JP2007097455A - イカの塩辛および塩辛の製法法 - Google Patents

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克哉 深見
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保浩 舩津
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Abstract

【課題】 イカの塩辛はイカの内臓を添加して発酵させる食品であるため、イカ特有の好ましくない風味があり、イカの塩辛の消費拡大において障壁になっている。
【解決手段】 イカの塩辛に、スタフィロコッカス ネパレンシスを1*105から1*1011個添加し、一週間以上、冷蔵条件の温度下にて,時々撹拌することの処理することにより、イカの塩辛の特有な好ましくない風味を減少させ、好ましい風味が増したイカの塩辛を製造できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、イカの塩辛のイカの好ましい塩辛の匂いを残しつつ、不快な香気成分を減少させ、風味改良された塩辛とその製造法に関する。
塩辛は魚介類の筋肉,内臓などに食塩を加えて,腐敗を防ぎながら原料を消化し,同時に特有の風味を醸成させたものである。イカ塩辛には製造法により,赤作り,白作り,黒作りの3種類がある。赤作りは最も一般的な塩辛で皮付きのイカの切り身に肝臓と食塩を加えて熟成させるもので,白作りは剥皮したイカの胴肉を用いるものである。黒作りはイカの切り身に肝臓と食塩の他にイカの墨を加えて製造したもので,富山県の特産品である。
近年,消費者の嗜好性の変化から,塩辛の製造方法は10%以上の塩分の存在下で自己消化酵素や微生物作用により風味を醸成させる伝統的な方法から10%以下の低塩分で短期間に製造し,風味を調味料に依存する簡易法へと変化している。黒作りの製造方法も外套膜と肝臓,墨(肉量の3-10%)を食塩(肉量の10数%)と共に混ぜて発酵させる製法から,肝臓,墨を別々に塩漬け(20%)して保存し,スルメイカの外套膜を塩漬け(7-10%)後,細切りにし,それに肝臓,墨(肉量の3-4%)を混ぜ合わせる方法に変化している。また,黒作りの製造に用いられる墨もスルメイカのものからアカイカのものへと変化し,香りの弱い光沢のある黒色が特徴である。
このようにイカ塩辛が従来の保存食品から嗜好品へと移行する中で,製品の調味,防腐,離水防止,風味改良などの目的でソルビトール,グルタミン酸ナトリウム,グリシン,甘味料,麹,アルコールなどの添加物が使用されている。例えば、特許文献1では、天然調味料、アルコール、各種添加物等を用いて、ホタルイカの内臓のうち肝臓について調味保存向上処理を行い、塩蔵処理したイカ肉と混合し塩辛を作り、風味を向上させる方法を開示している。また、イカ特有の生臭みを消すために、イカ内臓の代わりに納豆を用いる方法が知られている(特許文献2参照)。しかし,これらの添加物の使用だけでは,塩辛に特有の生臭みなどを改良することは難しい。非特許文献1および特許文献3は,醤油麹を用いて発酵させたマルソウダ魚醤油もろみから,独特の臭いがあり日本人にはなじみにくいタイ国産魚醤油の臭気を改変する菌を分離した。分離した菌はスタフィロコッカス ネパレンシスで,醤油麹に由来しており,タイ国産魚醤油に本菌を添加し,32℃で24日間培養したところ,揮発性成分組成が大きく変化した。とくに,この菌処理はタイ国産魚醤油中の揮発性成分である二硫化ジメチル,2-エチルピリジン,二硫化トリメチル,酪酸を減少させ,イソ吉草酸,イソアミルアルコール,2,6-ジメチルピラジンを増加させることで,魚臭さ,蒸れ臭,糞便臭,腐敗臭を低下させた。これまでに塩辛の熟成中の遊離アミノ酸,有機酸などの呈味成分や揮発性成分の変化についての研究例はあるが,塩辛の臭気改良を目的とした研究はほとんどみられない。
特開昭61-177939号公報 特開平01-285148号公報 特許第3671179号公報 Fukami K, Funatsu Y, Kawasaki K, Watabe S.:J.Food Sci., 2004; 64: 45-49.
本発明者は、イカの塩辛に関する香気成分に関する研究を行ってきた。そして、スタフィロコッカス属の微生物が不快な香気成分を減少させる能力があることを見い出した。さらに詳細な研究を行った結果、イカの塩辛の不快な香気成分を除去し、且つイカのいい風味を残すことを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、イカの風味を残した不快臭の少ないイカの塩辛とその製造法を提供する。
従来、イカの塩辛において、独特な生臭いイカの塩辛の不快臭があり、一般的に広く食される発酵食品ではなかった。
本発明は、スタフィロコッカス属の微生物を用いることにより、イカの生臭さ、魚臭さを減少させ、さらに好ましいイカの塩辛を提供することを目的とする。
本発明は、イカの塩辛の香気成分を、微生物を利用して、変化させて風味を向上させたイカの塩辛とその処理方法を提供する。
本発明者らは、各スタフィロコッカス属の微生物を使って、香気、風味の改良について鋭意研究を行った結果、イカの塩辛の独特な生臭さを軽減し、イカのいい香りを強調する効果を見いだした。
すなわち、本発明はイカの塩辛の不快臭を除去することが出来るスタフィロコッカス ネパレンシスを塩辛の製造中もしくは製造後に添加し、所定の温度と期間を維持する工程を含む、風味が向上したイカの塩辛の製造法とイカの塩辛に関する。
イカの塩辛に、スタフィロコッカス ネパレンシスを適量添加することにより、特定の不快に感じる香気成分が減少し、好ましい香気成分が増加することが見いだされた。微生物が香気成分を変化させる場合、添加された食品の塩濃度、各種アミノ酸の含量、固形分、水分活性、処理温度等の化学的、物理的条件によって、大きく変わることが鋭意研究の基で判明した。つまり、スタフィロコッカス ネパレンシスを東南アジア製の魚醤に添加してみたところ、2メチルプロパナール、2メチルブタナール、2エチルピリジン、3メチルチオプロパナールの香気成分が減少し、イソアミルアルコール、イソバレリックアシッドが増加することが見いだされた。
スタフィロコッカス ネパレンシスをイカの塩辛に適量添加し、適当な期間微生物処理を行った結果、イソバレリックアシッド、イソバレルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ジメチルジスルフィドが減少し、且つイソアミルアルコール、酢酸エチルが増加する。前記微生物で処理した魚醤では増加したイソバレリックアシッドが、前記微生物で処理したイカの塩辛では減少する。また、前記微生物処理したイカの塩辛中のベンズアルデヒドが減少し、酢酸エチルが増加する現象は、魚醤油ではみられない現象である。すなわちイソバレリックアシッド、イソバレルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ジメチルジスルフィドのピーク面積が対照品(未処理)より有意に減少し、それぞれ、0.043以下、0.175以下,0.008以下、検出限界以下となり、さらに対照品(未処理)より、イソアミルアルコール、酢酸エチルが有意に増加し、それぞれ0.419以上,0.022以上になることにより、官能評価を行った結果から、イカの塩辛特有の生臭い(魚臭)を軽減し、イカの好ましい香りを強調させる結果が得られる。
いろいろなスタフィロコッカス属の微生物を、いろいろな食品に添加して、風味改良を試みたが、とくにスタフィロコッカス ネパレンシスをイカの塩辛に添加した場合にのみ、イカの塩辛特有の生臭さを除去し、好ましい、風味向上に繋がる香気成分を精製することが知見として得られた。本発明はこれら知見に基づき、完成されたものである。
本明細書でイカの塩辛というのは、イカを原料とし、塩、内臓等を添加し、発酵させた食品であり、イカは、スルメイカ、マツイカ、ホタルイカなどいろいろなイカを使った塩辛が各産地で生産されている。一般的に塩辛は魚介類の筋肉,内臓などに食塩を加えて,腐敗を防ぎながら原料を消化し,同時に特有の風味を醸成させたものである。イカ塩辛は製造法により,赤作り,白作り,黒作りの3種類がある。赤作りは最も一般的な塩辛で皮付きのイカの切り身に肝臓と食塩を加えて熟成させるもので,白作りは剥皮したイカの胴肉を用いるものである。黒作りはイカの切り身に肝臓と食塩の他にイカの墨を加えて製造したもので,富山県の特産品でもある。
スタフィロコッカス属は、いろいろな環境に存在している。例えば、人の皮膚、食品中に存在していることは多くの文献で報告されている。とくにスタフィロコッカス ネパレンシスは、ネパールに生息しているヤギの食道より、始めて単離された。さらに、スタフィロコッカス ネパレンシスは、日本の醤油麹より単離されている(非特許文献1参照)。従って、使用する菌は、一般的な栄養培地で、各種発酵食品などより単離することが出来る。
微生物の同定については、例えば、魚醤油、醤油もしくは醤油麹、味噌もしくは味噌麹等の発酵食品より、例えば18%食塩を含んだ栄養培地に湿布し、例えば30℃で1週間ほど培養する。それら高塩培地より生育した微生物を、純化する。それら純化した微生物から、DNAを抽出する。そのDNAを用いてスタフィロコッカス ネパレンシスrpoB遺伝子の特有な遺伝子配列から、定法であるPCR法を用いて、ropB遺伝子の一部を増幅し、一定長のDNAを検出することにより、容易にスタフィロコッカス ネパレンシスが特定出来る。さらなる種属の決定方法は、DNAハイブリダイゼーションの手法も用いることが出来る。さらには、他の生理学的性状より判別することも可能であり、DNAを用いた種属の特定と生理学的性状両方により判定する事も可能である。
イカの塩辛の風味改良方法(微生物処理)として、スタフィロコッカス ネパレンシスを栄養培地等で増殖させ、たとえば、イカの塩辛100gに対し、スタフィロコッカス ネパレンシスを1*105から1*1011個好ましくは1*10から1*1010個混合させ、冷蔵条件,いわゆる約1℃から10℃、好ましくは2℃から6℃、で一週間以上、好ましくは1週間から3ヶ月、時々攪拌しながら、処理する。細菌を培養する方法特に限定されず、細菌を増殖させることができる方法であれば何でも良い。スタフィロコッカス ネパレンシスは、あまり菌数が少ないと、イカの好ましくない臭いを減少させることが出来ない。少なくともイカの塩辛100g当たり1*10個以上菌数が必要と考えられる。
香気成分の測定については、テフロン(登録商標)製のバイアル(直径3.0cm, 高さ6.7cm)に各微生物処理したイカの塩辛と対照品のイカの塩辛を正確に6.0g取り, 内部標準として1%シクロヘキサナール4.5μLを添加した。次にテストチューブミキサーで攪拌後,Carboxen/ポリジメチルシロキサン(75μm 部分架橋型)を吸着剤とした固相マイクロ抽出(SPME)ファイバーをバイアル内に挿入し, ヘッドスペースの揮発性成分を50℃で1時間捕集した。吸着した揮発性成分を直ちにガスクロマトグラフ/マススペクトロメトリー (GC/MS)分析に供し,分析することが出来る。
具体的には、吸着した揮発性成分のGC/MS分析条件は下記の条件で行った。ガスクロマトグラフ,ヒューレッドパッカード社製6890型;質量分析計,ヒューレッドパッカード社製5973型;カラム,PTA-5 スペルコ社製;直径0.32mm,長さ30m, 膜厚1.5μm; カラム温度,40 (2min) - 250℃(23min);キャリアガス,He; 注入口温度,250℃ ;注入法,スプリットレス (流速:1.5mL/min);昇温速度,10℃/分;GC/MSインタフェース,ダイレクトカップリング(280℃);イオン源温度,230℃:イオン化電圧,70eV。揮発性成分の同定は標準マスライブラリデータ(NISTマススペクトルデータベース)を用いて行った。また, 未知試料の同定の場合は, 標品の保持時間を比較して行った。
これらの方法で処理したイカの塩辛は、塩辛中のイソバレリックアシッド、イソバレルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ジメチルジスルフィドのうち、少なくとも1つを減少し、且つイソアミルアルコール、酢酸エチルのうち少なくとも一つを増加している。
これらの方法で処理し、上記香気成分の変化をしたイカの塩辛は、官能評価の結果、イカの生臭さ(魚臭さ)を減少させ、イカの好ましい風味を有していることが判った。これらの方法により、独特の不快な風味をもつイカの塩辛が、万人がなじみやすいイカの塩辛に改良できることが判った。
本発明は、イカの塩辛の風味を向上させる効果を有する。
以下、本発明を実施例により、具体的に説明するが、本発明がこれら実施例に制限されるものではない。
微生物の単離および同定
日本国内で製造された醤油麹1gを、殺菌した蒸留水10gに懸濁した液を、高塩培地(18%食塩を含むヌートリエントアガー培地(栄養培地)Defco製)に湿布した。約30℃、7日後、得られたコロニーに対し、微生物の同定を行った。
醤油麹より単離した微生物を純化し、それぞれの単離された微生物の生理性状を調べた。細胞形態、グラム染色、胞子、運動性、コロニー形態、カタラーゼ活性、オキシダーゼ活性、o/f試験を行い、それぞれ、球菌(1μm)、+、-、-、円形でなめらか、+、-、+という結果が得られたスタフィロコッカス属と推定された菌のみ分離した。分離した微生物を、18%食塩を含む栄養培地に湿布し,32℃、2日間孵卵器にて培養し、コロニーを得た。それら各コロニーより1白金耳の菌塊を回収し,1%TritonX-100を含むTE緩衝液(100mM Tris-HCl , 50mM EDTA , pH8.0) 中に懸濁した。100℃で5分間加熱後,クロロホルム:イソアミルアルコール混液(24:1, v/v)を加えて攪拌し,遠心分離後の上清をDNA試料とした。このDNA溶液5μLにそれぞれ終濃度0.4μMとなるように 5'-GTTTAGGAGATACATCCATA-3' および5'-AGATATTGAAACAAACAGCATTACT-3'プライマーを加え,0.2mM dNTP, 1×Ex Taq緩衝液(Takara社製)および25mU Ex Taq DNA polymeraseとなるようにTE 緩衝液を加えて調製し,94℃30秒,50℃30秒,72℃30秒ずつ保温する反応を30回繰り返し,目的DNA断片を増幅した。増幅した遺伝子断片を定法に則り、アガロースゲル電気泳動に供与し、増幅されたバンドを定法の染色方法で染色し、バンドの有無を確認した。191bp長のDNA断片が得られた微生物のコロニーを、スタフィロコッカス ネパレンシスと同定した。
イカの塩辛の風味改善処理(微生物処理)
菌の培養 スタフィロコッカス ネパレンシス を18%NaCl添加栄養寒天培地に塗布し,32℃で72時間培養した。この菌を1白金耳,100mL容の18%NaCl添加栄養培地 (Nutrient broth+18%NaCl)に移植し,30℃で48時間攪拌培養した。この培養液を遠心分離 (10,000g×30min) 後,沈殿を回収し,22%の滅菌食塩水 (22% NaCl)に懸濁した。
熟成前の黒作り 市販されているかね七株式会社製の熟成前の黒作りを実験材料とした。この黒作りは日本海産の冷凍スルメイカTodarodes pacificusとニュージーランド産の冷凍スルメイカNototodarus sloaniを原料とし,解凍,水洗浄,水切り後,塩漬し細断した胴肉に塩蔵混合腑(塩漬した肝臓と墨を混合したもの),ソルビトール,調味料,焼酎,増粘多糖類およびpH調整剤を加え,低温下でよく混合したものである。
菌処理黒作りの調製 熟成前の黒作り300gに,スタフィロコッカス ネパレンシスの懸濁液3mL(約5*109個)を添加し, 2日間に1回,滅菌スパチュラで攪拌しながら,冷蔵 (約4℃)で30日間熟成した(以下,菌処理黒作りとよぶ)。なお,熟成前の黒作り300gに,22%滅菌食塩水3mLを添加後,菌処理せずに同様に熟成した試料を比較対照とした(以下,対照品とよぶ)。

菌数測定 熟成30日後の黒作りの一部を-20℃で凍結した。解凍後,試料3gを10mLの滅菌水中に懸濁した。10倍ずつ段階的に希釈し,それらの0.1mLずつを22%NaClを含むNutrient Agar(DIFCO)培地上で,32℃で培養し,2日後および7日後のコロニー数を計数した。菌の同定は以下の方法で行った。すなわち,各コロニーより1白金耳の菌塊を回収し,1%TritonX-100を含むTE緩衝液(100mM Tris-HCl , 50mM EDTA , pH8.0) 中に懸濁した。100℃で5分間加熱後,クロロホルム:イソアミルアルコール混液(24:1, v/v)を加えて攪拌し,遠心分離後の上清をDNA試料とした。このDNA溶液5μLにそれぞれ終濃度0.4μMとなるように 5'-GTTTAGGAGATACATCCATA-3' および5'-AGATATTGAAACAAACAGCATTACT-3'プライマーを加え,0.2mM dNTP, 1×Ex Taq緩衝液(Takara社製)および25mU Ex Taq DNA polymeraseとなるようにTE 緩衝液を加えて調製し,94℃30秒,50℃30秒,72℃30秒ずつ保温する反応を30回繰り返し,目的DNA断片を増幅した。増幅した遺伝子断片を定法に則り、アガロースゲル電気泳動に供与し、増幅された191bpのバンドを定法の染色方法で染色し、有無を確認した。
結果、始めに300gの黒作りに約5*109個スタフィロコッカス ネパレンシスを添加したが、30日後のスタフィロコッカス ネパレンシスは、同じく約約5*109個であった。30日の処理期間で、スタフィロコッカス ネパレンシスが死滅していないことが確認されたため、スタフィロコッカス ネパレンシスにより風味改良がなされたと考えられた。
香気成分分析
揮発性成分の分析 テフロン(登録商標)製のバイアル瓶(直径3.0cm, 高さ6.7cm)に各微生物処理した黒作りと対照品の黒作りを正確に6.0g取り, 内部標準として1%シクロヘキサナール4.5μLを添加した。次にテストチューブミキサーで攪拌後,Carboxen/ポリジメチルシロキサン(75μm 部分架橋型)を吸着剤とした固相マイクロ抽出(SPME)ファイバーをバイアル内に挿入し, ヘッドスペースの揮発性成分を50℃で1時間捕集した。吸着した揮発性成分を直ちにガスクロマトグラフ/マススペクトロメトリー (GC/MS)分析に供した。
吸着した揮発性成分のGC/MS分析条件は下記の条件で行った。ガスクロマトグラフ,ヒューレッドパッカード社製6890型;質量分析計,ヒューレッドパッカード社製5973型;カラム,PTA-5 スペルコ社製;直径0.32mm,長さ30m, 膜厚1.5μm; カラム温度,40 (2min) - 250℃(23min);キャリアガス,He; 注入口温度,250℃ ;注入法,スプリットレス (流速:1.5mL/min);昇温速度,10℃/分;GC/MSインタフェース,ダイレクトカップリング(280℃);イオン源温度,230℃:イオン化電圧,70eV。揮発性成分の同定は標準マスライブラリデータ(NISTによるマススペクトルデータベース)を用いて行った。また, 未知試料の同定の場合は, 標品の保持時間を比較して行った。
表1に香気成分の分析結果を示した。黒作りに内部標準物質1%シクロヘキサナール水溶液を4.5μL添加した後、香気成分を分析し、クロマトグラフに表示された、内部標準物質のピーク面積を分母に、各香気成分のピーク面積を分子とし、各香気成分のピークを数値化した。数字の右についている*印は、有意差が有ったことを示す。
各分析値は、3回独立した実験から得られたデータを,平均値±標準偏差で表した。また,揮発性成分については,t-検定で有意差を検定した。
結果、イソバレリックアシッド、イソバレルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ジメチルジスルフィドのピーク面積が対照品(未処理)より有意に減少し、それぞれ、0.043、0.175,0.008、検出限界以下となり、さらに対照品(未処理)より、イソアミルアルコール、酢酸エチルが有意に増加し、それぞれ0.419,0.022に増加した。
Figure 2007097455
官能評価
官能試験に関する訓練を十分に受けた12名で構成されたパネルによって,微生物処理した黒作りと対照品の風味について官能評価を行った。パネルは,塩辛を好む人とした。また,パネルは男7人, 女5人で, 年齢は20代から50代であった。評価方法は一対比較法を用いた。すなわち,全体の臭いの強さ,生臭さ,不快なイカの臭い,好ましいイカの匂い,内臓臭,好ましい塩辛の匂い,不快な塩辛の臭いに関する反対語を両端に位置づけた5段階(-2, -1, 0, 1, 2)の評価尺度を並べて, 対照品に対する微生物処理黒作りの印象をそれぞれの尺度上に評定させた(-2はもっとも弱い、+2はもっとも強いとした。好ましさについては、-2はもっとも嫌い、+2はもっとも好ましいとした)。測定方法は、呈味成分および揮発性成分はそれぞれ3検体について測定した。官能評価における各パネルが記入したデータは,Student t-testで解析した。
結果は表2に示した。有意差が認められた項目はAの文字を数値の横に記載した。パネラーは生臭さ、いやなイカの匂い、内蔵臭が減少したと認識し、また、好ましい塩辛の匂いが強くなったと感じている。全体的に好きか嫌いかに関しての項目については、好ましいと判断している。
Figure 2007097455

Claims (5)

  1. イカの塩辛の不快臭を除去することが出来るスタフィロコッカス ネパレンシスを塩辛の製造中もしくは製造後に添加し、所定の温度と期間を維持する工程を含む、風味が向上したイカの塩辛の製造法。
  2. 前記スタフィロコッカス ネパレンシスが、イカの塩辛中のイソバレリックアシッド、イソバレルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ジメチルジスルフィドのうち、少なくとも1つを減少させ、且つイソアミルアルコール、酢酸エチルのうち少なくとも一つを増加させることができる菌であることを特徴とする、請求項1記載のイカの塩辛の製造法。
  3. イカの塩辛100gに対して、1*105から1011個の前記スタフィロコッカス ネパレンシスを添加し、1週間から一年間、冷蔵で保存することにより、風味が向上させることを特徴とする請求項1又は2記載のイカの塩辛の製造法。
  4. 未処理のイカの塩辛に比べ、イカの塩辛中のイソバレリックアシッド、イソバレルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ジメチルジスルフィドのうち、少なくとも1つを減少し、且つイソアミルアルコール、酢酸エチルのうち少なくとも一つを増加したことを特徴とするイカの塩辛。
  5. イカの塩辛に内部標準物質1%シクロヘキサナール水溶液を4.5μL添加した後、香気成分を分析方法において、内部標準物質のピーク面積に対し、イソバレリックアシッド、イソバレルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ジメチルジスルフィドがそれぞれ、0.043以下、0.175以下,0.008以下、検出限界以下であり、且つ、イソアミルアルコール、酢酸エチルがそれぞれ0.419以上,0.022以上であることを特徴とする請求項4記載のイカの塩辛。
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