JP2007134204A - 燃料電池セパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】 燃料電池セパレータの冷媒に接する部分に形成された絶縁被覆にブリスター(水ぶくれ)が発生することを防止する。
【解決手段】 冷媒流通用の隙間106aに面したアノード側金属セパレータ101の表面にプライマー層107を介して絶縁被覆108を形成した構造において、基材とプライマー層107との界面における気化した冷媒が液化することによって生じるブリスターの発生を防止するために、冷媒排出溝111を形成する。これにより、何らかの理由により、部分的にプライマー層107と接する部分のアノード側金属セパレータ101の温度が低下し、その界面部分で気化した冷媒成分が液化しても、この液化成分は冷媒排出溝111から外部に排出されるので、ブリスターの発生を防止することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 冷媒流通用の隙間106aに面したアノード側金属セパレータ101の表面にプライマー層107を介して絶縁被覆108を形成した構造において、基材とプライマー層107との界面における気化した冷媒が液化することによって生じるブリスターの発生を防止するために、冷媒排出溝111を形成する。これにより、何らかの理由により、部分的にプライマー層107と接する部分のアノード側金属セパレータ101の温度が低下し、その界面部分で気化した冷媒成分が液化しても、この液化成分は冷媒排出溝111から外部に排出されるので、ブリスターの発生を防止することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料電池セパレータの表面に形成された絶縁被覆が、内側に侵入した水分によって膨れ上がる現象を防止する技術に係り、特に排出溝を設けることで絶縁被覆の膨れを防止する技術に関する。
固体高分子型燃料電池のセパレータとして、シール部を一体化したシール一体型金属セパレータが知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、冷媒を介して流れるリーク電流による金属セパレータの腐食を防止するために、金属セパレータの冷媒排出用連通孔の付近に絶縁被覆を形成する技術が知られている(例えば特許文献2を参照)。この絶縁被覆が形成された構造は、金属セパレータの表面に下地層となるプライマー層を形成し、その上にゴム材料の絶縁被覆が形成された構造を備えている。
よく知られているように固体高分子型燃料電池は、単位発電セルを多数(数十以上)積層することによって、必要とする電圧を得ている。一方、固体高分子型燃料電池は電気自動車の動力源として開発が進められているが、乗用車に搭載するために、極力小型化および軽量化が求められている。このため、上述した金属セパレータの絶縁被覆もできるだけ薄くすることが求められている。
しかしながら、絶縁被覆を薄くした場合、長期の動作において、冷媒による冷却効果が低下し、発電能力が低下する現象が現れる。これは、冷媒に接した絶縁被覆にブリスター(水ぶくれ)が発生し、ただでさえ狭く設定された冷媒を流通させるための経路がこのブリスターによって塞がれ、それによりセパレータ表面への冷媒の流通が阻害されるからである。
以下、この問題について説明する。図4は、シール一体型金属セパレータを採用した固体高分子型燃料電池の断面構造の一部を示す断面図である。図4には、単位発電セル600aと単位発電セル600bとが積層された構造が示されている。単位発電セル600aは、アノード側金属セパレータ601とカソード側金属セパレータ602との間にMEA(Membrane Electrode Assembly)603を挟んだ基本構造を有している。アノード側金属セパレータ601のMEA603側には、酸化剤ガス(例えば空気)をMEA603に供給させるための酸化剤ガス供給溝604が形成されている。また、カソード側金属セパレータ602には、燃料ガス(例えば水素ガス)をMEA603に供給させるための燃料ガス供給溝605が形成されている。なお、図示省略されているが、単位発電セル600bも単位発電セル600aと同様な構造を有している。
隣接する単位発電セル600aと600bとの間には、冷媒(例えば純水)を流すための冷媒流通用の隙間606が設けられている。この例においては、冷媒流通用の隙間606から流れ出た冷媒は、各単位発電セルを貫通した冷媒排出用連通孔610に排出され、そこから燃料電池外に排出される。
冷媒排出用連通孔610へ繋がる冷媒流通用の隙間606の端部付近には、隣接する単位発電セル600aと600bとの間における冷媒を介したリーク電流の発生を抑えるための絶縁被覆608が形成されている。絶縁被膜608は、ゴム材料によって構成されており、他の部分においては隣接するセパレータ間のシールとしても機能する。そして、絶縁被覆608とセパレータを構成する材料(例えばステンレス合金)との間には、両者の密着性を高めるためのプライマー層607が形成されている。
この構造において、発電動作を行うと、プライマー層607とセパレータを構成する材料との界面に冷媒が溜まり、ブリスター(水ぶくれ)609が形成されてしまう。小型化を追求した固体高分子型燃料電池は、冷媒流通用の隙間606の間隔も狭いので、図示するように冷媒流通用の隙間606がブリスター609の膨らみによって塞がれ、冷媒の流通が阻害される。この結果、冷媒による冷却効率が低下し、発電能力が低下してしまう。
本発明者らは、このブリスターの発生メカニズムについて解析した結果、以下の知見を得た。まず、燃料電池の動作時において、発電作用に伴って金属セパレータの温度は、80℃〜90℃に上昇する。この時、冷媒の温度も上昇するので、その蒸気圧が高くなり、冷媒が気化し易くなり、気化した冷媒(例えば水蒸気)は絶縁被覆608中に侵入する。この絶縁被覆608中に侵入した気化した冷媒は、プライマー層607の微細空隙(形成時に生じた微細な欠損)にも侵入する。車載型の燃料電池は、走行状態に合わせて出力を変動させる必要があり、例えば車の停止時や徐行運転時に、発電が停止され、その出力が所定の値からゼロに減じられる様な場合もあり得る。この際、セパレータの周囲縁近くにおいて、絶縁被覆608に接する冷媒の温度よりも被覆下の金属部の温度の方が低くなる場合がある。この時、上述した絶縁被覆608中およびプライマー層607の微細空隙に侵入した気化状態の冷媒が凝縮する。凝縮した冷媒は、プライマー層607および絶縁被覆608を透過し難いので、プライマー層607および絶縁被覆608を膨潤し、さらにプライマー層607とセパレータ602の表面との間に液体状態となって溜まる。特にプライマー層607とセパレータ602の表面との界面付近は、温度の低下したセパレータ602に気化状態の冷媒が直接接触するので、上述した冷媒の気化成分の凝縮が優先的に進み、液体状態の冷媒が溜まり易い。このようなメカニズムにより、ブリスター609が発生する。
本発明は、上述したブリスターの発生による発電能力の低下を防ぐために、燃料電池セパレータの絶縁被覆内側におけるブリスターの発生を防止することができる燃料電池セパレータを提供することを目的とする。
本発明は、冷媒に接する燃料電池セパレータであって、導電性の板状部材と、この板状部材の前記冷媒に接する面に形成された絶縁被覆と、この絶縁被覆と前記板状部材との間に形成された冷媒排出溝とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、気化した冷媒が絶縁被覆を透過し、その透過成分がセパレータ本体を構成する板状部材と絶縁被覆との間で液化し水滴が生成したとしても、それが冷媒排出溝を介して排出される。あるいは、水滴の生成に伴う圧力が冷媒排出溝から逃げる。このため、ブリスターの発生が防止され、ブリスターの発生に起因する燃料電池の発電能力の低下を防止することができる。
冷媒としては、少なくとも水を含んでいるものが採用される。例えば、冷媒として、純水やエチレングリコール等の不凍液が添加された純水が利用される。本発明は、板状部材としてステンレス合金等の金属を採用した場合(金属セパレータとした場合)に特に有効である。しかしながら、板状部材として、カーボン材料や樹脂材料を用いたものを採用することもできる。絶縁被覆は、ゴム材料、例えば、EPDM、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フロロシリコーンゴム、パーフルオロゴム、これらゴムの複数のブレンドゴムを利用して構成される。また、絶縁被覆と板状部材との間には、板状部材への絶縁被覆の密着性を良くするためのプライマー層(下地層)を形成することが好ましい。プライマー層としては、例えばシランカップリング剤を利用することができる。
本発明において、冷媒は、板状部材の表面に沿ってその一方から他方に向かって流れ、冷媒排出溝は、この流れの下流側に形成されている構造とすることは好ましい。板状部材に沿った冷媒の流れにおいて、その流れの上流側では、冷媒の温度が低いので、本発明において問題とするセパレータの基材側が相対的に低温になることによる気化した冷媒成分の液化現象はさほど問題にはならない。一方、セパレータを構成する板状部材に沿った冷媒の流れの下流側においては、冷媒が板状部材から熱を奪ってその温度が上昇しているので、上述した問題が発生し易い。このため、本発明の冷媒排出溝は、冷媒の流れの下流側に設けることが効果的となる。
冷媒排出溝は、冷媒が供給される空間に開放された出口を備える構造とすることが好ましい。この態様によれば、隣接する単位発電セル間において、冷媒の流通経路に沿った絶縁被覆された部分の経路を長く確保することができるので、隣接した単位発電セル間における冷媒中の溶出物(例えば金属イオン)を介したリーク電流を抑制する効果を高くすることができる。このリーク電流は、セパレータの腐食を促進する腐食電流として働くので、その値を抑えることでセパレータの腐食の進行を抑えることができる。このことは、セパレータからの溶出物によって冷媒の導電率が上昇することが懸念される金属セパレータの場合に特に有効になる。
本発明において、冷媒排出溝が、板状部材の表面に形成される構造とすることは好ましい。この態様においては、板状部材の表面に溝が形成され、この溝が液化した冷媒を排出するための通路となる。また本発明において、冷媒排出溝は、絶縁被覆の裏面に形成されている態様とすることは好ましい。この態様によれば、板状部材側に溝は形成されず、絶縁被覆の板状部材側(セパレータの基材側)の面に溝が形成される。
本発明において、板状部材と絶縁被覆との間に、プライマー層が形成され、このプライマー層は、前記冷媒排出溝の部分に形成されていない態様とすることは好ましい。この態様によれば、冷媒排出溝が存在している部分にプライマー層が形成されていないので、板状部材とプライマー層との界面において冷媒が液化しても、それを効果的に排出することができる。また、液化した冷媒の圧力を効果的に逃がすことができる。この態様を実現するには、板状部材の表面にプライマー層を形成した後に、切削等によりプライマー層ごと板状部材の表面を一部除去して溝を形成すればよい。
本発明によれば、ブリスター発生の原因となる冷媒の液化成分を絶縁被膜とセパレータ本体との間から排出する排出溝を設けることで、ブリスターの発生を防止することができる。そして、ブリスターが発生することで、冷媒の供給が阻害されてしまう不都合の発生が防止され、冷却機能の低下による発電能力の低下を防ぐことができる。
1.第1の実施形態
(1)構成
図1は、本発明を利用したシール一体型金属セパレータを採用した固体高分子型燃料電池の断面図である。図1には、符号100aおよび100bによって示される単位発電セルが積層された構造が示されている。図1には、基本的な積層構造が示されているのみであるが、実際の燃料電池では、図示する基本構造が多数繰り返された積層構造が採用される。
(1)構成
図1は、本発明を利用したシール一体型金属セパレータを採用した固体高分子型燃料電池の断面図である。図1には、符号100aおよび100bによって示される単位発電セルが積層された構造が示されている。図1には、基本的な積層構造が示されているのみであるが、実際の燃料電池では、図示する基本構造が多数繰り返された積層構造が採用される。
単位発電セル100aは、アノード側金属セパレータ101とカソード側金属セパレータ102との間にMEA(Membrane Electrode Assembly)103を挟んだ基本構造を有している。MEAは、電解質膜接合体のことであり、発電を行うための反応を生じさせるための触媒を含んだ部材である。アノード側金属セパレータ101のMEA103側には、酸化剤ガス(例えば空気)をMEA103に供給させるための酸化剤ガス供給溝104が形成されている。カソード側金属セパレータ102には、燃料ガス(例えば水素ガス)をMEA103に供給させるための燃料ガス供給溝105が形成されている。なお、図示省略されているが、単位発電セル100bも単位発電セル100aと同様な構造を有している。
符号106aは、冷媒の供給経路となる冷媒流通用の隙間である。本実施形態においては、この冷媒流通用の隙間106aに冷媒として不凍液(エチレングリコール)を添加した純水が供給される。この冷媒によって、冷媒流通用の隙間106aに面する単位発電セル100aのアノード側金属セパレータ101とその上方の単位発電セルのカソード側金属セパレータが冷却される。また、冷媒流通用の隙間106aと同様な構造の冷媒流通用の隙間106bが、単位発電セル100aと単位発電セル100bとの間に形成されている。なお、冷媒流通用の隙間106aおよび106bにおける冷媒の流れは、これら隙間106aおよび106bから、各単位発電セルを貫通した冷媒排出用連通孔110に向かって冷媒が流れ出る向きになるように設定されている。
冷媒排出用連通孔110へ繋がる冷媒流通用の隙間106aの端部付近におけるアノード側金属セパレータ101には、プライマー層107を介して絶縁被覆108が形成されている。この例において、プライマー層107は、シランカップリング剤の塗布物で構成され、絶縁被覆108のアノード側金属セパレータ101への密着性を改善する。絶縁被覆108は、シリコーンゴムで構成され、電気的な絶縁性と同時にシールに必要な弾力性を備えている。冷媒流通用の隙間106aの端部付近に絶縁被覆108を形成することで、隣接する単位発電セル100aと100bとの間における冷媒を介したリーク電流の経路(電位差が生じる長さ)を長くし、それによりこのリーク電流の発生を抑えることができる。また、絶縁被覆108には、隣接するセパレータ間におけるシール性と絶縁性とを確保し、さらにアノード側金属セパレータ101とカソード側金属セパレータ102との間におけるシール性と絶縁性とを確保する役割がある。なお、同様な構造を有する絶縁被覆は、他のセパレータにおいても形成されている。
また、アノード側金属セパレータ101の冷媒流通用の隙間106aの端部付近において、プライマー層107と絶縁被覆108とによって構成される積層構造の下に冷媒排出溝111が形成されている。すなわち、アノード側金属セパレータ101の冷媒の流れに接する面における冷媒の流れの下流端の部分に冷媒排出溝111が形成されている。冷媒排出溝111は、アノード側金属セパレータ101の表面に形成された細長い矩形状の溝であり、冷媒流通用の隙間106aに面した冷媒排出用連通孔110側の縁付近に形成されている。なお、冷媒排出溝111に対向するカソード側金属セパレータ102にも同様な構造の冷媒排出溝112が形成されている。
図2は、図1に示すアノード側金属セパレータ101の発電領域の縁付近(冷媒排出用連通孔110側の縁付近)の断面構造を示す断面図(A)、この(A)に示す構造をZ軸の方向から見た上面図(B)、および(B)のA−A’で切った断面の構造を示す断面図(C)である。なお、発電領域というのは、MEA103と重なる領域のことであり、燃料電池反応によって発電が行われる領域のことである。
図2(A)および(B)に示すように、冷媒排出溝111は、アノード側金属セパレータ101の発電領域の外側付近から冷媒排出用連通孔110の方向に延在している。冷媒排出溝111の冷媒排出用連通孔110の方向の端部は、行き止まりであり、反対方向(発電領域側の方向)の端部は、符号111aによって示されるように冷媒流通用の隙間106aに対して開放されている。この開放された部分111aが冷媒排出溝111から冷媒流通用の隙間106aへの水抜き口あるいは圧力を逃がす開口として機能する。また、図2(B)に示すように、冷媒排出溝111は、所定の間隔をおいて複数配置されている。ここでは、アノード側金属セパレータ101に形成された冷媒排出溝111について説明したが、他のセパレータにも同様に冷媒排出溝が形成されている。
(2)作製方法
ここでは、上述したアノード側金属セパレータ101の作製方法を説明する。まず、所定の形状に切断したステンレス合金をプレス成形し、冷媒排出溝111が形成されていない状態のアノード側金属セパレータ101の形状を得る。次にシランカップリング剤、造膜剤、溶剤および触媒を含む混合物を塗布することでプライマー層107を形成する。
ここでは、上述したアノード側金属セパレータ101の作製方法を説明する。まず、所定の形状に切断したステンレス合金をプレス成形し、冷媒排出溝111が形成されていない状態のアノード側金属セパレータ101の形状を得る。次にシランカップリング剤、造膜剤、溶剤および触媒を含む混合物を塗布することでプライマー層107を形成する。
プライマー層107を形成したら、冷媒排出溝111を切削法によって形成する。この際、アノード側金属セパレータ101と一緒にプライマー層107も筋状に除去され、冷媒排出溝111が形成される。この方法によれば、冷媒排出溝111の部分においてプライマー層107は存在しない状態となる。冷媒排出溝111の形成手段は、セパレータ構成材料に溝を形成することができる手段であれば特に限定されない。冷媒排出溝111を形成したら、シリコーンゴムにより構成される絶縁被覆108を射出成型法によって形成する。この際、射出成形条件を調整することにより、絶縁被覆108の構成材料が冷媒排出溝111内に侵入しないように設定する。こうして、図1および図2に示すアノード側金属セパレータ101を得る。なお、絶縁被覆の形成方法は、射出成形法に限定されるものではない。また、冷媒排出溝111に絶縁被覆108の構成材料が侵入しないようにする方法として、金型で対応する方法、あるいは冷媒排出溝111に詰め物やマスクを配置して絶縁被覆108を形成する方法等を採用することもできる。
(3)動作
まず、図1に示す燃料電池の構造において、酸化剤ガス供給溝104に空気を流し、燃料ガス供給溝105に水素ガスを流すと、MEA(Membrane Electrode Assembly)103に触れた水素が触媒反応により水素イオン(H+イオン)となる。この水素イオンは、MEA103中を透過し、アノード側で空気中の酸素と結合し、MEA103のアノード側において水が生成される。この際、カソード側金属セパレータ102には、水素から電離した電子が与えられるので、アノード側金属セパレータ101がカソード側金属セパレータ102に比較して高電位となる。この作用は、積層された各単位発電セルにおいて生じので、直列に接続された積層構造の一端側の単位発電セルのアノード側金属セパレータと、他端側の単位発電セルのカソード側金属セパレータとの間に負荷を接続すると、電流が流れ、発電機能を得ることができる。
まず、図1に示す燃料電池の構造において、酸化剤ガス供給溝104に空気を流し、燃料ガス供給溝105に水素ガスを流すと、MEA(Membrane Electrode Assembly)103に触れた水素が触媒反応により水素イオン(H+イオン)となる。この水素イオンは、MEA103中を透過し、アノード側で空気中の酸素と結合し、MEA103のアノード側において水が生成される。この際、カソード側金属セパレータ102には、水素から電離した電子が与えられるので、アノード側金属セパレータ101がカソード側金属セパレータ102に比較して高電位となる。この作用は、積層された各単位発電セルにおいて生じので、直列に接続された積層構造の一端側の単位発電セルのアノード側金属セパレータと、他端側の単位発電セルのカソード側金属セパレータとの間に負荷を接続すると、電流が流れ、発電機能を得ることができる。
(4)優位性および効果の確認
上記の反応において、MEA103は発熱するが、その熱は、冷媒流通用の隙間106に流れる冷媒によって冷却される。前述したように、負荷の変動や運転状況によっては、冷媒流通用の隙間106aの出口付近(冷媒が冷媒排出用連通孔110に流れ出る付近)において、アノード側金属セパレータ101の温度が冷媒の温度よりも低くなる場合がある。この際、絶縁被覆108およびプライマー層107を透過した冷媒の気化成分が液化して水滴が生成される。しかしながら、この水滴は、冷媒排出溝111から、開放された部分111aを通じて冷媒流通用の隙間106に排出される。あるいは、水滴が生成され、ブリスター(図4の符号609を参照)が発生しそうになっても、ブリスターを発生させる圧力が冷媒排出溝111を介して冷媒流通用の隙間106に逃げる。こうして、ブリスターの発生が防止される。なおここでは、アノード側金属セパレータ101を例に挙げて説明を行ったが、他のセパレータにおいても同様のメカニズムによりブリスターの発生が防止される。
上記の反応において、MEA103は発熱するが、その熱は、冷媒流通用の隙間106に流れる冷媒によって冷却される。前述したように、負荷の変動や運転状況によっては、冷媒流通用の隙間106aの出口付近(冷媒が冷媒排出用連通孔110に流れ出る付近)において、アノード側金属セパレータ101の温度が冷媒の温度よりも低くなる場合がある。この際、絶縁被覆108およびプライマー層107を透過した冷媒の気化成分が液化して水滴が生成される。しかしながら、この水滴は、冷媒排出溝111から、開放された部分111aを通じて冷媒流通用の隙間106に排出される。あるいは、水滴が生成され、ブリスター(図4の符号609を参照)が発生しそうになっても、ブリスターを発生させる圧力が冷媒排出溝111を介して冷媒流通用の隙間106に逃げる。こうして、ブリスターの発生が防止される。なおここでは、アノード側金属セパレータ101を例に挙げて説明を行ったが、他のセパレータにおいても同様のメカニズムによりブリスターの発生が防止される。
以下、ブリスターの発生を防止する効果を検証した実験結果について説明する。下記の表1および表2に記載されているのは、上述した実施形態において、冷媒排出溝の有無、その幅の違い、その配置密度の違い、におけるブリスターの発生状態、および絶縁被覆の破壊の有無を調べた結果である。なお、冷媒排出溝は、断面を略コの字形状の凹型とし、その深さは約30μmとした。また、冷媒排出溝を形成したのは、図2示すように冷媒が冷媒流通用の隙間106から冷媒排出用連通孔110に流れ出る部分とした。
サンプル1から明らかなように、冷媒排出溝が存在しない場合、70%の領域においてブリスターが発生する。また、サンプル7のように、冷媒排出溝を設けた場合であっても、その数が5mmの幅において1本であり、溝の幅が0.05mmと狭い場合も70%の領域においてブリスターが発生してしまう。一方、サンプル2のように、冷媒排出溝の幅が0.05mmであっても、その数が5mmの幅において2本(サンプル7の2倍の密度)であれば、ブリスターの発生面積率を30%に抑えることができる。
また、サンプル5、サンプル6さらにはサンプル11のように、冷媒排出溝の幅を2mm以上の値とすると、絶縁被覆の基材からの剥離が発生する。この剥離は、冷媒の流れが冷媒排出溝内に侵入し、その流れの勢いによって絶縁被覆がめくれ上がることによって発生する。絶縁被覆の基材からの剥離が発生すると、そのめくり上がった絶縁被覆によって、冷媒の流路が塞がれ、冷媒の流れが阻害されるので好ましくない。したがって、冷媒排出口は、その幅を0.1〜2mm程度とし、その配置密度を5mm幅の中に1本以上設けることが好ましい。
2.第2の実施形態
図3は、図2(C)と対比される図であり、冷媒排出溝の他の構造を示す断面図である。この例においては、図3に示されるように、冷媒排出溝111が、絶縁被覆108側に形成されている。
図3は、図2(C)と対比される図であり、冷媒排出溝の他の構造を示す断面図である。この例においては、図3に示されるように、冷媒排出溝111が、絶縁被覆108側に形成されている。
以下、アノード側金属セパレータ101を例に挙げ、図3に示す構造の作製方法を説明する。まず、ステンレス板に対して燃料ガスの供給経路等を形成するためのプレス加工を行いアノード側金属セパレータ101の基材を得る。次にアノード側金属セパレータ101上の後に冷媒排出溝111が形成される部分に図示しないマスクを形成する。このマスクは、専用の溶剤によって選択的に除去可能な材料を利用して形成する。次にプライマー層107を形成し、さらに絶縁被覆108を形成する。その後、前述した専用の溶剤で図示しないマスクを溶かし、それを除去することで、絶縁被覆108側に冷媒排出溝111を形成し、図3に示す状態を得る。
本発明は、燃料電池セパレータに利用することができる。
100a…単位発電セル、100b…単位発電セル、101…アノード側金属セパレータ、102…カソード側金属セパレータ、103…MEA(Membrane Electrode Assembly)、104…酸化剤ガス供給溝、105…燃料ガス供給溝、106a…冷媒流通用の隙間、106b…冷媒流通用の隙間、107…プライマー層、108…絶縁被覆、110…冷媒排出用連通孔、111…冷媒排出溝、111a…開放された部分、112…冷媒排出溝。
Claims (6)
- 冷媒に接する燃料電池セパレータであって、
導電性の板状部材と、
この板状部材の前記冷媒に接する面に形成された絶縁被覆と、
この絶縁被覆と前記板状部材との間に形成された冷媒排出溝と
を備えることを特徴とする燃料電池セパレータ。 - 前記冷媒は、前記板状部材の表面に沿ってその一方から他方に向かって流れ、
前記冷媒排出溝は、前記流れの下流側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セパレータ。 - 前記冷媒排出溝は、前記冷媒が供給される空間に開放された出口を備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セパレータ。
- 前記冷媒排出溝は、前記板状部材の表面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セパレータ。
- 前記冷媒排出溝は、前記絶縁被覆の裏面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セパレータ。
- 前記板状部材と前記絶縁被覆との間には、プライマー層が形成され、
このプライマー層は、前記冷媒排出溝の部分に形成されていないことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セパレータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005327079A JP2007134204A (ja) | 2005-11-11 | 2005-11-11 | 燃料電池セパレータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005327079A JP2007134204A (ja) | 2005-11-11 | 2005-11-11 | 燃料電池セパレータ |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101149351B1 (ko) | 2012-02-03 | 2012-05-30 | 주식회사 누리플랜 | 레독스 흐름전지용 바이폴라 플레이트 제조방법 |
KR200463822Y1 (ko) | 2012-09-13 | 2012-11-27 | 주식회사 누리플랜 | 레독스 흐름전지용 바이폴라 플레이트 |
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CN113363523A (zh) * | 2020-03-04 | 2021-09-07 | 本田技研工业株式会社 | 金属隔板、燃料电池以及金属隔板的制造方法 |
-
2005
- 2005-11-11 JP JP2005327079A patent/JP2007134204A/ja active Pending
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JP2021140909A (ja) * | 2020-03-04 | 2021-09-16 | 本田技研工業株式会社 | 金属セパレータ、燃料電池及び金属セパレータの製造方法 |
JP7382258B2 (ja) | 2020-03-04 | 2023-11-16 | 本田技研工業株式会社 | 金属セパレータ、燃料電池及び金属セパレータの製造方法 |
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