JP2007010568A - 土壌乾燥密度の測定方法、土壌締め固め度合いの判定方法及び土壌締め固め度合いの判定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 施工現場の各所の土壌について乾燥密度を従来よりも迅速に測定できる土壌乾燥密度の測定方法を提供する。
【解決手段】 施工現場から採取した土壌により作成した締め固め度合いの異なる複数種類の試験試料について、乾燥密度と体積含水率との相関関係を特定するための乾燥密度−体積含水率曲線を予め作成する第1の過程と、施工現場の土壌に電磁波を透過させ、同電磁波が土壌を透過するときのインピーダンスと、真空中を透過するときのインピーダンスとの関係に基づいて施工現場の土壌の体積含水率を測定する第2の過程と、この第2の過程で測定した体積含水率を、前記予め作成した乾燥密度−体積含水率曲線と照合して施工現場の土壌の乾燥密度を推計する第3の過程とを経て実施され、第2の過程及び第3の過程を繰り返すことにより、施工現場の各所の土壌について乾燥密度を測定できるようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】 施工現場から採取した土壌により作成した締め固め度合いの異なる複数種類の試験試料について、乾燥密度と体積含水率との相関関係を特定するための乾燥密度−体積含水率曲線を予め作成する第1の過程と、施工現場の土壌に電磁波を透過させ、同電磁波が土壌を透過するときのインピーダンスと、真空中を透過するときのインピーダンスとの関係に基づいて施工現場の土壌の体積含水率を測定する第2の過程と、この第2の過程で測定した体積含水率を、前記予め作成した乾燥密度−体積含水率曲線と照合して施工現場の土壌の乾燥密度を推計する第3の過程とを経て実施され、第2の過程及び第3の過程を繰り返すことにより、施工現場の各所の土壌について乾燥密度を測定できるようにした。
【選択図】 図2
Description
この出願の発明は、施工現場の複数個所の土壌について乾燥密度を測定できるようにした土壌乾燥密度の測定方法と、施工現場の複数個所の土壌について締め固め度合いを判定できるようにした土壌締め固め度合いの判定方法と、この判定方法の実施に直接使用する土壌締め固め度合いの判定装置とに関する。
締め固めは、通常、土壌中の空隙を減らすことにより、沈下しないように盛土等による道路用地、空港用地、鉄道用地、住宅造成地等の土壌の支持力を増強したり、法面を安定化させたりするために行う。こうした締め固めは、機器による突き固め、機器の振動による突き固め、ローラの転動による転圧等の動作を利用した自走式や手動式等の締め固め機械を駆動して所定の回数行うことにより、所期の締め固め度合いを得るようにしている。こうした締め固め度合いは、人の感覚では正確に判断することができないことから、通常は、土壌の密度を尺度にして調べている。
こうした土壌の密度により締め固め度合いを調べる試験方法としては、これまで、砂置換法、RI(ラジオアイソトープ)法、CBR(California Bearing Ratio)法等の方法が主として採用されていた。しかしながら、これらの方法は、何れも、施工現場の土壌の締め固め度合いを抜き取り的にしか測定できない等、種々の問題があることから、その問題を解消する技術として、特許文献1に記載の技術が提案されている。この出願の発明は、この特許文献1に記載の技術を従来の技術として位置付けてこれを改良しようとするものである。
そこで、この特許文献1に記載の技術について、本発明と関連する部分の技術内容を中心に以下に概説する。
この特許文献1には、この出願の第1番目の発明に係る土壌乾燥密度の測定方法に対応する従来の技術として、当該締め固め土中に電磁波を透過させて、土中を透過するときの電磁波の伝搬速度を測定するとともに、その締め固め土の含水比を測定し、現場で測定したこれらの測定値と予め求めてある土粒子の比重と比誘電率とにより、当該締め固め土の乾燥密度を算出するようにした土壌乾燥密度の測定方法が開示されている。こうした測定方法を実施する過程で締め固め土の含水比を測定する場合、特許文献1の図6により説明された実施例によれば、締め固め土の含水比に関する現場での測定は、近赤外線水分計と赤外線センサからなる赤外線方式の手段により行うものとしている。
また、この特許文献1には、この出願の第2番目の発明に係る土壌締め固め度合いの判定方法に対応する従来の技術として、以上のようにして算出した乾燥密度と予め求めてある最大乾燥密度とにより、当該締め固め土の締め固め度合いを算出するようにし、これを予定した締め固め度合いの目標値と比較して、当該締め固め土の締め固め度合いが不足しているか否かを判定する土壌締め固め度合いの判定方法が開示されている。そして、こうした判定方法により締め固め度合いが不足していると判定されたときには、締め固め作業を続行し、こうした作業を、締め固めようとする土が所期の締め固め度合いに締め固められるまで繰り返すこととしている。この従来の技術によれば、電磁波の土中の伝搬速度に係る測定時間が数秒ときわめて短時間であり、また、電磁波による測定であるため、数多くのポイントを連続的に測定することができるとされている。
特公平7ー85063号公報(第2−4頁、第1−6図)
しかしながら、この特許文献1に記載の土壌乾燥密度の測定方法及び土壌締め固め度合いの判定方法に係る従来の技術では、施工現場において、各所の土壌に係る電磁波の伝搬速度と含水比の双方の数量を測定しなければならなず、手間を要する。しかも、これらの数量のうち、特に含水比については、図6の実施例によれば、近赤外線水分計と赤外線センサからなる手段により行うものとしているが、この赤外線方式の手段は、原理上、土壌の表層の含水比は測定することができても、土壌の乾燥密度の測定にとって最も必要な土壌の内部の含水比を測定することは困難である。そのため、この赤外線方式の手段により測定された含水比は、施工現場の土壌の性状を反映したものとはいい難い。こうした難点を解消するため、施工現場の各所の土壌について土壌内部の含水比を正規の方法で測定しようとすると、かなりの時間と手間を要して乾燥密度を迅速に測定することはできない。
この出願の第1番目の発明は、こうした従来の技術にみられる問題を解決するために創作されたものであって、その目的は、施工現場の各所の土壌について乾燥密度を従来よりも迅速に測定できる土壌乾燥密度の測定方法を提供することにある。この出願の第2番目の発明の目的は、この第1番目の発明に係る土壌乾燥密度の測定方法を使用することにより施工現場の各所の土壌について土壌の締め固め度合いを従来よりも迅速に判定できる土壌締め固め度合いの判定方法を提供することにある。この出願の第3番目の発明の目的は、この第2番目の発明の実施に直接使用する土壌締め固め度合いの判定装置を提供することにある。
前記の各目的をそれぞれ達成するため、この出願の第1番目の発明に係る土壌乾燥密度の測定方法では、次の1)の方法を採用し、この出願の第2番目の発明に係る土壌締め固め度合いの判定装置では、次の2)の方法を採用し、この出願の第3番目の発明に係る土壌締め固め度合いの判定装置では、次の3)のように構成した。
1) 施工現場から採取した土壌により作成した締め固め度合いの異なる複数種類の試験試料について、乾燥密度と体積含水率との相関関係を特定するための乾燥密度と体積含水率の相関データを予め作成する第1の過程と、施工現場の土壌に電磁波を透過させ、同電磁波が土壌を透過するときのインピーダンス又は伝搬速度と、電磁波が基準の媒質を透過するときのインピーダンス又は伝搬速度との関係に基づいて、施工現場の土壌の体積含水率を測定する第2の過程と、この第2の過程で測定した体積含水率を、第1の過程で予め作成した乾燥密度と体積含水率の相関データと照合して施工現場の土壌の乾燥密度を推計する第3の過程とを経て実施され、第2の過程及び第3の過程を繰り返すことにより、施工現場の複数個所の土壌について乾燥密度を測定できるようにした土壌乾燥密度の測定方法。
2) 施工現場から採取した土壌により作成した締め固め度合いの異なる複数種類の試験試料について、乾燥密度と体積含水率との相関関係を特定するための乾燥密度と体積含水率の相関データを予め作成する第1の過程と、施工現場の土壌に電磁波を透過させ、同電磁波が土壌を透過するときのインピーダンス又は伝搬速度と、電磁波が基準の媒質を透過するときのインピーダンス又は伝搬速度との関係に基づいて、施工現場の土壌の体積含水率を測定する第2の過程と、この第2の過程で測定した体積含水率を、第1の過程で予め作成した乾燥密度と体積含水率の相関データと照合して施工現場の土壌の乾燥密度を推計する第3の過程と、この第3の過程で推計した乾燥密度が、目標値として予め設定した目標乾燥密度以上であるか否かを判定する第4の過程とを経て実施され、第2の過程から第4の過程を繰り返すことにより、施工現場の複数個所の土壌について締め固め度合いを判定できるようにした土壌締め固め度合いの判定方法。
3) 施工現場から採取した土壌により作成した締め固め度合いの異なる複数種類の試験試料について、予め作成された乾燥密度と体積含水率との相関関係を特定するための乾燥密度と体積含水率の相関データを記憶する記憶装置と、施工現場の土壌について測定した体積含水率を、予め作成された前記の乾燥密度と体積含水率の相関データと照合して施工現場の土壌の乾燥密度を推計する演算手段と、この演算手段で推計した乾燥密度が、目標値として予め設定した目標乾燥密度以上であるか否かを判定する判定手段とを設けて構成した。
前記1)の方法を採用したこの出願の第1番目の発明に係る土壌乾燥密度の測定方法では、第1の過程において、施工現場から採取した土壌により締め固め度合いの異なる複数種類の試験試料を作成して、これらの各試験試料について乾燥密度と体積含水率の相関データを予め作成すれば、第2の過程で施工現場の土壌の体積含水率を測定するだけで、施工現場の土壌の乾燥密度を第3の過程により推計することができる。その場合、第2の過程において施工現場の土壌の体積含水率を測定することは、市販のADR方式やTDR方式による体積含水率測定装置により、直接的かつ簡便に実施することができる。また、第3の過程では、第2の過程で測定した体積含水率を、第1の過程で作成した乾燥密度と体積含水率の相関データと照合して、その体積含水率に対応する乾燥密度を同相関データから求めれば、施工現場の土壌について、締め固め度合いの異なる複数種類の土壌に係る乾燥密度を容易に求めることができる。
したがって、当該施工現場での締め固めに係る施工内容を勘案しながら、複数種類の試験試料の作成の際に締め固め度合いや試験試料の数を適切に選定すれば、当該施工現場の土壌について乾燥密度の範囲を絞ることができて施工現場の土壌の乾燥密度を推計することができる。こうしたことから、本発明に係る土壌乾燥密度の測定方法では、第1の過程で乾燥密度と体積含水率の相関データを予め作成しておけば、第2の過程や第3の過程を繰り返すことにより、施工現場の複数個所の土壌について乾燥密度を測定できる。したがって、施工現場で複数個所の土壌の乾燥密度を測定する場合に、従来の技術のように施工現場で電磁波伝搬速度と含水比の双方を測定することは要せず、市販の体積含水率測定装置により、施工現場の各所で土壌の体積含水率を測定すれば済むので、施工現場の各所の土壌について乾燥密度を従来よりも迅速に測定することができる。
前記2)の方法を採用したこの出願の第2番目の発明に係る土壌締め固め度合いの判定方法では、第1の過程乃至第3の過程において、以上述べたこの第1番目の発明に係る土壌乾燥密度の測定方法と同様の方法を使用して施工現場の土壌の乾燥密度を測定するようにしている。そして、その後の第4の過程では、単に、この乾燥密度が目標乾燥密度以上であるか否かを判定するだけの負担をすれば足りる。したがって、本発明に係る土壌締め固め度合いの判定方法によれば、施工現場の各所の土壌について土壌の締め固め度合いを従来よりも迅速に判定することができる。
前記3)の方法を採用したこの出願の第3番目の発明に係る土壌締め固め度合いの判定装置は、この第2番目の発明の実施に直接使用する装置である。すなわち、この土壌締め固め度合いの判定装置では、第2番目の発明における第1の過程で作成される乾燥密度と体積含水率の相関データは、予め作成されて記憶装置に記憶されている。したがって、施工現場の土壌の体積含水率を測定する第2番目の発明における第2の過程を、市販の体積含水率測定装置により実施すれば、その測定された体積含水率を記憶装置における乾燥密度と体積含水率の相関データと演算手段で照合して施工現場の土壌の乾燥密度を推計することにより、第2番目の発明における第3の過程を実施することができる。そして、この演算手段で推計した乾燥密度が目標乾燥密度以上であるか否かを判定手段で判定して第2番目の発明における第4の過程を実施することができ、以上の結果、施工現場の各所の土壌について土壌の締め固め度合いを従来よりも迅速に判定することができる。
以下の説明から明らかなように、この出願の第1番目の発明に係る土壌乾燥密度の測定方法では、「課題を解決するための手段」の項に記載の前記1)の方法を採用しているので、施工現場の各所の土壌について乾燥密度を従来よりも迅速に測定することができる。この出願の第2番目の発明に係る土壌締め固め度合いの判定方法では、「課題を解決するための手段」の項に記載の前記2)の方法を採用しているので、施工現場の各所の土壌について土壌の締め固め度合いを従来よりも迅速に判定することができる。その結果、種々の用地や法面等、種々の土壌の締め固め作業を能率的に行うことができる。
この出願の第3番目の発明に係る土壌締め固め度合いの判定装置では、「課題を解決するための手段」の項に記載の前記3)のように構成しているので、第2番目の発明を簡便に実施するための装置を得ることができ、第2番目の発明の方法と同様、施工現場の各所の土壌について土壌の締め固め度合いを従来よりも迅速に判定することができる。以上述べたこの出願の第1番目の発明及び第2番目の発明に係る方法やこの出願の第3番目の発明に係る装置では、施工現場での実際の測定は、従来の技術とは異なり、特に土壌の体積含水率を測定すれば足りるようにしているので、市販のADR方式やTDR方式による体積含水率測定装置をそのまま使用して測定することができて、特別の技能を要することなく既存の測定手法により簡便に実施することができる。
以下、土壌乾燥密度の測定方法、土壌締め固め度合いの判定方法及び土壌締め固め度合いの判定装置に係るこの出願の各発明が実際上どのように具体化されるのかを図1乃至図11に基づいて説明することにより、この出願の各発明を実施するための望ましい形態を明らかにする。
まず、図1乃至図9に基づき、この出願の各発明の基礎をなす土壌乾燥密度の測定方法に係る発明を具体化した例について説明する。本土壌乾燥密度の測定方法は、第1の過程の過程から第3の過程を経て実施されるが、以下、これらの過程を順次説明する。
図1は、この出願の各発明を具現する過程で作成される第1の試験試料に係る乾燥密度−含水比曲線の例を示す図、図2は、この出願の各発明に使用され図1の乾燥密度−含水比曲線に基づいて作成された乾燥密度−体積含水率曲線の例を示す図、図3は、この出願の各発明を具現する過程で作成される第2の試験試料に係る乾燥密度−含水比曲線の例を示す図、図4は、この出願の各発明に使用され図3の乾燥密度−含水比曲線に基づいて作成された乾燥密度−体積含水率曲線の例を示す図、図5は、図1乃至図4のデータを作成する際に使用した試験試料に係る粒径加積曲線を示す図、図6は、この出願の各発明に関連するADR法の原理を説明するための、電磁波が媒質を透過するときの波形を示す模式図であり、(a)は基準波形を示す図、(b)は土壌中の波形を示す図、図7は、図6のデータにより得られる電磁波の減衰率と土壌の比誘電率との関係を示す模式図、図8は、図7のデータにより得られる土壌の比誘電率と土壌の体積含水率との関係を示す図、図9は、市販のADR法による体積含水率測定装置で土壌の体積含水率を測定するときの同装置の出力値と体積含水率との関係を示す図である。
この出願の土壌乾燥密度の測定方法に係る発明では、第1の過程として、施工現場から採取した土壌により作成した締め固め度合いの異なる複数種類の試験試料について、乾燥密度と体積含水率との相関関係を特定するための乾燥密度と体積含水率の相関データを予め作成する。こうした過程を具現するため、まず、締め固め工法の施工を予定している施工現場から予め土壌を採取して試験試料を用意する。ここでは、便宜上、試験試料としてJIS粉体を使用して実験を行った。JIS粉体としては、JIS粉体1種のけい砂とJIS粉体2種の関東ローム層とを使用した。この実験に使用したこれらのJIS粉体の粒径加積曲線を図5に示す。この粒径加積曲線は、JIS粉体において各種大きさの網目を通過する土粒子が粉体全体の何重量パーセント存在するかを示すことにより、土壌の性質の一端を表したものであり、通例に従って作成した。
試験試料を用意した後は、JISで定められた正規の試験方法(JISA1210「突固めによる土の締固め試験」の方法)により、この試験試料に係る土壌について、含水比とこの含水比に対応する乾燥密度とを測定する。こうした含水比や乾燥密度の測定は、規定の試験器具により土壌の突き固め回数を段階的に変えて、締め固め度合いの異なる複数種類の試験試料を作成して行う。その場合、これらの試験試料に係る土壌にそれぞれ加水して土壌中の水分を段階的に増加させることにより、締め固め度合いの異なる複数種類の試験試料ごとに含水比を段階的に変え、各含水比に対応する乾燥密度を測定する。なお、土壌を締め固めることにより、土壌中の空気は、締め固め度合いに応じた量だけ排除することができるが、水を排除することはできない。
ここで、乾燥密度(γd(g/cm3 ))とは、土粒子、水及び空気の3相から構成される土を加熱して水を適宜除去したときの土の単位容積当たりの重量を意味する。この乾燥密度は、締め固め度合いの尺度となる。また、含水比(W(%))とは、土の乾燥重量に対する水の重量の比率をパーセントで表したものである。以上のようにして含水比や乾燥密度を測定した後は、測定結果に基づいて、図1及び図3に示すような乾燥密度−含水比曲線を作成する。図1は、試験試料にJIS粉体1種のけい砂を使用した場合に作成された資料であり、図3は、JIS粉体2種の関東ローム層を使用した場合に作成された資料である。図1及び図3には、突き固めの回数が0回、1回、2回、5回及び25回の場合の締め固め度合いの異なる5種類の試験試料について作成された乾燥密度−含水比曲線がそれぞれ図示されている。
JISで定められた前記の土の締め固め試験では、図1及び図3の最上部の25回の突き固めに係る乾燥密度−含水比曲線だけを作成するが、本土壌乾燥密度の測定方法では、このように締め固め度合いの異なる複数種類の乾燥密度−含水比曲線を作成することとする。図1及び図3中、最大乾燥密度とは、試験試料の土壌を締め固めて土壌中の空気を最大限排除したときの乾燥密度の実際値を意味し、土壌中の空気を完全に排除したときの乾燥密度の理論値とは異なる。この最大乾燥密度は、実際の締め固め作業により得ることが可能な締め固め度合いの最大値に相当する。また、図1及び図3中、最適含水比とは、この最大乾燥密度が得られるような含水比を意味する。図1の乾燥密度−含水比曲線によれば、最大乾燥密度は、1.1g/cm3 と1.2g/cm3 の中間にあり、最適含水比は47%弱である。また、図3の乾燥密度−含水比曲線によれば、最大乾燥密度は、1.5g/cm3 と1.6g/cm3 の中間にあり、最適含水比は22%である。
ところで、当該土壌の含水比が得られれば、前記乾燥密度−含水比曲線から当該土壌の乾燥密度すなわち締め固め度合いを求めることができるが、含水比については、これを施工現場でリアルタイムに測定する装置が市販されていないため、この乾燥密度−含水比曲線から乾燥密度をリアルタイムに測定することはできない。これに対し、乾燥密度−含水比曲線の値から算出できる体積含水率は、市販の装置により施工現場でリアルタイムに測定することができる。こうしたことから、図1の乾燥密度−含水比曲線に係る乾燥密度及び含水比の測定値に基づいて図2の乾燥密度−体積含水率曲線を作成し、同様にして図3の乾燥密度−含水比曲線に係る測定値に基づいて図4の乾燥密度−体積含水率曲線を作成する。いま、体積含水率をθ、水の密度をρw(=1g/cm3 )とすると、乾燥密度γdと体積含水率θと含水比Wと水の密度ρwとの関係は、次式で表わすことができる。
γd=100θ/W×ρw
ここで、水の密度ρwは既知の値であり、乾燥密度γd及び含水比Wは、前記乾燥密度−体積含水率曲線の作成過程で計測される測定値であるので、体積含水率θは、これらの乾燥密度γd及び含水比Wに係る測定値に基づいて算出することができる。図2及び図4の乾燥密度−体積含水率曲線は、乾燥密度γdに対応する体積含水率θをこうした方法により算出して作成されたものである。
ここで、水の密度ρwは既知の値であり、乾燥密度γd及び含水比Wは、前記乾燥密度−体積含水率曲線の作成過程で計測される測定値であるので、体積含水率θは、これらの乾燥密度γd及び含水比Wに係る測定値に基づいて算出することができる。図2及び図4の乾燥密度−体積含水率曲線は、乾燥密度γdに対応する体積含水率θをこうした方法により算出して作成されたものである。
ここで、体積含水率(θ(cm3/cm3))とは、土粒子、水及び空気の3相から構成される土の全体の体積に対する水の体積の比率である。図2及び図4中、締め固め度90%とは、最大乾燥密度の90%の乾燥密度が得られるような締め固め度合いをいい、乾燥密度を尺度にして締め固め度を言い表したものである。締め固め度90%に相当する乾燥密度は、図2では1.05g/cm3 程度であり、図4では、1.38g/cm3 程度である。
この締め固め度90%とは、締め固め工法において、土壌の締め固めが適正に達成されたことを表すための指標として、通常、当業者により使用されている経験値である。例えば、図4によれば、体積含水率0.1の土壌については、25回締め固めれば、締め固め度90%以上になることが分かり、体積含水率0.2の土壌については、5回以上締め固めれば、締め固め度90%以上になることが分かる。締め固め工法では、通常、乾燥密度が最大乾燥密度の90%〜95%となるような締め固め度合いを目標値として設定して締め固め作業を実施する。
次に、第2の過程として、施工現場の土壌に電磁波を透過させ、同電磁波が土壌を透過するときのインピーダンス又は伝搬速度と、電磁波が基準の媒質を透過するときのインピーダンス又は伝搬速度との関係に基づいて、施工現場の土壌の体積含水率を測定する。ここでは、インピーダンス及び伝搬速度のうち、インピーダンスの測定により体積含水率を測定するADR(Amplitude Domain Reflectrometry)方式の測定法を例にして説明する。このADR方式の測定法は、高周波のパルスが土壌中を通過する際のインピーダンスを測定するものであり、このインピーダンスが土壌の誘電率に依存し、この誘電率が体積含水率と関連するという基本原理に基づくものである。
このADR方式の測定法を図6乃至図9に基づいて説明する。この測定法では、周波数100MHz程度の電磁波を使用するが、図6は、電磁波が媒質を透過するときの波形を示したものであり、横軸は時間を表し、縦軸は、媒質を透過した電磁波を受信するときの受信強度(振幅)を表す。図6(a)は、電磁波が基準の媒質を透過するときの波形である基準波形を図示しており、ここでは、基準の媒質として真空を選択している。しかしながら、基準の媒質は、空気であってもよく、その種類は限定されない。また、図6(b)は、乾燥密度の測定対象となる土壌を電磁波が透過するときの波形を示したものである。図6(b)に図示の土壌中の波形は、図6(a)の基準波形に対し、土壌中の水分の影響によりインピーダンスが変化して振幅が減衰している。
図6に示すように、基準波形の振幅をA、土壌中の波形の振幅をBとすると、前記インピーダンスの変化による電磁波の受信強度の減衰率(α)は、B/Aで表される。この減衰率(α)は、比誘電率(ε)と相関がある。この減衰率(α)と比誘電率(ε)との相関関係を図7に示す。図7に示すように、横軸は比誘電率(ε)、縦軸は減衰率(α)を表し、両者は正比例に近い関係にある。ここで、比誘電率(ε)とは、真空の誘電率に対する当該媒質の誘電率の比を意味し、また、この誘電率は、電気のためやすさを表す。
このように、電磁波の受信強度の減衰率(α)から比誘電率(ε)を算出することができるが、この比誘電率(ε)は、体積含水率(θ)と正比例する関係にある。こうした比誘電率(ε)と体積含水率(θ)との関係を、横軸に体積含水率(θ)、縦軸に比誘電率(ε)を表した図8に示す。以上のことから、当該土壌を透過した電磁波を受信してその電磁波の受信強度を測定することにより、当該土壌の体積含水率(θ)を求めることができる。こうした方法による体積含水率(θ)の測定は、市販されているADR方式による体積含水率測定装置により、施工現場でリアルタイムに測定することができる。
図9は、市販のADR方式による体積含水率測定装置について、体積含水率(θ)と出力電圧(V)との関係を表した検量線の一例を図示したものである。この検量線から分かるように、こうした市販の体積含水率測定装置を用いて当該施工現場で出力電圧(V)を計測することにより、体積含水率(θ)をリアルタイムに測定することができる。以上要するに、ADR方式の測定法は、施工現場の土壌に電磁波を透過させ、同電磁波が土壌を透過するときのインピーダンスと、電磁波が基準の媒質を透過するときのインピーダンスとの関係に基づいて、施工現場の土壌の体積含水率(θ)を測定する測定法である。
施工現場の土壌の体積含水率(θ)をリアルタイムに測定する測定方法として、こうしたADR方式の測定法のほか、施工現場の土壌に電磁波を透過させ、同電磁波が土壌を透過するときの伝搬速度と、電磁波が基準の媒質を透過するときの伝搬速度との関係に基づいて、施工現場の土壌の体積含水率を測定するTDR(Time Domain Reflectrometry)方式の測定法を使用することもできる。このTDR方式の測定法は、電磁波が土壌中を通過するときの伝搬速度と土壌の比誘電率(ε)との間に相関があることを利用して、その伝播速度を測定することにより体積含水率(θ)を測定するようにしたものである。その場合、電磁波が土壌中を通過するときの伝播速度は、電磁波が土壌中を所定距離通過するときの時間と電磁波が基準の媒質を所定距離透過するときの時間との差を計測することにより測定することができる。こうしたTDR方式の測定法を実施するための体積含水率測定装置も、市販品として入手することができる。一般に、塩分濃度の高い土壌を測定する場合には、ADR方式の測定法が推奨されている。
以上述べた第2の過程が終了したら、この第2の過程で測定した体積含水率(θ)を、第1の過程で予め作成した図2や図4に例示の乾燥密度−体積含水率曲線と照合して施工現場の土壌の乾燥密度を推計する第3の過程を実施する。例えば、3回の締め固めを行ったけい砂の土質の土壌について体積含水率(θ)を測定したところ、体積含水率(θ)の測定値が0.4であった場合には、この0.4の体積含水率(θ)を図2の乾燥密度−体積含水率曲線と照合して、その0.4の体積含水率(θ)に対応する土壌の乾燥密度を同曲線から求める。そうすると、この土壌の乾燥密度は、締め固め回数2回と5回との間の値すなわち1.02g/cm3 よりも大きく1.05g/cm3 (締め固め度90%)よりも小さい値であるというように、範囲が非常に限定された形で乾燥密度を推計することができる。
また、例えば、3回の締め固めを行なった関東ローム層の土質の土壌について体積含水率(θ)を測定したところ、体積含水率(θ)の測定値が0.2であった場合には、この0.2の体積含水率(θ)を図4の乾燥密度−体積含水率曲線と照合して、その0.2の体積含水率(θ)に対応する土壌の乾燥密度を同曲線から求める。そうすると、この土壌の乾燥密度は、締め固め回数2回と5回との間の値すなわち1.36g/cm3 よりも大きく1.4g/cm3 よりも小さい値であるというように、範囲が限定された形で乾燥密度を推計することができる。さらに、図2に係る土壌において体積含水率(θ)の測定値が0.5付近であった場合や図4に係る土壌において体積含水率(θ)の測定値が0.3付近であった場合には、締め固め度90%以上に相当する乾燥密度が得られていることを確認できる。
以上述べたように、第1の過程において乾燥密度と体積含水率の相関データである乾燥密度−体積含水率曲線を予め作成しておけば、第2の過程及び第3の過程は、施工現場でリアルタイムに実施することができる。したがって、乾燥密度−体積含水率曲線を一旦作成した後は、第2の過程及び第3の過程を適宜繰り返して、施工現場の各所の土壌について乾燥密度を測定する。この乾燥密度の測定結果や目標値として設定した締め固め度90%に相当する目標乾燥密度は、図示しない表示手段に表示する。また、表示手段には、図2や図4の要部を表わす画像上に乾燥密度の測定結果を表示するようにしてもよい。
この土壌乾燥密度の測定方法の作用効果について説明する。
本土壌乾燥密度の測定方法では、第1の過程において、施工現場から採取した土壌により締め固め度合いの異なる複数種類の試験試料を作成して、これらの各試験試料について乾燥密度−体積含水率曲線を予め作成すれば、第2の過程で施工現場の土壌の体積含水率を測定するだけで、施工現場の土壌の乾燥密度を、第3の過程で推計して測定することができる。その場合、第2の過程において施工現場の土壌の体積含水率を測定することは、市販のADR方式やTDR方式による体積含水率計測装置により、直接的かつ簡便に実施することができる。また、第3の過程では、第2の過程で測定した体積含水率を、第1の過程で作成した乾燥密度−体積含水率曲線と照合して、その体積含水率に対応する乾燥密度を同曲線から求めれば、施工現場の土壌について、締め固め度合いの異なる複数種類の土壌に係る乾燥密度を容易に求めることができる。
したがって、当該施工現場での締め固めに係る施工内容を勘案しながら、複数種類の試験試料の作成の際に締め固め度合いや試験試料の数を適切に選定すれば、当該施工現場の土壌について乾燥密度の範囲を絞ることができて施工現場の土壌の乾燥密度を推計することができる。こうしたことから、本土壌乾燥密度の測定方法では、第1の過程で乾燥密度−体積含水率曲線を予め作成しておけば、第2の過程や第3の過程を適宜繰り返すことにより、施工現場の各所の土壌について乾燥密度を測定できる。したがって、施工現場で複数個所の土壌の乾燥密度を測定する場合に、従来の技術のように施工現場で電磁波伝搬速度と含水比の双方を測定することは要せず、市販の体積含水率計測装置により、施工現場の各所で土壌の体積含水率を計測すれば済むので、施工現場の各所の土壌について乾燥密度を従来よりも迅速に測定することができる。
図10乃至図11に基づき、この出願の土壌締め固め度合いの判定方法及び土壌締め固め度合いの判定装置に係る発明を具体化した例について説明する。
図10は、この出願の第2番目の発明を具体化した土壌締め固め度合いの判定方法により土壌の締め固め度合いを判定するときの過程を示す流れ図、図11は、この出願の第3番目の発明を具体化した土壌締め固め度合いの判定装置に関する仕組みを概略的に示すブロック図である。
まず、図10に基づき、この出願の第2番目の発明を具体化した土壌締め固め度合いの判定方法について説明する。本土壌締め固め度合いの判定方法では、手順S1において、前述した突固めによる土の締固め試験(JIS A 1210)により、施工現場から採取した土壌で作成した締め固め度合いの異なる複数種類の試験試料について乾燥密度(γd)−含水比(W)曲線を予め作成する。また、手順S2において、前記土の突き固め試験により最適含水比(Wopt)及び最大乾燥密度(γdMAX )を求める。次いで、手順S3において、前記手順S1で求めた含水比(W)及び乾燥密度(γd)に基づいて乾燥密度(γd)−体積含水率(θ)曲線を作成する。
こうして、乾燥密度と体積含水率との相関関係を特定するための乾燥密度と体積含水率の相関データである乾燥密度−体積含水率曲線を予め作成した後、手順S4において、市販のADR方式又はTDR方式による体積含水率計測装置により施工現場の土壌の体積含水率を計測し、その計測結果に基づいて乾燥密度(γd)を求める。すなわち、施工現場の土壌に電磁波を透過させ、同電磁波が土壌を透過するときのインピーダンス又は伝搬速度と、電磁波が基準の媒質を透過するときのインピーダンス又は伝搬速度との関係に基づいて、施工現場の土壌の体積含水率を測定し、この体積含水率を、前記予め作成した乾燥密度−体積含水率曲線と照合して施工現場の土壌の乾燥密度を推計により測定する。
次いで、手順S5において、前記手順S4で測定した乾燥密度(γd)が、目標値として予め設定した締固め度X%(目標乾燥密度)以上((γd)>=γdMAX ×(X/100))であるか否かを、別途配備した表示装置に表示して判定する。その結果、手順S4で測定した乾燥密度(γd)が締固め度X%以上であると判定されたとき(OKのとき)には、施工現場における当該個所の土壌締め固め作業を終了し、そうでないと判定されたとき(NGのとき)には、当該個所の土壌について再度締め固めを行う。この手順S5では、測定した乾燥密度(γd)が締固め度X%以上であると判定されるまでこうした手順を繰り返す。ここで、締固め度X%は、図2及び図4の例では締め固め度90%と設定しているが、この締固め度X%は、当該締め固め工事の目的や当該工事の施工主の要求に応じて適宜選定することができる。
以上図10により述べた手順S1乃至手順S5のうち、手順S1乃至手順S3は、先に述べた土壌乾燥密度の測定方法における第1の過程と基本的に変わらず、手順S4は、同土壌乾燥密度の測定方法における第2の過程と第3の過程を合わせたプロセスと基本的に変わらない。したがって、以上述べた土壌締め固め度合いの判定方法は、先に述べた土壌乾燥密度の測定方法に対し、推計により測定した乾燥密度が目標乾燥密度以上であるか否かを判定する手順S5の過程を付加したものに相当し、この過程を第4の過程と称する。本土壌締め固め度合いの判定方法においても、第1の過程により乾燥密度−体積含水率曲線を一旦作成した後は、第2の過程乃至第4の過程(手順S4及び手順S5)を適宜繰り返して、施工現場の各所の土壌について乾燥密度を測定する。
こうした方法を採用した本土壌締め固め度合いの判定方法では、第1の過程乃至第3の過程において、先に述べた土壌乾燥密度の測定方法と同様の方法を使用して施工現場の土壌の乾燥密度を測定するようにしており、その後の第4の過程では、単に、この乾燥密度が締固め度X%に相当する目標乾燥密度以上であるか否かを判定するだけの負担をすれば足りる。したがって、本土壌締め固め度合いの判定方法によれば、施工現場の各所の土壌について土壌の締め固め度合いを従来よりも迅速に判定することができる。その結果、種々の用地や法面等、種々の土壌の締め固め作業を能率的に行うことができる。
次に、図11に基づき、この出願の第3番目の発明を具体化した土壌締め固め度合いの判定装置について説明する。本土壌締め固め度合いの判定装置は、前述した乾燥密度と体積含水率の相関データである乾燥密度−体積含水率曲線に係るデータを記憶する、図示しない記憶装置と、目標値として予め設定した目標乾燥密度としての設定値X%(締固め度X%)を入力して、図示しない記憶装置に記憶させるための入力部1とを備えている。また、施工現場の土壌について前記市販の体積含水率計測装置により測定(採取)した体積含水率を前記乾燥密度−体積含水率曲線に係るデータと照合して施工現場の土壌の乾燥密度を推計により計測する、図示しない演算手段と、この演算手段で計測した乾燥密度と目標乾燥密度としての設定値X%とを比較して、その演算手段で計測した乾燥密度が設定値X%以上であるか否かを判定する比較判定手段2と、この比較判定手段2での比較判定結果を表示する表示手段3とを備えている。
本土壌締め固め度合いの判定装置は、こうした手段を設けて構成することにより、前述した図10における手順S1乃至手順S5の過程を実施できるようにしたものである。すなわち、この土壌締め固め度合いの判定装置では、図10における手順S1乃至手順S3の過程で作成される乾燥密度−体積含水率曲線に係るデータは、予め作成されて、図示しない記憶装置に記憶されている。したがって、施工現場の土壌の体積含水率を測定する過程を、前述した市販の体積含水率測定装置により実施した後、その測定された体積含水率と記憶装置内の乾燥密度−体積含水率曲線に係るデータとを、図示しない演算手段で照合して施工現場の土壌の乾燥密度を推計により求めることにより、図10における手順S4の過程を実施することができる。
次いで、比較判定手段2では、この演算手段で計測した乾燥密度と目標乾燥密度としての設定値X%とを比較して、その演算手段で計測した乾燥密度が設定値X%以上であるか否かを判定して図10における手順S5の過程を実施することができる。したがって、本土壌締め固め度合いの判定装置によれば、先に述べた土壌締め固め度合いの判定方法を簡便に実施するための装置を得ることができ、同土壌締め固め度合いの判定方法と同様、施工現場の各所の土壌について土壌の締め固め度合いを従来よりも迅速に判定することができる。なお、比較判定手段2での比較判定結果、例えば目標乾燥密度と乾燥密度の測定結果との関係は、表示手段3に表示されて締め固め作業の作業者に伝達される。
以上述べた土壌乾燥密度の測定方法、土壌締め固め度合いの判定方法及び土壌締め固め度合いの判定装置では、施工現場での実際の測定は、従来の技術とは異なり、特に土壌の体積含水率を測定すれば足りるようにしているので、市販のADR方式やTDR方式による体積含水率測定装置をそのまま使用して測定することができて、特別の技能を要することなく既存の測定手法により簡便に実施することができる。また、前記の土壌乾燥密度の測定方法では、施工現場で計測された土壌の乾燥密度をその場で把握することができ、前記の土壌締め固め度合いの判定方法及び土壌締め固め度合いの判定装置では、その計測された乾燥密度が目標乾燥密度以上であるか否かを締め固め作業を1回行なう都度その場で知ることができるので、締め固め工法を実施する場合に、無駄な締め固め作業を極力しなくても済むようにすることができる。
乾燥密度と体積含水率の相関データである乾燥密度−体積含水率曲線を作成する場合、締め固め工法を実施する施工現場が限られているときには、施工現場の土質も総じて一様であるため、当該施工現場の代表的な箇所から採取した一種類の土壌を試験試料にして乾燥密度−体積含水率曲線を作成すればよい。また、施工現場が広範であって同一施工現場に複数の土質が混在するようなときには、当該施工現場の異なる箇所から採取した複数種類の土壌(例えば、けい砂や関東ローム層というような複数種類の土壌)を試験試料にして前記曲線を作成すれば、所期の目的を達成することができる。
締め固め度合いの異なる複数種類の試験試料について乾燥密度−体積含水率曲線を作成する場合、この乾燥密度−体積含水率曲線を、締め固め度合いの異なる何種類の試験試料により作成するかは、前述した突固めによる土の締固め試験での試験結果を勘案しながら決めればよい。例えば、当該施工現場の土壌が図1に係る土質の土壌である場合において、その土壌の含水比が最適含水比に近いときには、締め固め回数0回、1回及び2回のうちから選択した二種類又は三種類の締め固め回数の試験試料について乾燥密度−体積含水率曲線を作成しても、所期の目的を達成することができる。
1 入力部
2 比較判定手段
3 表示手段
A 基準波形の振幅
B 土壌中の波形の振幅
W 土壌の含水比
α 電磁波の受信強度の減衰率
γd 土壌の乾燥密度
ε 土壌の比誘電率
θ 体積含水率
2 比較判定手段
3 表示手段
A 基準波形の振幅
B 土壌中の波形の振幅
W 土壌の含水比
α 電磁波の受信強度の減衰率
γd 土壌の乾燥密度
ε 土壌の比誘電率
θ 体積含水率
Claims (3)
- 施工現場から採取した土壌により作成した締め固め度合いの異なる複数種類の試験試料について、乾燥密度と体積含水率との相関関係を特定するための乾燥密度と体積含水率の相関データを予め作成する第1の過程と、施工現場の土壌に電磁波を透過させ、同電磁波が土壌を透過するときのインピーダンス又は伝搬速度と、電磁波が基準の媒質を透過するときのインピーダンス又は伝搬速度との関係に基づいて、施工現場の土壌の体積含水率を測定する第2の過程と、この第2の過程で測定した体積含水率を、第1の過程で予め作成した乾燥密度と体積含水率の相関データと照合して施工現場の土壌の乾燥密度を推計する第3の過程とを経て実施され、第2の過程及び第3の過程を繰り返すことにより、施工現場の複数個所の土壌について乾燥密度を測定できるようにしたことを特徴とする土壌乾燥密度の測定方法。
- 施工現場から採取した土壌により作成した締め固め度合いの異なる複数種類の試験試料について、乾燥密度と体積含水率との相関関係を特定するための乾燥密度と体積含水率の相関データを予め作成する第1の過程と、施工現場の土壌に電磁波を透過させ、同電磁波が土壌を透過するときのインピーダンス又は伝搬速度と、電磁波が基準の媒質を透過するときのインピーダンス又は伝搬速度との関係に基づいて、施工現場の土壌の体積含水率を測定する第2の過程と、この第2の過程で測定した体積含水率を、第1の過程で予め作成した乾燥密度と体積含水率の相関データと照合して施工現場の土壌の乾燥密度を推計する第3の過程と、この第3の過程で推計した乾燥密度が、目標値として予め設定した目標乾燥密度以上であるか否かを判定する第4の過程とを経て実施され、第2の過程から第4の過程を繰り返すことにより、施工現場の複数個所の土壌について締め固め度合いを判定できるようにしたことを特徴とする土壌締め固め度合いの判定方法。
- 施工現場から採取した土壌により作成した締め固め度合いの異なる複数種類の試験試料について、予め作成された乾燥密度と体積含水率との相関関係を特定するための乾燥密度と体積含水率の相関データを記憶する記憶装置と、施工現場の土壌について測定した体積含水率を、予め作成された前記の乾燥密度と体積含水率の相関データと照合して施工現場の土壌の乾燥密度を推計する演算手段と、この演算手段で推計した乾燥密度が、目標値として予め設定した目標乾燥密度以上であるか否かを判定する判定手段とを設けて構成したことを特徴とする土壌締め固め度合いの判定装置。
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