JP2007002778A - 波力発電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構造で、効率よく発電できる波力発電装置を提供する。
【解決手段】棒状の永久磁石2aを有するシャフト部2の下端に連結シャフト10を介してフロート7を接続し、このシャフト部2をフロート7の波動Wによる上下動によって、護岸12から張り出して固定された導電性のコイルを内蔵したコイル部6の中央中空部を挿通して繰り返し上下移動させ、発電装置1のシャフト部2の繰り返し上下移動に対する固有周期Toを発電装置1を設置する海域での所定期間に出現する波の周期、振幅および出現率のデータに基づいて発電量が最大となる周期帯に設定して、電磁誘導によって波動Wの上下動を直接的に電力に変換する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、波力発電装置に関し、さらに詳しくは、簡単な構造で効率よく発電できる波力発電装置に関するものである。
従来から波の上下動を利用して電気エネルギーを得る波力発電装置が種々提案されているが、波は自然現象であるため人工的に制御しにくく、安定した電力が得ることができない、発電効率が悪い等の問題があり実用化の障害となっていて、あまり普及していない。
例えば、海上に空気室を設置して、この空気室の上部に空気流通路とタービンを設けて、波の上下動による空気室内部の空気圧の上昇下降によって空気流通路に空気を流通させてタービンを回転させることによって発電するものがある。このような構造であると、設備も大掛かりとなるという問題がある。
安定した電力を得ることができる波力発電装置として、例えば、流体モータとこのモータを回転させる一対のシリンダ機構とを有する発電部を岸壁等に固定し、シリンダ機構を上下させるアームを海上に向けて延設して、そのアーム先端にフロートを接続した装置が提案されている(特許文献1参照)。この装置では、波動により上下動するフロートに連動してアームが上下動し、このアームの上下動によって一対のシリンダ内部の流体が移動して流体モータを回転させて、発電するようにしている。
しかしながら、この構造では波動の上下動をアーム、シリンダ、流体等を介して回転運動に変換して発電するようにしているので、これらの介在体における摺動部での摩擦、流体摩擦等によって損失が生じて発電効率が低下する要因となっている。また、波の高低差が小さい平静状態では十分な発電ができず、安定性に欠けるという問題がある。
特開平7−259063号公報
本発明の目的は、簡単な構造で、効率よく発電できる波力発電装置を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明の波力発電装置は、棒状の永久磁石を有するシャフト部と、該シャフト部が長手方向に移動自在に挿通する導電性のコイルとを備え、前記シャフト部と前記コイルのいずれか一方にフロートを接続して、該フロートの波動による上下動によって前記シャフト部と前記コイルとを相対的に前記シャフト部の長手方向に繰り返し往復移動させて発電する波力発電装置であって、この波力発電装置の前記繰り返し往復移動に対する固有周期が、波力発電装置を設置する海域での所定期間に出現する波の周期、振幅および出現率のデータに基づいて前記波力発電装置による発電量が最大となる周期帯に設定されていることを特徴とするものである。
本発明の波力発電装置によれば、棒状の永久磁石を有するシャフト部と、このシャフト部が長手方向に移動自在に挿通する導電性のコイルとを備え、シャフト部とコイルのいずれか一方にフロートを接続して、フロートの波動による上下動によってシャフト部とコイルとを相対的にシャフト部の長手方向に繰り返し往復移動させて発電する構造としたので、波動の上下動を直接的に電力に変換し、エネルギー損失を生じさせる介在体を少なくすることができ、発電効率を向上させることができる。また、構造も簡単なのでコストを抑えることができる。
さらに、波力発電装置のシャフト部とコイルとの相対的な繰り返し往復移動に対する固有周期が、波力発電装置を設置する海域での所定期間に出現する波の周期、振幅および出現率のデータに基づいて波力発電装置による発電量が最大となる周期帯に設定されているので、設置海域に出現する波のエネルギーを最大限利用して、効率のよい発電が可能となる。
以下、本発明の波力発電装置を図に基づいて説明する。図1に本発明の発電装置1の基本構造の概要を示す。護岸12から海上に張り出した固定部材13の先端には、中央部を中空にしたコイル部6が固定されている。このコイル部6は銅線等が環状に多数巻回されて形成された導電性コイルを防水仕様のケースで収容した構成となっている。このコイル部6の中空部をシャフト部2が挿通し、シャフト部2の下端には連結シャフト10を介してフロート7が接続されている。シャフト部2は、永久磁石2aとその両端に延設された保持シャフト2bとから構成され、海上に浮かんだフロート7の動きに合せて、上下方向に移動自在となっている。
フロート7が波動Wによって上下動するとコイル部6を挿通しているシャフト部2(永久磁石2a)が上下移動して、電磁誘導によってコイルに電流が流れ、電力を得ることができる。いわゆるリニアモータを利用した発電装置であり、この発電した電力を図示しない送電路等を介して取り出して利用する。
このような単純な構造なので、波動Wの上下動を介在体を最小限として電気エネルギーに変換することができ、損失が少なく発電効率を向上させることができる。
ここで、波Wのエネルギーを最大限利用して最も効率良く発電するために、発電装置1のシャフト部2の繰返し上下移動に対する固有周期Toを、発電装置1を設置する海域において所定期間に出現する波の周期Twおよび振幅、その出現率データに基づいて決定する。
この発電装置1の波動Wによる運動方程式は下記(1)式で表すことができる。
F=(M+m)x’’+Nx’+Cx ・・・・・(1)
ここに、F:波力
M:装置全体の質量
m:フロートの付加質量
N:減衰力係数
C:復元力係数
x:上下方向位置
この発電装置1の上下方向繰り返し移動に対する固有周期To(以下、振動系の固有周期 という)は、To=2π((M+m)/C)1/2となる。
この運動方程式に基づいて、フロート7の上下移動量(振幅)をZ、波高(波の振幅)をHとして、縦軸をZ/H、横軸を波の周期Twとして、この振動系の応答特性を示すと図2の曲線D1のようになる。曲線D1より、波の周期Twが長くなるにつれて応答が大きくなり、振動系の固有周期To近傍で最も応答が大きく、それ以上の周期Twでは波とフロート7とは、ほぼ同一の動きをするようになる。波Wの出現率は、例えば、図2の曲線D2のようになる。したがって、振動系の固有周期Toを波の周期Tw、波高(振幅)および出現率データに基づいて適切に設定すれば、効率のよい発電が可能となる。
この適切な振動系の固有周期Toの設定方法を説明する。まず、発電装置1の設置海域で出現する波の周期Twおよび波高、その出現率データを取得する。ここで、出現率データに基づいて、目標となる固有周期Toの概略の範囲(設定予定範囲)を設定する。
取得したデータは、図3に示すように出現する波Wを周期および波高で階級毎に分類し、分類した階級毎に出現率を把握する。図3では、縦軸(左辺)を波高階級として、200cm以下の範囲では25cm毎、200cm超700cm以下の範囲では50cm毎、700cm超の範囲では100cm毎に分類し、横軸(上辺)は周期階級として、1.0s毎を基本にして分類している。そして、各階級の波高と周期の交点にあたる位置に所定期間に出現した波Wの出現度数が記載されており、これに基づいて各階級の波高(有義波高)および周期(有義周期)を有する有義波の出現率が算出される。各階級に分類する範囲は適宜、決定することができる。
ここで波Wのデータを取得する所定期間は、発電装置1の稼動パターン等に応じて最適な期間、例えば、1年間、数年間、数十年間などの長期間や半年間やシーズン毎などの短期間を必要に応じて採用する。発電装置1を年中稼動させるならば、比較的長期間となる数年間以上のデータを用いることが好ましく、これによって発電量を精度よく算出することができ、より適切な固有周期Toの設定が可能となる。
次に、把握した各階級の周期(有義周期)および波高(有義波高)を有する有義波毎に、この有義波の時系列波形データを、適切な標準スペクトルから発生させ、数値シミュレーションによって発電量を算出する。標準波スペクトルとして、例えば、ブレットシュナイダ・光易型スペクトル等を用いる。
発電量を算出する計算時間は20分間以上とする。このようにして得られた波Wの各階級毎の発電量に各階級の出現率を乗じて、年間発電量に換算する。シャフト部2とコイル部6とからなるモータによる発電量は、磁極ピッチ、インピーダンス、逆起電力のモータ仕様等に依存するので、使用するシャフト部2およびコイル部6等のデータを用いる。
以上の一連のプロセスを振動系の固有周期Toの設定予定範囲のそれぞれの固有周期を有する発電装置1について実施して、年間発電量を算出する。この算出結果から年間発電量が最大となる周期T1に振動系の固有周期Toを設定し、発電装置1の仕様を決定する。実際には、諸制約条件を考慮して固有周期Toを周期T1近傍のある程度の範囲内となる周期帯に設定する。例えば、固有周期Toを周期T1のマイナス5%〜プラス10%の周期帯に設定する。
この固有周期Toを設定周期T1にするには、発電装置1の各要素仕様が決定していれば、コイル部6の抵抗、発電装置1全体の機械的な抵抗等が既知となるので、フロート7の質量や形状を変更することによって容易に調整することができる。
より具体的な構造を図4〜図6に示す第1実施形態で説明する。図4は発電装置1の縦断面図、図5は図4のA−A断面図、図6は図4のB−B断面図である。
この実施形態では、下端部が海底14に埋設されて、上端部側を海上に突出させている支柱11に本発明の発電装置1が装着されている。リング状のフロート7が支柱11を中央に挿通させて配置され、そのフロート7の上面には、4本のシャフト部2が立設されている。シャフト部2の長手方向中央部は永久磁石2aとなっており、その上下端には保持シャフト2bが延設されている。支柱11の高さ中途には4つのコイル部6が固定されていて、各シャフト部2はこのコイル部6をそれぞれ挿通して上下方向に移動自在となっている。
さらに、コイル部6の上方と下方とには、支注11を中央中空部に挿通させ、各シャフト部2が固定された環状の保持リング4が設置されている。この保持リング4によって、シャフト部2は支注11に沿って、円滑に上下移動することができる。この実施形態では、シャフト部2の上下移動をさらに円滑にするために、支注11の側面と接するフロート7の内側側面および保持リング4の内側側面に回転ローラ5を設けている。フロート7を除く発電装置1の大部分は、風雨や紫外線等を避けるためケーシング8で覆われている。
水面に浮いているフロート7が波動Wで上下動すると、これに連動してシャフト部2が上下に繰り返し往復移動し、永久磁石2aとコイル部6とによって電磁誘導によって電力を得ることができる。この電力を図示しない送電路、増幅路等を介して利用する。このような単純な構造であり、波Wのエネルギーを直接的に電力に変換するのでエネルギー損失を生じさせる介在体を最小限とすることができ、発電効率を向上させることが可能となる。
このとき、振動系の固有周期Toを発電装置1の設置海域で予めデータを取得して判明している出現する波の周期Tw、波高、出現率のデータに基づいて既述した設定方法で、発電量が最大となる周期T1に一致するように設定する。これによって、その海域の波Wのエネルギーを最大限に利用して安定した電力を得ることができ、発電効率を向上させることが可能となる。
この実施形態では、フロート7、保持リング4を環状にしているが特に、この形状に限定されるものではく、その数や大きさ等の仕様についても、設置条件等に合せて決定することができる。また、シャフト部2、コイル部6等の数も特に限定されず、適宜決定することができる。例えば、1本のシャフト部2に複数のコイル部6を挿通させる構造とすることもできる。
また、シャフト部2(永久磁石2a)を支注11に固定し、コイル部6にフロート7を接続してコイル部6をシャフト部7に対して上下動させて発電するようにしてもよい。
ケーシング8の形状や大きさも発電装置1の耐久性を高めるように、適宜決定することができる。通電する部分には、特に風雨、海水等を避ける構造として耐水、耐食性に優れた素材を用いる。
発電装置1を装着する支注11として、桟橋の支注等の既存の支注を利用すると投資コストを抑制することができる。
本発明の第2の実施形態を図7〜図9に示す。図7は発電装置1の縦断面図、図8は図7のC−C断面図、図9は図7のD−D断面図である。
この実施形態では、両端が開口した円筒体3が下端開口部を海中に、上端開口部を海上にして中途まで海に浸かった状態で護岸12から固定部材13を介して海上に立設して張り出した状態で固定されている。
円筒体3の内部には、円柱状のフロート7が円筒体3の内周面に沿って上下方向に移動自在に配置されている。フロート7の側面には上下移動を円滑にする回転ローラ5が備わり、上面には自在継手9を介してシャフト部2の下端が連結されている。
波動Wは上下方向だけでなく、他方向成分も有しているので、自在継手9によって連結することによって、横方向成分等の外力を逃がしてシャフト部2に曲げ応力やねじり応力が作用しないようにして、シャフト部2を保護することができる。
シャフト部2は、長手方向中央部の永久磁石2aとその上下端に延設された保持シャフト2bとから構成されている。円筒体3の高さ中途にはコイル部6が固定されていて、シャフト部2はこのコイル部6を挿通して上下方向に移動自在となっている。
さらに、コイル部6の上方と下方とには、回転ローラ5が付いた環状の保持リング4が設置されている。保持リング4や回転ローラ5の機能は第1の実施形態と同じである。
円筒体3の上端には傘部15が設けられ、円筒体3内部と外部との空気aの流通を可能にしつつ、内部の各部品等が風雨、紫外線等に曝されないようになっている。
この実施形態の特徴は、中途まで海に浸かった円筒体3の内部にフロート7が内蔵されていることにある。円筒体3内の水塊は一種の振動系をなして、水塊の固有周期Thに近い周期の外力(波動)が作用すると、いわゆる波動ポンプの原理によって、円筒体3内部の水塊の振動系が共振して円筒体3内部の海面の上下動変位量が円筒体3外部の海面の上下動変位量よりも大きくなる。この固有周期Thは、海面下に存在する円筒体3の長さL(浸水長)でほぼ決定される。そこで、円筒体3の内部にフロート7を浮かべた状態で、円筒体3内部の海面の上下動変位量が円筒体3外部の海面の上下動変位量よりも大きくなる位置に円筒体3の浸水長さLを調整して、その位置で円筒体3を固定する。
この装置においては、振動系の固有周期Toの設定をするために、発電装置1の設置海域で出現する波の周期Twおよび波高、その出現率データに基づく、内筒体3内部の波Wの固有周期Th、波高(上下変位量)および出現率データによって、既述した設定方法と同様に発電量が最大となる固有周期T1を算出して、算出した周期T1を中心とした周期帯に設定する。
このように発電装置1を構成することによって、円筒体3外部の海面の上下動変位量よりも円筒体3内部での海面の上下動変位量が大きくなり、波Wが小さい平静状態においても安定して電力を得ることができる。
この実施形態では、装置全体を円筒体3に内蔵しているが、少なくともフロート7を円筒体3に内蔵して、円筒体3内部で上下方向に移動可能にすればよい。また、円筒体3に限定されず矩形断面等の筒状体でもよい。両端の開口部は円筒体3の側面に設けることもできる。
本発明の波力発電装置の基本構造の概要を示す説明図である。 本発明の発電装置の設置海域の波の周期とフロートの上下動の応答との関係を示すグラフ図である。 取得した波のデータを例示するデータ図である。 本発明の波力発電装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。 図4のA−A断面図である。 図4のB−B断面図である。 本発明の波力発電装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。 図7のC−C断面図である。 図7のD−D断面図である。
符号の説明
1 波力発電装置
2 シャフト部 2a 永久磁石 2b 保持シャフト
3 円筒体(筒状体) 4 保持リング 5 回転ローラ
6 コイル部 7 フロート 8 ケーシング
9 自在継手 10 連結シャフト 11 支柱
12 護岸 13 固定部材 14 海底
15 傘部
L 円筒体の浸水長さ
W 波動(波)

Claims (2)

  1. 棒状の永久磁石を有するシャフト部と、該シャフト部が長手方向に移動自在に挿通する導電性のコイルとを備え、前記シャフト部と前記コイルのいずれか一方にフロートを接続して、該フロートの波動による上下動によって前記シャフト部と前記コイルとを相対的に前記シャフト部の長手方向に繰り返し往復移動させて発電する波力発電装置であって、この波力発電装置の前記繰り返し往復移動に対する固有周期が、波力発電装置を設置する海域での所定期間に出現する波の周期、振幅および出現率のデータに基づいて前記波力発電装置による発電量が最大となる周期帯に設定されていることを特徴とする波力発電装置。
  2. 両端部を開口した筒状体を下端開口部を海中に、上端開口部を海上に位置するように配置し、該筒状体の内部に前記フロートを上下移動自在に浮遊させるとともに、波動による前記筒状体内部の海面の振幅が前記筒状体外部の海面の振幅よりも大きくなる位置に前記筒状体の下端開口部から海面までの浸水長さを設定して固定する請求項1に記載の波力発電装置。
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