JP2007020581A - 酸化還元反応を用いた測定方法 - Google Patents

酸化還元反応を用いた測定方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 試料中の測定対象物を酸化還元反応を用いて測定する方法であって、信頼性に優れる測定値を得ることができる測定方法を提供する。
【解決手段】 酸化還元反応に先立ち、試料にテトラゾリウム化合物を添加して、前記試料中に含まれる還元物質の影響を排除し、その後、前記測定対象物由来の還元物質または酸化物質を発生させ、この量を酸化還元反応により測定し、この測定値から前記測定対象物の量を決定する。前記テトラゾリウム化合物としては、例えば、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩が使用できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、試料中の測定対象物を、酸化還元反応を用いて測定する方法に関する。
従来から、例えば、酸化還元反応を利用して、試料中の測定対象物の量を測定することは、広く実施されている。例えば、生化学分析や臨床検査等における糖化タンパク質の測定にも適用されている。
例えば、血液中の糖化タンパク質、特に赤血球中の糖化ヘモグロビン(HbA1c)は、生体血糖値の過去の履歴を反映しているため、糖尿病診断や治療等における重要な指標とされている。例えば、赤血球中の糖化タンパク質は、酸化還元反応を用いて、以下に示すようにして測定されている。
まず、赤血球を溶血させた試料を調製し、この溶血試料を適当なプロテアーゼ等で処理した後、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(以下、FAODという)で処理し、過酸化水素を発生させる。この過酸化水素量は、赤血球中の糖化タンパク質量に対応する。そして、この試料に、ペルオキシダーゼ(以下、PODという)および還元剤を添加し、前記PODを触媒として前記過酸化水素と前記還元剤との間で酸化還元反応を起こす。この時、前記還元剤として、酸化されることにより発色する還元剤を用いれば、その発色を測定することにより前記過酸化水素量を測定でき、この結果、赤血球中の糖化タンパク質量を知ることができる。
しかし、血液中には、通常、アスコルビン酸(AsA)、ビリルビン等の各種還元物質が存在し、さらに、赤血球中には、グルタチオン(GSH)等の各種還元物質が存在する。これらの還元物質により、前記過酸化水素が還元されたり、前記酸化還元反応が阻害されたり、前記還元剤が発色した後に還元され退色するおそれがある。このため、赤血球中の糖化タンパク質量を正確に測定することが困難であるという問題があった。
また、試料ごとによって、含まれる還元物質の濃度も一定ではないため、測定精度が劣るという問題もあった。
このような問題を回避するために、例えば、種々の酸化剤を前記試料に添加するという方法がある。例えば、特開昭56−151358号公報(特許文献1)には、酸化剤としてヨウ素酸、過ヨウ素酸等のハロゲン酸化物を用いる方法が開示されており、特開昭57−13357号公報(特許文献2)、特開昭57−161650号公報(特許文献3)、特開昭59−193354号公報(特許文献4)、特開昭62−169053号公報(特許文献5)、特開平3−30697号公報(特許文献6)には、酸化剤としてコバルト、鉄、セリウム等の金属錯体を用いる方法が開示されている。
しかしながら、これらの酸化剤を用いた場合でも、前述のような測定に対する影響を充分に回避できず、特に、測定対象物が赤血球内成分である場合に、前述のような酸化剤による効果が低かった。
特開昭56−151358号公報 特開昭57−13357号公報 特開昭57−161650号公報 特開昭59−193354号公報 特開昭62−169053号公報 特開平3−30697号公報
そこで、本発明の目的は、試料中の測定対象物を酸化還元反応を用いて測定する方法であって、信頼性に優れる測定値を得ることができる測定方法の提供である。
前記目的を達成するために、本発明の測定方法は、試料中の測定対象物を酸化還元反応を用いて測定する方法であって、前記酸化還元反応に先立ち、試料にテトラゾリウム化合物を添加して前記試料中に含まれる還元物質の影響を排除し、その後、前記測定対象物由来の還元物質または酸化物質を発生させ、この量を酸化還元反応により測定し、この測定値から前記測定対象物の量を決定することを特徴とする。前記テトラゾリウム化合物とは、テトラゾール環構造を有する化合物である。
本発明者らは、鋭意研究を行なった結果、従来の方法によると、例えば、前記GSHやAsAのような低分子量還元物質の影響が排除されていないのではなく、タンパク質等のような高分子量還元物質による影響が排除されていないことを突き止めた。そして、本発明者らは、前記テトラゾリウム化合物によれば、例えば、前記低分子量還元物質だけでなく、その他の還元物質の影響をも排除できるということを見出し、本発明の測定方法に到達した。本発明の測定方法によれば、より信頼性に優れた測定対象物の量を求めることが可能であるため、例えば、臨床医療等における各種検査に有用である。
本発明の測定方法は、前記テトラゾリウム化合物を試料に添加することにより、試料中の還元物質の影響を排除できるため、信頼性に優れた測定を行なうことができる。このため、本発明の測定方法は、例えば、臨床医療における各種分析に適用でき、特に、糖尿病診断において重要である、赤血球中の糖化ヘモグロビン等の糖化タンパク質の測定に有用である。
本発明の測定方法において、前記テトラゾリウム化合物が、テトラゾール環の少なくとも二箇所に環構造置換基を有することが好ましく、より好ましくは、3箇所に環構造置換基を有する構造である。
前記テトラゾリウム化合物が、前述のように、前記テトラゾール環の少なくとも二箇所に環構造置換基を有する場合、前記置換基を、前記テトラゾール環の2位および3位に有することが好ましい。また、テトラゾリウム化合物が三箇所に環構造置換基を有する場合は、前記置換基を、前記テトラゾール環の2位、3位および5位に有することが好ましい。
本発明の測定方法において、少なくとも二つの環構造置換基の環構造がベンゼン環であることが好ましい。また、ベンゼン環以外の環構造置換基としては、例えば、環骨格にSまたはOを含み、かつ共鳴構造である置換基があげられ、例えば、チエニル基、チアゾイル基等である。
本発明の測定方法において、前記テトラゾリウム化合物が、テトラゾール環の少なくとも三箇所に環構造置換基を有し、前記環構造置換基のうち少なくとも2つの環構造置換基の環構造がベンゼン環であることが好ましい。
本発明の測定方法において、少なくとも一つの環構造置換基が官能基を有することが好ましく、前記官能基の数が多いことがより好ましい。
前記官能基としては、電子吸引性の官能基が好ましく、例えば、ハロゲン基、エーテル基、エステル基、カルボキシ基、アシル基、ニトロソ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、スルホ基等があげられる。この他にも、例えば、前記官能基以外で、ヒドロペルオキシ基、オキシ基、エポキシ基、エピジオキシ基、オキソ基等の酸素を含む特性基や、メルカプト基、アルキルチオ基、メチルチオメチル基、チオキソ基、スルフィノ基、ベンゼンスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、p−トリルスルホニル基、トシル基、スルファモイル基、イソチオシアネート基等の硫黄を含む特性基等があげられる。これらの電子吸引性官能基の中でも、好ましくは、ニトロ基、スルホ基、ハロゲン基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基である。また、前記電子吸引性の官能基の他に、例えば、フェニル基(C65−)、スチリル基(C65CH=CH−)等の不飽和炭化水素基等もあげられる。なお、前記官能基は、解離によりイオン化していてもよい。
本発明の測定方法において、前記テトラゾリウム化合物が、テトラゾール環の2位および3位にベンゼン環を有し、前記ベンゼン環のうち少なくとも一方が、ハロゲン基、カルボキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メトキシ基およびエトキシ基からなる群から選択された少なくとも一つの官能基を有することが好ましい。なお、前記両方のベンゼン環が、前記官能基を有してもよい。前記ベンゼン環において、いずれの箇所(ortho−、meta−、pra−)に前記官能基を有してもよい。また、官能基の数も特に制限されず、同じ官能基を有しても、異なる官能基を有してもよい。
本発明の測定方法において、前記テトラゾリウム化合物は、例えば、前記テトラゾール環の2位、3位および5位にベンゼン環構造置換基を有する化合物として、例えば、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩、2−(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−フェニル−2H−テトラゾリウム塩、3,3’−(1,1’−ビフェニル−4,4’−ジル)−ビス(2,5−ジフェニル)−2H−テトラゾリウム塩、3,3’−[3,3’−ジメトキシ−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジル]−ビス[2−(4−ニトロフェニル)−5−フェニル−2H−テトラゾリウム塩]、2,3−ジフェニル−5−(4−クロロフェニル)テトラゾリウム塩、2,5−ジフェニル−3−(p−ジフェニル)テトラゾリウム塩、2,3−ジフェニル−5−(p−ジフェニル)テトラゾリウム塩、2,5−ジフェニル−3−(4−スチリルフェニル)テトラゾリウム塩、2,5−ジフェニル−3−(m−トリル)テトラゾリウム塩および2,5−ジフェニル−3−(p−トリル)テトラゾリウム塩等があげられる。
また、前記テトラゾリウム化合物は、前述のような化合物には制限されず、この他に、前記テトラゾール環の2箇所にベンゼン環構造置換基および1箇所にその他の環構造置換基を有する化合物も使用でき、例えば、2,3−ジフェニル−5−(2−チエニル)テトラゾリウム塩、2−ベンゾチアゾイル−3−(4−カルボキシ−2−メトキシフェニル)−5−[4−(2−スルホエチル カルバモイル)フェニル]−2H−テトラゾリウム塩、2,2’−ジベンゾチアゾイル−5,5’−ビス[4−ジ(2−スルホエチル)カルバモイルフェニル]−3,3’−(3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレン)ジテトラゾリウム塩および3−(4,5−ジメチル−2−チアゾイル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウム塩等があげられる。
また、前記テトラゾール環の2箇所にベンゼン環構造置換基および1箇所に環構造でない置換基を有するテトラゾリウム化合物も使用でき、例えば、2,3−ジフェニル−5−シアノテトラゾリウム塩、2,3−ジフェニル−5−カルボキシテトラゾリウム塩、2,3−ジフェニル−5−メチルテトラゾリウム塩、2,3−ジフェニル−5−エチルテトラゾリウム塩等があげられる。
前述のテトラゾリウム化合物の中でも、前述のように、環構造置換基を3つ有する化合物が好ましく、より好ましくは、環構造がベンゼン環である置換基を3つ有し、かつ電子吸引性官能基を多く有するものであり、特に好ましくは、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩である。なお、このようなテトラゾリウム化合物は、例えば、塩でもよいし、イオン化された状態等であってもよい。
本発明の測定方法において、前記テトラゾリウム化合物の添加量は、特に制限されず、試料の種類や前記還元物質の量により適宜決定できる。具体的には、例えば、試料1μl当たり、前記テトラゾリウム化合物を、0.001〜100μmolの範囲になるように添加することが好ましく、より好ましくは0.005〜10μmolの範囲、特に好ましくは、0.01〜1μmolの範囲である。
本発明の測定方法において、前記試料が全血の場合、前記テトラゾリウム化合物を、全血1μl当たり、0.001〜10μmolの範囲になるように添加することが好ましく、より好ましくは0.005〜5μmolの範囲、特に好ましくは0.01〜1μmolの範囲である。具体的には、前記テトラゾリウム化合物が2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩の場合は、全血1μl当たり、0.001〜0.4μmolの範囲になるように添加することが好ましく、より好ましくは0.005〜0.1μmolの範囲、特に好ましくは0.01〜0.07μmolの範囲である。
本発明の測定方法において、前記測定対象物由来の酸化物質が過酸化水素であり、酸化還元反応の測定が、前記過酸化水素量の測定であることが好ましい。
前記過酸化水素量の測定は、酸化酵素と酸化により発色する基質(以下、発色性基質という)とを用いた測定であることが好ましい。
前記発色性基質としては、特に制限されないが、高感度に検出可能であることから、例えば、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムが好ましい。また、前記酸化酵素はペルオキシダーゼであることが好ましい。
本発明の測定方法において、前記試料の種類は、特に制限されず、全血、血漿、血清、血球等の他に、例えば、尿、髄液等の生体試料や、ジュース等の飲料水、醤油、ソース等の食品類等の試料に対しても適用できる。
本発明の測定方法において、測定対象物としては、例えば、全血中成分、赤血球内成分、血漿中成分、血清中成分、尿成分、髄液成分等があげられるが、好ましくは赤血球内成分である。前記赤血球内成分としては、例えば、糖化ヘモグロビン、糖化アルブミン等の糖化タンパク質、糖化ペプチド、糖化アミノ酸、グルコース、尿酸、コレステロール、クレアチニン、サルコシン、グリセロール等があげられ、より好ましくは糖化タンパク質である。例えば、前記赤血球成分を測定する場合、全血をそのまま溶血させたものを試料としてもよいし、全血から赤血球を分離して、前記赤血球を溶血させたものを試料として用いてもよい。
本発明の測定方法において、前記糖化タンパク質の糖部分をFAODで酸化分解することにより過酸化水素を生成させることが好ましい。また、前記糖化ペプチド、糖化アミンも、同様にFAODを作用させることが好ましい。なお、前記糖化タンパク質や糖化ペプチドは、必要に応じて、前記FAOD処理前に、プロテアーゼ処理することが好ましい。
前記FAODとしては、下記式(1)に示す反応を触媒するFAODであることが好ましい。
Figure 2007020581
前記式(1)において、R1は、水酸基もしくは糖化反応前の糖に由来する残基(糖残基)を意味する。前記糖残基(R1)は、反応前の糖がアルドースの場合はアルドース残基であり、反応前の糖がケトースの場合、ケトース残基である。例えば、反応前の糖がグルコースの場合は、アマドリ転位により、反応後の構造はフルクトース構造をとるが、この場合、糖残基(R1)は、グルコース残基(アルドース残基)となる。この糖残基(R1)は、例えば、
−[CH(OH)]n−CH2OH
で示すことができ、nは、0〜6の整数である。
前記式(1)において、R2は、特に制限されないが、例えば、糖化アミノ酸、糖化ペプチドまたは糖化タンパク質の場合、α−アミノ基が糖化されている場合と、それ以外のアミノ基が糖化されている場合とで異なる。
前記式(1)において、α−アミノ基が糖化されている場合、R2は、下記式(2)で示すアミノ酸残基またはペプチド残基である。
Figure 2007020581
前記式(2)において、R3はアミノ酸側鎖基を示す。また、R4は水酸基、アミノ酸残基またはペプチド残基を示し、例えば、下記式(3)で示すことができる。下記式(3)において、nは、0以上の整数であり、R3は、前述と同様にアミノ酸側鎖基を示す。
Figure 2007020581
また、前記式(1)において、α−アミノ基以外のアミノ基が糖化されている(アミノ酸側鎖基が糖化されている)場合、R2は下記式(4)で示すことができる。
Figure 2007020581
前記式(4)において、R5は、アミノ酸側鎖基のうち、糖化されたアミノ基以外の部分を示す。例えば、糖化されたアミノ酸がリジンの場合、R5
−CH2−CH2−CH2−CH2
であり、
例えば、糖化されたアミノ酸がアルギニンの場合、R5は、
−CH2−CH2−CH2−NH−CH(NH2)−
である。
また、前記式(4)において、R6は、水素、アミノ酸残基またはペプチド残基であり、例えば、下記式(5)で示すことができる。なお、下記式(5)において、nは0以上の整数であり、R3は、前述と同様にアミノ酸側鎖基を示す。
Figure 2007020581
また、前記式(4)において、R7は、水酸基、アミノ酸残基またはペプチド残基であり、例えば、下記式(6)で示すことができる。なお、下記式(6)において、nは0以上の整数であり、R3は、前述と同様にアミノ酸側鎖基を示す。
Figure 2007020581
本発明の測定方法において、試料中の前記還元物質は、特に制限されないが、その分子量が、例えば、10,000以上であり、好ましくは10,000〜3,000,000の範囲であり、より好ましくは10,000〜300,000の範囲であり、特に好ましくは30,000〜100,000の範囲である。
また、試料中の前記還元物質はタンパク質であることが好ましい。前記タンパク質の分子量は、例えば、3,000以上であり、好ましくは、3,000〜3,000,000の範囲、より好ましくは10,000〜300,000の範囲、特に好ましくは30,000〜100,000の範囲である。このような還元物質としては、例えば、ヘモグロビン、グロビン、グロブリン、アルブミン等があげられ、好ましくは、ヘモグロビンである。
つぎに、本発明の測定方法について、血球中の糖化タンパク質を測定する例をあげて説明する。
まず、全血をそのまま溶血し、または全血から遠心分離等の常法により血球画分を分離してこれを溶血し、溶血試料を調製する。この溶血方法は、特に制限されず、例えば、界面活性剤を用いる方法、超音波による方法、浸透圧の差を利用する方法等が使用できる。この中でも、操作の簡便性等の理由から、前記界面活性剤を用いる方法が好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン−p−t−オクチルフェニル エーテル(Triton系界面活性剤等)、ポリオキシエチレン ソルビタン アルキル エステル(Tween系界面活性剤等)、ポリオキシエチレン アルキル エーテル(Brij系界面活性剤等)等の非イオン性界面活性剤が使用でき、具体的には、例えば、TritonX−100、Tween−20、Brij35等があげられる。前記界面活性剤による処理条件は、通常、処理溶液中の血球濃度が、1〜10体積%の場合、前記処理溶液中の濃度が0.01〜5重量%になるように前記界面活性剤を添加し、室温で、数秒(約5秒)〜10分程度攪拌すればよい。
つぎに、前記溶血試料に対し、前記テトラゾール環構造を有するテトラゾリウム化合物を添加し、試料の前処理を行なう。
前記テトラゾリウム化合物は、例えば、前処理溶液中の血球濃度が、1〜10体積%の場合、濃度0.02〜2000mmol/リットルの範囲になるように添加することが好ましく、より好ましくは0.1〜1000mmol/リットルの範囲、特に好ましくは0.4〜200mmol/リットルの範囲である。具体的に、前記テトラゾリウム化合物が 2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩の場合は、濃度0.02〜80mmol/リットルの範囲になるように添加することが好ましく、より好ましくは0.1〜20mmol/リットルの範囲、特に好ましくは0.2〜15mmol/リットルの範囲である。
前記前処理は、通常、緩衝液中で行われる。前記緩衝液は、例えば、CHES緩衝液、CAPSO緩衝液、CAPS緩衝液、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、EPPS緩衝液、HEPES緩衝液等が使用できる。そのpHは、例えば、6〜13の範囲であり、好ましくは8〜12の範囲、より好ましくは9〜11の範囲である。また、前記前処理溶液中における前記緩衝液の最終濃度は、例えば、1〜400mmol/リットルの範囲であり、好ましくは10〜200mmol/リットルの範囲である。
この前処理の条件は、特に制限されないが、通常、温度10〜37℃の範囲であり、処理時間10秒〜60分の範囲である。
前記テトラゾリウム化合物は、そのまま使用してもよいが、操作の簡便性や処理効率等の点から、溶媒に溶解したテトラゾリウム化合物溶液として使用することが好ましい。前記溶液の濃度は、テトラゾリウム化合物の種類(例えば、分子量等)等により適宜決定でき、例えば、0.01〜120mmol/リットルの範囲であり、好ましくは0.1〜50mmol/リットルの範囲、より好ましくは0.2〜20mmol/リットルの範囲である。前記溶媒としては、例えば、蒸留水、生理食塩水、緩衝液等が使用でき、前記緩衝液としては、例えば、前述と同様の緩衝液が使用できる。なお、前記テトラゾリウム化合物は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
つぎに、この前処理済み溶血試料に対し、プロテアーゼ処理を行う。これは、後の処理に使用するFAODを測定対象物に作用し易くするためである。
前記プロテアーゼの種類は、特に制限されず、例えば、プロテアーゼK、ズブチリシン、トリプシン、アミノペプチダーゼ等が使用できる。前記プロテアーゼ処理は、通常、緩衝液中で行われ、その処理条件は、使用するプロテアーゼの種類、測定対象物である糖化タンパク質の種類およびその濃度等により適宜決定される。
具体的には、例えば、前記プロテアーゼとしてプロテアーゼKを用いて前記前処理済み溶血試料を処理する場合、通常、反応液中のプロテアーゼ濃度10〜30,000mg/リットル、反応液中の血球濃度0.05〜15体積%、反応温度15〜37℃、反応時間1分〜24時間、pH6〜12の範囲である。また、前記緩衝液の種類も特に制限されず、例えば、トリス塩酸緩衝液、EPPS緩衝液、PIPES緩衝液等が使用できる。
つぎに、前記プロテアーゼ処理により得られた分解物を、前記FAODで処理する。このFAOD処理により、前記式(1)に示す反応が触媒される。
このFAOD処理は、前記プロテアーゼ処理と同様に緩衝液中で行うことが好ましい。その処理条件は、使用するFAODの種類、測定対象物である糖化タンパク質の種類およびその濃度等により適宜決定される。
具体的には、例えば、反応液中のFAOD濃度50〜50,000U/リットル、反応液中の血球濃度0.01〜1体積%、反応温度15〜37℃、反応時間1〜60分、pH6〜9の範囲である。また、前記緩衝液の種類も特に制限されず、前記プロテアーゼ処理と同様の緩衝液が使用できる。
つぎに、前記FAOD処理で生成した過酸化水素を、PODおよび前記発色性基質を用いて酸化還元反応により測定する。
前記発色性基質としては、例えば、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウム、オルトフェニレンジアミン(OPD)、トリンダー試薬と4−アミノアンチピリンとを組み合せた基質等があげらる。前記トリンダー試薬としては、例えば、フェノール、フェノール誘導体、アニリン誘導体、ナフトール、ナフトール誘導体、ナフチルアミン、ナフチルアミン誘導体等があげらる。また、前記アミノアンチピリンの他に、アミノアンチピリン誘導体、バニリンジアミンスルホン酸、メチルベンズチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)、スルホン化メチルベンズチアゾリノンヒドラゾン(SMBTH)等も使用できる。このような発色性基質の中でも、特に好ましくは、前述のように、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムである。
前記酸化還元反応は、通常、緩衝液中で行われ、その条件は、前記生成した過酸化水素の濃度等により適宜決定される。通常、反応液中のPOD濃度10〜100,000IU/リットル、発色性基質濃度0.005〜30mmol/l、反応温度15〜37℃、反応時間0.1〜30分、pH5〜9である。また、前記緩衝液は、特に制限されず、例えば、前記プロテアーゼ処理およびFAOD処理等と同様の緩衝液等が使用できる。
前記酸化還元反応において、例えば、前記発色性基質を用いた場合、前記反応液の発色程度(吸光度)を分光光度計で測定することにより、過酸化水素の量を測定できる。そして、例えば、この過酸化水素濃度と検量線等とを用いて、試料中の糖化タンパク質量を求めることができる。
なお、前記過酸化水素量は、前記POD等を用いた酵素的手法の他に、例えば、電気的手法により測定することもできる。
この測定方法において、テトラゾリウム化合物による前処理工程は、前述のように、酸化還元反応が実質的に生じる前であれば、特に制限されないが、前記FAOD処理後に過酸化水素が発生することから、前記FAOD処理前に行なうことが好ましい。また、各処理工程は、前述のように別々に行ってもよいが、例えば、以下に示すような組み合わせで同時に行ってもよい処理工程がある。
1:溶血処理+前処理
2:溶血処理+前処理+プロテアーゼ処理
3:プロテアーゼ処理+FAOD処理
4:FAOD処理+POD酸化還元処理
5:プロテアーゼ処理+FAOD処理+POD酸化還元処理
また、前記FAOD、PODおよび発色性基質の添加順序も、特に制限されない。
このように、試料にテトラゾリウム化合物を接触させることにより、GSH、AsA、ジチオスレイトール、システイン、N−アセチル−システイン等の低分子量還元物質による影響だけでなく、例えば、タンパク質や前述のような分子量の範囲である還元物質による影響も回避することができる。
また、本発明の測定方法の前記テトラゾリウム化合物による前処理工程において、例えば、前記テトラゾリウム化合物以外の酸化剤を、さらに併用してもよい。前記酸化剤としては、例えば、ヨード酢酸ナトリウム、ヨーソ酸、過ヨウ素酸等のハロゲン酸化物、EDTA−Fe、アスコルビン酸オキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ等が使用できる。このような酸化剤の添加量は、例えば、試料1μl当たり0.001〜0.1mgの範囲である。
本発明の測定方法において、測定対象物は、酸化還元反応を利用するものであれば、特に制限されず、前記糖化タンパク質の他に、例えば、前述のように、糖化ペプチド、糖化アミノ酸、グルコース、コレステロール、尿酸、クレアチニン、サルコシン、グリセロール等があげられる。
例えば、過酸化水素を発生させて、前記各測定対象物の量を測定する場合は、例えば、前記グルコースにはグルコースオキシダーゼを、前記コレステロールにはコレステロールオキシダーゼを、前記尿酸にはウリカーゼを、前記クレアチニンにはサルコシンオキシダーゼを、前記サルコシンにはサルコシンオキシダーゼを、前記グリセロールにはグリセロールオキシダーゼを、それぞれ作用させて過酸化水素を発生させればよい。この過酸化水素量の測定方法は、前述と同様にして行なうことができる。また、糖化ペプチド、糖化アミノ酸は、例えば、前記糖化タンパク質の測定と同様にして測定できる。
また、前記テトラゾリウム化合物による試料中の還元物質の処理後、測定対象物由来の還元物質を発生させ、この量を酸化還元反応により測定し、この測定値から、前記測定対象物の量を決定する場合は、例えば、以下に示すようにして測定を行なうことができる。
例えば、前記測定対象物がグルコースの場合、例えば、NADやNADP等の存在下、グルコースデヒドロゲナーゼを用いて、NADHやNADPH等の還元物質を発生させる。そして、前記測定対象物由来の還元物質であるNADHやNADPHを、例えば、ジアホラーゼと、還元により発色する基質とを用いて、酸化還元反応により測定する。そして、前述のように、例えば、この測定対象物由来の還元物質の濃度と検量線等とを用いて、試料中の測定対象物の量を求めることができる。また、例えば、測定対象物がコレステロールの場合はコレステロールデヒドロゲナーゼを、サルコシンの場合は、サルコシンデヒドロゲナーゼをそれぞれ使用できる。
前記還元により発色する基質としては、特に制限されないが、例えば、前記試料中の還元物質の影響を排除するために添加した発色性のテトラゾリウム化合物を用いてもよい。また、各測定波長に応じて、前記試料の前処理に使用したものとは違う種類の発色性のテトラゾリウム化合物を使用してもよい。前記発色性のテトラゾリウム化合物の他には、例えば、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール等も使用できる。なお、より優れた信頼性の測定値を得るために、例えば、前記測定対象物由来の還元物質を測定する前に、予め吸光度を測定しておくことが好ましい。
このように、前記テトラゾリウム化合物を用いて試料を処理すれば、前記低分子量還元物質だけでなく、例えば、前述のようなタンパク質等の高分子量還元物質の影響も回避できる。このため、分子量1万以上の還元物質や、タンパク質である還元物質が影響する場合は、前記全血試料だけには限定されず、前述のような各種試料に対しても適用できる。全血試料以外の試料を用いる場合は、前記試料が異なる以外は同様の試薬を用いて、同様にして測定することができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
(実施例1、比較例1)
この実施例は、試料をテトラゾリウム化合物で前処理し、前記試料中の還元物質の影響を排除した例である。以下に、使用した試薬および方法を示す。
(界面活性剤溶液)
ポリオキシエチレン(10)−p−t−オクチルフェニル エーテル(以下、Triton X−100という)を、濃度0.1体積%になるように精製水と混合して調製した。
(WST−3溶液)
濃度が1mmol/リットルになるように、精製水に 2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム,モノナトリウム塩(WST−3、同仁化学研究所社製)を溶解して調製した。
(フルクトシルバリン溶液)
フルクトシルバリン(以下、FVという)は、特開平2−69644号公報にしたがって製造した(以下、同じ)。前記FVを、濃度50μmol/リットルになるように0.5mol/リットルTris−HCl緩衝液(pH8.0)に添加して調製した。
(酸化還元反応溶液A)
FAOD(旭化成工業社製:以下同じ) 28.6KU/リットル
POD(東洋紡社製:以下、同じ) 14.3KU/リットル
DA−64(和光純薬工業社製:以下、同じ) 28.6μmol/リットル
蒸留水 残分
健常者の全血を遠心分離(1630G、10分間)して血球を回収した。そして、前記血球を前記Triton X−100溶液で、20倍(体積)希釈し、溶血させたものを溶血試料とした。
前記試料50μlに、0.5mol/リットル CHES緩衝液(PH9.0)50μlを添加してから、前記WST−3溶液100μlを添加し、攪拌後、37℃で10分間処理した。前記処理後、前記処理済み試料に、前記FV溶液400μlを添加してから、前記酸化還元反応溶液A 1400μlを添加し、反応を開始した。そして、反応溶液の726nmにおける吸光度を測定した。
コントロールとしては、前記溶血試料の代り蒸留水を用いた以外は、前述と同様にして測定を行なった。比較例1としては、前記WST−3溶液の代りに蒸留水を用いた以外は、前記実施例1と同様にして測定を行なった。
そして、これらの測定値を下記式(数1)に代入し、コントロールの吸光度を100%とした時の相対値(%)を求めた。これらの結果を下記表1に示す。
Figure 2007020581
Figure 2007020581
このように、血球の溶血試料をテトラゾリウム化合物で処理することにより、前記試料中の還元物質の影響を排除でき、測定の信頼性が向上した。
(比較例2および比較例3)
実施例1と同様にして血球を回収し、これを1.0体積%Triton X−100溶液で、5倍(体積)希釈し、溶血させたものを溶血試料とした。この溶血試料50μlに、1.0mol/リットル ヨード酢酸ナトリウム(Aldorich社製:以下、同じ)溶液150μlを添加し、攪拌後、37℃で10分間処理した。前記処理後、前記処理済み試料に、前記FV溶液400μlを添加し、続いて、前記酸化還元反応溶液A 1400μlを添加して反応を開始した。そして、前記実施例1と同様にして吸光度を測定し、コントロールに対する相対値(%)を求めた。これを比較例2とした。なお、コントロールとしては、前記溶血試料の代りに蒸留水を用いた以外は、前述と同様にして測定を行なった。
比較例3は、前記ヨード酢酸ナトリウム溶液の代りに蒸留水を添加した以外は、前記実施例1と同様にして測定を行なった。これらの結果を下記表2に示す。
Figure 2007020581
前記表2に示すように、従来から使用されている酸化剤であるヨード酢酸ナトリウムでは、溶血試料中の還元物質の影響を回避できないことが確認できた。
(比較例4)
この比較例は、赤血球の溶血試料を分子量分画してから、ヨード酢酸ナトリウムで処理した例である
ヘパリンを添加した健常者血液10mlを遠心分離(1630G、10分間)し、血漿層および白血球層をピペットで除去した。得られた赤血球層に、生理食塩水加え、前記赤血球が溶血しないように、ゆっくり混和してから、前述と同様に遠心分離を行ない、上清を除去した。この一連の洗浄操作は、3回繰り返し行なった。つぎに、得られた赤血球に、同量(体積)の蒸留水を加えて完全に溶血させた後、再度、遠心分離(4530G、10分間)を行ない、膜成分を除去した溶液を試料1とした。
つぎに、試料1を、CENTRIPREP 30(ミリポア社製)を用いて、遠心分離(1630G、4時間)することにより限外濾過した。前記CENTRIPREP 30に残った分子量3万以上の画分を、試料2とし、濾液を試料3とした。
つぎに、前記試料3を、さらに、CENTRIPREP 10(ミリポア社製)を用いて、遠心分離(1630G、2時間)することにより限外濾過した。前記CENTRIPREP 10に残った分子量1万以上3万未満の画分を試料4とし、濾液を試料5とした。
そして、前記各試料を蒸留水で希釈した希釈溶液200μlに、前記FV溶液400μlを添加し、続いて、前記酸化還元反応溶液A 1400μlを添加して反応を開始した。そして、前記実施例1と同様にして吸光度を測定し、コントロールに対する相対値(%)を求めた。なお、前記試料1〜2は、蒸留水により80倍に希釈し、試料3〜試料5は、10倍に希釈した。コントロールとしては、前記溶血試料の代り蒸留水を用いた以外は、前述と同様にして測定を行なった。
また、前記各試料の希釈溶液50μlに対し、前記ヨード酢酸ナトリウム溶液150μlを添加し、攪拌後、37℃で10分間処理した。そして、前記処理済み希釈試料に、前記FV溶液400μlを添加し、続いて、前記酸化還元反応溶液A 1400μlを添加して反応を開始した。前記実施例1と同様にして吸光度を測定し、コントロールに対する相対値(%)を求めた。これらの結果を下記表3に示す。
Figure 2007020581
前記表3に示すように、試料1(未分画)および試料2(分子量3万以上の画分)については、ほとんど測定することができなかった。また、前記試料1および試料2をヨード酢酸ナトリウムで処理しても、同様に、ほとんど測定できなかった。このことから、ヨード酢酸ナトリウムでは、1万以上、特に3万以上の還元物質についての影響を、ほとんど回避できないことがわかった。
(実施例2、比較例5)
この実施例は、各種テトラゾリウム化合物を用いて、血液試料を処理して、前記試料中の還元物質の影響を排除した例である。以下に、使用したテトラゾリウム化合物の化合物名とその構造を示す。
(1)テトラゾール環の3箇所にベンゼン環構造置換基を有するテトラゾリウム化合物
(1−1)WST−1
Figure 2007020581
2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム,モノナトリウム塩
(1−2)WST−3
Figure 2007020581
2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム,モノナトリウム塩
(1−3)WST−8
Figure 2007020581
2−(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム,モノナトリウム塩
(1−4)INT
Figure 2007020581
2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−フェニル−2H−テトラゾリウム クロライド
(1−5)Neo−TB
Figure 2007020581
3,3’−(1,1’−ビフェニル−4,4’−ジル)−ビス(2,5−ジフェニル)−2H−テトラゾリウム
クロライド
(1−6)NTB
Figure 2007020581
3,3’−[3,3’−ジメトキシ−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジル]−ビス[2−(4−ニトロフェニル)−5−フェニル−2H−テトラゾリウム クロライド]
(1−7)B329
Figure 2007020581
2,3−ジフェニル−5−(4−クロロフェニル)テトラゾリウム クロライド
(1−8)D0883
Figure 2007020581
2,5−ジフェニル−3−(p−ジフェニル)テトラゾリウム クロライド
(1−9)D0884
Figure 2007020581
2,3−ジフェニル−5−(p−ジフェニル)テトラゾリウム クロライド
(1−10)D0915
Figure 2007020581
2,5−ジフェニル−3−(4−スチリルフェニル)テトラゾリウム クロライド
(1−11)T324
Figure 2007020581
2,5−ジフェニル−3−(m−トリル)テトラゾリウム クロライド
(1−12)T326
Figure 2007020581
2,5−ジフェニル−3−(p−トリル)テトラゾリウム クロライド
(2)テトラゾール環の2箇所にベンゼン環構造置換基を有し、1箇所にその他の環構造置換基を有するテトラゾリウム化合物
(2−1)B0325
Figure 2007020581
2,3−ジフェニル−5−(2−チエニル)テトラゾリウム クロライド
(2−2)WST−4
Figure 2007020581
2−ベンゾチアゾイル−3−(4−カルボキシ−2−メトキシフェニル)−5−[4−(2−スルホエチル カルバモイル)フェニル]−2H−テトラゾリウム
(2−3)WST−5
Figure 2007020581
2,2’−ジベンゾチアゾイル−5,5’−ビス[4−ジ(2−スルホエチル)カルバモイルフェニル] −3,3’−(3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレン)ジテトラゾリウム,ジナトリウム塩
(2−4)MTT
Figure 2007020581
3−(4,5−ジメチル−2−チアゾイル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウム クロライド
(3)テトラゾール環の2箇所にベンゼン環構造置換基を有し、1箇所に環構造以外の置換基を有するテトラゾリウム化合物
(3−1)B0293
Figure 2007020581
2,3−ジフェニル−5−シアノテトラゾリウム クロライド
(3−2)B295
Figure 2007020581
2,3−ジフェニル−5−カルボキシテトラゾリウム クロライド
(3−3)B313
Figure 2007020581
2,3−ジフェニル−5−メチルテトラゾリウム クロライド
(3−4)B319
Figure 2007020581
2,3−ジフェニル−5−エチルテトラゾリウム クロライド
なお、WST−1、WST−3、WST−8、WST−4、WST−5、INT、MTT、NTB、Neo−TBは、同仁化学研究所製、その他は、東京化成社製である。
(FV溶液)
前記FVを、濃度10μmol/リットルになるように0.145mol/リットルKPB(pH7.0)に添加して調製した。
(酸化還元反応溶液B)
FAOD 73KU/リットル
POD 219KU/リットル
DA−64 146μmol/リットル
蒸留水 残分
1.0mol/リットル CAPSO緩衝液(pH10.0)25μlに、前記10体積% Triton X−100溶液41.3μlおよび健常者の全血1.65μlを添加し、蒸留水で250μlに定量した。そして、これを精製水で3倍(体積)希釈したものを溶血試料とした。
前記溶血試料250μlに、各種テトラゾリウム化合物溶液150μlを添加し、攪拌後、37℃で60分間処理した。そして、前記処理済み試料25μlに、前記FV溶液55μlを添加してから、前記酸化還元反応溶液B 15μlを添加し、反応を開始した。そして、前記実施例1と同様にして吸光度を測定し、コントロールに対する相対値(%)を求めた。なお、前記テトラゾリウム化合物溶液の濃度は、WST−5については0.5mmol/リットルとし、それ以外の溶液は濃度5mmol/リットルとした。
コントロールとしては、前記溶血試料の代り蒸留水を用いた以外は、前述と同様にして測定を行なった。比較例5としては、前記テトラゾリウム化合物溶液の代りに蒸留水を用いた以外は、前記実施例2と同様にして測定を行なった。これらの結果を下記表4に示す。
Figure 2007020581
前記表4に示すように、溶血試料を前記各種テトラゾリウム化合物で処理することにより、測定値の信頼性が向上した。特に、テトラゾール環の3箇所にベンゼン環構造置換基を有するテトラゾリウム化合物(1−1)〜(1−12)によれば、さらに信頼性に優れた測定値を得ることができた。
(実施例3)
この実施例は、テトラゾリウム化合物としてWST−3、WST−1、WST−8およびINTを用い、処理時のpHを変化させた例である。以下に、使用した緩衝液を示す。
(緩衝液)
1.0mol/リットル CHES緩衝液(pH9.0)
1.0mol/リットル CAPSO緩衝液(pH10.0)
1.0mol/リットル CAPS緩衝液(pH11.0)
前記各緩衝液をそれぞれ用いた以外は、前記実施例2と同様にして、前記各テトラゾリウム化合物を用いた処理を行い、吸光度の測定を行なった。なお、相対値は、WST−3のpH10.0における吸光度を100%として求めた。その結果、前記各テトラゾリウム化合物について、前記各緩衝液(pH9、10、11)を用いても、これらの相対値は100%であり、pHによる影響は見られなかった。
(実施例4、比較例6)
この実施例は、反応溶液における全血試料の最終希釈倍率が約100倍になるように設定して、WST−3により処理を行なった例である。
健常者の全血33μlおよび1.0mol/リットル CAPSO緩衝液(pH10)50μlを用いた以外は、前記実施例2と同様にして溶血を行ない、蒸留水125.7μlを添加することにより、250μlに定量した。そして、これを精製水で3倍(体積)希釈したものを溶血試料とした。
前記溶血試料25μlに、5mmol/リットルWST−3溶液15μlを添加し、攪拌後、37℃で5分間処理した。そして、前記処理済み試料に、6μmol/リットルFV溶液55μlを添加してから、前記酸化還元反応溶液B 15μlを添加し、反応を開始した。そして、前記実施例1と同様にして吸光度を測定し、コントロールに対する相対値(%)を求めた。コントロールとしては、前記溶血試料の代りに蒸留水を用いた以外は、前述と同様にして測定を行なった。比較例6としては、前記WST−3溶液の代りに蒸留水を用いた以外は、前述と同様にして測定を行なった。これらの結果を下記表5に示す。
Figure 2007020581
実施例4では、全血試料の最終希釈倍率を低くすることによって、反応溶液中の還元物質濃度が高くなっても、前記表5に示すように還元物質の影響を排除でき、優れた信頼性の測定値を得ることができた。これに対し、WST−3で処理しない比較例6では、反応開始直後、わずかに発色が見られたが、すぐに退色がおこり、5分経過後には完全に退色した。このため、吸光度を測定できず、前記表5に示すように相対値は0%であった。

Claims (4)

  1. 試料中の測定対象物を酸化還元反応を用いて測定する方法であって、前記酸化還元反応に先立ち、試料にテトラゾリウム化合物を添加して前記試料中に含まれる還元物質の影響を排除し、その後、前記測定対象物由来の還元物質または酸化物質を発生させ、この量を酸化還元反応により測定し、この測定値から前記測定対象物の量を決定する測定方法。
  2. テトラゾリウム化合物が、テトラゾール環の少なくとも二箇所にベンゼン環構造置換基を有する請求項1記載の測定方法。
  3. テトラゾリウム化合物が、テトラゾール環の2位および3位にベンゼン環を有し、前記ベンゼン環のうち少なくとも一方が、ハロゲン基、カルボキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メトキシ基およびエトキシ基からなる群から選択された少なくとも一つの官能基を有する請求項1または2記載の測定方法。
  4. テトラゾリウム化合物が、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩である請求項1〜3のいずれか一項に記載の測定方法。
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