本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、キートップ又はキートップを含むケースの照光状態に光ムラが生じず、キートップ又はキートップを含むケースを均一に照光することができる照光型スイッチ機構を提供することにある。
本願請求項1に記載の発明は、可撓性を有し且つ透光性を有するゴム状弾性板上に透光性を有するキートップを取り付けてなるキートップ板と、前記キートップ板の上面側に設置されるケースと、前記キートップ板の下面側に設置され前記キートップ板を照光する発光素子と、前記キートップ板の下面側に設置され前記各キートップによって押圧されるスイッチと、を具備する照光型スイッチ機構において、前記キートップ間を連結部によって連結すると共に、前記連結部に、前記発光素子の上に位置して前記発光素子から発射される光を散乱する光散乱部材を設けたことを特徴とする照光型スイッチ機構にある。
本願請求項2に記載の発明は、前記光散乱部材は不透光性であり、且つ発光素子の上を覆う形状の部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の照光型スイッチ機構にある。
本願請求項3に記載の発明は、前記ケースは透光性を有する材料で構成され、且つ前記ゴム状弾性板の上下面は前記発光素子から発射される光を通して前記ケースに向かわせる光透過面となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の照光型スイッチ機構にある。
本願請求項4に記載の発明は、前記キートップは、合成樹脂フイルムに合成樹脂からなるキートップ本体を取り付けて構成されており、且つ前記連結部は前記キートップを構成する合成樹脂フイルムと一体の合成樹脂フイルムによって構成されていることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の照光型スイッチ機構にある。
本願請求項5に記載の発明は、前記合成樹脂フイルムは透光性を有し、且つ前記光散乱部材は、前記連結部を構成する合成樹脂フイルムの表面に形成される光散乱層で構成されているか、或いは前記連結部を構成する合成樹脂フイルムに取り付けられる光散乱シートで構成されていることを特徴とする請求項4に記載の照光型スイッチ機構にある。
本願請求項6に記載の発明は、前記光散乱部材は、その発光素子側を向く面の色彩と、そのケース側を向く面の色彩とを異ならせ、且つ光散乱部材のケース側を向く面の色彩を、光散乱部材の発光素子側を向く面の色彩よりも、より多く光を吸収する色彩としたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の照光型スイッチ機構にある。
本願請求項7に記載の発明は、可撓性を有し且つ透光性を有するゴム状弾性板上に透光性を有するキートップを取り付けてなるキートップ板と、前記キートップ板の上面側に設置されるケースと、前記キートップ板の下面側に設置され前記キートップ板を照光する発光素子と、前記キートップ板の下面側に設置され前記各キートップによって押圧されるスイッチと、を具備する照光型スイッチ機構において、前記ゴム状弾性板の前記発光素子の上の位置には、前記発光素子から発射される光を散乱する不透光性の光散乱部材が設けられていることを特徴とする照光型スイッチ機構にある。
本願請求項8に記載の発明は、前記ケースは透光性を有する材料で構成され、且つ前記ゴム状弾性板の上下面は前記発光素子から発射される光を通して前記ケースに向かわせる光透過面となっていることを特徴とする請求項7に記載の照光型スイッチ機構にある。
本願請求項9に記載の発明は、前記光散乱部材は、その発光素子側を向く面の色彩と、そのケース側を向く面の色彩とを異ならせ、且つ光散乱部材のケース側を向く面の色彩を、光散乱部材の発光素子側を向く面の色彩よりも、より多く光を吸収する色彩としたことを特徴とする請求項7又は8に記載の照光型スイッチ機構にある。
請求項1に記載の発明によれば、光散乱部材によって発光素子の上方に向かう最も強い光を反射して周囲に散乱させるので、キートップ又はキートップを含むケースの照光状態に光ムラが生じず、キートップ又はキートップを含むケースを均一に照光することができる。また光散乱部材をキートップ間を連結する連結部に設けたので、ゴム状弾性板上にキートップを位置合わせして取り付けるだけで、光散乱部材をゴム状弾性板上の所定の位置に別途位置合わせすることなく設置でき、その取り付けが容易に行える。また連結部自体に光散乱部材を設けるので、別途光散乱部材用の部材を用意する必要はなく、部品点数の増加を招くこともない。これらのことから製造コストの低減化が図れる。
請求項2に記載の発明によれば、光散乱部材を不透光性で発光素子の上を覆う形状の部材で形成したので、発光素子の上方に向かう最も強い光を効果的に反射して周囲に散乱させることができ、キートップ又はキートップを含むケースを均一に照光することができる。
請求項3に記載の発明によれば、キートップを含むケース全体を明るく照らし出すことができる。
請求項4に記載の発明によれば、キートップを構成する合成樹脂フイルムによって連結部が構成できるので、キートップ間の連結部による連結が容易に行え、また連結部用に別部材を用いる必要もなくなる。
請求項5に記載の発明によれば、光散乱部材を光散乱層又は光散乱シートによって構成したので、その形成が容易に行える。
請求項6に記載の発明によれば、発光素子から上方に向かう強い光を光散乱部材の発光素子側を向く面によって発光素子側に効果的に反射・散乱でき、同時に光散乱部材のケース側を向く面に到達する比較的強い光の一部を吸収させることができ、これらのことからさらにキートップ又はキートップを含むケースを均一に照光することが可能になる。
請求項7に記載の発明によれば、光散乱部材によって発光素子の上方に向かう最も強い光を反射して周囲に散乱させるので、キートップ又はキートップを含むケースの照光状態に光ムラが生じず、キートップ又はキートップを含むケースを均一に照光することができる。
請求項8に記載の発明によれば、キートップを含むケース全体を明るく照らし出すことができる。
請求項9に記載の発明によれば、発光素子から上方に向かう強い光を光散乱部材の発光素子側を向く面によって発光素子側に効果的に反射・散乱でき、同時に光散乱部材のケース側を向く面に到達する比較的強い光の一部を吸収させることができ、これらのことからさらにキートップ又はキートップを含むケースを均一に照光することが可能になる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態にかかる照光型スイッチ機構1−1の斜視図、図2はそのA−A概略断面図、図3はその分解斜視図である。これらの図に示すように照光型スイッチ機構1−1は、キートップ板10の下面側にスイッチ基板(以下この実施形態では「フレキシブルスイッチ基板」という)70を設置したものを、ケース(以下この実施形態では「上ケース」という)90と下ケース100との間に収納して構成されている。以下各構成部品について説明する。
図4は分解したキートップ板10とフレキシブルスイッチ基板70とを示す分解斜視図である。同図に示すようにキートップ板10は、ゴム状弾性板40上に複数のキートップ20(20−1〜17)を取り付けて構成されている。1つのキートップ20−16は略長円のリング状であってその外周下部から外方に向けてつば部21を突出し、中央に貫通するキートップ挿入部23を設けて構成されている。また1つのキートップ20−17は長円柱状であってその外周下部から外方に向けてつば部21を突出し、前記キートップ挿入部23に挿入される寸法形状に構成されている。これらキートップ20−16,17は何れも透光性を有する(即ち透明又は半透明な)合成樹脂を成形することで構成されており、例えばその上面又は下面に所望の装飾層を印刷等によって形成している。
一方キートップ20−1〜15は、何れも下記する合成樹脂フイルム25に合成樹脂からなるキートップ本体33を取り付けてなる同一構造のキートップであり、6つのキートップ20−1〜6からなるキートップ連結体30−1と、9つのキートップ20−7〜15からなるキートップ連結体30−2とに分けられている。
図5はこれらキートップ連結体30−1,30−2を裏面側から見た斜視図であり、また図6は図4のB−B断面図である。図4〜図6に示すように、キートップ連結体30−1は、キートップ20−1〜6を帯状の合成樹脂フイルムからなる連結部31によって相互にリング状に連結して構成されており、同様にキートップ連結体30−2は、キートップ20−7〜15を帯状の合成樹脂フイルムからなる連結部31によって相互につづら折り状(ジグザグ状)に連結して構成されている。ここで各キートップ20−1〜15は、図6に示すキートップ20−1と全て同一構造であり、合成樹脂フイルム25を上方向(上ケース90方向)に彎曲変形させて彎曲部27を形成し、この彎曲部27の下面側に生じる凹部29内に合成樹脂からなるキートップ本体33を取り付けて構成されている。キートップ本体33の下部外周からは合成樹脂フイルム25からなるつば部28が張り出して設けられている。ここで合成樹脂フイルム25は透明なポリエチレンテレフタレートフイルムやポリカーボネート樹脂フイルム等の熱可塑性又は熱硬化性の可撓性を有する各種合成樹脂フイルムによって構成されている。一方キートップ本体33は透明なポリカーボネート樹脂等の各種合成樹脂によって構成されている。これらキートップ20−1〜15の製造は、例えば予め各彎曲部27をプレフォーミングしておいた大きなサイズの平板状の合成樹脂フイルム(合成樹脂フイルム25となるもの)を金型内にセットし、金型内の前記凹部29に形成されている金型のキャビティー内に溶融合成樹脂を圧入し、溶融合成樹脂の冷却硬化後に前記金型を取り外し、その後前記合成樹脂フイルムを各つば部28及び各連結部31の外形形状の輪郭部分でカットして不要な部分を除去することによって行う。もちろんキートップ20−1〜15は他の各種成形方法、例えば平板状の合成樹脂フイルム(合成樹脂フイルム25となるもの)を金型内にセットし、金型内に形成されているキャビティーに面する合成樹脂フイルムの裏面側からキャビティー内に溶融合成樹脂を圧入することでその熱と圧力によって合成樹脂フイルムをキャビティーの反対側の内周面に密着するまで引き伸ばしながらキャビティー内を溶融合成樹脂で満たし、溶融合成樹脂の固化後に前記金型を取り外す成形方法等によって製造してもよい。以上のようにして製造された各キートップ20−1〜15の下面(ゴム状弾性板40に対向する側の面)は平面状であり、下記するゴム状弾性板40にその下面全体が当接するようにしている。一方合成樹脂フイルム25の彎曲部27上面には所望の塗料からなる装飾層35が印刷(スクリーン印刷等)によって形成されており、その中に装飾層35を設けない抜き形状部37を設けている。なお装飾層35は蒸着等の他の各種手段によって形成しても良い。装飾層35は不透光性であっても良いし、透光性を有していても良い。また装飾層35は彎曲部27の上面の代りに(又は上面と共に)その裏面に設けても良い。さらに装飾層35はキートップ本体33の下面に設けても良い。
上述のように連結部31は前記各キートップ20を構成する合成樹脂フイルム25の外周にこの合成樹脂フイルム25と一体に接続して形成されている。各連結部31は何れも細い帯状に形成され、隣り合うキートップ20間を連結している。連結部31の所定位置(下記する各発光素子75上に対向する位置)には円形の光散乱部材形成部32が設けられ、これら光散乱部材形成部32の表面(この実施形態では上ケース90に対向する側の面)には下記する発光素子75から発射される光を散乱する光散乱部材(以下この実施形態では「光散乱層」という)50が設けられている。この実施形態の光散乱層50は図6に示すように二層構造であり、光散乱部材形成部32の表面に白系(この実施形態では白色)の塗料からなる第1光散乱層50aを印刷(スクリーン印刷等)によって形成し、さらにこの第1光散乱層50aの上に黒系(この実施形態では黒色)の塗料からなる第2光散乱層50bを印刷(スクリーン印刷等)によって形成して構成されている。なお第1,第2光散乱層50a,50bは蒸着等の他の各種手段によって形成してもよい。言い換えれば、光散乱層50の発光素子75側を向く面の色彩と、光散乱層50の上ケース90側を向く面の色彩とを異ならせ、且つ光散乱層50の上ケース90側を向く面の色彩を、光散乱層50の発光素子75側を向く面の色彩よりも、より多く光を吸収する色彩(暗い色彩)とした。光散乱部材形成部32及びその上に形成される光散乱層50は円板形状であり、その外径寸法は前記連結部31の幅寸法よりも大きく形成されている。つまり連結部31は各キートップ20−1〜15をそれぞれできるだけ独立して可動できるように細くした方が良く、一方光散乱部材形成部32及び光散乱層50は下記する発光素子75からの光を確実に反射するためにその外径を連結部31の幅よりも大きくしているのである。またキートップ連結体30−2において各連結部31を略V字状に屈曲して形成したのは、各キートップ20−7〜15がより独立して動作するようにするためと同時に、各発光素子75の上に各光散乱部材形成部32及び光散乱層50を位置させるためである。従って各キートップ20−1〜6の各連結部21においても、これらを直線状ではなく、屈曲させた形状(V字状でなく、S字状等の他の屈曲形状でも良い)で各キートップ20−1〜6間を連結させても良い。
この実施形態のようにキートップ20−1〜15を構成する合成樹脂フイルム25の一部である連結部31の光散乱部材形成部32に光散乱層50を設ければ、この光散乱層50は合成樹脂フイルム25が平面状のとき(彎曲部27を形成する前の状態のとき)に形成する装飾層35の印刷形成の際に同時に印刷・形成することができる。従って別途光散乱層50の印刷工程を追加する必要がなく、その形成工程の簡素化が図れる。
図7はゴム状弾性板40を図4の裏面(下面)側から見た斜視図である。図4,図7に示すようにゴム状弾性板40は、ゴム状の弾性を有し且つ透光性を有する(即ち透明又は半透明な)材料(この実施形態ではシリコンゴムを用いているが、他の各種材料を用いても良い)を略矩形状の平板状に成形して構成されている。そしてゴム状弾性板40の外周下面には下方向に帯状に突出する外周突出部41が設けられ、またこのゴム状弾性板40の前記各キートップ20−1〜17を取り付ける位置の裏面側にはそれぞれ柱状に突出する押圧部43が設けられている。ここでゴム状弾性板40のリング状のキートップ20−16を取り付ける位置の裏面側には等間隔に4つの押圧部43が設けられ、キートップ20−16を4方向に押圧するように構成しており、それ以外の各キートップ20−1〜15,17を取り付ける位置の裏面側には1つずつの押圧部43が設けられている。ゴム状弾性板40の上下面は下記する発光素子75から発射される光を通して上ケース90の下面の略全体に向かわせる光透過面40a,40bとなっている。ここで光透過面とは、ゴム状弾性板40の上下面から光が放出されるようにその面を遮蔽等していない面をいう。
そして前記ゴム状弾性板40の上面に各キートップ20−1〜17を接着等によって取り付ければ、キートップ板10が完成する。このとき各キートップ20−1〜6と各キートップ20−7〜15はそれぞれ連結部31によって連結されたキートップ連結体30−1,30−2となっており、一体化されているので、各キートップ20−1〜17のゴム状弾性板40への位置合わせ及び接着作業は容易に行える。なおこの実施形態では各キートップ20−1〜17のゴム状弾性板40への取り付けを、各キートップ20−1〜17の下面をそれぞれ接着材によってゴム状弾性板40の上面に接着することによって行う。つまり各連結部31の部分はゴム状弾性板40に接着していない。これは各連結部31の動きの自由度を保持して各キートップ20−1〜17の動きをより独立させるためである。
フレキシブルスイッチ基板70は図4に示すように、可撓性を有する合成樹脂フイルム(この実施形態ではポリイミドフイルムを用いているが、他の各種熱硬化性又は熱可塑性の合成樹脂フイルムでも良い)製の基板71の上面(ゴム状弾性板40側の表面)の所定位置(前記ゴム状弾性板40の各押圧部43に対向する位置)にそれぞれスイッチ73を設け、またその所定位置(前記ゴム状弾性板40の各光散乱層50に対向する位置)にそれぞれ発光素子75を設置して構成されている。フレキシブル回路基板70の外形寸法は前記ゴム状弾性板40の外形形状よりも少し小さい矩形状に形成されている。スイッチ73は基板71上面に形成した図示しないスイッチパターン上に弾性金属板をドーム形状に形成してなる可動接点板となる反転板73aを取り付けて構成されており、また発光素子75はチップ型であり、基板71上面に形成した図示しない回路パターンにその端子を接続・固定して設置されている。
上ケース90は図3に示すように白色等の半透光性(乳白濁色)の合成樹脂を前記キートップ板10の外形寸法よりも少し大きい矩形平板状に成形して構成されており、前記各キートップ20−1〜17に対向する位置にはそれぞれつば部21を除いた各キートップ20−1〜17の上面全体が露出する形状の開口からなるキートップ露出部91(91−1〜16)が設けられ、またその外周下面からは帯状に下方向(ゴム状弾性板40側)に向かって突出する突出部73を設けている。
下ケース100は不透光性の合成樹脂を前記上ケース90の外形寸法と略同一外形寸法の矩形平板状に成形して構成されており、その外周上面からは帯状に上方向(ゴム状弾性板40側)に向かって突出する突出部101を設けることでその内側に収納部93を形成している。
照光型スイッチ機構1−1の組み立ては、図3に示す上ケース90の下面側にキートップ板10とフレキシブルスイッチ基板70とを設置し、その下面側に下ケース100を配置し、上ケース90と下ケース100間を図示しない固定手段で一体に固定することによって行われる。これによって図1に示す照光型スイッチ機構1−1が完成する。このとき各キートップ20−1〜16の上面は上ケース90のキートップ露出部91−1〜16内にぴったり露出する。またキートップ20−17の上面はキートップ20−16に設けたキートップ挿入部23内にぴったり露出する。図2に示すキートップ20−1からも分かるように各発光素子75の上(真上)にはこの発光素子75の上を覆う形状の光散乱層50が設置される。またゴム状弾性板40の各押圧部43に対向する位置にはフレキシブルスイッチ基板70のスイッチ73の反転板73aが設置され、またゴム状弾性板40の外周突出部41の部分は、上下ケース90,100によって挟持され、電気的機能部であるフレキシブルスイッチ基板70の周囲の空間を密閉している。
以上のように構成された照光型スイッチ機構1−1において、何れかのキートップ20−1〜17(キートップ20−16については四方向の何れかの位置)を押圧すれば、その真下に位置する押圧部43がこれに対向するスイッチ73を押圧して反転板73aを反転して反転板73aを介して図示しない2本のスイッチパターン間が接続してスイッチ73がオンすると同時にクリック感覚を生じる。前記押圧を解除すれば反転板73aが元の形状に自動復帰して、そのキートップ20−1〜17が元の位置に押し上げられ、図示しない2本のスイッチパターン間が非接触状態となってスイッチ73がオフする。
一方発光素子75(通常全ての発光素子75)を発光すると、各発光素子75から発射された光はゴム状弾性板40を通って上ケース90及びキートップ20−1〜17に向かうが、発光素子75の真上方向(フレキシブルスイッチ基板70の面に対して略垂直な方向)に向けて照射された光は発光素子75の上に設置されている光散乱層50を通過できずにこの光散乱層50によって反射され、その周囲に散乱される。つまり発光素子75から発射される光の内でその真上方向に発射される光が最も強い光なので、光散乱層50が設けられていないと、半透明な上ケース90及び各キートップ20−1〜17の前記各発光素子75が接近している部分のみが明るく照光され、その照光状態に光ムラが生じてしまう。そこでこの実施形態では各発光素子75の上部に光散乱層50を設け、これによって最も強い光がそのまま上ケース90側に向かわないようにし、この光を光散乱層50を設けた周囲の部分に拡散させ、これによって上ケース90及び各キートップ20−1〜17全体をムラなく均一に照光させるようにしたのである。さらにこの実施形態では、前述のように光散乱層50の発光素子75側を向く面の色彩(第1光散乱層50aの色彩)と、上ケース90側を向く面の色彩(第2光散乱層50bの色彩)とを異ならせ、且つ光散乱層50の上ケース90側を向く面の色彩(この実施形態では黒色)を、光散乱層50の発光素子75側を向く面の色彩(この実施形態では白色)よりも、より多く光を吸収する色彩としたので、まず発光素子75から発射された光は第1光散乱層50aによって効率的に反射されて効率的にその周囲に拡散される。一方それでも発光素子75の真上付近は発光素子75に近いので明るく照らし出されるので、この光の一部を第2光散乱層50bに吸収させ、発光素子75の真上付近を暗くし、結果としてそのさらに周囲の部分の明るさと同一の明るさとし、上ケース90及び各キートップ20−1〜17全体をよりムラなく均一に照光させるようにしたのである。なお各キートップ20−1〜15においては、透明なキートップ本体33内にほぼ均一に導入された光は、キートップ本体33内を通過した後、各抜き形状部37の部分から各キートップ20−1〜15の外部(上面側)に照射され、これら各抜き形状部37の部分を均一に照光する。なお光散乱層50を構成する第1光散乱層50aを光散乱部材形成部32のゴム状弾性板40側に対向する面(下面)に形成し、第2光散乱層50bを光散乱部材形成部32の上ケース90側に対向する面(上面)に形成しても良い。また第1,第2光散乱層50a,50bの両者を光散乱部材形成部32のゴム状弾性板40側に対向する面(下面)に形成してもよい。なお光散乱層50を第1光散乱層50aのみで構成しても良い。
ところで上記実施形態においては、光散乱部材を、連結部31を構成する合成樹脂フイルムの所定位置に設けた光散乱部材形成部32の表面に塗布される光散乱層50(50a,50b)によって構成したが、光散乱層50の代りに光散乱シートによって光散乱部材を構成してもよい。即ち連結部31を構成する合成樹脂フイルムの所定位置に設けた光散乱部材形成部32に、発光素子75から発射される光を散乱する光散乱シートを貼り付けてもよい。この光散乱シートは、例えば不透光性で白系(白色)の可撓性を有する円形の平板の一方の面に設けた接着材層を前記連結部31の光散乱部材形成部32のゴム状弾性板40側に対向する面(下面)に貼り付けられる。さらに例えば不透光性で黒系(黒色)の可撓性を有する円形の平板の一方の面に設けた接着材層を前記連結部31の光散乱部材形成部32の上ケース90側に対向する面(上面)に貼り付け、これら光散乱部材形成部32の上下面に貼り付けた二枚の光散乱シートによって光散乱部材を構成しても良い。このように構成すれば、前記第1,第2光散乱層50a,50bを有する光散乱層50と同様の効果が生じる。なお上記2枚の光散乱シートは、光散乱部材形成部32の上下面に貼り付ける以外に、光散乱部材形成部32の上下何れか一方の面に2枚とも貼り付けても良く、また例えば不透光性で白系(白色)の光散乱シートのみを一方の面に貼り付けても良い。
即ちこの実施形態には、可撓性を有し且つ透光性を有するゴム状弾性板40上に透光性を有するキートップ20−1〜17を取り付けてなるキートップ板10と、前記キートップ板10の上面側に設置される上ケース90と、キートップ板10の下面側に設置されキートップ板10を照光する発光素子75と、キートップ板10の下面側に設置され各キートップ20−1〜17によって押圧されるスイッチ73と、を具備する照光型スイッチ機構1−1において、キートップ20−1〜6間及びキートップ20−7〜15間を連結部31によって連結すると共に、連結部31に発光素子75の上に位置して発光素子75から発射される光を散乱する光散乱部材である光散乱層50又は光散乱シートを設けた構成が開示されている。またこの実施形態には、光散乱層50又は光散乱シートが不透光性であり且つ発光素子75の上を覆う形状の部材で形成されている構成が開示されている。またこの実施形態には、上ケース90が透光性を有する材料で構成され、且つゴム状弾性板40の上下面は発光素子75から発射される光を通して上ケース90に向かわせる光透過面40a,40bとなっている構成が開示されている。またこの実施形態には、キートップ20−1〜15が合成樹脂フイルム25に合成樹脂からなるキートップ本体33を取り付けて構成されており、且つ連結部31がキートップ20−1〜15を構成する合成樹脂フイルム25と一体の合成樹脂フイルムによって構成されている構成が開示されている。またこの実施形態には、合成樹脂フイルム25は透光性を有し、且つ光散乱部材が連結部31を構成する合成樹脂フイルムである光散乱部材形成部32の表面に形成される光散乱層50で構成されているか、或いは連結部31を構成する合成樹脂フイルムである光散乱部材形成部32に取り付けられる光散乱シートで構成されていることが開示されている。またこの実施形態には、光散乱部材である光散乱層50又は光散乱シートの発光素子75側を向く面の色彩と、上ケース90側を向く面の色彩とを異ならせ、且つ光散乱部材である光散乱層50又は光散乱シートの上ケース90側を向く面の色彩を、光散乱部材である光散乱層50又は光散乱シートの発光素子75側を向く面の色彩よりも、より多く光を吸収する色彩とした構成が開示されている。
なおこの実施形態においては、上ケース90を透光性を有する部材で構成することで、キートップ20−1〜17を含む上ケース90全体を照光するように構成したが、上ケース90を不透光性の部材で構成することで、キートップ20−1〜17のみを照光するように構成しても良い。この場合でもキートップ20−1〜17の各部をそれぞれ光ムラなく均一に照光できる。
図8は本発明に用いることができる他の構造のキートップの例を示す概略断面図である。即ち本発明に用いることができるキートップは、図8(a)に示すように透光性を有する合成樹脂フイルム25Aの上面に透光性を有する合成樹脂製のキートップ本体33Aを取り付けてなるキートップ20Aでも良いし、図8(b)に示すように彎曲部27Bを設けた透光性を有する合成樹脂フイルム25B−1の前記彎曲部27Bと合成樹脂フイルム25B−1の下面側に設置される透光性を有する合成樹脂フイルム25B−2との間に形成される空隙内に透光性を有する合成樹脂からなるキートップ本体33Bを取り付けてなる構造のキートップ20Bでも良い。キートップ20Aの場合は合成樹脂フイルム25Aの下面に所望の装飾層35Aを印刷等によって形成しているが、それ以外の部分に装飾層を形成しても良く、またキートップ20Bの場合は合成樹脂フイルム25B−1の上面に装飾層35Bを印刷等によって形成しているが、それ以外の部分に装飾層を形成しても良い。また本発明はこれら以外の構造のキートップにも適用できる。
〔第2実施形態〕
図9は本発明の第2実施形態にかかる照光型スイッチ機構1−2に用いるキートップ板10−2の分解斜視図である。同図に示すキートップ板10−2において、前記第1実施形態にかかるキートップ板10と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項(キートップ板10及びそれ以外の全ての部材を含む)については、前記第1実施形態と同じである。
この照光型スイッチ機構1−2において第1実施形態と相違する点は、キートップ板10の部分のみである。即ちこの実施形態のキートップ板10−2においても、ゴム状弾性板40上に複数のキートップ20(20−1〜17)を取り付けて構成されているが、この実施形態においては各連結部31に光散乱部材形成部32を設けず、その代りに第1実施形態で設けた光散乱部材形成部32に対向するゴム状弾性板40の上面(上ケース90側の面)に発光素子75から発射される光を散乱する光散乱部材(以下この実施形態では「光散乱層」という)50−2を設けている。光散乱層50−2の構造は第1実施形態の光散乱層50の構造と同一である。即ちこの実施形態においても第1実施形態と同様な材質及び手法にて光散乱層50−2として第1,第2光散乱層50a,50b(図10参照)を積層した構造となっている。もちろん光散乱層50−2を第1光散乱層50aのみで構成しても良い。また光散乱層50−2の代りに光散乱シートを貼り付けても良いことも第1実施形態と同様である。これら光散乱層50−2や光散乱シートはゴム状弾性板40の下面側(発光素子75側)に設けても良い。ゴム状弾性板40の上下面は発光素子75から発射される光を通して上ケース90に向かわせる光透過面40a,40bとなっている。
図10は以上のように構成されたキートップ板10を用いた照光型スイッチ機構1−2の要部概略断面図(図2と同一部分の断面図)である。同図に示すようにこの実施形態においては発光素子75の上部にこれを覆うように光散乱層50−2が設置されている。そして発光素子75(通常全ての発光素子75)を発光すると、各発光素子75から発射された光はゴム状弾性板40を通って上ケース90及びキートップ20−1〜17側に向かうが、発光素子75の略真上方向に向けて照射された光は発光素子75の上に設置されている光散乱層50−2を通過できずにこの光散乱層50−2によって反射され、その周囲に散乱される。つまり発光素子75から発射される光の内でその真上方向に発射される光が最も強い光なので、光散乱層50−2が設けられていないと、半透明な上ケース90及び各キートップ20−1〜17の前記各発光素子75が接近している部分のみが明るく照光され、その照光状態に光ムラが生じてしまう。そこでこの実施形態では各発光素子75の上部に光散乱層50−2を設け、これによって最も強い光がそのまま上ケース90側に向かわないようにし、この光を光散乱層50−2を設けた周囲の部分に拡散させ、これによって上ケース90及び各キートップ20−1〜17全体をムラなく均一に照光させるようにしたのである。このときの第1,第2光散乱層50a,50bによる効果も第1実施形態と同じである。
即ちこの実施形態には、可撓性を有し且つ透光性を有するゴム状弾性板40上に透光性を有するキートップ20−1〜17を取り付けてなるキートップ板10−2と、キートップ板10−2の上面側に設置される上ケース90と、キートップ板10−2の下面側に設置されキートップ板10−2を照光する発光素子75と、キートップ板10−2の下面側に設置され前記各キートップ20−1〜17によって押圧されるスイッチ73と、を具備する照光型スイッチ機構1−2において、ゴム状弾性板40の発光素子75の上の位置に、発光素子75から発射される光を散乱する不透光性の光散乱部材である光散乱層50−2又は光散乱シートを設けた構成が開示されている。またこの実施形態には、上ケース90が透光性を有する材料で構成され、且つゴム状弾性板40の上下面が発光素子75から発射される光を通して上ケース90に向かわせる光透過面40a,40bとなっている構成が開示されている。またこの実施形態には、光散乱部材である光散乱層50−2又は光散乱シートの、発光素子75側を向く面の色彩と、上ケース90側を向く面の色彩とを異ならせ、且つ光散乱部材である光散乱層50−2又は光散乱シートの上ケース90側を向く面の色彩を、光散乱部材である光散乱層50−2又は光散乱シートの発光素子75側を向く面の色彩よりも、より多く光を吸収する色彩とした構成が開示されている。
なおこの実施形態の場合、各キートップ20−1〜15を連結部31で連結せず、各キートップ20−1〜15を独立させた状態でゴム状弾性板40に取り付けても良い。その場合、各キートップ20−1〜15を合成樹脂フイルム25を用いずに、キートップ本体33のみで構成しても良い。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記各実施形態では、連結部31を合成樹脂フイルムで構成したが、この連結部31を成形された合成樹脂によって構成しても良い。この場合、各キートップ20−1〜15も成形された合成樹脂、即ちキートップ本体33部分のみで構成すれば、キートップ連結体30−1,30−2を合成樹脂フイルムを用いない成形による合成樹脂のみによってそれぞれ一体に構成できる。また上記各実施形態ではキートップ本体33を成形金型内に注入する溶融成形樹脂で作成したが、その代りに、例えば光硬化性樹脂を、成形金型を伴なわずに、合成樹脂フイルム25の彎曲部27内にポッティングし、これに光を照射して硬化させることで成形する等、他の種々の方法でキートップ本体33を製造しても良い。
また例えば光散乱部材(光散乱層50,50−2又は光散乱シート)や光散乱部材形成部32の形状は種々の変形が可能である。また上記実施形態では光散乱部材(光散乱層50,50−2又は光散乱シート)として不透光性の部材を用いたが、発光素子75から発射される光を散乱させることができる部材であれば、ある程度透光性を有していても良い。また例えばキートップ20の形状や構造、キートップ板10へのキートップ20の配列状態、ゴム状弾性板40や上ケース90や下ケース100の形状や構造、発光素子75の配置位置、スイッチ73の構造等も種々の変更が可能である。またフレキシブルスイッチ基板70の代りに、硬質基板を用いて構成されるスイッチ基板を用いても良い。