発明の背景
本発明は全般的に、コンピュータ入力装置、即ちユーザ、腕及び手の相互作用を要する、マウス、ジョイスティック及びペンを含むコンピュータ入力装置に関する。ここに開示する本発明は、ユーザに生体力学的低負荷をもたらす装置として、人間工学的装置の真の意味を再確立しようと試みるものである。特に、生体力学的低負荷とは、人間の腕及び手に関する本発明による調整によりもたらされるものである。
物理的な人間の動作に関する低負荷の条件は、2つの要素:装置によって腕と手に必要とされる物理的構造及び「握り」、及び大きさと形の両方で表される手及び腕系に必要な動きによって導かれる。手の「握り」に関して、低負荷は、従来技術では腕及び手の休止位置からの逸脱として知られている。休止位置は、緊張したり外から影響を受けたりしていない状態で立った姿勢の腕及び手の構造として知られている。手の休止位置は一般に、指が下方を向き、親指以外の指が体の方に向かって巻かれている握手の状態として表現する事ができる。この構造は理想的な人間工学的構造を創り出す。しかしながら一般に従来技術のマウスでは休止位置にある手でマウスを使えるようにはなっていない。更に、この位置からの物理的逸脱が拡大するとそれは負担になると知られている。
手及び腕の動きに関する限り、いくつかの因子が派生する。第一に、マウスの使用時間を通していくつかの動作が必要且つ有益であるが、手の下側の繊細な運動制御筋肉全体にストレスがかかるのを避ける事が理想的であり、上腕部の大きな筋肉にかかる事が好ましい事が従来技術に既知である。
本発明が明らかに従来技術より優れているのは、これらのパラメータに関してである。例えば、Learによる米国特許第5355147号には、垂直配置の装置が教示されている。しかしながら、このマウスを把持するには手の全ての指が必要である。加えて、手首の支持によって手は上方へ曲げられる。この発明は2つのストレスをユーザにもたらすものである。マウスを全ての指で把持及び支持する必要性、並びに変位位置における手首の支持であり、これにより前述の理想的な位置からは明らかに逸脱してしまう。
加えて、Loによる米国特許第5576733号には、2つの単純な側面を持つハウジング構造により装置を垂直に確実に把持する点でLearによる発明を改善した発明が開示されている。一方の側面は親指を置くためのもので、他方の側面はその他の指を置くためのものである。腕又は手首全体ではなく親指又はその他の指を曲げる事でユーザがマウスポインタを動かす事ができるようにした点で制御が改善されている。これによって、前述したような理想的な腕と手の動きが、制御を改善させるための犠牲となって妨げられている。
従来技術には、「人間工学的」装置の提供を試みる、Gartによる米国特許第4862165号のような、手動制御装置も公知である。’165特許では、ユーザの手の垂直方向の支持は提供されていない。よって、この特許文献においても、理想的低負荷位置は妨げられている。
従来技術には、トラックボール及びトラックボールとマウスとの組み合わせとして知られる装置も公知である。Sheehanによる米国特許第6292175号にそのような装置が開示されている。この特許においては、手の配置に関してGartによるマウスと同様のマウスが教示されている。しかしながらトラックボールは、腕や手首の大きな動きの必要性は考慮せずに提供されている。しかしながらこの事は、指の弱い筋肉を繰り返し長時間にわたって使用する原因となり、垂直成分の欠如により前腕内にトルクを発生させてしまう。
従来技術のマウス装置に関するもう1つの問題点は、装置が同調を外れた時にマウスを持ち上げる必要が生じる事である。現在、マウスが同調を外れた時には、ユーザはマウスを持ち上げて、中央又は所望の位置に戻さなければならない。これは手を怪我した人にとって極めて困難な事である。
したがって、従来技術において、低負荷レベルで正しく動作し、筋肉組織の損傷及び重大な障害の高い統計的確率を顕著に低減するような手動制御によるポインティングデバイスに対する需要がある。同調に戻すために持ち上げる必要のないマウスも必要とされている。又、異なるユーザの様々な手の構造に適応できる、手によるポインティングデバイスの需要も存在する。加えて、効果的な区域に輪郭線を適用し、負担が手首及び指の特定の筋肉ではなく前腕の大きな筋肉に集中するような方法で手を支持できる装置が必要である。
発明の概要
本発明は、生体力学的に低負荷のマウス、及び自動調節可能で生体力学的に低負荷の、グリップを持たないマウスを提供する方法を提供する。そのような装置及び方法は、一般的な使い易さにとって、及び関節炎を持つ個人に対して有用であり、手根管症候群及びその他の反復性障害の防止に役立つ。
一実施形態によれば、本マウス装置はグリップを必要とせず、作業面上に置かれるように構成されたベース部;内側面と外側面を有し、外側面に親指棚を有するハウジング;及び底面、第2内側面及び第2外側面を有し、底面がベース部と調節可能に接続する第2ハウジングを備える。
本発明の別の態様によれば、水平固定表面上を移動させるための人間工学的コンピュータマウスが開示され、このマウスは、水平表面上に安定的かつ移動可能にマウスを配置するためのほぼ水平な底面;底面上に取り付けられた第1ハウジングであって、内側面と外側面とを有し、内側面が複数の湾曲領域を有し、外側面が親指支持面を有する第1ハウジング;及び底面上に可動に取り付けられた第2ハウジングであって、第2内側面と第2外側面とを有し、第2内側面が複数の湾曲領域を有する第2ハウジングを備え、内側面と第2内側面とが丘状領域及び谷状領域を形成し、よってユーザは手を丘状領域上に休止させ、手が自然でリラックスした位置にありながらマウスを容易に操作できる。
本発明の更に別の態様によれば、人間工学的マウス装置が開示され、この装置は、底面と上面を有するベース部であって、底面が平坦な作業面との接触に適しているベース部;ベース部の上面と固定的に接続する第1ハウジングであって、ベース部の上面と固定接続し、全長にわたって複数の連続した湾曲領域を含む内側面と、内側面の反対側にあって、親指棚領域と、親指棚領域と固定的に接続する親指高さ調節部と、凹状親指台とを含む複数の連続した湾曲領域を有する第1ハウジング;ユーザの手の外側に接触するベース部の上面と調節可能に接続する第2ハウジングであって、複数の第2湾曲領域を有する第2内側面及び第2内側面と反対側にある第2外側面を含む第2ハウジングを備え、第1ハウジングの内側面の複数の連続した湾曲領域と第2ハウジングの内側面の複数の連続した湾曲領域とが丘状部と谷状部を形成する事により、ユーザの手首、小指球及び小指の外側の少なくとも一部が谷状部に休止することができ、親指以外の指が丘状部と容易に接触できるので、手が自然でリラックスした位置にありながらマウスを容易に操作できる。本装置は、更に、ユーザの手の存在と大きさを感知し、第1ハウジングと第2ハウジングの位置を調節し、ユーザの手があるときだけマウスを使用する事を可能にする、センサを備える。
本発明のまた別の態様によれば、自動調節可能で生体力学的に低負荷の、グリップを持たないマウスを提供する方法が開示され、この方法は、上部と底部を有するベース部であって、上部が中に第1調節アセンブリを含む第1空洞及び中に第2調節アセンブリを含む第2空洞を有し、底部が平坦な表面を横切る動きに対して実質的に平らなベース部を提供するステップ;内側面と外側面を有する第1ハウジングであって、内側面と外側面がユーザの手の一部を受容する複数の湾曲領域を有し、第1ハウジングは第1調節アセンブリの一部を含み、第1調節アセンブリがユーザの手の大きさと位置を感知し、それに合わせて第1ハウジングを調節するような第1ハウジングを提供するステップ;及び第2内側面と第2外側面を有する第2ハウジングであって、第2内側面と第2外側面がユーザの手の一部を受容する複数の湾曲領域を有し、第2ハウジングは第2調節アセンブリの一部を含み、第2調節アセンブリがユーザの手の大きさと位置を感知し、それに合わせて第2ハウジングを調節するような第2ハウジングを提供するステップを含む。
本発明の上記及びその他の特徴、態様及び利点は、添付図面、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲によってより良く理解される。
下記詳細な説明は、本発明を実施するのに現在考えられる最良の形態の説明である。説明は限定的なものではなく、本発明の一般的原理の説明のみを目的としており、本発明の範囲は特許請求の範囲によって最良に定義される。
本発明はコンピュータ入力装置の分野に関する。しかしながら、本明細書に記載される実施形態は、従来技術では一般的なマウスと称される装置を開示する。本発明の装置については、電気的構成要素及びコンピュータ構成要素が従来技術に周知である事を考慮し、その物理的特性に関して説明する。加えて、本装置は右手用の実施形態を表す。単に鏡像を適用する事により、本発明は左利きのユーザ用に容易に構成される事を理解されたい。
図1は、第1指又は親指21、第2指22、第3指23、第4指24及び第5指25を有する左手20を描写する。第2〜5指22〜25は各々3つの指節骨を有し、それらは末節骨26、中節骨27及び基節骨28である。親指21は末節骨26及び基節骨28を有する。中手骨及び手根骨は5本の指21〜25と手首30との間に位置する。図1は接触領域43及び41を表す。小指17、小指球19、手首18及び前腕下部19(図示しない)。ユーザ自身の手の方向に応じてボタンと接触する領域は変化するが、典型的には指先17である。マウス上のユーザの手の重みによって力学的な反動が生じ、対向する親指を用いなくともボタンを働かす事ができる。親指を損傷した障害者も容易に、そして良好にマウス装置を使用する事ができる。
図2Aは本発明のマウス装置を示す。マウスは握る必要がなく、ユーザの手には生体力学的に低い負荷しか掛からない。マウス装置10はコンピュータ、ラップトップ又はコンピュータの範疇に含まれる装置と電気的又は光学的に接続されている。装置10は作業面29上に置かれるように構成されたベース部40を有する。作業面29はマウスパッド又は従来技術で公知のいかなる表面でもよい。装置は又、内側面42と、親指棚46を有する外側面とを有する第1ハウジング36、並びに、ベース部40と調節可能に接続する底面(図では見えない)、第2内側面66及び第2外側面64を有する第2ハウジング70を有する。これは即ち、第2ハウジング70がベース部40に沿って移動できるという事である。この移動は実質的に水平な方向を含むいかなる方向へも行う事ができる。実質的に水平な方向とは、第1ハウジング36から離れるか又はそれに向かう動きと実質的に平行な方向にあるという意味である。装置には又、親指棚46から突起している親指台56がある。親指台56は凹状であってもよく、又親指の種々の高さに適応するように実質的に垂直な方向に調節可能であってもよい。例えば子供の場合、手の大きな大人よりはるかに高い親指台56が必要である。親指台56は手動又は自動で調節できる。親指台56は、自動調節の場合、装置10内の電気機械的装置によって制御される。第1ハウジング36と第2ハウジング70との相対的位置は、コンピュータプログラムの制御下で作動するアクチュエータによって力学的に調節する事ができる。第2ハウジング70も、実質的に垂直な方向に、マウス装置10内の電気機械的装置により自動調節が可能である。第2ハウジング70は手を「握る」必要がないようにするため、人の掌の裏側において支持台の役をする。第2内側面66は、第1ハウジング36の内側面42と同様に、手の甲の輪郭を有する面である。第2ハウジング70は垂直方向及び水平方向の両方に調節可能である。この実施形態において、垂直方向の調節は皿小ねじ62によって行われる。加えて、水平方向の調節は連結装置63によって行う事ができる。この実施形態において、連結装置63はピンを介して結合された一連の連結用アーチである。連結装置63は、連結用アーチ、ヒンジ、調節可能なねじ、ねじ、摩擦によって動く位置決め装置、ピン、及びヒンジとピンの組み合わせからなる群より選ばれる。この装置は、第2ハウジング70の、ベース部40に対する水平方向の回転調節機能を装備している。ユーザへの支持と使い易さを向上させるため、特にベース部との固定接続部に柔らかい支持材料68が用いられ、掌が直接接触することを防ぐ。支持材料68の配置はこの位置が最も効果的であるが、これに限らない。
更に、例えば第1ハウジング36、ベース部40及び/又は第2ハウジング70といった、装置の1部分又は複数の部分との固定接続部にも、手に対する衝撃を和らげる支持材料68を用いることができる。手に対する衝撃を和らげる支持材料は、発泡体、ゲル、又はこれらの組み合わせとすることができる。丘状部と谷状部を形成するために、内側面42は全長にわたって複数の連続する湾曲領域を含み、第2内側面66は複数の第2湾曲領域を含む。丘状部は第1ハウジング36によって形成され、谷状部は第1ハウジング36と第2ハウジング70との間の空間である。
好適な一実施形態によれば、ベース部40、第1ハウジング36又は第2ハウジング70にセンサが埋め込まれる。センサはユーザの手の存在を感知し、ユーザの手が存在する時マウスを使えるようにする。ユーザの手が取り除かれるとマウスは作用しなくなる。センサという用語は、トリガの存在を感知する多種多様な装置を包括する。トリガは、ユーザの手、声、音、バイオメトリクス等とすることができる。
一連のセンサは、第1ハウジング36の中又は上に設置される。これらセンサの機能には、従来技術で公知の既存のポインティングデバイス(例えば、コンピュータマウス)のマウスクリックボタンの通常の機能(例えば、電気的スイッチ)が含まれる。加えて、これらのセンサには、指紋スキャナ、網膜スキャナ又はその他のバイオメトリクスセンサが含まれる。更に、マウス10の面(例えば42及び66)の位置及び/又は装置10のセンサの機能、感度又は状態を、音声認識ソフトウェア又は作動可能に接続されたコンピュータ(図示されていない。図4も同様)で作動するソフトウェアによって制御することも考慮できる。加えて、ユーザの手がマウス上に置かれている時間の長さに関するフィードバックを記録及び分析することにより、マウス使用の統計的パターンを確立し、ソフトウェア、例えばマウスを使用する時間、及びそれによりユーザに対して休息を推奨するのに費やす時間を分析するソフトウェアと相互作用を行うことができる。連結装置63も存在する。連結装置63は、連結用アーチ、ヒンジ、調節可能なねじ、ねじ、摩擦によって動く位置決め装置、ピン、及びヒンジとピンの組み合わせからなる群より選択できる。第1ハウジング、ベース部及び第2ハウジングと固定接続する、手に対する衝撃を和らげる支持材料を用いてもよい。ユーザの手の存在を感知でき、ユーザの手が存在する時マウスを使えるようにするためのセンサも又用いられる。センサは以前にはなかったスクロール機能も有する。センサ67を用いてマウスのコマンドを起動及び起動解除することもできる。例えば、センサ67との接触が除去されると、通常左クリック及び右クリックとして作用しているボタン203と204は、「左」又は「右」クリックから「上」又は「下」スクロールへと変わる。ボタン(例えば203と204)は、ユーザの指の多様性に対応するために長ボタンであり、「中央ヒンジ」になっている事にも注意されたい。センサとの接触が再開されると、ボタンの作用は再び左クリック、右クリックとなる。スクロールのためにはユーザの指に器用さと把持力が必要であるが、この場合も把持のできない人は容易に行うことができない。スクロールハンドルをスクロールさせるためには指を繰り返し曲げることが生体力学的に必要である。タッチセンサはこれを必要としない。
図2Bは、水平な固定表面上を移動させる人間工学的コンピュータマウスを示し、このマウスは、マウスパッド又は机といった水平表面上に安定的かつ移動可能にマウス10を配置するためのほぼ水平な底面41;及び水平底面41上に取り付けられた第1ハウジング36を備える。第1ハウジング36は内側面42と外側面39とを有する。内側面42は複数の湾曲領域を有し、外側面39は親指支持面を有する。親指支持面は、人の親指を受容する輪郭を持つ親指棚46、又は垂直に突起した親指台56を有する親指棚46とすることができる。第2ハウジング70は、底面41上に可動に取り付けられている。第2ハウジング70は第2内側面66と第2外側面64とを有する。第2内側面66は複数の湾曲領域を有する。内側面42と第2内側面66とは大部分が第1ハウジング36で形成される丘状領域と(大部分が第1ハウジング36と第2ハウジング70との間の空間により形成される)谷状領域73を形成する。ユーザの手は第1ハウジング36を含む丘状領域上に休止し、手が自然で、筋肉活動に関する表現で言うとリラックスした位置にありながら、マウスを容易に操作することができる。握手の位置にある手の位置は僅かに内側へ傾く。第2ハウジング70はベース部に沿って多くの方向へ調節可能である。好適な一実施形態によれば、第2ハウジング70はベース部40に沿って実質的に水平な方向に移動する。この方向は、第1ハウジング36に実質的に平行である。第1ハウジング36と第2ハウジング70との相対的位置は、コンピュータプログラム制御により作動するアクチュエータによって力学的に調節する事ができる。第2ハウジング70も、マウス装置内の電気機械的装置によりほぼ垂直方向に自動調節可能である。
より詳細な図2Cに示すように、親指支持面には、凹状親指棚46及び/又は実質的に垂直な方向に調節可能な高さを有する親指台56が含まれてもよい。高さは手動で又はマウス装置内の電気機械的装置により自動で調節可能である。親指高さ調節器54は手動又は自動で上下される簡易なねじである。
図2Dは、本発明の好適な一実施形態による手の位置を描写する。図に表されているように、手9は握手の位置にあり、握ったり指を曲げたりする必要がなく、マウスを使う手は整形外科的にニュートラルな位置、又は捻じれていない位置に保たれる。マウス10は手首30と手9を支持する。この事は、手首にかかる自分の手の重さがなくなり、常に指や親指で把持している必要がなく、手及び手首がマウスを使う区域と接触しない事を意味する。ボタンに指を掛け続ける必要もなく、従ってリラックスした指の位置が提供され、指は通常の休止位置をとる事ができる。マウス10はユーザの手を傷つけないために非生体力学的マウスに比べて長く背が高い。特に大きなマウスは、従来のマウスが提供した事のない支持を提供する。必要となる余分の領域は、通常、手、手首及び下部前腕によって占められる。しかしながら、実際の「占有面積」、即ち必要なマウス使用区域はわずかに大きいだけである。
本発明が解決するもう1つの問題は、同調を外れる事である。従来技術において、マウスが画面上のカーソルとの同調から外れる事がよく知られている。マウスがマウスマットの左下にあり、画面カーソルが画面の左下にある時、マウスをマウスマットの右上へ移動するとカーソルは画面の右上に移動し、これは全て同調している。しかしながら、マウスマットから外れたり、一定のプログラムを使用したりすると、マット上のマウスと画面上のカーソルとの相対的位置が変化し、同調から外れてしまう。例えばウィンドゥズにおいて、「スマートムーブ」と呼ばれるものがある。例えばファイルを保存するために、画面右上の何か(アイコン)をクリックしてそれにより別のウィンドゥが開く時、新しいウィンドゥウは通常画面中央に開く。スマートムーブは、マウスの動きと無関係に、クリックした位置(この場合右上)から画面中央に表示されたばかりのセーブボタン(アイコン)にカーソルを飛ばす。その結果、マウスは依然としてマウスマット上の右上に位置するが、カーソルは画面中央に位置し、これによりマット上のマウスの位置に応じて位置的に同調を外れる現象が起きる。その結果、マウスをマウスマットの中央に移動すると、カーソルは画面左下に移動してしまう。これには、マウスマット上でマウスを持ち上げ、移動させるのに物理的な労力が必要になる。
しかしながら、本発明は、センサ67(図2Aに表される)によりこの問題を解決する。ユーザがセンサ67との接触をやめるか、又は手を離した場合も、カーソルを左下に移動させる事なくマウスマット上のマウスを中央に移動させる事ができ、このようにしてユーザはマウスを持ち上げる事なく他方の位置に対する一方の相対的位置を再同調させることができ、マウスを持ち上げられない障害者にも対処可能となる。スライドさせる事は、明らかに持ち上げる事に比べてはるかにストレスが掛からない。マウス10は、ユーザの手20がマウスから離れた事を検知するマウス10上のセンサ又はマウス10に操作可能に連結されたセンサであるAutoClick(登録商標)マウス制御ソフトウェアと連動させて使用することもできる。この方法によってカーソルが固定され、AutoClick(登録商標)マウスソフトウェア無しでは望ましくない動作をするカーソルの、画面上の他の領域への偶発的な移動が防止される。そのようなセンサには、圧力や温度の検知が含まれるが、それに限定されない。センサが指紋スキャナ、網膜スキャナ又はその他のバイオメトリクスセンサを含む場合、マウス(及びカーソル及びコンピュータ全体)は、そのようなバイオメトリクスセンサが適正な(認定された)ユーザがマウス上に手を置いた事を識別するまで作動しない。
多数の異なるセンサ67及びアクチュエータを使用して、トリガに応答してマウス操作を機能させたり機能解除させたりすることを考慮する。センサ67はアクチュエータの全ての仕事を実行することができる。しかしながら、アクチュエータはユーザの手の存在を感知する事はできない。従来、アクチュエータはマウスボタンであり、その機能には、従来技術で公知の、ポインティングデバイスのアクチュエータをクリックする通常の機能が含まれる。しかしながら、言語センサ67は、トリガも感知するアクチュエータである。例えば、その他のセンサには、指紋スキャナ(特定の指紋が提示された時にだけマウス操作が可能になる)、バイオメトリクススキャナ(バイオメトリクスとは特定の身体的又は行動的特性を測定し、それを多数の人々の特性のライブラリと比較する事によって個人を識別する方法である)又は網膜スキャナ(個人の網膜を検知する)が含まれる。トリガに応答して、センサはマウス操作やスクロール操作を可能にし、マウス作用を機能させたり機能解除したりする。この方法は、ソフトウェア、又はトリガが提示されると閉じてマウス操作を機能させ、トリガが無いと開となってマウス操作を機能解除する簡易スイッチによって行われる。装置のアクチュエータの機能を音声認識ソフトウェアによって制御することも考慮することができる。この場合、マイクロフォンがセンサであり、マイクロフォンは装置上に音声認識受信機として搭載される。センサによる接触があるかどうかの質問を使用する事の利益を音声認識ソフトウェアなどの他のアプリケーションに拡張して起動のための用語のメニューを変化させたり減らしたりすることにより、そのようなソフトウェアの使用における精度を向上させる事ができる。例えば、手接触センサが機能している時に、「ダブル」又は「左か右」という言葉による指令を導入することにより、手がマウスと接触している事を認知しているシステムが、それら明白なマウスの選択肢のみから、又はそれよりも多いが、マウス使用のメニューに特に関連し、且つメニューの一部であるその他の選択肢であって、手がマウスと接触している間は機能し、手がマウスと接触していない時は機能解除され、標準テキスト編集メニューが再機能するようなその他の選択肢から選択を行うことができる。眼鏡又はイヤホンを一連のアクチュエータと協働させて発信装置として作動させることもできる。ヘッドと発信装置の動きによって信号が伝送される。
別の実施形態によれば、図3に示されるような人間工学的マウス装置が開示され、本装置は、底面と上面202とを有するベース部であって、底面は平坦な作業面204と接触するのに適しているベース部;ベース部200の上面202と固定接続する第1ハウジング206であって、ベース部200の上面202と固定接続し、全長にわたって複数の連続した湾曲領域を含む内側面208と、親指棚領域212、親指棚領域212と固定接続する親指高さ調節部214及び凹状親指台216を含む複数の連続した湾曲領域を有する、内側面208と反対側の外側面210とを有する第1ハウジング206;ユーザの手の外側部と接触し、ベース部200の上面202と調節可能に接続する第2ハウジング218であって、複数の第2湾曲領域を有する第2内側面220及び第2内側面220と反対側の第2外側面224を含む第2ハウジングを備え、第1ハウジング206の内側面208の複数の連続した湾曲領域と第2ハウジング218の内側面220にある複数の連続した湾曲領域とが丘状部228と谷状部226を形成する事により、ユーザの手首、小指球及び小指の外側部の少なくとも一部が谷状部226に休止することができ、及び指が丘状部と容易に接触できる事で、手が自然でリラックスした位置にありながらマウスを容易に操作できる。本装置は、更に、ユーザの手の存在と大きさを感知する事ができるセンサ230であって、第1ハウジングと第2ハウジングの位置を調節し、ユーザの手があるときだけマウスを使用する事ができるセンサを少なくとも1つ備える。親指台は、ユーザが手動で垂直方向に調節可能であるか、又はマウス装置内の電気機械的装置により自動的に垂直方向に調節可能である。親指台が垂直方向に調節可能である場合、親指棚領域に位置し、親指台と実質的に垂直方向に調節可能に接続する調節ねじである親指高さ調節器を設けてもよい。
第2ハウジング218は実質的に水平方向に調節可能である。第2ハウジング218は、ユーザが手動で第1ハウジング206に対して実質的に水平方向に調節することができる。第1ハウジング206と第2ハウジング208の相対的位置は、コンピュータプログラム制御で作動するアクチュエータによって動力学的に調節する事ができる。第2ハウジング218は、実質的に垂直方向に、マウス装置内の電気機械的装置により自動で調節可能である。図4は、ソレノイド(332、334、338)を含む小型の電気機構モータ又はマウス230内のその他の作動部材(336、342)を用いる実施形態を示し、本実施形態では、動力学的、人間工学的に決定された位置、又は種々のユーザに対応する現在の最適な位置により、マウス装置10のベース部330に対する第2ハウジング310の位置が自動的且つ動力学的に制御される。そのような表面位置決めモータは、マウス230内のバイオメトリクスセンサから得られた情報を用いる内部マイクロプロセッサ340により、又は動作可能に接続されたコンピュータ(図示されていない)から受信した信号により、制御する事ができる。これにより、異なるユーザの様々な手の構造に応じて表面(例えば、42、44、66)を調節するのが容易になる。各ユーザに対する設定は、マウス230中に(動作可能に接続されたコンピュータにより)、又は制御ボタン314、状態表示装置316又はその他必要な入出力装置を含む内部制御盤315(例えば、第2外側面322上の、ヒンジ317で連結されたカバー312の中に配置される)中にプログラムできる。
更に、第1ハウジング、ベース部及び/又は第2ハウジングと固定接触する支持材料を用いることができる。第2ハウジングと電気的に接続するプログラムにより作動するシステムを用いてもよい。マウスの現ユーザを連続的に識別し、それにより前記第2ハウジングを調節するバイオメトリクスセンサを用いてもよい。また、ユーザの手とマウスの表面との接触を連続的に検知し、ユーザの手があるときだけマウスを操作可能にする、マウス中に組み込まれるセンサを用いることができる。
又、自動調節可能で生体力学的に低負荷の、グリップを持たないマウスを提供する方法を構想する。この方法は次のステップを含む。ステップ1000では、上部と底部を有するベース部を提供する。上部はその中に第1調節アセンブリを含む第1空洞とその中に第2調節アセンブリを含む第2空洞とを有し、底部は平坦な表面上で移動させるために実質的に平らである。
ステップ1002では、内側面と外側面とを有する第1ハウジングを提供する。内側面及び外側面はユーザの手の一部を受容するのに適した複数の湾曲領域を有し、第1ハウジングは第1調節アセンブリの一部を含み、第1調節アセンブリはユーザの手の大きさと位置を感知して、それにより第1ハウジングを調節する。
ステップ1004では、第2内側面と第2外側面とを有する第2ハウジングを提供する。第2内側面及び第2外側面はユーザの手の一部を受容するための複数の湾曲領域を有し、第2ハウジングは第2調節アセンブリの一部を含み、第2調節アセンブリはユーザの手の大きさと位置を感知して、それにより第2ハウジングを調節する。
ステップ1006では、マウス内に含まれ、コンピュータ制御のプログラムと接続するセンサを提供する。センサはユーザの手の存在を検知し、ユーザの手がマウスと接続する時だけマウスを作動可能にする。
ステップ1008では、第1ハウジングと第2ハウジングとで丘状部と谷状部とを形成する。谷状部は、小指球、手首及び小指外側部のうちの1つの少なくとも一部を受容するのに適している。ステップ1010では、第1ハウジングの外側部から伸びる垂直方向に調節可能な親指台を提供する。ステップ1012では、ユーザの親指の位置を自動的に感知して親指台を調節する。ステップ1014では、ユーザの手の位置を自動的に感知して、それにより第1ハウジングを調節する。ステップ1016では、前記ユーザの手の位置を自動的に感知して、それにより第2ハウジングを調節する。ステップ1018では、マウスの現ユーザを連続的に識別することにより第1ハウジング及び第2ハウジングを調節するバイオメトリクスセンサを提供する。
又、ユーザの手に対する装置の相対的配置を調節する調節ねじの動きを制御するため、モータを提供する事を構想することができる。これは、装置の制御によって又は異なるユーザに対応する位置を予め設定するためのソフトウェア入力ルーチンにより、容易となる。
特にユーザが手を負傷している場合、両手に1つずつ2つのマウスを使うことがよくある。したがって、本明細書に記載の装置をジアステレオ異性体又は鏡像の形態に製造し、左右で異なる手の生体力学的動作の円滑度に適応させる事が、本発明の目標に必要な部分である。左右の問題に対処することに加え、本明細書に記載の手のセンサの効用は、2マウス操作システムにおいて使われていないマウスの偶発的動作を制限し、それによって、使われていないマウスに接触したり、作動させたりした場合も、使用中でセンサと接触しているマウスだけが画面上でユーザの動きを遂行する事ができる点である。また、人口統計及び本明細書中で可能な調節の度合いが全ての場合に適応しない、又は場合によっては製造の対費用効果に適応できない可能性に基づき、動作の円滑度に加えて、様々な大きさの装置を製造することも考慮できる。
加えてセンサの効用は、画面上に表示された英数字から、マウスを動かしてその文字上でクリックすることにより選択することにより単語や文章を作成するようなコンピュータマウスの使用法の開発にも役立つ。これはタイプを打つのにキーボードを用いるのに代わる方法である。既存のそのようなソフトウェアは、従来のマウスを動かすのにユーザの片手に頼るため、過度の生体力学的負荷を必要とし、ユーザの片手に大きな負担を掛ける。本明細書に記載の装置と特性により、指、手及び手首に生体力学的負荷を掛けずに用いられる「マウスタイピング」ソフトウェアが可能になり、さらにはどちらの手でも使用できる、又は両手で使用できるソフトウェアが提供され、それによりいかなる生体力学的負荷も上腕筋に優先的に分配される。どちらの手でも全ての英数字選択が可能になるだけでなく、一方の手に一部の英数字だけを割り当てるソフトウェアシステムを考案し、それによって「マウスタイピング」の伝統的キー配列相当のレイアウトを開発する事が可能となる。センサを使用した場合、ソフトウェアは片手使用であることを認識し、呼び出されたときに全ての英数字を表示するか、或いは、2つのマウス上に2つの手を検知した場合、伝統的配列のキーボードに対応するように各マウスに英数字を割り当てた、新規「マウスタイピング」レイアウトを表示する。場合に応じて、及びその他の内部アプリケーションの特性に応じて、付加的な接触感知のセンサを用いる事もできる。