JP2007148645A5 - - Google Patents
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Description
医療又は健診の受け付け業務に関する装置
日本の医療は1時間待ちの3分診療と揶揄されている。そして、例えば診療時間が1分の患者も、例えば重症の新患患者のように診療時間が30分かかる患者もどちらも同じ待ち列に並び、診療を受けている事が多く、待ち時間というコストと診療時間という利益の比率が患者ごとにさまざまであり、早い者順であるが故の不公平さが存在した。この不公平さにより、忙しいサラリーマンや官公署の役人などは、数分ですむ簡単な薬をもらうための用事でも、半日の休み等を取って病院に行き診療を受けているという事例も見られた。
このような不均等の解決方法の周辺技術として特許文献1のように、患者の症状の緊急度により優先順位を変える発明や、非特許文献1記載の、薬”のみ”、治療”のみ”などの”ノミ”の患者(以下ノミ患者と記す)を受付係が判断し、優先的に治療を行うという技術がある。新患患者はノミ患者に比べ診療時間が長い傾向にあることを考慮したものであろう。
特許文献1は、診療の優先順位をつけることにより、必要な患者をより早く診療することを可能にしているが、この発明では、診療時間を予想して順番を決定していないため、診療の優先順位が、早い者順であるが故の不公平さを解消する効果はすくない。また、この発明では、逆に、急性期の患者を優先的に見ることになり、急性期の患者は検査が必要なことが多いことを考えると、診療時間の長い患者が診療を優先的に診療を受けている場合が多いと思われる。
非特許文献1の方法は、”ノミ”の患者であっても、診察時に薬の副作用があることなどが分かってノミの患者ではないことが分かり、診療時間がながびくこともあり、またこの方法は、診療時間をきちんと予想していない。また、非特許文献1の”ノミ”の患者であるかどうかを判定する方法は受付係の個人的な判断に任されており、画一化されていない。したがって、”ノミ”と受け付けで判断された患者が、実際の診療の時にはそうでないと判明して、診療時間が延長することも少なくないと思われる。また、人間の頭では、個人個人がどれぐらいの診療時間であったかを記憶することは不可能であり、受け付けの人が覚えるなどの人為的な方法では、個人個人のより正確な診療時間を予想することは難しかったと思われる。また、この方法では、診療時間の個人の個人差が考慮されていない、ノミ患者以外の患者の優先順位をつけることができないという問題があった。
また、特許文献2のような、データベースを用いて診療時間を予想する方法もある。しかし、この方法では、診療科類別などの平均診療時間のデータを基に診療時間を予想しており、もっと細かい事態や、診療時間の個人の個人差が考慮されておらず、予想診療時間を正確に計算することは難しかったと思われる。例えば、お年寄りと若者では、話のスピードや診療内容の説明の理解力などが非常に異なることを考えると、診療時間の個人差はかなり大きいと考えられる。実際、あるクリニックにて10回以上過去に診察のある患者さんから無作為に選んだ二人について診察時間を比較したところ、診察時間に有意な差を認めた。したがって,特許文献2のように、診療科類別の平均から診療時間を予想するだけで、個人ごとの情報に基づいて診療時間を予想していない発明は、予想診療時間の精度が充分に高くないとおもわれる。また、これらの方法は、診療内容に対応する確認事項を事前に確認しておらず、予想診療時間は、診療内容の平均に基づいて決定しているだけであるため、実際に診療をしてみたときは、診療時間が余分にかかることも多かったと思われる。
また、特許文献3、特許文献4のように、問診内容を発生させることによって、本来医師が行うべき診療を事前に済まし、診療時間を短くすると言う方法は既知である。しかし、これらの問診は、診療時間を予想することには使われておらず、診療の待ち時間と診療時間の不公平さを解消するための方法ではなかった。また、これらの特許文献は診療の優先順位を変更しないため、診療の待ち時間と診療時間の間の不公平さを減らす効果は少ないと思われる。
他の方法として,特許文献5に示すようにインターネット上で忙しい時間帯を避けるように予約を行う方法や、特許文献6のようにある時間内に一定の人数だけしか予約のできないようにして、待ち時間を少なくする方法があった。しかし、これらの方法は何れも待ち順番を変化させることがなく、予約の順番によって、診療の優先順位が決められている。したがって、診療の待ち時間と診療時間の間の不公平さを減らす効果は大きくはないものと思われる。
これらの何れの特許文献でも、患者の個人ごとの診療時間が記録し、診療時間の予想に役立てていない。したがって、予想の精度には問題があると見られる。また、従来の方法では、患者は診療時間を短くするような行動を取るメリットは無かったため、診療情報を整理して医師に提供をするなどの、積極的に医療に携わって診療時間を短くするという行為のメリットは少なかった。
特開2005−284786
特開2001−282919
特開2003−323488
特開2002−342484
特許第3662185号
特開平8−22491
公技03/504243
公技03/503241
本発明は、診療時間が短い患者が、多大な待ち時間のために容易に診療を受けることができないという問題を解決するために考えられた。そのために、以下の3つのことを達成しようとしている。1つは、個人差を加味し予想診療時間の精度を上昇させること。2つ目は、予想診療時間が短い患者を優先的に診療を受けさせるということである。そして、最後に患者に診療時間を短くすることによって発生するメリットを提供することである。
このような課題を解決するために、本発明による優先順位決定する装置は、予想診療時間を計算することを可能にし、その予想時間に基づいて診療の優先順位をつけることを行っている。
本システムは、請求項1に記載されるような、精度の高い予想診療時間を計算する上において必要な確認事項を持ったデータベース(以下、確認事項データベースと呼ぶ)を持ち、患者の主訴、および診療内容に対応した問診内容、身体所見内容、質問事項を発生する機能を持つ。
また、本システムは、さまざまな状態に対して過去に患者がどれぐらいの診療時間がかかっていたかのデータと、各々の患者が診療内容に対してどれぐらいの診療時間であったかのデータを持ったデータベースをもつ。(以下これを診療時間データベースと呼ぶ)
診療予想時間を計算するための第1の方法は、特に、新患の患者に用いられる。まず、新患患者に、最初に今回の診療の理由、(以下主訴)を選択してもらう。請求項1に記されているように、確認事項データベースには、各々の主訴ごとに、より正確に診療時間が予想するために確認すべき質問項目を格納しており、診療の主訴に基づき、データベース内より、質問内容を取り出し提示する。患者はその質問内容に対して返答をしてもらい、その返答の内容を基に、診療時間データベースから過去の診療時間を調べ、統計処理を行って予想診療時間を求め、提示する。たとえば、ノロウイルスに感染して嘔気、嘔吐を主訴に来院された患者に対して、飲水も可能で、嘔吐の数が頻回でなく、発熱の症状が無く、頻脈などの脱水の症状が無ければ点滴、投薬をせずにすぐに帰宅をすることは可能である。もし、点滴が必要な場合は1時間以上病院にいることになるため、このような症状が無いかの質問事項を発生し、その答えを基に診療時間を予想することにより予想診療時間の精度は上昇するものと考えられる。実際、あるクリニックの患者の過去の診療時間を調べたところ、点滴の必要だった急性胃腸炎の患者さんと点滴の必要のなかった急性胃腸炎の患者では診療時間に有意な差を認めた。
診療予想時間を計算するための第2の方法は、特に、再診の患者に用いられる。請求項の1に記されているように、確認事項データベースには、各々の診療内容や投与されている薬剤ごとに、診療時に確認すべき確認事項を格納している。本システムは電子カルテの情報等を基に、今回の診療内容を推察し、その診療内容を基に確認事項を発生する。それを患者に回答してもらって入力する。電子カルテの情報と今回のその質問項目に対する患者の返答を基に、本システムの診療時間データベースから過去の診療時間を調べ、統計処理を行って診療予想時間を求め、提示する。たとえば、高血圧の薬であるACE阻害薬は空咳、立ち眩み、めまい、尿量減少などの副作用があることが知られている。このような症状が無く、血圧の値がよくコントロールされている患者では、薬の変更の必要が無いため前回と同じ薬を出すだけでよいため、診療時間が短くなるものと予想される。したがって、診療に内容に対して、その副作用、作用などの質問事項を発生し、その答えを基に診療時間を予想することにより予想診療時間の精度は上昇するものと考えられる。実際、あるクリニックの患者の2004年10月の診療時間を調べたところ、薬の変更の必要であった患者さんと必要でなかった患者さんでは診療時間に有意な差を認めた。
診療予想時間を計算するための第3の方法は、特に、慢性疾患でフォローをしている患者に用いられる。請求項の2に記されているように、個々の患者が診療を受けるたびに、診療の内容と診療にかかった時間を本システムのデータベースに記憶しておく。再診のときに、以前、その患者がその診療内容でどれぐらいの診療時間がかかっていたかを調べ、それを例えば中央値を出すなどの統計処理を行うことにより予想診療時間として提示する。たとえば、歩くことが困難で、車椅子の患者では、診察室に入るのにかかる時間、診察台に移るのにかかる時間などが大きくかかり、健常な若者の診察時間より余分に時間がかかることが予想される。また、診察時間は話の理解能力によっても大きく異なる。したがって、各個人の診療時間を記録し、それを基に診察時間を計算することにより予想診察時間の精度は上昇するものと考えられる。実際、あるクリニックの患者個人の過去の診療時間を複数調べたところ、そのどれも正規分布をしており、また、10回以上過去に診察のある患者さんから無作為に選んだ二人について診察時間を比較したところ、診察時間に有意な差を認めた。
以上のような方法に求めた予想診療時間を求めた予想診療時間をもとに、優先順位を決定する。請求項3記載の装置は、その優先順位ごとの待ち人数、予想待ち時間を計算し表示する装置である。例えば、優先順位”高”の人で予想診察時間が3分の人が二人待っていて、優先順位”中”で予想診察時間が10分の人が一人待っている場合には、新しくくくる優先順位高の人の待ち時間は6分、優先順位中の人の待ち時間は16分などと表示する装置である。
請求項4記載の優先順位の決定方法は予想診療時間と予想待ち時間を基に求める方法である。予想診療時間を基に、各患者の予想待ち時間を計算することができる。予想待ち時間は、例えば自分より前に診療をうける患者の予想診療時間を合計することによって計算することができる。診療時間・診療待ち時間の比率は、例えば、一番単純には、予想診療時間を予想診療待ち時間で割ることによって求めることができる。この比率が各々の患者さんでなるべく等しくなるように診療の優先順位を決めることにより、不公平は改善するものと考えられる。
以上のような方法で求めた優先順位が高い患者は、待ち時間を少なく診療を受けられるようにし、逆に優先順位が低い患者は、ある程度長い時間を待ってもらった後で診療を受けてもらうように優先順位をつけ、それを提示する。
患者には現在のその患者の過去の平均診療時間がどれぐらいであるかを提示する。この過去の平均診療時間が短いと、次回の予想診療時間が短くなり、診療を受ける優先順位があがる。したがって、患者自身が努力して今回の診療時間を短くすると次回の診療の待ち時間が短くなる。したがって、患者は自分の病気に積極的に携わり、自分の疾患のことを良く調べ、また、医師に効率よく情報を提供しようとするようになり診療時間を効率化するように努力してくれると予想している。したがって、請求項5に示すように、患者の過去の診療内容と診療時間を記録する装置と、その記録された過去の診察時間が短いものに優先された診療を与える装置により、個々人が自分の診療時間を少なくするインセンティブが発生する。それにより、他の患者の待ち時間も減少することが予想される。このようにアクティブに自分の疾患、薬に関する情報を自ら手にいれ行動するようになることは、今後日本の医療の質を上昇させる上において不可欠なことと考えている。
予想診療時間を計算し、それを基に診療優先順位を計算する。その結果、短い診療時間ですむ人が優先的に診療が受け、診療のための待ち時間が少なくすることができる。
また、診療時間を予想し、それによって診療時間の少ない人が優先されて診療を受けることができるようになることにより、診療時間の少ない人がこのシステムを持つ診療所に優先的に集まる効果があると考えている。このことにより、平均診療時間が例えば10分から5分に減少されると、それだけで1時間あたりに2倍の患者を見ることができ,患者一人あたりの単価が同じ場合には、診療所は2倍の総収益を得ることができる。その結果、駅の構内などのテナント代が高いが人通りの多い場所にも診療所を構えることが可能になる可能性がある。そこで、常に診療の待ち時間外部に示すことにより、その前をとおる人が電車の待ち時間など自分の自由な時間と比較しながら診療にかかってもらうことができるようになると考えている。
上記のように5分と10分と差のように、5分という比較的小さな診療時間の差が利益には大きな結果の差を生む。したがって、診療時間を正確に予想することは重要なことであるということができよう。本システムは、診療時間データベースをもつことにより従来の人の頭で行うよりも多くのデータを用いて予想を行うため、予想の精度が高くなるものと考えている。
また、個人個人の過去の診療時間を基に診療時間を予想して,診療の優先順位を決定するため、診療時間を短くすると、次回の診療待ち時間が短くなるという利益が患者にも生まれる。その結果、患者が診療時間を減らすことに、協力的になってくれると期待している。
以上のようなことより、最終的には、忙しいサラリーマンや官公署の役人が、半日休み等を取らずに気軽に診療を受け、病気がよりひどくなる前に治療を受けることが可能になることを期待している。
図1に本発明の一実施形態により、診療の優先順位をつける方法の全体像を示す。(1)患者の返答や問診内容を入力する入力装置と、(2)確認事項、優先順位、診療の順番、待ち時間を表示する表示装置と、(3)確認事項を発生しインターネットを経て患者に伝達し、返答を受け取ることを可能にするインターネットへの接続装置と、(4)患者の過去の診療内容を記した電子カルテ、診療時間のデータが入った診療時間データベース、(5)より正確な診療時間を計算するために患者に質問をする確認事項を記録した確認事項データベース、そして、(6)それらを制御する制御装置の6つのシステムよりなる。
図2に本発明の一実施形態により、診療の優先順位をつける方法のフローチャートを示す。まず、患者が新しい診療内容なのか、それとも診察内容は既に決まっているのかを入力する。電子カルテ情報から診察内容を予想できる場合は、診察内容が既に決まっているものと処置をする。前回の治療のフォローアップである場合には、今回の治療内容に則して、質問事項を確認事項データベースから取り出し、表示装置またはインターネットを通して患者に表示する。もし、新しい診療内容である場合には、主訴を選択してもらい、主訴に即した質問事項を確認事項データベースから取りだして表示する。その質問への返答を患者から受け取り、その質問の返答の情報を用いて、本患者が過去に何度もこの装置を利用して、十分なデータ数があって患者本人のデータだけで統計処理が行える場合には、当患者個人の過去の診療時間データを集め、そのデータを統計処理を行って予想診療時間を求める。もし、患者本人のデータだけでは統計処理を行うには充分な個数のデータが集まらない場合には、他の患者の類似の状態のデータを用いて統計処理を行い,予想診療時間を求める。この予想診療時間を基に、診療の優先順位を決め、優先順位の高い患者を優先的に診療するようにする。最後に、患者の診療内容と診療時間を当システムの診療時間データベースに記憶させ、今後の診療時の予想診療時間を計算する上において用いる。当装置が持つ優先順位の決定方法は主に二つある。一つは、単純に予想診療時間がある一定値より小さい患者に高い優先順位を与え、一定値より大きい患者に低い優先順位を与える方法である。もう一つの方法は、全ての患者の予想診療時間から、待ち時間を予想し、待ち時間と診療時間の比が少なくなるように優先順位を決定する方法である。
図3の内容が、診療時間データベースのデータの一例である。各患者に、診療日と診療にかかった時間を持ち、また、診療日の主訴、診療内容とそのときの患者の確認事項に対する答えを記録している。
図4の内容は、統計的方法により、どのように診療時間を予想するかの例を示したものである。例えば,患者Aが診療内容Bに対して過去9回診療を受けており、その診療時間が、1分、2分、3分、5分、6分、7分が各々一回ずつで4分が3回あったとすると、その平均は4分でその標準偏差は1.87と言うことになる。したがって、患者Aは診察内容Bに対して85%以上の確立でその二つを足した5.87分以内で診療を終えることが分かる。したがって、この5.87分を予想診察時間として表示し、優先順位の決定の基とする。
例えば新患の患者さんの場合は、最初に受診の理由を選択してもらうことになる。確認事項データベースから、受診の理由に対応する質問事項を取り出し表示する。図5は、”頭痛”を主訴に持つ患者に関しての表示をされる質問項目の例である。患者にこの質問に答えてもらい、その返答をこのシステムに入力すると、過去に同じもしくは似た返答をした人がどのくらいの診療時間であったかのデータを診療時間データベースより得ることができる。この例では、図4に記されたものに類似したデータがかえってくる。このデータを基に、平均値、標準偏差、信頼空間、危険度を求め、例えば式1の式に代入することにより予想診療時間を計算することができる。
診療予想時間=平均値+比重1×標準偏差+比重2×危険度×平均値−−−式1
再診をなんども受けている患者の場合には、今回の診療内容に対応した、図4に記した例のように過去の診療時間のデータを得ることができる。このデータを基に平均値、標準偏差、信頼空間、危険度を求め、例えば式1の式に代入することにより当患者さんの予想診療時間を計算することができる。この例で比重1を1、比重2を0とした場合には、上位意に述べたように約85パーセント以上の人が診療を終えることのできる予想診療時間を計算することができる。もし、当患者の過去の診療回数が少なすぎて統計処理に向かない場合には、診療内容と問診の返信を基に他の患者のデータを利用して予想診療時間を計算することも出来る。
再来の患者が受診した場合には当システムにより、今回の診療内容に基づいて質問事項を発生させる。図6は高血圧の患者で、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(以下ACE阻害薬)を服用されている患者に対しての質問事項例である。医学的にはACE阻害薬の副作用として立ち眩み、空咳、低カリウム血症、低血圧、腎不全などがある。これらの症状が出ていない患者は、特に新しい相談ごとなどのない限りは前回と同じ薬を継続することが望ましく、特に診療に新しい内容は加わらないことが多い。そのため、診療時間が予測することがたやすくまた、診療時間は短くなる。本システムは、例えば診療内容に対して、医学的な見地より診療内容を追加する必要が増えないことを確認するような確認内容をデータベースに持ち、診療内容にしたがって確認事項を発生させることができる。患者の質問の返答により、今回の診療内容に追加が無いことが確認された場合には、上記の方法で予想診療時間を求めることができる。もし、診療内容に追加が必要なときは、その追加する診療内容に対応する診療時間を上記の方法によって得て、追加することにより、予想診療時間を求めることができる。
以上のようにして求めた予想診療時間によって、診療の優先順位を提示する。例えば、予想診療時間が3分未満の人には優先順位”高”を、3−5分の人には優先順位”中”を、5分以上の人には優先順位”低”を与える。診療の待合室で診療待ちの列を3つ用意し、優先度”高”の患者は優先順位”高”の列、優先度”中”の患者は優先順位”中”の列、また、優先度”低”の患者は優先順位”低”の列と並ぶ場所をかえ、優先順位の高い人の並んでいる人列の人を早く診療を受けるようにする。例えばこの優先度をインターネット経由で交付し多くの患者に持ってもらう。
以上のような方法にて計算した予想診療時間を基に、各患者の予想待ち時間を計算する。予想待ち時間は、自分より前に診療をうける患者の予想診療時間を合計することによって計算する。そして、診療所の前に、図9に示すような各待ち列ごとの予想待ち時間を示し、人通り多いところに診療所を開設し、診療所の外を歩いている人が、自分の診療の優先順位では何分ぐらいで診療を受けることができるかが分かるようにする。このことにより、診療所の外の患者が例えば短い待ち時間なので薬をもらいによるなど、待ち時間の応じた行動を取れるようにする。
以上の方法は、予想診察時間を計算し優先順位を決め、その優先順位を基に待つ列を変え、診察の順番をかえる方法であった。診察の順番をかえるもう一つの方法は、診療所に受け付けをしたときに、受け付けをした患者の予想診察時間を基に診療時間・診療待ち時間の比率を計算し、それがなるべき公平になるように、診察順番を変更する方法である。
診療時間・診療待ち時間の比率は診療時間を診療待ち時間で割ることによって求めることができる。この比率が各々の患者さんでなるべく等しくなるように診療の優先順位を計算する。例えば、後ろからきた患者が前からいた患者の前に入ったとしてもいまだ、前からいた患者のほうがこの比率が高いときには診療の順番を換えることでこの比率はより平等になる。
患者には常に現在の平均診療時間がどれぐらいであるかを示すことが望ましい。たとえば、診察券の裏、又はインターネットでアクセスすることにより過去の診察データとともに、診療にかかった時間、診察内容を表示して提供する。この行為により、診療時間を短くしてもらうことのメリットを示すことができる。
確認事項データベースは、医師などの臨床経験の豊富な方に質問項目を作成してもらい、その返答と診療時間の相関がより強いもの優先的に格納することにより、診療時間に強い相関のある確認事項を持ったデータベースを作成することができる。図7が確認事項データベースのデータ例であり、図8が、データベースの作成方法例のフローチャートである。
質問項目としては、特に4種類の質問を用意する。一つは、来院目的、質問内容、年齢、性別などの一般的な質問である。たとえば、年齢であるとか、現在の治療に満足しているかどうかなどの確認内容もこれにあたる。どのような患者でも現在の治療に満足をしていない場合は診療内容を調整をするために診療時間は延びる傾向がある。二種類目は、現在、患者さんが緊急状態であるかどうかを確認する質問である。緊急な疾患は、基本的には確定診断のために多くの検査行う必要があるため、診療時間は長引く傾向にある。三種類目は、診断をつけるための問診である。診断が既についている患者は診療内容もすぐに決定するため、診療時間が短くなる傾向がある。そして四種類目は、現在の治療方法の副作用がでているかどうかを確かめる内容である。副作用が見られる患者はさまざまな検査を行う必要があるため,診療時間が伸びる傾向にある。このようなカテゴリーの質問事項をなるべく多数用意して、確認事項データベースに収録する。図5、図6にこれら4種類の質問のリストを示した。年齢、来院目的の一般的な質問、頭痛時に発熱が無いことの確認し髄膜炎などの緊急疾患が無いことを確認する質問、痛みがずきずきするなど頭痛を診断へと導く質問、ACE阻害剤の副作用がでていないかの質問などがこの表に入っている。
以上のように集めた質問事項のなかから、より診察時間を予想するのに役立つ質問事項をスクリーニングする必要がある。つまり、より相関の強い質問を、以上の質問集より選び出す必要がある。具体的な方法の例を、図8に記した。幾つかの質問を用意し、確認事項と診察時間との相関を多因子統計分析を用いて調べ、相関の少ないものを質問リストから取り除き、他の質問を入れて、この作業を繰り返す。この過程で,相関の強いものだけが質問リストに残されていくため、最終的には診療時間と相関の強い質問リストが出来上がる。このようにして、その返答と診療時間の相関がより強いもの優先的に格納することにより、診療時間に強い相関のある確認事項を持ったデータベースを作成することができる。
過去の診察時間の平均が短い患者様は次回の診察時間も短く、診察時間のデータを保存
しデータ分析することにより、次回の外来の予想診察時間の精度をよくすることができる
。あるクリニックの1年間のデータで、1月から8月までに6回以上来院した患者様310名
の9月以降の最初の診察時間のデータ(図10)では、過去の診察時間が5分未満の患者様
の平均診察時間は、390秒であり、また、過去の診察時間が5分以上の患者様の平均診察時
間は515秒であり、その二つの差はP=0.02で統計学的に有意であった。このことより、診
察時間の短い傾向のある患者は次回の診察時間も短い傾向にある。
また、例えば、咳、発熱を主訴とする患者さんの鑑別疾患にインフルエンザと肺炎があ
る。あるクリニックの1年間に来院した患者様の調査(図11)では、肺炎と診断された
患者様は683名存在し、503±375秒(平均±1SD)、診察に時間がかかっている。一方、イ
ンフルエンザと診断された患者様は4322名存在し、432±341秒(平均±1SD)、診察に時間
がかかっており、その二つの差は、P<0.001で統計的に有意である。問診で、1)インフ
ルエンザの患者さんが周囲にいたこと、2)38度以下の発熱であること、3)心拍数が10
0以下であること、4)発熱が24時間以内で最大になったこと、5)ワクチンをうけてい
ないことの5つ全てが当てはまれば、肺炎の可能性はほとんど無く、患者様は風邪または
インフルエンザの診断となり、咽頭の検査を行って陽性ならば抗インフルエンザ薬を出し
て、陰性ならば風邪薬をだして帰宅させればよいことになる。一方、肺炎の場合は、詳し
い問診を取り、胸部X線をとり、症状によっては紹介状を書いて近くの大きい病院に紹介
することが必要になり、診療時間が伸びることとなる。したがって、事前に発熱の程度、
周囲の感染の有無、心拍数、熱型、そしてワクチンの有無を知ることにより、診療時間を
より正確に予想することができるようになる。また、患者の年齢など背景因子も診察時間
との相関があることが分かっている。あるクリニックに1年間に来院した5808名の患者さ
まの調査(図12)では、年齢と診察時間は正の相関があり(P<0.001)、診察時間(秒
)は0.942×年齢(才)+423秒と近似された。(R
2
=0.79)したがって、患者様の背景
因子を聞くことにより、予想診察時間の精度をよくすることができる。
したがって、以上に示すように、事前に問診を行うことにより、予測診察時間を精度良
く予想し、また、その情報を用いて、患者様の診察優先順位を変化させることにより、診
察時間と待ち時間の間になる不公平さを取り除くことが可能になる。
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---|---|---|---|
JP2005340504A JP2007148645A (ja) | 2005-11-25 | 2005-11-25 | 予想診療時間を計算し診療の優先順位を決定する機能を持った装置 |
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JP2005340504A JP2007148645A (ja) | 2005-11-25 | 2005-11-25 | 予想診療時間を計算し診療の優先順位を決定する機能を持った装置 |
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