JP2007130386A - 眼用装置 - Google Patents

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Masatoshi Kidowaki
匡俊 木戸脇
Kozo Ito
耕三 伊藤
Nagaaki Cho
長明 趙
Hisafumi Shinozaki
尚史 篠崎
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Abstract

【課題】ポリロタキサンを含む網目構造を有する材料と非水系溶媒とを含有するゲル状組成物を含む眼用装置を提供する。特に、生来の眼の水晶体を外科切除した後の空の水晶体嚢内において直接製造できる眼内レンズを提供する。
【解決手段】ポリロタキサンを含む網目構造を有する材料と非水系溶媒とを含有するゲル状組成物を含む眼用装置。
【選択図】図3

Description

本発明は、ポリロタキサンを含む網目構造を有する材料と非水系溶媒とを含有するゲル状組成物を含む眼用装置およびその製造方法に関するものであって、特に、生来の眼の水晶体を外科切除した後の空の水晶体嚢内において直接製造できる眼内レンズおよびその製造方法に関するものである。
ポリロタキサンは、環状分子(回転子:rotator)の開口部が直鎖状分子(軸:axis)によって串刺し状に貫かれ、環状分子が直鎖状分子を包接してなる擬ポリロタキサンの両末端(直鎖状分子の両末端)に、環状分子が遊離しないようにブロック基を配置してなる。例えば、環状分子としてα−シクロデキストリン(以下、シクロデキストリンを単に「CD」と略記する場合がある)、直鎖状分子としてポリエチレングリコール(以下、「PEG」と略記する場合がある)を用いたポリロタキサン(例えば、特許文献1参照)は、種々の特性を有することから、その研究が近年、盛んに行われている。
ポリロタキサン同士を架橋させた架橋ポリロタキサンは、伸縮性や粘弾性を制御することが可能な上に、例えば原料としてPEGやCDを選択することにより生体に対する安全性が容易に確保できることから、医療材料として適している
現在、白内障の治療において、生来の水晶体を取り除いた後に生来の水晶体の光学的機能に取って代わる眼内レンズ(または人工水晶体とも呼ぶ)を移植する治療が行われている。この治療法の場合、従来の眼内レンズは、既に形成されている眼内レンズを使用するので、眼内レンズを眼に挿入するために眼を大きく切開する必要があった。しかし、眼を大きく切開することは、患者にとって負担であるので、より小さい切開で眼内レンズを眼に挿入できる方法が求められていた。
最近、生来の水晶体を取り除いた後の空の水晶体嚢に眼内レンズの材料を流体として直接注入し、水晶体嚢内において材料を硬化させて眼内レンズを製造する方法が開発されてきた。この場合、眼の切開を非常に小さくでき、患者負担を軽減できる利点がある。
眼の水晶体嚢に直接注入して眼内レンズの製造に適した材料としては、ポリシロキサン組成物(例えば、特許文献2参照)や水性ポリマーを含む組成物(例えば、特許文献3参照)が開示されている。
特許第2810264号公報 特表2003−530157 特表2004−535511
本発明の目的は、ポリロタキサンを含む網目構造を有する材料と非水系溶媒とを含有するゲル状組成物を含む眼用装置を提供することである。特に、生来の眼の水晶体を外科切除した後の空の水晶体嚢内において直接製造できる眼内レンズを提供することである。
(1)本発明は、ポリロタキサンを含む網目構造を有する材料と非水系溶媒とを含有するゲル状組成物を含む眼用装置に関するものである。
(2)本発明は、ポリロタキサンを含む網目構造が、光照射によるポリロタキサンの架橋によって調製される、(1)に記載の眼用装置に関するものである。
(3)本発明は、眼用装置が眼内レンズである、(1)に記載の眼用装置に関するものである。
(4)本発明は、生来の眼の水晶体を除去した後の水晶体嚢内の、(3)に記載の眼内レンズに関するものである。
(5)本発明は、人工水晶体の移植を必要とする疾患の治療のために用いる、(3)又は(4)記載の眼内レンズに関するものである。
(6)本発明は、ソフトコンタクトレンズである、(1)又は(2)に記載の眼用装置に関するものである。
(7)本発明は、ポリロタキサン、非水系溶媒及び架橋剤又は光開始剤を含む媒体を眼用装置用の型内に入れること、そして
ポリロタキサンを光照射により架橋させること、
を含む、(1)〜(3)又は(6)のいずれか1つに記載の眼用装置の製造方法に関するものである。
(8)ポリロタキサン、非水系溶媒及び架橋剤又は光開始剤を含む媒体を、生来の眼の水晶体を除去した後の水晶体嚢内に入れること、そして
ポリロタキサンを光照射により架橋させること、
を含む、(4)又は(5)に記載の眼内レンズの製造方法に関するものである。
本発明により、眼の水晶体嚢における眼内レンズやの直接製造が可能となり、より小さい切開で眼内レンズを眼に移植できるので患者の負担を軽減できる。
さらに、本発明の眼内レンズはこれまでの生体外で成形された眼内レンズと異なり水晶体嚢全体を充填するため、眼手術後の患者の治癒過程における眼組織の細胞形成過程及び代謝生成物による不透明化や屈折率異常を抑制することが期待できる。また、水晶体嚢のしわの発生を防止することができる。また、本発明の眼内レンズは可撓性材料から構成されているため毛様体の緊張・弛緩に伴いその厚みが変化し、その結果として焦点の調節機能を有することが期待される。
(ポリロタキサン又はポリロタキサン分子)
本明細書において、「ポリロタキサン」又は「ポリロタキサン分子」とは、環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に貫かれ、環状分子が直鎖状分子を包接してなる擬ポリロタキサンの両末端(直鎖状分子の両末端)に、環状分子が遊離しないようにブロック基を配置した分子をいう。
(直鎖状分子)
本明細書において、ポリロタキサン又はポリロタキサン分子に用いる直鎖状分子は、環状分子に包接され、非共有結合的に一体化することができる分子又は物質であって、直鎖状のものであれば、特に限定されず、高分子を含むいかなる分子を用いてもよい。
「直鎖状分子」の「直鎖」は、実質的に「直鎖」であることを意味する。即ち、回転子である環状分子が回転可能、あるいは直鎖状分子上で環状分子が摺動又は移動可能であれば、直鎖状分子は分岐鎖を有していてもよい。また、「直鎖」の長さは、直鎖状分子上で環状分子が摺動又は移動可能であれば、その長さに特に制限はない。
「直鎖状分子」の「直鎖」は、ポリロタキサン材料との関係で、相対的に決まる。即ち、架橋構造を一部に有する材料の場合、直鎖状分子は、材料中においてごく一部である場合もあり得る。ごく一部であっても、上記のように、直鎖状分子上で環状分子が摺動又は移動可能であれば、その長さに特に制限はない。
直鎖状分子としては、親水性ポリマー及び疎水性ポリマーのいずれも使用することができる。親水性ポリマーとしては、例えばポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、セルロース系樹脂(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、でんぷん等及び/又はこれらの共重合体等が挙げることができ;疎水性ポリマーとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、及びその他オレフィン系単量体との共重合樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートや(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合樹脂等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等;並びにこれらの誘導体又は変性体を挙げることができる。この他に、ポリイソブチレン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアニリン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ナイロンなどのポリアミド類、ポリイミド類、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどのポリジエン類、ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン類、ポリスルホン類、ポリイミン類、ポリ無水酢酸類、ポリ尿素類、ポリスルフィド類、ポリフォスファゼン類、ポリケトン類、ポリフェニレン類、ポリハロオレフィン類、並びにこれらの誘導体なども使用することができる。なお、これらの直鎖状分子はすべて市場より入手できる。
これらのうち、ポリエチレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、及びポリプロピレンが好ましい。特にポリエチレングリコールであるのが好ましい。
直鎖状分子は、数平均分子量が1,000以上、例えば1,000〜1,000,000であることが好ましい。より好ましくは5,000以上、例えば5,000〜1,000,000又は5,000〜500,000、さらに好ましくは10,000以上、例えば10,000〜1,000,000、10,000〜500,000又は10,000〜300,000である。
直鎖状分子は、その両末端に反応基を有するのが好ましい。反応基を有することにより、ブロック基と容易に反応することができる。反応基は、用いるブロック基に依存するが、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基等を挙げることができる。
(環状分子)
本明細書において、ポリロタキサン又はポリロタキサン分子に用いる環状分子は、上記直鎖状分子と包接可能な環状分子であれば、特に限定されず、いずれの環状分子を用いてもよい。
「環状分子」とは、環状分子を含めた種々の環状物質をいう。また、本発明において、「環状分子」とは、実質的に環状である分子又は物質をいう。即ち、「実質的に環状である」とは、英字の「C」のように、完全に閉環ではないものを含むことを意味し、英字の「C」の一端と他端とが結合しておらず重なった螺旋構造を有するものも含むことを意味する。さらに、後述する「ビシクロ分子」についての環についても、「環状分子」の「実質的に環状である」と同様に定義することができる。即ち、「ビシクロ分子」の一方の環又は双方の環は、英字の「C」のように、完全に閉環ではないものであってもよく、英字の「C」の一端と他端とが結合しておらず重なった螺旋構造を有するものであってもよい。
環状分子として例えば、種々のシクロデキストリン類(例えばα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ジメチルシクロデキストリン及びグルコシルシクロデキストリン、これらの誘導体又は変性体等)、クラウンエーテル類、ベンゾクラウン類、ジベンゾクラウン類、及びジシクロヘキサノクラウン類、並びにこれらの誘導体又は変性体を挙げることができる。なお、これらの環状分子はすべて市場より入手できる。
上述のシクロデキストリン類及びクラウンエーテル類等は、その種類により環状分子の開口部の大きさが異なる。したがって、用いる直鎖状分子の種類、具体的には用いる直鎖状分子を円柱状と見立てた場合、その円柱の断面の直径、直鎖状分子の疎水性又は親水性等により、用いる環状分子を選択することができる。また、開口部が相対的に大きな環状分子と、相対的に直径が小さな円柱状の直鎖状分子を用いた場合、環状分子の開口部に2以上の直鎖状分子を包接することもできる。
本明細書において、ポリロタキサン又はポリロタキサン分子に、環状分子としてα−シクロデキストリン、及び直鎖状分子としてポリエチレングリコールを用いるのが好ましい。
(イオン性基・非イオン性基の導入)
環状分子相当部分にイオン性基や非イオン性基を導入することができる。これらの基の導入により、架橋密度・形状、媒体との親和性を変化させ、膨潤性等の特性を変化させることもできる。
イオン性基の導入は、例えば、シクロデキストリン等の水酸基(−OH)を有する環状分子の少なくとも一部をイオン性基で置換することにより導入することができる。
イオン性基は、イオン性を有するものであれば、特に限定されない。例えば、イオン性基は、−COOX基(Xは、水素(H)、アルカリ金属その他1価の金属を示す)、−SOX基(Xは前述と同じ定義である)、−NH基、−NHX’基(X’は1価のハロゲンイオンを表す)、−PO基、及び−HPO基等を挙げることができ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
イオン性基を有する基は、全環状分子の全水酸基のうちの10〜90%、好ましくは20〜80%、より好ましくは30〜70%が置換されるのが好ましい。
環状分子が有するOH基の一部をイオン性基に置換する工程は、擬ポリロタキサンを調製する工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。また、擬ポリロタキサンをブロック化してポリロタキサンを調製する工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。さらには、ポリロタキサン同士を架橋させる工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。また、これらの2以上の時期に設けることもできる。置換工程は、擬ポリロタキサンをブロック化してポリロタキサンを調製した後であって、ポリロタキサン同士の架橋前に設けるのが好ましい。置換工程において用いられる条件は、置換するイオン性基に依存するが、特に限定されず、種々の反応方法、反応条件を用いることができる。例えば、イオン性基として上記の一種であるカルボキシル基を用いる場合、その手法として、一級水酸基の酸化、一級及び二級水酸基のエーテル誘導体化(カルボキシメチル化・カルボキシエチル化等を含む)、無水コハク酸・無水マレイン酸及び/又はその誘導体の付加等を挙げることができるが、これらに限定されない。
一方、非イオン性基の導入は、例えば、シクロデキストリン等の水酸基(−OH)を有する環状分子の少なくとも一部を非イオン性基で置換することにより行うことができる。
非イオン性基は、−OR基であるのが好ましい。ここで、Rは、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、少なくとも1個のエーテル基を含む炭素数2〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、炭素数2〜12の環状アルキルエーテル基、炭素数2〜12の環状アルキルチオエーテル基であるのが好ましい。なお、Rとして、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等の直鎖状アルキル基;イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、1−メチルプロピル、イソアミル、ネオペンチル、1,1−ジメチルプロピル、4−メチルペンチル、2−メチルブチル、2−エチルヘキシル等の分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、アダマンチル等の環状アルキル基;エチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オキセパン、ジオキサン、ジオキソラン等の環状アルキルエーテル基;チイラン、チエタン、テトラヒドロチオフェン、チアン、ジチオラン、ジチアン等の環状アルキルチオエーテル基を挙げることができるがこれらに限定されない。このうち、Rとして、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルが好ましく、より好ましくはメチル、エチル、プロピルであるのが好ましい。
また、非イオン性基は、−O−R’−X基であるのが好ましい。ここで、R’は上記Rから水素が1つ除かれた基であり、XはOH、NH、又はSHであるのが好ましい。なお、R’はRとは独立に規定される。また、R’として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルから水素を1つ取り除いた基が好ましく、より好ましくはメチル、エチル又はプロピルから水素を1つ取り除いた基であるのが好ましい。Xとして、OH又はNHが好ましく、より好ましくはOHであるのが好ましい。
さらに、非イオン性基は−O−CO−NH−R基、−O−CO−R基、−O−Si−R基、又は−O−CO−O−R基であるのが好ましい。ここで、R、R、R及びRは、各々独立に、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、少なくとも1個のエーテル基を含む炭素数2〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、炭素数2〜12の環状アルキルエーテル基、又は炭素数2〜12の環状アルキルチオエーテル基であるのが好ましい。
非イオン性基は、架橋ポリロタキサンに含まれる全環状分子の全水酸基のうちの10%〜90%、好ましくは20〜80%、より好ましくは30〜70%が置換されるのが好ましい。
環状分子が有する水酸基を非イオン性基に置換する工程は、擬ポリロタキサンを調製する工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。また、擬ポリロタキサンをブロック化してポリロタキサンを調製する工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。さらには、ポリロタキサン同士を架橋させる工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。これらの2以上の時期に設けることもできる。置換工程は、擬ポリロタキサンをブロック化してポリロタキサンを調製した後であって、ポリロタキサン同士の架橋前に設けるのが好ましい。置換工程において用いられる条件は、置換する非イオン性基に依存するが、特に限定されず、種々の反応方法、反応条件を用いることができる。例えば、非イオン性基として上記−OR基を用いる場合、即ちエーテル結合を製造させる手法として次のものを挙げることができる。一般には、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒中で適当な塩基を用いてハロゲン化物と共存させる手法が用いられる。ハロゲン化物の代わりに種々のアルコールのp−トルエンスルホネートやメタンスルホネートを用いてもよい。塩基としてナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム・t−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化バリウム、酸化バリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ又はアルカリ土類金属塩を用いることができる。酸化銀もまた、用いることができる。また、p−トルエンスルホニル基やメタンスルホニル基等の脱離基を導入後、適当なアルコールと置換する手法も挙げることができる。
また、上記エーテル結合により非イオン性基として−OR基を導入する方法の他に、次に挙げる方法を用いることができる。即ち、イソシアネート化合物等によるカルバメート結合形成による方法;カルボン酸化合物、酸クロリド化合物又は酸無水物等によるエステル結合形成による方法;シラン化合物等によるシリルエーテル結合形成による方法;クロロ炭酸化合物等によるカーボネート結合形成による方法等を挙げることができる。
なお、イオン性基及び非イオン性基は、2以上の反応性基を含む化合物を介して環状分子に導入することができる。2以上の反応性基を含む化合物としては、下記の架橋剤が挙げられ、具体的には塩化シアヌル、エチレングリコールグリシジルエーテル及びグルタルアルデヒド、並びにこれらの誘導体等である。これらの場合、架橋に寄与する架橋基が反応性基として機能することができる。すなわち、これらに含まれる一部の反応性基(架橋基)を環状分子に結合させ、その他の一部の反応性基(架橋基)をイオン性基含有化合物又は非イオン性含有化合物と結合させることにより、イオン性基及び非イオン性基を導入することができる。このような状態は、例えば、次の式Iで表すことができる。ここで、Lは環状分子と結合する一価の基又は単結合を示し、X及びYのいずれか一方又は双方はイオン性基又は非イオン性基を有する基を示す。X及びYのいずれか一方がイオン性基又は非イオン性基である場合、もう一方は環状分子と結合していてもよい。この場合、イオン性基又は非イオン性基は、架橋部分に存在することとなるが、環状分子にイオン性基又は非イオン性基を導入とは、このような態様も含むこととする。
イオン性基含有化合物は、架橋剤と反応する性質を有すると共に、反応後にイオン性基を有するものであれば、限定されない。官能基を2以上有する化合物を挙げることができ、例えば、アミノ酸又はその誘導体等を挙げることができる。また、非イオン性含有化合物は、架橋剤と反応する性質を有すると共に、反応後に非イオン性基を有するものであれば、限定されない。
イオン性基又は非イオン性基の導入は、ポリロタキサン同士を架橋させる前でも、架橋時でも、架橋後でもよいが、架橋後に行うことが好ましい。反応に用いられる条件は、反応に用いられる基にも依存するが、特に限定されず、種々の反応方法、反応条件を用いることができる。例えば、酸クロリド反応、シランカップリング反応等を挙げることができるが、これらに限定されない。
(不飽和結合基の導入)
環状分子相当部分に不飽和結合基を導入することができる。この基の導入により、光開始剤による光架橋が可能となる。
不飽和結合基の導入は、例えば、シクロデキストリン等の水酸基(−OH)を有する環状分子の少なくとも一部を不飽和結合基、好ましくは不飽和二重結合基で置換することにより行うことができる。
不飽和結合基、例えば不飽和二重結合基として、オレフィニル基を挙げることができ、例えば、アクリル基、メタクリル(メタクリロイル)基、ビニルエーテル基、スチリル基などを挙げることができるが、これに限定されない。
不飽和二重結合基の導入は、次に挙げる方法を用いることができる。即ち、イソシアネート化合物等によるカルバメート結合形成による方法;カルボン酸化合物、酸クロリド化合物又は酸無水物等によるエステル結合形成による方法;シラン化合物等によるシリルエーテル結合形成による方法;クロロ炭酸化合物等によるカーボネート結合形成による方法等を挙げることができる。
カルバモイル結合を介して、不飽和二重結合基としてメタクリロイル基を導入する場合、ポリロタキサンをDMSO、DMF等の脱水溶媒に溶解し、イソシアネート基を有するメタクリロイル試薬を加えることで行う。その他、エーテル結合やエステル結合を介して導入する場合、グリシジル基や酸クロライド等の活性基を有するメタクリロイル試薬を用いることもできる。
環状分子が有する水酸基を不飽和二重結合基に置換する工程は、擬ポリロタキサンを調製する工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。また、擬ポリロタキサンをブロック化してポリロタキサンを調製する工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。さらには、ポリロタキサン同士を架橋させる工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。これらの2以上の時期に設けることもできる。置換工程は、擬ポリロタキサンをブロック化してポリロタキサンを調製した後であって、ポリロタキサン同士の架橋前に設けるのが好ましい。置換工程において用いられる条件は、置換する不飽和二重結合基に依存するが、特に限定されず、種々の反応方法、反応条件を用いることができる。
(ブロック基)
本明細書において、ポリロタキサン又はポリロタキサン分子に用いるブロック基は、環状分子が直鎖状分子により串刺し状になった形態を保持する基であれば、特に限定されず、いかなる基を用いてもよい。このような基として、例えば「嵩高さ」を有する基及び/又は「イオン性」を有する基等を挙げることができる。ここで、「基」というのは、分子基及び高分子基を含めた種々の基を意味する。即ち、「嵩高さ」を有する基として、模式的に、球形で表される基であっても、側壁のように表される固体支持体であってもよい。また、「イオン性」を有する基の「イオン性」と、環状分子の有する「イオン性」とが影響しあうことにより、例えば反発しあうことにより、環状分子が直鎖状分子により串刺し状になった形態を保持することができる。
また、ブロック基は、上述のように、串刺し状になった形態を保持するものであれば、高分子の主鎖であっても側鎖であってもよい。ブロック基が高分子Aである場合、マトリクスとして高分子Aがあり、その一部に架橋構造が含まれる形態であっても、逆にマトリクスとして架橋構造を含むポリロタキサン材料があり、その一部に高分子Aが含まれる形態であってもよい。このように、種々の特性を有する高分子Aと組み合わせることにより、ポリロタキサン材料の特性と高分子Aの特性とを組み合わせて有する複合材料を形成することができる。
具体的には、分子基のブロック基として、2,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基等のジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類及びピレン類、並びにこれらの誘導体又は変性体を挙げることができる。より具体的には、環状分子としてα−シクロデキストリン、及び直鎖状分子としてポリエチレングリコールを用いる場合であっても、ブロック基としてシクロデキストリン類、2,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基等のジニトロフェニル基類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類及びピレン類、並びにこれらの誘導体又は変性体を挙げることができる。
(ポリロタキサンを含む網目構造を有する材料)
本発明に用いるポリロタキサンを含む網目構造を有する材料とは、ポリロタキサンの環状分子同士が架橋した構造を少なくとも一部に含む材料、ポリロタキサンとポリマーとが架橋した構造を少なくとも一部に含む材料等が挙げられる。なお、ポリロタキサンの環状分子同士が化学結合を介して架橋した構造については、特許第3475252号に記載された架橋ポリロタキサンが挙げられる。
(ポリロタキサンの環状分子同士が架橋した構造)
本発明に用いる、ポリロタキサンを含む網目構造を有する材料に挙げられる、ポリロタキサンの環状分子同士が架橋した構造は、例えば、ポリロタキサンの環状分子同士を物理結合及び/又は化学結合を介して架橋させることにより得ることができる。好ましくは2以上のポリロタキサンを用いるが、この場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。即ち、第1のポリロタキサンとそれとは異なる第2のポリロタキサンとを用いることができる。例えば、第1のポリロタキサンが有する第1の環状分子と、第2のポリロタキサンが有する第2の環状分子とを架橋させることができるが、この際、第1の環状分子と第2の環状分子とは同じであっても異なっていてもよい。
化学結合を介して架橋させる場合、化学結合は単なる結合であっても、種々の原子又は分子を介する結合であってもよい。物理結合を介しての架橋としては、水素結合、クーロン力、疎水結合、ファンデルワールス結合、配位結合を利用するものが挙げられる。なお、架橋は、外部刺激の有無により未架橋状態又は架橋状態から架橋状態又は未架橋状態へと可逆的に変化するものも含む。即ち、外部刺激の変化により、未架橋状態から架橋状態へと可逆的に変化する場合、又はその逆、即ち外部刺激の変化により、架橋状態から未架橋状態へと可逆的に変化する場合のいずれも含む。
ポリロタキサンの環状分子同士を、化学結合を介して架橋させる場合、環状分子は、環の外側に反応基を有するのが好ましい。この反応基を用いて容易に反応を行うことができるからである。反応基は、用いる架橋剤、光開始剤等にも依存するが、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、アルデヒド基等、光架橋基からなる群から選ばれる少なくとも1種及び不飽和二重結合基等を有することが好ましい。なお、光架橋基としては、ケイ皮酸、クマリン、カルコン、アントラセン、スチリルピリジン、スチリルピリジニウム塩、スチリルキノリウム塩等を、そして光開始剤のための不飽和二重結合基としては、メタクリロイル基等を挙げることができるがこれらに限定されない。また、上述のブロック化反応の際にブロック基と反応しない基を用いるのが好ましい。
ポリロタキサンの環状分子同士の架橋は、擬ポリロタキサンの両末端をブロック化した後、架橋剤又は光開始剤を用いて環状分子同士を架橋するのが好ましい。この際、架橋反応の条件は、通常、ブロック化したポリロタキサンのブロック基を除去しない条件である。
また、第1の環状分子とそれとは異なる第2の環状分子とを架橋することができる。第1及び第2の環状分子は、それぞれが互いに反応して結合を形成することができる反応基を有することができる。
(架橋剤)
ポリロタキサンの環状分子同士の架橋に用いる架橋剤は、従来より公知の架橋剤を用いることができる。例えば、塩化シアヌル、トリメソイルクロリド、テレフタロイルクロリド、エピクロロヒドリン、ジブロモベンゼン、グルタールアルデヒド、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(例えば2,4−トリレンジイソシアネート)、1,1’−カルボニルジイミダゾール、及びジビニルスルホン等を挙げることができる。また、シランカップリング剤(例えば種々のアルコキシシラン)及びチタンカップリング剤(例えば種々のアルコキシチタン)等の各種カップリング剤を挙げることができる。さらに、ソフトコンタクトレンズ用材料に用いられる各種の光架橋剤、例えばホルミルスチリルピリジウム等のスチルバゾリウム塩系の光架橋剤(K. Ichimura et al., Journal of polymer science. Polymer chemistry edition 20, 1411-1432(1982)(本文献は、参考として本明細書に含まれる)を参照)、並びにその他の光架橋剤、例えば光二重化による光架橋剤、具体的にはケイ皮酸、アントラセン、チミン類等を挙げることができる。なお、これらの架橋剤はすべて市場より入手できる。
架橋剤は、その分子量が2,000未満、好ましくは1,000未満、より好ましくは600未満、最も好ましくは400未満であるのが好ましい。
ポリロタキサンの環状分子としてα−シクロデキストリンを用い、且つ架橋剤を用いてポリロタキサンの環状分子同士を架橋する場合、架橋剤として、塩化シアヌル、2,4−トリレンジイソシアネート、1,1’−カルボニルジイミダゾール、トリメソイルクロリド、テレフタロイルクロリド、並びにテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシラン等のアルコキシシラン類等を挙げることができる。
(光開始剤)
また、ポリロタキサンの環状分子に不飽和二重結合が存在しする場合には、光開始剤を用いてポリロタキサンの環状分子同士を架橋することができる。光開始剤とは光照射、刺激により分解し、フリーラジカルを発生させる化合物を意味する。
本発明において用いる光開始剤は、従来より公知の光開始剤を用いることができる。ポリロタキサンの環状分子としてα−シクロデキストリンを用い、且つ光開始剤を用いてポリロタキサンの環状分子同士を架橋する場合、光開始剤として、キノン類、芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ビイミダゾール化合物及びその誘導体、N−フェニルグリシン類、チオキサントン類とアルキルアミノ安息香酸との組み合わせ、ビイミダゾール化合物及びその誘導体とミヒラーズケトンとの組み合わせ、アクリジン類、及びオキシムエステル類からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのがよく、具体的には、カンファーキノン、2−エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノンなどのキノン類、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、トリアリールイミダゾリル二量体等のビイミダゾール化合物及びその誘導体、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−フェニルグリシン等のN−フェニルグリシン類、チオキサントン類とアルキルアミノ安息香酸の組み合わせ、例えばエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチル、2−クロルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチル、イソプロピルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせ、また、トリアリールイミダゾリル二量体等のビイミダゾール化合物及びその誘導体とミヒラーズケトンとの組み合わせ、9−フェニルアクリジン等のアクリジン類、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−o−ベンゾインオキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類であるのがよい。好ましくは、ジエチルチオキサントン、クロルチオキサントン等のチオキサントン類、ジメチルアミノ安息香酸エチル等のジアルキルアミノ安息香酸エステル類、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、トリアリールイミダゾリル二量体等のビイミダゾール化合物及びその誘導体、9−フェニルアクリジン、N−フェニルグリシン類、及びこれらの組み合わせであるのがよい。なお、トリアリールイミダゾリル二量体等のビイミダゾール化合物及びその誘導体としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,2’,5−トリス−(o−クロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−4’,5’−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,4−ビス−(o−クロロフェニル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,4,5−トリス−(o−クロロフェニル)−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−クロロフェニル)−ビス−4,5−(3,4−ジメトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3−ジフルオロメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,5−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体等が挙げられる。アシルホスフィンオキシド類としては2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−エチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−イソプロピルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1−メチルシクロヘキサノイルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル等が挙げられる。なお、これらの光開始剤はすべて市場より入手できる。
上記において、架橋構造として、主に、ポリロタキサンを形成した後に、環状分子同士を架橋させて形成したものを述べてきた。これに加えて、架橋環状分子構造を有する物質、例えば第1の環及び第2の環を有する「ビシクロ分子」をポリロタキサンの環状分子として用いることができる。この場合、例えば「ビシクロ分子」と直鎖状分子とを混合し、「ビシクロ分子」の第1の環及び第2の環に直鎖状分子を串刺し状に包接してポリロタキサン同士が架橋した架橋ポリロタキサンを得ることができる。この場合、包接した後に、直鎖状分子の両端をブロック基でブロックするのが好ましい。
(ポリロタキサンの環状分子同士の架橋方法)
ポリロタキサンの環状分子同士が化学結合を介して架橋した構造は、次のように調製することができる。まず、環状分子及び直鎖状分子を混合して環状分子の開口部に直鎖状分子が串刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサンを調製する。この調製工程における混合の際、種々の溶媒を用いてもよい。この溶媒は、環状分子及び/若しくは直鎖状分子を溶解する溶媒、又は環状分子及び/若しくは直鎖状分子を懸濁する溶媒等を挙げることができる。具体的には、用いる環状分子及び/又は直鎖状分子等に依存して適宜選択することができる。
擬ポリロタキサンの調製の際、直鎖状分子で串刺し状に貫かれる環状分子の量を制御するのが好ましい。少なくとも2個の環状分子を直鎖状分子で串刺し状に貫き、少なくとも2個の環状分子が直鎖状分子を包接してなるのが好ましい。また、環状分子が直鎖状分子上に最大限に存在することができる量、即ち最大包接量を1とした場合、環状分子の量は、最大包接量の0.001〜0.6、好ましくは0.01〜0.5、より好ましくは0.05〜0.4の値で存在するのが好ましい。
上述の環状分子の量は、混合する時間、温度、圧力、用いる直鎖状分子の分子量を高分子量にすること等によって制御することができる。より具体的には、環状分子の飽和溶液中に、過剰な直鎖状分子を溶解すること等が挙げられる。
擬ポリロタキサンは、上述のように、環状分子を直鎖状分子に密に詰めないことが好ましい。密に詰めないことにより、架橋した際に、架橋環状分子又は直鎖状分子の可動距離を保持することができる。この可動距離により、上述したように、高い破壊強度、高エントロピー弾性、優れた伸張性、及び/又は優れた復元性、所望により高吸収性又は高吸湿性を提供することができる。次いで、得られた擬ポリロタキサンから環状分子が串刺し状態から脱離しないように直鎖状分子の両末端をブロック基でブロックしてポリロタキサンを調製する。
得られたポリロタキサンの環状分子同士を、化学結合を介して結合して2つ以上のポリロタキサンを架橋させることができる。
また、上記の方法以外に、架橋環状分子、即ち「ビシクロ分子」を用いて、次の方法により、架橋構造を得ることができる。即ち、ビシクロ分子をまず準備する。ビシクロ分子は、上述したように、第1の実質的な環及び第2の実質的な環を有する。次いで、ビシクロ分子と第1の直鎖状分子と第2の直鎖状分子とを混合してビシクロ分子の第1の環の開口部に第1の直鎖状分子が串刺し状に包接されてなり第2の環の開口部に第2の直鎖状分子が串刺し状に包接されてなり、且つビシクロ分子により架橋された構造を得て、次いで、ビシクロ分子が串刺し状態から脱離しないように直鎖状分子の両末端をブロック基でブロックする工程に付する。
なお、ビシクロ分子は、「ビシクロ」とあるが、第1の実質的な環及び第2の実質的な環の他に、1又は2以上の環を有することができる。また、ビシクロ分子として、英字「C」を2つ結合させた構造を有する分子を用いてもよい。この場合、直鎖状分子を串刺し状に包接させた後に、またはブロック基でブロックした後に、「C」状のものを閉環させることができる。なお、英字「C」を2つ結合させた構造を有する分子、及び分子の閉環に関して、M. Asakawa et al.,ANGEWANTE CHEMIE-INTERNATIONAL EDITION 37(3), 333-337(1998)、及びM. Asakawa et al., EUROPEAN JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY 5, 985-994(1999)を参照のこと(これらの文献は、本明細書に参考として含まれる)。
(ポリロタキサンとポリマーとが架橋した構造)
また、ポリロタキサンを含む網目構造を有する材料に挙げられる、ポリロタキサンとポリマーが架橋した構造は、例えば、ポリロタキサンの環状分子とポリマーとを、化学結合及び/又は物理結合を介して架橋させることにより得られる。化学結合を介して架橋させる場合、化学結合は単なる結合であっても、種々の原子又は分子を介する結合であってもよい。物理結合を介しての架橋としては、水素結合、クーロン力、疎水結合、ファンデルワールス結合、配位結合を利用するものが挙げられる。なお、架橋は、外部刺激の有無により未架橋状態又は架橋状態から架橋状態又は未架橋状態へと可逆的に変化するものも含む。即ち、外部刺激の変化により、未架橋状態から架橋状態へと可逆的に変化する場合、又はその逆、即ち外部刺激の変化により、架橋状態から未架橋状態へと可逆的に変化する場合のいずれも含む。
ポリマーとポリロタキサンの環状分子とは、架橋剤又は光開始剤により化学結合されていることが好ましい。環状分子は、−OH基、−NH基、−COOH基、エポキシ基、ビニル基、チオール基、光架橋基からなる群から選ばれる少なくとも1種又は不飽和二重結合基等を有することが好ましい。これらの基を反応させて、架橋させることができるからである。なお、光架橋基としては、ケイ皮酸、クマリン、カルコン、アントラセン、スチリルピリジン、スチリルピリジニウム塩、スチリルキノリウム塩等を、そして光開始剤のための不飽和二重結合基としては、メタクリロイル基等を挙げることができるがこれらに限定されない。架橋剤又は光開始剤は、上記で挙げた具体例又は好ましい例が同様に適用される。
(ポリマー)
ポリロタキサンの環状分子とポリマーとが架橋した構造に用いるポリマーは、特に限定されないが、主鎖又は側鎖に−OH基、−NH基、−COOH基、エポキシ基、ビニル基、チオール基、及び光架橋基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有することが好ましい。これらの基を反応させて、架橋させることができるからである。なお、光架橋基として、ケイ皮酸、クマリン、カルコン、アントラセン、スチリルピリジン、スチリルピリジニウム塩、スチリルキノリウム塩等を挙げることができるがこれらに限定されない。
ポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。2種以上のポリマーを有していてもよく、2種以上のポリマーを有する場合には、少なくとも1種のポリマーがポリロタキサンと環状分子を介して結合しているのが好ましい。本発明の材料のポリマーがコポリマーである場合には、2種、3種又はそれ以上のモノマーから成ってもよい。コポリマーである場合、ブロックコポリマー、交互コポリマー、ランダムコポリマー又はグラフトコポリマー等であるのが好ましい。ポリマーの数平均分子量は、1,000〜1,000,000であることが好ましい。より好ましくは、1万〜数10万である。
ポリマーの例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、セルロース系樹脂(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、でんぷん等及び/又はこれらの共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びその他オレフィン系単量体との共重合樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートや(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合樹脂等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等;及びこれらの誘導体又は変性体、ポリイソブチレン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアニリン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ナイロン等のポリアミド類、ポリイミド類、ポリイソプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類、ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン類、ポリスルホン類、ポリイミン類、ポリ無水酢酸類、ポリ尿素類、ポリスルフィド類、ポリフォスファゼン類、ポリケトン類、ポリフェニレン類、ポリハロオレフィン類、並びにこれらの誘導体を挙げることができるが、これらに限定されない。なお、誘導体としては、上述の基、即ち−OH基、−NH基、−COOH基、エポキシ基、ビニル基、チオール基、及び光架橋基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するものが好ましい。なお、これらのポリマーはすべて市場より入手できる。
(ポリロタキサンの環状分子とポリマーとが架橋した構造形成のための架橋方法)
ポリロタキサンの環状分子とポリマーが化学結合を介して架橋した構造は、次のように調製することができる。即ち、a)ポリロタキサン(調製については、上記を参照)とポリマーとを混合する工程;b)場合により、ポリマーの少なくとも一部を物理結合及び/又は化学結合を介して架橋する工程、及びc)ポリマーの少なくとも一部と、ポリロタキサンの少なくとも一部の環状分子とを物理結合及び/又は化学結合により架橋させることにより調製することができる。
a)工程において、ポリロタキサンとポリマーは、ポリロタキサンに由来する種々の特性を発揮させる点から、重量比(ポリロタキサン/ポリマー)が1/1000以上であることが好ましく、より好ましくは、1/500以上であり、より好ましくは1/100以上である。しかし、これら範囲に限定されず、例えば、所望の特性に応じて、1/1000〜1/2のように、ポリマーを多く用いることもできるし、1/2〜1000のようにポリロタキサンを多く用いることもできる。
b)工程において、ポリマーの少なくとも一部を化学架橋するのが好ましい。化学架橋は、例えば架橋剤や光開始剤を用いて行うことができる。架橋剤や光開始剤として、上述のものを挙げることができるが、これらに限定されない。
上記c)工程は、b)工程後に行っても、b)工程前に行ってもよい。また、b)工程とc)工程とをほぼ同時に行ってもよい。
a)の混合工程は、用いるポリマーに依存するが、溶媒なしで行っても溶媒中で行ってもよい。溶媒を用いる場合、溶媒として、水、トルエン、キシレン、ベンゼン、アニソール、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等を挙げることができるが、これらに限定されない。
b)工程は、従来より公知のポリマー架橋条件下で行うのが好ましい。例えば、次のような条件を挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、ア)ポリマーがエポキシ基のような活性な置換基を有している場合、加熱又はアミンや酸無水物のような活性水素の存在により架橋反応を生じさせることができる。また、光酸発生剤、光塩基発生剤の存在下で光照射をすることでも架橋反応を生じさせることができる。イ)ポリマーがビニル基のような不飽和二重結合を有している場合、熱又は光ラジカル発生剤の存在下、加熱又は光照射により架橋反応を生じさせることができる。ウ)ポリマーが前述の光架橋基を有している場合、加熱又は光照射により架橋反応を生じさせることができる。エ)ポリマーが水酸基、アミノ基、カルボキシル基等を有している場合、多置換イソシアネート類やカルボジイミド類、トリアジン類、シラン類の存在により架橋反応を生じさせることができる。オ)ポリマーが種々の基を有していない場合であっても電子線照射により架橋反応を生じさせることもできる。
c)工程は、化学結合を介して架橋させることが好ましい。ポリマーが主鎖及び/又は側鎖に有する基、例えば−OH基、−NH基、−COOH基、エポキシ基、ビニル基、チオール基、及び光架橋基等と、環状分子が有する基、例えば−OH基、−NH基、−COOH基、エポキシ基、ビニル基、チオール基、及び光架橋基等とを化学反応させることにより、行うのが好ましい。c)工程の条件は、ポリマーが有する基、環状分子が有する基等に依存する。c)工程の条件は、例えば、上述の架橋条件を同様に用いることができるが、これに限定されない。
また、ポリロタキサンの環状分子とポリマーが化学結合を介して架橋した構造は、次のように調製することもできる。即ち、a)ポリロタキサンと、ポリマーを構成するモノマーとを混合する工程;b)モノマーを重合してポリマーを形成する工程;c)場合により、ポリマーの少なくとも一部を物理結合及び/又は化学結合を介して架橋する工程;及びd)ポリマーの少なくとも一部とポリロタキサンの環状分子の少なくとも一部を、化学結合を介して架橋させる工程;を有する方法により調製することができる。
a)工程において、ポリロタキサンとモノマーは、ポリロタキサンに由来する種々の特性を発揮させる点から、重量比(ポリロタキサン/モノマー)が1/1000以上であることが好ましく、より好ましくは、1/500以上であり、より好ましくは1/100以上である。しかし、これら範囲に限定されず、例えば、所望の特性に応じて、1/1000〜1/2のように、ポリマーを多く用いることもできるし、1/2〜1000のようにポリロタキサンを多く用いることもできる。
上記方法において、c)工程で、ポリマーの少なくとも一部を化学架橋するのが好ましい。化学架橋は、例えば架橋剤や光開始剤を用いて行うことができる。架橋剤または光開始剤として、上述のものを挙げることができるが、これらに限定されない。
上記方法において、b)工程とc)工程とをほぼ同時に行うのが好ましい。また、c)工程とd)工程とをほぼ同時に行うのが好ましい。さらに、b)工程とc)工程とd)工程とをほぼ同時に行ってもよい。また、d)工程をc)工程前又はc)工程後に行ってもよい。
モノマーを重合しポリマーを形成工程の条件は、用いるモノマー等に依存する。それらの条件は、従来より公知の条件を用いることができる。
なお、ポリロタキサンの環状分子には、上記と同様にイオン性基、非イオン性基を導入することができる。
(非水系溶媒)
本発明に用いるゲル状組成物は、媒体として非水系溶媒を含む。本発明に用いる非水系溶媒とは、ゲル状組成物に含まれる水以外の液体をいい、単独の液体であっても、複数の液体の混合物であってもよい。一般に、媒体と網目構造との関係により、ゲル化能は変化し、組み合せによってはゲル状とすることが困難にもなるが、本発明におけるポリロタキサンを含む網目構造は、種々の媒体を保持可能であるため、媒体の選択により、所望の眼内装置の特性を有するゲル状組成物が得られる。また、媒体に非水系溶媒を含むため安定性を確保しやすい。
本発明に用いることができる非水系溶媒としては、天然油、例えばグリセリン、ひまし油、オリーブ油等;多価アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエステルポリオール等;脂肪酸、なかでも高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノレイン酸等;エーテル類、例えば多価アルコールのアルキルエーテル類、エチレンオキシド・プロピレンオキシド共重合体等;アビエチン酸エチル;シリコーン油、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等が挙げられる。多価アルコールのアルキルエーテル類については、モノアルキルエーテルであっても、ポリアルキルエーテルであってもよい。多価アルコールの炭素数が1〜6の低級アルキルエーテルが挙げられ、例えば多価アルコールのモノメチルエーテル、ジメチルエーテル、モノエチルエーテル、ジエチルエーテル等が挙げられる。ポリエチレングリコールについては数平均分子量200〜600が好ましく、より好ましくは200〜450であり、ポリプロピレングリコールについては数平均分子量400〜5000が好ましく、より好ましくは400〜3500であるが、これらに限定されない。なお、これらの非水系溶媒はすべて市場より入手できる。
非水系溶媒は、室温で液体であることが取り扱いの点等から好ましいが、用途によっては、室温を超える温度(例えば、50〜200℃)で液体の形態となるものを使用することもできる。
また、非水系溶媒の選択により、屈折率を変化させることができる。媒体の屈折率がほぼ、ゲル状組成物の屈折率となるので、屈折率を高くするには、屈折率が高い非水系溶媒を選択すればよい。水のNa−D線、20℃での屈折率(以下、別途記載がない限り、屈折率は、Na−D線、20℃での値をいうこととする)が1.33であるため、これより高い屈折率を得るためには、例えば、屈折率が、1.37〜1.60の非水系溶媒を使用することができる。これらの例としては、シリコーン油、多価アルコールが挙げられる。特に、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールは、屈折率が1.44〜1.46程度であり、本発明の眼用装置(眼用装置として適切な屈折率:1.37〜1.46)に特に適している。
また、衝撃吸収力の点からは、粘度が1cP(20℃)超の液体であることが好ましい。このような流体としては、上述の天然油、多価アルコール、脂肪酸、ポリエーテル類、アビエチン酸エチルが挙げられ、シリコーン油であれば重合度3以上のものが好ましい。より好ましくは、粘度が5cP(20℃)以上、さらに好ましくは10cP(20℃)以上の液体である。ゲル化する際の取り扱い安さ等の点から、例えば5〜1000cP(20℃)、中でも5〜500cP(20℃)といった流動性の高い液体を使用することもできるが、これらの範囲には限られず、数万cP(20℃)、例えば1万cP(20℃)のようなものも使用することができる。
ポリエチレングリコールの場合は粘度が1cP(20℃)超であり、衝撃吸収力の向上に資するものである。例えば、本発明の眼用装置は、ポリロタキサン材料の架橋構造が同一のヒドロゲルの場合に比べて、0.1Hzの振動吸収係数(Tanδ)にして一桁大きくすることも期待できる。
加えて、ポリエチレングリコールを使用した眼用装置は、湿度透過性に優れる材料とされるシリコーンシート並、あるいはそれ以上の性能も期待できる。
なお、媒体は、任意成分として、カチオン性界面活性剤,アニオン性界面活性剤,ノニオン性界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、殺菌剤、顔料、着色剤、香料などを含むことができる。また、本発明の目的を損なわない範囲で水を含むことができる。これには、非水系溶媒やゲル状組成物の製造工程での吸湿等の不可避的に混入する水などが包含される。
(ゲル状組成物の製造方法)
本発明に用いるゲル状組成物は、ポリロタキサン同士の架橋、又はポリロタキサンとポリマーとの架橋を、非水系溶媒その他の任意成分を含む媒体中で行うことにより製造することができる。
また、本発明のゲル状組成物は、架橋構造を含むポリロタキサン材料を、非水系溶媒その他の任意成分を含む媒体中に浸漬することにより製造することができる。ポリロタキサン材料は、乾燥状態でもよく、また溶媒中で架橋させた場合は、溶媒を含む状態で、所望の媒体に浸してもよい。ただし、後者の方法において、溶媒が水であり、所望の媒体が水に対して溶解しないか、又は溶解性の低い非水系溶媒である場合は、いったん、水と所望の媒体との双方に溶解する中間溶媒に浸し、水を中間溶媒で置換した後、所望の媒体に浸漬することとする。乾燥状態の場合、ポリロタキサン材料の原料の種類等にもよるが、ポリロタキサン材料の乾燥重量に対して、1超(ゲル状組成物の重量/ポリロタキサン材料の乾燥重量)の膨張度があり、例えば1.1〜1000倍とすることができる。
次に、より具体的に、環状分子としてα−シクロデキストリン、直鎖状分子としてポリエチレングリコール、ブロック基として2,4−ジニトロフェニル基、架橋剤として塩化シアヌルを用いた場合の架橋構造の調製方法を説明する。
まず、後に行うブロック化処理のために、ポリエチレングリコールの両末端をアミノ基に変性してポリエチレングリコール誘導体を得る。α−シクロデキストリン及びポリエチレングリコール誘導体を混合して擬ポリロタキサンを調製する。調製に際して、最大包接量を1とした場合、包接量が1に対して、0.001〜0.6となるように、例えば混合時間を1〜48時間とし、混合温度を0℃〜100℃とすることができる。
一般に、ポリエチレングリコールの数平均分子量20,000に対して、α−シクロデキストリンは、最大230個包接することができる。したがって、この値が最大包接量である。上記条件は、ポリエチレングリコールの数平均分子量20,000を用いて、α−シクロデキストリンが平均60〜65個(63個)、即ち最大包接量の0.26〜0.29(0.28)の値で包接するための条件である。α−シクロデキストリンの包接量は、NMR、吸光度、元素分析等により確認することができる。
得られた擬ポリロタキサンを、ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解したアダマンタンカルボン酸と反応させることにより、ブロック化してポリロタキサンを得る。
次いで、得られたポリロタキサンをポリエチレングリコールに溶解する。この液に塩化シアヌルを添加して反応させることにより、α−シクロデキストリン同士を架橋させる。
次に、環状分子としてα−シクロデキストリン、直鎖状分子としてポリエチレングリコール、ブロック基としてアダマンタンアミン、光開始剤として2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン、非水系溶媒としてポリエチレングリコールを用い、ポリロタキサン同士をポリエチレングリコール中で光架橋させて架橋構造を調製する方法を説明する。生体内で本願発明の眼内レンズなどの眼用装置を直接製造する場合に好ましい。
まず、後に行うブロック化処理のために、ポリエチレングリコールの両末端をカルボン酸に変性してポリエチレングリコール誘導体を得る。α−シクロデキストリン及びポリエチレングリコール誘導体を混合して擬ポリロタキサンを調製する。調製に際して、最大包接量を1とした場合、包接量が1に対して、0.001〜0.6となるように、例えば混合時間を1〜48時間とし、混合温度を0℃〜100℃とすることができる。
またはPEGの両末端をカルボン酸に変性する以外にも、PEG両末端をカルボニルジイミダゾールで活性化した後、エチレンジアミンにより両末端にアミンを有するPEG、すなわち両末端アミンのポリエチレンオキサイドを得る。次いで、上記と同様にα−シクロデキストリンに包接させ、得られた擬ポリロタキサンを、ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解したアダマンタンカルボン酸と反応させることにより、ブロック化してポリロタキサンを得ることもできる。
一般に、ポリエチレングリコールの数平均分子量20,000に対して、α−シクロデキストリンは、最大230個包接することができる。したがって、この値が最大包接量である。上記条件は、ポリエチレングリコールの数平均分子量20,000を用いて、α−シクロデキストリンが平均60〜65個(63個)、即ち最大包接量の0.26〜0.29(0.28)の値で包接するための条件である。α−シクロデキストリンの包接量は、NMR、吸光度、元素分析等により確認することができる。
得られた擬ポリロタキサンを、ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解したアダマンタンアミンと反応させることにより、ブロック化してポリロタキサンを得る。
得られたポリロタキサンのα−CDをヒドロキシプロピル化する。
α−CDがヒドロキシプロピル化したポリロタキサンはポリロタキサンをプロピレンオキシドとアルカリ水中又は塩基を含む有機溶媒中で混合攪拌することで調製できる。
得られたヒドロキシプロピル化ポリロタキサンにメタクリロイル基(不飽和二重結合基)を導入する。
カルバモイル結合を介してメタクリロイル基を導入する場合、ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンをDMSO、DMF等の脱水溶媒に溶解し、イソシアネート基を有するメタクリロイル試薬を加えることで行うことができる。また、エーテル結合やエステル結合を介してヒドロキシプロピル化ポリロタキサンにメタクリロイル基を導入する場合は、グリシジル基や酸クロライド等の活性基を有するメタクリロイル試薬を用いることもできる。
次いで、得られたメタクリロイル基導入ポリロタキサンを非水系溶媒としてのポリエチレングリコールに溶解する。この液に2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノンを添加し、光照射して反応させることにより、α−シクロデキストリン同士を架橋させる。場合により、光開始剤としてカンファーキノンを更に追加して光架橋させても良い。
特に、本発明の眼用装置において用いるポリロタキサンは、環状分子としてα−CD、直鎖状分子としてポリエチレングリコール(好ましくは数平均分子量10,000〜1,000,000、より好ましくは10,000〜500,000、さらに好ましくは10,000〜300,000)との組み合せが好ましい。このような組み合せは、親和性が良好で、均一な状態のゲル状組成物となることが期待できるからである。ブロック基、架橋剤、光開始剤は上記で例示されたものであれば、特に限定されず、またイオン性基・非イオン性基を導入してもよい。
環状分子であるα−CD分子に直鎖状分子であるポリエチレングリコール等が包接されたポリロタキサンは一般に水には不溶であるが、アルカリ性水溶液には可溶である。そのため、本発明の眼用装置を水系溶媒を用いて製造する場合、かかる水溶液にポリロタキサンを溶解させて行われることが多い。その場合、ゲル状組成物中のアルカリ水溶液は純水又は生理食塩水で置換された後、さらに非水系溶媒を含む媒体で置換される。上述のとおり、本発明のゲル状組成物は、その目的を損なわない範囲で水を含むことができ、この中にはこの製造工程に由来して混入する水も包含される。
なお、上記のポリエチレングリコールのアルキルエーテルも同様に好ましく使用することができ、例えばポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル等のモノ低級アルキルエーテル及びジ低級アルキルエーテルが挙げられる。
本発明の眼用装置において用いるゲル状組成物に使用する、非水系溶媒としては、典型的にはポリエチレングリコールが挙げられる。中でも、数平均分子量200〜600のものが好ましく、中でも200〜450のものが取り扱いの点から好ましい。また媒体が実質的にポリエチレングリコールからなるのが好ましい。
さらに、上述のとおり、ポリエチレングリコールの屈折率は1.46程度であり、ゲル状組成物の屈折率を、透明プラスチックとして汎用されるポリメチルメタクリレート(PMMA)の屈折率1.49と同等のレベルにすることができる。そして、ゲル状組成物の屈折率は非水系溶媒により任意に調製できるので、本発明のゲル状組成物は、眼用装置、例えばコンタクトレンズ材料、人工角膜、人工水晶体(眼内レンズ)、人工硝子体として有用である。
本発明の眼用装置において用いる光照射とは、紫外線や可視光線、赤外線、電子線などを意味し、感光基または光開始剤が反応する光であればよい。用いられる光源としては蛍光灯を含めた水銀灯やハロゲンランプ、LED、レーザーなどが挙げられる。本発明に用いることのできる光照射装置は市場より入手できる。
本発明において用いる眼とは、瞳孔への途中で光線を屈折させる角膜、透明な外組織、瞳孔の大きさをコントロールして眼に入る光の量を調節する虹彩、及び入射光を硝子体液を介して網膜に集める水晶体から構成される、ヒトを含む生物の感覚器官を意味する。本発明において用いる眼とは、生物の目を意味し、好ましくは動物、より好ましくはイヌ、ネコ等の愛玩動物またはヒトの眼を意味する。
本発明において用いる眼用装置には、ソフトコンタクトレンズ、人工角膜、眼内レンズ(又は人工水晶体とも呼ぶ)、人工硝子体等が挙げられる。従って、本発明の眼用装置は、コンタクトレンズによる視力補助を必要とする疾患、例えば近視、遠視、乱視若しくは老眼などの治療のために用いることができる。また、本発明の眼用装置は、眼の人工角膜、人工水晶体(眼内レンズ)若しくは人工硝子体の移植を必要とする疾患、例えば角膜疾患、白内障、老眼、無水晶体症、網膜硝子体疾患、又は、眼内炎もしくは外傷による損傷などの治療のために用いることができる。
人工角膜の移植を必要とする疾患には、角膜疾患又は外傷による角膜の損傷などが挙げられる。角膜疾患には、角膜炎や角膜潰瘍などで角膜に変形や混濁が生じる疾患や遺伝性の角膜疾患などがある。
人工硝子体の移植を必要とする疾患には、網膜硝子体疾患又は眼内炎もしくは外傷による硝子体の損傷などが挙げられる。網膜硝子体疾患には、硝子体出血、黄斑円孔、一部の網膜剥離などがある。
人工水晶体(眼内レンズ)の移植を必要とする疾患には、白内障、無水晶体症、老眼、又は眼内炎もしくは外傷などによる水晶体の損傷などが挙げられる。
本発明で用いる白内障とは、目の中のレンズの役目をしている水晶体に濁りが生じることで徐々に視力が失われていく疾患を意味し、白内障には、先天性白内障、老人性白内障、糖尿病性白内障、併発性白内障、外傷性白内障などが含まれる。
本発明で用いる無水晶体症とは、水晶体が取り去られてしまった状態、外傷などで水晶体がはずれてしまった状態を意味する。
本発明で用いる老眼(老視)とは、水晶体の弾力が衰えてくるために近くが見えにくくなる眼の症状を意味する。
本発明で用いるソフトコンタクトレンズとは、角膜の上にのせて用いる視力の補助(近視、遠視、乱視、老眼などの補助)を行なう医療用具であるコンタクトレンズのうち柔らかいものを意味する。
本発明で用いる人工角膜、眼内レンズ(人工水晶体)、人工硝子体とは、生来の角膜、水晶体、硝子体の光学的機能にとって代わる人工物を意味する。
本発明で用いる角膜とは、眼球の最も外側の部分の透明な膜で、限球の形を保ち、外の光を通して光を屈折させ,ひとみの中に光を送り込むレンズの役目をするものを意味する。
本発明で用いる水晶体とは外から入ってくる光を屈折させ,網膜に像をうつすレンズの役割をはたしているものを意味し、水晶体は、水晶体嚢と呼ばれる袋と、核および皮質と呼ばれる中身からなる。
本発明で用いる硝子体とは、眼球の内部の大部分を満たしている無色透明のゼリー状のもの(透明なゲル)を意味する。眼球の形を保つと同時に,入ってくる光を屈折させる役割をはたしている。
(眼用装置の製造方法)
本発明の眼用装置は、上記に記載のゲル状組成物の製造を目的の眼用装置用の型内で行うことにより製造することができる。すなわち、非水系溶媒その他の任意成分を含む媒体中で行う、ポリロタキサン同士の架橋若しくはポリロタキサンとポリマーとの架橋を、目的の眼用装置用の型内で行うことにより製造することができる。
よって、眼用装置用の型が、コンタクトレンズの型、角膜の型、水晶体の型、硝子体の型であった場合には、それぞれソフトコンタクトレンズ、人工角膜、人工水晶体、人工硝子体を製造できる。
また、ゲル状組成物の製造を生体の眼内において行うことにより眼用装置を製造することができる。例えば、眼用装置が眼内レンズの場合、生来の眼の水晶体(核および皮質)を超音波乳化吸引術などの外科手術的手法で除去した後、空の水晶体嚢内に、ポリロタキサン若しくはポリロタキサンとポリマー、及び架橋剤もしくは光開始剤、場合により、さらにその他の任意成分を含む非水系溶媒を注入し、空の水晶体嚢内においてポリロタキサン同士若しくはポリロタキサンとポリマーとを光照射により架橋させてゲル状組成物を製造することで眼内レンズを製造することができる。よって、本発明で用いる、生来の眼の水晶体(核および皮質)を除去した後の水晶体嚢内の眼内レンズとは、生体外で製造した眼内レンズを水晶体除去後の空の水晶体嚢内に挿入するのではなく、空の水晶体嚢を型として用いて直接空の水晶体嚢内において製造される眼内レンズことを意味する。ここで、水晶体嚢とは、生来の眼の水晶体(核および皮質)を覆っている透明な袋を意味する。なお、生体内で眼内レンズなどの眼用装置を直接製造する場合には光開始剤の使用が安全性などの点から好ましい。
さらに、眼内レンズの製造の場合と同様に、ゲル状組成物の製造を生来の眼の硝子体除去後の硝子体のあった場所において行うことで、人工硝子体を製造することができる。
本発明で用いる眼用装置用の型とは、ゲル状組成物を目的の眼用装置の形状に成形するためのものを意味し、眼用装置用の型の材質はプラスチック製でも金属製でもあっても良く、材質には限定されない。従って、生来の眼の水晶体の除去後の空の水晶体嚢で眼内レンズを製造する場合には、空の水晶体嚢が眼用装置用の型となり、生来の眼の硝子体を除去した後の場所で人工硝子体を製造する場合には、硝子体除去後の空間が眼用装置用の型となる。
また、ゲル状組成物を眼用装置の形に加工することで本発明の眼用装置を製造することができる。すなわち、ゲル状組成物を調製後に、ゲル状組成物をソフトコンタクトレンズ、角膜、水晶体又は硝子体の形に加工することで、ソフトコンタクトレンズ、人工角膜、人工水晶体又は人工硝子体を製造することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。実施例で用いる水は、特に記載がない限り蒸留精製した水を意味する。
(ポリロタキサンの調製)
<PEGのTEMPO酸化によるPEG−カルボン酸の調製>
PEG(分子量3.5万、フルカ)10g、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、和光純薬)100mg、及び臭化ナトリウム1gを水100mlに溶解した。得られた溶液に市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度約5%)5mlを添加し、室温で攪拌しながら反応させた。反応が進行すると添加直後から系のpHは急激に減少するが、なるべくpH:10〜11を保つように1N NaOHを添加して調製した。pHの低下は概ね3分以内に見られなくなったが、さらに10分間攪拌した。エタノールを最大5mlまでの範囲で添加して反応を終了させた。塩化メチレン50mlでの抽出を3回繰返して無機塩以外の成分を抽出した後、エバポレータで塩化メチレンを留去した。温エタノール250ml(75℃)に溶解させた後、−4℃の冷凍庫に一晩おいてPEG−カルボン酸、即ちPEGの両末端をカルボン酸(−COOH)に置換したもの、を析出させた。析出したPEG−カルボン酸を遠心分離で回収した。この温エタノール溶解−析出−遠心分離のサイクルを数回繰り返し、最後に真空乾燥で乾燥させてPEG−カルボン酸を得た。収率95%以上。カルボキシル化率95%以上。
<PEG−カルボン酸とα−CDとを用いた包接錯体の調製>
上記で調製したPEG−カルボン酸3g及びα−CD12g(日本食品加工)をそれぞれ別々に用意した70℃の温水50mlに溶解させた後、両者を混合し、その後、冷蔵庫(4℃)中で一晩静置した。クリーム状に析出した包接錯体を凍結乾燥し回収した。収率90%以上(収量約14g)。
<アダマンタンアミンとBOP試薬反応系を用いた包接錯体の封鎖>
室温でジメチルホルムアミド(DMF)50mlにアダマンタンアミン0.13gを溶解し、上記で得られた包接錯体14gに添加した後、速やかによく振り混ぜた。続いて、BOP試薬(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロフォスフェート、和光純薬)0.38gをDMF25mlに溶解したものに添加し、同様によく振り混ぜた。さらに、ジイソプロピルエチルアミン0.14mlをDMF25mlに溶解したものに添加し、同様によく振り混ぜた。得られた混合物を冷蔵庫中で一晩静置した。その後、DMF/メタノール=1:1混合溶液100mlを加えてよく混ぜ、遠心分離して上澄みを捨てた。このDMF/メタノール混合溶液による洗浄を2回繰り返した後、さらにメタノール100mlを用いた洗浄を同様の遠心分離により2回繰り返した。得られた沈澱を真空乾燥した後、ジメチルスルホキシド(DMSO)50mlに溶解し、得られた透明な溶液を水700ml中に滴下してポリロタキサンを析出させた。析出したポリロタキサンを遠心分離で回収し、真空乾燥又は凍結乾燥させた。このDMSO溶解−水中で析出−回収−乾燥のサイクルを2回繰り返し、最終的に精製ポリロタキサンを得た。添加した包接錯体をベースにした収率約68%(包接錯体14gからの収量は9.6g)であった。
(ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンの調製)
実施例1と同様の方法により、ポリロタキサンを調製した。
<α−CDのヒドロキシプロピル化>
上記で得られたポリロタキサン5.0gを1N−NaOH水溶液50mlに溶解し、プロピレンオキシド10gを加えた。室温で24時間攪拌した後、塩酸で中和した。この溶液を透析チューブ(分画分子量:12,000、三光純薬株式会社)にて48時間、水道水流水下で透析した。さらに、2000mlの水中で12時間の透析を4回行った。凍結乾燥を行い、得られた生成物(ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンB−4)の収量は5.0gであった(ヒドロキシプロピル化率:33%対OH基)。
H−NMR、(DMSO−d、400MHz) δ(ppm) 1.0(s、3.0H)、3.1−4.0(m、14.0H)、4.3−5.1(m、3.1H)、5.3−6.0(m、1.0H)。
(メタクリロイル基を有するポリロタキサンの調製)
実施例2と同様の方法により、ポリロタキサンを調製した。
<ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンへのメタクリロイル基導入>
上記で得られたヒドロキシプロピル化ポリロタキサン0.5gを0.1N−NaOH5mlに溶解し、グリシジルメタクリレート(東京化成)0.5gを滴下した。72時間攪拌後、反応液を1N−HCl水溶液で中和後、該溶液を透析チューブ(分画分子量:12,000)にて12時間、水道水の流水下で透析した。さらに、2000mlの水中で12時間の透析を2回行い、凍結乾燥し、OH基の一部が3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル基に置換されたメタクリロイル化ポリロタキサンを得た(導入率:0.4%対水酸基)。収量は0.5gであった。
H−NMR、(DMSO−d、400MHz) δ(ppm) 1.0(s、3.0H)、1.9(s、0.04H)3.0−4.1(m、13.7H)、4.3−5.2(m、3.0H)、5.3−6.2(m、0.9H)。
(メチル化ポリロタキサンの調製)
実施例1のポリロタキサンの環状分子の水酸基をメチル化して、メチル化ポリロタキサンを得た。具体的には、次のとおりである。
実施例1のポリロタキサン1.0gを10mlの脱水DMSOに溶解し、ナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)1.7g(ポリロタキサン中のα−CD分子の水酸基18等量に対して12等量に相当)を加えた。メタノールを減圧留去しながら、懸濁液を5時間攪拌した。ヨウ化メチル1.2gを加え、19時間攪拌後、反応溶液を水で100mlに希釈し、溶液を透析チューブ(分画分子量12000)にて48時間、水道水の流水下で透析した。さらに500mlの水中で3時間の透析を2回行い、凍結乾燥し、α−CDのOH基の部がOCH3基に置換されたメチル化ポリロタキサンを得た。収量は0.97gであった。
H−NMR、(DMSO−d、300MHz)δ(ppm)3.0−4.0(m、1.8H)、4.43(br、1H)、4.75(br、m、1H)、4.97(s、1H)、5.4−5.8(br、0.5H)。
(ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンの調製)
使用するPEGをPEG(数平均分子量50万)としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリロタキサンを調製した。得られたポリロタキサンの環状分子を、実施例2と同様にしてヒドロキシプロピル化してヒドロキシプロピル化ポリロタキサン(ヒドロキシプロピル化率:27%対OH基)を調製した(収率45%、包接率29%)。
<PEGを含むゲル状組成物の調製>
実施例1で得たポリロタキサン450mgをジメチルスルホキシド(DMSO)3mlに溶解した。この溶液にカルボニルジイミダゾール(CDI)36mgを添加し、50℃で48時間反応させて、架橋ポリロタキサンを得た。得られた架橋ポリロタキサンをPEG(数平均分子量=300)中に入れ溶媒がPEGで置換されたPEGを含むゲルを得た。PEG置換前のゲルの体積を100%とした場合、PEG置換後のゲルの体積は17%であった(膨張度1.2倍)。
<PEGを含むゲル状組成物の調製>
実施例1で得たポリロタキサン200mgを1NのNaOH水溶液2mlに溶解し、ジビニルスルホン20mgを加えた。5℃で48時間反応させて、架橋ポリロタキサンを得た。得られた架橋ポリロタキサンを、大過剰のPEG(数平均分子量=300)中に浸漬し、溶媒がPEGで置換されたPEGを含むゲルを得た。PEG置換前のゲルの体積を100%とした場合、PEG置換後のゲルの体積は25%であった(膨張度2.5倍)。
<PEGを含むゲル状組成物の調製>
実施例2で得たヒドロキシプロピル化ポリロタキサン450mgをDMSO 3mlに溶解した。この溶液にCDI 36mgを添加し、50℃で48時間反応させて、架橋ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンを得た。得られた架橋ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンを大過剰のPEG(数平均分子量=300)中に浸漬し、溶媒がPEGで置換されたPEGを含むゲルを得た。PEG置換前のゲルの体積を100%とした場合、PEG置換後のゲルの体積は67%であった(膨張度4.8倍)。
<PEGを含むゲル状組成物の調製>
実施例2で得たヒドロキシプロピル化ポリロタキサン200mgを0.03NのNaOH水溶液2mlに溶解し、ジビニルスルホン20mgを加えた。5℃で48時間反応させて、架橋ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンを得た。得られた架橋ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンを大過剰のPEG(数平均分子量=300)中に浸漬し、溶媒がPEGで置換されたPEGを含むゲルを得た。PEG置換前のゲルの体積を100%とした場合、PEG置換後のゲルの体積は71%であった(膨張度7.2倍)。
<PEGを含むゲル状組成物の調製>
実施例4で得たメチル化ポリロタキサン450mgをDMSO 3mlに溶解した。この溶液にCDI 36mgを添加し、50℃で48時間反応させて、架橋メチル化ポリロタキサンを得た。得られた架橋メチル化ポリロタキサンを大過剰のPEG(数平均分子量=300)中に浸漬し、溶媒がPEGで置換されたPEGを含むゲルを得た。PEG置換前のゲルの体積を100%とした場合、PEG置換後のゲルの体積は60%であった(膨張度4.3倍)。
<PEGを含むゲル状組成物の調製>
実施例4で得たメチル化ポリロタキサン200mgを0.03NのNaOH水溶液2mlに溶解し、ジビニルスルホン20mgを加えた。5℃で48時間反応させて、架橋メチル化ポリロタキサンを得た。得られた架橋メチル化ポリロタキサンを大過剰のPEG(数平均分子量=300)中に浸漬し、溶媒がPEGで置換されたPEGを含むゲルを得た。PEG置換前のゲルの体積を100%とした場合、PEG置換後のゲルの体積は68%であった(膨張度6.9倍)。
<ポリエチレングリコールジメチルエーテルを含むゲル状組成物の調製>
実施例2で得たヒドロキシプロピル化ポリロタキサン200mgをポリエチレングリコールジメチルエーテル(数平均分子量250)2mlに溶解し、ヘキサメチレンジイソシアネート0.05mlを加えた。70℃で5時間ゲル化を行い、ポリエチレングリコールジメチルエーテルを含むゲルを得た(膨張度9.0倍)。
<ヒドロゲル状組成物の調製>
実施例5で得たヒドロキシプロピル化ポリロタキサン3gを0.03NのNaOH水溶液20mlに溶解し、ジビニルスルホン0.2gを加えた。5℃で48時間反応させて、架橋ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンを得た。得られた架橋ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンを水中に1日放置して架橋ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンのヒドロゲルを得た。
次いで、このヒドロゲルをPEG(数平均分子量=300)中に浸漬し、溶媒がPEGで置換されたゲルを得た。PEG置換前のゲルの体積を100%とした場合、PEG置換後のゲルの体積は73%であった(膨張度5.3倍)。
<衝撃吸収力の評価>
実施例13のゲルを、厚さ3mm、断面積3mmに加工して、熱機械的分析装置TMA/SS6100(セイコーインスツルメント社製)を使用して、衝撃吸収力を測定した。また、比較例として、実施例13でPEGで置換する前のヒドロゲルについて、同様に加工し、測定した。衝撃吸収力の指標となる振動吸収係数(Tanδ)は、周波数0.1Hzで、実施例9が0.1、比較例が0.01であった。
<屈折率の評価>
実施例13のゲルについて、アッベ屈折計(アタゴ社製)を用いて、屈折率の評価を行った。比較例として、実施例13でPEGで置換する前のヒドロゲルについて、同様に測定した。20℃における屈折率は、実施例13が1.46、比較例が1.34であった。
<湿度透過性の評価>
実施例13のゲルを84×84×2mmに加工してJISK7129を参考にした透湿度試験装置を用いて、湿度透過性を試験した。比較のために、シリコーンシート(アズワン、カタログNo.Al-1067-010-04)について、同様に加工して、測定した。図1及び2に、結果を示す。密封した装置の中央に試料を配置して、装置内部を2つの上側セルと下側セルにわけ、装置上部に設けた湿度センサーで上側セルの経時的な湿度の変化を測定した。図1は、下側セルを飽和状態とし、上側セルを乾燥状態とした場合の湿度変化、図2は、下側セルを乾燥状態とし、上側セルを飽和状態とした場合の湿度変化を示す。図から、実施例9では、従来のシリコーンシートよりも、湿度の変化が早く、特に高湿度状態からの湿度変化について優れていることがわかる。
実施例の結果より、本発明に用いるゲル状組成物は、向上した衝撃吸収力を示すことがわかる。また、本発明に用いるゲル状組成物を用いて、屈折率を高くできることがわかる。さらに、湿度透過性に優れた従来の材料である、シリコーンシートよりも優れた湿度透過性が得られることがわかる。
(紫外線照射による眼内レンズの製造)
実施例3で得たメタクリロイル基導入ポリロタキサン100mgを、PEG300(和光純薬)1mlに溶解し、ここへ2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン(チバガイギー)を0.0014g加えた。上記PEG溶液を注ぎ口を有する半球状の窪み(直径約10mm、厚み約3mm)のある二枚のポリプロピレン製のモールドを重ね合わせて作られた水晶体型モールドに流し込んだ後、超高圧水銀灯(350W)(三永電機製作所)を用いて光照射(光照射時間:60秒、超高圧水銀灯とモールド間の距離:20cm)を行い水晶体形状のPEGを含むゲル状組成物からなる眼内レンズを得た。
また、比較のために、実施例3で得たメタクリロイル基導入ポリロタキサン100mgを、水1mlに溶解し、ここへ2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン(チバガイギー)を0.0014g加えた。上記水溶液をポリプロピレン製の水晶体型モールドに流し込んだ後、超高圧水銀灯(350W)(三永電機製作所)を用いて光照射を行い水晶体形状の水を含むゲル状組成物からなる眼内レンズを得た。
<屈折率測定>
アッベ屈折計(アタゴ)を用い本ゲルの屈折率測定を行った。また比較として水を含むゲルの測定も行った。屈折率はそれぞれ1.46、1.34であった。このことから本ゲルの屈折率は生来の水晶体の屈折率(>1.40)と同等であり、レンズとして有効であることがわかる。
(可視光線照射による眼内レンズの製造)
実施例3で得たメタクリロイル基導入ポリロタキサン100mgを、PEG300 1mlに溶解し、ここへ2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノンを0.0014gとカンファーキノン(和光純薬)0.0010g加えた。上記PEG溶液をポリプロピレン製の水晶体型モールドに流し込んだ後、色ガラスフィルター(420nm以下の波長の光をカットする。(株)ケンコー)を用いて取り出した超高圧水銀灯(350W)からの可視光を照射(光照射時間:120秒、超高圧水銀灯とモールド間の距離:20cm)し、水晶体形状のPEGを含むゲル状組成物からなる眼内レンズを得た。
(蛍光灯光線照射による眼内レンズの製造)
実施例3で得たメタクリロイル基導入ポリロタキサン200mgを、PEG300 1mlに溶解し、ここへ2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノンを0.0035gとカンファーキノン0.0018g加えた。上記PEG溶液をポリプロピレン製の水晶体型モールドに流し込んだ後、蛍光灯(27W)(ナショナル)からの光を照射(光照射時間:120秒、蛍光灯とモールド間の距離:20cm)し、水晶体形状のPEGを含むゲル状組成物からなる眼内レンズを得た。
(ブタ目における眼内レンズの製造)
摘出したブタ目の水晶体嚢内におけるレンズ形成の方法を図に示す。水晶体嚢に小さな開口を切開し、水晶体を破砕し吸引して取り除いた。次いでこの開口より水晶体嚢へ実施例3で得たメタクリロイル基導入ポリロタキサン150mgを、PEG300 1mlに溶解し、ここへ2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノンを0.0014g加えた溶液を注入し、水晶体嚢を本溶液で満たした。低圧水銀灯(9W)(アズワン)を用いて光照射(光照射時間:120秒、蛍光灯とモールド間の距離:10cm)を行った後、水晶体嚢を切開し、光架橋により形成されたゲル状物質を取り出し水晶体嚢内でゲル状組成物からなる眼内レンズが形成されたことを確認した(図4写真)。
本発明の眼用装置は、コンタクトレンズによる視力補助を必要とする疾患、例えば近視、遠視、乱視若しくは老眼などの治療のために用いることができる。また、本発明の眼用装置は、眼の人工角膜、人工水晶体(眼内レンズ)若しくは人工硝子体の移植を必要とする疾患、例えば角膜疾患、白内障、老眼、無水晶体症、網膜硝子体疾患、又は、眼内炎もしくは外傷による損傷などの治療のために用いることができる。
下側セルを飽和状態とし、上側セルを乾燥状態とした場合の湿度変化。 下側セルを乾燥状態とし、上側セルを飽和状態とした場合の湿度変化。 摘出ブタ目の水晶体嚢内におけるレンズ形成の方法図。 ブタ水晶体嚢内で形成した架橋ゲルの写真。

Claims (8)

  1. ポリロタキサンを含む網目構造を有する材料と非水系溶媒とを含有するゲル状組成物を含む眼用装置。
  2. ポリロタキサンを含む網目構造が、光照射によるポリロタキサンの架橋によって調製される、請求項1に記載の眼用装置。
  3. 眼内レンズである、請求項1又は2に記載の眼用装置。
  4. 生来の眼の水晶体を除去した後の水晶体嚢内の、請求項3に記載の眼内レンズ。
  5. 人工水晶体の移植を必要とする疾患の治療のために用いる、請求項3又は4に記載の眼内レンズ。
  6. ソフトコンタクトレンズである、請求項1又は2に記載の眼用装置。
  7. ポリロタキサン、非水系溶媒及び架橋剤又は光開始剤を含む媒体を眼用装置用の型内に入れること、そして
    ポリロタキサンを光照射により架橋させること、
    を含む、請求項1〜3又は6のいずれか1項記載の眼用装置の製造方法。
  8. ポリロタキサン、非水系溶媒及び架橋剤又は光開始剤を含む媒体を、生来の眼の水晶体を除去した後の水晶体嚢内に入れること、そして
    ポリロタキサンを光照射により架橋させること、
    を含む、請求項4又は5に記載の眼内レンズの製造方法。
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