JP2007132165A - 発泡性耐火塗膜構造体及びその製造方法、並びに耐火構造物 - Google Patents

発泡性耐火塗膜構造体及びその製造方法、並びに耐火構造物 Download PDF

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Abstract

【課題】耐ひび割れ性及び薄膜性に優れるとともにコストの低い発泡耐火塗膜構造体を提供する。
【解決手段】発泡性耐火塗膜構造体1は、建築用又は土木用の下地材の上面に形成され、発泡することで耐火性能を発揮し得る塗膜構造体であって、前記塗膜構造体は、発泡性耐火塗膜層11と、当該発泡性耐火塗膜層11中に内包された繊維構造物12とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐火性能に優れた建築用又は土木用の発泡性耐火塗膜構造体及びその製造方法、並びに当該発泡性耐火塗膜構造体を備える建築用又は土木用の耐火構造物に関する。
従来、建築又は土木の用途に各種の耐火塗料が用いられているが、かかる耐火塗料を鋼材等の下地材に塗布することにより形成された耐火塗膜は、高温雰囲気下に晒されると、発泡して断熱層(空気層)を形成し、当該断熱層により下地材への熱伝導が遮断される発泡性耐火塗膜が一般的に用いられている。
発泡性耐火塗膜の耐火性能は、当該発泡性耐火塗膜の発泡倍率が大きいほど向上するが、一方で、発泡倍率が大きくなるほど、発泡することにより形成した断熱層にひび割れが生じやすくなり、ひび割れが下地材まで貫通した場合には、下地材が直接高温雰囲気下に晒されるため、耐火塗膜の耐火性能は著しく低下し、下地材の物理的強度も低下することになる。
そこで、従来、高い耐火性能を発現する技術として、高い発泡倍率を保持しつつ、塗膜素材及び添加材料の選定・配合によってひび割れの発生を抑制し得る各種発泡性耐火塗料が提案されている(特許文献1〜3参照)。
特開2001−40290号公報 特開2004−315812号公報 特開平6−16975号公報
しかし、これらの耐火塗膜は、いずれも添加材料の種類及び添加量を調整することによって、耐ひび割れ性、薄膜性及びコスト等の相反する各性能をバランスさせているため、塗膜全体としてみると耐火性能はまだ十分とはいえない。
本発明は、かかる問題を解決するものであり、耐ひび割れ性及び薄膜性に優れるとともに、低コストで製造し得る発泡性耐火塗膜構造体及びその製造方法、並びにその発泡性耐火塗膜構造体を備える耐火構造物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の発泡性耐火塗膜構造体は、建築用又は土木用の下地材の上面に形成され、発泡することで耐火性能を発揮し得る塗膜構造体であって、前記塗膜構造体は、発泡性耐火塗膜と、当該発泡性耐火塗膜中に内包された繊維構造物とを備えることを特徴とする(請求項1)。
上記発明(請求項1)によれば、発泡性耐火塗膜中に繊維構造物が内包されていることで、発泡性耐火塗膜構造体の物理的強度が向上するため、耐火塗膜が発泡して形成した断熱層の耐ひび割れ性を向上することができる。また、耐火塗膜が発泡して形成した断熱層の物理的強度を向上させるために、膜厚を厚くする必要がなく、何度も塗装を繰り返すことによる施工期間の延長、又はそれに伴うコストの増大を防止することができる。
上記発明(請求項1)においては、前記繊維構造物は、前記発泡性耐火塗膜の膜厚の略中心より前記下地材側の位置に内包されていることが好ましい(請求項2)。
上記発明(請求項2)によれば、繊維構造物が発泡性耐火塗膜の中の下地材側に内包されていることで、耐火塗膜が発泡して形成した断熱層の耐ひび割れ性を向上することができる。
上記発明(請求項1,2)においては、前記繊維構造物が、ガラス繊維、ロックウール繊維、炭素繊維、スラグウール繊維、鋼繊維及びアルミナ繊維からなる群より選ばれる1種又は2種以上の繊維を網目状に形成した網目状繊維構造物であることが好ましい(請求項3)。
上記発明(請求項3)によれば、発泡性耐火塗膜が発泡して形成した断熱層の耐ひび割れ性をより向上させることができる。
上記発明(請求項1〜3)においては、前記発泡性耐火塗膜の発泡倍率が、5〜100倍であることが好ましい(請求項4)。
上記発明(請求項4)によれば、発泡性耐火塗膜が発泡して形成した断熱層の耐ひび割れ性を向上しつつ、十分な耐火性能を発揮することができる。
また、本発明の耐火構造物は、建築用又は土木用の下地材と、前記下地材の上面に設けられた請求項1〜4のいずれかに記載の発泡性耐火塗膜構造体とを備えることを特徴とする(請求項5)。
上記発明(請求項5)によれば、耐火性能に優れた建築用又は土木用の耐火構造物を得ることができる。
さらに、本発明の発泡性耐火塗膜構造体の製造方法は、下地材に、所定量のうちの一部の発泡性耐火塗料を塗布し、塗布された発泡性耐火塗料の表面に繊維構造物を取り付けて、残りの発泡性耐火塗料を塗布することを特徴とする(請求項6)。
上記発明(請求項6)によれば、耐火塗膜が発泡して形成した断熱層の耐ひび割れ性が良好であり、かつ十分な耐火性能を発揮し得る発泡性耐火塗膜構造体を容易に製造することができる。
上記発明(請求項6)においては、前記下地材に、所定量の1/30〜1/2の量の発泡性耐火塗料を塗布して、塗布された発泡性耐火塗料の表面に繊維構造物を取り付けて、残りの発泡性耐火塗料を塗布することが好ましい(請求項7)。
上記発明(請求項7)によれば、発泡性耐火塗膜の膜厚の略中心から下地材側に繊維構造物を容易に埋め込むことができる。
上記発明(請求項6,7)においては、前記繊維構造物が、ガラス繊維、ロックウール繊維、炭素繊維、スラグウール繊維、鋼繊維及びアルミナ繊維からなる群より選ばれる1種又は2種以上の繊維を網目状に形成した網目状繊維構造物であることが好ましい(請求項8)。
上記発明(請求項8)によれば、耐火塗膜が発泡して形成した断熱層の耐ひび割れ性が良好であり、かつ十分な耐火性能を発揮し得る発泡性耐火塗膜構造体を容易に製造することができる。
上記発明(請求項6〜8)においては、前記発泡性耐火塗膜の発泡倍率が、5〜100倍であることが好ましい(請求項9)。
上記発明(請求項9)によれば、発泡性耐火塗膜が発泡して形成した断熱層の耐ひび割れ性がより良好であり、かつより優れた耐火性能を発揮し得る発泡性耐火塗膜構造体を容易に製造することができる。
本発明によれば、耐ひび割れ性及び薄膜性に優れるとともに、低コストで製造し得る発泡性耐火塗膜構造体及びその製造方法、並びにその発泡性耐火塗膜構造体を備える耐火構造物を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る発泡性耐火塗膜構造体について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る発泡性耐火塗膜構造体の概略構成を示す断面図であり、図2は、本発明の一実施形態に係る発泡性耐火塗膜構造体の概略構成を備える耐火構造物の一例を示す斜視図であり、図3は、本発明の一実施形態に係る発泡性耐火塗膜構造体を備える耐火構造物の他の例を示す斜視図であり、図4は、本発明の一実施形態に係る発泡性耐火塗膜構造体の製造方法を示すフロー図である。
図1に示すように、本実施形態に係る発泡性耐火塗膜構造体1は、発泡性耐火塗膜層11と、当該発泡性耐火塗膜層11に内包されたガラス繊維構造物12とを有し、この発泡性耐火塗膜構造体1は、下地材2の上面に設けられている。
図2及び図3に示すように、下地材2としては、特に限定されるものではなく、一般に建築又は土木の用途に用いられるものが挙げられる。具体的には、H形鋼、みぞ形鋼、I形鋼、等辺山形鋼、不等辺山形鋼、角形鋼管、丸形鋼管等の通常使用される鉄骨、鋼管や、木材、コンクリート等を用いることができる。また、図3に示すような、鋼管2の内部にコンクリート21を打設した鋼管充填コンクリート(CFT)柱等も用いることができる。それ以外にも、軽量鉄骨や木材、コンクリートと他の材料、例えば、金網、メタルラス、石膏ラスボード、ラスカット合板等の下地材;石膏ボード、けい酸カルシウム板、繊維混入セメント珪酸カルシウム板、硬質木片セメント板、パルプ混入石綿セメント板、スラグ石膏セメント板、ガラス繊維混入スラグ石膏板、石綿セメント押出成形板、繊維混入セメントパーライト板等の窯業サイディング板等を用いてもよい。
発泡性耐火塗膜層11は、発泡性耐火塗料を塗布することにより形成されたものである。発泡性耐火塗膜層11を形成するために用いられる発泡性耐火塗料は、火災等により所定の高温雰囲気下に晒されたときに、発泡して断熱層を形成し得るものであれば特に限定されるものではない。
発泡性耐火塗膜層11を形成するための発泡性耐火塗料は、例えば、難燃性発泡剤、炭化剤、バインダー、フィラー、繊維等を含むものであり、これら以外に、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶剤等の溶剤、体質顔料、着色顔料等の顔料、増粘剤、界面活性剤、消泡剤等を含むものであってもよい。
難燃性発泡剤としては、例えば、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド、リン酸メラミン等のリン酸化合物が挙げられ、これらが単独で含まれていてもよいし、混合して含まれていてもよい。
炭化剤としては、例えば、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、テトラペンタエントリトール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等が挙げられ、これらの炭化剤は、単独で発泡性耐火塗料に含まれていてもよいし、混合して含まれていてもよい。
バインダーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル系樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等の合成樹脂が挙げられ、これらの合成樹脂は、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。また、これらの合成樹脂は、水性エマルジョン等の形態で発泡性耐火塗料に含まれていることが好ましい。
フィラーとしては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、炭酸ナトリウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、シリカ、粘土、クレー、シラス、マイカ等が挙げられ、これらは単独で含まれていてもよいし、混合して含まれていてもよい。
繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ロックウール繊維、スラグウール繊維、パルプ繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維、鋼繊維等が挙げられ、これらは単独で含まれていてもよいし、混合して含まれていてもよい。
発泡性耐火塗料における上記難燃性発泡剤、炭化剤、バインダー、フィラー、繊維の配合量は、所望の耐火性能を発揮し得る発泡倍率を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、難燃性発泡剤100質量部に対し、炭化剤5〜80質量部、バインダー30〜350質量部(固形分換算)、フィラー10〜200質量部、繊維5〜100質量部を配合することが好ましい。この配合割合により配合した発泡性耐火塗料であれば、当該塗料を塗布することにより形成される発泡性耐火塗膜層11が、十分な耐火性能を発揮することができる。
本実施形態に係る発泡性耐火塗膜構造体1における発泡性耐火塗膜層11は、火災等により高温雰囲気下に晒されると発泡して耐火層を形成する。この発泡性耐火塗膜層11の発泡開始温度は、通常100〜600℃であり、好ましくは200〜400℃である。
火災等により高温雰囲気下に晒されたとき、本実施形態に係る発泡性耐火塗膜構造体1を有する下地材2の表面温度は、当該発泡性耐火塗膜構造体1の表面温度の1/2以下であることが好ましく、特に1/3以下であることが好ましい。下地材2の表面温度が、発泡性耐火塗膜構造体1の表面温度の1/2を超えると、発泡性耐火塗膜構造体1の断熱効果が十分ではなく、また発泡性耐火塗膜層11が発泡して形成した耐火層(断熱層)にひび割れが生じるおそれがある。
発泡性耐火塗膜層11の発泡倍率は、所望の耐火性能が得られる限り特に限定されるものではないが、例えば、5〜100倍であることが好ましい。発泡倍率が5倍未満であると、十分な耐火性能が得られないおそれがあり、100倍を超えると、耐火層にひび割れが生じたり、耐火層が脱落したりする危険性が増大するおそれがある。
本実施形態において、ガラス繊維構造物12は、ガラス繊維糸を網目状に形成したものであるが、本発明の発泡性耐火塗膜構造体における繊維構造物は、これに限定されるものではなく、ガラス繊維以外にも、例えば、ロックウール繊維、炭素繊維、スラグウール繊維、鋼繊維、アルミナ繊維等から構成されるものであってもよいし、これらの繊維のうち2種類以上の繊維から構成されるものであってもよい。
ガラス繊維構造物12の網目の大きさ(目開き)は、2〜30mmであることが好ましく、特に5〜25mmであることが好ましい。目開きが2mm未満であると、発泡高さ方向への拘束が強すぎて、発泡性耐火塗膜層11の発泡が阻害されるおそれがあり、30mmを超えると、耐火層の引張強度を向上することができず、耐火層にひび割れが生じてしまうおそれがある。
ここで、網目の目開きとは、網目の各目の多角形状を規定する各辺のうちの最も小さな値で表したものをいう。
ガラス繊維構造物12の網目構造を構成するガラス繊維糸の線径(線幅)は、0.25〜5mmであることが好ましく、特に0.75〜2.5mmであることが好ましい。線径(線幅)が0.25mm未満であると、高温雰囲気下においては、耐火層の引張強度の向上にほとんど貢献しないおそれがあり、5mmを超えると、発泡性耐火塗膜層11の発泡を阻害し、正常な耐火層が得られなくなるおそれがある。
ガラス繊維構造物12の網目構造を構成するガラス繊維糸は、特に限定されるものではなく、例えば、必要に応じて撚りをかけた単繊維から、又はこのような単繊維の複数を必要に応じて撚り合わせたもの等からガラス繊維糸を構成することができる。単繊維の断面形状としては円形、矩形等の形状が利用でき、帯状の単繊維を糸として利用することもできる。また、くくり糸や撚り糸によって複数の単繊維を結束して用いることもできる。さらに、織をかけた紐状や帯状の形態で網目構造を構成する糸として用いることもできる。
ガラス繊維糸からなる網目構造の形状は、格子状、亀甲状など種々の形状から選択することができるが、製造工程を簡易化する点からは、単位形状が規則的に繰り返された模様を形成するものが好ましい。
網目構造を構成する各糸の結合形態としては、織組織であっても、ガラス繊維糸を貼り合わせたものであっても特に制限されない。
上記織組織は、特に制限されるものではなく、例えば、からみ織組織、目抜き平織り、模紗織り等の公知の組織であればよい。例えば、ガラスロービング糸のような太い糸をからみ織組織としてもよいし、ガラスヤーンのような細い糸を複数本組み合わせた目抜き平織りとしてもよい。
また、上記網目構造を形成する各ガラス繊維糸の交点は、熱可塑性樹脂等の目止め材や目止め用の糸で目止めされていてもよい。
発泡性耐火塗膜層11にガラス繊維構造物12を内包した発泡性耐火塗膜構造体1の厚みは、0.5〜10.0mmであることが好ましく、0.75〜8.0mmであることがより好ましく、1.0〜6.0mmであることが特に好ましい。発泡性耐火塗膜構造体1の厚みが0.5mm未満であると、十分な耐火性能が得られないおそれがあり、10.0mmを超えると、発泡性耐火塗膜構造体1の施工の手間が増大するのみでなく、耐火層の脱落の危険性が増大するおそれがある。
発泡性耐火塗膜構造体1においてガラス繊維構造物12を内包する位置は、発泡性耐火塗膜層11の膜厚の略中心より下地材2側の位置であることが好ましく、下地材2側から見て、発泡性耐火塗膜構造体1の膜厚の1/30〜1/2の位置であることが好ましく、特に発泡性耐火塗膜構造体1の膜厚の1/15〜1/3の位置であることが好ましい。発泡性耐火塗膜構造体1の膜厚の1/30未満の位置であると、発泡性耐火塗膜層11と下地材2側との密着が弱くなり、耐火層が脱落するおそれがあり、1/2の位置を超えると、発泡性耐火塗膜層11の引張強度が低下し、耐火層にひび割れが生じるおそれがある。
このような構成を有する発泡性耐火塗膜構造体1の製造方法を、図4に基づいて説明する。
図4に示すように、まず、下地材2の上面に接着剤、防錆塗料等を塗布して下地塗膜層3を形成する(図4(a))。特に下地材2が、金属製の鋼材や鋼管等である場合には、防錆塗料を塗布することが好ましい。
次に、下地塗膜層3の上面に、全体量の1/30〜1/2の量の発泡性耐火塗料を塗布する(図4(b))。そして、塗布した発泡性耐火塗料が乾燥する前にガラス繊維構造物12を埋め込み(図4(c))、残りの発泡性耐火塗料を塗布する(図4(d))。すべての発泡性耐火塗料を塗布した後、自然乾燥等により乾燥させることで、発泡性耐火塗膜構造体1を形成することができる。
発泡性耐火塗料を塗布する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、スプレー、コテ、ローラー、刷毛等を使用して塗布することができる。
なお、このようにして形成した発泡性耐火塗膜構造体1の上面に、光反射塗料、蛍光塗料等を塗布したり、仕上用モルタル、タイル等を貼り付けたりして、仕上材層4を形成してもよいし(図4(e))、耐候性透明塗料、防汚塗料、耐磨耗材、撥水材、防水材等を塗布して、保護材層5をさらに形成してもよい(図5(f))。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、下記の実施例に何ら限定されるものではない。
〔使用材料〕
(1)発泡性耐火塗料A(Cafco社製,商品名:Spray film WB2,発泡倍率:約40〜60倍(ISO834加熱曲線に従った加熱条件下で60分加熱))
(2)発泡性耐火塗料B(Cafco社製,商品名:Spray film WB3,発泡倍率:約20〜32倍(ISO834加熱曲線に従った加熱条件下で60分加熱))
(3)CFT用コンクリート
セメント(太平洋セメント社製,商品名:普通ポルトランドセメント)470kg/m、骨材(茨城県岩瀬産)867kg/m、石灰系膨張材含有高充填コンクリート用混和剤(太平洋マテリアル社製,商品名:太平洋フィラミック)22kg/m、水165kg/mを、混練機に投入して混練し、常法により養生してCFT用コンクリートを得た。得られたコンクリートの空気量は5.0%であり、コンクリート中のモルタル分の膨張率は0.1%であり、スランプフローは50cmであった。
(4)ガラスメッシュ(日本電気硝子社製,商品名:ARGネット LW220,目間隔(縦×横):11mm×13mm)
なお、CFT用コンクリートにおける空気量はJIS−A1128「フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法−空気室圧力方法」に従って測定した値、モルタル分の膨張率はJSCE−F 542−1999「充填モルタルのブリーディング率および膨張率試験方法」に従って測定した値、スランプフローはJIS−A1150「コンクリートのスランプフロー試験方法」に従って測定した値である。
〔試験方法〕
試験体を耐火炉内に設置し、一般的な耐火試験での加熱条件である、ISO834加熱曲線に従って60分間の耐火試験を行った。このとき60分経過時点での鋼材表面の最高温度が角形鋼管柱で500℃未満、H形鋼柱では550℃未満で合格と判断した。また、CFT柱(鋼管充填コンクリート柱)については、RABT60加熱曲線に従って60分間の耐火試験を実施し、鋼材の表面温度が350℃未満で合格と判断した。
〔実施例1〕
角形鋼管柱(200×200×12mm,長さ800mm)を下地材として使用し、その表面にガラスメッシュを埋め込みながら発泡性耐火塗料Aを塗布して、発泡性耐火塗膜を形成した。乾燥後の発泡性耐火塗膜の膜厚は1.55mm(メッシュの埋め込み位置は、下地材からの距離が発泡性耐火塗膜の厚さの1/8となる位置,下地材から0.2mmの位置)であった。この発泡性耐火塗膜の外表面に仕上・保護材(水系アクリルシリコン樹脂塗料,大日本塗料社製,商品名:DNTビューシリコン)をさらに塗布して、試験体を作製した。この試験体について、以下のようにして耐火試験を行った。
耐火試験は、試験体を耐火炉内に設置し、一般的な耐火試験での加熱条件である、ISO834加熱曲線に従って60分間の耐火試験を行った。耐火試験による鋼管柱表面の最高温度は413℃であり、耐火基準に合格した。また、発泡した耐火塗膜にひび割れは生じなかった。
〔比較例1〕
角形鋼管柱(200×200×12mm,長さ800mm)を下地材として使用し、その表面に発泡性耐火塗料Aのみを塗布して発泡性耐火塗膜を形成した。乾燥後の発泡性耐火塗膜の厚みは、1.55mmであった。この発泡性耐火塗膜の外表面に仕上・保護材(水系アクリルシリコン樹脂塗料,大日本塗料社製,商品名:DNTビューシリコン)をさらに塗布して、試験体を作製した。この試験体を実施例1と同様の条件で耐火試験に供した。耐火試験による鋼管柱表面の最高温度は562℃であり、耐火基準を満たさなかった。また、発泡した耐火塗膜層には鋼管柱表面まで貫通したひび割れが確認された。
〔実施例2〕
H形鋼柱(300×300×10×15mm,長さ800mm)を下地材として使用し、その表面にガラス繊維メッシュを埋め込みながら発泡性耐火塗料Aを塗布して、発泡性耐火塗膜を形成した。乾燥後の発泡性耐火塗膜の膜厚は、1.55mm(メッシュの埋め込み位置は、下地材からの距離が発泡性耐火塗膜の厚さの1/8となる位置,下地材から0.2mmの位置)であった。この発泡性耐火塗膜の外表面に仕上・保護材(水系アクリルシリコン樹脂塗料,大日本塗料社製,商品名:DNTビューシリコン)をさらに塗布して、試験体を作製した。この試験体を実施例1と同様の条件で耐火試験に供した。耐火試験による鋼管柱表面の最高温度は483℃であり、耐火基準に合格した。また、発泡した耐火塗膜にひび割れは生じなかった。
〔比較例2〕
H形鋼柱(300×300×10×15mm,長さ800mm)を下地材として使用し、その表面に発泡性耐火塗料Bのみを塗布して発泡性耐火塗膜を形成した。乾燥後の発泡性耐火塗膜の厚みは、1.80mmであった。この発泡性耐火塗膜の外表面に仕上・保護材(水系アクリルシリコン樹脂塗料,大日本塗料社製,商品名:DNTビューシリコン)をさらに塗布して、試験体を作製した。この試験体を実施例1と同様の条件で耐火試験に供した。耐火試験によるH形鋼柱表面の最高温度は581℃であり、耐火基準を満たさなかった。また、発泡した耐火塗膜層にはH形鋼柱表面まで貫通したひび割れが確認された。
〔実施例3〕
角形鋼管内部にコンクリートを打設した鋼管充填コンクリート(CFT)柱(300×300×19mm,長さ800mm)を下地材として使用し、その表面にガラス繊維メッシュを貼り込みながら発泡性耐火塗料Aを塗布して、発泡性耐火塗膜を形成した。乾燥後の発泡性耐火塗膜の厚みは4.0mm(メッシュの埋め込み位置は、下地材からの距離が発泡性耐火塗膜の厚さの1/10となる位置,下地材から0.4mmの位置)であった。この発泡性耐火塗膜の外表面に仕上材(一液反応硬化形水系ウレタン樹脂塗料,大日本塗料社製,商品名:DNTビューウレタン)及び保護材(水系アクリルシリコン樹脂塗料,大日本塗料社製,商品名:DNTビューシリコン)をさらに塗布して総合塗膜を形成し、試験体を作製した。この試験体について、RABT60加熱曲線に従って60分間の耐火試験を行った。耐火試験によるCFT柱表面の最高温度は318℃であり、耐火基準に合格した。また、発泡した耐火塗膜にひび割れは生じなかった。
〔比較例3〕
CFT柱(300×300×19mm,長さ800mm)を下地材として使用し、発泡性耐火塗料Bのみを塗布して、発泡性耐火塗膜を形成した。乾燥後の発泡性耐火塗膜の膜厚は、4.00mmであった。この発泡性耐火塗膜の外表面に仕上材(一液反応硬化形水系ウレタン樹脂塗料,大日本塗料社製,商品名:DNTビューウレタン)及び保護材(水系アクリルシリコン樹脂塗料,大日本塗料社製,商品名:DNTビューシリコン)をさらに塗布して、試験体を作製した。この試験体について実施例3と同様の条件にて耐火試験を行った。耐火試験によるCFT柱表面の最高温度は401℃であり、耐火基準を満たさなかった。また、発泡した耐火塗膜層にはCFT柱表面まで貫通したひび割れが確認された。
本発明の一実施形態に係る発泡性耐火塗膜構造体の概略構成を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性耐火塗膜構造体を備える耐火構造物の一例を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性耐火塗膜構造体を備える耐火構造物の他の例を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性耐火塗膜構造体の製造方法を示すフロー図である。
符号の説明
1…発泡性耐火塗膜構造体
11…発泡性耐火塗膜層
12…ガラス繊維構造物
2…下地材

Claims (9)

  1. 建築用又は土木用の下地材の上面に形成され、発泡することで耐火性能を発揮し得る塗膜構造体であって、
    前記塗膜構造体は、発泡性耐火塗膜と、当該発泡性耐火塗膜中に内包された繊維構造物とを備えることを特徴とする発泡性耐火塗膜構造体。
  2. 前記繊維構造物は、前記発泡性耐火塗膜の膜厚の略中心より前記下地材側の位置に内包されていることを特徴とする請求項1に記載の発泡性耐火塗膜構造体。
  3. 前記繊維構造物が、ガラス繊維、ロックウール繊維、炭素繊維、スラグウール繊維、鋼繊維及びアルミナ繊維からなる群より選ばれる1種又は2種以上の繊維を網目状に形成した網目状繊維構造物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡性耐火塗膜構造体。
  4. 前記発泡性耐火塗膜の発泡倍率が、5〜100倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発泡性耐火塗膜構造体。
  5. 建築用又は土木用の下地材と、
    前記下地材の上面に設けられた請求項1〜4のいずれかに記載の発泡性耐火塗膜構造体と
    を備えることを特徴とする建築用又は土木用耐火構造物。
  6. 下地材に、所定量のうちの一部の発泡性耐火塗料を塗布し、塗布された発泡性耐火塗料の表面に繊維構造物を取り付けて、残りの発泡性耐火塗料を塗布することを特徴とする発泡性耐火塗膜構造体の製造方法。
  7. 下地材に、所定量の1/30〜1/2の量の発泡性耐火塗料を塗布して、塗布された発泡性耐火塗料の表面に繊維構造物を取り付けて、残りの発泡性耐火塗料を塗布することを特徴とする請求項6に記載の発泡性耐火塗膜構造体の製造方法。
  8. 前記繊維構造物が、ガラス繊維、ロックウール繊維、炭素繊維、スラグウール繊維、鋼繊維及びアルミナ繊維からなる群より選ばれる1種又は2種以上の繊維を網目状に形成した網目状繊維構造物であることを特徴とする請求項6又は7に記載の発泡性耐火塗膜構造体の製造方法。
  9. 前記発泡性耐火塗膜の発泡倍率が、5〜100倍であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の発泡性耐火塗膜構造体の製造方法。
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