JP2007150189A - 有機薄膜及びその製造方法並びに有機薄膜素子 - Google Patents

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Sukeyuki Fujii
祐行 藤井
Kenji Sano
健志 佐野
Kenichiro Wakizaka
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Abstract

【課題】曲げに伴う電気特性の劣化を抑制することができる有機薄膜及びその製造方法並びに該有機薄膜を用いた有機薄膜素子を得る。
【解決手段】有機半導体または有機誘電体を含み、1.5MPa以上の圧縮応力が内在していることを特徴としており、このような有機薄膜は、例えば、基板に2MPa以上の引っ張り応力をかけた状態で、該基板上に有機薄膜を形成するか、あるいは基板をその基板表面が曲率半径10cm以下の曲面となるように曲げた状態で、該基板上に有機薄膜を形成することにより製造することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機半導体または有機誘電体を含む有機薄膜及びその製造方法並びに該有機薄膜を用いた有機トランジスタなどの有機薄膜素子に関するものである。
近年、情報技術の高度な発展に伴い、超薄型で携帯が容易な情報処理装置、表示装置、記憶装置への要望が高まっている。超薄型情報処理装置を提供する技術として、有機半導体薄膜を用いる電界効果トランジスタ、ダイオード、キャパシタなどの電子素子が大変注目されている。有機薄膜を用いた電子素子は、無機半導体素子と比較して、より低温のプロセスで製造することができるため、低コストで製造することができる。
また、基板として可撓性に優れたプラスチックフィルムなどを用いることができ、軽量で壊れにくい素子を作製することができる。また、溶液の塗布や印刷法を用いた素子作製が可能なものもあり、大面積の素子を非常に低コストで製造することができる。
非特許文献1及び2においては、フィルム基板上に形成された有機トランジスタの試作例が開示されている。
特許文献1においては、フレキシブル素子としての力学的特性に優れる有機トランジスタが開示されている。具体的には、絶縁体層と、該絶縁体層により隔離されたゲート電極及び有機半導体層と、該有機半導体層に接するように設けられたソース電極及びドレイン電極と、ポリマーを含有する支持基板とを有する電界効果トランジスタが開示されており、該電界効果トランジスタにおいて、絶縁体層の降伏点での伸びε1(%)が、該支持基板の降伏点でのε2(%)より大きいことを特徴とする電界効果トランジスタが提案されている。特許文献1において、曲げ試験によるトランジスタの特性の変化は、−3%ないし−10%であり、フレキシブル素子として実用に供するためには、更なる特性の向上が求められていた。
非特許文献3及び4には、本発明において規定する圧縮応力を測定する方法が開示されている。
特開2004−128467号公報 Japanese Journal of Applied Physics,42,299(2003) Japanese Journal of Applied Physics,43,372(2004) 「薄膜の力学的特性評価技術」 第2編 薄膜の内部応力 リアライズ理工センター、1992年3月発行 豊田中央研究所R&Dレビュー Vol.33,No.1(1998.3) 「蛍光寿命測定を利用した高分子材料の内部応力評価」
本発明の目的は、曲げに伴う電気特性劣化を抑制することができる有機薄膜及びその製造方法並びに該有機薄膜を用いた有機薄膜素子を提供することにある。
本発明の有機薄膜は、有機半導体または有機誘電体を含み、1.5MPa以上の圧縮応力が内在していることを特徴としている。
本発明者らは、曲げに伴う電気特性劣化を抑制する手段を鋭意検討した結果、有機薄膜に引っ張り応力を加えた場合の特性劣化が非常に大きいのに対して、圧縮応力を加えた場合の特性劣化は非常に小さいことを見出した。この原因として、有機薄膜の電気特性は、有機薄膜内部の結晶粒界や微小な間隙の状態によって大きく支配されており、引っ張り応力を加えた場合には、結晶粒界や微小な間隙が容易に伸長し、導電率や誘電率などの電気特性が大きく劣化するのに対し、圧縮応力を加えた場合には、結晶粒界や微小な間隙の更なる圧縮は困難であり、導電率や誘電率などの電気特性はほとんど変化しないからであると考えられる。
従って、本発明に従い1.5MPa以上の圧縮応力を有機薄膜に内在させておくことにより、有機薄膜を曲げて引っ張り応力を加えた場合に、この引っ張り応力が有機薄膜に内在している圧縮応力によって相殺されるため、引っ張り応力を緩和することができる。従って、本発明によれば、曲げに伴う電気特性劣化を抑制することができる。
本発明において、有機薄膜に内在する圧縮応力は1.5MPa以上である。圧縮応力が1.5MPa未満であると、有機薄膜に引っ張り応力が加わった場合に電気特性の劣化を抑制することができるという本発明の効果が得られない。有機薄膜に内在する圧縮応力の上限値は特に限定されるものではないが、100MPa以下であることが好ましい。内在する圧縮応力が大きくなりすぎると、圧縮応力による電気特性劣化が大きくなりすぎる場合がある。有機薄膜に内在させる圧縮応力のさらに好ましい範囲は、2MPa以上であり、さらには3〜20MPaの範囲内であることが好ましい。
本発明における有機薄膜に内在する圧縮応力は、一般的な方法により測定することができる。例えば、非特許文献3に記載されている方法で圧縮応力を測定することができる。具体的には、X線回折による方法や、赤外線測定による方法で測定することができる。また、非特許文献4に記載されているような蛍光寿命によっても圧縮応力を測定することができる。具体的には、光励起発光(フォトルミネッセンス)における励起状態の寿命変化や、励起子の拡散長の変化などにより圧縮応力を測定することができる。
有機薄膜が発光性有機半導体を含む薄膜である場合には、光励起発光による励起状態の寿命から圧縮応力を測定することができる。例えば、内在する応力が1MPa以下である同種の有機薄膜と比較して、光励起発光における励起状態の寿命は0.85倍以下であることが好ましい。光励起発光における励起状態の寿命の下限値は特に限定されるものではないが、一般には0.6倍以上が好ましい。
また、励起子の拡散長により評価する場合、内在する応力が1MPa以下である同種の有機薄膜と比較して、励起子の拡散長が1.1倍以上であることが好ましい。
また、赤外線により圧縮応力を評価する場合、内在する応力が1MPa以下の同種の有機薄膜と比較して、ラマン分光測定における有機薄膜の少なくとも1つのピークシフトが100cm−1以上であることが好ましい。
本発明の有機薄膜素子は、上記本発明の有機薄膜を備えることを特徴としている。本発明の有機薄膜素子としては、有機トランジスタ素子、有機ダイオード素子、有機キャパシタ素子、有機電界発光素子などの電子素子が挙げられる。
本発明の有機トランジスタは、上記本発明の有機薄膜を備えることを特徴としている。
本発明の有機薄膜素子及び本発明の有機トランジスタは、上記本発明の有機薄膜の電気特性を利用するものであり、上記本発明の有機薄膜は曲げに伴う電気特性の劣化を抑制することができるものであるので、曲げなどの応力が加わっても、電気特性の劣化が少なく、良好な電気特性を維持することができる。
本発明の有機トランジスタにおいては、有機薄膜に内在している圧縮応力の最大となる方向に平行な方向に通電するように電極が配置されていることが好ましい。圧縮応力の最大となる方向に平行な方向に通電することにより、圧縮応力による特性劣化を抑制する効果が最大限に発揮されるようになり、有機トランジスタの使用時において曲げによるストレスが加えられても、特性の劣化が少ない有機トランジスタとすることができる。
本発明の有機トランジスタが、ソース電極と、ドレイン電極と、ゲート電極とを備える電界効果トランジスタである場合、圧縮応力の最大となる方向に平行な方向に通電するようにソース電極とドレイン電極が配置されていることが好ましい。
本発明の有機薄膜の製造方法は、上記本発明の有機薄膜を基板上に形成することにより製造する方法であり、基板に2MPa以上の引っ張り応力をかけた状態で、該基板上に薄膜を形成することを特徴としている。
上記本発明の有機薄膜の製造方法によれば、基板に2MPa以上の引っ張り応力をかけた状態で該基板上に有機薄膜を形成し、有機薄膜を形成した後、引っ張り応力をかけない状態とする。これにより、基板上に形成した有機薄膜に圧縮応力を残留させることができ、本発明の有機薄膜を製造することができる。本発明の製造方法において、基板は引っ張り応力をかけた薄膜形成時の状態から、薄膜形成後の引っ張り応力をかけていない状態に戻したときに、0.5%以上収縮することが好ましい。
薄膜形成の際に基板にかける引っ張り応力の上限値は特に限定されるものでないが、一般には100MPa以下である。
本発明の有機薄膜の他の局面に従う有機薄膜の製造方法は、上記本発明の有機薄膜を基板上に形成することにより製造する方法であり、基板をその基板表面が曲率半径10cm以下の曲面となるように曲げた状態で、該基板上に有機薄膜を形成することを特徴としている。
上記製造方法では、基板表面が曲率半径10cm以下の曲面となるように曲げた状態で、該基板上に有機薄膜を形成し、有機薄膜の形成後、基板を元の平坦な状態に戻すと、基板上の有機薄膜には圧縮応力が残留する。このようにして、本発明の有機薄膜を製造することができる。薄膜形成の際の基板表面の曲率半径の下限値は特に限定されるものではないが、一般には5mm以上が好ましい。
本発明の有機薄膜を形成する薄膜形成方法としては、真空蒸着法が挙げられる。また、有機薄膜の材料を含む液体を基板表面上に塗布することにより有機薄膜を形成してもよい。有機薄膜の材料を含む液体を塗布する方法としては、凸版式印刷法、凹版式印刷法、平版式印刷法、孔版式印刷法、スリットコーティング法、ディッピング法、キャスト法、スピンコート法、吹き付け法などが挙げられる。
本発明の有機薄膜は、有機半導体または有機誘電体を含むものであり、有機半導体薄膜または有機誘電体薄膜として形成することができるものである。有機薄膜の材料としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘電体とポリスチレンスルフォン酸(PSS)等の混合物からなる高分子材料や、チオフェンモノマーと他のモノマーが連結された共重合体やオリゴマーなどの物質、フラーレン、ナノカーボン、デンドリマー、フタロシアニン、ペンタセンなどの分子性有機物質、金属カルコゲナイド微粒子を含有する誘電体等、各種の有機物質が挙げられる。
本発明の有機薄膜は、1.5MPa以上の圧縮応力が内在しているので、曲げ等により有機薄膜に引っ張り応力がかかっても、この引っ張り応力を圧縮応力で相殺することができる。従って、有機薄膜に曲げ等により引っ張り応力がかかっても、電気特性が劣化するのを抑制することができる。
本発明の有機薄膜の製造方法は、上記本発明の有機薄膜を製造することができる方法であり、曲げ等による電気特性の劣化を抑制することができる有機薄膜を製造することができる。
本発明の有機薄膜素子は、上記本発明の有機薄膜を備えるものであり、曲げ等により有機薄膜に引っ張り応力がかかっても、電気特性の劣化を抑制することができる。
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明に従う有機薄膜の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、基板1上に有機薄膜3が形成されており、有機薄膜3に1.5MPa以上の圧縮応力が内在している。本実施例において、基板1は可撓性を有する基板であり、曲げることができる。図2に示すように、基板1及びその上に形成された有機薄膜3を曲率半径Rのローラーの外表面に沿わせて曲げると、有機薄膜3には引っ張り応力が働く。しかしながら、有機薄膜3には圧縮応力が内在しているので、この圧縮応力と引っ張り応力が相殺し、引っ張り応力による電気的特性の劣化を抑制することができる。例えば、有機薄膜3が変形することにより生じる、有機薄膜内の粒界の空隙の増大による電気的な伝導性や誘電率の低下を抑制することができる。
(実施例1)
図3は、本発明の有機薄膜を用いた本発明の有機トランジスタの一実施例を示す概略断面図であり、図4は概略平面図である。
ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる厚さ25μmの基板1の上に、金を蒸着して、第3の電極4(厚さ0.1μm)が形成されている。なお、基板1の引っ張り強さは176MPaであり、誘電率は3.2である。
第3の電極4の上には、ポリカーボネートからなる有機誘電体薄膜5(誘電率3.0)が形成されている。有機誘電体薄膜5は、ポリカーボネートの濃度5質量%のクロロホルム溶液をスピンコート法で第3の電極4の上に塗布することにより形成されている。
次に、ポリイミドからなるバンク6を有機誘電体薄膜5の両端部の上にそれぞれ形成する。バンク6で区画された所定の領域の軸cd方向の長さは1.2mmであり、軸ab方向の長さは0.6mmである。
次に、この状態で、図2に示すように、基板1を曲率半径Rが5cmであるABS樹脂製ローラー2の外周面の上に沿わせて配置した。これにより、基板1の表面の曲率半径は約5cmとなった。次に、有機薄膜材料として、立体規則性構造を有するポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT)(平均モル質量8700g/mol、アルドリッチ製)のオルト−キシレン溶液(濃度1重量%)を準備し、この溶液を室温でバンク6で区画された基板1上の領域に吹き付け、バンク6で区画された所定の領域に溶液を展開して有機薄膜3を形成した。基板1は、ローラー2に巻き付ける際、図4に示す軸abがローラー2の外周面に沿うように配置した。従って、図4に示す軸cdはローラー2の中心軸と平行になるように配置されている。
上記のようにしてP3HTのオルト−キシレン溶液を基板1上に吹き付けた後、室温で5分間放置し、次に真空オーブン中で減圧下、80℃で1時間ベークした。これにより、基板1上に有機薄膜3が形成された。
次に、有機薄膜3の上に、図3に示すように、金を真空蒸着して、第1の電極7及び第2の電極8をそれぞれ形成した第1の電極7及び第2の電極8の厚さはそれぞれ0.1μmである。
図4に示すように、第1の電極7と第2の電極8の間の間隔Lを0.5mmとし、第1の電極7及び第2の電極8の幅Wを1mmとした。
以上のようにして作製して有機トランジスタにおいて、軸ab上に設けられた測定点XY間及びYZ間の導電性をそれぞれプローバーで測定し、移動度を算出した。なお、XY間及びYZ間の距離はそれぞれ0.1mmとした。
基板1を平坦な状態で測定した結果、測定点XY間の移動度は5.1×10−2cm/Vsであり、YZ間の移動度は5.0×10−2cm/Vsであった。また、このときの薄膜3の内部応力をX線分析法で評価したところ、軸abと平行な方向に1.8MPaの圧縮応力が内在していることが確認された。また、光照射により測定した励起子の拡散長は6nmであった。また、光励起発光(フォトルミネッセンス)における励起状態の寿命は0.6ピコ秒であった。
また、上記の有機トランジスタを、図2に示すように、曲率半径Rが5cmのローラー2に巻き付けた状態で、上記と同様にして移動度を測定した。なお、軸abがローラー2の内周面に沿うように、すなわち軸cdがローラー2の中心軸と平行になるように巻き付けて配置した。このときの測定点XY間の移動度は5.0×10−2cm/Vsであり、YZ間の移動度は4.9×10−2cm/Vsであった。従って、曲率半径Rが5cmであるローラー2に巻き付けて有機薄膜3に曲げ変形を加えた状態での移動度の劣化は2%と非常に小さく、また移動度のばらつきも2%であり移動度の均一性に優れていた。また、このときの内部応力を測定したところ、1MPa以下であり、内部応力が緩和された状態であった。また光照射により測定した励起子の拡散長は5nmであった。従って、圧縮応力が内在しているときの有機薄膜の励起子の拡散長6nmは、応力が緩和された同種の有機薄膜と比較して1.2倍であることがわかった。また、光励起発光(フォトルミネッセンス)における励起状態の寿命は0.8ピコ秒であった。従って、圧縮応力が内在しているときの有機薄膜の寿命0.6ピコ秒は、応力が緩和された同種の有機薄膜と比較して0.75倍であることがわかった。
なお、本実施例において、第1の電極7及び第2の電極8は、ゲート電極及びドレイン電極に対応し、第3の電極4はゲート電極に対応している。
(比較例1)
基板1をローラーに巻き付けず、すなわち基板1を平坦な状態にしてその上に有機薄膜を形成した以外は、上記実施例1と同様にして有機トランジスタを作製した。
得られた有機トランジスタについて、基板1を平坦な状態にして上記と同様にして移動度を測定した結果、測定点XY間の移動度は4.8×10−2cm/Vsであり、YZ間の移動度は4.5×10−2cm/Vsであった。従って、移動度の大きさは、実施例1よりも劣っていた。また、移動度のばらつきは約7%であり、移動度の均一性においても実施例1より劣っていた。このときの内部応力は1MPa以下であった。また、光照射により測定した励起子の拡散長は5nmであった。また、光励起発光(フォトルミネッセンス)における励起状態の寿命は0.9ピコ秒であった。
次に、上記実施例1と同様に、曲率半径Rが5cmであるローラー2に、基板及び有機薄膜を巻き付けた状態で、移動度を測定した。測定点XY間の移動度は2.4×10−2cm/Vsであり、YZ間の移動度は2.1×10−2cm/Vsであり、ローラーに巻き付けて曲げ変形を加えることにより、移動度は50%劣化した。また、移動度のばらつきは約14%であり、移動度の均一性も大幅に悪くなっていた。このときの有機薄膜内の応力を測定したところ、ローラーの外周面に沿う方向に引っ張り応力が内在しており、引っ張り応力は2.1MPaであった。また、光照射により測定した励起子の拡散長は4nmであった。また、光励起発光(フォトルミネッセンス)における励起状態の寿命は1.1ピコ秒であった。
(実施例2)
図5は、本発明に従う有機薄膜素子である有機トランジスタを示す概略断面図である。基板1は、ポリエチレンナフタレート(PEN)からなる厚さ25μmの基板であり、この上に金を真空蒸着して、第3の電極4(厚さ0.1μm)が形成されている。なお、基板1の引っ張り強さは274MPaであり、誘電率は3.0である。
次に、第3の電極4の上に、ポリカーボネートからなる有機誘電体薄膜5(誘電率3.0)を形成する。ポリカーボネートの濃度5質量%のクロロホルム溶液をスピンコートすることにより有機誘電体薄膜5を形成する。
次に、有機誘電体薄膜5の上に有機薄膜3を形成した。有機薄膜の材料としてペンタセンを用い、図示しない蒸着マスクの開口部で区画される所定領域にペンタセンからなる有機薄膜3を形成した。有機薄膜3を形成した所定領域の軸cdの長さは1.2mmであり、軸abの長さは0.6mmである。
有機薄膜3を形成する際、基板1に、図示しないテンション機構により、両側から張力を加え、基板1にかかる断面積1mmあたりの張力を1.5kg重とし、引っ張り応力を15MPaとした。この状態で、上述のように蒸着マスクの開口部で区画される所定領域にペンタセンを真空蒸着し、有機薄膜3を形成した。なお、基板1にかかる上記引っ張り応力の方向と、有機薄膜3の所定領域の軸abとが平行になるように基板1を配置した。
次に、基板1に加わる断面積1mmあたりの張力を0.05kg重以下にして、応力を0.5MPa以下にし、この状態で、有機薄膜3の上に金を蒸着して、第1の電極7及び第2の電極8を形成した。これらの電極のそれぞれの厚さは0.1μmである。なお、第1の電極7と第2の電極8の間隔Lは0.5mmであり、第1の電極7及び第2の電極8の幅Wは1mmとした。
以上のようにして作製した有機トランジスタについて、移動度を測定した。軸ab上の測定点XY間及びYZ間の導電性をプローバーで測定し、移動度を算出した。XY間及びYZ間の距離はそれぞれ0.1mmである。
まず、基板1に加わる張力を0.5MPa以下にし、基板1を平坦な状態で移動度を測定した。その結果、測定点XY間の移動度は5.2×10−1cm/Vsであり、YZ間の移動度は5.1×10−1cm/Vsであった。このときの有機薄膜に内在する応力は、軸abに平行な圧縮応力であり、圧縮応力の大きさは7.2MPaであった。また、光照射により測定した励起子の拡散長は5nmであった。また、光励起発光(フォトルミネッセンス)における励起状態の寿命は0.1ピコ秒であった。
上記実施例1と同様にして、図2に示すように、曲率半径Rが5cmであるローラー2の周りに基板1を巻き付けた状態で移動度を測定した。なお、軸abの方向がローラー2の外周面に沿う方向に基板1を巻き付けた。測定点XY間の移動度は5.0×10−1cm/Vsであり、YZ間の移動度は4.9×10−1cm/Vsであった。従って、基板に曲げ変形を加えることによる移動度の劣化は4%と非常に小さく、また移動度のばらつきは2%であり、移動度の均一性に優れていた。このときの有機薄膜3内の応力はやや緩和されており、4.8MPaであった。また、光照射により測定した励起子の拡散長は4nmであった。従って、基板を平坦な状態な測定したときの励起子の拡散長5nmは、応力を緩和させた同種の有機薄膜と比較して、約1.2倍であった。また、光励起発光(フォトルミネッセンス)における励起状態の寿命は0.14ピコ秒であった。従って、基板を平坦な状態にしたときの励起状態の寿命0.1ピコ秒は、応力を緩和させたときの同種の有機薄膜と比較して、0.7倍であった。
(比較例2)
基板1に加わる張力を0.5MPa以下にし、基板1が平坦な状態で基板1上に有機薄膜3を形成した以外は、実施例2と同様にして有機トランジスタを作製した。
基板1に加わる張力を0.5MPa以下にし、基板1を平坦な状態にして、作製した有機トランジスタの有機薄膜の移動度を、上記と同様にして測定した。測定点XY間の移動度は5.0×10−2cm/Vsであり、YZ間の移動度は4.5×10−1cm/Vsであった。従って、移動度の大きさは、実施例2に比べ劣っていた。また、移動度のばらつきは11%であり、移動度の均一性においても実施例2より劣っていた。また、このときの有機薄膜中の応力は緩和されていた。光照射により測定した励起子の拡散長は4nmであった。また、光励起発光(フォトルミネッセンス)における励起状態の寿命は0.15ピコ秒であった。
次に、実施例2と同様にして、曲率半径Rが5cmであるローラーに基板を巻き付けた状態で移動度を測定した。その結果、測定点XY間の移動度は1.5×10−1cm/Vsであり、YZ間の移動度は1.2×10−1cm/Vsであった。従って、基板に曲げ変形を加えることによる移動度の劣化は70%であり非常に大きかった。また、移動度のばらつきは約25%であり、移動度の均一性は大幅に悪化していた。このときの有機薄膜内の応力は引っ張り応力であり、その大きさは2.2MPaであった。また、光照射により測定した励起子の拡散長は3nmであった。また、光励起発光(フォトルミネッセンス)における励起状態の寿命は0.2ピコ秒であった。
以上の各実施例及び各比較例から明らかなように、本発明に従い有機薄膜に1.5MPa以上の圧縮応力を内在させることにより、有機薄膜に曲げ変形等による引っ張り応力が加わっても、電気的特性が劣化するのを抑制することができる。
図6は、本発明に従う有機トランジスタの他の実施例を示す模式的断面図である。図6に示す実施例では、基板1の上に第1の電極7及び第2の電極8が設けられており、これらの電極の間に有機薄膜3が形成されている。有機薄膜3の上には、有機誘電体薄膜5を介して第3の電極4が形成されている。
図7は、本発明に従うさらに他の実施例の有機トランジスタを示す模式的断面図である。図7に示す実施例では、基板1の上に第1の電極7及び第2の電極8が設けられており、それぞれの電極の上にバンク6がさらに設けられている。これらのバンク6は、基板1の上に有機薄膜の材料の溶液を吹き付け法等により塗布した際に溶液が外部に漏れないようにするためのものである。有機薄膜の材料を含有した溶液を塗布して、基板1の上に有機薄膜3を形成した後、有機薄膜3の上に有機誘電体薄膜5を介して第3の電極4が設けられている。
本発明に従う有機薄膜の一実施例を示す模式的断面図。 本発明に従う有機薄膜に曲げ変形を加えるときの状態及び本発明の有機薄膜の製造方法の実施例において基板を曲げた状態でその上に有機薄膜を形成するときの状態を示す模式的断面図。 本発明に従う一実施例の有機トランジスタを示す模式的断面図。 本発明に従う一実施例の有機トランジスタを示す模式的平面図。 本発明に従う他の実施例の有機トランジスタを示す模式的断面図。 本発明に従うさらに他の実施例の有機トランジスタを示す模式的断面図。 本発明に従う他の実施例の有機トランジスタを示す模式的断面図。
符号の説明
1…基板
2…ローラー
3…有機薄膜
4…第3の電極(ゲート電極)
5…有機誘電体薄膜(誘電体層)
6…バンク
7…第1の電極(ソース電極)
8…第2の電極(ドレイン電極)

Claims (10)

  1. 有機半導体または有機誘電体を含み、1.5MPa以上の圧縮応力が内在していることを特徴とする有機薄膜。
  2. 発光性有機半導体を含む有機薄膜であって、
    内在する応力が1MPa以下である同種の有機薄膜と比較して、光励起発光における励起状態の寿命が0.85倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜。
  3. 請求項1または2に記載の有機薄膜を備えることを特徴とする有機薄膜素子。
  4. 請求項1または2に記載の有機薄膜を備えることを特徴とする有機トランジスタ。
  5. 前記有機薄膜に内在している圧縮応力の最大となる方向に平行な方向に通電することを特徴とする請求項4に記載の有機トランジスタ。
  6. ソース電極と、ドレイン電極と、ゲート電極とを備える電界効果トランジスタであって、前記平行な方向に通電するように前記ソース電極とドレイン電極が配置されていることを特徴とする請求項5に記載の有機トランジスタ。
  7. 請求項1または2に記載の有機薄膜を基板上に形成することにより製造する方法であって、
    前記基板に2MPa以上の引張応力をかけた状態で、該基板上に前記有機薄膜を形成することを特徴とする有機薄膜の製造方法。
  8. 請求項1または2に記載の有機薄膜を基板上に形成することにより製造する方法であって、
    前記基板をその基板表面が曲率半径10cm以下の曲面となるように曲げた状態で、該基板上に前記有機薄膜を形成することを特徴とする有機薄膜の製造方法。
  9. 真空蒸着法により前記有機薄膜を形成することを特徴とする請求項7または8に記載の有機薄膜の製造方法。
  10. 前記有機薄膜の材料を含む液体を前記基板表面上に塗布することにより前記有機薄膜を形成することを特徴とする請求項7または8に記載の有機薄膜の製造方法。
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