JP2007057778A - 感光性平版印刷版材料、その製造方法、及びそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

感光性平版印刷版材料、その製造方法、及びそれを用いた画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 発光波長が350nmから450nmの範囲にあるレーザー光での露光に適し、感度、耐刷性、現像処理適性、プレヒートラチチュード特性等に優れる感光性平版印刷版材料、その製造方法、及び当該材料を用いた画像形成方法を提供する。
【解決手段】 支持体上に感光性層を有する感光性平版印刷版材料において、当該感光性層が二層以上で構成され、当該支持体から最も遠い感光性層が実質的に着色顔料を含有していないことを特徴とする感光性平版印刷版材料。
【選択図】 なし

Description

本発明はいわゆるコンピューター・トゥ・プレート(computer−to−plate:以下において、「CTP」という。)システムに用いられる感光性平版印刷版材料に関し、特に波長350〜450nmのレーザー光での露光に適した感光性平版印刷版材料、その製造方法、及びそれを用いた画像形成方法に関する。
近年、画像情報をコンピューターを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、デジタル化技術が広く普及し、オフセット印刷用の印刷版の作製技術においては、デジタル化された画像情報に従って、指向性の高いレーザー光を走査し、直接感光性平版印刷版に記録するいわゆるCTPシステムが開発され、実用化が進展している。
比較的高い耐刷力を要求される印刷の分野においては、重合可能な化合物を含む重合型の感光性層を有するネガ型の感光性平版印刷版材料を用いることが知られている(例えば特許文献1、2参照。)。
重合型の感光性層を有する感光性平版印刷版材料に用いられる画像形成用光源としては、Arレーザー(488nm)やYD−YAG(532nm)のような光源が知られているが、これらの光源を用いた製版においては出力が十分高くないことなどから製版工程の生産性を上げるには不充分であり、セーフライトの使用の面から作業性が不充分であった。
一方、近年高出力かつ小型の短波光(波長350〜450nm)の範囲で連続発信可能なレーザーが容易に入手できるようになっている。そして、上記の生産性、セーフライト性などを改善するため、これらの短波光のレーザーに適する印刷版材料が開発されている。これらの短波光のレーザーに適する印刷版材料として、例えば特定のカルボニル化合物とチタノセン化合物を含む350〜450nmの波長のレーザーに適する感光層を有する印刷版材料(特許文献3参照)、特定のスチリル化合物や特定の蛍光増白剤を含む350〜450nmの波長のレーザーに適した感光性層を有する印刷版材料(特許文献4及び5参照)が知られている。
しかしながら、これらの印刷版材料において、まだ感度、耐刷性、現像処理適性、プレヒートラチチュード特性(現像工程における版面到達温度変化に対する安定性)が不充分である等の問題があった。
なお、感度、耐刷性、耐傷性等の改良のための技術として、感光性層を二層以上の構成にする技術が知られているが、上記の問題を十分に解決できるものでなかった(例えば、特許文献6及び7参照)。
特開平1−105238号公報 特開平2−127404号公報 特開2000−98605号公報 特開2003−221517号公報 特開2003−295426号公報 特開平9−311442号公報 特開2000−250203号公報
上記問題に鑑み、本発明の目的は、発光波長が350nmから450nmの範囲にあるレーザー光での露光に適し、感度、耐刷性、現像処理適性、プレヒートラチチュード特性等に優れる感光性平版印刷版材料、その製造方法、及び当該材料を用いた画像形成方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
(1)支持体上に感光性層を有する感光性平版印刷版材料において、当該感光性層が二層以上で構成され、当該支持体から最も遠い感光性層が実質的に着色顔料を含有していないことを特徴とする感光性平版印刷版材料。
(2)前記支持体から最も遠い感光性層がガラス転移温度(Tg)が100℃以上130℃以下であるアルカリ可溶性高分子バインダーを含有することを特徴とする前記(1)に記載の感光性平版印刷版材料。
(3)前記感光性層が、350〜440nmの波長範囲に吸収極大を有する分光増感剤を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の感光性平版印刷版材料。
(4)支持体から最も遠い感光性層以外の感光性層が金属無置換のフタロシアニン顔料を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の感光性平版印刷版材料。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の感光性平版印刷版材料を製造することを特徴とする感光性平版印刷版材料の製造方法。
(6)前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の感光性平版印刷版材料に、発光波長が350nm〜450nmの範囲にあるレーザー光を光源として、画像露光を行い、アルカリ性現像液で現像処理を行うことを特徴とする感光性平版印刷版材料の画像形成方法。
本発明の構成により、発光波長が350nmから450nmの範囲にあるレーザー光での露光に適し、感度、耐刷性、現像処理適性、プレヒートラチチュード特性等に優れる感光性平版印刷版材料、その製造方法、及び当該材料を用いた画像形成方法を提供することができる。
次に本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
本発明は、支持体上に分光増感剤、光重合開始剤、重合可能な化合物、および高分子バインダー等を含有する感光性層を設けて成る感光性平版印刷版材料において、当該感光性層が二層以上で構成され、支持体から最も遠い感光性層が実質的に着色顔料を含有しないことを特徴とする。
以下、本発明及びその構成要素について順次説明する。
(感光性層の層構成)
本発明の感光性平版印刷版材料は、表面処理されたアルミニウム支持体上に、下記する感光性組成物を含有する感光性層が少なくとも二層設けられたことを特徴とする。
本発明においては、支持体から最も遠い感光性層は、実質的に着色顔料を含有しないことを要する。ここで、「実質的に着色顔料を含有しない」とは、支持体から最も遠い感光性層中の着色顔料の含有量が、ゼロ乃至本発明の感光性平版印刷版材料の性能に何らかの影響を与える限界量以下の量である状態をいい、当該着色顔料の含有量が当該感光性層組成物の全固形分に対し0.001質量%以下であることをいう。
また、支持体から最も遠い感光性層の層厚みは本発明の効果を発揮させるためには全感光性層厚みに対して10%〜50%が好ましい。
但し、当該感光性層以外の感光性層に、後述する着色顔料を含有させることは好ましい態様である。
また、支持体から最も遠い感光性層には、後述するようなガラス転移温度(Tg)が100℃以上130℃以下ののアルカリ可溶性高分子バインダーを含有することが好ましい。
上述のように感光性層が二層以上で構成され、支持体から最も遠い感光性層に着色顔料(フィラー)がないことで重合後の感光性層構造が強固となり、印刷時のインキの感光性層(画像形成層)内浸透が抑えられ層劣化が小さくなる。さらに、着色顔料(フィラー)がないことでより完全弾性体の方向に近づく構造となり、印刷時の繰り返し応力変動による追随性が良く、層破壊しにくくなる。また、現像スラッジの原因物質の一つである顔料の添加量が減るため現像スラッジ・ヘドロが減少する。
(分光増感剤)
本発明に係る分光増感剤は、画像露光に対する重合開始剤の感度を高めるものであり、本発明においては、当該分光増感剤として、350〜450nmの波長範囲に吸収極大を有する分光増感剤を含有することが好ましい。
これらの色素としては、例えばシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、アクリジン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、トリフェニルアミン、クマリン誘導体、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合部、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、ケトアルコールボレート錯体等が挙げられる。
これらの分光増感剤のうち下記一般式(A)で表されるクマリン系の化合物が好ましく用いられる。
Figure 2007057778
式中、R31〜R36は、水素原子、置換基を表す。置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、等が挙げられる。これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
この中で、特に好ましいのは、R35にアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基を有するクマリンである。この場合、アミノ基に置換したアルキル基が、R34、R36の置換基と環を形成しているものも好ましく用いることができる。
さらに、R31,R32のいずれか、あるいは両方が、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、 ニトロ基、ハロゲン化アルキル基(トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、トリクロロメチル基等)であると更に好ましい。
好ましい具体例として、下記の化合物が挙げられるが、これに限定するものではない。
Figure 2007057778
Figure 2007057778
上記具体例の他に、特開平8−129258号公報のB−1からB−22のクマリン誘導体、特開2003−21901号公報のD−1からD−32のクマリン誘導体、特開2002−363206号公報の1から21のクマリン誘導体、特開2002−363207号公報の1から40のクマリン誘導体、特開2002−363208号公報の1から34のクマリン誘導体、特開2002−363209号公報の1から56のクマリン誘導体等も好ましく使用可能である。
本発明においては、上記の分光増感剤のほかに、化学構造の異なる分光増感剤を併用することもできる。併用できる分光増感剤の具体例としては、特開2003−295426号公報記載の光学増白剤類、特開2003−21901号公報の分光増感剤、特開2003−21895号公報の一般式(I)で表される構造を有する化合物、特開2003−21894号公報の一般式(I)で表される構造を有する化合物、特開2002−351072号公報の特定構造を有する分光増感剤、特開2002−351071号公報の特定構造を有する分光増感剤、特開2002−351065号公報の特定構造(ピロロピロール環)を有する分光増感剤、特開2002−268239号公報の分光増感剤、特開2002−268238号公報の分光増感剤、特開2002−268204号公報の分光増感剤、特開2002−221790号公報の一般式(I)で表される構造を有する化合物、特開2002−202598号公報の一般式(I)で表される構造を有する化合物、特開2001−042524号公報のカルバゾール系分光増感剤、特開2000−309724号公報の分光増感剤、特開2000−258910号公報の分光増感剤、特開2000−206690号公報のナフト[1,8−b,c]フラン−5−オン誘導体、特開2000−147763号公報のメロシアニン系色素、特開2000−098605号公報のカルボニル化合物等が挙げられる。
その他、上記の例示分光増感剤のほかに、併用することができる好ましい分光増感剤の例としては、例えばシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、アクリジン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、トリフェニルアミン、クマリン誘導体、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合部、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、ケトアルコールボレート錯体等も挙げることが出来る。
本発明に係る分光増感剤の、感光層中の添加量は任意だが、好ましくは、感光層全質量に対し0.1から20質量%の範囲が好ましい。さらに、好ましくは0.8から15質量%である。さらに詳しくは、感光性平版印刷版材料の構成とした際に、使用するレーザ波長での積分球を用いた反射スペクトルの吸光度が、0.2から2.0の範囲である添加量が好ましい。さらに好ましくは、0.3から1.2の吸光度となる添加量である。
また、これらの分光増感剤は、単独で用いても、複数種類を混合し併用しても構わない。
(重合開始剤)
重合開始剤は、画像露光により、重合合可能な化合物の重合反応を開始する機能を有するものであり、本発明に係る重合開始剤としては、従来一般的に使用されている種々の重合開始剤を使用することができる。
本発明に係る光重合開始剤として好ましい具体例を以下に記す。
〈鉄アレーン錯体化合物〉
本発明に係る鉄アレーン錯体化合物としては、下記一般式(a)で表される化合物が好ましい。
一般式(a)[A−Fe−B]+-
式中Aは、置換、無置換のシクロペンタジエニル基または、シクロヘキサジエニル基を表す。式中Bは芳香族環を有する化合物を表す。式中X-はアニオンを表す。
芳香族環を有する化合物の、具体例としてはベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、ナフタレン、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、ビフェニル、フルオレン、アントラセン、ピレン等が挙げられる。X-としては、PF6 -、BF4 -、SbF6 -、AlF4 -、CF3SO3 -等が挙げられる。置換シクロペンタジエニル基またはシクロヘキサジエニル基の置換基としては、メチル、エチル基などのアルキル基、シアノ基、アセチル基、ハロゲン原子が挙げられる。
鉄アレーン錯体化合物は、重合可能な基を有する化合物に対して0.1〜20質量%の割合で含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。
鉄アレーン錯体化合物の具体例を以下に示す。
Fe−1:(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−2:(η6−トルエン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロフェート
Fe−3:(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−4:(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロアルセネート
Fe−5:(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロポレート
Fe−6:(η6−ナフタレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−7:(η6−アントラセン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−8:(η6−ピレン)(η5−シクロペンタジェニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−9:(η6−ベンゼン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−10:(η6−トルエン)(η5−アセチルシクロペンタジニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−11:(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート
Fe−12:(η6−ベンゼン)(η5−カルボエトキシシクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−13:(η6−ベンゼン)(η5−1,3−ジクロルシクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−14:(η6−シアノベンゼン)(η5−シクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−15:(η6−アセトフェノン)(η5−シクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−16:(η6−メチルベンゾエ−ト)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−17:(η6−ベンゼンスルホンアミド)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート
Fe−18:(η6−ベンズアミド)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−19:(η6−シアノベンゼン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
FE−20:(η6−クロルナフタレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−21:(η6−アントラセン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−22:(η6−クロルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−23:(η6−クロルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート
これらの化合物は、Dokl.Akd.Nauk SSSR 149 615(1963)に記載された方法により合成できる。
本発明に係る鉄アレーン錯体化合物の感光性組成物に対する含有量としては、0.1質量%〜10質量%が好ましく、さらに1.0質量%〜5.0質量%が好ましく、特に2.0質量%〜4.0質量%が好ましい。
又、鉄アレーン錯体化合物の上記(A)重合可能な、エチレン性不飽和結合含有化合物に対する含有量としては、0.1質量%〜30質量%が好ましく、さらに0.5質量%〜20質量%が好ましく、特に1.0質量%〜10質量%が好ましい。
本発明に係る鉄アレーン錯体化合物とシロキサングリコール共重合体との比率(鉄アレーン錯体化合物/シロキサングリコール共重合体)は、5〜100であることが好ましく、10〜50であることが特に好ましい。
光重合開始剤としては、鉄アレーン錯体の他に下記のような光重合開始を含んでもよい。これらの他の開始剤の感光性組成物に対する含有量としては、0質量%〜5質量%が好ましく、特に0質量%〜3質量%が好ましい。
他の光重合開始剤としては、例えばビイミダゾール化合物、チタノセン化合物、ポリハロゲン化合物、モノアルキルトリアリールボレート化合物などが好ましく用いられる。
〈ビイミダゾール化合物〉
ビイミダゾール化合物は、ビイミダゾールの誘導体であり、特開2003−295426号公報に記載される化合物等が挙げられる。
ビイミダゾール化合物としては、ヘキサアリールビイミダゾール(HABI、トリアリール−イミダゾールの二量体)化合物が、好ましく用いられる。
HABI類の製造工程はDE1,470,154に記載されておりそして光重合可能な組成物中でのそれらの使用はEP24,629、EP107,792、US4,410,621、EP215,453およびDE3,211,312に記述されている。
好ましい誘導体は例えば、2,4,5,2′,4′,5′−ヘキサフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−ブロモフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラキス(3−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,5,2′,5′−テトラキス(2−クロロフェニル)−4,4′−ビス(3,4−ジメトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,6−ジクロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−ニトロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ジ−o−トリル−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−エトキシフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾールおよび2,2′−ビス(2,6−ジフルオロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾールである。
HABIの量は、感光性組成物の非揮発性成分の合計質量に対して、典型的には0.01〜30質量%、好ましくは0.5〜20質量%の範囲である。
〈チタノセン化合物〉
チタノセン化合物としては、特開昭63−41483、特開平2−291に記載される化合物等が挙げられるが、更に好ましい具体例としては、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ジ−クロライド、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−フェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニル(IRUGACURE727L:チバスペシャリティーケミカルズ社製)、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム(IRUGACURE784:チバスペシャリティーケミカルズ社製)、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,4,6−トリフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウムビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,4,6−トリフルオロ−3−(2−5−ジメチルピリ−1−イル)フェニル)チタニウム等が挙げられる。
〈ポリハロゲン化合物〉
ポリハロゲン化合物は、トリハロゲンメチル基、ジハロゲンメチル基又はジハロゲンメチレン基を有する化合物であり、特に下記一般式(a)で表されるハロゲン化合物及び上記基がオキサジアゾール環に置換した化合物が好ましく用いられる。この中でも更に、下記一般式(b)で表されるハロゲン化合物が特に好ましく用いられる。
一般式(a) R1−CY2−(C=O)−R2
式中、R1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、イミノスルホニル基またはシアノ基を表す。R2は一価の置換基を表す。R1とR2が結合して環を形成してもかまわない。Yはハロゲン原子を表す。
一般式(b) CY3−(C=O)−X−R3
式中、R3は、一価の置換基を表す。Xは、−O−、−NR4−を表す。R4は、水素原子、アルキル基を表す。R3とR4が結合して環を形成してもかまわない。Yはハロゲン原子を表す。これらの中でも特にポリハロゲンアセチルアミド基を有するものが好ましく用いられる。
又ポリハロゲンメチル基がオキサジアゾール環に置換した化合物も好ましく用いられる。
〈モノアルキルトリアリールボレート化合物〉
モノアルキルトリアリールボレート化合物としては、特開昭62−150242、特開昭62−143044に記載される化合物等挙げられるが、更に好ましい具体例としては、テトラ−n−ブチルアンモニウム・n−ブチルートリナフタレン−1−イル−ボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウム・n−ブチルートリフェニル−ボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウム・n−ブチルートリ−(4−tert−ブチルフェニル)−ボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウム・n−ヘキシルートリ−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−ボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウム・n−ヘキシルートリ−(3−フルオロフェニル)−ボレート等が挙げられる。
本発明では、光重合開始剤として、他の既知の光重合開始剤を併用してもよい。併用可能な重合開始剤の具体的例としては、特表2002−537419号公報記載のラジカルを生成可能な化合物、特開2001−175006号、特開2002−278057号、特開2003−5363号公報記載の重合開始剤等を用いることができるほか、特開2003−76010号公報記載の、一分子中にカチオン部を二個以上有するオニウム塩、特開2001−133966号公報記載のN−ニトロソアミン系化合物、特開2001−343742号公報記載の熱によりラジカルを発生する化合物、特開2002−6482号公報記載の熱により酸又はラジカルを発生する化合物、特開2002−116539号公報記載のボレート化合物、特開2002−148790号公報記載の熱により酸又はラジカルを発生する化合物、特開2002−207293号公報記載の重合性の不飽和基を有する光又は熱重合開始剤、特開2002−268217号公報記載の2価以上のアニオンを対イオンとして有するオニウム塩、特開2002−328465号記載のの特定構造スルホニルスルホン化合物、特開2002−341519号公報記載の熱によりラジカルを発生する化合物等の化合物も必要に応じて使用できる。
これら、併用可能な重合開始剤として好ましくは、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールヨードニウム化合物、トリハロメチルトリアジン化合物、アシルホスフィンオキシド化合物、ベンゾイン誘導体、N−フェニルグリシン誘導体等が挙げられる。
スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物の具体例としては、特開2001−343742号,特開2002−6482号,特開2002−116539号,特開2002−148790号,特開2002−268217号,特開2002−341519号,特開2003−076010号,特開2003−5363号等の公報に記載されているものが挙げられる。
また、ジアゾ樹脂も光重合開始剤として好ましく含有せしめることができる。好ましいジアゾ樹脂としては、特開平10−31307号公報に記載されているものが挙げられる。
(重合可能な化合物)
重合可能な化合物とは、画像露光による重合開始剤の反応の生成物を契機として重合し得る化合物である。本発明に係る重合可能な化合物としては、本発明に係る前記重合開始剤から生成するラジカル種等との反応を契機として重合反応が開始し得る広範囲の化合物が使用できる。
本発明に係る重合可能な化合物として、好ましく用いられるのは、エチレン性不飽和結合含有化合物であって、重合可能な化合物であり、一般的なラジカル重合性のモノマー類、紫外線硬化樹脂に一般的に用いられる分子内に付加重合可能なエチレン性二重結合を複数有する多官能モノマー類や、多官能オリゴマー類である。
これらの重合可能なエチレン性二重結合含有化合物に特に限定は無いが、好ましいものとして、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物のアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ハイドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート等の2官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリル酸エステル酸、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル等を挙げることができる。
また、プレポリマーも上記同様に使用することができる。プレポリマーとしては、後述する様な化合物等が挙げることができ、また、適当な分子量のオリゴマーにアクリル酸、又はメタクリル酸を導入し、光重合性を付与したプレポリマーも好適に使用できる。これらプレポリマーは、1種又は2種以上を併用してもよいし、上述の単量体及び/又はオリゴマーと混合して用いてもよい。
プレポリマーとしては、例えばアジピン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ハイミック酸、マロン酸、こはく酸、グルタール酸、イタコン酸、ピロメリット酸、フマル酸、グルタール酸、ピメリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価のアルコールの結合で得られるポリエステルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステルアクリレート類、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸、フェノールノボラック・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸のようにエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したエポキシアクリレート類、例えば、エチレングリコール・アジピン酸・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレート・キシレンジイソシアネート、1,2−ポリブタジエングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパン・プロピレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレートのように、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したウレタンアクリレート、例えば、ポリシロキサンアクリレート、ポリシロキサン・ジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート等のシリコーン樹脂アクリレート類、その他、油変性アルキッド樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入したアルキッド変性アクリレート類、スピラン樹脂アクリレート類等のプレポリマーが挙げられる。
本発明に係る感光層には、ホスファゼンモノマー、トリエチレングリコール、イソシアヌール酸EO(エチレンオキシド)変性ジアクリレート、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、アルキレングリコールタイプアクリル酸変性、ウレタン変性アクリレート等の単量体及び該単量体から形成される構成単位を有する付加重合性のオリゴマー及びプレポリマーを含有することができる。
更に、併用可能なエチレン性単量体として、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含有するリン酸エステル化合物が挙げられる。この化合物は、リン酸の水酸基の少なくとも一部がエステル化された化合物であり、しかも、(メタ)アクリロイル基を有する限り特に限定はされない。
その他に、特開昭58−212994号公報、同61−6649号公報、同62−46688号公報、同62−48589号公報、同62−173295号公報、同62−187092号公報、同63−67189号公報、特開平1−244891号公報等に記載の化合物などを挙げることができ、更に「11290の化学商品」化学工業日報社、p.286〜p.294に記載の化合物、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」高分子刊行会、p.11〜65に記載の化合物なども本発明においては好適に用いることができる。これらの中で、分子内に2以上のアクリル基又はメタクリル基を有する化合物が本発明においては好ましく、更に分子量が10,000以下、より好ましくは5,000以下のものが好ましい。
また本発明では、分子内に三級アミノ基を含有する付加重合可能なエチレン性二重結合含有化合物を使用することが好ましい。構造上の限定は特に無いが、水酸基を有する三級アミン化合物を、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸クロリド、アクリル酸クロリド等で変性したものが好ましく用いられる。具体的には、特開平1−165613号、特開平1−203413号、特開平1−197213号公報に記載の集合可能な化合物等が好ましく用いられる。
さらに本発明では、分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコール、ジイソシアネート化合物、および分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物の反応生成物を使用することが好ましい。
ここで言う、分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコールとしては、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−tert.−ブチルジエタノ−ルアミン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)アニリン、N,N,N’,N’−テトラ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、p−トリルジエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、アリルジエタノールアミン、3−(ジメチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオ−ル、N,N−ジ(n−プロピル)アミノ−2,3−プロパンジオール、N,N−ジ(iso−プロピル)アミノ−2,3−プロパンジオール、3−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)−1,2−プロパンジオール等が挙げられるが、これに限定されない。
ジイソシアネート化合物としては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、オクタン−1,8−ジイソシアネート、1,3−ジイソシアナートメチル−シクロヘキサノン、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,5−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン等が挙げられるが、これに限定されない。
分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物としては、MH−1からMH−13等の化合物等が挙げられるが、これに限定されない。好ましくは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジメタクリレート、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート等が挙げられる。
これらの反応は、通常のジオール化合物、ジイソシアネート化合物、ヒドロキシル基含有アクリレート化合物の反応で、ウレタンアクリレートを合成する方法と同様に行うことができる。
また、これらの分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコール、ジイソシアネート化合物、および分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物の反応生成物において具体例を以下に示す。
(多官能オリゴマーの合成例)
M−1:トリエタノールアミン(1モル)、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート(3モル)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(3モル)の反応生成物
M−2:トリエタノールアミン(1モル)、イソホロンジイソシアネート(3モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(3モル)の反応生成物
M−3:N−n−ブチルジエタノールアミン(1モル)、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(2モル)の反応生成物
M−4:N−n−ブチルジエタノールアミン(1モル)、1,3−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(2モル)の反応生成物
M−5:N−メチルジエタノールアミン(1モル)、トリレン−2,4−ジイソシアネート(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジメタクリレート(2モル)の反応生成物
M−6:トリエタノールアミン(1モル)、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン(3モル)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(3モル)の反応生成物
M−7:エチレンジアミンテトラエタノール(1モル)、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン(4モル)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(4モル)の反応生成物
M−8:ブチルジエタノールアミン(1モル)、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン(2モル)、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート(2モル)の反応生成物
この他にも、特開平1−105238号、特開平2−127404号公報記載の、アク
(高分子バインダー)
本発明に用いられる高分子結バインダー(「高分子結合材」ともいう。)としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、その他の天然樹脂等が使用出来る。また、これらを2種以上併用してもかまわない。
好ましくはアクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。さらに、高分子バインダーの共重合組成として、(a)カルボキシル基含有モノマー、(b)メタクリル酸アルキルエステル、またはアクリル酸アルキルエステルの共重合体であることが好ましい。
カルボキシル基含有モノマーの具体例としては、α,β−不飽和カルボン酸類、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。その他、フタル酸と2−ヒドロキシメタクリレートのハーフエステル等のカルボン酸も好ましい。
メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等の無置換アルキルエステルの他、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等の環状アルキルエステルや、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等の置換アルキルエステルも挙げられる。
さらに、本発明に係る高分子バインダーは、他の共重合モノマーとして、下記(1)〜(14)に記載のモノマー等を用いる事が出来る。
1)芳香族水酸基を有するモノマー、例えばo−(又はp−,m−)ヒドロキシスチレン、o−(又はp−,m−)ヒドロキシフェニルアクリレート等。
2)脂肪族水酸基を有するモノマー、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルビニルエーテル等。
3)アミノスルホニル基を有するモノマー、例えばm−(又はp−)アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−(又はp−)アミノスルホニルフェニルアクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等。
4)スルホンアミド基を有するモノマー、例えばN−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド等。
5)アクリルアミド又はメタクリルアミド類、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ニトロフェニル)アクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド等。
6)弗化アルキル基を含有するモノマー、例えばトリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、N−ブチル−N−(2−アクリロキシエチル)ヘプタデカフルオロオクチルスルホンアミド等。
7)ビニルエーテル類、例えば、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等。
8)ビニルエステル類、例えばビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等。
9)スチレン類、例えばスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等。
10)ビニルケトン類、例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等。
11)オレフィン類、例えばエチレン、プロピレン、i−ブチレン、ブタジエン、イソプレン等。
12)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン等。
13)シアノ基を有するモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−3−ブテンニトリル、2−シアノエチルアクリレート、o−(又はm−,p−)シアノスチレン等。
14)アミノ基を有するモノマー、例えばN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリブタジエンウレタンアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−i−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等。
さらにこれらのモノマーと共重合し得る他のモノマーを共重合してもよい。
さらに、本発明に係る高分子バインダーは、側鎖にカルボキシル基および重合性二重結合を有するビニル系重合体であることが好ましい。例えば、上記ビニル系共重合体の分子内に存在するカルボキシル基に、分子内に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物を付加反応させる事によって得られる、不飽和結合含有ビニル系共重合体も高分子バインダーとして好ましい。
分子内に不飽和結合とエポキシ基を共に含有する化合物としては、具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、特開平11−271969号に記載のあるエポキシ基含有不飽和化合物等が挙げられる。また、上記ビニル系重合体の分子内に存在する水酸基に、分子内に(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基を有する化合物を付加反応させる事によって得られる、不飽和結合含有ビニル系共重合体も高分子バインダーとして好ましい。分子内に不飽和結合とイソシアネート基を共に有する化合物としては、ビニルイソシアネート、(メタ)アクリルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−またはp−イソプロペニル−α,α′−ジメチルベンジルイソシアネートが好ましく、(メタ)アクリルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
ビニル系共重合体の分子内に存在するカルボキシル基に、分子内に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物を付加反応させる方法は公知の方法で出来る。例えば、反応温度として20〜100℃、好ましくは40〜80℃、特に好ましくは使用する溶媒の沸点下(還流下)にて、反応時間として2〜10時間、好ましくは3〜6時間で行うことができる。使用する溶媒としては、上記ビニル系共重合体の重合反応において使用する溶媒が挙げられる。また、重合反応後、溶媒を除去せずにその溶媒をそのまま脂環式エポキシ基含有不飽和化合物の導入反応に使用することができる。また、反応は必要に応じて触媒および重合禁止剤の存在下で行うことができる。
ここで、触媒としてはアミン系または塩化アンモニウム系の物質が好ましく、具体的には、アミン系の物質としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、ブチルアミン、アリルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ベンジルアミン等が挙げられ、塩化アンモニウム系の物質としては、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
これらを触媒として使用する場合、使用する脂環式エポキシ基含有不飽和化合物に対して、0.01〜20.0質量%の範囲で添加すればよい。また、重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、メチル−p−ベンゾキノン、tert−ブチル−p−ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン等が挙げられ、その使用量は、使用する脂環式エポキシ基含有不飽和化合物に対して、0.01〜5.0質量%である。なお、なお、反応の進行状況は反応系の酸価を測定し、酸価が0になった時点で反応を停止させればよい。
ビニル系重合体の分子内に存在する水酸基に、分子内に(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基を有する化合物を付加反応させる方法は公知の方法で出来る。例えば、反応温度として通常20〜100℃、好ましくは40〜80℃、特に好ましくは使用する溶媒の沸点下(還流下)にて、反応時間として通常2〜10時間、好ましくは3〜6時間で行うことができる。使用する溶媒としては、上記高分子共重合体の重合反応において使用する溶媒が挙げられる。また、重合反応後、溶媒を除去せずにその溶媒をそのままイソシアネート基含有不飽和化合物の導入反応に使用することができる。また、反応は必要に応じて触媒および重合禁止剤の存在下で行うことができる。ここで、触媒としてはスズ系またはアミン系の物質が好ましく、具体的には、ジブチルスズラウレート、トリエチルアミン等が挙げられる。
触媒は使用する二重結合を有する化合物に対して、0.01〜20.0質量%の範囲で添加することが好ましい。また、重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、メチル−p−ベンゾキノン、tert−ブチル−p−ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン等が挙げられ、その使用量は、使用するイソシアネート基含有不飽和化合物に対して、通常0.01〜5.0質量%である。なお、反応の進行状況は反応系のイソシアナト基の有無を赤外吸収スペクトル(IR)で判定し、吸収が無くなった時点で反応を停止させればよい。
側鎖にカルボキシル基および重合性二重結合を有するビニル系重合体は、全高分子結合剤において、50〜100質量%であることが好ましく、100質量%であることがより好ましい。
感光性層中における高分子バインダーの含有量は、10〜90質量%の範囲が好ましく、15〜70質量%の範囲が更に好ましく、20〜50質量%の範囲で使用することが感度の面から特に好ましい。
親水性バインダーとしては、親水性のものなら特に限定はされないが、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂であるポリビニルアルコール(PVA)、セルロース系樹脂(メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等)、キチン類、及びデンプン;エーテル結合を有する樹脂であるポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリビニルエーテル(PVE);アミド基又はアミド結合を有する樹脂であるポリアクリルアミド(PAAM)及びポリビニルピロリドン(PVP)等を挙げることができる。又、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩及びゼラチン類;スルホン基を有するポリスチレンスルホン酸塩;アミノ基、イミノ基、第3アミン及び第4級アンモニウム塩を有するポリアリルアミン(PAA)、ポリエチレンイミン(PEI)、エポキシ化ポリアミド(EPAm)、ポリビニルピリジン及びゼラチン類を挙げることができる。
なお、支持体から最も遠い感光性層には、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上130℃以下であるアルカリ可溶性高分子バインダーを含有させることが、耐刷性を最良にする観点から好ましい。例えば、当該アルカリ可溶性高分子バインダーとして、メタクリル酸−メタクリル酸メチル(20/80,15/85,10/90)共重合体(ガラス転移温度(Tg):約117〜130℃)及びメタクリル酸ーメタクリル酸エチル(30/70,25/75)共重合体(ガラス転移温度(Tg):約106〜114℃)等が好ましい。
(連鎖移動剤)
連鎖移動剤とは、重合体の重合度を調整する等の目的で重合反応系に添加される化合物であって、連鎖重合反応の過程において、連鎖伝達体の種類を変える機能を有するものである。
本発明に係る連鎖移動剤としては、本発明に係る重合可能な化合物の重合反応を促進乃至制御をするために、EP107792号明細書に記載されているようなラジカル連鎖移動剤が好ましい。好ましいラジカル連鎖移動剤の具体例としては、メルカプト化合物が挙げられる。特に、下記一般式〔RCT〕で表される複素芳香族メルカプト化合物またはメルカプト誘導体化合物を感光層に含有させることが好ましい。
一般式〔RCT〕
Ar−SM
式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは窒素、硫黄、酸素、セレニウムまたはテルリウム原子から選ばれる少なくとも1個の原子を有する複素芳香環または縮合複素芳香環である。複素芳香環は、ベンゾイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリン環であることが好ましい。また、前記の例示化合物とは異なる化学構造の複素芳香環を有する複素芳香族メルカプト化合物を、本発明に係る連鎖移動剤として、感光層に含有させることも良い。
(着色剤)
本発明においては、支持体から最も遠い感光性層は、実質的に着色顔料を含有しないことを要する。ただし、当該感光性層以外の以外の感光性層には、後述する着色顔料を含有させることが好ましい。
着色剤としては、市販のものを含め従来公知のものが好適に使用できる。例えば、改訂新版「顔料便覧」,日本顔料技術協会編(誠文堂新光社)、カラーインデックス便覧等に述べられているものが挙げられる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、赤色顔料、褐色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料等が挙げられる。具体的には、無機顔料(二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化カドミウム、酸化鉄、ならびに鉛、亜鉛、バリウム及びカルシウムのクロム酸塩等)及び有機顔料(アゾ系、チオインジゴ系、アントラキノン系、アントアンスロン系、トリフェンジオキサジン系の顔料、バット染料顔料、フタロシアニン顔料及びその誘導体、キナクリドン顔料等)が挙げられる。
これらの中でも、使用する露光レーザーに対応した分光増感剤の吸収波長域に実質的に吸収を持たない顔料を選択して使用することが好ましく、この場合、使用するレーザー波長での積分球を用いた顔料の反射吸収が0.05以下であることが好ましい。又、顔料の添加量としては、上記組成物の固形分に対し0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%である。
上記の感光波長領域での顔料吸収及び現像後の可視画性の観点から、紫色顔料、青色顔料を用いるのが好ましい。このようなものとしては、例えばコバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、フォナトーンブルー6G、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーフアーストスカイブルー、インダンスレンブルー、インジコ、ジオキサンバイオレット、イソビオランスロンバイオレット、インダンスロンブルー、インダンスロンBC等を挙げることができる。これらの中で、より好ましくはフタロシアニンブルー、ジオキサンバイオレットである。
なお、本発明においては、支持体から最も遠い感光性層以外の感光性層に着色顔料を含有させることができるが、その場合の着色顔料としては、金属無置換のフタロシアニン顔料であることが、プレヒートラチチュードが大きくなることから、特に好ましい。
次に、本発明において感光性組成物に添加することのできる各種添加剤、感光性平版印刷版としての支持体、保護層、感光性組成物の支持体への塗布、感光性平版印刷版の画像記録法等について順次説明する。
(各種添加剤)
本発明の感光性組成物には、上記した成分の他に、感光性平版印刷版の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性二重結合単量体の不要な重合を阻止するために、重合防止剤を添加することが望ましい。適当な重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
重合防止剤の添加量は、上記組成物の全固形分の質量に対して、約0.01%〜約5%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加したり、塗布後の乾燥の過程で感光性層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5%〜約10%が好ましい。
また、上記組成物は、本発明の性能を損わない範囲で、界面活性剤を塗布性改良剤として含有することが出来る。その中でも好ましいのはフッ素系界面活性剤である。
また、硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。これらの添加量は全固形分の10%以下が好ましい。
また、本発明に係る感光性層を設けるために調製される、感光性層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、アルコール:多価アルコールの誘導体類では、sec−ブタノール、イソブタノール、n−ヘキサノール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、又エーテル類:プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、又ケトン類、アルデヒド類:ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、又エステル類:乳酸エチル、乳酸ブチル、シュウ酸ジエチル、安息香酸メチル等が好ましく挙げられる。
以上本発明に係わる感光性組成物について説明したが、本発明に係わる感光性平版印刷版材料は上記の各組成を前記の比率となるよう混合・調製し、これをアルミニウム支持体上に塗設することにより構成される。
(保護層:酸素遮断層)
本発明に係る感光性層の上側には、必要な場合、保護層を設けることが出来る。
この保護層(酸素遮断層)は、後述の現像液(一般にはアルカリ水溶液)への溶解性が高いことが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンを挙げることができる。ポリビニルアルコールは酸素の透過を抑制する効果を有し、また、ポリビニルピロリドンは隣接する感光層との接着性を確保する効果を有する。
上記2種のポリマーの他に、必要に応じ、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、膠、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉、アラビアゴム、サクローズオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアミン、ポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、水溶性ポリアミド等の水溶性ポリマーを併用することもできる。
本発明の感光性平版印刷版材料に保護層を設ける場合、感光性層と保護層間の剥離力が35mN/mm以上であることが好ましく、より好ましくは50mN/mm以上、更に好ましくは75mN/mm以上である。好ましい保護層の組成としては特願平8−161645号に記載されるものが挙げられる。
剥離力は、保護層上に十分大きい粘着力を有する所定幅の粘着テープを貼り、それを感光性平版印刷版材料の平面に対して90度の角度で保護層と共に剥離する時の力を測定することにより求めることができる。
保護層には、更に必要に応じて界面活性剤、マット剤等を含有することができる。上記保護層組成物を適当な溶剤に溶解し感光層上に塗布・乾燥して保護層を形成する。塗布溶剤の主成分は水、あるいはメタノール、エタノール、i−プロパノール等のアルコール類であることが特に好ましい。
保護層を設ける場合その厚みは0.1〜5.0μmが好ましく、特に好ましくは0.5〜3.0μmである。
(支持体)
本発明の感光性組成物が支持体上に塗布されて感光性平版印刷版材料を構成するが、本発明において支持体としては、親水性表面を有する支持体が使用される。
親水性表面を有する支持体としては、基材表面を親水化処理し、親水性の表面層を有する支持体、親水性物質を含む親水性層を設けた基材を用いることができる。
本発明に係る支持体としては、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基材等が挙げられる。
支持体の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
本発明に係る支持体としては、基材表面を親水化処理した金属板が好ましく用いられる。
金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、本発明においては、比重と剛性との関係から、特にアルミニウムまたはアルミニウム合金(以下両者含めてアルミニウム板と称する)が好ましく、加えて、公知の粗面化処理、陽極酸化処理、表面親水化処理のいずれかの処理がなされたもの(所謂アルミ砂目板)がより好ましい。
支持体のアルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。
支持体は、粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。又、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、支持体の表面にはスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、或いはそれらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。
粗面化の方法としては、電解により粗面化を行うがその前に例えば、機械的方法による粗面化を行うことができる。
用いられる機械的粗面化法は特に限定されるものではないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。ブラシ研磨法による粗面化は、例えば、直径0.2〜0.8mmのブラシ毛を使用した回転ブラシを回転し、支持体表面に、例えば、粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させたスラリーを供給しながら、ブラシを押し付けて行うことができる。ホーニング研磨による粗面化は、例えば、粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させ、ノズルより圧力をかけ射出し、支持体表面に斜めから衝突させて粗面化を行うことができる。又、例えば、支持体表面に、粒径10〜100μmの研磨剤粒子を、100〜200μmの間隔で、2.5×103〜10×103個/cm2の密度で存在するように塗布したシートを張り合わせ、圧力をかけてシートの粗面パターンを転写することにより粗面化を行うこともできる。
上記の機械的粗面化法で粗面化した後、支持体の表面に食い込んだ研磨剤、形成されたアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。アルカリ水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
粗面化の方法としては、電解による粗面化を行う。酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法であり、酸性電解液は、0.4質量%以上2.8質量%以下の濃度の塩酸系又は硝酸溶液中で、実効値が30A/dm2以上100A/dm2以下の電流密度で10秒以上120秒以下、電解粗面化を行う。塩酸あるいは硝酸の濃度は、より好ましくは1質量%以上2.3質量%以下である。電流密度は、より好ましくは30A/dm2以上80A/dm2以下、更に好ましくは40A/dm2以上75A/dm2以下である。
本発明においては、支持体として、塩酸を含む電解液中で交流電解粗面化処理したアルミ支持体を用いた場合、本発明の効果が特に大きく、感度、汚れ防止性の保存性の面からこのアルミニウム支持体が好ましく用いられる。
この電解粗面化法を行う温度は、特に制限されないが、5℃以上80℃以下の範囲を用いることが好ましく、10℃以上60℃以下の範囲から選ぶのが更に好ましい。印加電圧も特に制限されないが、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことが好ましく、10〜30ボルトの範囲から選ぶのが更に好ましい。電気量も特に制限されないが、100〜5000c/dm2の範囲を用いることが好ましく、100〜2000c/dm2の範囲から選ぶのが更に好ましい。
電解液には、必要に応じて、硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、シュウ酸等を加えることができる。
上記の電解粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。又、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
電解粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことができる。本発明において用いることができる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
陽極酸化処理を行うことにより、支持体上には酸化皮膜が形成される。該陽極酸化処理には、硫酸及び/又は燐酸等を10〜50%の濃度で含む水溶液を電解液として、電流密度1〜10A/dm2で電解する方法が好ましく用いられるが、他に、米国特許第1,412,768号公報に記載されている硫酸中で高電流密度で電解する方法や、同3,511,661号公報に記載されている燐酸を用いて電解する方法、クロム酸、シュウ酸、マロン酸等を一種又は二種以上含む溶液を用いる方法等が挙げられる。形成された陽極酸化被覆量は、1〜50mg/dm2が適当であり、好ましくは10〜40mg/dm2である。陽極酸化被覆量は、例えばアルミニウム板を燐酸クロム酸溶液(燐酸85%液:35ml、酸化クロム(IV):20gを1Lの水に溶解して作製)に浸積し、酸化被膜を溶解し、板の被覆溶解前後の質量変化測定等から求められる。
本発明においては、支持体が陽極酸化処理後に温度が20℃以上50℃以下の珪酸ナトリウム溶液で処理されていることが好ましい。該温度は、20℃以上50℃以下が好ましく、20℃以上45℃以下がより好ましい。20℃未満では汚し回復が悪くなることがある。また、50℃より高いと耐刷性が悪くなることがある。珪酸ナトリウムの濃度は特に規定はないが、0.01%以上35%以下が好ましく、0.1%以上5%以下がより好ましい。
本発明においては、支持体が陽極酸化処理後に温度が20℃以上70℃以下のポリビニルホスホン酸溶液で処理されていることが好ましい。該温度は、20℃以上70℃以下が好ましく、30℃以上65℃以下がより好ましい。20℃未満では汚し回復が悪くなることがある。また、70℃より高いと耐刷性が悪くなるなることがある。ポリビニルホスホン酸溶液の濃度は特に規定はないが、0.01%以上35%以下が好ましく、0.1%以上5%以下がより好ましい。
支持体として用いられるプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類等のフィルムを挙げることができる。
本発明では、これらのプラスチックフィルムのうち、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルムが基材として好ましく用いらる。
(塗布)
調製された感光性組成物(光重合性感光層用塗布液)は、従来公知の方法で支持体上に塗布し、乾燥し、感光性平版印刷版材料を作製することが出来る。塗布液の塗布方法としては、例えばエアドクタコータ法、ブレードコータ法、ワイヤバー法、ナイフコータ法、ディップコータ法、リバースロールコータ法、グラビヤコータ法、キャストコーティング法、カーテンコータ法及び押し出しコータ法等を挙げることが出来る。
本発明では感光性層を二層以上塗布するが、各層ごとに塗布・乾燥を繰り返してもよいし、各層の感光液を同時に重層塗布した後、乾燥してもよい。
感光層の乾燥温度は、低いと十分な耐刷性を得ることが出来ず、又高過ぎるとマランゴニーを生じてしまうばかりか、非画線部のカブリを生じてしまう。好ましい乾燥温度範囲としては、60〜160℃の範囲が好ましく、より好ましくは80〜140℃、特に好ましくは、90〜120℃の範囲で乾燥することが好ましい。
(画像形成方法)
本発明に係る感光性平版印刷版材料に画像形成する光源としては、発光波長が350〜450nmのレーザー光の使用が好ましい。
本発明の感光性平版印刷版材料を露光する光源としては、例えば、He−Cdレーザー(441nm)、固体レーザーとしてCr:LiSAFとSHG結晶の組合わせ(430nm)、半導体レーザー系として、KNbO3、リング共振器(430nm)、AlGaInN(350nm〜450nm)、AlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー400〜410nm)等を挙げることができる。
レーザー露光の場合には、光をビーム状に絞り画像データに応じた走査露光が可能なので、マスク材料を使用せず、直接書込みを行うのに適している。
又、レーザーを光源として用いる場合には、露光面積を微小サイズに絞ることが容易であり、高解像度の画像形成が可能となる。
レーザーの走査方法としては、円筒外面走査、円筒内面走査、平面走査などがある。円筒外面走査では、平版印刷版材料を外面に巻き付けたドラムを回転させながらレーザー露光を行い、ドラムの回転を主走査としレーザー光の移動を副走査とする。円筒内面走査では、ドラムの内面に平版印刷版材料を固定し、レーザービームを内側から照射し、光学系の一部又は全部を回転させることにより円周方向に主走査を行い、光学系の一部又は全部をドラムの軸に平行に直線移動させることにより軸方向に副走査を行う。平面走査では、ポリゴンミラーやガルバノミラーとfθレンズ等を組み合わせてレーザー光の主走査を行い、記録媒体の移動により副走査を行う。円筒外面走査及び円筒内面走査の方が光学系の精度を高め易く、高密度記録には適している。
尚、本発明においては、10mJ/cm2以上の版面エネルギー(版材上でのエネルギー)で画像記録されることが好ましく、その上限は500mJ/cm2である。より好ましくは10〜300mJ/cm2である。このエネルギー測定には例えばOphirOptronics社製のレーザーパワーメーターPDGDO−3Wを用いることができる。
(現像液)
画像形成した感光層は露光部が硬化する。これをアルカリ現像液で現像処理することにより、未露光部が除去され印刷版が作製される。この様な現像液としては、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えばケイ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;第二燐酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;重炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;ホウ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム及び同リチウム等の無機アルカリ剤を使用するアルカリ現像液が挙げられる。
また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−i−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、トリ−i−プロピルアミン、ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ−i−プロパノールアミン、ジ−i−プロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いることができる。
これらのアルカリ剤は、単独又は2種以上組合せて用いられる。また、該現像液には、必要に応じてアニオン性界面活性剤、両性活性剤やアルコール等の有機溶媒を加えることができる。
(自動現像機)
感光性平版印刷版材料の現像には自動現像機を用いるのが有利である。自動現像機として好ましくは現像浴に自動的に現像補充液を必要量補充する機構が付与されており、好ましくは一定量を超える現像液は、排出する機構が付与されており、好ましくは現像浴に自動的に水を必要量補充する機構が付与されており、好ましくは、通版を検知する機構が付与されており、好ましくは通版の検知を基に版の処理面積を推定する機構が付与されており、好ましくは通版の検知及び/又は処理面積の推定を基に補充しようとする補充液及び/又は水の補充量及び/又は補充タイミングを制御する機構が付与されており、好ましくは現像液の温度を制御する機構が付与されており、好ましくは現像液のpH及び/又は電導度を検知する機構が付与されており、好ましくは現像液のpH及び/又は電導度を基に補充しようとする補充液及び/又は水の補充量及び/又は補充タイミングを制御する機構が付与されている。又、現像液濃縮物を一旦、水で希釈・撹拌する機能を有することが好ましい。現像工程後に水洗工程がある場合、使用後の水洗水を現像濃縮物の濃縮液の希釈水として用いることができる。
自動現像機は、現像工程の前に前処理液に版を浸漬させる前処理部を有してもよい。この前処理部は、好ましくは版面に前処理液をスプレーする機構が付与されており、好ましくは前処理液の温度を25〜55℃の任意の温度に制御する機構が付与されており、好ましくは版面をローラー状のブラシにより擦る機構が付与されている。この前処理液としては、水などが用いられる。
(後処理)
現像液で現像処理された平版印刷版は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を主成分とするフィニッシャーや保護ガム液で後処理を施される。これらの処理を種々組み合わせて用いることができ、例えば現像→水洗→界面活性剤を含有するリンス液処理や現像→水洗→フィニッシャー液による処理が、リンス液やフィニッシャー液の疲労が少なく好ましい。更にリンス液やフィニッシャー液を用いた向流多段処理も好ましい態様である。
これらの後処理は、一般に現像部と後処理部とから成る自動現像機を用いて行われる。後処理液は、スプレーノズルから吹き付ける方法、処理液が満たされた処理槽中を浸漬搬送する方法が用いられる。又、現像後一定量の少量の水洗水を版面に供給して水洗し、その廃液を現像液原液の希釈水として再利用する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じてそれぞれの補充液を補充しながら処理することができる。又、実質的に未使用の後処理液で処理する、いわゆる使い捨て処理方式も適用できる。このような処理によって得られた平版印刷版は、オフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
(ガム液)
ガム液は、現像液のアルカリ成分除去のため酸や緩衝剤を添加することが好ましく、その他に親水性高分子化合物、キレート剤、潤滑剤、防腐剤及び可溶化剤等を添加することができる。ガム液に親水性高分子化合物を含む場合は、現像後の版の傷や汚れを防ぐ保護剤としての機能も付加される。
(現像前水洗水)
現像前の洗浄工程等の前処理部で用いる洗浄液(前処理液)は、通常、水であるが、必要に応じてキレート剤、界面活性剤、防腐剤などの添加剤を加えることができる。
洗浄方法において、現像前洗浄に用いる洗浄液は温度を調節して用いることが好ましく、該温度は10〜60℃の範囲が好ましい。洗浄の方法は、スプレー、ディップ、塗布等公知の処理液供給技術を用いることができ、適宜ブラシや絞りロール、ディップ処理における液中シャワーなどの処理促進手段を用いることができる。
現像前洗浄工程終了後直ちに現像処理を行ってもよく、又、現像前洗浄工程の後に乾燥させてから現像処理を行ってもよい。現像工程の後は、水洗、リンス、ガム引き等、公知の後処理を行うことができる。一度以上使用した現像前水洗水は、現像後の水洗水やリンス液、ガム液に再使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。尚、実施例における「部」は、特に断りない限り「質量部」を表す。
実施例1
[支持体の作製]
厚さ0.30mm、幅1030mmのJIS A1050アルミニウム板を用いて以下のように連続的に処理を行った。
(a)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を0.3g/m2溶解した。その後スプレーによる水洗を行った。
(b)温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーで水洗した。
(c)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。この時の電解液は、塩酸1.1質量%、アルミニウムイオン0.5質量%、酢酸0.5質量%含む。温度21℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msecの正弦波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。電流密度は実効値で、50A/dm2で、通電量は900C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(d)温度60℃の燐酸濃度20質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)で、10秒間デスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
(e)既存の二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一および第二電解部長各6m、第一給電部長3m、第二給電部長3m、第一及び第二給電電極長各2.4m)を使って電解部の硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、温度38℃で陽極酸化処理を行った。その後スプレーによる水洗を行った。
この時、陽極酸化装置においては、電源からの電流は、第一給電部に設けられた第一給電電極に流れ、電解液を介して板状アルミニウムに流れ、第一電解部で板状アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させ、第一給電部に設けられた電解電極を通り、電源に戻る。
一方、電源からの電流は、第二給電部に設けられた第二給電電極に流れ、同様に電解液を介して板状アルミニウムに流れ、第二電解部で板状アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させるが、電源から第一給電部に給電される電気量と電源から第二給電部に給電される電気量は同じであり、第二給電部における酸化皮膜面での給電電流密度は、約25A/dm2であった。第二給電部では、1.35g/m2の酸化皮膜面から給電することになった。
最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。更に、スプレー水洗後、0.4質量%のポリビニルホスホン酸溶液中に30秒浸漬し、親水化処理した。温度は75℃であった。その後スプレー水洗し、赤外線ヒーターで乾燥した。
この時、表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.65μmであった。
(感光性平版印刷版材料の作製)
上記支持体上に、下記組成(1)の光重合性感光層塗工液を乾燥時1.0g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、100℃で1.5分間乾燥した。次に下記組成(2)の光重合性感光層塗工液を乾燥時0.5g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、100℃で1.5分間乾燥した。
さらに、上記光重合感光層塗布試料上に、下記組成の酸素遮断層塗工液を乾燥時1.5g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、75℃で1.5分間乾燥して、感光層上に酸素遮断層を有する感光性平版印刷版試料を作製した。
光重合性感光性層塗工液(1)
アルカリ可溶性高分子バインダー(表1に記載) 30.0部
付加重合可能なエチレン性二重結合含有化合物(化合物A=一般式A) 40.0部
ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート(NKエステル4G:新中村化学工業社製) 5.0部
分光増感剤(下記化合物SS−1) 3.0部
η−クメン−(η−シクロペンタジエニル)鉄ヘキサフルオロホスフェート3.0部
ハロゲン化合物1 1.5部
下記化合物I−29 1.5部
ヒンダードアミン安定化剤(LS770:三共ライフテック社製) 0.1部
フタロシアニン顔料(表1に記載) 6.0部
シロキサングリコール共重合体(EDAPLAN LA411:ムンチングケミー社製) 0.1部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 830部
光重合性感光性層塗工液(2)
アルカリ可溶性高分子バインダー(表1に記載) 30.0部
付加重合可能なエチレン性二重結合含有化合物(化合物A=一般式A) 40.0部
ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート(NKエステル4G:新中村化学工業社製) 5.0部
分光増感剤(下記化合物SS−1) 3.0部
η−クメン−(η−シクロペンタジエニル)鉄ヘキサフルオロホスフェート3.0部
ハロゲン化合物1 1.5部
下記化合物I−29 1.5部
ヒンダードアミン安定化剤(LS770:三共ライフテック社製) 0.1部
フタロシアニン顔料(表1に記載) 表1に記載の量
シロキサングリコール共重合体(EDAPLAN LA411:ムンチングケミー社製) 0.1部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 836部
注:ハロゲン化合物1:CBr3CONHCH2C(CH32CH2NHCOCBr3
Figure 2007057778
Figure 2007057778
酸素遮断層塗工液
ポリビニルアルコール(AL−06:日本合成化学社製) 84部
ポリビニルピロリドン(K−30:ISPジャパン社製) 14部
界面活性剤(サーフィノール465:日新化学社製) 0.5部
水 900部
(画像形成方法)
出力30mWの波長408nmレーザー光源を搭載したCTP露光装置(Tigercat:ECRM社製)を用いて2400dpi(dpiとは1インチ即ち2.54cm当たりのドット数を表す)の解像度で画像露光を行った。露光した画像は100%ベタ露光部と1〜99%の網点画像とを含むものである。
次いで、現像前に加熱装置部、オーバーコート層を除去する前水洗部、下記現像液組成1を充填した現像部(液温28℃、処理時間30秒)、版面に付着した現像液を取り除く水洗部、画線部保護のためのガム液(GW−3:三菱化学社製を2倍希釈したもの)を備えたCTP自動現像機(PHW23−V:Technigraph社製)で現像処理を行なった。加熱部条件は支持体厚みが0.3mmの版の版面到達温度が105℃に示すように調節した。また、熱処理時間は15秒とした。
現像液組成1(下記添加剤を含有する水溶液)
Aケイ酸カリウム 8.0質量%
ニューコールB−13SN(日本乳化剤社製) 2.0質量%
プロノン#204(日本油脂社製) 1.0質量%
エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム2水和塩 0.1質量%
苛性カリ pH=12.5になるよう調整
《平版印刷版の評価》
(感度)
レーザーの露光エネルギーを変化させ、100%ベタ画像濃度を露光エネルギー毎に測定し、最高ベタ濃度(反射濃度)から10%低い濃度(反射濃度)を得るのに必要な最低画像形成エネルギーを求め、これを感度の指標とした。
(耐刷性)
画像形成した版を印刷機(三菱重工業社製:DAIYA1F−1)で、コート紙、印刷インキ(東洋インク社製:トーヨーキングハイエコーM紅)及び湿し水(東京インク社製:H液SG−51濃度1.5%)を用いて印刷を行い、ハイライト部の網点%が3%細る、または、シャドー部の絡みの発生する印刷枚数を耐刷性の指標とした。
(プレヒートラチチュード特性)
加熱条件を版面到達温度が表1のようになるように変化させて処理して版作製後、上記(耐刷性)の評価と同様に印刷し、非画像部に汚れ、若しくはシャドー部の絡みの有無を以下の指標にて目視で評価した。
3:なし
2:ややあるが実用可能レベル
1:あり
全体的には105〜125℃で2以上なら実用可能である。
〈スラッジ・ヘドロの評価方法〉
画像部、非画像部の面積比率が、1:9になるように作製された感光性平版印刷版の現像を、画像形成方法の記載と同様の現像条件で60ml/m2となるように現像液の補充をしながら3000m2実施した。現像終了後の槽内のスラッジ・ヘドロの量を確認した。
5:現像槽・ローラーにスラッジ・ヘドロは認められない(実用上問題なし)。
4:現像槽にスラッジ・ヘドロがわずかに認められるが、ローラーには認められない
(実用上許容レベル)。
3:現像槽、ローラーにスラッジ・ヘドロがわずかに認められる(実用上許容限界レベル)。
2:現像槽、ローラーに汚れが認められ、現像インキPI2(富士写真フイルム社製)を用いてインキ盛り
を行なうと印刷版の非画像部部分に汚れが認められる(実用不可)。
1:現像層、ローラーに汚れが認められ、印刷版に汚れが肉眼で観察できる程度付着する(実用不可)。
上記評価の結果を表1にまとめて示す。
Figure 2007057778
表1から明らかなように、本発明に係る試料は、比較試料に比べ、感度、プレヒートラチチュード、耐刷性、及び現像処理適性(現像スラッジ)において優れている。

Claims (6)

  1. 支持体上に感光性層を有する感光性平版印刷版材料において、当該感光性層が二層以上で構成され、当該支持体から最も遠い感光性層が実質的に着色顔料を含有していないことを特徴とする感光性平版印刷版材料。
  2. 前記支持体から最も遠い感光性層がガラス転移温度(Tg)が100℃以上130℃以下であるアルカリ可溶性高分子バインダーを含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性平版印刷版材料。
  3. 前記感光性層が、350〜440nmの波長範囲に吸収極大を有する分光増感剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性平版印刷版材料。
  4. 支持体から最も遠い感光性層以外の感光性層が金属無置換のフタロシアニン顔料を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性平版印刷版材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性平版印刷版材料を製造することを特徴とする感光性平版印刷版材料の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性平版印刷版材料に、発光波長が350nm〜450nmの範囲にあるレーザー光を光源として、画像露光を行い、アルカリ性現像液で現像処理を行うことを特徴とする感光性平版印刷版材料の画像形成方法。
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