JP2007051065A - 臓器再生方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】臓器を再生する。
【解決手段】臓器又は臓器に分化可能な部位において、限局的な炎症を惹起することを特徴とする臓器再生方法。
【選択図】図1
【解決手段】臓器又は臓器に分化可能な部位において、限局的な炎症を惹起することを特徴とする臓器再生方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、ヒトを含む動物の臓器を再生する方法及び装置に関する。
現在、動物の臓器を幹細胞を誘導して再生する試みが数多く行われているが、臓器等の機能を部分的に補完するにとどまり、複雑な経路が関与する臓器再生の実現には相当な時間を要する。
例えば特許文献1は、膀胱粘膜下組織を使用して、各種臓器の再建、修復等を行えることが記載されているが、膀胱の一部を再生する以外の具体的な方法については開示されていない。
特表2000−516503
本発明は、広範な臓器を再生するのに必要な技術を提供することを目的とする。
本発明者は、臓器を再生技術について検討を重ねた結果、再生、修復が必要な臓器において、再生リアクター(Regeneration Reactor)を用いて限局的に炎症を惹起することにより、臓器再生が炎症箇所で惹起されることを見出した。
本発明は、以下の臓器再生方法及び臓器再生装置を提供するものである。
1. 下記の(1)〜(3)のステップを含むことを特徴とする臓器再生方法:
(1) 臓器又は臓器に分化可能な部位において、限局的な炎症を惹起するステップ、
(2) 該炎症部位に成長因子を供給する供給源を提供するステップ
(3) 該炎症部位から生成する再生臓器のための空間を確保するカバーを取り付けるステップ
を包含する臓器再生方法
2. 炎症の惹起を糸で縛ることにより行う項1に記載の方法。
3. 限局的炎症を起こさせる部分を切断により形成する項1または2に記載の方法。
4. 糸が絹糸である項2に記載の方法。
5. 炎症惹起手段、成長因子供給源及び炎症部位から生成する再生臓器のための空間を確保するカバーを備えた臓器再生装置。
6. 炎症惹起手段が、絹糸である項5に記載の臓器再生装置。
1. 下記の(1)〜(3)のステップを含むことを特徴とする臓器再生方法:
(1) 臓器又は臓器に分化可能な部位において、限局的な炎症を惹起するステップ、
(2) 該炎症部位に成長因子を供給する供給源を提供するステップ
(3) 該炎症部位から生成する再生臓器のための空間を確保するカバーを取り付けるステップ
を包含する臓器再生方法
2. 炎症の惹起を糸で縛ることにより行う項1に記載の方法。
3. 限局的炎症を起こさせる部分を切断により形成する項1または2に記載の方法。
4. 糸が絹糸である項2に記載の方法。
5. 炎症惹起手段、成長因子供給源及び炎症部位から生成する再生臓器のための空間を確保するカバーを備えた臓器再生装置。
6. 炎症惹起手段が、絹糸である項5に記載の臓器再生装置。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明により再生される臓器としては、原理的に、ほぼすべての臓器が対象である。膵臓、腎臓、肝臓、心臓、肺臓、四肢、膀胱、副腎、下垂体、甲状腺、副甲状腺、食道、胃、腸(小腸、大腸、直腸)、性器、神経、大動静脈、皮膚などが例示され、特に、膵臓、腎臓、肝臓、肺臓などが好ましく例示される。
炎症の惹起は、物理的手段、化学的手段のいずれにより行ってもよい。具体的には、糸、紐などで縛ることや、布(編物、織物)、テープないしシート、バンド、不織布などを用いて貼付ないし圧迫して臓器の限局された部分に刺激を加えたり、係止具(骨・角などの釣針や銛もりや槍に切り込んでつくった針状の突起。獲物に突き刺さって抜けないようになる。かえし釣針のかえしなど)、紫外光、レーザー光、放射線などを限局的に照射すること、メス、針、はさみなどで局所的に傷を付けたり、鉗子、クリップなどで挟んだりすることや、金属、樹脂、セラミックなどの繊維、粒子、プレートなどを臓器表面ないし再生部位(炎症を惹起する部位)に固定すること、或いは、炎症を惹起する物質(例えばカラギナン、流動パラフィン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、リポ多糖類、ムラミルジペプチドなどの起炎物質)を臓器の局所に塗布したり、起炎物質を放出可能な材料を臓器の局所表面に固定するなどの種々の方法が挙げられる。腎臓など、臓器によっては臓器を全摘して炎症を惹起し、臓器切除部位から臓器全体を再生させることも可能である。
炎症を惹起する部位は限局的であるのが好ましい。ここで、「限局的」とは、再生される臓器または臓器に分化可能な部位において、炎症に関与する部位が相対的に小さく、1箇所または2〜3箇所(特に1箇所)の少ない炎症部位を有することを意味する。炎症部位が離れている大きな臓器の場合には、さらに多くの炎症部位で臓器再生を行うことも可能である。例えば、膵臓の再生では、枝分かれした膵管の端部を糸で縛り、縛られ膵管が集中した限局性部分を切断し、切断された部分と糸で縛られた部分に限局的な炎症を惹起することで、膵臓の再生を行うことができる。また、腎臓では、腎臓を全摘した後において、糸球体、尿細管(近位、遠位)、集合管などを備えた機能的なネフロンが複数形成されることを本発明者は初めて見出した。この形成されたネフロンの数を増やし、ネフロンを大きくすることで、腎臓の再生を行うことができる。
炎症の惹起は、炎症部位において肉芽組織の形成をほとんど又は全く伴わず、炎症部位周辺の臓器組織の増殖が亢進して、臓器の再生が行われることが重要である。このためには、臓器表面での炎症惹起のための刺激が継続的に行われることが重要であり、糸等で臓器の一部を縛ることや、クリップ、鉗子などを用いる局所的な刺激を行うことが望ましい。また、炎症部位に成長因子を供給し、臓器の再生を速やかに行うことで、肉芽組織等の線維化組織の形成を抑制し、必要な大きさの再生臓器を形成することが可能になる。
炎症は臓器の再生を促し、炎症部位の周辺に炎症部位と比較して相対的に大きな再生臓器を形成するので、炎症部位は、臓器の表面或いは表面に近い部位で惹起し、周辺に再生組織のための空間が存在することが望ましい。例えば臓器等の一部を糸で縛ったり、クリップないし鉗子で挟んだりした場合には、これらにより締め付けられて盛り上がった組織を切断し、組織内部を露出させるのが好ましい。即ち、炎症部位は、該部位から外部へ再生組織が成長できるように、表面に存在するのが特に好ましい。
炎症部位に供給される成長因子としては、bFGF(FGF2),FGF7(KGF)、HGF,IGF1,GDNF,TGFβ、LIF,FGF10,PDGF、EGFなどが例示される。好ましい成長因子は、FGF7、HGF,GDNF,IGF−1,FGF10などである。これらは、成長因子のタンパク質を単離して炎症部位に供給してもよく、これら成長因子の放出を誘導ないし刺激する因子を炎症部位に投与してもよい。或いは、これら成長因子を高発現する細胞(例えば成長因子を発現可能なベクターで形質転換した形質転換細胞など)を炎症部位或いはその近傍に提供してもよい。これらの成長因子供給源は、ビーズや生体適合性ゲル、或いは糸、繊維ないし布状物にしみ込ませて徐々に放出するなどのドラッグデリバリーシステム(DDS)を利用して炎症部位に持続的に供給するのがより好ましい。
炎症部位から再生される臓器の成長を阻害しないように、炎症部位は、カバーで覆われるのが好ましい。このカバーは、炎症部位が隣接する臓器や壁側腹膜(横隔膜、腹膜など)に癒着したり、再生途中の臓器が周辺組織と接触して臓器の再生が阻害されるのを防止する役割を有する。このようなカバーの形状は、再生する臓器を収容することのできる空間部を有している限り任意の形状であってもよく、例えば丘状、円筒状、球状、楕円体状などが例示される。また、該カバーは、全面が閉じられていてもよいが、周辺組織と再生臓器の接触ないし癒着を抑制し、再生臓器を最大限に大きくすることができる限り、外部と連通する孔ないし開口部を有していてもよい。カバーの素材は生体適合性である限り特に限定されず、シリコンなどの生体適合性の材料、乳酸、グリコール酸、ε−カプロラクトン或いはこれらの共重合体などの生体吸収性高分子、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタンなどの合成高分子などが挙げられ、非生体適合性材料は、生体適合性材料で覆うのが好ましい。
本発明の好ましい実施形態を図1に基づいて概略的に説明する。
本発明の装置は、炎症惹起手段により形成された再生リアクター(Regeneration Reactor)によって臓器再生を行う。炎症惹起手段としては、糸、紐、布(編物、織物)、テープ、シート、バンド、不織布、係止具(骨・角などの釣針や銛もりや槍に切り込んでつくった針状の突起。獲物に突き刺さって抜けないようになる。かえし釣針のかえしなど)、光(紫外光、レーザー光、放射線など)、メス、針、はさみ、鉗子、クリップなどが例示され、好ましくは絹糸が例示される。例えば絹糸で臓器の一部を縛り、必要に応じて縛られ盛り上がった組織を切除することで、局所的に炎症を惹起させ、臓器の再生を導く。例えば、絹糸は、哺乳類にとっては異種であるため強力に炎症を誘導する。絹糸以外にも生体にとって異物の材料で炎症を起こさせるのが望ましい。炎症惹起物質を変えることによって、炎症の性質や強弱が変化し、再生誘導の強弱や誘導された臓器の構成が変化するであろう。炎症惹起手段により形成されたリアクターは臓器芽を生やすとともに、生えた臓器芽がリアクターによる炎症の影響から遠ざかりながら成長する場を提供する。臓器芽を形成するため臓器幹細胞を移植し、異所性に臓器を発育させることも可能である。さらにこのようにして生えてきた臓器芽を育てる空間をシリコンカバーなどによって確保するのが好ましい。臓器芽の成長促進のため、リアクター近傍に成長因子供給源が好ましく配置される。成長因子とともに、他の生理活性物質、例えば、核酸、栄養供給因子(ペプチドホルモン、トランスフェリンなど)、細胞間マトリックス(コラーゲン、ラミニンなど)、化学物質(ビタミン、アミノ酸、ステロイドホルモン、微量金属、エタノールアミン等)を臓器芽に供給し、これを成長させることもできる。
各種臓器における成長因子の選択としては、特に限定されるものではないが、膵臓(FGF2,FGF7,FGF10,HGF,IGF−1など)、腎臓(HGF,FGF7,GDNF,IGF−1,LIF),肝臓(HGF,FGF8,IGF−1),肺(FGF10,HGF,IGF−1)などが例示される。
本発明によれば、再生対象の臓器又は該臓器に分化し得る部位において炎症を惹起することで、臓器の再生を効率よく行うことができる。
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明する。
実施例1:膵再生(図2)
1)方法
ネズミの膵臓の一部をFGF7(成長因子)を分泌する骨髄細胞を付着させた絹糸で縛る。縛った上の部分は切除する(a, b, c)。この結び目をさらにシリコンチューブで覆う(d, e)。こうすると糸に付着していた細胞は下にある膵臓に接触し、ここで成長因子が膵臓に供給される(f)。
1)効果
絹糸はネズミにとって異物であるので、激しい炎症が起こる。しかし絹糸の結び目は小さく、表面にあるので、炎症は絹糸の下の限られた部分でしか起こらない。炎症が起こった局部で膵臓は再生反応を起し、炎症により絹糸の周りには常に新しい膵臓の芽が供給され、これから膵臓になる能力のある膵管がつぎつぎ出現する(g)。炎症は結び目側だけであるので、新しく再生された膵臓は結び目と反対側に伸びつつ、膵臓に分化する(g, h, i)。絹糸がない場合2週間以内に炎症は消え再生もなくなるが、絹糸の周りでは1ヶ月以上炎症が続き、再生も同様の期間延長する。この間膵臓を大きくする因子を追加供給して、その効果をみた(j, k)。シリコンチューブは再生膵臓にほとんど異物としての悪影響を与えない(g, i)。膵臓の非炎症部位では、このような再生変化は起こらなかった。
1)定量化
再生を定量化することにより成長因子の効果を評価する。この手段は細胞が分裂したとき発現するPCNAという蛋白が、どのような種類の細胞に何%出ているかを装置周辺の組織を切ってスライドガラスの上に固定化し、抗原抗体反応を利用した発色法により、茶色に光っている細胞核を顕微鏡によって計測することによって調べる(l,m)。スライドはFGF7があるときと(l)、ないとき(m)の2種類を比較した。計算は腺房細胞の茶色核/全体核数(o)、膵管の茶色核/全体核数(n)の割合でみた。FGF7が存在することにより膵管で約1.5倍(n)、腺房で2倍程度(o)の増殖増加がみられた。同じ膵臓の他の部分ではほとんど増殖がみられなかったため、如何に絹糸周辺において増殖しているかがわかる。新しくできた膵管数に関しては、腺房、膵管ともFGF7ある、なしで同様であり、膵管が新しくできることに関してはFGF7とは関係なく、むしろ絹糸による炎症によって出現していることが示された。すなわちFGF7は炎症によって出現してきた膵臓に分化する能力のある膵管の分化増殖(o)と、膵管そのものの増殖を促進する(n)ことがわかった。膵管にはFGF7の受容体が存在することを確認しており、骨髄細胞より分泌されたFGF7は正確に検定された。またFGF7が膵再生因子として臓器再生装置内で働くことも示しており、膵臓構築時の一因子として特に好ましいものである。
実施例2:腎再生(図3)
膵臓での検定法の成功は、リアクターとしての絹糸が特別なものでないことより、普遍性があるのではないかと推論される。
実施例1:膵再生(図2)
1)方法
ネズミの膵臓の一部をFGF7(成長因子)を分泌する骨髄細胞を付着させた絹糸で縛る。縛った上の部分は切除する(a, b, c)。この結び目をさらにシリコンチューブで覆う(d, e)。こうすると糸に付着していた細胞は下にある膵臓に接触し、ここで成長因子が膵臓に供給される(f)。
1)効果
絹糸はネズミにとって異物であるので、激しい炎症が起こる。しかし絹糸の結び目は小さく、表面にあるので、炎症は絹糸の下の限られた部分でしか起こらない。炎症が起こった局部で膵臓は再生反応を起し、炎症により絹糸の周りには常に新しい膵臓の芽が供給され、これから膵臓になる能力のある膵管がつぎつぎ出現する(g)。炎症は結び目側だけであるので、新しく再生された膵臓は結び目と反対側に伸びつつ、膵臓に分化する(g, h, i)。絹糸がない場合2週間以内に炎症は消え再生もなくなるが、絹糸の周りでは1ヶ月以上炎症が続き、再生も同様の期間延長する。この間膵臓を大きくする因子を追加供給して、その効果をみた(j, k)。シリコンチューブは再生膵臓にほとんど異物としての悪影響を与えない(g, i)。膵臓の非炎症部位では、このような再生変化は起こらなかった。
1)定量化
再生を定量化することにより成長因子の効果を評価する。この手段は細胞が分裂したとき発現するPCNAという蛋白が、どのような種類の細胞に何%出ているかを装置周辺の組織を切ってスライドガラスの上に固定化し、抗原抗体反応を利用した発色法により、茶色に光っている細胞核を顕微鏡によって計測することによって調べる(l,m)。スライドはFGF7があるときと(l)、ないとき(m)の2種類を比較した。計算は腺房細胞の茶色核/全体核数(o)、膵管の茶色核/全体核数(n)の割合でみた。FGF7が存在することにより膵管で約1.5倍(n)、腺房で2倍程度(o)の増殖増加がみられた。同じ膵臓の他の部分ではほとんど増殖がみられなかったため、如何に絹糸周辺において増殖しているかがわかる。新しくできた膵管数に関しては、腺房、膵管ともFGF7ある、なしで同様であり、膵管が新しくできることに関してはFGF7とは関係なく、むしろ絹糸による炎症によって出現していることが示された。すなわちFGF7は炎症によって出現してきた膵臓に分化する能力のある膵管の分化増殖(o)と、膵管そのものの増殖を促進する(n)ことがわかった。膵管にはFGF7の受容体が存在することを確認しており、骨髄細胞より分泌されたFGF7は正確に検定された。またFGF7が膵再生因子として臓器再生装置内で働くことも示しており、膵臓構築時の一因子として特に好ましいものである。
実施例2:腎再生(図3)
膵臓での検定法の成功は、リアクターとしての絹糸が特別なものでないことより、普遍性があるのではないかと推論される。
本発明者は、FGF7が再生に関与しており、発生学的に起源が異なる腎臓を検定した。腎臓は2つあるので、膵臓と違って完全にひとつ切除することが可能である。また腎臓から膀胱に伸びる尿管は、胎児のとき膀胱あたりから上にのびてきて、その先端に腎臓本体を間質細胞から誘導し造る能力があった。従って、腎臓本体を完全に切断して尿管だけにすれば、そこに胎児の能力が残存しておれば、腎臓ができるはずであると本発明者らは考えた。この仮説の立証のためには腎臓を完全に切除することが必要である。この尿管の残存能力を本発明のリアクターが引き出せる能力と、FGF7のその後の再生に及ぼす影響を調べた。
1)方法
マウス腎臓をつまみだし、そこに繋がる尿管、動脈、静脈を引き伸ばす(a)。これらを一塊として絹糸でくくる(b)。その後腎臓本体を切断し(c)、そこに結び目を作った後、シリコンカバーを被せる(d)。
1)効果
1ヶ月後移植細胞の位置を確認した(e)。膵臓と同じように、結び目の周りに赤色に生体染色した細胞がみられた。これとは別に糸球体も存在した。糸球体とは血液を尿にする濾過器である。糸球体は緑色をしており、これは緑マウスに臓器再生装置を設置したことから、緑色でない移植細胞が糸球体に変わったのではなく、リアクターが緑マウス尿管の緑マウス由来糸球体誘導を助けたことを意味している。実際細胞を移植しない絹糸だけでも緑糸球体はできた。本当に糸球体かどうか確かめるため、多方面から検討した。まず、糸球体特有のWT-1蛋白を免疫抗体法で確認した(f)。さらに糸球体から尿が濾されたあと通る管である近位尿細管(LTAで染色できる)(g)、そしてネフロン(腎臓の基本構造物でこれが多数集まり腎臓ができる。)に特異的に結合する物質(PNAで染色できる)でも調べたところ(h)、糸球体と繋がっていた。さらにこの管を追っていくと集合管(DBAで染色できる)につながっており(i)、最終的に尿管に接続していた。糸球体は切断された尿管が誘導したネフロンの一部として機能的に接続していることを証明した。この発見は世界で初めてである。糸球体の数は全視野で数個であり、リアクターはネフロン誘導に必要な因子ひと揃えは供給するが、その量は極く微量である。このことは逆に、これらの因子を供給することによって再生が促進されたかどうか検定する装置としては、低バックグラウンドで都合が良い。
1)定量化
再生ネフロン数は少ないが臓器再生定量検定器はそこに臓器があるかぎり機能する。これらの再生腎でFGF7のあるなしで差がないかをどうかを調べたところ、集合管の枝分かれに差があることがわかった(i,j,)。実際集合管にはFGF7の受容体があり、約2倍の分岐数の差はFGF7によるものである(k)。このことは装置が正確に作用したことを示している。
1)方法
マウス腎臓をつまみだし、そこに繋がる尿管、動脈、静脈を引き伸ばす(a)。これらを一塊として絹糸でくくる(b)。その後腎臓本体を切断し(c)、そこに結び目を作った後、シリコンカバーを被せる(d)。
1)効果
1ヶ月後移植細胞の位置を確認した(e)。膵臓と同じように、結び目の周りに赤色に生体染色した細胞がみられた。これとは別に糸球体も存在した。糸球体とは血液を尿にする濾過器である。糸球体は緑色をしており、これは緑マウスに臓器再生装置を設置したことから、緑色でない移植細胞が糸球体に変わったのではなく、リアクターが緑マウス尿管の緑マウス由来糸球体誘導を助けたことを意味している。実際細胞を移植しない絹糸だけでも緑糸球体はできた。本当に糸球体かどうか確かめるため、多方面から検討した。まず、糸球体特有のWT-1蛋白を免疫抗体法で確認した(f)。さらに糸球体から尿が濾されたあと通る管である近位尿細管(LTAで染色できる)(g)、そしてネフロン(腎臓の基本構造物でこれが多数集まり腎臓ができる。)に特異的に結合する物質(PNAで染色できる)でも調べたところ(h)、糸球体と繋がっていた。さらにこの管を追っていくと集合管(DBAで染色できる)につながっており(i)、最終的に尿管に接続していた。糸球体は切断された尿管が誘導したネフロンの一部として機能的に接続していることを証明した。この発見は世界で初めてである。糸球体の数は全視野で数個であり、リアクターはネフロン誘導に必要な因子ひと揃えは供給するが、その量は極く微量である。このことは逆に、これらの因子を供給することによって再生が促進されたかどうか検定する装置としては、低バックグラウンドで都合が良い。
1)定量化
再生ネフロン数は少ないが臓器再生定量検定器はそこに臓器があるかぎり機能する。これらの再生腎でFGF7のあるなしで差がないかをどうかを調べたところ、集合管の枝分かれに差があることがわかった(i,j,)。実際集合管にはFGF7の受容体があり、約2倍の分岐数の差はFGF7によるものである(k)。このことは装置が正確に作用したことを示している。
Claims (6)
- 下記の(1)〜(3)のステップを含むことを特徴とする臓器再生方法:
(1) 臓器又は臓器に分化可能な部位において、限局的な炎症を惹起するステップ、
(2) 該炎症部位に成長因子などを供給する供給源を提供するステップ
(3) 該炎症部位から生成する再生臓器のための空間を確保するカバーを取り付けるステップ
を包含する臓器再生方法 - 炎症の惹起を糸で縛ることにより行う請求項1に記載の方法。
- 限局的炎症を起こさせる部分を切断により形成する請求項1または2に記載の方法。
- 糸が絹糸である請求項2に記載の方法。
- 炎症惹起手段、成長因子供給源及び炎症部位から生成する再生臓器のための空間を確保するカバーを備えた臓器再生装置。
- 炎症惹起手段が、絹糸である請求項5に記載の臓器再生装置。
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JP2004030513A JP2007051065A (ja) | 2004-02-06 | 2004-02-06 | 臓器再生方法及び装置 |
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JP2001316285A (ja) * | 2000-05-01 | 2001-11-13 | Yasuhiko Tabata | 細胞と細胞増殖因子とからなる組織器官の再生のための材料 |
JP4294474B2 (ja) * | 2001-07-16 | 2009-07-15 | デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド | 半月板再生装置 |
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2005
- 2005-02-04 WO PCT/JP2005/001696 patent/WO2005075004A1/ja active Application Filing
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Publication number | Publication date |
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WO2005075004A1 (ja) | 2005-08-18 |
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