JP2007044624A - シミュレーション方法およびそのコンピュータプログラム - Google Patents

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康博 富
Masaaki Ando
雅明 安藤
Gyorin O
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大新 王
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Abstract

【課題】計算過程が簡単で必要とする係数が少なく、より複雑な混合系をシミュレートすることが可能で、適切なナノ濾過プロセス設計及び運転方案を立てるためのシミュレーション方法およびそのコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】混合塩水溶液を原液としナノ濾過膜を用いたナノ濾過プロセスにおける混合塩の透過率又は阻止率を算出するシミュレーション方法であって、予め単成分系のナノ濾過プロセスにおける各塩成分の透過率の濃度依存性を求めておき、この濃度依存性から前記混合塩水溶液の総濃度における各塩成分の透過率を求め、この各塩成分の透過率に補正係数又は1を乗じると共に構成イオンの当量濃度分率を各々乗じてこれを総和することで混合塩の透過率を算出するステップを含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、混合塩水溶液を原液とするナノ膜を用いたナノ濾過プロセスにおいて、混合塩のトータルの透過イオン濃度(透過率又は阻止率)を予測すること、および混合塩水溶液中にある各イオン種の透過濃度(透過率又は阻止率)を算出することを目的とするシミュレーション方法並びにそのコンピュータプログラムに関する。本発明を用いることにより、ナノ濾過プロセスを設計する際に、パイロット実験を行わなくて、簡単に透過水質を予測することが可能であり、実証テストによらざるを得ない現状を変えることができる。
従来より、逆浸透膜のなかで、塩の阻止率は低いが、水透過流束が大きい種類の膜が市販されている。この種の膜はルーズ逆浸透膜と呼ばれていたが、適用範囲が広がることで、現在はナノ濾過膜(NF膜)という新たな分類がされている。最近のIUPACの定義によると、ナノ濾過膜(NF)とは「2nmより小さい程度の粒子や高分子が阻止される圧力駆動の膜分離プロセスを行う膜」とされている。
一般にはNF膜とは、UF膜とRO膜の中間の細孔径をもつ(細孔径1〜2nm,分画分子量200−1000)ことに加えて、膜素材表面に荷電を持つ膜を指している。すなわちNF膜では細孔による分離(サイズ分離)と膜表面の荷電による静電気的な分離効果が組み合わされて、その膜固有の阻止性能、透過性能を示す。
現在、NF透過モデルについては完全に確立されていないのが現状である。2成分系についていくつかの透過モデルを提案されているが、シミュレーションと実験結果との偏差が大きく、計算式が複雑で実用化には適用できない。特に実水溶液に近い状態のミックスイオンについての透過モデルの研究は見当たらない。
下記の非特許文献1において、セレナ・バンジニらは、ドナー立体細孔、誘電排除モデルを提案し、電解質及び中性溶質をナノ膜の透過メカニズムを説明した。イオンの透過メカニズムはイオン拡散、エレクトロマイグレーション(Electromigration)を含む拡張したNernst−Plank式で説明した。膜表面におけるイオンは、立体障害、ドナー平衡、誘電排除に依存する。モデルには積分モデルと微分モデルがあった。モデル計算と実験結果と比較して、NaClとNaSOの混合系では、NaイオンとClイオンの阻止率は誤差が大きかった。
また、非特許文献2において、ジーザス・ガルシア−アルマンらは、拡張したNernst−Plank式と修正したPoisson−Boltzmann式と流体力学計算を考慮した二次元モデルをシミュレートした。このモデルは、孔径、純水透過係数、表面電荷密度、有効膜厚対含水量の比、4つの膜構造に関連する係数を与えた。このモデルを用いてNaClとNaSO混合系をシミュレートしたが、Clイオンの透過性については、NaSOの濃度を増すにつれて、実験結果と計算結果は誤差が大きくなった。また、Naイオンの計算結果もMgClの濃度を増すにつれて実験値から外れた。このモデルは二成分系より複雑な混合系には適用できない。
非特許文献3においてアハマッドらは、拡張したSpiegler−Kedemモデルを用いて、溶質間の相互作用を考慮した一次元透過モデルを提案した。このモデルは純水透過係数、溶質反射係数、溶質透過係数と物質移動係数を引用した。二成分系のCuCl−NaCl系における計算モデルと実験結果は、比較的一致したが、このモデルには用いる係数は多く、大量な実験データを必要とするので、より複雑な混合系に適用することは困難である。
上記の三つの透過モデルは、最近提案された混合系ナノ透過機構における各種イオンの阻止率を計算するモデルであるが、研究は2成分系に留まり、計算は複雑で、シミュレーション結果と実験結果は差が大きい。このため、より複雑な混合系に適用するのが難しい。
S.Bandini and D.Vezzani, " Nanofiltration modeling: the role of dielectric exclusion in membrane characterization", Chemical Engineering Science, 2003(58)3303−3326 J. Garcia−Aleman, J.Dickson and A. Mika, " Experimental analysis, modeling, and theoretical design of McMaster pore−filled nanofiltration membranes", Journal of Membrane Science, 2004(240)273−255 A.L.Ahmad, M.F.Chong and S.Bhatia," Mathematical modeling and simulation of the multiple solutes for nanofiltration process", Journal of Membrane Science, 2005(253)103−115
そこで、本発明の目的は、計算過程が簡単で必要とする係数が少なく、より複雑な混合系をシミュレートすることが可能で、適切なナノ濾過プロセス設計及び運転方案を立てるためのシミュレーション方法およびそのコンピュータプログラムを提供することにある。
本発明者らは、混合塩水溶液を原液とするナノ濾過膜を用いたナノ濾過プロセスにおいて、混合液における見かけ総透過率(本発明において「見かけ透過率」を「透過率」と略す場合がある)は、各塩成分のモル当量見かけ透過率の線形性に従うというモデルを立案し、このモデルと実験結果が良く一致することを確認して、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のシミュレーション方法は、混合塩水溶液を原液としナノ濾過膜を用いたナノ濾過プロセスにおける混合塩の透過率又は阻止率を算出するシミュレーション方法であって、
予め単成分系のナノ濾過プロセスにおける各塩成分の透過率の濃度依存性を求めておき、この濃度依存性から前記混合塩水溶液の総濃度における各塩成分の透過率を求め、この各塩成分の透過率に補正係数又は1を乗じると共に構成イオンの当量濃度分率を各々乗じてこれを総和することで混合塩の透過率を算出するステップを含むことを特徴とする。
本発明のシミュレーション方法によると、実験的には各塩成分の透過率の濃度依存性を求めておくだけでよく、必要に応じて補正係数を1種使用するのみで計算が可能であり、計算も四則演算を行うのみであるため、計算過程が簡単で必要とする係数が少ない。また、各塩成分のモル当量当たりの透過率の線形性によって、より複雑な混合系をシミュレートすることが可能であり、適切なナノ濾過プロセス設計及び運転方案を立てるため技術として有用である。
このとき、下記の数式1によって前記混合塩の透過率Trobs,totalを算出することが好ましい。
Figure 2007044624
ここで、nは原液中のカチオン種の数で、mはアニオン種の数である。χCiはカチオンのモル当量濃度分率で、原液中のある種カチオンモル当量濃度対総カチオンモル当量濃度の比であり、χAjはアニオンのモル当量濃度分率で、原液中のある種アニオンモル当量濃度対総アニオンモル当量濃度の比である。Trobs,CiAjは各塩成分の透過率である。
Φは膜電荷性を表す係数で、透過率調節係数と定義される。Φは多価カチオンCaとMgの濃度及び膜種類に関係し、混合塩がCa及びMgを含まない場合のΦ値は1である。Ca及びMgの少なくとも一方を含む場合、Φ値は下記の数式2で計算する。
Figure 2007044624
ここで、aCaはカルシウムイオンの活量係数、aMgはマグネシウムイオンの活量係数であり、χb,Caはカルシウムイオンのモル当量濃度分率、χb,Mgはマグネシウムイオンのモル当量濃度分率であり、cb,totalは原液の総塩のモル当量濃度である。
上記の数式1によって前記混合塩の透過率を求めることで、多価カチオンによる影響を補正係数として好適に反映させることができる。
また、本発明は、前記混合塩水溶液の特定のイオン成分の透過率を更に求めるものであり、更に、各イオン成分の組合せに関する透過率の比である相対透過係数βを予め求めておき、下記数式3又は数式4により、前記混合塩水溶液の特定のアニオン又は特定のカチオンの透過率を算出するステップを含むことが好ましい。
Figure 2007044624
Figure 2007044624
ここで各βは各イオンの相対透過係数であり、塩素イオン又はナトリウムイオンを基準とする場合、下記の数式5により求められる。
Figure 2007044624
ここでTrAjはj種アニオンの透過率、TrClは塩素イオンの透過率を示し、βAjは塩素イオンの透過率に対するj種アニオンの相対透過係数を示す。TrCiはi種カチオンの透過率、TrNaはナトリウムイオンの透過率を示し、βCiはナトリウムイオンの透過率に対するi種カチオンの相対透過係数を示す。
このステップによると、前記ステップで求めた混合塩の透過率を利用して、前記特定のイオン成分に対する他の各イオン成分の相対透過係数βと他の各イオン成分のモル当量濃度分率の積を総和したもので除することにより、簡単に特定のアニオン又は特定のカチオンの透過率を算出することができる。この相対透過係数βは、各イオン成分に応じた2成分混合系の透過実験を行うことにより、容易に算出することができる。
一方、本発明のコンピュータプログラムは、上記のステップをコンピュータで実行するためのコンピュータプログラムである。このように本発明のシミュレーション方法は、プログラム化することが可能であり、計算過程が簡単で必要とする係数が少なく、より複雑な混合系をシミュレートすることが可能で、適切なナノ濾過プロセス設計及び運転方案を立てるためのコンピュータプログラムとなる。具体的には、次の通りである。
即ち、混合塩水溶液を原液としナノ濾過膜を用いたナノ濾過プロセスにおける混合塩の透過率又は阻止率を算出するコンピュータプログラムであって、予め単成分系のナノ濾過プロセスにおける各塩成分の透過率の濃度依存性を求めたデータを読み出し、この濃度依存性から前記混合塩水溶液の総濃度における各塩成分の透過率を求め、この各塩成分の透過率に補正係数又は1を乗じると共に構成イオンの当量濃度分率を各々乗じてこれを総和することで混合塩の透過率を算出するステップを含むコンピュータプログラムである。
上記において、下記の数式6によって前記混合塩の透過率Trobs,totalを算出するものであることが好ましい。
Figure 2007044624
ここで、nは原液中のカチオン種の数で、mはアニオン種の数である。χCiはカチオンのモル当量濃度分率で、原液中のある種カチオンモル当量濃度対総カチオンモル当量濃度の比であり、χAjはアニオンのモル当量濃度分率で、原液中のある種アニオンモル当量濃度対総アニオンモル当量濃度の比である。Trobs,CiAjは各塩成分の透過率である。
Φは膜電荷性を表す係数で、透過率調節係数と定義される。Φは多価カチオンCaとMgの濃度及び膜種類に関係し、混合塩がCa及びMgを含まない場合のΦ値は1である。Ca及びMgの少なくとも一方を含む場合、Φ値は下記の数式7で計算する。
Figure 2007044624
ここで、aCaはカルシウムイオンの活量係数、aMgはマグネシウムイオンの活量係数であり、χb,Caはカルシウムイオンのモル当量濃度分率、χb,Mgはマグネシウムイオンのモル当量濃度分率であり、cb,totalは原液の総塩のモル当量濃度である。
また、前記混合塩水溶液の特定のイオン成分の透過率を更に求めるものであり、更に各イオン成分の組合せに関する透過率の比である相対透過係数βを予め求めたデータを読み出し、下記数式8又は数式9により、前記混合塩水溶液の特定のアニオン又は特定のカチオンの透過率を算出するステップを含むことが好ましい。
Figure 2007044624
Figure 2007044624
ここで各βは各イオンの相対透過係数であり、塩素イオン又はナトリウムイオンを基準とする場合、下記の数式10により求められる。
Figure 2007044624
ここでTrAjはj種アニオンの透過率、TrClは塩素イオンの透過率を示し、βAjは塩素イオンの透過率に対するj種アニオンの相対透過係数を示す。TrCiはi種カチオンの透過率、TrNaはナトリウムイオンの透過率を示し、βCiはナトリウムイオンの透過率に対するi種カチオンの相対透過係数を示す。
本発明は、混合塩水溶液を原液としナノ濾過膜を用いたナノ濾過プロセスにおける混合塩の透過率又は阻止率を算出するものである。ナノ濾過膜(NF膜)は、UF膜とRO膜の中間の細孔径をもつ(細孔径1〜2nm,分画分子量200−1000)ことに加えて、膜素材表面に荷電を持つ膜を指す。すなわちNF膜では細孔による分離(サイズ分離)と膜表面の荷電による静電気的な分離効果が組み合わされて、その膜固有の阻止性能、透過性能を示すものであるが、本発明では静電気的な分離効果が組み合わされていなくても適用可能である。
原液となる混合塩水溶液としては、後述の実施例で示すような塩類の複数を含有する水溶液が挙げられるが、塩の種類は特に限定されない。混合塩水溶液が多価カチオン(例:Mg2+、Ca2+など)を含有する場合、膜表面へ吸着現象によって、ナノ膜の電荷性質を変化するため、有効固定電荷密度が減少するが、本発明では、多価カチオンによる影響を補正係数として好適に反映させることができるため、多価カチオンを含有する場合でも適用できる。
ナノ濾過プロセスの運転条件は、実際のシステムを前提とした一般的な設定が可能である。これに合わせて単成分系の透過実験などを行うのが好ましいが、一般に実際のシステムは定流量運転であるため、単成分系の透過実験の設計フラックスは1m・m−2・day−1である。しかし、設計フラックスは0.8以上であれば、透過率は透過水量に依存しないと考えることができる。
本発明では、計算に先立ち、単成分系の透過実験や2成分混合系の透過実験が必要となる場合がある。
本発明では、予め単成分系のナノ濾過プロセスにおける各塩成分の透過率の濃度依存性を求めておくが、単成分系の透過実験や既知のデータを利用することができる。各塩成分の透過率の濃度依存性は、混合塩水溶液に含有される各カチオンと各アニオンとの全ての組合せの塩について求める。このため、不足分については、単成分系の透過実験を行う。各塩成分の透過率の濃度依存性は、その透過実験などの条件が、想定するナノ濾過プロセスに近いほど好ましい。
また本発明では、各イオン成分の組合せに関する透過率の比である相対透過係数βを予め求めておくことにより、混合塩水溶液の特定のアニオン又は特定のカチオンの透過率を算出することができる。この場合、全てのアニオンの組合せ及び全てのカチオンの組合せによる相対透過係数βを予め求めておく。
この相対透過係数βは、既知のデータを利用することも可能であるが、各イオン成分に応じた2成分混合系の透過実験を行うことにより、容易に算出することができる。例えば、NaFとNaClの2成分混合系の透過実験を行うことによりβF/Clを容易に算出することができる。
以下に、本発明のシミュレーション方法における計算とその理論的根拠を示す。
逆浸透、ナノ濾過、限界濾過及び精密濾過における液体膜分離プロセスには、通常膜の分離性能は、下記の数式11に示すように、見かけ阻止率で現す。
Figure 2007044624
ここでは、Cp及びCbは、それぞれ原液及び透過液中の溶質の濃度である。数式11を直接見かけ透過率で表すことができる。
Figure 2007044624
混合塩水溶液(混合系電解質)を原液とするナノ濾過では、混合塩(総電解質)の見かけ透過率は、下記の数式13のように定義される。
Figure 2007044624
ここで、Cp,total及びCb,totalは、それぞれ原液及び透過液中の総電解質モル当量濃度(meq)である。ここでは、ナノ濾過膜の電荷性質は膜素材及び溶液中の電荷濃度に依存する。混合系処理液の水質は変わらなければ、膜表面の固定電荷密度も変化せず、混合液の組成に依存しないと考える。よって、混合液における見かけ総透過率は、各組成電解質のモル当量見かけ透過率の線形性に従う。このため、下記の数式14によって、混合塩の見かけ総透過率を計算することができる。
Figure 2007044624
ここで、各変数は、数式1で定義した通りである。このため、カチオンのモル当量濃度分率χCiの総和と、アニオンのモル当量濃度分率χAjの総和は、数式15のように1となる。
Figure 2007044624
Φは膜電荷性を表す係数で、透過率調節係数と定義される。多価カチオン(例:Mg2+、Ca2+など)が存在しない時、Φ=1である。多価カチオンを存在する時、膜表面へ吸着現象によって、ナノ膜の電荷性質を変化するため、有効固定電荷密度が減少する。
ここまでは、混合塩のトータルの見かけ透過率を求めることができる。混合塩水溶液の特定のアニオン又は特定のカチオンの透過率を算出するためには、更なる解析が必要である。
まず、電荷中性の原則に従うため、総電解質モル当量濃度、総カチオンモル当量濃度及び総アニオンモル当量濃度は等しいので、下記の数式16が成立する。
Figure 2007044624
ここで、Trobs,cation及びTrobs,anionはそれぞれ総カチオン見かけ透過率及び総アニオン見かけ透過率を表す。総アニオン見かけ透過率Trobs,anionは、下記の数式17のような等式の変形により、各アニオンの見かけ透過率とモル当量濃度との積の総和で表すことができる。
Figure 2007044624
同様に等式の変形を行うと、総カチオン見かけ透過率Trobs,cationは、下記の数式18のように、各カチオンの見かけ透過率とモル当量濃度との積の総和で表すことができる。
Figure 2007044624
数式16及び17から、下記の数式19のような等式の変形により、各アニオン種の見かけ透過率を得ることができる。
Figure 2007044624
同様に、数式16及び18から等式の変形により、下記の数式20のように、各カチオン種の見かけ透過率を得ることができる。
Figure 2007044624
以上のような本発明のシミュレーション方法は、計算が簡易なため手動で計算することも可能であるが、コンピュータプログラムを用いる方法がより有利である。
即ち、本発明のコンピュータプログラムは、混合塩水溶液を原液としナノ濾過膜を用いたナノ濾過プロセスにおける混合塩の透過率又は阻止率を算出するものである。
このプログラムでは、予め単成分系のナノ濾過プロセスにおける各塩成分の透過率の濃度依存性を求めたデータを読み出し、この濃度依存性から前記混合塩水溶液の総濃度における各塩成分の透過率を求める。
具体的には、各塩成分の透過率と濃度の関係をテーブル化又は関数化などしておき、混合塩水溶液の総濃度の入力によって、対応する各塩成分の透過率を求めることができる。
次いで、この各塩成分の透過率に補正係数又は1を乗じると共に構成イオンの当量濃度分率を各々乗じてこれを総和することで混合塩の透過率を算出する。
この計算は、数式6によって行うのが好ましく、各変数が直接入力または読み出される。積の二次元の総和は、例えばi=1〜nの総和サブルーチンと、j=1〜mの総和サブルーチンとによって容易に計算することができる。
本発明のコンピュータプログラムは、混合塩水溶液の特定のイオン成分の透過率を更に求めることができる。その場合、更に各イオン成分の組合せに関する透過率の比である相対透過係数βを予め求めたデータを読み出し、数式8又は数式9により、前記混合塩水溶液の特定のアニオン又は特定のカチオンの透過率を算出するステップを含む。
データの読み出しは、カチオン種またはアニオン種の入力によって、カチオン種のうちの2種の全ての組合せによる相対透過係数βと、アニオン種のうちの2種の全ての組合せによる相対透過係数βとについて行う。各々の相対透過係数βは、その値が予め記憶されていてもよいが、各アニオン種ごとの透過率データを記憶しておき、これを利用して計算した値を読み出してもよい。
数式8又は数式9により、前記混合塩水溶液の特定のアニオン又は特定のカチオンの透過率を算出する際には、全てのカチオン種とアニオン種とについて算出してもよい。その場合、各々のカチオン種とアニオン種の計算を繰り返すだけでよい。
本発明のプログラムにおいて、プログラムの言語やOSの種類、記録される媒体、処理手順を実行するハードウエアなどは、全く限定されない。また、市販のソフトウエアを利用(カスタマイズ等)して、本発明のプログラムを構成することも可能である。
以下では、本発明による方法を適用した具体的例を説明する。
(実施例1)
NaF、NaCl、NaNOとNaSOの混合系のシミュレーションを行う。各イオンの当量濃度は、[Na]=88mN、[F]=17mN、[Cl]=18mN、[NO ]=9mN、[SO 2−]=44mNである。用いたナノ膜は日東電工(株)製のESNA1膜である。総塩の透過率及び各イオンの透過率のシミュレーション方法を以下のように行った。
(1)総塩の当量濃度の計算
総塩の当量濃度を計算する。[総塩当量濃度]=88mNである。
(2)各イオンの透過率の計算
予め単成分系で求めた、図1(a)に示すグラフをデータ化したデータベースに基づいて、上記の総塩当量濃度に対応して、各単成分系(NaF、NaCl、NaNO、NaSO)の透過率を求める。NaF、NaCl、NaNO、NaSOの該濃度下の透過率は、それぞれ0.0869、0.162、0.219、0.0295である。
(3)各イオンのモル分率
各アニオン(F、Cl、NO 、SO 2−)の当量濃度分率はそれぞれ0.193、0.205、0.102、0.500である。これらの総和は1である。
(4)Φ値の決定
多価カチオンを原液に含まないため、(数式2)により、Φは1である。
(5)総塩の透過率の計算
(数式1)により求めた、総塩の透過率は0.0871である。これは実際行った実験結果である透過率0.0829とかりなり近い結果であった。
(6)β値の決定
単成分系と同じ実験条件で、NaF、NaCl、NaNO、NaSOのうちの2成分混合系で実験を行い、各イオンの相対透過係数βを求めてこれをデータベース化する。このデータベースにおいて、F、NO、SOの各イオンの相対的な透過率は、Clの透過率を1とするとき、それぞれ0.68、1.3、0.34であった。1、0.68、1.3、0.34のうちの2つの比率から、6種類の組合せのβ値を決定することが可能である。
(7)各イオンの透過率の計算
(数式3)及び(数式4)により求めた、各イオンの透過率TrNa、TrF、TrCl、TrNO、TrSOは、それぞれ0.081、0.0927、0.136、0.177、0.0464である。
シミュレーションの結果と実際行った実験結果(設計フラックスは1.03m・m−2・day−1)と比較する。計算結果と実験結果を図2に示す。この図が示すように、計算結果と実験結果とが高い精度で一致した。
(実施例2)
カチオンNa、Ca、とMg及びアニオンCl、NOとSOの混合系の透過実験を行う。各イオンの当量濃度は、[Na]=52mN、[Ca2+]=11mN、[Mg2+]=28mN、[Cl]=38mN、[NO ]=25mN、[SO 2−]=28mNである。用いたナノ膜は日東電工(株)製のESNA1膜である。総塩の透過率及び各イオンの透過率のシミュレーション方法を以下のように行った。
(1)総塩の当量濃度の計算
総塩の当量濃度を計算する。[総塩当量濃度]=91mNである。
(2)各イオンの透過率の計算
予め単成分系で求めた、図1(a)及び図1(b)に示すようなグラフをデータ化したデータベースに基づいて、上記の総塩当量濃度に対応して、各単成分系(NaCl、CaCl、MgCl、NaNO、Ca(NO、Mg(NO、NaSO、CaSO、MgSO)透過率が得られる。NaCl、CaCl、MgCl、NaNO、Ca(NO、Mg(NO、NaSO、CaSO、MgSO該濃度下の透過率は、それぞれ0.164、0.0993、0.0601、0.221、0.0942、0.0912、0.0296、0.0339、0.0339である。
(3)各イオンのモル分率
各カチオンのモル分率は、それぞれ0.576、0.118、0.306で、各アニオンのモル分率はそれぞれ0.415、0.271、0.314である。
(4)Φ値の決定
多価カチオンを原液に含むため、その当量濃度分率と活量係数から、(数式2)によりΦを決めると、Φ=1.21である。なお、予め求めた活量係数aCaは88、aMgは29である。
(5)総塩の透過率の計算
(数式1)により求めた総塩の透過率は0.123である。これは実際行った実験結果である透過率0.126とかりなり近い結果であった。
(6)β値の決定
単成分系と同じ実験条件で、2成分混合系の実験を行い、各イオンの相対透過係数βを求めてこれをデータベース化する。このデータベースにおいて、MgとCa及びNOとSOの各イオンの相対的な透過率は、NaとClの透過率を1とするとき、それぞれ0.34、0.43、1.3、0.34である。これらのうちの2つの比率から、3種類+3種類の組合せのβ値を決定することが可能である。
(7)各イオンの透過率の計算
(数式3)及び(数式4)により、各イオンの透過率TrNa、TrMg、TrCa、TrCl、TrNO、TrSOは、それぞれ0.169、0.0574、0.0726、0.141、0.183、0.0480である。
シミュレーションの結果と実際行った実験結果(設計フラックスは1.03m・m−2・day−1)と比較する。計算結果と実験結果を図3に示す。この図が示すように、計算結果と実験結果とが高い精度で一致した。
単成分系の透過実験における各成分のモル当量濃度と見掛け透過率との関係を示すグラフ 実施例1における実験結果とシミュレーション結果の比較を示すグラフ 実施例2における実験結果とシミュレーション結果の比較を示すグラフ

Claims (6)

  1. 混合塩水溶液を原液としナノ濾過膜を用いたナノ濾過プロセスにおける混合塩の透過率又は阻止率を算出するシミュレーション方法であって、
    予め単成分系のナノ濾過プロセスにおける各塩成分の透過率の濃度依存性を求めておき、この濃度依存性から前記混合塩水溶液の総濃度における各塩成分の透過率を求め、この各塩成分の透過率に補正係数又は1を乗じると共に構成イオンの当量濃度分率を各々乗じてこれを総和することで混合塩の透過率を算出するステップを含むシミュレーション方法。
  2. 下記の数式1によって前記混合塩の透過率Trobs,totalを算出するものである請求項1記載のシミュレーション方法。
    Figure 2007044624
    ここで、nは原液中のカチオン種の数で、mはアニオン種の数である。χCiはカチオンのモル当量濃度分率で、原液中のある種カチオンモル当量濃度対総カチオンモル当量濃度の比であり、χAjはアニオンのモル当量濃度分率で、原液中のある種アニオンモル当量濃度対総アニオンモル当量濃度の比である。Trobs,CiAjは各塩成分の透過率である。
    Φは膜電荷性を表す係数で、透過率調節係数と定義される。Φは多価カチオンCaとMgの濃度及び膜種類に関係し、混合塩がCa及びMgを含まない場合のΦ値は1である。Ca及びMgの少なくとも一方を含む場合、Φ値は下記の数式2で計算する。
    Figure 2007044624
    ここで、aCaはカルシウムイオンの活量係数、aMgはマグネシウムイオンの活量係数であり、χb,Caはカルシウムイオンのモル当量濃度分率、χb,Mgはマグネシウムイオンのモル当量濃度分率であり、cb,totalは原液の総塩のモル当量濃度である。
  3. 前記混合塩水溶液の特定のイオン成分の透過率を更に求めるものであり、
    更に各イオン成分の組合せに関する透過率の比である相対透過係数βを予め求めておき、
    下記数式3又は数式4により、前記混合塩水溶液の特定のアニオン又は特定のカチオンの透過率を算出するステップを含む請求項1又は2に記載のシミュレーション方法。
    Figure 2007044624
    Figure 2007044624
    ここで各βは各イオンの相対透過係数であり、塩素イオン又はナトリウムイオンを基準とする場合、下記の数式5により求められる。
    Figure 2007044624
    ここでTrAjはj種アニオンの透過率、TrClは塩素イオンの透過率を示し、βAjは塩素イオンの透過率に対するj種アニオンの相対透過係数を示す。TrCiはi種カチオンの透過率、TrNaはナトリウムイオンの透過率を示し、βCiはナトリウムイオンの透過率に対するi種カチオンの相対透過係数を示す。
  4. 混合塩水溶液を原液としナノ濾過膜を用いたナノ濾過プロセスにおける混合塩の透過率又は阻止率を算出するコンピュータプログラムであって、
    予め単成分系のナノ濾過プロセスにおける各塩成分の透過率の濃度依存性を求めたデータを読み出し、この濃度依存性から前記混合塩水溶液の総濃度における各塩成分の透過率を求め、この各塩成分の透過率に補正係数又は1を乗じると共に構成イオンの当量濃度分率を各々乗じてこれを総和することで混合塩の透過率を算出するステップを含むコンピュータプログラム。
  5. 下記の数式6によって前記混合塩の透過率Trobs,totalを算出するものである請求項4記載のコンピュータプログラム。
    Figure 2007044624
    ここで、nは原液中のカチオン種の数で、mはアニオン種の数である。χCiはカチオンのモル当量濃度分率で、原液中のある種カチオンモル当量濃度対総カチオンモル当量濃度の比であり、χAjはアニオンのモル当量濃度分率で、原液中のある種アニオンモル当量濃度対総アニオンモル当量濃度の比である。Trobs,CiAjは各塩成分の透過率である。
    Φは膜電荷性を表す係数で、透過率調節係数と定義される。Φは多価カチオンCaとMgの濃度及び膜種類に関係し、混合塩がCa及びMgを含まない場合のΦ値は1である。Ca及びMgの少なくとも一方を含む場合、Φ値は下記の数式7で計算する。
    Figure 2007044624
    ここで、aCaはカルシウムイオンの活量係数、aMgはマグネシウムイオンの活量係数であり、χb,Caはカルシウムイオンのモル当量濃度分率、χb,Mgはマグネシウムイオンのモル当量濃度分率であり、cb,totalは原液の総塩のモル当量濃度である。
  6. 前記混合塩水溶液の特定のイオン成分の透過率を更に求めるものであり、
    更に各イオン成分の組合せに関する透過率の比である相対透過係数βを予め求めたデータを読み出し、下記数式8又は数式9により、前記混合塩水溶液の特定のアニオン又は特定のカチオンの透過率を算出するステップを含む請求項4又は5に記載のコンピュータプログラム。
    Figure 2007044624
    Figure 2007044624
    ここで各βは各イオンの相対透過係数であり、塩素イオン又はナトリウムイオンを基準とする場合、下記の数式10により求められる。
    Figure 2007044624
    ここでTrAjはj種アニオンの透過率、TrClは塩素イオンの透過率を示し、βAjは塩素イオンの透過率に対するj種アニオンの相対透過係数を示す。TrCiはi種カチオンの透過率、TrNaはナトリウムイオンの透過率を示し、βCiはナトリウムイオンの透過率に対するi種カチオンの相対透過係数を示す。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016193421A (ja) * 2015-02-18 2016-11-17 エボニック デグサ ゲーエムベーハーEvonik Degussa GmbH 膜性能指標を考慮に入れた有機親和性ナノ濾過による、均一系触媒の反応混合物からの分離
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