JP2007132916A - 水素ガス検知材および水素ガス検知部材、並びに水素ガス漏洩検知法 - Google Patents

水素ガス検知材および水素ガス検知部材、並びに水素ガス漏洩検知法 Download PDF

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Abstract

【課題】水素ガスの漏洩を簡便かつ確実に検知することのできる水素ガス検知技術を開発すること。
【解決手段】保水性担持材に、水素還元を受けて脱色する発色団(例えば、アゾ基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボニル基、エチレン基など)を有する染料と水素化触媒(例えば、Pd,Ni,Ru,Ptなど)、好ましくは更にpH調整成分が担持されており、水素ガスとの接触により脱色して水素ガスの存在を簡便に肉眼検知できる水素ガス検知材と、これを用いた検知部材を開示する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば燃料電池システムの如く水素ガスを使用する装置・設備において、水素ガスの漏洩を簡便かつ確実に検知することのできる水素ガス検知材と検知部材、並びに水素ガス漏洩検知法に関するものである。
金属材料などに含まれる水素については、例えばAPI−MS(大気圧イオン化質量分析)の如き昇温分析法や電気化学透過法などを使用し、ある温度域で被検査材料からの水素放出量を求めることによって確認できる。しかし、材料の部分的な水素含量については、特定X線などを用いた簡便な局所分析法が適用できないため、トリチウムオートラジオグラフィーや2次イオン質量分析法(SIMS)等が採用されている。前者は、トリチウムを用いて水素の存在位置を可視化する方法であり、後者は、被検体に数keV〜10数keVのイオンを照射し、放出されるイオンを質量分析する方法で、これらの方法によれば、微小領域に含まれる水素をppmオーダーで検出することができる。
その他の水素可視化法として、銀デコレーション法や水素マイクロプリント法も知られている。前者は、ジシアン化銀が水素還元を受けることによって生成する銀粒子を水素の可視化に利用する方法であり、後者は、臭化銀が水素還元を受けることによって生成する銀粒子を電子顕微鏡で観察する方法である。また、雰囲気中に存在する水素ガス濃度の検知用として各種のセンサーも開発されている。
上記以外にも、水素の検知乃至分析には幾つかの方法が提案されている。例えば特許文献1は、固体材料の表面における水素分布を可視化する方法が開示されており、具体的には、表面に水素が吸着もしくは吸蔵した固体材料の表面を硝酸銀アンモニウム水溶液に接触させ、硝酸銀アンモニウム水溶液中の銀イオンを、固体材料の表面に吸着もしくは吸蔵した水素によって銀に還元し、固体材料の表面に析出させて可視化する方法である。この方法は、シアン化合物の如き有害な試薬を使用しないため、可視化試薬の調製や可視化操作の安全性が高く、廃液処理などの問題も生じない。
また特許文献2には、白金が高温で水素に浸食されたときに生じる電気抵抗の上昇を利用し、電気抵抗の変化によって水素の漏洩を検知する方法が開示されている。この方法では、水素による侵食を促して検知応答の迅速性を高めるため、白金と共に燐や燐酸化物を共存させている。具体的には、白金からなる検知部をステンレス鋼管内に収容し、燐または燐酸化物の粉末をアルミナセメントに混ぜて前記白金検知部とステンレス鋼管との空隙に充填して充填層とし、検知部には、アルミナ焼結体からなる巻枠に白金細線同士が接触しない様に巻付け、該白金細線の両端に導線を接続して電気抵抗を測定する方法を採用している。
更に特許文献3には、燃料電池のセル型電極間に電圧を印加し、透過水素ガスを陽極側、空気を陰極側に夫々供給し、電極間に流れる電流値の変化によって、配管や機器を透過する水素ガス量を測定する方法が開示され、また特許文献4には、水素イオン伝導性を有する電解質膜の一方の表面に水素解離触媒電極を設けると共に、他方の表面には水素生成触媒電極を設け、前記水素解離触媒電極の表面には被検出ガスが流れるガス配管に開口する流路を設けた正極集電板を設け、また前記水素生成触媒電極の表面には水素生成触媒電極が被検出ガスに直接曝される負極集電板を配設し、該集電板の間に直流電圧を印加して、前記水素解離触媒電極から前記水素生成触媒電極に向かう水素イオン輸送作用により流路から送りこまれる被検出ガス中の水素ガス濃度に応じて変化する電流を検出する方法が開示されている。
特許第3428771号公報 特開昭62−271306号公報 特開昭57−84511号公報 特開2002−117734号公報
しかし、上記方法のうちトリチウムオートラジオグラフィーを用いる方法は、水素の存在位置を金属組織レベルで観察できるが、放射性同位元素であるトリチウムを使用する方法であるから、簡便な方法とは言えない。またイオン質量分析法によれば、材料の水平方向や深さ方向の水素分布状態を知ることができ、銀デコレーション法やマイクロプリント法では、材料表面の水素を精度よく観察できる。
ところがこれらの方法は、微小領域に存在する水素の分析法としては有効であるが、広い領域に存在する水素の存在状態や漏洩を観察し、或いは、数10cm程度以上のマクロ領域における水素存在状態の観察や分析、水素ガス漏洩位置の確認などには適していない。前掲の特許文献1〜4に開示された技術も、比較的広い部位における水素分布の検知や水素漏洩部位の特定に適した方法でないことは、本質的に変わりがない。
また、API−MSなどの昇温分析法や電気化学透過法などでは、当然のことながら材料中の水素吸蔵部位や漏洩部位を知ることはできない。しかも上述した方法は、いずれも高価な装置や設備を必要とするため簡便な方法とは言えず、肉眼による目視観察も難しい。
本発明は上記の様な従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的広い観察領域に存在する水素ガス(より具体的には、漏洩水素ガス)を、簡便且つ確実に肉眼検知し得る様な技術を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明の水素ガス検知材は、保水性担持材に、水素還元を受けて脱色する発色団を有する染料と水素化触媒が担持され、好ましくは更に、pH調整剤が担持されているところに特徴を有している。
本発明に係る上記水素ガス検知材の主な構成要素となる染料において、水素還元を受ける好ましい発色団は、アゾ基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボニル基、エチレン基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を有するものであり、また水素化触媒としては、Pd,Ni,Ru,Ptよりなる群から選択される少なくとも1種(中でも特に好ましいのはPdとPt)が好ましく使用される。これらの水素化触媒の担持材に対する好ましい担持量は0.005mg/cm以上10mg/cm以下、より好ましくは0.01mg/cm以上0.5mg/cm以下である。
前記担持材は、水素ガス透過性の平布状もしくはテープ状物とし、片面の一部に仮止め用の接着剤が付着されているものが好ましい。
また本発明の水素ガス検知部材は、水素ガス検知部に上記構成の水素ガス検知材が配備されているところに特徴を有している。更に本発明の水素ガス漏洩検知法は、水素ガスの漏洩が懸念される部位に上記検知部材を配置し、該検知部材に含まれる染料に由来する色の消失によって水素ガスの漏洩を検知するところに特徴を有している。
本発明の水素ガス検知材は、上記の如く保水性の担持材に、水素還元を受けて脱色する発色団を有する染料と水素化触媒、好ましくは更にpH調整成分を担持せしめたもので、常態では染料特有の色に着色しているが、該検知材が水素ガスに接触すると、その中に含まれている染料が水素還元を受けて直ちに脱色する。そのため、当該検知材を、例えば水素ガスの漏洩が懸念される部位に配置しておけば、水素ガスの漏洩を簡便かつ確実に肉眼で検知できる。
周知の通り水素ガスは高温では化学的に極めて活性であり、様々な化合物と反応する。中でも代表的なのは水素化反応であり、不飽和二重結合を有する化合物の水素化は様々の分野で利用されているが、室温での水素の活性は低く、他の化合物との反応は殆ど起こさない。しかし、PtやPdなどの水素化触媒を使用すると、室温条件下でも反応し得る。
他方、染料の殆どは、共役系の二重結合を有する発色団におけるπ電子の移動による電荷の偏りと、それに伴う様々な波長の光の吸収によって着色するもので、着色により美観を高めるための手段として汎用されている。また、着色した染料中の二重結合が水素化されると本来の色を失って脱色することも知られている。しかし、こうした染料の脱色や退色は、染料本来の特性を劣化させる好ましくない現象としてその防止対策が講じられているとしても、脱色や退色を積極的に活用しようとする技術思想は殆どなく、本発明者らが知る限り、こうした染料の脱色や退色を水素ガスの検知に利用するといった技術思想は存在しない。
ところで、最近注目されている燃料電池利用システム等を構築していく上で、その燃料として用いられる水素ガス利用に伴う安全性を確保するには、設備機器からの水素ガスの漏洩を防止し、或いはその漏洩検知技術が必要になることは必定であり、水素ガスをマクロレベルで簡便かつ確実に検知できる様な技術の確立が望まれる。
本発明者らは、こうした状況の下で、これまで殆ど注目されていなかったマクロレベルでの水素ガスの検知に、上記染料の水素ガスによる脱色現象を活用できるのではないかと考え、その線に沿って研究を進めてきた。その結果、水素還元を受けて脱色する発色団を有する染料と水素化触媒を保水性担持材に担持させておけば、水素化触媒の作用で常温雰囲気下においても水素ガスが染料と容易に反応し、当該染料中の発色団が水素還元されることで染料本来の色を失い、該脱色によって水素ガスの存在を肉眼で容易に検知できることを知り、上記本発明に想到した。
従って本発明で使用する染料は、水素還元を受けて脱色する発色団を有するもので、該発色団としては、例えばアゾ基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボニル基、エチレン基、チオカルボニル基、カルビミノ基などが挙げられる。通常の染料は、複数のベンゼン環やナフタレン環を持った多環式芳香族骨格を有しており、これらの環と環がアゾ基やエチレン基などで結ばれた構造、或いは末端の環にニトロ基、ニトロソ基、カルボニル基などが結合した構造のものは顕著な発色を示す。
こうした分子構造を有する染料としては、フェノールレッド、フェノールフタレイン、ブロモフェノールブルー、チモルブルー、メチルイエロー、メチルオレンジ、メチルレッド、ブロモチモルブルー、チモルフタレイン、アリザリンイエロー、コンゴーレッド、ブロモクレゾールパープル、ブロモクレゾールグリーン、アミドブラック、エバンスブルーなどが例示されるが、勿論これらに限定されるものではない。またこれらの染料は、単独で使用してもよく、あるいは2種以上を任意の組合せで併用してもよい。
上記染料中に含まれる例えば、アゾ基(−N=N−)、ニトロ基(−NO)、エチレン基(−C=C−)などは、水素化を受けると夫々−NH−NH−,−NH,−CH−CH−に変化し、発色団としての機能を喪失して色を失う。ニトロソ基やカルボニル基も同様であり、水素化により構造が変化し発色団としての機能を失う。
こうした水素化反応は、相当量の水素ガスが存在したとしても常温雰囲気下では進行しないが、上記染料と共に水素化触媒を共存させておくと、常温でも上記水素化反応が進行して発色団が変化し、染料独自の色を失う。ここで用いる水素化触媒としてはPd,Ni,Ru,Ptなどの金属粉末が有効であり、これらの金属は、単独で使用できることは勿論のこと、任意の組合せで2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に好ましいのは水素化触媒作用の高いPt,Pdであり、特にPdは加温、加圧などをせずとも確実に水素化反応を進めるので好ましい。
本発明の水素ガス検知材は、上記染料と水素化触媒を保水性担持材に担持させることによって製造される。保水性担持材としては、染料と水素化触媒粉末を均一な分布状態で分散して担持し得るものであれば特に制限されず、濾紙に代表される紙を始めとするセルロース質の天然繊維もしくは再生繊維、あるいはポリエステル系繊維、ビニロン繊維、アクリル系繊維、ポリアミド繊維など各種の合成繊維からなる不織布や織・編物、更には吸水性ポリマーからなるフィルムを使用することも可能である。
これら担持材に染料や水素化触媒を担持させる方法としては、上記担持用素材中に染料や水素化触媒粉末を練り込んで繊維状やフィルム状などに加工する方法、繊維を不織布状、織・編物状などに加工し、若しくは保水性ポリマーをフィルム状に加工した後、塗布、含浸などの方法で染料や水素化触媒粉末を付着させる方法などを採用すればよい。なお担持材は、水素検知による脱色をより速やかに肉眼検知できるよう、水素ガス透過性で且つ白色などの淡色のものを使用するのがよい。また担持材は、水素ガス透過性の平布状(ラベル状)もしくはテープ状物とし、片面の一部に仮止め用の接着剤を付着しておけば、被検査体に付着もしくは巻付けて使用する際に便利である。
また、保水性ポリマーを担持用素材として使用する場合は、該ポリマーの水性液に染料と水素化触媒微粉末を分散させて水素ガス検知部位に塗料形態で刷毛塗りやスプレー塗布し、最終的に塗膜状の形態で水素ガス検知に利用することも可能である。なお保水性ポリマーとしては、ポリアクリル酸ソーダやカルボキシメチルセルロースなどが代表的なものとして例示される。
担持材に対する染料の好ましい付着量は、染料の種類などによっても変わってくるので一律に決めることはできないが、好ましいのは検知材の検知有効表面積当り0.001〜1mg/cm、より好ましくは0.005〜0.1mg/cmの範囲である。ちなみに、染料の付着量が少な過ぎると、着色状態での色が薄くて視認性が悪く肉眼による脱色の検知が困難になり、また多過ぎると、水素化され始めてから退色乃至脱色を確認できるまでの時間が長くなって検知の迅速性が損なわれる。
また、水素化触媒の担持量も、当該触媒の種類や用いる染料の種類によって変わるが、標準的な担持量は0.005〜10mg/cm、より好ましくは0.01〜1mg/cm、更に好ましくは0.01〜0.5mg/cmの範囲である。ちなみに触媒担持量が不足すると、水素化反応の進行が遅くなって検知の精度および迅速性が損なわれる。検知精度と迅速性の観点からすると触媒担持量に上限は存在しないが、多過ぎてもそれ以上に効果が高まる訳ではなくコストが無用に高くなるだけであるので経済的に無駄である。なお水素化触媒は、通常、0.1mm程度以下の粒径の微粉末として担持材に担持されるが、薄肉の担持材に担持させる場合は、当該薄肉担持材の片面側にスパッタリング法などで薄膜状に担持させることも可能である。
尚、水素ガスを精度よく且つ迅速に検知するには、担持材の表面のみならず担持材の内部にも触媒が入り込んで染料と立体的に接触している様態が好ましい。よって、スパッタリング法により水素化触媒を担持させる際に、水素ガスを効率よく検知するには、担持材片側の触媒を薄膜状に成膜した後に水で膨潤させ、次いで成膜していない面から吸引する方法、或は、厚さ0.1mm程度以下の薄膜状担持材の片面にスパッタリング法で触媒を薄膜状に担持させたものを数層積層するなどの工夫をすればよい。
なお染料の多くは、水性液としたときのpHによって発色する色調や発色の強さが変化するので、検知すべき部位のベース色に応じて最適の色調と発色強さが得られる様にpH調整するのがよく、また水素ガスの検知部位によっては酸やアルカリで劣化することもあるので、その様な劣化を生じさせないためにも、pH調整が求められることもある。こうしたことから本発明では、染料や水素化触媒以外にもpH調整成分を担持させ、用途・目的に応じた最適の発色状態が得られる様にするのがよい。ここで用いるpH調整成分としては、通常の酸(塩酸、硫酸、蟻酸、酢酸など)やアルカリ(アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物や炭酸塩など)に加えて、リン酸塩や第一、第二燐酸塩の如き緩衝作用を有する塩を併用し、安定したpH域で安定した発色状態が得られる様にするのがよい。なお、中性域のpHを確保する際には、中性水(脱イオン水や蒸留水などを含む)もpH調整成分となり得る。
なお、本発明で用いる担持材として保水性のものを選択したのは、次の様な理由による。即ち、先にも述べた様に染料の多くはpHによって発色する色や発色強さが異なり、最も観察し易い発色状態を示す至適pHが存在する。そのため、こうした染料の特性をより有効に活かし、より鮮明な発色状態と水素化による脱色を肉眼観察可能にするには、保水性の担持材を使用するのが好ましいからである。
本発明に係る水素ガス検知材の形状には特に制限がなく、水素ガス検知が行われる場所に応じてラベル状、平布状、リボン状、テープ状など任意の形状のものとすることができる。例えば、水素容器の比較的広い接合箇所での水素漏れを検知したい場合は、比較的広めの平布状とすればよく、検知すべき箇所が限られた狭い位置に限定されている場合はラベル状や狭幅の平布状とすればよい。また水素配管の如き管状部の水素ガス漏洩を検知する様な場合は長尺のリボン状またはテープ状とし、検知すべき箇所に巻付けて使用できる様にすればよい。この場合、布状やテープ状検知材の一部に粘着剤などを付着させておき、検知箇所に簡単に仮止めできる様にしておくことも有効である。
更には、水溶性ポリマーや保水性ポリマーを担持材として使用し、これに染料や水素化触媒などを溶解もしくは分散させて塗料タイプの検知材とし、水素ガスの漏洩が懸念される部位に刷毛塗りやスプレー塗布など任意の方法で塗布し造膜させてガス漏れを検知することも可能である。この様な使用形態であれば、水溶性ポリマーが担持材としての機能を果たすことになる。この様な塗装タイプの検知剤であれば、複雑形状の部品に対しても無理なく適用できるので好ましい。また、染料と水素化触媒および適当なバインダ等を含む液状の検知剤を、任意サイズの紙や布地の片面に塗布して使用することも可能である。
かくして本発明によれば、染料分子中に含まれる発色団の水素還元による脱色を水素ガスの検知に利用するという新たな発想に基づいて、特に水素ガス利用設備や水素ガス配管などにおける水素ガスの漏洩を簡単な操作で確実に肉眼検知することができ、水素ガスの漏洩で懸念される水素ガス爆発事故なども未然に防止することができる。従って、近々実用化が期待される燃料電池自動車や燃料電池発電を利用した冷暖房施設などに必要となるインフラ設備などの安全管理の一環として今後の有効活用が期待される。
以下、実験例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実験例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
実験例1
厚さ0.3mmの濾紙に、下記表1に示す染料液と水素化触媒を所定量担持させて、図1に略示する水素ガス検知用実験器具(図中、1は水素ガス検知材、1aは染料含浸濾紙、1bは水素化触媒担持層、2はガラス管、3はシリコンゴム、4a,4bは水素ガス導管をそれぞれ示す)にセットし、水素導管から加湿した水素ガス(窒素ガスとの50/50体積%混合ガス)または空気を5ml/minの流速で流した。そして、表1に示す各水素ガス検知材を検知用実験器具に装着して上記条件でガスを流し、所定時間保った後の染料含浸濾紙の色の変化を肉眼観察した。
結果は表1に示す通りであり、適正な発色団を有する染料と水素化触媒を組み合せた符号1〜8では、水素ガスの流入によって直ちに染料の色が消失した。これに対し、水素化触媒を担持させなかった符号9,10、およびガスとして空気を流した符号11では、染料による色の変化は認められなかった。
Figure 2007132916
実験例2
図2に示す如く、直径0.5mmのピンホール6を1個穿ったステンレス鋼管5(内径30mm)の一方端をシリコンゴム栓3で封鎖すると共に、反対側には水素ガス導管4a,4bを貫通したシリコンゴム栓を配置し、該ステンレス鋼管5の外周にリボン状の濾紙7を巻き付ける。
該リボン状濾紙7には、予め片面側にPd粉末を0.5mg/cm担持させておき、その上から塩酸で酸性に調整したメチルレッド水溶液(0.5mg/ml)をスプレー塗布することにより、赤色に染色しておいた。そして、水素ガス導管4a,4bに水素ガスを100ml/minの流速で流したところ、約10分後に、ピンホール6の位置で白点状に色素の脱色が起こり、水素漏洩箇所を肉眼で検知することができた。
一方、リボン状濾紙7には何も担持させておかず、上記と同じメチルレッド水溶液にPb粉末を0.05mg/mlとなる様に分散させておき、この染料+触媒分散液を濾紙7にスプレー塗布した。そして、上記と同様に水素ガス導管4a,4bに水素ガスを100ml/minの流速で流したところ、約15分後に、ピンホール6の位置で白点状に色素の脱色が起こり、水素漏洩箇所を肉眼で検知することができた。
実験例3
厚さ0.3mmの濾紙に水素化触媒(Pdブラック粉末)を吸引濾過により量を変えて担持させた後、これに赤く発色させたメチルレッド水溶液(0.5mg/ml)を含浸させ、図1に略示した実験器具にセットし、水素導管から加湿した水素ガスを5ml/minの流速で流して水素暴露させた。色差計(ミノルタ社製の商品名「CR−200」)を使用し、C光源で水素暴露前のL値、a値、b値を測定し、所定時間水素暴露させた後のL値、a値、b値を求めた。そして、該水素暴露前後の各L値、a値、b値の差(ΔL値、Δa値、Δb値)から、水素暴露前後の色の変化度合い(色差:ΔEab)を、JIS−Z−8730に記載された下記の色差計算式によって求め、水素暴露時間から単位時間当たりの色の変化速度(ΔEab/min)を求めた。
色差(ΔEab)=[(L+(Δa+(Δb1/2 (JIS-Z-8730)
色差と感覚の関係は、下記表2に示す如くNBS単位(米国標準局)で評価され、色差の値が大きいほど色の変化が大きく、ΔEab/minの値が大きいほど色の変化速度が速いことを表す。
Figure 2007132916
図3は、Pdブラック粉末の担持量と色の変化速度の関係を示したグラフであり、色の変化速度が5以上になると、数分の間に色の変化もしくは脱色が目視で確認できることから、水素化触媒の担持量は0.01mg/cm以上が好ましく、一方、担持量が0.5mg/cmを超えても色の変化速度(ΔEab/min)は殆ど上昇しなくなることから、コスト面も考慮すると触媒担持量は0.01〜0.5mg/cmの範囲が好ましいと判断される。
実験例4
RFスパッタリング装置を使用し、厚さ0.4mm(ワットマンNo.3)と0.1mm(ワットマンNo.50)のセルロース濾紙上に、それぞれ厚さ50nmのPd薄膜を成膜した。成膜条件は、ターゲット;Pd金属、基板温度;室温、Arガス圧;1〜3mTorr、極間距離;55mm、成膜速度;20nm/min、成膜前の到達真空度;1.0×10−5Torrとし、担持量はPdの比重から約0.06mg/cmであった。
スパッタリング法によって水素化触媒を担持させた厚さ0.4mmの濾紙(表3中の符号16)、厚さ0.4mmの濾紙に触媒を担持してから純水に膨潤させ、次いで触媒を担持させない面から吸引したもの(表3中の符号17)、厚さ0.1mmの濾紙(表3中の符号18)、および、厚さ0.1mmの濾紙を3枚積層したもの(表3中の符号19)に、赤く発色させたメチルレッド水溶液(0.5mg/ml)を含浸させ、図1に略示した実験器具にセットし、水素導管から加湿した水素ガスを5ml/minの流速で流して水素暴露させた。そして、染料含浸濾紙の色の変化を肉眼観察し、染料の色が消失するまでの時間を測定した。尚、符号14の試料では、濾紙が薄いため初期の色は赤よりも薄いピンク色を呈していた。
結果は表3に示す通りであり、スパッタリング法により触媒を担持させるだけでも、水素暴露により色の消失がみられるが、触媒を担持材の内部にも担持させる工夫を加えることで、検知の迅速性を更に高めることができる。
Figure 2007132916
実験で用いた水素ガス検知装置の説明図である。 実験で用いた他の水素ガス検知装置の説明図である。 Pdブラックの担持量と色の変化速度(ΔEab/min)の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 水素ガス検知材
1a 染料含浸濾紙
1b 水素化触媒担持層
2 ガラス管
3 シリコンゴム
4a,4b 水素ガス導管
5 ステンレス鋼管
6 ピンホール
7 リボン状濾紙

Claims (8)

  1. 保水性担持材に、水素還元を受けて脱色する発色団を有する染料と水素化触媒が担持されていることを特徴とする水素ガス検知材。
  2. 更にpH調整成分が担持されている請求項1に記載の水素ガス検知材。
  3. 水素還元を受けて脱色する発色団が、アゾ基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボニル基、エチレン基よりなる群から選択される少なくとも1種を有している請求項1または2に記載の水素ガス検知材。
  4. 水素化触媒が、Pd,Ni,Ru,Ptよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の水素ガス検知材。
  5. 前記担持材に対する水素化触媒の担持量が0.005〜10mg/cmである請求項4に記載の水素ガス検知材。
  6. 前記担持材が、水素ガス透過性の平布状もしくはテープ状物であり、片面の一部に仮止め用の接着剤が付着されている請求項1〜5のいずれかに記載の水素ガス検知材。
  7. 水素ガス検知部に、前記請求項1〜6のいずれかに記載の水素ガス検知材が配置されていることを特徴とする水素ガス検知部材。
  8. 水素ガスの漏洩が懸念される部位に前記請求項7に記載の検知部材を配置し、該検知部材に含まれる染料に由来する色の消失によって水素ガスが漏洩したことを確認することを特徴とする水素ガス漏洩検知法。
JP2006005249A 2005-10-12 2006-01-12 水素ガス検知材および水素ガス検知部材、並びに水素ガス漏洩検知法 Expired - Fee Related JP4739959B2 (ja)

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