JP2007040919A - 高周波加熱装置用直線駆動アンテナ - Google Patents
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Abstract
回転式反射鏡は、保守作業が容易でない真空容器内に設置されており、特に核融合炉環境では構造物の放射化により頻繁な保守は困難である。更に、摩擦を伴う回転軸やリンク機構を有する回転式反射鏡はある頻度での保守、交換が必要となる問題点を有する。
【解決手段】
本発明の高周波加熱装置直線駆動用アンテナにおける核融合炉内のプラズマへの電磁波ビーム入射用の反射鏡は、プラズマへの電磁波ビームの入射角度を制御するために、平面的な反射鏡を回転させる従来の方法と異なり、特殊な面形状の反射鏡を直線運動させる手法を用いている。
【選択図】 図5
Description
(2)方式(1)を入射時間が長い場合や核融合プラズマからの中性子束が強い場合に適用するためには、反射鏡の強制冷却が必要となる。このような場合に回転する反射鏡への冷媒の供給を行うためにスパイラル状のフレキシブルチューブを用いる方式(非特許文献2)。
Y. Ikeda et al., "The 110-GHz Electron Cyclotron Range of Frequency System on JT-60U: Design and operation", Fusion Sci. Technol. 42, 435 (2002). K.Takahashi et. al., "Development of EC H&CD launcher components for fusion device", Fusion Engineering and Design 66-68, p.473-479(2003). K.Takahashi et. al., "High power experiments of remote steering launcher for electron cyclotron heating and current drive", Fusion Engineering and Design 65(4), p.589-598(2003). K. Kajiwara et al., "Launcher Performance In the DIII-D ECH System", Proc. 15th Tpic. Conf. on RF Power in Plasmas, Moran Wyoming, May, 694, 325 (2003). 森山伸一 他; "JT-60Uにおける電子サイクロトロン加熱・電流駆動技術の進展", Journal of Plasma and Fusion Research, Vol.79, No.9, p.935 (2001).
1) 回転式反射鏡は、保守作業が容易でない真空容器内に設置されている。特に核融合炉環境では構造物の放射化により頻繁な保守は困難である。摩擦を伴う回転軸やリンク機構を有する回転式反射鏡はある頻度での保守、交換が必要となる問題点を有する。
1) 方式(1)と同様に摩擦を伴う回転軸やリンク機構を有する回転式反射鏡はある頻度での保守、交換が必要である。
2)冷却配管にフレキシブルチューブを用いる方式では、柔軟性を確保するために管壁の肉厚を薄くしなくてはならず、外的要因による破損のリスクがある。
3) 冷却配管にフレキシブルチューブを用いる方式では、柔軟性を確保するために管径を比較的小さくしなければならず、流量に制限がある。
4) 冷却配管にフレキシブルチューブを用いる方式では、冷媒にボイドが発生した際や真空容器に機械的振動が発生した際に、チューブ自身が振動し周辺の構造物と接触するなどして損耗するリスクがある。
1) 反射鏡の位置はプラズマから遠く、核融合炉環境にあっても比較的放射化の程度の小さい場所ではあるが、回転軸やリンク機構の保守が必要であるという点で方式(1)と同様の課題を有する。
2) 反射鏡の熱負荷は小さいものの、強制冷却が必要であり、方式(2)と同様の課題を有する。
1) 駆動機構が方式(1)、(2)よりも複雑であり、方式(1)(2)と同様の課題を有する。
(2)冷却配管の緩衝には単純かつ堅牢な直線型ベロー管を、保守の容易な真空容器外に設置できる。
(4)反射鏡駆動機構の駆動軸内部を反射鏡用冷却配管として用いることができるため、駆動軸用、冷却配管用の真空容器壁貫通部およびベローを兼用でき、アンテナ全体の構造を単純化できる。
(実施例1)
図1aは本発明の原理図であり、高周波加熱装置用直線駆動アンテナの原理説明に必要な座標と記号を示すものである。曲面鏡の最も単純な場合として球面反射鏡を用いる場合を示す。球面反射鏡の曲率中心アを原点(0,0)とする極座標系(r,θ)を考え、原点ア(0,0)から距離dだけ離れた点イ(d,0)を通過する入射ビームr=d/cos(θ-π/2)が、極率半径Rの球面反射鏡上の点ウ(R,φ)にて反射する。核融合装置のトーラス中心を点エとしたとき、入射ビームのイウはウエと直交するものとする。入射ビームの球面鏡に対する入射角、反射角は等しく、π/2-φであり、反射した電磁波ビームr=d/cos(θ+2φ)のトーラスへの入射角αは2φ-π/2である。距離d=Rcosφであるからトーラスへの入射角α= 2cos-1(d/R) -π/2となる。これは距離dを変化させることにより、トーラスへの入射角αを制御できることを示している。また、トーラスへの入射角αの可変範囲はd/Rが大きいほど大きく取れることも示している。しかし、距離dの範囲が小さいほど球面反射鏡を小さくできるため、コンパクトなアンテナとなる。
(実施例2)
図2に本発明の一実施例である、第1反射鏡駆動方式の高周波加熱装置用直線駆動アンテナ断面図を示す。本実施例では第1反射鏡イは平面鏡、第2反射鏡ウは単純な球面(凹面)鏡としている。導波管ア内を伝送される高周波は導波管アの端部で空間に放射され、平面鏡である第1反射鏡イで直角に曲げられた後、曲率中心エを持つ球面鏡である第2反射鏡で再び曲げられ、プラズマに入射される。第1反射鏡イは駆動棒オによって直線的に駆動され、第2反射鏡ウと入射ビームとの相対距離、すなわち図1の距離dに相当する量を変化させる。距離dの変化によってプラズマへの入射角αを変化させることができる。図2は、電磁波ビームが半径2cmの平行光線であると仮定し、第2反射鏡の曲率半径Rが1mとしたときに、距離dを54cmから35cmに変化させると入射角αを20°から45°に変えることができる設計例に基づく作図である。トーラス中心方向の第2反射鏡ウの奥行きは距離dの可変範囲とビーム径の合計に多少の余裕を加えて30cm程度にできる。このとき幾何学的な焦点距離はR/2=50cmであるが、ビームの発散、収束を考慮して、第2反射鏡からの距離50cm及び2mでのビーム半径はそれぞれ1.9cmおよび5.7cmである。第2反射鏡が従来技術の回転する平面鏡であった場合を仮定するとビーム半径はそれぞれ2.7cmおよび5.7cmであり、球面にしたことによるビーム径の変化は小さく、図2の設計例は第2反射鏡の曲率半径Rを適切に選んだ例といえる。
(実施例3)
図3に本発明の一実施例である、第2反射鏡駆動方式の高周波加熱装置用直線駆動アンテナ断面図を示す。本実施例では第1反射鏡イは平面鏡、第2反射鏡ウは単純な球面(凹面)鏡としている。導波管ア内を伝送される高周波は導波管アの端部で空間に放射され、平面鏡である第1反射鏡イで直角に曲げられた後、曲率中心エを持つ球面鏡である第2反射鏡で再び曲げられ、プラズマに入射される。第2反射鏡ウは駆動棒オによって直線的に駆動され、第2反射鏡ウと入射ビームとの相対距離、すなわち図1の距離dに相当する量を変化させる。距離dの変化によってプラズマへの入射角αを変化させることができる。図3は、電磁波ビームが半径2cmの平行光線であると仮定し、第2反射鏡の曲率半径Rが1.5mとしたときに、距離dを54cmから83cmに変化させると入射角αを20°から45°に変えることができる設計例に基づく作図である。トーラス中心方向の第2反射鏡ウの奥行きは距離dの可変範囲とビーム幅の合計に多少の余裕を加えて40cm程度にできる。このとき幾何学的な焦点距離はR/2=75cmであるが、ビームの発散、収束を考慮すると第2反射鏡からの距離50cm及び2mでのビーム半径はそれぞれ2.0cm、5.3cmである。第2反射鏡が従来技術の回転する平面鏡であった場合を仮定するとそれぞれ2.7cmおよび5.7cmであるので、球面にしたことによるビーム径の変化は非常に小さく、図3の設計例は第2反射鏡の曲率半径Rを適切に選んだ例といえる。
(実施例4)
図4に本発明の一実施例である第2、第3反射鏡駆動方式による2次元掃引の高周波加熱装置用直線駆動アンテナ断面図を示す。本実施例では第1反射鏡ウは平面鏡、第2反射鏡イは複合平面鏡、第3反射鏡アは単純な球面(凹面)鏡としている。導波管カ内を伝送される高周波は導波管カの端部で空間に放射され、平面鏡である第1反射鏡ウで直角に曲げられた後、角度の異なる2つの平面鏡で構成された第2反射鏡イで紙面奥行き方向に曲げられ、さらに球面鏡である第3反射鏡アで曲げられ、プラズマに入射される。第2反射鏡イは駆動棒エによって、第3反射鏡は駆動棒オによってそれぞれ直線的に駆動され、プラズマへの入射角を2次元的に変化させることができる。
(従来例)
図5aに背景技術(2)項に相当する従来の回転反射鏡式高周波アンテナの構造を示す。従来例では第1、第2反射鏡ともに平面鏡である。導波管コで伝送され、その端部から放射される電磁波ビームは固定式の第1反射鏡ケで方向を変えられ、回転式の第2反射鏡アに入射する。第2反射鏡アは平面鏡であるが、その角度を回転によって変えられ、反射ビームの方向を制御する。第2反射鏡アは回転軸を支持機構で固定されており、駆動棒イの直線運動をリンク機構スが回転運動に変換して駆動される。回転軸およびリンク機構にはベアリングなど摩擦を低減する部品が必要であるが、これらの中性子環境下での耐久性は必ずしも確認されておらず、定期的な交換が必要だとされている。第2反射鏡アは核融合装置からの中性子および入射する電磁波ビームによる熱を除去するために冷却が必要であるが、その回転運動のため冷却水配管の接続にはスパイラル管クを用いてその弾性で位置の変化を吸収する。駆動棒イは支持機構カによって機械的に支持され、回転式モーターとギアの組み合わせまたはリニアモーターを用いた駆動機構オによって直線的に駆動される。支持機構カおよび駆動機構オは支持構造キに固定される。直線駆動する駆動棒イは、真空容器のポートフランジを貫通するときその相対位置の変化をベローのエで吸収する。
(実施例5)
図5bは本発明の一実施例である第2反射鏡駆動方式の高周波加熱装置用直線駆動アンテナの支持駆動機構および冷却機構を示す断面図である。本実施例では第1反射鏡ケは平面鏡、第2反射鏡アは単純な球面(凹面)鏡としている。球面鏡である第2反射鏡アは駆動棒イによって直線的に駆動される。駆動棒イは支持機構カによって機械的に支持され、回転式モーターとギアの組み合わせまたはリニアモーターを用いた駆動機構オによって直線的に駆動される。駆動距離は図2または図3の設計例で20〜30cmである。支持機構カおよび駆動機構オは支持柱キに固定される。直線駆動する駆動棒イは、真空容器のポートフランジを貫通するときその相対位置の変化をベローのエで吸収する。駆動棒イの内部には第2反射鏡アを冷却するための冷却水流路ウを設ける。固定された冷却系統と直線駆動される冷却水流路ウの取り合いにはベローのクを設ける。プラズマから放出される中性子の影響を受けにくく、メンテナンスのしやすい、トーラスから離れた真空容器外に、全ての駆動機構、支持機構、ベローなどの変形部品を設置できる本発明の長所が図5aとbの比較により明らかである。
ア・・・球面鏡の曲率中心かつ曲座標系(r,θ)の中心(0,0)
イ・・・入射ビームから点アに下ろした垂線の足(d,0)
ウ・・・球面鏡上のビームの入射点(R,φ)
エ・・・核融合装置のトーラス中心
d・・・入射ビームの点アからの距離
φ・・・点ウのθ座標
R・・・球面鏡の曲率半径
(図1b)
ア・・・導波管端部(ビーム半径をw0)
イ・・・球面鏡位置(ビーム半径w1)
ウ・・・収束位置(ビーム半径w2)
エ・・・プラズマ加熱位置(ビーム半径w3)
(図2)
ア・・・導波管
イ・・・第1反射鏡(直線駆動式平面鏡)
ウ・・・第2反射鏡(固定式球面鏡)
エ・・・第2反射鏡の曲率中心
オ・・・第1反射鏡の駆動棒
α・・・プラズマへのビーム入射角度
(図3)
ア・・・導波管
イ・・・第1反射鏡(固定式平面鏡)
ウ・・・第2反射鏡(直線駆動式球面鏡)
エ・・・第2反射鏡の曲率中心
オ・・・第2反射鏡の駆動棒
α・・・プラズマへの電磁波ビーム入射角度
(図4)
ア・・・第3反射鏡(直線駆動式球面鏡)
イ・・・第2反射鏡(直線駆動式複合平面鏡)
ウ・・・第1反射鏡(固定式平面鏡)
エ・・・第2反射鏡の駆動棒
オ・・・第3反射鏡の駆動棒
カ・・・導波管
(図5a)
ア・・・第2反射鏡(回転駆動式平面鏡)
イ・・・第2反射鏡の駆動棒
ウ・・・冷却水流配管
エ・・・真空封止用ベロー
オ・・・駆動棒イの駆動機構
カ・・・駆動棒イの支持機構
キ・・・駆動機構オおよび支持機構イを含むアンテナ系全体を固定する支持機構
ク・・・冷却配管用スパイラルチューブ
ケ・・・第1反射鏡
コ・・・導波管
サ・・・核融合実験装置の真空容器
シ・・・真空容器のポート
(図5b)
ア・・・第2反射鏡(直線駆動式球面鏡)
イ・・・第2反射鏡の駆動棒
ウ・・・冷却水流路
エ・・・真空封止用ベロー
オ・・・駆動棒イの駆動機構
カ・・・駆動棒イの支持機構
キ・・・駆動機構オおよび支持機構イを固定する支持柱
ク・・・冷却配管用ベロー
ケ・・・第1反射鏡
コ・・・導波管
サ・・・核融合実験装置の真空容器
シ・・・真空容器のポート
Claims (7)
- 核融合炉または核融合実験装置の真空容器に取付けた、導波管、1個以上の金属製反射鏡、反射鏡冷却配管、および反射鏡駆動機構で構成され、導波管端部から放射されるミリ波帯の電磁波ビームをプラズマに入射する角度の制御を、反射鏡の回転運動によらず、直線運動によって実現することを特徴とする高周波加熱装置用直線駆動アンテナ。
- 反射鏡への電磁波ビームの入射位置を変化させることで、入射角度および反射角度が変化するように設計した反射面形状を有する反射鏡を用いることを特徴とする高周波加熱装置用直線駆動アンテナ。
- 反射鏡への電磁波ビームの入射位置の変化を、固定された導波管と直線駆動される反射鏡の相対位置の変化によって実現することを特徴とする高周波加熱装置用直線駆動アンテナ。
- 反射鏡を直線駆動とすることで、回転運動に必要な、摩擦を伴う回転軸やリンク機構を真空領域内に設ける必要性を排除したことを特徴とする高周波加熱装置用直線駆動アンテナ。
- 直線運動する反射鏡と固定された冷却装置を接続する、反射鏡冷却配管の緩衝機構として、堅牢かつ信頼性の高い直線的ベロー管を保守の容易な真空容器外に設置することを特徴とする高周波加熱装置用直線駆動アンテナ。
- 真空容器の壁面を貫通する反射鏡冷却配管および反射鏡駆動機構の駆動軸と真空容器との取り合いに、堅牢かつ信頼性の高い直線的ベロー管を使用することを特徴とする高周波加熱装置用直線駆動アンテナ。
- 反射鏡駆動機構の駆動軸内部を反射鏡用冷却配管として用いることを特徴とする高周波加熱装置用直線駆動アンテナ。
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