JP2007007135A - 体内時計を利用した輸液管理システム - Google Patents

体内時計を利用した輸液管理システム Download PDF

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Abstract

【課題】体内時計リズムに狂いを起こさない点滴手段を提供する。
【解決手段】体内時計を利用した輸液管理システムであって、アミノ酸溶液、糖溶液、ビタミン溶液及び無機塩溶液からなる異なる輸液成分を収容する少なくとも4つの貯蔵容器、点滴制御装置、並びに給液用導管を含み、ここで、点滴制御装置が、前記溶液の滴下速度及び滴下時間帯を設定し、この設定に応じて給液を制御するための制御手段、各溶液の給液状態を監視するための表示手段、異常発生時に給液を自動停止させるための停止手段、及び前記溶液が流入する少なくとも4つの入口手段と前記溶液が流出する少なくとも1つの出口手段を含み、前記給液用導管が前記容器の各々と前記点滴制御装置の各溶液の前記入口手段とを連結する導管、及び前記点滴制御装置内部の各溶液を前記出口手段に導くための導管を含むことを特徴とするシステム。
【選択図】図4

Description

本発明は、アミノ酸溶液、糖溶液、ビタミン溶液及び無機塩溶液からなる異なる輸液成分を、体内時計を利用して設定されたその各々の滴下速度及び滴下時間帯で患者に点滴することを特徴とする給液する輸液管理システム及び点滴制御装置に関する。
細菌からヒトに至る多くの生物は、内因性発振器によって調節される種々の生理的及び行動的概日リズムを示している。哺乳類では、前視床下部の視交叉上核(suprachiasmatic nucleus; SCN)がマスター概日時計として機能する(Brain Res. 311:353-357, 1984; Science 283:693-695, 1999; Nature 382:810-813,1996)。ショウジョウバエ(Drosophila)時計遺伝子の同族体であるper遺伝子が哺乳類から単離された(Cell 96:271-290, 1999; Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:8819-8820, 1999; Brain Res. Rev. 33:34-77, 2000)
。per遺伝子、すなわちper1, per2及びper3は、SCNのみならず末梢組織、例えば眼、心臓、肺及び腎臓においても強固な概日発現を示す(Cell 96:271-290, 1999; Brain Res. Rev. 33:34-77, 2000; Neurosci. Lett. 256:117-119, 1998; J. Biol. Chem. 273:27039-27042, 1998)。時計遺伝子発現のフリーラン発振の期間は、固有に通常約24時間であり、
これらの概日発現は環境刺激によって決まる。そのような決定因子としての光の役割がよく研究されている。他の環境時間刺激である例えば温度、社会時間刺激及び食物摂取もまた、SCNでの概日時計を決めるが、そのような決定因子の作用は十分に理解されていない
。例えばグルココルチコイド、インターフェロン−α及びメタムフェタミンなどの薬剤の制限投与スケジュールが、末梢組織での概日遺伝子発現期を変化させるが、一方、そのような刺激はSCNでの概日遺伝子発現期に影響しないことが報告された(Genes. Dev. 14:2950-2961, 2000; Science 291:490-493, 2001; Embo J. 20:7128-7136, 2001; Nat. Med. 7:356-360, 2001; Eur. J. Neurosci. 16:921-929, 2002)。これらの知見に対して、本発
明者らの最近の研究により、末梢時計だけでなく中枢時計も中心静脈栄養(total parenteral nutrition; TPN)の時期によって強く影響されることが示された(Hepatology 26:1580-1586, 1997; Neuroreport 14:1457-1461, 2003)。夜間にTPNを与えた(夜の給餌を模倣
した)ラットでは、SCNでのrPer2及びラットD部位結合蛋白(rDBP)の発現が、夜遅くにピ
ークレベルをもつ自由摂取対照のものと類似したパターンを示した。しかし、昼間(ラットの休眠時間)だけTPNを与えたラットでは、これらの遺伝子発現の逆転パターンが観察
された。そのような変化は、点滴の開始後1日目の早い時期に生じた。
一方、臨床の現場で、いかに患者の生活の質(Quolity of Life; QOL)を考慮した輸液を実現できるかという問題は、医療や看護にとって最も現実的で重要な課題である。術後の栄養投与経路は主に中心静脈栄養(TPN)と経腸栄養(Enteral Nutrition)に分けられる。経腸栄養に関しては様々な基礎研究が発達し、ほぼ活動期(ヒトなら昼間)に投与することで副作用を避ける手立てが確立している。しかし、中心静脈栄養については、高カロリー輸液を静注用カテーテル経由で24時間連続して投与することが常識となっている。その一方で、合併症を誘発することが長く医療のなかで問題にされてきたが、最近本発明者らの研究から体内時計機構の関与が明らかになってきた(看護のための最新医学73-78頁 (2003)中山書店)。
R. Drucker-Colin et al., Brain Res. 311:353-357, 1984 DJ Earnest et al., Science 283:693-695, 1999 R Silver et al., Nature 382:810-813,1996 JC Dunlap, Cell 96:271-290, 1999 N. Ishida et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:8819-8820, 1999 KE van Esseveldt et al., Brain Res. Rev. 33:34-77, 2000 K Oishi et al., Neurosci. Lett. 256:117-119, 1998 K Sakamoto et al., J. Biol. Chem. 273:27039-27042, 1998 F. Damiola et al., Genes. Dev. 14:2950-2961, 2000 KA Stokkan et al., Science 291:490-493, 2001 N Le Minh et al., Embo J. 20:7128-7136, 2001 S. Ohdo et al., Nat. Med. 7:356-360, 2001 M Iijima et al., Eur. J. Neurosci. 16:921-929, 2002 A Ogawa et al., Hepatology 26:1580-1586, 1997 H Miki et al., Neuroreport 14:1457-1461, 2003 看護のための最新医学73-78頁 (2003)中山書店
中心静脈栄養法では、高カロリー輸液の長時間連続投与がもたらす肝障害、胆汁鬱滞などの合併症や薬剤投与時の効能の変化などが課題としてある。また、この従来の点滴法では不眠症や譫妄などの概日時計疾患も起こりえる。本発明者らは、このような弊害を極力抑制する点滴手段を開発することを目的とし、今回意外にも、連続した高栄養輸液自体も体内時計リズムを狂わすことを見出した。このような生体リズムの狂いもまた疾患の治療や予後の経過に影響を及ぼすと考えられる。
したがって、本願発明は、体内時計リズムに狂いを起こさない点滴を可能にする点滴制御装置を含む輸液管理システムを提供することを目的とする。
本発明は、要約すると、以下のとおりである。
(1)体内時計を利用した輸液管理システムであって、アミノ酸溶液、糖溶液、ビタミン溶液及び無機塩溶液からなる異なる輸液成分を収容する少なくとも4つの貯蔵容器、点滴制御装置、並びに給液用導管を含み、ここで、点滴制御装置が、前記溶液の滴下速度及び滴下時間帯を設定し、この設定に応じて給液を制御するための制御手段、各溶液の給液状態を監視するための表示手段、異常発生時に給液を自動停止させるための停止手段、及び前記溶液が流入する少なくとも4つの入口手段と前記溶液が流出する少なくとも1つの出口手段を含み、前記給液用導管が前記容器の各々と前記点滴制御装置の各溶液の前記入口手段とを連結する導管、及び前記点滴制御装置内部の各溶液を前記出口手段に導くための導管を含むことを特徴とするシステム。
(2)ヒト体内時計の慨日リズムを乱さないように前記輸液成分の滴下速度及び滴下時間帯を設定することを特徴とする(1)に記載のシステム。
(3)前記滴下時間帯がヒト覚醒時であることを特徴とする(2)に記載のシステム。
(4)前記アミノ酸溶液の滴下時間帯が12時から22時までの間に設定されることを特徴とする(3)に記載のシステム。
(5)前記糖溶液の滴下時間帯が10時から22時までの間に設定されることを特徴とする(3)に記載のシステム。
(6)前記無機塩溶液の滴下時間帯が11時から22時までの間に設定されることを特徴とする(3)に記載のシステム。
(7)前記輸液成分の給液が重力作用によって行われる(1)〜(6)のいずれかに記載のシステム。
(8)前記輸液成分の給液が機械的作用によって行われる(1)〜(6)のいずれかに記載のシステム。
(9)前記点滴制御装置が給液の完了、給液中、又は異常発生を知らせる手段をさらに含む(1)〜(8)のいずれかに記載のシステム。
(10)薬剤溶液を収容する容器をさらに含む(1)〜(9)のいずれかに記載のシステム。
(11)前記給液がアミノ酸溶液、糖溶液、ビタミン溶液及び無機塩溶液について行われる(1)〜(9)のいずれかに記載のシステム。
(12)前記給液がアミノ酸溶液、糖溶液、無機塩溶液、ビタミン溶液及び薬剤溶液について行われる(1)〜(10)のいずれかに記載のシステム。
(13)前記溶液の給液状態をナースステーションで監視するためのモニターをさらに含む(1)〜(12)のいずれかに記載のシステム。
(14)アミノ酸溶液、糖溶液、ビタミン溶液及び無機塩溶液からなる異なる輸液成分、並びに必要に応じて薬剤溶液を、体内時計を利用して設定されたその各々の滴下速度及び滴下時間帯で患者に給液するための手段を含む制御部を含むことを特徴とする点滴制御装置。
(15)前記制御部が、前記滴下速度及び滴下時間帯を設定する設定手段、前記溶液の流路に配置され、滴下速度を調整する調整手段、並びに前記設定手段によって設定された滴下条件に応じて流量の調整手段を制御作動する制御手段を含む(14)に記載の点滴制御装置。
(16)前記溶液の給液状態を監視するための表示手段をさらに含む(14)又は(15)に記載の点滴制御装置。
(17)異常発生時に給液を自動停止させるための停止手段をさらに含む(14)〜(16)のいずれか1項に記載の点滴制御装置。
(18)前記溶液が流入する少なくとも4つの入口手段と、前記溶液が流出する少なくとも1つの出口手段をさらに含む(14)〜(17)のいずれかに記載の点滴制御装置。
(19)前記給液の完了、給液中、又は異常発生を知らせる手段をさらに含む(14)〜(18)のいずれかに記載の点滴制御装置。
本発明において、連続した高栄養輸液自体が体内時計リズムを狂わすという知見に基づき、この体内時計リズムに狂いを起こさない状態で患者に点滴を行うことによって、患者の病状や予後の経過を改善することが可能であるという作用効果を有する。
本発明の輸液管理システムは、体内時計を利用して輸液成分、すなわちアミノ酸溶液、糖溶液、ビタミン溶液及び無機塩溶液の各々を患者に点滴するためのものである。このシステムは主に、異なる輸液成分を収容する少なくとも4つの貯蔵容器、点滴制御装置、及び給液用導管を含む。
本発明は、従来の中心静脈栄養で患者に点滴される輸液の個々の輸液成分が生体の概日リズムを狂わすという知見に基づき、このような生体リズムに狂いを生じさせない最適時間帯に各輸液成分を患者に点滴することを特徴とする。
輸液成分は、一般にアミノ酸、糖、無機塩(又は電解質)、及びビタミンからなる。これらの輸液成分を含む溶液はいずれも等張液に処方されるべきである。各溶液の量は、通常500ml以下、例えば500ml、300mlなどであり、好ましくは500mlである。
アミノ酸は、蛋白合成等に必要な必須アミノ酸のすべてからなり、高カロリー輸液中のアミノ酸の必要量は約1.0〜1.5 g/kg/日であり、非窒素熱量と窒素のグラム数の比である非蛋白カロリー窒素比(NPC/N比)の適正値が、例えば正常人で225、発熱や外傷のない内科患者で165、術後患者で175〜185、熱傷や感染症患者で185〜250、腎不全患者で300〜50
0であることが知られているため、患者の病態に応じて最適アミノ酸量に処方される。
糖は、カロリー源として利用される成分であり、糖として、ブドウ糖(すなわちグルコース)が通常使用される。しかし、糖尿病患者などの糖利用障害がある患者では、インスリンに依存しないフルクトース、キシリトール、マルトースなどが使用され、また肝疾患患者では、肝グリコーゲン生成が大きいソルビトールが使用される。一般に栄養状態を維持するために、20〜30Kcal/kg/日のカロリーに相当する量の糖に処方されるが、患者の病態に応じて30〜60Kcal/kg/日に処方することも可能である。
無機塩は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、リン、亜鉛、鉄などを含む。これらの無機塩は酢酸、乳酸、グリセロリン酸などの有機酸との塩の形態で含まれてもよいし、あるいは所謂無機塩の形態でもよい。一般に輸液に使用される無機塩の濃度に処方されるのがよい。
ビタミンは、ビタミンB1、B6、B12、C、E、塩酸チアミン、塩酸ピリドキシン、葉酸、
ビオチンなどを含む。輸液用ビタミンは、例えば「ネオラミン」(日本化薬)などの市販品を使用するのでよい。
本発明では、上記の4つの輸液成分を含有する各貯蔵容器を準備する。このような容器は、透明なポリマー製の袋(すなわちバッグ)、ガラスビンなどの輸液に通常使用される材質、形状の容器である。容器は、好ましくは、点滴用の支柱に逆さに吊るすことができる構造を有し、また給液用の注射針付き導管(チューブ)を接続し易いようにゴムキャップで無菌的に密封されている。
本発明の実施形態により、前記システムは、等張液に処方された薬剤溶液を収容する容器(通常500ml以下の量)をさらに含むことができる。このような薬剤は、患者の治療のために使用される医薬、感染を予防するための抗生物質などを含む。体内リズムを乱さないで投与時間帯を調整することによって、薬剤の効能を高めたり、副作用を軽減したりすることができる。例えば抗癌剤は夜に、また抗血栓剤は逆に朝に患者に投与するのがよく、薬剤の種類に応じて投与時刻を選択することが好ましい。本発明によれば、ヒト体内時計の概日リズムを乱さない輸液の滴下時間帯が就寝時でない覚醒期(すなわち活動期)に存在し、上記4つの輸液成分及び薬剤はそれぞれ最適の滴下時間を有している。ヒトにおいて、例えばアミノ酸溶液の滴下時間帯は12時から22時までの間、糖溶液の滴下時間帯は10時から22時までの間、及び無機塩溶液の滴下時間帯が11時から22時までの間にそれぞれ存在する。
上記溶液の滴下速度は、溶液毎に異なってもよいし同じでもよいが、患者への注入量が一定速度となるように調整されることが好ましい。滴下速度は、一般に10〜500ml/時であり、例えば10〜50ml/時、50〜100ml/時、100〜200ml/時、200〜300ml/時、300〜400ml/時、400〜500ml/時などの範囲に調整される。
さらに本発明においては、輸液の点滴は、患者の治療又は予防の目的に応じて、アミノ酸溶液、糖溶液、ビタミン溶液及び無機塩溶液の4つの溶液からなってもよいし、あるいは、アミノ酸溶液、糖溶液、無機塩溶液、ビタミン溶液及び薬剤溶液の5つの溶液からなってもよい。
本発明のシステムはさらに、点滴制御装置を含む。この装置は、アミノ酸溶液、糖溶液、ビタミン溶液及び無機塩溶液からなる異なる輸液成分、並びに必要に応じて薬剤溶液を、体内時計を利用して設定されたその各々の滴下速度及び滴下時間帯で患者に給液する手段を含む制御部を含むことを特徴とする。
このような制御は、マイコン制御による流量コントロール弁又はチューブクランプの開閉を調節することによって行うことができる。溶液の滴下速度及び滴下時間帯を自動制御するために、最適の数値を入力するための設定機能、この数値を記憶するための記憶(メモリー)機能、及び設定どおりに滴下を実行(ラン)するための機能を含む。
具体的には、前記制御部は、前記滴下速度及び滴下時間帯を設定する設定手段、前記溶液の流路に配置され、滴下速度を調整する調整手段、並びに前記設定手段によって設定された滴下条件に応じて流量の調整手段を制御作動する制御手段を含むことができる。
このような調整・制御手段の一例を図5に示す。図中、ステッピングモータ(1)を回転
し、ギヤー(2)を介してアクチェータ(3)を進退駆動し、これによって導管(チューブ)径の絞り量(或いは、絞り力又は押圧力)を調節する。圧力センサ(4)で絞り量を検出し、絞り
量を流量に変換し滴下速度(又は滴下量)を検出する。
本発明において、調整・制御手段は、溶液毎に滴下状態を制御できるように、溶液毎に備えることが好ましい。
本発明では、滴下速度の大小に応じて流量調節手段での溶液の通過量の大小を変化させることによって滴下速度を制御することができる。また、滴下時間帯は、上記制御手段により、点滴開始時に流路を開き、点滴完了時に流路を閉じるようにすることによって設定可能である。
本発明の点滴制御装置はさらに、各溶液の給液状態を監視するための表示手段を含むことができる。表示部には、例えば滴下速度、滴下のための残時間、滴下液量、液温、電池残量、点滴完了を知らせるEND表示、などを表示することができる。
さらに本発明の点滴制御装置は、異常発生時に給液を自動停止させるための停止手段をさらに含むことができる。停止手段は、例えば流量又は圧力センサー又は気泡センサーなどのセンサーと連動して流量異常や空気混入などの異常発生時に点滴制御装置を自動的に停止させる。或いは、緊急停止ボタンを押すことによって手動的に点滴制御装置を停止させてもよい。点滴制御装置には、このような事態を知らせるための手段、例えば警報ランプ及び/又はアラームも含むことができる。このようなランプ及び/又はアラームはまた、各溶液の給液の完了及び供給液中を知らせるときにも機能するようにすることができる。ランプは、例えばLED点滅(赤色)もしくは点灯(赤色又は青色)とすることができる。また
、ランプの点灯やアラーム音を解除するための手段も含むことができる。
本発明の点滴制御装置には、前記溶液が流入する少なくとも4つ、好ましくは5つの入口手段と、前記溶液が流出する少なくとも1つ、好ましくは1つの出口手段をさらに含む。入口手段は、各容器からの各溶液を装置の内部に取り込むためのものであり、単に容器からの導管の口を差し込み、液漏れがないように固定できる部材からなる。また出口手段は、導管を介して(滴下状態が分かる)点滴筒に接続するためのものである。溶液を給液するための4つ又は5つの導管を好ましくは1つの導管に導く構造を有するのが望ましいが、この場合、入口側の導管と比べて出口側の導管の内径がより大きくすることによって、流量の制御が容易になる。導管は、点滴チューブと同じ材質のフレキシブルなチューブが好ましい。
輸液成分の給液は重力作用又は機械的作用によって行うことができる。好ましくは、重力作用、すなわち自然落下方式である。なぜなら空気が患者の静脈に入る危険性がないか又はほとんどないからである。
機械的方式は、所謂ポンプであるが、例えば輸液チューブを挟み込み、チューブに連続的又は間欠的に圧力を加えて送液するか、あるいはシリンジの押し子を連続的又は間欠的に押し出すことにより送液する構造からなる。ポンプの使用に際しては、気泡センサー、異常時の停止、警報などの装置などの安全対策機能も装備されねばならない。ポンプは、点滴制御装置の内部に存在するのがよい。ポンプは、溶液毎に、各点滴制御装置の上流に備えてもよいし、或いは溶液の合流部の下流に配置されてもよい。
点滴制御装置は、さらに電源を含む、交流電源(AC)又は直流電源(DC)のいずれでもよいが、携帯可能なように直流電源が好ましい。好ましい電源は、複数の乾電池、充電式の充電池などである。また、専用ACアダプターを介して通電することも可能である。さらにまた、電池残量が分かるように、前記表示部に電池残量が表示されるべきである。さらに、電源を入れ、給液に必要な条件設定を入力したのち、給液を開始するためのスタートボタンもまた備えることができる。
本発明の輸液管理システムは、図4に示すように、アミノ酸溶液、糖溶液、ビタミン溶液及び無機塩溶液からなる異なる輸液成分を収容する少なくとも4つの貯蔵容器、点滴制御装置、並びに給液用導管を含み、ここで、点滴制御装置が、前記溶液の滴下速度及び滴下時間帯を設定し、この設定に応じて給液を制御するための制御手段、各溶液の給液状態を監視するための表示手段、異常発生時に給液を自動停止させるための停止手段、及び前記溶液が流入する少なくとも4つの入口手段と前記溶液が流出する少なくとも1つの出口手段を含み、前記給液用導管が前記容器の各々と前記点滴制御装置の各溶液の前記入口手段とを連結する導管、及び前記点滴制御装置内部の各溶液を前記出口手段に導くための導管を含む。
出口手段では、好ましくは、点滴制御装置内部で溶液が合流して1つの出口に集液する。出口手段に嵌入されたチューブは点滴筒を介して患者に無菌的に装着される。点滴筒によって、滴下状態が視覚的に分かる。
貯蔵容器と点滴制御装置は点滴スタンドに固定され、患者がスタンドを持って移動可能であることが好ましい。
本発明のシステムは、前記溶液の給液状態をナースステーションで監視するためのモニターをさらに含むことができる。モニター画面には、点滴制御装置からの情報、例えば滴下速度、滴下のための残時間、滴下液量、液温、電池残量などが、点滴の間中、写し出される。点滴制御装置からの情報は、患者が点滴スタンドを持って移動可能なように、無線的に(すなわち、非有線的に)ナースステーションに送られることが好ましい。無線的な情報の伝達は、点滴制御装置に発信器を装備し、一方ナースステーションのモニターに受信器を装備することによって可能である。このような伝達手段は周知の技術を用いて達成されうる。
本発明のシステムは、患者への点滴を体内時計リズムに狂いを生じさせない各輸液成分の最適滴下時間帯に行うための装置である。それゆえ、輸液成分によって同じ又は異なる時間帯に滴下が行われる。所定の流速(例えば10〜500ml/時)で輸液を患者に投与するために、各輸液成分の滴下速度は、例えば4つの成分を同時に滴下するときには装置出口での所定の流速の4分の1の流速とし、3つの成分のときには所定の流速の3分の1とし、2つの成分のときには所定の流速の2分の1とし、1つの成分のときには所定の流速と同一となるように設定しうる。
本発明をさらに下記の例示的な実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例に
よって制限されないものとする。下記の実施例は、ラット(夜行性)を用いて、連続した高栄養輸液自体が体内時計リズムを狂わすことを証明する。
1.方法
動物
6週齢の雄Wisterラット(Charles River、日本)を個々に飼育し12時間の明暗周期(7時
から19時まで点灯、19時から翌朝7時まで消灯)に維持した。8週齢で、開示の方法に従
って、シラスティックカテーテル(内径0.5mm;Dow Corning,米国)を右頚動脈から右腔に
向けて先端を挿入した(Arch. Surg. 104:330-332, 1972)。麻酔のため、ペントバルビツ
ールナトリウムを35mg/kg体重の用量で腹腔内に注射した。これらのラットを4群に分け
た。擬似操作群のラットは飢餓状態にし、8時から20時まで、点滴経路を維持するのに丁
度十分な最低速度(36ml/kg/12時間)で生理食塩水を受容した。グルコース群は8時から20
時まで、240ml/kg/12時間の速度でグルコース溶液(20%w/vグルコース、261kcal/kg/日、Na+ 50meq/L及びCl- 50meq/L)を受容した。アミノ酸群は、8時から20時まで、240ml/kg/12時間の速度でアミノ酸溶液(Amiparen(商品名)、大塚製薬、日本;4.3%w/v 1.78 gN/kg/日、Na+ 50meq/L及びCl- 50meq/L)を受容した。生理食塩水群は、8時から20時まで、240ml/kg/12時間の速度で生理食塩水を受容した。これらのラットは、実験の間、いかなる経
口摂取も許されなかった。対照群は、粗製ラット食餌(オリエンタル酵母、日本)と水の自由摂取を可能にした。
点滴の初日に、示された時間(9時=Zeitgeber時間(ZT)02;13時=ZT06;17時=ZT10;21時=ZT14;1時=ZT18;5時=ZT22)にラットを殺し、脳と肝臓サンプルを各動物から取り出した(各群各時点でn=3)。ZT14からZT22まで麻酔とサンプリングを薄暗い赤色光
下で行った。大阪大学医学部の実験動物の使用に関する委員会がすべての手順を承認した。
ラット脳凍結切片のin situハイブリダイゼーション
ラットの脳と肝臓を、左心室から経心臓潅流により、4%パラホルムアルデヒドPBSで
固定した。固定後、脳と肝臓をスクロース含有0.1M PBS中に浸漬し、ついで、これらの器官を、Tissue-Tek OTC化合物(桜ファインテクニカル、日本)中に埋め込み、ドライアイス上でゆっくり凍結した。頭頂脳連続切片と肝臓連続切片(いずれも厚さ8μm)を、クリオスタット(HM 505E MICROM、ドイツ)を用いて全SCN領域と肝臓を調べるために調製し、使用まで−80℃に保持した。ジゴキシゲニン標識RNAプローブを、DIG RNAラベリングキット(Boehringer Mannheim、ドイツ)を用いてrPer2 cDNA断片(塩基:1〜5453;GenBank
登録番号AB016532)から作製した。プローブのin situハイブリダイゼーションと検出は
、開示の方法で行った(Neurosci. Prot. 1:1-9, 1996; Neurosci. Prot. 2:1-13, 1996)
。ハイブリダイゼーション強度のデンシトメーター分析は、Mc Scope Ver.2.5(三谷コーポレーション、日本)を用いて行った。SCNは卵形の核でありSCN中のrPer2などのmRNAシ
グナルは、他の隣接する領域から区別するのが容易であるため、各SCNのDIGシグナルは顕微鏡分析によって分析された。
ノーザンブロット分析
ラットを殺し、それらの肝臓組織を細かく切り出し、すぐに凍結し、分析まで液体窒素に保存した。全RNAをIsogen(グアニジン塩酸/フェノール法;日本ジーン、日本)を用い
て肝臓組織から単離し、1%アガロース/0.7Mホルムアルデヒドゲル上で分離した。RNAを、受動型キャピラリー転写法によってナイロン膜(Gene Screen Plus(商品名);DuPont、米国)上に転写した。肝臓組織からの全RNA20μgを各レーンに載せた。各レーンの各負荷量を評価するために、アガロースゲルを臭化エチジウムで染色し、UV光下で視覚化した。32P標識ランダムプライムドプローブを、ランダムプライマーDNAラベリングキットVer.
2(宝バイオ、日本)を用いてrPer2 cDNA断片(塩基:1144〜1797;GenBank登録番号AB016532)から作製し、組織RNAとハイブリダイズし、開示の方法で検出した(Neurosci. Lett. 245:113-116, 1998)。結果は、内部標準としてのGAPDHによって正規化された。
統計解析
統計解析は、Bonferroni/Dunnポストホック試験と定期的分析を用いて、一方向及び二
方向階乗ANOVAによって行った。データは、平均±S.E.M.で表した。0.05未満のP値が有意であるとした。
2.結果
図1は、自由摂取対照ラット及び擬似操作ラットのSCN及び肝臓におけるrPer2遺伝子発現を示す。自由摂取対照群でのrPer2発現のピークが、SCN及び肝臓についてともにZT18で観察されたが、一方、擬似操作群での発現は両組織で4時間早く(ZT14で)現れた。すべて
の群のrPer2のmRNA発現は有意の日変化を示した(それぞれP<0.01、ANOVA及び定期的分析)。以下の実験では、擬似操作ラットを対照として用いた。
次に、本発明者らは、240 ml/kg/12時間の速度でグルコース、アミノ酸又は生理食塩水を与えたラットもSCNにおけるrPer2発現を調べた(図2)。擬似操作群と比較して、グルコース群のシグナルは、点滴の開始後ゆっくりと増加し始め、ZT14でピーク蓄積を示した。グルコース群のピークは、擬似操作ラットのピークと同じであったが、パターンは異なった。グルコース群では、rPer2誘導がZT06の早い時期に明らかに認められた。アミノ酸
溶液を与えたラットもまた、擬似操作群より8時間早いZT6にピークを有しながら、SCNに
おいてrPer2 mRNAの明らかな誘導を示した。興味深いことに、生理食塩水群は、ZT06にピークを有しながら、SCNにおいてrPer2 mRNA発現を誘導した。すべての群でのrPer2のmRNA発現は有意の日変化を示した(それぞれP<0.01、ANOVA及び定期的分析)。昼間のTPN(中心静脈栄養;グルコース、アミノ酸及び電解質の混合物)の影響を調べた本発明者らの先の実験(Neuroreport 14:1457-1461, 2003)と比較して、グルコース群でのrPer2発現パター
ンはTPN群のパターンと最も類似していた。
本発明者らはまた、肝臓におけるrPer2 mRNA発現に対する、グルコース溶液、アミノ酸溶液及び生理食塩水の影響を調べた(図3)。SCNで得られた結果と対照的に、グルコー
ス溶液は、rPer2のピーク時間を4時間だけ遅延させたが、一方、アミノ酸溶液は、点滴
の開始後すぐにrPer2発現を誘導しZT14にピーク値を導いた。生理食塩水を与えたラット
は擬似操作群と類似の日リズム発現を示し、ZT14にピーク蓄積を示した。昼間TPNでの本
発明者らの先の知見と比べて、アミノ酸群の肝臓でのrPer2発現パターンは昼間TPNのパターン(Neuroreport 14:1457-1461, 2003)と最も類似していた。すべての群のrPer2 mRNA発現は、有意の日変化を示した(それぞれP<0.01、ANOVA)。定期的分析もまた、生理食塩水
群を除くすべての群で、有意の日変化と、すべての群のピーク時間の間の有意の差とを示した(P<0.01)。
3.考察
実験動物を用いた従来の研究は、制限された給餌が肝臓において時計遺伝子発振期を変えるが、SCNでは時計を変えないことを示した(Genes. Dev. 14:2950-2961, 2000; Science 291:490-493, 2001)。しかしながら、本発明者らの最近の研究では、TPNが肝臓だけ
でなくSCNでも時計遺伝子の発現期をシフトさせることが示された。この研究の目的は、
静脈栄養による生物時計の周期を決める機構を明らかにすることであった。本発明者らの知見と従来の報告との間の矛盾は、静脈栄養と経口栄養(Genes. Dev. 14:2950-2961, 2000; Science 291:490-493, 2001; Neuroreport 14:1457-1461, 2003)との違い、すなわ
ち消化管からの求心的知覚神経を経由した噛む、嚥下する、消化する及び吸収する栄養の有無、に起因するかもしれない。
中心静脈栄養(TPN)による発現期のシフトの機構を明らかにするために、本発明者ら
は、今回、SCNと肝臓における時計遺伝子の発現に対するTPN溶液に含まれる各栄養成分の影響を調べた。その結果、各栄養成分に対するSCN時計及び末梢時計の応答性に明らかな
違いがあることが分かった。SCNでの時計遺伝子rPer2の発現は、栄養成分(すなわち、グルコース、アミノ酸及び生理食塩水)のいずれの点滴によっても誘導された。しかし、3つの溶液間でピークは異なり、グルコース群ではZT14で、アミノ酸群でZT06で、生理食塩水群でZT06でピークが観察された。SCNでは、グルコース群は擬似操作群と類似の発振パ
ターンを示したが、rPer2誘導はより早い時間(ZT06)で認められた。そのパターンは、本
発明者らによる昼間TPN溶液(グルコース、アミノ酸及び電解質の混合物)を与えたラッ
トのパターン(Neuroreport 14:1457-1461, 2003)と類似していた。これらの結果は、グ
ルコースがSCN時計の最も強力な慨日リズムの周期を決める因子である可能性を示した。Hirotaらは最近、培養細胞においてグルコースが一過的にマウスper1及びper2発現をダウ
ンレギュレートしたことを報告している(J. Biol. Chem. 277:44244-44251, 2002)。したがって、TPNの場合、グルコースが、アミノ酸又は電解質のみがラットに投与されたとき
により急速に生じるrPer2誘導を抑制するかもしれない。
各高栄養群で観察されたこれらの作用が実際栄養特異的作用であるかという疑問がある。全エネルギー投与は、各高栄養群で異なる(すなわち、アミノ酸群の44.5 kcal/kg/日
対グルコース群の261 kcal/kg/日)ため、栄養不良又は低エネルギーの影響は排除できない。しかしながら、本発明者らの先の研究から、1〜3日の飢餓は、ラット肝臓における、慨日時計関連遺伝子の1つであるD部位結合タンパク質(DBP)の発現を有意に変更しないことが示されている(Hepatology 26:1580-1586, 1997)。また、10日間無蛋白食餌を与え
たラットは、肝臓においてDBP発現の有意の変化を示さなかった。これらの結果は、少な
くとも肝臓では、蛋白−カロリー栄養不良又は低エネルギーは時計遺伝子発現に影響しないかもしれないことを示している(J. Nutr. 127:1328-1332, 1997; Nutrition 15:213-216, 1999)。さらにまた、この研究では、無カロリーの非常に低用量の生理食塩水を与えた擬似操作群でのper2遺伝子発現は、自由摂取の対照ラットでの発現と非常に類似したパターンを示した。それゆえ、絶食の影響は、たとえあったとしても無視しうるものである。最後に、この実験が等カロリー条件で設計された場合には、各高栄養投与は動物の生理的栄養要求量を超えていただろう。この時点で、高い浸透圧又は毒性などの過剰用量の影響は、高栄養特異的影響から分離することができない。
生理食塩水に対するSCNにおけるrPer2の迅速応答は、栄養因子だけでなく血管中の水分体積の急速な変化も中枢時計に影響を与える可能性がある。生理食塩水群での発現パターンは、アミノ酸群のパターンに類似していた。それゆえ、アミノ酸群のSCNにおけるrPer2発現の迅速誘導は、アミノ酸に特異的ではなく、点滴の物理的影響に起因する可能性がある。
生理食塩水の点滴がなぜ中枢時計に影響するかはわからないが、視床下部が浸透圧や水分恒常性の重要な中枢であり、またSCNが自律神経の調節中枢であると提案されているた
め(J. Nutr. 131:2509S-2514S, 2523S-2504S, 2001)、視床下部が水分バランス及び浸透
圧を調整するためにそれらの変化に迅速に応答するにちがいない。したがって、SCNにお
ける時計は、自律神経の調節を介して水分バランスの機構に関与しているとするのが合理的であるように思われる。
一方肝臓では、rPer2遺伝子発現は生理食塩水点滴によって影響を受けなかった。SCNと対照的に、肝臓でのrPer2発現のピーク時間は、グルコースによって反対方向にシフトし
た。グルコース溶液は、この発現期を8時間だけ遅延させたが、一方、アミノ酸溶液はそれを4時間早めた。アミノ酸溶液を与えたラットがTPN溶液を与えたラットと類似のパタ
ーンを示したという知見から、アミノ酸は肝臓における時計遺伝子の誘導剤であると思われる(Neuroreport 14:1457-1461, 2003)。アミノ酸が末梢時計に影響を与える機構は依然として検討中である。Haussingerらは、グルタミン、グリシン及びアラニンなどのアミノ酸の投与による肝細胞の腫脹の増大が、MAPKによる浸透圧シグナル伝達経路を活性化する可能性があることを示した(Genes Dev. 14:645-649, 2000)。
結論として、中枢及び末梢時計は栄養因子に対し区別的に応答する。今回の知見により、SCN時計は、血管内の体積変化によって、及びアミノ酸とグルコースによって、(慨日
リズムの周期が)決定される可能性が示された。それらのうち、グルコースは最も重要な因子であるように思われる。一方肝臓では、アミノ酸が時計遺伝子の発現の誘導に関与していることが示された。
本発明は、ヒト体内時計を利用した輸液管理システムを提供する。高栄養輸液の栄養成分間で、中枢及び末梢時計は異なる応答を示すことが今回判明し、体内時計リズムに狂いを生じさせないように点滴を患者に対し行うことによって患者の病状や予後の経過を改善する。このような改善は、薬剤投与の際にも認められ、薬剤の種類に応じて最適の投与時間帯が存在する。本発明のシステムは、高栄養輸液及び薬剤を最適時間帯に投与することを可能にするものであり、これによって患者の病状や予後の経過を改善することが可能になる。
対照群及び擬似操作群におけるSCN及び肝臓中のrPer2 mRNAの慨日プロフィールを示す。(a):実験プロトコルを示す。白のバーは、点灯期を示し、黒のバーは、消灯期を示す。斜線のバーは、TPN投与の時間を示す。In situハイブリダイゼーションを用いたSCN(b)と、ノーザンブロット分析による肝臓(c)についての代表的結果が提示されている。SCN(d)及び肝臓(e)の代表的結果も示されている。白丸は、自由摂取対照群を示し、黒丸は、擬似操作群を示す。ピーク濃度を100%と定義した。データは平均±S.E.M.(標準偏差)で表した。 SCNにおけるrPer2 mRNAの慨日プロフィール。(a):SCNにおけるrPer2発現の代表的データを示す。(b):SCNにおけるrPer2発現のシグナル濃度の計算からの定量結果を示す。白のバーは、点灯期を示し、黒のバーは、消灯期を示す。斜線のバーは、TPN投与の時間を示す。ピーク濃度を100%と定義した。データは平均±S.E.M.で表した。 肝臓におけるrPer2 mRNAの慨日プロフィール。(a):肝臓におけるrPer2発現の代表的データを示す。(b):肝臓におけるrPer2発現のシグナル濃度の計算からの定量結果を示す。白のバーは、点灯期を示し、黒のバーは、消灯期を示す。斜線のバーは、TPN投与の時間を示す。ピーク濃度を100%と定義した。データは平均±S.E.M.で表した。 本発明の輸液管理システムの概略図を示す。 本発明の点滴制御装置の調整・制御手段の構造の一部を示す。
符号の説明
1: ステッピングモータ
2: ギヤー
3: アクチュエータ
4: 圧力センサー

Claims (19)

  1. 体内時計を利用した輸液管理システムであって、アミノ酸溶液、糖溶液、ビタミン溶液及び無機塩溶液からなる異なる輸液成分を収容する少なくとも4つの貯蔵容器、点滴制御装置、並びに給液用導管を含み、ここで、点滴制御装置が、前記溶液の滴下速度及び滴下時間帯を設定し、この設定に応じて給液を制御するための制御手段、各溶液の給液状態を監視するための表示手段、異常発生時に給液を自動停止させるための停止手段、及び前記溶液が流入する少なくとも4つの入口手段と前記溶液が流出する少なくとも1つの出口手段を含み、前記給液用導管が前記容器の各々と前記点滴制御装置の各溶液の前記入口手段とを連結する導管、及び前記点滴制御装置内部の各溶液を前記出口手段に導くための導管を含むことを特徴とするシステム。
  2. ヒト体内時計の慨日リズムを乱さないように前記輸液成分の滴下速度及び滴下時間帯を設定することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  3. 前記滴下時間帯がヒト覚醒時であることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
  4. 前記アミノ酸溶液の滴下時間帯が12時から22時までの間に設定されることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
  5. 前記糖溶液の滴下時間帯が10時から22時までの間に設定されることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
  6. 前記無機塩溶液の滴下時間帯が11時から22時までの間に設定されることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
  7. 前記輸液成分の給液が重力作用によって行われる請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    システム。
  8. 前記輸液成分の給液が機械的作用によって行われる請求項1〜6のいずれか1項に記載
    のシステム。
  9. 前記点滴制御装置が給液の完了、給液中、又は異常発生を知らせる手段をさらに含む請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステム。
  10. 薬剤溶液を収容する容器をさらに含む請求項1〜9のいずれか1項に記載のシステム。
  11. 前記給液がアミノ酸溶液、糖溶液、ビタミン溶液及び無機塩溶液について行われる請求項1〜9のいずれか1項に記載のシステム。
  12. 前記給液がアミノ酸溶液、糖溶液、無機塩溶液、ビタミン溶液及び薬剤溶液について行われる請求項1〜10のいずれか1項に記載のシステム。
  13. 前記溶液の給液状態をナースステーションで監視するためのモニターをさらに含む請求項1〜12のいずれか1項に記載のシステム。
  14. アミノ酸溶液、糖溶液、ビタミン溶液及び無機塩溶液からなる異なる輸液成分、並びに必要に応じて薬剤溶液を、体内時計を利用して設定されたその各々の滴下速度及び滴下時間帯で患者に給液するための手段を含む制御部を含むことを特徴とする点滴制御装置。
  15. 前記制御部が、前記滴下速度及び滴下時間帯を設定する設定手段、前記溶液の流路に配置され、滴下速度を調整する調整手段、並びに前記設定手段によって設定された滴下条件に応じて流量の調整手段を制御作動する制御手段を含む請求項14に記載の点滴制御装置。
  16. 前記溶液の給液状態を監視するための表示手段をさらに含む請求項14又は15に記載の点滴制御装置。
  17. 異常発生時に給液を自動停止させるための停止手段をさらに含む請求項14〜16のいずれか1項に記載の点滴制御装置。
  18. 前記溶液が流入する少なくとも4つの入口手段と、前記溶液が流出する少なくとも1つの出口手段をさらに含む請求項14〜17のいずれか1項に記載の点滴制御装置。
  19. 前記給液の完了、給液中、又は異常発生を知らせる手段をさらに含む請求項14〜18のいずれか1項に記載の点滴制御装置。
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