JP2007089943A - 磁場調整用シムボード、磁場調整装置および磁場調整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空間を隔てて対向する一対の板状継鉄と、該一対の板状継鉄のそれぞれの対向面側に設けられる永久磁石と、該永久磁石のそれぞれの対向面側に設けられ、磁場調整片および該磁場調整片を収納する穴を有する磁場調整片収納ボードとを備えた磁場発生装置における、対向する永久磁石の間の空隙に発生させる磁場を調整するための磁場調整装置であって、前記磁場調整片収納ボードに設けられた穴と同位置に該穴と同一形状の穴を有し、その穴に収納され、直流電源に接続可能なシムコイルを備える磁場調整用シムボードと、前記空隙に配置された磁場測定手段とを備えた磁場調整装置である。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、計算上最適化されても、従来の永久磁石シムや鉄片等のシムを複数以上組み合わせて行う磁場の調整方法では、各シムの形状にばらつきがあるため、形成される磁場に累積誤差が発生する(特許文献1を参照。)。そして一般に1回の磁場調整では許容値まで調整できないため、複数回磁場調整を行うことになるが、それによりシム数が多くなった場合、累積誤差により磁場調整が収束しなくなってしまうことがあった。
すなわち、本発明に係る磁場調整用シムボードは、空間を隔てて対向する一対の板状継鉄と、該一対の板状継鉄のそれぞれの対向面側に設けられる永久磁石と、該永久磁石のそれぞれの対向面側に設けられ、磁場調整片および該磁場調整片を収納する穴を有する磁場調整片収納ボードとを備えた磁場発生装置における、対向する永久磁石の間の空隙に発生させる磁場を調整するための磁場調整用シムボードであって、前記磁場調整片収納ボードに設けられた穴と同位置に該穴と同一形状の穴を有し、その穴に収納されたシムコイルを備えるものである。
本発明に係る磁場調整装置は、空間を隔てて対向する一対の板状継鉄と、該一対の板状継鉄のそれぞれの対向面側に設けられる永久磁石と、該永久磁石のそれぞれの対向面側に設けられ、磁場調整片および該磁場調整片を収納する穴を有する磁場調整片収納ボードとを備えた磁場発生装置における、対向する永久磁石の間の空隙に発生させる磁場を調整するための磁場調整装置であって、前記磁場調整片収納ボードに設けられた穴と同位置に該穴と同一形状の穴を有し、その穴に収納され、直流電源に接続可能なシムコイルを備える磁場調整用シムボードと、前記空隙に配置された磁場測定手段とを備えたことを特徴とするものである。
本発明に係る磁場調整方法は、空間を隔てて対向する一対の板状継鉄と、該一対の板状継鉄のそれぞれの対向面側に設けられる永久磁石と、該永久磁石のそれぞれの対向面側に設けられ、磁場調整片および該磁場調整片を収納する穴を有する磁場調整片収納ボードとを備えた磁場発生装置における、対向する永久磁石の間の空隙に発生させる磁場を調整するための磁場調整方法であって、前記磁場調整片収納ボードに換えて、該磁場調整片収納ボードに設けられた穴と同位置に該穴と同一形状の穴を有し、その穴に収納され、直流電源に接続可能なシムコイルを備える磁場調整用シムボードを配する工程と、前記シムコイルに直流電源を接続する工程と、前記空隙の所定箇所の計測値と、目標とする磁場均一度を比較して、前記シムコイルの各々に流す前記直流電源の電流量及び/又は電流の向きを決定する工程と、前記決定した電流量及び/又は電流の向きとなるように前記シムコイルに電流を加え、目標とする磁場均一度となるように該電流量及び/又は電流の向きを調整する工程と、前記磁場調整用シムボードに換えて前記磁場調整片収納ボードを配し、前記シムコイルに流した電流量により生じる磁束量に相当する磁場調整片を該磁場調整片収納ボードの穴に配する工程とを含むことを特徴とするものである。
以下に、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら説明する。もっとも、本発明は、以下に説明する実施の形態によって、限定されるものではない。
本発明の対象となる磁場発生装置としては、磁場中処理炉の磁場印加装置等が挙げられるが、永久磁石式MRI磁場発生装置(以下、「MRI磁場発生装置」という。)を例に挙げて示す。
MRI磁場発生装置10は、図1にあるように、空間を隔てて対向する永久磁石12を板状継鉄11で支持し、磁場を発生させる装置であるが、磁石間における空隙に生じる磁場領域の磁場均一性を高くすることが要望されている。
通常、空隙側の磁石面には磁極片17、傾斜磁場コイル18、及び磁場の微調整を行う磁場調整片収納ボード13、磁場調整片収納ボードの蓋43が設けられている。
磁場調整用シムボード31および磁場調整片収納ボード13の穴は、通常、中心から放射状に開けられている。
それぞれの穴の位置は磁場調整のために最適な位置になるように配置されている。
磁場調整用シムボード31および磁場調整片収納ボード13の穴の数としては、目標とする磁場均一度にもよるが、好ましくは17箇所以上、より好ましくは25箇所以上である。
磁場調整用シムボード31のボードの材質は、磁場調整片収納ボード13と同じものが好ましく、例えば、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、繊維強化プラスチック[FRP]等の非磁性材が挙げられる。
磁場計測プローブは1つでもよいが、2個以上使用した方が好ましい。2個以上使用することにより、1つで測定するよりも磁場測定を早く行うことができるためであり、シムコイル33への電流量を調整する際に、より速く近い磁場計測プローブのデータを利用することで精度を上げることができるためである。
また、磁場調整片として磁石シムを使用した場合は、磁石シムの数とそれにより発生される調整磁場量は比較的良好な比例関係にあるものの、磁石シムのばらつきは避けられないものであり、磁石シムの使用数の増大による累積誤差の発生が問題となっていた。
シムコイルは、コイルに電流を流すことにより磁場を発生することができるものであれば特に限定されず、好ましくは、銅線をソレノイド状にした空芯コイルが用いられる。シムコイルは、磁場調整用シムボードの各穴に1個埋め込むことができる。シムコイルの数は、磁場調整用シムボードの穴の数よりも少なくてもよいが、同数であることが好ましい。シムコイルから発生される磁界の向きは、磁気回路が発生する磁界の向きと平行としておく。
さらに、電流量を連続で調整することができるということは、強磁性体シムを使用した場合に問題となっていたまるめや個々のシムの形状バラツキによる誤差の発生が無いということになり、調整時間の短縮にもつながる。
また、コンピュータから制御可能なバイポーラ電源を使用することで、シムコイルによる磁場調整を自動化することが可能となる。バイポーラ電源としては菊水電子社製のPBX−2020などが挙げられる。
シムコイルに接続する直流電源の精度は、目標とする磁場均一度にもよるが、通常±0.1A程度であることが好ましい。
前記磁場均一度は、
磁場均一度=(空隙内の最大磁場−最小磁場)/空隙内の磁場平均値
によって算出される。前記磁場均一度は、本発明の磁場調整装置を用いることにより、好ましくは、100ppm以下、より好ましくは、50ppm以下とすることができる。
本発明の磁場調整方法は、前記磁場調整片収納ボード13に換えて、該磁場調整片収納ボードに設けられた穴と同位置に該穴と同一形状の穴を有し、その穴に収納され、直流電源16に接続可能なシムコイル33を備える磁場調整用シムボード31を配する工程、シムコイルに直流電源を接続する工程、前記空隙の所定箇所の計測値と、目標とする磁場均一度とに基づいて、前記シムコイルの各々に流す前記直流電源の電流量及び電流の向きを決定する工程、前記決定した電流量及び電流の向きとなるように前記シムコイルに電流を加え、必要であれば目標とする磁場均一度となるように該電流量及び/又は電流の向きを調整する工程とを含むものである。
シムコイルの各々に流すべき電流量及び電流の向きを決定する工程は、好ましくは、まず、シムコイルへ電流を流さない状態で、前記空隙の所定箇所の磁場を計測する(以下、「初期データ」という)計測値取得工程、および、シムコイルの各々に微小な電流を加え、または、電流の向きを変化させたときの前記空隙の所定箇所の磁場の予測値を算出し、該空隙の所定箇所の磁場の予測値に基づき磁場均一度の予測値を算出し、さらに、該磁場均一度の予測値と目標とする磁場均一度とを比較し、その差が小さくなるようにシムコイルの各々に流す電流量を微小に変化させるシミュレーション工程を含むことができる。
前記シミュレーション工程は、通常上述したコンピュータを用いた数値計算により行う。
なお、該シムコイルが複数ある場合、一部には、シミュレーションの結果、流すべき電流量が0と算出されるものも生じうるが、その場合、該シムコイルには実際に流さなくてよい。
前記シミュレーション工程により決定した電流量及び電流の向きとなるようにシムコイルに実際に電流を加えて磁場発生装置10の空隙の所定箇所の磁場計測を行った結果、目標とする磁場均一度が得られなかった場合、シムコイルの各々に流した電流量および電流の向き、空隙の所定箇所の磁場計測値ならびに目標とする磁場均一度に基づいて、再度前記シムコイルの各々に流す前記直流電源の電流量及び電流の向きを決定する前記シミュレーション工程に戻ることになる。
よって、該寸法の磁石シムを用意しておくか、該寸法よりも小さな磁石シムを2個以上組み合わせて同等の磁界を発生する磁石シムを作り、磁場調整片収納ボードに入れることで、磁場調整結果を固定することができる。
本発明の磁場調整方法において、より高水準の磁場均一度が必要とされる場合は、直流電源からの電流の精度を上げるとともに、より弱い磁石を用意することで対応可能である。
実施例
永久磁石式MRI磁場発生装置10の磁場調整を行った例を示す。空間を隔てて対向配置された一対の板状継鉄11、該一対の板状継鉄11のそれぞれの対向面側に設けられる永久磁石12、磁場調整片42および該磁場調整片を収納する穴41が設けられた磁場調整片収納ボード13(寸法:直径700mm×厚さ15mm、材質:塩化ビニル樹脂)を備えた磁場発生装置において、前記磁場調整片収納ボード13に換えて、25箇所の穴32(寸法:直径30mm×深さ15mm)を図3に示すように開けられ、該穴に25個のシムコイル33(太さ1mmの銅線を直径20mmで高さ10mmになるように10回巻いたコイル)を備えた磁場調整用シムボード(寸法:直径700mm×厚さ15mm、材質:FRP)に収納し、前記シムコイル33の各々をコンピュータから制御可能なバイポーラ電源(菊水電子社製 PBX−2020)に接続した。
磁場調整用シムボード31の上面図及び断面図を図3に、磁場調整片収納ボード13の上面図及び断面図を図4に、それぞれ示す。
尚、該NMRプローブにより測定したMRI磁場発生装置の磁場調整前の磁場均一度は785ppmであり、目標とする磁場均一度は50ppmとし、最初の磁場測定を始めてから磁石シムにより磁場調整結果を固定するまでに要した時間及びシミング回数を調べた。
また、磁石シムとしてはNd−Fe−B系焼結磁石(信越化学社製 N42H、Br=1.28T)およびフェライト系プラマグ(小野ゴム工業社製 ポリマネットOM−14、Br=0.2T)を用いた。
各磁石シムをシムボードに取り付けた後、磁場均一度を測定したところ、49ppmであった。
実施例で用いた永久磁石式MRI磁場発生装置10において、磁場調整片収納ボード13を磁場調整用シムボード31に換えることなく、磁場測定−磁場解析−永久磁石シムによる磁場調整―磁場再測定のループを繰り返し、目標の磁場均一度を達成するまでに要した時間及び調整回数を調べた。なお、9回磁場調整を終えた後、磁場均一度を測定したところ49であった。
表1に磁場調整に要した時間及び調整回数の比較を示す。
一方比較例では、今回は9回磁場調整を行っている。磁場調整毎に磁場測定と解析、さらに磁石シムの出し入れを行っており、このような時間を要した。
11 板状継鉄
12 永久磁石
13、40 磁場調整片収納ボード
14 磁場計測プローブ
15 テスラメータ
16 直流電源
17 磁極片
18 傾斜磁場コイル
31 磁場調整用シムボード
32 磁場調整用シムボードの穴
33 シムコイル
41 磁場調整片収納ボードの穴
42 磁場調整片
43 磁場調整片収納ボードの蓋
Claims (6)
- 空間を隔てて対向する一対の板状継鉄と、該一対の板状継鉄のそれぞれの対向面側に設けられる永久磁石と、該永久磁石のそれぞれの対向面側に設けられ、磁場調整片および該磁場調整片を収納する穴を有する磁場調整片収納ボードとを備えた磁場発生装置における、対向する永久磁石の間の空隙に発生させる磁場を調整するための磁場調整用シムボードであって、
前記磁場調整片収納ボードに設けられた穴と同位置に該穴と同一形状の穴を有し、
その穴に収納された直流電源に接続可能なシムコイルを備える磁場調整用シムボード。 - 空間を隔てて対向する一対の板状継鉄と、該一対の板状継鉄のそれぞれの対向面側に設けられる永久磁石と、該永久磁石のそれぞれの対向面側に設けられ、磁場調整片および該磁場調整片を収納する穴を有する磁場調整片収納ボードとを備えた磁場発生装置における、対向する永久磁石の間の空隙に発生させる磁場を調整するための磁場調整装置であって、
前記磁場調整片収納ボードに設けられた穴と同位置に該穴と同一形状の穴を有し、その穴に収納され、直流電源に接続可能なシムコイルを備える磁場調整用シムボードと、
前記空隙に配置された磁場測定手段と
を備えた磁場調整装置。 - さらに前記磁場測定手段により得られた前記磁場発生装置の空隙の所定箇所の磁場の計測値と、目標とする磁場均一度とに基づいて、前記シムコイルの各々に流すべき電流量及び/又は電流の向きを算出する手段を備えた請求項2に記載の磁場調整装置。
- 空間を隔てて対向する一対の板状継鉄と、該一対の板状継鉄のそれぞれの対向面側に設けられる永久磁石と、該永久磁石のそれぞれの対向面側に設けられ、磁場調整片および該磁場調整片を収納する穴を有する磁場調整片収納ボードとを備えた磁場発生装置における、対向する永久磁石の間の空隙に発生させる磁場を調整するための磁場調整方法であって、
前記磁場調整片収納ボードに換えて、該磁場調整片収納ボードに設けられた穴と同位置に該穴と同一形状の穴を有し、その穴に収納され、直流電源に接続可能なシムコイルを備える磁場調整用シムボードを配する工程と、
前記シムコイルに直流電源を接続する工程と、
前記空隙の所定箇所の計測値と、目標とする磁場均一度とに基づいて、前記シムコイルの各々に流す前記直流電源の電流量及び/又は電流の向きを決定する工程と、
前記決定した電流量及び電流の向きとなるように前記シムコイルに電流を加え、目標とする磁場均一度となるように該電流量及び/又は電流の向きを調整する工程と、
前記磁場調整用シムボードに換えて前記磁場調整片収納ボードを配し、前記シムコイルに流した電流量により生じる磁束量に相当する磁場調整片を該磁場調整片収納ボードの穴に配する工程と
を含む磁場調整方法。 - 前記磁場調整片が、磁石シム、鉄片又は強磁性体シムである請求項4に記載の磁場調整方法。
- 前記直流電源が、極性を反転することができる電源である請求項4又は請求項5に記載の磁場調整方法。
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CN104122518A (zh) * | 2013-04-25 | 2014-10-29 | 上海联影医疗科技有限公司 | 磁共振成像系统及其被动匀场装置 |
CN111627642A (zh) * | 2020-05-27 | 2020-09-04 | 中国科学院电工研究所 | 一种具有多磁极结构的磁共振成像磁体 |
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