JP2007043594A - 2周波共用アンテナ - Google Patents

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Abstract

【課題】アンテナの占有面積を増加せずに、アンテナ特性の広帯域化と、同軸ケーブルとのアンテナインピーダンスの整合を同時に実現する。
【解決手段】第1の共振周波数を有する第1ダイポールアンテナエレメントと、前記第1の共振周波数より高い第2の共振周波数を有する第2ダイポールアンテナエレメントを有する2周波共用アンテナで、第1及び第2のアンテナエレメント及び伝送線路と、所定の距離だけ離れた平行な面内に、アンテナの全長よりも僅かに短い帯状の金属薄膜で形成された無給電素子を、伝送線路およびアンテナエレメントの全部または一部と平行に配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、貼り付け型2周波共用アンテナに関する。
自動車の窓ガラスやオープンカーでの風の巻き込み防止用のデフレクタ等に貼り付けられるアンテナには、薄い銅板やプリント基板を用いてダイポールアンテナを平面状に変形した2周波共用アンテナが用いられる。このような2周波共用アンテナは、2つの平面状のダイポールアンテナで構成されるとともに、共通の伝送線路を平面回路のコプレーナ線路で構成して、同軸ケーブルとの間のインピーダンス整合回路かつバランとして機能させているため、アンテナ全体の平面化を図り、自動車のデフレクタや窓ガラスへの貼り付けを可能としているものである(例えば特許文献1参照)。
以下、図10を用いて従来技術の2周波共用アンテナについて説明する。図10には、2周波共用アンテナ1の平面図が示されている。板状の導電体2及び3が互いに組み合わされて2つのダイポールアンテナが構成される。導電体2は、アンテナエレメント7a、8aを有し、導電体3は、アンテナエレメント7b、8bを有する。エレメント7bはエレメント7aと組となって第1ダイポールアンテナエレメント7を構成し、エレメント8bはエレメント8aと組となって第2ダイポールアンテナエレメント8を構成する。
導電体2のアンテナエレメント7a及び8aはともに屈曲しており、アンテナエレメント7aはアンテナエレメント8aよりも長い。アンテナエレメント7a及びアンテナエレメント8aは一端でともに伝送線路9に接続される。伝送線路9はコプレーナストリップ10とコプレーナ線路11から構成され、コプレーナストリップ10はエレメント7a、8aとコプレーナ線路11とを接続し、コプレーナ線路11はコプレーナストリップ10と同軸ケーブル4とを接続する。コプレーナ線路11は、一対の導電板(接地板)から構成され、一対の導電板は後述する導電体3のコプレーナ線路11を跨ぐようにアースブリッジ12、13を有する。このアースブリッジ12、13は、アンテナ特性調整用GNDとして機能し、アンテナ特性の共振周波数や帯域幅の微調整用として機能する。また、一対の導電板のうちの図中下側の導電板は上側の導電板よりもコプレーナ線路11の線路方向に沿って長く形成され、アンテナ特性調整用のスタブとして機能する。コプレーナ線路11の一対の導電板は、同軸ケーブル4の外導体5に接続される。
一方、導電体3のアンテナエレメント7b及び8bもともに屈曲しており、エレメント7bはエレメント8bよりも長い。エレメント7b及びエレメント8bは一端でともに伝送線路9に接続される。伝送線路9はコプレーナストリップ10とコプレーナ線路11から構成され、コプレーナストリップ10はエレメント7b、8bとコプレーナ線路11とを接続し、コプレーナ線路11はコプレーナストリップ10と同軸ケーブル4とを接続する。導電体3の伝送線路9bと導電体2の伝送線路9aは互いに電気的に絶縁されており、導電体2の伝送線路9aにあるアースブリッジ12,13と導電体3の伝送線路9bとは電気的に絶縁される。導電体3の伝送線路9bは、同軸ケーブル4の内導体6に接続される。
図14には、図10に示された2周波共用アンテナの分解斜視図が示されている。デフレクタ14は自動車に設けられる風の巻き込み防止板である。デフレクタ14の代わりに、自動車の窓ガラスであってもよい。アンテナ保護シート16は接着材15を介してデフレクタ14に接着される。アンテナ保護シート16上に板状の導電体2が設けられ、アンテナ保護シート17を介して板状の導電体3が設けられる。導電体2と導電体3の位置関係は図1に示す通りであり、エレメント7aと7bが対向し、エレメント8aと8bが対向するように配置される。導電体3上にはアンテナ保護シート18を介してアンテナ全体を保護するカバー19が設けられる。上記のアンテナ保護シート16、17、18、導電体2、3は一体成形され、アンテナアセンブリ20を構成する。
上記の従来の2周波共用アンテナ1は、第1ダイポールアンテナエレメント7で波長λ1の第1共振周波数をカバーし、第2ダイポールアンテナエレメント8で波長λ2の第2共振周波数をカバーする。第1の共振周波数帯は例えば800MHz帯のAMPS帯とし、第2の共振周波数帯は例えば1900MHz帯のPCS帯とすることができる。
以下、第1共振周波数(低周波帯)で動作する場合と、第2共振周波数(高周波帯)で動作する場合に分けて動作を説明する。
図11には、低周波帯で動作する場合の2周波共用アンテナ1の構成が示されている。エレメント7aと7bから構成される第1ダイポールアンテナエレメント7の全長(すなわち、エレメント7aと7bの長さの和)L1は、第1共振周波数に対応する第1波長λ1の1/2に設定される。このとき、アンテナに流れる電流の一部はエレメント8a及び8bにも流れるが、エレメント8a、8bは低周波数帯でのアンテナ特性を調整するオープンスタブとして機能する。
伝送線路9の全長L2、すなわちコプレーナストリップ10の長さL3とコプレーナ線路11の長さL4の和は、第1波長λ1の1/4に設定される。具体的には、コプレーナストリップ10の長さL3は第1波長λ1の1/8に設定され、コプレーナ線路11の長さL4は第1波長λ1の1/8に設定される。伝送線路9の全長L2を第1波長λ1の1/4に設定することで、伝送線路9は第1ダイポールアンテナエレメント7のエレメント7a、7bと同軸ケーブル4との間のインピーダンスを整合するインピーダンス整合回路として機能する。
また、アースブリッジ13はアンテナ特性の調整用として機能し、アースブリッジ12からの距離L5を調整することでアンテナの共振周波数や帯域幅を微調整することができる。
図12には、高周波帯で動作する場合の2周波共用アンテナ1の構成が示されている。エレメント8aと8bから構成される第2ダイポールアンテナエレメント8の全長(すなわち、エレメント8aと8bの長さの和)L6は、第2共振周波数に対応する第2波長λ2の1/2に設定される。
伝送線路9を構成するコプレーナストリップ10の長さL7は第2波長λ2の1/4に設定され、エレメント8a、8bのインピーダンスをZ、コプレーナ線路11のインピーダンスをZinとすると、コプレーナストリップ10のインピーダンスが(Zin・Z0.5となるように設定することで、エレメント8a、8bとコプレーナ線路11とのインピーダンスを整合するインピーダンス整合回路として機能する。具体的には、基板の誘電率εrや厚さh、コプレーナストリップ10の幅W等を調整してインピーダンスを所望の値に設定する。
また、伝送線路9を構成するコプレーナ線路11の長さL8は第2波長λ2の1/4に設定され、同軸ケーブル4と同一インピーダンスとなるように設定する。具体的には、基板の誘電率εrや厚さh、コプレーナ線路11の幅W等を調整してインピーダンスを所望の値に設定する。L8をλ2の1/4とすることで、コプレーナ線路11は分布定数型バランであるシュペルトップ・バランを構成し(図13参照)、平衡伝送線路であるダイポールアンテナと非平衡伝送線路である同軸ケーブル4との間の伝送モードを変換する平衡非平衡変換回路として機能する。
このように、従来技術による2周波共用アンテナは、第1ダイポールアンテナエレメント7と第2ダイポールアンテナエレメント8を平面的に構成するとともに、共通の伝送線路9を同軸ケーブル4との間のインピーダンス整合回路かつバランとして機能させることで、簡易な構成とすることができている。このため、自動車のデフレクタや窓ガラスに貼り付けても良好な視界を確保することができる。また、限られた貼り付け面積においても通信に必要なアンテナ利得を得ることができる。また、ダイポールアンテナを同軸ケーブルに接続する場合に必要なバランあるいは平衡非平衡変換回路を平面回路のコプレーナ線路11で構成して、アンテナ全体の平面化を図り、自動車のデフレクタや窓ガラスへの貼り付けを可能としていた。
しかし、このタイプの2周波共用アンテナは、図15に示すように、800MHz帯においての共振周波数帯が狭く、より広帯域化が必要となっていた。従来のダイポールアンテナを広帯域化する手法としては、ダイポール素子が筒状または棒状の導体よりなる場合にはその直径を大きくし、またダイポール素子が細長い板状の導体よりなる場合にはその幅を広くして、使用周波数の変化に対するリアクタンスの変化を小さくすることによって広帯域化する手法が知られていた。しかし、このような手法によるときは、交差偏波成分を生じる恐れがあるため、ある程度以上にダイポール素子の直径を大きくし、または幅を広くすることができず、広帯域化には限度があった。
そこで、より大きな広帯域化を図る場合には、ダイポールアンテナの素子の近くに無給電素子を配置して広帯域化を図るという技術が知られている。これは、アンテナ素子の近傍に所望の周波数の波長の1/1〜1/4の長さを持った素子が用いられることが多い(例えば特許文献2参照)。
特開2005−20677号公報 特開2001−284946号公報
以上述べた、従来技術の車載用貼り付け2周波共用アンテナの広帯域化を、従来知られた無給電素子の取り付けで改良しようとすると、無給電素子を配置するためのスペースが必要になりアンテナの占有面積が増大してしまうという問題があった。
また、先に述べた従来技術の2周波共用アンテナは、ダイポールアンテナを同軸ケーブルに接続する場合に必要なバランあるいは平衡非平衡変換回路を平面回路のコプレーナ線路11で構成して、アンテナ全体の平面化を図り、自動車のデフレクタや窓ガラスへの貼り付けを可能とするため、共通の伝送線路9を同軸ケーブル4との間のインピーダンス整合回路かつバランとして機能させるようにしている。一方、無給電素子をアンテナ素子の近傍に配置するとアンテナの静電容量が変化してくるので、無給電素子の取り付けと同時にアンテナと同軸ケーブルのインピーダンス調整も必要になってくる。しかし、無給電素子の取り付けによるアンテナの静電容量の変化はアンテナが貼り付けられている基盤の厚さ、誘電率によって変化してくるため、平面回路のコプレーナ線路でインピーダンスの調整を行おうとすると、搭載車種ごとに異なったアンテナアセンブリが必要となり実用的ではないという問題があった。
更に、このような無給電素子をアンテナ素子と平行な面に配置する場合、アンテナの指向性が大きくなることが知られている。しかし、車載用のアンテナはできるだけ指向性を持たないことが望ましいので、このような指向性を帯びてしまう無給電素子の取り付けによる車載用貼り付けアンテナの広帯域化には限度があった。
そこで、本発明の目的は、アンテナの形状、占有面積を大きくせず、指向性の変化を抑えつつ、かつ搭載車両ごとにアンテナアセンブリを変更することなく2周波共用アンテナの広帯域化を図ることを目的とする。
本発明の目的は、第1の共振周波数を有する第1ダイポールアンテナエレメントと、第1の共振周波数より高い第2の共振周波数を有する第2ダイポールアンテナエレメントと、第1及び第2ダイポールアンテナエレメントを同軸ケーブルに接続し、第1及び第2ダイポールアンテナエレメントと同軸ケーブルとの間のインピーダンス整合回路を構成し、かつ、第1及び第2ダイポールアンテナエレメントと同軸ケーブルとの間のバランを構成する伝送線路を有する2周波共用アンテナにおいて、第1及び第2のアンテナエレメント及び伝送線路と、所定の距離だけ離れた平行な面内に、アンテナの全長よりも僅かに短い帯状の金属薄膜で形成された無給電素子を、伝送線路およびアンテナエレメントの屈曲部分と平行に配置することによって達成できる。
また、本発明の目的は、上記の無給電素子をアンテナ中心線から、同軸ケーブルの外導体に接続された接地線側アンテナエレメント部側に配置したことによっても達成できる。また、第1ダイポールアンテナエレメント、第2ダイポールアンテナエレメント及び伝送線路は、平面形状で、誘電体の基板に貼り付けられ、無給電素子は基板のアンテナエレメント貼り付け面の反対面上に配置されていてもよいし、金属粉を含むメタリックインクを用いてシルク印刷によって形成したものであってもよいし、金属粉を含むメタリック塗料を用いた塗装面により形成したものであってもよい。また、基板は自動車用樹脂成型品、またはガラス成型品であってもよい。
本発明においては、アンテナの全長よりも僅かに短い帯状の金属薄膜で形成された無給電素子を、伝送線路およびアンテナエレメントの屈曲部分と平行に配置することによって、アンテナの広帯域化を図れると同時にアンテナと同軸ケーブルのインピーダンスの整合が図れることによりアンテナの特性が改善されるという効果を奏する。
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。従来技術と同様の部分には同様の記号を用い、説明は省略する。図2は第1の実施形態の2周波共用アンテナの分解斜視図である。本発明の第1の実施形態の2周波共用アンテナは、デフレクタ14、アンテナアセンブリ20、カバー19、同軸ケーブル4、1つの無給電素子100を有する。デフレクタ14は従来技術も述べたように自動車の風きり板で、厚さhが5mm程度のポリカーボネート製で電気的には誘電体を構成する。アンテナアセンブリ20は屈曲したアンテナエレメント7a、8aを有する導電体2と、アンテナエレメント7b、8bを有する導電体3をアンテナ保護シート16、17で挟み込んで成型したものである。導電体2は同軸ケーブル4の外導体5に接続されており、導電体3は同軸ケーブル4の内導体に接続されている。アンテナアセンブリ20は接着剤にてデフレクタ表面に貼り付けられ、その上からカバー19が取り付けられている。無給電素子100は短冊型の金属箔でデフレクタ14の裏面に貼り付けられている。図3は第1の実施形態の2周波共用アンテナの表面側の平面図で、図4は裏側の平面図、図5(A)は図3のA−A断面図、図5(B)は図3のB−B断面図である。図3、図4に示すように、無給電素子100は、アンテナエレメント7a、7bによって構成される第1ダイポールアンテナエレメント7のアンテナ特性の改善を図るためにアンテナエレメント7aとほぼ同じ位置のデフレクタ裏面に平行に配置されている。
図1は本発明の第1の実施形態の2周波共用アンテナのアンテナエレメント7a、7b、8a、8b、伝送線路9、同軸ケーブル4、無給電素子100を示した平面図である。デフレクタ14は図示していない。導電体2、3はそれぞれアンテナ幅方向へ延びている導電体2伸展部分102、導電体3伸展部分103と屈曲してアンテナ長手方向に伸びている導電体2屈曲部分104、導電体3屈曲部分105と伝送線路9により構成されている。そして、導電体2屈曲部分104はアンテナエレメント7a屈曲部分107a、アンテナエレメント8a屈曲部分108aを有する。また、導電体3屈曲部分105はアンテナエレメント7b屈曲部分107b、アンテナエレメント8b屈曲部分108bを有する。アンテナエレメント7a屈曲部分107aはアンテナの長手方向の中心線から距離D7だけ離れてアンテナ中心軸に平行に配置され、アンテナエレメント8a屈曲部分108aはアンテナ中心線から距離D8だけ離れてアンテナ中心軸に平行に配置されている。また、同様に、アンテナエレメント7b屈曲部分107bもアンテナの長手方向の中心線から距離D7だけ離れてアンテナ中心軸に平行に配置され、アンテナエレメント8b屈曲部分108aもアンテナの長手方向の中心線から距離D8だけ離れてアンテナ中心軸に平行に配置されている。アンテナエレメント7a屈曲部分107a、アンテナエレメント7b屈曲部分107bはそれぞれアンテナエレメント7a、7bの半分の長さとして構成されており、第1共振周波数に対応する波長λ1のほぼ1/8の長さになっている。また、アンテナエレメント7a、7bの幅はH7で、アンテナエレメント8a、8b、の幅はH8である。
無給電素子100はデフレクタ14の裏面に貼り付けられた短冊形の金属箔で、その幅H100は上記のアンテナエレメント7a幅はH7とほぼ同等である。この無給電素子100は、アンテナ幅方向の位置には、アンテナエレメント7aと平行にアンテナエレメント7a屈曲部分107aの対向面と重なるように、アンテナの長手方向の中心線から距離D7だけ離れた位置に配置され、アンテナ長手方向の位置にはアンテナエレメント7a屈曲部分107aの先端部分より同軸ケーブルにE100だけ寄った位置に配置されている。また、無給電素子100の長さL100はアンテナエレメント7a屈曲部分107aの長さとコプレーナストリップ10の長さL3の合計長さとほぼ同等の長さとして構成されている。アンテナエレメント7a屈曲部分107a、はアンテナエレメント7aの半分の長さで、第1共振周波数に対応する波長λ1のほぼ1/8の長さになっており、コプレーナストリップ10の長さL3の長さも第1共振周波数に対応する波長λ1のほぼ1/8の長さになっているので、無給電素子100の長さL100は第1共振周波数に対応する波長λ1のほぼ1/4の長さとなっている。したがって、無給電素子100のうち、第1共振周波数に対応する波長λ1のほぼ1/8の部分がアンテナエレメント7a屈曲部分107aとデフレクタ14の同一位置の表面と裏面に配置され、第1共振周波数に対応する波長λ1のほぼ1/8の部分がコプレーナストリップ10と平行になるように配置されている。
以上のように無給電素子100をアンテナアセンブリ20の取り付けられているデフレクタ14の裏面に配置することにより、アンテナの占有面積を増加せずにアンテナ特性の改善を図ることができるという効果を奏する。
図6は上記のように構成された、本発明の第1の実施形態の2周波共用アンテナの等価回路を示す回路構成図である。図中のR0は無給電素子がない場合の従来の2周波共用アンテナの等価抵抗を示し、Z0は従来の2周波共用アンテナの等価リアクタンスを示す。R0、Z0にて従来のアンテナの直列共振回路が形成されている。図中のR100は無給電素子の等価抵抗であり、Z100は無給電素子の等価リアクタンスを示す。無給電素子100が誘電体であるデフレクタ14の上のアンテナアセンブリ20の近くに配置されると、無給電素子100とアンテナアセンブリ20は、図6に示すように結合静電容量C1、C2によって電気的に結合される。この作用によって、アンテナアセンブリ20と無給電素子100は複同調回路として動作する。これによって、アンテナの広帯域を図ることができる一方、アンテナアセンブリ20のインピーダンスが変化することとなる。第1の実施形態では、アンテナエレメント7a、7bによって構成される第1ダイポールアンテナエレメント7のアンテナ特性の改善を図るためにアンテナエレメント7a屈曲部分107aとほぼ同じ位置のデフレクタ14の裏面に平行に配置されている。よって、アンテナエレメント7aと無給電素子100の間の静電容量がC1、C2となる。
この場合に、アンテナエレメント7a及び無給電素子100の各共振回路間の結合度を変えるか、両共振回路のいずれか一方または両方の共振周波数を適宜調整するか、または両共振回路間の結合度を変えると共に両共振回路のいずれか一方または両方の共振周波数を調整することによって、広帯域特性を調整することができる。
両共振回路間の結合度を調整するには、アンテナエレメント7aと無給電素子100との間隔を変えるか、アンテナエレメント7aの幅を変えるか、上記の二つの手段の両方を組合して行うことによって行うことができる。また、各共振回路の共振周波数を調整する場合は、無給電素子100の長さL100を変更するか、アンテナエレメント7aと無給電素子100のいずれか一方または両方の幅を変える、あるいは上記の長さ、幅の変更を組み合わせて行う。
上記の結合度、共振周波数の調整はアンテナアセンブリ20、無給電素子100の貼り付けられている基板のデフレクタ14の誘電率、厚さに応じて最適となるような幅、間隔を選定するように行われる。
一方、このように無給電素子100を追加して、広帯域化を図ろうとすると、上述のように無給電素子はアンテナアセンブリ20と静電結合して複同調回路として動作することから、アンテナ全体としてのインピーダンスも変化してくる。そこで、無給電素子100はアンテナエレメント7aの範囲のみでなく、コプレーナストリップ10とほぼ同等の長さだけ、アンテナエレメント7aよりも同軸ケーブル4の方向に伸ばした形状とし、コプレーナストリップ10とも静電結合して、そのインピーダンスを調整する。アンテナエレメント7aと無給電素子100のインピーダンスの変化は貼り付けられている基板のデフレクタ14の誘電率によって変化し、コプレーナストリップ10との静電結合によるインピーダンス調整機能もデフレクタ14の誘電率によって変化してくる。インピーダンス整合回路の調整は上記の広帯域化と同様、コプレーナストリップ10と無給電素子100との間隔を変えるか、無給電素子の幅を変えるか、上記の二つの手段の両方を組合わせて行うことによって行うことができる。
本願発明の第1の実施形態は1つの無給電素子100の追加による広帯域化と、同軸ケーブル4とのアンテナインピーダンスの整合を同時に実現することができることから、少ない無給電素子の追加で大きな特性の改善を実現できる。このことから、無給電素子の追加による指向性に大きな影響を与えずにアンテナ特性の改善を図ることができる効果を奏する。
図7は、第1の実施形態による2周波共用アンテナの周波数特性を示す。図7の周波数特性は、比誘電率が2.9のポリカーボネート製の厚さhが5mmのデフレクタ14の表面に従来と同様のアンテナアセンブリ20を貼り付け、裏面に幅3mm、厚さ0.3mmの銅箔を貼り付けて無給電素子100を構成したときのものである。無給電素子100は、上述のように、アンテナエレメント7a、7bによって構成される第1ダイポールアンテナエレメント7のアンテナ特性の改善を図るためにアンテナエレメント7a屈曲部分107aとほぼ同じ位置のデフレクタ14の裏面に平行に配置されている。この図によると、反射量が−10dB以下の使用可能領域が、従来アンテナの870MHz〜940MHzから830〜940MHzの範囲に広帯域化が図られて、良好な周波数特性を示している。
図8は、図7と同様の構成の2周波共用アンテナの832〜925MHzの帯域における水平面内平均利得図を示す。これによると、無給電素子の追加により若干指向性は変化するものの、指向性に大きな変化はなく、全方向について良好な特性を示していることがわかる。
以上述べた本願発明の第1の実施形態は1つの無給電素子100をアンテナアセンブリ20の取り付けられているデフレクタ14の裏面に配置することにより、アンテナの占有面積を増加せずにアンテナ特性の改善を図ることができ、無給電素子100の追加による広帯域化と、アンテナインピーダンスの整合を同時に実現することができるという大きな効果を奏する。さらに、少ない無給電素子の追加で大きなアンテナ特性の改善を実現できることから、無給電素子の追加による指向性に大きな影響を与えずにアンテナ特性の改善を図ることができる効果を奏する。
本願発明の第1の実施形態においては、無給電素子100は、金属箔を貼り付けることによって構成することとしたが、無給電素子100は、金属粉を含むメタリックインクを用いてシルク印刷によって形成してもよいし、金属粉を含むメタリック塗料を用いた塗装面により形成したものでもよい。金属粉は鉄、アルミ、銅などどのようなものでもよい。また、アンテナの張り付け基板はポカーボネート製のデフレクタ14として説明したが、基板は他の材質の自動車用樹脂成型品、またはガラス成型品であってもよい。
第1の実施形態では、無給電素子100は、アンテナエレメント7a、7bによって構成される第1ダイポールアンテナエレメント7のアンテナ特性の改善を図るためにアンテナエレメント7a屈曲部分107aとほぼ同じ位置のデフレクタ14の裏面に平行に配置されているが、アンテナエレメント7b屈曲部分107bとほぼ同じ位置のデフレクタ14の裏面に平行に配置してもよい(図9参照)。また、アンテナエレメント8a、8bによって構成される第2ダイポールアンテナエレメント8のアンテナ特性の改善を図るためにアンテナエレメント8a屈曲部分108aあるいは、108bとほぼ同じ位置のデフレクタ14の裏面に平行に配置してもよい。さらに、導電体2と3の上下を逆にして、同軸ケーブル4の外導体5に接続される導電体2を車体に近いデフレクタ14の下側に配置して、同軸ケーブル4の内導体6に接続される導電体3デフレクタ14の上部に配置して、無給電素子100を導電体2のアンテナエレメント7a屈曲部分107aとほぼ同じ位置のデフレクタ14の裏面に平行に配置するようにして、無給電素子100を目立たなく配置してもよい。
このような他の実施形態においても、第1の実施形態同様、アンテナの占有面積を増加せずにアンテナ特性の改善を図ることができ、無給電素子の追加による指向性に大きな影響を与えずに、広帯域化と、同軸ケーブルとのアンテナインピーダンスの整合を同時に実現することができるという大きな効果を奏する。
本発明の第1の実施形態の2周波共用アンテナの平面図。 本発明の第1の実施形態の2周波共用アンテナの分解斜視図。 本発明の第1の実施形態の2周波共用アンテナ表面外形図。 本発明の第1の実施形態の2周波共用アンテナ裏面外形図。 本発明の第1の実施形態の2周波共用アンテナのA−A断面図。 本発明の第1の実施形態の2周波共用アンテナのB−B断面図。 本発明の第1の実施形態の2周波共用アンテナの等価回路図。 本発明の第1の実施形態の2周波共用アンテナの周波数特性。 本発明の第1の実施形態の2周波共用アンテナの水平面内平均利得特性。 本発明の第2の実施形態の2周波共用アンテナ裏面外形図。 従来技術の2周波共用アンテナの平面図。 従来技術の低周波数帯における動作時のサイズ説明図。 従来技術の高周波数帯における動作時のサイズ説明図。 シュペルトップ型バランの説明図。 従来技術の2周波共用アンテナの分解斜視図。 従来技術のアンテナの周波数特性図。
符号の説明
1 2周波共用アンテナ、2 導電体、3 導電体、4 同軸ケーブル、5 同軸ケーブルの外導体、6 同軸ケーブルの内導体、7 第1ダイポールアンテナエレメント、7a,7b アンテナエレメント、、8 第2ダイポールアンテナエレメント、8a,8b アンテナエレメント、9 伝送線路、9a 導電体2の伝送線路、9b 導電体3の伝送線路、10 コプレーナストリップ、11 コプレーナ線路、12,13 アースブリッジ、14 デフレクタ、16,17,18 アンテナ保護シート、19 カバー、20 アンテナアセンブリ、100 無給電素子、102 導電体2伸展部分、103 導電体3伸展部分、104 導電体2屈曲部分、105 導電体3屈曲部分、107a アンテナエレメント7a屈曲部分、107b アンテナエレメント7b屈曲部分、108a アンテナエレメント8a屈曲部分、108b アンテナエレメント8b屈曲部分。

Claims (6)

  1. 第1の共振周波数を有する第1ダイポールアンテナエレメントと、
    前記第1の共振周波数より高い第2の共振周波数を有する第2ダイポールアンテナエレメントと、
    前記第1及び第2ダイポールアンテナエレメントを同軸ケーブルに接続し、前記第1及び第2ダイポールアンテナエレメントと前記同軸ケーブルとの間のインピーダンス整合回路を構成し、かつ、前記第1及び第2ダイポールアンテナエレメントと前記同軸ケーブルとの間のバランを構成する伝送線路を有する2周波共用アンテナにおいて、
    前記第1及び第2のアンテナエレメント及び伝送線路と、所定の距離だけ離れた平行な面内に、前記アンテナの全長よりも僅かに短い帯状の金属薄膜で形成された無給電素子を、前記伝送線路および前記アンテナエレメントの屈曲部分と平行に配置したことを特徴とする2周波共用アンテナ。
  2. 無給電素子は、アンテナ中心線から、同軸ケーブルの外導体に接続された接地線側アンテナエレメント部側に配置したことを特徴とする請求項1に記載の2周波共用アンテナ。
  3. 第1ダイポールアンテナエレメント、第2ダイポールアンテナエレメント及び伝送線路は、平面形状で、誘電体の基板に貼り付けられ、
    無給電素子は前記基板のアンテナエレメント貼り付け面の反対面上に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の2周波共用アンテナ。
  4. 無給電素子は金属粉を含むメタリックインクを用いてシルク印刷によって形成したものである請求項1から3のいずれか1項に記載の2周波共用アンテナ。
  5. 無給電素子は金属粉を含むメタリック塗料を用いた塗装面により形成したものである請求項1から3のいずれか1項に記載の2周波共用アンテナ。
  6. 基板は自動車用樹脂成型品、またはガラス成型品であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の2周波共用アンテナ。
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