JP2007100245A - 補強用繊維の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴムや樹脂との接着力に優れ、部分的な接着斑が少なく連続処理性に優れた補強用繊維の製造方法を提供すること。
【解決手段】繊維をプラズマ処理する方法であって、該プラズマ処理が2つの電極間のプラズマ化空間を通過したプラズマ生成ガスと、反応性ガスからなる吐出流によって、プラズマ化空間の外部に位置する繊維を処理することを特徴とする。さらに反応性ガスがプラズマ化空間を通過しないものであることが好ましい。また、プラズマ処理後の繊維表面に高分子からなる膜が形成されていることや、該高分子が、側鎖にアミド基、水酸基、カルボキシル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の基や、アミド結合またはエステル結合を有することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は補強用繊維の製造方法に関し、さらに詳しくはゴムや樹脂などの高分子を繊維で補強した繊維補強高分子複合体に好適に用いられる補強用繊維の製造方法に関する。
産業資材用途等に用いられている高分子複合体は、その物性を強化するために繊維による補強が行われることが多い。このような高分子複合体としては樹脂またはゴムを主構成成分とする繊維補強樹脂やあるいは繊維補強ゴムなどが挙げられるが、このような高分子複合体においては、補強用繊維のマトリックスに対する接着力が強度や疲労性などの物性に大きく影響する。
そこで従来から補強用繊維に対する種々の接着処理方法が知られており、例えばタイヤやホース、ベルトなどのゴムを主構成成分とする場合には、その接着処理方法としてゴム/繊維用の接着処理液であるレゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス(RFL)接着剤が用いられている。しかしながら近年補強用繊維として使用される高強度の繊維である例えばポリエステル、芳香族ポリアミド、高分子量ポリエチレンからなる繊維は、表面に活性基を持たないために接着剤との化学結合が得られず、これまで知られている接着剤だけでは繊維と主構成成分との接着性が不十分であるとの問題があった。
この問題を解決するための一手法としては、プラズマにより表面改質を行うプラズマ前処理法が知られている。例えば特許文献1には、ポリエステル繊維を減圧下でプラズマ処理し、ついでポリアミド蒸気下でイオンプレーティンングする方法が、特許文献2にはビニル化合物を含有するプラズマ媒体中で織編布を処理する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法ではまだ十分な接着力は得られておらず、また減圧下で行っていることから連続処理が困難であり、工業的な生産にはむかないという問題があった。
そこで特許文献3では常圧下で2段階のプラズマ処理を行うことによって接着力に優れかつ連続処理性に優れた方法が開示されている。しかしこの方法では電極間に処理される繊維が位置するために、表面の反応性が不均一になり接着力に斑が発生するという問題があった。
特公平3−46587号公報 特表2002−539337号公報 特開2005−171432号公報
本発明は、ゴムや樹脂との接着力に優れ、部分的な接着斑が少なく連続処理性に優れた補強用繊維の製造方法を提供することにある。
本発明の補強用繊維の製造方法は、繊維をプラズマ処理する方法であって、該プラズマ処理が2つの電極間のプラズマ化空間を通過したプラズマ生成ガスと、反応性ガスからなる吐出流によって、プラズマ化空間の外部に位置する繊維を処理することを特徴とする。さらに反応性ガスがプラズマ化空間を通過しないものであることが好ましい。
また、プラズマ生成ガスが窒素を主とするガスであることや、反応性ガスが不飽和結合を有するガスを含有する、特に反応性ガスがアルケン類及び/またはアルキン類のガスを含有するものであることが好ましい。さらに、プラズマ処理後の繊維表面に高分子からなる膜が形成されていることや、該高分子が、側鎖にアミド基、水酸基、カルボキシル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の基を有するものであること、アミド結合またはエステル結合を有すること、アルケン類及び/またはアルキン類から得られる主鎖を有することが好ましい。
製造に用いられる繊維が合成繊維であることや、プラズマ処理後に繊維を水洗することや接着剤を付与することも好ましい。
本発明によれば、ゴムや樹脂との接着力に優れ、部分的な接着斑が少なく連続処理性に優れた補強用繊維の製造方法を提供される。
本発明は繊維をプラズマ処理する製造方法に関する。そして該プラズマ処理が2つの電極間のプラズマ化空間を通過したプラズマ生成ガスと、反応性ガスからなる吐出流によって、プラズマ化空間の外部に位置する繊維を処理する製造方法である。
本発明の製造方法で用いられる繊維としては、強度等の物性に優れる無機や有機の繊維であることが好ましい。有機の繊維としてはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維などの合成繊維が挙げられる。特に好ましくは、ポリエステル、芳香族ポリアミド、及びポリエチレンからなる群の中から選ばれる少なくとも1種の繊維であることである。このような繊維はポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステル、芳香族ポリアミド、あるいはポリエチレンからなるポリマーを常法により紡糸、延伸することにより得られる高強力繊維であることが好ましい。さらには、高強力化を図るために高重合度のポリマーを用い、高延伸倍率で延伸されたものであることが望ましい。また無機の繊維としては炭素繊維などが挙げられ、例えばポリアクリロニトリル繊維を焼成した引張弾性率20ton/mm〜100ton/mmの範囲の繊維であることが好ましい。
これら繊維の繊度、フィラメント数、断面形状等には特に制限は無いが、強力利用の点からは短繊維よりも長繊維であることが好ましく、その場合には長繊維を撚糸し、繊維コードとして高分子複合体の補強に用いられる。
本発明の製造方法では、プラズマ処理時に表面に繊維が露出さえしていればその形状は制限されるものではなく、ヤーン、コード、不織布、織編物等種々の繊維集合形態を含むものであるが、連続的に処理できる長い形状を有するものであることが好ましい。
これらの繊維は本発明の製造方法で処理する前にあらかじめ他のプラズマ処理で前処理しても良い。この前処理のプラズマ処理媒体は窒素を主とするものであることが好ましい。窒素ガス濃度が低くなると表面活性の効果が低下する傾向にある。窒素以外のガス媒体としては酸素、二酸化炭素、アルゴンなどの空気中に含まれる成分が若干なら含まれていても良い。また処理時間としては表面の活性化と低分子の積層物の付着防止のために5〜120秒程度であることが好ましい。雰囲気圧力としては常圧下であることが好ましく、具体的には1万Pa〜11万Pa程度の、さらに好ましくは9万〜10.5万Paのほぼ大気圧下であることが好ましい。このように常圧で処理を行うことにより装置を小型化でき連続的な処理を行うことができる。このプラズマ前処理としては効率の良いダイレクト方式による処理であることが好ましい。ダイレクト方式とは電極間で発生させたプラズマを直接対象物に処理する方法であり、処理時には対象物である繊維は電極間に存在するか、もしくは搬送されている。
本発明の補強繊維の製造方法は補強用として用いられる繊維をプラズマ処理する方法であり、プラズマ処理としてはプラズマ生成ガスが2つの電極間のプラズマ化空間を通過してプラズマを生成するものであり、本発明はプラズマと反応性ガスからなる吐出流によって、プラズマ化空間の外部に位置する繊維に反応させることを必須とする製造方法である。このようなプラズマ処理は一般にリモート方式と呼ばれている処理方法であり、リモート方式とは、電極間のプラズマ化空間で発生させたプラズマをプラズマ生成ガスの媒体気流によって一反電極から取り出し、対象物に処理する方式である。本発明の製造方法はプラズマ生成ガスに反応性ガスを合流させた吐出流によって、処理の対象物である繊維を処理する方法であるが、さらには吐出流がプラズマ化空間を通過したプラズマ生成ガスと、プラズマ化空間を通過しない反応性ガスとからなるものであることが好ましい。このように反応性ガスをプラズマ化空間を通らない設定とすることにより、繊維への異物の付着をより少なくコントロールすることができる。
本発明のいわゆるリモート方式のプラズマ処理では、電極間のプラズマ化空間と被処理物である繊維とは離れているが、その距離としては、0.1〜120mmであることが好ましく、さらには1〜60mmであることが好ましい。この距離が長すぎるとプラズマが失活し成膜しにくい傾向にあり、逆に近すぎると異物の発生、付着の可能性が高くなる。またプラズマ化空間から出る吐出流としては2〜100リットル/分の速度であることが好ましい。
プラズマ生成ガスとしては窒素を主とするガスであることが好ましい。さらには窒素濃度が50〜100%であることが好ましく、さらには90〜100%であることが好ましい。窒素ガス濃度が低くなると接着に必要なアミド結合が得にくくなる傾向にある。窒素以外のガス媒体としては酸素、二酸化炭素、アルゴンなどの空気中に含まれる成分を含むことが好ましい。本発明で用いられるプラズマは前述の窒素を主とするプラズマ生成ガス存在下で印加電極にパルス電源を接続し、印加電極と設置電極の間に電圧を印加してグロー放電を発生することで得られる。電流密度としては50〜120mA/cmの条件とすることが好ましい。
また本発明で用いる反応性ガスとしては、不飽和結合を有するガスを含有することが好ましい。このような反応性ガスとしてはアルケン類及び/またはアルキン類のガスが特に好ましく挙げられる。この反応性ガス中のアルケン類及び/またはアルキン類の濃度としては0.1〜15体積%であることが好ましく、さらには0.5〜5%であることが好ましい。濃度が低すぎると成膜に時間がかかりすぎる傾向にあり、濃度が高すぎると重合しやすいアルケン類、アルキン類のガスが爆発する危険性が高まる。反応性ガスの他の成分としては安全性の観点からヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガスや窒素気体であることが好ましい。特に接着性の向上の観点等からは窒素であることが好ましく、全体としても窒素を主とすることが望ましい。窒素等のガス濃度としては50%以上であることが好ましく、さらには90%以上であることが好ましい。これら以外のガス媒体としては、酸素、二酸化炭素、アルゴンなどの空気中に含まれる成分も含むことができる。
本発明の製造方法ではプラズマ生成ガスと反応性ガスは繊維に吐出処理する前に合流させるが、このときプラズマ生成ガスと反応性ガスとの比が1:10〜10:1の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは1:5〜5:1である。これら比率から逸脱すると接着に必要な膜が生成しにくくなる。このような2種のガスを用いることによって繊維表面がより均一にプラズマ処理されることとなる。
混合ガスの繊維への処理時間としては5〜600秒であることが好ましい。それ以下であれば膜厚が小さすぎ、それ以上であれば生成膜の表面にオリゴマーが積層したり、膜厚が厚すぎたりと接着を阻害する傾向となる。
より具体的に好ましい態様について述べると、本発明ではプラズマ化空間で発生したプラズマと反応性ガスであるアルケン類及び/またはアルキン類を含むガスと混合させることが好ましい。アルケン類またはアルキン類の例としては例えば、アクリル酸、エチレン、ブタジエン、2−ビニルピリジン、N−ビニル‐2−ピロリドン、アセチレン等の単体またはそれらの混合物が挙げられる。また反応性等の観点から、アルケン類よりもポリマー化しやすいアルキン類であることが、さらにはブタジエン等の分子量が小さくガス化しやすいものであることが好ましい。
発生したプラズマは媒体ガスであるプラズマ生成ガスを、例えば流速2〜100リットル/分の気流として、電極間のプラズマ化空間から出て反応性ガスが印加された室もしくは管に導入される。反応性ガスもプラズマ媒体ガス同様流速2〜100リットル/分でフローしていることが好ましい。流速が遅すぎると処理に供する吐出ガスが繊維に到達しにくい傾向にあり、流速が早すぎると、ガスを大量に使いコスト的に好ましくない。プラズマ生成ガスと反応性ガスは基材に到達するまでに吐出流として混合される。混合が行われる室もしくは管はプラズマ化空間を構成する電極と繋がっている、もしくは離れていてもせいぜい10mm以内であることが好ましい。このような距離を保つことにより、より2種類のガスを効率よく混ぜ、効率的に繊維と反応させることができる。処理されるべき繊維は、室もしくは管の中に存在もしくは搬送させるか、室もしくは管のガス噴出し口付近に存在もしくは搬送させることによって処理される。
本発明ではこのようなプラズマ処理を常圧下で行うことが好ましい。常圧にて処理することにより大型で特殊な装置が不要となり、製造コストが低減できる上、従来困難であった連続処理が可能となり、生産量をさらに増加させることができる。常圧とは1万Pa〜11万Paであることをいい、好ましくは9万〜10.5万Paのほぼ大気圧下であることが圧力調整が容易で処理が簡便になるため好ましい。
さらに本発明の製造方法では、プラズマ処理後の繊維表面に高分子からなる膜が形成されていることが好ましい。また、該高分子が側鎖にアミド基、水酸基、カルボキシル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の基を有するものであることや、該高分子がアミド結合またはエステル結合を有することが好ましい。膜を構成する高分子はアルケン類及び/またはアルキン類から得られる主鎖、例えばブタジエン骨格を有することが好ましい。本発明ではプラズマ発生をリモート方式で行うことによって成膜に必要なラジカルのみを取り出すことができ、このような均一な高分子からなる膜の成膜が可能となった。
特に大気圧近傍下、リモート方式で発生させたプラズマとアルケン類及び/またはアルキン類を含むガスを混合させた吐出流ガスで繊維を処理(吐出混合ガス処理と表記)することによって、繊維表面には、アルケン類及び/またはアルキン類に由来する1nm〜100μmの高分子からなる膜を繊維表面に容易に生成することができる。膜厚はSEM(走査型電子顕微鏡)あるいはTEM(透過型電子顕微鏡)を用いることによって測定することができる。また高分子からなる膜の表面に存在する側鎖のアミド基、水酸基、カルボキシル基や、アミド結合、エステル結合などの官能基はGCMSやESCAによって確認することができる。
このような高分子の膜と繊維とは、プラズマによって強固な化学結合により繋がれており、また高分子膜表面に種々の活性基を持つことによって、本発明の製造方法で得られる補強用繊維は、樹脂やゴムなどの高分子マトリックスとの接着力に優れ、さまざまな高分子複合体に用いることができる。
本発明の製造方法では、プラズマ処理後にさらに繊維を水洗することがより効果的である。繊維表面を水洗することによって、成膜時に発生したオリゴマーを取り除くと共に、プラズマ処理によって得られた活性膜に水分子が反応して、さらに多くの水酸基、カルボキシル基やエステル結合などをさらに多量に形成させることが出来る。
水洗方法は特に規定するものではなく、ディップ方式でも良いし、ノズルから吹き付ける方式でも良い。水洗時間も洗浄方法によるので特に規定されるものではないが0.01〜30秒が工程的には好ましい。乾燥工程は引き続いて繊維に接着剤を付与する場合には特に必要ないが、そのまま補強繊維として取り扱う場合には行ったほうが好ましい。乾燥温度は50〜80℃で0.5〜10分間乾燥する方法が好ましい。また室温で圧空乾燥しても問題はない。プラズマ処理と水洗までの時間は特に規定するものではない。一ヶ月後に行っても接着向上効果は得られるが、より好ましくはプラズマ処理直後である。
プラズマ処理後には、水洗の有無にかかわらず接着剤を付与することが好ましい。接着剤の種類は、補強用繊維が使用される主構造体である樹脂やゴムの種類によって適切なものを選択すれば良い。たとえばゴムマトリックスの場合、従来公知のレゾルシン−ホルマリン−ラテックス系の接着剤を用いることが好ましい。
このような本発明の製造方法によって得られた補強用繊維は、樹脂やゴムなどの高分子との接着力に優れ、さまざまな高分子の補強に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明の構成および効果をさらに詳細に説明する。尚、実施例における各物性は下記方法により求めたものである。
(1)コード剥離接着力
処理コードと樹脂またはゴムとの接着力を示す指標であり、ウレタン樹脂または天然ゴムを主成分とする未加硫ゴムシートまたはEPDM未加硫ゴムシートの表層近くに25本/2.54cm(inch)の間隔となるようにコードを埋め、ウレタン樹脂は200℃、3分間、ゴムシート(EPDMゴム、天然ゴム)は150℃、30分間となるように、500N/cmのプレス圧力で圧着または加硫し、25本のコードを樹脂またはゴムシート面に対し90度の方向へ200mm/分の速度で剥離するのに要するカをN/25本で示したものである。
(2)膜厚
プラズマ処理された繊維コードを繊維軸垂直方向にカットし、金/パラジウム合金で蒸着した後、断面方向から繊維の最表層のみ走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製JSM6330F)にて一万倍に拡大して撮影した。コード長さ方向10cmづつサンプルングし、計10点測定し、その平均値とバラツキ(σ)を求めた。
[実施例1]
常法に従って得たポリエチレンテレフタレート繊維(帝人テクノプロダクツ株式会社製)からなる1100dtex/249フィラメントのマルチフィラメントを2本合わせ下撚、上撚をそれぞれ逆方向に30T/10cmで撚糸して2000dtexの双撚コードを得た。
一方、窒素ガスを2つの電極間のプラズマ化空間を通過させ、リモート方式で発生させた窒素プラズマ100%を流速50L/minでプラズマ化空間から吐出させ、プラズマ生成ガスとした。そこに、プラズマ化空間を通過しない1,3-ブタジエン1%と窒素99%のガスと1:1で混合させた反応性の混合ガスを流速40L/minで合流させ、プラズマ生成ガスと反応性ガスからなる吐出流とした。この吐出流により繊維コードを大気圧下、30秒間処理した。なお1,3-ブタジエン1%と窒素99%のガスをフローしている管と電極は繋がっており、電極から繊維コードまでの距離は30mmであった。このときウレタン樹脂接着力の平均値は23N/25本、ばらつきσは5N/25本
であった。該コードの他の材質との接着性を表2に示す。
また、繊維表面をSEM(日本電子(株)製JSM6330F)によって測定したところ、平均値230nm、バラツキσ80nmの膜が観察された。
さらに繊維表面をナイフで少量削りとり、日本分析工業(株)製熱分解ガス測定装置、にかけ590℃に昇温、得られたガスを(株)島津製作所製ガスマスクロマトグラフィー(GC−MS QP2010)にかけ、60℃から320℃まで10℃/分で昇温した。27分にシャープなピークが得られマススペクトルを確認したところブタジエン骨格を有する高分子膜であった。
また、表面の官能基を調べるために両面テープを貼った試料台(1cmφ)に試料を貼り付けて、測定サンプルとした。VG社(英国)製ESCALAB200で、MgKa線、光電子取出角=45度、Wide(survey、1100〜0/1.0eV)&Narrow(O,C,etc./0.1eV)Scan、で測定した。結果、表1に示すC1sチャート ピーク分離結果[単位;atomic%]が得られ、IR分析の結果と総合して、高分子膜にアミド結合、エステル結合、OH基、COOH基の存在が確認された。
Figure 2007100245
[実施例2、3]
実施例1で得られた処理された繊維コードを軟化水によって水洗し、60℃、1分で乾燥させコードとした(実施例2)。さらに一部の水洗された繊維コードは、その後レゾルシン−ホルマリン−ラテックスに浸漬した後150℃で2分間乾燥し、引き続き240℃で1分間熱処理しディップコードとした(実施例3)。水洗後のコード、およびディップコードの接着性を表2に併せて示した。
[比較例1、2]
プラズマ処理を行わなかった未処理コードを用いた以外は、実施例1〜3と同様の処理を行い接着性を評価した。結果を表2に併せて示した。
Figure 2007100245
[実施例4、5]
プラズマ生成ガスである窒素プラズマ100%(A)と、反応性ガスである1,3-ブタジエン1%と窒素99%のガス(B)の比率を変化させた以外は、実施例3と同様の処理を行った。結果を表3に示した。
Figure 2007100245
[比較例3]
実施例1のリモート法によるプラズマ処理に換えて、実施例1と同じ未処理コードに、大気圧下、窒素99.5%、1,3-ブタジエン0.5%混合させたガスプラズマを30秒間処理するいわゆるダイレクト法によるプラズマ処理を行った。ウレタン樹脂接着力の平均値は24N/25本であったが、ばらつきσは10N/25本と大きなものであり、高分子膜の膜厚の平均値は250nmであるが、ばらつきσは154nmであり、リモート方式によるものよりも劣ったものであった。

Claims (12)

  1. 繊維をプラズマ処理する方法であって、該プラズマ処理が2つの電極間のプラズマ化空間を通過したプラズマ生成ガスと、反応性ガスからなる吐出流によって、プラズマ化空間の外部に位置する繊維を処理することを特徴とする補強用繊維の製造方法。
  2. 反応性ガスがプラズマ化空間を通過しないものである請求項1記載の補強用繊維の製造方法。
  3. プラズマ生成ガスが窒素を主とするガスである請求項1または2記載の補強用繊維の製造方法。
  4. 反応性ガスが不飽和結合を有するガスを含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の補強用繊維の製造方法。
  5. 反応性ガスがアルケン類及び/またはアルキン類のガスを含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の補強用繊維の製造方法。
  6. プラズマ処理後の繊維表面に高分子からなる膜が形成されている請求項1〜5のいずれか1項記載の補強用繊維の製造方法。
  7. 該高分子が側鎖にアミド基、水酸基、カルボキシル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の基を有するものである請求項6記載の補強用繊維の製造方法。
  8. 該高分子がアミド結合またはエステル結合を有する請求項6記載の補強用繊維の製造方法。
  9. 該高分子がアルケン類及び/またはアルキン類から得られる主鎖を有する請求項6記載の補強用繊維の製造方法。
  10. 繊維が合成繊維である請求項1〜9のいずれか1項記載の補強用繊維の製造方法。
  11. プラズマ処理後に繊維を水洗する請求項1〜10のいずれか1項記載の補強用繊維の製造方法。
  12. プラズマ処理後に接着剤を付与する請求項1〜11のいずれか1項記載の補強用繊維の製造方法。
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