JP2007014229A - 血液から分離した単核細胞を試験管内で増幅させる方法 - Google Patents

血液から分離した単核細胞を試験管内で増幅させる方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 試験管内において、ヒト臍帯血またはヒト末梢血から分離した単核細胞もしくはPCLP1陽性細胞を培養することによって、造血幹細胞を増やす方法を提供すること。
【解決手段】 次の工程、(1)ヒト臍帯血またはヒト末梢血からPCLP1陽性細胞を含む細胞群を分離する分離工程、及び(2)造血支持活性を持つストローマ細胞に対して特異的に反応する抗体によって刺激を受けたストローマ細胞と、前記PCLP1陽性細胞を含む細胞群とを共に培養する共培養工程、を含むことを特徴とする単核細胞の試験管内培養方法によって達成される。上記抗体として、本発明者が開発したモノクローナル抗体4F1を用いることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ヒト臍帯血またはヒト末梢血から分離したPCLP1陽性細胞を含む細胞群を培養することによって、造血幹細胞を試験管内で増やす技術に関するものである。
医療の進歩に伴って、高度な技術が発達してきている。例えば、数十年前には不治の病であった白血病は、化学療法、放射線療法、骨髄移植などの治療方法によって、完治や緩解による長期生存が可能となってきた。このうち、骨髄移植は、より正確には、造血幹細胞の移植である。造血幹細胞の移植方法としては、主として骨髄移植があるが、この他にも、ドナーにG-CSFを投与して末梢血中の造血幹細胞を増加させた後に末梢血から造血幹細胞を分離精製して移植する方法(末梢血幹細胞移植)、又は造血幹細胞を多く含む臍帯血移植法がある。
しかしながら、上記造血幹細胞移植法では、いくつかの問題点がある。例えば、骨髄移植では、麻酔に伴う合併症が挙げられる。少ないながらも、麻酔に伴うドナーの死亡例や、麻酔薬による肝障害、一部の特殊な体質の人で筋肉が融解するという合併症も知られている。骨髄の採取量は、数百ミリリットルとなるので、大量出血と同程度の負担が体にかかるため、予めドナー自身の血液を貯めておいて手術中に体に戻すという操作も必要となる。また、骨盤の数十カ所以上に針を刺すので、麻酔覚醒後に痛みが続くことがあり、長い場合には2週間以上も腰の鈍痛が続くことがある。更に、発熱や骨髄穿刺部からの出血がしばしば発生する。
また、末梢血幹細胞移植では、全身麻酔を必要としないものの以下のような欠点がある。この方法では、ドナーに造血幹細胞を増加させるためにG-CSFを投与するので、その副作用が問題となる。G-CSFを大量投与すると、骨髄で細胞が増殖することに伴う骨の痛みが出現するだけでなく、末梢血の白血球数が上昇して血液が固まりやすい状態となり、末梢血採取中に心筋梗塞、脳梗塞などを起こすことがある。また、G-CSFの影響で脾臓が大きくなって破裂し、手術が必要になったという事例がわずかながら報告されている。
臍帯血移植では、通常はそのまま破棄されている臍帯血を用いるので、ドナーに全く負担がかからないという魅力がある。しかし、臍帯血として採取できる量は、30ml〜200mlのばらつきがあり、平均的には70ml〜80ml程度である。このため、量的な問題から、現時点では30kg程度までの小児しか提供を受けることができない。但し、ドナーに対するリスクがないという理由から、臍帯血移植は骨髄移植に続く次世代移植医療として大変注目されている。
しかしながら、骨髄、G-CSF処理末梢血、臍帯血に存在する造血幹細胞は、血小板や無核細胞である赤血球を除く全有核細胞の1万分の1程度であることから、大量の採血と高度な細胞分離技術が必要であるとされている。特に臍帯血から得られる血液量は、前述のように少ないため、成人患者への移植に十分な造血幹細胞を確保するためには、造血幹細胞を試験管内で増幅する技術の開発が必須な研究課題となっている。
試験管内で造血幹細胞の増殖を制御する液性因子(サイトカイン)およびストローマ細胞が様々に検討されている。サイトカインとしては、インターロイキン3(IL-3)およびインターロイキン6(IL-6)(Paul.Sretal BLOOD 77 1723-1733 1991)、幹細胞因子(SCF)(Toksoz.D etall PNAS 89 7350-7354 1992)、Flt-3リガンド(Flt-3L)(Namikawa.R etal BLOOD 87 1881-1890 1996)、Bone morphogenetic protein 4(BMP4)(Bhatia.M etal JEM 189 1139-1148 1999)、Notch リガンド(Varnum-Finney.B etal BLOOD 91 4084-4091 1998)、Sonic hedgehog(Nature Immunology 2 172-180 2001)等が知られている。しかし、これらのサイトカインを用いた場合であっても、ストローマ細胞を用いることなく、試験管内で造血幹細胞を増殖させて、移植医療に耐える有効な手段は開発されていない。
Paul.Sretal BLOOD 77 1723-1733 1991 Toksoz.D etall PNAS 89 7350-7354 1992 Namikawa.R etal BLOOD 87 1881-1890 1996 Bhatia.M etal JEM 189 1139-1148 1999 Varnum-Finney.B etal BLOOD 91 4084-4091 1998 Nature Immunology 2 172-180 2001
本発明は、上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、試験管内において、ヒト臍帯血またはヒト末梢血から分離したPCLP1陽性細胞を含む細胞群を培養することによって、造血幹細胞を増やす方法等を提供することである。
本発明者は、マウスで得られている造血幹細胞増幅の知見をヒト造血幹細胞の増幅に応用することが出来ないかということを考えた。一般的に、マウスの造血幹細胞を増幅させるサイトカインなどはヒトの造血幹細胞には効果が無いことが知られている(宮島篤,山本雅、サイトカイン実験法、羊土社、1998)。また、マウスのストローマ細胞を用いた造血幹細胞の試験管内での増幅方法は、ヒトには応用することが出来ないとされている。以上のことから、ヒト造血幹細胞の増幅には、ヒトに適応したサイトカインやストローマ細胞を独自に探索することが必要であることが一般的な見解となっている。
本発明者は、マウスにおけるストローマ細胞を用いた造血幹細胞の試験管内培養方法を、ヒトの造血幹細胞の培養に応用することを考えた。まず、試験的にOP9をストローマ細胞として、ヒト末梢血およびヒト臍帯血を播種して共培養を行ってみたものの、従来の知見通り、有意な血球の増幅は確認することが出来なかった。次に、マウスにおいて効果が認められているサイトカインをヒトのサイトカインに変更して試みてみたが、有意な血球の増幅は確認することが出来なかった。
そこで、本発明者は、ストローマ細胞に存在する造血幹細胞の増殖を支持する因子を探索し、それらを利用することによって、ヒト血液幹細胞を試験管内で増幅する方法の開発を試みた。そのため、まずOP9の細胞膜に存在すると考えられる造血支持因子を認識・活性化することができるモノクローナル抗体を生産することを試みた。その結果、OP9に反応性を持つモノクローナル抗体のうち、ヒト造血幹細胞を増幅させることができる機能を持つものを開発した。このモノクローナル抗体をOP9とヒト血液細胞との培養系に添加することによって、これまで不可能であるとされていたOP9を用いたヒト造血幹細胞の増幅を誘導することが可能となった。こうして、発明者は、基本的には本発明を完成するに至った。
本願課題を解決するための発明は、以下の通りである。
[1] 次の工程、(1)ヒト臍帯血またはヒト末梢血からPCLP1陽性細胞を含む細胞群を分離する分離工程、及び(2)造血支持活性を持つストローマ細胞に対して特異的に反応する抗体によって刺激を受けたストローマ細胞と、前記PCLP1陽性細胞を含む細胞群とを共に培養する共培養工程、を含むことを特徴とする単核細胞の試験管内培養方法。
[2] 前記分離工程において、ヒト臍帯血を用いる際には、分離されたPCLP1陽性細胞を含む細胞群は、単核細胞であることを特徴とする[1]に記載の単核細胞の試験管内培養方法。
[3] 前記分離工程において、ヒト末梢血を用いる際には、分離されたPCLP1陽性細胞を含む細胞群は、単核細胞から更に分離されたPCLP1陽性細胞であることを特徴とする[1]に記載の単核細胞の試験管内培養方法。
[4] 前記ストローマ細胞が、OS9であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかひとつに記載の単核細胞の試験管内培養方法。
[5] 前記抗体がモノクローナル抗体であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかひとつに記載の単核細胞の試験管内培養方法。
[6] 前記モノクローナル抗体が、4F1であることを特徴とする[5]に記載の単核細胞の試験管内培養方法。
[7] 前記共培養工程においては、オンコスタチンM(OSM)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、および幹細胞因子(SCF)の存在下で行われることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかひとつに記載の単核細胞の試験管内培養方法。
[8] [1]〜[7]のいずれかひとつに記載の方法で試験管内培養された造血幹細胞。
[9] [8]に記載の造血幹細胞を投与する工程を含むことを特徴とする造血細胞系疾患の治療方法。
次に、本明細書中で使用される用語の定義、及び本発明に係る重要事項の説明を行い、本発明について、更に詳細な説明を行う。
「ES細胞」(胚性幹細胞)は、受精卵からの個体発生の過程において、胚中の内部細胞塊領域から樹立される培養細胞である。マウスES細胞はストローマ細胞(支持細胞)および白血病阻害因子(LIF)などのサイトカイン添加条件下で、未分化な状態を保持したままで、試験管内(in vitro、インビトロ)で増幅させることが出来る細胞株である。ES細胞をマウスの初期胚に注入することによって、導入された細胞は正常な胚発生の中に組み込まれ、インビボ(in vivo)において生殖系列を含む全ての細胞系列に分化することが出来る。
マウスES細胞の試験管内での分化誘導系は、前述のインビボの場合に比べてきわめて限られているものの、血液細胞、血管細胞、筋細胞、神経細胞などに分化誘導させることが可能である。特に、ES細胞から血液細胞への分化誘導技術については、盛んに研究されており、赤血球系、骨髄球系、リンパ球系の全ての細胞に分化誘導可能であることが知られている。例えば、仲野らによって確立されたストローマ細胞を用いた方法は、マウスES細胞を効率よく血液細胞へ分化誘導させる系として良く使用されている(Nakano.T etal Science 265 1098-1101 1994)。ストローマ細胞を用いたマウスES細胞の試験管内分化誘導方法は血液細胞だけに限られず、血管細胞(Nishikawa.SI etal Development 125 1747-1757 1998)および神経細胞(Sasai. E etal PNAS 13 5828-5833 2003)などでも有効な手段として活用されている。
「ストローマ細胞」とは、特定の機能をもつ身体部分において、その機能を担う細胞や組織を取り巻き支持する細胞を意味する。ストローマ細胞は、サイトカインや細胞外マトリックス成分の産生、また細胞表面リガンドを介した直接的な相互作用によって、特定の機能を担う細胞の分化・増殖を促進する。
マウスの造血活性を支持するストローマ細胞としては、M2-10B4(Sutherland.HJ etal BLOOD 78 666-672 1991)、MS-5(Croisille L etal BLOOD 84 4116-4124 1994)、AFT204(Wineman J BLOOD 87 4082-4090 1996)、S17(Colins.LS etal J.Immunology 138 1082-1087 1987)、OP9等があり、いずれの細胞もマウス造血幹細胞の増殖を支持する活性を有することが知られている。これらのうち、OP9は、次述のようにM-CSFを欠損しているので、幹細胞の分化能を維持したままで増加させることができるため有用である。
「OP9」は、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)を欠損する突然変異マウスであるop/opマウスの新生仔頭蓋冠から奥羽大学の小玉らによって確立された細胞株である(Kodama.H 22 979-984 1994)。このOP9は、マウスES細胞を血液および血管細胞に分化誘導させる造血支持活性(幹細胞支持能ともいう)を有するストローマ細胞として、良く利用されている。M-CSFを欠損していないストローマ細胞を用いて、マウスES細胞を血液細胞に分化させた場合には、ほとんどの細胞がマクロファージとなってしまう。そのため、各種の血液細胞に分化させるOP9をストローマ細胞として利用する効果は大きい。
宮島らは胎児組織であるAGM領域から分離した細胞を、OP9との試験管共培養を行うことによって、血液細胞および血管内皮細胞に分化誘導する技術を確立した(Hara.T
etal Immunity 11 567-578 1999)。OP9は、ES細胞のみならずマウス造血組織の初代培養における分化誘導にもストローマ細胞として有効であることが示されている。
また、OP9は、マウス骨髄造血幹細胞を増幅させるストローマ細胞の一つとして利用されている。国立がんセンターの上野らは、OP9が産生する細胞膜蛋白質および分泌蛋白質を対象として、DNAチップおよびシグナルシークエンストラップ法を実施し、マウスにおける造血支持に関与すると考えられる遺伝子群を網羅的に解析した(Ueno.H Nature Immunology May;4(5):457-63 2003)。その結果、mKirre等の細胞膜に存在する遺伝子産物が、マウス造血幹細胞の増殖を活性化することを明らかにした。こうして、OP9の細胞膜表面にはマウス造血幹細胞の増殖を支持する蛋白質が存在していることが示唆された。
一般に、単核細胞(mononuclear cell)(単核球細胞ともいう)とは、結合組織、リンパ組織、血流中に広く分布する単核細胞群であり、単球(monocyte)やリンパ球(T細胞(T cell)、B細胞(B cell)を含む)、組織中に存在するマクロファージ(Mφ)等の細胞群が含まれる。この単核細胞には、単球, 顆粒球, マクロファージ,T cell, B cell, 赤血球などの各種の血液細胞への分化能を有する造血幹細胞が含まれている。
造血幹細胞は、上記単核細胞のうち、PCLP1(podocalyxin-like protein 1)陽性CD45陰性の細胞集団から産生されることが知られている。このため、「PCLP1陽性細胞」を造血支持活性を有するOP9と共に培養することにより、血球産生が認められる。
一般に、「造血幹細胞」は、全ての系譜の血液細胞への多分化能および自己複製能を有している。本発明の造血幹細胞は、少なくとも一種類の血液細胞に分化し得る細胞を含んでいる。そのような血液細胞として、例えば、骨髄球系細胞(例えば、Mac-1/Gr-1陽性細胞)、リンパ球系細胞(例えば、B220/Thy-1陽性細胞)、赤血球系細胞(例えば、Ter119陽性細胞)が例示される。
造血幹細胞の増幅に用いられるサイトカインとしては、例えば、IL-3、IL-6、SCF、Flt-3L、BMP4、Notch リガンド、Sonic hedgehog、オンコスタチンM(OSM)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、エリスロポエチン(EPO)等が知られている。しかしながら、前述のように、骨髄等から得られる造血幹細胞は、試験管内で増幅させることが困難であるとされている。各種のサイトカインを組み合わせて添加した場合でも、ストローマ細胞を用いることなく、試験管内で造血幹細胞を増殖させることは非常に困難である。
本発明においては、まずヒト臍帯血またはヒト末梢血からPCLP1陽性細胞を含む細胞群が分離される。「PCLP1陽性細胞を含む細胞群」とは、例えば約10%程度以上の高い割合でPCLP1陽性細胞を含む単核細胞群、或いは単核細胞から更にPCLP1陽性細胞を分離した細胞群を意味する。ヒト臍帯血から分離された単核細胞には、ヒト末梢血から分離された単核細胞に比べて、高い割合(例えば、約20%〜50%程度)のPCLP1陽性細胞が含まれている。このため、ヒト臍帯血を用いる場合には、単核細胞を分離し、その単核細胞をPCLP1陽性細胞を含む細胞群として、次の共培養工程に用いることができる。
一方、ヒト末梢血から分離された単核細胞には、一般にはそれほど多くのPCLP1陽性細胞が含まれていない。このため、多くの場合には、ヒト末梢血から分離された単核細胞は、更にPCLP1陽性細胞を分離するための二次分離工程が必要となる。但し、現在の末梢血幹細胞移植の際に使用されるG-CSFよりも少量のG-CSFを投与されたヒトの末梢血中には、通常よりも多くのPCLP1陽性細胞が含まれることが予想される。このため、そのようなヒトの末梢血から調製された単核細胞では、二次分離工程を行うことなく、共培養工程を行える可能性がある。この場合には、現在の副作用に比べると小さな副作用で済む。本発明は、そのような方法を含んでいる。
単核細胞は、公知の比重遠心分離法を用いることにより、ヒト臍帯血またはヒト末梢血から分離することができる。
また、単核細胞からPCLP1陽性細胞を分離するには、特定の細胞表面抗原を指標として、抗体分離法(ポリクローナル抗体、或いはモノクローナル抗体)、またはセルソータを用いる方法(例えば、WO 01/034797に記載された方法)を用いることができる。同種骨髄移植(Bone Marrow Transplantation: BMT)においては、一回の治療のために、通常105個/kg〜106個/kg体重程度の造血幹細胞が投与される。このため、本発明の方法によって、BMTに必要な造血幹細胞を培養するには、共培養のはじめに相当程度(例えば、105/kg〜106/kg程度)のPCLP1陽性細胞を分取することが必要となる。臍帯血の場合、骨髄細胞に比べて必要細胞数は10分の1程度でよいため、必要なPCLP1陽性細胞量も臍帯血もそれに相関すると考えられる。
この程度の個数のPCLP1陽性細胞を分離するために、迅速な方法としては、抗体を用いた分離法が好ましい。PCLP1を認識する抗体は、公知である。但し、必要であれば、当業者は次に示す方法によって、PCLP1の検出に必要な抗体を調製することができる。すなわち、PCLP1(好ましくは、ヒトPCLP1であるが、抗体がヒトPCLP1を認識する能力があれば、ヒト以外の哺乳類PCLP1を用いることもできる)をコードするcDNAを単離し、組換え体として発現させる。この組換え体を適当な免疫動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ロバなど)に免疫することによって、免疫動物からPCLP1を認識するポリクローナル抗体を得ることができる。更に、抗体産生細胞をクローニングすることによって、モノクローナル抗体を得ることもできる。
この抗体を固定化した磁性粒子に細胞を反応させ、目的とする細胞を磁性粒子に捕捉することができる。磁性粒子と結合した細胞を磁石装置(例えば、MACS(第一化学))を用いて分離することにより、目的とする細胞を分離・回収できる。単一の細胞表面抗原を指標として細胞を分離、選択する場合には、抗体と磁性粒子を用いる方法は、簡便な方法である。
また、セルソータによる方法では、蛍光標識抗体を用いて、蛍光シグナルを指標として、目的の細胞を分離することができる。波長の異なる蛍光色素で標識された異なる細胞表面抗原に結合する抗体を組み合わせることにより、複数の細胞表面抗原によって細胞を分離・回収できる。
分離されたPCLP1陽性細胞は、造血支持活性を持つストローマ細胞に対して特異的に反応する抗体によって刺激を受けたストローマ細胞と共に培養される。「造血支持活性を持つストローマ細胞に対して特異的に反応する抗体」とは、造血支持活性を持つストローマ細胞に対して反応するが、造血支持活性を失ったストローマ細胞に対しては反応を示さない(或いは、反応が低い)抗体を意味している。「刺激を受けた」とは、(1)共培養工程を開始する前に、予めストローマ細胞と抗体とを反応させて、ストローマ細胞を刺激しておく場合、或いは(2)共培養工程において、培養液中に抗体を含有させておき、共培養工程と共にストローマ細胞を刺激しておく場合のいずれも含まれる。
ストローマ細胞としては、例えば、マウス間質細胞OP9(理化学研究所バイオリソースセンター RCB1124)、マウス間質細胞HESS-5、マウス間質細胞M2-10B4などを例示することができる。これらのうち、好ましくはOS9が用いられる。
また、抗体としては、ポリクローナル抗体、或いはモノクローナル抗体のいずれも使用することができるが、好ましくはモノクローナル抗体、更に好ましくは、発明者らによって開発された4F1を使用する。4F1の製造方法、及び性格については、後に詳述する。この4F1を産生する細胞は、本発明者らによって、Rat-Mouse Hybridoma 4F1 と命名され、受託番号:FERM BP-10347として、特許生物寄託センター(〒305-8566 茨城県つくば市東1-1-1 中央第6 独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター)に受託されている。
また、共培養工程においては、培地中にOSM、bFGF、SCFを添加しておくことが好ましい。
本発明の培養方法によって培養された造血幹細胞は、造血細胞系疾患の患者に投与することができる。「造血細胞系疾患」とは、一次的な疾患自体が造血細胞系に生じた疾患(例えば、白血病、再生不良性貧血などの血液疾患)、及び二次的に造血細胞系に生じた疾患(例えば、放射線治療、抗ガン剤の投与による造血細胞系障害)のいずれも含む。
本発明に用いる造血幹細胞は、患者自身の末梢血または臍帯血から分離されたPCLP1陽性細胞を含む細胞群から調製することができる。また、造血幹細胞は、患者とは異なるドナーから採取された末梢血、または新鮮な臍帯血若しくは臍帯血バンクに凍結保存されている臍帯血から分離されたPCLP1陽性細胞を含む細胞群を用いて、本発明の方法により調製することもできる。
なお、本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
本発明によれば、ヒト臍帯血またはヒト末梢血から分離したPCLP1陽性細胞を含む細胞群から、試験管内で造血幹細胞を増加させることができる。この造血幹細胞は、白血病、再生不良性貧血、免疫不全症などの血液疾患の治療に有効に用いることができる。これらの疾患においては、患者に本方法によって得られる造血幹細胞を自家移植或いは同種移植することによって、疾患の根本的な治療を行うことができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態について、図表を参照しつつ、詳細に説明する。なお、以下の実施例は、本発明を実施するための例に過ぎず、これらの実施例によっては、本発明は限定されない。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
実施例1.ストローマ細胞OP9の造血支持活性を確認する試験方法(コブルストーンアッセイ法:Cobble-stone assay法)の確立
OP9は、増殖スピードが大変遅く、造血支持活性を失いやすいデリケートな細胞であることが知られている(免疫研究の基礎技術、羊土社、p230〜p233)。系代を重ねるうちに、増殖速度が遅くなるという状態、あるいは大型の細胞が増加する等の悪い細胞状態が確認されるようになると、OP9の造血支持活性が失われてしまう。この状態から、再び造血支持活性を復活させることは不可能であるとされている。そこで、OP9の造血支持活性を評価するために、マウス骨髄細胞を用いたコブルストーンアッセイ法を確立した。
<材料>
動物および細胞:OP9(RikenCellBank:RCB1124)、GFPマウス
GFPマウスは、全ての細胞中にgreen fluorescence protein(GFP)を有するマウスであるため、細胞を分離した後に、蛍光顕微鏡等で観察すると、GFPマウス由来細胞が緑に光って観察される。
試薬:RPMI(SIGMA社), HISTOPAQUE-1077(SIGMA-ALDRICH社), 100 unit/ml ペニシリン・ストレプトマイシン/10% FBS/ RPMI (Invitrogen社), 50 μg/ml ゲンタマイシン/15% FBS/DMEM(GIBCO BRL)
ACKバッファー:以下のストック用緩衝液(Stock Buffer)を滅菌処理した後、A' : B = 9 : 1で混合した。
Stock buffer A': 155mM NH4Cl, 10mM KHCO3, 1mM EDTA-2Na
Stock buffer B : 0.17M Tris-HCl (pH 7.65)
マウス幹細胞増殖因子 mSCF(Invitrogen社), 塩基性線維芽細胞増殖因子bFGF(Invitrogen社), マウスオンコスタチンM mOSM(R&D systems社), 抗マウスCD4抗体(ファーミンジェン), 抗マウスCD8抗体(ファーミンジェン), 抗マウスGr-1抗体(ファーミンジェン),抗マウスB220抗体(ファーミンジェン), Dynabeads M-450 Sheep anti-Mouse IgG(ベリタス社)
器具類:滅菌ピペット、ファルコンチューブ、セルストレーナー(ファルコン社)
機器:CO2インキュベーター(SANYO社),遠心分離機(SANYO社),Dynal MPC-1 (ベリタス社)
<方法>
(1)骨髄の回収
マウスに麻酔をかけ、仰向けに解剖台にのせ、70% エタノールを充分に噴霧した。足を手でもち、ハサミで切り込みを入れた。手で皮膚をもち、めくるように上に引っ張って剥いだ。余分な脂肪と筋肉をハサミで切って除去し、足の付け根をハサミで押さえて脱臼させた。大腿骨を摘出し、キムワイプでよく揉んで余分な肉を除去した。大腿骨の両側をハサミで切除した。シリンジに針をつけてOP9培養用培地を0.5 mlとった。培地を入れた15 mlチューブの上にピンセットで大腿骨を持ち、針先を骨の中に入れた。ピストンを一気に押し、大腿骨の中の骨髄を出した。シリンジにOP9培養用培地を0.5 ml入れ、大腿骨を上下逆にして完全に骨髄が出るまで操作を繰り返した。
(2)Lineage陰性細胞の分離
骨髄を回収したチューブを300 xg、5分で遠心して上清を捨てた。ACKバッファーを20 ml加えてピペッティングを行った。氷上で10分静置した。OP9培養用培地を5 ml加えてピペッティングを行った。セルストレーナーで濾して余分な組織やごみを除去した。新しい15 mlチューブに細胞懸濁液を回収した。300 xg、5分で遠心して上清を捨てた。培地を加えてピペッティングを行い、再度300 xgで5分遠心した。上清を捨て、培地を10.5 ml加えて懸濁した。細胞懸濁液を、セルストレーナーで濾過した。細胞数を計測後、1 x107 cells/mlに対して10 μlになるようにFcRブロッカーを加えた。氷上で15分反応させた後、抗マウスTER119抗体、抗マウスCD4抗体、抗マウスCD8抗体、抗マウスGr-1抗体、抗マウスB220抗体を加えて氷上で30分反応させた。培地を加えて15 mlにした後、300 xg、5分遠心した。この操作を2回行った。2回目の遠心の後、上清を捨てDynabeads M-450 Sheep anti-Mouse IgGを1細胞あたり4個になるように加えた。氷上に10分静置した後、培地を加えて300 xgで5分遠心した。上清を捨て、再度培地を加えて300 xgで5分遠心した。上清を捨て、PBS +5% FBSに懸濁した。細胞数を計測した。
(3)共培養
OP9を6ウェルプレートに1ウェルあたり1x104 cellsずつ播種した。37℃で一晩培養した。培地を共培養用の培地と交換した。分離したLineage陰性細胞を1ウェルあたり1x104 cellsずつ播種した。37℃で2週間以上培養した。
<結果>
結果を図1及び表1に示した。
造血支持活性を有するOP9と骨髄由来細胞とを共培養したところ、図1中(A3)に示すように、GFP陽性の栗石状エリア(cobble-stone area)が出現した。このことから、マウス由来の造血幹細胞が増殖していることがわかった。こうして、コブルストーンアッセイ法を確立した。
なお、後の試験のコントロールとするため、造血支持活性を有するOP9と活性が消失したOP9とを、それぞれ細胞凍結して保管した。
実施例2.ストローマ細胞由来造血支持因子に対するモノクローナル抗体の作製方法
本発明者は、上記コブルストーンアッセイ法によって、ストローマ細胞であるOP9の持つ造血支持活性を評価する方法を確立した。このアッセイ法によって評価されたストローマ細胞は、造血支持活性を持つストローマ細胞と造血支持活性を持たないストローマ細胞に、細胞ロットとして分けることができることが判明した。このことは、造血支持活性を持つ細胞ロットは造血支持因子を持つ細胞ロット、造血支持活性を持たない細胞ロットは造血支持因子を持たない細胞ロットであると考えることもできる。そこで、本発明者は造血支持因子を探索するために、造血支持活性が有る細胞ロットと無い細胞ロットに対して、異なる反応性を示すモノクローナル抗体を開発することを試みた。
<材料>
動物:Wister ラット、雌、4週齢(日本クレア)
細胞:OP9(RikenCellBank:RCB1124)、P3・NS1/1・Ag4.1(RikenCellBank:RCB0095)
試薬:Cell dissociation buffer(Invitrogen)、ゲンタマイシン(GIBCO BRL)、complete adjuvant(ヤトロン)、ペニシリン・ストレプトマイシン(GIBCO BRL)、RPMI(SIGMA)、HAT(GIBCO BRL)、HT Supplement(GIBCO BRL)、Fetal Bovine Serum−FBS(MBL)、PBS(SIGMA)、PEG4000(MERCK)、ジエチルエーテル(和光化学)、FcR ブロッカー(BD ファーミンジェン)、Rat IgG(BD ファーミンジェン)、Goat F(ab’)2 Anti-Rat IgG(H+L) FITC, Mouse Adsorbed (Southern Biotechnology)、HISTOPAQUE-1077(SIGMA-ALDRICH社)
ACKバッファー(前述「1<材料>」中に記載のもの)
mSCF(Invitrogen)、bFGF(Invitrogen)、mOSM(R&D systems)
器具類:ハサミ、ピンセット、キムワイプ、パスツールピペット、スピッツ管、ラバーポリスマン、滅菌ピペット(ファルコン)、50 ml チューブ(ファルコン)、15 ml チューブ(ファルコン)、10 cm 培養ディッシュ(ファルコン)、6 cm 培養ディッシュ(ファルコン)、25 cm2 培養フラスコ(ファルコン)、75 cm2 培養フラスコ(ファルコン)、225 cm2培養フラスコ(ファルコン)、96ウェルマイクロプレート(ファルコン)、48ウェルプレート(ファルコン)、24ウェルロプレート(ファルコン)、12ウェルプレート(ファルコン)、6ウェルマイクロプレート(ファルコン)、96ウェルフレキシブルプレート(ファルコン)、セルストレーナー(ファルコン)、1 ml シリンジ(テルモ)、21G 注射針(テルモ)、26G 注射針(テルモ)、サンプルチューブ(ベックマン・コールター)
機器:CO2インキュベーター(SANYO)、FC500(ベックマン・コールター)
<方法>
(1)免疫用のOP9の準備
培養中のOP9をCell dissociation bufferを用いてはがし、300 xg、5分遠心して上清をアスピレーターで吸った。OP9培養用の培地(50 μg/mlゲンタマイシン、15% FBS、DMEM)を加えて懸濁して細胞数を計測した。ゼラチンコートした6ウェルプレートにOP9を1ウェルあたり1 x 104個播種して37℃で一晩培養した。残りの細胞は 300 xg、5分遠心して上清をアスピレーターで吸った。セルバンカーを加えて懸濁し、凍結保存を行った。6ウェルプレートに播種したOP9は、マウス胎仔肝から分離したPCLP1陽性細胞と共培養を行い、血球産生が認められるかどうかを確認した。
(2)免疫
フロイント完全アジュバント(Freund complete adjuvant)とPBSを等量とって混合した(以下、混合物を単に「アジュバント」という)。26G注射針をつけた1 mlシリンジに400 μlのアジュバントを入れ、ジエチルエーテルによって麻酔をかけたラットのフットパッド(foot pud)に、片足につき100 μlのアジュバントを打った。アジュバントを打った翌日から2日おきに4回免疫を行った。前述のコブルストーンアッセイ法によって検定を行った造血支持活性を有するOP9と造血支持活性がないOP9の凍結サンプルを融解してPBSに懸濁した。26Gの注射針をつけた1 mlシリンジに細胞懸濁液を入れ、麻酔をかけたラットのフットパッドに造血支持活性を有するOP9を2.4 x 106個免疫した。また、別のラットのフットパッドに造血支持活性がないOP9を、2.4 x 106個免疫した。免疫には、ラット2匹を使用した。
(3)ミエローマ細胞(P3U1、NS1)の培養
細胞融合の10日前にミエローマ細胞を75 cm2フラスコに起こした。培地は100 units/ml ペニシリン・ストレプトマイシンと10% FBSを加えたRPMI を使用した(以下、「ハイブリドーマ用培地」という)。細胞融合の3日前に、ミエローマ細胞を培養中の75 cm2フラスコ(50 mlのハイブリドーマ用培地を含む)から10 mlずつを採取し、新しい75 cm2フラスコに必要な本数だけ分注し、各フラスコにハイブリドーマ用培地を30 ml加えた。細胞融合前日に、各フラスコに対して、更にハイブリドーマ用培地を10 ml加えた。
(4)フィーダー細胞の調製
頚椎脱臼したラットから脾臓を摘出して5 mlの無血清RPMIが入った 6 cmディッシュに入れた。余分な組織を落として5 mlの無血清RPMIが入った新しい6 cmディッシュに移した。ディッシュ上で、ハサミで脾臓に切り込みを入れ、ラバーポリスマンで端から脾臓の中味を押し出しながらつぶした。パスツールで塊を吸わないように吸い取り、15 mlのチューブに移した。ディッシュに新たに無血清RPMI を5 ml加え、パスツールピペットで塊を吸わないように吸い取り、15 mlのチューブに移し、380 xg、4分遠心した。上清を捨て、細胞をハイブリドーマ用培地10 mlで懸濁した。25 cmフラスコに移し、37℃のインキュベーターに入れた。
(5)細胞融合の準備
PEG4000を 2 g入れたスピッツ管、解剖に用いるはさみ、ピンセットラバーポリスマンをオートクレーブで滅菌した。15%FBSとHAT を加えたRPMI (以下、「HAT培地」という)を調製した。96ウェルプレートにハイブリドーマ用培地を50 μl 入れて37℃で一晩培養した。
(6)細胞融合
PEGをバーナーであぶって溶かした後、無血清RPMIを2 ml加えた。免疫したラットをジエチルエーテルで麻酔後、頚椎脱臼を行った。ラットからリンパ節を摘出して5 mlの無血清RPMIが入った6 cmディッシュに入れた。余分な組織を落として新しい5 mlの無血清RPMIが入った6 cmディッシュに移した。ディッシュ上で、ハサミで脾臓に切り込みを入れ、ラバーポリスマンで端から脾臓の中味を押し出しながらつぶした。パスツールピペットで塊を吸わないように吸い取り、15 mlチューブに移した。ディッシュに新たに無血清RPMI を5 ml加え、パスツールピペットで組織塊を吸わないように吸い取り、15 mlチューブに移し、380 xg、4分遠心した。遠心している間に75 cm2フラスコ4本分のミエローマ細胞を50 mlチューブ2本に移し、遠心後、上清を除去し、無血清RPMIを10 ml加えて混合した。
50 mlチューブに移したミエローマ細胞とともに380 xg、4分遠心した。上清を除去した後、それぞれのチューブに10 mlの無血清RPMIを加えて混合した。ピペットで15 mlチューブから全量吸って、50 mlチューブに移し混合し、380 xg、4分遠心した。遠心後、上清を除去し、チューブを軽くタッピングして細胞をほぐした。2 mlピペットでPEGを0.8 ml計り取り、1分かけてピペットの先端で細胞をかき混ぜながらPEGを入れた。入れ終わった後、さらに1分かき混ぜた。無血清RPMIを10 ml取り、2分かけてゆっくり撹拌しながら入れた。380 xg、4分遠心、その間にウェルにハイブリドーマ培地を入れて37℃で一晩インキュベーションを行っていた96穴プレートの培地をアスピレータ−で吸った。遠心後、上清を除去し、無血清RPMIを20 ml加えて懸濁し、300 xg、4分遠心した。遠心の間にフィーダーの懸濁液4 mlとHAT培地76 mlを混ぜた。遠心後、パスツールピペットで上清を十分吸引し除去した。フィーダー懸濁液とHAT培地の混合液を加えて穏やかに混合した。96ウェルプレートに、1ウェルあたり200 μlずつ分注して37℃で培養した。
(7)ハイブリドーマのスクリーニング
細胞融合を行った一週間後、目視によりハイブリドーマコロニー出現の有無を確認した。コロニーが出現したウェルの培養上清を150 μlとり、サンプリングを行った。造血支持活性を有するOP9と造血支持活性がないOP9の凍結サンプルをそれぞれ起こして細胞数を計測した。300 xg、5分遠心して上清をアスピレーターで除去した後、5% FBSを入れたPBSを加えて懸濁した。FcR ブロッカーを加えて氷上で15分反応させた。反応後、ハイブリドーマの培養上清をサンプリングした数だけ96ウェルフレキシブルプレートに分注した。このときにコントロール用に1ウェルだけrat IgGと反応させ、800 xg、2分遠心した。上清を捨て、サンプリングしたハイブリドーマの培養上清を1ウェルあたり50 μl加えた。氷上で30分反応させた後、800 xg、2分遠心した。上清を捨て、5% FBSを入れたPBSを1ウェルあたり200 μl加えて800 xg、2分遠心した。この操作を3回繰り返した。3回目の遠心後、上清を捨てた。100倍に希釈したGoat F(ab’)2 Anti-Rat IgG(H+L) FITC, Mouse Adsorbedを加えた。遮光して氷上で20分反応させた。反応後、800 xg、2分遠心し、上清を捨て、5% FBSを入れたPBSを1ウェルあたり200 μl加えて800 xg、2分遠心した。この操作を2回繰り返した。2回目の遠心後、上清を捨て、5% FBSを入れたPBSを1ウェルあたり200 μl加えて懸濁した。各ウェルの細胞懸濁液をサンプルチューブに移した。FC500を用いてフローサイトメトリーを行った。造血支持活性を有するOP9に反応する一方、造血支持活性がないOP9に反応しないハイブリドーマを選択した。また、造血支持活性がないOP9に反応するハイブリドーマも選択した。
(8)ハイブリドーマのクローニング
96ウェルプレートの選択したハイブリドーマが生えているウェルに入っている培地を穏やかにピペッティングした。48ウェルプレートに500 μlずつHT Supplement(GIBCO BRL)、15% FBS、ペニシリン・ストレプトマイシンを加えたRPMI (以下、「HT培地」という)を入れた。HT培地が入ったウェルにピペッティングしたハイブリドーマを含んだ培地を加え、37℃で培養した。ウェルのハイブリドーマが90%コンフルエントになった時点で、培養上清をサンプリングしてスクリーニングを行った。造血支持活性を有するOP9、または造血支持活性がないOP9に対して、特異的に反応するハイブリドーマを選択し、24ウェルプレートに移して培養した。ハイブリドーマが90%コンフルエントになったところで、培養上清の一部をサンプリングし、12ウェルプレートに移して、37℃のインキュベータで培養した。
(9)限界希釈
96ウェルプレートにハイブリドーマ用培地を50 μl 入れて37℃で一晩インキュベーションを行った。クローニングを行っているハイブリドーマを回収して15 mlチューブに入れた。380 xg、5分遠心した。上清を除去後、ハイブリドーマ用培地を加えて懸濁して細胞数を計測した。計測した細胞数をもとにして、100 cells/ml、10 cells/ml、1 cells/mlと希釈系列を調製した。アスピレータを用いてインキュベーションを行った96穴プレートのハイブリドーマ用培地を吸った。マルチピペットを用いて100 cells/mlの細胞懸濁液を1ウェルあたり100 μlになるように24ウェルに分注した。同様に10 cells/mlと1 cells/mlの細胞懸濁液を1ウェルあたり100 μlになるように36ウェルにそれぞれ分注した。分注後、全てのウェルに1ウェルあたり100 μlになるようにハイブリドーマ用培地を加えた。ハイブリドーマのコロニーが出現するまで37℃のインキュベーターで培養した。
限界希釈を行った後、目視によりハイブリドーマコロニー出現の有無を確認した。コロニーが1つ出現したウェルだけを選択し、培養上清を150 μlとりスクリーニングを行った。スクリーニングの方法は上記に示した方法と同じである。造血支持活性を有するOP9に反応する一方、造血支持活性がないOP9に反応しないクローンを選択した。また、造血支持活性がないOP9に反応するクローンも選択した。選択したクローンについて、クローニングを行った。スケールアップする際に培養上清の一部をサンプリングした。12ウェルプレートまでスケールアップしたクローンは、一部凍結保存して、さらにもう一度、限界希釈を行った。
(10)クローンのOP9に対する反応性の評価
造血支持活性を有するOP9に反応する一方、造血支持活性がないOP9に反応しないクローンの一つとして選択された4F1(FERM BP-10347)について、OP9に対する反応性を評価した。
造血支持活性を有する4種類のOP9(OP9-1(030418, 継体数8), OP9-3(010530, 継体数9), OP9-4(RIKEN, 継体数7), 及びOP9-5(RIKEN, 継体数7))と、造血支持活性を持たないOP9(OP9-2(継体数56))とを用意した。各細胞について、通常の培養を行ったコントロール、50μMタニカマイシン(Tunicamycin)を添加して培養したもの、500Uまたは2500UのN−グリカナーゼ(PNGase)処理を行ったものの4群に分けて培養した。なお、PNGase処理群については、OP9-5とOP9-2についてのみ用意した。ここで、Tunicamycinは、N-glycosylation阻害作用を有する糖タンパク質糖鎖合成阻害剤であり、OP9が発現する糖タンパク質への糖付加を阻害する。また、PNGaseは、糖タンパク質アスパラギン型糖鎖を根元から切断する酵素である。
これらのOP9について、モノクローナル抗体4F1を結合させ、フローサイトメトリーにより、反応性の違いを、OP9-2(造血支持活性を持たないもの)をコントロールとして評価した。
<結果>
(1)細胞融合からクローニング
細胞融合からクローニングまでの結果を表2に示した。
細胞融合後、目視スクリーニングにより確認した1853個のハイブリドーマのうち、2回のスクリーニングと、限界希釈とを経て、造血支持活性を有するOP9に特異的に反応する10クローンと、造血支持活性がないOP9に反応する3クローンとを選択して、クローニングを行った。
その結果、造血支持活性を有するOP9に特異的に反応する2クローンと、造血支持活性がないOP9に反応する2クローンとを得た。これら4クローンのうち、造血支持活性を有するOP9に特異的に反応する4F1について、OP9に対する反応性を評価した。
(2)4F1のOP9に対する反応性
図2には、造血支持活性を有するOP9に対して特異的に反応するクローン4F1の反応性を評価した結果を示した。10個のグラフ中、黒線のみで示す曲線は、造血支持活性を持たないOP9-2に対する反応性を示すものである。図より、クローン4F1は、造血支持活性を有するOP9と、造血支持活性を持たないOP9とに対して、それぞれ異なる反応性を示すことがわかった。また、4F1は、tunicamycin、及びPNGaseで処理したOP9に対して、反応性が低下することがわかった。
実施例3.ヒト臍帯血および末梢血から分離した単核細胞の増幅試験
本発明者は、(A)造血支持活性を持つストローマ細胞と失ったストローマ細胞は、造血支持因子に何らかの差異が生じていること、及びこの仮説が正しければ、(B)両細胞に対して反応性の異なるモノクローナル抗体は、造血支持因子を認識している、との仮説を立てた。そこで、本発明者は、上記2で得られたモノクローナル抗体4F1をストローマ細胞に添加した改良型試験管培養方法に到達し、ヒト造血幹細胞を試験管内で増幅する方法の開発を試みた。
<材料>
細胞:OP9(RikenCellBank:RCB1124)、ヒト血液(末梢血、臍帯血)
試薬:RPMI(SIGMA社),HISTOPAQUE-1077(SIGMA-ALDRICH社),100 unit/ml ペニシリン・ストレプトマイシン/10% FBS/ RPMI (Invitrogen社),50 μg/ml ゲンタマイシン/15% FBS/DMEM(GIBCO BRL)
ACKバッファー(前述「1<材料>」中に記載のもの)
マウス幹細胞増殖因子 mSCF(Invitrogen社)
塩基性線維芽細胞増殖因子 bFGF(Invitrogen社)
マウスオンコスタチンM mOSM(R&D systems社)
器具類:滅菌ピペット、ファルコンチューブ、セルストレーナー(ファルコン社)
機器:CO2インキュベーター(SANYO社)、遠心分離機(SANYO社)
<方法>
(1)ヒト末梢血からの単核細胞およびPCLP1陽性細胞の分離
50 mlファルコンチューブに無血清RPMIを30 ml加えた。ヒト末梢血を加えて転倒混和した。新しい50 mlファルコンチューブ2本に15 mlずつHistopaque-1077を加えた。希釈した血液20 mlをHistopaque-1077に重層した。室温で800 xg、30分遠心した。血漿成分をアスピレーターで除去した後、滅菌ピペットを用いて単核細胞層を吸い、新しい50 mlファルコンチューブに移した。無血清RPMIを加えて50 mlにした後、室温で800 xg、10分遠心した。上清を除去後、ACKバッファーを10 ml加えてよくピペッティングを行った。新しい15 mlファルコンチューブに移し、氷上で9分反応させた。反応後、血清入りの培地を4 ml加えてよくピペッティングを行った。4℃で800 xg、10分遠心した。上清を除去した後、血清入りの培地を10 ml加えてよくピペッティングを行った。4℃で800 xg、10分遠心した。上清を除去後、血清入りのPBSを10 ml加えてよくピペッティングを行った。セルストレーナーに通した後、細胞数を計測した。この単核細胞を「whole」とした。
分離したwhole細胞の2x107個をFcRブロッカーでブロッキングした。細胞を洗浄液で洗浄し、抗ヒトPCLP1モノクローナル抗体を20μg/mlで30分反応させた。細胞を洗浄液で洗浄させた後、抗マウスIgG-磁気微粒子を4ビーズ/細胞で反応させた。細胞を洗浄液で洗浄した後、洗浄液で1mlに懸濁し、磁石にて細胞分離を行った。こうして、ヒト末梢血の単核細胞より、PCLP1陽性細胞を分離した。
(2)ヒト臍帯血からの単核細胞の分離
50 mlファルコンチューブに無血清RPMIを30 ml加えた。ヒト臍帯血を加えて転倒混和した。新しい50 mlファルコンチューブ2本に15 mlずつHistopaque-1077を加えた。希釈した血液20 mlをHistopaque-1077に重層した。室温で800 xg、30分遠心した。血漿成分をアスピレーターで除去した後、滅菌ピペットを用いて単核細胞層を吸い、新しい50 mlファルコンチューブに移した。無血清RPMIを加えて50 mlにした後、室温で800 xg、10分遠心した。上清を除去後、ACKバッファーを10 ml加えてよくピペッティングを行った。新しい15 mlファルコンチューブに移し、氷上で9分反応させた。反応後、血清入りの培地を4 ml加えてよくピペッティングを行った。4℃で800 xg、10分遠心した。上清を除去した後、血清入りの培地を10 ml加えてよくピペッティングを行った。4℃で800 xg、10分遠心した。上清を除去後、血清入りのPBSを10 ml加えてよくピペッティングを行った。セルストレーナーに通した後、細胞数を計測した。こうして、ヒト臍帯血より単核細胞を分離した。
(3)凍結ヒト臍帯血からの単核細胞の分離
凍結ヒト臍帯血(臍帯血バンク提供)を溶解し、上記(2)と同様にして、単核細胞を分離した。
(4)OP9とモノクローナル抗体4F1との反応、及び4F1刺激OP9と単核細胞との共培養
造血支持活性を有するOP9を6ウェルプレートに1ウェルあたり2x104 cellsずつ播種し、37℃で一晩培養した。培地をアスピレーターで除去した後、PBSで3回洗浄した。ハイブリドーマ4F1培養上清を0.4 ml加えて37℃で一時間反応させた。反応後、培養上清を除去して培地で洗浄した。培地にOSM 10 ng/ml、SCF 100 ng/ml、bFGF 1 ng/mlになるように添加した。
ここに、上記(1)で分離したwhole細胞(単核細胞)、PCLP1陽性細胞、上記(2)で分離した単核細胞、及び上記(3)で分離した単離細胞を1ウェルあたり1x104 cellsずつ播種し、4F1刺激OP9と共に37℃で共培養した。なお、ヒト臍帯血から分離した単核細胞(上記(2)及び(3))とOP9との共培養系においては、4F1で刺激しないOP9を使用したコントロール系を用いた。
(5)浮遊細胞のコロニー形成能の評価
ヒト末梢血から分離した二種類の細胞について、OP9との共培養において、培養から28日目に培地中に浮遊している細胞(浮遊細胞)を採取し、1ウェルあたり1x103 cellsずつとなるように播種し、定法によってコロニー形成能を評価した。
また、ヒト臍帯血から分離した単核細胞について、二種類のOP9(4F1刺激あり、及び刺激なし)との共培養において、培養から22日目に培地中に浮遊している細胞を採取し、1ウェルあたり1x103 cellsずつとなるように播種し、定法によってコロニー形成能を評価した。
<結果>
(1)ヒト末梢血由来単核細胞及びPCLP1陽性細胞と4F1刺激OP9との共培養
結果を図3及び図4に示した。図3に示すように、ヒト末梢血から分離した単核細胞(whole)では、OP9との共培養においても、血球産生は認められなかった。一方、PCLP1陽性細胞では、OP9との共培養によって、1ヶ月以上に渡って、血球産生が認められた。
また、図4に示すように、PCLP1陽性細胞とOP9との共培養を開始して28日目の培地から採取した浮遊細胞では高いコロニー形成能(CFU-C)が認められた。なお、whole細胞とOP9との共培養を行った培地から採取した浮遊細胞には、コロニー形成能はほとんど認められなかった。
(2)ヒト臍帯血由来単核細胞と4F1刺激OP9との共培養
ヒト臍帯血から単核細胞を分離し、この単核細胞と4F1刺激OP9との共培養を行った結果を図5に示した。4F1刺激OP9と単核細胞とを共培養した場合には、培養8日以降に血球のコロニーが認められた。
両共培養系において、培養22日目の浮遊細胞を回収し、定法に従ってコロニー形成能を評価した。また、4F1刺激OP9と単核細胞との共培養を行ったものについて、培養22日目の浮遊細胞を回収し、フローサイトメトリーにより表面抗原の発現解析を行った。結果を図6及び図7に示した。図6に示すように、4F1刺激OP9と単核細胞との共培養を開始して22日目の培地から採取した浮遊細胞では高いコロニー形成能(CFU-C)が認められた。一方、4F1刺激を行わないOP9と単核細胞との共培養を行った培地から採取した浮遊細胞には、コロニー形成能はほとんど認められなかった。
また、図7に示すように、4F1刺激OP9と単核細胞とを共培養した培地から採取した浮遊細胞には、CD45highCD34-とCD45lowCD34+の二つの細胞集団が存在することがわかった。このうち、CD45lowCD34+は分化した血球を、CD45highCD34-は造血前駆細胞を意味していることが示唆された。そこで、CD45highCD34-について、更に表面抗原の発現様式をフローサイトメトリーで調べたところ、赤血球の表面抗原であるGlycophorin A以外の表面抗原を発現していることがわかった。このことから、monocyte, glanurocyte, Mφ, T cell, B cellなどの各種の細胞に分化していることが分かった。また、コロニーアッセイでも、顆粒球やマクロファージを含むコロニーが出現していることが確認された。
(3)凍結ヒト臍帯血由来単核細胞と4F1刺激OP9との共培養
凍結ヒト臍帯血から単核細胞を分離し、この単核細胞と4F1刺激OP9との共培養を行った結果を図8に示した。4F1刺激OP9と単核細胞とを共培養した場合には、培養開始から1ヶ月以上に渡って、血球のコロニーが認められた。
このことから、本方法は、臍帯血バンクに凍結されている血液から調整した単核細胞を有効に培養できることを示している。
このように、本実施形態によれば、従来には不可能とされていたヒト造血幹細胞の培養方法をインビトロにおいて確立することに成功した。この方法によって得られるヒト造血幹細胞は、各種の血液疾患の治療に有効に用いることができる。例えば、白血病、免疫不全症などの疾患を例示することができる。これらの疾患においては、患者に本方法によって得られる造血幹細胞を自家移植或いは同種移植することによって、疾患の根本的な治療を行うことができる。
コブルストーンアッセイ方法の結果を示す細胞の顕微鏡写真図である。左列(A1)〜(A3)は、造血支持活性を有するOP9と共培養したときの結果を、右列(B1)〜(B3)は、造血支持活性がないOP9と共培養したときの結果を示す。また、上段(A1)、(B1)は、共培養前の骨髄から採取した細胞の様子を、中段(A2)、(B2)は、共培養後19日目の明視野での様子を、下段(A3)、(B3)は、共培養後19日目の暗視野での様子をそれぞれ示す。(A2)及び(A3)では、コブルストーンが観察された。なお、下段(A3)、(B3)では、グリーンマウス由来の細胞は、緑色に染まって観察されている。 モノクローナル抗体4F1と、造血支持活性を有するOP9との反応性をフローサイトメトリーで確認したときの結果を示すグラフである。 ヒト末梢血由来単核細胞(whole)または単核細胞由来PCLP1陽性細胞と、4F1刺激OP9との共培養の結果を示す顕微鏡写真図である。左列(whole)の4枚は、単核細胞とOP9との共培養の結果を示し、右列(PCLP1+)の4枚は、単核細胞由来PCLP1陽性細胞とOP9との共培養の結果を示している。また、第1段目は培養開始から12日目、第2段目は培養開始から21日目、第3段目は培養開始から28日目、第4段目は培養開始から36日目の様子をそれぞれ示している。
共培養開始から28日目のヒト末梢血由来単核細胞(whole)、及びPCLP1陽性細胞において、ウェル中の浮遊細胞のコロニー形成能を評価した結果を示すグラフである。 ヒト臍帯血由来単核細胞と、4F1刺激を受けないOP9及び4F1刺激OP9との共培養の結果を示す顕微鏡写真図である。左列の2枚(抗体なし)は、4F1による刺激を行わないOP9と単核細胞とを共培養したコントロールの結果を、右列の2枚(抗体あり)は、4F1刺激OP9と単核細胞とを共培養した結果をそれぞれ示す。また、上段(Day15)は、共培養開始から15日目の様子を、下段(Day22)は、共培養開始から22日目の様子をそれぞれ示している。 共培養開始から22日目のヒト臍帯血由来単核細胞において、ウェル中の浮遊細胞のコロニー形成能を評価した結果を示すグラフである。「抗体なし」は、4F1刺激を行わないOP9と単核細胞との共培養の培地中の浮遊細胞のデータを、「4F1」は、4F1刺激OP9と単核細胞との共培養の培地中の浮遊細胞のデータをそれそれ示している。
4F1刺激OP9と単核細胞とを共培養したときの22日目の浮遊細胞の表面抗原の発現解析をフローサイトメトリーで行った結果を示す図である。図中の二つの楕円のうち、「CD45lowCD34(29%)」は、増殖能の高い未分化な細胞群が全細胞の29%を占めていることを示し、「CD45highCD34(60%)」は、単核細胞から分化した血球細胞群が全細胞の60%を占めていることを示している。 凍結ヒト臍帯血由来単核細胞と、4F1刺激を受けないOP9及び4F1刺激OP9との共培養を開始して35日目の結果を示す顕微鏡写真図である。左側の写真(抗体なし)は、4F1による刺激を行わないOP9と単核細胞とを共培養したコントロールの結果を、右側の写真(抗体あり)は、4F1刺激OP9と単核細胞とを共培養した結果をそれぞれ示す。

Claims (9)

  1. 次の工程、
    (1)ヒト臍帯血またはヒト末梢血からPCLP1陽性細胞を含む細胞群を分離する分離工程、及び
    (2)造血支持活性を持つストローマ細胞に対して特異的に反応する抗体によって刺激を受けたストローマ細胞と、前記PCLP1陽性細胞を含む細胞群とを共に培養する共培養工程、
    を含むことを特徴とする単核細胞の試験管内培養方法。
  2. 前記分離工程において、ヒト臍帯血を用いる際には、分離されたPCLP1陽性細胞を含む細胞群は、単核細胞であることを特徴とする請求項1に記載の単核細胞の試験管内培養方法。
  3. 前記分離工程において、ヒト末梢血を用いる際には、分離されたPCLP1陽性細胞を含む細胞群は、単核細胞から更に分離されたPCLP1陽性細胞であることを特徴とする請求項1に記載の単核細胞の試験管内培養方法。
  4. 前記ストローマ細胞が、OS9であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかひとつに記載の単核細胞の試験管内培養方法。
  5. 前記抗体がモノクローナル抗体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかひとつに記載の単核細胞の試験管内培養方法。
  6. 前記モノクローナル抗体が、4F1であることを特徴とする請求項5に記載の単核細胞の試験管内培養方法。
  7. 前記共培養工程においては、オンコスタチンM(OSM)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、および幹細胞因子(SCF)の存在下で行われることを特徴とする請求項1〜6のいずれかひとつに記載の単核細胞の試験管内培養方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかひとつに記載の方法で試験管内培養された造血幹細胞。
  9. 請求項8に記載の造血幹細胞を投与する工程を含むことを特徴とする造血細胞系疾患の治療方法。
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