JP2007086372A - 永久パターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置のコストアップや、露光速度の低下を招くことなく、露光性能を向上させることにより、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンなどの永久パターンを高精細に、かつ、効率よく形成可能な永久パターン形成方法を提供する。
【解決手段】感光層12に対し、光照射手段からの光を受光してパターン情報に基づいて変調する光変調手段により、前記光照射手段からの光を変調させ、前記光変調手段により変調された光を、結像手段と、焦点調節手段とを介して前記感光層12の被露光面上に結像させて露光を行うことを少なくとも含み、前記露光が、前記光変調手段により変調された光を、前記結像手段の中央部を含む略矩形状の領域81Tのみにおいて結像し、前記略矩形状81Tの短辺方向を、前記感光層12のうねり方向に向けて行われることを特徴とする永久パターン形成方法である。
【選択図】図17A

Description

本発明は、空間光変調素子等の光変調手段により変調された光を、結像光学系を通して感光層の被露光面上に結像させて、該感光層を露光し、パッケージ基板を含むプリント配線基板分野、あるいは、半導体分野における高精細な永久パターン(保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターン)を効率よく形成する永久パターン形成方法に関する。
従来より、入射された光をパターン情報(画像信号)に基づいて変調し、2次元パターンを形成する空間光変調手段等の光変調手段を備え、形成された2次元パターンを感光材料上に投影して露光する露光装置が知られている。
前記空間光変調手段としては、傾斜角度が変更可能なマイクロミラーを2次元状に多数配列(例えば、1024×756画素)したデジタル・マイクロミラー・デバイス(以下、「DMD」と表記する)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
光変調手段としてDMDを備えた露光装置は、2次元パターンの光を結像させるための投影レンズを有する結像手段を備え、該投影レンズは、DMDの各マイクロミラーのうち、所定角度に傾斜したマイクロミラーによって反射された光のみを感光材料上に結像するように構成されている。すなわち、この露光装置を用いた露光は、感光材料上に投影される2次元パターンを形成する各画素が、各マイクロミラーに対応するようにして行われるものである。
従来の露光装置では、前記結像手段を構成する投影レンズのほぼ全面領域を用い、感光材料上に2次元パターンを結像させていた。この場合、前記投影レンズの全面領域において、像面湾曲、非点隔差、及び歪曲等を抑制し、テレセントリック性を向上させ、高いレンズ光学性能を持たせる必要があった。
しかしながら、ほぼ全面領域において高いレンズ光学性能を持つ投影レンズの製造には、部品精度の向上、より良い部品の選別等の必要があり、また、全面領域において高いレンズ光学性能を持つ大口径の投影レンズの製造は困難であることから、大面積の露光ができず、露光速度の低下に繋がる。
よって、ほぼ全面領域において高いレンズ光学性能を持つ投影レンズを備えた露光装置を用いてパターン形成を行う場合、パターン形成の効率が低下し、さらに、コスト増につながるという問題があった。
一方、投影レンズのレンズ光学性能が悪いと、ビーム位置精度が悪化するため、例えば、多重露光の回数を増やす等の方法により、位置精度の悪化の影響を均す必要があるため、光学性能の劣る投影レンズを備えた露光装置を用いてパターン形成を行う場合には、露光速度の低下によるパターン形成効率の低下や、解像度の低下等の問題があった。
よって、装置のコストアップや、露光速度の低下を招くことなく、露光性能を向上させることにより、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンなどの永久パターンを高精細に、かつ、効率よく形成可能な永久パターン形成方法は未だ提供されておらず、更なる改良開発が望まれているのが現状である。
特開2001−305663号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、装置のコストアップや、露光速度の低下を招くことなく、露光性能を向上させることにより、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンなどの永久パターンを高精細に、かつ、効率よく形成可能な永久パターン形成方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> バインダーと、重合性化合物と、光重合開始系化合物と、熱架橋剤と、を少なくとも含む感光性組成物で基材の表面に形成された感光層に対し、
光照射手段からの光を受光してパターン情報に基づいて変調する光変調手段により、前記光照射手段からの光を変調させ、前記光変調手段により変調された光を、結像手段と、焦点調節手段とを介して前記感光層の被露光面上に結像させて露光し、現像することを少なくとも含み、
前記露光が、前記結像手段の中央部を含む略矩形状の領域のみにおいて、前記光変調手段により変調された光が結像され、
前記感光層の被露光面上に結像される略矩形状の露光領域が、その短辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角が、その長辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角よりも小さくなるように向けられて行われることを特徴とする永久パターン形成方法である。該<1>に記載の永久パターン形成方法においては、前記光変調手段により変調された光が、結像手段と、焦点調節手段とを介して前記感光層の被露光面上に結像されることにより露光が行われる。該露光が、前記結像手段の中央部を含む略矩形状の領域のみにおいて、前記光変調手段により変調された光が結像され、前記感光層の被露光面上に結像される略矩形状の露光領域が、その短辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角が、その長辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角よりも小さくなるように向けられて行われるため、光学性能の良い領域に選択的に照射された光が結像され、焦点位置が適切な位置に調整される。この結果、前記感光層への露光が高精細に行われ、その後、前記感光層を現像することにより、高精細な永久パターンが形成される。
<2> 結像手段が、周辺領域に歪みを持たせ、中央部を含む領域の歪みを少なくして製造された投影レンズから構成される前記<1>に記載の永久パターン形成方法である。該<2>に記載の永久パターン形成方法においては、前記結像手段が、周辺領域に歪みを持たせ、中央部を含む領域の歪みを少なくして製造された投影レンズから構成されるため、前記投影レンズの光学性能の良い領域に光を選択的に照射することにより、投影レンズの全面領域を使用する場合に比べて焦点調節手段の光学系を小型化することができ、また、変調された光の焦点位置を安定に保ちながら高精度の焦点位置調整が可能になる。この結果、装置コストが低減されるとともに、前記感光層への露光が極めて高精細に行われる。
<3> 結像手段が、長辺の長さが短辺の長さの2倍以上の略矩形状の領域において、光変調手段により変調された光を結像する前記<1>から<2>に記載の永久パターン形成方法である。
<4> 焦点調節手段が、光変調手段により変調された光の光軸方向の厚さが変化するように形成されたくさび型プリズムペアを有し、
前記くさび型プリズムペアを構成する各くさび型プリズムを移動することによって、前記光変調手段により変調された光を感光層の被露光面上に結像する際の焦点を調節する前記<1>から<3>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<5> 焦点調節手段が、結像光学系を構成する光学部材と、ピエゾ素子とを有し、
前記光学部材を前記ピエゾ素子により移動させることによって、前記光変調手段により変調された光を感光層の被露光面上に結像する際の焦点を調節する前記<1>から<3>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。該<5>に記載の永久パターン形成方法においては、前記光学部材を前記ピエゾ素子により移動させることによって、前記光変調手段により変調された光を感光層の被露光面上に結像する際の焦点が調節されるため、焦点方向に対して垂直な方向への微小変位を抑制でき、高ビーム位置精度を保ちながら、極めて高精度に焦点位置が調整される。
<6> 結像手段が、光変調手段により変調された光の光軸に対し、前記光軸を中心に回転可能なレンズ、及び前記光軸に対して垂直方向に移動可能レンズのいずれかにより構成されてなる前記<1>から<5>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<7> 光変調手段が、n個(ただし、nは1以上の自然数)の2次元状に配列された描素部を有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<8> 光変調手段が、空間光変調素子である前記<1>から<7>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<9> 感光層の形成が、感光性組成物を基材の表面に塗布し、乾燥することにより行われる前記<1>から<8>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<10> 感光層の形成が、支持体と該支持体上に感光性組成物が積層されてなる感光層とを有する感光性フィルムを、加熱及び加圧の少なくともいずれかの下において基材の表面に積層することにより行われる前記<1>から<8>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<11> バインダーがエポキシアクリレート化合物の少なくとも1種、並びに、側鎖に(メタ)アクリロイル基及び酸性基を有するビニル共重合体の少なくとも1種の少なくともいずれかを含む前記<1>から<10>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<12> バインダーが無水マレイン酸共重合体の無水物基に対して0.1〜1.2当量の1級アミン化合物を反応させて得られる共重合体である前記<1>から<10>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<13> バインダーが(a)無水マレイン酸と、(b)芳香族ビニル単量体と、(c)ビニル単量体であって、該ビニル単量体のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃未満であるビニル単量体と、からなる共重合体の無水物基に対して0.1〜1.0当量の1級アミン化合物を反応させて得られる前記<1>から<10>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<14> 熱架橋剤が、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物にブロック剤を反応させて得られる化合物、及びメラミン誘導体から選択される少なくとも1種である前記<1>から<13>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<15> メラミン誘導体が、アルキル化メチロールメラミンである前記<14>に記載の永久パターン形成方法である。
<16> 重合性化合物が、ウレタン基及びアリール基の少なくともいずれかを有するモノマーを含む前記<1>から<15>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<17> 重合性化合物が、エチレンオキサイド基及びプロピレンオキサイド基の少なくともいずれかを有するモノマーを含む前記<1>から<16>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<18> 感光性組成物が、増感剤を含む前記<1>から<17>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<19> 増感剤が、縮環系化合物、並びに、少なくとも2つの芳香族炭化水素環及び芳香族複素環のいずれかで置換されたアミン系化合物から選択される少なくとも1種である前記<18>に記載の永久パターン形成方法である。
<20> 支持体が、合成樹脂を含み、かつ透明である前記<10>から<19>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<21> 支持体が、長尺状である前記<10>から<20>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<22> 感光性フィルムが、長尺状であり、ロール状に巻かれてなる前記<10>から<21>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<23> 感光性フィルムが、感光層上に保護フィルムを有してなる前記<10>から<22>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<24> 感光層の厚みが、3〜100μmである前記<1>から<23>のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
<25> 基材が、配線形成済みのプリント配線基板である前記<1>から<24>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<26> 光照射手段が、半導体レーザ素子から発せられたレーザ光を出射する前記<1>から<25>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<27> 光照射手段が、半導体レーザ素子から発せられたレーザ光を一端から入射し、入射したレーザ光を他端から出射する光ファイバを複数本束ねたバンドル状のファイバ光源である前記<26>に記載の永久パターン形成方法である。該<27>に記載の永久パターン形成方法においては、ファイババンドル状の光源として面積あたりの光量の大きい高輝度な光源を用いることで、光パワーを向上させつつ、エタンデュー(Etendue)を小さくすることができるため、前記光変調手段側の開口数を小さくでき、更に、前記結像光学系の焦点深度を大きくすることができる。この結果、前記感光層の被露光面上に結像される画像のピントずれが抑制される。
<28> 光照射手段が、2以上の光を合成して照射可能である前記<1>から<27>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。該<28>に記載の永久パターン形成方法においては、前記光照射手段が2以上の光を合成して照射可能であることにより、露光が焦点深度の深い露光光で行われる。この結果、前記感光層への露光が極めて高精細に行われ、その後、前記感光層を現像することにより、極めて高精細なパターンが形成される。
<29> 光照射手段が、複数のレーザと、マルチモード光ファイバと、該複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザビームを平行光化して集光し、前記マルチモード光ファイバの入射端面に収束させる光源集光光学系とを有する前記<1>から<28>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。該<29>に記載の永久パターン形成方法においては、前記光照射手段により、前記複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザビームが前記光源集合光学系により集光され、前記マルチモード光ファーバーに結合可能とすることにより、露光が焦点深度の深い露光光で行われる。この結果、前記感光層への露光が極めて高精細に行われ、その後、前記感光層を現像することにより、極めて高精細な永久パターンが形成される。
<30> 露光が行われた後、感光層の現像を行う前記<1>から<29>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<31> 現像が行われた後、永久パターンの形成を行う前記<1>から<30>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<32> 永久パターンが配線パターンであり、該永久パターンの形成がエッチング処理及びメッキ処理の少なくともいずれかにより行われる前記<31>に記載の永久パターン形成方法である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、装置のコストアップや、露光速度の低下を招くことなく、露光性能を向上させることにより、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンなどの永久パターンを高精細に、かつ、効率よく形成可能な永久パターン形成方法を提供することができる。
(永久パターン形成方法)
本発明の永久パターン形成方法は、露光工程と現像工程とを少なくとも含み、好ましくは硬化処理工程を含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
[露光工程]
前記露光工程は、前記光照射手段からの光を受光してパターン情報に基づいて変調する前記光変調手段により、前記光照射手段からの光を変調させ、前記光変調手段により変調された光を、結像手段と、焦点調節手段とを介して前記感光層の被露光面上に結像させて露光を行うことを少なくとも含む工程であり、
前記露光が、前記結像手段の中央部を含む略矩形状の領域のみにおいて、前記光変調手段により変調された光が結像され、
前記感光層の被露光面上に結像される略矩形状の露光領域が、その短辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角が、その長辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角よりも小さくなるように向けられて行われる。
本発明の永久パターン形成方法の露光工程に係る露光装置の一例について、以下、図面を参照しながら説明する。前記露光工程における露光方法は、前記露光装置の説明を通じて明らかにする。
<露光装置の構成>
<<露光装置の外観>>
図1には、本発明の永久パターン形成方法の露光工程に係る露光装置10の概略外観図が示されている。露光装置10は、前記感光層を、基材上に積層してなるシート状の積層体(以下、「感光材料12」と表す)を、表面に吸着して保持する平板状の移動ステージ14を備えている。4本の脚部16に支持された厚い板状の設置台18の上面には、ステージ移動方向に沿って延びた2本のガイド20が設置されている。ステージ14は、その長手方向がステージ移動方向を向くように配置されると共に、ガイド20によって往復移動可能に支持されている。更に露光装置10は、ステージ14をガイド20に沿って駆動するステージ駆動装置(不図示)を備えている。
そして、設置台18の中央部には、ステージ14の移動経路を跨ぐようにコの字状のゲート22が設置されている。コの字状のゲート22の端部の各々は、設置台18の両側面に固定されている。ゲート22を挟んで一方側にはスキャナ24が設置され、他方側には感光材料12の先端及び後端を検知する複数のセンサ26が設置されている。スキャナ24及びセンサ26はゲート22に各々固定され、ステージ14の移動経路の上方に設置されている。尚、スキャナ24及びセンサ26はコントローラ(不図示)に電気的に接続されており、コントローラによって動作制御がなされる。
ステージ14にはスキャナ24による露光開始の際にスキャナ24から感光材料12の被露光面に照射されるレーザ光の光量を検出するための露光面計測センサ28が設置されている。露光面計測センサ28は、ステージ14における感光材料12の設置面の露光開始側の端部にステージ移動方向に直交する方向に延設されている。
図2はスキャナ24の概略外観図である。
図2に示すように、スキャナ24は、例えば、2行5列の略マトリクス状に配列された10個の露光ヘッド30を備えている。
各露光ヘッド30は、前記光変調手段として空間変調素子であるDMDを備え、該DMDによって形成された2次元パターンを感光材料12上に投影する。
露光エリア32は各露光ヘッドから射出された2次元パターンが感光材料12上に投影された時の投影エリアを示す。また、ステージ14の移動に伴って感光材料12には露光ヘッド30による帯状の露光済み領域34が形成される。
<<露光ヘッド>>
図3は露光ヘッド30の概略構成を説明するための概念図であり、図7は露光ヘッド30中を伝播するレーザ光の光路に沿って露光ヘッド30を構成する光学要素を説明するための図である。
露光ヘッド30は、前記光照射手段として光源ユニット60と、DMD照射光学系70と、DMD80と、前記結像手段として結像光学系50と、前記焦点調節手段としてくさび型プリズムペア54とを備えて構成されている。
光源ユニット60は、図4に示すように、複数(例えば、14個)のLDモジュール40を備えており、各LDモジュール40には、第1マルチモード光ファイバ41の一端が結合されている。第1マルチモード光ファイバ41の他端には、第1マルチモード光ファイバより小さいクラッド径を有する第2マルチモード光ファイバ68が結合されている。
図5に詳しく示すように、第2マルチモード光ファイバ68の第1マルチモード光ファイバ41と反対側の端部は走査方向と直交する方向に沿って7個並べられ、それが2列に配列されてレーザ出射部66が構成されている。
第2マルチモード光ファイバ64の端部で構成されるレーザ出射部66は、図5に示すように、表面が平坦な2枚の支持板65に挟み込まれて固定されている。また、第2マルチモード光ファイバ64の光出射端面には、その保護のために、ガラス等の透明な保護板が配置されるのが望ましい。第2マルチモード光ファイバ68の光出射端面は、光密度が高いために集塵しやすく劣化しやすいが、上述のような保護板を配置することにより、端面への塵埃の付着を防止し、また劣化を遅らせることができる。
LDモジュール40は、図6に示す合波レーザ光源によって構成されている。この合波レーザ光源は、ヒートブロック400上に配列固定された複数の(例えば7個)の半導体レーザ素子であるLDチップLD1、LD2、LD3、LD4、LD5、LD6及びLD7と、LDチップLD1〜LD7の各々に対応して設けられたコリメータレンズ401、402、403、404、405、406及び407と、1つの集光レンズ90と、1本の第1マルチモード光ファイバ41とから構成されている。尚、半導体レーザ素子の個数は7個に限定されるものではなく、その他の個数が採用されてもよい。また、上述のような7個のコリメータレンズ401〜407に代えて、それらのレンズが一体化されているコリメータレンズアレイを用いてもよい。
LDチップLD1〜LD7は、チップ状の横マルチモード又はシングルモードのGaN系半導体レーザ素子であり、発振波長が全て共通(例えば、405[nm]程度)であり、最大出力も全て共通(例えば、マルチモードレーザでは100[mW]、シングルモードレーザでは30[mW])である。尚、350[nm]〜450[nm]の波長範囲であれば、上記405[nm]以外の発振波長を備える半導体レーザ素子をLDチップLD1〜LD7として用いてもよい。
このように、複数のLDチップLD1〜LD7から発せられた各レーザ光を1本の第1マルチモード光ファイバ41に入射させて合波し、さらにファイババンドル状の光源として面積あたりの光量の大きい高輝度な光源を用いることで、光パワーを向上させつつ、エタンデュー(Etendue)を小さくすることができる。
従って、前記結像手段の中央部を含む領域のみにおいて空間光変調手段で空間光変調することで被照明体(光変調手段)側に対する照明領域が小さくなっても、照明NA値を抑えることができる。これにより、結像光学系が被照明体の下流側に配置された場合でもその結像光学系の焦点深度を大きくすることができ、結像される露光画像のピントずれを抑制することができるという効果が得られる。
尚、エタンデューと焦点深度の詳しい関係については特開2005−018013号公報に掲載されている。
以上において、複数のLDチップLD1〜LD7を合波することによって光照射手段から出射される光を構成する場合について説明したが、合波せずに、半導体レーザ素子と光ファイバの一端とを1対1で結合し、光ファイバ他端に該光ファイバよりクラッド径の小さい光ファイバを結合してもよい。この場合は、半導体レーザ素子としてマルチモードの高出力レーザを用いることが好ましく、このような高出力レーザを用いることで高輝度な光源を実現できる。
DMD照射光学系70は、図7に示すように、コリメータレンズ71と、マイクロフライアイレンズ72及び73と、フィールドレンズ74と、ミラー75と、プリズム76とを備えて構成されている。
コリメータレンズ71は、レーザ光出射部61から出射された複数のレーザ光を概略平行光化するためのレンズである。
マイクロフライアイレンズ72及び73は、微小レンズセルが縦横に多数配置されてなるものであり、DMD80に照射するレーザ光の光量分布を均一化するためのレンズである。マイクロフライアイレンズ72及び73を透過したレーザ光は、フィールドレンズ74を透過してミラー75によって反射され、プリズム76に入射する。
プリズム76は、TIRプリズム(全反射プリズム)であり、ミラー75によって反射されたレーザ光をDMD80に向けて全反射する。DMD80の詳細については、後述する。
尚、DMD照射光学系70は、光量分布の均一化の手段として、ロッドインテグレータを備えることとしてもよい。
−結像手段−
−−結像光学系−−
結像光学系50は、前記光照射手段からのレーザ光をDMD80で変調されることによって形成された2次元パターンを、感光材料12上に結像させて投影させるための結像手段である。図7に示すように、結像光学系50は、第1投影レンズ51と、第2投影レンズ52と、マイクロレンズアレイ55と、アパーチャアレイ59とを備えて構成されている。
DMD80を構成する各マイクロミラーによって反射されて形成された2次元パターンは、第1投影レンズ51を透過し、所定倍(例えば、3倍)に拡大されて結像される。ここで、第1投影レンズ51を透過した光束Laは、第1投影レンズ51による結像位置の近傍に配設されたマイクロレンズアレイ55の各マイクロレンズ55aによって個別に集光される。この個別に集光された光束がアパーチャ59aを通過して結像される。マイクロレンズアレイ55及びアパーチャアレイ59を通過して結像された2次元パターンは、第2投影レンズ52を透過して更に所定倍(例えば、1.67倍)に拡大され、くさび型プリズムペア54を透過して感光材料12上に結像される。最終的には、DMD80によって形成された2次元パターンが、第1投影レンズ51と第2投影レンズ52の拡大倍率をそれぞれ乗算した倍率(例えば、3倍×1.67倍=5倍)で拡大されて、感光材料12上に投影される。
なお、結像光学系50は、必ずしも第2投影レンズ52を備えた構成としなくてもよい。
図8A及び図8Bは、第1投影レンズ51、第2投影レンズ52を構成する投影レンズ300を示した平面図である。
前記露光装置の露光性能を上げるためには、高いレンズ光学性能(像面湾曲、非点隔差、歪曲等を抑制、高いテレセントリック性)を持つ投影レンズが必要となる。しかしながら、投影レンズの全面領域においてレンズ光学性能を向上させようとすると、レンズのコストアップに繋がり、大口径レンズの製造が困難になるという問題がある。一方、投影レンズの任意の領域のレンズ光学性能を高めるために、故意に所定の領域に歪みを持たせて投影レンズを製造することが可能であることが近年の研究で明らかになった。
そこで、例えば、投影レンズの周辺部分に歪みを持たせ、中央部の歪みを少なくして製造することによって、投影レンズの中央部を含む領域のレンズ光学性能を高め、更に中央部を含む領域にてDMD80によって形成された2次元パターンを透過させて結像することができる。具体的には、図8Aに示すように、投影レンズ300の周辺領域である領域320に像面湾曲、領域330に歪曲が大きいという特性を持たせ、その分投影レンズ300の中央部を含む領域の歪みを少なくさせて、レンズ光学性能が高くなるようにして製造することができる。
しかし、例えば図8Aに示すように、DMD80によって形成された2次元パターンが投影レンズ300の領域310に照射されて透過される場合には、2次元パターンの一部が像面湾曲や歪曲が大きい特性を含む領域を透過することになるため、2次元パターンは、投影レンズ300におけるレンズ光学性能の良い領域340に照射される必要がある。
そこで、投影レンズ300のレンズ光学性能の良い領域340を選択して2次元パターンを照射するために、例えば、2次元パターンの光の光軸を中心として、図8Bに示す矢印Aの方向に投影レンズ300を回転させることが好ましい。この回転により、レンズ光学性能の良い領域340と2次元パターンが照射される領域310を一致させ、レンズ光学性能の良い領域340において2次元パターンを透過させることができる。
このように、レンズ光学性能の良い領域において2次元パターンを透過させて結像させることによって、2次元パターンが感光材料12上に投影される際の画質を向上させることができる。
また、大口径の投影レンズを用いる場合、投影レンズの全面領域において十分なレンズ光学性能を得ようとすると製造が困難であるが、前記大口径の投影レンズの周辺領域等の任意の領域にレンズ歪みを持たせて、中央部を含む領域のレンズ歪みを少なくすることによって、高いレンズ光学性能を持たせることができる。このような大口径の投影レンズを用いることによって、露光面積が拡大し、露光速度を速くすることができる。
尚、DMD80から反射された光を、投影レンズの中央部を含む一部の領域において結像させるために、DMD80によって形成される2次元パターンは、図8A及び図8Bに示す領域310のように、長辺の長さが短辺の長さより2倍以上長い略矩形状のパターンであることが望ましい。これについては後述のDMDに関する説明において詳述する。
投影レンズ300のレンズ光学性能の良い領域340に2次元パターンを選択的に照射させるために、結像光学系50は2次元パターンの光の光軸を中心として回転可能な構成であることが好ましい。
図9の上図は、結像光学系50を備える鏡筒400の概略側面断面図であり、図9の下図は、上図における矢印Bの方向から見た鏡筒400の概略平面図である。
鏡筒400は側面につば状のフランジ410を備えている。フランジ410にはネジ貫通孔412がα[°]毎に形成されている。ブラケット420にはネジ貫通孔412に対応させて雌ネジ孔(不図示)が同じくα[°]毎に形成され、ネジ(不図示)をフランジ410のネジ貫通孔412に挿通して、ブラケット420の対応する雌ネジ孔に螺合させることにより、フランジ410とブラケット420が固定される。この構造により、鏡筒400は第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52の光軸を中心としてα[°]ずつ回転させて任意の角度位置で固定させることができる。またネジによってフランジ410とブラケット420を固定させる際は、ネジ貫通孔412のうち、全てのネジ貫通孔412にネジを挿通してブラケット420の対応する雌ネジ孔に螺合させてもよいし、例えば対角線上に位置する2箇所のネジ貫通孔412にネジを挿通してブラケット420の対応する雌ネジ孔に螺合させてもよい。
鏡筒400が回転されると、第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52が共に回転する。そして、感光材料12上に投影された2次元パターンの焦点、画質(解像度)等の露光性能を計測しながら、最も良い露光性能を示す回転位置でフランジ410とブラケット420を固定する。
このように、鏡筒400を2次元パターンの光の光軸を中心に回転させることによって第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52を回転させ、第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52を構成する投影レンズにおいてレンズ光学性能の良い領域と、光変調手段により形成された2次元パターンの照射領域を一致させることができる。
なお、第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52を構成する投影レンズは、各投影レンズ毎に独立して回転可能なように構成してもよい。
また、鏡筒400は2次元パターンの光軸に垂直方向に移動可能なように構成してもよく、2次元パターンの光軸の垂直方向に、第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52を構成する各投影レンズが独立して移動可能なように構成してもよい。
−光変調手段−
前記光変調手段としては、パターン情報(画像信号)に基づいて2次元パターンの光を形成可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、n個(ただし、nは1以上の自然数)の2次元状に配列された描素部を有するものが挙げられ、これらの中でも空間光変調素子が好ましく、具体的には、DMDが好ましい。
以下、前記光変調手段として、DMDを用いた場合について説明する。
DMD80の概略斜視図を図10に示す。DMD80は、DMD照射光学系70から入射された光を、パターン情報(画像信号)に基づいて空間光変調し、2次元パターンを形成する空間光変調手段である。
DMD80は、n個(例えば、1024×757個)の2次元状に多数配置された描素部(画素)としてのマイクロミラー81を有している。更にDMD80は、データ処理部とミラー駆動制御部を備えたコントローラ(不図示)に接続されている。
データ処理部は、パターン情報(画像信号)に基づいてDMD80に配されている各マイクロミラー81の駆動を制御するための制御信号を生成する。
ミラー駆動制御部は、データ処理部によって生成された制御信号に基づいて、DMD80の各マイクロミラー81の反射面の角度を制御する。
前記データ処理部及び前記ミラー駆動制御部によって、マイクロミラー81の反射面が所定の角度に傾斜され、DMD81に照射された光のうち、所定の角度に傾斜されたマイクロミラー81によって反射された光が2次元パターンとなって結像光学系50に入射される。
ところで、上述のとおり、第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52は、第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52を構成する投影レンズの周辺部分に歪みを持たせ、中央部の歪みを少なくして製造することによって、上記投影レンズの中央部を含む領域のレンズ光学性能を高め、その中央部を含む領域にて2次元パターンを透過させて結像するものである。このように2次元パターンを投影レンズの中央部を含む一部の領域において結像させるために、DMD80によって形成される2次元パターンは、図8Bに示す領域310のように、長辺の長さが短辺の長さより2倍以上長い略矩形状のパターンであることが好ましい。そのような略矩形状の2次元パターンを形成するために、DMD80の一部のマイクロミラー81を駆動制御して、辺の長さが短辺の長さより2倍以上長い略矩形状2次元パターンを形成することが好ましい。
略矩形状の2次元パターンについて、図11A及び図11Bを用いて詳しく説明する。
DMD80には、例えば、露光する際の主走査方向、即ち行方向に1024画素、更に露光する際の副走査方向、即ち列方向に756画素のマイクロミラー81が2次元状に配置されているが、列方向に756画素並ぶマイクロミラー81のうち、一部のマイクロミラー81(例えば、240画素)を使用して、1024×240画素の2次元パターンを形成させる。
ここで、列方向に並ぶマイクロミラー81のうち、使用するマイクロミラー81の数は、行方向に並ぶマイクロミラー81の数の1/2〜1/5程度の数であることが望ましい。
また、DMD80を構成する全てのマイクロミラーに対して、図11Aに示す領域80Cのように、DMD80の中央部を占めるマイクロミラーを使用してもよく、図11Bに示す領域80Tのように、DMD80の端部付近を占めるマイクロミラーを使用してもよい。
さらに、使用しているマイクロミラーに欠陥が生じた場合は、欠陥が発生していないマイクロミラーの領域を使用するなどして、状況に応じて使用するマイクロミラーの領域を適宜変更してもよい。
このように、DMD80を構成するマイクロミラー81において、列方向に並ぶマイクロミラー81のうち一部のマイクロミラー81を使用することによって、長辺の長さが短辺の長さより長い略矩形状の2次元パターンを形成することができ、第1投影レンズ51及び第2投影レンズ52を構成する投影レンズの高いレンズ光学性能を持つ領域のみに2次元パターンを照射させることが容易となる。
また、DMD80のデータ処理速度は、制御するマイクロミラー81の数(画素数)に比例するため、列方向に並ぶマイクロミラー81のうち一部のマイクロミラー81を使用することによって、データ処理速度を速くすることができ、露光速度を速くすることができる。
さらに、DMD80によって形成される2次元パターンを小さくすることによって、マイクロミラー81にそれぞれ対応するマイクロレンズがアレイ状に配されてなるマイクロレンズアレイ55を小型化することができる。前記マイクロレンズアレイは高価な光学部材であるため、露光装置のコストを削減することができる。
なお、長辺の長さが短辺の長さより長い略矩形状の2次元パターンを形成するために、DMD80において列方向に並ぶマイクロミラー81のうち、一部のマイクロミラー81を用いることとして説明したが、予め長辺方向のマイクロミラーの数が短辺方向のマイクロミラーの数より2倍以上多いDMDを用いてもよい。
−焦点調節手段−
−−くさび型プリズムペア−−
図12は、くさび型プリズムペア54の構成を示す側面図であり、図13はくさび型プリズムペア54を示す概略斜視図である。
くさび型プリズムペア54は、2次元パターンの光の光路長を変更して、2次元パターンを結像させる際の焦点を調節するための焦点調節手段である。
くさび型プリズムペア54は、くさび型プリズム540A及び540Bと、くさび型プリズム540A及び540Bをそれぞれ固定するベースプリズムホルダ541A及び541Bと、ベースプリズムホルダ541Aの両端に配設されたスライドベース542A及びスライドベース542A上を移動するスライダ542Bを含むスライド部545と、スライド部545を移動させる駆動部546とを備えて構成されている。くさび型プリズムペア54については、図13に示すように、例えばガラスやアクリル等の透明材料からなる平行平板を、この平行平板の平行平面H11及びH22に対して斜めに傾く平面Hkに沿って切断することによって得られる一対のくさび型プリズムA及びBを上記くさび型プリズム540A及び540Bとして使用することができる。
図12に示したくさび型プリズム540A及び540Bは、幅t(例えば、10[um])の空気層550を介してベースプリズムホルダ541A及び541Bに固定されている。また、スライドベース542A及びスライダ542Bとの組み合わせによってリニアスライドが可能であり、駆動部546がくさび型プリズム540A及び540Bの互いの位置を空気層550の幅tが変化しないようにスライド部545を1方向(図中矢印uの方向)に相対的に移動させる。このスライド部545の移動により、くさび型プリズムペア54の2次元パターンの光軸方向の厚さ(平行平面板の厚さから空気層550の幅tを除いた厚さ)が変更される。つまり、くさび型プリズムペア54によって2次元パターンを形成する光の光路長が変更されることになる。
このように、第2投影レンズ52と感光材料12の間にくさび型プリズムペア54を配設することによって、2次元パターンの光の光路長を簡単に調節することができる。
したがって、従来に比べ、第2投影レンズ52によって結像された2次元パターンを感光材料12上に結像する際の焦点調整を、簡単に、かつ短時間で行うことができる。
なお、図14に示すように、くさび型プリズムペア54を、マイクロレンズアレイ55と第2投影レンズ52との間に配置することにより、2次元パターンの光の光路長を変更して、2次元パターンの焦点を調節してもよい。
前記焦点調節手段として、くさび型プリズムペア54を用いた場合を説明したが、前記焦点調節手段はこれに限定されるものではなく、結像光学系50を構成する投影レンズの位置を変化させずに焦点調節を行う高ビーム位置精度の焦点調節手段であればよい。
−−結像光学系を構成する光学部材及びピエゾ素子による焦点調節手段−−
前記焦点調節手段としては、例えば、図15A、図15B、図16A、及び図16Bに示すように、結像光学系を構成する光学部材であるマイクロレンズアレイ55を、ピエゾ素子600を用いて焦点方向(図中矢印Xの方向)に移動させることにより焦点調整を行ってもよい。
ピエゾ素子600を用いることによって、マイクロレンズアレイ55の焦点方向と垂直な方向への変位を抑えつつ、焦点方向への微小移動を行うことができるため、安定したビーム位置精度を保ちながら焦点調整を行うことができる。
<露光方法>
上述した露光装置10による露光方法について説明する。
図17Aは感光材料12とDMD80の位置関係を概略的に示した斜視図である。なお、図2に示すように、露光装置10はDMD80を有する露光ヘッド30を10個備えることとして説明したが、図17A及び図17Bでは簡略化して1個のDMD80にのみ着目して図示及び説明する。
図17Aに示すように、DMD80の全てのマイクロミラー81に対して領域80Tを占めるマイクロミラー81を使用する場合、領域80Tの短辺方向を感光材料12のうねり方向に向けて感光材料12をそのうねり方向に移動させながら(領域80Tの短辺方向を感光材料12の移動方向に向ける)感光材料12に対して露光を行うことが好ましい。すなわち、領域80Tにより形成され、前記感光材料の被露光面上に結像される略矩形状の露光領域が、その短辺方向と前記感光層のうねり方向とが略平行となるように露光を行うことが好ましい。
図17Aにおいて、露光エリア81はDMD80の全てのマイクロミラー81を使用して2次元パターンを形成したときの露光エリアであり、露光エリア81TはDMD81において領域80Tを占めるマイクロミラー81を使用して2次元パターンを形成したときの露光エリアである。
図17Bは、図17Aにおいて破線の枠Pで囲んだ部分を拡大して示した側面図である。図17Bに示すように、DMD80の全てのマイクロミラー81を使用して2次元パターンを形成した場合、露光エリア81の感光材料12に対する最大深度差(露光エリア81内における、感光材料12表面の最大高低差)はd2となる。
一方、DMD80において領域80Tを占めるマイクロミラー81を使用した場合、露光エリア81Tの感光材料12に対する最大深度差はd1となる。
図17Bに示すように、d1<d2であり、深度差が小さいほうが深度差が大きい場合より2次元パターン内における感光材料12のうねりの度合いが小さい。従って、2次元パターンの焦点位置をより適切な位置に合わせることができる。
また、1フレームの露光が終了し、ステージ14が走査方向に移動することによって感光材料12が移動すると、露光エリア81Tの位置が変化し、露光エリア81T内における感光材料12のうねりの度合いが変化するため、焦点位置も変化するが、くさび型プリズムペア54によって焦点調節がなされることにより、焦点位置は即座に調節される。従って、感光材料12のうねりに対応した長焦点深度を有する露光を行うことができる。
このように、DMD80を構成するマイクロミラー81において、列方向に並ぶマイクロミラー81のうち一部のマイクロミラー81を使用して、略矩形状の2次元パターンを形成させたとき、2次元パターンの短辺方向を感光材料12のうねり方向に向けて露光を行うことにより、露光エリア81T内における感光材料12のうねりの度合いを少なくすることができる。
このため、2次元パターンの焦点位置を適切な位置に合わせることができ、露光装置10の焦点深度を従来の露光装置より見かけ上大きくすることができ、この結果、露光画質を向上させることができ、高精細なパターン露光が行われる。
なお、図2に示すように、実際には露光ヘッド30はDMD80の画素列方向が走査方向と所定の設定傾斜角度をなすようにスキャナ24に取り付けられている。従って、各露光ヘッド30による露光エリア32(図17における露光エリア81Tに相当)は走査方向に対して傾斜した矩形状のエリアとなる。
露光エリア81T内の感光材料12のうねりによる影響の度合いを最小限に抑えるためには、露光エリア81Tの短辺方向と感光材料12のうねり方向を完全に一致させることが理想であるが、露光エリア81Tが上記所定の設定傾斜角度をなしていても、露光エリア81Tの短辺方向が長辺方向より感光材料12のうねり方向に向いていれば、すなわち、前記感光材料の被露光面上に結像される略矩形状の露光領域が、その短辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角が、その長辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角よりも小さくなるように向いていればよい。
以上説明したとおり、本発明の永久パターン形成方法における露光は、結像手段を構成する投影レンズの周辺領域に歪みを持たせ、その分中央部を含む領域の歪みを少なくして、該中央部を含む領域の光学性能を高めた結像手段を備えた露光装置を用いることにより、光学性能の良い領域において空間光変調された光を結像することによって、該空間光変調された光が、感光材料上に投影される際の画質を向上させることができる。
また、投影レンズの周辺領域等の任意の領域にレンズ歪みを持たせて、中央部を含む領域のレンズ歪みを少なくすることによって、大口径の投影レンズでも高いレンズ光学性能を持たせることができ、これにより、露光面積が拡大し、露光速度が速くなる。
そして、前記露光装置における結像手段が、空間光変調された露光光の光軸を中心に回転可能、又は光軸に対して垂直方向に移動可能であることにより、結像手段を構成する投影レンズの光学性能の良い領域に空間光変調された光が選択的に照射される。
また、投影レンズの周辺領域等にレンズ歪みを持たせて中央部を含むレンズ性能のよい領域のみを使用することにより、前記投影レンズの全面領域を使用する場合に比べて焦点調節手段の光学系を小型化することができ、その結果、高精度な安定保持及び移動機構を実現した露光装置により高精細な露光が行われる。更に、空間変調された露光光の光位置を安定に保ちながら高精度に焦点位置が調整される。
また、空間光変調された光をマイクロレンズアレイを通して小さなスポットに集光する場合において、高価なマイクロレンズアレイを小型化できるので、よりピッチ精度が高く低コストなマイクロレンズアレイを採用することができる。更に、焦点調整手段としてピエゾ素子を用いることによって、焦点方向に対して垂直な方向への微小変位を抑制でき、高ビーム位置精度を保ちながら、高精度に焦点位置を調整することができる。
また、複数の半導体レーザ素子から発せられた各レーザ光を1本の光ファイバに入射させて合波し、さらにファイババンドル状の光源として面積あたりの光量の大きい高輝度な光照射手段を用いることにより、光パワーを向上させつつ、エタンデュー(Etendue)を小さくすることができ、DMD側の開口数(NA)を小さくすることができる。これにより、前記結像手段の中央部を含む略矩計状の領域のみにおいて空間光変調手段で空間光変調する場合であっても、DMD側の開口数を小さくでき、更に、結像光学系が被照明体の下流側に配置された場合においても、その結像光学系の焦点深度を大きくすることができ、結像される露光画像のピントずれが抑制される。
更に、前記結像手段が長辺の長さが短辺の長さの2倍以上の略矩形状の領域において空間光変調された露光光を結像し感光材料上に投影させる際に、前記感光材料の被露光面上に結像される略矩形状の露光領域が、その短辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角が、その長辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角よりも小さくなるように露光を行うことにより、投影された空間光変調された露光光の投影エリア内における感光材料のうねりの度合いを少なくすることができ、空間光変調された光の焦点位置を調整することができる。これにより、焦点深度を従来の露光装置より見かけ上大きくすることができ、解像度(露光画質)を向上させることができる。
〔積層体〕
前記露光の対象としては、バインダーと、重合性化合物と、光重合開始剤と、熱架橋剤とを少なくとも含む感光性組成物で基材の表面に形成された感光層を有する積層体である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記感光層としては、前記感光性組成物を基材の表面に塗布し、乾燥することにより形成される第1の態様の感光層、及び支持体と該支持体上に感光性組成物が積層されてなる感光層とを有する感光性フィルムを、加熱及び加圧の少なくともいずれかの下において基材の表面に積層することにより形成される第2の態様の感光層が挙げられる。
〔基材〕
前記基材としては、特に制限はなく、公知の材料の中から表面平滑性の高いものから凸凹のある表面を有するものまで適宜選択することができ、板状の基材(基板)が好ましく、具体的には、公知のプリント配線板形成用基板(例えば、銅張積層板)、ガラス板(例えば、ソーダガラス板等)、合成樹脂性のフィルム、紙、金属板などが挙げられるが、これらの中でも、プリント配線板形成用基板が好ましく、多層配線基板やビルドアップ配線基板などへの半導体等の高密度実装化が可能となる点で、該プリント配線板形成用基板が配線形成済みであるのが特に好ましい。
〔感光性組成物〕
前記感光性組成物としては、バインダーと、重合性化合物と、光重合開始剤と、熱架橋剤とを少なくとも含み、増感剤を含むことが好ましく、更に必要に応じて、着色顔料、体質顔料、熱重合禁止剤、界面活性剤などのその他の成分を含む。
<バインダー>
前記バインダーとしては、例えば、アルカリ性水溶液に対して膨潤性であるのが好ましく、アルカリ性水溶液に対して可溶性であるのがより好ましい。
アルカリ性水溶液に対して膨潤性又は溶解性を示すバインダーとしては、例えば、酸性基を有するものが好適に挙げられる。
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開昭51−131706号、特開昭52−94388号、特開昭64−62375号、特開平2−97513号、特開平3−289656号、特開平61−243869号、特開2002−296776号などの各公報に記載の酸性基を有するエポキシアクリレート化合物、並びに、側鎖に(メタ)アクリロイル基及び酸性基を有するビニル共重合体、エポキシアクリレート化合物と側鎖に(メタ)アクリロイル基及び酸性基を有するビニル共重合体、無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
前記エポキシアクリレート化合物とは、エポキシ化合物由来の骨格を有し、かつ分子中にエチレン性不飽和二重結合とカルボキシル基を含有する化合物である。このような化合物は、例えば、多官能エポキシ化合物とカルボキシル基含有モノマーとを反応させ、更に多塩基酸無水物を付加させる方法などで得られる。
前記多官能エポキシ化合物としては、例えば、ビキシレノール型もしくはビスフェノール型エポキシ樹脂(「YX4000;ジャパンエポキシレジン社製」等)又はこれらの混合物、イソシアヌレート骨格等を有する複素環式エポキシ樹脂(「TEPIC;日産化学工業社製」、「アラルダイトPT810;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製」等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(例えばテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等)、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、グリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂(「ESN−190,ESN−360;新日鉄化学社製」、「HP−4032,EXA−4750,EXA−4700;大日本インキ化学工業社製」等)、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂(「HP−7200,HP−7200H;大日本インキ化学工業社製」等);フェノール、o−クレゾール、ナフトール等のフェノール化合物と、フェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合反応により得られるポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応物;フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応によって得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物;4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酢酸等でエポキシ化したもの;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環を有するエポキシ樹脂;グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂(「CP−50S,CP−50M;日本油脂社製」等)、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂;フェノール及びクレゾールから選択される1種とp−ヒドロキシベンズアルデヒド縮合体をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂;ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン型エポキシ樹脂;、ビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタン型エポキシ樹脂、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
またカルボキシル基含有モノマーの例としては、例えば(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、α−シアノ桂皮酸、アクリル酸ダイマー;この他、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体と無水マレイン酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物等の環状酸無水物との付加反応物;ハロゲン含有カルボン酸化合物との反応生成物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、などが挙げられる。さらに、市販品としては、東亜合成化学工業(株)製のアロニックスM−5300、M−5400、M−5500およびM−5600、新中村化学工業(株)製のNKエステルCB−1およびCBX−1、共栄社油脂化学工業(株)製のHOA−MPおよびHOA−MS、大阪有機化学工業(株)製のビスコート#2100などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、多塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、無水2,3−ジメチルコハク酸、無水2,2−ジメチルコハク酸、無水エチルコハク酸、無水ドデセニルコハク酸、無水ノネニルコハク酸、無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、無水2,3−ジメチルマレイン酸、無水2−クロロマレイン酸、無水2,3−ジクロロマレイン酸、無水ブロモマレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水シスアコット酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸および5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物などの二塩基酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の多塩基酸無水物なども使用できる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
それぞれを順次反応させて、エポキシアクリレートを得るが、それらを反応させる比率は、多官能エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、カルボキシル基含有モノマーのカルボキシル基0.8〜1.2当量、好ましくは、0.9〜1.1当量であり、多塩基酸無水物0.1〜1.0当量、好ましくは、0.3〜1.0当量である。
また、特開平5−70528号公報記載のフルオレン骨格を有するエポキシアクリレート(カルボキシル基を有してはいない化合物)に酸無水物を付加させて得られる化合物なども前記エポキシアクリレートとして利用できる。
前記エポキシアクリレート化合物の分子量は、1,000〜100,000が好ましく、2,000〜50,000がより好ましい。該分子量が1,000未満であると、感光層表面のタック性が強くなることがあり、後述する感光層の硬化後において、膜質が脆くなる、あるいは、表面硬度が劣化することがあり、100,000を超えると、現像性が劣化することがある。また樹脂の合成も困難となる。
また、特開平6−295060号公報記載の酸性基、二重結合等の重合可能な基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂も用いることができる。具体的には、分子内に少なくとも1つの重合可能な二重結合、例えば、(メタ)アクリレート基又は(メタ)アクリルアミド基等のアクリル基、カルボン酸のビニルエステル、ビニルエーテル、アリルエーテル等の各種重合性二重結合を用いることができる。より具体的には、酸性基としてカルボキシル基を含有するアクリル樹脂に、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、桂皮酸等の不飽和脂肪酸のグリシジルエステルや、同一分子中にシクロヘキセンオキシド等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物等のエポキシ基含有の重合性化合物を付加させて得られる化合物などが挙げられる。また、酸性基及び水酸基を含有するアクリル樹脂に、イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有の重合性化合物を付加させて得られる化合物、無水物基を含有するアクリル樹脂に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する重合性化合物を付加させて得られる化合物なども挙げられる。
さらに、前記バインダーとしては、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体を用いることができ、具体的には、例えば(1)酸性基を有するビニルモノマー、(2)必要に応じて後述する高分子反応に利用可能な官能基を有するビニルモノマー、及び(3)必要に応じてその他の共重合可能なビニルモノマーのビニル(共)重合で得られた(共)重合体を合成し、更に(4)該(共)重合体中の酸性基、又は高分子反応に利用可能な官能基の少なくとも1種に対して反応性を有する官能基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを高分子反応させることによって得られる。
前記(1)酸性基を有するビニルモノマーの酸性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられ、これらの中でもカルボキシル基が好ましい。カルボキシル基を有するビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマー、水酸基を有する単量体(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等)と環状無水物(例えば、無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物)との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、共重合性やコスト、溶解性などの観点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。またこれらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の無水物を有するモノマーを用いてもよい。
前記(2)の高分子反応に利用可能な官能基を有するビニルモノマーにおける、高分子反応に利用可能な官能基としては水酸基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、酸ハライド基、活性ハライド基、などが挙げられる。また前述(1)のカルボシキル基や酸無水物基も利用可能な官能基として挙げられる。
前記水酸基を有するビニルモノマーとしては、例えば、下記構造式(1)〜(9)で表される化合物が挙げられる。
但し、前記構造式(1)〜(9)中、R´は水素原子又はメチル基を表し、n、n、及びnは、それぞれ1以上の整数を表す。
前記アミノ基を有するビニルモノマーとしては、例えば、ビニルベンジルアミン、アミノエチルメタクリレート、などが挙げられる。
前記イソシアネート基を有するモノマーとしては、例えば、下記構造式(10)〜(12)で表される化合物が挙げられる。
但し、前記構造式(10)〜(12)中、R´は水素原子又はメチル基を表す。
前記エポキシ基を有するビニルモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、下記構造式(13)で表される化合物などが挙げられる。
但し、前記構造式(13)中、R´は、水素原子及びメチル基のいずれかを表す。
前記酸ハライド基を有するビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸クロリド、などが挙げられる。
前記活性ハライド基を有するビニルモノマーとしては、例えば、クロロメチルスチレン、などが挙げられる。
また、前記各モノマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記(3)の必要に応じて用いられるその他の共重合可能なモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類(例えば、スチレン、スチレン誘導体等)、(メタ)アクリロニトリル、ビニル基が置換した複素環式基(例えば、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール等)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクトン、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、リン酸モノ(2―アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−2―アクリロイルオキシエチルエステル)、官能基(例えば、ウレタン基、ウレア基、スルホンアミド基、イミド基)を有するビニルモノマーなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、アセトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、β−フェノキシエトキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、オクタフロロペンチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記クロトン酸エステル類としては、例えば、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシルなどが挙げられる。
前記ビニルエステル類としては、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、安息香酸ビニルなどが挙げられる。
前記マレイン酸ジエステル類としては、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
前記フマル酸ジエステル類としては、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどが挙げられる。
前記イタコン酸ジエステル類としては、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
前記スチレン類としては、例えば、前記スチレン、前記スチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えば、t−Boc等)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン等)、などが挙げられる。
前記ビニルエーテル類としては、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
前記官能基としてウレタン基又はウレア基を有するビニルモノマーの合成方法としては、例えば、イソシアナート基と水酸基又はアミノ基の付加反応が挙げられ、具体的には、イソシアナート基を有するモノマーと、水酸基を1個含有する化合物又は1級若しくは2級アミノ基を1個有する化合物との付加反応、水酸基を有するモノマー又は1級若しくは2級アミノ基を有するモノマーと、モノイソシアネートとの付加反応が挙げられる。
前記イソシアナート基を有するモノマーとしては、例えば、前述の(2)に示したものと同様に、前記構造式(10)〜(12)で表される化合物が挙げられる。
前記モノイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシルイソシアネート、n−ブチルイソシアネート、トルイルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、フェニルイソシアネート等が挙げられる。
前記水酸基を有するモノマーとしては、例えば、前述の(2)に示したものと同様に、前記構造式(1)〜(9)で表される化合物が挙げられる。
前記水酸基を1個含有する化合物としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−オクタデカノール、シクロペンタノール、シクロへキサノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等)、フェノール類(例えば、フェノール、クレゾール、ナフトール等)、更に置換基を含むものとして、フロロエタノール、トリフロロエタノール、メトキシエタノール、フェノキシエタノール、クロロフェノール、ジクロロフェノール、メトキシフェノール、アセトキシフェノール等が挙げられる。
前記1級又は2級アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、ビニルベンジルアミンなどが挙げられる。
前記1級又は2級アミノ基を1個含有する化合物としては、例えば、アルキルアミン(メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン)、環状アルキルアミン(シクロペンチルアミン、シクロへキシルアミン等)、アラルキルアミン(ベンジルアミン、フェネチルアミン等)、アリールアミン(アニリン、トルイルアミン、キシリルアミン、ナフチルアミン等)、更にこれらの組合せ(N−メチル−N−ベンジルアミン等)、更に置換基を含むアミン(トリフロロエチルアミン、ヘキサフロロイソプロピルアミン、メトキシアニリン、メトキシプロピルアミン等)などが挙げられる。
また、これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらをビニル(共)重合させることにより酸性基、酸無水物基および必要に応じて水酸基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、酸ハライド基、活性ハライド基などを含有する(共)重合体が得られる。前記ビニル(共)重合体は、それぞれ相当するモノマーを公知の方法により常法に従って共重合させることで調製することができる。例えば、前記モノマーを適当な溶媒中に溶解し、ここにラジカル重合開始剤を添加して溶液中で重合させる方法(溶液重合法)を利用することにより調製することができる。また、水性媒体中に前記モノマーを分散させた状態でいわゆる乳化重合等で重合を利用することにより調製することができる。
このようにして得られた(共)重合体に対して、前記(4)として、これらの共重合体中の酸性基、および必要に応じて水酸基、アミノ基、イソシアネート基、グリシジル基、酸ハライド基の少なくとも1種に対して反応性を有する官能基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを高分子反応させることによって得られる。
前記該(4)の(共)重合体中の酸性基、又は高分子反応に利用可能な官能基の少なくとも1種に対して反応性を有する官能基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、前述の(2)に示した化合物などが利用できる。
これらの高分子反応を行なう場合の官能基の組合せの例としては、例えば、酸性基(カルボキシル基など)を有する共重合体とエポキシ基を有するビニルモノマーの組合せ、アミノ基を有する共重合体とエポキシ基を有するビニルモノマーの組合せ、アミノ基を有する共重合体とイソシアネート基を有するビニルモノマーの組合せ、水酸基を有する共重合体とイソシアネート基を有するビニルモノマーの組合せ、水酸基を有する共重合体と酸ハライド基を有するビニルモノマーの組合せ、アミノ基を有する共重合体と活性ハライド基を有するビニルモノマーの組合わせ、酸無水物基を有する共重合体と水酸基を有するビニルモノマーの組合せ、イソシアネート基を有する共重合体とアミノ基を有するビニルモノマーの組合せ、イソシアネート基を有する共重合体と水酸基を有するビニルモノマーの組合せ、活性ハライド基を有する共重合体とアミノ基を有するビニルモノマーの組合わせ、などが挙げられる。またこれらの組合せは2種以上を併用しても構わない。
前記バインダーの市販品としては、例えば、「カネカレジンAXE;鐘淵化学工業(株)製」、「サイクロマー(CYCLOMER) A−200;ダイセル化学工業(株)製」、「サイクロマー(CYCLOMER) M−200;ダイセル化学工業(株)製」、「SPCP1X、SPCP2X、SPCP3X;昭和高分子(株)製」などを用いることができる。
更に、特開昭50−59315号公報記載のヒドロキシアルキルアクリレート又はヒドロキシアルキルメタクリレートとポリカルボン酸無水物及びエピハロヒドリンのいずれかとの反応物などを用いることができる。
また、特開平5−70528号公報記載のフルオレン骨格を有するエポキシアクリレートに酸無水物を付加させて得られる化合物、特開平11−288087号公報記載のポリアミド(イミド)樹脂、特開平2−097502号公報や特開平11−282155号公報記載のポリイミド前駆体などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記アクリル樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシアクリレート、ポリアミド(イミド)、アミド基含有スチレン/酸無水物共重合体、あるいは、ポリイミド前駆体などのバインダーの分子量は、3,000〜500,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましい。該分子量が3,000未満であると、感光層表面のタック性が強くなることがあり、後述する感光層の硬化後において、膜質が脆くなる、あるいは、表面硬度が劣化することがあり、500,000を超えると、現像性が劣化することがある。
前記バインダーとしては、無水マレイン酸共重合体の無水物基に対して1級アミン化合物を1種以上反応させて得られる共重合体も利用できる。該共重合体は下記構造式(14)で表される、マレイン酸ハーフアミド構造を有するマレアミド酸ユニットBと、前記マレイン酸ハーフアミド構造を有しないユニットAと、を少なくとも含むマレアミド酸系共重合体であるのが好ましい。
前記ユニットAは1種であってもよいし、2種以上であってもよい。例えば、前記ユニットBが1種であるとすると、前記ユニットAが1種である場合には、前記マレアミド酸系共重合体が2元共重合体を意味することになり、前記ユニットAが2種である場合には、前記マレアミド酸系共重合体が3元共重合体を意味することになる。
前記ユニットAとしては、置換基を有していてもよいアリール基と、後述するビニル単量体であって、該ビニル単量体のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃未満であるビニル単量体(c)との組合せが好適に挙げられる。
ただし、前記構造式(14)中、R93及びR94は水素原子及び低級アルキル基のいずれかを表す。x及びyは繰り返し単位のモル分率を表し、例えば、前記ユニットAが1種の場合、xは85〜50モル%であり、yは15〜50モル%である。
前記構造式(14)中、R91としては、例えば、(−COOR95)、(−CONR9697)、置換基を有していてもよいアリール基、(−OCOR98)、(−OR99)、(−COR100)などの置換基が挙げられる。ここで、前記R95〜R100は、水素原子(−H)、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基及びアラルキル基のいずれかを表す。該アルキル基、アリール基及びアラルキル基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。
前記R95〜R100としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、アリル、n−ヘキシル、シクロへキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、メトキシエチル、フェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、ベンジル、フェネチル、ナフチル、クロロフェニルなどが挙げられる。
前記R91の具体例としては、例えば、フェニル、α−メチルフェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル等のベンゼン誘導体;n−プロピルオキシカルボニル、n−ブチルオキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、n−ブチルオキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、メチルオキシカルボニルなどが挙げられる。
前記R92としては、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。これらは、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。前記R92の具体例としては、例えば、ベンジル、フェネチル、3−フェニル−1−プロピル、4−フェニル−1−ブチル、5−フェニル−1−ペンチル、6−フェニル−1−ヘキシル、α−メチルベンジル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル、2−(p−トリル)エチル、β―メチルフェネチル、1−メチル−3−フェニルプロピル、2−クロロベンジル、3−クロロベンジル、4−クロロベンジル、2−フロロベンジル、3−フロロベンジル、4−フロロベンジル、4−ブロモフェネチル、2−(2−クロロフェニル)エチル、2−(3−クロロフェニル)エチル、2−(4−クロロフェニル)エチル、2−(2−フロロフェニル)エチル、2−(3−フロロフェニル)エチル、2−(4−フロロフェニル)エチル、4−フロロ−α,α−ジメチルフェネチル、2−メトキシベンジル、3−メトキシベンジル、4−メトキシベンジル、2−エトキシベンジル、2−メトキシフェネチル、3−メトキシフェネチル、4−メトキシフェネチル、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ラウリル、フェニル、1−ナフチル、メトキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、3−メトキシプロピル、2−ブトキシエチル、2−シクロへキシルオキシエチル、3−エトキシプロピル、3−プロポキシプロピル、3−イソプロポキシプロピルアミンなどが挙げられる。
前記バインダーは、特に、(a)無水マレイン酸と、(b)芳香族ビニル単量体と、(c)ビニル単量体であって、該ビニル単量体のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃未満であるビニル単量体と、からなる共重合体の無水物基に対して1級アミン化合物を反応させて得られる共重合体であるのが好ましい。該(a)成分と、該(b)成分と、からなる共重合体では、後述する感光層の高い表面硬度を得ることはできるものの、ラミネート性の確保が困難になることがある。また、該(a)成分と、該(c)成分と、からなる共重合体では、ラミネート性は確保することができるものの、前記表面硬度の確保が困難になることがある。
−−(b)芳香族ビニル単量体−−
前記芳香族ビニル単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記感光性組成物を用いて形成される感光層の表面硬度を高くすることができる点で、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃以上である化合物が好ましく、100℃以上である化合物がより好ましい。
前記芳香族ビニル単量体の具体例としては、例えば、スチレン(ホモポリマーのTg=100℃)、α−メチルスチレン(ホモポリマーのTg=168℃)、2−メチルスチレン(ホモポリマーのTg=136℃)、3−メチルスチレン(ホモポリマーのTg=97℃)、4−メチルスチレン(ホモポリマーのTg=93℃)、2,4−ジメチルスチレン(ホモポリマーのTg=112℃)などのスチレン誘導体が好適に挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−(c)ビニル単量体−−
前記ビニル単量体は、該ビニル単量体のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃未満であることが必要であり、40℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましい。
前記ビニル単量体としては、例えば、n−プロピルアクリレート(ホモポリマーのTg=−37℃)、n−ブチルアクリレート(ホモポリマーのTg=−54℃)、ペンチルアクリレート、あるいはヘキシルアクリレート(ホモポリマーのTg=−57℃)、n−ブチルメタクリレート(ホモポリマーのTg=−24℃)、n−ヘキシルメタクリレート(ホモポリマーのTg=−5℃)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−1級アミン化合物−−
前記1級アミン化合物としては、例えば、ベンジルアミン、フェネチルアミン、3−フェニル−1−プロピルアミン、4−フェニル−1−ブチルアミン、5−フェニル−1−ペンチルアミン、6−フェニル−1−ヘキシルアミン、α−メチルベンジルアミン、2−メチルベンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン、2−(p−トリル)エチルアミン、β−メチルフェネチルアミン、1−メチル−3−フェニルプロピルアミン、2−クロロベンジルアミン、3−クロロベンジルアミン、4−クロロベンジルアミン、2−フロロベンジルアミン、3−フロロベンジルアミン、4−フロロベンジルアミン、4−ブロモフェネチルアミン、2−(2−クロロフェニル)エチルアミン、2−(3−クロロフェニル)エチルアミン、2−(4−クロロフェニル)エチルアミン、2−(2−フロロフェニル)エチルアミン、2−(3−フロロフェニル)エチルアミン、2−(4−フロロフェニル)エチルアミン、4−フロロ−α,α−ジメチルフェネチルアミン、2−メトキシベンジルアミン、3−メトキシベンジルアミン、4−メトキシベンジルアミン、2−エトキシベンジルアミン、2−メトキシフェネチルアミン、3−メトキシフェネチルアミン、4−メトキシフェネチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、1−プロピルアミン、ブチルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、アニリン、オクチルアニリン、アニシジン、4−クロルアニリン、1−ナフチルアミン、メトキシメチルアミン、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、2−ブトキシエチルアミン、2−シクロヘキシルオキシエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミンなどが挙げられる。これらの中でも、ベンジルアミン、フェネチルアミンが特に好ましい。
前記1級アミン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記1級アミン化合物の反応量としては、前記無水物基に対して0.1〜1.2当量であることが必要であり、0.1〜1.0当量が好ましい。該反応量が1.2当量を超えると、前記1級アミン化合物を1種以上反応させた場合に、溶解性が著しく悪化することがある。
前記(a)無水マレイン酸の前記バインダーにおける含有量は、15〜50mol%が好ましく、20〜45mol%がより好ましく、20〜40mol%が特に好ましい。該含有量が15mol%未満であると、アルカリ現像性の付与ができず、50mol%を超えると、耐アルカリ性が劣化し、また、前記共重合体の合成が困難になり、正常な永久パターンの形成を行うことができないことがある。また、この場合における、前記(b)芳香族ビニル単量体、及び(c)ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃未満であるビニル単量体の前記バインダーにおける含有量は、それぞれ20〜60mol%、15〜40mol%が好ましい。該含有量が該数値範囲を満たす場合には、表面硬度及びラミネート性の両立を図ることができる。
前記アクリル樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシアクリレート、ポリアミド(イミド)、前記無水マレイン酸共重合体の無水物基に1級アミン化合物を反応させた化合物、あるいは、ポリイミド前駆体などのバインダーの分子量は、3,000〜500,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましい。該分子量が3,000未満であると、感光層表面のタック性が強くなることがあり、後述する感光層の硬化後において、膜質が脆くなる、あるいは、表面硬度が劣化することがあり、500,000を超えると、現像性が劣化することがある。
前記バインダーの前記感光性組成物の固形分中の固形分含有量は、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。該固形分含有量が、5質量%未満であると、感光層の膜強度が弱くなりやすく、該感光層の表面のタック性が悪化することがあり、50質量%を超えると、露光感度が低下することがある。
<重合性化合物>
前記重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ウレタン基及びアリール基の少なくともいずれかを有するモノマー又はオリゴマーが好適に挙げられる。また、これらは、重合性基を2種以上有することが好ましい。
前記重合性基としては、例えば、エチレン性不飽和結合(例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、ビニルエステルやビニルエーテル等のビニル基、アリルエーテルやアリルエステル等のアリル基など)、重合可能な環状エーテル基(例えば、エポキシ基、オキセタン基等)などが挙げられ、これらの中でもエチレン性不飽和結合が好ましい。
−−ウレタン基を有するモノマー−−
前記ウレタン基を有するモノマーとしては、ウレタン基を有する限り、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特公昭48−41708、特開昭51−37193、特公平5−50737、特公平7−7208、特開2001−154346、特開2001−356476号公報等に記載されている化合物などが挙げられ、例えば、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物と分子中に水酸基を有するビニルモノマーとの付加物などが挙げられる。
前記分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート等のジイソシアネート;該ジイソシアネートを更に2官能アルコールとの重付加物(この場合も両末端はイソシアネート基);該ジイソシアネートのビュレット体やイソシアヌレート等の3量体;該ジイソシアネート若しくはジイソシアネート類と、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、グリセリン等の多官能アルコール、又はこれらのエチレンオキシド付加物等の得られる他官能アルコールとの付加体などが挙げられる。
前記分子中に水酸基を有するビニルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体(ランダム、ブロック等)などの異なるアルキレンオキシド部を有するジオール体の片末端(メタ)アクリレート体などが挙げられる。
また、前記ウレタン基を有するモノマーとしては、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリレート等のイソシアヌレート環を有する化合物が挙げられる。これらの中でも、下記構造式(15)、又は構造式(16)で表される化合物が好ましく、テント性の観点から、前記構造式(16)で示される化合物を少なくとも含むことが特に好ましい。また、これらの化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記構造式(15)及び(16)中、R´〜R´は、それぞれ水素原子又はメチル基を表す。X〜Xは、アルキレンオキサイドを表し、1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アルキレンオキサイド基としては、例えば、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基、ペンチレンオキサイド基、ヘキシレンオキサイド基、これらを組み合わせた基(ランダム、ブロックのいずれに組み合わされてもよい)などが好適に挙げられ、これらの中でも、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基、又はこれらの組み合わせた基が好ましく、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基がより好ましい。
前記構造式(15)及び(16)中、m〜mは、1〜60の整数を表し、2〜30が好ましく、4〜15がより好ましい。
前記構造式(15)及び(16)中、Y及びYは、炭素原子数2〜30の2価の有機基を表し、例えば、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、カルボニル基(−CO−)、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、イミノ基の水素原子が1価の炭化水素基で置換された置換イミノ基、スルホニル基(−SO−)又はこれらを組み合わせた基などが好適に挙げられ、これらの中でも、アルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせた基が好ましい。
前記アルキレン基は、分岐構造又は環状構造を有していてもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ネオペンチレン基、ヘキシレン基、トリメチルヘキシレン基、シクロへキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、2−エチルヘキシレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、オクタデシレン基、又は下記に示すいずれかの基などが好適に挙げられる。
前記アリーレン基としては、炭化水素基で置換されていてもよく、例えば、フェニレン基、トリレン基、ジフェニレン基、ナフチレン基、又は下記に示す基などが好適に挙げられる。
前記これらを組み合わせた基としては、例えば、キシリレン基などが挙げられる。
前記アルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせた基としては、更に置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アリール基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、2−エトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ブチリルオキシ基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)などが挙げられる。
前記構造式(15)及び(16)中、nは3〜6の整数を表し、重合性モノマーを合成するための原料供給性などの観点から、3、4又は6が好ましい。
前記構造式(15)及び(16)中、Zはn価(3価〜6価)の連結基を表し、例えば、下記に示すいずれかの基などが挙げられる。
但し、Xはアルキレンオキサイドを表す。mは、1〜20の整数を表す。nは、3〜6の整数を表す。Aは、n価(3価〜6価)の有機基を表す。
前記Aとしては、例えば、3価〜6価の脂肪族基、3価〜6価の芳香族基、又はこれらとアルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子、イミノ基、イミノ基の水素原子が1価の炭化水素基で置換された置換イミノ基、又はスルホニル基とを組み合わせた基が好ましく、3価〜6価の脂肪族基、3価〜6価の芳香族基、又はこれらとアルキレン基、アリーレン基、酸素原子とを組み合わせた基がより好ましく、3価〜6価の脂肪族基、3価〜6価の脂肪族基とアルキレン基、酸素原子とを組み合わせた基が特に好ましい。
前記Aの炭素原子数としては、例えば、1〜100の整数が好ましく、1〜50の整数がより好ましく、3〜30の整数が特に好ましい。
前記n価(3価〜6価)の脂肪族基としては、分岐構造又は環状構造を有していてもよい。
前記脂肪族基の炭素原子数としては、例えば、1〜30の整数が好ましく、1〜20の整数がより好ましく、3〜10の整数が特に好ましい。
前記芳香族基の炭素原子数としては、6〜100の整数が好ましく、6〜50の整数がより好ましく、6〜30の整数が特に好ましい。
前記n価(3価〜6価)の脂肪族基、又は芳香族基は、更に置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アリール基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、2−エトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ブチリルオキシ基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)などが挙げられる。
前記アルキレン基は、分岐構造又は環状構造を有していてもよい。
前記アルキレン基の炭素原子数としては、例えば、1〜18の整数が好ましく、1〜10の整数がより好ましい。
前記アリーレン基は、炭化水素基で更に置換されていてもよい。
前記アリーレン基の炭素原子数としては、6〜18の整数が好ましく、6〜10の整数がより好ましい。
前記置換イミノ基の1価の炭化水素基の炭素原子数としては、1〜18の整数が好ましく、1〜10の整数がより好ましい。
前記Aの好ましい例は以下の通りである。
前記構造式(15)及び(16)で表される化合物としては、例えば下記構造式(17)〜(36)で表される化合物などが挙げられる。
但し、前記構造式(17)〜(36)中、n、n、n10、及びmは、1〜60を意味し、lは、1〜20を意味し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
−−アリール基を有するモノマー−−
前記アリール基を有するモノマーとしては、アリール基を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アリール基を有する多価アルコール化合物、多価アミン化合物及び多価アミノアルコール化合物の少なくともいずれかと不飽和カルボン酸とのエステル又はアミドなどが挙げられる。
前記アリール基を有する多価アルコール化合物、多価アミン化合物又は多価アミノアルコール化合物としては、例えば、ポリスチレンオキサイド、キシリレンジオール、ジ−(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,5−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、2、2−ジフェニル−1,3−プロパンジオール、ヒドロキシベンジルアルコール、ヒドロキシエチルレゾルシノール、1−フェニル−1,2−エタンジオール、2,3,5,6−テトラメチル−p−キシレン−α,α’−ジオール、1,1,4,4−テトラフェニル−1,4−ブタンジオール、1,1,4,4−テトラフェニル−2−ブチン−1,4−ジオール、1,1’−ビ−2−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、1,1’−メチレン−ジ−2−ナフトール、1,2,4−ベンゼントリオール、ビフェノール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン、カテコール、4−クロルレゾルシノール、ハイドロキノン、ヒドロキシベンジルアルコール、メチルハイドロキノン、メチレン−2,4,6−トリヒドロキシベンゾエート、フロログリシノール、ピロガロール、レゾルシノール、α−(1−アミノエチル)−p−ヒドロキシベンジルアルコール、α−(1−アミノエチル)−p−ヒドロキシベンジルアルコール、3−アミノ−4−ヒドロキシフェニルスルホンなどが挙げられる。また、この他、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、ノボラック型エポキシ樹脂やビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジル化合物にα、β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物、フタル酸やトリメリット酸などと分子中に水酸基を含有するビニルモノマーから得られるエステル化物、フタル酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、ベンゼンジスルホン酸ジアリル、重合性モノマーとしてカチオン重合性のジビニルエーテル類(例えば、ビスフェノールAジビニルエーテル)、エポキシ化合物(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等)、ビニルエステル類(例えば、ジビニルフタレート、ジビニルテレフタレート、ジビニルベンゼン−1,3−ジスルホネート等)、スチレン化合物(例えば、ジビニルベンゼン、p−アリルスチレン、p−イソプロペンスチレン等)が挙げられる。これらの中でも下記構造式(37)で表される化合物が好ましい。
前記構造式(37)中、R´、R´は、水素原子又はアルキル基を表す。
前記構造式(37)中、X及びXは、アルキレンオキサイド基を表し、1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。該アルキレンオキサイド基としては、例えば、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基、ペンチレンオキサイド基、ヘキシレンオキサイド基、これらを組み合わせた基(ランダム、ブロックのいずれに組み合わされてもよい)、などが好適に挙げられ、これらの中でも、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基、又はこれらを組み合わせた基が好ましく、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基がより好ましい。
前記構造式(37)中、m、m10は、1〜60の整数が好ましく、2〜30の整数がより好ましく、4〜15の整数が特に好ましい。
前記構造式(37)中、Tは、2価の連結基を表し、例えば、メチレン、エチレン、MeCMe、CFCCF、CO、SOなどが挙げられる。
前記構造式(37)中、Ar、Arは、置換基を有していてもよいアリール基を表し、例えば、フェニレン、ナフチレンなどが挙げられる。前記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン基、アルコキシ基、又はこれらの組合せなどが挙げられる。
前記アリール基を有するモノマーの具体例としては、2,2−ビス〔4−(3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリルオキシエトキシ)フェニル〕プロパン、フェノール性のOH基1個に置換しさせたエトキシ基の数が2から20である2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル)プロパン(例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン等)、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリルオキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、フェノール性のOH基1個に置換させたエトキシ基の数が2から20である2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン(例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシジプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシペンタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシペンタデカプロポキシ)フェニル)プロパン等)、又はこれらの化合物のポリエーテル部位として同一分子中にポリエチレンオキシド骨格とポリプロピレンオキシド骨格の両方を含む化合物(例えば、WO01/98832号公報に記載の化合物等、又は、市販品として、新中村化学工業社製、BPE−200、BPE−500、BPE−1000)、ビスフェノール骨格とウレタン基とを有する重合性化合物などが挙げられる。なお、これらは、ビスフェノールA骨格に由来する部分をビスフェノールF又はビスフェノールS等に変更した化合物であってもよい。
前記ビスフェノール骨格とウレタン基とを有する重合性化合物としては、例えば、ビスフェノールとエチレンオキシド又はプロピレンオキシド等の付加物、重付加物として得られる末端に水酸基を有する化合物にイソシアネート基と重合性基とを有する化合物(例えば、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、α、α−ジメチル−ビニルベンジルイソシアネート等)などが挙げられる。
−−その他の重合性モノマー−−
前記感光性組成物中には、該感光性組成物を用いて形成する感光層の特性を悪化させない範囲で、前記ウレタン基を含有するモノマー、アリール基を有するモノマー以外の重合性モノマーを併用してもよい。
前記ウレタン基を含有するモノマー、芳香環を含有するモノマー以外の重合性モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミドなどが挙げられる。
前記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルのモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜18であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ドデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2から18であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ドデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、1,5−ベンタンジオール(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール鎖/プロピレングリコール鎖を少なくとも各々一つずつ有するアルキレングリコール鎖のジ(メタ)アクリレート(例えば、WO01/98832号公報に記載の化合物等)、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの少なくともいずれかを付加したトリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、キシレノールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステル類の中でも、その入手の容易さ等の観点から、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール鎖/プロピレングリコール鎖を少なくとも各々一つずつ有するアルキレングリコール鎖のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加したトリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリル酸エステルなどが好ましい。
前記イタコン酸と前記脂肪族多価アルコール化合物とのエステル(イタコン酸エステル)としては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4ーブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリトリトールジイタコネート、及びソルビトールテトライタコネートなどが挙げられる。
前記クロトン酸と前記脂肪族多価アルコール化合物とのエステル(クロトン酸エステル)としては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリトリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネートなどが挙げられる。
前記イソクロトン酸と前記脂肪族多価アルコール化合物とのエステル(イソクロトン酸エステル)としては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリトリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネートなどが挙げられる。
前記マレイン酸と前記脂肪族多価アルコール化合物とのエステル(マレイン酸エステル)としては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリトリトールジマレート、ソルビトールテトラマレートなどが挙げられる。
前記多価アミン化合物と前記不飽和カルボン酸類から誘導されるアミドとしては、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、オクタメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミンビス(メタ)アクリルアミド、などが挙げられる。
また、上記以外にも、前記重合性モノマーとして、例えば、ブタンジオール−1,4−ジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等のグリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレートやポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー類、エポキシ化合物(例えば、ブタンジオール−1,4−ジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルなど)と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレート、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマー、アリルエステル(例えば、フタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、マロン酸ジアリル、ジアリルアミド(例えば、ジアリルアセトアミド等)、カチオン重合性のジビニルエーテル類(例えば、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリトリトールテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル等)、エポキシ化合物(例えば、ブタンジオール−1,4−ジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等)、オキセタン類(例えば、1,4−ビス〔(3−エチルー3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン等)、エポキシ化合物、オキセタン類(例えば、WO01/22165号公報に記載の化合物)、N−β−ヒドロキシエチル−β−(メタクリルアミド)エチルアクリレート、N,N−ビス(β−メタクリロキシエチル)アクリルアミド、アリルメタクリレート等の異なったエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する化合物などが挙げられる。
前記ビニルエステル類としては、例えば、ジビニルサクシネート、ジビニルアジペートなどが挙げられる。
これらの多官能モノマー又はオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記重合性モノマーは、必要に応じて、分子内に重合性基を1個含有する重合性化合物(単官能モノマー)を併用してもよい。
前記単官能モノマーとしては、例えば、前記バインダーの原料として例示した化合物、特開平6−236031号公報に記載されている2塩基のモノ((メタ)アクリロイルオキシアルキルエステル)モノ(ハロヒドロキシアルキルエステル)等の単官能モノマー(例えば、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−メタクリロイルオキシエチル−o−フタレート等)、特許2744643号公報、WO00/52529号パンフレット、特許2548016号公報等に記載の化合物が挙げられる。
また、前記重合性化合物としては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能な基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物が好ましく、例えば、上記のモノマーの中でも、(メタ)アクリル基を有するモノマーから選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。
前記(メタ)アクリル基を有するモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンやグリセリン、ビスフェノール等の多官能アルコールに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加反応した後で(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号等の各公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号等の各公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレートやメタクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
前記重合性化合物の前記感光性組成物固形分中の固形分含有量は、5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。該固形分含有量が5質量%未満であると、現像性の悪化、露光感度の低下などの問題を生ずることがあり、50質量%を超えると、感光層の粘着性が強くなりすぎることがあり、好ましくない。
また、重合性化合物中に前記重合性基を2個以上有する多官能モノマーの含有量としては、5〜100質量%が好ましく、20〜100質量%がより好ましく、40〜100質量%が特に好ましい。
<光重合開始系化合物>
前記光重合開始系化合物は、光重合開始剤(ラジカル発生剤、及び水素供与体等)、及び増感剤を含んでなる。
前記光重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができるが、例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましく、光励起された前記増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、前記光重合開始剤は、約300〜800nm(より好ましくは330〜500nm)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましい。
<<光重合開始剤>>
前記光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの等)、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、メタロセン類、及びアシルホスフィンオキシド化合物などが挙げられる。
前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載化合物などが挙げられ、オキサジアゾール骨格を有する化合物としては、例えば、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物などが挙げられる。
前記若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物としては、例えば、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記英国特許1388492号明細書記載の化合物としては、例えば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記特開昭53−133428号公報記載の化合物としては、例えば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記独国特許3337024号明細書記載の化合物としては、例えば、2−(4−スチリルフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−メトキシスチリル)フェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(1−ナフチルビニレンフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−クロロスチリルフェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−チオフェン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−チオフェン−3−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−フラン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(4−ベンゾフラン−2−ビニレンフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物としては、例えば、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリ(ブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロロメチル−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記特開昭62−58241号公報記載の化合物としては、例えば、2−(4−フェニルエチニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ナフチル−1−エチニルフェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−トリルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−メトキシフェニル)エチニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−イソプロピルフェニルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(4−エチルフェニルエチニル)フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記特開平5−281728号公報記載の化合物としては、例えば、2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,6−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記特開平5−34920号公報記載化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−1,3,5−トリアジン、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−s−トリアジン化合物、更に2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンなどが挙げられる。
前記米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物としては、例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール;2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾールなどが挙げられる。
前記ヘキサアリールビイミダゾールとしては、例えば、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−フロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(3−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(4−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(4−メトキシフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−トリフルオロメチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、WO00/52529号公報に記載の化合物などが挙げられる。
前記ビイミダゾール類は、例えば、Bull.Chem.Soc.Japan,33,565(1960)、及びJ.Org.Chem,36(16)2262(1971)に開示されている方法により容易に合成することができる。
前記オキシム誘導体としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
前記ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾルフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロル−チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシー2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドンなどが挙げられる。
前記メタロセン類としては、例えば、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフロロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η−シクロペンタジエニル−η−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフロロホスフェート(1−)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる。
前記アシルホスフィンオキシド化合物としては、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキシド、LucirinTPOなどが挙げられる。
また、上記以外の光重合開始剤として、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等)、N−フェニルグリシン等、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトン等)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、また、特開平5−19475号、特開平7−271028号、特開2002−363206号、特開2002−363207号、特開2002−363208号、特開2002−363209号公報等に記載のクマリン化合物など)、アミン類(例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸n−ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸フェネチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−フタルイミドエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−メタクリロイルオキシエチル、ペンタメチレンビス(4−ジメチルアミノベンゾエート)、3−ジメチルアミノ安息香酸のフェネチル、ペンタメチレンエステル、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、2−クロル−4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジメチルアミノベンジルアルコール、エチル(4−ジメチルアミノベンゾイル)アセテート、4−ピペリジノアセトフェノン、4−ジメチルアミノベンゾイン、N,N−ジメチル−4−トルイジン、N,N−ジエチル−3−フェネチジン、トリベンジルアミン、ジベンジルフェニルアミン、N−メチル−N−フェニルベンジルアミン、4−ブロム−N,N−ジメチルアニリン、トリドデシルアミン、アミノフルオラン類(ODB,ODBII等)、クリスタルバイオレットラクトン、ロイコクリスタルバイオレット等)などが挙げられる。
更に、米国特許第2367660号明細書に記載されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載されているα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号明細書及び同第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、特開2002−229194号公報に記載の有機ホウ素化合物、ラジカル発生剤、トリアリールスルホニウム塩(例えば、ヘキサフロロアンチモンやヘキサフロロホスフェートとの塩)、ホスホニウム塩化合物(例えば、(フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウム塩等)(カチオン重合開始剤として有効)、WO01/71428号公報記載のオニウム塩化合物などが挙げられる。
前記光重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤の特に好ましい例としては、後述する露光において、波長が405nmのレーザ光に対応可能である、前記ホスフィンオキサイド類、前記α−アミノアルキルケトン類、前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物と後述する増感剤としてのアミン化合物とを組合せた複合光開始剤、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、あるいは、チタノセンなどが挙げられる。
前記光重合開始剤の前記感光性組成物における含有量としては、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、0.5〜15質量%が特に好ましい。
<<増感剤>>
前記感光層への露光における露光感度や感光波長を調整する目的で、前記光重合開始剤に加えて、増感剤を添加することが可能である。
前記増感剤は、後述する光照射手段としての可視光線や紫外光レーザ及び可視光レーザなどにより適宜選択することができる。
前記増感剤は、活性エネルギー線により励起状態となり、他の物質(例えば、ラジカル発生剤、酸発生剤等)と相互作用(例えば、エネルギー移動、電子移動等)することにより、ラジカルや酸等の有用基を発生することが可能である。
前記光重合開始剤と前記増感剤との組合せとしては、例えば、特開2001−305734号公報に記載の電子移動型開始系[(1)電子供与型開始剤及び増感色素、(2)電子受容型開始剤及び増感色素、(3)電子供与型開始剤、増感色素及び電子受容型開始剤(三元開始系)]などの組合せが挙げられる。
前記増感剤としては、特に制限はなく、公知の増感剤の中から適宜選択することができるが、例えば、公知の多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、インドカルボシアニン、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリドン類(例えば、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドン(例えば、2−クロロ−10−ブチルアクリドン等)など)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、特開平5−19475号、特開平7−271028号、特開2002−363206号、特開2002−363207号、特開2002−363208号、特開2002−363209号等の各公報に記載のクマリン化合物など)、及びチオキサントン化合物(チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルオキシチオキサントン、QuantacureQTX等)などがあげられ、が挙げられ、これらの中でも、芳香族環や複素環が縮環した化合物(縮環系化合物)、並びに、少なくとも2つの芳香族炭化水素環及び芳香族複素環のいずれかで置換されたアミン系化合物が好ましい。
前記縮環系化合物の中でも、ヘテロ縮環系ケトン化合物(アクリドン系化合物、チオキサントン系化合物、クマリン系化合物等)、及びアクリジン系化合物がより好ましい。前記ヘテロ縮環系ケトン化合物の中でも、アクリドン化合物及びチオキサントン化合物が特に好ましい。
前記少なくとも2つの芳香族炭化水素環及び芳香族複素環のいずれかで置換されたアミン系化合物は、330〜450nmの波長域の光に対して吸収極大を有する増感剤であることが好ましく、例えば、ジ置換アミノベンゾフェノン系化合物、ベンゼン環上のアミノ基に対し、パラ位の炭素原子に複素環基を置換基として有するジ置換アミノ−ベンゼン系化合物、ベンゼン環上のアミノ基に対し、パラ位の炭素原子にスルホニルイミノ基を含む置換基を有するジ置換アミノ−ベンゼン系化合物、及びカルボスチリル骨格を形成したジ置換アミノ−ベンゼン系化合物、並びに、少なくとも2個の芳香族環が窒素原子に結合した構造を有する化合物等のジ置換アミノ−ベンゼンを部分構造として有する化合物が挙げられる。
〔ジ置換アミノベンゾフェノン系化合物〕
前記ジ置換アミノベンゾフェノン系化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
ただし、前記一般式(I)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、脂肪族基及び芳香族基のいずれかを表し、R、R、R、R、及びR〜R12は、それぞれ独立して、水素原子及び一価の置換基のいずれかを表す。RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、及びRとRは、それぞれ独立して、含窒素複素環を形成していてもよい。
なお、前記一般式(I)中、前記脂肪族基は、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表し、前記芳香族基は、それぞれ置換基を有していてもよいアリール基、複素環(ヘテロ環)基を表し、前記1価の置換基としては、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアミノ基、アルコキシカルボニル基、水酸基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基、シリル基、ニトロ基、シアノ基、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。
前記芳香族基としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基を挙げることができ、中でも、フェニル基、ナフチル基が特に好ましい。
また、これらの芳香族基は置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基が挙げられる。例えば、後述のアルキル基、置換アルキル基、又は置換アルキル基における置換基として示したものなどを挙げることができる。
また、前記複素環(ヘテロ環)基としては、ピロール環基、フラン環基、チオフェン環基、ベンゾピロール環基、ベンゾフラン環基、ベンゾチオフェン環基、ピラゾール環基、イソキサゾール環基、イソチアゾール環基、インダゾール環基、ベンゾイソキサゾール環基、ベンゾイソチアゾール環基、イミダゾール環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、ベンズイミダゾール環基、ベンズオキサゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリダジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、フタラジン環基、キナゾリン環基、キノキサリン環基、アシリジン環基、フェナントリジン環基、カルバゾール環基、プリン環基、ピラン環基、ピペリジン環基、ピペラジン環基、モルホリン環基、インドール環基、インドリジン環基、クロメン環基、シンノリン環基、アクリジン環基、フェノチアジン環基、テトラゾール環基、トリアジン環基等が挙げられ、中でも、フラン環基、チオフェン環基、イミダゾール環基、チアゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ピリジン環基、インドール環基、アクリジン環基が特に好ましい。
また、これらの複素環基は置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、水素原子を除く1価の非金属原子団からなる基が挙げられる。例えば、後述のアルキル基、置換アルキル基、又は置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
前記1価の置換基としては、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアミノ基、アルコキシカルボニル基、水酸基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基、シリル基、ニトロ基、シアノ基、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましい。
また、前記非金属原子からなる1価の置換基としては、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましい。
前記置換基を有していてもよいアルキル基としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、および環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
前記置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、水素原子を除く一価の非金属原子からなる置換基が挙げられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィイナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基(−PO)およびその共役塩基基(ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))「alkyl=アルキル基、以下同」、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))「aryl=アリール基、以下同」、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))及びその共役塩基基(アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、シリル基等が挙げられる。
これらの置換基におけるアルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、前記置換基におけるアリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基等が挙げられる。
また、前記置換基におけるアルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、前記置換基におけるアルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
前記置換基におけるヘテロ環基としては、例えば、ピリジル基、ピペリジニル基、などが挙げられる。
前記置換基におけるシリル基としてはトリメチルシリル基等が挙げられる。
前記置換基にはアシル基(R01CO−)を含んでいてもよく、該アシル基としては、該R01が、例えば、水素原子、上記のアルキル基、アリール基のものなどが挙げられる。
アシル基(R01CO−)のR01としては、水素原子、並びに前記アルキル基、アリール基を挙げることができる。これらの置換基の内、さらにより好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、モノアルキルホスホノ基、アルキルホスホナト基、モノアリールホスホノ基、アリールホスホナト基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。このような置換基とアルキレン基を組み合わせることで得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、s−ブトキシブチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、ピリジルメチル基、テトラメチルピペリジニルメチル基、N−アセチルテトラメチルピペリジニルメチル基、トリメチルシリルメチル基、メトキシエチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等が挙げられる。
前記アリール基としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
前記置換アリール基としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
前記置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリルフェニル基、1−プロペニルメチルフェニル基、2−ブテニルフェニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基等を挙げることができる。
前記アルケニル基、前記置換アルケニル基、前記アルキニル基、及び前記置換アルキニル基(−C(R02)=C(R03)(R04)、及び−C≡C(R05))としては、R02、R03、R04、R05が一価の非金属原子からなる基のものが使用できる。
02、R03、R04、R05としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基が好ましく、これらの具体例としては、前述の例として示したものを挙げることができる。これらの中でも、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1から10までの直鎖状、分岐状、環状のアルキル基がより好ましい。
具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−オクテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−ブテニル基、2−フェニル−1−エテニル基、2−クロロ−1−エテニル基、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、フェニルエチニル基等が挙げられる。
ヘテロ環基としては、置換アルキル基の置換基として例示したピリジル基等が挙げられる。
上記置換オキシ基(R06O−)としては、R06が水素原子を除く一価の非金属原子からなる基であるものを用いることができる。好ましい置換オキシ基としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、ならびにアリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基ならびに、アリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。また、アシルオキシ基におけるアシル基(R07CO−)としては、R07が、先の例として挙げたアルキル基、置換アルキル基、アリール基ならびに置換アリール基のものを挙げることができる。これらの置換基の中では、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、アリールスルホキシ基がより好ましい。好ましい置換オキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、アリルオキシ基、フェネチルオキシ基、カルボキシエチルオキシ基、メトキシカルボニルエチルオキシ基、エトキシカルボニルエチルオキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、モルホリノエトキシ基、モルホリノプロピルオキシ基、アリロキシエトキシエトキシ基、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、メシチルオキシ基、クメニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、エトキシフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、ブロモフェニルオキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフチルオキシ基、フェニルスルホニルオキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基等が挙げられる。
アミド基も含む置換アミノ基(R08NH−、(R09)(R010)N−)としては、R08、R09、R010が水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基のものを使用できる。なおR09とR010とは結合して環を形成してもよい。置換アミノ基の好ましい例としては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N’−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができ、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基おけるアシル基(R07CO−)のR07は前述のとおりである。これらの内、より好ましいものとしては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、アシルアミノ基が挙げられる。好ましい置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、フェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アセチルアミノ基等が挙げられる。
置換スルホニル基(R011−SO2−)としては、R011が一価の非金属原子団からなる基のものを使用できる。より好ましい例としては、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。このような、置換スルホニル基の具体例としては、ブチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、クロロフェニルスルホニル基等が挙げられる。
スルホナト基(−SO )は前述のとおり、スルホ基(−SOH)の共役塩基陰イオン基を意味し、通常は対陽イオンとともに使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、ならびに金属イオン類(Na、K、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
置換カルボニル基(R013−CO−)としては、R013が一価の非金属原子からなる基のものを使用できる。置換カルボニル基の好ましい例としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N’−アリールカルバモイル基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。これらの内、より好ましい置換カルボニル基としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基が挙げられ、さらにより好ましいものとしては、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基ならびにアリーロキシカルボニル基が挙げられる。好ましい置換カルボニル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、ジメチルアミノフェニルエテニルカルボニル基、メトキシカルボニルメトキシカルボニル基、N−メチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基等が挙げられる。
置換スルフィニル基(R014−SO−)としてはR014が一価の非金属原子団からなる基のものを使用できる。好ましい例としては、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。これらの内、より好ましい例としてはアルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基が挙げられる。このような置換スルフィニル基の具体例としては、ヘキシルスルフィニル基、ベンジルスルフィニル基、トリルスルフィニル基等が挙げられる。
置換ホスホノ基とはホスホノ基上の水酸基の一つもしくは二つが他の有機オキソ基によって置換されたものを意味し、好ましい例としては、前述のジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、アルキルアリールホスホノ基、モノアルキルホスホノ基、モノアリールホスホノ基が挙げられる。これらの中ではジアルキルホスホノ基、ならびにジアリールホスホノ基がより好ましい。このような具体例としては、ジエチルホスホノ基、ジブチルホスホノ基、ジフェニルホスホノ基等が挙げられる。
ホスホナト基(−PO 、−PO)とは前述のとおり、ホスホノ基(−PO)の、酸第一解離もしくは、酸第二解離に由来する共役塩基陰イオン基を意味する。通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、ならびに金属イオン類(Na、K、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
置換ホスホナト基とは前述の置換ホスホノ基の内、水酸基を一つ有機オキソ基に置換したものの共役塩基陰イオン基であり、具体例としては、前述のモノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))の共役塩基が挙げられる。
前記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、及び、下記に示す構造式で表される化合物等が挙げられる。
〔ジ置換アミノ−ベンゼン系化合物<1>〕
前記ベンゼン環上のアミノ基に対し、パラ位の炭素原子に複素環基を置換基として有するジ置換アミノ−ベンゼン系化合物としては、前記複素環基が、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子を含む5員環又は6員環であるものが好ましく、縮合ベンゼン環を有する5員環がより好ましく、例えば、下記一般式(II)で表される化合物が挙げられる。
ただし、前記一般式(II)中、R21及びR22は、それぞれ独立して、脂肪族基及び芳香族基のいずれかを表し、R23〜R30は、それぞれ独立して、水素原子及び1価の置換基のいずれかを表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、ジアルキルメチレン基、イミノ基、及び脂肪族基若しくは芳香族基が置換したイミノ基のいずれかを表す。R21とR22、R21とR23、及びR22とR24は、それぞれ独立して、含窒素複素環を形成していてもよく、複素環に縮合するベンゼン環は置換基を有していてもよい。
なお、前記一般式(II)中、前記脂肪族基、前記芳香族基、及び前記1価の置換基としては、上述の一般式(I)における例として示したものを挙げることができる。
前記一般式(II)で表される化合物の具体例としては、例えば、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ〔4,5〕ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ〔6,7〕ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾイミダゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)−3,3−ジメチル−3H−インドール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)−3,3−ジメチル−3H−インドール、及び、下記に示す構造式で表される化合物等が挙げられる。
一方、ベンゼン環上のアミノ基に対してパラ位の炭素原子に複素環基を置換基として有するジ置換アミノ−ベンゼン系化合物の中でも、前記一般式(II)で表される化合物以外の化合物としては、例えば、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ピリジン、2−(p−ジメチルアミノフェニル)キノリン、2−(p−ジエチルアミノフェニル)キノリン、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ピリミジン、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−チアジアゾール等が挙げられる。
〔ジ置換アミノ−ベンゼン系化合物<2>〕
前記ベンゼン環上のアミノ基に対し、パラ位の炭素原子にスルホニルイミノ基を含む置換基を有するジ置換アミノ−ベンゼン系化合物としては、例えば、下記一般式(III)で表される化合物が好ましい。
ただし、前記一般式(III)中、R31及びR32は、それぞれ独立して、脂肪族基及び芳香族基のいずれかを表し、R33〜R37は、それぞれ独立して、水素原子及び一価の置換基のいずれかを表し、R38は、一価の置換基を表す。R31とR32、R31とR33、及びR32とR34は、それぞれ独立して、含窒素複素環を形成していてもよい。
なお、前記一般式(III)中、前記脂肪族基、前記芳香族基、及び前記1価の置換基としては、上述の一般式(I)における例として示したものを挙げることができる。
前記一般式(III)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記に示す構造式で表される化合物等が挙げられる。
〔ジ置換アミノ−ベンゼン系化合物<3>〕
前記カルボスチリル骨格を形成したジ置換アミノ−ベンゼン系化合物としては、例えば、下記一般式(IV)で表される化合物が好ましい。
ただし、前記一般式(IV)中、R41及びR42は、それぞれ独立して、脂肪族基及び芳香族基のいずれかを表し、R43〜R47は、それぞれ独立して、水素原子及び一価の置換基を表し、Yは、酸素原子及びNR48のいずれかを表し、R48は、水素原子及び一価の置換基のいずれかを表す。R41とR42、R41とR43、及びR42とR44は、それぞれ独立して、含窒素複素環を形成していてもよい。
なお、前記一般式(IV)中、前記脂肪族基、前記芳香族基、及び前記1価の置換基としては、上述の一般式(I)における例として示したものを挙げることができる。
前記一般式(IV)で表される化合物の具体例としては、例えば、特開2004−212958号公報に記載の化合物、クマリン化合物(例えば、クマリン−1、クマリン−152、クマリン−307、クマリン−106、クマリン−340等)などが挙げられる。
前記一般式(I)〜(IV)で表される前記増感剤の中でも、前記一般式(I)、(III)及び(IV)で表される化合物が好ましい。
また、前記増感剤としては、下記一般式(V)〜(VII)で表される少なくとも2個の芳香族環が窒素原子に結合した構造を有する化合物等がより好ましい。
ただし、前記一般式(V)〜(VII)中、環A〜Gは、それぞれ独立に芳香族炭化水素環及び芳香族複素環のいずれかを基本骨格とするものであり、環Aと環B、環Dと環E、環Fと環Gは互いに結合してNを含む結合環を形成していても良い。
前記一般式(VI)中、連結基Lは、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくともいずれかを含む連結基を表し、連結基LとNとは、該芳香族炭化水素環及び芳香族複素環のいずれかで結合しており、nは2以上の整数を表す。
前記一般式(VII)中、Rは、置換基を有していても良いアルキル基を表す。
なお、環A〜G及び連結基Lは、置換基を有していても良く、これらの置換基同士が互いに結合して環を形成していても良い。
前記一般式(V)〜(VII)において、環A〜Gで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、アズレン環、フルオレン環、アセナフチレン環、及びインデン環などが挙げられ、これらの中でもベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
また、環A〜Gで表される芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、チアジゾール環、オキサジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環などが挙げられ、これらの中でもフラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、オキサゾール環、チアゾール環が好ましく、フラン環、チオフェン環、ピロール環がより好ましい。
また、環A、環B、環D、環E、環F、環G、及び連結基Lに含まれる環は互いに結合してNを含む縮合環を結合していても良く、この場合、各環が結合するN原子を含むカルバゾール環を形成する例が挙げられる。カルバゾール環を形成する場合は、A〜Gの環のいずれかが例外的に環構造ではなく、任意の置換基であっても良いが、その場合の該置換基としては、置換基を有していても良いアルキル基が好ましい。
環A〜Gはいずれも任意の箇所に任意の置換基を有していても良く、これらの置換基同士が互いに結合して環を形成していても良い。
前記一般式(VI)において、連結基Lは、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくともいずれかを1個乃至2個以上含む連結基であり、Nは、該連結基Lの芳香族炭化水素環又は芳香族複素環と直接結合している。
連結基Lに含まれる芳香族炭化水素環、芳香族複素環としては、環A〜Gの芳香族炭化水素環、芳香族複素環として例示したものと同様のものが挙げられる。
連結基Lに含まれる芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
また、連結基Lに含まれる芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、オキサゾール環、チアゾール環、チアジゾール環、オキサジアゾール環が好ましく、フラン環、チオフェン環、ピロール環がより好ましい。
連結基Lが、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくともいずれかを2個以上含む場合、これらの環は直接連結していても良く、また、2価以上の連結基(なお、この連結基は、2価以上の基に限らず、2価以上の原子を含む)を介して結合しても良い。この場合、2価以上の連結基としては公知のものが挙げられ、例えば、下記式(a)で表されるアルキレン基、下記式(b)で表されるアセチレン基、アミン基、O原子、S原子、ケトン基、チオケトン基、−C(=O)O−、アミド基、Se、Te、P、As、Sb、Bi、Si、Bなどの金属原子、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基(不飽和複素環基)、非芳香族複素環基(飽和複素環基)、及びこれらの任意の組み合わせなどが挙げられる。
ただし、前記式(a)及び(b)中、mは、1以上の整数を表す。
連結基Lに含まれる芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくともいずれかの間に挟まれ得る連結基としては、下記式(a)で表されるアルキレン基、下記式(b)で表されるアセチレン基、アミン基、O原子、S原子、ケトン基、−C(=O)O−、アミド基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、−C=N−、−C=N−N=、飽和もしくは不飽和の複素環基が好ましく、炭素数が1〜3のアルキレン基、−OCHO−、−OCHCHO−、−O−、ケトン基、ベンゼン環基、フラン環基、チオフェン環基、ピロール環基がより好ましい。
また、前記一般式(XII)において、nは、2〜5であることが好ましい。
連結基Lにおいては、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環と不飽和連結基の組み合せの調整により、350〜430nmの波長域に吸収極大および適度な吸収をもたせることが望ましい。
連結基Lに含まれる環、環同士を連結する連結基は任意の箇所に任意の置換基を有していても良く、これらの置換基が互いに連結して環を形成していても良い。
環A〜G及び連結基Lが有し得る任意の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;水酸基;ニトロ基;シアノ基;1価の有機基などが挙げられ、1価の有機基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、tert−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の炭素数3〜18のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数3〜18のシクロアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、アミルオキシ基、tert−アミルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、アミルチオ基、tert−アミルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、tert−オクチルチオ基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキルチオ基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等の炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜18のアラルキル基;ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、ヘキセニルオキシ基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニルオキシ基;ビニルチオ基、プロペニルチオ基、ヘキセニルチオ基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニルチオ基;−COR51で表されるアシル基;カルボキシル基;−OCOR52で表されるアシルオキシ基;−NR5354で表されるアミノ基;−NHCOR55で表されるアシルアミノ基;−NHCOOR56で表されるカーバメート基;−CONR5758で表されるカルバモイル基;−COOR59で表されるカルボン酸エステル基;−SONR6061で表されるスルファモイル基;−SO62で表されるスルホン酸エステル基;−C=NR63で表される基;−C=N−NR6465で表される基;2−チエニル基、2−ピリジル基、フリル基、オキサゾリル基、ベンゾキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、モルホリノ基、ピロリジニル基、テトラヒドロチオフェンジオキサイド基等の飽和もしくは不飽和の複素環基などが挙げられる。
なお、R51〜R65は、それぞれ独立に水素原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルケニル基、置換されていても良いアリール基、又は置換されていても良いアラルキル基を表す。これらの置換基群において、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アラルキル基、アルケニルオキシ基、及びアルケニルチオ基は、更に置換基で置換されていても良い。
これらの置換基の、環A〜G、連結基Lにおける置換位置には特に制限はなく、また、複数の置換基を有する場合、これらは同種のものであっても良く、異なるものであっても良い。
環A〜G、連結基Lは、無置換であるか、或いは、置換基としてハロゲン原子、シアノ基、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いシクロアルキル基、置換されていても良いアルケニル基、置換されていても良いアルコキシ基、置換されていても良いアリール基、置換されていても良いアラルキル基、置換されていても良いアルケニルオキシ基、置換されていても良いアルケニルチオ基、置換されていても良いアミノ基、置換されていても良いアシル基、カルボキシル基、−C=NR63で表される基、−C=N−NR6465で表される基、飽和もしくは不飽和の複素環基で置換されていることが好ましい。置換基を有する場合の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いシクロアルキル基、置換されていても良いアルケニル基、置換されていても良いアルコキシ基、置換されていても良いアリール基、置換されていても良いアラルキル基、置換されていても良いアミノ基、−C=NR63で表される基、−C=N−NR6465で表される基、飽和もしくは不飽和の複素環基が好ましい。
環A〜G、及び連結基Lが有し得る上記の任意の置換基が、更に任意の置換基で置換されている場合、該置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、メトキシブトキシ基等の炭素数2〜12のアルコキシアルコキシ基;メトキシメトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、エトキシメトキシメトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基等の炭素数3〜15のアルコキシアルコキシアルコキシ基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜12のアリール基(これらは置換基で更に置換されていても良い。);フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基等の炭素数2〜12のアルケニルオキシ基;アセチル基、プロピオニル基などのアシル基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシル基;テトラヒドロフリル基;アミノ基;N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等の炭素数1〜10のアルキルアミノ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n−プロピルスルホニルアミノ基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニルアミノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、iso−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、iso−プロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、iso−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基などの炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基;等が好ましい。
前記一般式(V)〜(VII)で表される増感剤は、390〜430nmの波長域に適度な吸収を有し、330〜450nmの波長域に吸収極大をもつことが好ましく、350〜430nmの波長域に吸収極大をもつことがより好ましい。そのために、分子中に4個以上の芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくともいずれかを有することが好ましく、5個以上の芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくともいずれかを有することがより好ましい。
前記一般式(V)〜(VII)で表される化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
ただし、前記式(V−l)中、R71、R72、R73は、それぞれ独立に、以下の基のいずれかを表す。
ただし、前記式(VI−g)において、結合位置は、末端の2つのフェニル基、又は末端の2つのトリル基のうちのいずれか2つのベンゼン環上である。
ただし、前記式(VI−j)において、R81、R82、R83は、それぞれ独立に、以下の基のいずれかを表す。
前記増感剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
前記増感剤の配合量としては、前記感光性組成物全固形分中0.01〜4質量%が好ましく、0.02〜2質量%がより好ましく、0.05〜1質量%が特に好ましい。
前記含有量が、0.01質量%未満となると、感度が低下することがあり、4質量%を超えると、パターンの形状が悪化することがある。
<熱架橋剤>
前記熱架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記感光層の硬化後の膜強度を改良するために、現像性等に悪影響を与えない範囲で、例えば、1分子内に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ化合物、1分子内に少なくとも2つのオキセタニル基を有するオキセタン化合物を用いることができる。
前記1分子中に少なくとも2つのオキシラン環を有するエポキシ化合物としては、例えば、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂(「YX4000ジャパンエポキシレジン社製」等)又はこれらの混合物、イソシアヌレート骨格等を有する複素環式エポキシ樹脂(「TEPIC;日産化学工業社製」、「アラルダイトPT810;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製」等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂(例えば低臭素化エポキシ樹脂、高ハロゲン化エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂など)、アリル基含有ビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジフェニルジメタノール型エポキシ樹脂、フェノールビフェニレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(「HP−7200,HP−7200H;大日本インキ化学工業社製」等)、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリン、トリグリシジルアミノフェノール等)、グリジジルエステル型エポキシ樹脂(フタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等)ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’、4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジエポキシド、「GT−300、GT−400、ZEHPE3150;ダイセル化学工業製」等、)、イミド型脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、グリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂(ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、市販品としては「ESN−190,ESN−360;新日鉄化学社製」、「HP−4032,EXA−4750,EXA−4700;大日本インキ化学工業社製」等)、フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応によって得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酢酸等でエポキシ化したもの、線状含リン構造を有するエポキシ樹脂、環状含リン構造を有するエポキシ樹脂、α―メチルスチルベン型液晶エポキシ樹脂、ジベンゾイルオキシベンゼン型液晶エポキシ樹脂、アゾフェニル型液晶エポキシ樹脂、アゾメチンフェニル型液晶エポキシ樹脂、ビナフチル型液晶エポキシ樹脂、アジン型エポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂(「CP−50S,CP−50M;日本油脂社製」等)、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン型エポキシ樹脂、ビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタン型エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、1分子中に少なくとも2つのオキシラン環を有する前記エポキシ化合物以外に、β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも1分子中に2つ含むエポキシ化合物を用いることが出来、β位がアルキル基で置換されたエポキシ基(より具体的には、β−アルキル置換グリシジル基など)を含む化合物が特に好ましい。
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも含むエポキシ化合物は、1分子中に含まれる2個以上のエポキシ基のすべてがβ−アルキル置換グリシジル基であってもよく、少なくとも1個のエポキシ基がβ−アルキル置換グリシジル基であってもよい。
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物は、室温における保存安定性の観点から、前記感光性組成物中に含まれる前記エポキシ化合物全量中における、全エポキシ基中のβ−アルキル置換グリシジル基の割合が、30%以上であるのが好ましく、40%以上であるのがより好ましく、50%以上であるのが特に好ましい。
前記β−アルキル置換グリシジル基としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−メチルグリシジル基、β−エチルグリシジル基、β−プロピルグリシジル基、β−ブチルグリシジル基、などが挙げられ、これらの中でも、前記感光性樹脂組成物の保存安定性を向上させる観点、及び合成の容易性の観点から、β−メチルグリシジル基が好ましい。
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物としては、例えば、多価フェノール化合物とβ−アルキルエピハロヒドリンとから誘導されたエポキシ化合物が好ましい。
前記β−アルキルエピハロヒドリンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−メチルエピクロロヒドリン、β−メチルエピブロモヒドリン、β−メチルエピフロロヒドリン等のβ−メチルエピハロヒドリン;β−エチルエピクロロヒドリン、β−エチルエピブロモヒドリン、β−エチルエピフロロヒドリン等のβ−エチルエピハロヒドリン;β−プロピルエピクロロヒドリン、β−プロピルエピブロモヒドリン、β−プロピルエピフロロヒドリン等のβ−プロピルエピハロヒドリン;β−ブチルエピクロロヒドリン、β−ブチルエピブロモヒドリン、β−ブチルエピフロロヒドリン等のβ−ブチルエピハロヒドリン;などが挙げられる。これらの中でも、前記多価フェノールとの反応性及び流動性の観点から、β−メチルエピハロヒドリンが好ましい。
前記多価フェノール化合物としては、1分子中に2以上の芳香族性水酸基を含有する化合物であれば、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール化合物、ビフェノール、テトラメチルビフェノール等のビフェノール化合物、ジヒドロキシナフタレン、ビナフトール等のナフトール化合物、フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物等のフェノールノボラック樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド重縮合物等の炭素数1〜10のモノアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物、キシレノール−ホルムアルデヒド重縮合物等の炭素数1〜10のジアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物、ビスフェノールA−ホルムアルデヒド重縮合物等のビスフェノール化合物−ホルムアルデヒド重縮合物、フェノールと炭素数1〜10のモノアルキル置換フェノールとホルムアルデヒドとの共重縮合物、フェノール化合物とジビニルベンゼンの重付加物などが挙げられる。これらの中でも、例えば、流動性及び保存安定性を向上させる目的で選択する場合には、前記ビスフェノール化合物が好ましい。
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジ−β−アルキルグリシジルエーテル等のビスフェノール化合物のジ−β−アルキルグリシジルエーテル;ビフェノールのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールのジ−β−アルキルグリシジルエーテル等のビフェノール化合物のジ−β−アルキルグリシジルエーテル;ジヒドロキシナフタレンのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、ビナフトールのジ−β−アルキルグリシジルエーテル等のナフトール化合物のβ−アルキルグリシジルエーテル;フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;クレゾール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル等の炭素数1〜10のモノアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;キシレノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル等の炭素数1〜10のジアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;ビスフェノールA−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル等のビスフェノール化合物−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;フェノール化合物とジビニルベンゼンの重付加物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;などが挙げられる。
これらの中でも、下記構造式(i)で表されるビスフェノール化合物、及びこれとエピクロロフドリンなどから得られる重合体から誘導されるβ−アルキルグリシジルエーテル、及び下記構造式(ii)で表されるフェノール化合物−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテルが好ましい。
ただし、前記構造式(i)中、R”は水素原子及び炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを表し、n11は0〜20の整数を表す。
ただし、前記構造式(ii)中、R”は水素原子及び炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを表し、R´は水素原子、及びCHのいずれかを表し、nは0〜20の整数を表す。
これらβ位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また1分子中に少なくとも2つのオキシラン環を有するエポキシ化合物、及びβ位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物を併用することも可能である。
前記オキセタン化合物としては、例えば、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート又はこれらのオリゴマーあるいは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタン基を有する化合物と、ノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、シルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂など、とのエーテル化合物が挙げられ、この他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
また、前記エポキシ化合物や前記オキセタン化合物の熱硬化を促進するため、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、前記エポキシ樹脂化合物や前記オキセタン化合物の硬化触媒、あるいは、これらとカルボキシル基の反応を促進することができるものであれば、特に制限はなく、上記以外の熱硬化を促進可能な化合物を用いてもよい。
前記エポキシ化合物、前記オキセタン化合物、及びこれらとカルボン酸との熱硬化を促進可能な化合物の前記感光性組成物中の固形分含有量は、通常0.01〜15質量%である。
また、前記熱架橋剤としては、特開平5−9407号公報記載のポリイソシアネート化合物を用いることができ、該ポリイソシアネート化合物は、少なくとも2つのイソシアネート基を含む脂肪族、環式脂肪族又は芳香族基置換脂肪族化合物から誘導されていてもよい。具体的には、2官能イソシアネート(例えば、1,3−フェニレンジイソシアネートと1,4−フェニレンジイソシアネートとの混合物、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネート、1,3−及び1,4−キシリレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネート−フェニル)メタン、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)、該2官能イソシアネートと、トリメチロールプロパン、ペンタリスルトール、グリセリン等との多官能アルコール;該多官能アルコールのアルキレンオキサイド付加体と、前記2官能イソシアネートとの付加体;ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート及びその誘導体等の環式三量体;などが挙げられる。
更に、前記感光性組成物を用いて形成してなる感光層を有する前記感光層の保存性を向上させることを目的として、前記ポリイソシアネート及びその誘導体のイソシアネート基にブロック剤を反応させて得られる化合物を用いてもよい。
前記イソシアネート基ブロック剤としては、アルコール類(例えば、イソプロパノール、tert−ブタノール等)、ラクタム類(例えば、ε−カプロラクタム等)、フェノール類(例えば、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−sec−ブチルフェノール、p−sec−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール等)、複素環式ヒドロキシル化合物(例えば、3−ヒドロキシピリジン、8−ヒドロキシキノリン等)、活性メチレン化合物(例えば、ジアルキルマロネート、メチルエチルケトキシム、アセチルアセトン、アルキルアセトアセテートオキシム、アセトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等)などが挙げられる。これらの他、特開平6−295060号公報記載の分子内に少なくとも1つの重合可能な二重結合及び少なくとも1つのブロックイソシアネート基のいずれかを有する化合物などを用いることができる。
また、前記熱架橋剤として、メラミン誘導体を用いることができる。該メラミン誘導体としては、例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン(メチロール基を、メチル、エチル、ブチルなどでエーテル化した化合物)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保存安定性が良好で、感光層の表面硬度あるいは硬化膜の膜強度自体の向上に有効である点で、アルキル化メチロールメラミンが好ましく、ヘキサメチル化メチロールメラミンが特に好ましい。
前記感光性組成物中の前記熱架橋剤の固形分含有量は、1〜50質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。該固形分含有量が1質量%未満であると、硬化膜の膜強度の向上が認められず、50質量%を超えると、現像性の低下や露光感度の低下を生ずることがある。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、例えば、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(着色顔料あるいは染料)、体質顔料、などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、目的とする感光性組成物あるいは後述する感光性フィルムの安定性、写真性、膜物性などの性質を調整することができる。
<<熱重合禁止剤>>
前記熱重合禁止剤は、前記重合性化合物の熱的な重合又は経時的な重合を防止するために添加してもよい。
前記熱重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキルまたはアリール置換ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、4−トルイジン、メチレンブルー、銅と有機キレート剤反応物、サリチル酸メチル、及びフェノチアジン、ニトロソ化合物、ニトロソ化合物とAlとのキレート等が挙げられる。
前記熱重合禁止剤の含有量としては、前記重合性化合物に対して0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜2質量%がより好ましく、0.01〜1質量%が特に好ましい。該含有量が、0.001質量%未満であると、保存時の安定性が低下することがあり、5質量%を超えると、活性エネルギー線に対する感度が低下することがある。
<<着色顔料>>
前記着色顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビクトリア・ピュアーブルーBO(C.I.42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・エローGT(C.I.ピグメント・エロー12)、パーマネント・エローGR(C.I.ピグメント・エロー17)、パーマネント・エローHR(C.I.ピグメント・エロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメント・バイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメント・レッド81)モナストラル・ファースト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)、カーボン、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー15:6、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて、公知の染料の中から、適宜選択した染料を使用することができる。
前記着色顔料の前記感光性組成物固形分中の固形分含有量は、永久パターン形成の際の感光層の露光感度、解像性などを考慮して決めることができ、前記着色顔料の種類により異なるが、一般的には0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
<<体質顔料>>
前記感光性組成物には、必要に応じて、永久パターンの表面硬度の向上、あるいは線膨張係数を低く抑えること、あるいは、硬化膜自体の誘電率や誘電正接を低く抑えることを目的として、無機顔料や有機微粒子を添加することができる。
前記無機顔料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カオリン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、気相法シリカ、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、マイカなどが挙げられる。
前記無機顔料の平均粒径は、10μm未満が好ましく、3μm以下がより好ましい。該平均粒径が10μm以上であると、光錯乱により解像度が劣化することがある。
前記有機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂などが挙げられる。また、平均粒径1〜5μm、吸油量100〜200m/g程度のシリカ、架橋樹脂からなる球状多孔質微粒子などを用いることができる。
前記体質顔料の添加量は、5〜60質量%が好ましい。該添加量が5質量%未満であると、十分に線膨張係数を低下させることができないことがあり、60質量%を超えると、感光層表面に硬化膜を形成した場合に、該硬化膜の膜質が脆くなり、永久パターンを用いて配線を形成する場合において、配線の保護膜としての機能が損なわれることがある。
−密着促進剤−
各層間の密着性、又は感光層と基材との密着性を向上させるために、各層に公知のいわゆる密着促進剤を用いることができる。
前記密着促進剤としては、例えば、特開平5−11439号公報、特開平5−341532号公報、及び特開平6−43638号公報などに記載の密着促進剤が好適挙げられる。具体的には、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、3−モルホリノメチル−1−フェニル−トリアゾール−2−チオン、3−モルホリノメチル−5−フェニル−オキサジアゾール−2−チオン、5−アミノ−3−モルホリノメチル−チアジアゾール−2−チオン、及び2−メルカプト−5−メチルチオ−チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、アミノ基含有ベンゾトリアゾール、シランカップリング剤などが挙げられる。
前記密着促進剤の含有量としては、前記感光性組成物中の全成分に対して0.001質量%〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.1質量%〜5質量%が特に好ましい。
前記感光層の形成方法としては、第1の態様として、前記感光性組成物を前記基材の表面に塗布し、乾燥する方法が挙げられ、第2の態様として、感光性フィルムを加熱及び加圧の少なくともいずれかの下において基材の表面に積層する方法が挙げられる。
前記第1の態様の感光層の形成方法は、前記基材上に、前記感光性組成物を塗布及び乾燥して感光層を形成する。
前記塗布及び乾燥の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記基材の表面に、前記感光性組成物を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させて感光性組成物溶液を調製し、該溶液を直接塗布し、乾燥させることにより積層する方法が挙げられる。
前記感光性組成物溶液の溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−n−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、及びメトキシプロピルアセテートなどのエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノールなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
前記塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコーター、スリットスピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーターなどを用いて、前記基材に直接塗布する方法が挙げられる。
前記乾燥の条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60〜110℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
前記感光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、3〜100μmが好ましく、5〜70μmがより好ましい。
前記第2の態様の感光層の形成方法は、前記基材の表面に支持体と該支持体上に感光性組成物が積層されてなる感光層とを有する感光性フィルムを加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら積層する。なお、前記感光性フィルムが後述する保護フィルムを有する場合には、該保護フィルムを剥離し、前記基材に前記感光層が重なるようにして積層するのが好ましい。
〔感光性フィルム〕
前記感光性フィルムは、少なくとも支持体と、感光層とを有してなり、好ましくは保護フィルムを有してなり、更に必要に応じて、クッション層、酸素遮断層(PC層)などのその他の層を有してなる。
前記感光性フィルムの形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記支持体上に、前記感光層、前記保護膜フィルムをこの順に有してなる形態、前記支持体上に、前記PC層、前記感光層、前記保護フィルムをこの順に有してなる形態、前記支持体上に、前記クッション層、前記PC層、前記感光層、前記保護フィルムをこの順に有してなる形態などが挙げられる。なお、前記感光層は、単層であってもよいし、複数層であってもよい。
<支持体>
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記感光層を剥離可能であり、かつ光の透過性が良好であるのが好ましく、更に表面の平滑性が良好であるのがより好ましい。
前記支持体は、合成樹脂製で、かつ透明であるものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、セルロース系フィルム、ナイロンフィルム等の各種のプラスチックフィルムが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、前記支持体としては、例えば、特開平4−208940号公報、特開平5−80503号公報、特開平5−173320号公報、特開平5−72724号公報などに記載の支持体を用いることもできる。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、4〜300μmが好ましく、5〜175μmがより好ましい。
前記支持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、長尺状が好ましい。前記長尺状の支持体の長さとしては、特に制限はなく、例えば、10m〜20000mの長さのものが挙げられる。
−感光性フィルムにおける感光層−
前記感光性フィルムにおける感光層は、前記感光性組成物により形成される。
前記感光層の前記感光性フィルムにおいて設けられる箇所としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常、前記支持体上に積層される。
前記感光性フィルムにおける感光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、3〜100μmが好ましく、5〜70μmがより好ましい。
前記感光性フィルムにおける感光層の形成は、前記基材への前記感光性組成物溶液の塗布及び乾燥(前記第1の態様の感光層の形成方法)と同様な方法で行うことができ、例えば、該感光性組成物溶液をスピンコーター、スリットスピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーターなどを用いて塗布する方法が挙げられる。
<保護フィルム>
前記保護フィルムは、前記感光層の汚れや損傷を防止し、保護する機能を有する。
前記保護フィルムの前記感光性フィルムにおいて設けられる箇所としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常、前記感光層上に設けられる。
前記保護フィルムとしては、例えば、前記支持体に使用されるもの、シリコーン紙、ポリエチレン、ポリプロピレンがラミネートされた紙、ポリオレフィン又はポリテトラフルオルエチレンシート、などが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましい。
前記保護フィルムの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜100μmが好ましく、8〜30μmがより好ましい。
前記保護フィルムを用いる場合、前記感光層及び前記支持体の接着力Aと、前記感光層及び保護フィルムの接着力Bとが、接着力A>接着力Bの関係であることが好ましい。
前記支持体と保護フィルムとの組合せ(支持体/保護フィルム)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリ塩化ビニル/セロフアン、ポリイミド/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。また、支持体及び保護フィルムの少なくともいずれかを表面処理することにより、上述のような接着力の関係を満たすことができる。前記支持体の表面処理は、前記感光層との接着力を高めるために施されてもよく、例えば、下塗層の塗設、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波照射処理、グロー放電照射処理、活性プラズマ照射処理、レーザ光線照射処理などを挙げることができる。
また、前記支持体と前記保護フィルムとの静摩擦係数としては、0.3〜1.4が好ましく、0.5〜1.2がより好ましい。
前記静摩擦係数が、0.3未満であると、滑り過ぎるため、ロール状にした場合に巻ズレが発生することがあり、1.4を超えると、良好なロール状に巻くことが困難となることがある。
前記感光性フィルムは、例えば、円筒状の巻芯に巻き取って、長尺状でロール状に巻かれて保管されるのが好ましい。前記長尺状の感光性フィルムの長さとしては、特に制限はなく、例えば、10m〜20,000mの範囲から適宜選択することができる。また、ユーザーが使いやすいようにスリット加工し、100m〜1,000mの範囲の長尺体をロール状にしてもよい。なお、この場合には、前記支持体が一番外側になるように巻き取られるのが好ましい。また、前記ロール状の感光性フィルムをシート状にスリットしてもよい。保管の際、端面の保護、エッジフュージョンを防止する観点から、端面にはセパレーター(特に防湿性のもの、乾燥剤入りのもの)を設置するのが好ましく、また梱包も透湿性の低い素材を用いるのが好ましい。
前記保護フィルムは、前記保護フィルムと前記感光層との接着性を調整するために表面処理してもよい。前記表面処理は、例えば、前記保護フィルムの表面に、ポリオルガノシロキサン、弗素化ポリオレフィン、ポリフルオロエチレン、ポリビニルアルコール等のポリマーからなる下塗層を形成させる。該下塗層の形成は、前記ポリマーの塗布液を前記保護フィルムの表面に塗布した後、30〜150℃(特に50〜120℃)で1〜30分間乾燥させることにより形成させることができる。
また、前記感光層、前記支持体、前記保護フィルムの他に、クッション層、酸素遮断層(PC層)、剥離層、接着層、光吸収層、表面保護層などの層を有してもよい。
前記クッション層は、常温ではタック性が無く、真空・加熱条件で積層した場合に溶融し、流動する層である。
前記PC層は、通常ポリビニルアルコールを主成分として形成された0.5〜5μm程度の被膜である。
前記加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、70〜130℃が好ましく、80〜110℃がより好ましい。
前記加圧の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.01〜1.0MPaが好ましく、0.05〜1.0MPaがより好ましい。
前記加熱及び加圧の少なくともいずれかを行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒートプレス、ヒートロールラミネーター(例えば、大成ラミネータ社製、VP−II)、真空ラミネーター(例えば、名機製作所製、MVLP500)などが好適に挙げられる。
前記感光性フィルムは、プリント配線板、カラーフィルタや柱材、リブ材、スペーサー、隔壁などのディスプレイ用部材、ホログラム、マイクロマシン、プルーフなどの永久パターン形成用として広く用いることができ、本発明の永久パターン形成方法に好適に用いることができる。
特に、前記感光性フィルムは、該フィルムの厚みが均一であるため、永久パターンの形成に際し、前記基材への積層がより精細に行われる。
なお、前記第2の態様の感光層の形成方法により形成された感光層を有する積層体への露光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記支持体、クッション層及びPC層を介して前記感光層を露光してもよく、前記支持体を剥離した後、前記クッション層及びPC層を介して前記感光層を露光してもよく、前記支持体及びクッション層を剥離した後、前記PC層を介して前記感光層を露光してもよく、前記支持体、クッション層及びPC層を剥離した後、前記感光層を露光してもよい。
〔現像工程〕
前記現像工程は、前記露光工程により前記感光層を露光し、該感光層の露光した領域を硬化させた後、未硬化領域を除去することにより現像し、永久パターンを形成する工程である。
前記未硬化領域の除去方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、現像液を用いて除去する方法などが挙げられる。
前記現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物若しくは炭酸塩、炭酸水素塩、アンモニア水、4級アンモニウム塩の水溶液などが好適に挙げられる。これらの中でも、炭酸ナトリウム水溶液が特に好ましい。
前記現像液は、界面活性剤、消泡剤、有機塩基(例えば、ベンジルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、モルホリン、トリエタノールアミン等)や、現像を促進させるため有機溶剤(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、ラクトン類等)などと併用してもよい。また、前記現像液は、水又はアルカリ水溶液と有機溶剤を混合した水系現像液であってもよく、有機溶剤単独であってもよい。
〔硬化処理工程〕
前記硬化処理工程は、前記現像工程が行われた後、形成された永久パターンにおける感光層に対して硬化処理を行う工程である。
前記硬化処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。
前記全面露光処理の方法としては、例えば、前記現像工程の後に、前記永久パターンが形成された前記積層体上の全面を露光する方法が挙げられる。該全面露光により、前記感光層を形成する感光性組成物中の樹脂の硬化が促進され、前記永久パターンの表面が硬化される。
前記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機が好適に挙げられる。
前記全面加熱処理の方法としては、前記現像工程の後に、前記永久パターンが形成された前記積層体上の全面を加熱する方法が挙げられる。該全面加熱により、前記永久パターンの表面の膜強度が高められる。
前記全面加熱における加熱温度としては、120〜250℃が好ましく、120〜200℃がより好ましい。該加熱温度が120℃未満であると、加熱処理による膜強度の向上が得られないことがあり、250℃を超えると、前記感光性組成物中の樹脂の分解が生じ、膜質が弱く脆くなることがある。
前記全面加熱における加熱時間としては、10〜120分が好ましく、15〜60分がより好ましい。
前記全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
なお、前記基材が多層配線基板などのプリント配線板である場合には、該プリント配線板上に本発明の永久パターンを形成し、更に、以下のように半田付けを行うことができる。
即ち、前記現像工程により、前記永久パターンである硬化層が形成され、前記プリント配線板の表面に金属層が露出される。該プリント配線板の表面に露出した金属層の部位に対して金メッキを行った後、半田付けを行う。そして、半田付けを行った部位に、半導体や部品などを実装する。このとき、前記硬化層による永久パターンが、保護膜、絶縁膜(層間絶縁膜)、あるいはソルダーレジストとしての機能を発揮し、外部からの衝撃や隣同士の電極の導通が防止される。
本発明の永久パターン形成方法においては、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンの少なくともいずれかを形成するのが好ましい。
前記永久パターン形成方法により形成された前記永久パターンは、配線を外部からの衝撃や曲げから保護することができ、特に、前記層間絶縁膜である場合には、例えば、多層配線基板やビルドアップ配線基板などへの半導体や部品の高密度実装に有用である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
−感光性組成物の調製−
下記組成に基づいて、感光性組成物(溶液)を調製した。
〔感光性組成物溶液の組成〕
・フェニルグリシン 0.2質量部
・硫酸バリウム(堺化学工業社製、B30)分散液 63質量部
・エポキシアクリレート化合物:バインダー
(PR−300、濃度67%、昭和高分子(株)製) 24.5質量部
・側鎖に(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有するビニル共重合体:バイン
ダー(SPC−2X、濃度60%、昭和高分子(株)製) 13.8質量部
・下記構造式(38)で表されるエポキシ化合物:熱架橋剤 16.7質量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:重合性化合物 5.5質量部
・IRGACURE369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 2.0質量部
・1−クロロ−4−プロピルオキシチオキサントン(下記構造式(39)) 0.2質量部
・ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.056質量部
・ジシアンジアミド 0.4質量部
・2MA−OK(四国化成工業(株)製) 0.3質量部
・フタロシアニングリーン 0.42質量部
・F780F(大日本インキ(株)製の30質量%濃度品 メチルエチルケトン溶液)
0.066質量部
・メチルエチルケトン 60.0質量部
なお、上記硫酸バリウム分散液は、硫酸バリウム(堺化学社製、B30)22質量部と、上記PR−300のジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート67質量%溶液12質量部と、メチルエチルケトン29質量部と、を予め混合した後、モーターミルM−200(アイガー社製)で、直径1.0mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sにて3.5時間分散して調製した。
−感光性フィルムの製造−
得られた感光性組成物溶液を、前記支持体としての厚み16μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、塗布し、乾燥させて、膜厚35μmの感光層を形成した。次いで、該感光層の上に、前記保護フィルムとしての厚み20μmのポリプロピレンフィルムをラミネートで積層し、感光性フィルムを製造した。
−永久パターンの形成−
−−感光性積層体の調製−−
次に、前記基材として、配線形成済みの銅張積層板(スルーホールなし、銅厚み12μm)の表面に化学研磨処理を施して調製した。該銅張積層板上に、前記感光性フィルムの感光層が前記銅張積層板に接するようにして、前記感光性フィルムにおける保護フィルムを剥がしながら、真空ラミネーター(ニチゴーモートン(株)製、VP130)を用いて積層させ、前記銅張積層板と、前記感光層と、前記ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)とがこの順に積層された感光性積層体を調製した。
圧着条件は、真空引き時間40秒、圧着温度70℃、圧着圧力0.2MPa、加圧時間10秒とした。
前記感光性フィルム、及び積層体を用い、下記の方法により前記感光層の露光感度、解像度を測定した。結果を表1に示す。
<露光感度の測定>
−最短現像時間の測定−
前記積層体を、室温にて10分間静置した後、前記積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取り、前記感光層に現像処理を行った。前記現像処理は、銅張積層板上の前記感光層の全面にアルカリ現像液として、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、30℃にてシャワーすることによって行い、前記感光層が完全に除去されるまでの所要時間を測定し、これを最短現像時間とした。
この結果、前記最短現像時間は、20秒であった。
−露光感度の測定−
前記積層体における感光層に対し、前記ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)側から、下記の露光装置を用いて、0.1mJ/cmから21/2倍間隔で100mJ/cmまでの光エネルギー量の異なる光を照射して露光し、前記感光層の一部の領域を硬化させた。室温にて10分間静置した後、前記積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取り、銅張積層板上の感光層の全面に、炭酸ナトリウム水溶液(30℃、1質量%)を上記の方法により求めた最短現像時間の2倍の時間スプレーし、未硬化の領域を溶解除去して、残った硬化領域の厚みを測定した。次いで、光の照射量と、硬化層の厚さとの関係をプロットして感度曲線を得た。こうして得た感度曲線から硬化領域の厚さが露光前と同じ厚みとなった時の光エネルギー量を、感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量とした。このようにして求めた前記感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量(露光感度)を表1に示す。
<<露光装置>>
図1に外観の概略を示した露光装置10を用いた。該露光装置の露光ヘッドの構成は図7に示されるとおりであり、具体的には、前記光照射手段として図4〜6に示した合波レーザ光源と、前記光変調手段として図10に概略図を示したDMDであって、図11に示すように主走査方向にマイクロミラーが1024個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に756組配列された内、1024個×240列のみを駆動するように制御したDMDと、図8A及びBに示した投影レンズ及び図9に示した鏡筒から構成される結像光学系と、図12〜13に示したくさび型プリズムペアとを有する露光ヘッドを備えた露光装置である。
図9に示した鏡筒400を回転させ、感光層の被露光面上に投影された2次元パターンの焦点、画質等の露光性能を計測しながら、最も良い露光性能を示す回転位置で、前記鏡筒のフランジ410とブラケット420とを固定し、投影レンズの向きを固定した。
さらに、1フレームの露光が終了し、ステージが走査方向に移動することによって感光層(積層体)が移動すると、露光エリア内における感光層のうねりの度合いが変化するため、くさび型プリズムペア54によって焦点調節を行った。
<解像度の測定>
上記と同様の方法により前記積層体を調製し、室温(23℃、55%RH)にて10分間静置した。得られた前記積層体のポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上から、前記パターン形成装置を用いて、ライン/スペース=1/1で、ライン幅5〜20μmまでは1μ刻みで各線幅の露光を行い、ライン幅20〜50μmまでは5μm刻みで各線幅の露光を行った。この際の露光量は、前記露光感度の測定で求めた、前記感光層を効果させるために必用な光エネルギー量である。
露光後、室温にて10分間静置した後、前記積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取り、前記銅張積層板上の前記感光層の全面に、前記現像液として炭酸ナトリウム水溶液(30℃、1質量%)をスプレー圧0.15MPaにて前記の方法により求めた最短現像時間の2倍スプレーし、未硬化領域を溶解除去した。
このようにして得られた硬化樹脂パターン付き銅張積層板の表面を光学顕微鏡で観察し、硬化樹脂パターンのラインにツマリ、ヨレ等の異常のない最小のライン幅を測定し、これを解像度とした。該解像度は、数値が小さいほど良好である。結果を表1に示す。
−永久パターンの形成及び評価−
前記積層体のポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上から、前記露光感度の測定で求めた露光感度の2倍の露光量で2×10cmの領域を全面露光し、室温にて10分間静置した後、前記積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取り、前記現像液として1質量%炭酸ソーダ水溶液を用い、30℃にて前述の最短現像時間の2倍の時間スプレーし、未硬化の領域を溶解除去した後、水洗し、乾燥させてパターンを形成した。
前記パターンが形成された前記積層体の全面に対し、150℃で60分間加熱処理を施し、前記パターンを硬化し、膜強度を高め、永久パターンを得た。得られた永久パターンを目視で観察したところ、表面に気泡は認められなかった。
前記永久パターンについて、JIS K−5400に基づいて鉛筆硬度を測定した結果、5H以上であった。
また、前記永久パターンが形成されたプリント配線基板に対し、常法に従い金メッキを行った後、水溶性フラックス処理を行った。次いで、260℃に設定された半田槽に5秒間にわたり3回浸漬し、フラックスを水洗で除去した。フラックス除去後、前記永久パターンを目視にて観察したところ、硬化膜の剥がれ、ふくれ、変色は認められなかった。
(実施例2)
実施例1において、露光装置を、下記に説明するものに代えた以外は、実施例1と同様にして感光性フィルム及び積層体を製造した。得られた前記感光性フィルム、及び前記積層体を用い、実施例1と同様にして前記感光層の露光感度、及び解像度を測定した。結果を表1に示す。
<<露光装置>>
実施例1で用いた露光装置において、くさび型プリズムペアに代えて、図15〜16に示すピエゾ素子及びマイクロレンズアレイとの組合せからなる焦点調節手段を備える露光装置を用いた。前記ピエゾ素子により、マイクロレンズアレイの焦点方向と垂直な方向への変位を抑えつつ、焦点方向への微小移動を行うことにより、焦点の調節を行った。
(実施例3)
実施例1において、感光性組成物中の1−クロロ−4−プロピルオキシチオキサントン0.2質量部を、2−クロロ−10−ブチルアクリドン(下記構造式(40))0.25質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。得られた感光性組成物を用い、実施例1と同様にして前記感光性フィルム、及び前記積層体を製造し、永久パターンを形成し、実施例1と同様にして前記感光層の露光感度、解像度を測定し、形成された永久パターンのジャギーの有無、エッジラフネスを評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、感光性組成物中の1−クロロ−4−プロピルオキシチオキサントン0.2質量部を、下記構造式(41)で表されるジ置換アミノ−ベンゼン化合物0.2質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。得られた感光性組成物を用い、実施例1と同様にして前記感光性フィルム、及び前記積層体を製造し、永久パターンを形成し、実施例1と同様にして前記感光層の露光感度、解像度を測定し、形成された永久パターンのジャギーの有無、エッジラフネスを評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、焦点調節手段としてのくさび型プリズムペアを備えない構成の(又は稼動させないようにした)の露光ヘッドを用いた以外は、実施例1と同様にして感光性フィルム及び積層体を製造した。得られた前記感光性フィルム、及び前記積層体を用い、実施例1と同様にして前記感光層の露光感度、及び解像度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1の露光装置において、投影レンズによる結像を、前記投影レンズの全面で行った以外は、実施例1と同様にして感光性フィルム及び積層体を製造した。得られた前記感光性フィルム、及び前記積層体を用い、実施例1と同様にして前記感光層の露光感度、及び解像度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1において、前記感光層の被露光面上に結像される略矩形状の露光領域の向きを調整せずに露光を行った以外は、実施例1と同様にして感光性フィルム及び積層体を製造した。得られた前記感光性フィルム、及び前記積層体を用い、実施例1と同様にして前記感光層の露光感度、及び解像度を測定した。結果を表1に示す。
表1の結果から、比較例1〜3の永久パターンと比較して、実施例1〜4の永久パターンは高精細であることがわかった。また、周辺領域にレンズ歪みを持たせて、中央部を含む領域のレンズ歪みを少なくした投影レンズを用い、該投影レンズを回転可能とした鏡筒を備えた露光ヘッドを使用することにより、低コストで高精細な露光を実現することができ、また、くさび型プリズムペアを備えることにより、簡単かつ短時間で焦点距離を調整することができるため、効率の良い露光ができることがわかった。
本発明の永久パターン形成方法は、装置のコストアップや、露光速度の低下を招くことなく、露光性能を向上させることにより、配線パターン等の永久パターンを高精細に、かつ、効率よく形成可能であるため、高精細な露光が必要とされる保護膜、絶縁膜、及びソルダーレジストパターンなどの高精細な永久パターンの形成などに好適に使用することができる。
図1は、露光装置の概略外観図である。 図2は、スキャナの概略外観図である。 図3は、露光ヘッドの内部構成を示した図である。 図4は、光照射手段としての光源ユニットの構成を示した図である。 図5は、光照射手段におけるレーザ出射部の構成を示した図である。 図6は、光照射手段におけるLDモジュールの構成を示した図である。 図7は、露光ヘッドを構成する光学要素の説明図である。 図8Aは、投影レンズを示した平面図である。 図8Bは、投影レンズを示した平面図である。 図9は、結像光学系を備える鏡筒の概略側面断面図と鏡筒の概略平面図である。 図10は、光変調手段であるDMDの概略斜視図である。 図11Aは、DMDを構成するマイクロミラーの使用領域の説明図である。 図11Bは、DMDを構成するマイクロミラーの使用領域の説明図である。 図12は、焦点調節手段であるくさび型プリズムペアの構成を示す側面図である。 図13は、焦点調節手段であるくさび型プリズムペアの概略斜視図である。 図14は、露光ヘッドを構成する光学要素の説明図である。 図15Aは、焦点調節手段の他の一例であるピエゾ素子を備えたマイクロレンズアレイの構成を示す図である。 図15Bは、焦点調節手段の他の一例であるピエゾ素子を備えたマイクロレンズアレイの構成を示す図である。 図16Aは、焦点調節手段の他の一例であるピエゾ素子を備えたマイクロレンズアレイの構成を示す図である。 図16Bは、焦点調節手段の他の一例であるピエゾ素子を備えたマイクロレンズアレイの構成を示す図である。 図17Aは、感光材料とDMDの位置関係を概略的に示した斜視図である。 図17Bは、感光材料とDMDの位置関係を概略的に示した側面図である。
符号の説明
10 露光装置
30 露光ヘッド
80 DMD
50 結像光学系
51 第1投影レンズ
52 第2投影レンズ
54 くさび型プリズムペア
12 感光材料

Claims (26)

  1. バインダーと、重合性化合物と、光重合開始系化合物と、熱架橋剤と、を少なくとも含む感光性組成物で基材の表面に形成された感光層に対し、
    光照射手段からの光を受光してパターン情報に基づいて変調する光変調手段により、前記光照射手段からの光を変調させ、前記光変調手段により変調された光を、結像手段と、焦点調節手段とを介して前記感光層の被露光面上に結像させて露光し、現像することを少なくとも含み、
    前記露光が、前記結像手段の中央部を含む略矩形状の領域のみにおいて、前記光変調手段により変調された光が結像され、
    前記感光層の被露光面上に結像される略矩形状の露光領域が、その短辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角が、その長辺方向と前記感光層のうねり方向とがなす角よりも小さくなるように向けられて行われることを特徴とする永久パターン形成方法。
  2. 結像手段が、長辺の長さが短辺の長さの2倍以上の略矩形状の領域において、光変調手段により変調された光を結像する請求項1に記載の永久パターン形成方法。
  3. 焦点調節手段が、光変調手段により変調された光の光軸方向の厚さが変化するように形成されたくさび型プリズムペアを有し、
    前記くさび型プリズムペアを構成する各くさび型プリズムを移動することによって、前記光変調手段により変調された光を感光層の被露光面上に結像する際の焦点を調節する請求項1から2のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  4. 焦点調節手段が、結像光学系を構成する光学部材と、ピエゾ素子とを有し、
    前記光学部材を前記ピエゾ素子により移動させることによって、前記光変調手段により変調された光を感光層の被露光面上に結像する際の焦点を調節する請求項1から2のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  5. 結像手段が、光変調手段により変調された光の光軸に対し、前記光軸を中心に回転可能なレンズ、及び前記光軸に対して垂直方向に移動可能レンズのいずれかにより構成されてなる請求項1から4のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  6. 光変調手段が、空間光変調素子である請求項1から5のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  7. 感光層の形成が、感光性組成物を基材の表面に塗布し、乾燥することにより行われる請求項1から6のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  8. 感光層の形成が、支持体と該支持体上に感光性組成物が積層されてなる感光層とを有する感光性フィルムを、加熱及び加圧の少なくともいずれかの下において基材の表面に積層することにより行われる請求項1から6のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  9. バインダーがエポキシアクリレート化合物の少なくとも1種、並びに、側鎖に(メタ)アクリロイル基及び酸性基を有するビニル共重合体の少なくとも1種の少なくともいずれかを含む請求項1から8のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  10. 熱架橋剤が、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物にブロック剤を反応させて得られる化合物、及びメラミン誘導体から選択される少なくとも1種である請求項1から9のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  11. 感光性組成物が、増感剤を含む請求項1から10のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  12. 増感剤が、縮環系化合物、並びに、少なくとも2つの芳香族炭化水素環及び芳香族複素環のいずれかで置換されたアミン系化合物から選択される少なくとも1種である請求項11に記載の永久パターン形成方法。
  13. 支持体が、合成樹脂を含み、かつ透明である請求項8から12のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  14. 支持体が、長尺状である請求項8から13のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  15. 感光性フィルムが、長尺状であり、ロール状に巻かれてなる請求項8から14のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  16. 感光性フィルムが、感光層上に保護フィルムを有してなる請求項8から15のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  17. 感光層の厚みが、3〜100μmである請求項1から16のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  18. 基材が、配線形成済みのプリント配線基板である請求項1から17のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  19. 光照射手段が、半導体レーザ素子から発せられたレーザ光を出射する請求項1から18のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  20. 光照射手段が、半導体レーザ素子から発せられたレーザ光を一端から入射し、入射したレーザ光を他端から出射する光ファイバを複数本束ねたバンドル状のファイバ光源である請求項19に記載の永久パターン形成方法。
  21. 光照射手段が、2以上の光を合成して照射可能である請求項19から20のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  22. 光照射手段が、複数のレーザと、マルチモード光ファイバと、該複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザビームを平行光化して集光し、前記マルチモード光ファイバの入射端面に収束させる光源集光光学系とを有する請求項19から21のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  23. レーザ光の波長が395〜415nmである請求項22に記載の永久パターン形成方法。
  24. 現像が行われた後、感光層に対して硬化処理を行う請求項1から23のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
  25. 硬化処理が、全面露光処理及び120〜200℃で行われる全面加熱処理の少なくともいずれかである請求項24に記載の永久パターン形成方法。
  26. 保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンの少なくともいずれかを形成する請求項1から25のいずれかに記載の永久パターン形成方法。
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