JP2007118012A - 立向上進溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 厚鋼板の大入熱溶接や高電流で高速度の溶接条件での立向上進溶接をする場合においても、鋼板と接する摺動銅当金面の耐摩耗性が優れ、長時間溶接が可能な立向上進溶接方法を提供する。
【解決手段】 摺動式の銅または銅合金製当金4および母材1により囲まれて形成された開先2を溶接する立向上進溶接方法において、前記銅または銅合金製当金の母材接触面にサーメット粉末またはWC粉末の溶射皮膜を形成したものを使用する。さらにこの上にNi基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成してもよい。またCo、Ni、Co合金またはNi合金の1種をめっきした後に、Ni基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成してもよい。
【選択図】 図1
【解決手段】 摺動式の銅または銅合金製当金4および母材1により囲まれて形成された開先2を溶接する立向上進溶接方法において、前記銅または銅合金製当金の母材接触面にサーメット粉末またはWC粉末の溶射皮膜を形成したものを使用する。さらにこの上にNi基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成してもよい。またCo、Ni、Co合金またはNi合金の1種をめっきした後に、Ni基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成してもよい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、摺動式の水冷銅(銅合金も含む、以下同じ)当金を使用するエレクトロスラグ溶接方法およびエレクトロガスアーク溶接方法等の立向上進溶接方法に関する。
エレクトロスラグ溶接およびエレクトロガスアーク溶接方法等の立向上進溶接方法は造船、エネルギー産業、建築等の大型構造物の溶接施工に広く採用されている。図1はエレクトロガスアーク溶接の概要を示し、(a)は開先形状を示す図であり、(b)と(c)は溶接装置の概念を示す側面図と平面図である。
図1(a)に示すように、垂直に立てられ隣り合う2枚の鋼板1の開先2を形成する。図1(b)と図1(c)に示すように、開先の裏側には長い固定裏当材3を当接し、表面には摺動銅当金4を当てて、この摺動銅当金4の開先2に対向する溝15(図2(a))と開先2で囲まれた空間に溶接トーチ5を挿入する。そして摺動銅当金4のガス供給ノズル6からシールドガスを供給しながら、溶接トーチ5を通して溶接ワイヤ7を該空間に供給する。溶接台車(図示せず)に搭載された摺動銅当金4および溶接トーチ5は、溶接の進行により上昇する溶融金属8上面に合わせて順次上昇させる。なお図中9は凝固した溶接金属、10は溶融スラグ、11は冷却水出入り口、12はシールドガス導入口である。図2は摺動銅当金4を示し、(a)が平面図で(b)は正面図である。図中12はシールドガス導入口、13は鋼板との接触面、14はシールドガス出口、15は溝である。
近年、特開平11−197884号公報(特許文献1)や特開2004−167600号公報(特許文献2)にあるように、厚鋼板の2電極エレクトロガスアーク溶接による大入熱の溶接や高能率化のために溶接電流を高くして溶接速度を早くする溶接方法が実用化されている。これに伴い、摺動銅当金の鋼板表面に接する面が溶接熱および摩擦によって摩耗が大きくなり、頻繁に摺動銅当金を交換しなければならなくなり、溶接能率が低下している。
この問題の対策としては、例えば特公平6−36994号公報(特許文献3)に、摺動銅当金表面にNi、Cr、もしくはそれらの合金でめっきして、摺動銅当金の銅が直接溶接金属や鋼板に接触させない技術の開示がある。また、特開平10−6086号公報(特許文献4)には、摺動銅当金表面にAl2O3をコーティングした技術の開示がある。
しかしながら、特公平6−36994号公報に記載のめっき層は軟らかく、大入熱や高速度の溶接条件においては摺動銅当金の摩耗を低減することはできない。また、特開平10−6086号公報に記載のAl2O3のコーティングでは、コーティング層が剥離して長時間溶接に用いることができない。
特開平11−197884号公報
特開2004−167600号公報
特公平6−36994号公報
特開平10−6086号公報
本発明は、厚鋼板の大入熱溶接や高電流で高速度の溶接条件での立向上進溶接をする場合においても、鋼板と接する摺動銅当金面の耐摩耗性が優れ、長時間溶接が可能な立向上進溶接方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)摺動式の銅または銅合金製当金および母材により囲まれて形成された開先を溶接する立向上進溶接方法において、前記銅または銅合金製当金の母材接触面にサーメット粉末またはWC粉末の溶射皮膜を形成したものを使用することを特徴とする立向上進溶接方法。
(2)摺動式の銅または銅合金製当金および母材により囲まれて形成された開先を溶接する立向上進溶接方法において、前記銅または銅合金製当金の母材接触面にサーメット粉末またはWC粉末の溶射皮膜を形成した後に、Ni基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成したものを使用することを特徴とする請求項1記載の立向上進溶接方法。
(3)摺動式の銅または銅合金製当金および母材により囲まれて形成された開先を溶接する立向上進溶接方法において、前記銅または銅合金製当金の母材接触面にCo、Ni、Co合金またはNi合金の1種をめっきした後に、Ni基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成したものを使用することを特徴とする立向上進溶接方法。
(4)溶射皮膜厚さが0.02〜1.5mmであるものを使用することを特徴とする(1)乃至(3)の何れかに記載の立向上進溶接方法。
(5)溶射皮膜表面のロックウェル硬さ(HRC)が25以上であるものを使用することを特徴とする(1)乃至(4)の何れかに記載の立向上進溶接方法。
(6)溶射皮膜表面を高密度エネルギービームで溶融したものを用いることを特徴とする(2)乃至(5)の何れかに記載の立向上進溶接方法。
(1)摺動式の銅または銅合金製当金および母材により囲まれて形成された開先を溶接する立向上進溶接方法において、前記銅または銅合金製当金の母材接触面にサーメット粉末またはWC粉末の溶射皮膜を形成したものを使用することを特徴とする立向上進溶接方法。
(2)摺動式の銅または銅合金製当金および母材により囲まれて形成された開先を溶接する立向上進溶接方法において、前記銅または銅合金製当金の母材接触面にサーメット粉末またはWC粉末の溶射皮膜を形成した後に、Ni基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成したものを使用することを特徴とする請求項1記載の立向上進溶接方法。
(3)摺動式の銅または銅合金製当金および母材により囲まれて形成された開先を溶接する立向上進溶接方法において、前記銅または銅合金製当金の母材接触面にCo、Ni、Co合金またはNi合金の1種をめっきした後に、Ni基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成したものを使用することを特徴とする立向上進溶接方法。
(4)溶射皮膜厚さが0.02〜1.5mmであるものを使用することを特徴とする(1)乃至(3)の何れかに記載の立向上進溶接方法。
(5)溶射皮膜表面のロックウェル硬さ(HRC)が25以上であるものを使用することを特徴とする(1)乃至(4)の何れかに記載の立向上進溶接方法。
(6)溶射皮膜表面を高密度エネルギービームで溶融したものを用いることを特徴とする(2)乃至(5)の何れかに記載の立向上進溶接方法。
本発明の立向上進溶接方法によれば、厚鋼板の大入熱溶接や高電流で高速度の溶接条件で立向上進溶接する場合においても、鋼板と接する摺動銅当金面の耐摩耗性が優れ、長時間溶接が可能となる。
本発明者等は、上記の課題を達成するために種々検討した結果、図2に示す摺動銅当金の鋼板接触面13にサーメット粉末またはWC粉末を溶射すること、必要に応じてこれらの溶射面にNi基耐熱合金またはCo基耐熱合金を溶射すること、または摺動銅当金の鋼板接触面にCo、Ni、Co合金あるいはNi合金をめっきした上にNi基耐熱合金またはCo基耐熱合金を溶射することによって、厚鋼板の大入熱溶接や高電流で高速度の溶接条件で立向上進溶接する場合においても鋼板と接する摺動銅当金面の耐摩耗性が優れ、長時間溶接が可能な立向上進溶接方法を見出した。
以下に本発明を詳細に説明する。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、摺動銅当金が磨耗するのは鋼板に対して非常に軟らかいためであり、摺動銅当金の鋼板との接触面に硬質な被膜を形成させることを検討した。種々の合金粉末を溶射したが、銅に対して密着性の高い溶射皮膜を得るのは非常に難しく、普通の合金粉末による溶射皮膜ではほとんどが鋼板との摩擦で剥がれ落ちることが分かった。
そこで、銅に対して密着性の高い溶射皮膜を得るために種々検討した結果、高温でも溶解しない非常に硬いサーメット粉末またはWC粉末を摺動銅当金の鋼板との接触面に食い込ませた状態の溶射皮膜を形成することによって、鋼板との摩擦で剥がれ落ちることがなくなった。
一般的にサーメットとは炭化物、酸化物、窒化物、硼化物などの高融点物質と金属との複合材料を言うが、特にWC―Coについては切削工具に多く使用されているため超硬合金と称されることもある。本発明におけるサーメットには上記WC―Coも含むものである。本発明において使用するサーメット粉末としては、例えばWC―Co、WC―NiおよびWC―Co−CrなどのWC系サーメット、TiC―NiやTiC―CoなどのTiC系サーメットなどがある。
さらに、サーメット粉末またはWC粉末を摺動銅当金の鋼板との接触面に食い込ませた状態で溶射皮膜を形成した後に、Ni基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成したものを使用することによって硬質で耐摩耗性および耐剥離性に優れて長時間溶接に使用できる。
また、摺動銅当金の鋼板との接触面にNi、Ni合金、CoおよびCo合金の1種をめっきした後に、Ni基耐熱合金またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成したものを使用することによって、めっき密着性が良好で鋼板との接触面は硬質で耐摩耗性および耐剥離性に優れて長時間溶接に使用できる。また、Ni、Ni合金、CoおよびCo合金のめっき厚さは、Ni合金またはCo合金粉末の溶射皮膜の形成性から100〜200μmであることが好ましい。
なおNi基耐熱合金またはCo基耐熱合金粉末にはBやSiを含有する自溶合金を含む。Ni基耐熱合金粉末としては、たとえば12ないし35%のCrを含有し、さらに10%以下のFe、10%以下のMo、2%以下のNb、7%以下のW、3%以下のC、5%以下のSi、5%以下のB等の1種以上を含有し、残部がNiのものがある。またCo基耐熱合金粉末としては、たとえば15ないし35%のCrを含有し、さらに20%以下のW、25%以下のNi、5%以下のFe、5%以下のMo、8%以下のNb、3%以下のC、5%以下のSi、5%以下のB等の1種以上を含有し、残部がCoのものがある。
前記サーメット粉末またはWC粉末ならびにNi基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜の厚さは合計で0.02〜1.5mmとする。溶射皮膜の厚さが0.02mm未満であると耐摩耗性が劣り長時間溶接に使用できない。一方、1.5mmを超えると銅との密着力が劣り、また溶射皮膜の熱伝導が悪くなるため溶接中に発生するスパッタやスラグが付着し溶接が継続できなくなる。
なお、サーメット粉末、WC粉末、Ni基耐熱合金粉末およびCo基耐熱合金粉末の粒径は、5〜100μmであることが好ましい。
また、溶射皮膜表面の硬さがCスケール荷重150kgf brale圧子で測定したロックウェル硬さ(HRC)で25以上とする。溶射皮膜表面の硬さがロックウェル硬さ(HRC)で25未満であると、鋼板との摩擦により皮膜が磨耗し、長時間溶接に使用できない。
また、溶射皮膜表面の硬さがCスケール荷重150kgf brale圧子で測定したロックウェル硬さ(HRC)で25以上とする。溶射皮膜表面の硬さがロックウェル硬さ(HRC)で25未満であると、鋼板との摩擦により皮膜が磨耗し、長時間溶接に使用できない。
さらに、溶射皮膜表面をレーザビームや電子ビームの高密度エネルギービームで溶融したものを用いることにより、溶射皮膜の耐衝撃性が増し耐久性がさらに向上する。
(実施例1)
図2に示す摺動銅当金の鋼板との接触面13に、表1に示すサーメット粉末またはWC粉末を表2に示す条件で高速フレーム溶射(HVAF)した。また、サーメット粉末またはWC粉末を溶射した後、表1に示すNi基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末を表2に示す条件で高速フレーム溶射(HVAF)を一部摺動銅当金に施した。なお、サーメット粉末、WC粉末、Ni基耐熱合金粉末およびCo基耐熱合金粉末は粒径50〜150μmのものを用いた。さらに、一部の試験例につきNi基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末を溶射した皮膜表面を表3に示す条件のYAGレーザビームで溶融処理した。これらの試験例と溶射皮膜厚さおよび溶射皮膜表面のロックウェル硬さ(HRC)を測定した結果を表4に示す。
図2に示す摺動銅当金の鋼板との接触面13に、表1に示すサーメット粉末またはWC粉末を表2に示す条件で高速フレーム溶射(HVAF)した。また、サーメット粉末またはWC粉末を溶射した後、表1に示すNi基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末を表2に示す条件で高速フレーム溶射(HVAF)を一部摺動銅当金に施した。なお、サーメット粉末、WC粉末、Ni基耐熱合金粉末およびCo基耐熱合金粉末は粒径50〜150μmのものを用いた。さらに、一部の試験例につきNi基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末を溶射した皮膜表面を表3に示す条件のYAGレーザビームで溶融処理した。これらの試験例と溶射皮膜厚さおよび溶射皮膜表面のロックウェル硬さ(HRC)を測定した結果を表4に示す。
前記、鋼板との接触面を処理した摺動銅当金を用いて、NK船級のKE36鋼板、板厚50mm、ルートギャップ8mmで開先角度20°の開先形状とし、裏面にセラッミック製の裏当材を固定して、JIS Z3319 YGW−22C相当の溶接用ワイヤ(ワイヤ径1.6mm)を用いて、表5に示す溶接条件で溶接長2mのエレクトロガスアーク溶接を行った。溶接後摺動銅当金の鋼板との接触面の溶射皮膜の損傷状態を調べた。その結果も表4に示す。
表4中、試験No.1〜6が本発明例、試験No.7および8は比較例である。本発明例である試験No.1〜6は、摺動銅当金の鋼板との接触面にサーメット粉末またはWC粉末を溶射したので、摺動銅当金の鋼板との接触面にこれらが食い込み、溶射皮膜表面の硬さが高く、溶射皮膜厚さも適量であるので溶接時に鋼板との摩擦によって溶射皮膜が剥がれ落ちることがなく極めて満足な結果であった。
比較例である試験No.7および8は、摺動銅当金の鋼板との接触面にNi基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末を直接溶射したため、溶射時に密着性が悪かったので皮膜の厚さ、硬さの測定や溶接試験は中止した。
(実施例2)
図2に示す摺動銅当金の鋼板との接触面13に、Ni、Ni合金、CoおよびCo合金の1種をめっきし、次いで表1に示すNi基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成した。溶射条件、溶融処理条件は実施例1と同一とした。これらの試験例と溶射皮膜厚さおよび溶射皮膜表面のロックウェル硬さ(HRC)を測定した結果を表6に示す。
図2に示す摺動銅当金の鋼板との接触面13に、Ni、Ni合金、CoおよびCo合金の1種をめっきし、次いで表1に示すNi基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成した。溶射条件、溶融処理条件は実施例1と同一とした。これらの試験例と溶射皮膜厚さおよび溶射皮膜表面のロックウェル硬さ(HRC)を測定した結果を表6に示す。
前記、鋼板との接触面を処理した摺動銅当金を用いて、エレクトロガスアーク溶接を溶接長2m行った。鋼板および溶接条件は実施例1と同一である。溶接後摺動銅当金の鋼板との接触面の溶射皮膜の損傷状態を調べた。その結果も表6に示す。
表6中試験No.9〜12が本発明例、試験No.13〜15は比較例である。本発明例である試験No.9〜12は、摺動銅当金の鋼板との接触面にNi、Ni合金、CoおよびCo合金の1種をめっきした後にNi基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成しているので、めっき密着性が良好で、溶射皮膜表面の硬さが高く、溶射皮膜厚さも適量であるので溶接時に鋼板との摩擦によって溶射皮膜が剥がれ落ちることがなく極めて満足な結果であった。
比較例中試験No.13は、摺動銅当金の鋼板との接触部表面にNiめっきした後にNi基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成していないので、鋼板との接触面の硬さが低く、溶接時に鋼板との摩擦によって著しく摩耗した。
試験No.14および15は、摺動銅当金の鋼板との接触面にNi、Ni合金、CoおよびCo合金の1種のめっきを施さずにNi基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成したため、溶射時に密着性が悪かったので皮膜の厚さ、硬さの測定や溶接試験は中止した。
(実施例3)
実施例1および2に記載と同一の方法で、摺動銅当金の鋼板との接触面に、サーメット粉末もしくはWC粉末を溶射、またはNi、Ni合金、CoおよびCo合金の1種をめっきし、次いでNi基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成した。溶射皮膜表面のロックウェル硬さ(HRC)を測定し、エレクトロガスアーク溶接を溶接長2m行った。鋼板および溶接条件は実施例1および2と同一である。それらの結果を表7に示す。
実施例1および2に記載と同一の方法で、摺動銅当金の鋼板との接触面に、サーメット粉末もしくはWC粉末を溶射、またはNi、Ni合金、CoおよびCo合金の1種をめっきし、次いでNi基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成した。溶射皮膜表面のロックウェル硬さ(HRC)を測定し、エレクトロガスアーク溶接を溶接長2m行った。鋼板および溶接条件は実施例1および2と同一である。それらの結果を表7に示す。
表7中試験No.16〜19が本発明例、試験No.20〜25は比較例である。本発明中試験No.16および17は、摺動銅当金の鋼板との接触面にサーメット粉末またはWC粉末を溶射したので、摺動銅当金の鋼板との接触面にこれらが食い込み、溶射皮膜表面の硬さが高く、溶射皮膜厚さも適量であるので溶接時に鋼板との摩擦によって溶射皮膜が剥がれ落ちることがなく極めて満足な結果であった。
試験No.18および19は、摺動銅当金の鋼板との接触面にNi、Ni合金、CoおよびCo合金の1種をめっきした後にNi基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成しているので、めっき密着性が良好で、溶射皮膜表面の硬さが高く、溶射皮膜厚さも適量であるので溶接時に鋼板との摩擦によって溶射皮膜が剥がれ落ちることがなくきわめて満足な結果であった。
比較例中試験No.20および23は、摺動銅当金の鋼板との接触面の溶射皮膜厚さが薄いので、鋼板との接触部表面の硬さが低く、溶接時に鋼板との摩擦によってめっきが剥がれた。
試験No.21および24は、摺動銅当金の鋼板との接触面の溶射皮膜厚さが厚いので、溶接中に発生したスパッタやスラグが付着し溶接が継続できなくなり、溶接を中止した。
試験No.21および24は、摺動銅当金の鋼板との接触面の溶射皮膜厚さが厚いので、溶接中に発生したスパッタやスラグが付着し溶接が継続できなくなり、溶接を中止した。
試験No.22は、摺動銅当金の鋼板との接触面にサーメット粉末を溶射した後にCo粉末を溶射したので、また試験No.25は、摺動銅当金の鋼板との接触面にCoめっきした後にNi粉末を溶射したので、いずれも溶射皮膜表面の硬さが低く、溶接時に鋼板との摩擦によって溶射皮膜が剥がれ落ちた。
1 鋼板
2 開先
3 固定裏当材
4 摺動銅当金
5 溶接トーチ
6 ガス供給ノズル
7 溶接ワイヤ
8 溶融金属
9 溶接金属
10 溶融スラグ
11 冷却水出入り口
12 シールドガス導入口
13 鋼板接触面
14 シールドガス出口
15 溝
2 開先
3 固定裏当材
4 摺動銅当金
5 溶接トーチ
6 ガス供給ノズル
7 溶接ワイヤ
8 溶融金属
9 溶接金属
10 溶融スラグ
11 冷却水出入り口
12 シールドガス導入口
13 鋼板接触面
14 シールドガス出口
15 溝
Claims (6)
- 摺動式の銅または銅合金製当金および母材により囲まれて形成された開先を溶接する立向上進溶接方法において、前記銅または銅合金製当金の母材接触面にサーメット粉末またはWC粉末の溶射皮膜を形成したものを使用することを特徴とする立向上進溶接方法。
- 摺動式の銅または銅合金製当金および母材により囲まれて形成された開先を溶接する立向上進溶接方法において、前記銅または銅合金製当金の母材接触面にサーメット粉末またはWC粉末の溶射皮膜を形成した後に、Ni基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成したものを使用することを特徴とする請求項1記載の立向上進溶接方法。
- 摺動式の銅または銅合金製当金および母材により囲まれて形成された開先を溶接する立向上進溶接方法において、前記銅または銅合金製当金の母材接触面にCo、Ni、Co合金またはNi合金の1種をめっきした後に、Ni基耐熱合金粉末またはCo基耐熱合金粉末の溶射皮膜を形成したものを使用することを特徴とする立向上進溶接方法。
- 溶射皮膜厚さが0.02〜1.5mmであるものを使用することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の立向上進溶接方法。
- 溶射皮膜表面のロックウェル硬さ(HRC)が25以上であるものを使用することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の立向上進溶接方法。
- 溶射皮膜表面を高密度エネルギービームで溶融したものを用いることを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載の立向上進溶接方法。
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CN113798786A (zh) * | 2021-08-27 | 2021-12-17 | 青岛力晨新材料科技有限公司 | 一种双金属复合板的制备方法 |
WO2022185959A1 (ja) * | 2021-03-03 | 2022-09-09 | 株式会社神戸製鋼所 | エレクトロスラグ溶接またはエレクトロガス溶接の制御方法、制御装置、溶接システム、およびプログラム |
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WO2022185959A1 (ja) * | 2021-03-03 | 2022-09-09 | 株式会社神戸製鋼所 | エレクトロスラグ溶接またはエレクトロガス溶接の制御方法、制御装置、溶接システム、およびプログラム |
JP7491860B2 (ja) | 2021-03-03 | 2024-05-28 | 株式会社神戸製鋼所 | エレクトロスラグ溶接またはエレクトロガス溶接の制御方法、制御装置、溶接システム、およびプログラム |
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