JP2007105041A - 多重固相核酸増幅アッセイ - Google Patents

多重固相核酸増幅アッセイ Download PDF

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Abstract

【課題】多数の核酸配列の増幅を同時に検出するより効率的、且つ、より便利な方法の提供。
【解決手段】標的核酸を検出する方法であって:a)3’末端を介して固体基板上に固定された、標識部分を含んで成るオリゴヌクレオチドプローブを準備する工程;b)標的核酸を含んで成ることが疑われる核酸試料を、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素を含む反応混合物中で前記プローブの存在下増幅させる工程、を含んで成り、ここで、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素が前記オリゴヌクレオチドプローブから標識部分を放出し、そして前記核酸試料中での標的核酸の存在又は不在が検出されるように、前記プローブは当該標的核酸と特異的にハイブリダイズする、方法。
【選択図】図2

Description

本発明は核酸検出の分野にある。
核酸配列の増幅を検出するための、5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素と組み合わせて使用する溶液相の二重標識オリゴヌクレオチドプローブの使用が、当該技術分野で知られている(例えば、米国特許番号第5,210,015号;同第5,487,972号;同第5,804,375号;及びHollandら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1988年)88:7276-80ページ)。本発明まで、5’ヌクレアーゼ酵素活性によって放出可能である標識部分を担持する固定化二重標識オリゴヌクレオチドプローブは、核酸増幅反応中又は核酸増幅反応のリアルタイム・モニタリングに使用されていなかった。
多数の核酸配列の増幅を同時に検出するより効率的、且つ、より便利な方法の必要性が残っている。本発明はこれと他の必要性を満足させる。
発明の概要
ある側面において、本発明は標的核酸を検出する方法であって:
a)3’末端を介して固体基板上に固定された、標識部分を含んで成るオリゴヌクレオチドプローブを準備する工程;
b)標的核酸を含んで成ることが疑われる核酸試料を、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素を含む反応混合物中で前記プローブの存在下で増幅させる工程、
を含んで成り、ここで、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素が前記オリゴヌクレオチドプローブから標識部分を放出し、そして前記核酸試料中での標的核酸の存在又は不在が検出されるように、前記プローブが当該標的核酸と特異的にハイブリダイズする、方法を提供する。
本発明は、多数の標的核酸配列を同時に検出する方法であって:
a)それぞれその3’末端を介して固体基板路上に固定され、それぞれ同一の標識部分を含んで成る、多数のオリゴヌクレオチドプローブを準備する工程;
b)標的核酸を含んで成ることが疑われる多数の核酸試料を、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素を含む反応混合物中で前記プローブの存在下増幅させる工程、
を含んで成り、ここで、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素が前記オリゴヌクレオチドプローブから標識部分を放出し、そして前記核酸試料中での標的核酸の存在又は不在が検出されるように、各プローブが多数の標的核酸のうちの1つと特異的にハイブリダイズする、方法を更に提供する。この方法において、標的核酸の蛍光表示の検出は、空間的に識別される。当該方法を使用して、少なくとも8、10、12、14、15、16、18、20、50、75、100、又はそれ以上の標的核酸配列を同時に検出できる。
1つの態様において、標識部分はプローブの5’末端に付着したフルオロフォア部分であり、その放出が固定化プローブの蛍光の減少をもたらし、それにより核酸試料中の標的核酸の存在を検出する。
1つの態様において、標識部分がプローブの5’末端に付着したクエンチャー部分であり、且つ、固定化プローブが、当該クエンチャー部分から3’側で当該プローブに付着したフルオロフォア部分を更に含んで成り、ここで、前記フルオロフォア部分の蛍光が、クエンチャー部分がプローブに付着している場合に発せられず、且つ、固定化プローブ上のフルオロフォア部分の蛍光が、前記クエンチャー部分が溶液中に放出される場合、標的核酸の増幅の増大に伴って増大する。
1つの態様において、標識部分がプローブの5’末端に付着したクエンチャー部分であり、且つ、当該プローブに隣接して固定されたフルオロフォア部分の蛍光が、標的核酸の増幅の増大に伴って増大する。例えば、フルオロフォア部分は、固体基板上、又はフルオロフォアの蛍光をマスクするためにクエンチャー部分を担持するプローブに十分に近い、固体基板に固定された二次核酸(すなわち、二次プローブ)上に固定されてもよい。
1つの態様において、増幅がポリメラーゼ連鎖反応によるものである。1つの態様において、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素が、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼである。
固体基板は、間欠的で且つ繰り返される核酸変性温度(すなわち、80℃〜105℃、通常、約95℃)に耐え、そして固定化プローブを結合し続けることができるあらゆる材料であってよい。好ましい基板は、多数の核酸配列の同時検出を可能にする。本発明の他の態様において、例えば、固体基板は、マルチウェルプレート、顕微鏡用スライド、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)チューブ、又は平面ディスクであってもよい。固体基板は、あらゆる多角形の形状、例えば、円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、六角形等であってもよい。
態様によっては、増幅の検出は定量的である。態様によっては、増幅の検出は増幅と同時(すなわち、「リアルタイム」)である。態様によっては、増幅の検出は定量的であり、且つ、増幅の検出はリアルタイムである。態様によっては、増幅の検出は定性的である(例えば、標的核酸の存在又は不在の終点検出)。態様によっては、増幅の検出は増幅の後である。態様によっては、増幅の検出は定性的であり、且つ、増幅の検出は増幅の後である。
態様によっては、フルオロフォア部分は、フルオレセイン・ファミリーの色素、ポリハロフルオレセイン・ファミリーの色素、ヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの色素、クマリン・ファミリーの色素、ローダミン・ファミリーの色素、シアニン・ファミリーの色素、オキサジン・ファミリーの色素、チアジン・ファミリーの色素、スクアライン・ファミリーの色素、キレート化ランタニド・ファミリーの色素、アゾ・ファミリーの色素、トリフェニルメタン・ファミリーの色素、及びBODIPY(登録商標)・ファミリーの色素から成る群から選択される。
態様によっては、クエンチャー部分は、フルオレセイン・ファミリーの色素、ポリハロフルオレセイン・ファミリーの色素、ヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの色素、クマリン・ファミリーの色素、ローダミン・ファミリーの色素、シアニン・ファミリーの色素、オキサジン・ファミリーの色素、チアジン・ファミリーの色素、スクアライン・ファミリーの色素、キレート化ランタニド・ファミリーの色素、BODIPY(登録商標)・ファミリーの色素、アゾ・ファミリーの色素、トリフェニルメタン・ファミリーの色素、低蛍光クエンチャー部分(すなわち、「弱陽性供与体(dim donor)」)、及び非蛍光クエンチャー部分(例えば、Black Hole Quenchers(商標)(BHQ)を含めた、いわゆる「ダーク・クエンチャー」)から成る群から選択される。
1つの態様において、フルオロフォア部分がフルオレセイン・ファミリーの色素であり、且つ、クエンチャー部分がシアニン・ファミリーの色素である。1つの態様において、フルオロフォア部分がフルオレセイン・ファミリーの色素であり、且つ、クエンチャー部分がヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの色素である。1つの態様において、フルオロフォア部分がヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの色素であり、且つ、クエンチャー部分がシアニン・ファミリーの色素である。1つの態様において、クエンチャーがダーク・クエンチャー、例えばBHQ-1、BHQ-2、又はBHQ-3(Biosearch Technologies, Novato, CA)である。1つの態様において、フルオロフォア部分が、フルオレセイン・ファミリーの色素又はシアニン・ファミリーの色素であり、且つ、クエンチャー部分がダーク・クエンチャーである。
更なる側面において、本発明は以下の:
i)その3’末端を介して固体基板上に固定されたオリゴヌクレオチドプローブであって、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素によって放出される標識部分を含んで成るもの;及び
ii)前記プローブが標的核酸内の配列にハイブリダイズする、標的核酸の増幅のための試薬、
を含んで成る反応混合物を提供する。
更なる側面において、本発明は以下の:
i)その3’末端を介して固体基板上に固定されたオリゴヌクレオチドプローブであって、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素によって放出される標識部分を含んで成るプローブ;及び
ii)前記プローブが標的核酸にハイブリダイズする、標的核酸の増幅のための試薬、
を含んで成るキットを提供する。
本発明は、3’末端を介して固体基板に固定された少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブ、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素によって放出される標識部分を含んで成る少なくとも1つのプローブを含んで成る固体基板を更に提供する。
また、本発明は、その3’末端を介して固体基板上に固定された少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブ、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素によって放出される標識部分を含んで成る少なくとも1つのプローブを含んで成る、標的核酸の増幅を実施するための装置も意図する。
本発明は、その3’末端を介して固体基板上に固定された少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブを含んで成る固体基板を収容するための空間、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素によって放出される標識部分を含んで成る少なくとも1つのプローブを含む、標的核酸の増幅を実施するための装置を意図する。
前記反応混合物、キット、及び装置に関する実施例は、前記方法のように同一である。
詳細な説明
1.序論
本明細書中に示されているように、固定化二重標識プローブを使用した増幅成長曲線を得るために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のサーモサイクリング・パラメータの変更をほとんど又は全く必要としない。更に、固定化二重標識プローブから取得されるサイクル閾値(Ct)の計測値は、溶液相の二重標識プローブによって取得されるものと類似している。固定化プローブによる標的核酸の捕獲は、溶液相の増幅反応に対抗する速度で起こる。
以下に示すように、オリゴヌクレオチドプローブの固定化は、多数の核酸増幅反応の同時のリアルタイム分析を可能にする。現在の多重分析は、多数の色素とクエンチャーの組み合わせ物の使用を必要として、且つ、通常、1つの器具において1つの試料あたり約6つの併発反応に対して利用可能な励起及び検出システムによって制限される。本発明によって、多重化が、2次元アレイでの二重標識オリゴヌクレオチドプローブの空間分布のために1つの色素とクエンチャーの組み合わせの使用によって達成されることができる。したがって、1つの試料あたりの分析数は、増幅反応を多重化する能力及び十分に選択的なプローブを設計する能力によって制限される。本発明を使用することによって、多重併発反応を1回の反応で一度に観察できる。
2.略語
特定のヌクレオチド配列を含んで成る核酸を指すために明細書全体を通して使用される略語は、慣習的な1字略記である。よって、DNA中に含まれる場合、ヌクレオチドをコードする天然のデオキシリボヌクレオシドは、以下の通り略記される:デオキシアデノシン(dA)、デオキシグアノシン(dG)、デオキシシチジン(dC)、及びデオキシチミジン(dT)。リボヌクレオシドは、以下の通り略記される:アデノシン(A)、グアノシン(G)、シチジン(C)、及びウリジン(U)。ヌクレオチド塩基は、以下の通り略記される:アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、及びウラシル(U)。また、別段指定されない限り、一連の1文字略語として表される核酸配列は、5’−>3’方向で示される。
3.定義
「増幅反応」は、鋳型核酸配列の増加したコピー又は鋳型の存在を示す増加したシグナルをもたらすあらゆる反応(例えば、化学的、酵素的、又は他のタイプの反応)を指す。増幅反応は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及びリガーゼ連鎖反応(LCR)(米国特許番号第4,683,195号及び同第4,683,202号、PCRプロトコール:A Guide to Methods and Applications(Innisら編、1990年)を参照のこと)、鎖置換増幅法(SDA)(Walkerら、Nucleic Acids Res. 20(7):1691-6ページ(1992年);Walker PCR Methods Appl 3(1):1-6ページ(1993年))、転写介在増幅法(Phyfferら、J. Clin. Microbiol. 34:834-841ページ(1996年);Vuorinenら、J. Clin. Microbiol. 33:1856-1859ページ(1995年))、核酸配列ベースの増幅法(NASBA)(Compton、Nature 350(6313):91-2ページ(1991年))、ローリングサークル増幅法(RCA)(Lisby、Mol. Biotechnol. 12(1):75-99ページ(1999年);Hatchら、Genet. Anal. 15(2):35-40ページ(1999年));及びQ-Betaレプリカーゼ法(Lizardiら、Bio/Technology 6:1197ページ(1988年))を含む。
本明細書中で使用する場合、「増幅のための試薬」又は「増幅試薬」は、当業者によって増幅反応の反応器内に一般的に入れられる試薬を互換的に指す。例えば、典型的なポリメラーゼ連鎖反応は、これだけに制限されることなく、試薬として上流及び下流プライマー、少なくとも1個の鋳型、(dATP、dCTP、dGTP、TTP、dUTPを含む)デオキシリボヌクレオシド三リン酸、ポリメラーゼ酵素、緩衝液、金属カチオン、及び塩を含んで成ることができる。核酸配列ベースの増幅(NASBA)反応は、プライマー、逆転写酵素、PNaseH、及びDNAポリメラーゼを含んで成ることができる。転写介在増幅(TMA)反応は、プライマー、逆転写酵素、及びRNAポリメラーゼを含んで成ることができる。鎖置換増幅(SDA)反応は、修飾ヌクレオチド及び制限エンドヌクレアーゼを含んで成ることができる。また、ある増幅反応は、補助的な増幅試薬としてデオキシ・ウリジン-N-グリコシラーゼ(UNG)(Amperase(登録商標)、Roche Molecular Sciences、Alameda, CA)(Kleiboeker、Virol J(2005年)11:29ページを参照のこと)も含んで成ることができる。
本明細書中で使用する場合、「試料」は、標的核酸を含んでいるか又は含んでいると推定されるあらゆる物質を指す。試料は、自然又は合成起源であってよく、当業者に知られるいずれの手段で入手されてもよい。試料は、これだけに制限されることなく、例えば皮膚、血漿、血清、全血、脊髄液、精液、精漿、リンパ液、滑液、尿、涙液、血球細胞、臓器、腫瘍、細気管支肺胞洗浄を含む単独又は複数の個体から分離された組織又は体液から成る試料、並びに(これだけに制限されることなく、細胞培地中の細胞増殖から生じる条件培地、組み換え細胞、及び細胞成分を含む)インビトロにおける細胞培養要素から成る試料であってもよい。核酸は、当該技術分野で知られるいずれかの手段によって生物学的試料から得られる。
本明細書中で使用する場合、用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」、及び「オリゴヌクレオチド」は、プライマー、プローブ、検出されるオリゴマー断片、オリゴマー対照、及び標識されていないブロッキング・オリゴマーを指し、且つ、(2-デオキシ-D-リボースを含む)ポリデオキシリボヌクレオチド、(D-リボースを含む)ポリリボヌクレオチド、並びにプリン又はピリミジン塩基、あるいは修飾したプリン又はピリミジン塩基のいずれか他のN-グリコシド類似体の線状重合体に対する一般名である。
核酸、ポリヌクレオチド、又はオリゴヌクレオチドは、ホスホジエステル結合、あるいは、これだけに制限されることなく、リン酸トリエステル結合、ホスホラミダート(phosphoramidate)結合、シロキサン結合、カーボネート結合、カルボキシメチルエステル結合、アセトアミダート結合、カルバミン酸、チオエーテル結合、架橋ホスホラミダート結合、架橋メチレン・ホスホネート結合、ホスホロチオエート結合、メチルホスホネート結合、ホスホロジチオエート結合、架橋ホスホロチオエート結合、又はスルホン結合を含む修飾された結合、及びそのような結合の組み合わせを含んで成ることができる。
核酸、ポリヌクレオチド、又はオリゴヌクレオチドは、5つの生物学的に生じた塩基(アデニン、グアニン、チミン、シトシン、及びウラシル)、及び/又はその5つの生物学的に生じた塩基以外の塩基を含んで成ることができる。これらの塩基は、例えば、ハイブリダイゼーションを安定させるか又は不安定にするために;プローブ分解を促進するか又は抑制するために;あるいは検出可能部分又はクエンチャー部分の付着点としてといった多数の目的を果たすことができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、これだけに制限されることなく、N6-メチル-アデニン、N6-tert-ブチル-ベンジル-アデニン、イミダゾール、置換イミダゾール、5-フルオロウラシル、5-ブロムウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ-D-ガラクトシルケオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-メチルアデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、ベータ-D-マンノシルケオシン、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5’-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、シュードウラシル、ケオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル(すなわち、チミン)、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、2,6-ジアミノプリン、及び5-プロピニル・ピリミジンを含む修飾された、非標準的な、又は誘導体化された塩基部分を1つ以上含むことができる。修飾された、非標準的な、又は誘導体化された塩基部分のその他の例が、米国特許番号第6,001,611号、同第5,955,589号、同第5,844,106号、同第5,789,562号、同第5,750,343号、同第5,728,525号、及び同第5,679,785号において見られる。
更に、核酸、ポリヌクレオチド、又はオリゴヌクレオチドは、これだけに制限されることなく、アラビノース、2-フルオロアラビノース、キシルロース、及びヘキソースを含む修飾された糖部分を1つ以上含んで成ることができる。
本発明が核酸、ポリヌクレオチド、又はオリゴヌクレオチドの源によって制限されることを意図しない。核酸、ポリヌクレオチド、又はオリゴヌクレオチドが、ヒト若しくはヒト以外の哺乳動物、又はあらゆる他の生物からのもの、あるいはあらゆる組み換え体の源に由来するもの、インビトロにおいて合成されたもの、又は化学合成によるものであることができる。核酸、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、又はオリゴヌクレオチドが、DNA、RNA、cDNA、DNA-RNA、ロックト核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、ハイブリッド物、又はいずれかのその混合物であってもよく、且つ、二本鎖、一本鎖、又は部分的に二本鎖の形態で存在してもよい。また、核酸は、米国特許番号第5,696,248号に記載されている核酸の誘導体であるかもしれない。本発明の核酸は、生物学的物質、例えば微生物、例えば、細菌、酵母、ウイルス、ウイロイド、カビ、真菌、植物、動物、ヒト等の遺伝子、染色体、プラスミド、ゲノムを含む、精製された又は精製されていない形態の、核酸及びその断片の両方を含む。用語、核酸、ポリヌクレオチド、及びオリゴヌクレオチドの間で長さに意図された区別はなく、これらの用語は互換性をもって使用される。これらの用語は、二本鎖及び一本鎖DNA、並びに二本鎖及び一本鎖RNAを含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、プライマー、及び/又はプローブとして使用できる。
本明細書中で使用する用語「残基」は、先に規定されるように核酸の中のヌクレオチド又は塩基を指す。残基は、これだけに制限されることなく、先に説明した生物学的に生じるヌクレオチド及び非生物学的に生じるヌクレオチドの全てを含めた、当業者に知られているいずれのヌクレオチドであってもよい。
用語「プライマー」は、鋳型鎖に相補的であるプライマー伸長産物の合成を可能にする条件下に置かれた場合に鋳型核酸鎖に沿ったポリヌクレオチド合成の開始点として機能できるオリゴヌクレオチドを指す。プライマーは、精製された制限断片として組み換え体の源から得られるか、又は合成によって製造可能である。プライマー伸長条件としては、好適な緩衝液(「緩衝液」は、補助因子であるか又はpH、イオン強度などに影響する置換基を含んで成ることができる)中、好適な温度における4個の異なるデオキシリボヌクレオシド三リン酸、及び重合活性を有する作用物質、例えばDNAポリメラーゼ又は逆転写酵素の存在が典型的に挙げられる。増幅における最大効率のために、好ましくは、プライマーは1本鎖である。本発明のプライマーは、例えば5〜500個のヌクレオチドであることができ、そして態様によっては、少なくとも10、20、30、25、30、40、50、75、又は100個のヌクレオチドを持ち、及び/又は500、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、25、又は20個未満のヌクレオチドを持つ。
用語「ハイブリダイズ」は、一本鎖核酸又は二本鎖核酸の局所的な一本鎖領域の、相補的配列を有する別の一本鎖核酸又は二本鎖核酸の局所的な一本鎖領域への結合を指す。当業者が認識しているように、互いにハイブリダイズするために2つの核酸鎖が完全に相補的である必要はない。ハイブリダイゼーション条件によって、片方又は両方の鎖にわずかな、いくつかの、又は多数の不適正な組み合わせ(mismatch)、欠失、又は付加があったとしても、核酸はその相補体にハイブリダイズすることができる。ある態様において、本発明のプライマー及びプローブは、以下で規定されるように、選択的に、少なくとも部分的に相補的な核酸にハイブリダイズすることができる。ある態様において、本発明のプライマー及びプローブは、以下で規定されるように、ストリンジェントな条件下で少なくとも部分的に相補的な配列にハイブリダイズすることができる。
本明細書中で使用する場合、用語「ストリンジェント」又は「ストリンジェントな条件」は、当業者に周知のとおり、低イオン強度、且つ、高温のハイブリダイゼーション条件を意味する;例えばManiatisら、1989年、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版;Current Protocols in Molecular Biology、1988年、Ausubelら編、J. Wiley & Sons publ.、New York、及びTijssen、1993年、Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes、"Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays"を参照のこと。通常、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度及びpHにおける指定された配列の熱融解点(Tm)より約5〜30℃低くなるように選択される。あるいはまた、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度及びpHにおける指定された配列の熱融解点(Tm)より約5〜15℃低くなるように選択される。Tmは、(標的配列がTmにて過剰に存在しており、プローブの50%が平衡状態にある場合に)(規定されたイオン強度、pH、及び核酸濃度下で)標的に対して相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度である。例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、約pH7.0〜約pH8.3にて、塩類濃度が約1.0M未満のナトリウム(又は、他の塩)イオン、通常、約0.01〜約1Mのナトリウム・イオン濃度であり、且つ、温度が、短いプローブ(例えば、10〜50個のヌクレオチド)について最低でも約25℃、そして長いプローブ(例えば、50個以上のヌクレオチド)について最低でも約55℃であるところの条件である。また、ストリンジェントな条件は、ハイブリダイゼーション不安定化剤、例えばホルムアミドの添加により変更される可能性もある。
本明細書中で使用する場合、用語「選択的」又は「選択的な条件」は、付加的な非標的核酸を含んで成る可能性がある試料中の標的核酸の増幅、検出、及び/又は定量を可能にする本発明のプライマー、及び/又はプローブのためのハイブリダイゼーション条件を意味する。
本明細書中で使用する場合に、核酸配列の「相補体」は、(一方の配列の5’末端をもう一方の3’末端と対合するように)核酸配列を整列させた場合に、逆平行会合の状態にあるオリゴヌクレオチドを指す。核酸配列の相補体は、その配列の全てのヌクレオチドが厳密に対応しなければならないというわけではなく;安定な二本鎖は不適正塩基対又は非対応塩基を含んで成る可能性がある。核酸技術の当業者は、例えば、オリゴヌクレオチドの長さ、オリゴヌクレオチドの塩基組成及び配列、イオン強度、並びに不適正塩基対の発生率を含む多数の変数を経験的に考慮することによって二本鎖の安定性を判断できる。
核酸二本鎖の安定性は、融解温度又は「Tm」によって計測される。規定の条件下での特定の核酸二本鎖のTmは、見込まれる塩基対の半分が引き離される温度である。
本明細書中で使用する場合、用語「プローブ」は、プローブ内の少なくとも1つの部分配列と標的核酸内の部分配列との相補性により標的核酸の領域と二本鎖構造を形成できるオリゴヌクレオチドを指す。好ましくは、プローブは、プライマー配列に相補的な配列を含まない。以下で議論するように、プローブは、標識されていても標識されていなくてもよい。プライマー伸長産物内へのプローブの取り込みを予防するために、プローブ3’末端を「ブロック」してもよい。「ブロッキング」は、非相補的塩基を使用することによって、又は最後のヌクレオチドの3’ヒドロキシルに化学的部分、例えばビオチン又はリン酸基を付加することによって達成でき、選択された部分によっては、標識に付着した核酸のその後の検出又は捕獲のための標識としても機能することで二重の目的を果たすことができる。また、「ブロッキング」は、3’ヒドロキシルを取り除くことによって、又は3’ヒドロキシルを欠くヌクレオチド、例えばジデオキシヌクレオチドを使用することによっても達成できる。
語句「プローブの5’末端」は、5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素によって消化される本発明の固定化プローブの部分を指す。
語句「プローブの3’末端」は、5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素に曝露した後でも固体基板に付着したままで残っている本発明の固定化プローブの部分を指す。
用語「標識部分」は、5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素に曝露することによって本発明の固定化プローブから放出可能である化合物を指す。標識部分は、以下で説明するように、蛍光部分又はクエンチャー部分であってもよい。ある態様において、標識部分は、非蛍光性の検出可能部分、例えば、放射性同位元素(例えば、3H、32P、125I)、ビオチン、又はビオチン結合部分(例えば、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジンなど)であってもよい。
本明細書中で使用する用語「蛍光部分」又は「フルオロフォア部分」は、特定の部分に適当な条件下で発光できる化学的部分を互換的に指す。通常、特定の蛍光部分又はフルオロフォア部分は、短波長の光の吸収に続いて特定の波長の光を発することができる。特定の蛍光部分によって発せられた光の波長は、その部分に特徴を示す。よって、短波長の光による蛍光部分の励起に続いて適当な波長の光を検出することで、特定の蛍光部分を検出される。本発明の方法及び組成物で使用できる蛍光部分の例は、これだけに制限されることなく、フルオレセイン・ファミリーの色素、ポリハロフルオレセイン・ファミリーの色素、ヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの色素、クマリン・ファミリーの色素、ローダミン・ファミリーの色素、シアニン・ファミリーの色素、オキサジン・ファミリーの色素、チアジン・ファミリーの色素、スクアライン・ファミリーの色素、キレート化ランタニド・ファミリーの色素、及びBODIPY(登録商標)・ファミリーの色素を含む。
本明細書中で使用する用語「クエンチャー部分」は、クエンチャー部分が蛍光部分の十分近くにある場合、例えば、クエンチャーと蛍光部分の両方が共通のポリヌクレオチドに連結される場合に、蛍光部分によって放射されたエネルギーを吸収できる化学的部分を指す。この現象は、蛍光共鳴エネルギー転移(「FRET」)として当該技術分野で広く知られている。クエンチャー部分は、そのクエンチャー部分の特徴を示すシグナルとして蛍光部分から吸収したエネルギーを再放射することができ、それにより、クエンチャーは「蛍光部分」にもなることができる。あるいは、クエンチャー部分は、蛍光部分から吸収したエネルギーを熱又は他の非放射性作用として消散できる。本発明の方法及び組成物で使用できるクエンチャー部分の例は、これだけに制限されることなく、フルオレセイン・ファミリーの色素、ポリハロフルオレセイン・ファミリーの色素、ヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの色素、クマリン・ファミリーの色素、ローダミン・ファミリーの色素、シアニン・ファミリーの色素、オキサジン・ファミリーの色素、チアジン・ファミリーの色素、スクアライン・ファミリーの色素、キレート化ランタニド・ファミリーの色素、BODIPY(登録商標)・ファミリーの色素、アゾ・ファミリーの色素、トリフェニルメタン・ファミリーの色素、低蛍光クエンチャー部分(すなわち、「弱陽性供与体」)、及び非蛍光クエンチャー部分(例えば、Black Hole Quenchers(商標)(BHQ)を含む、いわゆる「ダーク・クエンチャー」)を含む。
本明細書中に規定される場合、「5’→3’ヌクレアーゼ活性」又は「5’ヌクレアーゼ活性」は、それによってヌクレオチドがオリゴヌクレオチドの5’末端から連続様式で取り外される酵素活性を互換的に指す。5’ヌクレアーゼ活性は、好ましくは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性であるが、ある態様において、5’→3’エンドヌクレアーゼ活性であってもよい。例えば、多くの鋳型特異的核酸ポリメラーゼが、いくつかのDNAポリメラーゼに従来付随する5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を示す(すなわち、E.コリ(E. coli)DNAポリメラーゼIがこの活性を有するにもかかわらず、E.コリDNAポリメラーゼIのクレノー断片がそうでない)。また、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性は、基質核酸の2つ以上のホスホジエステル結合(ヌクレオチド)もその基質の5’末端から開裂することができる。いずれかの特定の理論に縛られるものではないが、プローブからの開裂したオリゴヌクレオチド断片の放出につながるDNAポリメラーゼに付随する5’→3’エキソヌクレアーゼ活性のこの側面が、プローブの特定のヌクレオチド組成に依存する可能性があると考えられている。例えば、Hollandら、1991年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7276-80ページによって説明されているように、例えば、特にオリゴヌクレオチドの5’末端における、オリゴヌクレオチドと鋳型核酸のヌクレオチド間の対応塩基対又は不適正塩基対の数がこの活性に影響を及ぼす可能性がある。5’ヌクレアーゼ反応は、米国特許番号第6,214,979号、同第5,804,375号、同第5,487,972号、及び同第5,210,015で説明されるものに基づく。
標的核酸へのプローブ及びプライマーのハイブリダイゼーションと関連して用語「隣接する」は、鋳型核酸の同じ鎖又は相補鎖上のプローブに対するプライマーの位置決めを指す。プライマーとプローブは、約150個を超えるヌクレオチド、約125個を超えるヌクレオチド、約100個を超えるヌクレオチド、約80個を超えるヌクレオチド、約60個を超えるヌクレオチド、約50個を超えるヌクレオチド、約40個を超えるヌクレオチド、約30個を超えるヌクレオチド、約20個を超えるヌクレオチドによって、約1〜約20個のヌクレオチドによって、約1〜約10個のヌクレオチドによって隔てられるか、又はオーバーラップなしで互いを直に隣接させることができる。ある態様において、プローブは約1〜約10個のヌクレオチドによってプライマーから引き離される。一般に、プローブは、プライマーの下流に存在する増幅されるべき配列の中のどこでも標的核酸にハイブリダイズし、それにより、プローブが断片化されるようにプライマー伸長がポリメラーゼを配置することを可能にすることができる。
「固定化プローブに隣接して固定されたフルオロフォア部分」と関連して用語「隣接する」は、固定化フルオロフォア部分の位置を指す。固定化プローブに隣接して固定されたフルオロフォア部分は、その蛍光がマスクされるように、固定されたプローブの5’末端に付着したクエンチャー部分の十分近くに配置される。固定化プローブに隣接して固定されたフルオロフォア部分は、例えば、その固体基板に付着した別の核酸に、又は通常、連結部分を介して固体基板自体に付着させてもよい。
用語「耐熱性核酸ポリメラーゼ」は、例えば、E.コリからのヌクレオチド・ポリメラーゼと比べると加熱に対して比較的安定していて、且つ、ヌクレオチド三リン酸の重合を触媒する酵素を指す。一般に、そのような酵素は、当業者によって好熱性生物であると見なされている生物から得られる。一般に、酵素は、プライマー結合配列にアニールしたプライマーの3’末端で合成を開始して、鋳型の5’末端に向かって新しい鎖の合成を続ける。ポリメラーゼが5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する場合、それは重合終了まで又は全てのプローブ断片が検出すべき核酸から解離するまで鋳型にアニールした介在するプローブを加水分解して標識又は非標識プローブ断片を放出することができる。サーマス・アクアティクス(Thermus aquaticus)から分離された代表的な耐熱性酵素(Taq)は米国特許番号第4,889,818号に記載されており、そして従来のPCR法においてそれを使用するための方法は、Saikiら、1988年、Science 239:487-91ページに記載されている。他の代表的な耐熱性酵素は、サーマス種Z05のDNAポリメラーゼを含む。例えば、米国特許番号第5,674,738号を参照のこと。
Taq DNAポリメラーゼは、DNA合成に依存する、鎖置換型5’-3’-エキソヌクレアーゼ活性を有する。(PCR Technology Principles and Applications for DNA Amplification、Erlich編、Stockton Press, N.Y.(1989年)、第2章の中のGelfand、"Taq DNA Polymerase"を参照のこと)。よって、Taq DNAポリメラーゼは、それが鋳型DNAに結合していない場合、プローブを分解しない。
2つの核酸配列の「相補性パーセント」又は「同一性パーセント」を決定するために、当該配列を最適な比較の目的のために整列させる(例えば、第2の核酸配列との最適な整列のために、第1の核酸配列の配列内にギャップを導入してもよい)。次に、対応するヌクレオチド位置のヌクレオチドを比較する。第1の配列内の位置が第2の配列内の対応位置と相補的なヌクレオチドによって占められている場合、そのとき、当該分子はその位置において相補的である。同様に、第1の配列内の位置が第2の配列内の対応位置と同じヌクレオチドによって占められている場合、そのとき、当該分子はその位置において同一である。2つの配列の間の相補性パーセント(又は、同一性パーセント)は、当該配列によって共有された相補的な位置(又は、同一な位置)の数を比較される位置の総数で割った関数である(すなわち、相補性%=相補的な重複位置の数/短ヌクレオチドの位置の合計数×100%;そして、同一性%=同一の重複位置の数/短ヌクレオチドの位置の合計数×100%)。
また、2つの配列の間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用しても達成できる。2つの配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの限定されない例は、Karlin and Altschul、1993年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:5873-5877ページの通りに修正されたKarlin and Altschul、1990年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87:2264-2268ページのアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschulら、1990年、J. Mol. Biol. 215:403ページのNBLASTプログラムに組み込まれている。
本発明の実施は、別段の指示のない限り、当業者の範疇である分子生物学、微生物学、及び組み換えDNA技術の従来技術を使用する。そのような技術は、文献の中で十分に説明されている。例えば、Sambrookら、2001年、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor, New York;Oligonucleotide Synthesis(M. J. Gait編、1984年);Nucleic Acid Hybridization(B. D. Hames & S. J. Higgins編、1984年);A Practical Guide to Molecular Cloning(B. Perbal、1984年);及びシリーズMethods in Enzymology(Academic Press, Inc.)を参照のこと。
「複数」は2つ以上を指す。
4.オリゴヌクレオチド・プローブ
他の側面において、本発明は、標的核酸の検出のために放出可能な標識部分を含んで成る固定化プローブを提供する。プローブは、限定されることなく、当業者に知られている標的核酸の存在を同定するのに使用できるあらゆる核酸プローブであってよい。通常、プローブは、プライマーがハイブリダイズする領域と異なる標的核酸内の領域にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含んで成る。通常、プローブは、その3’末端を通して固体基板に固定される。
プローブ・ヌクレオチド配列は、検出すべき標的核酸を特異的に結合するのに十分なあらゆる長さのものであってよい。ある態様において、プローブは少なくとも約6つのヌクレオチドを含んで成る。ある態様において、プローブは約140個未満のヌクレオチドを含んで成る。ある態様において、プローブは、長さが約18〜約45個、約25〜約35個、又は約25〜約30個のヌクレオチドであるかもしれない。プローブの長さ及び組成は、実施される検出方法に依存した適当な反応条件下での標的核酸へのプローブのハイブリダイゼーションを確実にするのに十分な熱力学的安定性を与えるために選ぶことができる。通常、プローブは、プライマーのTmより高い融解温度(Tm)を持つように設計される。修飾された、非標準的な、又は誘導体化されたヌクレオチドを持つプローブは、類似した熱力学的ハイブリダイゼーション特性を有するものの、通常のヌクレオチドを持つそれらより長いか又は短い。そのような非標準的な塩基の例は、米国特許番号第6,320,005号;同第6,174,998号;同第6,001,611号、及び同第5,990,303号の中に見ることができる。その他の例として、G/Cリッチ配列を持つプローブは、A/Tリッチ配列を持つ類似した長さのプローブより高い温度で標的配列にアニールすることができる。
一般に、検出可能な核酸にハイブリダイズするプローブ・ヌクレオチド配列の一部は、そのプローブがハイブリダイズする検出可能な核酸の領域に対して同一であるか、又は相補的である。しかしながら、プローブのこの部分は、そのプローブがハイブリダイズする検出可能な標的核酸の領域に対して100%未満の配列同一性又は相補性しか有していなくてもよい。本発明のある態様において、検出可能な標的核酸にハイブリダイズするプローブの一部のヌクレオチド配列は、そのプローブがハイブリダイズする検出可能な標的核酸の領域に対して約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約90%、約85%、又は約80%の相補性又は同一性を有していてもよい。本発明の固定化プローブは、特に遺伝子型決定、一塩基多型、及び他の不適正塩基対分析に好適である。固定された、標識プローブの使用は、不適正塩基対及び内部標識部分の累積的な不安定化効果のために、従来のリニア・アレイと比較して高感度な一塩基識別を可能にする。
本発明の核酸プローブは、標的核酸に由来しない、及び/又は標的核酸にハイブリダイズしない他の核酸配列を更に含んで成ることができる。これらの付加的な核酸配列は、プローブに所望の機能性を与えるように当業者によって選択されることができる。例えば、核酸プローブは、改良された検出方法を可能にする付加的な配列を含んで成ることができる。付加的な核酸配列を含んで成ることができるか、又は別な方法で本発明のプローブ、方法、及びキットでの使用に適合させることができるプローブの例は、米国特許番号第6,323,337号;同第6,248,526号;同第6,150,097号;同第6,117,635号;同第6,090,552号;同第5,866,336号;及び同第5,723,591号の中に見ることができる。
プローブ・ヌクレオチド配列に加えて、プローブは、即時の本発明の方法を妨げない付加的なヌクレオチド配列又は他の部分を含んで成ることができる。本発明の便利な態様において、プローブは、本発明の方法を容易にする付加的なヌクレオチド配列を含んで成ることができる。プローブ又はプローブ断片のヌクレオチド配列とのハイブリダイゼーションを安定化又は不安定化する部分は、プローブ内に存在することができる。例えば、ハイブリダイゼーションを促進にするために、オリゴTリンカーが使用されてもよい。また、本発明のプローブは、先に規定されるように、修飾された、非標準的な、又は誘導体化されたヌクレオチドも含んで成ることができる。
本発明の核酸プローブは、制限されることなく、当業者に知られるあらゆる方法で準備されることができる。特に、先に説明した本発明の核酸プライマーを準備するために使用される方法が、本発明の核酸プローブを準備するためにも使用できる。
1又は複数の標識部分を、さまざまな方法によって直接的又は間接的にプローブに取り付けることができる。態様によっては、標識部分は、プローブの5’末端(すなわち、5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素によって消化されるプローブの末端)に配置されるか、プローブのヌクレオチド配列の内側に配置されるか、又は種々のサイズのスペーサアーム及びシグナル相互作用を促進するための組成物に取り付けられてもよい。通常、標識部分は、ヌクレオシド塩基に取り付けられるより、むしろ非ヌクレオシド・リンカーを介して取り付けられる。市販のホスホラミダイト試薬を使用して、当業者は、適当に保護されたホスホラミダイトを介していずれかの末端に官能基(例えば、チオール又は第一アミン)を含んだオリゴヌクレオチドを作製することができ、そして例えば、PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications、Innisら編、Academic Press, Inc.、1990年の中で説明されているプロトコールを使用することでそこに標識部分を取り付けることができる。
オリゴヌクレオチド・プローブ配列内、通常、5’末端に1又は複数のスルフヒドリル、アミノ、又はヒドロキシル部分を導入するためのオリゴヌクレオチド官能化試薬を導入する方法が、米国特許番号第4,914,210号に記載されている。プローブへの蛍光部分、クエンチャー部分、又は非蛍光性の検出可能部分を含む標識部分を取り付ける他の方法が、米国特許番号第5,118,802号の中に見られる。プローブへの標識部分を連結又は抱合する方法は、もちろん、使用される単数又は複数の標識部分のタイプ、又はプローブ上の標識部分の位置に依存する。
ある態様において、1又は複数の標識部分が、プローブの5’末端に取り付けられる。他の態様において、1又は複数の標識部分が、例えばプローブの5’端末の位置から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、約35、又は約40残基以内でプローブの5’末端に対して内側にある残基にてプローブに取り付けられる。ある態様において、1又は複数の標識部分が、プローブの3’末端に取り付けられる。他の態様において、1又は複数の標識部分が、例えばプローブの3’端末の位置から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、約35、又は約40残基以内でプローブの5’末端に対して内側にある残基にてプローブに取り付けられる。1又は複数の標識部分が、プローブの残基のあらゆる部分に取り付けられる。例えば、1又は複数の標識部分が、プローブ内のヌクレオチドの糖、リン酸、又は塩基部分に取り付けられる。他の態様において、1又は複数の標識部分が、プローブ内の2つの残基の間に取り付けられる。
本発明のある態様において、プローブは、2つ以上の標識部分によって標識されてもよい。そのような態様のいくつかにおいて、それぞれの標識部分が、プローブの異なった塩基に個別に取り付けられてもよい。他の態様において、2つ以上の標識部分が、プローブの同じ塩基に取り付けられてもよい。
ある態様において、固定化プローブは蛍光部分を含んで成る。蛍光部分は、制限されることなく、当業者に知られるあらゆる蛍光部分であることができる。一般に、「単色比色計(monochromometers)」よりむしろフィルタを備えた蛍光計の使用を可能にし、且つ、検出の効率を高める大きなストークス・シフトを有する蛍光部分が好まれる。ある態様において、蛍光部分は、フルオレセイン・ファミリーの色素(Integrated DNA Technologies, Inc.、Coralville, IA)、ポリハロフルオレセイン・ファミリーの色素(ABI、Foster City, CA)、ヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの色素(ABI、Foster City, CA);クマリン・ファミリーの色素(Invitrogen-Molecular Probes, Inc.、Eugene, OR)、ローダミン・ファミリーの色素(GE Healthcare)、シアニン・ファミリーの色素、オキサジン・ファミリーの色素、チアジン・ファミリーの色素、スクアライン・ファミリーの色素、キレート化ランタニド・ファミリーの色素、及びBODIPY(登録商標)・ファミリーの色素(Molecular Probes, Inc.)から成る群から選択可能である。1つの態様において、蛍光部分は、6-カルボキシフルオレセイン(FAM(商標))である。本発明のプローブ、方法、及びキットにおいて使用できる蛍光部分のその他の例は、米国特許番号第6,406,297号;同第6,221,604号;同第5,994,063号;同第5,808,044号;同第5,880,287号;同第5,556,959号;及び同第5,135,717の中で見られる。本発明で使用される蛍光部分は、例えばInvitrogen-Molecular Probes、Eugene, ORから市販されている。
ある態様において、固定化プローブはクエンチャー部分を含んで成る。前記クエンチャー部分は、フルオレセイン・ファミリーの色素、ポリハロフルオレセイン・ファミリーの色素、ヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの色素、クマリン・ファミリーの色素、ローダミン・ファミリーの色素、シアニン・ファミリーの色素、オキサジン・ファミリーの色素、チアジン・ファミリーの色素、スクアライン・ファミリーの色素、キレート化ランタニド・ファミリーの色素、BODIPY(登録商標)・ファミリーの色素、低蛍光クエンチャー部分、及び非蛍光クエンチャー部分から成る群から選択可能である。ある態様において、非蛍光クエンチャー部分が、BHQ(商標)・ファミリーの色素(WO 01/86001に記載されているクエンチャー、BHQ-1、BHQ-2、BHQ-3を含む)(BioSearch Technologies、Novato, CA)、Iowa Black(商標)、又はDabcyl(Integrated DNA Technologies, Inc.)であってもよい。特定のクエンチャー部分のその他の例は、例えば、制限のためではなく、TAMRA(N,N,N’,N’-テトラメチルの-6-カルボキシローダミン)(Invitrogen-Molecular Probes, Inc.)、DABCYL(4-(4’-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸)、Iowa Black(商標)(Integrated DNA Technologies, Inc.)、Cy3(商標)(GE Healthcare)、又はCy5(商標)(GE Healthcare)を含む。1つの態様において、クエンチャー部分はBHQ-2である。本発明のプローブ、方法、及びキットにおいて使用できるクエンチャー部分のその他の例は、米国特許番号第6,399,392号;同第6,348,596号;同第6,080,068号;及び同第5,707,813号の中に見られる。本発明で利用されるクエンチャー部分は、例えばMolecular Probes、Eugene, ORから市販されている。
本発明のある態様において、プローブは、蛍光部分とクエンチャー部分を含んで成ることができる。そのような態様において、先に説明したように、蛍光部分は、当業者に知られているあらゆる蛍光部分であることができる。更に、クエンチャー部分は、制限されることなく、当業者に知られているあらゆるクエンチャー部分であることができる。通常、クエンチャー部分が、プローブの5’末端に取り付けられ、且つ、蛍光部分が、当該クエンチャー部分から3’側でプローブに取り付けられる。
いずれかの特定の理論又は作用機序に縛られるものではないが、プローブが原型を保っている場合、蛍光部分によって放射された光子が吸収されて、そのためクエンチャー部分によってクエンチされると考えられている。そして、そのクエンチャー部分は、異なった波長の光子として、又は熱として光子のエネルギーを放出する。したがって、クエンチャー部分は蛍光部分でもあることができる。先に説明したように、この現象は、蛍光共鳴エネルギー転移(「FRET」)と呼ばれる。蛍光部分とクエンチャーの間でのプローブの開裂は、クエンチャー部分による蛍光部分の放射蛍光のクエンチの減少をもたらす。
一般に、蛍光部分とクエンチャー部分の間のエネルギー転移は、蛍光部分とクエンチャー部分の間の距離、及び特定の蛍光部分−クエンチャー部分のペアの臨界転移距離に依存する。臨界転移距離は、特定のクエンチャー部分と対をなす特定の蛍光部分に特徴的であり、且つ、一定である。更に、クエンチャー部分に関する蛍光部分の空間的関係は、蛍光部分−クエンチャー部分のペアの臨界転移距離が蛍光部分とクエンチャー部分の間の距離に近い場合に、より高感度で測定されることができる。従って、当業者は、プローブ上のクエンチャー部分から蛍光部分を隔てる距離に近い臨界転移距離を有するように蛍光部分とクエンチャー部分を選択できる。特定の蛍光部分−クエンチャー部分のペアの臨界転移距離は、当該技術分野で周知であり、且つ、例えばWuとBrand、1994年、Anal. Biochem. 218:1-13ページの論文の中に見られる。
特定の蛍光部分−クエンチャー部分のペアの他の区分基準は、例えば蛍光部分による蛍光発光の量子収率;蛍光部分によって放たれる蛍光波長;クエンチャー部分の減衰係数;もしあれば、クエンチャー部分によって放たれる蛍光波長;及び、もしあれば、クエンチャー部分による蛍光発光の量子収率を含む。更に、クエンチャー部分が蛍光部分でもある場合、好ましくは、クエンチャー部分と蛍光部分が、一方によって放射された蛍光がもう片方によって放射された蛍光と容易に区別できるように選択可能である。
特定の蛍光部分−クエンチャー部分のペアの選択についての更なる手引きは、KlostermeierとMillar、2002年、Biopolymers 61:159-179ページの総論の中に見られる。
本発明に使用できる蛍光部分とクエンチャー部分の例示的な組み合わせは、これだけに制限されることなく、6-カルボキシフルオレセイン(FAM)のフルオロフォア部分とCy5(商標)のクエンチャー部分;FAM、TET、JOE、HEX、Oregon Greenから成る群から選択されるフルオロフォア部分とBHQ-1のクエンチャー部分;FAM、TAMRA、ROX、Cy3、Cy3.5、CAL Red、Red 640から成る群から選択されるフルオロフォア部分とBHQ-2のクエンチャー部分;Cy5及びCy5.5から成る群から選択されるフルオロフォア部分とBHQ-3のクエンチャー部分を含む。本発明のプローブ、方法、及びキットにおいて使用できる蛍光部分−クエンチャー部分のペアのその他の例が、米国特許番号第6,245,514号の中に見られる。
FRETの中で蛍光部分又はクエンチャー部分の両方として使用可能である分子の例は、フルオレセイン、6-カルボキシフルオレセイン、2’,7’-ジメトキシ-4’,5’-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン、ローダミン、6-カルボキシローダミン、6-カルボキシ-X-ローダミン、及び5-(2'-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS)を含む。蛍光部分が供与体でも受容体でも、その励起及び発光スペクトル、並びにそれが対をなす蛍光部分によって規定される。例えば、FAM(商標)は、494nmの波長を有する光によって最も効率的に励起され、且つ、500〜650nmのスペクトル、そして525nmの発光極大を有する光を発する。従って、FAM(商標)は、例えば、555nmの励起極大を有する、クエンチャー部分としてのTAMRAとの使用に関して好適な蛍光部分である。
ある態様において、標識部分は、非蛍光性の検出可能な部分、例えば、放射性同位元素、ビオチン部分、又はビオチン結合部分(例えば、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン)である。非蛍光性の検出可能部分がビオチン又はビオチン結合部分である場合に、それぞれ二次的なビオチン結合部分又はビオチンに付着する当該技術分野で知られているあらゆる検出可能な標識が、標的核酸を検出するために使用できる。例えば、放射性同位元素、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ)、又はフルオロフォアを、二次的なビオチン結合部分又はビオチンに付着させることができる。
通常、プローブは、その3’末端を介して固体基板上に連結される。通常、プローブは、共有結合であるが、非共有結合で基板上に取り付けられてもよい。連結が増幅反応に必要とされる条件に耐えることができる限り、固定化プローブと固体基板の間の特定の連結は本発明の成功にとって重要でない。例えば、PCR反応において、連結は、核酸配列を変性させるための温度(80℃〜105℃、通常約95℃)への間欠的で且つ繰り返される曝露に耐えなくてはならない。態様によっては、プローブは、プローブの3’端末の位置から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、約35、又は約40残基以内にある残基を介して固体基板上に取り付けられることができる。通常、プローブは、その3’末端を介して固体基板上に取り付けられる。プローブは、その3’末端に求核基(すなわち、アミノ基)又は求電子体気を含んで成るように修飾されてもよい。一般に、プローブは、当該技術分野で知られているホスホラミダイト化学法を使用して修飾可能である。例えば、ヌクレオシドのアミノ修飾因子であるホスホラミダイトは、Glen Research of Sterling、Virginiaから市販されている。あるいは、プローブは、オリゴヌクレオチドに結合する固体基板上の活性化された化学基、例えばカルボキシラート、アルデヒド部分、エポキシド部分、N-ヒドロキシスクシンイミド部分を含むNHSエステル、アミノ部分、ニトロ部分、ヒドロキシル部分、イソチオシアネート部分、ジクロロトリアゾニル(dichlorotriazonyl)部分に連結してもよい。典型的な活性化された化学基は、エポキシド部分、カルボキシラート部分、NHSエステル、及びアルデヒド部分を含む。オリゴヌクレオチドの捕獲に利用するための活性化された化学的部分を含んで成る固体基板は、Telechem International, Inc.、Sunnyvale, CA、Nalge Nunc, Intl.、Rochester NY、及びExiqon、Vedbaek, Denmarkから市販されている。本発明のプローブを固定するのに有用であるさらなる連結部分は、Pierce Biotechnology、Rockford, ILから市販されている。
5.固体基板
固体基板は、増幅反応に必要とされる条件に耐えることができるあらゆる材料で構成可能である。例えば、PCRにおいて、固体基板は、核酸配列を変性させる温度(80℃〜105℃、通常、約95℃)への間欠的で且つ繰り返される曝露に耐えなくてはならない。固体基板の組成物用の例示される材料は、これだけに制限されることなく、ガラス、シリコン組成物、プラスチック、合成重合体(すなわち、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルなど)、金属、セラミックなどを含む。通常、固体基板は、オリゴヌクレオチドを取り付けるための平面を持ち、且つ、当該方法を実施するための具体的なアッセイ又は装置に適当なあらゆる形状であってよい。固体基板のための例示される形状は、円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、及びあらゆる他の多角形の形状を含む。固体基板は、平面ディスク、マルチウェル・プレート、アッセイチューブ(すなわち、PCRチューブ)、顕微鏡用スライドの形態をとってもよい。通常、当該方法における使用のための平面ディスクは、約1.0mm2〜1.0cm2、例えば、約1.0mm2、2.0mm2、3.0mm2、4.0mm2、5.0mm2、6.0mm2、7.0mm2、8.0mm2、9.0mm2、1.0cm2、2.0cm2、3.0cm2、4.0cm2、5.0cm2の表面積をもつ。本発明の平面ディスクは、約0.5mm〜約1.0cm、より一般的には約1.0mm、2.0mm、3.0mm、4.0mm、5.0mm、6.0mm、7.0mm、8.0mm、9.0mmの厚さをもつ。当該方法における使用に適当なマイクロウェル・プレートは、例えばCorning Lifesciences、Acton, MA(DNA結合Thermowell(登録商標)プレート)及びNalge Nunc, Intl.(ArrayCote(商標)プレート)から市販されているものを含む。当該発明における使用のための顕微鏡用スライドは、例えばTelechem International, Inc.、Sunnyvale, CA(すなわち、SuperEpoxide及びSuperAldehydeスライド)、Asper Biotech、Tartu, Estonia(すなわち、3-アミノプロピルトリメトキシシラン+1,4-フェニレンジイソチオシアネート活性化スライド)、Nalge Nunc, Intl.、Rochester, NY(すなわち、Nucleolink(商標)マイクロアレイ・スライド)、Grace Bio-Labs、Bend, OR(すなわち、Hybriwellチャンバー・スライド)、並びにBio-Rad Laboratories、South San Francisco, CA(すなわち、Frame-Sealシステム)から市販されているものを含む。
通常、平面固体基板は、増幅反応のための増幅試薬を含むための反応チャンバー、例えば密封可能な凹状ウェル又は密封可能な隆起した(raised)反応容器をもつ。増幅反応のための意図した液量の蒸発が起こらないように、凹状ウェル又は反応容器は密封しなくてはならない。好ましくは、隆起した反応容器は、平面固体基板から必要に応じて脱着可能である。反応チャンバーは、例えば、ぴったり合ったカバー、又はゴム若しくはシリコン・ガスケット・リングを用いて密封されてもよい。漏出又はガス抜けは、シーリング若しくはコーキングによって、又は反応チャンバーを圧力下で保持することによって、最小限にするか、あるいは防ぐことができる。
態様によっては、固体基板は、重要な酵素又は成分の吸着を最小限にするか又は防ぐために、ブロッキング剤(すなわち、ウシ血清アルブミン(BSA))で処理される。
6.標的核酸を検出、及び/又は定量する方法
通常、前記方法は、その3’末端を介して固体基板上に固定され、そしてその5’末端に標識部分を含んで成るオリゴヌクレオチドプローブの存在下、標的核酸を増幅することによって標的核酸を検出することを含んで成る。通常、これらの方法は、増幅試薬の存在下、標的核酸にハイブリダイズした固定化プローブを、5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素と接触させることを含んで成る。次に、5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素が、5’ヌクレアーゼ反応により標的核酸にハイブリダイズした固定化プローブを断片化して、それにより、その5’末端に付着している標識部分を放出する。プローブの断片化の検出を可能にする標識部分によって、プローブを標識してもよい。そのような方法は、米国特許番号第6,214,979号、同第5,804,375号、同第5,487,972号、及び同第5,210,015号に記載されているものに基づく。
5’ヌクレアーゼ反応において、核酸、プライマー、及び固定化プローブを、制限されることなく、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有することが当業者によって知られているあらゆる酵素に接触させることができる。好ましくは、条件は、酵素が固定化プローブの5’末端を開裂して、そして核酸から多数のプローブ断片を放出するのを可能にするように選ばれる。5’ヌクレアーゼ活性を有する好ましい酵素は、鋳型依存性核酸ポリメラーゼを含む。既知の、天然及び組み換え型のそのようなポリメラーゼは、例えばE.コリDNAポリメラーゼI(Fermentas, Inc.、Hanover, MD)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)DNAポリメラーゼ、及びサーモコッカス・リトラリス(Thermococcus littoralis)DNAポリメラーゼを含む。
好ましい態様において、5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素は、耐熱性、且つ、熱活性(thermoactive)核酸ポリメラーゼである。そのような耐熱性ポリメラーゼは、これだけに制限されることなく、真正細菌属のサーマス、サーモトガ(Thermatoga)、及びサーモシフォ(Thermosipho)のさまざまな種、並びにそのキメラ型からの天然及び組み換え型のポリメラーゼを含む。例えば、本発明の方法において使用できるサーマス種のポリメラーゼは、米国特許番号第5,405,774号;同第5,352,600号;同第5,079,352号;同第4,889,818号;同第5,466,591号;同第5,618,711号;同第5,674,738号、及び同第5,795,762号で記載されている通り、サーマス・アクアティクス(Taq)DNAポリメラーゼ、サーマス・サーモフィルス(Tth)DNAポリメラーゼ、サーマス種Z05(Z05)DNAポリメラーゼ、及びサーマス種sps17(sps17)を含む。本発明の方法において使用できるサーモトガ・ポリメラーゼが、例えばサーモトガ・マリティマ(Thermatoga maritima)DNAポリメラーゼとサーモトガ・ネアポリタナ(Thermatoga neapolitana)DNAポリメラーゼを含み、おまけに、使用できるサーモシフォ・ポリメラーゼの例は、サーモシフォ・アフリカヌス(Thermosipho africanus)DNAポリメラーゼである。サーモトガ・マリティマ及びサーモシフォ・アフリカヌスDNAポリメラーゼの配列は、公開番号WO92/06200として国際特許出願番号PCT/US91/07035の中で公開されている。サーモトガ・ネアポリタナの配列は、国際特許公開番号WO97/09451中に見られる。
5’ヌクレアーゼ反応は、検出する標的核酸を、本発明のプライマー、固定化プローブ、及び5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素と、当該プライマー及び固定化プローブが当該核酸にハイブリダイズする条件下で接触させることを含んで成る。5’ヌクレアーゼ反応の構成要素は任意の順序で検出する核酸に接触してよい、例えば、まず、プライマーが検出する核酸に接触し、続いて固定化プローブ及び5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素が接触するか、あるいは、まず、5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素が検出する核酸に接触し、続いて固定化プローブ及びプライマーが接触してもよい。ある態様において、2つ以上のプライマー又は固定化プローブが、5’ヌクレアーゼ反応に加えられるかもしれない。ある好ましい態様において、5’ヌクレアーゼ反応において、1組のプライマーが核酸に接触できる。プライマーは、DNA合成反応を用意できるあらゆるプライマーであってよい。1つのプライマーしか使用されない場合には、プライマーは、固定化プローブの上流で標的核酸にハイブリダイズしなくてはならない、すなわち、プライマーの3’末端は固定化プローブの5’末端の方向に面してなくてはならない。プライマーの3’末端は、プローブの5’末端に隣接してハイブリダイズするか、又はプライマーの3’末端は、プローブの5’末端のさらに上流にハイブリダイズしてもよい。2つ以上のプライマーが使用される場合には、先に説明したように、少なくとも1つのプライマーが、固定化プローブの上流で検出する核酸にハイブリダイズしなくてはならない。
本発明の5’ヌクレアーゼ反応のある態様は、当業者に知られるいくつかの5’ヌクレアーゼ反応に基づく。そのような反応の例は、例えば米国特許番号第5,210,015号で詳細に説明されている。
手短に言えば、5’ヌクレアーゼ反応において、標的核酸を、プライマー及び固定化プローブと、そのプライマー及び固定化プローブが標的核酸の鎖にハイブリダイズする条件下で接触させる。また、核酸、プライマー、及び固定化プローブを、酵素、例えば5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼとも接触させる。5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する核酸ポリメラーゼは、プライマーの下流で標的核酸にハイブリダイズしている固定化プローブを開裂することができる。プライマーの3’末端は、核酸ポリメラーゼによる鋳型核酸に基づく新しい核酸の伸長のための基質を提供する。ポリメラーゼが新しい核酸を伸長するにつれて、それは、プローブの5’末端に突き当たり、そして固定化プローブから断片を開裂し始める。
1つの態様において、プライマー及び固定化プローブは、プライマーの3’末端への核酸ポリメラーゼの結合をプローブの5’末端に接触した状態(すなわち、重複又は接することのない隣接)にさせるようにそれらが互いに極めて接近して標的核酸にハイブリダイズするように設計されてもよい。
あるいはまた、プライマーと固定化プローブが離れて間隔をおいて配置された核酸領域にアニールする場合、核酸ポリメラーゼがプローブの5’末端に突き当たる前に核酸伸長が起こる必要がある。重合が続くにつれて、ポリメラーゼが、プローブの5’末端から断片を次第に開裂する。この開裂は、プローブの残りが鋳型分子から解離する程度に不安定化するまで続く。用語「重合依存性開裂」は、この手順を指す。
固定化プローブによってハイブリダイズされる標的核酸の領域に関係なく、標的核酸を含んで成る試料が準備される。核酸が二本鎖である場合、まず、それを変性させるべきであり、例えば当該核酸の鎖が互いから離れる。制限されることなく、物理的、化学的、又は酵素的手段を含めた当業者に知られているあらゆる好適な変性方法が核酸鎖を引き離すために使用できる。鎖の分離のための好ましい物理的手段は、それが完全に(>99%)変性するまで核酸を加熱することである。典型的な熱変性は、約10秒〜約10分間の約80℃〜約105℃の温度を必要とする。変性に代わる手段として、核酸は、試料中で1本鎖の形態、例えば一本鎖RNA又はDNAウイルスで存在するかもしれない。
検出する標的核酸がRNAである場合、RNAは、先に説明した通り5’ヌクレアーゼ反応のRNA鋳型として使用されるか、又は、RNAは、cDNAへの逆転写の鋳型として使用されるか、あるいは同時又は連続してその両方であってもよい。ある態様において、RNAを、cDNAへの逆転写なしに、本発明の方法を使用することで検出することができる。他の態様において、まず、RNAが、固定化プローブが不在の状態で、cDNAに逆転写され、次に、cDNA産物が、本発明の方法により検出可能である。更に他の態様において、RNAは、固定化プローブの存在下で逆転写されてもよく、続いて同時に増幅、及び/又は検出可能であるcDNAを製造し、そして本明細書中に説明したように固定化プローブの断片化を評価することによってRNAの存在を検出する。
固定化プローブの不在下でRNAが逆転写される場合には、RNAは、当業者に知られているあらゆる方法によってもcDNAに逆転写可能である。次に、そのような逆転写の産物が、本明細書中に記載の方法によっていずれかの検出可能な核酸のように検出できる。
固定化プローブの存在下でRNAが逆転写される場合には、RNAは、DNA鎖合成の鋳型としてRNAを使用できるDNAポリメラーゼによって逆転写可能である。全ての既知のDNAポリメラーゼの合成活性がそうであるように、そのような合成は、プライマー、例えば本明細書中に説明したものの存在を必要とする。変性及びDNA合成の多数のサイクルがポリメラーゼを破壊することなく起こりうるように、好ましくは、鋳型としてRNAを使用できるDNAポリメラーゼは耐熱性である。更に、逆転写に使用されるDNAポリメラーゼは、好ましくは、DNA鋳型を使用してDNAも合成できる。そのようなポリメラーゼは、例えば米国特許番号第6,468,775号(カルボキシドサーマス・ハイドロゲンホルマンス(Carboxydothermus hydrogenformans)DNAポリメラーゼ)、同第5,968,799号(サーモシフォ・アフリカヌスDNAポリメラーゼ)、同第5,736,373号(バチルス・パリダス(Bacillus pallidus)DNAポリメラーゼ)、同第5,674,738号(サーマス種Z05 DNAポリメラーゼ)、及び同第5,407,800号(サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)及びサーマス・サーモフィルスDNAポリメラーゼ)中に記載されている。更に、逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼを使用したRNAを逆転写するための方法と組成物が、米国特許番号第5,693,517号、同第5,561,058号、同第5,405,774号、同第5,352,600号、同第5,310,652号、及び同第5,079,352の中に記載されている。
RNAであれDNAであれ、次に、変性核酸鎖は、プライマー及び固定化プローブが核酸鎖に結合するのを可能にするハイブリダイゼーション条件下でプライマー及び固定化プローブと接触する。ある態様において、核酸を増幅するのに2つのプライマーを使用してもよい。そのような態様において、核酸に沿ったそれらの相対位置が、伸長産物が鋳型(相補体)から分離された後に一方のプライマーから合成された伸長産物がもう片方のプライマーの伸長の鋳型として機能できて規定の長さの増幅産物をもたらすように、2つのプライマーを選択することができる。産物の長さは、2つのプライマーの間の配列の長さと2つのプライマー自体の長さに依存する。
通常、相補鎖はプローブ又はプライマーより長いので、その鎖はより多くの接点を持ち、それにより、あらゆる所定の期間を通して互いの発見及び結合のより多くの機会を有する。固定化プローブ及びプライマーのモル大過剰は、標的核酸の両方の鎖の再アニーリングよりむしろ、プライマー及びプローブが標的核酸の一方の鎖にアニーリングする方向に平衡がシフトするのを助ける。
プライマーは、重合剤の存在下で、伸長産物の合成を用意できるくらい十分に長くなくてはならない。プライマーの的確な長さ及び組成は、アニーリング反応の温度、プライマーの出所と組成、プライマーアニーリング部位の固定化プローブ・アニーリング部位への近接、及びプライマー:プローブ濃度の比を含む多数の要因に依存しうる。例えば、配列の複雑さによって、通常、オリゴヌクレオチドプライマーは約15〜30個のヌクレオチドを含んで成るが、それはより少ない又はより多いヌクレオチドを含むかもしれない。プライマーは、それらのそれぞれの鎖に選択的にアニールし、安定な二本鎖を形成するくらい相補的である必要がある。
各プライマーは、核酸の鎖に対して「実質的に」相補的であるように選択可能である。プライマーは、鋳型の正確な配列を反映する必要はないが、適当な反応条件下でそれらのそれぞれの鎖に選択的にハイブリダイズすることができるくらい十分に相補である必要がある。プライマーがその鋳型鎖と安定な二本鎖を形成できるくらい十分な相補性を有するならば、非相補的塩基又はより長い配列が、プライマー内に点在するか又はプライマーの末端に配置されてもよい。プライマーの非相補的ヌクレオチド配列は制限酵素部位を含んで成るかもしれない。好ましくは、あらゆる非相補的ヌクレオチド配列がプライマーの3’末端には存在しない。
好ましくは、固定化プローブは、ポリメラーゼが核酸及びプライマーに結合し検出可能な核酸の鋳型に基づいてプライマーから新しい核酸鎖を伸長し始める前に、検出する核酸にハイブリダイズする。ポリメラーゼにとって、固定化プローブが検出可能な核酸に接触する前にプライマー及び検出する核酸に結合するのは可能であるが;しかしながら、以下で説明される5’ヌクレアーゼ反応に基づく好ましいPCRにあるような、多数のサイクルのプライマー伸長が実施されない限り、この段取りは固定化プローブ断片化の減少につながる可能性がある。従って、ポリメラーゼによるプライマー伸長が始まる前に、固定化プローブが検出する核酸にハイブリダイズするのが望ましい。
プライマー伸長重合化がこの二本鎖領域に達する前、又はポリメラーゼが上流のオリゴヌクレオチドに付着する前に、固定化プローブが検出可能な核酸にハイブリダイズする可能性を高めるために、当業者に知られているさまざまな方法を使用することができる。例えば、短いプライマー分子は、核酸と十分に安定なハイブリッド複合体を形成するためにより低い温度を一般に必要とする。したがって、プライマーのアニーリングと比較してより高い温度で固定化プローブが核酸に優先的にアニールするように、プローブはプライマーより長くなるように設計されてもよい。
また、当業者は、それらのヌクレオチド組成に基づく異なったハイブリッド又は二本鎖の安定性を有するプライマー及び固定化プローブも使用することができる。例えば、固定化プローブは、プライマーに比べてより高いG/C含量を有し、その結果としてより高い二本鎖安定性を有するように選ばれてもよい。あるいは、又は更に、通常のDNA塩基しか持たないプライマー又はプローブと比較してより高い又はより低い二本鎖安定性のいずれかをもたらすように、1又は複数の修飾された、非標準的な、又は誘導体化されたDNA塩基をプライマー又はプローブに組み込むかもしれない。そのような修飾された、非標準的な、又は誘導体化された塩基の例は、米国特許番号第6,320,005号、同第6,174,998号、同第6,001,611号、及び同第5,990,303号の中に見られる。
更に、プローブとプライマーの異なるハイブリッド又は二本鎖の安定性を生かすために、反応の温度を変えることもできる。例えば、先に説明したように、高温での変性後に、反応物を、プローブを結合させるがプライマーを結合させない中間温度でインキュベートし、続いて更に温度を低げてプライマーをアニーリングさせ、その後に伸長させてもよい。
固定化プローブは、均等に離れた間隔、例えば、格子状、又は他の整然とした若しくは反復パターンで、固体基板上に通常取り付けられる。固定化プローブは、互いに約20Å〜約1000Å離れた、より一般的には約32Å〜約700Å離れた間隔をとって配置可能である。
オリゴヌクレオチドプライマーの鋳型依存性伸長は、適当な塩、金属カチオン、及びpH緩衝系を含んで成る反応媒質中、4種類のデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dATP、dGTP、dCTP、及びTTP)又は先に議論された類似体、例えば、適当量のdUTPの存在下でDNAポリメラーゼによって触媒される。好適な重合剤は、プライマー及び鋳型依存性DNA合成を触媒することが知られていて、且つ、5’→3’ヌクレアーゼ活性を持ちうる酵素である。そのような酵素は、例えばエッシェリシア・コリDNAポリメラーゼI、サーマス・サーモフィルスDNAポリメラーゼ、バチルス・ステアロサーモフィルスDNAポリメラーゼ、サーモコッカス・リットムリス(Thermococcus littomlis)DNAポリメラーゼ、サーマス・アクアティクスDNAポリメラーゼ、サーモトガ・マリティマDNAポリメラーゼ、サーモトガ・ネアポリタナDNAポリメラーゼ、及びZ05 DNAポリメラーゼを含む。更に、これらのDNAポリメラーゼを使用したDNA合成を実施するための反応条件は、当該技術分野で周知である。本発明の方法において有用であるように、重合剤は、固定化オリゴヌクレオチドプローブを効率的に開裂し、そして検出可能なシグナルが直接的又は間接的に生み出されるように標識断片化を放出することができる5’ヌクレアーゼ活性を有していなければならない。
合成産物は、鋳型鎖とプライマー伸長鎖から成る二本鎖分子である。この合成の副産物は、モノ、ジ、及びオリゴ・ヌクレオチド断片の混合物から成ることができるプローブ断片である。好ましい態様において、変性、プローブとプライマーのアニーリング、プライマー伸長、そしてプローブの開裂から成る反復サイクルが実施され、プライマーによって規定される増幅領域の指数関数的蓄積、及び標識断片の比例的生成をもたらすことができる。そのような反復熱サイクルは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)として当該技術分野で広く知られている。陰性の反応(すなわち、検出する核酸が不在である)から、陽性の反応(すなわち、検出する核酸が存在する)を識別できるくらいのプローブの量を断片化するのに十分なサイクルを実施することができる。一般に、陽性の反応は、陰性の反応に比べて数桁の規模で強いシグナルを示す。
ある好ましい態様において、PCR反応は、耐熱性酵素を利用する自動化手順として行われる。この手順において、変性工程、プローブとプライマーのアニーリング工程、そして開裂と置換がプライマー依存性鋳型伸長と同時に起こる合成工程を通じて反応混合物がサイクルに供される。耐熱性酵素との使用のために特別に設計されているサーマルサイクラー、例えばABI 3700又はABI 7700(Applied Biosystems, Inc.、Foster City, CA)が利用されるであろう。本発明の特定のそのような態様において、検出する核酸は、検出可能な標識プローブの不在下で増幅され、続いて別々の反応で増幅産物を検出してもよい。あるいは、検出する核酸をプローブの存在下で増幅し、1つの反応で増幅及び検出を可能にしてもよい。
二本鎖伸長産物を変性させる好ましい方法がPCRサイクル中の高温(約95℃)にそれらを曝露することなので、温度安定性ポリメラーゼはこの自動化手順で好まれる。本発明のある態様において、固定プローブと固体基板の間の連結の安定性を改善するために、低い温度、約80〜94℃、例えば約80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃又は94℃で二本鎖DNAを変性させることは好ましいかもしれない。
米国特許番号第4,889,818号は、サーマス・アクアティクスから分離した代表的な耐熱性酵素を開示している。追加の代表的な温度安定性ポリメラーゼは、例えば耐熱性菌であるサーマス・フラバス、サーマス・ルバー(Thermus ruber)、サーマス・サーモフィルス、バチルス・ステアロサーモフィルス(挙げられた他のものよりいくらか低い最適温度を有する)、サーマス・ラクテウス(Thermus lacteus)、サーマス・ルーベンス(Thermus rubens)、サーモトガ・マリチマ、サーモコッカス・リトラリス、メタノサーマス・フェルビズス(Methanothermus fervidus)、及びピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)(Stratagene、La Jolla, CA)から抽出されたポリメラーゼを含む。先に説明した通り、特定のこれらの耐熱性ポリメラーゼは、RNA鋳型からDNAを合成できる。本発明の方法によりRNA分子が検出される場合には、RNA鋳型からDNAを合成できる、すなわち逆転写活性を有するDNAポリメラーゼが、必要とされるあらゆる共同因子と一緒に使用されなくてはならない。
他の側面において、本発明の方法は、試料中の標的核酸の量を定量化するために使用してもよい。そのような方法において、先に説明したような5’ヌクレアーゼ反応が実施され、そして発生した蛍光の量が定量される。蛍光の量は、制限されることなく、当該技術分野において当業者に知られているあらゆる方法によって定量されることができる。ある態様において、放射された蛍光の量は、蛍光計で定量できる。この蛍光の量は、対照反応で放射された蛍光の量と比較できる。好ましくは、対照反応は、既知の配列を持つ核酸の既知量を含む試料を用いて実施される反応として、同じ試薬を用いて、且つ、同時に実施される。あるいは、蛍光部分によって放射された蛍光の量は、対照標的核酸濃度に対する蛍光をプロットした標準曲線と比較することができる。メンバーの核酸量の定量における更なる手引きは、例えば、公開された米国特許出願公開番号第2002/0058262号、欧州特許番号第1 138 780号、同第1 138 783号、及び同第1 138 784号の中に見られる。
本発明の1つの態様において、固定化プローブの存在下での増幅が最小限に抑えられる。この方法は、例えば遺伝子型決定又は病状を診断する目的のための標的核酸の存在又は不在の終点決定に特に好適である。方法は、まず、標識部分を含んで成る固定化プローブの不在下で標的核酸を増幅させ、次に、固定化プローブ及び5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素の存在下で増幅された標的核酸を検出することを必要とする。固定化プローブ及び5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素に曝露した後に、標的核酸は、最少回数の変性−アニーリング−伸長のサイクル、通常約10サイクル以下、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10サイクルを経て伸長される。
増幅された標的核酸は、蛍光シグナルを検出することによって通常検出される。蛍光シグナルは、プログラムされた温度調整(例えば、PE/ABI 7700 Applied Biosystems)、光電子増倍管、又はカメラを含む蛍光リーダーを使用して「リアルタイム」で検出されるか又は観察されるかもしれない。リアルタイム検出は、試料中の標的核酸の定量分析における利用法を得た。終点蛍光シグナルは、(例えば、個々の試料、マルチウェルプレート、又は顕微鏡用スライドを含んで成る平面固体基板を対象とする)蛍光分光光度計を使用して増幅反応の後で検出可能である。終点検出は、例えば遺伝子型決定又は診断的適用、特に疾病の存在又は不在の検出における試料中の標的核酸の定性分析における利用法を得た。反応溶液中の放出された5’標識の存在は、毛細管電気泳動によって確認することができる。アンプリコンの存在は、ゲル電気泳動によって関連させるか又は確認することができる。固定化プローブは、適当な開裂可能なリンカー部分との組み合わせて適当な化学的(すなわち、酸又は塩基加水分解)、酵素的、又は物理的な反応を使用して選択的に開裂されるか、あるいは固体基板から放出可能である。
7.前記方法を実施するための装置
また、本発明は、本発明の固定化オリゴヌクレオチドプローブを取り付けた固体基板を含んで成る装置も想定する。単独の又は多数の標的核酸配列の増幅を検出するための当該方法を実施するために、装置を使用することができる。装置は、多数の標的核酸配列、例えば、6、12、24、48、96、192、384、768、1536、又はそれを上回る数の標的核酸配列の同時の高処理検出を可能にできる。1つの態様において、装置は、固体基板を入れるためのチャンバー、流体の入口と流体の出口、流体(すなわち、増幅試薬)を導く吸引器、及び/又はポンプ、サーモサイクリング機能(すなわち、加熱、及び/又は冷却装置)、及び蛍光検出器を含んで成る。1つの態様において、装置は、マイクロフルイディクス技術を利用したマイクロ流体デバイスである。好ましくは、核酸増幅サーモサイクリングを通じて反応混合物の漏出、及び/又は蒸発を防ぐために、チャンバーを密封するか又は加圧下に置く。当該方法を実施する際に利用される例示されたマイクロフルイディクス装置は、Caliper Life Sciences、Hopkinton, MA;Aclara Biosciences、Mountain View, CA;Fluidigm、South San Francisco, CA;及びIndustrial Technology Research Institute、Hsinchu, Taiwanから市販されているものを含む。当該方法を実施する際に利用されるマイクロ流体システム及びデバイスは、例えば、米国特許番号第6,881,312号;同第6,743,636号;同第6,673,593号;同第6,670,153号;同第6,630,353号;同第6,623,860号;同第6,541,274号;同第6,534,009号;同第6,524,830号;同第6,007,690号の中で説明されている。
8.反応混合物
他の側面において、本発明は、先に説明したように固体基板上に固定され、放出可能な標識部分を含んで成るプローブ、及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含めた増幅反応のための試薬を含んで成る反応混合物を提供する。PCR増幅試薬は、例えば上流プライマー、下流プライマー、鋳型核酸、耐熱性ポリメラーゼ酵素、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dATP、dCTP、dGTP、TTP、又はdUTPを含む)、緩衝液、金属カチオン、及び塩を通常含む。核酸配列ベースの増幅(NASBA)反応は、プライマー、逆転写酵素、RNase H、及びDNAポリメラーゼを含んで成るかもしれない。転写介在増幅(TMA)反応は、プライマー、逆転写酵素、及びRNAポリメラーゼを含んで成るかもしれない。鎖置換増幅(SDA)反応は、修飾ヌクレオチド及び制限エンドヌクレアーゼを含んで成るかもしれない。また、ある増幅反応は、補助的な増幅試薬としてデオキシ・ウリジン-N-グリコシラーゼ(UNG)を含んで成るかもしれない。
9.キット
他の側面において、本発明は、先に説明した固体基板に固定され、放出可能な標識部分を含んで成る少なくとも1つのプローブ、及び先に説明した増幅反応のための試薬を含んで成るキットを提供する。キットは、試料中の標的核酸の検出に利用される。ある態様において、耐熱性DNAポリメラーゼは逆転写活性を有する。ある態様において、キットは、本発明の方法により核酸を検出するための使用説明書を含んで成る。他の態様において、キットは、当該キットの構成要素を収納するための1又は複数の容器を含んで成る。
ある態様において、キットは、本発明のプライマーを含んで成る組成物を含んで成ることができる。また、キットは、本発明のプローブを含んで成る組成物も含んで成ることができる。キットは、耐熱性DNAポリメラーゼを含んで成る組成物を更に含んで成ることができる。態様によっては、耐熱性DNAポリメラーゼは、カルボキシドサーマス・ハイドロゲンホルマンスDNAポリメラーゼ、サーモシフォ・アフリカヌスDNAポリメラーゼ、バチルス・パリダスDNAポリメラーゼ、サーマス種Z05 DNAポリメラーゼ、サーマス・アクアティクスDNAポリメラーゼ、サーマス・サーモフィルスDNAポリメラーゼ、サーモトガ・マリティマDNAポリメラーゼ、サーモトガ・ネアポリタナDNAポリメラーゼ、及びサーマスsps17 DNAポリメラーゼから成る群から選択される。本発明のプライマー若しくはプローブ、又は耐熱性DNAポリメラーゼを含んで成る組成物は、追加試薬を更に含んで成ることができる。例えば、組成物は、組成物の分解を防ぐための好適な保存料、組成物のpHを調節するための好適な緩衝液、組成物の粘性を変更するための好適な希釈剤等を含んで成ることができる。
キットは、先に説明したように、5’ヌクレアーゼ反応を実施するための他の試薬を更に含んで成ることができる。更に、キットは、標的核酸の存在を示す断片化プローブの検出を容易にするための試薬を含んで成ることができる。特定配列の核酸を検出するのに使用できるキットは、米国特許番号第6,514,736号、同第6,197,563号;同第6,040,166号、及び同第5,641,864号の中で説明されている。当業者は、同様に本発明の範囲内にある追加キットを設計するためにこれらの米国特許の開示を変更するために、本発明のプライマー及びプローブを容易に使用できる。
以下の実施例は、請求の範囲に記載の発明を説明するために提供されるのであって、それを制限するためではない。
実施例1:
プローブ及びプライマー合成
オリゴヌクレオチドプライマーを、多孔性ガラス(controlled-pore glass)上で、標準的なホスホラミダイト化学反応(S. L. Beucage、Methods in Molecular Biology、第20巻:Protocols for Oligonucleotides and Analogs、33-61ページ)を使用したApplied Biosystems 394 DNA自動合成機によって調製した。デオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、及びチミジンのホスホラミダイト類似体をApplied Biosystems(Foster City, California)から購入し、そして使用前に無水アセトニトリル中で0.1Mに希釈した。カップリング剤、酸化剤、及び脱保護剤もまたApplied Biosystemsから購入し、そして製造元の提言に従って使用した。t-ブチルベンジル-dACPGを、先に説明したように準備した(米国特許番号第6,001,611号を参照のこと)。オリゴヌクレオチドプローブを、BioGenex(San Ramon, California)製の色素−ホスホラミダイト、並びにGlen Research(Sterling, Virginia)製の5-メチル-ウリジン・ホスホラミダイト及び3’アミノ修飾因子C7 CPG(C7NH2)を用いて調製した。以下の修飾オリゴヌクレオチド:
上流プライマー:TGA ACC CAC AGA AAA TGA TGC CC t-ブチル-dA、
下流プライマー:GGA AAT GCC CCA TTA TTT AGC CAG G t-ブチル-dA、
プローブ:HEX-TT CCT CGC CTG TCC AGG GAT CTG CTC TTT FAM-TT T5-MeU T TT C7NH2
を調製し、そしてイオン交換HPLCによって精製した。
DNA結合プレートへの固定
先に記載したアミノ修飾オリゴヌクレオチド・プローブを、50mMのリン酸ナトリウム及び1mMのEDTA(TE)、pH8.5中で3μMに希釈し、Corning Life Sciences(Ithaca, New York)製のDNA結合Thermowellマイクロウェル・プレートのウェルに100μLのアリコートで加えた。そのプレートに蓋をして、暗所中、5℃で18時間保存し、そして水分を抜き取った。ウェルを、Dubecco’s PBSで3回すすぎ、水分を抜き取って、リン酸ナトリウム/EDTA中に3%のBSA(Sigma Chemicals、St. Louis, Missouri)の溶液200μLずつで満たした。プレートを、37℃で30分間加温し、水分を抜き取って、そして10mMのTris-HCl及び0.1mMのEDTA、pH8.0で3回すすいだ。乾いたプレートを、ホイルで包み、そして5℃で保存した。
PCR条件
酵素保存用緩衝液中、50mMのトリシン、pH8.3、90mMの酢酸カリウム、それぞれ200μMのdATP、dCTP、及びdGTP、400μMのdUTP、4mMの酢酸マグネシウム、2.5%のグリセロール、45%のpoly rA緩衝液(Roche Molecular Systems、Alameda, California)、それぞれ0.5μMの上流及び下流プライマー、並びに2.5μLのZ05 DNAポリメラーゼ(100単位)(Roche Molecular Systems, Pleasanton, CA)を含むPCRマスターミックス950μLを、TE中のMolt4ゲノムDNA、20ng/μLの溶液50μLと組み合わせた。前記マスターミックスのアリコート(100μL)を、固定化プローブを含むDNA結合プレートのウェルに加えた。
マスターミックス及び固定化プローブを含み、且つ、Applied Biosystemsのオプティカル・アドヘイシブ・カバー(optical adhesive cover)で蓋をしたプレートを、ABI Prism 7700により95℃で20秒間及び58℃で40秒間の45サイクルで加熱し、そして4℃まで冷やした。反応混合物のアリコートを、毛細管電気泳動による分析のために保存した(以下を参照のこと)。
塩基加水分解による固定化プローブの放出
先に記載のサイクルに供したPCRプレートを、TEですすぎ、そして20mMの水酸化ナトリウム、200mMのNaCl溶液120mLずつで満たした。前記プレートを、オプティカル・アドヘイシブ・カバーで蓋をし、そして75℃で200分間、加温した。反応産物のアリコートを、毛細管電気泳動によって分析した。
分析
先に記載の反応混合物のアリコート(1μL)を、6-カルボキシ-フルオレセイン標準物質を含んだ10μLのホルムアミド(Applied Biosystems)に加え、そして47cm×50μmの毛細管を備えたABI 310 Genetic Analyzerを用いて分析した。
結果
増幅反応混合物の毛細管電気泳動(CE)は、HEXチャネルのみでのプローブ断片の露呈をもたらし、固定化プローブが5’末端から部分的に消化されたことを示した。FAMチャネルにおける顕著なシグナルの不在は、PCR手順中、プローブの3’末端が付着したままで残っていることを示す。
プローブ加水分解反応産物のCE分析は、HEX及びFAMチャネルに現れる未消化プローブ、並びにFAMチャネルだけに現れるプローブ断片の提示をもたらした。原型を保ったプローブ対消化されたプローブの比は、完全長対断片ピークの相対面積によって示されるように約50%である。
当然のことながら、本明細書中に記載の実施例及び態様は説明を目的としているだけであり、且つ、それを考慮した様々な修飾又は変更が、当業者に対して示唆され、そして当該出願及び添付した請求項の趣旨及び権限の範囲内に含まれる。
本体上の固体基板である平面ディスク・アレイを図解する。 密封した壁上の固体基板の平面ディスク・アレイを図解する。 組み立てられた固体基板の平面ディスク・アレイを図解する。
符号の説明
1 アレイメンバー
2 流体の出入り口
3 チャネル
4 チャンバー
5 本体
6 密封した壁
7 アレイ基板
8 オプティカルウィンドウ

Claims (19)

  1. 標的核酸を検出する方法であって:
    a)3’末端を介して固体基板上に固定された、標識部分を含んで成るオリゴヌクレオチドプローブを準備する工程;
    b)標的核酸を含んで成ることが疑われる核酸試料を、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素を含む反応混合物中で前記プローブの存在下増幅させる工程、
    を含んで成り、ここで、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素が前記オリゴヌクレオチドプローブから標識部分を放出し、そして前記核酸試料中での標的核酸の存在又は不在が検出されるように、前記プローブは当該標的核酸と特異的にハイブリダイズする、方法。
  2. 前記標識部分が前記プローブの5’末端に付着したフルオロフォア部分であり、当該フルオロフォア部分の放出が、固定されたプローブ上の蛍光の減少をもたらし、それにより核酸試料中の標的核酸の存在を検出する、請求項1に記載の方法。
  3. 標識部分がプローブの5’末端に付着したクエンチャー部分であり、且つ固定されたプローブが、当該クエンチャー部分から3’側で当該プローブと付着したフルオロフォア部分を更に含んで成り、ここで、前記フルオロフォア部分の蛍光が、クエンチャー部分がプローブに付着している場合に減少し、且つ、固定されたプローブ上のフルオロフォア部分の蛍光が、前記クエンチャー部分が溶液中に放出される場合、標的核酸の増幅の増大に伴って増大する、請求項1に記載の方法。
  4. 標識部分がプローブの5’末端に付着したクエンチャー部分であり、且つ、当該プローブに隣接して固定化されたフルオロフォア部分の蛍光が、標的核酸の増幅の増大に伴って増大する、請求項1に記載の方法。
  5. 5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素が5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼである、請求項1に記載の方法。
  6. 固体基板が、マルチウェルプレート、顕微鏡用スライド、PCRチューブ及びディスクから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
  7. 増幅の検出が増幅と同時であるか、あるいは増幅の後である、請求項1に記載の方法。
  8. 多数の標的核酸配列を検出を同時に検出する方法であって:
    a)それぞれその3’末端を介して固体基板上に固定され、それぞれ同一の標識部分を含んで成る、多数のオリゴヌクレオチドプローブを準備する工程;
    b)標的核酸を含んで成ることが疑われる核酸試料を、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素を含む反応混合物中で前記プローブの存在下増幅させる工程、
    を含んで成り、ここで、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素が前記オリゴヌクレオチドプローブから標識部分を放出し、そして前記核酸試料中での標的核酸の存在又は不在が検出されるように、各プローブが多数の標的核酸のうちの1つと特異的にハイブリダイズする、方法。
  9. i)3’末端を介して固体基板に固定されたオリゴヌクレオチドプローブであって、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素によって放出される標識部分を含んで成るオリゴヌクレオチドプローブ;及び
    ii)前記プローブがハイブリダイズする標的核酸の増幅のための試薬、
    を含んで成る反応混合物。
  10. 標識部分がプローブの5’末端に付着したフルオロフォア部分である、請求項9に記載の反応混合物。
  11. 標識部分がプローブの5’末端に付着したクエンチャー部分であり、且つ固定されたプローブが、当該クエンチャー部分から3’側で当該プローブと付着したフルオロフォア部分を更に含んで成る、請求項9に記載の反応混合物。
  12. 標識部分がプローブの5’末端に付着したクエンチャー部分である、請求項9に記載の反応混合物。
  13. 固定化されたプローブが、プライマーに隣接している標的核酸上の配列と、増幅のための試薬中でハイブリダイズする、請求項9に記載の反応混合物。
  14. 固体基板が、マルチウェルプレート、顕微鏡用スライド、PCRチューブ及び平面ディスクから成る群から選択される、請求項9に記載の反応混合物。
  15. フルオロフォア部分が、フルオレセイン・ファミリーの色素、ポリハロフルオレセイン・ファミリーの色素、ヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの色素、クマリン・ファミリーの色素、ローダミン・ファミリーの色素、シアニン・ファミリーの色素、オキサジン・ファミリーの色素、チアジン・ファミリーの色素、スクアライン・ファミリーの色素、キレート化ランタニド・ファミリーの色素、及びBODIPY(登録商標)・ファミリーの色素から成る群から選択される、請求項9に記載の反応混合物。
  16. クエンチャー部分が、フルオレセイン・ファミリーの色素、ポリハロフルオレセイン・ファミリーの色素、ヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの色素、クマリン・ファミリーの色素、ローダミン・ファミリーの色素、シアニン・ファミリーの色素、オキサジン・ファミリーの色素、チアジン・ファミリーの色素、スクアライン・ファミリーの色素、キレート化ランタニド・ファミリーの色素、BODIPY(登録商標)・ファミリーの色素、アゾ・ファミリーの色素、トリフェニルメタン・ファミリーの色素、低蛍光クエンチャー部分及び非蛍光クエンチャー部分から成る群から選択される、請求項9に記載の反応混合物。
  17. i)3’末端を介して固体基板に固定されたオリゴヌクレオチドプローブであって、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素によって放出される標識部分を含んで成るオリゴヌクレオチドプローブ;及び
    ii)前記プローブがハイブリダイズする標的核酸の増幅のための試薬、
    を含んで成るキット。
  18. 固体基板が、マルチウェルプレート、顕微鏡用スライド、PCRチューブ及び平面ディスクから成る群から選択される、請求項17に記載のキット。
  19. 3’末端を介して固体基板に固定されたオリゴヌクレオチドプローブであって、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素によって放出される標識部分を含んで成るオリゴヌクレオチドプローブを含んで成る、標的核酸の増幅を実施するための装置。
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