JP2007085678A - 汽力発電設備における燃料系統及びその運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料系統における設備配置を変えることで、ボイラに点火してから発電設備の定常運転までの時間を短縮することができると共に、燃料系統全体を安全かつ正確に運転する。
【解決手段】 軽油供給系統A、重原油供給系統B、軽質油供給系統C、点火トーチ系統D、起動バーナ系統E及び重・軽質油バーナ系統Fとを備えた燃料系統であり、ボイラ炉26側の蒸気条件を整え、タービン側の起動条件が完了し、送電系統に並列し、起動バーナ41から重・軽質油バーナ51に切り換えて運転する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、汽力発電設備に係り、特にボイラに重原油等の燃料を供給する汽力発電設備における燃料系統及びその運転方法に関するものである。
汽力発電設備は、ボイラで燃料を燃焼し、その熱で高圧高温の蒸気を発生し、蒸気タービン、発電機を回転させて電力を発生する設備である。このボイラで燃料を燃やして得た高温高圧の蒸気でタービンを回す汽力発電設備が火力発電の中では発電能力・発電量ともに圧倒的に高い比率を占めている。
汽力発電設備は、ボイラ、タービン、発電機などの主要機器の他に、種々の付属設備から構成される。これらの設備を機能別に分類すると、燃料受入・貯蔵設備、ボイラ設備、蒸気タービン設備、復水・給水系統設備、発電機および電気設備、及び計測制御装置及び諸設備から成る。ここで、燃料受入・貯蔵設備は、取引用計量装置、重原油、LNG、LPG等の燃料タンク、燃料油ポンプ、LNGポンプ、気化器などである。ボイラ設備はボイラ本体、重原油ポンプ、バーナ、通風機、空気予熱器、集じん器、灰処理装置、煙突などである。蒸気タービン設備はタービン本体、潤滑油装置、調速装置などである。復水・給水系統設備は復水器、循環水ポンプ、復水ポンプ、給水加熱器、
1127530413968_0.html
、給水処理装置などである。発電機および電気設備は発電機、励磁機、変圧器、開閉装置、ケーブルなどである。計測制御装置は各種計測装置、監視装置、プラント総括制御装置、自動バーナ装置、計算機制御装置などである。諸設備には所内冷却水設備、所内空気設備、排水処理設備、保安防災設備などがある。
重原油火力では、まずタンカーで運ばれてきた油は、タンカーのポンプにより埠頭またはパースから揚油され、パイプラインを通って燃料貯蔵タンクに貯蔵される。貯蔵タンクの全容量は1カ月分程度である。貯蔵タンクの油は、重原油ポンプによって重原油加熱器へ送られ、バーナから炉内へ噴霧され燃焼する。
ボイラの点火には通常軽質油を用い、点火トーチにて昇圧する。ボイラ側の蒸気条件が整い、タービン側の起動条件が完了したところでタービンに蒸気を送り始動する。徐々にタービンの回転数を上げ、定格速度にする。この時点で発電機の周波数、電圧並びに位相角を調整し、送電系統に並列する。並列にすれば、軽質油の点火トーチから重・軽質油バーナ系統に切り換えを行う。
このような汽力発電所の起動操作は、非常に複雑なものである。そこで、自動制御装置を用いて、これまで人の勘に頼ってやってきた運転操作を、点火から並列まで機械がすべてやってくれる自動制御方法が提案されている。例えば、特許文献1の特開公報「燃料制御装置」に示すように、ガスタービンの燃焼器やボイラの燃料ノズル側に燃料を供給する燃料制御装置に関し、種類の異なる複数の燃料を一つの燃料供給系統で供給できるようにしたものが提案されている。この特許文献1には、特性が異なる液体燃料が送られる複数の液体燃料系統と、複数の液体燃料系統が合流され混合燃料をノズル側に送る一系統の燃料供給系統と、燃料供給系統に備えられる圧力調整弁と、燃料の混合状況に拘らず燃料供給系統の体積流量が所定状態に保持されるように燃料の混合状況に応じて圧力調整弁を動作させて混合燃料の供給圧力を制御する制御手段とからなることを特徴とする燃料制御装置が提案されている。
特開2003−14224
このように、汽力発電設備では、ボイラに点火することによって、ただちに電気を発生出来るものではなく、水力発電設備あるいは内燃カ発電設備に比較して、その所要時間は停止している汽機の状態によって異なるが、所定の負荷をとるまでに十数時間も要するという問題があった。
特に、停止期間が長い汽力発電設備では、この間多くの補機類の起動停止、蒸気圧力、温度の調整、復水器真空度の上昇維持、潤滑油の温度調整、発電機温度の調整、バルブの開閉操作、各部の状態監視等、実に多くの操作・作業を行う必要がある。汽力発電設備における温度変化率や振動値等が、制限値以内に安全に完了させ、定常運転までに、これら多数の操作・作業を基本手順に従って確実に操作する必要があった。
なお、特許文献1には、特性が異なる液体燃料が送られる複数の液体燃料を合流した混合燃料をノズル側に送る一系統の燃料供給にするだけのものであり、燃料系統全体を安全かつ正確に運転制御するものではなかった。
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、燃料系統における設備配置を変えることで、ボイラに点火してから発電設備の定常運転までの時間を短縮することができると共に、燃料系統全体を安全かつ正確に運転することができる汽力発電設備における燃料系統及びその運転方法を提供することにある。
本発明の燃料系統によれば、軽油タンク(1)、軽油噴燃ポンプ(2)、軽油流量計(3)、軽油流量調整弁(4)、軽油遮断弁(5)を順次直列に配置した軽油供給系統(A)と、重原油タンク(21)、重原油噴燃ポンプ(22)、重原油加熱器(23)、重原油流量計(24)、重原油流量調整弁(25)を順次直列に配置した重原油供給系統(B)と、軽油を用いて重原油を点火するために、前記軽油タンク(1)に貯溜した軽油を該ボイラ炉(26)内に噴霧して燃焼する点火トーチ(31)を配置した点火トーチ系統(D)と、前記ボイラ炉(26)を加熱するために、軽油又は重原油を燃焼する起動バーナ(41)を配置した起動バーナ系統(E)と、タービンの回転数を上げ、定格速度にした際に、発電機の周波数、電圧並びに位相角を調整し、送電系統に並列させてから、該ボイラ炉(26)を定常加熱するために、重原油タンク(21)に貯溜した重原油を燃焼すると共に、軽質油を燃焼する重・軽質油バーナ(51)を配置した重・軽質油バーナ系統(F)と、を備えた、ことを特徴とする汽力発電設備における燃料系統が提供される。
前記軽油噴燃ポンプ(2)の直前にストレーナ(6)を配置した。
前記軽油流量計(3)の直前にストレーナ(6)を配置した。
前記軽油タンク(1)下流における前記軽油噴燃ポンプ(2)と前記軽油流量計(3)との間から該軽油タンク(1)までに、軽油戻り系統(7)を配置した。
前記点火トーチ(31)は、前記軽油流量計(3)と前記軽油流量調整弁(4)との間に連結した。
前記重原油噴燃ポンプ(22)の直前にストレーナ(6)を配置した。
前記重原油流量計(24)の直前にストレーナ(6)を配置した。
前記重原油加熱器(23)の上流に、複数の重原油予熱器(28)を並列に配置した。
前記重原油タンク(21)の下流における重原油噴燃ポンプ(22)と前記重原油加熱器(23)との間から該重原油タンク(21)までに、過熱防止用重原油戻り系統(27)を配置した。
前記重原油予熱器(28)の下流に、複数の重原油加熱器(23)を並列に配置した。
前記起動バーナ系統(E)、重・軽質油バーナ系統(F)から前記重原油タンク(21)までに、加熱されていない重原油を戻す冷重原油戻り系統(30)を配置した。
前記重原油加熱器(23)の下流に硫黄分測量計(29)を直列に配置した。
重・軽質油バーナに、軽質油タンク(61)、軽質油噴燃ポンプ(62)、軽質油加熱器(63)、軽質油流量計(64)、軽質油流量調整弁(65)を順次直列に配置した軽質油供給系統(C)を配置した。
本発明の運転方法によれば、ボイラ炉(26)内において、軽油を用いて点火トーチ(31)を点火し、前記点火トーチ(31)から起動バーナを点火し、前記ボイラ炉(26)がコールド状態、ウォーム状態又はホット状態の何れかの状態に応じて軽油又は重原油の燃料を選択的に燃焼し、次に、前記ボイラ炉(26)側の蒸気条件を整え、タービン側の起動条件が完了したところで該タービンに蒸気を送り始動し、徐々に該タービンの回転数を上げ、定格速度にし、この時点で発電機の周波数、電圧並びに位相角を調整し、送電系統に並列する、ことを特徴とする汽力発電設備における燃料系統の運転方法が提供される。
前記ボイラ炉(26)がコールド状態のときは、先ず軽油を燃焼する。前記ボイラ炉(26)がウォーム状態のときは、先ず軽油を燃焼する。一方、前記ボイラ炉(26)がホット状態のときは、直に重原油を燃焼するというように、軽油又は重原油の燃料を選択的に燃焼する。
前記点火トーチ(31)に軽油を用いて点火する前に、該点火トーチ(31)の供給系統のリークテストを実施することが好ましい。
前記起動バーナ(41)に軽油を用いて点火する前に、軽油供給系統(A)のリークテストを実施することが好ましい。
上記構成の発明では、ボイラ炉(26)に軽油を点火してから発電設備の定常運転までの時間を短縮することができると共に、燃料系統全体を安全かつ正確に運転することができる。軽油タンク(1)までに軽油戻り系統(7)を配置したので、系統内の圧力が所定値を超えたときには、軽油は軽油タンク(1)に戻されるので、軽油のリークを防止することにより燃料系統全体を安全に操業することができる。
また、重原油については、重原油噴燃ポンプ(22)と重原油加熱器(23)との間から重原油タンク(21)までに過熱防止用重原油戻り系統(27)を配置したので、燃料系統全体を安全に操業することができる。
一方、起動バーナ系統(E)、重・軽質油バーナ系統(F)から重原油タンク(21)までに、加熱されていない重原油を戻す冷重原油戻り系統(30)を配置したので、両バーナにおいて適度に加熱された重原油を燃焼させることができ、不完全燃焼を防止できると共に、重原油に関する燃料系統全体を効率良く運転することができる。
上記方法の発明では、ボイラ炉(26)が比較的長い日数停止したコールド状態か、停止後ではあるがまだ温かいウォーム状態又はホット状態の何れの状態かに応じて、燃焼する軽油又は重原油を選択的に燃焼することで、燃料系統全体を安全かつ正確に運転することができる。
このように燃料系統全体を安全かつ正確に運転することができるので、需給面からは周波数、電圧、供給の安定等質的な要求に対応することができる。主要電源である火力発電(汽力発電設備)への運転信頼度、需要変動に対する即応能力の向上を図ることができる。しかも、火力発電の連転にあたっては、これら給電上の要求を満たすと共に環境面からの要請にも応えることができ、効率的な運転を維持することもでき、きめ細かい運転管理を行うことができる。
本発明の汽力発電設備における燃料系統は、軽質油タンク、軽質油加熱器等を順次直列に配置した軽質油供給系と、重原油タンク、重原油加熱器等を順次直列に配置した重油供給系と、ボイラ炉を加熱する起動バーナ、ボイラ炉で重原油、軽質油燃焼する重・軽質油バーナとを備えた燃料系統である。
本発明の燃料系統の運転方法は、ボイラ炉側の蒸気条件を整え、タービン側の起動条件が完了し、送電系統に並列し、起動バーナから重・軽質油バーナに切り換える運転方法である。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の汽力発電設備における燃料系統を示す概略回路図である。
本発明の汽力発電設備における燃料系統は、軽油供給系統A、重原油供給系統B、軽質油供給系統C、点火トーチ系統D、起動バーナ系統E及び重・軽質油バーナ系統Fとを備えた燃料系統である。
軽油供給系統Aは、軽油タンク1、軽油噴燃ポンプ2、軽油流量計3、軽油流量調整弁4、軽油遮断弁5を順次直列に配置した燃料系統である。重原油供給系統Bは、重原油タンク21、重原油噴燃ポンプ22、重原油加熱器23、重原油流量計24、重原油流量調整弁25を順次直列に配置した燃料系統である。
点火トーチ系統Dは、軽油を用いて重原油を点火するために、軽油タンク1に貯溜した軽油をボイラ炉26内に噴霧して点火する点火トーチ31を配置した系統である。起動バーナ系統Eは、ボイラ炉26を加熱するために、軽油又は重原油を燃焼する起動バーナ41を配置した系統である。重・軽質油バーナ系統Fは、タービンの回転数を上げ、定格速度にした際に、発電機の周波数、電圧並びに位相角を調整し、送電系統に並列させてから、ボイラ炉26を加熱するために、重原油タンク21に貯溜した重原油を燃焼すると共に、軽質油を燃焼する重・軽質油バーナ51を配置した系統である。
図2は本発明の汽力発電設備における燃料系統における軽油系統を示す回路図であり、タンク側の一部である。図3は本発明の汽力発電設備における燃料系統における軽油系統を示す回路図であり、図2と連続するもので、バーナ側の一部を示す。
先ず、図2に示すように、軽油供給系統Aは、主に軽油を貯留する軽油タンク1、この下流にフィルター装置となるストレーナ6を2個並列に配置した。このストレーナ6は軽油噴燃ポンプ2の直前に配置してある。
軽油を輸送するための軽油噴燃ポンプ4は2個並列に配置した。各軽油噴燃ポンプ4の下流にそれぞれ軽油流量計(FS)3を直列に配置し、その下流で合流する。なお、軽油噴燃ポンプ2を並列に配置することで、一方の軽油噴燃ポンプ2を保守点検できるだけでなく複数機を同時に運転して強力な輸送を可能にすることができる。
軽油タンク1下流の軽油噴燃ポンプ2と軽油流量調整弁4との間から軽油タンク1までに、軽油戻り系統7を配置した。この軽油戻り系統7は、系統内の圧力か所定値を超えたときには、軽油を軽油タンク1に戻すものである。これにより、燃料系統全体を安全に操業することができる。軽油噴燃ポンプ2の下流にストレーナ6を配置した。
次に、図3に示すように、軽油流量計(FS)3と軽油流量調整弁4との間であって、軽油流量調整弁4の直前から点火トーチ31を連結した。この点火トーチ31は、重原油又は軽油を点火する設備である。
図4は本発明の汽力発電設備における燃料系統における重原油系統を示す回路図であり、タンク側の一部である。図5は本発明の汽力発電設備における燃料系統における重原油系統を示す回路図であり、図4と連続するもので、バーナ側の一部を示す。
重原油供給系統Bは、主に重原油を貯留する重原油タンク21、この下流にストレーナ6を2個並列に配置した。このストレーナ6の上下流には切替弁を配置してある。ストレーナ6の下流に重原油を輸送するための重原油噴燃ポンプ22を3個並列に配置した。
重原油流量計24の直前にストレーナ6を配置した。重原油噴燃ポンプ22の下流に複数の重原油予熱器28を並列に配置し、この重原油予熱器28の下流に重原油加熱器23を配置した。これらの重原油加熱器23、重原油予熱器28は、重原油の粘性を下げ、噴霧しやすくして起動バーナ41又は重・軽質油バーナ51で効率良く燃焼させるためである。
なお、逆に起動バーナ41又は重・軽質油バーナ51において、温度が上昇し過ぎた重原油は却って燃焼効率が下がるので、過熱した重原油を重原油タンク21へ戻すようになっている。そこで、重原油噴燃ポンプ22と重原油加熱器23との間から重原油タンク21までに、過熱防止用重原油戻り系統27を配置した。
次に、図5に示すように、重・軽質油バーナ系統Fは、この重原油加熱器23の下流に重原油噴燃ポンプ22の直前にストレーナ6を2個並列に配置した。これらのストレーナ6の下流に、重原油止弁、加熱防止弁、圧力調整弁を順次直列に配置し、最後に重・軽質油バーナ41,51を配置したものである。重原油加熱器23の下流に硫黄分測量計29を直列に配置した。
起動バーナ系統E、重・軽質油バーナ系統Fから重原油タンク21までに、加熱されていない重原油を戻す冷重原油戻り系統30を配置した。重原油加熱器23又は重原油予熱器28において、重原油を充分に加熱することができず、その粘性を下げておかないと、起動バーナ41又は重・軽質油バーナ51で効率良く噴霧することができないからであり、不完全燃焼しやすいからである。
図6は本発明の汽力発電設備における燃料系統に軽質油系統を用いた実施例3を示す回路図であり、タンク側の一部である。図7は本発明の汽力発電設備における燃料系統に軽質油系統を用いた実施例2を示す回路図であり、図6と連続するもので、バーナ側の一部を示す。
図6と図7は、重油に代えて軽質油を用いるときの燃料系統を示すものである。
本発明の燃料系統には軽質油供給系統Cを配置している。この軽質油供給系統Cは、重・軽質油バーナ51に、軽質油タンク61、軽質油噴燃ポンプ62、軽質油予熱器667、軽質油加熱器63、軽質油流量計64及び軽質油流量調整弁65を順次直列に配置した設備である。
軽質油噴燃ポンプ62と軽質油流量調整弁65との間から軽質油タンク61までに、軽質油戻り系統66を配置した。この軽質油戻り系統66は、系統内の圧力か所定値を超えたときには、軽質油は軽質油タンク61に戻されるので、燃料系統全体を安全に操業することができる。
図8は本発明の汽力発電設備における燃料系統における重原油供給系統の運転方法を説明するフロー図である。
本発明の汽力発電設備における燃料系統の運転は、先ずボイラ炉26内において、軽油を用いて点火トーチ31を点火し、点火トーチ31から起動バーナ41を点火し、ボイラ炉26が「コールド状態」、「ウォーム状態」又は「ホット状態」の何れかの状態に応じて軽油又は重原油の燃料を選択的に燃焼し、次に、ボイラ炉26側の蒸気条件を整え、タービン側の起動条件が完了したところでタービンに蒸気を送り始動し、徐々にタービンの回転数を上げ、定格速度にし、この時点で発電機の周波数、電圧並びに位相角を調整し、送電系統に並列する。
汽力発電設備では、ボイラ炉26に点火することによって、ただちに電気を発生できるものではなく、所定の負荷をとるまでに十数時間も要することもある。その状態を次の四つに大別して、起動スケジュールの目安とするのが通例である。比較的長い日数停止した「コールド状態」、数十時間の停止した「ウォーム状態」、数時間の停止した「ホット状態」、更に比較的短時間しか停止していない「べリーホット」状態がある。
このボイラ炉26が「コールド状態」、「ウォーム状態」又は「ホット状態」の何れかの状態に応じて軽油又は重原油の燃料を選択的に燃焼する際に、ボイラ炉26が「コールド状態」のときは、先ず軽油を起動バーナ41で燃焼する。ボイラ炉26が「ウォーム状態」のときは、先ず軽油を起動バーナ41で燃焼する。これは、ボイラ炉26内を充分に加熱するためである。
一方、ボイラ炉26が「ホット状態」のときは、ボイラ炉26内が充分に加熱されているので、直に重原油を起動バーナ41で燃焼する。このように、ボイラ炉26内の状態に応じて軽油又は重原油の燃料を選択的に燃焼する。
次に、ボイラ炉26を、起動バーナ41で重原油を又は軽質油を燃焼して昇圧する。このときに、上述した重原油供給系統Bのボイラ炉26側の蒸気条件を整え、重・軽質油バーナ51に切り替える。その後タービン側の起動条件が完了したところでタービンに蒸気を送り始動し、徐々にタービンの回転数を上げ、定格速度にする。
なお、例えば操作電源、操作空気圧あるいは操作油圧の点検、潤滑油系統、冷却水系統、給水系統等と共に、本発明の燃料系統の確認をする。各種パルプ類およびベーン・ダンパ類の開閉状況の確認、計器類、保安装置の確認、操作スイッチ類の状態を予め点検する必要がある。
この時点で発電機の周波数、電圧並びに位相角を調整し、送電系統に並列し、起動バーナ41から重・軽質油バーナ51に切り換える。
更に、点火トーチ31に軽油を用いて点火する前に、点火トーチ31の供給系統のリークテストを実施することが好ましい。あるいは、起動バーナ41に軽油を用いて点火する前に、軽油供給系統Aのリークテストを実施することが好ましい。
なお、本発明は、燃料系統における設備配置を変えることで、ボイラ炉26に点火してから発電設備の定常運転までの時間を短縮することができると共に、燃料系統全体を安全かつ正確に運転することができれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
本発明の汽力発電設備における燃料系統及びその運転方法は、汽力発電設備の他にコンバインサイクル発電設備などに利用することができる。
本発明の汽力発電設備における燃料系統を示す概略回路図である。 本発明の汽力発電設備における燃料系統における軽油系統を示す回路図であり、タンク側の一部である。 本発明の汽力発電設備における燃料系統における軽油系統を示す回路図であり、図2と連続するもので、バーナ側の一部を示す。 本発明の汽力発電設備における燃料系統における重原油系統を示す回路図であり、タンク側の一部である。 本発明の汽力発電設備における燃料系統における重原油系統を示す回路図であり、図4と連続するもので、バーナ側の一部を示す。 本発明の汽力発電設備における燃料系統に軽質油系統を用いた第二の実施形態を示す回路図であり、タンク側の一部である。 本発明の汽力発電設備における燃料系統に軽質油系統を用いた第二の実施形態を示す回路図であり、図7と連続するもので、バーナ側の一部を示す。 本発明の汽力発電設備における燃料系統における重原油供給系統の運転方法を説明するフロー図である。
符号の説明
A 軽油供給系統
B 重原油供給系統
C 軽質油供給系統
D 点火トーチ系統
E 起動バーナ系統
F 重・軽質油バーナ系統
1 軽油タンク
2 軽油噴燃ポンプ
3 軽油流量計
4 軽油流量調整弁
5 軽油遮断弁
6 ストレーナ
7 軽油戻り系統
21 重原油タンク
22 重原油噴燃ポンプ
23 重原油加熱器
24 重原油流量計
25 重原油流量調整弁
26 ボイラ炉
27 過熱防止用重原油戻り系統
28 重原油予熱器
29 硫黄分測量計
30 冷重原油戻り系統
31 点火トーチ
41 起動バーナ
51 重・軽質油バーナ
61 軽質油タンク
62 軽質油噴燃ポンプ
63 軽質油加熱器
64 軽質油流量計
65 軽質油流量調整弁

Claims (19)

  1. 軽油タンク(1)、軽油噴燃ポンプ(2)、軽油流量計(3)、軽油流量調整弁(4)、軽油遮断弁(5)を順次直列に配置した軽油供給系統(A)と、
    重原油タンク(21)、重原油噴燃ポンプ(22)、重原油加熱器(23)、重原油流量計(24)、重原油流量調整弁(25)を順次直列に配置した重原油供給系統(B)と、
    軽油を用いて重原油を点火するために、前記軽油タンク(1)に貯溜した軽油を該ボイラ炉(26)内に噴霧して燃焼する点火トーチ(31)を配置した点火トーチ系統(D)と、
    前記ボイラ炉(26)を加熱するために、軽油又は重原油を燃焼する起動バーナ(41)を配置した起動バーナ系統(E)と、
    タービンの回転数を上げ、定格速度にした際に、発電機の周波数、電圧並びに位相角を調整し、送電系統に並列させてから、該ボイラ炉(26)を定常加熱するために、重原油タンク(21)に貯溜した重原油を燃焼すると共に、軽質油を燃焼する重・軽質油バーナ(51)を配置した重・軽質油バーナ系統(F)と、
    を備えた、ことを特徴とする汽力発電設備における燃料系統。
  2. 前記軽油噴燃ポンプ(2)の直前にストレーナ(6)を配置した、ことを特徴とする請求項1の汽力発電設備における燃料系統。
  3. 前記軽油流量計(3)の直前にストレーナ(6)を配置した、ことを特徴とする請求項1又は2の汽力発電設備における燃料系統。
  4. 前記軽油タンク(1)下流における前記軽油噴燃ポンプ(2)と前記軽油流量計(3)との間から該軽油タンク(1)までに、軽油戻り系統(7)を配置した、ことを特徴とする請求項1、2又は3の汽力発電設備における燃料系統。
  5. 前記点火トーチ(31)は、前記軽油流量計(3)と前記軽油流量調整弁(4)との間に連結した、ことを特徴とする請求項1の汽力発電設備における燃料系統。
  6. 前記重原油噴燃ポンプ(22)の直前にストレーナ(6)を配置した、ことを特徴とする請求項1の汽力発電設備における燃料系統。
  7. 前記重原油流量計(24)の直前にストレーナ(6)を配置した、ことを特徴とする請求項1の汽力発電設備における燃料系統。
  8. 前記重原油加熱器(23)の上流に、複数の重原油予熱器(28)を並列に配置した、ことを特徴とする請求項1の汽力発電設備における燃料系統。
  9. 前記重原油タンク(21)の下流における重原油噴燃ポンプ(22)と前記重原油加熱器(23)との間から該重原油タンク(21)までに、過熱防止用重原油戻り系統(27)を配置した、ことを特徴とする請求項1の汽力発電設備における燃料系統。
  10. 前記重原油予熱器(28)の下流に、複数の重原油加熱器(23)を並列に配置した、ことを特徴とする請求項1の汽力発電設備における燃料系統。
  11. 前記起動バーナ系統(E)、重・軽質油バーナ系統(F)から前記重原油タンク(21)までに、加熱されていない重原油を戻す冷重原油戻り系統(30)を配置した、ことを特徴とする請求項1の汽力発電設備における燃料系統。
  12. 前記重原油加熱器(23)の下流に硫黄分測量計(29)を直列に配置した、ことを特徴とする請求項1の汽力発電設備における燃料系統。
  13. 重・軽質油バーナ(51)に、軽質油タンク(61)、軽質油噴燃ポンプ(62)、軽質油加熱器(63)、軽質油流量計(64)、軽質油流量調整弁(65)を順次直列に配置した軽質油供給系統(C)を配置した、ことを特徴とする請求項1の汽力発電設備における燃料系統。
  14. ボイラ炉(26)内において、軽油を用いて点火トーチ(31)を点火し、
    前記点火トーチ(31)から起動バーナ(41)を点火し、
    前記ボイラ炉(26)がコールド状態、ウォーム状態又はホット状態の何れかの状態に応じて軽油又は重原油の燃料を選択的に燃焼し、
    次に、前記ボイラ炉(26)側の蒸気条件を整え、タービン側の起動条件が完了したところで該タービンに蒸気を送り始動し、徐々に該タービンの回転数を上げ、定格速度にし、この時点で発電機の周波数、電圧並びに位相角を調整し、送電系統に並列する、
    ことを特徴とする汽力発電設備における燃料系統の運転方法。
  15. 前記ボイラ炉(26)がコールド状態のときは、先ず軽油を燃焼する、ことを特徴とする請求項14の汽力発電設備における燃料系統の運転方法。
  16. 前記ボイラ炉(26)がウォーム状態のときは、先ず軽油を燃焼する、ことを特徴とする請求項14の汽力発電設備における燃料系統の運転方法。
  17. 前記ボイラ炉(26)がホット状態のときは、直に重原油を燃焼する、ことを特徴とする請求項14の汽力発電設備における燃料系統の運転方法。
  18. 前記点火トーチ(31)に軽油を用いて点火する前に、該点火トーチ(31)の供給系統のリークテストを実施する、ことを特徴とする請求項14の汽力発電設備における燃料系統の運転方法。
  19. 前記起動バーナ(41)に軽油を用いて点火する前に、軽油供給系統(A)のリークテストを実施する、ことを特徴とする請求項14の汽力発電設備における燃料系統の運転方法。
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