ビジュアルコンテンツは、静止ピクチャ又は動的ピクチャであるに拘わらず、通常、排他性を有する著作権関連保護により保証された創作物である。それらビジュアルコンテンツを複製することは、著者及び彼らの受益者が報酬を得ることを可能にする厳密に規定されたフレームワークの範囲内でのみ、通常、許可されている。
このような法的基準が正しく遵守されることを保証するように、違法コピーを防止する又はそれらのコピーが使用できないようにするためにそれらの品質を十分に低下させるために、多くの方式が開発されてきた。
これに関連して、特許文献、欧州特許第1237369号明細書の目的は、例えば、映画館でビデオカメラを用いて、画像が表示されるときに、撮影されることにより画像がコピーされることをなくすことである。このために、パターンは人間の目には視認可能でないが、ビデオカメラが撮影するシーケンスにおいてはアーティファクトを生成する高い周波数まで表示される値のあたりで、パターンの画素の輝度を変調させることが提案されている。そのパターンは、通常、タトゥ又はコピー防止パターンと呼ばれている。
そのパターンの形式は、例えば、ビデオカメラで表示される画像において現れる“違法コピー”のような種類のメッセージを表示するように決定される。
肉眼では視認可能でないそのパターンに対して、その変調は、パターンが明るい画像とパターンが暗い画像とが交互になるものであり、幾つかの画像に対するパターンの平均強度は、パターンが存在しない画像において表示される強度に相当するものである。それらの画像が表示されるとき、人間の目は積分を実行し、実際には、平均強度を知覚する。
他の方法は、輝度を変調することなく、パターンの画素のカラーを変調する。パターンの画素のカラーは、パターンが人間の目には視認できないようにする高い周波数で表示されるカラーのあたりで変調される。この方法は、それ故、カラー融合に基づいている。そのカラー融合については、国際公開第05/027529号パンフレットに非常に詳細に記載されている。
一般に、この時間変調の目的は、所定の瞬時tに受信されるパラメータを時間に対して分配することである。このパラメータは、通常、映像にリンクされ、上記のように、輝度又はカラーであることが可能である。その時間分配は、“フレーム”時間又は“サブフレーム”時間により分離された瞬時においてなされる。
この技術は、しかしながら、画像が動的シーンを表すとき、問題を与える。実際には、人間の目は画像の動きに追従する傾向にあるため、時間積分はもはや適切になされず、パターンは、それ故、肉眼で見えるようになる。第1画像におけるパターンの画素Pに対して輝度不足を生成する変調の例と、第2画像における同じ画素に対する補完的な輝度過剰とを想定する。人間の目が動かない場合、目はそれら2つの画素の輝度を共に加え、次いで、平均輝度値を知覚する。人間の目の知覚性は、それ故、適切である。人間の目が動いている場合、第1画像における画素Pは、第2画像におけるこの同じ画素と同じ目の網膜領域によっては積分されない。それらの2つの画素間のビジュアル的加算はもはや適切でなく、パターンは、それ故、目で感知されないこととなる。
この問題を克服するためには、表示される2つの連続する画像の全く同じ画素に関連する映像パラメータを後者が積分するような方法で、人間の目の動きに従ったパターンの動きを有することが可能である。この動き補償技術は、欠陥を限定し、処理品質を改善するために用いられるが、動きベクトルの高い正確度及び動き評価器の高い信頼性が前提とされている。
欧州特許第1237369号明細書
国際公開第05/027529号パンフレット
本発明の目的は、上記の短所を克服するための方法及び装置を提供することである。
本発明に従って、固定領域又は、適切には、弱い動きを有する領域のみにおけるパターンを時間変調することを提供する。実際には、その処理は、ビューアの目には視認可能である必要はないが、侵害撮影システムに対してのみ視認可能であるものである。フィルムにおいては、多くのショットは固定され、静止領域又は殆ど動きのない領域、例えば、背景又は室内のシーンを含む。それ故、動いている領域における画像を劣化させるのではなく、それらに時間変調処理を適用することにより、それらの重要な領域のパターンを時間変調しないという決定がなされる。
又、本発明は、ソース画像のシーケンスにおいて少なくとも1つのコピー防止パターンを表示するように意図された画像処理方法に関し、各々のソース画像は行列状に構成された複数の画素を有し、前記パターンは前記画像で選択された画像の集合を有し、各々の画素はソース画像の各々において所定の映像パラメータを有し、その方法は、人間の目に視認できないように、及び画像が表示される場合にそれらの画像が写真撮影技術によりコピーされないとき、アーティファクトを生成するように、所定の映像パラメータのあたりでパターンの各々の画素の映像パラメータを時間変調するための変調段階を有する。本発明の方法は又、その変調段階に先立ち、ソース画像のシーケンスにおいて静止領域を決定する段階を有し、パターン(時間変調される)の画素は検出された静止領域の画素から選択される。
この方法の実施は、この方法が静止領域検出器の付加のみを必要とするために、非常に簡単である。
変調される映像パラメータは、画素の輝度か又はクロミナンスのどちらかである。それら両方を共に変調することを考えることも可能である。
実施形態の変形に従って、ソース画像のシーケンスにおける弱い動きの領域(動きが動き閾値より小さい領域)に属する画素の映像パラメータを変調することが又、可能である。
本発明については、以下、添付図面に関連付けて、非制限的な実施例として与えられる説明を読むことにより更に理解することができる。
以下のように、ディジタル形式で符号化される画像に関連して説明が与えられるが、本発明は、勿論、この種類の符号化に限定されるものではない。これに関連して、表示される画像は、例えば、光ディスク、ハードディスク又は磁気テープ等の情報媒体1に記憶されているデータにより表される。このデータは又、伝送チャネル(例えば、マイクロ波、人工衛星、ケーブルテレビ又はADSL等)からもたらされる。表示システム2は、表示される画像のシーケンスを表すソースストリームFの形式でデータを受信する。その表示システムは、画像のシーケンスにおける静止領域を検出するための検出回路3と、所謂、前記シーケンスにおける変調画像を時間変調するための変調回路4とを有する。変調画像は、画像のシーケンスに導入されるコピー防止パターンを決定する。そのパターンは、例えば、それらの画像のコピーが違法であることを示すメッセージを有することが可能である。適切に変調された画像は、次いで、スクリーン6を有する表示装置5にシステムF′の形式で供給される。
図2は、例えば、陰極線管プロジェクタを有する、2つの連続フレームT及びT+1に亘る128階調を有する従来のディスプレイを示している。x軸は画像の画素を表し、y軸は時間を表している。その図の左側部分は、時間変調されたパターンを有しない静止画像の表示を表し、その図の右側部分は、パターンが時間変調された同じ画像の表示を表している。このパターンは3つの軸に亘って変調される。それらの3つの軸について、64階調は第1フレーム中に表示され、196階調はフレームT+1中に表示される。目はそれら2つのレベルを積分し、128階調を知覚し、そのことはパターンをビューアにとって視認不可能なものとする。
それとは対照的に、非静止画像の場合における目の時間積分について図3に示している。この図においては、画像は、フレームTとフレームT+1との間、右方向に一画素だけオフセットされる。目は、それら2つのフレーム間のこの動きを追跡し、それ故、不所望の162階調(=(128+196)/2)及び96階調(=64+128)/2)を検出する。
従って、本発明に従って、表示される画像の静止領域の検出及びそれらの領域におけるコピー防止パターンの変調は、それらの欠陥が視覚的にはっきりするようになる何れのリスクを回避する方法である。
本発明に従って、ストリームFの画像は、画像における静止領域を検出するように回路3により分析される。用語“静止領域”は、画素が少なくとも2つの連続フレームに亘って同じレベルを有する画像の領域を意味する。画素のマクロブロック(数十個の画素のブロック)により又はより小さいブロック(2個乃至10個の画素を有するサイズ)に亘ってその検出がなされる。マクロブロックによる検出の場合、各々のマクロブロックの画素の映像レベルは2つの連続フレームに亘って比較され、所定のマクロブロックについて、マクロブロックの画素全ての映像レベルが変わらない場合、このマクロブロックは静止領域に属すとみなされる。より小さいサイズのブロックに対する検出の場合、各々のマクロブロックの画素の映像レベルは、複数の実行フレーム、例えば、6個のフレームに亘って比較され、所定のブロックについて、ブロックの画素全ての映像レベルが変わらない場合、このブロックは静止領域に属すとみなされる。この種類の検出回路は当業者には周知であり、動き評価器より信頼性が高い平均値を有する。各々のブロック又はマクロブロックに対して、その検出回路は静止領域への所属を表すパラメータ情報を供給する。
実施例として与えられる実施形態に従って、ソースストリームFの画像は、それ故、対の状態で処理され、このように考慮される画像の各々の対に対して、装置5により表示のために変調される2つの画像が出力として生成される。変調回路4の入力部において存在する画像に対応する検出器回路3からのパラメータ情報に対して、ソースストリームFの画像は、変調回路4の入力部に供給される前に、遅延回路4′により遅延される。この遅延は、検出回路3により各々の画像を処理するための時間に相当する。遅延回路4′は、例えば、マクロブロックによる検出の場合には、画像メモリである。2つの変調画像は更に、ストリームFの画像を、互いに順に、変調するように回路4の他の入力部に交互に供給される。一の画像変調は、第1画像において、コピー防止パターンに対応する画素の映像レベルを変調するように用いられ、他の画像変調は、次の画像において、反比例の状態でそれら同じ画素の映像レベルを変調する。例えば、変調は、第1画像におけるパターンの画素の映像レベルを20だけ増加させ、次いで、次の画像において20だけ減少させることであることが可能である。
この実施形態(2つのソース画像に対して2つの出力画像)は、ソースストリームFの周波数が装置5の表示周波数に等しい場合に対応し、その周波数に対して、画像において変調されたパターンは肉眼には視認可能でない。ソースストリームの周波数が不十分である場合、例えば、各々のソース画像から生成される2つ又はそれ以上の画像を備えることが可能である。
本発明は、コピー防止パターンの画素の輝度の時間変調との関連において、特に、ここで、説明する。装置5の表示周波数は、それ故、人間の目の時間積分周波数、例えば、50又は60Hzより大きいようにとられる。
図4は、ストリームFの画像に適用された変調画像の例を示している。それらの画像の明るい部分は、変調につれてレベルが増加する画素を表し、暗い部分は、レベルが減少する画素を表す。それらの2つの画像は、ストリームFの画像に交互に適用される。それらの画像は、レベルが第1画像における品質により低下されるとき、このレベルは、次の画像における同じ品質により増加され、及びその逆が起こることが示されている。このような変調は、画像の静止領域において実行される。
図5は、右の方に動いている人間がいる3つの連続した画像のシーケンスに適用された検出及び変調段階を示している。そのシーンにおいては、他の人間は静止している。その図の左側部分は、表示されるそれら3つの画像のシーケンスを示している。中央部分は、それら3つの画像における静止領域(例えば、マクロブロックに対して)の検出結果を表し、右側部分は、それら3つの画像において変調された変調画像の部分を示している。中央部分においては、明るい領域は画像の静止領域を表し、暗い領域は動いている領域を表している。本発明についての理解が向上されるように、その人間が右側に動いていることが誇張されている(各々の画像間の数十個の画素の動き)ことに留意する必要がある。一般に、幾つかの画素のみ及び2つの連続画像の静止領域の静止画素は、通常、殆ど変わらない。
改善に従って、変調は、図5の右側部分において、静止領域として検出されなかった領域のあたりでは減少され、画像のぼやけた領域により特定される。ぼやけた領域の静止幅は、それ故、非静止領域、例えば、50個の画素のあたりで規定される。この領域においては、変調は、有利であることに、非静止領域が近づくにつれて、次第に減少する。それ故、例えば、静止領域における画素のレベルが+/−20だけ変調される場合、この変調の振幅は、ゼロ振幅が非静止として検出された領域のあたりに達するまで、ぼやけた領域において減少する。変調領域から非変調領域への及びその逆の遷移は、それ故、ビューアがコピー防止パターンの時間変調の突然の出現又は消失により困惑されないように、徐々に実行される。
異なる実施形態に従って、画像の静止領域ばかりでなく、殆ど動きを伴わない画像の領域においても、即ち、動きが動き閾値以下である領域であって、例えば、フレーム当たり2つの画素分以下だけ動く領域において、変調を実行することが提案されている。そのような動きは、実際には、人間の目には知覚されず、それ故、人間の目はそれを追従する傾向にない。この実施形態は、動きの振幅を測定するようにデザインされた動き評価器を使用する必要がある。動きの方向は、本発明の方法によっては用いられず、それ故、正確に予測される必要はない。用いられる動き評価器は、それ故、非常に簡単であることが可能である。