCV粒子形成阻害剤として機能することを示している。
本発明は、請求項1記載のように、C型肝炎ウイルスの粒子形成・細胞外放出を阻害する方法であって、哺乳動物細胞に化学物質を接触させることを特徴とするC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を抑制する方法とするものである。
本発明は、請求項2記載のように、請求項1に記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法が、C型肝炎ウイルスのパッケージング過程やウイルス粒子の細胞外への分泌過程を含む一連のウイルス粒子形成・細胞外放出過程を阻害する方法とするものである。
本発明は、請求項3記載のように、請求項1に記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法であって、ラディシコールおよびその誘導体を用いる方法とするものである。
本発明は、請求項4に記載のように、請求項1に記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法であって、ゲルダナマイシンおよびその誘導体を用いる方法とするものである。
本発明は、請求項5に記載のように、請求項1に記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法であって、ハービマイシンAおよびその誘導体を用いる方法とするものである。
本発明は、請求項6に記載のように、請求項1に記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法であって、HSP90阻害剤を用いる方法とするものである。
本発明は、請求項7に記載のように、HSP90阻害剤がラディシコール、ゲルダナマイシンおよびハービマイシンAである請求項6記載の方法とするものである。
本発明は、請求項8に記載のように、請求項1に記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法であって、HSP90のATP結合領域に結合する化合物を用いる方法とするものである。
本発明は、請求項9に記載のように、哺乳動物細胞がヒトのものである請求項1ないし8のいずれかに記載の方法とするものである。
本発明は、請求項10に記載のように、請求項1ないし9のいずれかに記載の方法に従って医薬的有効量の化合物またはその医薬的に許容される塩を対象に投与することを含むC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法とするものである。
本発明は、請求項11に記載のように、請求項1ないし9のいずれかに記載の方法に従って確認された医薬的有効量の化合物またはその医薬的に許容される塩を対象に投与することを含むC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法とするものである。
本発明は、請求項12に記載のように、該投与が経口または局所的である請求項10または11記載のC型肝炎ウイルスの粒子形成・細胞外放出を阻害する方法とするものである。
本発明は、請求項13に記載のように、該投与が非経口である請求項10または11記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法とするものである。
本発明は請求項14に記載のように、該投与がin situである請求項10または11記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法とするものである。
本発明は、請求項15に記載のように、該対象が哺乳動物である請求項10または11記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法とするものである。
本発明は、請求項16に記載のように、該哺乳動物がヒトである請求項15記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法とするものである。
本発明は、請求項17に記載のように、該治療が化学療法投与計画の一部である請求項11記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法とするものである。
本発明は、請求項18に記載のように、抗体、組換え産物、小分子、抗ウイルス薬、リバビリン、インターフェロン、ポリエチレングルコール修飾インターフェロン、グリチルリチン製剤、ウルソデオキシコール酸、小紫胡湯、シクロスポリンAおよび、HCV治療薬として使用可能なシクロスポリンA誘導体、からなる群から選ばれる、医薬的有効量の1またはそれ以上の化合物またはその医薬的に許容される塩を投与することをさらに含む請求項17記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法とするものである。
本発明において、医薬有効量の化合物またはその医薬として許容される塩を投与するための、医薬組成物は、例えば、水、バッファ(例えば、中性緩衝生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水)、ミネラルオイル、植物油、ジメチルスルホキシド、炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、ショ糖またはデキストラン)、マンニトールを包含する。例えば、既存のインターフェロン、ペグ・インターフェロン、リバビリン、HCV治療薬として使用可能なシクロスポリンA誘導体、グリチルリチン製剤、ウルソデオキシコール酸、小柴胡湯などの他の有効成分などが、ここに提供された医薬組成物の中に包含されてもよい。
本発明において投与される医薬組成物は、例えば局所、経口、経鼻、経直腸または非経口投与を包含する、いかなる適当な投与様式のためにでも処方することが可能である。ここで、非経口投与は、皮下、腸管内、血管内(例えば、静脈内)、筋肉内および類似の注射または注入技術のどれでも包含される。ある種の実施態様において、経口に適した組成物が好ましい。その組成物は、例えば、錠剤、トローチ、飴、水性または油性懸濁液、分散粉または顆粒、エマルジョン、硬質または軟質カプセル、またはシロップまたはエリキシルを包含する。局所投与用の処方は、例えば、ミリスチン酸オクチルドデシル、アジピン酸ジイソプロピル、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸グリセリン、ポリソルベート60、エデト酸Na、亜硫酸水素Na、ジイソプロパノールアミン、イソプロパノールなどを含む。
経口用のための組成物は、さらに、甘味料、着香料、着色料および/または保存料のような1つまたはそれ以上の成分を含んでいてもよい。錠剤は、錠剤を製造するのに適した生理学的に許容される添加剤を混合した有効成分を含有する。そのような添加剤は、例えば、不活性な賦形剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム)、顆粒化および崩壊剤(例えば、コーンスターチまたはアルギン酸)、結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンまたはアラビアゴム)および滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)を包含する。錠剤は被覆されていなくても、または、消化管内で崩壊および吸収を遅らせ、そしてそれによってより長い期間にわたって持続した作用を与えるための公知の技術によって、被覆されてもよい。
経口用の処方は、また、有効成分が、不活性固形賦形剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなど)と混合される硬質ゼラチンカプセルとして、あるいはまた、有効成分が、水または油媒体(例えば、ピーナツオイル)、流動パラフイィンまたはオリーブオイル)と混合されている軟質カプセルとして提供される。
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した添加剤と混合された有効物質を含有する。そのような添加剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロイシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴム)、および分散または湿潤剤(例えば、レシチンのような天然に存在するリン脂質、アルキレンオキシドとステアリン酸ポリオキシエチレンのような脂肪酸との縮合物、エチレンオキシドとヘプタデカエチレンオキシセタノールのような長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、エチレンオキシドと脂肪酸由来の部分エステルおよびポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのようなヘキシトールとの縮合物、またはエチレンオキシドと脂肪酸由来の部分エステルおよびポリエチレンソルビタンモノオレエートのような無水ヘキシトールの縮合物)を包含する。
水性懸濁液は、また、1またはそれ以上の保存料、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチル、またはn−プロピル、1またはそれ以上の着色剤、1またはそれ以上の着香料、およびショ糖またはサッカリンのような1またはそれ以上の甘味剤を含んでもよい。油性懸濁液は、有効成分を植菌物油(例えば、ラッカセイ油、オリーブオイル、ゴマ油またはココナツ油)または流動パラフィンのようなミネラルオイル中に懸濁することによって処方可能である。
医薬組成物は、また、水中油型懸濁剤として処方され得る。シロップおよびエリキシルは、グリセリン、プロピレン、プロピレングリコール、ソルビトールまたはショ糖のような、甘味料とともに処方される。そのような処方は、また、1またはそれ以上の粘滑剤、保存剤、着香料および/または着色料を含む。
局所投与用の処方は、典型的には、有効剤と追加の選択的な成分の存在または不存在で組み合わされた局所媒体を含んでいる。適当な局所媒体および追加の成分は、よく知られており、媒体の選定は、公知の媒体から選択することができる。局所媒体は、水:アルコール;(例えば、エタノールまたはイソプロピルアルコール)またはグリセリンのような有機溶媒(例えば、ブチレングリコールまたはプロピレングリコール)など;、ラノリン:水と有機湯溶媒の混合物およびアルコールおよびグリセリンのような有機溶媒の混合物;ミネラルオイルのような油、および天然および合成由来の脂肪、ホスホグリセリド、スフィンゴリピドおよびワックスのような脂質を基にした物質を包含する。
組成物は、さらに、安定剤、懸濁剤、乳化剤、粘性調節剤、ゲル化剤、保存剤、抗酸化剤、皮膚透過増強剤、湿潤剤および徐放物質のような、適用した処方の安定性または有効性を改善するために適応する1またあそれ以上の成分を包含してもよい。そのような成分の例は、日本薬局方や製剤学の教科書に記載されている。処方は、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルのようなマイクロカプセル、リボソーム、アルブミンミクロスフィア、ミクロエマルジョン、ナノ粒子またはナノカプセルを含む。
局所処方は、例えば、固体、ペースト、クリーム、フォーム、ローション、ゲル、粉末、水性液剤およびエマルジョンを包含する種々の物理的形状に調製することができる。その他の有効成分を含有することもできる。クリームおよびローションは、しばしば互いに似ており、それらの粘性において主として異なっている;ローションおよびクリームの両者は、不透明、透明または清明であってもよく、しばしば、乳化剤、溶媒、および粘性調節剤、同様に湿潤剤、皮膚軟化剤、芳香、色素/着色剤、保存剤および最終製品の有効性を増加する、あるいは、増強するその他の有効成分を含有する。
ゲルは、濃厚または高い粘度から薄いまたは低い粘度まで、粘度の範囲に調製することができる。これらの処方は、ローションおよびクリームのそれらのように、溶媒、乳化剤、湿潤剤、皮膚軟化剤、芳香、色素/着色剤、保存剤および最終製品の有効性を増加する、あるいは、増強するその他の有効成分を含有することが可能である。液剤は、クリーム、ローション、またはゲルよりも薄く、そしてしばしば、乳化剤は含有しない。液剤局所製品は、しばしば溶媒、乳化剤、湿潤剤、皮膚軟化剤、芳香、色素/着色剤、保存剤および最終製品の有効性を増加する、あるいは、増強するその他の有効成分を含有する。
局所処方に使用するための適当な乳化剤は、イオン性乳化剤、セテアリルアルコール、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ステアリン酸PEG−40、セテアレス−12、セテアレス−20、セテアレス−30、セテアレスアルコール、ステアリン酸PEG−100およびステアリン酸グリセリルのような非イオン性乳化剤を包含する。適当な粘度調節剤は、限定はされないが、保護コロイド等の、非イオン性ガムを包含する。ゲル組成物は、ゲル化剤の添加によって形成することが可能である。適当な界面活性剤は、限定はされないが、非イオン性、両性、イオン性および陽イオン界面活性剤を包含する。
適当な保存料は、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビン酸、安息香酸、およびホルムアルデヒド、ならびに物理学的安定化剤およびビタミンE、アスコルビン酸ナトリウム/アスコルビン酸および没食子酸プロピルのような抗酸化剤を包含する。適当な保湿剤は、乳酸およびその他のヒドロキシ酸およびそれらの塩、グリセリン、プロピレングリコール、およびブチレングリコールを包含する。適当な皮膚軟化剤は、ラノリンアルコール、ラノリン、ラノリン誘導体、コレステロール、ワセリン、ネオペンタン酸イソステアリルおよびミネラルオイルを包含する。適当な芳香剤および色素は、医薬として使用可能な芳香剤および色素である。
医薬組成物は、滅菌注射し得る水溶液または油性懸濁液として調製可能であり、適当な調剤、湿潤剤および/または懸濁剤を使用して公知に従って処方することが可能である。採用される許容される媒体および溶媒は、水、1,3−ブタンジオール、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液である。
本発明において投与される医薬組成物は、坐剤(例えば、直腸投与用)として処方される。そのような組成物は、薬物を、通常の温度では固体であるが、直腸温度では液体であり、そしてそれゆえに直腸では溶解し薬物を放出する、適当な非刺激性添加物と、混合することにより調製することができる。医薬組成物は、徐放性処方(すなわち、投与後モジュレーターのゆっくりした放出に効果があるカプセルのような処方)として処方することが可能である。そのような処方は、よく知られた技術を使用して一般的に製造することができ、そして、例えば、経口は、直腸または皮下埋め込みによって、あるいは、所望の標的部位に埋め込むことによって、投与される。そのような処方内で使用される担体は、生体適合性であり、そしてまた生分解性である。
本発明のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を抑制する阻害剤は治療有効量で、一般的に投与される。好ましい全身投与は、1日当たり体重1kgにつき0.02mg〜50−100mg(例えば、約0.05mgから約20mg/kg体重/日)、経口投与は一般的に、静注投与量より2〜10倍高い(例えば、約0.1mgから約200mg/kg体重/日)。単回投与単位を生成するための担体材料と結合するであろう有効成分の量は、例えば、治療される患者および投与の特定の様式に依存して変化するであろう。投与単位は、一般的に、有効成分の約10μgから約50mgの間を含有している。至適投与量は、通常の試験を使い、そして当業者によく知られた手順を使って確立することが可能である。
治療方式は、使用した化合物および治療される特定の状態に依存して変わる。しかし、ほとんどの場合の治療に対して、投与頻度は1日4回またはそれ以下が好ましい。一般的に、1日2回の投与方式がより好ましく、1日1回投与は特に好ましい。急性疾患の治療のためには、有効濃度に急速に達する単回投与が望ましい。しかしながら、どのような特別の患者に対する特定の投与レベルおよび治療方式は、採用された特定の化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食餌、投与時間、投与経路、および排泄速度、薬物の組合せ、および治療を受けている特別の疾病の重症度を含む種々の因子に依存することが理解されるべきである。一般的に、有効な治療を提供するに充分な最低投与量の使用が望ましい。患者は、一般的に、治療されまたは予防されている状態に適した医学的または獣医学的判断基準を使って治療の有効性をモニターされる。
本発明によれば、HSP90阻害活性のある化合物がHCVウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害をすることを明らかにした。したがって、すでに安全性が示されているHSP90阻害剤を単独または既存のインターフェロンやリバビリンを用いた治療法と組み合わせることで、HCVウイルスの複製阻害とウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害することで効率よく駆除することが可能である。
以下、本発明についての実施例を用いて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
HSP90阻害剤による、ヒト肝がん細胞Hhu7持続感染HCVウイルスの産生量の減少
HCV2a型株より取得されたcDNAからHCV持続感染系を公知論文(Wakita et al.Nature Med.online 12.June 2005)に示される通りに作製した。DMEM(10%牛胎児血清、500単位/mlペニシリン、500μg/mLストレプトマイシンを含む)培地で培養したヒト肝がん細胞Huh7を0.1%トリプシン−0.05%EDTA溶液で剥がし、Opti−MEM I(Invitrogen社) で洗浄後、Cytomix buffer中に(1mLあたりに750,000細胞)調整した。GenePulcer(日本BioRad社)を用いて10μgのHCV2aRNAを400μLのHuh7細胞のエレクトロポレーッションした。
HCV2a型株より取得されたcDNAからHCV持続感染系を公知論文(Wakita et al.Nature Med.online 12.June 2005)に示される通りに作製した。DMEM(10%牛胎児血清、500単位/mlペニシリン、500μg/mLストレプトマイシンを含む)培地で培養したヒト肝がん細胞Huh7を0.1%トリプシン−0.05%EDTA溶液で剥がし、Opti−MEM I(Invitrogen社) で洗浄後、Cytomix buffer中に(1mLあたりに750,000細胞)調整した。GenePulcer(日本BioRad社)を用いて10μgのHCV2aRNAを400μLのHuh7細胞のエレクトロポレーッションした。
エレクトロポレーッション後の全細胞を直径10cmの培養デッシュに細胞を撒き、48時間培養した。上述の方法で24穴および96穴の培養デッシュに撒きなおした。24時間後に各濃度のRadicicol、17−AAGまたは17−DMGAを添加した。さらに48時間培養した後に、96穴のデッシュには10μLのアラマーブルー(大日本製薬社)を含むDMEM100μLを添加して4時間培養した後に蛍光強度(励起波長544nm、蛍光波長590nm)を測定した。また、24穴のデッシュからは培養上清を回収しヒト正常血清で25倍に希釈したものを上清ウイルスサンプルとした。
また、細胞はPBSで洗浄後に50μLの細胞溶解溶液{20mM Tris・Hcl(pH7.5)、0.1%SDS、1%Triton X−100、1%deoxyxholate、5μg/mL、aprotinin、5μg/mL leupeptin、100μM PMSF(phenylmethylsulphonyl fluoride) 、50μM TPCK(N-tosyl-L-phenylalanine chloromethyl ketone)、5μM TLCK(N α-p-tosyl-L-Lysine chloromethyl ketone)、2μg/mL peptone A、1mM EDTA)}に溶解後に正常ヒト血清で125倍に希釈した。それぞれ検体としてコア定量キット(オーソ)を用いてCoreの蛋白量を測定した。
図1はRadicicolが細胞の生存率に影響を与えないことを示すものであり、図2は17−AAG、17−DMAGが細胞の生存率に影響を与えないことを示すものである。図3は細胞生存に影響を与えない量のRadicicolは培養上清中に放出されたC型肝炎ウイルス量を減少させるこを示し、ヒト血清中のウイルス量を定量する方法として一般的に用いられているELISA法を用いてCore蛋白質を定量したものである。
図4は細胞生存に影響を与えない量の17−AAG、17−DMAGは培養上清中に放出されたC型肝炎ウイルス量を減少させることを示し、ヒト血清中のウイルス量を定量する方法として一般的に用いられているELISA法を用いてCore蛋白質を定量したものである。図5は細胞生存に影響を与えない量で、培養上清中に放出されたC型肝炎ウイルス量を減少させる量のRadicicolは、培養細胞中のC型肝炎ウイルス量Core蛋白質の減少量が細胞外のCore量の減少より低いことを示すものである。図6は細胞生存に影響を与えない量で、培養上清中に放出されたC型肝炎ウイルス量を減少させる量の17−AAG、17−DMAGは、培養細胞中のC型肝炎ウイルス量Core蛋白質の減少量が細胞外のCore量の減少より低いことを示すものである。
前述の図1および図2は、細胞生存率が変化しない量のRadicicol、および17−AAGまたは17−DMAGを処理した。図3および図4は同じ条件でRadicicolを処理した場合、および17−AAGまたは17−DMAGを処置した場合、細胞内のCore蛋白質量がほとんど変化しないことを示している。図5および図6は、同じ培養細胞液の上清中のCore蛋白質量はRadicicolを処理した場合、および17−AAGまたは17−DMAGを処理した場合に、顕著に低下することが判明した。Coreの生産量は、使用したHSP90阻害剤添加ではほとんど変化しないが、HCVが粒子を形成して細胞外に出る過程、即ちウイルス粒子形成・細胞外放出過程がHSP90阻害剤で抑制されることを示している。
本発明に用いるHSP90阻害剤としては、実施例に記載したラディシコール(Radicicol)、17−AAGまたは17−DMGAに限らず、ハービマイシンA(Herbimycin A)、ゲルダナマイシン(Geldanamycin)などCore発現出芽酵母の増殖を解除する物質であってもよい。あるいはまた、HSP90のATP縮合領域に結合する化学物質であるならば、特に、限定されるものではない。
本発明に係るHSP90阻害剤は、既存のインターフェロン、ペグインターフェロンやリバビリン、または、HCV治療薬として使用可能なシクロスポリンA誘導体、グリチルリチン製剤、ウルソデオキシコール酸、小柴胡湯などと併用することでHCVの粒子形成・細胞外放出を抑制する阻害剤として用いることができる。また、瀉血治療と併用することもできる。これらによりHCVキャリアからウイルスを駆除する方法、または体内のウイルス量を軽減する方法として適用できる。
Claims (18)
- C型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法であって、哺乳動物細胞に化学物質を接触させることを特徴とするC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を抑制する方法。
- 請求項1に記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法が、C型肝炎ウイルスのパッケージング過程やウイルス粒子の細胞外への分泌過程を含む一連のウイルス粒子形成・細胞外放出過程を阻害する方法。
- 請求項1に記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法であって、ラディシコールおよびその誘導体を用いる方法。
- 請求項1に記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法であって、ゲルダナマイシンおよびその誘導体を用いる方法。
- 請求項1に記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法であって、ハービマイシンAおよびその誘導体を用いる方法。
- 請求項1に記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法であって、HSP90阻害剤を用いる方法。
- HSP90阻害剤がラディシコール、ゲルダナマイシンおよびハービマイシンAである請求項6記載の方法。
- 請求項1に記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法であって、HSP90のATP結合領域に結合する化合物を用いる方法。
- 哺乳動物細胞がヒトのものである請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
- 請求項1ないし9のいずれかに記載の方法に従って医薬的有効量の化合物またはその医薬的に許容される塩を対象に投与することを含むC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法。
- 請求項1ないし9のいずれかに記載の方法に従って確認された医薬的有効量の化合物またはその医薬的に許容される塩を対象に投与することを含むC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法。
- 該投与が経口または局所的である請求項10または11記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法。
- 該投与が非経口である請求項10または11記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法。
- 該投与がin situである請求項10または11記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法。
- 該対象が哺乳動物である請求項10または11記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法。
- 該哺乳動物がヒトである請求項15記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法。
- 該治療が化学療法投与計画の一部である請求項11記載のC型肝炎ウイルス粒子形成・細胞外放出を阻害する方法。
- 抗体、組換え産物、小分子、抗ウイルス薬、リバビリン、インターフェロン、ポリエチレングルコール修飾インターフェロン、グリチルリチン製剤、ウルソデオキシコール酸、小紫胡湯、シクロスポリンAおよび、HCV治療薬として使用可能なシクロスポリンA誘導体、からなる群から選ばれる、医薬的有効量の1またはそれ以上の化合物またはその医薬的に許容される塩を投与することをさらに含む請求項17記載のC型肝炎ウイルスの粒子形成・細胞外放出を阻害する方法。
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CN107537009A (zh) * | 2016-06-29 | 2018-01-05 | 殷学臣 | 一种治疗肝炎、肝硬化脾大、肝癌的中药配方 |
-
2005
- 2005-12-07 JP JP2005353832A patent/JP2007153837A/ja active Pending
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