JP2007129624A - アンテナ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 アンテナ装置が受ける風により変形して生じるアンテナ指向誤差を推定し、これを補正して、アンテナ指向方向の設定を高精度化することができるアンテナ装置を得ることを目的とする。
【解決手段】 駆動指令部6からの駆動指令値に追従するようにアンテナを方位軸及び仰角軸まわりに駆動する。基本的には、角度検出器10の出力により角度情報がフィードバックされて、減算器14において駆動指令値との差分が求められ、制御部7において駆動指令値に収束するよう制御される。また、アンテナ装置が受ける風は風向風速算出部11により算出され、算出した風向及び風速から変形量推定部12によりアンテナ指向方向誤差を推定し、加算器13により角度検出器10の出力値に加算し、アンテナ指向方向誤差が除去されるように駆動制御する。
【選択図】 図3
【解決手段】 駆動指令部6からの駆動指令値に追従するようにアンテナを方位軸及び仰角軸まわりに駆動する。基本的には、角度検出器10の出力により角度情報がフィードバックされて、減算器14において駆動指令値との差分が求められ、制御部7において駆動指令値に収束するよう制御される。また、アンテナ装置が受ける風は風向風速算出部11により算出され、算出した風向及び風速から変形量推定部12によりアンテナ指向方向誤差を推定し、加算器13により角度検出器10の出力値に加算し、アンテナ指向方向誤差が除去されるように駆動制御する。
【選択図】 図3
Description
この発明は、アンテナ装置に吹きつける風によりアンテナ装置が変形して生じるアンテナ指向誤差を推定し、これを補正することができるアンテナ装置に関するものである。
電波天文学の分野では、近年になってミリ波からサブミリ波へとより高い周波数の電波を観測するという要求が高まってきている。高い周波数の電波天体の観測を行う場合、アンテナの反射鏡面とビームの指向追尾はより高い精度が必要となる。一方では、観測効率を高めるために、アンテナの大口径化が進み、また、昼夜のあらゆる天候で観測を実施できることが望まれている。口径が大きくなることによって、アンテナの自重変形が大きくなったり、また、日射による熱変形や風圧による変形が大きくなるため、高い指向追尾精度を得ることが困難となる。特に風の影響については、多くの天文用のアンテナ装置(望遠鏡装置)がドーム内に収納されて使用されることにより、その影響は抑制されるものである。例えば、特開平5−19178号公報は、アンテナ装置で発生する「シーイング」、即ちアンテナ装置の温度と周囲温度との差により発生する陽炎を除去するために、アンテナ装置のドーム外の風を利用する従来技術を開示している。この従来技術は、アンテナ装置を収納するドームの前方側2箇所と後方側2箇所の計4箇所に窓を設け、ドーム外部に設けた風向風速計に基づいて、当該4箇所の窓の開閉を決めることにより、シーイングの発生を抑えるというものである。
特開平5−19178号公報に記載された従来の技術によれば、アンテナ装置をドーム内に収納し、ドーム内の熱発生による陽炎が除去されるが、ドーム内に配置しないアンテナ装置においては風圧を受けてアンテナ装置が変形するという問題があり、これを解決する手段を提供するという課題があった。
この発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、アンテナ装置が受ける風によりアンテナ装置が変形して生じるアンテナ指向誤差を推定し、これを補正して、アンテナ指向方向の設定を高精度化することができるアンテナ装置を得ることを目的とする。
請求項1の発明に係るアンテナ装置は、アンテナベース部と、このアンテナベースに支持されて方位軸まわりに回転し主反射鏡を支持するヨーク部と、このヨーク部に設けられ風向と風速を計測する風向風速計と、この風向風速計により計測した風向及び風速からアンテナが受ける風の風向及び風速を算出する風向風速算出部と、この風向風速算出部により算出された風向及び風速からアンテナの変形により発生するアンテナ指向方向誤差を推定する変形量推定部と、この変形量推定部により推定したアンテナ指向方向誤差を補正するように上記主反射鏡を駆動する制御部とを備えたものである。
請求項2の発明に係るアンテナ装置は、請求項1の発明に係るアンテナ装置において、上記風向風速計は、上記ヨーク部の左右に設けられた2つ風向風速計により構成され、上記風向風速算出部は上記2つの風向風速計のいずれかを選択し、その選択した風向風速計により計測された風向及び風速に基づいて、アンテナが受ける風の風向及び風速を算出するものである。
請求項3の発明に係るアンテナ装置は、請求項1又は請求項2の発明に係るアンテナ装置において、上記風向風速算出部は、予め風洞実験又は数値流体計算により求めた上記風向風速計での風向及び風速とアンテナが受ける風の風向及び風速との関係に基づいて、上記風向風速計により計測した風向及び風速からアンテナが受ける風の風向及び風速を算出するものである。
請求項4の発明に係るアンテナ装置は、請求項1又は請求項2の発明に係るアンテナ装置において、上記変形量推定部は、予め風洞実験又は数値流体計算により求めたアンテナが受ける風の風向及び風速とアンテナ指向方向誤差との関係に基づいて、上記風向風速算出部により算出された風向及び風速からアンテナの変形により発生するアンテナ指向方向誤差を推定するものである。
請求項5の発明に係るアンテナ装置は、アンテナベース部と、このアンテナベースに支持されて方位軸まわりに回転し主反射鏡を支持するヨーク部と、気象タワーからの風向及び風速に基づいてアンテナの変形により発生するアンテナ指向方向誤差を推定する変形量推定部と、この変形量推定部により推定したアンテナ指向方向誤差を補正するように上記主反射鏡を駆動する制御部とを備えたものである。
この発明によれば、ヨーク部に設けた風向風速計により計測した風向及び風速からアンテナが受ける風の風向及び風速を算出し、変形量推定部によりアンテナの変形によって発生するアンテナ指向方向誤差を推定し、推定したアンテナ指向方向誤差を補正するように主反射鏡を駆動するので、アンテナ指向方向の設定を高精度化することができる。また、気象タワーにて計測された風向及び風速に基づく制御を行うことにより、簡易な構成によって、アンテナ指向方向の設定を高精度化することができる。
実施の形態1
この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置を図1から図5に基づいて説明する。図1は実施の形態1に係るアンテナ装置の正面図であり、図2は図1に示すAAから見た断面図である。1はアンテナベース部、2はアンテナベース部1により方位軸(図1においてZ軸)まわりに回転可能に支持されたヨーク部であり、3はヨーク部2に仰角軸(図1においてX軸)まわりに回転可能に支持された主反射鏡である。4はヨーク部2に固定され左右の側方に延在する梁部材であり、5は梁部材4の先端に設けた風向風速計である。梁部材4は、ヨーク部2に設けられてヨーク部2の方位軸まわりの回転とともに回転し、Z軸方向の厚みを薄くして風圧の影響を小さくし、略水平にヨーク部2の左右に延在して設けたものである。
次に図3により、アンテナ装置の駆動系統について説明する。図3は実施の形態1に係るアンテナ装置の機能ブロック図である。図3において、6はアンテナの方位角と仰角を指令する駆動指令値を出力する駆動指令部であり、7は駆動指令値に基づいてPID制御等の制御を行い後述のモータ8を駆動制御する制御部、8は制御部からの制御値により駆動されるモータである。モータ8は方位軸まわりにヨーク部を駆動するモータと、仰角軸まわりに主反射鏡3を駆動するモータとからなる。9はアンテナであり、モータ8により駆動される。10は方位軸上及び仰角軸上に設けた角度検出器である。風向風速計5は図1及び図2に示すようにヨーク部2の左右に設けられており、図3においては、第1風向風速計5a、第2風向風速計5bと表している。11は第1及び第2風向風速計からの出力に基づいて、アンテナ9が受ける風向と風速を算出する風向風速算出部であり、12は風向風速算出部11により算出した風向風速に基づいて、アンテナ部の変形量を推定し、指向誤差を求める変形量推定部である。変形量推定部12は、指向誤差を方位角誤差と仰角誤差に換算して出力する。13は角度検出器10出力と変形量推定部12出力とを加算して出力する加算器であり、14は駆動指令部6が出力する駆動指令値から加算器13出力を減算する減算器である。
図3に示す機能ブロックにより、本発明に係るアンテナ装置は、駆動指令部6からの駆動指令値に追従するようにアンテナを方位軸及び仰角軸まわりに駆動する。基本的には、角度検出器10出力により角度情報がフィードバックされて、減算器14において駆動指令値との差分が求められ、制御部において駆動指令値に収束するよう制御される。また、アンテナ装置が受ける風による影響は変形量推定部12が出力するアンテナ指向誤差(方位角誤差、仰角誤差)を加算器13により角度検出器10の出力値に加算することによって、除去されるように動作する。
次に風向風速計5に基づき風向風速算出部11がアンテナ9への風向風速を算出する手段について説明する。図4は、アンテナ装置に特定方向から風が吹いたときの風向風速計の出力を模式的に表した模式図である。図4に示す風向風速計による風向及び風速は、風洞実験、又は数値流体解析によって求めることができる。図4(a)は、アンテナの正面方向(+Y方向:θw=0度)から単位風速1の風が吹いてきた場合であり、第1風向風速計5aの出力は、風向θd=−5度、風速1.08となる。図4(b)は、アンテナに対してθw=60度から単位風速1の風が吹いている場合であり、第1風向風速計5a計測値は、風向θd=−16度、風速0.85となる。この場合、第2風向風速計5bはアンテナ装置の風下にあり、淀み領域に位置する。図4(c)は、アンテナに対してθw=120度から単位風速1の風が吹いている場合であり、第1風向風速計5a計測値は、風向θd=−8度、風速0.82となる。また図4(d)は、アンテナに対してθw=180度から単位風速1の風が吹いている場合であり、第1風向風速計5a計測値は、風向θd=+9度、風速1.09となる。但し、θdは実際の風向θwと第1風向風速計5aが示す風向との差である。
図5は、実際の風と第1風向風速計5aによる計測値との間の風向差及び風速比を示すグラフである。図5(a)は風向差θdを表しており、図5(b)は風速比Mを縦軸に、計測値の風向θwを横軸とする。横軸θwは0度〜180度であり、0度〜−180度の場合には、実際の風と第2風向風速計5bによる計測値との間の風向差及び風速比が、図5と同様に得られるが図示は省略する。この図5に示す関係を例えばアンテナ仰角10度ごとに関数あるいはデータテーブルとして保持し、第1風向風速計5a(又は第2風向風速計5b)の計測値をもとに実際の風向及び風速を求めることができる。
ここで、第1風向風速計5aと第2風向風速計5bのいずれの計測値を採用して、上記の関数やデータテーブルにより実際の風向及び風速を求めるかについて説明する。第1風向風速計5a計測値を風向θw1、風速V1、第2風向風速計5b計測値をθw2、風速V2とする。第1風向風速計5aと第2風向風速計5bのいずれを選ぶかの一つのアルゴリズムとして、まず、V1>2×V2であれば第1風向風速計5aを選択し、V2>2×V1であれば第2風向風速計5bを選択する。それ以外のときは、0度<(θw1+θw2)÷2<180度のときは第1風向風速計5aを選択し、−180度<(θw1+θw2)÷2<0度のときは第2風向風速計5bを選択する。選択した風向風速計5の計測値である風向θwから、図5(a)による関数又はデータベースに基づいて風向差θdを求め、θwにθdを加算して、アンテナ装置が受けている実際の風の風向とする。また、選択した風向風速計5の計測値である風向θwから、図5(b)による関数又はデータベースに基づいて風速比Mを求め、選択した風向風速計5の計測値である風速Vを用いて、アンテナ装置が受けている実際の風速をV/Mとして算出する。図5に示す関係を仰角10度ごとに関数あるいはデータテーブルとして保持し、第1風向風速計5a(又は第2風向風速計5b)の計測値をもとに実際の風向及び風速を求めることができる。以上のようにして、図3に示す風向風速算出部11は、アンテナ装置が受ける風向と風速を算出する。
次に、図3に示す変形量推定部12における変形量の推定について説明する。先に述べた数値流体解析によれば、さらにアンテナ装置が特定方向から受ける風によって、アンテナ装置の表面上の各部に加えられる風圧を計算することができる。この表面各部での風圧を、アンテナ装置の有限要素構造解析モデルに入力すれば、アンテナ装置が風圧により、どのように変形するか推定することができ、さらに変形によって生じるアンテナ指向誤差を求めることができる。即ち、アンテナ装置が受ける風の風向及び風速に対するアンテナ指向誤差(方位角誤差及び仰角誤差)を予め数値解析により求め、変形量推定部12に、関数又はデータテーブルとして保持する。風向風速算出部11からアンテナ装置が受ける風の風向及び風速が入力されると、変形量推定部12は、保持している関数又はデータテーブルに基づいて、アンテナ指向方向誤差(方位角誤差と仰角誤差)を推定し出力する。なお、変形量推定部12が保持する関数又はデータテーブルは、例えばアンテナ仰角10度ごとの関数又はデータテーブルとする。このように実施の形態1に説明した発明によれば、アンテナ装置が受ける風によりアンテナ装置が変形して発生するアンテナ指向方向誤差を推定し、推定したアンテナ指向方向誤差を補正するように主反射鏡を駆動するので、アンテナ指向方向の設定を高精度化することができる。
上記によれば、風向風速算出部11と変形量推定部12には予め風洞実験や数値解析により求めた関数又はデータベースが保持され、これに基づき風向及び風速の算出とアンテナ指向方向誤差の推定が行われるが、アンテナ装置が観測拠点に設置され実際に運用された場合に、実際の風を受けた場合に、アンテナ指向方向に偏差が生じることが考えられる。これは、数値解析と実ハードウェアとの各種条件の相違から生じるものである。設置されたアンテナ装置が実際の風を受けて生じるアンテナ指向方向の偏差に基づいて、風向風速算出部11が保持する関数又はデータテーブル(具体的には、風向差θd及び風速比M)を修正することにより、さらに高精度なアンテナ指向方向の制御が可能となる。
実施の形態2
実施の形態1においては、アンテナ装置のヨーク部2に取り付けた風向風速計5によりアンテナ装置が受ける風の風向及び風速を算出するようにしたが、実施の形態2においては、図6に示すようにアンテナ装置まわりの風の流れの影響を受けない場所に気象タワー15を設け、この気象タワーの計測結果により、アンテナ装置が受ける風の風向及び風速としてもよい。
この場合、図3に示すブロック図中の第1風向風速計5a、第2風向風速計5b及び風向風速算出部11は、気象タワー15により代替され、気象タワー15はアンテナが受ける風の風向及び風速を出力する。この気象タワー15からの風向及び風速により変形量推定部12は、アンテナ指向方向誤差(方位角誤差及び仰角誤差)を推定して出力する。この実施の形態2において、図3におけるその他の機能ブロックは実施の形態1において説明したものと同様に機能し、駆動指令値に基づくアンテナの駆動とアンテナ指向誤差の除去とが行われる。この実施の形態2によれば、気象タワー15がアンテナ装置まわりの風の影響を受けないよう離れた場所に設置する必要があり、その分、アンテナ装置が実際に受ける風の風向及び風速の値からのずれが生じる可能性はあるが、風向風速算出部11を省略することにより、簡易な構成にすることができるものである。
1 アンテナベース部
2 ヨーク部
3 主反射鏡
5 風向風速計
7 制御部
11 風向風速算出部
12 変形量推定部
15 気象タワー
2 ヨーク部
3 主反射鏡
5 風向風速計
7 制御部
11 風向風速算出部
12 変形量推定部
15 気象タワー
Claims (5)
- アンテナベース部と、このアンテナベースに支持されて方位軸まわりに回転し主反射鏡を支持するヨーク部と、このヨーク部に設けられ風向と風速を計測する風向風速計と、この風向風速計により計測した風向及び風速からアンテナが受ける風の風向及び風速を算出する風向風速算出部と、この風向風速算出部により算出された風向及び風速からアンテナの変形により発生するアンテナ指向方向誤差を推定する変形量推定部と、この変形量推定部により推定したアンテナ指向方向誤差を補正するように上記主反射鏡を駆動する制御部とを備えたことを特徴とするアンテナ装置。
- 上記風向風速計は、上記ヨーク部の左右に設けられた2つ風向風速計により構成され、上記風向風速算出部は上記2つの風向風速計のいずれかを選択し、その選択した風向風速計により計測された風向及び風速に基づいて、アンテナが受ける風の風向及び風速を算出することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
- 上記風向風速算出部は、予め風洞実験又は数値流体計算により求めた上記風向風速計での風向及び風速とアンテナが受ける風の風向及び風速との関係に基づいて、上記風向風速計により計測した風向及び風速からアンテナが受ける風の風向及び風速を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ装置。
- 上記変形量推定部は、予め風洞実験又は数値流体計算により求めたアンテナが受ける風の風向及び風速とアンテナ指向方向誤差との関係に基づいて、上記風向風速算出部により算出された風向及び風速からアンテナの変形により発生するアンテナ指向方向誤差を推定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ装置。
- アンテナベース部と、このアンテナベースに支持されて方位軸まわりに回転し主反射鏡を支持するヨーク部と、気象タワーからの風向及び風速に基づいてアンテナの変形により発生するアンテナ指向方向誤差を推定する変形量推定部と、この変形量推定部により推定したアンテナ指向方向誤差を補正するように上記主反射鏡を駆動する制御部とを備えたことを特徴とするアンテナ装置。
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2005
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