JP2007056129A - インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 感度を低下させることなく、保存安定性、が良好な、高画質の画像を形成することができるインク組成物、特に放射線硬化型インクジェット記録用インク組成物、並びにそれを用いるインクジェット記録方法及び印刷物を提供する。
【解決手段】 (a)重合性化合物、(b)光重合開始剤、及び(c)光分解性マイクロカプセル、特に下記一般式(I)で表されるピリチオン化合物から誘導される骨格を有するマイクロカプセル、を含有するインク組成物。
一般式(I)
【化1】

Description

本発明は、感度を低下させることなく、保存安定性が良好な、高画質の画像を形成することができるインク組成物、特に放射線硬化型インクジェット記録用インク組成物、並びにそれを用いるインクジェット記録方法及び印刷物に関する。本発明はまた、現像処理が不要であり、高耐刷性であり、かつ高画質の画像形成が可能な平版印刷版及びその作製方法に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。電子写真方式は、感光体ドラム上に帯電及び露光により静電潜像を形成するプロセスを必要とし、システムが複雑となり、結果的に製造コストが高価になるなどの問題がある。また熱転写方式は、装置は安価であるが、インクリボンを用いるため、ランニングコストが高くかつ廃材が出るなどの問題がある。一方インクジェット方式は、安価な装置で、且つ必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
インクジェット方式の画像記録方式において、紫外線などの放射線による硬化可能なインクジェット方式は、比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い被記録媒体への記録が出来る点で、近年注目されつつある。このような放射線硬化型インク組成物では、十分に高い感度および高画質の提供が求められているとともに、高い保存安定性が要求されている。例えば、活性光線硬化型インクジェット用インク組成物およびその記録方法は幾つか報告されている(例えば、特許文献1〜7参照)。しかしながら、これらに用いられるインクは、活性光線による硬化性を向上させようとすると、高温下に長時間置かれた際の保存安定性が極めて劣化し、またインク自身がゲル化してしまうため、実用上問題となり、両性能の両立を図る事が難しい。
特開2000−186242号 特開2000−336295号 特表2001−512777号 特開2000−44857号 特開平10−250052号 特開平10−324836号 特開2001−220526号
本発明は、感度を低下させることなく、保存安定性、が良好な、高画質の画像を形成することができるインク組成物、特に放射線硬化型インクジェット記録用インク組成物、並びにそれを用いるインクジェット記録方法及び印刷物を提供することである。本発明はまた、現像処理が不要であり、高耐刷性であり、かつ高画質の画像形成が可能な平版印刷版及びその作製方法を提供することである。
上記課題は、(a)重合性化合物、(b)光重合開始剤、及び(c)光分解性マイクロカプセル、を含有することを特徴とするインク組成物、により達成される。(c)光分解性マイクロカプセルは、下記一般式(I)で表されるピリチオン化合物から誘導される骨格を有することが好ましい。
一般式(I)
Figure 2007056129
(式中、R1は−L1−X1又はX1を表し、R2は水素原子又は−L2−X2を表す。L1、L2は各々独立に2価の連結基を表し、X1、X2は各々独立に水酸基、アミノ基、及びメルカプト基からなる群より基を表す。nは1〜4の整数を表し、nが複数の場合、R1は互いに同一でも異なっていてもよい。)
また、上記(c)光分解性マイクロカプセルは、一般式(I)で表されるピリチオン化合物と一般式(II)のイソシアネート化合物の求核付加反応により得られる多官能イソシアネート化合物から製造されることが好ましい。
一般式(II) R3−(NCO)m
(式中、R3はm価の任意の連結基を表し、mは2以上の整数を表す。)
上記インク組成物はさらに、(d)色材を含むことが好ましい。また、前記(d)色材が顔料または油溶性染料であることが好ましい。
本発明の好ましい態様では、上記インク組成物は、インクジェット記録用インク組成物である。
更に本発明は、上記インク組成物を被記録媒体に噴射し、着弾させる工程、及び、前記インク組成物に放射線を照射して硬化する工程を含むことを特徴とするインクジェット記録方法、を提供する。
本発明はまた、被記録媒体上に、上記インク組成物を噴射し、着弾させた後、放射線を照射してインク組成物を硬化させてなる印刷物、を提供する。
本発明はまた、上記インク組成物を、親水性支持体上に噴射し、着弾させた後、放射線を照射してインクを硬化させることにより疎水性領域を形成することを特徴とする平版印刷版の作製方法、を提供する。
本発明はさらに、親水性支持体上に、上記インク組成物を噴射し、着弾させた後、放射線を照射してインク組成物を硬化させることにより形成された疎水性領域を有する平版印刷版、を提供する。
本発明のインク組成物は光分解性マイクロカプセルを含むことを特徴とするが、このような光分解性マイクロカプセルを用いることにより、保存時には重合性モノマー、もしくは重合開始剤がカプセル内に内包され、両者が隔離された状態にある。このため高温下に置かれた場合でも重合が進行せず、保存安定性を向上させる効果がある。また、さらに重合開始剤の光感受性を向上(光でより早く分解し、ラジカル発生効率を高める)させて高感度化することが可能である。また、ピリチオン化合物から製造した光分解性マイクロカプセルを用いることにより、光照射の際にピリチオン構造が分解しラジカルが発生する。すなわちマイクロカプセル自身が重合開始剤として機能するため、高感度化が達成される。
また最近、小型、高寿命、高効率、低コストを特徴とするUV−LED光源が上市されている。例えば日亜化学(株)の光源は主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有しており、これはピリチオン骨格の吸収波長と一致している。すなわちマイクロカプセルが高効率で光を吸収することができるため、高感度化が達成される。
以上により、インク性能として重要な、高感度、高保存安定性、高画質なインク組成物を提供することができる。
(1)インク組成物
(1-1)光分解性マイクロカプセル
本発明のインク組成物に含有される光分解性マイクロカプセルとは、光の照射により分解しえるマイクロカプセルを意味する。
本発明のマイクロカプセルは、発色素材等の有機化合物や無機化合物を内包することができ、発色性素材を内包した感光記録材料や、医薬を内包したドラッグデリバリーシステム、農薬を内包した徐放性農薬等の分野に好適に用いることができる。
光分解性マイクロカプセルにおける“光分解性”とは、光照射により化合物内の原子間の結合が切断されることを意味する。さらに詳しくは、構造中のN−O結合等が光照射により切断されることをいう。このように切断される結果、マイクロカプセルに穴があいた状態になり、カプセル内外の分子が反応しえる状態になる。
本発明において、光分解性カプセルは、ピリチオン化合物から誘導される構造を骨格に有することが好ましい。その場合には、ピリチオン母核中の窒素原子と酸素原子との結合が切断されることを意味する。
マイクロカプセル中に用いられる光分解性化合物は、前述の定義に合致するものであれば特に限定されないが、照射光源としてUV−LEDを使用する場合、また高感度化の観点からピリチオン化合物がより好ましい。
本発明の光分解性マイクロカプセルは特に、下記一般式(I)で表されるピリチオン化合物から誘導される骨格を有することが好ましい。
一般式(I)
Figure 2007056129
(式中、R1は−L1−X1又はX1を表し、R2は水素原子又は−L2−X2を表す。L1、L2は各々独立に2価の連結基を表し、X1、X2は各々独立に水酸基、アミノ基、及びメルカプト基からなる群より基を表す。nは1〜4の整数を表し、nが複数の場合、R1は互いに同一でも異なっていてもよい。)
以下、本発明の一般式(I)で表される化合物(ピリチオン化合物)について説明する。







一般式(I)
Figure 2007056129
一般式(I)中、R1は−L1−X1又はX1を表し、R2は水素原子又は−L2−X2を表す。L1、L2は各々独立に2価の連結基を表し、X1、X2は各々独立に水酸基、アミノ基、及びメルカプト基からなる群より求核性を有する置換基を表す。nは1〜4の整数を表し、nが複数の場合、R1は互いに同一でも異なっていてもよい。
1およびX2は各々独立に水酸基であることが好ましい。また、nは1であることが好ましい。マイクロカプセル化が支障なく進行し、また光応答性(N−O結合の分解性)がよいからである。
1、L2は、それぞれ独立にX1、X2とピリチオン環部とを結ぶ2価の連結基を表す。具体的にはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、−O−、−S−、−NR−、−CO−、−COO−、−NRCO−、−SO2−等の単独またはこれらの組み合わせからなるものである。ここでRとは水素原子または置換基を表す。またアルキレン基と−NR−との組み合わせの場合、Rがアルキレン基と結合して環を形成してもよい。
Rにおける置換基としては、例えばアルキル基(例えばメチル基、エチル基)、アラルキル基(例えばフェニルメチル基)、アルケニル基(例えばアリル基)、アルキニル基、ヒドロキシアルキル基(例えばヒドロキシエチル基)、アリール基(例えばフェニル基、p−メトキシフェニル基)、カルボニル基、アシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基)などが挙げられる。好ましくはアルキル基、ヒドロキシアルキル基である。上記置換基で炭素原子を有する場合、炭素数1〜20のものが好ましく、1〜10のものがより好ましい。
1、L2についてさらに詳しく説明すると、アルキレン基としては直鎖状、分岐状又は環状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキレン基、より好ましくは炭素数2〜10のアルキレン基である。例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、シクロへキシレン基等である。またアルキレン基がさらに置換基を有していてもよく、置換基としては例えばアルキル基(例えばメチル基、エチル基)、アラルキル基(例えばフェニルメチル基)、アルケニル基(例えばアリル基)、アルキニル基、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)、ヒドロキシアルキル基(例えばヒドロキシエチル基)、アリール基(例えばフェニル基、p−メトキシフェニル基)、アミノ基(例えば無置換のアミノ基やジメチルアミノ基)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基)、
ウレイド基、ウレタン基、アリールオキシ基(例えばフェニルオキシ基)、スルファモイル基(例えばメチルスルファモイル基)、カルバモイル基(例えば無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基)、スルフィニル基(例えばメタンスルフィニル基)、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボニル基、ホスホノ基、アリールオキシカルボニル基(例えばフェニルオキシカルボニル基)、アシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基)、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、ヘテロ環基などが挙げられる。好ましくはアルキル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基である。上記置換基で炭素原子を有する場合、炭素数1〜30のものが好ましく、1〜10のものがより好ましい。
アルケニレン基及びアルキニレン基としては直鎖状、分岐状又は環状であってもよく、炭素数2〜10が好ましい。アルケニレン基及びアルキニレン基がさらに置換基を有していてもよく、置換基及びその好ましい範囲はアルキレン基における置換基と同様である。
アリーレン基としては、好ましくは炭素数6〜30の単環または縮合環のアリーレン基であり、より好ましくは炭素数6〜20の単環または縮合環のアリーレン基であり、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、特に好ましくはフェニレン基である。アリーレン基は置換基を有していてもよく、置換基及びその好ましい範囲はアルキレン基における置換基と同様である。これらの置換基は、これらの置換基自体でさらに置換されていてもよい。
1としてより好ましくはアルキレン基、アリーレン基、−O−、−S−、−NR−、−COO−、−NRCO−の単独またはこれらの組み合わせからなるもの、もしくはアルキレン基と−NR−(Rは水素原子又は置換基)との組み合わせでRがアルキレン基と結合して環を形成するものである。さらに好ましくは、アルキレン基と−O−、−NRCO−、−COO−の組み合わせからなるものであり、特に好ましくはピリチオン環部から順に−O−アルキレン基となるものである。
2としてより好ましくはアルキレン基、アリーレン基、−COO−、−CONR−(Rは水素原子又は置換基)の単独またはこれらの組み合わせからなるものである。さらに好ましくは、アルキレン基、アルキレン基と−CONR−、−COO−の組み合わせからなるものである。
1の好ましい例としては、6−ヒドロキシへキシルオキシ基(-O-(CH2)6-OH)、4−ヒドロキシブチルオキシ基(-O-(CH2)4-OH)であり、R2の好ましい例としては6−ヒドロキシへキシル基、4−ヒドロキシブチル基である。また、R1は3位に結合するものが好ましい。R1及びR2の導入方法は、最初にR1、その後にR2を導入するのが望ましい。すなわち、窒素原子の隣接位の炭素(2位)にハロゲン原子等、後に変換可能な置換基を有し、さらに他の炭素上(例えば、3、4、5位、好ましくは3位)に置換基(例えば水酸基、カルボキシル基等)を有するピリジン化合物を出発原料として使用するのが望ましい。このような出発原料に対するR1の導入について説明する。例えば3、4、又は5位に水酸基を有する出発原料を使用する際には、トシレート、ハロゲン化合物等の求電子剤を塩基(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等)存在下で反応させることにより水酸基の修飾を行うことができる。また3、4、又は5位にカルボキシル基が置換された出発原料を使用する際には、カルボキシル基を酸クロリドに変換し、適当な求核剤(例えばアミノ基や水酸基を有する化合物)を作用させることにより、R1を導入することができる。上記のような求電子剤又は求核剤は、その分子内にアルキレン、−O−等の連結基(L1に相当)を含有してよく、またその分子内に水酸基等の求核性部位(X1に相当)を有していることが望ましい。このような求核性部位は、適当な保護基で保護されていることが望ましく、その例としては、ピバロイル基、アセチル基、t−ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。
2の導入は、前述のように合成したピリジン誘導体をピリチオン骨格に変換した後に行う。ピリチオン骨格への変換は、前述のピリジン誘導体を適当な酸化剤(3−クロロ過安息香酸、過酸化水素水等)によりピリジンオキシドへと導き、続いて水硫化ナトリウムを作用させることにより行うことができる。続くR2の導入は、トシレート、ハロゲン化合物等の求電子剤を塩基(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等)存在下で反応させることにより行うことができる。上記のような求電子剤は、その分子内にアルキレン、−O−等の連結基(L1に相当)を含有してよく、またその分子内に水酸基等の求核性部位(X1に相当)を有していることが望ましい。このような求核性部位は、適当な保護基で保護されていることが望ましく、その例としては、ピバロイル基、アセチル基、t−ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。
このようにして合成した化合物で、X1に相当する置換基に保護基が導入されている場合には、脱保護の工程を経て、本発明の化合物に導くことができる。
以下に一般式(I)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。































Figure 2007056129










Figure 2007056129




Figure 2007056129







Figure 2007056129
本発明の光分解性マイクロカプセルは、一般式(I)で表されるピリチオン化合物と一般式(II)のイソシアネート化合物の求核付加反応により得られる多官能イソシアネート化合物から製造されることが簡便であり好ましい。
一般式(II) R3−(NCO)m
(式中、R3はm価の任意の連結基を表し、mは2以上の整数を表す。)
3の連結基としては、2価以上の連結基であれば限定されないが、アリーレン基、アルキレン基、あるいはこれらの組み合わせが好ましく用いられる。
前記一般式(II)で表わされる化合物としては、公知の化合物を使用することができる。これらは、2官能、3官能あるいはそれ以上の多官能イソシアネート化合物である。多価イソシアネート化合物であればよくR3は特に限定されない。mは2から5が好ましく、2または3が特に好ましい。一般式(II)で表される化合物は常法により製造することができる。一般式(II)で表される化合物の具体例としては芳香族イソシアネート化合物、脂肪族イソシアネート化合物などが挙げられる。
前記一般式(II)で表される2官能イソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、4−クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メチルキシリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、3,3'−ジメトキシビフェニルジイソシアネート、3,3'−ジメチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート等の芳香族2官能イソシアネート、
1,3−トリメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレン1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、水添p−キシリレンジイソシアネート、水添4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,5−ジ(イソシアナトメチル)ノルボルナン等の脂肪族2官能イソシアネート、あるいは、上記2官能イソシアネートとエチレングリコール、ビスフェノール類等の2官能アルコール、フェノールとの付加反応物が挙げられる。
前記一般式(II)で表される3官能以上のイソシアネートとしては、例えば前述の2官能イソシアネートを主原料とし、これらの3量体(ビウレットあるいはイソシアヌレート)、トリメチロールプロパン等の3官能アルコールとの付加物、フロログリシン等の3官能フェノールとの付加物あるいは、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物(ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート)、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の重合性基を有するイソシアネート化合物の重合体、リジントリイソシアネート等が挙げられる。
前記一般式(II)で表わされる化合物として、特に好ましくは、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,5−ジ(イソシアナトメチル)ノルボルナン、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、水添4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種の化合物及びこれらの混合物が挙げられる。
本発明の多官能イソシアネート組成物は、前記一般式(I)で表される化合物における水酸基、アミノ基又はメルカプト基と、前記一般式(II)で表される化合物におけるイソシアネート基との求核付加反応により製造することができる。この際、前記一般式(I)で表される化合物と前記一般式(II)で表される化合物とのモル比は、一般式(II)におけるイソシアネート基の数(すなわちm)と一般式(I)におけるX1、X2の数(すなわちn+1)の比(すなわちm/(n+1))が1を超え、10以下が好ましく、2以上、5以下がより好ましい。
本発明の多官能イソシアネート組成物を付加重合することでポリマーとし、このポリマーをマイクロカプセルの壁材に用いてマイクロカプセルを製造することができる。
本発明のマイクロカプセルは界面重合法により製造することができる。例えば、疎水性溶剤中に内包物と本発明の多官能イソシアネート組成物を溶解させ(油相)、これを水溶性高分子の水溶液(水相)中に添加し、ホモジナイザー等により乳化分散し、マイクロカプセル壁となる高分子膜を油相/水相界面に形成することにより製造できる。具体的には、例えば 米国特許第3,726,804号、同第3,796,699号、「マイクロカプセル」近藤朝士著、日刊工業新聞社、1970年、「マイクロカプセル」近藤保ら著、三共出版、1977年 に記載された方法を用いて製造することができる。
本発明のインク組成物において、後述する光重合開始剤は光分解性マイクロカプセル内に内包されることが好ましい。すなわち、光分解性マイクロカプセルを製造する際に光重合開始剤を内包物として用いて、光重合開始剤内包光分解性マイクロカプセルを製造することが好ましい。
(1-2)重合性化合物
本発明のインク組成物に含有される重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物等の重合性化合物を用いることができる。本発明のマイクロカプセルは光照射によりラジカルを高効率で発生することから、感度を上げるという観点では、ラジカル重合性化合物を用いることがより好ましい。
ラジカル重合性化合物としては、硬化剤または重合性希釈剤として公知の各種ラジカル重合性モノマーを使用する事ができる。ラジカル重合性モノマーの重合性官能基については重合性やインク及び硬化組成物の物性を調整する目的で任意に選択可能であるが、重合速度や汎用性の観点からラジカル重合性モノマーとして(メタ)アクリレートから誘導されるモノマーが好ましく用いられる。また、硬化剤または重合性希釈剤は、インクや硬化組成物の物性に応じて任意の割合に混合して用いる事ができる。
本発明に用いられる(メタ)アクリレートから誘導されるモノマー(以下、(メタ)アクリレート類とも呼ぶ)としては、例えば以下にものが挙げられる。
単官能(メタ)アクリレート類としては、ヘキシル(メタ)アクリレート((メタ)アクリル酸ヘキシル、以下同様)、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、PO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、EO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
二官能の(メタ)アクリレート類の具体例として、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能の(メタ)アクリレート類の具体例として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート等を挙げることができる。
四官能の(メタ)アクリレート類の具体例として、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
五官能の(メタ)アクリレート類の具体例として、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
六官能の(メタ)アクリレート類の具体例として、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
本明細書において、“(メタ)アクリレート”はメタクリレートおよびアクリレートの両方の構造をとり得ることを表す省略的表記である。
(メタ)アクリレート類以外のモノマーとしては以下のものが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、メタ)アクリロイルモルフォリンが挙げられる。ここで(メタ)アクリルアミドはメタクリルアミド又はアクリルアミドの両方の構造をとり得る事を示す。
オレフィン類としては、具体的には、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、シクロヘキサジエン等が挙げられる。
スチレン類としては具体的には、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3−オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン等が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル等が挙げられる。
その他モノマーとして、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、ビニルフォルムアミド、ビニリデンクロリド、メチレンマロノニトリル、ビニリデン、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジオクチル−2−メタクリロイルオキシエチルフォスフェート、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、N−ビニルカルバゾール等が挙げられる。
また、本発明の重合性化合物にはカチオン重合性化合物を用いることができる。カチオン重合性化合物としては、例えば、カチオン重合系の光硬化性樹脂が知られており、最近では可視光以上の長波長域に増感された光カチオン重合系の光硬化性樹脂も、例えば特開平6−43633号、特開平8−324137号等に公開されている。
カチオン重合性化合物としては、各種公知のカチオン重合性化合物(モノマー)が使用出来る。例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。本発明のカチオン重合性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、若しくはこれらの組み合わせが挙げられる。
(a)オキセタン化合物とは、オキセタン環を有する化合物のことであり、特開2001−220526号、同2001−310937号に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を挙げることができる。特に、下記一般式(1)で表されるオキセタン環を含有する化合物が好ましい。

Figure 2007056129
一般式(1)において、R1〜R6は、各々水素原子または置換基を表す。ただし、R3〜R6で表される基の少なくとも一つは置換基である。
一般式(1)において、R1〜R6で各々表される置換基としては、例えば、フッ素原子、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、フリル基またはチエニル基を表す。また、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
分子中に1個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(2)〜(5)で表される化合物を挙げることができる。






























Figure 2007056129
上記一般式(2)〜(5)において、R1〜R6は各々一般式(1)と同義の基を表し、Zはそれぞれ独立で、酸素又は硫黄原子、あるいは主鎖に酸素又は硫黄原子を含有してもよい2価の炭化水素基を表す。
上記一般式(2)〜(5)において、R7、R8で各々表される置換基としては、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等)、炭素数1〜6個のアルケニル基(例えば、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基等)、炭素数1〜6個のアシル基(例えば、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基、ペンチルカルボニル基等)、炭素数1〜6個のアルコキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、炭素数1〜6個のアルキルカルバモイル基(例えば、プロピルカルバモイル基、ブチルペンチルカルバモイル基等)、アルコキシカルバモイル基(例えば、エトキシカルバモイル基等)を表す。
一般式(2)〜(5)において、Zで表される、酸素または硫黄原子、あるいは主鎖に酸素または硫黄原子を含有してもよい2価の炭化水素基としては、アルキレン基(例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等)、アルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基等)、アルキニレン基(例えば、エチニレン基、3−ペンチニレン基等)が挙げられ、また、前記のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基の炭素原子は、酸素原子や硫黄原子に置き換わっていてもよい。
本発明で使用できるオキセタン環含有化合物としては、上記一般式(2)〜(5)において、R1が低級アルキル基、特にエチル基で、R7およびR8がプロピル基、ブチル基、フェニル基、又はベンジル基で、Zが酸素又は硫黄原子を含まない炭化水素基(アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基等)であるものが好ましい。このとき、R3〜R6で表される少なくとも1つの基が置換基である。
分子中に2個以上のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(6)、(7)で表わされる化合物を挙げることができる。
Figure 2007056129
上記一般式(6)および(7)において、mは2、3又は4を表し、Zは前記一般式(2)〜(5)で表されるZと同義である。
1〜R6は、各々一般式(1)と同義の基を表す。ただし、一般式(6)において、R3〜R6の少なくとも1つが、置換基である。
9は、炭素数1〜12の線形又は分枝アルキレン基、線形或いは分枝ポリ(アルキレンオキシ)基、または下記一般式(9)、(10)及び(11)からなる群から選択される2価の基を表す。上記炭素数1〜12の線形又は分枝アルキレン基としては、下記一般式(8)で表される基が好ましい。














Figure 2007056129
一般式(8)において、R10はメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基を表す。
Figure 2007056129
上記一般式(9)において、nは0又は1〜2000の整数、R11は炭素数1〜10個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等)、または下記一般式(12)から選択される基を表す。R12は炭素数1〜10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等)を表す。
Figure 2007056129
上記一般式(12)において、jは0又は1〜100の整数、R13は1〜10個の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等)を表す。
Figure 2007056129
上記一般式(10)において、R14は水素原子、炭素数1〜10個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等)、炭素数1〜10個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)またはカルボキシル基を表す。
Figure 2007056129
上記一般式(11)において、R15は酸素原子、硫黄原子、NH、SO、SO2、CH2、C(CH32又はC(CF32を表す。
本発明で使用されるオキセタン環含有化合物の好ましい部分構造の態様としては、例えば、上記一般式(6)、(7)において、R1が低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)であることが好ましく、特に好ましくは、エチル基である。また、R9としては、ヘキサメチレン基または、上記一般式(10)において、R14が水素原子であるものが好ましく用いられる。
上記一般式(8)において、R10がエチル基、一般式(9)、(12)においてR12及びR13が、各々メチル基であることが好ましい。ただし、一般式(6)においてR3〜R6で表される基の少なくとも1つが置換基である。
更に、分子中に2個以上のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(13)で表わされる化合物を挙げることができる。
Figure 2007056129
上記一般式(13)において、rは25〜200の整数であり、R16は炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基である。また、R1、R4〜R6は、前記一般式(1)のそれらと同義であり、R3〜R6で表される基の少なくとも1つが置換基である。
本発明に係る一般式(1)で表されるオキセタン環を含有する化合物の具体例を、表1に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。

Figure 2007056129









Figure 2007056129





















Figure 2007056129
また、上記各化合物は「高分子科学と有機化学とのキャッチボール」の第4項に記載の方法をはじめ、下記文献を参考にすることで、主に下記のスキームにより容易に合成できるが、合成法に関してはこれに限定されるものではない。







Figure 2007056129
1)Hu Xianming,Richard M.Kellogg,Synthesis,533〜538,May(1995)
2)A.O.Fitton,J.Hill,D.Ejane,R.Miller,Synth.,12,1140(1987)
3)Toshiro Imai and Shinya Nishida,Can.J.Chem.Vol.59,2503〜2509(1981)
4)Nobujiro Shimizu,Shintaro Yamaoka,and Yuho Tsuno,Bull.Chem.Soc.Jpn.,56,3853〜3854(1983)
5)Walter Fisher and Cyril A.Grob,Helv.Chim.Acta.,61,2336(1978)
6)Chem.Ber.101,1850(1968)
7)“Heterocyclic Compounds with Three− and Four−membered Rings”,Part Two,Chapter IX,Interscience Publishers,John Wiley & Sons,New York(1964)
8)H.A.J.Curless,“Synthetic Organic Photochemistry”,Plenum,New York(1984)
9)M.Braun,Nachr.Chem.Tech.Lab.,33,213(1985)
10)S.H.Schroeter,J.Org.Chem.,34,5,1181(1969)
11)D.R.Arnold,Adv.Photochem.,6,301(1968)
(b)エポキシ化合物には、芳香族エポキシド、脂環式エポキシド及び脂肪族エポキシド等が挙げられる。
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリン或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、本発明においては変異原性試験(AMES)及び感作性試験等から見た、特に人体に対する安全性の観点から、オキシラン基を有するエポキシ化合物としては、エポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化脂肪酸グリセライドの少なくとも一方であることが特に好ましい。
エポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化脂肪酸グリセライドは、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセライドにエポキシ基を導入したものであれば、特に制限はなく用いられる。
エポキシ化脂肪酸エステルとしては、オレイン酸エステルをエポキシ化して製造されたもので、エポキシステアリン酸メチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル等が用いられる。また、エポキシ化脂肪酸グリセライドは、同様に、大豆油、アマニ油、ヒマシ油等をエポキシ化して製造されたもので、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ヒマシ油等が用いられる。
(c)ビニルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
(重合性化合物の添加量)
本発明の重合性化合物の添加量は、例えば、本発明の上記インク組成物の全質量に対し、1〜97質量%であり、より好ましくは30〜95質量%である。
(1-3)光重合開始剤
次に本発明のインク組成物に使用される光重合開始剤について説明する。
本発明における光重合開始剤は光の作用、または、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカル、酸および塩基のうちの少なくともいずれか1種を生成する化合物である。
本発明における重合開始剤としては、例えば、放射線硬化型のインク組成物に用いられる公知のラジカル重合、若しくは、カチオン重合の光重合開始剤が挙げられる。本発明に併用可能な他の光重合開始剤は、光の作用、又は、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカル、酸及び塩基のうちの少なくともいずれか1種を生成する化合物である。具体的な、光重合開始剤は、当業者間で公知のものを制限なく使用できる。具体的には、例えば、 Bruce M. Monroeら著、Chemical Review, 93, 435 (1993)や、R.S.Davidson著、Journal of Photochemistry and biology A :Chemistry, 73, 81 (1993)や、J. P. Faussier "Photoinitiated Polymerization-Theory and Applications" :Rapra Review vol.9, Report, Rapra Technology(1998)や、M.Tsunooka et al., Prog.Polym.Sci., 21, 1 (1996)に多く、記載されている。また、(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)に化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が多く、記載されている。さらには、F. D.Saeva,Topics in Current Chemistry,156,59(1990)、G. G. Maslak, Topics in Current Chemistry, 168, 1 (1993)、H. B. Shuster et al, J. Am. Chem. Soc., 112, 6329 (1990)、I. D. F.Eaton et al, J. Am. Chem. Soc, 102, 3298 (1980)等に記載されているような、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、酸化的又は還元的に結合解裂を生じる化合物群も知られる。
本発明のインク組成物において光重合開始剤は上述した光分解性マイクロカプセル内に内包されることが好ましい。カプセル内に内容されることにより、重合性化合物と隔離された状態となり、インク組成物の保存安定性が向上するからである。
好ましい光重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(e)ケトオキシムエステル化合物、(f)ボレート化合物、(g)アジニウム化合物、(h)メタロセン化合物、(i)活性エステル化合物、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物等が挙げられる。
(a)芳香族ケトン類の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J. P. FOUASSIER J. F. RABEK (1993)、p77〜117記載のベンゾフェノン骨格又はチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。より好ましい(a)芳香族ケトン類の例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。
(b)芳香族オニウム塩化合物としては、周期律表の15、16及び17族の元素、具体的にはN、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、又はIの芳香族オニウム塩が含まれる。例えば、欧州特許104143号明細書、米国特許4837124号明細書、特開平2−150848号公報、特開平2−96514号公報に記載されるヨードニウム塩類、欧州特許370693号、同233567号、同297443号、同297442号、同279210号、及び同422570号の各明細書、米国特許3902144号、同4933377号、同4760013号、同4734444号、及び同2833827号の各明細書に記載されるジアゾニウム塩類(置換基を有してもよいベンゼンジアゾニウム等)、ジアゾニウム塩樹脂類(ジアゾジフェニルアミンのホルムアルデヒド樹脂等)、N−アルコキシピリジニウム塩類等(例えば、米国特許4,743,528号明細書、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、及び特公昭46−42363号の各公報等に記載されるもので、具体的には1−メトキシ−4−フェニルピリジニウム テトラフルオロボレート等)、さらには特公昭52−147277号、同52−14278号、及び同52−14279号の各公報記載の化合物が好適に使用される。活性種としてラジカルや酸を生成する。
(c)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
(d)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45−37377号公報、特公昭44−86516号公報記載のロフィンダイマー類、例えば2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
(e)ケトオキシムエステル化合物としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
(f)ボレート化合物の例としては、米国特許3,567,453号、同4,343,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同109,773号の各明細書に記載されている化合物が挙げられる。
(g)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号、及び特公昭46−42363号の各公報記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
(h)メタロセン化合物の例としては、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号記載のチタノセン化合物ならびに、特開平1−304453号、特開平1−152109号の各公報記載の鉄−アレーン錯体を挙げることができる。
上記チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチルビアロイル−アミノ)フェニル〕チタン等を挙げることができる。
(i)活性エステル化合物の例としては、欧州特許0290750号、同046083号、同156153号、同271851号、及び同0388343号の各明細書、米国特許3901710号、及び同4181531号の各明細書、特開昭60−198538号、及び特開昭53−133022号の各公報に記載されるニトロベンズルエステル化合物、欧州特許0199672号、同84515号、同199672号、同044115号、及び同0101122号の各明細書、米国特許4618564号、同4371605号、及び同4431774号の各明細書、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、及び特開平4−365048号の各公報記載のイミノスルホネート化合物、特公昭62−6223号、特公昭63−14340号、及び特開昭59−174831号の各公報に記載される化合物等が挙げられる。
(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物の好ましい例としては、例えば、若林ら著、Bull. Chem. Soc. Japan、42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物等を挙げることができる。
また、F. C. Schaefer等によるJ. Org. Chem.、29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物等を挙げることができる。ドイツ特許第2641100号に記載されているような化合物、ドイツ特許第3333450号に記載されている化合物、ドイツ特許第3021590号に記載の化合物群、あるいはドイツ特許第3021599号に記載の化合物群、等を挙げることができる。
上記(a)〜(j)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示すものが挙げられる。








































Figure 2007056129











Figure 2007056129






Figure 2007056129


















Figure 2007056129













Figure 2007056129












Figure 2007056129









Figure 2007056129
上述した他の重合開始剤を併用する場合、これらの含有量は、インク組成物の全固形分に対し、0.1〜20重量%の割合とすることが好ましい。
(1-4)増感色素
本発明のインク組成物は(c)増感色素を含有することが好ましい。
本発明に係る(c)増感色素としては、以下に列挙する化合物類に属しており、且つ350nm〜450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。
例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン等)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル等)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン等)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン等)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー等)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン等)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン等)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム等)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン等)などが挙げられる。
本発明における増感色素としては、下記式(vi)〜(xiv)で表される化合物が好適に挙げられる。




Figure 2007056129
式(vi)中、A1は硫黄原子又はNR50を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表す。L1は隣接するA1及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表す。R51及びR52は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51及びR52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
式(vii)中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立にアリール基を表し、L2による結合を介して連結している。L2は−O−又は−S−を表す。Wは式(vi)に示したものと同義である。
式(viii)中、A2は硫黄原子又はNR59を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。L3は隣接するA2及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表す。R53、R54、R55、R56、R57及びR58は、それぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表す。
式(ix)中、A3及びA4は、それぞれ独立に、−S−、−NR62-、又は−NR63-を表し、R62及びR63は、それぞれ独立に、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表す。L4及びL5は、それぞれ独立に、隣接するA3、A4及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表す。R60及びR61は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表す。R60とR61は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成してもよい。
式(x)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表す。A5は酸素原子、硫黄原子又は−NR67-を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表す。R67とR64、及びR65とR67は、それぞれ互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成してもよい。








Figure 2007056129
式(xi)中、A2は硫黄原子又はNR59を表し、L4は隣接するA2及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。
Figure 2007056129
式(xii)中、A3、A4はそれぞれ独立に−S−、−NR62−又は−NR63−を表し、R62、R63はそれぞれ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L5、L6はそれぞれ独立に、隣接するA3、A4び隣接炭素原子と共同してして色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60、R61はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。
Figure 2007056129
式(xiii)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、A5は酸素原子、硫黄原子又は−NR67−を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R67とR64、及びR65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性又は芳香族性の環を形成するため結合することができる。






Figure 2007056129
式(xiv)中、R68、及び、R69それぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表す。R70、及び、R71は、それぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表しnは0-4の整数を表す。nが2以上のときR70、R71はそれぞれ互いに脂肪族性又は芳香族性の環を形成するため結合することができる。
式(vi)〜(xiv)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示す(C−1)〜(C−26)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007056129



Figure 2007056129






Figure 2007056129
Figure 2007056129
本発明のインク組成物における(c)増感色素の含有量は、インクの着色性の観点から、インク組成物の全固形分に対し、0.01〜20重量%が好ましく、0.1〜15重量%がより好ましく、更に好ましくは0.5〜10重量%の範囲である。
(c)増感色素は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、(c)増感色素と前記(a)特定重合開始剤とのインク組成物中における含有比としては、重合開始剤の分解率向上と照射した光の透過性の観点から、重量比で、a/c=100〜0.5が好ましく、a/c=50〜1がより好ましく、a/c=10〜1.5が更に好ましい。
(1-5)共増感剤
さらに本発明のインク組成物には、感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として加えても良い。
この様な共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
別の例としてはチオールおよびスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特願平6−191605号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
(1-6)色材
本発明のインク組成物に色材を添加することが好ましい。本発明のインク組成物に色材を添加することで、可視画像を形成することができるからである。例えば、平版印刷版の画像部領域を形成する場合などには、インク組成物に色材を添加することは必ずしも必要がないが、得られた平版印刷版の検版性の観点からは色材を用いることも好ましい。
本発明において用いることのできる色材としては、特に制限はないが、用途に応じて公知の種々の色材(顔料、染料)を適宜選択して用いることができる。例えば、耐候性に優れた画像を形成する場合には、顔料が好ましい。染料としては、水溶性染料及び油溶性染料のいずれも使用できるが、カチオン重合開始剤は水分(湿気)等によって加水分解を受けやすいため、水分を吸収しにくい油溶性染料が好ましい。
本発明の色材としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
即ち、赤あるいはマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36、青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、緑顔料としては、Pigment Green 7、26、36、50、黄顔料としては、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、黒顔料としては、Pigment Black 7、28、26、白色顔料としては、PigmentWhite 6,18,21などが目的に応じて使用できる。
本発明において色材は、本発明のインク組成物に添加された後、適度に当該インク内で分散されることを要する。色材の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。
また、色材の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、その種類に特に制限はないが、好ましくは高分子分散剤を用いることであり、高分子分散剤としては、例えば、Zeneca社のSolsperseシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、本発明の色材100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
色材は、本発明のインク組成物に直接添加してもよいが、分散性向上のため、あらかじめ溶剤又は本発明に係る重合性化合物のような分散媒体に添加してもよい。溶剤が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化並びに残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、色材は、本発明の重合性化合物に添加することが好ましい。さらに使用する重合性化合物としては、最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
本発明の色材粒子の平均粒径は、例えば、0.08〜0.5μm、好ましくは0.1〜0.45μm、より好ましくは、0.15〜0.4μmであることが適当である。また、色材の最大粒径は、例えば0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmであることが適当である。このような最大粒径となるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが適当である。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。
本発明において色材を添加する場合には、全インク組成物質量に対し、例えば、1〜10質量%、好ましくは2〜6質量%含有することが適当である。
(1-7)その他の成分
本発明のインク組成物には、必要に応じて、他の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、重合禁止剤、溶剤等が挙げられる。
重合禁止剤は、保存性を高める観点から添加され得る。また、本発明のインク組成物は、40〜80℃の範囲で加熱、低粘度化して射出することが好ましく、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐためにも、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤は、本発明のインク組成物全量に対し、200〜20000ppm添加することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
本発明のインク組成物には、耐溶剤性やVOCの問題から溶剤を含まないことが望ましいが、被記録媒体との密着性を改良するため、前述の問題が起こらない範囲で極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、使用される溶剤の量はインク組成物全体に対し0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。
また硬化感度をさらに高める目的で、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤を併用する、すなわちラジカル・カチオンハイブリッド型硬化インクとしてもよい。
この他に、必要に応じて公知の化合物を本発明のインク組成物に添加することができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等を適宜選択して添加することができる。また、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーを含有させることも好ましい。具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6頁に記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが挙げられる。
(1-8)インク組成物の性質
インクジェット記録用インク組成物は、射出性を考慮し、射出時の温度(例えば、40〜80℃、好ましくは25〜30℃)において、粘度が、例えば、7〜30mPa・s、好ましくは7〜20mPa・sであることが好ましい。例えば、本発明のインク組成物の室温(25〜30℃)での粘度は、35〜500mPa・s、好ましくは35〜200mPa・sである。本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となる。更にインク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善される。
本発明のインクジェット記録用インク組成物の表面張力は、例えば20〜30mN/m、好ましくは23〜28mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで30mN/m以下が好ましい。
(2)インクジェット記録方法及び装置
本発明に好適に採用され得るインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置について、以下説明する。
(2-1)インクジェット記録方法
本発明は、上記インクジェット記録用インク組成物を、被記録媒体上に噴射し、支持体上に着弾したインクに放射線を照射し、もってインク組成物を硬化して画像を形成する方法を提供する。即ち、本発明は、
(a)被記録媒体上に上記インク組成物を適用する工程;
(b)上記インク組成物に、200〜600nm、好ましくは、300〜450nm、より好ましくは350〜420nmのピーク波長を有する放射線で、2000mJ/cm2以下、好ましくは、10〜2000mJ/cm2、より好ましくは、20〜1000mJ/cm2さらに好ましくは、50〜800mJ/cm2の出力で照射して上記インク組成物を硬化する工程;及び(c)硬化したインク組成物により被記録媒体上に画像が形成される工程、を含む方法に関する。
被記録媒体としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料或いは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等を挙げることができる。その他、被記録媒体材料として使用しうるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も被記録媒体として使用可能である。
本発明のインク組成物において、硬化時の熱収縮が少ない材料を選択した場合、硬化したインク組成物と被記録媒体との密着性に優れるため、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいフィルム、例えば、熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムなどにおいても、高精細な画像を形成しうるという利点を有する。
〔インク組成物を噴射、着弾させる方法についての例〕
被記録媒体にインク組成物を噴射し、着弾させる方法としては、専用インクをノズルから微細な液滴として射出、用紙に付着させるインクジェット方式が好ましい。インクジェットヘッドには、ヒーターに電圧をかけることで気泡を発生させインクを押し出すバブルジェット(登録商標)方式、サーマルインクジェット方式と、ピエゾ素子の振動によりインクを押し出すピエゾ素子方式があるが、本発明のインク組成物は、これら方式のいずれにも使用することができる。
さらに、本発明のインクジェット記録方法について、平版印刷版にインク組成物を射出して画像を形成することを含む平版印刷版の作製方法を例に説明する。
本発明の平版印刷版は、親水性支持体と、該親水性支持体上に本発明のインク組成物を用いて形成された疎水性領域(画像)とを有する。この平版印刷版の作製方法は、以下の工程;
(1)本発明のインク組成物を前記親水性支持体上に射出する工程;及び
(2)前記インクを射出した親水性支持体表面に放射線を照射して前記インクを硬化し、以て前記インクが硬化してなる疎水性領域(画像)を前記親水性支持体上に形成する工程、とを有する。
(2-1-1)平版印刷版
ここで、平版印刷版は、親水性支持体と、該支持体上に形成された画像とを有する。
従来、平版印刷版としては、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた構成を有するいわゆるPS版が広く用いられてきた。このPS版の製造方法としては、通常、リスフィルムを介してマスク露光(面露光)した後、非露光部を溶解除去することにより所望の印刷版を得ていた。しかし、近年、画像情報をコンピュータを用いて電子的に処理、蓄積、出力するディジタル化技術が広く普及し、それに対応した新しい画像出力方式が求められるようになった。特に、リスフィルムを使用することなく、レーザー光のような嗜好性の高い光をディジタル化された画像情報に従って走査し、直接印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術が開発されている。
このような走査露光を可能にする平版印刷版を得るための方式として、インク組成物によって直接平版印刷版を作製する方法が挙げられる。これは、支持体、好ましくは親水性の支持体上にインクジェット方式等によってインクを吐出し、これを放射線に露光することにより、インク組成物の部分が露光して所望の画像(好ましくは、疎水性画像)を有する印刷版を得るものである。このような方式に適したインク組成物が本件発明のインク組成物である。
本発明のインク組成物が射出される支持体(被記録媒体)としては、特に限定されず、寸度的に安定な板状の支持体であればよい。支持体は、親水性の支持体であることが好ましい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルムおよびアルミニウム板が挙げられる。なかでも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又は、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下であるのが好ましい。本発明においては、純アルミニウム板が好ましいが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、わずかに異元素を含有するものでもよい。アルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知の素材のものを適宜利用することができる。
支持体の厚さは0.1〜0.6mmであるのが好ましく、0.15〜0.4mmであるのがより好ましい。
アルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すのが好ましい。表面処理により、親水性の向上および画像記録層と支持体との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板を粗面化処理するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、アルミニウムの圧延段階において凹凸を設けたロールで凹凸形状を転写する転写法も用いてもかまわない。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流又は直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理を施され、更に、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質の使用が可能である。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/m2であるのが好ましく、1.5〜4.0g/m2であるのがより好ましい。この範囲で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られる。
本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでも良いが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層改良のため、必要に応じて、特開2001−253181号や特開2001−322365号に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理や封孔処理、および親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。もちろん大処理、封孔処理は、これらに記載のものに限られたものではなく従来公知の何れも方法も行うことができる。
〔封孔処理〕
封孔処理としては、蒸気封孔のほかフッ化ジルコン酸の単独処理、フッ化ナトリウムによる処理など無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、塩化リチウムを添加した蒸気封孔、熱水による封孔処理でも可能である。
なかでも、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理および熱水による封孔処理が好ましい。以下にそれぞれ説明する。
<無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理>
無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理に用いられる無機フッ素化合物としては、金属フッ化物が好適に挙げられる。
具体的には、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸カリウム、フッ化チタン酸ナトリウム、フッ化チタン酸カリウム、フッ化ジルコン酸アンモニウム、フッ化チタン酸アンモニウム、フッ化チタン酸カリウム、フッ化ジルコン酸、フッ化チタン酸、ヘキサフルオロケイ酸、フッ化ニッケル、フッ化鉄、フッ化リン酸、フッ化リン酸アンモニウムが挙げられる。なかでも、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化チタン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸、フッ化チタン酸が好ましい。
水溶液中の無機フッ素化合物の濃度は、陽極酸化皮膜のマイクロポアの封孔を十分に行う点で、0.01質量%以上であるのが好ましく、0.05質量%以上であるのがより好ましく、また、耐汚れ性の点で、1質量%以下であるのが好ましく、0.5質量%以下であるのがより好ましい。
無機フッ素化合物を含有する水溶液は、更に、リン酸塩化合物を含有するのが好ましい。リン酸塩化合物を含有すると、陽極酸化皮膜の表面の親水性が向上するため、機上現像
性および耐汚れ性を向上させることができる。
リン酸塩化合物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属のリン酸塩が好適に挙げられる。
具体的には、例えば、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸一カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸鉛、リン酸二アンモニウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸リチウム、リンタングステン酸、リンタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸ナトリウム、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムが挙げられる。なかでも、ン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムが好ましい。
無機フッ素化合物とリン酸塩化合物の組み合わせは、特に限定されないが、水溶液が、無機フッ素化合物として、少なくともフッ化ジルコン酸ナトリウムを含有し、リン酸塩化合物として、少なくともリン酸二水素ナトリウムを含有するのが好ましい。
水溶液中のリン酸塩化合物の濃度は、機上現像性および耐汚れ性の向上の点で、0.01質量%以上であるのが好ましく、0.1質量%以上であるのがより好ましく、また、溶解性の点で、20質量%以下であるのが好ましく、5質量%以下であるのがより好ましい。
水溶液中の各化合物の割合は、特に限定されないが、無機フッ素化合物とリン酸塩化合物の質量比が、1/200〜10/1であるのが好ましく、1/30〜2/1であるのがより好ましい。
また、水溶液の温度は、20℃以上であるのが好ましく、40℃以上であるのがより好ましく、また、100℃以下であるのが好ましく、80℃以下であるのがより好ましい。
また、水溶液は、pH1以上であるのが好ましく、pH2以上であるのがより好ましく、また、pH11以下であるのが好ましく、pH5以下であるのがより好ましい。
無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理の方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法が挙げられる。これらは単独で1回又は複数回用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、浸漬法が好ましい。浸漬法を用いて処理する場合、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、3秒以上であるのがより好ましく、また、100秒以下であるのが好ましく、20秒以下であるのがより好ましい。
<水蒸気による封孔処理>
水蒸気による封孔処理は、例えば、加圧又は常圧の水蒸気を連続的に又は非連続的に、陽極酸化皮膜に接触させる方法が挙げられる。
水蒸気の温度は、80℃以上であるのが好ましく、95℃以上であるのがより好ましく、また、105℃以下であるのが好ましい。
水蒸気の圧力は、(大気圧−50mmAq)から(大気圧+300mmAq)までの範囲(1.008×105〜1.043×105Pa)であるのが好ましい。
また、水蒸気を接触させる時間は、1秒以上であるのが好ましく、3秒以上であるのがより好ましく、また、100秒以下であるのが好ましく、20秒以下であるのがより好ましい。
<熱水による封孔処理>
水蒸気による封孔処理は、例えば、陽極酸化皮膜を形成させたアルミニウム板を熱水に浸漬させる方法が挙げられる。
熱水は、無機塩(例えば、リン酸塩)又は有機塩を含有していてもよい。
熱水の温度は、80℃以上であるのが好ましく、95℃以上であるのがより好ましく、また、100℃以下であるのが好ましい。
また、熱水に浸漬させる時間は、1秒以上であるのが好ましく、3秒以上であるのがより好ましく、また、100秒以下であるのが好ましく、20秒以下であるのがより好ましい。
本発明に用いられる親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号および同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケート法がある。この方法においては、支持体をケイ酸ナトリウムなどの水溶液で浸漬処理し、又は電解処理する。そのほかに、特公昭36−22063号公報に記載されているフッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号および同第4,689,272号の各明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが挙げられる。
本発明において使用しえる支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであるのが好ましい。この範囲で、画像記録層との良好な密着性、良好な耐刷性と良好な汚れ難さが得られる。
(2-1-2)インク組成物を前記親水性支持体上に射出する工程
本発明のインク組成物を上記親水性支持体の表面上に射出する場合、インク組成物を40〜80℃、好ましくは25〜30℃に加熱して、インク組成物の粘度を7〜30mPa・s、好ましくは7〜20mPa・sに下げた後に射出することが好ましい。特に、25℃におけるインク粘度が35〜500mPa・sのインク組成物を用いると大きな効果を得ることが出来る。この方法を用いることにより、高い射出安定性を実現することができる。本発明のインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常のインクジェット記録用インク組成物で使用される水性インクより粘度が高いため、印字時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴射出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。従って、印字時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明温度の制御幅は、設定温度の±5℃、好ましくは設定温度の±2℃、より好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
(2-1-3)インクを射出した親水性支持体上に放射線を照射して前記インクを硬化する工程
親水性支持体の表面上に射出された上記インクは、放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明の上記インク組成物に含まれる重合開始系中の増感色素が放射線を吸収して励起状態となり、重合開始系中の重合開始剤と接触することによって重合開始剤が分解し、もって重合性化合物がラジカル重合して硬化するためである。
ここで、使用される放射線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。放射線のピーク波長は、増感色素の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nm、好ましくは、300〜450nm、より好ましくは、350〜450nmであることが適当である。また、本発明の重合開始系は、低出力の放射線であっても十分な感度を有するものである。従って、放射線の出力は、例えば、2000mJ/cm2以下、好ましくは、10〜2000mJ/cm2、より好ましくは、20〜1000mJ/cm2、さらに好ましくは、50〜800mJ/cm2の照射エネルギーであることが適当である。また、放射線は、露光面照度が、例えば、10〜2000mW/cm2、好ましくは、20〜1000mW/cm2で照射されることが適当である。
本発明の上記インク組成物は、このような放射線に、例えば、0.01〜120秒、好ましくは、0.1〜90秒照射されることが適当である。
放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの射出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(例えば、0.01〜0.5秒、好ましくは、0.01〜0.3秒、より好ましくは、0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。
このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができる為、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができる。
更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。WO99/54415号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な被記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクから順に重ねることにより、下部のインクまで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、臭気の低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を射出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
このようにして、本発明の上記インク組成物は、放射線の照射により硬化し、疎水性画像を前記親水性支持体表面上に形成する。
(2-2)インクジェット記録装置
本発明に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、市販のインクジェット記録装置が使用できる。即ち、本発明においては、市販のインクジェット記録装置を用いて被記録媒体へ記録することができる。
本発明のインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、放射線源を含む。
インク供給系は、例えば、本発明の上記インク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1〜100pl、好ましくは、8〜30plのマルチサイズドットを例えば、320×320〜4000×4000dpi、好ましくは、400×400〜1600×1600dpi、より好ましくは、720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
上述したように、放射線硬化型インクは、射出されるインクを一定温度にすることが望ましいことから、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱および加温を行うことができる。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンクおよびインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
放射線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェットには、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更にLED(UV−LED),LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい放射線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例における形態に限定されるものではない。
<例示化合物(I−1)の合成>
例示化合物(I−1)を下記スキームに従って合成した。

























Figure 2007056129
(1)中間体(B)の合成
6−ブロモ−1−ヘキサノール(L)(99.2g、548mmol、Aldrich社製)を塩化メチレン(250mL)とともに撹拌し、ピリジン(48.7mL、603mmol)を添加した。氷冷下、塩化ピバロイル(70.9mL、575mmol)を滴下し、室温で5時間攪拌した。反応液を希塩酸水、飽和食塩水で1回ずつ洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮後、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:へキサン:酢酸エチル=9:1)で精製し、中間体(B)を油状物として134g得た(収率92%)。
中間体(B)
1HNMR(CDCl3):δ1.20(s, 9H), 1.30−1.50(m,4H),1.65(m,2H),1.88(m,2H), 3.41(t,2H),4.07(t,2H)
Figure 2007056129
(2)中間体(D)の合成
水素化ナトリウム(油状含有率約60%、9.67g、242mmol)をジメチルスルホキシド(50mL)とともに撹拌し、化合物(A)(38.2g、220mmol、Aldrich社製)を100mLのジメチルスルホキシド溶液として30分かけて滴下した。室温で30分撹拌後、臭化物(B)(58.3g、220mmol)を100mLのジメチルスルホキシド溶液として滴下した。80〜90℃で1時間反応させ、放冷後、水で反応を停止し、有機層を酢酸エチルで2回抽出後、水と飽和食塩水で1回ずつ洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮後、粗体(C)を得た。
続いて粗体(C)を200mLの塩化メチレンに溶解し、m−クロロ過安息香酸(45.6g、264mmol)をゆっくり投入した。室温で2時間撹拌後、室温で減圧下、大半の塩化メチレンを除去した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:塩化メチレン=1:99)で精製し、中間体(D)を油状物として64.2g得た(二工程の収率78%)。
中間体(D)
1HNMR(CDCl3):δ1.19(s,9H),1.40−1.72(m,6H),1.88(m,2H),4.07(t,2Hが二つ),6.75(d,1H),7.12(dd,1H),8.08(d,1H)
(3)中間体(E)の合成
アルミホイルで遮光した反応容器に、中間体(D)(84.7g、226mmol)を200mLのエタノールに溶解し、水硫化ナトリウムn水和物(31.7g、566mmol)の150mL水溶液を滴下した。1時間の加熱還流後放冷し、酢酸エチルと飽和食塩水を投入した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:塩化メチレン=1:199)で精製し、中間体(E)を白色結晶として51.0g得た(収率69%)。
中間体(E)
1HNMR(CDCl3):δ1.20(s,9H),1.40−1.70(m,6H),1.93(m,2H),4.06(t,2Hが二つ),6.70(dd,1H),6.74(d,1H),7.82(d,1H)
(4)中間体(F)の合成
1,6−へキサンジオール(M)(200g、1.69mol)、アセトニトリル(400mL)、トリエチルアミン(236mL、1.69mol)を室温で混合し、塩化トシル(161g、846mmol)のアセト二トリル溶液(400mL)を10℃以下で滴下した。室温で6時間攪拌した後、溶媒を留去し、水を加え、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を水、飽和食塩水で1回ずつ洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:へキサン:酢酸エチル=3:2)で精製し、1,6−へキサンジオールのモノトシル体を油状物として114g得た(収率52%)。
上記の生成物(114g、441mmol)、塩化メチレン(200mL)、ピリジン(37.5mL、463mmol)を室温で混合し、塩化ピバロイル(54.4mL、441mmol)を滴下した。室温で6時間攪拌した後、水を加え、塩化メチレンで2回抽出した。有機層を水、飽和食塩水で1回ずつ洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:へキサン:酢酸エチル=92:8)で精製し、中間体(F)を油状物として120g得た(収率77%)。
中間体(F)
1HNMR(CDCl3):δ1.20(s, 9H),1.35(m,4H),2.50-2.70(m,4H),2.45(s,3H),4.01(t,2Hが二つ),7.34(d,2H),7.80(d,2H)
Figure 2007056129
(5)中間体(G)の合成
アルミホイルで遮光した反応容器に、中間体(E)(51.0g、156mmol)を200mLのアセトニトリルに溶解し、炭酸カリウム(64.6g、467mmol)、硫酸水素テトラブチルアンモニウム(5.29g、15.6mmol)、トシラート(F)(55.5g、156mmol)を順次投入し、室温で11時間撹拌した。析出物をアセトニトリルとメタノールで洗浄しながらろ過で取り除き、ろ液を濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:塩化メチレン=1:99)で精製し、中間体(G)を油状物として23.9g得た(収率30%)。
中間体(G)
1HNMR(CDCl3):δ1.20(s,9Hが二つ),1.40−1.70(m,12H),1.85(m,2H),1.95(m,2H),4.00(t,2H),4.07(t,2Hが二つ),4.42(t,2H),6.52(dd,1H),6.60(d,1H),7.49(d,1H)
(6)例示化合物(I−1)の合成
アルミホイルで遮光した反応容器に、中間体(G)(23.9g、46.7mmol)を200mLのメタノールに溶解し、炭酸カリウム(51.6g、374mmol)を投入し、50℃で4.5時間撹拌した。放冷後、析出物をろ過で取り除き、ろ液を濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール:塩化メチレン=2:98→1:9)で精製し、例示化合物(I−1)を油状物として8.02g得た(収率50%)。
例示化合物(I−1)
1HNMR(CDCl3):δ1.40−1.70(m,12H),1.85(m,2H),1.95(m,2H),3.67(t,2Hが二つ),4.01(t,2H),4.42(t,2H),6.53(dd,1H),6.61(d,1H),7.51(d,1H)
<光分解性の測定>
合成した例示化合物(I−1)を5.0×10-5mol/Lの濃度に酢酸エチルに溶解し、これを1cmの石英セルに入れ、吸光度計(商品名:マルチチャンネル検出器PMA11、浜松ホトニクス(株)社製)を用いて吸光度を測定した。この溶液の370nmにおける吸光度は0.64であった。この溶液に発光中心波長365nm、23Wの蛍光灯の光を45mmの距離から20秒間照射して同様に吸光度を測定したところ、370nmにおける吸光度は0.15に減少した。このことから、本発明の一般式(I)で表されるピリチオン化合物が光分解性であることがわかった。
<例示化合物(I−2)の合成>
例示化合物(I−1)の合成に関する記載の中で、中間体(B)の代わりにピバリン酸4−ブロモブチル、中間体(F)の代わりにピバリン酸4−トシルオキシブチルを使用することで、同様に例示化合物(I−2)を合成した(油状物)。
例示化合物(I−2)
1HNMR(DMSO-d6):δ1.60−1.90(m,8H),3.48(m,4H),3.97(t,2H),4.32(t,2H),4.48(m,2H、水酸基),6.73(dd,1H),6.94(d,1H),8.00(d,1H)
<例示化合物(I−14)の合成>
例示化合物(I−14)を下記スキームに従って合成した。
Figure 2007056129
(1)中間体(R)の合成
2−クロロ−3−ヒドロキシピリジン(P)(51.4g、397mmol、Aldrich社製)、ジメチルスルホキシド(200mL)を混合し、氷冷下、水素化ナトリウム(油状含有率約60%、19.1g、476mmol)をジメチルスルホキシド(100mL)で洗い込みながら投入した。続いて、2−ブロモエタノールより常法によりアセチル化して合成した酢酸2−ブロモエチル(Q)(66.3g、397mmol)を滴下した。50℃で2時間攪拌した後、水を加え、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を水、飽和食塩水で1回ずつ洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:へキサン:酢酸エチル=7:3)で精製し、中間体(R)を油状物として69.9g得た(収率82%)。
中間体(R)
1HNMR(CDCl3):δ2.11(s, 3H),4.27(t,2H),4.50(t,2H),7.22(m,2H),8.03(dd,1H)
(2)中間体(S)の合成
中間体(R)(69.2g、321mmol)と塩化メチレン(230mL)を混合し、氷冷下、メチルトリオキソレ二ウム(8.00g、32.1mmol、Aldrich社製)、30%過酸化水素水(72.8g、642mmol)を加えた。室温で15.5時間攪拌後、塩化メチレンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム:メタノール=95:5)で精製し、中間体(S)を白色結晶として44.6g得た(収率60%)。
中間体(S)
1HNMR(CDCl3):δ2.13(s, 3H),4.31(t,2H),4.50(t,2H),6.86(dd,1H),7.12(dd,1H),8.10(dd,1H)
(3)中間体(T)の合成
中間体(S)(44.3g、191mmol)とエタノール(150mL)を混合し、水硫化ナトリウムn水和物(21.4g、382mmol)の100mL水溶液を滴下した。46〜47℃で4.5時間攪拌後、放冷し、塩酸水で酸性(pH=3〜4)とした。塩化メチレンで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム)で精製し、中間体(T)を白色結晶として28.3g得た(収率65%)。
中間体(T)
1HNMR(CDCl3):δ2.13(s, 3H),4.30(t,2H),4.52(t,2H),6.72(dd,1H),6.84(dd,1H),7.90(dd,1H)
(4)例示化合物(I−14)の合成
中間体(T)(10.1g、44.0mmol)とメタノール(120mL)を混合し、氷冷下、炭酸カリウム(12.2g、87.9mmol)を加えた。10℃で1時間攪拌し、ろ過で固形物を除去した。ろ液を濃縮し、析出物をメタノールで洗いながらろ過、乾燥し、例示化合物(I−14)を白色結晶として3.20g得た(収率39%)。
例示化合物(I−14)
1HNMR(D2O):δ3.89(t,2H),4.06(t,2H),6.76(dd,1H),6.84(dd,1H),7.72(dd,1H)
<例示化合物(I−3)の合成>
例示化合物(I−14)の合成に関する記載の中で、中間体(Q)の代わりに、酢酸3−ブロモ−2−メチルプロピルを使用することで、同様に例示化合物(I−3)を合成した(油状物)。
例示化合物(I−3)
1HNMR(DMSO-d6):δ1.00(d,3H),2.05(m,1H),3.48(m,2H),3.94(m,2H),4.58(t,1H),6.90(dd,1H),7.10(d,1H),8.23(d,1H),12.31(s,1H)
<例示化合物(I−4)の合成>
例示化合物(I−14)の合成に関する記載の中で、酢酸2−ブロモエチル(Q)の代わりに、4−クロロブタノールより常法で合成した酢酸4−クロロブチルを使用することで、同様に例示化合物(I−4)を合成した(白色結晶)。
例示化合物(I−4)
1HNMR(CDCl3):δ1.82(m, 2H),2.08(m, 2H),3.80(t,2H),4.11(t,2H),6.72(dd,1H),6.78(dd,1H),7.83(dd,1H),12.10(s,1H)
<例示化合物(I−15)の合成>
例示化合物(I−15)を下記スキームに従って合成した。
Figure 2007056129
(1)中間体(V)の合成
2−クロロニコチン酸(U)(27.0g、171mmol、Aldrich社製)、塩化メチレン(150mL)を混合し、氷冷下、塩化オキサリル(22.4mL、257mmol)、ジメチルホルムアミドを順次滴下した。2時間の加熱還流の後、溶媒を留去した。これに再び塩化メチレン(30mL)を加えたものを、4−(n−ブチルアミノ)−1−ブタノール(24.9g、171mmol)、トリエチルアミン(23.9mL、171mmol)、塩化メチレン(120mL)の混合液に、5℃以下を維持しながら滴下した。室温で1.5時間攪拌し、水を加え、塩化メチレンで抽出した。水、飽和食塩水で1回ずつ洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:塩化メチレン:メタノール=96:4)で精製し、中間体(V)を油状物として29.2g得た(収率60%)。
中間体(V)
1HNMR(DMSO-d6)(1:1の異性体の混合物):δ0.69(t)と0.92(t)(以上合わせて3H),1.00-1.70(m, 8H), 2.80-3.70(m, 6H), 4.30(t)と4.42(t)(以上合わせて1H),7.50(m,1H),7.86(m,1H),8.48(m,1H)
(2)例示化合物(I−15)の合成
中間体(V)より例示化合物(I−15)の合成は、例示化合物(I−14)の合成に関する記載内容と同様の方法で行うことができた(白色結晶)。
例示化合物(I−15)
1HNMR(DMSO-d6):δ0.70(t)と0.91(t)(以上合わせて3H),1.00-1.70(m, 8H), 2.90-3.70(m, 6H), 4.32(t)と4.41(t)(以上合わせて1H),6.95(dd,1H),7.43(dd,1H),8.51(dd,1H),12.33(s,1H)
<多官能イソシアネート組成物の製造>
例示化合物(I−1)1.7g、m−キシリレンジイソシアネート2.8g、乾燥アセトニトリル4.5gの混合物を窒素気流下に50℃に加熱し溶解した。この溶液にジ(2−エチルヘキサン酸)スズ1mgを添加し、さらに窒素気流下に50℃で30分撹拌した。このとき、アセトニトリルが揮発するので、この揮発分と等重量の乾燥アセトニトリルを反応液に添加した。下記化合物(H)を主成分とするアセトニトリル溶液を得た(固形分50%)。










Figure 2007056129
上記反応混合物(アセトニトリル溶液)を一部取り、減圧濃縮後、1H−NMR(DMSO−d6)を測定したところ、原料である例示化合物(I−1)のシグナル(4.5ppm、水酸基)が消失した。このことから、例示化合物(I−1)の水酸基がイソシアネートと反応したことがわかった。
〔実施例1〕
<マイクロカプセルの製造>
(1)マイクロカプセル液用フタル化ゼラチン溶液の調製
フタル化ゼラチン(商品名;#801ゼラチン,新田ゼラチン(株)製)32g、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液)0.9143g、イオン交換水367.1gを混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
(2)光重合開始剤内包マイクロカプセル液の調製
キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75重量%酢酸エチル溶液)、三井武田ケミカル(株)製)6.39g、フェニルイソシアネートのホルマリン縮合物(商品名;ミリオネートMR−200、日本ポリウレタン工業(株)製)4.77g、キシリレンジイソシアネート/下記化合物(K)付加物(50%酢酸エチル溶液)3.32g、イルガキュア1870(チバスペシャリティケミカルズ(株)製)5.22gを添加し、均一に撹拌し混合液−1を得た。混合液−1に上記合成例で得た壁材溶液(化合物(H)を主成分とするアセトニトリル溶液(固形分50%))を2.5部加えてカプセル壁材混合液−2を得た。
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液57.6gにイオン交換水9.5g、Scraph AG−8(50重量%)日本精化(株)製)0.17gおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(10%水溶液)0.43gを添加混合し、混合液−3を得た。
混合液−3に混合液−2を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水21.2g、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、65℃下で撹拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行ない、カプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節し、マイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700、商品名、堀場製作所(株)製を用いて実施)の結果、メジアン径で1.10μmであった。





Figure 2007056129
〔実施例2〕
上記実施例1において、イルガキュア1870に代えてピリチオン化合物(J)を用いた以外は同様に行い、光重合開始剤を内包したメジアン径1.10μmのマイクロカプセルを得た。なお、ピリチオン化合物(J)は対応する2−ハロゲノピリジン−1−オキシドを出発原料として、Journal of American Chemical Society、1950年、4362ページに記載の方法で2−チオン−N−OH型化合物を合成し、さらに、Journal of Organic Chemistry、1989年、4330〜4334ページに記載の方法でN-OR型化合物に変換することにより容易に合成できる。
〔実施例3〕
上記実施例1において、イルガキュア1870に代えてトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートを用いた以外は同様に行い、光重合開始剤を内包したメジアン径1.10μmのマイクロカプセルを得た。
<光分解性の測定>
実施例1で製造したロイコ染料内包マイクロカプセル液をTAC支持体上に固形分塗布量が7.1g/m2となるように塗布した。このとき吸光度計(商品名: UV3100 、 (株)島津製作所 社製)を用いて365nmにおける塗布膜の吸光度を測定したところ0.8であった。この塗布膜に発光中心波長365nm、23Wの蛍光灯の光を8mmの距離から20秒間照射して同様に吸光度を測定したところ、365nmにおける塗布膜の吸光度は0.65まで減少した。このことから、本発明のマイクロカプセルが光分解性であることがわかった。
<インク組成物の調製>
(インク組成物1:本発明1)
下記の各組成物を混合、撹拌し、インク組成物1を得た。
着色剤:CI pigment Blue 15:3(平均分散粒径:100nm)
5質量部
実施例1のイルガキュア1870内包マイクロカプセル 10質量部
1、6−へキサンジオールジアクリレート 85質量部
(インク組成物2:本発明2)
下記の各組成物を混合、撹拌し、インク組成物2を得た。
着色剤:CI pigment Blue 15:3(平均分散粒径:100nm)
5質量部
実施例2のピリチオン化合物(J)内包マイクロカプセル 10質量部
1、6−へキサンジオールジアクリレート 85質量部
(インク組成物3:本発明3)
下記の各組成物を混合、撹拌し、インク組成物3を得た。
着色剤:CI pigment Blue 15:3(平均分散粒径:100nm)
5質量部
実施例3のトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート内包マイクロカプセ
ル 10質量部
脂環式エポキシ化合物(CEL2021P、ダイセル化学製) 25質量部
オキセタン(OXT221、東亜合成製) 60質量部
(インク組成物4:比較例1)
下記の各組成物を混合、撹拌し、インク組成物4を得た。
着色剤:CI pigment Blue 15:3(平均分散粒径:100nm)
5質量部
イルガキュア1870 5質量部
1、6−へキサンジオールジアクリレート 90質量部
(インク組成物5:比較例2)
下記の各組成物を混合、撹拌し、インク組成物5を得た。
着色剤:CI pigment Blue 15:3(平均分散粒径:100nm)
5質量部
ピリチオン化合物(J) 5質量部
1、6−へキサンジオールジアクリレート 90質量部
(インク組成物6:比較例3)
下記の各組成物を混合、撹拌し、インク組成物6を得た。
着色剤:CI pigment Blue 15:3(平均分散粒径:100nm)
5質量部
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート 5質量部
脂環式エポキシ化合物(CEL2021P、ダイセル化学製) 30質量部
オキセタン(OXT221、東亜合成製) 60質量部
<インク組成物及びインクジェット画像の評価>
以上のようにして調製した各インク組成物の保存安定性、硬化性の評価を行った。
(インク組成物の保存安定性評価)
上記調製した各インク組成物を、ガラス瓶に入れ密封し、55℃の恒温槽で1週間保存した後、25℃における粘度を振動式粘度計(VISCOMATE VM−1G−MH、YAMAICHI.CO.LTD製)を用いて測定した。
上記調製した各インク組成物を、インクジェットプリンタPSASER860(PHASER PRINTING JAPAN社製)を部分的に改造したプリンターに装填し、表2に記載の温度に加温したインクジェットヘッドから記録媒体であるPETフィルム(ポリエチレンテレフタレート)上に、20μlのインクを射出して画像を形成した。次いで、インク射出直後に365nmの波長で強度が10mW/cm2の紫外線ランプを用いて照射エネルギー量(mJ/cm2)を変化させ、印字したインク皮膜が硬化して、タックフリーの状態になる最低照射エネルギー量(mJ/cm2)を求め、これを硬化性の尺度とした。
以上により得られた各評価結果を表2に示す。
Figure 2007056129
表2から明らかなように、本発明に係る構成からなるインク組成物1〜3は、比較例に対して、硬化性が良好で、高温下で長時間保存しても粘度変動が極めて小さく、保存安定性が非常に優れていることがわかった。一方、比較組成物は55℃の恒温槽で1週間保存するとゲル化してしまい、保存安定性が悪かった。
本発明により、硬化性に優れると共に、高温下で保存安定性に優れる活性光線硬化型インクジェット用インク組成物を提供することができた。

Claims (10)

  1. (a)重合性化合物、(b)光重合開始剤、及び(c)光分解性マイクロカプセル、を含有することを特徴とするインク組成物。
  2. 前記(c)光分解性マイクロカプセルが、下記一般式(I)で表されるピリチオン化合物から誘導される骨格を有する、請求項1に記載のインク組成物。
    一般式(I)
    Figure 2007056129
    (式中、R1は−L1−X1又はX1を表し、R2は水素原子又は−L2−X2を表す。L1、L2は各々独立に2価の連結基を表し、X1、X2は各々独立に水酸基、アミノ基、及びメルカプト基からなる群より選択される基を表す。nは1〜4の整数を表し、nが複数の場合、R1は互いに同一でも異なっていてもよい。)
  3. 前記(c)光分解性マイクロカプセルが、一般式(I)で表されるピリチオン化合物と一般式(II)のイソシアネート化合物の求核付加反応により得られる多官能イソシアネート化合物から製造される、請求項2に記載のインク組成物。
    一般式(II) R3−(NCO)m
    (式中、R3はm価の任意の連結基を表し、mは2以上の整数を表す。)
  4. さらに、(d)色材を含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインク組成物。
  5. 前記(d)色材が顔料または油溶性染料である請求項4に記載のインク組成物。
  6. インクジェット記録用である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のインク組成物。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のインク組成物を被記録媒体に噴射し、着弾させる工程、及び、前記インク組成物に放射線を照射して硬化する工程を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 被記録媒体上に、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のインク組成物を噴射し、着弾させた後、放射線を照射してインク組成物を硬化させてなる印刷物。
  9. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のインク組成物を、親水性支持体上に噴射し、着弾させた後、放射線を照射してインクを硬化させることにより疎水性領域を形成することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
  10. 親水性支持体上に、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のインク組成物を噴射し、着弾させた後、放射線を照射してインク組成物を硬化させることにより形成された疎水性領域を有する平版印刷版。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011057791A (ja) * 2009-09-08 2011-03-24 Fujifilm Corp 水性インク組成物、インクセット、およびインクジェット画像形成方法

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