JP2007044689A - 木質バイオマスを用いたメタンガスの生産方法及びその方法を利用して電気を造り出す方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】木質バイオマスからメタンガスを生産し、得られたメタンガスから発電機を介して電気を作り出す方法を提供する。
【解決手段】細片化された木質バイオマスに、少なくともメタン産生菌群を含有する物質を添加する。サイロ内を真空ポンプにより減圧することにより、サイロ内を積極的に嫌気性環境化とする。この状態でメタンガスを生成する。少なくともメタン産生菌群の棲息地域から採取した泥水を、窒素エアーパージし、所定時間経過後に泥と分離して得られた上澄み水を使用することが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】細片化された木質バイオマスに、少なくともメタン産生菌群を含有する物質を添加する。サイロ内を真空ポンプにより減圧することにより、サイロ内を積極的に嫌気性環境化とする。この状態でメタンガスを生成する。少なくともメタン産生菌群の棲息地域から採取した泥水を、窒素エアーパージし、所定時間経過後に泥と分離して得られた上澄み水を使用することが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、細片化された木質バイオマスに少なくともメタン産生菌群を含有する物質を添加し、嫌気性環境下での培養によりメタンガスを生産する方法と、この方法を利用して電気を造り出す方法に関するものである。
リグノセルロースは地球上で最も多量に存在する有機物であり、構造性多糖のセルロース及びヘミセルロース、芳香族化合物の重合体のリグニンから構成される。なかでも、木質系の廃棄物質は燃やすと高温になるので、廃棄物処分業者にも引き取りをいやがられる存在であり、単に堆肥化するのも加熱を要したりして厄介である。成形物に混ぜたり、熱分解したりして利用する場合もあるが、熱を加えない処理に関しては現状ではシロアリの利用が可能かどうかについて研究がなされている程度で、再利用できないようなものは焼却処分するか、放置するしかないのが現状である。
一方、メタン醗酵やバイオガス製造の原料として(リグノセルロース系資源として畜産糞尿を含めた)種々の廃棄有機物が使用されているにもかかわらず、また、樹木等の成長が多量のリグノセルロース系資源としての廃棄物を生じるにもかかわらず、切り取ったままの樹木の枝など家畜の胃腸管を通ったことのないリグノセルロース系資源は、地球上で最も多量に存在する有機物の一形態でありながら、メタン醗酵又はバイオ生産の原料としてこれまで利用されることが少なかった。さらに、これまで生ゴミ等を用いたバイオガスの製造はメタンの発生量がそれほどでもなかった。
そこで、大量の原料が存在しているにもかかわらず、これまではメタンガスを発生させるための原料としては不適とされてきた樹木の枝など、家畜の胃腸管を通ったことのないリグニンの結合しているセルロース質を含んでいる材料又は廃物を、メタンガスを発生させるための原料として用いてメタンガスを製造することができれば、極めて価値があると言える。
ところで、有機物から生じ得るメタンガスは無制御状態で大気中に放出されると、二酸化炭素の約20倍もの温室効果を持つ温室効果ガスとして環境に悪影響を及ぼす。一方、タンク内でこれを廃棄物の処理工程として大気中に漏れ出ることがないように発生させれば、廃棄物の部分的処理と有用メタンガス生産の両方を一挙に実現出来るはずである。
メタンガスの有用性は、燃料としてエネルギー源になり得ること、燃料電池で使用する改質反応や直接分解により水素を製造するための原料になり得ること、または直接バイオガス利用のリン酸型燃料電池に利用され得ること等にある。
微生物作用によりメタン醗酵で有機物がメタンに変換されることは周知であり、消化ガスやバイオガス(メタンや二酸化炭素等の混合ガス)と呼ばれる廃棄物処理への応用も盛んになって来た。
このような背景のもとに、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、細片化された木質バイオマスを用いたメタンガスの生産方法に関する技術開発に成功した(特許文献1)。
さらに、これに関連する別の技術を新たに開発した(例えば、特願2004−278972号、平成16年 9月27日出願、および、特願2004−318336号、平成16年11月 1日出願)。
本発明者によるこれらの技術は、いずれも細片化された木質バイオマスに少なくともメタン産生菌群を含有する物質を添加し、嫌気性環境下での培養によりメタンガスを生産する方法に関するものであるが、これらの場合の嫌気性環境は全て窒素エアーパージ方式により構築されている。
この窒素エアーパージ方式とは、細片化された木質バイオマスと少なくともメタン産生菌群を含有する物質が入っているサイロ内でメタンを発生させるに当って、サイロ内に窒素ガスを注入して等圧下で木質バイオマスに含まれている気体の含有量を減らす方式である。
この窒素エアーパージ方式とは、細片化された木質バイオマスと少なくともメタン産生菌群を含有する物質が入っているサイロ内でメタンを発生させるに当って、サイロ内に窒素ガスを注入して等圧下で木質バイオマスに含まれている気体の含有量を減らす方式である。
この方式によってもサイロ内を容易に嫌気性環境下とすることができるが、本発明者はその効率をさらに高めることができないかについて、さらに鋭意研究を重ねた。その結果、サイロ内を減圧することによって、窒素エアーパージによる場合よりもメタン発生効率が向上することに気付き、本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明においては、細片化された木質バイオマスに、少なくともメタン産生菌群を含有する物質を添加し、サイロ内を減圧することによる嫌気性環境下において培養し、メタンガスを生成する。
この方法によれば、サイロ内を減圧することによって木質バイオマスに含まれている気体の排出を促すことができる。その結果、メタンの発生量が増加し、メタン発生効率が向上する。
この方法によれば、サイロ内を減圧することによって木質バイオマスに含まれている気体の排出を促すことができる。その結果、メタンの発生量が増加し、メタン発生効率が向上する。
サイロ内を負圧状態として行うことが望ましい。この場合には、木質バイオマスに含まれている気体を速やかに排出することができる。
真空ポンプにより嫌気性環境を構築することが望ましい。この場合には、木質バイオマスに含まれている気体を極めて簡単に排出することができる。
細片化された木質バイオマスとは、植物体の一部をなしていた木質系部分を含む材料であって、家畜等の動物の消化管を通ったことがなく、かつ、工業的に食品または飼料とするために加工又は分解工程を受けたことがなく、かつ、食品又は食品原料として不適である、リグニンの結合しているセルロース質を含んでいる材料を用いる場合においては、その材料を粉砕して細かいチップの集合体とし、このチップの集合体を、湿り気を与えながら好気的条件下で、チップの形状をそのまま保持した状態で、少なくとも腐朽菌の付着により部分的に腐朽の開始が認められるまでの一定期間堆積されたものである。このような木質バイオマスを用いれば、原料コストがかからず、かつ入手しやすいリグノセルロース系資源を用いてメタンガスを効率良く、しかも大量に生成することができる。
メタン産生菌群を含有する物質として、泥土又はヘドロを使用することが好ましい。この場合には、原料コストがかからず、かつ入手しやすい泥土又はヘドロを用いてメタンガスを効率良く、しかも大量に生成することができる。
泥土又はヘドロとして、水素生成菌とメタン産生菌の両方の棲息に適していてこれらの菌を含んでいるものを使用するか、あるいは、水をはったレンコン畑の中の泥土又はヘドロ、生活排水や温泉浴場の排水等によりある程度有機物を含む河川の水のよどんだ所の底にある泥土又はヘドロ、及び有機物を多く含んでいる湖沼の底の泥土又はヘドロからなる群から選択される泥土又はヘドロを使用することが好ましい。この場合にも、原料コストがかからず、かつ入手しやすい泥土又はヘドロを用いてメタンガスを効率良く、しかも大量に生成することができる。
メタン産生菌群を含有する物質として、少なくともメタン産生菌群の棲息地域から採取した泥水を、窒素エアーパージし、所定時間経過後に泥と分離して得られた上澄み水を使用することが好ましい。この場合にも、原料コストがかからないで得ることができた上澄み水を用いてメタンガスを効率良く、しかも大量に生成することができる。
サイロ内が2〜2.5気圧程度になるまで吸引減圧すると良い。この場合には、木質バイオマスに含まれている気体の排気をより促すことができるので、メタン発生量がさらに増加し、メタン発生効率、特に日数の短縮化を図ることができることが分った。
そして、上記いずれかの方法により生産されたメタンガスでエンジンを始動させ、発電機を介して電気を起こすことができる。この場合には、二酸化炭素を排出しないバイオマスエネルギーを利用して容易に電気を造り出すことができる。
請求項1記載の方法によれば、木質バイオマスに含まれている気体の排出を促すことができるので、メタンの発生量が増加し、メタン発生効率が向上するという効果がある。
請求項2記載の方法によれば、木質バイオマスに含まれている気体を速やかに排出することができるという効果がある。
請求項3記載の方法によれば、木質バイオマスに含まれている気体を極めて簡単に排出することができるという効果がある。
請求項4記載の方法によれば、原料コストがかからず、かつ入手しやすいリグノセルロース系資源を用いてメタンガスを効率良く、しかも大量に生成することができるという効果がある。
請求項5又は6記載の方法によれば、原料コストがかからず、かつ入手しやすい泥土又はヘドロを用いてメタンガスを効率良く、しかも大量に生成することができるという効果がある。
請求項7記載の方法によれば、原料コストがかからないで得ることができた上澄み水を用いてメタンガスを効率良く、しかも大量に生成することができる効果がある。
請求項8記載の方法によれば、メタン発生量がさらに増加し、メタン発生効率、特に日数の短縮化を図ることができる効果がある。
請求項9記載の方法によれば、二酸化炭素を排出しないバイオマスエネルギーを利用して容易に電気を造り出すことができるという効果がある。
本発明による木質バイオマスを用いたメタンガスの生産方法及びその方法を利用して電気を造り出す方法について、その一例を詳細に説明する。ただし、以下に示す例はあくまでも一例を示すものであって、それらに限定されるということではない。
(1) 木質バイオマス原料の選定
同一出願人に係る先の出願(特開2004−243188号)において、木質バイオマス原料として、針葉樹と広葉樹の両方のもの、そして、針葉樹と広葉樹の両方のものを全て含んでいる廃樹木、切り枝、及び葉(通常の庭木の剪定で生じる割合)や、杉の葉と幹、落葉樹、落ち葉、檜の葉と幹、松の葉と幹などを用いると良いことが実証されている。そして、それらを粉砕機で粉砕して8mmの目の篩を通る寸法の粉砕物(チップ)にする(細片化)。一度での粉砕(細片化)が困難な場合には、一旦粗い粉砕物にしてから再び細かく粉砕すれば良い。
同一出願人に係る先の出願(特開2004−243188号)において、木質バイオマス原料として、針葉樹と広葉樹の両方のもの、そして、針葉樹と広葉樹の両方のものを全て含んでいる廃樹木、切り枝、及び葉(通常の庭木の剪定で生じる割合)や、杉の葉と幹、落葉樹、落ち葉、檜の葉と幹、松の葉と幹などを用いると良いことが実証されている。そして、それらを粉砕機で粉砕して8mmの目の篩を通る寸法の粉砕物(チップ)にする(細片化)。一度での粉砕(細片化)が困難な場合には、一旦粗い粉砕物にしてから再び細かく粉砕すれば良い。
(2) 木質バイオマス原料の部分的腐朽化処理
同一出願人に係る先の出願(特開2004−243188号)において、上記粉砕物チップ(細片化された木質バイオマス)を堆積させ、2日に1回の間隔で湿り気を与えながら、20日〜1ケ月保つと良いことが実証されている。内部温度が約50〜60℃となること、及び、内部で好気性従属栄養最近(主に白色腐朽菌及び糸状腐朽菌)が自然に(1週間程度で)付着し始めることを目視確認している。酸素を供給した場合には、上記の好気性菌の活性化により好気性菌のより早い付着が認められることも確認している。大規模生産において、この腐朽菌処理工程は時々水をかけるだけであって、屋外の堆積で良く、比較的場所を選ばないから、20日〜1ケ月という期間はプロセスの能率を悪化させることにはならない。
同一出願人に係る先の出願(特開2004−243188号)において、上記粉砕物チップ(細片化された木質バイオマス)を堆積させ、2日に1回の間隔で湿り気を与えながら、20日〜1ケ月保つと良いことが実証されている。内部温度が約50〜60℃となること、及び、内部で好気性従属栄養最近(主に白色腐朽菌及び糸状腐朽菌)が自然に(1週間程度で)付着し始めることを目視確認している。酸素を供給した場合には、上記の好気性菌の活性化により好気性菌のより早い付着が認められることも確認している。大規模生産において、この腐朽菌処理工程は時々水をかけるだけであって、屋外の堆積で良く、比較的場所を選ばないから、20日〜1ケ月という期間はプロセスの能率を悪化させることにはならない。
(3) 泥土の選定
また、同一出願人に係る先の出願(特開2004−243188号)では、前記ステップ(2)、すなわち、木質バイオマス原料の部分的腐朽化処理工程で得られた部分的に腐朽化が進行している腐朽菌の付着したままの木質材粉砕物腐朽化チップ(以下、粉砕物腐朽化チップ又は木質材粉砕物腐朽化チップと称する)1kgを、10リットルの容器に入れ、粉砕物腐朽化チップの重量に対し50重量%の水を加え、さらに、粉砕物腐朽化チップ重量に対し30重量%〜50重量%の種々の泥土を加え、それぞれの試料についてメタンガスの発生量を調べることを試みた。その結果、泥土成分としては、レンコン畑の泥土が最も適しており、その次に、濁川下流の泥土が適していることが実証されている。そして、この度の実験でも、メタンガスの発生のために使用し得る泥土成分のうち、最も成績の良かったレンコン畑の泥土を泥土成分として使用する。
また、同一出願人に係る先の出願(特開2004−243188号)では、前記ステップ(2)、すなわち、木質バイオマス原料の部分的腐朽化処理工程で得られた部分的に腐朽化が進行している腐朽菌の付着したままの木質材粉砕物腐朽化チップ(以下、粉砕物腐朽化チップ又は木質材粉砕物腐朽化チップと称する)1kgを、10リットルの容器に入れ、粉砕物腐朽化チップの重量に対し50重量%の水を加え、さらに、粉砕物腐朽化チップ重量に対し30重量%〜50重量%の種々の泥土を加え、それぞれの試料についてメタンガスの発生量を調べることを試みた。その結果、泥土成分としては、レンコン畑の泥土が最も適しており、その次に、濁川下流の泥土が適していることが実証されている。そして、この度の実験でも、メタンガスの発生のために使用し得る泥土成分のうち、最も成績の良かったレンコン畑の泥土を泥土成分として使用する。
(4) 泥土の純粋寒天培養
同一出願人に係る先の出願(特願2004−318336号、平成16年11月 1日出願)では、上記粉砕物腐朽化チップに泥土又はヘドロ(以下、単に泥土と称する)を加える前に、その泥土を純粋寒天培養した。本発明においても、この純粋寒天培養方式を採用した。泥土を純粋寒天培養するに当っては、その泥土を寒天培養床で一定の温度、例えば、35℃程度を保ち、一週間程度培養するのが良い。その場合における泥土の量は、寒天培養床2kgに対し500g〜1kg程度とするのが良い。泥土又はヘドロを純粋寒天培養することにより、微生物群を増殖させることができる。
同一出願人に係る先の出願(特願2004−318336号、平成16年11月 1日出願)では、上記粉砕物腐朽化チップに泥土又はヘドロ(以下、単に泥土と称する)を加える前に、その泥土を純粋寒天培養した。本発明においても、この純粋寒天培養方式を採用した。泥土を純粋寒天培養するに当っては、その泥土を寒天培養床で一定の温度、例えば、35℃程度を保ち、一週間程度培養するのが良い。その場合における泥土の量は、寒天培養床2kgに対し500g〜1kg程度とするのが良い。泥土又はヘドロを純粋寒天培養することにより、微生物群を増殖させることができる。
(5) 獣肉の脂身である生肉の添加
純粋寒天培養された寒天に、少なくとも牛、豚、鶏その他各種の獣肉の脂身である生肉を添加する。添加量は好ましくは100g程度である。純粋寒天培養された寒天に獣肉の脂身である生肉を添加した後、一定の温度、例えば、35℃程度を保ち、さらに一週間程度培養するのが良い。純粋寒天培養された寒天への生肉の添加とその後の培養により、微生物群をさらに増殖させることができる。牛、豚、鶏その他各種の獣肉の脂身を煮詰めてゼラチン状にしたもの(肉汁)を添加しても良い。
純粋寒天培養された寒天に、少なくとも牛、豚、鶏その他各種の獣肉の脂身である生肉を添加する。添加量は好ましくは100g程度である。純粋寒天培養された寒天に獣肉の脂身である生肉を添加した後、一定の温度、例えば、35℃程度を保ち、さらに一週間程度培養するのが良い。純粋寒天培養された寒天への生肉の添加とその後の培養により、微生物群をさらに増殖させることができる。牛、豚、鶏その他各種の獣肉の脂身を煮詰めてゼラチン状にしたもの(肉汁)を添加しても良い。
(6) 泥土又はヘドロを純粋寒天培養して微生物群を増殖させ、それを用いて先にメタンガスを生成した後の残渣の回収
10kgの粉砕物腐朽化チップを200リットルのサイロに入れ、粉砕物腐朽化チップの重量に対し50重量%の水を加え、さらに、泥土又はヘドロを純粋寒天培養し、それに獣肉の脂身である生肉を添加した後一週間程度培養した寒天を粉砕物腐朽化チップ重量に対し50重量%加えた。そして、ロータリー式の真空ポンプでサイロ内の気体を吸収して排除し、サイロ内を例えばマイナス5気圧程度の負圧状態とする。すると、前記サイロ内でメタンガスを発生させることができ、その際、木質バイオマスに含まれている気体の排出を促すことができるので、メタン発生量が増加し、メタン発生効率が向上する。前記サイロ内の温度は35℃に保つ。その際に発生する残渣から半固形分と液状分とを分離し、そのうちの少なくとも液状分を回収し、それを爾後のメタンガスの生成に再利用する。前記半固形分は、堆肥・客土製造時の添加剤として利用できる。
10kgの粉砕物腐朽化チップを200リットルのサイロに入れ、粉砕物腐朽化チップの重量に対し50重量%の水を加え、さらに、泥土又はヘドロを純粋寒天培養し、それに獣肉の脂身である生肉を添加した後一週間程度培養した寒天を粉砕物腐朽化チップ重量に対し50重量%加えた。そして、ロータリー式の真空ポンプでサイロ内の気体を吸収して排除し、サイロ内を例えばマイナス5気圧程度の負圧状態とする。すると、前記サイロ内でメタンガスを発生させることができ、その際、木質バイオマスに含まれている気体の排出を促すことができるので、メタン発生量が増加し、メタン発生効率が向上する。前記サイロ内の温度は35℃に保つ。その際に発生する残渣から半固形分と液状分とを分離し、そのうちの少なくとも液状分を回収し、それを爾後のメタンガスの生成に再利用する。前記半固形分は、堆肥・客土製造時の添加剤として利用できる。
(7) 回収した残渣の培養
メタンガスを生成した後の残渣をそのまま用いてその中に含まれている微生物群を活性剤としてメタンガスを発生させてもよいが、回収された液状の残渣5kgを種菌床として培養器に移し、この培養器に100gの獣肉の脂身と5kgの井戸水(軟水)を投入し、再利用までの間1週間微生物群をさらに増殖させる。この場合には、残渣から分離した液体に含まれる微生物群を培養器でさらに増殖させることができ、この残渣を使用することによりメタンガスの発生をさらに促進させることができる。
メタンガスを生成した後の残渣をそのまま用いてその中に含まれている微生物群を活性剤としてメタンガスを発生させてもよいが、回収された液状の残渣5kgを種菌床として培養器に移し、この培養器に100gの獣肉の脂身と5kgの井戸水(軟水)を投入し、再利用までの間1週間微生物群をさらに増殖させる。この場合には、残渣から分離した液体に含まれる微生物群を培養器でさらに増殖させることができ、この残渣を使用することによりメタンガスの発生をさらに促進させることができる。
(8) メタンガス発生
前記ステップ(6)において泥土又はヘドロを純粋寒天培養し、それに獣肉の脂身である生肉を添加後一週間程度培養した寒天を用いたのに代えて、前記ステップ(7)により培養された残渣を用い、上述した場合と同じ要領でメタンガスを発生させる。その際、前記サイロ内はマイナス5気圧の状態にあるが、その中の温度を35℃に保ち、以降14日後、30日後、42日後、61日後、68日後のメタンガスの発生量を測定した。メタンガスの測定は、JIS K 2301ガスクロマトグラフィー(TCD)法に基づいて行った。なお、水道水は殺菌作用がある可能性があるから、ここで使用する水は井戸水(軟水)を使用した。
前記ステップ(6)において泥土又はヘドロを純粋寒天培養し、それに獣肉の脂身である生肉を添加後一週間程度培養した寒天を用いたのに代えて、前記ステップ(7)により培養された残渣を用い、上述した場合と同じ要領でメタンガスを発生させる。その際、前記サイロ内はマイナス5気圧の状態にあるが、その中の温度を35℃に保ち、以降14日後、30日後、42日後、61日後、68日後のメタンガスの発生量を測定した。メタンガスの測定は、JIS K 2301ガスクロマトグラフィー(TCD)法に基づいて行った。なお、水道水は殺菌作用がある可能性があるから、ここで使用する水は井戸水(軟水)を使用した。
(9) メタンガスの採集
前記サイロへの仕込み後、複数回にわたって100リットルのタンクにメタンガスを収納し、その値を測定した。
前記サイロへの仕込み後、複数回にわたって100リットルのタンクにメタンガスを収納し、その値を測定した。
(実施例1)
前記ステップ(1)〜(9)の工程により生成したメタンガスの採取量を、表1に容量%で示す。また、それをグラフに表わすと、図1のようになる。実施例1では、ロータリー式の真空ポンプによりサイロ内をマイナス5気圧程度の負圧状態とする積極的嫌気法(真空ポンプによる負圧状態での積極的嫌気法)を採用してメタンガスを生成する。
前記ステップ(1)〜(9)の工程により生成したメタンガスの採取量を、表1に容量%で示す。また、それをグラフに表わすと、図1のようになる。実施例1では、ロータリー式の真空ポンプによりサイロ内をマイナス5気圧程度の負圧状態とする積極的嫌気法(真空ポンプによる負圧状態での積極的嫌気法)を採用してメタンガスを生成する。
(比較例1)
これに対して、比較例1では、サイロ内に窒素ガスを注入して等圧下でメタンガスを生成する(窒素エアーパージ方式)。その場合のメタンガスの採取量を表2に示す。
これに対して、比較例1では、サイロ内に窒素ガスを注入して等圧下でメタンガスを生成する(窒素エアーパージ方式)。その場合のメタンガスの採取量を表2に示す。
表1、表2から明らかなように、従来の窒素エアーパージ方式であれば、最高59.2容量%のメタンしか生成することができなかったのに対し、実施例1の場合(真空ポンプによる負圧状態での積極的嫌気法)には、最高66.0容量%のメタンを生成することができ、従来の場合に比べてメタンガスの発生量が増加することが実証された。
また、養生期間を見てみると、従来の窒素エアーパージ方式の場合には70日を要して59.2容量%であるのに対し、実施例1の場合(真空ポンプによる負圧状態での積極的嫌気法)には、42日で66.0容量%であり、メタン生成の時間短縮と濃度上昇を確認することができた。
真空ポンプによる負圧状態での積極的嫌気法を採用すると、なぜメタンガスの発生量が増加し、また、メタン生成の時間短縮と濃度上昇が認められるかについて考察すると、真空ポンプによりサイロ内の空間が積極的に減圧され、木質バイオマス原料(木質チップ)内に混入している気体や水分内の気泡等の上昇速度が強制的に上がり、気体の排出を促して木質バイオマス原料(木質チップ)内を強制的に嫌気的環境とすることができるからであると思われる。従って、メタン生成のコストも削減できる。そして、気体の排出終了後も混在気体の圧力とサイロ空間部分の圧力差により、メタンガスが大気圧以上になるまで混在気体が継続的に空間部分に排出されることになる。なお、サイロ内の圧力は減圧後約7日でプラスになった。
また、真空ポンプによる負圧状態での積極的嫌気法を採用すると、サイロ内を従来の場合よりも速やかに嫌気的環境にすることができるため、水素菌群やメタン産生菌群の活動も活発になり、その増殖速度も早くなる。そして、それに伴って木質バイオマスの解体速度(木質バイオマスの解体については、後述する)も進むため、有機肥料客土の生産を目的として木質バイオマスを分解する場合でも十分採算性の取れる木質分解であるということができる。
一方、木質バイオマスは上述したようにセルロース、ヘミセルロース、リグニンからなっており、それぞれの成分はセルロース45%、ヘミセルロース30%、リグニン25%であるが、それぞれの場合における仕込み前と仕込んでから70日後の重量%を測定すると、表3のようになる。
表3の数値と木質バイオマスの成分量から、セルロースとヘミセルロースの解体率を計算すると、以下のようになる。これに対して、リグニンは解体されずに残渣として残ることがわかる。ここに、解体率は次式によって計算することができる。
上記式(1)に従うと、セルロースの解体率は、100−100(16.2÷45)=64%、ヘミセルロースの解体率は、100−100(9.38÷30)=68%ということになる。
次に、細片化された木質バイオマス原料(木質チップ)と前記ステップ(7)により培養された残渣とを仕込み、上述した場合と同じ要領でメタンを発生させ、その量を測定した。また、木質チップに代えて米糠、籾殻についても同じ要領でメタンを発生させ、その量を測定した。その結果を図2にグラフとして示す。木質チップ(本発明)の場合のメタン採取量は、仕込みから47日後で10,000ccであり、大量のメタンを生産することができることが実証された。ちなみに、米糠の場合のメタン採取量は、木質チップ(本発明)の場合と同じ日数で14,000cc、籾殻の場合のメタン採取量は、木質チップ(本発明)の場合と同じ日数で15,000ccであった。
一方、前記ステップ(7)により培養された残渣が木質を栄養源としてメタンガスを発生させるに至っているかどうかを調べるため、以下の実験を試みた。
まず、1kgの細片化された木質バイオマス原料(木質チップ)を1週間水没させた後好気性の白色腐朽菌により2次解体させた。その重量を測定すると、表4の上段に示す数値であった。次に、それを105℃で24時間乾燥させた。乾燥後の重量を測定すると、表4の下段に示す数値になった。ちなみに、籾殻と米糠についても、同じ要領で乾燥前の重量と乾燥後の重量を測定した。それぞれの結果を表4に合わせて示す。
まず、1kgの細片化された木質バイオマス原料(木質チップ)を1週間水没させた後好気性の白色腐朽菌により2次解体させた。その重量を測定すると、表4の上段に示す数値であった。次に、それを105℃で24時間乾燥させた。乾燥後の重量を測定すると、表4の下段に示す数値になった。ちなみに、籾殻と米糠についても、同じ要領で乾燥前の重量と乾燥後の重量を測定した。それぞれの結果を表4に合わせて示す。
次に、1kgの細片化された木質バイオマス原料(木質チップ)に前記ステップ(7)により培養された残渣を仕込み、仕込みから49日後にガスを採取し、ガス採取後に取り出した残渣の重量を測定すると、表5の上段に示す数値であった。次に、それを105℃で24時間乾燥させた。乾燥後の重量を測定すると、表5の下段に示す数値になった。ちなみに、籾殻と米糠についても、同じ要領で乾燥前の重量と乾燥後の重量を測定した。それぞれの結果を表5に合わせて示す。
表4における木質チップの乾燥後の重量(266.43g)に対し、表5における木質チップの乾燥後の重量は215.87gであり、その差(266.43−215.87=50.56g)が分解され、ガス化された重量であるということになる。この実験結果に鑑みれば、前記ステップ(7)により培養された残渣に含まれている水素菌群やメタン産生菌群が、細片化された木質バイオマス原料(木質チップ)を分解し、ガスを発生させていることがわかる。
前記ステップ(6)において泥土又はヘドロを純粋寒天培養し、水中土壌より分離した菌数すなわち仕込み前の菌数は、2.6×105(CFU/ml)であった。また、ガス採取後の菌数は、1.46×109(CFU/ml)であった。なお、いずれの場合も次の方法で試験した。すなわち、供試品を滅菌精製水を用いて10倍希釈系列を作製した後、普通寒天培地、キッコンキー寒天培地およびポテトデキストロース寒天培地に接種し、普通寒天培地とキッコンキー寒天培地は35℃、48時間培養した。ポテトデキストロース寒天培地は25℃にて培養した。培養後、培地上に形成されたコロニーをカウントし、生菌数を算出した。
また、仕込みから68日後にバイオマスガスを分析したところ、表6に示すような結果が得られた。表6から明らかなように、少なくともメタンを含む混合ガスを発生させ得ることがわかる。なお、この測定は、JIS K 2301ガスクロマトグラフィー(TCD)法に基づいて行った。
これに対して、従来の窒素エアーパージ方式により生成されたバイオマスガスの分析結果を表7に示す。表6と表7におけるメタンの生成量を比べれば、真空ポンプによる負圧状態での積極的嫌気法によりメタンを生成する方が、従来の窒素エアーパージ方式の場合よりもメタン発生効率が向上していることがわかる。
(実施例2)
一方、実施例1の場合においては、粉砕物腐朽化チップに泥土を加える前に、その泥土を純粋寒天培養したが、実施例2ではコスト低減を図るべくこの純粋寒天培養工程を省略し、少なくともメタン産生菌群の棲息地域から採取した泥水を、窒素エアーパージし、4時間程度経過後に泥と分離して得られた上澄み水を使用する方法を採用した。すなわち、このようにして得られた10リットルの上澄み水に、以下A、B、C、D、A1、A2、A3で示す培養材料を加え、4〜6日ほど培養して各種培養液を得る。
一方、実施例1の場合においては、粉砕物腐朽化チップに泥土を加える前に、その泥土を純粋寒天培養したが、実施例2ではコスト低減を図るべくこの純粋寒天培養工程を省略し、少なくともメタン産生菌群の棲息地域から採取した泥水を、窒素エアーパージし、4時間程度経過後に泥と分離して得られた上澄み水を使用する方法を採用した。すなわち、このようにして得られた10リットルの上澄み水に、以下A、B、C、D、A1、A2、A3で示す培養材料を加え、4〜6日ほど培養して各種培養液を得る。
ここに、
A・・・肉汁100g
B・・・獣糞50g+肉汁50g
C・・・獣糞100g
D・・・腐葉土100g
A1・・・肉汁100g
A2・・・獣糞50g+肉汁50g
A3・・・腐葉土50g
A・・・肉汁100g
B・・・獣糞50g+肉汁50g
C・・・獣糞100g
D・・・腐葉土100g
A1・・・肉汁100g
A2・・・獣糞50g+肉汁50g
A3・・・腐葉土50g
得られた7種類の培養液1kgと前記粉砕物腐朽化チップ1kgとを10リットルのサイロに入れる。そして、ロータリー式の真空ポンプでサイロ内の気体を吸収して排除し、サイロ内を例えば2〜2.5程度とする。すると、前記サイロ内でメタンガスを発生させることができる。培養材料A、B、Cを用いた場合については、サイロ内を20℃以下に保ち、培養材料D、A1、A2、A3を用いた場合については、サイロ内を35℃に保つ。このようにして得られたメタンガスの発生量(単位:ml)を、表8に示す。
表8からも分かるように、相当量のメタンガスが発生している。ただし、培養材料A、Bを用いた場合においては、サイロ内の温度が20℃以下で、加温不足気味であることがうかがえる。これに対し、培養材料Cを用いた場合においては、サイロ内の温度が20℃以下であっても、十分のメタンガスを得ることができる。培養材料D、A1、A2、A3を用いた場合についても、十分のメタンガスを得ることができる。
このように、原料コストがかからないで得ることができた上澄み水を用いてメタンガスを効率良く、しかも大量に生成することができる。
このように、原料コストがかからないで得ることができた上澄み水を用いてメタンガスを効率良く、しかも大量に生成することができる。
なお、獣糞については、鶏、豚、牛、馬その他の畜糞が存在するが、それらの中では食した繊維層がそのまま残っており、酢酸等の悪臭が少なく、しかも、実験においては最良の数値を得られる馬糞が最適である。
また、実施例2の場合において、メタンガスを発生させるに当って、サイロ内が2〜2.5気圧程度になるまで吸引減圧してみた。サイロ内の気圧が2〜2.5気圧程度を保つように吸引減圧すると、4週間で約70,000ccのメタンガスを発生させることができた。これに対して、サイロ内にガスが溜まったら不定期に吸引した実施例1の場合には、図2にも示すように、47日後で約100,000ccであった。このように、常にサイロ内を2〜2.5気圧程度を保つように吸引減圧することで、木質バイオマスに含まれている気体の排気をより促すことができるので、メタン発生量がさらに増加し、メタン発生効率、特に日数の短縮化を図ることができることが分った。
実施例2の場合においても、実施例1の場合と同様に、木質バイオマスのそれぞれの成分(セルロース、ヘミセルロース、リグニン)の仕込み前と仕込んでから45日後の重量を測定してみた。その結果を表9に示す。
表9の数値と木質バイオマスの成分量から、セルロースとヘミセルロースの解体率を計算すると、以下のようになる。これに対して、リグニンは解体されずに残渣として残ることがわかる。なお、解体率は次式(2)によって計算することができる。
上記式(2)に従うと、セルロースの解体率は、100−100(23.2÷27.5)=15.6%、ヘミセルロースの解体率は、100−100(18.10÷26.42)=31.5%ということになる。
次に、実施例2において使用した培養液の残渣が木質を栄養源としてメタンガスを発生させるに至っているかどうかを調べるため、実施例1の場合と同様に、以下の実験を試みた。
まず、1kgの細片化された木質バイオマス原料(木質チップ)を1週間水没させた後好気性の白色腐朽菌により2次解体させた。その重量を測定すると、表10の上段に示す数値であった。次に、それを105℃で24時間乾燥させた。乾燥後の重量を測定すると、表10の下段に示す数値になった。
まず、1kgの細片化された木質バイオマス原料(木質チップ)を1週間水没させた後好気性の白色腐朽菌により2次解体させた。その重量を測定すると、表10の上段に示す数値であった。次に、それを105℃で24時間乾燥させた。乾燥後の重量を測定すると、表10の下段に示す数値になった。
次に、1kgの細片化された木質バイオマス原料(木質チップ)の仕込みから45日後にガスを採取し、ガス採取後に取り出した重量を測定すると、表11の上段に示す数値であった。次に、それを105℃で24時間乾燥させた。乾燥後の重量を測定すると、表11の下段に示す数値になった。
表10における木質チップの乾燥後の重量(48.77g)に対し、表11における木質チップの乾燥後の重量は73.88gであり、その差(73.88−48.77=25.11g)が分解され、ガス化された重量であるということになる。この実験結果に鑑みれば、実施例2において用いられた上澄み水が、細片化された木質バイオマス原料(木質チップ)を分解し、ガスを発生させていることがわかる。
一方、上述した要領でバイオマスガスであるメタンガスを生成し、このメタンガスで改良型天然ガス用エンジン(ホンダ製)を始動させ、発電機を介して電気を起こすことを試みた。その結果、少なくとも発電量3.3kw/hの電気を起こすことができることが実証された。かくして、二酸化炭素を排出しないバイオマスエネルギーを利用して容易に電気を造り出すことができる。
このように、本発明においては、真空ポンプによりサイロ内をマイナス5気圧程度の負圧状態とする積極的嫌気法(真空ポンプによる負圧状態での積極的嫌気法)を採用してメタンガスを生成することにより、従来の窒素エアーパージ方式による場合(サイロ内に窒素ガスを注入して等圧下でメタンガスを生成する場合)に比べて、メタン発生効率を向上させることができる。
また、少なくともメタン産生菌群の棲息地域から採取した泥水を、窒素エアーパージし、所定時間経過後に泥と分離して得られた上澄み水を使用すると、原料コストがかからないで得ることができた上澄み水を用いてメタンガスを効率良く、しかも大量に生成することができる。
さらに、サイロ内が2〜2.5気圧程度になるまで吸引減圧すると、木質バイオマスに含まれている気体の排気をより促すことができるので、メタン発生量がさらに増加し、メタン発生効率、特に日数の短縮化を図ることができることが分った。
また、本発明においては、二酸化炭素を排出しないバイオマスエネルギーを利用して容易に電気を造り出すことができる。
上述した例では、木質バイオマス原料から少なくともメタンガスを含む混合ガスを生成する場合を示したが、鶏、豚、牛、馬その他の畜糞や畜尿を利用してメタンガスを生成する場合にも適用することができる。この場合においても、真空ポンプによりサイロ内をマイナス5気圧程度の負圧状態とする積極的嫌気法(真空ポンプによる負圧状態での積極的嫌気法)を採用することにより、従来の窒素エアーパージ方式による場合(サイロ内に窒素ガスを注入して等圧下でメタンガスを生成する場合)に比べて、メタン発生効率を向上させることができる。
なお、前記泥土(促進剤)の量を変えても、メタン発生量が変わらないことは、同一出願人に係る先の出願(特開2004−243188号)において既に実証されており、本発明の場合にも適用され得る。すなわち、泥土は必要十分量が供給された状態でその量が変化しても、メタン生成量の変化に大きく関係してこない。このことは、泥土がメタンの原料としてよりも、ある範囲の量でメタン発生を促進するように作用していると考えられる。例えば、微生物の供給に寄与するものとの考え方が成り立つと思われる。
Claims (9)
- 細片化された木質バイオマスに、少なくともメタン産生菌群を含有する物質を添加し、サイロ内を減圧することによる嫌気性環境下において培養し、メタンガスを生成することを特徴とする、木質バイオマスを用いたメタンガスの生産方法。
- サイロ内を負圧状態として実施されることを特徴とする、請求項1記載の木質バイオマスを用いたメタンガスの生産方法。
- 真空ポンプにより嫌気性環境を構築することを特徴とする、請求項1又は2記載の木質バイオマスを用いたメタンガスの生産方法。
- 細片化された木質バイオマスが、植物体の一部をなしていた木質系部分を含む材料であって、家畜等の動物の消化管を通ったことがなく、かつ、工業的に食品または飼料とするために加工又は分解工程を受けたことがなく、かつ、食品又は食品原料として不適である、リグニンの結合しているセルロース質を含んでいる材料を用いる場合においては、その材料を粉砕して細かいチップの集合体とし、このチップの集合体を、湿り気を与えながら好気的条件下で、チップの形状をそのまま保持した状態で、少なくとも腐朽菌の付着により部分的に腐朽の開始が認められるまでの一定期間堆積されたものである、請求項1記載の木質バイオマスを用いたメタンガスの生産方法。
- メタン産生菌群を含有する物質として、泥土又はヘドロを使用する、請求項1記載の木質バイオマスを用いたメタンガスの生産方法。
- 泥土又はヘドロとして、水素生成菌とメタン産生菌の両方の棲息に適していてこれらの菌を含んでいるものを使用するか、あるいは、水をはったレンコン畑の中の泥土又はヘドロ、生活排水や温泉浴場の排水等によりある程度有機物を含む河川の水のよどんだ所の底にある泥土又はヘドロ、及び有機物を多く含んでいる湖沼の底の泥土又はヘドロからなる群から選択される泥土又はヘドロを使用することを特徴とする、請求項5記載の木質バイオマスを用いたメタンガスの生産方法。
- メタン産生菌群を含有する物質として、少なくともメタン産生菌群の棲息地域から採取した泥水を、窒素エアーパージし、所定時間経過後に泥と分離して得られた上澄み水を使用する、請求項1記載の木質バイオマスを用いたメタンガスの生産方法。
- サイロ内が2〜2.5気圧程度になるまで吸引減圧圧することを特徴とする、請求項1記載の木質バイオマスを用いたメタンガスの生産方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の方法により生産されたメタンガスでエンジンを始動させ、発電機を介して電気を起こすことを特徴とする、メタンガスの生産方法を利用して電気を造り出す方法。
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