JP2007092822A - 無機繊維断熱材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ホルムアルデヒド捕捉剤を過剰に使用することなく、無機繊維断熱材の内部にまで良好に浸透させ、ホルムアルデヒド捕捉剤を断熱材の全域にきわめて均等に分布させた無機繊維断熱材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 無機繊維にバインダーを添加してマット状に堆積し、無機繊維ウェブ2Aを形成し、次いでバインダーを硬化させて無機繊維マット2Bを形成し、その後、その無機繊維マット2Bに対して、ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液を、平均液滴径が1〜20μmの霧状として噴霧し、マット内に良好に浸透させて均一に付着させる構成とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は無機繊維断熱材及びその製造方法に関し、特に、ホルムアルデヒド捕捉剤を付着させてホルムアルデヒドの放散を抑制した無機繊維断熱材及びその製造方法に関する。
従来より、グラスウールやロックウール等の無機繊維断熱材が広く使用されている。これらの無機繊維断熱材は、フェノール樹脂系のバインダーを用いて成形することが多い。ところが、フェノール樹脂を硬化させて成形した無機繊維断熱材では、その表面から、フェノール樹脂中に残留しているホルムアルデヒドが放出されるとか、加水分解して生成したホルムアルデヒドが放出されることがある。これらの放出量は極微量であり、通常の居住環境においては問題無いが、高温あるいは湿度の高い使用環境では放出がやや多くなるので、ホルムアルデヒドの放出量を抑える必要がある。
そこで、このホルムアルデヒドの放出を防止するため、無機繊維断熱材に、ホルムアルデヒドと反応して固定化するホルムアルデヒド捕捉剤を添加する提案がなされている。そして、無機繊維断熱材に対するホルムアルデヒド捕捉剤の添加方法として、特開2001−178805号公報には、水溶液を噴霧する方法、粉末をエアロゾルとして噴霧する方法、含浸法及びコーティング法が記載されている。また、再表03−016611号公報には、繊維化された直後の無機繊維にホルムアルデヒド捕捉剤を噴霧して付与し、その無機繊維をコンベア上に堆積させてマットとする方法及びコンベア上に堆積させた後のマット状の無機繊維にホルムアルデヒド捕捉剤を噴霧して付与する方法が記載されている。
しかしながら、これらの方法にはいずれも問題があった。すなわち、特開2001−178805号公報に記載された無機繊維断熱材にホルムアルデヒド捕捉剤の水溶液を噴霧する方法では、液滴が主としてマット状の無機繊維断熱材の表層部分に付着してその部分を濡らし、その部分に液膜を作ってしまい、水分揮発のための強制乾燥を必要とし、コストアップとなる。また、噴霧されたホルムアルデヒド捕捉剤が無機繊維断熱材の表層に液膜を形成し、後続の液滴がその液膜で捕捉されてしまうため、ホルムアルデヒド捕捉剤を無機繊維断熱材の内部に浸透させることが困難であり、付与されたホルムアルデヒド捕捉剤はそのほとんどが無機繊維断熱材の表層部分に付着し、内部にはあまり付着しない。このため、付与されたホルムアルデヒド捕捉剤のすべてがホルムアルデヒド捕捉に有効に寄与するとは限らず、ホルムアルデヒド捕捉効果が低下する。内部の含有率を上げるにはホルムアルデヒド捕捉剤の使用量を増す必要があるが、使用量を増すと、ますます表面の濡れが大きくなって乾燥に時間がかかり、かつコストも増す。粉末をエアロゾルとして噴霧する方法でも、粉末が主として無機繊維断熱材の表層部分に捕捉されてしまい、内部の含有率が低下する。また、エアロゾル噴霧する場合は、液状捕捉剤は使用できないので、使用できるホルムアルデヒド捕捉剤が限られる。含浸法及びコーティング法でも、ホルムアルデヒド捕捉剤は主として無機繊維断熱材の表層部分に付着し、内部の含有率は小さい。内部にまでホルムアルデヒド捕捉剤を含浸させようとすると、ホルムアルデヒド捕捉剤の使用量が増し、コストアップとなる。再表03−016611号公報に記載の方法では、無機繊維断熱材の製造工程における250〜300℃のバインダー硬化工程の前に、ホルムアルデヒド捕捉剤を無機繊維に対して付与しているため、耐熱性の捕捉剤しか使用できない。また、コンベア上に堆積させた後のマット状の無機繊維にホルムアルデヒド捕捉剤を噴霧する方法では、上記したようにホルムアルデヒド捕捉剤が主として表層部分に付着し、その部分を濡らしてしまうため、内部に浸透させることが困難であり、内部の含有率が低いままとなる。
特開2001−178805号公報 再表03−016611号公報
本発明はかかる状況に鑑みてなされたもので、ホルムアルデヒド捕捉剤を過剰に使用することなく、無機繊維断熱材の内部にまで良好に浸透させ、ホルムアルデヒド捕捉剤を断熱材の全域にきわめて均等に分布させた無機繊維断熱材及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らはかかる課題を解決すべく種々検討の結果、マット状の無機繊維に対してホルムアルデヒド捕捉剤の溶液を噴霧して付与する際、平均液滴径が20μm以下というきわめて微細な液滴からなる霧状として噴霧することで、液滴が無機繊維の表層部分を濡らすことなく、内部に良好に浸透することを見出し、本発明を達成した。
すなわち、本願請求項1に係る発明は、無機繊維にバインダーを添加してマット状に堆積し、バインダーを硬化させて形成した無機繊維マットと、該無機繊維マットに付着したホルムアルデヒド捕捉剤を有し、該ホルムアルデヒド捕捉剤が、マット状の無機繊維に対して、ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液を、平均液滴径が1〜20μmの霧状として噴霧することで付与されたものであることを特徴とする無機繊維断熱材である。ここで、噴霧の対象とするマット状の無機繊維は、無機繊維にバインダーを添加してマット状に堆積した状態のもの(バインダーを硬化させる前のもの、無機繊維ウェブという)でもよいし、バインダーを硬化させた後の状態のもの(無機繊維マットという)でもよい。なお、液滴の直径を測定する方法には、液浸法、レーザー法など、複数の方法が知られており、測定方法によって測定値が若干異なるので、本明細書においては、液滴径はレーザー回折法(フランホーヘル回折法)で測定した数値で示すものとする。レーザー回折法は、レーザー光路上に噴霧粒子が存在すると、レーザー光線が粒子表面で散乱し、散乱光の干渉によりその後方に回折像を結ぶこと(フランホーヘルの回折)を応用して粒子径を測定する方法である。
請求項2に係る発明は、上記した請求項1に係る発明の無機繊維断熱材において、前記無機繊維マットの少なくとも片面に無機繊維クロスからなる表面材を貼り付けていることを特徴とするものである。
請求項3に係る発明は、上記した請求項1又は2に係る発明の無機繊維断熱材において、前記ホルムアルデヒド捕捉剤の、無機繊維マットの単位面積当たりの付着量を、1〜10g/m2 としたことを特徴とするものである。
請求項4に係る発明は、上記した本発明の無機繊維断熱材を製造する方法を提供するもので、無機繊維にバインダーを添加してマット状に堆積し、無機繊維ウェブを形成する集綿工程と、前記無機繊維ウェブのバインダーを硬化させて無機繊維マットを形成する硬化工程と、前記集綿工程の後において、マット状の無機繊維に対して、ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液を、平均液滴径が1〜20μmの霧状として噴霧し、付与する工程を有する無機繊維断熱材の製造方法である。
請求項5に係る発明は、上記した請求項4に係る発明の製造方法において、前記ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液の噴霧を、硬化工程後の無機繊維マットに対して行う構成としたものである。
請求項6に係る発明は、上記した請求項5に係る発明の製造方法において、前記硬化工程の後に、前記無機繊維マットの少なくとも片面に無機繊維クロスからなる表面材を貼り付ける表面材貼り付け工程を設け、前記ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液の噴霧を、前記表面材を貼り付けた後の無機繊維マットに対して前記表面材側から行う構成としたものである。
請求項7に係る発明は、上記した請求項4から6のいずれか1項に係る発明の製造方法において、前記ホルムアルデヒド捕捉剤の、無機繊維マットの単位面積当たりの付着量を、1〜10g/m2 としたものである。
本発明の無機繊維断熱材、及び無機繊維断熱材の製造方法は、マット状の無機繊維に対してホルムアルデヒド捕捉剤の溶液を、平均液滴径が1〜20μmといったきわめて微細な粒子の霧状として噴霧し、付与する構成としたことにより、噴霧された液滴がマット状の無機繊維の表層部分の無機繊維に接触する機会が小さく、従って内部に入り込み易く、しかも液滴が無機繊維に衝突しても潰れるということがなく、球状の液滴状態を維持したままで無機繊維に付着する。このため、マット状の無機繊維の表層部分が濡れた状態になって液膜が形成されるという状態とはならず、後続の液滴の進入を妨げない。かくして、噴霧された液滴はマット状の無機繊維の内部にまで良好に浸透し、マット状の無機繊維内にほぼ均一に付着する。従って、本発明の無機繊維断熱材では、全域にほぼ均一にホルムアルデヒド捕捉剤が含有されており、ホルムアルデヒドの捕捉効率の良いという利点を有している。また、本発明の製造方法は、過剰なホルムアルデヒド捕捉剤を使用することなく、全域にほぼ均一にホルムアルデヒド捕捉剤が含有された無機繊維断熱材を製造できるという利点を有している。
ここで、ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液の噴霧を、バインダーを硬化させた後の無機繊維マットに対して行う構成とすると、噴霧されたホルムアルデヒド捕捉剤にバインダー硬化時の熱が加わることがなく、従って、耐熱性のホルムアルデヒド捕捉剤を用いる必要がなく、ホルムアルデヒド捕捉剤の選択の自由度が増す。また、無機繊維マット中に噴霧され、捕捉された液滴がきわめて微細で、比表面積が大きいため乾燥しやすく、このため、無機繊維マットにホルムアルデヒド捕捉剤を噴霧した後は、自然乾燥で済み、加熱等を伴った強制乾燥は必要なく、従って、工程を簡略化でき、低コストで製造できる。
また、ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液の噴霧は、無機繊維クロスなどの通気性を持った表面材を貼り付けた無機繊維マットに対して前記表面材側から行う構成とすることも可能であり、この構成とすると、噴霧された液滴は表面材を濡らすことなく、無機繊維マット内に良好に浸透する。一般に、無機繊維クロスからなる表面材は濡れるとしわを発生することが多いが、本発明では平均液滴径が1〜20μmといったきわめて微細な粒子の霧状として噴霧するので、この液滴が表面材や無機繊維マットの表層部分を濡らすことなく内部に良好に浸透し、従って、表面材にしわを生じることなくホルムアルデヒド捕捉剤を無機繊維マットにほぼ均一に付着させることができ、外観の良い表面材付の且つホルムアルデヒド捕捉剤を均一に含有させた無機繊維断熱材を製造できる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明の実施の形態に係る無機繊維断熱材は、無機繊維にバインダーを添加してマット状に堆積し、バインダーを硬化させて形成した無機繊維マットと、該無機繊維マットに付着したホルムアルデヒド捕捉剤を有することを基本構成とする。本発明に使用する無機繊維は、特に限定されず、通常に断熱材として使用されているグラスウール、ロックウール等を代表的なものとして例示できる。
バインダーは無機繊維同士を結合させるためのもので、硬化前においては無機繊維への濡れ性と付着性に優れ、硬化後は無機繊維との接着性に優れ、その硬化物が耐水性、耐湿性、不燃性等を有していれば特に限定されず、熱硬化性樹脂を代表的なものとして例示できる。バインダーとして使用する熱硬化性樹脂は、コスト、耐熱性、水溶液性で扱い易い等の理由でフェノール樹脂を用いることが好ましく、加熱硬化するレゾール型が特に好ましい。レゾール型に尿素を添加して変性されたものを使用することもできる。バインダーには、フェノール樹脂の他に、硬化促進剤、シランカップリング剤、防塵剤、着色剤、撥水剤などを含む混合物を使用することもできる。レゾール型は加熱硬化のほか、酸性化によっても硬化が進むので、硬化温度範囲で酸を生成する潜在性触媒を硬化促進剤として使用できる。潜在性触媒としては、強酸のアンモニウム塩を使用できる。例えば硫酸アンモニウムを使用した場合、熱分解してアンモニアと硫酸が生成するので、アンモニアは揮発し、残渣の硫酸によってレゾールが酸性化して硬化が促進される。レゾール型のフェノール樹脂を用いた場合、加熱により、バインダー中の水分蒸発と未硬化レゾールの縮合反応が起きてバインダーが固体化し、無機繊維同士を結合できる。この時、レゾールの縮合反応とは別に、副反応としてホルムアルデヒドを発生させるメチレン化反応も同時に起きるため、このホルムアルデヒドがわずかに無機繊維マット内に残留するが、残留したホルムアルデヒドは、無機繊維マット内に付与したホルムアルデヒド捕捉剤で捕捉されるため、支障はない。
無機繊維マットの密度及び厚さも、必要な断熱性、強度等に応じて適切に定めればよく、一般的には、密度は、5〜100kg/m3 程度の範囲に、厚さは10〜150mm程度の範囲に設定される。
無機繊維マットには、必要に応じ、片面若しくは両面に無機繊維クロスからなる表面材を貼り付けておいてもよい。表面材として用いる無機繊維クロスとしては、ガラスクロスが好適であり、その坪量としては、50〜250g/m2 程度が好ましい。
本発明に使用するホルムアルデヒド捕捉剤は、ホルムアルデヒドと反応して安定な化合物を形成する物質であって、水、アルコールなどの溶媒に溶解し、噴霧可能な溶液を形成するものであれば、限定されない。水に溶解するホルムアルデヒド捕捉剤としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、アミド硫酸、アミド硫酸アンモニウム、尿素、エチレン尿素、ジヒドロキシエチレン尿素、ジシアンジアミド、シアノアセトアミド、ジエチレントリアミン、アジピン酸ジヒドラジド、コハク酸イミドなどが挙げられる。アルコールに溶解するものとしては、尿素、ジエチレントリアミン、ジシアンジアミド、コハク酸イミドなどが挙げられる。
これらのホルムアルデヒド捕捉剤は溶媒に溶解させた状態で無機繊維に噴霧、付与される。その際、使用する溶媒に溶解する範囲であれば、単独或いは異なる2種類以上のホルムアルデヒド捕捉剤を併用しても構わない。また、単独或いは異なる2種類以上の溶媒を混合したものに、単独或いは異なる2種類以上のホルムアルデヒド捕捉剤を溶解させても構わない。乾燥の速さをより重視した場合、水よりも蒸発熱が小さい有機溶媒が好ましいが、引火する危険性があり、作業の安全性を重視し、ホルムアルデヒド捕捉剤を水に溶解させたものを使用した方が望ましい。また、ホルムアルデヒド捕捉剤は、安全性(劇毒物性、可燃性、腐食性など)、価格及びホルムアルデヒド捕捉効果等を考慮すると、亜硫酸ナトリウム、アミド硫酸アンモニウム、エチレン尿素、アジピン酸ジヒドラジドが好ましく、特に、亜硫酸ナトリウム、エチレン尿素が好適である。
無機繊維マット内に付着しているホルムアルデヒド捕捉剤は、無機繊維マットの成形工程においてマット状の無機繊維(バインダーを硬化させる前でも、後でもよい)に対して、ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液を、平均液滴径が1〜20μmの霧状として噴霧することで付与されたものである。このようにホルムアルデヒド捕捉剤の溶液を、平均液滴径が1〜20μmといったきわめて微細な霧状として噴霧することで、液滴がマット状の無機繊維の表層部分を濡らすことなく内部に良好に浸透する。かくして、無機繊維断熱材中には、ホルムアルデヒド捕捉剤がきわめて均一に含有されており、ホルムアルデヒドを効率よく捕捉して、ホルムアルデヒドの外部への放出を抑制できる。
ホルムアルデヒド捕捉剤の、無機繊維マットの単位面積当たりの付着量(坪量)は、1〜10g/m2 とすることが好ましい。1g/m2 未満では、ホルムアルデヒド捕捉効果が低く、一方、10g/m2 を越えると、ホルムアルデヒド捕捉効果はさほど増大しないにも係わらず、使用量が増してコストアップとなり、また、ホルムアルデヒド捕捉剤を噴霧して付着させる際にマット状の無機繊維の表面が濡れて強制乾燥が必要となる。このため、上記した範囲が好ましい。
次に、上記構成の無機繊維断熱材の製造方法を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係る製造方法を実施するための製造装置の概略構成図である。図1に示す装置を用いた製造方法は、繊維化工程と、バインダー付着工程と、集綿工程と、硬化工程と、ホルムアルデヒド捕捉剤付与工程と、裁断工程と、梱包工程等を有している。以下、各工程を説明する。なお、こられの工程において、無機繊維ウェブ2A、無機繊維マット2Bは有孔或いは無孔のコンベアで連続的に搬送される構成となっている。
(1)繊維化工程
繊維化装置1において、溶融状態の原料を無機繊維2に形成する方法である。繊維化には、吹き飛ばし法、火焔法、遠心法などの公知の方法を用いることができる。
(2)バインダー付着工程
繊維化された無機繊維2にバインダーを付着させる工程である。バインダー付着には、バインダーを水溶液状とし、スプレー装置3で、繊維化直後の無機繊維2に噴霧して付着させる方法を用いることができる。なお、バインダーを繊維化直後の無機繊維に噴霧して付着させる代わりに、あるいはこれと並行して、集綿後の無機繊維ウェブ2Aにバインダーをスプレー装置等で噴霧して付着させるようにしてもよい。
(3)集綿工程
繊維化され、バインダーを付着された無機繊維2をマット状に集積する工程である。この工程では、繊維化され、バインダーを付着された無機繊維2を、ファン(図示せず)による吸引力によって、通気性の集綿コンベア6上に堆積し、マット状の且つバインダーで濡れた状態の無機繊維ウェブ2Aを形成する。
(4)硬化工程
マット状に堆積された無機繊維(無機繊維ウェブ2A)を加熱硬化装置7に通し、バインダーを加熱硬化させて無機繊維マット2Bに成形する工程である。この工程では、無機繊維ウェブ2Aを加圧コンベア8によって所定の厚さに圧縮した状態で搬送しながら高温気体と接触させ、バインダーを加熱硬化させる。高温気体は200〜250℃の温度を持ち、適当な熱容量を持つものであれば特に限定されないが、燃焼ガスが好ましい。高温気体を無機繊維ウェブ2Aに通気接触させると、バインダー中の水分蒸発と未硬化レゾールの縮合反応が起きてバインダーが固体化する。無機繊維ウェブ2Aは成形されて無機繊維マット2Bとなり、マットの厚みと嵩密度が決まる。レゾールの縮合反応とは別に、副反応としてホルムアルデヒドを発生させるメチレン化反応も同時に起きるため、このホルムアルデヒドがわずかに無機繊維マット内に残留する。
(5)ホルムアルデヒド捕捉剤付与工程
成形された無機繊維マット2Bの表面に、噴霧装置10によって、ホルムアルデヒド捕捉剤を水、アルコールなどの溶媒に溶解した状態で噴霧し付与する工程である。ここで使用する噴霧状態としては、平均液滴径が1〜20μm、好ましくは1〜10μmといったきわめて微細なものを用いる。すなわち、一般に、液体の噴霧に広く使用されている一流体スプレーノズルでは、噴霧の平均液滴径が最小としても50μm程度が限度であるのに対し、本発明ではこれよりもはるかに微細な平均液滴径を持った噴霧を用いる。このような微細な噴霧の作成については後述する。無機繊維マット2Bに対するホルムアルデヒド捕捉剤水溶液の噴霧量としては、乾燥後におけるホルムアルデヒド捕捉剤の、無機繊維マットの単位面積当たりの付着量(坪量)が、1〜10g/m2 となるように選定する。
本発明において平均液滴径が1〜20μm、好ましくは1〜10μmといったきわめて微細な噴霧を用いたのは次の理由による。無機繊維マット2Bの表面にホルムアルデヒド捕捉剤を噴霧した際、液滴径が大きいと、無機繊維マットの表面に到達した液滴が無機繊維マットの表層部分にある無機繊維に衝突する確率が高くなり、無機繊維に衝突すると球状の液滴が潰れて扁平化し、液滴同士が繋がり、無機繊維マット表面に液膜が形成されてしまう。この液膜によって無機繊維マットの表面が「濡れた」状態となり、次に到達する液滴のかなりの部分がこの液膜に捕捉され、液膜量が増大し、ますます液滴が通り抜けにくくなる。このため、無機繊維マット表面に噴霧された液滴は大部分が表層部分に捕捉されて液膜を作り、内部にはあまり浸透しない。かくして、無機繊維マット2Bに表面からホルムアルデヒド捕捉剤を大きい液滴で噴霧した場合には、ホルムアルデヒド捕捉剤は主として表層部分を濡らし、内部にはあまり付着せず、ホルムアルデヒド捕捉剤の含有率がきわめて不均一となる。更に、噴霧によって無機繊維マットの表層部分に形成された液膜は、液滴に比べて比表面積が小さいため、ホルムアルデヒド捕捉剤を溶解している溶媒(水、アルコールなど)の蒸発による乾燥が遅く、加熱等の強制乾燥が必要となる。これに対し、無機繊維マット表面に噴霧する液滴の平均径を20μm以下とすると、液滴がきわめて小さいため、無機繊維マット表面に到達した液滴が表層部分の無機繊維に接触する機会が低下するのみならず、液滴が無機繊維に衝突しても潰れるということがなく、球状の液滴状態を維持したままで無機繊維に付着する。このため、無機繊維マットの表層部分には液膜が形成されず、後続の液滴の進入を妨げない。かくして、噴霧された液滴は無機繊維マットの内部にまで良好に浸透し、無機繊維マット内の無機繊維にほぼ均一に付着する。更に、付着した液滴はきわめて微細で比表面積(m2 /g)が大きいため、乾燥速度が大きく、自然乾燥可能となる。これらの理由により、本発明において無機繊維マットに噴霧するホルムアルデヒド捕捉剤の平均液滴径を20μm以下とし、好ましくは10μm以下とする。また、平均液滴径1μm未満での噴霧を行うことはきわめて困難であるので、平均液滴径は1μm以上とする。なお、平均液滴径を20μm以下として噴霧した場合であっても、噴霧量が多過ぎたり、噴霧の密度が大き過ぎたりすると、無機繊維マットの表面が濡れる場合があるので、表面が濡れないように噴霧量や密度を定めれば良い。噴霧量のおおよその目安としては、乾燥後におけるホルムアルデヒド捕捉剤の、無機繊維マット単位面積当たりの付着量(坪量)が、10g/m2 以下となるように選定することで、表面の濡れを防止できる。
上記したように、無機繊維マット2Bの表面に、ホルムアルデヒド捕捉剤を水、アルコールなどの溶媒に溶解した溶液で、平均液滴径が1〜20μmの噴霧状態で噴霧し付与することにより、ホルムアルデヒド捕捉剤の液滴は、無機繊維マット2Bの表面を濡らすことなく内部に良好に浸透し、無機繊維マット2Bの全域にほぼ均一に付着し、その後の自然乾燥により、ホルムアルデヒド捕捉剤が無機繊維マット2Bの全域にほぼ均一に付着する。
次に、ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液を無機繊維マット2Bに噴霧する噴霧装置10を説明する。ここで使用しうる噴霧装置10は、ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液を、平均液滴径が1〜20μmの霧状として噴霧することができるものであれば、噴霧形成の方法及び装置構造は任意である。平均液滴径が1〜20μmの噴霧を作成する方法としては、二流体ノズル法、スチーム法、超音波振動法、回転円盤法等を挙げることができ、これらの方法を実施する装置を噴霧装置10として使用できる。ここで、二流体ノズル法は、噴霧すべき液体に空気流を衝突させて液体を微粒化する二流体スプレーノズルを用いる方法であり、ノズル構造の設計、二流体スプレーノズルへ供給する液体の圧力、空気流の圧力等を適切に設定することで平均液滴径が20μm以下の霧状として噴霧することができる。また、特開2001−179138号公報に提案されている煙霧発生装置(複数個の二流体スプレーノズルを、噴出口の延長線が交差するように角度をもって配置したもの)を噴霧装置10として用いることもできる。スチーム法は、噴霧すべき液体をヒーター面上に滴下し、蒸発膨張させてスチーム状態として噴出させる構成の蒸気発生装置を用いる方法である。噴出させたスチームは外気で冷却されることできわめて微細な液滴となるので、このスチーム法によっても、微細な液滴を噴霧することができる。超音波噴霧法は、液体に超音波の振動エネルギーを与え、液面や液内部にキャビテーションを発生させ、水の表面張力を減少させて霧にする方法であり、発生させた霧をノズルから吹き出すことにより、微細な液滴を噴霧することができる。回転円盤法は、高速で回転している円盤の中心に液体を注ぎ、遠心力によって円盤の周辺で液滴を微粒子化する方法であり、微粒子化した液滴を空気流に乗せて吹き出すことにより、微細な液滴を噴霧することができる。
図1に示す実施の形態では、噴霧装置10として二流体スプレーノズル12を用いた場合を示しており、この二流体スプレーノズル12には、ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液を収容した溶液タンク14からの供給配管15と空気流を供給するための空気配管16が接続されている。なお、図示は省略しているが、二流体スプレーノズル12に供給される溶液の圧力及び空気流の圧力をそれぞれ設定する圧力調製手段も設けられている。二流体スプレーノズル12は走行中の無機繊維マット2Bの表面にホルムアルデヒド捕捉剤を噴霧するように配置されるが、その際、噴霧距離が短か過ぎると、二流体スプレーノズル12からの噴霧が十分に広がらず、狭い領域に大量の噴霧が行われることとなるため、無機繊維マット2Bの表面に濡れが生じることがある。そこで、このような濡れが生じないように、二流体スプレーノズル12を無機繊維マット2Bの表面から1m程度離した位置に配置することが好ましい。この二流体スプレーノズル12を用い、供給する溶液の圧力及び空気流の圧力を適切に選択することで、ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液を、平均液滴径が20μm以下の霧状として噴霧することができる。
(6)裁断工程
ホルムアルデヒド捕捉剤を付与された無機繊維マット2Bを幅裁断機18によって所定幅に裁断し、長さ切断機19によって一定長さに切り離す工程である。この裁断工程によって、所定サイズの無機繊維断熱材2Cに切り離される。
(7)梱包工程
所定サイズに切り離した無機繊維断熱材2Cを梱包する工程である。
以上の工程によって、無機繊維断熱材2Cが形成される。得られた無機繊維断熱材2Cでは、ホルムアルデヒド捕捉剤がほぼ均一に分散、保有されており、発生するホルムアルデヒドを効果的に捕捉し、ホルムアルデヒドの放出を抑制できる。
なお、以上に説明した実施の形態では、ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液の噴霧を、バインダー硬化後の無機繊維マット2Bに対して行っているが、噴霧位置はこれに限らず、バインダー硬化前の無機繊維ウェブ2Aに対して噴霧する構成としてもよい。ただし、噴霧をバインダー硬化後の無機繊維マット2Bに対して行う構成とすると、ホルムアルデヒド捕捉剤に熱が加わらないので、耐熱性の小さいホルムアルデヒド捕捉剤を使用することが可能となり、ホルムアルデヒド捕捉剤の選択の自由度が大きくなる利点が得られる。
図2は本発明の他の実施の形態に係る製造方法を実施するための製造装置の概略構成図である。この実施の形態に係る製造方法では、加熱硬化装置7の次に、無機繊維マット2Bの上面に無機繊維クロスからなる表面材21を貼り付ける表面材貼り付け装置22を有しており、その下流に無機繊維マットの表面に貼り付けた表面材21側からホルムアルデヒド捕捉剤を付与する噴射装置10が設けられている。この噴射装置10も、図1に示す実施の形態に用いている噴射装置10と同様に、ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液を、平均液滴径が1〜20μmの霧状として噴霧することができるものである。その他の構成は、図1に示す実施の形態と同様である。
図2の実施の形態においては、無機繊維マット2Bの表面に、無機繊維クロスからなる表面材21を貼り付け、その後に、その表面材21側からホルムアルデヒド捕捉剤の溶液を噴霧して無機繊維マット2Bに付与している。この際、噴霧され液滴の平均径が1〜20μmといったきわめて微細なものであるので、一部が表面材21に球状を保ったままで付着し、残りの大部分は表面材21を濡らすことなく内部に良好に浸透する。このため、表面材21が濡れてしわが生じるということがない。表面材21を貼り付けられ、次いで ホルムアルデヒド捕捉剤を付与された無機繊維マット2Bは、幅裁断機18によって所定幅に裁断し、長さ切断機19によって一定長さに切り離すことで所定サイズの無機繊維断熱材2Dが形成される。かくして、この実施の形態では、表面材21をしわのない形態で備え且つ表面材21及び無機繊維マット2B内にホルムアルデヒド捕捉剤がほぼ均一に分散、保有された高品質の無機繊維断熱材2Dを生産性良く製造できる。
[実施例1]
(1)テスト条件
無機繊維マットに対してホルムアルデヒド捕捉剤の溶液を噴霧する際の液滴径の影響を確認するため、次の条件でホルムアルデヒド捕捉剤付着テストを行った。
(イ)試験体: グラスウール(密度32kg/m3 ×厚み50mm)
(ロ)ホルムアルデヒド捕捉剤溶液: 15%亜硫酸ナトリウム水溶液
(ハ)使用装置:
図3に示すように、試験体であるグラスウール31に対向させて二流体スプレーノズル32を配置し、その二流体スプレーノズル32に圧力調製弁33及び開閉弁(図示せず)を介して圧力空気供給源35を接続し、また、開閉弁(図示せず)を介して、ホルムアルデヒド捕捉剤溶液を入れた溶液タンク37を接続し、溶液タンク37には内部を所望の圧力に保つことができるよう、圧力調製弁38及び開閉弁(図示せず)を介して圧力空気供給源35を接続した。
使用二流体スプレーノズル32:株式会社いけうち製BIMV1004
噴角 110°
噴霧幅 230mm
ノズルとグラスウールの距離 1000mm
(ニ)噴霧条件
二流体スプレーノズル32へ供給する空気圧力:0.4MPa
二流体スプレーノズル32へ供給する溶液圧力:0.1MPa
噴霧時間: 10秒
(ホ)液滴径 :10μm
(二流体スプレーノズル32から1000mm離れた位置でレーザ回折法で測定)
(2)テスト結果
(イ)グラスウールにホルムアルデヒド捕捉剤溶液を噴霧し、付着させた直後の表面状態を目視で検査したところ、グラスウール表面は濡れた状態とはなっておらず、良好な外観を呈していた。
(ロ)ホルムアルデヒド捕捉剤溶液を噴霧した後のグラスウールを室温で4分間放置してホルムアルデヒド捕捉剤を乾燥させ、グラスウール表面を目視で検査したが、外観は良好であった。
(ハ)乾燥後のグラスウールについて、グラスウールの単位面積当たりのホルムアルデヒド捕捉剤の付着量(固形分)すなわち坪量を測定したところ、2g/m2 であった。
(ニ)得られたホルムアルデヒド捕捉剤含有グラスウールについて、ホルムアルデヒド放散量を、JIS A1460準拠で測定したところ、0.04mg/Lであった。
これらの結果を表1に示す。
[比較例1]
(1)テスト条件
(イ)試験体: 実施例1と同じ
(ロ)ホルムアルデヒド捕捉剤溶液: 実施例1と同じ
(ハ)使用装置:
グラスウールに対して、一流体スプレーノズルを対向配置し、その一流体スプレーノズルにはホルムアルデヒド捕捉剤溶液を電磁ポンプで供給する構成とした。
使用一流体スプレーノズル:株式会社いけうち製
1/4MKB6080S303(噴角 80°)
ノズルとグラスウールの距離 1000mm
(ニ)噴霧条件
一流体スプレーノズルへ供給する溶液圧力:0.5〜0.7MPa
噴霧時間: 10秒
(ホ)液滴径 :70μm
(一流体スプレーノズルから1000mm離れた位置でレーザ回折法で測定)
(2)テスト結果
(イ)グラスウールにホルムアルデヒド捕捉剤溶液を噴霧し、付着させた直後の表面状態を目視で検査したところ、グラスウール全面が濡れていた。
(ロ)ホルムアルデヒド捕捉剤溶液を噴霧した後のグラスウールを60℃の雰囲気中に 6分間置いて乾燥した。乾燥後のグラスウール表面を目視で検査したが、外観は良好であった。
(ハ)乾燥後のグラスウールについて、グラスウールの単位面積当たりのホルムアルデヒド捕捉剤の付着量(固形分)すなわち坪量を測定したところ、 2g/m2 であった。
(ニ)得られたホルムアルデヒド捕捉剤含有グラスウールについて、ホルムアルデヒド放散量を、JIS A1460準拠で測定したところ、0.20mg/Lであり、かなり多かった。
これらの結果も表1に示す。
[比較例2]
(1)テスト条件
(イ)試験体: 実施例1と同じ
(ロ)ホルムアルデヒド捕捉剤溶液: 実施例1と同じ
(ハ)使用装置:
グラスウールに対して、一流体スプレーノズルを対向配置し、その一流体スプレーノズルにはホルムアルデヒド捕捉剤溶液を電磁ポンプで供給する構成とした。
使用一流体スプレーノズル:株式会社いけうち製
1/4MKB6080S303(噴角 80°)
ノズルとグラスウールの距離 1000mm
(ニ)噴霧条件
一流体スプレーノズルへ供給する溶液圧力:0.5〜0.7MPa
噴霧時間: 60秒
(ホ)液滴径 :70μm
(一流体スプレーノズルから1000mm離れた位置でレーザ回折法で測定)
(2)テスト結果
(イ)グラスウールにホルムアルデヒド捕捉剤溶液を噴霧し、付着させた直後の表面状態を目視で検査したところ、グラスウール全面が濡れており、その濡れ具合は比較例1よりはるかに大きかった。
(ロ)ホルムアルデヒド捕捉剤溶液を噴霧した後のグラスウールを65℃の雰囲気中に25分間置いて乾燥した。乾燥後のグラスウール表面を目視で検査したが、外観は良好であった。
(ハ)乾燥後のグラスウールについて、グラスウールの単位面積当たりのホルムアルデヒド捕捉剤の付着量(固形分)すなわち坪量を測定したところ、12g/m2 であった。
(ニ)得られたホルムアルデヒド捕捉剤含有グラスウールについて、ホルムアルデヒド放散量を、JIS A1460準拠で測定したところ、0.05mg/Lであった。
これらの結果も表1に示す。
[比較例3]
実施例1で用いたものと同じグラスウールに対して、ホルムアルデヒド捕捉剤の噴霧を行わない状態で、ホルムアルデヒド放散量を、JIS A1460準拠で測定したところ、0.35mg/Lであった。この結果も表1に示す。
Figure 2007092822
表1から明らかなように、比較例1、2ではホルムアルデヒド捕捉剤の噴霧によりグラスウール表面が濡れており、これを乾燥させるために強制乾燥が必要であるが、実施例1では、ホルムアルデヒド捕捉剤の噴霧後においてもグラスウール表面が濡れておらず、このため、強制乾燥は必要なかった。また、比較例1では、実施例1とほぼ等しい量のホルムアルデヒド捕捉剤を付着させているにもかかわらず、ホルムアルデヒド放散量がかなりあった。これは、付着しているホルムアルデヒド捕捉剤のほとんどが表層部分に局部的に存在しているため、ホルムアルデヒド捕捉効果が悪いためと思われる。一方、比較例2では、ホルムアルデヒド放散量を小さく抑制できているが、これはホルムアルデヒド捕捉剤の付着量をきわめて多くしたことでグラスウールの内部にまでホルムアルデヒド捕捉剤が分布しているためと思われる。これに対し、実施例1ではホルムアルデヒド捕捉剤付着量がきわめて少ないにも係わらず、ホルムアルデヒド放散量を小さく抑制できている。これは、ホルムアルデヒド捕捉剤がグラスウール内にきわめて均一に分布しているためと思われる。
[実施例2]
(1)テスト条件
(イ)試験体: ガラスクロス貼りグラスウール(密度32kg/m3 ×厚み50mm)
(ロ)ホルムアルデヒド捕捉剤溶液: 6%エチレン尿素水溶液
(ハ)使用装置:
図4に示すように、試験体であるガラスクロス貼りグラスウール(図示せず)に対向させて、先端にノズル42備えた円筒状の蒸気発生装置43(電気容量1.5kwの円筒状の電気ヒーター内蔵)43を配置し、その加熱ヒーター43に電磁ポンプ44を介して、ホルムアルデヒド捕捉剤溶液を入れた溶液タンク45を接続し、溶液タンク45から蒸気発生装置43にホルムアルデヒド捕捉剤溶液を供給し、それを蒸発させてノズル42から噴出させる構成とした。ノズル42とガラスクロス貼りグラスウールの距離は500mmに設定した。ノズル42から噴出された蒸気は直ちに凝縮して霧状となり、ガラスクロス貼りグラスウール41に吹き付けられた。
(ニ)噴霧時間:10秒
(ホ)液滴径 : 5μm
(ノズル42から500mm離れた位置でレーザ回折法で測定)
(2)テスト結果
(イ)グラスウールにホルムアルデヒド捕捉剤溶液を噴霧し、付着させた直後の表面状態を目視で検査したところ、ガラスクロス表面は濡れた状態とはなっておらず、良好な外観を呈していた。
(ロ)ホルムアルデヒド捕捉剤溶液を噴霧した後のガラスクロス貼りグラスウールを室温で2分間放置してホルムアルデヒド捕捉剤を乾燥させ、ガラスクロス表面を目視で検査したが、ガラスクロスにはしわは入っておらず、良好な外観を呈していた。
(ハ)乾燥後のガラスクロス貼りグラスウールについて、グラスウールの単位面積当たりのホルムアルデヒド捕捉剤の付着量(固形分)すなわち坪量を測定したところ、1g/m2 であった。
(ニ)得られたホルムアルデヒド捕捉剤を含有させたガラスクロス貼りグラスウールについて、ホルムアルデヒド放散量を、JIS A1460準拠で測定したところ、0.04mg/Lであった。
これらの結果を表2に示す。
[比較例4]
(1)テスト条件
(イ)試験体: 実施例2と同じ
(ロ)ホルムアルデヒド捕捉剤溶液: 実施例2と同じ
(ハ)使用装置:
ガラスクロス貼りグラスウールに対して、一流体スプレーノズルを対向配置し、その一流体スプレーノズルにはホルムアルデヒド捕捉剤溶液を電磁ポンプで供給する構成とした。
使用一流体スプレーノズル:株式会社いけうち製
1/4MKB6080S303(噴角 80°)
ノズルとグラスウールの距離 1000mm
(ニ)噴霧条件
一流体スプレーノズルへ供給する溶液圧力:0.5〜0.7MPa
噴霧時間: 100秒
(ホ)液滴径 :65μm
(一流体スプレーノズルから1000mm離れた位置でレーザ回折法で測定)
(2)テスト結果
(イ)ガラスクロス貼りグラスウールにホルムアルデヒド捕捉剤溶液を噴霧し、付着させた直後の表面状態を目視で検査したところ、表面のガラスクロスがひどく濡れていた。
(ロ)ホルムアルデヒド捕捉剤溶液を噴霧した後のグラスウールを60℃の雰囲気中に30分間置いて乾燥した。乾燥後のグラスウール表面を目視で検査したところガラスクロスにしわが生じていた。
(ハ)乾燥後のグラスウールについて、グラスウールの単位面積当たりのホルムアルデヒド捕捉剤の付着量(固形分)すなわち坪量を測定したところ、8g/m2 であった。
(ニ)得られたホルムアルデヒド捕捉剤含有グラスウールについて、ホルムアルデヒド放散量を、JIS A1460準拠で測定したところ、0.04mg/Lであった。
これらの結果も表2に示す。
[比較例5」
実施例2で用いたものと同じガラスクロス貼りグラスウールに対して、ホルムアルデヒド捕捉剤の噴霧を行わない状態で、ホルムアルデヒド放散量を、JISA1460準拠で測定したところ、0.34mg/Lであった。この結果も表2に示す。
Figure 2007092822
表2から明らかなように、比較例4ではホルムアルデヒド捕捉剤の噴霧によりグラスウール表面が濡れており、これを乾燥させるために強制乾燥が必要であり、しかも乾燥後には表面のガラスクロスにしわが生じていたが、実施例2では、ホルムアルデヒド捕捉剤の噴霧後においてもグラスウール表面が濡れておらず、このため、強制乾燥が必要なく、また、良好な外観を呈していた。更に、比較例4では、ホルムアルデヒド放散量を小さく抑制するためにホルムアルデヒド捕捉剤の付着量をきわめて多くしているが、実施例2ではホルムアルデヒド捕捉剤付着量がきわめて少ないにも係わらず、ホルムアルデヒド放散量を小さく抑制できた。
以上に本発明の好適な実施の形態並びに実施例を説明したが、本発明はこれらの実施の形態及び実施例に限定されず、特許請求の範囲の記載範囲内で種々変更可能であることは言うまでもない。
本発明の実施の形態に係る製造方法を実施するための製造装置の概略構成図 本発明の他の実施の形態に係る製造方法を実施するための製造装置の概略構成図 実施例1に用いた噴霧装置を示す概略構成図 実施例2に用いた噴霧装置を示す概略構成図
符号の説明
1 繊維化装置
2 無機繊維
2A 無機繊維ウェブ
2B 無機繊維マット
2C、2D 無機繊維断熱材
3 スプレー装置
6 集綿コンベア
7 加熱硬化装置
8 加圧コンベア
10 噴霧装置
12 二流体スプレーノズル
14 溶液タンク
15 供給配管
16 空気配管
18 幅裁断機
19 長さ切断機
21 表面材
22 表面材貼り付け装置

Claims (7)

  1. 無機繊維にバインダーを添加してマット状に堆積し、バインダーを硬化させて形成した無機繊維マットと、該無機繊維マットに付着したホルムアルデヒド捕捉剤を有し、該ホルムアルデヒド捕捉剤が、マット状の無機繊維に対して、ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液を、平均液滴径が1〜20μmの霧状として噴霧することで付与されたものであることを特徴とする無機繊維断熱材。
  2. 前記無機繊維マットの少なくとも片面に無機繊維クロスからなる表面材を貼り付けていることを特徴とする請求項1記載の無機繊維断熱材。
  3. 前記ホルムアルデヒド捕捉剤の、無機繊維マットの単位面積当たりの付着量を、1〜10g/m2 としたことを特徴とする請求項1又は2記載の無機繊維断熱材。
  4. 無機繊維にバインダーを添加してマット状に堆積し、無機繊維ウェブを形成する集綿工程と、前記無機繊維ウェブのバインダーを硬化させて無機繊維マットを形成する硬化工程と、前記集綿工程の後において、マット状の無機繊維に対して、ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液を、平均液滴径が1〜20μmの霧状として噴霧し、付与する工程を有する無機繊維断熱材の製造方法。
  5. 前記ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液の噴霧を、硬化工程後の無機繊維マットに対して行うことを特徴とする請求項4記載の無機繊維断熱材の製造方法。
  6. 前記硬化工程の後に、前記無機繊維マットの少なくとも片面に無機繊維クロスからなる表面材を貼り付ける表面材貼り付け工程を有しており、前記ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液の噴霧を、前記表面材を貼り付けた後の無機繊維マットに対して前記表面材側から行うことを特徴とする請求項5記載の無機繊維断熱材の製造方法。
  7. 前記ホルムアルデヒド捕捉剤の、無機繊維マットの単位面積当たりの付着量を、1〜10g/m2 としたことを特徴とする請求項4から6のいずれか1項記載の無機繊維断熱材の製造方法。
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